A 8705:2010
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 重大な危険源のリスト ······································································································· 2
5 安全要求事項・安全方策 ···································································································· 2
5.1 一般 ···························································································································· 2
5.2 骨材ホッパ・ベルトフィーダ···························································································· 3
5.3 ドライヤ(リサイクルドライヤを含む。)及び骨材投入装置 ··················································· 3
5.4 燃焼装置 ······················································································································ 3
5.5 バグフィルタ式集じん装置······························································································· 3
5.6 排風機 ························································································································· 4
5.7 バケットエレベータ ······································································································· 4
5.8 スクリーン ··················································································································· 4
5.9 ホットビン ··················································································································· 4
5.10 計量装置 ····················································································································· 4
5.11 ミキサ ························································································································ 4
5.12 粉体搬送装置 ··············································································································· 4
5.13 合材サイロ(リサイクルサージビンを含む。)及び石粉サイロ ··············································· 4
5.14 アスファルト供給装置 ··································································································· 5
5.15 ソイルプラントの連続式ミキサ ······················································································· 5
5.16 操作室 ························································································································ 6
5.17 電気設備 ····················································································································· 6
5.18 非常停止装置 ··············································································································· 6
5.19 アクセス設備 ··············································································································· 7
5.20 立入り禁止区域 ············································································································ 7
5.21 安全標識 ····················································································································· 7
5.22 騒音・振動 ·················································································································· 7
6 安全要求事項・安全方策の検証 ··························································································· 7
7 使用上の情報 ··················································································································· 8
7.1 警告表示 ······················································································································ 8
7.2 取扱説明書 ··················································································································· 8
7.3 機械への表示 ················································································································ 9
附属書A(参考)アスファルトプラント類の代表的な図例 ··························································· 10
附属書B(規定)重大な危険源のリスト ··················································································· 13
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(2)
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附属書C(規定)合材搬送用スキップエレベータ ······································································ 15
附属書D(規定)点検口の大きさ ··························································································· 16
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(3)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大
臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,
このような特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確
認について,責任はもたない。
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(4)
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白 紙
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日本工業規格 JIS
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アスファルトプラント類の安全要求事項
Safety requirements for asphalt mixing plants
序文
この規格は,JIS B 9700-1 機械類の安全性−設計のための基本概念,一般原則−第1部:基本用語,方
法論のまえがきに示すタイプC規格(個別機械安全規格)である。
1
適用範囲
この規格は,箇条3に定義したアスファルトプラント,再生アスファルトプラント及びソイルプラント
