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目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 一般事項························································································································· 2
5 表示要求事項及び要求事項配置面 ························································································ 2
6 寸法記入方法 ··················································································································· 2
6.1 一般 ···························································································································· 2
6.2 寸法補助線 ··················································································································· 5
6.3 寸法線 ························································································································· 7
6.4 寸法数値 ····················································································································· 12
6.5 寸法の配置 ·················································································································· 17
6.6 寸法補助記号 ··············································································································· 21
6.7 穴の寸法の表し方 ········································································································· 35
6.8 キー溝の表し方 ············································································································ 42
6.9 薄肉部の表し方 ············································································································ 48
6.10 位置及び範囲の限定 ····································································································· 49
6.11 非剛性部品の寸法 ········································································································ 51
6.12 同一形状の寸法 ··········································································································· 51
7 外形図の寸法の表し方 ······································································································ 53
8 照合番号························································································································ 54
9 3DAモデルの訂正・変更 ·································································································· 55
10 要素間連携 ··················································································································· 56
附属書A(参考)デジタル製品技術文書情報(DTPD)スコープマトリックス································· 59
参考文献 ···························································································································· 60
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まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS B 0060の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS B 0060-1 第1部:総則
JIS B 0060-2 第2部:用語
JIS B 0060-3 第3部:3DAモデルにおける設計モデルの表し方
JIS B 0060-4 第4部:3DAモデルにおける表示要求事項の指示方法−寸法及び公差
JIS B 0060-5 第5部:3DAモデルにおける表示要求事項の指示方法−幾何公差(予定)
JIS B 0060-6 第6部:3DAモデルにおける溶接の指示方法(予定)
JIS B 0060-7 第7部:3DAモデルにおける表示要求事項の指示方法−表面性状(予定)
JIS B 0060-8 第8部:属性情報(予定)
JIS B 0060-9 第9部:一般事項及び基本情報(予定)
日本工業規格 JIS
B 0060-4:2017
デジタル製品技術文書情報−第4部:
3DAモデルにおける表示要求事項の指示方法−
寸法及び公差
Digital technical product documentation (DTPD)-Part 4:
