A 8340-5:2012
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
3A ダンパ特有の重大な危険源のリスト ··················································································· 4
4 安全要求事項及び/又は安全方策 ························································································ 4
4.1 一般 ···························································································································· 4
4.2 ダンプ荷台 ··················································································································· 4
4.3 リターダ ······················································································································ 5
4.4 車体屈折フレームの固定装置 ··························································································· 5
4.5 転倒時保護構造(ROPS) ······························································································· 5
4.6 落下物保護構造(FOPS) ································································································ 6
4.7 運転席 ························································································································· 6
4.8 かじ取り装置 ················································································································ 7
4.9 (削除) ······················································································································ 7
4.10 視界 ··························································································································· 7
5 安全要求事項及び/又は安全方策の検証 ··············································································· 7
6 使用上の情報 ··················································································································· 7
附属書A(参考)ダンパの代表的な機種の例 ············································································· 9
附属書JA(参考)ダンパ特有の重大な危険源のリスト ······························································· 12
附属書JB(参考)参考文献 ··································································································· 13
附属書JC(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 14
A 8340-5:2012
(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
建設機械施工協会(JCMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業
規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が
改正した日本工業規格である。
これによって,JIS A 8340-5:2005は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の
特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS A 8340(土工機械−安全)の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS A 8340-1 第1部:一般要求事項
JIS A 8340-2 第2部:ブルドーザの要求事項
JIS A 8340-3 第3部:ローダの要求事項
JIS A 8340-4 第4部:油圧ショベルの要求事項
JIS A 8340-5 第5部:ダンパ(重ダンプトラック及び不整地運搬車)の要求事項
JIS A 8340-6 第6部:機械式ショベルの要求事項
JIS A 8340-7 第7部:グレーダの要求事項
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日本工業規格 JIS
A 8340-5:2012
土工機械−安全−第5部:
ダンパ(重ダンプトラック及び
不整地運搬車)の要求事項
Earth-moving machinery-Safety-Part 5: Requirements for dumpers
序文
この規格は,2008年に第1版として発行されたISO 20474-6を基とし,技術的内容を変更して作成した
