2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
A 8604-1994
工事用水中ポンプ
Submersible pumps for construction
1. 適用範囲 この規格は,片吸込,単段及び遠心形でポンプ径(1)32〜250 mmの土木建築その他の工事
に使用する仮設・可搬式の水中ポンプ(以下,ポンプという。)で,定格周波数50 Hz又は60 Hzの2極,
4極若しくは6極の水中形三相誘導電動機,又は2極若しくは4極の水中形単相誘導電動機と,共通軸で
直接連結したものについて規定する。
注(1) ポンプの呼び径は,ポンプに取り付けるホースカップリングの呼び径で表す。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 0401 寸法公差及びはめあい
JIS B 0601 表面粗さ−定義及び表示
JIS B 1301 沈みキー及びキーみぞ
JIS B 2402 オイルシール
JIS B 2405 メカニカルシール通則
JIS B 8301 遠心ポンプ,斜流ポンプ及び軸流ポンプの試験及び検査方法
JIS B 8302 ポンプ吐出し量測定方法
JIS C 1102 指示電気計器
JIS C 3312 600Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル
JIS C 3327 600Vゴムキャブタイヤケーブル
JIS C 4003 電気機器絶縁の種類
JIS C 4203 一般用単相誘導電動機
JIS C 4207 三相誘導電動機の特性算定方法
JIS C 4210 一般用低圧三相かご形誘導電動機
JIS C 8303 配線用差込接続器
JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材
JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材
JIS G 4303 ステンレス鋼棒
JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
JIS G 5121 ステンレス鋼鋳鋼品
JIS G 5501 ねずみ鋳鉄品
JIS G 5502 球状黒鉛鋳鉄品
JIS H 4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS H 5202 アルミニウム合金鋳物
2
A 8604-1994
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2. 種類及び形式
2.1
種類 ポンプの種類は,ポンプの呼び径,電動機の定格出力,吐出し方式及び電動機の定格周波数
によって区分し,表1のとおりとする。
表1 種類
注(2) 外装形とは,揚液が電動機部を通らず直接ケーシング部から吐き出されるものをいう(付図1参照)。
(3) 内装形とは,電動機全部が外ケーシングなどで囲まれて揚液がそこを通って,ポンプ上部から吐き出されるも
のをいう(付図2参照)。
(4) 半内装形とは,電動機の一部が外ケーシングなどで囲まれて,揚液がそこを通るものをいう(付図3参照)。
2.2
形式 ポンプの形式は,種類の記号の組合せによって次の例に示すように表す。
例
3. ポンプ各部の名称 ポンプ各部の名称は,付図1〜3に示すとおりとする。
4. ポンプを使用する揚液の範囲 揚液は,土木建築その他工事の現場から生ずる泥水とし,水温40℃以
下,pH 6.5〜8.0,混入土砂の容積比2%以下及び粘度5 mPa・s以下とし,粒子の大きさは,ストレーナの網
目を通過できる範囲とする。
5. 性能
5.1
耐圧 ポンプの耐圧は,9.1によって試験を行い,ポンプ本体の耐圧部からの漏れがあってはならな
い。
5.2
漏れ ポンプの漏れは,9.2によって試験を行い,各部のすき間からの漏れがあってはならない。
5.3
運転性能 ポンプの運転性能は,9.3によって試験を行い,次の各項に適合しなければならない。
(1) ポンプの吐出し量 ポンプの吐出し量は,表2のとおりとする。
3
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表2 吐出し量範囲
ポンプの呼び径
32
40
50
80
100
150
200
250
ポンプの吐出し
量範囲m3/min
0.03〜0.08 0.04〜0.125
0.12〜0.32 0.32〜0.8
0.63〜1.6
1.25〜3.15 2.0〜5.0
3.15〜8.0
(2) 全揚程 ポンプの吐出し量に対する全揚程は,付図4のとおりとする。
(3) ポンプ効率 ポンプの最高効率は,その最高値を示す吐出し量で付図5のA効率以上であること。
また,表2のポンプ吐出し量範囲内の量において,ポンプ効率は,付図5のB効率以上であること。
なお,最高効率の吐出し量は,原則として表2に示す範囲内であること。
(4) ポンプ軸動力 ポンプ軸動力は,そのポンプの最大吐出し量(5)まで,電動機の定格出力を超えないも
のとする。
注(5) 最大吐出し量とは,ポンプの性能曲線上で全揚程零のときの吐出し量をいう。
(5) 運転条件 ポンプ始動時,又は運転中,電動機部が大気中に露出していても,支障なく運転できなけ
ればならない。ただし,電動機の温度上昇は,附属書1及び附属書2による。
(6) 運転状態 ポンプは,清水を使用して,いかなる吐出し量の場合でも外部から視察して,甚だしい振
動,騒音及び電動機の温度上昇があってはならない。
6. 構造,形状及び寸法
6.1
ポンプの回転方向 ポンプの回転方向は,上から見て時計回りとする。
6.2
ポンプ本体
