B 0090-17:2007 (ISO 10110-17:2004)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 試験パラメータ ················································································································ 3
5 規定······························································································································· 3
5.1 一般 ···························································································································· 3
5.2 パルスレーザ放射による損傷しきい値 ················································································ 3
5.3 長パルス及び連続波(CW)のレーザ放射による損傷しきい値 ················································ 4
6 表示······························································································································· 4
7 位置······························································································································· 4
8 表示例···························································································································· 4
B 0090-17:2007 (ISO 10110-17:2004)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本光学工業協会(JOIA)及び財団法人日本規
格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会
の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS B 0090の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS B 0090-1 第1部:通則
JIS B 0090-2 第2部:材料欠陥−応力複屈折
JIS B 0090-3 第3部:材料欠陥−泡及び異物
JIS B 0090-4 第4部:材料欠陥−不均一性及び脈理
JIS B 0090-5 第5部:表面形状公差
JIS B 0090-6 第6部:偏心公差
JIS B 0090-7 第7部:表面欠陥許容値
JIS B 0090-8 第8部:面の肌
JIS B 0090-9 第9部:表面処理及びコーティング
JIS B 0090-10 第10部:光学素子及び接合部品のデータ表示表
JIS B 0090-11 第11部:公差表示のないデータ
JIS B 0090-12 第12部:非球面
JIS B 0090-17 第17部:レーザ放射による損傷しきい値
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 0090-17:2007
(ISO 10110-17:2004)
光学素子及びシステム用の製図手法−
第17部:レーザ放射による損傷しきい値
Preparation of drawings for optical elements and systems-
Part 17: Laser irradiation damage threshold
序文
この規格は,2004年に第1版として発行されたISO 10110-17を基に,技術的内容及び対応国際規格の構
成を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
JIS B 0090の規格群は,製造及び検査に用いる製図における光学素子及びシステムに対する,設計上及
び機能上の要求事項の表記方法について規定する。
この規格は,光学面へのレーザ放射による損傷しきい値の製図上での表記方法について規定する。ISO
11254-1に規定されているように,光学面は,しきい値まではいかなる損傷も示さない。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 10110-17:2004,Optics and photonics−Preparation of drawings for optical elements and systems
−Part 17: Laser irradiation damage threshold (IDT)
なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していることを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
には適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0090-5 光学素子及びシステム用の製図手法−第5部:表面形状公差
注記 対応国際規格:ISO 10110-5,Optics and optical instruments−Preparation of drawings for optical
elements and systems−Part 5: Surface form tolerances (IDT)
JIS B 0090-6 光学素子及びシステム用の製図手法−第6部:偏心公差
注記 対応国際規格:ISO 10110-6,Optics and optical instruments−Preparation of drawings for optical
elements and systems−Part 6: Centring tolerances (IDT)
JIS B 0090-7 光学素子及びシステム用の製図手法−第7部:表面欠陥許容値
注記 対応国際規格:ISO 10110-7,Optics and optical instruments−Preparation of drawings for optical
elements and systems−Part 7 : Surface imperfection tolerances (IDT)
JIS B 0090-10:2007 光学素子及びシステム用の製図手法−第10部:光学素子及び接合部品のデータ
2
B 0090-17:2007 (ISO 10110-17:2004)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表示表
注記 対応国際規格:ISO 10110-10:20041),Optics and photonics−Preparation of drawings for optical
elements and systems−Part 10: Table representing data of optical elements and cemented assemblies
(IDT)
