B 0026 : 1998 (ISO 10579 : 1993)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。この規格は,規格名称を“製図−寸法及び公差の表示方式−非剛性部品”として,次
の各項から成る。
序文
1. 適用範囲
2. 引用規格
3. 定義
3.1 非剛性部品
3.2 自由状態
4. 基本原則
5. 図面上の指示
附属書A(参考) 図示例及び説明
附属書B(参考) 参考文献
今回の制定によって,この規格は対応国際規格であるISO 10579 : 1993 (Technical drawings−Dimensioning
and tolerancing−Non-rigid parts) に一致したものとなった。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
B 0026 : 1998
(ISO 10579 : 1993)
製図−寸法及び公差の表示方式
−非剛性部品
Technical drawings−Dimensioning
and tolerancing−Non-rigid parts
序文 この規格は,1993年に第1版として発行されたISO 10579 (Technical drawings−Dimensioning and
tolerancing−Non-rigid parts) を翻訳し,技術的内容及び規格の様式を変更することなく作成した日本工業規
格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。
ある部品を製造中の状態から取り外したとき,それが自重,可とう性又は製造工程に起因する内部応力の
解放によって,図面指示した許容限界を超えてかなり変形するかもしれない。
これらの部品は,“非剛性部品”として定義され,変形はその部品が検査や組立をしやすくするために,適
切な力を加えることによって指示された公差内に保つことが可能ならば,受け入れられる。
部品を通常的に(その自由状態で)評価することの代わりに又はそれに加えて,設計機能及びはまり合う
部品同士についての部品の境界面 (interface) によって,組み立てた状態で受け入れられるよりも小さい拘
束を受けるとき,その部品を評価することが必要になるかもしれない。
この種の部品は,(薄い金属の部品のような)本質的に剛性材のもの及び(ゴム,プラスチックスなどのよ
うな)本質的に可とう性のものの両方を含んでいる。
1. 適用範囲 この規格は,図面上に指示された寸法及び公差を検証するときに,形体の拘束が要求され
る非剛性部品の寸法及び公差の表示方式について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。この引用規格は,その最新版を適用する。
JIS B 0021 製品の幾何特性仕様 (GPS) −幾何公差表示方式−形状,姿勢,位置及び振れの公差表示
方式
備考 ISO 1101 : 1983, Technical drawings−Geometrical tolerancing−Tolerances of form, orientation,
location and run-out−Generalities, definitions, symbols, indications on drawingsからの引用事
項は,この規格の該当事項と同等である。
3. 定義 この規格に用いる主な用語の定義は,次による。
3.1
非剛性部品 (non-rigid part) 自由状態で図面上の寸法公差及び/又は幾何公差を超えて変形する部
品。
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B 0026 : 1998 (ISO 10579 : 1993)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.2
自由状態 (free state) 重力だけを受けた部品の状態。
4. 基本原則 非剛性部品の変形は,部品が組立時又は組立状態のもとで,予期される値を超えないよう
な圧力や力を加えることによって組み立てたときに,検証及び位置決めに際して,部品を指示された公差
内に保つことが可能なような値を超えてはならない。重力のような自然の力の影響を避けることは不可能
であるが,変形の大きさ (extent) は,部品の姿勢及び自由状態での部品の状態に依存する。自由状態で幾
何公差を指示する必要があるならば,公差を満たしている状態(すなわち,重力の方向,支持される状態
など)は,附属書Aに示すように,注記で指示する。“JIS B 0026-ISO 10579-NR”の記述を追加すること
によって,図面に指示した非剛性部品に対して,拘束した状態は寸法及び公差が記号○Fを付記した場合以
外に適用される(5.を参照)。
5. 図面上の指示 非剛性部品の図面には,次のうち適切なものを指示する(附属書Aを参照)。
a) 表題欄の中,又はその付近に,“JIS B 0026-ISO 10579-NR”。
b) 注記で,図面要求に合致させるために部品が拘束される状態。
c) JIS B 0021によって,公差記入枠内に記号○Fを付記して,自由状態で許容される幾何偏差。
d) 重力の方向,部品の姿勢などのように,自由状態で幾何公差を満たす状態。
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B 0026 : 1998 (ISO 10579 : 1993)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A(参考) 図示例及び説明
図示例
説明
適用規格:JIS B 0026-ISO 10579-NR
注記 拘束状態:データムBとして指定した形体は,対応する側の最大実体許容
限界 (MML) ではめ込まれ,データムAとして指定した表面は(9 Nm〜15 Nmの
トルクで締め付けたM6の64本のボルトで)組み付けて拘束する。
記号○Fが付いた幾何公差は,自
由状態で保証されなければな
らない。
その他の幾何公差は,注記で指
示した状態のもとで適用する。
図示例
説明
適用規格:JIS B 0026-ISO 10579-NR
注記 拘束状態:データムBとして指定した表面は,対応する側の最大実体許容
限界 (MML) ではめ込まれ,データムAとして指定した表面は(18 Nm〜20 Nm
のトルクで締め付けたM20の120本のボルトで)組み付けて拘束する。
記号○Fが付いた幾何公差は,自
由状態で保証されなければな
らない。
その他の幾何公差は,注記で指
示した状態のもとで適用する。
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B 0026 : 1998 (ISO 10579 : 1993)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B(参考) 参考文献
[1] JIS B 0022 : 1984 幾何公差のためのデータム
参考 ISO 5459 : 1981, Technical drawings−Geometrical tolerancing−Datums and datum-systems for
geometrical tolerancesが,この規格と同等である。
[2] JIS B 0023 : 1996 製図−幾何公差表示方式−最大実体公差方式及び最小実体公差方式
備考 ISO 2692 : 1988, Technical drawings−Geometrical tolerancing−Maximum material principleが,この
規格の第1部と一致している。
[3] JIS B 0025 : 1998 製図−幾何公差表示方式−位置度公差方式
備考 ISO 5458 : 1987, Technical drawings−Geometrical tolerancing−Positional tolerancingが,この規格
と一致している。
幾何学的公差国際整合化分科会寸法公差等JIS原案作成委員会 構成表 (JIS B 0026)
氏名
所属
(主査)
* 大 園 成 夫
東京大学工学系研究科
(幹事)
* 高 増 潔
東京大学工学系研究科
(委員)
塚 田 忠 夫
東京工業大学大学院情報理工学研究科
* 中 込 常 雄
中込技術士事務所
福 永 太 郎
東京都立工科短期大学名誉教授
△ 桑 田 浩 志
トヨタ自動車株式会社設計管理部
○ 吉 本 勇
東京工業大学名誉教授
* 野 上 昭 三
株式会社アマダ
徳 岡 直 静
慶應義塾大学理工学部
* 吉 岡 武 雄
通商産業省工業技術院機械技術研究所
* 沢 辺 雅 二
株式会社ミツトヨ
* 江 守 忠 哉
江守設計研究所
福 島 彰
財団法人日本船舶標準協会
中 村 智 男
日本ねじ研究協会
田 中 誠之助
株式会社佐賀鉄工所
西 山 信 夫
株式会社名古屋螺子製作所
中 島 誠
通商産業省機械情報産業局
本 間 清
通商産業省工業技術院標準部
* 藤 田 富 男
通商産業省工業技術院標準部
(事務局)
杉 田 光 弘
財団法人日本規格協会
備考 ○印はWG主査,△印はWG幹事,*印はWG委員会兼
務を示す。
文責 桑田浩志