A 8960:2004
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,全国仮設安全事業協同組合 (ACCESS)/財団
法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工
業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 形状及び寸法 ·················································································································· 3
5. 品質 ······························································································································ 4
5.1 外観 ···························································································································· 4
5.2 性能 ···························································································································· 4
6. 構造 ······························································································································ 4
7. 試験 ······························································································································ 5
7.1 網目の寸法測定試験 ······································································································· 5
7.2 網糸の引張強さ試験 ······································································································· 5
7.3 ロープの引張強さ ·········································································································· 6
7.4 耐貫通性試験 ················································································································ 6
7.5 防炎性能試験 ··············································································································· 10
8. 検査 ····························································································································· 10
8.1 試料 ··························································································································· 10
8.2 網地の引張強さ及びロープの検査····················································································· 10
8.3 外観,耐貫通性,防炎性及び形状・寸法の検査 ··································································· 10
9. 表示 ····························································································································· 10
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日本工業規格 JIS
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建築工事用垂直ネット
Vertical protective net for construction work
序文 昭和50年頃から鉄骨建て方時のボルト・工具などの飛来落下防止用として合成繊維製ネットが,再
使用が容易であり,軽くて扱いやすいという利点から使用されるようになり,近年は,高層ビルからマン
ション・ショッピングセンターなどの建設現場で使用されている。
今回,建築工事用垂直ネットの品質・性能などを統一し,かつ,品質の確保を図るため,日本工業規格
