B 0060-2:2015
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
附属書A(参考)デジタル製品技術文書情報(DTPD)スコープマトリックス·································· 8
附属書B(参考)製品を定義するための情報·············································································· 9
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS B 0060の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS B 0060-1 第1部:総則
JIS B 0060-2 第2部:用語
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日本工業規格 JIS
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デジタル製品技術文書情報−第2部:用語
Digital technical product documentation (DTPD)-Part 2: Terms
1
適用範囲
この規格は,デジタル製品技術文書情報(DTPD: digital technical product documentation)として表現され
る製品に関する技術文書情報に用いる用語の定義について規定する。
この規格に関連する範囲を,参考として表A.1に示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 3401 CAD用語
JIS X 0013 情報処理用語(図形処理)
JIS Z 8114 製図−製図用語
3
用語及び定義
用語及び定義は,JIS B 3401,JIS X 0013及びJIS Z 8114によるほか,次による。
また,参考として製品を定義するための主な情報を,附属書Bに示す。
3.1
デジタル製品技術文書情報,DTPD(digital technical product documentation)
三次元製品情報付加モデル(3.3参照)に,次の情報を連携させて得られる,デジタル形式で表現した製
品に関係する情報の集合体(図1参照)。
− 部品に関連する情報(例えば,材料,寸法,公差,表面処理などの要求事項)
− 組立品又は製品関連情報(例えば,各部品の空間配置,部品の拘束条件)
− 製造関連情報(例えば,加工条件,組立条件,検査条件)
− 品質関連情報
− サービス関連情報
デジタル製品技術文書情報(DTPD)に含まれる情報には,三次元製品情報付加モデル(3.3参照)のほ
かに,ものづくりの各工程に特有の次の情報がある。
a) デジタルモックアップデータ(DMUデータ)(3.13参照)
b) 解析データ(3.18参照)
c) 試験データ(3.19参照)
d) 製造データ(3.20参照)
2
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e) 品質データ(3.21参照)
f)
サービスデータ(3.22参照)
g) a)〜f) までのデータ群を管理するデジタル製品技術文書情報(DTPD)管理情報(3.8参照)
注記 DTPDはデジタル製品技術文書情報,DMUはデジタルモックアップ,ともいう。
図1−デジタル製品技術文書情報(DTPD)が扱うデータの体系
3.2
三次元製図(3D technical documentation)
三次元製品情報付加モデル(3.3参照)を作成する行為(図2及び図3参照)。
3.3
三次元製品情報付加モデル,3DAモデル(3D annotated model)
三次元CAD(以下,3D CADという。)を用いて作成された設計モデル(3.4参照)に,次の情報を加え
たモデル。
− 製品特性(表示要求事項,及び/又は非表示要求事項)
− 二次元図面1)
注1) 二次元図面は,必要な場合にだけ構成する(図2参照)。
− モデル管理情報(3.7参照)
三次元製品情報付加モデルは,含まれる情報の構成内容によって,三つのタイプに分類される(図2参
照)。
注記 この規格では,JIS B 0001及びJIS Z 8310に規定する通常の二次元製図によって作成された図
面を二次元図面という(図2参照)。
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1
タイプ1の構成情報
2
タイプ2の構成情報
3
タイプ3の構成情報
分類
構成情報
設計モデル
製品特性
二次元図面
モデル
管理情報
モデル幾何
形状
補足幾何
形状
表示
要求事項
非表示
要求事項
タイプ1
○
○
−
−a)
−
○
タイプ2
○
○
−a)
−a)
○
○
タイプ3
○
○
○
○
−
○
注a) 必要に応じて追加してもよい。
図2−三次元製品情報付加モデルの分類及び構成情報
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a)
b)
図3−三次元製品情報付加モデルの表示例
5
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3.4
