A 8961:2014
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 各部の名称 ······················································································································ 1
3 種類······························································································································· 2
4 先行形手すりを用いた足場の構成例 ····················································································· 3
5 構造······························································································································· 3
6 強度······························································································································· 4
7 試験方法 ························································································································· 4
8 検査······························································································································ 13
9 表示······························································································································ 13
9.1 製品本体への表示 ········································································································· 13
9.2 種類の識別 ·················································································································· 14
10 取扱説明書 ··················································································································· 14
附属書A(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表······························································ 15
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,全国仮設安全事業
協同組合(ACCESS)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を
改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で
ある。
これによって,JIS A 8961:2006は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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先行形手すり
Advanced and secured handrail
1
適用範囲
この規格は,作業床高さ2 m以上の足場及び支保工として使用される足場などに用いる先行形手すりに
ついて規定する。
注記 先行形手すりは,作業者の足場からの墜落・転落・転倒防止のため,常に手すりがある状態で
作業ができることを目的としたもので,足場の組立て作業時に作業者が作業床に乗る前に先行
して設置でき,また,最上層の足場の解体作業時において使用する機材であって,足場を使用
した作業時にも用いられる。
2
各部の名称
先行形手すりを構成する各部の名称及びその役割を,表1に示す。また,先行形手すりには桁側用及び
妻側用があり,その一例を図1に示す。
表1−各部の名称及びその役割
名称
役割
図1の表示番号
上さん
先行形手すりの最上部にある手すりであって,作業者のバランス
をとるための手掛り及び墜落・転落・転倒防止機材となり,安全
帯の取付部ともなるもの。
①
中さん
先行形手すりの上さんと作業床との中間に設けるさんで,作業床
と上さんとの間からの墜落・転落を防止するための機材で,安全
帯の取付部とならないもの。
②
支柱
上さんと中さんとを支持するもの。
③
固定部
先行形手すりを,足場に固定する箇所及び固定金具などをいう。
④
2
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a) 桁側先行形手すりの例
(つま先板一体形)
b) 妻側先行形手すりの例
(つま先板一体形)
c) 桁側先行形手すりの例
(つま先板分離形)
図1−先行形手すりの例
3
種類
先行形手すりの種類は,S種及び第1種とし,表2による。
表2−先行形手すりの種類
種類
摘要
識別
表示
S種
先行形手すりとしての性能a)をもち,かつ,桁側[前踏側及び後踏(背面)側]並びに妻
側の全方位への墜落を阻止するための安全帯取付設備としての性能b)をもつもの。
緑
第1種
先行形手すりとしての性能a)をもち,かつ,前踏側及び妻側への墜落を阻止するための安