Indication of annotation for 3D annotated model-
Dimensions and dimensional tolerances
1
適用範囲
この規格は,JIS B 0060-1に基づき,一般機械,精密機械,電気機械などの工業分野で用いる3DAモデ
ル(3D annotated model:三次元製品情報付加モデル)における表示要求事項の寸法及び公差に関する指示
方法について規定する。
この規格に関連する範囲を,参考として表A.1に示す。
注記1 この規格における二次元製図による指示例(以下,2D指示例という。)は,JIS B 0001を基
とし,三次元製図による指示例(以下,3D指示例という。)に合わせて技術的内容を変更し
て作成したもので,3D指示例の解釈として示している。
注記2 この規格における3D指示例は,軸測投影保存ビューではなく,3DAモデルを任意の方向で
コンピュータモニタなどに表示した図である。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0001 機械製図
JIS B 0026 製図−寸法及び公差の表示方式−非剛性部品
JIS B 0028 製品の幾何特性仕様(GPS)−寸法及び公差の表示方式−円すい
JIS B 0060-1 デジタル製品技術文書情報−第1部:総則
JIS B 0060-2 デジタル製品技術文書情報−第2部:用語
JIS B 0060-3 デジタル製品技術文書情報−第3部:3DAモデルにおける設計モデルの表し方
JIS B 3401 CAD用語
JIS Z 8114 製図−製図用語
JIS Z 8318 製品の技術文書情報(TPD)−長さ寸法及び角度寸法の許容限界の指示方法
JIS Z 8401 数値の丸め方
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3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0001,JIS B 0060-2,JIS B 3401及びJIS Z 8114による。
4
一般事項
この規格に規定していない事項は,JIS B 0060-1及びそれぞれ別に規定する製図に関する日本工業規格
による。
5
表示要求事項及び要求事項配置面
設計モデルに対して,要求事項配置面(JIS B 0060-2の3.12参照)を用いて,箇条6〜箇条9に示す表
示要求事項を指示する方法は,JIS B 0060-1によるほか,次による。
a) 要求事項配置面は,通常,3Dモデルの座標系の直交座標面に平行とする。また,必要に応じて任意の
方向の要求事項配置面を設定してもよい(図1参照)。
b) 表示要求事項と要求事項を指示する設計モデル部位との間は,寸法線,寸法補助線,及び引出線を介
して関連性を保てるように指示する。
c) 表示要求事項の色は,設計モデル,要求事項配置面及び背景の色に対して,明確に識別できるように
設定する。
d) コンピュータモニタなどへの表示要求事項の表示は,必要に応じて,要求事項配置面の単位で表示及
び非表示を切り替えられるようにするとよい。
図1−設計モデル上に要求事項配置面を表示した例
6
寸法記入方法
6.1
一般
寸法記入方法は,次による。
a) 対象物の機能,製作,組立てなどを考えて,その設計モデルに必要不可欠な寸法を明瞭に指示する。
b) 全ての寸法情報は,必要十分なものでなければならない。ただし,“特に指示のない限り,寸法は3D
モデルによる”の指示,又はこれに相当する指示が注記にある場合には,寸法記入を省略できる。た
だし,その寸法に関わる許容限界を要求する場合には,寸法の指示を省略してはならない。
3
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注記1 この規格の指示例は,理論的に正しい寸法を含め,寸法の表記が必要な例である。
c) 寸法は,寸法線,寸法補助線,寸法補助記号などを用いて,寸法数値によって示す。また,これらは
特別な場合を除き,要求事項配置面に配置する(図1参照)。
d) 寸法線は,設計モデルの内部に記入してはならない。寸法数値は,設計モデルの内部及び表面に記入
してはならない。また,寸法補助線は,設計モデルの外部に記入するのがよい。
e) 3DAモデルには,特に明示しない限り,その対象物の仕上がり寸法を示す。
注記2 鋳造部品図では,最終機械加工図,鋳放し図,前加工図などがあり,最終加工図において
仕上がり寸法,鋳放し寸法及び前加工寸法を指示する場合がある。
f)
寸法数値は,設計モデルから取得し,適切な有効桁数で四捨五入によって丸めた数値とする。また,
設計モデルの寸法の指示がない部位の寸法数値を取得する場合も,同様である。数値の丸め方は,JIS
Z 8401の規則Aを用いてもよい。
g) 加工又は組立ての場合に,基準とする形体があるときには,その形体を基にして寸法を記入する(図
2参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図2−基準からの寸法記入例
h) 寸法は,できるだけ工程ごとに配列を分けて記入する(図3参照)。
i)
関連する寸法は,できるだけ一つの要求事項配置面にまとめて記入する(図3参照)。
4
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a) 2D指示例
b) 3D指示例
図3−工程ごとの寸法を一つの要求事項配置面に配列して指示する例
j)
円弧の部分の寸法は,円弧が180°までは半径で表し(図4参照),それを超える場合には直径で表す
(図5参照)。ただし,円弧が180°以内であっても,機能上又は加工上,特に直径の寸法を必要とす
るものに対しては,直径の寸法(6.6.3参照)を記入する(図5参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図4−半径の例
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
図5−直径の例
5
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c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
図5−直径の例(続き)
k) 機能上(互換性を含む。)必要な寸法には,JIS Z 8318によって寸法に関する許容限界を指示する。た
だし,m) 及びn) の場合を除く。
なお,寸法に関わる許容限界の指示がない場合には,個々の寸法に対して普通寸法公差を適用する。
その場合,適用する規格番号,及び等級記号又は数値を,モデル管理情報として所定の箇所に指示す
る。
l)
理論的に正しい寸法(TED:theoretically exact dimension)は,寸法数値を寸法補助記号とともに長方
形の枠で囲む,又は寸法数値だけを長方形の枠で囲む。
なお,一つの3DAモデルの中では,この二つの指示方法が混在してはならない。
m) 参考寸法については,必要に応じて寸法補助記号を含めた寸法数値に括弧を付ける。
なお,参考寸法は,検証の対象としない。
n) 中心点及び中心線は,寸法指示に必要な場合にだけ描く[図6,図11 b) 及び図14 d) 参照]。
6.2
寸法補助線
寸法補助線は,次による。
