A 8910:2012 (ISO 3471:2008)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 記号及び略語 ··················································································································· 5
5 試験方法及び試験設備 ······································································································ 12
5.1 一般事項 ····················································································································· 12
5.2 計測装置 ····················································································································· 12
5.3 試験設備 ····················································································································· 12
5.4 代表的供試品のベッドプレートへの取付け ········································································· 13
6 試験負荷手順 ·················································································································· 17
6.1 一般要求事項 ··············································································································· 17
6.2 側方負荷試験 ··············································································································· 18
6.3 垂直負荷試験 ··············································································································· 19
6.4 前後方向負荷試験 ········································································································· 20
7 材料······························································································································ 21
7.1 ROPSの一般要求事項 ···································································································· 21
7.2 ROPS構造部材 ············································································································· 21
7.3 薄板 ··························································································································· 21
7.4 締結用部品(ボルト及びナット)····················································································· 21
8 性能······························································································································ 22
9 表示······························································································································ 23
9.1 一般 ··························································································································· 23
9.2 ラベルの仕様 ··············································································································· 23
9.3 表示の内容 ·················································································································· 23
10 試験結果報告 ················································································································ 24
附属書A(参考)ROPSの試験報告書 ······················································································ 25
附属書B(参考)設計変更,実物試験及び改造 ·········································································· 27
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
建設機械施工協会(JCMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業
規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業
規格である。
これによって,JIS A 8910:2004は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格
JIS
A 8910:2012
(ISO 3471:2008)
土工機械−転倒時保護構造−
台上試験及び性能要求事項
Earth-moving machinery-Roll-over protective structures-
Laboratory tests and performance requirements
序文