日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JCに示す。また,附属書JA及び附属書JBは,対応国際規格
にはない事項である。
この規格は,JIS B 9700-1でいうタイプC規格(機械に関する個別規格)である。
関連する機械類及び対象とする危険源,危険状態及び危険事象の範囲は,この規格の適用範囲に示す。
このタイプC規格の条項がタイプA規格又はタイプB規格で規定する条項と異なる場合,このタイプC
規格の条項がそれらの規格の条項より優先する。
1
適用範囲
この規格は,JIS A 8308で定義したダンパ[重ダンプトラック及び不整地運搬車(ミニ不整地運搬車及
び起立式搭乗形ミニ不整地運搬車を含む。)]に対する安全要求事項について規定し,派生機械にも適用す
る。
この規格は,普通ダンプトラック(公道走行トラックにダンプ荷台を架装したもの)には適用しない。
この規格は,土工機械類に共通の一般安全要求事項を規定したJIS A 8340-1と併せて用いるが,この規
格で規定した要求事項は,JIS A 8340-1よりも優先する。
この規格は,製造業者が意図した使用及び予見し得る誤使用の条件下で,直接関わる全てのダンパ特有
の重大な危険源,危険状態及び危険事象(この規格の附属書JA及びJIS A 8340-1の附属書JA参照)を考
慮している。この規格は,稼働,運転及び保全中の重大な危険源,危険状態及び危険事象から起こるリス
クを除去し,又は低減するための適切な技術的手段を具体的に示している。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 20474-6:2008,Earth-moving machinery−Safety−Part 6: Requirements for dumpers(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
A 8340-5:2012
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2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 8304 土工機械−運転員の座席の振動評価試験
注記 対応国際規格:ISO 7096,Earth-moving machinery−Laboratory evaluation of operator seat
vibration(IDT)
JIS A 8308 土工機械−基本機種−用語
注記 対応国際規格:ISO 6165,Earth-moving machinery−Basic types−Identification and terms and
definitions(IDT)
JIS A 8311 土工機械−運転員の視野−測定方法及び性能基準
JIS A 8320 土工機械−機械全体,作業装置及び構成部品の質量測定方法
注記 対応国際規格:ISO 6016,Earth-moving machinery−Methods of measuring the masses of whole
machines, their equipment and components(IDT)
JIS A 8329 土工機械−ダンパ及び自走式スクレーパのリターダ−性能試験
注記 対応国際規格:ISO 10268,Earth-moving machinery−Retarders for dumpers and tractor-scrapers
−Performance tests(MOD)
JIS A 8332 土工機械−ダンパ荷台支持装置及び運転室傾斜支持装置
注記 対応国際規格:ISO 13333,Earth-moving machinery−Dumper body support and operator's cab tilt
support devices(IDT)
JIS A 8340-1 土工機械−安全−第1部:一般要求事項
注記 対応国際規格:ISO 20474-1,Earth-moving machinery−Safety−Part 1: General requirements
(MOD)
JIS A 8346 土工機械−車体屈折フレームの固定装置−性能要求事項
注記 対応国際規格:ISO 10570,Earth-moving machinery−Articulated frame lock−Performance
requirements(IDT)
JIS A 8422-1 土工機械−ダンパ(重ダンプトラック及び不整地運搬車)−第1部:用語及び仕様項目
注記 対応国際規格:ISO 7132,Earth-moving machinery−Dumpers−Terminology and commercial
specifications(MOD)
JIS A 8910 土工機械−転倒時保護構造−台上試験及び性能要求事項
注記 対応国際規格:ISO 3471,Earth-moving machinery−Roll-over protective structures−Laboratory
tests and performance requirements(IDT)
JIS A 8920 土工機械−落下物保護構造−台上試験及び性能要求事項
注記 対応国際規格:ISO 3449,Earth-moving machinery−Falling-object protective structures−
Laboratory tests and performance requirements(IDT)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS A 8340-1及びJIS A 8422-1によるほか,次による(附属書A
参照)。
3.1
ダンパ(dumper)
3
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自走する履帯式又は車輪式の機械で,開放形の荷台をもち,土砂などを運搬し,放荷又はま(撒)きだ
しする機械。ダンパには,普通ダンプトラック,重ダンプトラック及び不整地運搬車がある。
注記1 JIS A 8308及びこの規格の図A.1〜図A.9参照。
注記2 一部のミニ不整地運搬車を例外として,ダンパへの積込みは,他の機械又は装置によって行
う。
3.1A
普通ダンプトラック
公道を自走できる車輪式ダンパ。
3.1B
重ダンプトラック
公道外を自走する運転質量15 000 kg以上の車輪式ダンパ。図A.1及び図A.2参照。
3.1C
不整地運搬車
ダンプトラックが入れない不整地,軟弱地,傾斜地,狭い現場などで用いるダンパ。