(以下,アスファルトプラント類という。)の安全要求事項について規定する。
この規格を適用する代表的な機種を,附属書Aに参考として示す。
なお,この規格は,コンクリートプラントには適用しない。また,この規格は,可燃性ガスそのものの
危険源(例えば,爆発の危険源など)は,対象としない。
この規格は,製造業者の意図し,かつ,予見した条件の下で使用したときに,アスファルトプラント類
に直接かかわる重大な危険源のすべて(附属書B参照)を考慮しており,それらから生じるリスクを除去
し,又は低減するための方策を具体的に示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 8312 土工機械−安全標識及び危険表示図記号−通則
JIS A 8334 土工機械−取扱説明書−内容及び様式
JIS A 8340-1 土工機械−安全−第1部:一般要求事項
JIS B 8415 工業用燃焼炉の安全通則
JIS B 9700-1 機械類の安全性−設計のための基本概念,一般原則−第1部:基本用語,方法論
JIS B 9700-2 機械類の安全性−設計のための基本概念,一般原則−第2部:技術原則
JIS B 9703 機械類の安全性−非常停止−設計原則
JIS B 9710 機械類の安全性−ガードと共同するインタロック装置−設計及び選択のための原則
JIS B 9713-1 機械類の安全性−機械類への常設接近手段−第1部:高低差のある2か所間の固定され
た昇降設備の選択
JIS B 9713-2 機械類の安全性−機械類への常設接近手段−第2部:作業用プラットフォーム及び通路
JIS B 9713-3 機械類の安全性−機械類への常設接近手段−第3部:階段,段ばしご及び防護さく(柵)
JIS B 9713-4 機械類の安全性−機械類への常設接近手段−第4部:固定はしご
JIS B 9714 機械類の安全性−予期しない起動の防止
2
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JIS B 9716 機械類の安全性−ガード−固定式及び可動式ガードの設計及び製作のための一般要求事
項
JIS B 9960-1 機械類の安全性−機械の電気装置−第1部:一般要求事項
JIS C 0920 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
アスファルトプラント
アスファルト混合物を製造する装置(図A.1参照)。
アスファルトプラントには,定置式プラントと移動式プラントとがある。定置式プラントは,合材販売
工場などで使用されている固定されたプラントであり,移動式プラントは,高速道路工事用など一定期間
使用後移動するプラントである。
注記 アスファルト混合物は,交通路(道路,高速道路,滑走路など),防水工事,ダム,排水路など
の補修又は工事に使用している。
3.2
再生アスファルトプラント
舗装発生材から製造した骨材(以下,再生骨材という。)を加熱し,アスファルトに補足材及び添加剤を
加え,混練して再生アスファルト混合物を製造する装置(図A.2参照)。
3.3
ソイルプラント
骨材の粒度調整,セメント安定処理工法,石灰安定処理工法などに用いる路盤材の製造に使われる装置
(図A.3参照)。
注記 ソイルプラントの一部は,土壌改良にも使用している。
3.4
バッチ式
ミキサの中に1バッチごとに,各材料を投入し混練する方式。
3.5
連続式
材料の流れを中断することなく,ミキサの中で連続して混練する方式。
3.6
合材サイロ
アスファルトプラントで製造したアスファルト混合物の貯蔵装置。
4
重大な危険源のリスト
アスファルトプラント類の重大な危険源のリストは,附属書Bによる。
5
安全要求事項・安全方策
5.1
一般
アスファルトプラント類は,この規格の安全要求事項及び安全方策に適合しなければならない。
3
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さらに,リスクアセスメントの結果,附属書Bに規定した重大な危険源のリストにない新たな危険源が
その機械に存在する場合には,JIS B 9700-1及びJIS B 9700-2に従って設計する。
注記 重大な危険源とは,リスクアセスメント(JIS B 9702参照)を設計者及び製造業者が行ったと
きに,直接関連するものとして特定され,リスクを除去又は減らすために具体的な行動が求め
られる危険源をいう。
5.2
骨材ホッパ・ベルトフィーダ
骨材ホッパ・ベルトフィーダの上部に人が近づくことがある場合には,JIS B 9713-2に従った通路など
のアクセス設備を設けなければならない。
骨材ホッパ・ベルトフィーダの開口部への転落を防止するため,開口部には,すき間寸法が250 mm×
250 mm未満の金属製の格子を取り付けるか,又は開口部の周囲に防護さくを設けなければならない。そ
の格子は,ホッパにボルト付けとし,工具を使用しなければ取り外せないようにしなければならない。
5.3
ドライヤ(リサイクルドライヤを含む。)及び骨材投入装置
ドライヤに骨材を供給するベルトコンベヤ又は投入装置には,骨材の流れを検知するセンサを,ドライ
ヤにできるだけ近いところに取り付け,骨材の流れがなくなったときは,センサが自動的にベルトコンベ
ヤ及びバーナを停止させなければならない。
バグフィルタの火災防止のため,ドライヤからの排出ガス温度は,製造業者が指定する最大使用温度以
上にならないようにしなければならない。
ドライヤ及びリサイクルドライヤには,回転筒の中に出入りできる点検口(大きさは,附属書D参照)