6.2.1
ポンプ本体の構造は,水中形電動機を上部に置き,共通軸下部に軸封装置及びポンプ部を設けた立
軸形とする。電動機下部はオイルケーシング,ケーシング,ケーシングカバーなどからなり,電動機とポ
ンプとは,いんろうによって組み合わせ,ボルトで締め付けて一体となった,運搬に適する構造のものと
する。
なお,吐出し方式は,図1に示す外装形,内装形及び半内装形とする。
図1 ポンプの吐出し方式
6.2.2
軸封装置は,電動機の軸貫通部の内部に揚液が浸入しないように,JIS B 2402に規定するオイルシ
ール,JIS B 2405に規定するメカニカルシールなどを使用した軸封装置を設ける。軸又はスリーブのすり
合わせ面の表面粗さは,JIS B 0601に規定する3.2S以上とする。軸封装置の周辺には,原則として潤滑油
を封入した室を設ける。
4
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6.2.3
吸込口は,原則としてポンプ本体の下向きに開口し,その周辺にはストレーナを設ける。ストレー
ナのあなは,羽根車に固形物がつまらぬ程度になるべく大きくし,あなの全面積はポンプ性能を低下させ
ない大きさとする。
6.2.4
ポンプの吐出し口には,ホースカップリングを取り付ける。その寸法は図2のとおりとする。取付
部の形状は,特に規定しない。
図2 ホースカップリングの寸法
単位mm
ホースカップ
リングの呼び径
寸法
A
B
C
d
L
M
32
−
−
−
−
−
−
40
38+1.5
36+1.5
1.5
30±1
38
46以上
0
0
50
50+1.5
47+1.5
1.5
39±1
50
60以上
0
0
80
75+1.5
71+1.5
2
61±1.5
75
90以上
0
0
100
100+1.5
95+1.5
2
83±2
100
120以上
0
0
150
150+2
144+2
2
130±2
150
180以上
0
0
200
200+3
192+3
3
176±3
180
210以上
0
0
250
250+4
242+3
4
226±3
200
250以上
0
0
6.2.5
ポンプ本体の耐圧部及び摩耗部の肉厚は,表3のとおりとする。
備考 耐圧部とは,オイルケーシング,ケーシング,ケーシングカバー,外ケーシング,ヘッドカバ
ーなどをいう。摩耗部とは,羽根車,ケーシング,ケーシングカバーをいう。
5
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表3 耐圧部と摩耗部の肉厚
単位mm
材料
肉厚
JIS G 3101のSS400
1.6以上
JIS G 5502のFCD400
4以上
JIS G 5501のFC200
4以上
JIS H 5202のAC2A
4以上
備考 羽の肉厚は,6.3.4による。
6.3
羽根車
6.3.1
羽根車は,原則として開放形として耐摩耗性に富み,容易に取り換えられる構造とする。ただし,
羽根車とケーシングカバーとのすき間は,原則として調整可能な構造とする。
6.3.2
羽根車は,つり合いが良好でなければならない。
6.3.3
羽根車の外周面,滑り部及び端面は,滑らかでなければならない。
6.3.4
羽根車の羽根及び側盤の肉厚は,図3のとおりとする。ただし,羽根入口及び出口先端の厚さは,
特に規定しない。
図3 羽根車の最小肉厚
単位mm
羽根車外径D
羽根の肉厚T1
側盤の肉厚T2
150未満
4以上
4以上
150以上250未満
5以上
5以上
250以上
8以上
6以上
6.4
ポンプの電動機 ポンプの電動機は,附属書1及び附属書2による。
6.5
主軸
6.5.1
主軸の直径(6)は,次の式によって算出した値以上とする。
3NP
K
d=
ここに,
d: 主軸の直径 (mm)
P: ポンプの軸動力 (kW)
N: 回転速度 (min-1)
K: 係数
ただし,Kの値は次による。
主軸の材料がJIS G 4303に規定するSUS403で焼入れ,焼戻しの場合 ……………………………… 116
主軸の材料がJIS G 4051に規定するS35Cの場合 ……………………………………………………… 125
6
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注(6) 主軸の直径とは,動力伝達に関係のある部分の直径をいう。
6.5.2
羽根車ナット及び羽根車ボルトには,軸がいずれの方向に回転しても緩まないように,座金その他
の方法で回り止めを施さなければならない。
6.6
軸受 軸受は,附属書1及び附属書2の5.4によるものとする。
6.7
はめあい ポンプ各部のはめあいは,原則として表4による。
表4 はめあい
ポンプ各部
はめあい記号
羽根車と主軸
H7/g6
スリーブと主軸
H7/g6
ポンプ本体のいんろう部
H8/h7
ポンプ本体とモータ部のいんろう部
H7/h7
備考1. はめあいは,JIS B 0401による。
2. はめあいは,原則としてあな基準とするが,
軸基準にしてもよい。
3. ケーシングとケーシングカバーのいんろう
部は,表4によらなくてもよい。
6.8
その他
6.8.1
羽根車のキーの寸法は,JIS B 1301又はこれに準ずる沈みキーとする。
6.8.2
ポンプには,移動用のハンドルを設けるか,つり下げ用の金具を設けなければならない。
6.8.3
ポンプは,垂直に対して90°以内のいかなる姿勢で運転しても,その性能,寿命に著しい変化が
あってはならない。
7. 塗装及び耐食処理 ポンプ本体の外面には,十分なさび止め塗装,又は耐食処理を施さなければなら
ない。
また,内部の必要な箇所にも同様な耐食処理を施さなければならない。