a) 寸法は,通常,寸法補助線を用いて寸法線を記入し(図6参照),この上側に寸法数値を指示する。た
だし,寸法補助線を記入すると図が読み取りづらくなる場合には,これによらなくてもよい(図7参
照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図6−寸法補助線及び寸法線の例
図7−寸法補助線を使用しない例
6
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b) 寸法補助線は,通常,外殻形体,外殻形体に描いた補足幾何形状又は誘導形体としての中心線から引
き出す(図6,図8及び図9参照)。
a) 3D指示例1
b) 3D指示例2
c) 3D指示例3
図8−寸法補助線及び寸法線の例
c) 寸法補助線は,指示する形体を通り寸法線に対して,(要求事項配置面内で)直角に引き,寸法線を僅
かに越えるまで延長する(図8参照)。ただし,寸法補助線と形体との間を僅かに離してもよいが,一
つの設計モデルの中では指示を統一する(図9参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図9−ギャップを設けた寸法補助線の例
d) 互いに傾斜する二つの面の間に丸み又は面取りが施されているとき,二つの面の交わる位置を示すに
は,丸み又は面取りを施す以前の形状を細い実線で表し,その交点から寸法補助線を引き出す[図10
b) 参照]。
なお,この場合,交点を明確に示す必要があるときには,それぞれの線を互いに交差させた交点に
黒丸を付ける[図10 d) 参照]。
7
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a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
図10−丸み又は面取部からの寸法補助線の例
e) 関連する寸法を指示する場合の寸法補助線は,寸法線及び寸法数値と同じ要求事項配置面に配置する
(図1参照)。寸法補助線を指示する要求事項配置面が,寸法線及び寸法数値と別になり寸法補助線が
折れるような描き方は,特別な場合(図11参照)を除き,用いない。
a) エッジの高さが異なる例
b) 穴あけ加工面の高さが異なる例
図11−複数の位置寸法を一つの表示要求配置面に置く場合に寸法補助線が折れ曲がる例
6.3
寸法線
寸法線は,次による。
a) 寸法線は,指示する長さ又は角度を測定する方向に平行に引き(図12参照),線の両端には端末記号
を付ける(図13参照)。
なお,一つの3DAモデルの中では,6.3 g) 3) の規定による場合を除き,図13のa)〜d) を混用して
はならない。
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a) 辺の長さ2D指示例
b) 辺の長さ3D指示例
c) 弦の長さ2D指示例1
d) 弦の長さ3D指示例1
e) 弦の長さ2D指示例2
f) 弦の長さ3D指示例2
g) 角度寸法2D指示例
h) 角度寸法3D指示例
図12−辺,弦,弧の長さ及び角度寸法の例
図13−端末記号の例
b) 角度寸法を記入する寸法線は,角度を構成する二辺又はその延長線(寸法補助線)の交点を中心とし
て,両辺又はその延長線の間に描いた円弧で表す(図14参照)。
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
図14−角度寸法を記入する例
9
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c) 角度サイズを記入する寸法線は,二つの平面形体のなす角,又は相対する円すい表面の母線のなす角
の間に描いた円弧で表す(図16参照)。
注記 “角度サイズ”は,“角度に関わるサイズ”とも称す。
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
図15−角度サイズの寸法線の例
d) 寸法線が隣接して連続する場合には,寸法線は一直線上にそろえて記入するのがよい[図16 b) 参照]。
さらに,関連する部分の寸法は,一直線上に記入するのがよい[図16 d) 参照]。
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
図16−寸法線を一直線上にそろえて記入する例
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e) 段差がある形体間の寸法記入は,次のいずれかによる。
1) 形体間に対して直列寸法を指示する(図17参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例1
c) 3D指示例2
図17−直列寸法の指示例
2) 累進寸法の記入方法(6.5.3)によって,一方の形体側に起点記号を,他方の形体側に矢印を指示す
る(図18参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図18−累進寸法の指示例
f)
平面加工のフライスカッタの直径(図19参照)などを指示することによって,設計要求を満たす場合
には,その工具の直径数値の前に記号“Cφ”を指示する。
“Cφ”の意味及び呼び方は,表1による。XYZ座標値の指示方法は,6.6.2 c) による。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図19−工具サイズの指示例
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g) 狭い所での寸法の記入は,次のいずれかによる。
1) 引出線を,寸法線から斜め方向に引き出し,寸法数値を記入する。この場合には,引出線の引き出
す側の端には何も付けない(図20参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図20−引出線を用いた寸法数値の記入例
2) 寸法線を延長して,その上側又は横(延長線上)に記入してもよい(図20及び図21参照)。
3) 寸法補助線の間隔が狭くて矢印を記入する余地がない場合には,矢印の代わりに黒丸(図21参照)
又は斜線(図20参照)を用いてもよい。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図21−寸法線を延長した場合の例
h) 対称の図形で多数の直径の寸法を記入する場合には,寸法線の長さを更に短くして,図22の例のよう
に数段に分けて記入してもよい。
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a) 2D指示例
b) 3D指示例
図22−短い寸法線の例
6.4
寸法数値
寸法数値は,次のとおり指示する。
a) 長さの寸法数値は,通常,ミリメートル(mm)の単位で記入し,単位記号は付けない。
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b) 角度寸法の数値は,通常,度の単位で記入し,必要がある場合には,分及び秒を併用してもよい。度,
分及び秒を表すときは,数字の右肩にそれぞれ単位記号“°”,“′”及び“″”を記入する(例1参
照)。
例1 90°,22.5°,6°21′5″(又は6°21′05″),8°0′12″(又は8°00′12″),3′21″
角度寸法の数値をラジアンの単位で記入する場合には,その単位記号“rad”を記入する(例2参照)。