この規格は,2008年に第4版として発行されたISO 3471を基に,技術的内容及び構成を変更すること
なく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,土工機械の転倒時保護構造(以下,ROPSという。)の性能要求事項及び代表的な供試品に
対する静的負荷による台上試験によってこれらの要求事項への適合性を評価する一連の再現性のある方法
について規定する。
この規格は,JIS A 8308に規定する次の自走式土工機械で,運転員が着座して運転する質量700 kg以上
の機械のROPSに適用する。
− ブルドーザ
− ローダ(トラクタショベル)
− バックホウローダ
− ダンパ(重ダンプトラック及び不整地運搬車)
− パイプレーヤ
− 連節式機械(例:自走式スクレーパ,車体屈折式ダンパ)のけん引部分(駆動部)
− グレーダ
− ランドフィルコンパクタ
− ローラ
− トレンチャ
この規格は,教習用座席又は作業装置操作用の追加の座席には適用しない。
注記1 ROPSは,FOPS(落下物保護構造)としての保護機能をもたせてもよい。
注記2 機械が最大傾斜角30°の堅い粘土地盤の斜面上を初速16 km/h以下の速さで走行し,機械の
前後方向軸を中心に地面との接触を失うことなく360°回転するという条件の下で,シート
ベルトを着用した運転員が押し潰されないように理にかなった保護を行うことを期待してい
る。
注記3 この規格は,ROPSの製造業者が特定用途向けに上記の機械又は派生機械にROPSを提供す
るときの判断の指針として使用することができる。
2
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注記4 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 3471:2008,Earth-moving machinery−Roll-over protective structures−Laboratory tests and
performance requirements(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 8308 土工機械−基本機種−用語
注記 対応国際規格:ISO 6165:2006,Earth-moving machinery−Basic types−Identification and terms
and definitions(MOD)
JIS A 8318 土工機械−座席基準点(SIP)
注記 対応国際規格:ISO 5353:1995,Earth-moving machinery, and tractors and machinery for agriculture
and forestry−Seat index point(IDT)
JIS A 8322 土工機械−寸法,性能及び容量の単位並びに測定の正確さ
注記 対応国際規格:ISO 9248:1992,Earth-moving machinery−Units for dimensions, performance and
capacities, and their measurement accuracies(IDT)
JIS A 8909 土工機械−保護構造の室内評価試験−たわみ限界領域の仕様
注記 対応国際規格:ISO 3164:1995,Earth-moving machinery−Laboratory evaluations of protective
structures−Specifications for deflection-limiting volume(IDT)
JIS B 1051 炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質−第1部:ボルト,ねじ及び植込みボルト
注記 対応国際規格:ISO 898-1:1999,Mechanical properties of fasteners made of carbon steel and alloy
steel−Part 1: Bolts, screws and studs(IDT)
JIS B 1052-2 締結用部品の機械的性質−第2部:保証荷重値規定ナット−並目ねじ
注記 対応国際規格:ISO 898-2:1992,Mechanical properties of fasteners−Part 2: Nuts with specified
proof load values−Coarse thread(IDT)
JIS Z 2242 金属材料のシャルピー衝撃試験方法
注記 対応国際規格:ISO/DIS 148-1:2003,Metallic materials−Charpy pendulum impact test−Part 1:
Test method(MOD)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
ベッドプレート(bed plate)
試験目的のために,機械のフレームを取り付ける試験用固定具の十分に堅固な部分。
3.2
境界面,BP(boundary plane)
たわみ限界領域(DLV)の背面,側面及び膝部の垂直投影として定義する面。
注記 境界面は,着力点を決定するために使用する。
3
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3.3
たわみ限界領域,DLV(deflection-limiting volume)
通常の服装でヘルメットを装着した着座姿勢の大柄運転員の近似的箱形形状。
注記 JIS A 8909による。
3.4
ROPSのたわみ量(deflection of ROPS)
着力点において計測した,ROPS,取付具及びフレーム部の動きで,試験用固定具の動きによる影響を除
いた量。
3.5
落下物保護構造,FOPS(falling-object protective structure)
頭上への落下物(例えば,木,岩石,小さいコンクリートブロック,手工具など)に対し,適切に運転
員を保護するように取り付けた構造物。
3.6
DLV頭部(head portion of DLV)
JIS A 8909に規定する寸法のDLVにおける上部の270 mm×330 mmの長方形部分。
3.7
側方仮想地面,LSGP(lateral simulated ground plane)
機械が(回転して)その面で止まると設定した面でDLVから遠ざかる方向に15°の面。
注記 この平面は,機械の前後方向中心線に平行な垂直面を,側方荷重を受けるROPSの頂部構造部
材の最外端点を通る水平線まわりに回転させて創成される(図6参照)。LSGPは,負荷前の
ROPSに対して設定し,当初の垂直に対する傾斜15°を維持しつつ荷重を受けるROPS部材と
ともに動く。
3.8
荷重分布器具,LDD(load distribution device)
着力点におけるROPS部材の局部的な貫入を防止するために用いる器具。
3.9
着力点,LAP(load application point)
ROPSに対し試験荷重(F)を負荷する点。
3.10
機械フレーム(machine frame)
機械の主要部につながり,その上にROPSを直接取り付けることができる機械の金属製の主フレーム又
は主たる負荷支持部材。
3.11
取付具
機械フレームにROPSを取り付けるブラケット,溶接,締結用部品その他の器具
3.12
代表的供試品(representative specimen)
材質及び製造品質が製造業者の量産仕様の範囲内にある,試験の目的で使用するROPS及びその取付具
並びに機械フレーム(完成品又は部品)。
注記 この規格に基づく仕様で製造した全てのROPSが所要の性能水準を満足するか上回ることを意
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図している。
3.13
転倒時保護構造,ROPS(roll-over protective structure)