を設け,その扉には扉を開けたとき,次の装置・機器の機能の停止及び再起動を防ぐためにJIS B 9710に
従ったインタロック付きガードを装備しなければならない。
− バーナ及びその補助機器
− 骨材供給装置
ドライヤの周囲には,防護さく,防御板などの固定式ガード(JIS B 9716参照)を設けることが望まし
い。
ドライヤの回転部及び支えローラ部には,JIS B 9716に従った固定式ガードを設け,JIS A 8340-1の附属
書5に従った安全標識をはり付けなければならない。
5.4
燃焼装置
ドライヤに装備するバーナは,使用する燃料の種類に合わせて設計し,装備しなければならない。
燃焼装置は,バーナの形式及び使用燃料に合わせ,JIS B 8415の要求事項に従ったものでなければなら
ない。
燃焼用送風機からの空気供給量を適正に維持し,炎を安定した燃焼状態に保ち,炎の吹出し又は放射熱
によって作業員がやけどを負うおそれがないようにしなければならない。また,ドライヤのバーナ側には
やけどのおそれなしに炎の状態を確認できる,のぞき窓を設けなければならない。
のぞき窓近辺には,“やけどの危険源”に対する安全標識をはり付けなければならない。
5.5
バグフィルタ式集じん装置
バグフィルタは,ろ布を保全するための点検口(大きさは,附属書D参照)を装備した防じんハウジン
グで囲わなければならない。
点検口カバーは,工具を使用しなければ開けられないようにしなければならない。
防じんハウジング上部には,JIS B 9713-3に従った手すりを設けなければならない。
4
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5.6
排風機
排風機のケーシングには,羽根の点検のため,200 mm×200 mm以上の点検口を設け,その点検口カバ
ーは,工具を使用しなければ開けられないようにしなければならない。
ドレンの排出管は,排風機ケーシングの下方に設けなければならない。
5.7
バケットエレベータ
チェーン及びバケットを囲んでいるケーシングは,バケットエレベータが停止したとき,骨材をかき出
すための保全用点検口(大きさは,附属書D参照)及びテンション装置の調整具合を確認するための,の
ぞき窓(カバー付)を下部に設けなければならない。
保全用点検口のカバーは,工具を使用しなければ開けられないようにしなければならない。
バケットエレベータには,石粉,ダストなどの軽量物の搬送用を除き,逆転防止装置を装備しなければ
ならない。
バケットエレベータ上部には,JIS B 9713-3に従った防護さく付き踊り場などを設けなければならない。
5.8
スクリーン
スクリーンは,金網の交換が容易にできる構造の防じんハウジングで囲わなければならない。
点検口を設ける場合,そのカバーは,工具を使用しなければ開けられないようにしなければならない。
5.9
ホットビン
サンプリング装置は,試料採取中予期しない材料の飛出しを防止するよう,また,やけどを防ぐよう設
計及び製造しなければならない。
点検口(大きさは,附属書D参照)を設ける場合,その点検口カバーは,工具を使用しなければ開けら
れないようにしなければならない。
オーバフロー装置は,オーバフローした加熱骨材を安全に処理するとともに,作業員を確実に防護する
ように設計及び製造しなければならない。
5.10 計量装置
アスファルト計量ホッパは,アスファルトをあふれさせないよう,液面スイッチなどを取り付けなけれ
ばならない。
5.11 ミキサ
ミキサに点検口がある場合,そのカバーは,工具を使用しなければ開けられないようにしなければなら
ない。
保全作業時,パドルの回転を防止する固定金具,又はパドルの回転を止める装置を設けなければならな
い。また,排出ゲートが閉じるのを防止する固定金具を設けなければならない。
“挟まれ・巻き込まれの危険源”及び“引き込み・捕そく(捉)の危険源”に対する安全標識をはり付
けなければならない。
5.12 粉体搬送装置
粉体搬送装置は,密閉され,集じん装置に接続しなければならない。
注記 粉体は,例えば石粉,ダスト,色付きの粉などである。
粉体搬送装置が,袋詰めの材料を添加できる設計になっている場合,ミキサの中への投入作業時に,作
業員の腕を巻き込まない設計にしなければならない。
5.13 合材サイロ(リサイクルサージビンを含む。)及び石粉サイロ
合材サイロ及び石粉サイロの天井部に近づくことがある場合,その開口部には,すき間寸法が250 mm
×250 mm未満の金属製の格子を取り付けなければならない。その格子は,工具を使用しなければ取り外
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せないようにしなければならない。
合材サイロの横に装備されている点検口(大きさは,附属書D参照)は,点検扉を開けたとき,サイロ
内への転落を防止するように設計しなければならない。
合材取出しゲートには,点検作業時及び保全作業時に,ゲートが閉じないようにする固定金具を設けな
ければならない。
合材サイロにアスファルト混合物を搬送するスキップエレベータは,附属書Cに従って設計し,設置し
なければならない。
5.14 アスファルト供給装置
5.14.1 電気加熱式アスファルトタンク
ヒータエレメントは,常にアスファルトの液面から外に出ないように設計し,装備しなければならない。
アスファルトの温度は,一定に保つように自動的に制御されなければならない。また,過熱しないよう