例2 0.52 rad,π/3 rad
c) 寸法数値の小数点は,下の点とし,前後の数字の間を適切に空けて,その中間に大きめに書く。また,
寸法数値の桁数が多い場合でもコンマは付けない(例3参照)。
例3 123.25 12.00 22320
d) 寸法記入は,累進寸法記入法(6.5.3参照)の場合を除き,次による。
1) 長さの寸法数値は,設計モデルを第三角法で正投影した場合の保存図で見たとき,図23に示すよう
に水平方向の寸法線に対しては下辺から,垂直方向の寸法線に対しては右辺から読めるように指示
する。斜め方向の寸法線に対しては,図24及び図25の向きに記入する。
2) 長さの寸法数値は,寸法線に沿ってその上側に僅かに離して記入する。この場合,寸法線のほぼ中
央に指示するのがよい(図23参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図23−水平方向及び垂直方向の寸法数値の指示例
a)
b)
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図24−長さ寸法の場合の例
図25−角度寸法の場合の例
e) 寸法数値は,3DAモデルの寸法数値を描いた要求事項配置面を正面においた場合に,線に重ねて記入
してはならない。ただし,やむを得ない場合には,引出線を用いて記入する[図26 b) 参照]。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図26−寸法数値を線(エッジなど)に重ねて記入しない例(引出線による例)
f)
寸法数値は,寸法線の交わらない箇所に記入する(図27参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図27−寸法数値を寸法線の交わらない箇所に記入する例
g) 寸法補助線を引いて記入する直径の寸法が対称中心線の方向に幾つも並ぶ場合には,各寸法線はでき
るだけ同じ間隔に引き,小さい寸法を内側に,大きい寸法を外側にして寸法数値をそろえて記入する
[図28 b) 参照]。ただし,特別な理由で寸法線の間隔が狭くなる場合には,寸法数値を対称中心線の
両側に交互に書いてもよい[図28 d) 参照]。
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a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
図28−直径の指示が多い場合の例
h) 寸法線が長くて,その中央に寸法数値を記入すると分かりにくくなる場合には,いずれか一方の端末
記号の近くに片寄せて記入することができる(図29参照)。
a) 2D指示例
図29−寸法線が長い場合の例
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b) 3D指示例
図29−寸法線が長い場合の例(続き)
i)
寸法数値の代わりに,文字記号を用いてもよい。この場合には,その数値を別に表示する(図30及び
図31参照)。文字記号を用いた設計モデルは,別に表した寸法数値の中の一つで作成する。文字記号
に対する寸法数値は,非表示要求事項で指示してもよい。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図30−表形式の寸法記入例
記号
品番
1
2
3
L1
1915
2500
3115
L2
2085
1500
885
記号
品番
1
2
3
L1
1915
2500
3115
L2
2085
1500
885
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a) 2D指示例
b) 3D指示例
図31−文字記号を用いる例
6.5
寸法の配置
6.5.1
直列寸法記入法
直列寸法記入法は,寸法数値を直列に連ねて記入する方法である(図32参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図32−直列寸法記入法の例
6.5.2
並列寸法記入法
並列寸法記入法は,並列に寸法数値を記入する方法である(図33及び図34参照)。この場合,共通側の
寸法補助線の位置は,機能・加工などの条件を考慮して適切に選ぶ。図33及び図34は理論的に正しい寸
法に適用した例である。
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a) 2D指示例
b) 3D指示例
図33−並列寸法記入法の例1
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図34−並列寸法記入法の例2
6.5.3
累進寸法記入法
累進寸法記入法は,一つの形体から次の形体へ寸法線をつないで,1本の連続した寸法線を用いて寸法
数値を記入する方法である。この場合,寸法の起点の位置は,起点記号“○”で示し,寸法線の他端は矢
印で示す。寸法数値は,寸法補助線に並べて記入するか(図35,図37,図38及び図39参照),又は矢印
の近くの寸法線の上側にこれに沿って指示する(図36参照)。
なお,累進寸法記入法は,二つの形体間だけの寸法線にも準用することができる(図38参照)。
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a) 2D指示例
b) 3D指示例
図35−累進寸法記入法の例1
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図36−累進寸法記入法の例2
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図37−累進寸法記入法の例3
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a) 2D指示例
b) 3D指示例
図38−累進寸法記入法の例4
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図39−累進寸法記入法の例5
6.5.4
正座標寸法記入法
穴の位置,大きさなどの寸法は,正座標寸法記入法を用いて表にしてもよい(図40参照)。この場合,
表に示すX,Y及びZの数値は,起点からの寸法である。表は,モデル管理情報として,3DAモデルに構
成してもよい。
起点は,例えば,基準穴,対象物の一隅など機能又は加工の条件を考慮して適切に選ぶ。
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a) 2D指示例
b) 3D指示例
c) 表の例(2D指示及び3D指示に共通)
図40−正座標寸法記入法の例
6.6
寸法補助記号
6.6.1
寸法補助記号の種類
寸法補助記号の種類及びその呼び方は,表1による。
表1−寸法補助記号の種類及びその呼び方
記号
意味
呼び方
180°を超える円弧の直径又は円の直径
“まる”又は“ふぁい”
180°を超える球の円弧の直径又は球の直径
“えすまる”又は“えすふぁい”
C
カッタ直径
“しーふぁい”
正方形の辺
“かく”
R
半径
“あーる”
CR
コントロール半径
“しーあーる”
SR
球半径
“えすあーる”
円弧の長さ
“えんこ”
C
45°の面取り
“しー”
t
厚さ
“てぃー”
ざぐり
深ざぐり
“ざぐり”
“ふかざぐり”
皿ざぐり
“さらざぐり”
円すい
“えんすい”
穴深さ