8. ポンプ本体の材料 ポンプ本体の主要部に使用する材料は,表5又はこれと同等以上のものとする。
7
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表5 材料
部品名
材料
主軸,スリーブ,キー
JIS G 4303のSUS403
JIS G 4051のS35C
ホースカップリング
JIS G 5501のFC150
JIS H 5202のAC2A
ヘッドカバー,フレーム,ブラケッ
ト,外ケーシング,オイルケーシン
グ,ケーシング,ケーシングカバー
JIS G 5501のFC200
JIS G 5502のFCD400
JIS G 3101のSS400
JIS H 5202のAC2A
羽根車
JIS G 5501のFC200
JIS G 5502のFCD400
JIS G 3101のSS400
JIS G 5121のSCS2
羽根車ナット,ボルト,ナット類
JIS G 4303のSUS403
JIS G 3101のSS400
ストレーナ
JIS G 4305のSUS304
JIS G 3101のSS400
JIS H 4000のA5052P, A3003P, A3203P,
A6061P, A5083P, A5005P, A5154P, A5N01P
9. 試験方法
9.1
耐圧試験 ポンプ本体の耐圧部の耐圧試験は,最高全揚程(7)の1.3倍以上の圧力を加え,漏れ,その
他の異常の有無を調べる。ただし,試験の圧力の最低は,118 kPaとする。
注(7) 最高全揚程とは,ポンプの性能曲線上で,吐出し量が零のときの全揚程をいう。
9.2
漏れ試験 組立て後ポンプ最高全揚程のときの圧力を3分間加えて,各部に水漏れ,その他の異常
の有無を調べる。
9.3
運転性能試験 ポンプの運転性能試験は,ポンプ本体と,それに附属する電動機とを組み合わせて,
完成した状態で清水を使用し,JIS B 8301及びJIS B 8302に規定する方法によって,ポンプ吐出し量,全
揚程,ポンプ軸動力,ポンプ効率及び運転状態を調べる。ポンプ軸動力は,電動機の入力をJIS C 1102に
規定する電力計によって測定し,その電動機の特性曲線によって算定する。
備考 同時に製作された同一機種で同一仕様の多数のポンプを検査する場合は,10台又はその端数に
対して1台の性能検査を行い,他はそのポンプの基準吐出し量(8)における全揚程,ポンプ軸動
力,ポンプ効率及び運転状態を検査する運転検査だけを行うものとする。その際,代表性能に
対し全揚程又は軸動力に±10%以上の変動があるときは,改めて性能検査を行わなければなら
ない。
同一機種の電動機が多数ある場合には,その代表特性曲線によって算定してもよい。その際,
電動機の定格出力における電動機効率のばらつきは,±2%とする。
注(8) ポンプの基準吐出し量は,ポンプの呼び径に対し原則として表6による。
表6 基準吐出し量
ポンプの呼び径
32
40
50
80
100
150
200
250
ポンプの基準吐出し量
m3/min
0.06
0.10
0.20
0.50
1.00
2.00
4.00
6.00
備考 ポンプの試験における全揚程の算出は,次の式による。
8
A 8604-1994
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h
d
d
g
V
h
P
H
2
102
.0
2
+
+
=
ここに,
H: 全揚程 (m)
P: 圧力計の読み (kPa)
hd: 圧力計の中心から水面までの高さ (m)
Vd: 吐出管の圧力取出し口断面の位置における平均流速 (m/s)
gh: 自由落下の標準加速度 (9.81 m/s2)
ただし,圧力は,試験の都合によって試験管路で計ってもよい。この場合,試験管路の摩擦損失は考え
ないものとする。
10. 検査 ポンプの検査は,構造,形状,寸法及び性能について行い,それぞれ5.,6.及び7.の規定に適
合すれば合格とする。
11. 製品の呼び方 製品の呼び方は,日本工業規格番号,ポンプの呼び径,電動機の定格出力,吐出し方
式及び定格周波数による。
例 JIS A 8604-80-037 A5
12. 表示
12.1 銘板 ポンプには,見やすいところに銘板を取り付け,容易に消滅しない方法で,次の事項を表示
しなければならない。
(1) 製造業者名又は登録商標
(2) 製造番号
(3) 製造年又はその略号
(4) 形式
(5) ポンプの呼び径
(6) 基準吐出し量 (m3/min) における全揚程 (m)
(7) 電動機定格出力 (kW)
(8) 定格電圧 (V)
(9) 電流(全負荷電流の近似値をAで記す。)
(10) 定格周波数 (Hz)
(11) 極数
(12) 相数
9
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(13) 質量 (kg) (キャブタイヤケーブルの質量は除く。ただし,40kg以下は省略してもよい。)
(14) 接地電線の色分け(緑)
(15) 電気用品取締法の適用を受けるものは,形式認可番号及び消費電力を表示する。
12.2 回転方向 ポンプの本体に反動方向を表示する。表示方法は,上部から見て反動方向(9)(反時計方
向)の“矢印”と“反動”の文字で表示する。表示は,容易に脱落又は消滅しない方法とする。
注(9) 反動方向とは,始動瞬間のねじり方向である。
備考 単相電動機の場合は,表示しなくてもよい。
10
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付図1 外装形の一例
11
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付図2 内装形の一例
12