全帯取付設備としての性能b)をもつもの。ただし,後踏側への墜落を阻止するための安全
帯取付設備としての性能はもたない。
−
注a) 先行形手すりとしての性能とは,表3のa)の強度を満たすものとする。
b) 安全帯取付設備としての性能とは,表3のb)の強度を満たすものをいい,その安全帯の取付部は,上さ
んとする。
③
3
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4
先行形手すりを用いた足場の構成例
先行形手すりを用いた主な足場の構成例を,図2〜図5に示す。
図2−枠組式足場の例
図3−くさび緊結式足場の例
図4−単管式足場の例
図5−支保工として使用する足場の例
5
構造
構造は,次による。
a) 上さん,中さん,支柱,固定部などで構成する。
b) 上さんは床面と平行で,取り付けたときの上さんの上端の高さ(H)が床面から90 cm以上でなけれ
ばならない。
c) 中さんの位置については,位置が平行か否かによって,図6又は図7による。
(妻側)
(桁側)
(桁側)
先行形手すり
4
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上さん上端と中さん上端の距離(a)は50 cm以下とし,中さん上端と床面の距離(a')は40 cm以上,
50 cm以下とする。
また,高さ10 cm以上のつま先板と手すりが一体化したものにあっては,つま先板上端から中さん上端の
距離(a')は30 cm以上,40 cm以下とする。
図6−中さんの位置が平行な場合
△ABO,△ACOなどの全ての空間の区域面積(S)は,0.5 m2以下又は各枠の内接円の直径(d)が
60 cm以下とする。
図7−中さんの位置が平行でない場合
6
強度
先行形手すりの強度は,表3による。
表3−先行形手すりの強度
項目
強度
試験方法
a) 先行形手すりの水平
たわみ量及び終局耐
力
30 kgのおもりによって生ずる水平力が作用したときの水平たわみ
量が10 cm以下でなければならない。
終局耐力は,100 kgのおもりによって生ずる水平力が作用したと
き,水平たわみ量が45 cm以下で,かつ,おもりを30秒間保持で
きなければならない。
箇条7 a)
b) 安全帯取付設備の性
能
落体が地面に接触してはならない。
箇条
7 b),c)
試験対象は,項目a),b) のいずれも最大スパンのものを供試体とし,b) についての試験項目は,表4のケ
ースNo.(1)〜(6)のうち,該当する試験を行う。
7
試験方法
試験方法は,次による。
a) 先行形手すり及び支柱の強度は,図8に定める試験方法によって確認する。図8に示すように,試験
用ジグに先行形手すりを取り付け,上さんの中央部に30 kgのおもりをつり下げることによって水平
H
d
a
a′
H
5
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力を与え,水平たわみ量(δH)を測定する。また,同様に上さんの中央部に100 kgのおもりをつり下
げ,水平たわみ量を測定する。さらに,そのまま30秒間おもりをつり下げ,以上の有無を確認する。
なお,試験はランダムに抜き取った3体の供試体で3回行い,その全てにおいて適合しなければな
らない。
(側面図)
(平面図)
図8−先行形手すりの水平たわみ量及び終局耐力の試験
b) 安全帯取付設備として使用するS種先行形手すり及び第1種先行形手すりは,図9に定める落体(質
量100 kgの砂のう)及び170 cmのランヤードを使用し,床上面から90 cmの位置を落体のつ(吊)
り元とし,そのつり元から自由落下させ,落体が地面に接触しないことを確認する。
なお,試験はランダムに抜き取った3体の供試体で,次のc) に該当する試験を3回行い,その全て
において適合しなければならない。
δH
150 cm以上
6
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単位 cm
a) 手すりの芯と足場の芯とが一致している場合
(以下,Aタイプという。)
c) ランヤード
b) 手すりの芯と足場の芯がずれている場合
(以下,Bタイプという。)
注a) フックと上さんとは固縛しない。
b) 床付き布わくの幅は50 cmとし,先行形手すり側の建地(脚柱)に寄せて設置する。
図9−安全帯取付設備性能試験方法の例
c) 安全帯取付設備性能試験項目 安全帯取付設備性能試験は,表4の試験項目によって行う(図10〜図
15参照)。
試験項目ケースNo.(2),(3)及び(5)の場合,先行形手すりの形状が対称のものは左右いずれかの片側
で試験を行い,非対称のものは,強度的に不利側(不利側とは上方固定部と下方固定部との距離が短
い側をいう。)で試験を行う。
(床付き布わく)
a)
b)
(床付き布わく)
a)
b)
7
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表4−安全帯取付設備性能試験項目
単位 cm
注a) 最大スパンとは,先行形手すりの左右固定部の芯間距離が最大のものをいう。
名称
ケースNo.
種類
S種
第1種
桁側先行形手すり
(1)
○
○
(2)
○
○
(3)
○
○
(4)
○
−
(5)
○
−
妻側先行形手すり
(6)
○
−
a)
a)
妻側先行形手すり
50
8
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単位 cm
注a) 床付き布わくは,先行形手すり側の建地(脚柱)に寄せて設置する。
b) Hは,当該先行形手すりを使用する足場の作業床の2層分とし,3.4 m以上とする。
図10−安全帯取付設備性能試験のケース No.(1) 前踏側中央部から落下の例
a)
b)
Aタイプの場合
Bタイプの場合
Aタイプの場合
(床付き布わく)
H
9
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単位 cm
注a) 図10の注a)に同じ。
b) フックの取付位置は,先行形手すりの支柱の芯から20 cm以下とする。
c) 図10の注b)に同じ。
図11−安全帯取付設備性能試験のケース No.(2) 前踏側左端部から落下の例
c)
a)
Aタイプの場合
Bタイプの場合
Aタイプの場合
b)
b)
(床付き布わく)
H
10
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単位 cm