“あなふかさ”
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6.6.2
半径の表し方
半径の表し方は,次による。
a) 半径の寸法は,半径の寸法補助記号“R”を寸法数値の前に寸法数値と同じ大きさで指示する(図41
参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例1
c) 3D指示例2
図41−半径の指示例
b) 円弧の半径を示す寸法線には,円弧の側にだけ矢印を付け,中心の側には付けない(図42参照)。
なお,矢印及び寸法数値を記入する余地がないときには,図42 f) 又は図42 h) の例による。
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
e) 2D指示例3
f) 3D指示例3
g) 2D指示例4
h) 3D指示例4
図42−種々の半径の指示例
c) 円弧の中心の位置を示す必要がある場合,及び/又は円弧の半径が大きくて中心の位置を示しにくい
場合には,半径の中心のXYZ座標値を,R寸法数値の下又は後に,これと同じ文字高さで記入して表
す(図43参照)。
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B 0060-4:2017
図43−半径が大きい場合の指示例
d) 同一中心をもつ半径は,長さ寸法と同様に,累進寸法記入法を用いて指示してもよい(図44参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図44−累進寸法記入法を用いて半径を指示する例
e) 2D指示における“実R”及び“展開R”は,3D指示では使用しない。半径は,設計モデルの対象部
分を正面に見て得られる半径を,その面に同一又は平行な要求事項配置面に記入する(図45参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図45−展開Rの指示例
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B 0060-4:2017
f)
半径の寸法が他の寸法から導かれる場合には,半径を示す寸法線及び数値なしの記号“(R)”によっ
て指示してもよい(図46参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図46−半径であることの指示例
g) かどの丸み,隅の丸みなどにコントロール半径を要求する場合には,半径数値の前に寸法補助記号
“CR”を指示する(図47参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図47−コントロール半径の指示例
6.6.3
直径の表し方
直径の表し方は,次による。
a) 直径の寸法は,直径の寸法補助記号“φ”を寸法数値の前に寸法数値と同じ大きさで指示する[図48
及び図49参照]。
注記 ISO 129-1では,3D CADで図形を回転させて表示した場合,円形図形がだ円に見えてしまう
ことを考慮して,180°を超える円弧又は円形の図形においても直径の寸法の前にφを付けて
記入するように規定している。
例1 円筒形体の正面に寸法を記入する場合(図48参照)。
例2 円筒形体の一部を欠いた図形で寸法線の端末記号が片側の場合(図48参照)。
例3 円筒形体の中心に寸法を記入する場合[図49 b) 及び図49 f) 参照]。
例4 円筒形体の内径の面又は辺[図49 d) 及び図49 h) 参照],円筒形体の外形の面又は辺に寸法
を記入する場合(図48参照)。
25
B 0060-4:2017
例5 円筒形体の側面に寸法補助線を用いて寸法を記入する場合(図50参照)。
例6 二つの円筒形体を互いにはめ合う組立図の場合(図51参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図48−円弧及び全円の直径の記入例
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
e) 2D指示例3
f) 3D指示例3
g) 2D指示例4
h) 3D指示例4
図49−種々の直径の指示例
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図50−円形側面からの直径の指示例
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B 0060-4:2017
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図51−ISOコード方式(公差クラス)による二つの形体を互いにはめ合う組立図の例
b) 直径の異なる円筒が連続していて,その寸法数値を記入する余地がない場合には,図52及び図53の
ように,片側に書くべき寸法線の延長線及び矢印を描き,直径の寸法補助記号“φ”及び寸法数値を
記入する。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図52−外側からの片側に矢印を指示する寸法記入の例
27
B 0060-4:2017
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図53−寸法線を直角に折り曲げる例
6.6.4
球の直径又は半径の表し方
球の直径又は半径の表し方は,次による。
a) 球の直径又は半径の寸法は,その寸法数値の前に寸法数値と同じ文字高さで,球の寸法補助記号“S
φ”又は“SR”を記入して表す(図54参照)。
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
図54−球の直径又は半径の指示例
28
B 0060-4:2017
e) 2D指示例3
f) 3D指示例3
図54−球の直径又は半径の指示例(続き)
b) 球の半径の寸法が他の寸法から導かれる場合には,半径を示す寸法線及び数値なしの記号“(SR)”に
よって指示してもよい(図55参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図55−数値なしの寸法補助記号“(SR)”の指示例
6.6.5
板厚の表し方
板の厚さの寸法を表す場合には,板の厚さの範囲を限定できる位置に,厚さを表す寸法数値の前に,寸
法数値と同じ文字高さで,厚さを示す寸法補助記号“t”を記入する(図56参照)。
注記 冷間圧延鋼板,プラスチック板など,製品公差が規定されている板材の厚さ指示には,特に有
用である。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図56−板厚の指示例
29
B 0060-4:2017
6.6.6
弦及び円弧の長さの表し方
弦及び円弧の長さの表し方は,次による。
a) 弦の長さの表し方 弦の長さは,弦に直角に寸法補助線を引き,弦に平行な寸法線を用いて表す(図
57参照)。
b) 円弧の長さの表し方 円弧の長さの表し方は,次による。
1) 弦の場合と同様な寸法補助線を引き,その円弧と同心の円弧を寸法線として引き,寸法数値の前又
は上に円弧の長さを示す寸法補助記号“
”を付ける(図58参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図57−弦の長さの指示例
図58−円弧の長さの指示例