に,指定の温度を超えると自動的に電源が遮断されなければならない。
アスファルトタンクの天井部に近づくことがある場合は,次の装置を装備しなければならない。
− 点検用の開口部(大きさは,附属書D参照)は,すき間寸法が100 mm×100 mm未満の金属製の格子
を装備しなければならない。その格子は,工具を使用しなければ取り外せないようにしなければなら
ない。
− アスファルトタンクの外殻の温度が60 ℃以上になるとき,やけどを防止するため,次のいずれかを
採用しなければならない。
− 高温部に接触しないよう距離を保つか,安全さくを設ける。
− アスファルトタンクの缶体及び配管を,断熱材で覆う。
アスファルトタンクからアスファルトをあふれさせないために,アスファルト投入作業員に知らせる警
報装置を装備しなければならない。
オーバフローパイプを備えている場合は,あふれた高温のアスファルトによるやけどの危険がないよう,
例えば,オーバフローパイプ出口周りに立入り禁止のさくを設けるなどの安全方策を講じなければならな
い。
アスファルト投入口には,“やけどの危険源”に対する安全標識をはり付けなければならない。
5.14.2 アスファルト供給装置
ストレーナには,“やけどの危険源”に対する安全標識をはり付けなければならない。
5.15 ソイルプラントの連続式ミキサ
5.15.1 ロータリドラム連続式ミキサ
ロータリドラム連続式ミキサには,その点検扉を開けたとき,ミキサ及び材料供給装置を停止し,再起
動ができないようにするインタロック装置を装備しなければならない。
ロータリドラム連続式ミキサの周囲には,さく,防御板などその取外しに工具を必要とする固定式ガー
ド(JIS B 9716参照)を設けることが望ましい。
ロータリドラムの回転部及び支えローラ部には,JIS B 9716に従ったガードを設けなければならない。
5.15.2 2軸パグミル連続式ミキサ
2軸パグミル連続式ミキサの点検口は,カバー,格子などの二重構造としなければならない。
その格子は,すき間寸法が250 mm×250 mm未満の金属製のもので,工具を使用しなければ取り外せな
いようにしなければならない。
保全作業時に,パドルの回転を止める固定金具を装備しなければならない。
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5.16 操作室
5.16.1 一般
アスファルトプラントの操作室は,次のとおり設計しなければならない。
− 室内温度を18 ℃〜28 ℃に保つことができる。
− 監視用窓ガラスは,内側から簡単に交換できる安全ガラス(JIS R 3211参照)とする。
− 外側に開く,少なくとも一つのドアを取り付ける。
− 作業員がドアから離れて立つことができる,十分な広さをもった踊り場を設置する。
5.16.2 操作盤
主操作盤には,キースイッチを設けなければならない。
操作機器は,人間工学の原則に基づいて設計しなければならない(ISO 9355-1:1999,ISO 9355-2:1999
及びISO 9355-3:2006参照)。
5.16.3 動力盤
動力盤の扉は,施錠できなければならない。また,動力盤には,“感電の危険源”に対する安全標識をは
り付けなければならない。
5.17 電気設備
5.17.1 一般
電気設備は,JIS B 9960-1及び次の事項に適合しなければならない。
5.17.2 電線
電力供給又は信号若しくは情報を送る電線は,防水効果のあるもので被覆しなければならない。電気の
端子箱は,それが構造物の中にある場合はJIS C 0920の箇条4(指定方法)に規定するIP54以上の保護等
級,構造物の外部にある場合はIP55以上の保護等級をもたなければならない。
5.17.3 アース
すべての装置,装置の部品及び操作室は,アースしなければならない。
5.17.4 保全作業時の電源遮断
保全作業のために,電気的に個別に駆動されるミキサ及びドライヤには,電力供給を確実に遮断したま
まに保持し,不注意による再接続を防止するJIS B 9714に従った制御装置(施錠できる遮断装置など)を
備えなければならない。
5.17.5 人が近づく領域のインタロック装置
スキップエレベータの下部は,人が近づくのを防止するため,さくで仕切り,更に電気的インタロック
装置を装備したドアを取り付けなければならない。そのインタロック装置は,ドアを開けたとき,さく内
で稼働するすべての装置を停止させなければならない。
5.18 非常停止装置
5.18.1 一般
非常停止装置は,JIS B 9703に従って,電源を遮断するように組み込まなければならない。
非常停止後の各装置又はプラント全体の再起動は,非常停止装置のリセットをした後,意図的な手動操
作によってだけ可能でなければならない。
5.18.2 非常停止装置の設置箇所
プラントには,製造過程のどの段階であっても,また,材料の品質にとって重要でも,一つの単純な動
作によって確実に電源を即時に遮断する主たる非常停止装置を,プラントの主操作盤に装備しなければな
らない。
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次の各装置には,個別に引綱式の非常停止装置を組み込まなければならない。
− ベルトコンベヤ及びベルトフィーダ
− ドライヤ
− リサイクルドライヤ
− ソイルプラントのミキサ(ロータリドラムミキサ及びパグミルミキサ)
個々の非常停止装置は,近づきやすく,はっきりと目立つ場所に設置しなければならない。