ISO 11145:2006,Optics and photonics−Lasers and laser-related equipment−Vocabulary and symbols
ISO 11254-1:2000,Lasers and laser-related equipment−Determination of laser-induced damage threshold of
optical surfaces−Part 1: 1-on-1 test
ISO 11254-2,Lasers and laser-related equipment−Determination of laser-induced damage threshold of optical
surfaces−Part 2: S-on-1 test
注1) ISO 10110-17:2004には“ISO 10110-10:2003”と記載されているが,この規格では2004年に
発行されたISO 10110-10を適用する。
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,ISO 11145,ISO 11254-1及び次による。
3.1
波長 (wavelength),λ
レーザ放射の波長。
3.2
しきい値 (threshold)
損傷確率がゼロと推定される,光学面へ入射するレーザ放射の最大量。
注記 レーザ放射量は,エネルギー密度Hmax又はパワー密度Emaxで表示してもよい。
[ISO 11254-1:2000]
3.3
有効パルス幅 (effective pulse duration),τeff
パルスレーザによる単一発光(放射)において,パルスパワー最大値に対する総パルスエネルギーの比。
[ISO 11254-1:2000]
注記1 パルスパワー最大値をPpk,総パルスエネルギーをQとすると有効パルス幅τeffは,次の式で
表される。
pk
0
pk
eff
)
(
P
dt
t
P
P
Q
τ
∫∞
=
=
ここに,総パルスエネルギーQは,時間tとともに変化するパルスパワーP(t)
を全発光時間で積分した値。
注記2 ISO 11254-2で定義している,パルスレーザによる繰返し放射は,この規格には適用しない。
注記3 ISO 11254-2では,パルスレーザによる繰返し放射において,1パルス当たりのパルスパワー
最大値に対するパルスエネルギーの比として有効パルス幅を定義している。パルスパワー最
大値をPpk,繰返し周波数をfp,総パルスエネルギーをQとすると有効パルス幅τeffは,次の
式で表される。
3
B 0090-17:2007 (ISO 10110-17:2004)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
pk
1
0
pk
eff
P
)
(
P
dt
t
P
P
Q
τ
f∫
=
=
ここに,総パルスエネルギーQは,平均パワーPavを繰返し周波数fpで除した値。
p
avfP
Q=
3.4
エネルギー密度しきい値 (threshold energy density),Hth
パルスレーザ放射において,損傷が発生するエネルギー密度のしきい値(J/cm2)。
3.5
パワー密度しきい値 (threshold power density),Eth
パルスレーザ放射において,損傷が発生するパワー密度のしきい値(W/cm2)。
3.6
線形パワー密度しきい値 (threshold linear power density),Fth
連続波及び長パルスレーザ放射において,損傷が発生する線形パワー密度のしきい値(W/cm)。
注記1 レーザ損傷を考慮する場合,長パルスとは,熱拡散係数をDとして,熱伝達長(2 D τeff)
1/2
が試験領域の大きさdT,effと同じ程度である場合をいう。
注記2 ISO 11254-1:2000の附属書C(参考)によれば,連続波及び長パルスレーザ放射においては,
照射領域から周辺に沿って著しい熱の伝ぱが起こる。この場合のレーザ放射による損傷しき
い値は,熱が支配的であり,線形パワー密度によって換算される。
直径0.33 mmの連続波又は長パルスレーザ放射において,ベリリウムミラーを安全に使用
できる最大パワーは56 Wまでとすると,直径5 mmのレーザビームで照射する場合は,線形
パワー密度で換算すると,安全に使用できるパワーは56 W×(5/0.33)=0.85 kWまでとなる。
この場合の線形パワー密度による換算値は,パワー密度による換算値56 W×(5/0.33)2=12.9
kWに比べて約1/15と低くなっていることに注意すべきである。直径5 mm,12.9 kWのレー
ザビームでベリリウムミラーを照射した場合,溶けてしまい大変危険である。
4
試験パラメータ
箇条3に記載された用語を基本とする。それ以外に必要となる試験パラメータは,ISO 11254-1及びISO
11254-2の規定による。一部の光学素子については,入射角度に加えて偏光面及び偏光状態を規定する場
合がある。
5
規定
5.1
一般
レーザ放射による損傷しきい値の規定値は,表面の処理及びコーティングが施された仕上げ面に適用す
る。
5.2
パルスレーザ放射による損傷しきい値
光学面におけるレーザ放射による損傷しきい値の規定値Hth又はEthには,レーザ波長λ及び有効パルス
幅τeffを併記しなければならない。
4
B 0090-17:2007 (ISO 10110-17:2004)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.3
長パルス及び連続波(CW)のレーザ放射による損傷しきい値
光学面におけるレーザ放射による損傷しきい値の規定値Fthには,レーザ波長λ及び有効パルス幅τeffを,
連続波放射の場合には放射時間を併記しなければならない。
注記 連続波レーザ(ISO 11145の規定によって,放射時間が0.25秒よりも長い放射)の場合は,有
効パルス幅でなく“放射時間”を用いる。
6
表示
レーザ放射による損傷しきい値は,コード番号及び箇条5に規定した各しきい値によって図面に記載す
る。付加的な要求事項は,注記によって補足する。
レーザ放射しきい値に対するコード番号は,6である。
表示は,次の形式とする。
a) パルスレーザ放射に関して
6/Hth;λ;τeff 又は 6/Eth;λ;τeff
b) 長パルス及びCWレーザ放射に関して
6/Fth;λ;τeff
Hth,Eth,Fth,λ及びτeffについては,単位を記載しなければならない。
7
位置
図面への記載は,表示すべき面に引出し線を用いて行う。その場合は,JIS B 0090-5,JIS B 0090-6及び
JIS B 0090-7の規定によって,その面に関係する他の面コード(3/,4/,5/)も記載する。記載の一例をJIS
B 0090-1:2007の図A.1に示す。
上記の代わりに,JIS B 0090-10:2007の図3の例のように表領域に記載してもよい2)。
注2) 表中に記載された6/−は,レーザ放射による損傷しきい値は規定しないことを意味する。必要
であれば,箇条6によって記載する。
8
表示例
図面への表示例を,次に示す。
例1 6/25 J·cm−2;1 064 nm;20 ns
この表示は,1 064 nm (Nd:YAG) のレーザ波長及び20 nsの有効パルス幅に対して,損傷し
きい値がエネルギー密度25 J·cm−2以上であることを意味する。
例2 6/10 kW·cm−1;10.6 μm;1 s
この表示は,波長10.6 μm (CO2) の連続発振レーザ及び1秒の放射時間に対して,損傷しき
い値が線形パワー密度10 kW·cm−1以上であることを意味する。
参考文献 JIS B 0090-1:2007 光学素子及びシステム用の製図手法−第1部:通則
注記 対応国際規格:ISO 10110-1:2006,Optics and photonics−Preparation of drawings for optical
elements and systems−Part 1: General (IDT)