2) 外殻形体の円弧の長さを指示する場合,エッジに対して直接指示する(図58参照)か,又は補足幾
何形状を用いて指示する。
3) 円弧を構成する角度が大きいとき(図59参照),及び連続して円弧の寸法を記入するとき(図60
参照)は,円弧の中心から放射状の方向で,円弧を指示する面又は中心線から引いた寸法補助線に
寸法線を当ててもよい。
4) 誘導形体の円弧の長さを指示する場合,中心線のときは寸法数値の後に“[CL]”を記入する(図59
参照)。
5) 円弧の半径を明示する必要があるときには,円弧の長さを表す寸法数値の後に,円弧の半径を括弧
に入れて示す(図61参照)。この場合には,円弧の長さを示す寸法補助記号を付けてはならない。
30
B 0060-4:2017
a) 2D指示例
b) 3D指示例1
c) 3D指示例2
図59−角度が大きい円弧長さの指示例
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図60−連続した円弧長さの指示例
31
B 0060-4:2017
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図61−種々の円弧の長さの指示例
6.6.7
面取りの表し方
a) 一般の面取りは,通常の寸法記入方法によって表す(図62参照)。
b) 45°の面取りの場合には,“面取りの寸法数値×45°”を記入するか(図63参照)又は寸法補助記号
“C”を寸法数値の前に寸法数値と同じ文字高さで記入して表す(図64参照)。
c) 円筒軸に対して45°ではない面取りの場合は,寸法補助記号“
”を角度サイズの数値の前に数値と
同じ文字高さで記入して表す(図65参照)。
32
B 0060-4:2017
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
e) 2D指示例3
f) 3D指示例3
g) 2D指示例4
h) 3D指示例4
図62−面取り寸法の指示例1
33
B 0060-4:2017
i) 2D指示例5
j) 3D指示例5
k) 2D指示例6
l) 3D指示例6
図62−面取り寸法の指示例1(続き)
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
図63−面取り寸法の指示例2
34
B 0060-4:2017
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
e) 2D指示例3
f) 3D指示例3
図64−寸法補助記号“C”の指示例
図65−寸法補助記号“
”の指示例
6.6.8
曲線の表し方
円弧で構成する曲線の寸法は,一般にはこれらの円弧の半径とその中心又は円弧の接線の位置とで表す
(図66及び図67参照)。
35
B 0060-4:2017
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図66−曲線の表し方の例1
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図67−曲線の表し方の例2
6.7
穴の寸法の表し方
穴の寸法の表し方は,次による。
a) 機械加工であけた穴,プレス加工で抜いた穴,鋳造であけた穴など,穴の加工方法による区別を示す
必要がある場合には,工具の呼び寸法又は基準寸法を示し,それに続けて加工方法の区別を,加工方
法記号によって指示する(図68及び図69参照)。加工方法記号はJIS B 0122による。
36
B 0060-4:2017
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
e) 2D指示例3
f) 3D指示例3
図68−穴の加工方法の指示例
37
B 0060-4:2017
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
e) 2D指示例3
f) 3D指示例3
図69−穴の加工方法を簡略指示する例
b) 一つのピッチ線,ピッチ円上に配置される一群の同一寸法のボルト穴,小ねじ穴,ピン穴,リベット
穴などの寸法は,穴から引出線を引き出して,参照線の上側にその総数を示す数字の次に“×”を挟
んで穴の寸法を指示する(図70参照)。この場合,穴の総数は,同一箇所の一群の穴の総数(例えば,
両側にフランジをもつ管継手ならば,片側のフランジについての総数)を記入する。
38
B 0060-4:2017
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図70−一群の同一寸法の指示例
c) 穴の深さを指示するときは,穴の直径を示す寸法の次に,穴の深さを示す寸法補助記号“ ”に続け
て深さの数値を記入するのがよい(図71参照)。
なお,穴の深さとは,ドリルの先端で創成される円すい部分,リーマの先端の面取部で創成される
部分などを含まない円筒部の深さ(図72のH参照)をいう。また,傾斜した穴の深さは,穴の中心
軸線上の長さ寸法で表す(図73参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図71−穴の深さの指示例1
図72−穴の深さの指示例2
39
B 0060-4:2017
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図73−傾斜した穴の深さの指示例
d) ざぐり又は深ざぐりの表し方は,ざぐりを付ける穴の直径を示す寸法の前に,ざぐりを示す寸法補助
記号“ ”に続けてざぐりの数値を記入する(図74及び図75参照)。
なお,一般に平面を確保するために鋳造品,鍛造品などの表面を削り取る程度の場合でも,その深
さを指示する。また,深ざぐりの底の位置を反対側の面からの寸法を規制する必要がある場合には,
その寸法線を指示する[図75 f) 参照]。
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
図74−ざぐりの指示例
40
B 0060-4:2017
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
e) 2D指示例3
f) 3D指示例3
図75−ざぐり穴及び深ざぐり穴の指示例
e) 皿ざぐり穴の表し方は,皿穴の直径を示す寸法の次に,皿ざぐり穴を示す寸法補助記号“ ”に続け
て,皿ざぐり穴の入り口の直径の数値を記入する(図76参照)。皿ざぐり穴の深さの数値を規制する
要求がある場合には,皿ざぐり穴の開き角及び皿ざぐり穴の深さの数値を記入する(図77参照)。
皿ざぐり穴が円形状で描かれている図形に皿ざぐり穴を指示する場合には,内側の円形形状から引
出線を引き出し,参照線の上側に皿ざぐり穴を示す寸法補助記号“ ”に続けて,皿穴の入り口の直
径の数値を記入する(図78参照)。
図76−皿ざぐりの指示例(3D指示例)
41
B 0060-4:2017
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図77−皿ざぐりの開き角及び皿ざぐり穴の深さの指示例
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図78−円形形状に指示する皿ざぐり穴の指示例
皿ざぐりの簡略指示方法は,皿ざぐり穴が表れている図形に対して,皿ざぐり穴の入り口の直径及び皿