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付図3 半内装形の一例
13
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付図4 工事用水中ポンプ性能図表
備考 図中の動力は,駆動電動機の定格出力 (kW) を参考として示したものである。
性能図表の見方
例
吐出し量 0.2 m3/minのとき,呼び径50 mm
電動機の容量 0.75 kWで揚程6.5 m
電動機の容量 1.5 kWで揚程13 m
1
4
A
8
6
0
4
-1
9
9
4
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付図5 工事用水中ポンプ効率
吐出し量 m3/min
0.05
0.06
0.08
0.1
0.15
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.8
1.0
1.5
2.0
3.0
4.0
5.0
6.0
8.0
A効率 %
24
25
27
29
32
35
40
42
43
44
46
47
48
49
50
50.5
51
51.5
52
B効率 %
16
17.5
20
22
25.2
28
32
33.6
34.5
35.2
37
37.6
38.4
39.2
40
40.5
41
41.5
42
15
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附属書1 水中形三相誘導電動機
1. 適用範囲 この附属書は,本体に規定する工事用水中ポンプに使用される2極,4極及び6極のかご
形,連続定格,定格周波数50 Hz又は60 Hzの乾式(1)の水中形三相誘導電動機(以下,電動機という。)に
ついて規定する。
注(1) 電動機室内に空気又はその他の気体を封入したもの。
備考 電動機が使用される場所の周囲温度は,40 ℃以下とする。
2. 定格出力 電動機の定格出力 (kW) は,0.25,0.4,0.75,1.5,2.2,3.7,5.5,7.5,11,15,18.5,22,
30及び37とする。
3. 定格電圧 電動機の定格電圧は,原則として200 Vとする。
4. 性能
4.1
特性 電動機の特性は,附属書1 8.1によって試験を行い,附属書1の8.2によって算定したとき,
附属書1付表1に適合しなければならない。
4.2
温度上昇 電動機の温度上昇は,附属書1 8.3によって試験を行い,次の各項に適合しなければなら
ない。
(1) 電動機の温度上昇は,電動機を完全に水没した状態で連続運転し,固定子巻線において附属書1表1
の値を超えないこと。
附属書1表1 温度上昇限度
絶縁の種類 温度上昇値(抵抗法) ℃
E種
75
B種
80
F種
100
(2) 電動機は,ポンプ接合部分まで水没させた状態で気中に露出し,連続運転したとき,実用上差し支え
ない温度上昇値であること。実用上差し支えない値とは,寿命を著しく短縮するに至らない値をいい,
必ずしも附属書1表1の値によらなくてもよい。この状態において,温度検出による電動機焼損保護
装置(以下,保護装置という。)を内蔵するものでは,保護装置がはたらいて,運転が中断されないこ
と。
(3) 電動機は,ポンプの吸込口に揚液が接面した状態で運転したとき,連続して支障なく運転できること。
この場合,温度検出による保護装置を内蔵するものでは,保護装置がはたらいて運転が中断されるこ
とは差し支えない。
4.3
絶縁抵抗 電動機の絶縁抵抗は,附属書1の8.4によって試験を行い,電動機単体において20 MΩ
以上,キャブタイヤケーブルを取り付けた状態で10 MΩ以上でなければならない。
4.4
耐電圧 電動機の固定子巻線と接地間に附属書1の8.5に示す試験電圧を加え,これに耐えなければ
ならない。
4.5
振動 電動機の振動の最大値は,附属書1の8.6によって試験を行い,全振幅で1003mmを超えてはな
らない。
16
A 8604-1994
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4.6
耐圧力 電動機の耐圧力は,附属書1の8.7によって試験を行い,水漏れ,その他の異常があっては
ならない。
4.7
使用電圧の変化 電動機は,その端子の供給電圧に定格電圧の±10%の変化があっても,実用上差
し支えなく使えるものでなければならない。ただし,端子とは,キャブタイヤケーブルの電源側をいう。
備考 “実用上差し支えない”とは,寿命を著しく短縮する程度にならないことをいい,特性及び温
度上昇などは,定格状態の規定値に必ずしも従わなくてもよい。
5. 構造,形状及び寸法
5.1
回転方向 電動機の回転方向は,上から見て時計回りとする。
5.2
始動方式 電動機の始動方式は,原則として全電圧始動とする。
5.3
絶縁の種類 電動機の絶縁の種類は,JIS C 4003によるE種以上とする。
5.4
軸受 電動機の軸受は,ラジアル荷重のほか,電動機の回転部の質量及びポンプから発生するスラ
スト荷重を支えるための転がり軸受を設ける。ただし,ラジアル軸受とスラスト軸受とを兼用させること
ができる。
5.5
キャブタイヤケーブル キャブタイヤケーブルは,次による。
(1) キャブタイヤケーブルは,フレーム又はブラケットから引き出すものとし,その材質は,JIS C 3327
に規定する4心2種以上のキャブタイヤケーブル,又はJIS C 3312に規定する4心ビニルキャブタイ
ヤケーブルとし,口出部からの長さは,附属書1表2による。
附属書1表2 キャブタイヤケーブルの長さ
単位m
基準揚程(2)
キャブタイヤケーブルの長さ
10以下
10