機械が転倒したときに,シートベルトを装着した運転員が押し潰される可能性を減らすことを主要な目
的とした構造部材からなる装置。
注記1 図1〜図5及びJIS A 8911参照。
注記2 ROPSには,これを機械フレームに取り付けるためのサブフレーム,ブラケット,マウント,
ボルト,ピン,サスペンション又は可とう(撓)性のショックアブソーバなどの構成部品を
含めてもよい。
注記3 耐負荷構造部材以外は,考慮していない。
3.13.1
ロールバーROPS(rollbar ROPS)
片持ちはり式耐負荷構造部材をもたない,成形又は構成した1柱式又は2柱式のROPS。
3.13.2
1柱式又は2柱式ROPS(one or two post ROPS)
一つ以上の片持ちはり式の耐負荷構造部材をもつように成形又は構成した1柱式又は2柱式ROPS。
3.13.3
多柱式ROPS(multiple-post ROPS)
(頂部)耐負荷構造部材と結合された3柱以上で成形又は構成したROPS。
注記 片持ちはり式の耐負荷構造部材との結合でもよい。
3.14
ROPS構造部材(ROPS structural member)
負荷した荷重に耐え,又は負荷エネルギーを吸収するように設計した金属製構造部材。
3.15
仮想地面,SGP(simulated ground plane)
機械が転倒後その面で止まると想定した平らで堅固な仮想の地表面。
3.16
ソケット,S(socket)
荷重分布器具(LDD)に,集中荷重を拘束せずに与えるための試験用部材。
3.17
DLVの垂直投影(vertical projection of the DLV)
JIS A 8909に規定する寸法のDLVの脚部を除く4隅の垂直投影で形成する範囲。
3.18
天頂仮想地面,VSGP(vertical simulated ground plane)
上下逆さまに転倒した姿勢で静止した機械を支える,ROPS頂部横断部材と機械の前部又は後部とに接
するように設定した平面(図16参照)。
注記 VSGPは,ロールバーROPS並びに1柱式及び2柱式ROPSに適用する。VSGPはROPSの変形
に追随する。
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記号及び略語
この規格で用いる記号及び略語は,次による。
U
ROPSによって吸収されるエネルギーで,機械の製造業者が指定する最大質量に関係し,ジュール
(J)で表示する。
F
ROPSに加える荷重で,ニュートン(N)で表示する。
m
機械の製造業者が指定する最大質量で,キログラム(kg)で表示する。
− 製造業者が指定する最大質量は,作業に必要なアタッチメント,規定量の燃料,潤滑油,作動
油など,携行工具及びROPSを含む。被けん引ローラ及び被けん引スクレーパのような被けん
引エクイップメントは含まない。
− 自走式スクレーパ及び車体屈折式ダンパ(重ダンプトラック)については,けん引部分(駆動
部)だけの質量とし,ROPSを支える部材又は取り付ける部材は含めなければならない。キン
グピン,ヒッチ,及びヒッチ又は被けん引部に附属している車体屈折式かじ取り用構成部品は,
質量mに含めない。
− 固定フレーム式ダンパ(重ダンプトラック及び不整地運搬車)で,“ROPSだけ”の基準を選ぶ
場合の機械の質量mは荷台及び積載質量を含まない。“荷台含む”の基準を選ぶ場合の機械の
質量mは荷台を含むが積載質量は含まない。
注記1 例として表1参照。
− ローラ及びランドフィルコンパクタで,転倒時には機械から放出される非固定のバラストも,
機械の質量mには含めない。
注記2 通常,使用中の機械に付着した土,岩石,枝,破片などは,機械の質量の一部とは
みなしていない。試験要求事項を決定する際に,掘削,運搬又は取り扱う土木資材
は,いかなる場合も機械の質量の一部とはみなさない。
L
ROPSの長さで,ミリメートル(mm)で表示する。
− Lは,ロールバーROPSには適用しない。
− 片持ちはり式耐負荷構造部材をもつ1柱式又は2柱式ROPSにあっては,Lは,ROPSの頂部
において,ROPS支柱の端面から片持ちはり式耐負荷構造部材の他端面までの前後方向距離と
する(図1及び図4参照)。ROPSの構造部材がDLVの垂直投影を完全に覆うことは,必ずし
も必要としない。
− 多柱式のROPSでは,Lは(ROPSの頂部において),前部端面から後部ROPS支柱の(外)端
面までの前後方向最大距離とする(図2参照)。
− 構造部材が折れ曲がり形状のROPSでは,Lは上部構造部材の高さの3倍をHとし,その上部
構造部材の頂点を通る平面をHだけ下げた平面を定義し,その平面と前後の構造部材との交差
外側端面間の距離とする(図3参照)。
− 構造部材が湾曲した形状のROPSでは,Lは次のようにして求める。
湾曲したROPS構造部材の両端が上下の隣接する部材と交差する2点を通る平面をD平面と
し,これに平行で湾曲したROPS構造部材の外側を通る接線(接平面)をB平面とする。B平
面とROPS上部構造部材の頂部表面の投影面Cとがなす角を二等分する平面をA平面とする。
Lは,A平面が湾曲した構造部材の外側端面と交差する点間の長さとして設定する(図3参照)。
W ROPSの幅で,ミリメートル(mm)で表示する。
− ロールバー式ROPSでは,Wは,構造部材の最外側端面間の最大幅とする。
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− 片持ちはり式耐負荷構造部材をもつ1柱式又は2柱式ROPSにあっては,Wは,ROPSの頂部
において,少なくともDLVの幅方向の垂直投影を覆う部分で,片持ちはり式耐負荷構造部材の
端面間の幅方向の距離とする(図1,図4及び図5参照)。
− 他の全てのROPSでは,Wは,ROPSの頂部において耐負荷構造部材の両外側端面間の左右方
向最大距離とする(図2参照)。
− 構造部材が折れ曲がり形状のROPSでは,Wは上部構造部材の高さの3倍をHとし,その上部
構造部材の頂点を通る平面をHだけ下げた平面を定義し,その平面と構造部材外側表面とが交
差する投影面の幅とする(図3参照)。
− 構造部材が湾曲した形状のROPSでは,Wを次のように設定する。
湾曲したROPS構造部材の両端が上下の隣接する部材と交差する2点を通る平面をD平面と
し,これに平行で湾曲したROPS構造部材の外側を通る接線(接平面)をB平面とする。B平
面とROPS上部構造部材の頂部表面の投影面Cとがなす角を二等分した平面をA平面とする。
Wは,A平面が湾曲部構造部材の外側端面と交差する点間の幅として設定する(図3参照)。
Δ
ROPSのたわみで,ミリメートル(mm)で表す。
H
次に示す荷重負荷領域の範囲(高さ)で,ミリメートル(mm)で表示する。
− 直線部材では,Hは,図1に示す頂部部材の頂部から底部までの距離。
− 湾曲した形状の部材では,Hは,図3に示すように,長さLの端から下ろした垂直面が湾曲し
た形状の部材の内面と交差する部位Yまでの,部材の頂部からの垂直距離。
− 折れ曲がった形状の部材では,Hは,図3に示すように頂部部材の桁の高さの3倍。
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BP DLVの境界面
E
ROPS上部構造部材の上下方向の中央
F
荷重
H
上部構造部材の範囲(高さ)
L
ROPSの長さ
LAP 着力点
LDD 荷重分布器具
S
ソケット
W
ROPSの幅
注記 荷重分布器具(LDD)は,寸法Hの範囲を超えて延長してもよい。
図1−2柱式ROPSの側方着力点(LAP)の例
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BP
DLVの境界面
E
ROPS上部構造部材の上下方向の中央
F
荷重
L[W] ROPSの長さ又は幅
LDD 荷重分布器具
S
ソケット
注記 LAP及びLDDの詳細については,図1の例を参照。この図2では,所要の荷重を同時にかけるために,