ざぐり穴の開き角を寸法線の上側又はその延長線上に“×”を挟んで記入する(図79参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図79−皿ざぐりの簡略指示方法の例
f)
長円の穴は,穴の機能又は加工方法によって,寸法を次のいずれかによって指示する。
1) 長円の穴の長さ及び幅を指示する[図80 a) 及び図80 b) 参照]。この場合,両側の形体は,円弧で
あることを示すために“(R)”又は“R寸法数値”(この図例の場合,R5)を指示する。
2) 平行二平面の形体の長さ及び幅を指示する[図80 c) 及び図80 d) 参照]。この場合,両側の形体は,
円弧であることを示すために“(R)”又は“R寸法数値”(この図例の場合,R5)を指示する。
3) 工具の回転軸線の移動距離及び工具径を指示する[図80 e) 及び図80 f) 参照]。この場合,工具径
の指示は1か所とする。
4) “SLOT”を,長円の穴の幅及び長さの寸法数値の前に寸法数値と同じ大きさで指示する[図81参
照]。この場合,両側の形体は,円弧であることを意味する。
42
B 0060-4:2017
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
e) 2D指示例3
f) 3D指示例3
図80−長円の穴の指示例1
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図81−長円の穴の指示例2
6.8
キー溝の表し方
6.8.1
円筒軸のキー溝の表し方
円筒軸のキー溝の表し方は,次による。
a) 軸のキー溝は,キー溝の幅,深さ,長さ,位置及び端部を表す寸法による[図82 b) 及び図82 d) 参
照]。
b) キー溝の端部をフライスカッタによって加工する場合には,基準の位置から工具の中心までの距離と
工具の直径とを指示する[図82 f) 参照]。
43
B 0060-4:2017
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
図82−キー溝の寸法の指示例
44
B 0060-4:2017
e) 2D指示例3
f) 3D指示例3
図82−キー溝の寸法の指示例(続き)
c) キー溝の深さは,キー溝の反対側の軸径面から,キー溝の底までの寸法で表す[図82 b) 及び図82 d)
参照]。
なお,キー溝の中心面における軸径面から,キー溝の底までの寸法(切込み深さ)で表してはなら
ない(図83参照)。
図83−切込み深さの指示例(望ましくない例)
d) キー溝がある穴の場合に,キー溝が断面に現れている場合のボスの内径寸法は,片矢の端末記号を指
示する(図84参照)。図84における3D指示例は,断面をもたない場合の例である。
45
B 0060-4:2017
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図84−内径に凹又は凸がある場合の例
6.8.2
テーパ軸のキー溝の表し方
テーパ軸のキー溝は,個々の形体の寸法を指示する(図85参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図85−テーパ軸のキー溝の指示例
6.8.3
穴のキー溝の表し方
穴のキー溝の表し方は,次による。
a) 穴のキー溝は,キー溝の幅及び深さを表す寸法を指示する(図86参照)。
b) キー溝の深さは,キー溝と反対側の穴径面からキー溝の底までの寸法で表す(図86参照)。
c) 勾配キー用のボスのキー溝の深さは,キー溝の深い側で表す(図87参照)。
46
B 0060-4:2017
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図86−穴のキー溝の寸法指示例
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図87−勾配キーの寸法指示例
6.8.4
円筒軸の複数のキー溝の表し方
円筒軸の複数の同一寸法のキー溝は,一つのキー溝の寸法を指示し,別のキー溝に個数を指示し,関連
付けを実施する(図88参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図88−複数の同一寸法のキー溝の寸法指示例
47
B 0060-4:2017
6.8.5
円筒軸の止め輪溝の表し方
円筒軸に設ける止め輪溝は,溝幅及び溝底の直径を指示する(図89参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図89−止め輪溝の寸法指示例
6.8.6
円筒穴の止め輪溝の表し方
円筒穴に設ける止め輪溝は,溝幅及び溝底の直径を断面保存ビューで指示する(図90参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図90−穴に対する止め輪溝の寸法指示例
6.8.7
勾配の表し方
勾配は,勾配をもつ形体の近くに,JIS B 0028に基づいて,参照線を用いて指示する。参照線は水平に
引き,引出線を用いて形体の外形と結び,勾配の向きを示す図記号を,勾配の方向と一致させて描く(図
91参照)。
なお,図記号と参照線との間には,隙間があってもよい。
48
B 0060-4:2017
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図91−勾配の指示例
6.8.8
テーパの表し方
テーパは,テーパをもつ形体の近くに,JIS B 0028に基づいて,参照線を用いて指示する。参照線はテ
ーパをもつ形体の中心線に平行に引き,引出線を用いて形体の外形と結ぶ。ただし,テーパ比及び向きを
特に明らかに示す必要がある場合には,テーパの向きを示す図記号を,テーパの方向と一致させて描く(図
92参照)。
なお,図記号は参照線の上に書いてもよい。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図92−テーパの指示例
6.9
薄肉部の表し方
製品の形体が徐々に増加又は減少させて,ある寸法になるように指示する要求がある場合には,対象と
する形体から引出線を引き出し,参照線の上側に“GRADUALLY CHANGE”と注記してもよい(図93参
照)。
49
B 0060-4:2017
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図93−徐変する寸法の例
6.10
位置及び範囲の限定
位置及び範囲の限定は,次による。
a) 限定した位置及び範囲に表示要求事項を指示する場合は,外殻形体に補足幾何形状を描いて,これと
結び付けて描く(図94,図95及び図96参照)。このとき,補足幾何形状の位置及び範囲は,理論的
に正確な寸法によって指示する。
b) 外殻形体の範囲の限定に,領域の指示を加える方法は,JIS B 0060-3による。
例 位置及び範囲の限定に,領域の指示を加えた場合(図95及び図96参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図94−限定した位置にサイズ公差を指示した例
50
B 0060-4:2017
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図95−限定した範囲に公差を指示した例
a) 2D指示例1
b) 3D指示例1
図96−限定した範囲を指示した例
51
B 0060-4:2017
c) 2D指示例2
d) 3D指示例2