設計モデル(design model)
3D CADを用いて作成されたモデル幾何形状(3.5参照)及び補足幾何形状(3.6参照)で構成されるモ
デル。ただし,補足幾何形状は要求事項に応じて作成されるため,構成内容に含まれない場合もある。
注記 設計モデルとは,JIS B 3401でいう三次元モデルの中のソリッドモデルのことをいう。
3.5
モデル幾何形状(model geometry)
設計モデル(3.4参照)の中で点,線及び面を表す幾何要素。
3.6
補足幾何形状(supplementary geometry)
設計モデル(3.4参照)の中で点,線及び面を表す幾何要素であり,設計要求事項をより詳細かつ正確に
伝えるために補足的に作成されたもの。
3.7
モデル管理情報(model management information)
三次元製品情報付加モデル(3.3参照)を確実に管理した状態にするための情報(例えば,部品番号,部
品名称,設計変更履歴)。必要に応じて更に製品特性の情報(例えば,材質,表面処理,質量)も含む。
3.8
DTPD管理情報(DTPD management information)
三次元製品情報付加モデルと各データ[3.1のa)〜f) 参照]とを連携させるため,及びその連携を維持
するために用いる管理情報。
3.9
パーツリスト(parts list)
JIS Z 8114でいう部品表(item list)の意味に加えて,三次元製品情報付加モデル,仕様書などで表す製
品の仕様(組立単位の半製品も含む。),及び設計変更を管理するための一覧表をいう。
パーツリストは,製品の仕様の違い(例えば,仕向け地,生産拠点,取引先)の区別及び管理を行い,
製品の開発から製造・販売・サービスまでの各工程において,必要に応じて製品を構成する部品群,又は
一つの部品を選択するのに用いる。
3.10
表示要求事項,アノテーション(annotation)
設計モデル(3.4参照)に関連付けて表示する要求事項(例えば,寸法,公差,表面性状,溶接,熱処理,
注記)。
3.11
非表示要求事項,アトリビュート(attribute)
設計モデル(3.4参照)に関連付けて,通常は表示しないが,設計モデルに照会することで表示できる要
求事項(例えば,寸法,公差,材料,表面処理,注記,記号)。
3.12
要求事項配置面,アノテーションプレーン(annotation plane)
表示要求事項(3.10参照)を設計モデル(3.4参照)に関連付けて指示する場合に用いる,実際には存在
しない概念的な平面。形体の一つ以上の表面と完全に一致する平面か,又は形体に対して直角に交わる平
面。
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3.13
デジタルモックアップ,DMU(digital mock-up)
設計段階において,加工物(スケールモデルも含む。)を使用しないで,3D CADで作成された設計モデ
ル(3.4参照),又はこれらを仮想的に組み立てて行う設計評価。設計評価には,商品性(例えば,性能,
機構,強度,信頼性,コスト),生産性(例えば,加工,組立,検査),製品の使用上の維持管理の容易性
(例えば,整備,部品交換,部品供給)などがある。
なお,デジタルモックアップに関係するデータをデジタルモックアップデータ(DMUデータ)という。
3.14
デザインレビュー,DR(design review)
この規格では狭義の意味で,設計段階において,デジタルモックアップ(3.13参照)を用いて製品に対
する商品性(例えば,性能,機構,強度,信頼性,コスト),生産性(例えば,加工,組立,検査),製品
の使用上の維持管理の容易性(例えば,整備,部品交換,部品供給)などを評価する行為(JIS Q 9001参
照)。
3.15
デザインリリース(design release)
設計者が三次元製品情報付加モデル(3.3参照)に関する仕様を確定し,発行する行為。
3.16
識別情報(identification data)
デジタル製品技術文書情報(DTPD)(3.1参照)に含まれる種々の情報を連携させるために用いる管理
番号,名称などの情報。
3.17
ビューア(viewer)
三次元製品情報付加モデル(3.3参照)を構築した3D CADを使用しなくても,当該CADで作成したモ
デルを参照できるツール。設計モデルに関するデータの編集はできない。
なお,ビューアに関係するデータをビューアデータという。
3.18
解析データ(analysis data)
製品開発段階において,商品性(例えば,性能,機構,強度,信頼性,コスト),生産性(例えば,加工,
組立,検査),製品の使用上の維持管理の容易性(例えば,整備,部品交換,部品供給)などの評価に関わ
るデータ。データには次のものがある。
− CAE(computer aided engineering)のためのデジタルモックアップデータ(3.13参照)
− CAEのためのデジタルモックアップに連携した特別な設計モデル(3.4参照)データ
− CAEの条件,手順,判定要件及び結果に関するデータ
− デザインレビュー(3.14参照)のためのデジタルモックアップデータ
− デザインレビューの条件,手順,判定要件及び結果に関するデータ
3.19
試験データ(test data)
製品の開発段階において,商品性(例えば,性能,機構,強度,信頼性,コスト),生産性(例えば,加