5.18.3 音響警報
各装置又はプラント全体の再起動の前に,起動ブザーなどの音響警報を鳴らさなければならない。
5.19 アクセス設備
操作室及び保全領域へのアクセス設備,例えば通路,踊り場,階段,はしご及び手すりは,JIS B 9713-1
〜JIS B 9713-4に従って設計し,設置しなければならない。
5.20 立入り禁止区域
次の区域は,プラントが稼動している間は立入り禁止区域とし,さくで囲うなど作業員が近づくのを制
限しなければならない。
− ミキサ排出口の下
− 合材サイロ排出口の下
これらの区域には,警告標識を表示しなければならない。
5.21 安全標識
すべての駆動部には,“挟まれ・巻き込まれの危険源”又は“引き込み・捕そく(捉)の危険源”に対す
る安全標識をはり付けなければならない。
5.22 騒音・振動
5.22.1 騒音低減
アスファルトプラントの各装置及びプラント全体は,できるだけ低騒音になるように設計及び製造しな
ければならない。
主たる騒音源である燃焼装置には低騒音形を用い,スクリーン及び排風機には防音ラッキング,防音カ
バーなどを用い,排気煙突内には消音装置を設けるなどして低騒音化を図る。
5.22.2 騒音測定
騒音レベルの測定は,アスファルトプラントが設置されている敷地の境界線上で測定する。
注記 ある特定工事のために一時的に設置されたアスファルトプラントは,騒音規制法施行令の特定
建設作業として規制を受け,不特定多数の工事を対象とした常設のアスファルトプラントは,
特定施設としてより厳しい規制を受ける。
5.22.3 振動低減
アスファルトプラントの各装置及びプラント全体は,例えば,スクリーンの支持にスプリング又は防振
ゴムを用いるなど,人体に伝達する振動をできるだけ低く抑えるように設計及び製造しなければならない。
また,軟弱地盤などで振動の伝ぱ(播)が問題になる地域では,プラント基礎の補強,敷地境界に防振基
礎を設けるなどして,低振動化を図る。
6
安全要求事項・安全方策の検証
プラント及び各機械の設計並びに製造において,この規格の安全要求事項及び安全方策が組み込まれて
いることを,次のいずれか一つ又はこれらの組合せによって,検証しなければならない。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 計算
b) 目視による検査
c) 計測又は作動検査
d) 任意に,ある特定の要求事項に関する規格に規定する方法による試験
すべての停止装置及び非常停止装置は,適切に機能するか否かを試験しなければならない。
e) 購入した機器が要求規格どおりに製造されたことを示す証拠書類など,製造業者が保管を課せられた
書類の内容の査定
7
使用上の情報
7.1
警告表示
プラント及び各機械装置が周囲の人間にとって潜在的に危険源を生じるとき,JIS A 8340-1の附属書5
に従った安全標識を機械にはり付けなければならない。安全標識の寸法は,JIS A 8312による。
安全標識に必要な補足説明は,取扱説明書と同様に使用される地域の言語で記載しなければならない。
7.2
取扱説明書
取扱説明書は,プラントが使用される地域の言語で書かれ,プラントと一緒に供給されなければならな
い。様式及び内容は,JIS A 8334及びJIS B 9700-2の6.5(附属文書)に従って作成する。
取扱説明書は,別冊になっていてもよい。
取扱説明書には,製造業者が供給できるアタッチメント(作業具)及び附属品も含めて,通常の条件下
における機械の意図した用途及び運転方法,アタッチメント及び附属品の正しい組立及び使用方法,整備
の要領,安全装置,構成部品の点検要領などを記載していなければならない。
取扱説明書には,更に,次の情報が必要である。
a) 機械装置の一般的な説明
− 製造することができるアスファルト混合物及びその使用に関する情報
− 取扱説明書に記載されていない材料を使用したときに危険がある旨の警告
− 注意を要するプラントの特徴
b) 運転の情報
− 操作トラブル状況表及び必要な行動指針
− 5.20に従って制限された区域の説明
− 稼動中に,作業員に対して制限される通路の情報
− ドライヤ,バグフィルタ及びアスファルトタンクは,火災につながる危険が高いことの警告
− 適合する消火装置の設置の推奨
c) 保守・点検の情報
− プラントの各装置の保守・点検についての情報
例えば,合材サイロの保守・点検作業時,ゲート閉防止のため,固定金具の使用だけでなく,開
閉用シリンダ又は作動用エアホースを外すなどの処置の推奨
− 保守・点検は,事業者によって選任された専任者(オペレータ)によって実行すべきことの指示
− 操作盤を起動し,プラントが稼動しているとき,巡回点検し,検査が行える保全作業
− 保護具の使用に関する情報
− 十分な照明を設備することの推奨
− 調整,巡回点検及び保守・点検を行うために必要な特別な道具及び装備に関する参照資料
9
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 消耗品及びスペアパーツ
7.3
機械への表示
個々のプラント及び各機械装置には,少なくとも次の情報を,読みやすく消えないように,表示しなけ
ればならない。
− 製造業者名及び住所
− 形式又はシリーズの呼称
− 製造番号,例えば,PIN(JIS A 8313参照)
10
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
アスファルトプラント類の代表的な図例