として制定された。
1. 適用範囲 この規格は,合成繊維製の織網生地を主材とした織製ネット及び編製ネットを使用して仕
立てた建築工事用垂直ネット(以下,垂直ネットという。)について規定する。ただし,垂直ネットの網目
の寸法については13 mm以上18 mm以下に限定する。
参考 網目12 mm以下の帆布製シート又は網地製シートは,JIS A 8952に規定されている。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 8952 建築工事用シート
JIS G 3444 一般構造用炭素鋼管
JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材
JIS L 1091 繊維製品の燃焼性試験方法
JIS L 2704 ナイロンロープ
JIS L 2705 ポリエチレンロープ
JIS L 2706 ポリプロピレンロープ
JIS L 2707 ポリエステルロープ
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
a) 網地(あみじ) 連続された網目で構成されたもの。
b) 縁ロープ 網地の周囲に取り付け,ネットの辺(へん)を形成するロープ。
c) 取付けロープ ネットを鉄骨等に取り付けるためのロープ。
d) 補強ロープ ネットの中間に補強のために取り付けるためのロープ。
e) 網目の寸法 網目の一辺の長さをいい,網糸の糸しん(芯)から糸しんまでの長さ(図1〜4参照)。
f)
ネットの寸法 ネットの大きさ。正方形のネットは一辺の長さ。長方形のネットは長辺の長さと短辺
の長さ。
g) 角目 縁ロープと網糸とが平行な網目(図1参照)。
2
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h) 菱目 縁ロープと網糸とが平行でない網目(図2参照)。
i)
ラッセル網地 無結節網地の一種で,ラッセル編網機により編網されている網地。
j)
無結節網地 網目の網糸の交差部分が結節でなく,網糸のストランドが加ねん(撚)されつつ交互に
交差又は組み合わさって編網されている網地。
k) 織網(おりあみ) たて糸,よこ糸を組織して作る網目(図3参照)。
l)
かえるまた網 網目の網糸の交差部分がかえるまた結節によって形成されている網地(図4参照)。
m) 網糸(あみいと) 網地を構成している糸で,単糸と単糸との数本をより合わせ又は組み合わせたも
の(図6参照)。
n) 節(ふし) 網糸と網糸との交点。
図 1 垂直ネットの網目(角目) 図 2 垂直ネットの網目(菱目)
図 3 織網の図(例) 図 4 かえるまた網の図(例)
a,b 網目の寸法
b
a
a
A
b
a
a,b 網目の寸法
b
a,b 網目の寸法
a,b 網目の寸法
b
a
3
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4. 形状及び寸法
a) 垂直ネットの形状は図5による
b) 垂直ネットの寸法及び許容差は表1による
図 5 建築工事用垂直ネットの形状
寸
法
d
寸法c
d)補強ロープ
b)縁ロープ
a)網地
c)取付けロープ
4
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表 1 垂直ネットの寸法及び許容差
幅×長さ
m
幅及び長さの許容差
%
6× 6
6×12
7× 7
7×14
+2
0
備考 表記以外の幅及び長さについては,受渡当事者間の協定に
よって定めてもよい。
5. 品質
5.1
外観 垂直ネットの外観は次による。
a) 縁ロープ及び補強ロープは,網目に対する通し間隔は均一で,網目から外れがあってはならない。
b) 網地は,切れ,破れ,形のゆがみ,網目のずれ,編みむら,織りむらなどの使用上有害な欠点があっ
てはならない。
5.2
性能 垂直ネットの性能は,7.によって試験し,表2の規定に適合しなければならない。
表 2 垂直ネットの性能
項目
性能
網目の寸法(1)
13 mm以上18 mm以下
網糸引張強さ(2)
270 N以上
ロープの引張強さ(3)
3 kN以上
耐貫通性(4)
貫通しない。
防炎性
JIS L 1091に規定する6. 燃焼性の区分方法のA-1法の区
分3又は,A-2法の区分3に適合すること。D法において
は,区分2に適合すること。
注(1) 図1〜図4に示す網目の寸法a,bが異なる場合,その大きい方の値を網目の寸法としなければならない。
(2) 網糸引張強さは,その試験データの最低値が適合しなければならない。
(3) ロープ引張強さは,その試験データの最低値が適合しなければならない。
(4) 貫通試験は試験に用いる供試体のすべてが適合しなければならない。
6. 構造 垂直ネットの構造は,次の要求事項を満足しなければならない。
a) 垂直ネットは網地とともに縁ロープ,取付けロープ及び補強ロープを用い,網目の2目めにロープを
通すなど(図6参照),網地とロープが容易に外れない構造でなければならない。
b) 縁ロープ,取付けロープ及び補強ロープの直径は6 mm以上とする。
c) 垂直ネットの長さが14 mを超えるものについては,14 m以内に1か所の割合で補強ロープを取り付
けなければならない。
d) 垂直ネットの4隅,及び垂直ネットの寸法が7 mを超えるものについては,7m以内に1か所の割合
で取付けロープを取り付けなければならない。
e) 垂直ネットの網目の寸法(5)は,13 mm以上で,18 mm以下でなければならない(図1〜4参照)。
注(5) 図1〜図4に示す網目の寸法a,bが異なる場合,その大きい方の値を網目の寸法としなければ
ならない。
5
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図 6 縁ロープ通し参考図面
7. 試験