工,組立,検査),製品の使用上の維持管理の容易性(例えば,整備,部品交換,部品供給)などの評価に
関わる,加工物(スケールモデルも含む)を使用した試験の条件,手順,判定要件及び結果に関するデー
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タ。
3.20
製造データ(manufacturing data)
製品の製造に関する前工程から後工程において利用されるデータ。例えば,次のようなものをいう。
− 製品のバリエーション,仕向け地,生産計画,生産拠点など
− 製造工程検証,工程管理,工程能力,製造設備,金型など
− 材料,加工(例えば,鋳造,切削,プレス),組立,検査(例えば,手順,検査データ)
− 購買(例えば,取引先,コスト,発注),製品の納期など
3.21
品質データ(quality data)
製品開発,生産準備及び生産の段階において,品質基準,品質監査結果,製品のトレーサビリティ,法
規,工業規格,業界規格,顧客満足度などの品質管理の評価に関わるデータ。
3.22
サービスデータ(service data)
製品開発,サービスの段階において,製品の取扱い説明,メンテナンス手順(例えば,定期点検,交換
部品),故障の修理,市場トラブルなどのアフターサービスに関わるデータ。
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附属書A
(参考)
デジタル製品技術文書情報(DTPD)スコープマトリックス
A.1 規格及びその利用についての情報
この規格は,次の事項のための規定を示す。
− デジタル製品技術文書情報(DTPD)の用語及び定義
A.2 デジタル製品技術文書情報(DTPD)スコープマトリックスにおける位置付け
この規格は,表A.1に示すデジタル製品技術文書情報(DTPD)に関わる基本規格であり,全ての工程
に関わる。
なお,DTPDの中で示すべき当該工程との関係又は当該工程への指示事項がある場合についても,表A.1
では丸印を付けている。
表A.1−この規格の関連範囲[デジタル製品技術文書情報(DTPD)スコープマトリックス]
分類
工程
開発・設計
生産準備
加工
組立
検査
サービス
三次元製品情報付加
モデル
モデル管理情報
〇
〇
〇
〇
〇
〇
設計モデル
〇
〇
〇
〇
〇
〇
製品特性
〇
〇
〇
〇
〇
〇
二次元図面
〇
〇
〇
〇
〇
〇
デジタル製品技術文書情報(DTPD)
管理情報
○
〇
〇
〇
〇
〇
三次元製品情報付加
モデルに付加,又は
連携させるデータ
DMUデータ
〇
〇
○
○
○
○
解析データ
〇
〇
〇
〇
〇
〇
試験データ
〇
〇
〇
〇
〇
〇
製造データ
〇
〇
〇
〇
〇
〇
品質データ
〇
〇
〇
〇
〇
〇
サービスデータ
〇
〇
〇
〇
〇
〇
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附属書B
(参考)
製品を定義するための情報
デジタル製品技術文書情報(DTPD)において,製品を定義するための主な情報を,表B.1に示す。ま
た,理解を促すために,表B.1の情報の一部を仮想的に示したものが図3である。
表B.1−製品を定義するための主な情報
分類
内容
主な機能
三次元製品情報
付加モデル
モデル管理情報
データ管理
製品特性指示
部品名称,部品番号,使用個数,設
計変更履歴,承認サイン・日付,注
記,作成履歴,仕向け地,製品バリ
エーション,生産拠点,取引先,
CAD及びビューアの種類及びその
バージョンなどのツール使用情報
設計モデル
モデル幾何形状
形状定義
製品形状,座標系
補足幾何形状
範囲,方向性を示す線又は面
製品特性
表示要求事項
設計モデルへの製品特性
指示
寸法,公差,搭載角度,座標位置,
硬度,表面性状,溶接,熱処理,表
面処理,材質,品質管理基準,参照
規格,補足説明
非表示要求事項
二次元図面
製品特性指示の補足
設計モデルで表した製品定義情報
を二次元データで表したもの
デジタル製品技術文書情報(DTPD)管理情報
三次元製品情報付加モデ
ルと各データa)との連携
と管理
パーツリスト,材料表,DMU変更
履歴,連携データ変更履歴
三次元製品情報
付加モデルに付
加,又は連携さ
せるデータ
DMUデータ
(特に,設計に関する)
設計評価
デジタル試作
部品DMU,アセンブリDMU,設
備DMU
解析データ
製品特性の検証
CAEの条件及び結果,デザインレ
ビューの条件及び結果
試験データ
製品特性の実証
実機による試験条件及び結果
製造データ
製造の実行
材料,金型,加工,組立,検査の条
件及び結果
品質データ
品質の維持
法規,品質基準及び実績,部品のト
レーサビリティ
サービスデータ
アフターサービスの実行 取扱説明書,メンテナンスマニュア
ル,故障修理情報,市場情報
注a) 各データとは,DMUデータ,解析データ,試験データ,製造データ,品質データ,及びサービスデータをい
う。
参考文献 JIS B 0001:2010 機械製図
JIS Q 9001 品質マネジメントシステム−要求事項
JIS Z 8310:2010 製図総則
ISO 16792,Technical product documentation−Digital product definition data practices