A.1 バッチ式アスファルトプラント
1
骨材ホッパ・ベルトフィーダ
2
ベルトコンベヤ
3
ドライヤ
4
燃焼装置
5
バグフィルタ式集じん装置
6
排風機
7
バケットエレベータ(加熱骨材)
8
スクリーン
9
ホットビン
10 骨材計量器
11 アスファルト計量器
12 石粉計量器
13 ミキサ
14 バケットエレベータ(石粉)
15 石粉サイロ
16 アスファルトタンク
17 燃料タンク
18 トロリー装置
19 スキップエレベータ
20 合材サイロ
図A.1−バッチ式アスファルトプラントの例
11
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A.2 再生アスファルトプラント
1
骨材ホッパ・ベルトフィーダ
2
ベルトコンベヤ
3
リサイクルドライヤ
4
燃焼装置
5
サイクロン集じん装置
6
バグフィルタ式集じん装置
7
スキップエレベータ
8
サージビン
9
計量装置
10 ミキサ
図A.2−再生アスファルトプラントの例
12
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A.3 ソイルプラント
1
骨材ホッパ・ベルトフィーダ
2
ベルトコンベヤ
3
コンベヤスケール
4
セメントサイロ
5
セメントスクリューコンベヤ
6
水タンク
7
水添加装置
8
2軸パグミル連続式ミキサ
9
排出装置
図A.3−ソイルプラントの例
13
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B
(規定)
重大な危険源のリスト
番号
危険源
JIS B 9700-1
JIS B 9700-2
JIS A 8705
危険源,危険状態及び危険事象
1
機械的危険源……次の事項から起こる。
− 機械部品及び加工対象物の,
例えば,形状,相対位置,質量及び速度,機械
的強度
− 機械内部の蓄積エネルギー
例えば弾力性構成要素(ばね),加圧下の液体
及び気体,真空の影響
4.2.2
4.2.2
4.2
4.2.2,4.10,
5.5.4
附属書C
1.1
押しつぶしの危険源
4.2.1
4.2.1
5.13
1.3
切傷又は切断の危険源
4.2.1
5.6
1.4
巻き込みの危険源
4.2.1
5.3,5.7,5.11,5.12,
5.15.1
1.5
引き込み又は捕そく(捉)の危険源
4.2.1
5.3,5.6,5.7,5.11,5.12,
5.13,5.15.2,附属書C
2
電気的危険源……次による。
2.1
充電部に人の接触(直接/間接接触)
4.3
4.9,5.2
5.16.2,5.16.3,5.17.2,
5.17.3
2.2
熱放射,又は短絡若しくは過負荷などから起こる溶
融物の放射,化学的効果など,その他の現象
5.17.2
3
次の結果を招く熱的危険源
3.1
極度の高温又は低温の物体又は材料に人が接触し
得ることによって火炎又は爆発,及び熱源からの放
射によるやけど,熱傷その他の傷害
4.4
5.3,5.4,5.9,5.10,
5.14.1,5.14.2
3.2
熱間又は冷間作業環境を原因とする健康障害
4.4
5.16.1
4
次の結果を招く騒音から起こる危険源
4.1
聴力喪失(聞こえない),その他の生理的不調(平
衡感覚の喪失,意識の喪失など)
4.5
4.2.2,5.4.2,
4.3 c),4.4 c),
4.8.4
5.22.1,5.22.2
口頭伝達,音響信号,その他の障害
4.5
4.2.2,5.4.2,
4.3 c),4.4 c),
4.8.4
5.22.1,5.22.2
5
振動から起こる危険源
5.4.3
5.1
特に劣悪な姿勢と組み合わされたときの全身振動
4.6
4.2.2,4.3 c),
4.8.4
5.8,5.22.3
6
機械類によって処理又は使用される材料及び物質から起こる危険源
6.1
有害な液体,気体,ミスト,煙霧及び粉じんと接触
又はそれらの吸入による危険源
4.8
4.2.2,4.3 b),
5.4.4
5.5,5.6,5.8,5.12
6.2
火災又は爆発の危険源
4.8
5.3,5.4,5.14.1
14
A 8705:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
危険源
JIS B 9700-1
JIS B 9700-2
JIS A 8705
7
例えば次の項目から起こる危険源のように,機械類の設計時に人間工学原則の無視から起こる危険源
7.1
保護具使用の無視
7
7.2
手動制御器の不適切な設計,配置又は識別
4.8.1,4.8.7,
4.11.8
5.16.2,5.17.4,5.18.1,
5.18.2
7.3
視覚表示装置の不適切な設計又は配置
4.8.1,4.8.8,
6.2
5.16.2
7.4
不適切なガード及び防護装置
3.25,3.26
5.2,5.3
5.2,5.3,5.14.1,5.17.5,
附属書C
7.5
調整,補修及び保守整備の場所並びにそれらへの接
近の不適切な設計
3.3,3.19
4.7,4.11.12,
4.15,5.5.6
5.2,5.5,5.7,5.19,
附属書C
8
次の事項から起こる予期しない始動,予期しない超過走行/超過速度(又は何らかの類似不調)
8.1
制御システムの故障/混乱
4.11.1,4.12,
5.5.4
5.17.4,附属書C
8.2
エネルギー供給の中断後の回復
5.18.1
8.3
電気設備に対する外部影響
4.11.11
5.17.4
9
落下又は噴出する物体若しくは流体
4.2