注a) 図11の注b)に同じ。
b) 図10の注b)に同じ。
図12−安全帯取付設備性能試験のケース No.(3) 左妻側から落下の例
b)
a)
a)
Aタイプの場合
Bタイプの場合
Aタイプの場合
(床付き布わく)
H
11
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 cm
注a) 図10の注a)に同じ。
b) 図10の注b)に同じ。
図13−安全帯取付設備性能試験のケース No.(4) 後踏側中央部から落下の例
b)
a)
Aタイプの場合
Bタイプの場合
Aタイプの場合
(床付き布わく)
H
12
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 cm
注a) 図10の注a)に同じ。
b) 図11の注b)に同じ。
c) 図10の注b)に同じ。
図14−安全帯取付設備性能試験のケース No.(5) 後踏側右端部から落下の例
c)
a)
Aタイプの場合
Bタイプの場合
Aタイプの場合
b)
b)
(床付き布わく)
H
13
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 cm
注a) 床付き布わくは,先行形手すりの中央に設置する。
b) 図10の注b)に同じ。
図15−安全帯取付設備性能試験のケース No.(6) 背面側中央部から落下の例
8
検査
検査は,1ロットから5個以上の試料を抜き取り,構造及び強度について箇条5及び箇条6の項目の全
てに合否した場合を合格とする。
9
表示
9.1
製品本体への表示
この規格の全てに適合した先行形手すりには,見やすい箇所に,次の事項を表示しなければならない。
a) 日本工業規格の番号
b)
a)
(床付き布わく)
H
14
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b) 種類
c) 製造業者名又はその略号
d) 製造年
9.2
種類の識別
S種については,緑の塗料を上さんの見やすい箇所に,幅10 cm以上塗布する。
10 取扱説明書
先行形手すりには,次の事項を記載した取扱説明書を添付する。
a) 規格名称
b) 種類
c) 注意事項
d) 使用前点検
e) 使用中点検
f)
使用方法
g) 使用後の点検,整備,修理及び廃棄
h) アフターサービス
i)
その他必要とする事項
参考文献 JIS Z 9002:1956 計数規準型一回抜取検査(不良個数の場合)(抜取検査その2)
JIS Z 9003:1979 計量規準型一回抜取検査(標準偏差既知でロットの平均値を保証する場合及
び標準偏差既知でロットの不良率を保証する場合)
JIS Z 9004:1983 計量規準型一回抜取検査(標準偏差未知で上限又は下限規格値だけ規定した
場合)
JIS Z 9015-1:2006 計数値検査に対する抜取検査手順−第1部:ロットごとの検査に対する
AQL指標型抜取検査方式
平成14年厚生労働省告示第38号:安全帯の規格
一般社団法人仮設工業会:枠組足場用手すり枠基準
15
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附属書A
(参考)
技術上重要な改正に関する新旧対照表
現行規格(JIS A 8961:2014)
旧規格(JIS A 8961:2006)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
2 各部の名称 各部の名称及びその役割を規定し,妻側
に設置する先行形手すりの図を追記。
2. 各部の名
称
各部の名称及びその役割を規定。
先行形手すりのJIS制定後,足場の桁側に設置する
もののほか,妻側に設置するものが開発されたた
め,図を追記した。
3 種類
安全帯取付設備の性能によって,足場の
全方位にその性能をもつS種と,後踏
(背面)側への性能をもたない第1種に
区分。
S種については,識別表示(緑)を規定。
3. 種類
第1種
第2種
後踏(背面)側への安全帯取付設備の性能規格が必
要となったため,新たにS種を規定した。
また,先行形手すりの使用要件から現状,第2種の
生産が行われておらず,今後も見込まれないことか
ら第2種を削除した。
5 構造
中さんの位置が平行な場合であって,高
さ10 cm以上のつま先板と手すりが一
体化したものにあっては,つま先板上端
から中さん上端の距離は30 cm以上,40
cm以下とする。
5. 構造
中さんの位置が平行な場合であって,つ
ま先板と手すりが一体化したものにあ
っては,つま先板上面から中さんの距離
は50 cm以下とする。
安全性向上のために,中さんの高さが50 cm以下に
なるよう,規定内容を明確化した。
6 強度
先行形手すりは,S種,第1種とも安全
帯取付設備としての強度をもつ。
試験は,その機種の最大スパンのものを
供試体とし,安全帯取付設備の性能につ
いての試験項目は,箇条7 c)の表4の該
当試験を行う。
6. 強度
安全帯取付設備としての強度をもつも
のともたないものによって,強度要件を
区別。
先行形手すりは,安全帯取付設備としての強度をも
つことを前提条件とした。
7 試験方法
b),c)
先行形手すりの支柱の芯と足場の支柱
の芯が一致している場合をAタイプ,
ずれている場合をBタイプに区別。ま
た,後踏側の落体の位置を規定。
試験項目を表4で規定し,妻側先行形手
すりのケースを追加。
7. 試験方法
b)
落体の位置を規定。
後踏側への安全帯取付設備の性能規格を設けたた
め,支柱の関係を明らかにした上で,それに相応す
る試験項目を追記した。
先行形手すりの種類及び用途(設置箇所)ごとに必
要な試験項目を明確にした。
1
5
A
8
9
6
1
:
2
0
1
4
16
A 8961:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
現行規格(JIS A 8961:2014)
旧規格(JIS A 8961:2006)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
9 表示
9.2 種類の識
別
S種については,第1種及び旧規格のも
のと識別しやすくするため,緑の塗料を
塗布。
−
−
先行形手すりを使用する建設現場等において,旧規
格に基づくものと現行規格に基づくものが混在し
た場合に取り間違いが起こらないよう容易に識別
するため規定した。
1
6
A
8
9
6
1
:
2
0
1
4