7.1
網目の寸法測定試験 垂直ネットの網目の寸法の測定試験は次による。
a) 試験室の状態は,温度20±2 ℃,相対湿度 (65±2) %(以下,標準状態という。)とする。
b) 供試体は,試験片の採取に十分な大きさで,網地の端末から50 cm以上離れた部分から採取し,標準
状態の試験室に1昼夜放置したものを試験に供する。
c) 標準状態の試験室にて調整した供試体から,15目分の試験片を幅方向及び長さ方向についてそれぞれ
3片採取し,5 Nの初荷重を加えた状態で,10目分の網目の寸法を測定する。幅方向及び長さ方向そ
れぞれ3回測定の平均値を1目当たりの寸法に換算し,小数点第二位以下を四捨五入し,小数点1け
たまで表す。
7.2
網糸の引張強さ試験 垂直ネットの網糸の引張強さ試験は,次による。
a) 試験室の状態は,温度20±2 ℃,相対湿度 (65±2) %(以下,標準状態という。)とする。
b) 供試体は,試験片の採取に十分な大きさとし,網地の端末から50 cm以上離れた部分から採取し,標
準状態の試験室に1昼夜放置したものを試験に供する。
c) 標準状態の試験室にて調整した供試体から,試験片を幅方向及び長さ方向についてそれぞれ5片採取
し,定速伸張引張試験機にて,破断時の引張強さを測定し,その最低値を表す。
1) 結節網地,無結節網地及び織製網地それぞれの網糸をなるべく密着させ,正しく上つかみに取り付
ける。次に,試験片に不自然なたるみがないように,試験片の他端を下つかみに取り付け,つかみ
間隔20〜30 cm,引張速度20±1 cm/minとして直線の引張強さの測定を行う(図7及び図8参照)。
m) 網糸
2目め
2
目
め
b) 縁ロー
プ
6
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図 7 無結節網地,結節網地の網糸の引張試験方法
2) ラッセル網の網地の引張強さは1本2節の状態で定速伸張型引張試験機に直径5〜8 mmの鋼性フッ
クを取り付け,図8のように上下のフックに試験片を引っ掛け,測定を行う。
図 8 ラッセル網地の網糸の引張試験方法(1本2節法)
7.3
ロープの引張強さ ロープの引張強さ試験は,JIS L 2704,JIS L 2705,JIS L 2706又はJIS L 2707
によって定速緊張型引張試験機を用いて行い,引張強さを求める。
7.4
耐貫通性試験 垂直ネットの耐貫通性試験は図9に示すように水平面に対し30度傾斜している試験
枠(6)に供試体(7)を取り付ける(図10参照)(8)。また,ネット取付け時の垂れは短辺長の5 %以下とする。
図11に示す5 kgの落体(9)を,フレーム縁面レベルから1 mの高さから円筒チップを下方にした状態で落
下点に自由落下させる。
なお,耐貫通性試験は無作為に抜き取った3枚の供試体について各々1回ずつ行い,ネットの貫通及び
n)
節
m) 網糸
引張試験機のつかみ部分
右側に
折り重ねる
左側に折り重ねる
それぞれの
節のつけ根で切る
n) 節
引張試験機のフック
(引掛部分)
n) 節
7
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破断の有無(10)を調べる。落下点はネットの中心とする。
注(6) 試験枠はJIS G 3444に規定するSTK500の鋼管とし,図9及び図10に示す形状及び寸法とする。
(7) 供試体の大きさは,1 830×5 100 mmとする。
(8) 試験枠と供試体ネットとの固定ピッチは,300 mmごとに1か所の割合で固定する。
(9) 落体は,図11に示す形状及び寸法のものとし,チップ部及び円柱部の材料は,JIS G 4051に規
定するS45C又はこれと同等以上の物理的性能をもたなければならない。
(10) 網糸が切断した場合,貫通とする。
8
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図 9 垂直ネットの耐貫通試験装置(例)
供
試
体
の
幅方
向
平面図
30°
落体つり上げ部分
落体切り離し部分(電磁石など)
落下高さ
1
m
試験枠
供試体の長さ方向
落下位置
結束ロープ
供試体
試験枠
結束ロープ
落体
9
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図 10 試験枠
図 11 落体
1
8
3
0
φ42.7又はφ48.6
単位 mm
5 100
φ50
1
0
2
0
3
0
φ40±0.2
φ50±0.2
R=0.1
単位 mm
円筒部
10
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7.5
防炎性能試験 垂直ネットの防炎性の試験は,JIS L 1091に規定する8.1.1のA-1法(45°ミクロバ
ーナー法)又は,A-2法(45°メッケルバーナー法)による。また,加熱によって溶融するものにあって
は,加えてJIS L 1091に規定する8.4のD法(接炎試験)にも適合すれば,合格とする。
8. 検査
8.1
試料 検査は,次に示す試料を用いて行う。
a) 網糸引張強さ,ロープの引張強さ,防炎性能試験及び形状・寸法の検査は,ランダムに3枚の供試体
を抜き取って行う。
なお,網糸引張強さ,ロープの引張強さ及び防炎性能試験は,仕立前の網地及びロープで代用する
ことができる。
b) 耐貫通性の検査はa) 以外にランダムに3枚の供試体を抜き取って行う。
8.2
網地の引張強さ及びロープの検査 供試体の最低値が5.の規定に適合すれば,合格とする。
8.3
外観,耐貫通性,防炎性及び形状・寸法の検査 各々の試料が5.及び,7.の規定に適合すれば,合格
とする。
9. 表示 垂直ネットには,容易に消えない方法で見やすい箇所に次の事項を表示する。
a) 寸法
b) 網目の寸法
c) 製造年月
d) 製造業者又はその略号