4.3,4.10
5.7,5.9,5.10,5.13,
5.14.2
10
人の滑り,つまずき及び落下(機械に関係するもの) 4.10
5.5.6
5.2,5.7,5.13,5.14.1
11
機械上の作業位置(運転席含む)に関連したもの
11.1
運転/作業位置に入出時又は居るときの人の落下
5.5.6
5.16.1,5.19
11.3
火事(運転室の可燃性及び消火手段の欠如)
7
12
制御システムによるもの
12.1
エネルギー/制御回路の不適切な設計
5.3
4.11.1
5.3,5.15.1,5.17.5,
5.18.1
12.2
手動制御器の不適切な配置
4.11.1
5.18.3
12.3
手動制御器及びその運転モードの不適切な設計
4.11.1
5.3,5.15.1
13
第三者から起こる/第三者に及ぼす危険源
13.1
視覚又は聴覚警告手段の欠如又は不適切
5.18.3
14
運転員/オペレータに対する指示が不十分(取扱説
明書,標識,警告及び表示)
5.3,5.4,5.9,5.11,
5.14.1,5.14.2,5.16.3,
5.20,5.21,7
持ち上げによって付加される危険源,危険状態及び危険事象
15
機械的危険状態及び危険事象
15.1
プーリ,ドラムの不適切な設計から起こるもの
附属書C
15
A 8705:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書C
(規定)
合材搬送用スキップエレベータ
この附属書は,スキップエレベータの安全要求事項について規定する。この附属書は,リサイクルサー
ジビン用スキップエレベータにも適用する。
C.1 スキップバケットは,搬送中に,決められた位置以外で放出してはならない。
C.2 ウインチドラムは,ワイヤを傷める突起物がないようにしなければならない。ウインチドラムの直
径は,少なくともワイヤ径の20倍以上にしなければならない。
C.3 ドラムの両サイドのつばの高さは,最も外側に巻いたワイヤから測ってワイヤ径の2倍を超える寸
法にしなければならない。
C.4 スキップバケットの位置がどこにあっても,ウインチドラムには少なくとも3巻分,常に巻いてあ
るようにしなければならない。
C.5 ワイヤにかかる最大荷重は,破断荷重の3分の1を超えないようにしなければならない。
C.6 スキップ巻上げの自動的に作動する機械式ブレーキは,ウインチドラムに直接作動しなければなら
ない。
C.7 ブレーキは,動力源の故障及び非常停止の場合に,自動的に荷重を保持しなければならない。
C.8 スキップバケットをレール上に固定する機械式固定装置を備えなければならない。
C.9 スキップエレベータレールは,少なくともスキップバケットの上昇限界位置の先まで延ばすか,又
は機械的な停止装置を備えなければならない。
C.10 正常な運転中に,作業員がスキップエレベータ下部(スキップバケットにアスファルト混合物を供
給する箇所)の周辺へ近づくのを防止するために,少なくとも高さ1 800 mm以上の囲いを設置しなけれ
ばならない。
囲いの出入り口の扉は,JIS B 9700-2の5.2.3(正常な運転中に危険区域に接近する必要がある場合)の
規定に応じたインタロック装置を装備しており,扉が開くとスキップエレベータが停止するようにしなけ
ればならない。扉が閉じられた後,運転可能にする装置を働かせたときだけ,スキップエレベータの再起
動ができるようにしなければならない。
16
A 8705:2010
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書D
(規定)
点検口の大きさ
点検口の寸法は,例えば,装置の大きさによって,本体に明示した寸法を適用できない場合でも,表D.1
の値よりは大きくしなければならない。
表D.1−点検口の大きさ
装置
箇条番号
点検口の寸法
ドライヤ
5.3
面積≧0.19 m2
寸法≧400 mm
バグフィルタ
5.5
バケットエレベータ
5.7
ホットビン
5.9
合材サイロ
5.13
アスファルトタンク
5.14
参考文献
JIS A 8313 土工機械−製品識別番号 (PIN)
JIS B 8361 油圧システム通則
JIS B 8370 空気圧システム通則
JIS B 9702 機械類の安全性−リスクアセスメントの原則
JIS B 9707 機械類の安全性−危険区域に上肢が到達することを防止するための安全距離
JIS C 60364-4-41 建築電気設備−第4-41部:安全保護−感電保護
JIS C 60664-1 低圧系統内機器の絶縁協調−第1部:基本原則,要求事項及び試験
JIS R 3211 自動車用安全ガラス
ISO 9355-1:1999,Ergonomic requirements for the design of displays and control actuators−Part 1: Human
interactions with displays and control actuators
ISO 9355-2:1999,Ergonomic requirements for the design of displays and control actuators−Part 2: Displays
ISO 9355-3:2006,Ergonomic requirements for the design of displays and control actuators−Part 3: Control
actuators