2か所以上のソケットを使用する例として,2か所のソケットを図示している。
図2−4柱式ROPSの着力点(LAP)の例
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A 二つの接線B及びCがなす角の二等分線
B Dに平行で湾曲したROPS構造部材の外側の面を通る接線
C ROPS上部構造部材の頂部の投影
D 湾曲した形状のROPS構造部材が隣接する部材と交差する
2点を結ぶ線
F
荷重
H 荷重負荷領域の範囲(高さ)
I
湾曲した形状の部材と頂部平たん部材との交差
部
LDD 荷重分布器具
L[W] LAPを決定するためのROPSの長さ又は幅
LAP 着力点
S
ソケット
Y 長さLの端から下ろした垂直面が湾曲した形状
の部材の内面と交差する部位
注記1 AとBとのなす角は,AとCとのなす角と等しい。
注記2 LAP及びLDDの詳細については,図1の例を参照。
注記3 湾曲した形状のHについては,箇条4及び6.4.3参照。
図3−湾曲した形状又は折れ曲がり形状のROPS構造部材の例
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A 8910:2012 (ISO 3471:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
BP
DLVの境界面
E
ROPS上部構造部材の上下方向中央
F
荷重
L
ROPSの長さ
LDD 荷重分布器具
S
ソケット
W
ROPSの幅
注記 LAP及びLDD詳細については図1参照。
図4−1柱式ROPSの例
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A 8910:2012 (ISO 3471:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
BP
DLV境界面
E
ROPS上部構造部材の上下方向中央
F
荷重
LDD 荷重分布器具
PLC 機械の前後方向中心線に並行
S
ソケット
W
ROPSの幅
注記1 荷重分布器具(LDD)は,着力点(LAP)におけるROPS部材の局部的な貫入を防止する。ソケット
(S)は,指定された位置に集中荷重を拘束することなく与える。図1にLAP及びLDDの詳細を示す。
注記2 典型的ではあるが,要求ではなく,この配置はどのROPSにも適用できる。
図5−前後方向荷重
a 側方荷重を負荷するROPSの頂部部材
d 左記の垂線cを含み,機械の前後方向中心線に平行な垂直面
b 部材aを端から見たときの最外端点
LSGP 側方仮想地面
c 部材を端から見たときの最外端b点を通る垂線
図6−側方仮想地面(LSGP)の決定
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試験方法及び試験設備
5.1
一般事項
ROPSは,側方荷重,垂直荷重及び前後方向荷重に耐え,かつ,側方エネルギーを吸収することが要求
される。側方,垂直及び前後方向の負荷のもとでROPSのたわみ量には制限が設けられている。
5.2
計測装置
質量,荷重及びたわみ量の計測システムは,JIS A 8322に規定する正確さをもつものとする。ただし,
荷重及びたわみ量の測定精度は,最大値の±5 %とする。
5.3
試験設備
試験設備は,代表的供試品をベッドプレートに固定し,表1に示す数式によって決まる側方負荷,垂直
荷重及び前後方向荷重をかけるのに適したものとする。
表1−荷重及びエネルギー要求
機械の質量
m
(kg)
側方荷重
F
(N)
側方負荷エネルギー
U
(J)
垂直荷重
F
(N)
前後方向荷重
F
(N)
1) 履帯式土工機械:ブルドーザ,ローダ,パイプレーヤ及びトレンチャ
700<m≦4 630
4 630<m≦59 500
m>59 500
6 m
70 000 (m/10 000)1.2
10 m
13 000 (m/10 000)1.25
13 000 (m/10 000)1.25
2.03 m
19.61 m
4.8 m
56 000 (m/10 000)1.2
8 m
2) グレーダ
700<m≦2 140
2 140<m≦38 010
m>38 010
6 m
70 000 (m/10 000)1.1
8 m
15 000 (m/10 000)1.25
15 000 (m /10 000)1.25
2.09 m
19.61 m
4.8 m
56 000 (m/10 000)1.1
6.4 m
3) 車輪式土工機械:ブルドーザ,ローダ,パイプレーヤ,ランドフィルコンパクタ,スキッドステアローダ,バックホウローダ
及びトレンチャ
700<m≦10 000
100 000<m≦128 600
m>38 010
6m
60 000 (m/10 000)1.2
10m
12 500 (m/10 000)1.25
12 500 (m/10 000)1.25
2.37 m
19.61m
4.8m
48 000 (m/10 000)1.2
8m
4) 連節式土工機械のけん引部分(駆動部):自走式スクレーパ,車体屈折式ダンパ(重ダンプトラック)
700<m≦1 010
1 010<m≦32 160
m<32 160
6m
95 000 (m/10 000)1.2
12m
20 000 (m/10 000)1.25
20 000 (m/10 000) 1.25
2.68m
19.61m
4.8m
76 000 (m/10 000)1.2
9.6m
5) ローラa)
700<m≦10 000
10 000<m≦53 780
m>53 780
5m
50 000 (m/10 000)1.2
7m
9 500 (m/10 000)1.25
9 500 (m/10 000)1.25
1.45m
19.61m
4m
40 000 (m/10 000)1.2
5.6m
6) 固定フレーム式ダンパ−ROPSだけb)
700<m≦1 750
1 750<m≦22 540
22 540<m≦58 960
58 960<m≦111 660
m>111 660
6m
85 000 (m/10 000)1.2
10m
413 500 (m/10 000)0.2
6m
15 000 (m/10 000)1.25
15 000 (m/10 000) 1.25
1.84m
61 450 (m/10 000)0.32
1.19m
19.61m
4.8m
68 000 (m/10 000)1.2
8m
330 800 (m/10 000)0.2
4.8m
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表1−荷重及びエネルギー要求(続き)
機械の質量
m
(kg)
側方荷重
F
(N)
側方負荷エネルギー
U
(J)
垂直荷重
F
(N)
前後方向荷重
F
(N)
7) 固定フレーム式ダンパ−荷台だけc)
700<m≦10 000
10 000<m≦21 610
21 610<m≦93 900
93 900<m≦113 860
m>113 860
6m
60 000 (m/10 000)1.2
7m
420 000 (m/10 000)0.2
6m
6 000 (m/10 000) 1.25
6 000 (m/10 000) 1.25
0.73m
16 720 (m/10 000)0.63
0.68m
19.61m
4.8m
48 000 (m/10 000)1.2
5.6m
336 000 (m/10 000)0.2
4.8m
8) 固定フレーム式ダンパ−ROPSと荷台との組合せd)
700<m≦10 000
10 000<m≦21 610
21 610<m≦93 900
93 900<m≦113 860
m>113 860
3.6m
36 000 (m/10 000)1.2
4.2m
252 000 (m/10 000)0.2
3.6m
3 600 (m/10 000) 1.25
3 600 (m/10 000) 1.25
0.44m