20以下
15
21以上
20
注(2) 基準揚程とは,基準吐出し量におけ
る全揚程をいう。
ただし,当事者間の協定による場合は,附属書1表2の値によらなくてもよい。
(2) キャブタイヤケーブルの公称断面積は,附属書1表3の値以上とする。
附属書1表3 キャブタイヤケーブルの公称断面積
電動機出力 kW
0.25
0.4
0.75
1.5
2.2
3.7
5.5
7.5
11
15
18.5
22
30
37
キャブタイヤ
ケーブルの公
称断面積 mm2
A(3)
1.25
1.25
1.25
1.25
1.25
2.0
3.5
5.5
14
22
22
30
38
60
B(4)
1.25
1.25
1.25
1.25
1.25
2.0
3.5
3.5
8
14
14
22
30
38
注(3) Aは絶縁物の最高許容温度が60℃のキャブタイヤケーブル
(4) Bは絶縁物がブチルゴム混合物及びエチレンプロピレンゴム混合の最高許容温度が80℃のキャブタイヤケー
ブル
(3) 接地線 4心キャブタイヤケーブルの緑色の心線は,その一端を電動機内の適当な位置に設けられた
接地端子に,確実に接続しなければならない。
(4) 端子記号 キャブタイヤケーブルの電源側端子には,附属書1表4に示す色分けと記号を付ける。た
だし,記号については,接地線を除くほかは省略してもよい。
電源側の相順がR-S-Tの順序であるとき,キャブタイヤケーブルの端子をR-U,S-V,T-Wのよう
に接続したとき,電動機は,附属書1 5.1に定められた方向に回転するものとする。
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附属書1表4 キャブタイヤケーブルの心線の色分け
キャブタイヤケーブルの心線の色
端子記号
赤
U
白
V
黒
W
緑
E
5.6
形状,寸法及び精度 電動機の形状,寸法及び精度は,次による。
(1) 主軸とポンプ羽根車とのはめあいは,本体6.7の表4による。
(2) 羽根車の位置を決める端面とポンプの取付面との寸法差は,±0.5mmとする。
(3) 主軸の軸方向の遊び(5)は,0.5mm以下とする。
(4) 主軸の振れの値は,軸端付近において0.08mm以下とする。
(5) ポンプと接続する面の軸に対する直角度は,接続面の外径付近における振れで表し,その値は,0.1mm
以下とする。
(6) ポンプと接続する面のいんろう部と軸心との偏心は,軸受と軸との片側すき間に0.05 mmを加えた値
以下とする。
なお,偏心を測定する場合は,電動機を任意の角度に回して数回行う。
注(5) 測定する場合には,軸を電動機の主スラスト方向に寄せた状態で行うものとする。
備考 (4),(5)及び(6)の検査は,軸にスリーブなどをはめて行ってもよい。
5.7
保護装置 電動機には,過電流又は温度検出による保護装置を内蔵しなければならない。ただし,
内蔵が困難なものは外部に設けてもよい。
6. 外観 電動機の外観は,次による。
(1) 鋳造品は,内外面とも滑らかで,有害な鋳巣,き裂,偏肉などの欠点があってはならない。
(2) 電動機の本体内外面には,十分なさび止め塗装を施し,その他必要な部分には,十分な防食処理を施
さなければならない。
7. 材料 電動機に使用する材料のうち,フレーム,ブラケット,主軸,キー,ボルト類は,本体8.の表
5による。
8. 試験方法
8.1
特性試験 電動機の特性を算定するため,次の各試験を行う。ただし,試験は,軸封装置を付けな
い状態で行う。
(1) 抵抗測定 任意の周囲温度で,固定子巻線端子間の抵抗を測定する。
(2) 無負荷試験 任意の周囲温度で,定格電圧,定格周波数で電動機を無負荷で運転し,入力が一定にな
ったのち各相に通じる電流 (A) 及び入力 (W) を測定する。各相の無負荷電流とその平均値との差は,
平均値の±5%を超えてはならない。ただし,この試験は,電動機の軸方向を使用状態に合わせて行う。
(3) 拘束試験 任意の周囲温度で,回転子を拘束し固定端子間に定格周波数の電圧を加え,全負荷電流に
近い電流を通じて,電圧 (V) ,電流 (A) 及び入力 (W) を測定し,また,全負荷電流の2倍近い電流
を通じて,電圧 (V) 及び電流 (A) を測定する。
(4) 低周波拘束試験 特殊かご形電動機の特性を特殊円線図法によって算定する場合は,前項の試験のほ
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か,更に低周波拘束試験を行う。この試験では,任意の周囲温度で回転子を拘束し,固定子端子間に
定格周波数の21の周波数の電圧を加え,全負荷電流に近い電流を通じて,電圧 (V) ,電流 (A) 及び入
力 (W) を測定する。
備考 拘束試験及び低周波拘束試験においては,回転子の位置を変更し,一定の電流に対する電圧及
び入力,又は一定の電圧に対する電流及び入力を測定し,その平均値をとる。
8.2
特性の算定 電動機の特性は,8.1の試験結果に基づいて始動特性を除き,JIS C 4207に規定する方
法で算出するものとし,普通かご形のものにあっては,T形円線図法,特殊かご形のものにあっては,特
殊L形円線図法を用いる。
始動特性の算定に当たっては,附属書1の8.1(3)の拘束試験で得られた電流値を対数目盛方眼紙上で延
長し,全電圧を加えたときの電流を求めてこれらを始動電流とし,次の式によって始動トルク (%) を算出
する。
100
'
'
2
3
'
)
1(
2
1
2
×
P
I
I
R
I
W
S
T
s
st
s
s
st
−
−
=
ここに,
Tst: 始動トルク(全負荷トルクに対する百分率) (%)
R1: 各端子間において測定した一次巻線抵抗の平均値 (Ω)