図96−限定した範囲を指示した例(続き)
6.11
非剛性部品の寸法
非剛性部品の寸法は,JIS B 0026によって指示する。
注記 非剛性部品とは,自由状態で3DAモデルに指示した公差・幾何公差を超えて変形する部品であ
る。
6.12
同一形状の寸法
T形管継手,コックなどのフランジのように,1個の品物に全く同一寸法の部分が二つ以上ある場合に
は,寸法はそのうちの一つにだけ記入するのがよい(図97及び図98参照)。
52
B 0060-4:2017
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図97−同一形状の指示例1
53
B 0060-4:2017
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図98−同一形状の指示例2
7
外形図の寸法の表し方
外形図には,横方向,奥行き方向及び高さ方向の寸法並びに据付け・取付けに必要な寸法を指示する(図
99参照)。
a) 2D指示例
図99−外形図の寸法の指示例
54
B 0060-4:2017
b) 3D指示例
図99−外形図の寸法の指示例(続き)
8
照合番号
照合番号は,次による。
a) 照合番号は,通常,数字を用いる。
組立図の中の部品に対して,別に製作図がある場合には,照合番号[図100 b) 参照]の代わりにそ
の3DAモデル管理番号[図100 c) 参照]を記入してもよい。
b) 照合番号は,次のいずれかによるのがよい。
1) 組立ての順序に従う。
2) 構成部品の重要度に従う。
例 部分組立品,主要部品,小物部品,その他の順
3) その他,根拠のある順序に従う。
c) 照合番号を3DAモデルに記入する方法は,次による。
1) 照合番号は,明確に区別できる文字を用いるか,又は文字を円で囲んで示す。
2) 照合番号は,対象とする図形(部品)の表面に引出線で結んで記入するのがよい(図100参照)。
3) 図面を見やすくするために,照合番号を縦又は横に並べて記入することが望ましい。
a) 2D指示例
図100−照合番号の記入例
55
B 0060-4:2017
b) 3D指示例1
c) 3D指示例2
図100−照合番号の記入例(続き)
9
3DAモデルの訂正・変更
デザインリリース後に3DAモデルの内容を訂正・変更する場合には,訂正又は変更箇所の近くに適切な
識別記号を記載し,変更箇所を明示する(図101参照)。この場合,訂正又は変更事由,氏名,年月日な
どを明記して3DAモデル管理部署へ届け出る。
なお,変更には,追加も含む(図102参照)。
a) 2D指示例
b) 3D指示例
図101−形状の追加変更例
56
B 0060-4:2017
図102−寸法の変更例(3D指示例)
10
要素間連携
設計モデルに対して表示要求事項を指示する場合は,その対象となる形体に対して確実に関連付けを行
わなければならない。表示要求事項と形体との間の関連付けを要素間連携という(図103参照)。また,
要素間連携は,二つ以上の表示要求事項を関連付けるのにも用いることができる。
例1 円弧の長さと,これが指示された面(図103参照)。
例2 訂正・変更の要求事項と,これに該当する識別記号(図104参照)。
例3 同じ要求事項が指示された幾何形状どうし(図105参照)。
例4 要求事項と,これが指示された複数の幾何形状(図106参照)。
1 表示要求事項の選択(照会)
2 表示要求事項と関連付けられた形体(照会によって得られる表示上の応答)
図103−要素間連携の例1
57
B 0060-4:2017
1 表示要求事項の選択(照会)
2 表示要求事項と関連付けられた形体(照会によって得られる表示上の応答)
図104−要素間連携の例2
1 表示要求事項の選択(照会)
2 表示要求事項と関連付けられた形体(照会によって得られる表示上の応答)
図105−要素間連携の例3
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B 0060-4:2017
1 表示要求事項の選択(照会)
2 表示要求事項と関連付けられた形体(照会によって得られる表示上の応答)
図106−要素間連携の例4
59
B 0060-4:2017
附属書A
(参考)
デジタル製品技術文書情報(DTPD)スコープマトリックス
A.1 規格及びその利用についての情報
この規格は,次の事項のための規定を示す。
− デジタル製品技術文書情報(DTPD)の3DAモデルにおける表示要求事項の指示方法
A.2 デジタル製品技術文書情報(DTPD)スコープマトリックスにおける位置付け
この規格は,表A.1に示すデジタル製品技術文書情報(DTPD)に関わる3DAモデルの基本規格であり,
全ての工程に関わる。
なお,3DAモデルの中で示さなければならない3DAモデルと当該工程との関係,又は当該工程への指
示事項がある場合についても,表A.1では丸印を付けている。
表A.1−この規格の関連範囲[デジタル製品技術文書情報(DTPD)スコープマトリックス]
分類
工程
開発・設計
生産準備
加工
組立
検査
サービス
三次元製品情報付加
モデル
モデル管理情報
〇
〇
〇
〇
〇
〇
設計モデル
〇
〇
〇
〇
〇
〇
製品特性
〇
〇
〇
〇
〇
〇
二次元図面
デジタル製品技術文書情報(DTPD)
管理情報
三次元製品情報付加
モデルに付加,又は
連携させるデータ
DMUデータ
〇
〇
○
○
○
○
解析データ
〇
〇
〇
〇
〇
〇
試験データ
〇
〇
〇
〇
〇
〇
製造データ
〇
〇
〇
〇
〇
〇
品質データ
〇
〇
〇
〇
〇
〇
サービスデータ
〇
〇
〇
〇
〇
〇
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B 0060-4:2017
参考文献
[1] JIS B 0021 製品の幾何特性仕様(GPS)−幾何公差表示方式−形状,姿勢,位置及び振れの公差表示
方式
[2] JIS B 0024 製図−公差表示方式の基本原則
[3] JIS B 0122 加工方法記号
[4] JIS B 0401-1 製品の幾何特性仕様(GPS)−長さに関わるサイズ公差のISOコード方式−第1部:サ
イズ公差,サイズ差及びはめあいの基礎
[5] JIS B 0405 普通公差−第1部:個々に公差の指示がない長さ寸法及び角度寸法に対する公差
[6] JIS B 0420-1 製品の幾何特性仕様(GPS)−寸法の公差表示方式−第1部:長さに関わるサイズ
[7] JIS B 0672-1 製品の幾何特性仕様(GPS)−形体−第1部:一般用語及び定義
[8] JIS Z 8312 製図−表示の一般原則−線の基本原則
[9] JIS Z 8313-0 製図−文字−第0部:通則
[10] JIS Z 8313-1 製図−文字−第1部:ローマ字,数字及び記号
[11] JIS Z 8313-5 製図−文字−第5部:CAD用文字,数字及び記号
[12] JIS Z 8313-10 製図−文字−第10部:平仮名,片仮名及び漢字
[13] JIS Z 8316 製図−図形の表し方の原則
[14] ISO 129-1,Technical drawings−Indication of dimensions and tolerances−Part 1: General principles
[15] ISO 16792,Technical product documentation−Digital product definition data practices