10 000 (m/10 000)0.63
0.41m
11.77m
2.9m
288 800 (m/10 000)1.2
3.4m
202 000 (m/10 000)0.2
2.9m
注a) 転倒時には機械から放出される非固定のバラストは,質量mには含めない。
b) 質量mは,荷台及び積載質量を含まない機械の質量とする。
c) 質量mは,機械及び荷台の質量を含むが,積載質量は含まない。荷重を負荷する荷台部分はDLVの垂直投影
を完全に覆わなくてはならない。荷台の運転席覆い部分に負荷する側方荷重及び垂直荷重は,ROPS単独の場
合と同じ位置に負荷しなければならない。前後方向荷重は運転員に向かって最大の変位を生じる面に負荷しな
ければならない。
d) 質量mは,機械及び荷台の質量を含むが,積載質量は含まない。ROPS及び/又は荷台への側方,前後方向又
は垂直負荷は,この組合せの両方の部材に対して同時に負荷する必要はない。6種の負荷の順序に関する制約
として,部材に対する垂直負荷は側方負荷の次としなければならず,前後方向負荷は垂直負荷の次としなけれ
ばならない(図12及び図13参照)。
5.4
代表的供試品のベッドプレートへの取付け
5.4.1
ROPSは,実機と同様に機械フレームに取り付けなければならない。この評価には完成機を使用す
る必要はない。しかし,機械フレームとこれに取り付けられたROPSの供試品は,機械転倒時にエネルギ
ーを吸収し得るフレーム部分を含み,運用状態の実機の構造様式を代表するものでなければならない。窓,
パネル,扉,その他の通常取り外しできる全ての非構造部品は,ROPSの評価結果に影響を与えないよう
取り除いておく。ROPSと一体でないキャブは,評価用の設定としては必要ない。
ROPS又はFOPSの実物試験のために機械フレーム全体を使用することが実際的でないときは,フレー
ムを部分的に使用してもよい。部分的なフレームは,複製品でもよいが,本来のフレームの強度及び剛性
をできるだけ再現したものでなければならない。
試験の際に,破損することなく,ROPSを通じて機械フレームに伝わる負荷エネルギーを吸収できるよ
う,機械フレームの剛性及び強度を評価して,機械フレームの最小限の部分又は所要の複製品を決定しな
ければならない。
代表的供試品は,十分な剛性のベッドプレートに取り付けて,機械の完成フレームと少なくとも同等の
剛性としなければならない。
部分フレーム又は複製品を使用する場合は,各試験の際に機械フレームの剛性及び強度を評価しなけれ
ばならない。製造業者は,その評価の写しを保存しなければならない。
5.4.2
代表的供試品は,試験中におけるベッドプレートにつなぐ部材の変形が経験的に最小に止まるよう
に,ベッドプレートに固定しなければならない。また,代表的供試品は,最初の取付けによる以外は,ベ
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ッドプレートからいかなる支持もしてはならない。固定具の配置は,機械フレームのROPS取付部の変形
を抑制するものであってはならない。その意図は,負荷エネルギーが,固定具によってではなく,代表的
供試品(及びその取付部)で吸収されるようにすることである。
5.4.3
機械と地上間の全ての緩衝装置は,供試品の荷重−たわみ特性に影響しないよう,外部から確実に
固定して試験を行わなくてはならない。ただし,ROPSを機械フレームに取り付け,かつ,荷重の伝達路
として働く緩衝部品はそのままとし,試験開始時には機能しているようにする。
5.4.4
機械フレームは,前車軸及び後車軸又はその付近で,ベッドプレートへ直接取り付けなければなら
ない。
車体屈折式の機械で,前後両方のフレームを使用する場合は,両フレームをまっすぐにしてヒンジを固
定しなければならない。ROPSを取り付けているフレームだけを使用する場合は,屈折ヒンジ及び車軸取
付部又はそのフレーム外端でベッドプレートに取り付けなければならない。
(自走式スクレーパなど)1軸のけん引部分(駆動部)の場合は,車軸部で取り付けなければならない。
履帯式の機械では,主駆動装置ハウジング又は履帯フレームで取り付けなければならない(図7〜図13
参照)。
注記 図は典型的な配置の一例を示すが,必ずしもこれによらなくてもよい。
a
ベッドプレートとは接触しない。
図7−けん引部分(駆動部)のベッドプレートへの固定の例
15
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注記 図は典型的な配置の一例を示すが,必ずしもこれによらなくてもよい。
a
ベッドプレートとは接触しない。
図8−履帯式ブルドーザのベッドプレートへの固定の例
A
屈折部は,まっすぐにして固定する。
AC
車軸中心線
注記 図は典型的な配置の一例を示すが,必ずしもこれによらなくてもよい。
a
ベッドプレートとは接触しない。
図9−車体屈折式グレーダ(フレーム全体)のベッドプレートへの固定の例
16
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AC
車軸中心線
注記 図は典型的な配置の一例を示すが,必ずしもこれによらなくてもよい。
図10−車体屈折式フレームの片側部分の固定の例
LA
リフトアーム(がある場合)は,最下方位置とする。
注記 図は典型的な配置の一例を示すが,必ずしもこれによらなくてもよい。
a
ベッドプレートとは接触しない。
図11−スキッドステアローダの固定の例
17
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注記 図は典型的な配置の一例を示すが,必ずしもこれによらなくてもよい。
a
ベッドプレートとは接触しない。
図12−固定フレーム式ダンパ(重ダンプトラック又は不整地運搬車)のROPSだけの場合の固定の例
BP
DLV境界面
F
荷重
FV
荷重分布器具によって等分布された垂直荷重
LAP 着力点
W
ROPSの幅
注記 図は典型的な配置の一例を示すが,必ずしもこれによらなくてもよい。
図13−固定フレーム式ダンパ(重ダンプトラック又は不整地運搬車)の荷台だけの場合の
負荷及び固定の例
6
試験負荷手順
6.1
一般要求事項
6.1.1
負荷試験に先立って,全ての着力点を確認し,構造物上にマークする。
18
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6.1.2
エネルギー及び荷重は,表1によって計算し,試験の負荷順序は,最初に側方,次に垂直方向,三
番目に前後方向とする。
6.1.3
負荷試験の途中又は負荷試験と負荷試験との間に,部材の曲がりを直したり,修理してはならない。
6.1.4
荷重は,S(ソケット)及びLDD(荷重分布器具)を介して負荷する。ソケットは,負荷の過程で
ROPSの動きを拘束するものであってはならない。LDDは,ROPSの構造部材の局部的貫入を防ぐために
使用する。ソケット及びLDDは,ROPSの回転を拘束してはならない。
6.1.5
LDDは,高さHの範囲外でROPSの構造部材に接触してはならない。
6.2
側方負荷試験
6.2.1
座屈することなしに荷重を伝え得る後部の横断部材がない場合は,荷重分布器具は長さLの全長に
わたるものでなければならない。その他の場合は,荷重分布器具による荷重の分布は,ROPSの長さLの
80 %を超えてはならない。支柱が湾曲形状の場合の長さLについては,図3参照。
6.2.2
ロールバーROPSの着力点は,上部横断部材の位置に合わせなければならない。
6.2.3
それ以外の1柱式又は2柱式ROPSの着力点は,長さLとDLVの(ROPS支柱に)最も近い側面
又はへりの垂直投影とによって決定する。着力点は1柱式又は2柱式ROPS構造の後部端面からL/3以内
にあってはならない。L/3の点が1柱式又は2柱式ROPSの支柱側の後端面と,DLVの支柱に近い側の境
界面の垂直投影と側方構造部材との交差部との間にあるときは,着力点を少なくともDLVの境界面に達す