I's: 全負荷電流に近い拘束電流 (A)
W's: 全負荷電流に近い電流を通じたときの拘束時入力 (W)
Ist: 始動電流 (A)
S: 定格出力における滑り
P: 定格出力 (W)
ただし,JIS C 4207に規定する損失分離法又は実負荷法を便利とする場合は,これによることができる。
8.3
温度上昇試験 電動機は,次の(1)〜(3)に示す状態において,定格電圧,定格周波数,定格出力のも
とで連続運転し,電動機の温度上昇がほぼ一定になったとき,JIS C 4210に規定する抵抗法によって測定
する。
周囲温度は,電動機の温度上昇が,ほぼ一定となったときの温度とし,電動機から0.5m離れたところ
で測定する。ただし,周囲温度は,40℃を超えてはならない。
次に示す(1)の状態では水温を,(2)及び(3)の状態では気温を周囲温度とする。
(1) 完全に水没させた状態で行う。
(2) ポンプ接合面まで水没させた状態で,電動機を気中に露出して行う。
(3) ポンプ接合面を水面上適当な高さに保ち,電動機を気中に露出して行う。ただし,適当な高さは,当
事者間の協議によって決定するものとする。
8.4
絶縁抵抗試験 絶縁抵抗試験は,出荷前に500V絶縁抵抗計で口出線とフレーム間を測定する。
8.5
耐電圧試験 耐電圧試験は,口出線とフレーム間の絶縁抵抗を測定し,20MΩ以上あることを確かめ
たのち,次に示す周波数50Hz又は60Hzの正弦波に近い附属書1表5の試験電圧を1分間加える。ただし,
多量生産の電動機には,附属書1表5の試験電圧の120%の電圧を1秒間加えてこれに代えることができ
る。
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附属書1表5 試験電圧
電動機定格出力
試験電圧(実効値)
1kW未満
2E+500 (V) (最低1 000 V)
1kW以上
2E+1 000 (V) (最低1 500 V)
備考 ここに,E:定格電圧 (V)
8.6
振動測定 振動測定は,電動機を定盤上に置いたままの状態で,無負荷で運転して各部の振動を測
定する。電動機の構造上,そのまま定盤上に置けないものは,電動機をばねで空中につるすか,又は他の
フレームを利用して定盤上に置いてもよい。
8.7
耐圧試験 耐圧試験は,本体の9.1及び9.2による。
9. 検査 電動機の検査は,構造,形状,寸法,性能及び外観について行い,それぞれ附属書1の4.,5.
及び6.の規定に適合すれば合格とする。
10. 表示 電動機には,次の事項を表示する。ただし,ポンプと電動機を総合した銘板の場合は,本体12.1
と重複する事項を省略してもよい。
(1) 名称(例 三相誘導電動機)
(2) 極数
(3) 定格出力 (kW)
(4) 定格電圧 (V)
(5) 定格周波数 (Hz)
(6) 電流(全負荷電流の近似値をAで示す。)
備考 電動機には,必要があれば検査合格証及びその電動機の特性曲線(又は特性表)を付ける。た
だし,電動機の定格出力における効率のばらつきが±2%の場合には,代表特性曲線でよい。
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附属書1付表1 水中形三相誘導電動機特性表
種類
乾式
定格出力
kW
極数
全負荷特性
全負荷電流
(各相の平均値)
Α(以下)
始動電流
(各相の平均値)
Α(以下)
始動トルク
%
(以上)
効率
%(以上)
力率
%(以上)
滑り
%(以上)
0.25
2
57.0
67.0
10.0
1.9
19
125
4
58.5
56.0
10.5
2.2
17
6
57.0
47.0
10.5
2.7
21
0.4
2
62.0
72.0
8.5
2.6
26
4
63.5
63.0
9.0
2.9
23
6
62.0
55.0
10.0
3.4
27
0.75
2
68.0
77.0
7.5
4.1
39
4
69.5
70.0
8.0
4.4
35
6
68.0
63.0
8.5
5.0
40
1.5
2
74.5
80.5
7.0
7.2
68
4
75.5
75.0
7.5
7.6
60
6
74.5
69.0
8.0
8.3
64
2.2
2
77.0
81.5
6.5
10.0
94
4
78.5
77.0
7.0
10.5
83
6
77.0
71.0
7.0
11.5
89
3.7
2
80.0
82.5
6.0
16.0
155
4
81.0
78.0
6.5
17.0
135
6
80.0
73.0
6.5
18.5
140
5.5
2
82.0
80.0
6.0
24
230
4
82.5
78.0
6.0
25
195
6
82.0
73.0
6.0
26
200
7.5
2
83.0
81.0
6.0
32
300
4
83.5
79.0
6.0
33
250
6
83.0
74.0
6.0
35
260
11
2
84.0
82.5
5.5
46
420
100
4
84.5
80.0
6.0
47
350
6
84.0
75.5
6.0
49
360
15
2
85.0
83.0
5.5
61
560
4
85.5
80.5
5.5
62
470
6
84.5
76.0
6.0
66
500
18.5
2
85.5
83.5
5.5
75
700
4
85.5
80.5
5.5
77
580
6
85.0
76.5
5.5
81
610
22
2
86.0
84.0
5.5
88
820
4
86.0
81.0
5.5
90
680
6
85.5
77.0
5.5
95
710
30
2
86.5
84.5
5.0
118
850
4
86.5
81.5
5.5
122
775
6
86.0
78.0
5.5
129
815
37
2
87.0
85.0
5.0
144
1035
4
87.0
82.0
5.5
149
945
6
86.5
78.5
5.5
157
995
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2 水中形単相誘導電動機
1. 適用範囲 この附属書は,本体に規定する工事用水中ポンプに使用される2極及び4極のかご形,連
続定格,定格周波数50Hz又は60Hzの分相始動形及びコンデンサ始動形の乾式の水中形単相誘導電動機(以
下,電動機という。)について規定する。
備考 電動機が使用される場所の周囲温度は,40℃以下とする。
2. 定格出力 電動機の定格出力 (kW) は,0.15,0.25及び0.4とする。
3. 定格電圧 電動機の定格電圧は,原則として100 Vとする。
4. 性能
4.1
特性 電動機の特性は,附属書2の8.1によって試験を行い,附属書2付表1に適合しなければなら
ない。
4.2
温度上昇 電動機の温度上昇は,附属書2の8.2によって試験を行い,次の各項に適合しなければな
らない。
(1) 電動機の温度上昇は,電動機を完全に水没した状態で連続運転したとき,附属書2表1の値を超えな
いこと。
附属書2表1 温度上昇限度
絶縁の種類
温度上昇値(抵抗法)℃
E種
75
B種
80
F種
100
(2) 電動機は,ポンプ接合部分まで水没させた状態で気中に露出し,連続運転したとき,実用上差し支え
ない温度上昇値であること。実用上差し支えない値とは,寿命を著しく短縮するに至らない値をいい,
必ずしも附属書2表1の値によらなくてもよい。この状態において,温度検出による電動機焼損保護
装置(以下,保護装置という。)を内蔵するものでは,保護装置がはたらいていて,運転が中断されな
いこと。
(3) 電動機は,ポンプの吸込口に揚液が接面した状態で運転したとき,連続して支障なく運転できること。
この場合,温度検出による保護装置を内蔵するものでは,保護装置がはたらいて運転が中断されるこ
とは差し支えない。
4.3
絶縁抵抗 電動機の絶縁抵抗は,附属書2の8.3によって試験を行い,電動機単体において20MΩ以
上,キャブタイヤケーブルを取り付けた状態で10MΩ以上でなければならない。
4.4
耐電圧 電動機の固定子巻線と接地間に附属書2の8.4に示す試験電圧を加え,これに耐えなければ
ならない。
4.5
振動 電動機の振動の最大値は,附属書2の8.5によって試験を行い,全振幅で1003mmを超えてはな
らない。
4.6
耐圧力 電動機の耐圧力は,附属書2の8.6によって試験を行い,水漏れ,その他の異常があっては
ならない。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.7
使用電圧の変化 電動機は,その端子の供給電圧に定格電圧の±10%の変化があっても,実用上差
し支えなく使えるものでなくてはならない。ただし,端子とは,キャブタイヤケーブルの電源側をいう。
備考 “実用上差し支えない”とは,寿命を著しく短縮する程度にならないことをいい,特性及び温
度上昇などは,定格状態の規定値に必ずしも従わなくてもよい。
5. 構造,形状及び寸法
5.1
回転方向 電動機の回転方向は,上から見て時計回りとする。
5.2
始動方式 電動機は,ポンプを始動させるに十分な始動トルクを与える始動方式をもつものとする。
始動方式は,全電圧形,分相始動形,コンデンサ始動形のいずれかとする。
5.3
絶縁の種類 電動機の絶縁の種類は,JIS C 4003によるE種以上とする。
5.4
軸受 電動機の軸受は,ラジアル荷重のほか,電動機の回転部の質量及びポンプから発生するスラ
スト荷重を支えるための転がり軸受を設ける。ただし,ラジアル軸受とスラスト軸受とを兼用させること
ができる。
5.5
キャブタイヤケーブル キャブタイヤケーブルは,次による。
(1) キャブタイヤケーブルは,フレーム又はブラケットから引き出すものとし,その材質は,JIS C 3327
に規定する3心2種以上のキャブタイヤケーブル,又はJIS C 3312に規定する3心ビニルキャブタイ
ヤケーブルとする。
(2) 心線の色分けは,黒色,白色及び緑色(接地線)とする。
(3) キャブタイヤケーブルの長さは,口出部から6mとする。
(4) キャブタイヤケーブルの公称断面積は,附属書2表2の値以上とする。
附属書2表2 キャブタイヤケーブルの公称断面積
電動機出力 kW
0.15
0.25
0.4
キャブタイヤケーブルの公称断
面積 mm2
0.75
1.25
1.25
(5) キャブタイヤケーブル端の黒色,白色の心線には,JIS C 8303の125V以下2極の差込みプラグを取
り付け,緑色の心線には接地用接続金具を取り付けなければならない。
(6) 接地線 キャブタイヤケーブルの緑色の心線は,その一端を電動機内の適当な位置に設けられた接地
端子に確実に接続しなければならない。
5.6
形状,寸法及び精度 電動機の形状,寸法及び精度は,次による。
(1) 主軸とポンプ羽根車とのはめあいは,本体6.7の表4による。
(2) 羽根車の位置を決める端面とポンプの取付面との寸法差は,±0.5mmとする。
(3) 主軸の軸方向の遊び(1)は,0.2mm以下とする。
(4) 主軸の振れの値は,軸端付近において0.08mm以下とする。
(5) ポンプと接続する面の軸に対する直角度は,接続面の外径付近における振れで表し,その値は,0.1mm
以下とする。
(6) ポンプと接続する面のいんろう部と軸心との偏心は,軸受と軸との片側すき間に0.05mmを加えた値
以下とする。
なお,偏心を測定する場合は,電動機を任意の角度に回して数回行う。
注(1) 測定する場合には,軸を電動機の主スラスト方向に寄せた状態で行うものとする。