るまでROPS支柱から離れる方向に動かさなければならない(図1参照)。
6.2.4
2柱を超えるROPSの着力点は,DLVの前後の境界面の垂直投影内に置かなければならない(図2
参照)。
6.2.5
運転席が機械の前後方向の中心線から外れている場合は,負荷は,運転席に近い側の側方構造部材
の外側から加えなければならない。運転席が機械の前後方向の中心線上にある場合で,ROPS構造物とそ
の取付部とが左又は右からの負荷に対して異なった荷重−たわみ特性を示すおそれのある場合には,代表
的供試体に対して最も厳しい負荷要求となるように負荷しなければならない。
6.2.6
側方負荷の最初の方向は,水平で,かつ,機械の前後方向中心線を通る垂直面に対して垂直でなけ
ればならない。継続して負荷している間に代表的供試体にたわみが生じ,負荷の方向が変化することがあ
るが,これは許容する。
6.2.7
着力点(LAP)におけるたわみ速度が5 mm/s以下の場合は,負荷が静的であるとみなす。
15 mm以下の変位量ごとに,荷重と着力点で測定したたわみ量とを記録しなければならない。この負荷
はROPSが表1に示す荷重及びエネルギーの両要求レベルを達成するまで続けなければならない。エネル
ギーUの計算方法については,図14を参照。ただし,エネルギーUの計算に用いるたわみ量は,荷重の作
用方向に沿ったROPSのたわみ量とする。ROPS取付具及び機械フレームのたわみは,全たわみ量に含め
てもよいが,試験用固定具のいかなる部材のたわみも,含めてはならない。
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F
荷重
Δ
たわみ
U エネルギー
(
)
(
)
2
...
2
2
N
1
N
1
N
N
2
1
1
2
1
1
F
F
Δ
Δ
F
F
Δ
Δ
F
Δ
U
+
−
+
+
+
−
+
=
−
−
図14−負荷試験時の荷重−たわみ曲線
6.3
垂直負荷試験
6.3.1
側方負荷試験の完了後,ROPS頂部に垂直荷重を負荷する。
6.3.2
全てのROPSに対し,垂直荷重の中心は,側方負荷によって変形する前のROPS構造上で定めた側
方負荷と同一垂直面内で,ROPS構造の前後方向中心線に直角に負荷する。
6.3.3
ROPS上に加える垂直荷重は,変形したROPS構造の前後方向中心線に対称である限り,分布方法
を制限することなく負荷する。図15に垂直負荷の適用例を示す。
6.3.4
たわみの速度は,6.2.7に規定する基準によって負荷が静的であると考えられる程度とする。この
負荷は,荷重のレベルが表1の規定に達するまで続ける。ROPSは,5分間又は変形が終了するまでのう
ち,いずれか短い方の時間だけこの荷重を支えなければならない。
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B1,B2 履帯フレームの移動を防止する固定具
FV
荷重分布器具に等分布する垂直荷重
LDD
荷重分布器具
図15−垂直負荷の例
6.4
前後方向負荷試験
6.4.1
垂直荷重を除荷した後,前後方向荷重をROPSの前後方向中心線に沿って負荷する。
6.4.2
前後方向荷重は,機械の前方又は後方からROPSの頂部構造部材にROPSの前後方向中心線に沿っ
て負荷する。着力点は,頂部平面と前面との交差面を用いて決定する。それらの表面が湾曲している場合
は,頂部部材又は前部部材の弧の部分の中点における接線を用いて交差面を決定する(図3参照)。
6.4.3
前後方向荷重は,側方負荷に先立って設定された図3〜図5の位置に負荷しなければならない。座
屈を起こさずに荷重を伝達できる後(前)部の横断部材がない場合には,荷重分布器具は全幅にわたるも
のとする。その他の全ての場合において,荷重分布器具の長さは,ROPSの幅Wの80 %を超えて荷重を分
布させてはならない。
6.4.4
どの機械の場合でも,前後方向負荷の向き(前方又は後方)は,代表的供試体にとって最も厳しい
要求となる向きを選ばなくてはならない。最初の負荷方向は,水平で,かつ,機械の前後方向中心線に平
行でなければならない。前後方向負荷の向きを決めるに当たって,更に次の事項を考慮しなければならな
い。
a) DLVに対するROPSの位置及びROPSの前後方向のたわみが,運転員を押し潰さないよう保護する効
果。
b) 例えば,機械の他の構造部材がROPSの前後方向たわみに抵抗し,ROPSに対する負荷の前後方向成
分の方向を制限することなどの機械の特性。
c) 前後方向の転倒の可能性,又は実際の転倒の間,前後方向軸のまわりに回転するときに機械が斜めに
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なるような傾向をもつ特殊な機種であることを示す経験。
6.4.5
たわみの速度は,6.2.7に規定する基準によって負荷が静的であると考えられる程度とする。この
負荷は,荷重のレベルが表1の規定に達するまで続ける。
7
材料
7.1
ROPSの一般要求事項
負荷要求事項のほかに,ROPSがぜい(脆)性破壊に対して十分な耐性をもたせるために,材料の温度
に対する要求事項を規定する。この要求事項に適合するために推奨される方法は,7.2及び7.3に示す機械
的要求事項を満たす材料によってROPSの構造部材を製作することである。この場合は,ROPS試験を任
意の温度で実施してもよい。いずれの場合でも,締結用部品(ボルト及びナット)は7.4の要求事項を満
たさなければならない。
7.2
ROPS構造部材
ROPS構成部材は,薄板製を除き,表2に示すシャルピーVノッチ(CVN)衝撃強度の一つを満足する
か,又はそれ以上の鋼材で製作しなければならない。薄板製の構造部材は7.3に示す要求事項に適合しな
ければならない。代替法として,引き続いて製造するROPSの材料が,試験に使用した供試品と同等のじ
ん(靱)性をもつことを材料仕様及び購入手順によって保証される場合には,全ての構造部材を−18 ℃以
下の温度の中で静的負荷試験を行うことによって達成される。
注記 シャルピーVノッチ衝撃試験による評価は,元来,品質管理上のチェックのためのものであっ
て,表示した温度は必ずしも直接に使用条件に関係するものではない。
(材料の)供給者又は製造業者の保証書は,適用可能なことの証明書として使用することができる。
ROPS構造部材に用いる全ての製造材料に関する(材料の)供給者又は製造業者の記録を保存しなけれ
ばならない。
試験片は,ロールの圧延方向にとり,ROPSとして成形又は溶接する前の板材,管材,形鋼などから取
らなければならない。管材又は型鋼の試験片は,JIS Z 2242に規定するように,最長寸法の中央部からと
り,溶接部を含んではならない。
7.3
薄板
次のものは,シャルピーVノッチ衝撃試験の要求事項に適合したものとみなす。
− 厚さが2.5 mm以下で,炭素含有量が0.20 %以下の鋼。
− 厚さが2.5 mmを超え4.0 mm以下で,炭素含有量が0.20 %以下の細粒化キルド鋼。
7.4
締結用部品(ボルト及びナット)
構造物の結合に使用するボルト及びナットは,JIS B 1051に規定する強度区分8.8,9.8若しくは10.9の
ボルト又は同等品,及びJIS B 1052-2に規定する強度区分8若しくは10のナット又は同等品でなければな
らない。
注記 強度区分10.9を超えるボルト又は同等品(JIS B 1051参照)は,ぜい(脆)性破壊及び遅れ破
壊を避けるためにより厳密な品質管理を必要とすることがある。
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表2−シャルピーVノッチ試験の最小衝撃強度
試験片寸法
mm
エネルギー基準
−30 ℃ b)にて
J
エネルギー基準
−20 ℃ b)にて
J
試験片寸法
mm
エネルギー基準
−30 ℃ b)にて
J
エネルギー基準
−20 ℃ b)にて
J
10×10a)
10×9
10×8
10×7.5a)
10×7
10×6.7
11
10
9.5
9.5