備考 (4),(5)及び(6)の検査は,軸にスリーブなどをはめて行ってもよい。
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5.7
保護装置 電動機には,過電流又は温度検出による保護装置を内蔵しなければならない。
6. 外観 電動機の外観は,次による。
(1) 鋳造品は,内外面とも滑らかで,有害な鋳巣,き裂,偏肉などの欠点があってはならない。
(2) 電動機の本体内外面には,十分なさび止め塗装を施し,その他必要な部分には,十分な防食処理を施
さなければならない。
7. 材料 電動機に使用する材料のうち,フレーム,ブラケット,主軸,キー,ボルト類は本体8.の表5
による。
8. 試験方法
8.1
特性試験 電動機の特性は,試験温度が一定になったのち実負荷法によって求める。ただし,試験
は,軸封装置を付けない状態で行う。
8.2
温度上昇試験 電動機は,次の(1)〜(3)に示す状態において,定格電圧,定格周波数,定格出力のも
とで連続運転し,電動機の温度上昇がほぼ一定になったとき,JIS C 4203に規定する抵抗法によって測定
する。
周囲温度は,電動機の温度上昇が,ほぼ一定となったときの温度とし,電動機から0.5m離れたところ
で測定する。ただし,周囲温度は,40℃を超えてはならない。
次に示す(1)の状態では水温を,(2)及び(3)の状態では気温を周囲温度とする。
(1) 完全に水没させた状態で行う。
(2) ポンプ接合面まで水没させた状態で,電動機を気中に露出して行う。
(3) ポンプ接合面を水面上適当な高さに保ち,電動機を気中に露出して行う。ただし,適当な高さは,当
事者間の協議によって決定するものとする。
8.3
絶縁抵抗試験 絶縁抵抗試験は,出荷前に500V絶縁抵抗計で口出線とフレーム間を測定する。
8.4
耐電圧試験 耐電圧試験は,口出線とフレーム間の絶縁抵抗を測定し,20MΩ以上あることを確かめ
たのち,周波数50Hz又は60Hzの正弦波に近い次の試験電圧を1分間加える。
2E+500 (V) (最低1 000 V)
ここに,
E: 定格電圧 (V)
多量生産の電動機では,上記の試験電圧の120%の電圧を1秒間加えてこれに代えることができる。
8.5
振動測定 振動測定は,電動機を定盤上に置いたままの状態で,無負荷で運転して各部の振動を測
定する。電動機の構造上,そのまま定盤上に置けないものは,電動機をばねで空中につるすか,又は他の
フレームを利用して定盤上に置いてもよい。
8.6
耐圧試験 耐圧試験は,本体の9.1及び9.2による。
9. 検査 電動機の検査は,構造,形状,寸法,性能及び外観について行い,それぞれ附属書2の4.,5.
及び6.の規定に適合すれば合格とする。
10. 表示 電動機には,次の事項を表示する。ただし,ポンプと電動機を総合した銘板の場合は,本体12.1
と重複する事項を省略してもよい。
(1) 名称(例 コンデンサ始動形単相誘導電動機)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(2) 極数
(3) 定格出力 (kW)
(4) 定格電圧 (V)
(5) 定格周波数 (Hz)
(6) 電流(全負荷電流の近似値をAで示す。)
(7) 電動機の形式記号
(8) 製造番号又は機番号
(9) 製造業者名又はその登録商標
(10) 製造年又はその略号
備考 電動機には,必要があれば検査合格証及びその電動機の特性曲線(又は特性表)を付ける。た
だし,電動機の定格出力における効率のばらつきが±2%の場合には,代表特性曲線でよい。
附属書2付表1 水中形単相誘導電動機特性表
種類
定格出力
kW
極数
全負荷特性
全負荷電流
A
(以下)
始動電流
A
(以下)
始動トルク
%
(以下)
効率%
(以上)
力率%
(以上)
滑り%
(以上)
分相始動形
0.15
2
45
55
11.0
5.8
30
100
4
50
6.5
0.25
2
50
60
10.5
8.1
33
4
55
8.7
コンデンサ始動形
0.15
2
45
55
11.0
5.8
25
125
4
50
6.5
0.25
2
50
60
10.5
8.1
30
4
55
8.7
0.4
2
55
65
10.0
11.0
33
4
60
11.8
25
A 8604-1994
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
藤 本 義 二
株式会社エミック
安 達 俊 雄
通商産業省機械情報産業局
高 木 譲 一
工業技術院標準部
高 島 信 也
労働省労働基準局安全衛生部
今 岡 亮 司
建設省建設経済局
吉 田 正
建設省土木研究所材料施工部
石 原 晴 美
建設省建設大学校建設部
永 盛 峰 雄
千葉工業大学
杉 山 庸 夫
社団法人日本建設機械化協会
倉 田 恒 三
マルマ重車輛株式会社
鈴 木 猛 夫
株式会社小松製作所技術本部業務部
会 田 紀 雄
三菱重工業株式会社相模原製作所
高 木 靖 夫
新キャタピラー三菱株式会社技術部
服 部 士 朗
小松メック株式会社
前 田 英 一
株式会社神戸製鋼所建設機械事業部
渡 辺 正
日立建機株式会社マーケティング本部
北 崎 誠
東洋運搬機株式会社竜ヶ崎工場
岡 崎 治 義
水資源開発公団第一工務部
小 室 一 夫
西松建設株式会社平塚製作所
立 川 昭
株式会社熊谷組工事総合本部機材部
水 口 弘
株式会社大林組東京本社機械部
山 岸 宏 充
大成建設株式会社安全・機材本部機械部
木 村 隆 一
鹿島建設株式会社機械部
高 野 漠
日本鋪道株式会社
野 村 昌 弘
国土開発工業株式会社
(事務局)
大 橋 秀 夫
社団法人日本建設機械化協会