9
8.5
27.5
25
24
24
22.5
21
10×6
10×5a)
10×4
10×3.3
10×3
10×2.5a)
8
7.5
7
6
6
5.5
20
19
17.5
15
15
14
注a) 推奨寸法を示す。試験片の寸法は,各推奨寸法のうち可能な範囲で最大の寸法を下回ってはならない。
b) −20 ℃におけるエネルギー要求値は,−30 ℃における規定値の2.5倍である。ただし,衝撃エネルギー
強度には,その他の,例えば,ロール方向,降伏点,粒塊形成及び溶接といった要因も影響する。鋼材の
選定及び使用に当たっては,これらのことも考慮しなくてはならない。
8
性能
性能は,次のとおりとする。
a) 一つの代表的な供試品の試験において,一定の側方荷重及びエネルギー,垂直荷重及び前後方向荷重
の要求事項を満足するかこれらを超えなければならない。適合しなければならない基準値を決定する
数式を表1に示す。
b) 側方負荷試験において,荷重とエネルギーの要求値とを同時に達成する必要はない。いずれか一方が
達成される前に他の一方が要求値を大きく超えることがあり得る。エネルギー要求値に達する前に荷
重が要求値に到達し,この後(負荷継続中)に一旦要求値以下に下がることがあるが,この場合には,
側方エネルギーの要求値を満足又は超過した時点で,荷重が再び要求レベルに達していなければなら
ない。
c) 側方,垂直及び前後方向の各負荷試験中いかなるときも,ROPSのいかなる部分もDLVに入り込んで
はならない。ROPSのたわみに関する制限は絶対的である。
d) 側方負荷試験中いかなるときも,f) に記載する状況を除き,図6に示すLSGPはDLV(直立姿勢)に
入り込んではならない。
e) ロールバーROPS又は1柱式若しくは2柱式ROPSでは,垂直負荷試験中いかなるときも,VSGPは
DLV(直立姿勢)に入り込んではならない(図16参照)。
f)
機械中心線から外れた横向きの運転席用ROPSに側方負荷する場合,又は前後方向負荷が加わるに従
ってROPSが変形する方向に運転員が向いている場合,ROPS部材又は側方負荷の場合はLSGPがDLV
に入り込むのを防止するため,DLVのSIP(JIS A 8318による。)より上の部分を前方に16°まで傾け
てもよい。ただし,より小さい角度において,機械構成部品の一部又は操縦装置がDLVのそれ以上の
前方傾斜を妨害するような場合には,DLVの前方への回転は,16°未満にしなければならない(図17
参照)。
g) f) に示す場合と逆の方向に前後方向荷重が加わる場合(すなわち,負荷を加えたときROPSの変形す
る方向が運転員と向き合う場合),DLVの回転は,許容しない。荷重要求値は,側方エネルギー要求
値を達成するときと同じ状態で達成されなければならない。
h) ROPS,その取付具又は機械フレームの破損によって,ROPSが機械フレームから脱落するようなこと
があってはならない。部分的な破損があったとしても,ROPSは,要求される荷重及びエネルギーレ
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ベルでは機械から完全には脱落しないことを示さなければならない。
図16−天頂仮想地面(VSGP)のDLVへの侵入が許容されない例
a) 横向きに取り付けられた座席をもつ
ローラにおける側方負荷
b) 履帯式ブルドーザにおける前後方向荷重
記号 SIP 座席基準点
図17−DLV上部のSIPまわりの回転の許容
9
表示
9.1
一般
この規格の全ての要求事項に適合したROPSには,9.2及び9.3に従ってラベルを表示しなければならな
い。
このラベルには,FOPS(落下物保護構造)に関する情報を含めてもよい。
9.2
ラベルの仕様
ラベルは,耐久性のあるものとし,ROPS構造に永久的に取り付けなければならない。ラベルは,容易
に読み取れ,かつ,天候による劣化を防ぐことのできるROPS構造上の位置に取り付けなければならない。
9.3
表示の内容
表示の内容は,次のとおりとする。
a) ROPS製造業者及び該当する場合はその法的代理人の名称及び所在地
b) ROPSが装着可能な機械の型式名称1)
c) 法令で必要とされる表示1), 2)
24
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) ROPSが装着可能な機械のシリーズ又は型式名称
e) 製造番号1)
f)
製造年
g) この規格の全ての性能要求事項を満足するROPSが適用できる,製造業者が指定する機械の最大質量
m
h) この規格の番号(国際規格・地域規格・規制を含めてもよい。)
i)
適切とみなせるその他の事項(例えば,取付け,修理又は取替えに関する情報)
注1) 機械の製造業者以外のROPS製造業者が販売したROPSに適用。
2) 欧州経済領域EEA内に上市する機械及び関連製品の場合は,欧州機械指令で規定するCEマ
ーキング。
10 試験結果報告
試験結果は,附属書Aに示す試験報告書様式を用いて報告する。
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A 8910:2012 (ISO 3471:2008)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
ROPSの試験報告書
A.1 一般
記載例を次に示す。この附属書の情報を報告書に含めなければならない。
A.2 確認事項
A.2.1 ROPS装着機械
形式 ...........................................................................................................................................................
製造業者 ...................................................................................................................................................
型式 ...........................................................................................................................................................
製造番号 ...................................................................................................................................................
機械フレーム部品番号 ............................................................................................................................
A.2.2 ROPS
製造業者 ...................................................................................................................................................
型式 ...........................................................................................................................................................
製造番号
ROPS部品番号.........................................................................................................................................
A.3 ROPS製造業者からの情報
このROPSを適用できる機械群の最大運転質量 DLVの位置
A.4 性能基準
側方荷重 ............................................................................................................. N
側方負荷エネルギー .......................................................................................... J
垂直荷重 ............................................................................................................. N
前後方向荷重 ...................................................................................................... N
A.5 試験結果
ROPS構造部材又は仮想地面(側方,天頂のいずれか)がDLVに侵入することなしに,次の荷重及びエ
ネルギーレベルに到達し,又はこれを超えた。
A.5.1 側方負荷試験
エネルギー要求値に到達又はそれを超えた後に達成した最大荷重 ............................................... N
到達した吸収エネルギー値 ................................................................................................................. J
A.5.2 垂直負荷試験
最大荷重 .............................................................................................................................................. N
A.5.3 前後方向負荷試験
最大荷重 .............................................................................................................................................. N
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A.5.4 温度及び材料
負荷試験は,ROPSと機械構造部材を用いて気温 ℃の下で行った。
(温度が−18 ℃よりも低温側の場合だけ記入)
ROPSを構成する鋼材のシャルピーVノッチ衝撃試験結果は,次のとおりである。
試験片の寸法
mm× mm
エネルギー値 ...........................................................................................................................................J
ナットの強度区分 ....................................................................................................................................
ボルトの強度区分 ....................................................................................................................................
A.5.5 特殊な懸架装置又は衝撃吸収装置の使用の有無
製造業者 ..............................................................................................
型式 ......................................................................................................
製造識別番号 .......................................................................................
A.5.6 負荷試験時の荷重−たわみ線図
実試験時の試験結果としての負荷試験時の荷重−たわみ線図を試験報告書に添付しなければならない。
A.5.7 供試品の写真
試験前後の供試品を示す写真を添付しなければならない。
A.6 証明書
機械の最大質量 kgに対する本試験において,JIS A 8910に規定する最小性能要求事項を満足
した。
試験年月日 ...............................................................................................................................................
試験機関の名称及び所在地 .....................................................................................................................
試験担当者 ...............................................................................................................................................
試験報告書の日付 ....................................................................................................................................
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附属書B
(参考)
設計変更,実物試験及び改造
B.1
設計変更
ROPS又は機械フレームに設計変更を行った場合には,次のいずれかの場合を除き実物試験が必要であ
る。
a) 実物試験を実施した既存の設計に対する小変更であると判断できる場合。
b) その変更がROPS及び機械フレームの性能に不都合な影響を及ぼさない場合。
B.2
改造又は補修
変形したと認められるいかなるROPS構造も,再使用してはならない。
製造業者の承認がない限り,ROPSに改造又は補修を加えることは許されない。正当な承認なしに改造
又は補修したROPSは,この規格に適合しない。
B.3
実物試験の代用
主要部を新規設計したROPSの理論的な性能解析は,実物試験の代用としては認めない。
参考文献 JIS A 8911 土工機械−シートベルト及びその取付部−性能要求事項及び試験方法
注記 対応国際規格:ISO 6683,Earth-moving machinery−Seat belts and seat belt anchorages−
Performance requirements and tests(IDT)