注記 JIS A 8308及びこの規格の図A.3〜図A.9参照。
3.2
固定フレーム式ダンパ(rigid frame dumper)
固定フレームをもち,車輪又は履帯でかじ取りするダンパ。
注記 JIS A 8308並びにこの規格の図A.1,図A.3,図A.5,図A.7,図A.8及び図A.9参照。
3.3
車体屈折(アーティキュレート)式ダンパ(articulated frame dumper)
車体屈折式フレームをもち,それによってかじ取りするダンパ。
注記 JIS A 8308並びにこの規格の図A.2,図A.4及び図A.6参照。
3.4
全旋回形不整地運搬車(swing dumper)
360°全旋回できる上部旋回体をもつダンパ。
注記1 JIS A 8308及びこの規格の図A.9参照。
注記2 上部旋回体は,固定フレーム,開放荷台及び運転席からなる。下部走行体は,履帯式又は車
輪式足まわ(廻)りからなる。
3.4A
荷台半旋回形ミニ不整地運搬車
前後方向車体中心線に対し,左右90°旋回できる荷台をもつダンパ。
注記 図A.8参照。
3.5
ミニ不整地運搬車(compact dumper)
運転質量(JIS A 8320参照)が4 500 kg以下の固定フレーム式又は車体屈折式不整地運搬車。
注記1 JIS A 8308並びにこの規格の図A.4,図A.5,図A.6,図A.7及び図A.8参照。
注記2 ミニ不整地運搬車には,自己積込み装置を備えたものがある。
3.5A
起立式搭乗形ミニ不整地運搬車
4
A 8340-5:2012
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座席に代えて,立ち乗り式の運転台をもつミニ不整地運搬車。
注記 図A.7参照。
3.6
自己積込み装置(self-loading equipment)
ダンパに恒久的に取り付け,車体と一体になったバケット支持構造及びリンク機構からなり,そのダン
パの荷台に土砂等を積み込むための装置。
注記 図A.6参照。
3.7
運転質量
燃料,水,油脂類を規定量とした本体に,製造業者の指定する作業装置及び空のアタッチメントを付け
たときの質量に,運転員1名(75 kg)及び携行工具の質量を加えた質量(JIS A 8320参照)。
3.8
機械総質量
運転質量に定格積載質量を加えた質量(JIS A 8320参照)。
3.9
定格積載質量
製造業者が指定する,機械が運搬できる定格質量(JIS A 8320参照)。
3A
ダンパ特有の重大な危険源のリスト
リスクアセスメントの結果,ダンパ特有の重大な危険源として特定され,そのリスクを取り除く又は減
じる手段が要求される全ての危険源,危険状態及び危険事象は,附属書JAのリストに記載する。
4
安全要求事項及び/又は安全方策
4.1
一般
ダンパは,JIS A 8340-1の安全要求事項・安全方策及びこの箇条で規定するダンパ特有の要求事項に適
合しなければならない。
4.2
ダンプ荷台
4.2.1
操作装置
手動でダンプ荷台から放荷できるようになっている場合,開閉が安全に,例えば,運転席から又は荷台
の傾倒方向とは別の側から操作できるように,開閉操作装置を設計し,配置しなければならない。
荷台の開閉操作装置の操作方向は,荷台の動く方向と一致しなければならない。ただし,左右方向に開
閉する荷台においてはこの限りではない。
4.2.2
荷台の降下
動力が失われた場合でも,荷台を輸送姿勢まで降下できなければならない。
4.2.3
荷台降下不完全時の警報及び速度制限
ダンパには,次の装置を備えなければならない。
− 荷台が十分に降下していない場合は,走行速度が2速又は10 km/hを超えて走行するのを防止する装
置。
− 荷台が十分に降下した位置になく,かつ,変速機がつながっている場合は,運転員に音響的及び/又
は視覚的に警報を発する装置。
5
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ただし,ミニ不整地運搬車及びキャブなし履帯式不整地運搬車には適用しない。
4.2.4
荷台支持装置
日常保全及び運転以外の目的で荷台を持ち上げた位置に保持するために,機械的な荷台支持装置を備え
なければならない。荷台支持装置は,JIS A 8332に適合しなければならない。
4.2.5
積載物の付着
例えば,湿った粘土又は凍結した積載物が荷台に付着したときに,放荷中に機体の安定を失う危険があ
る場合は,積載物の放荷を助ける手段を講じなければならない。
例 排気による荷台加熱手段
この要求事項は,ミニ不整地運搬車には適用しない。
4.3
リターダ
ミニ不整地運搬車及び履帯式不整地運搬車を除くダンパには,JIS A 8329に適合するリターダを装備し
なければならない。
履帯式不整地運搬車には,降坂するときの危険な状況を避けるため次の事項を適用する。
− 主制動装置は,例えばHST(静油圧駆動装置)制動機能に機械式制動装置を付加したり,HST(静油
圧駆動装置)制動機能を十分大きな能力とすることによって,最大積載質量(機械最大質量状態)(JIS
A 8320参照)での降坂時に十分な性能でなければならない。
− エンジンブレーキ能力を十分とするなどして,降坂時に十分な機械のリターダ能力としなければなら
ない。
− 機械は,車体傾斜表示器又は傾斜角が10°を超えると警報を発する車体傾斜警報装置を備えなければ
ならない。
− 下り坂での安全な運用についての説明を,取扱説明書に記載する(箇条6参照)。
4.4
車体屈折フレームの固定装置
車体屈折フレームの固定装置は,JIS A 8346に適合しなければならない。
4.5
転倒時保護構造(ROPS)
転倒時保護構造(ROPS)は,JIS A 8340-1の4.3.3によるほか,次の例外事項とともに適用しなければ
ならない。
運転質量(JIS A 8320参照)が1 500 kg以下のミニ不整地運搬車には適用しない。
運転質量が1 500 kgを超える着座式運転席付きのミニ不整地運搬車には,JIS A 8910の規定を次のよう
に変更して適用する。
ミニ不整地運搬車で最小エネルギー要求値を満足するときは,たわみ限界領域(DLV)のSIP(JIS A 8910
参照)を通る基準軸LAより上の部分は,図1に示すように側方へ最大15°まで傾けてもよい。DLVの
LA(SIP)より下の部分は,無視してよい。
6
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① 15°以下
② LA
③ SIP
図1−たわみ限界領域(DLV)の側方傾斜限界
4.6
落下物保護構造(FOPS)
4.6.1
一般
落下物保護構造(FOPS)は,JIS A 8340-1の4.3.4を,次の4.6.2及び4.6.3に規定する追加又は除外を
含め適用しなければならない。
4.6.2
FOPSのレベル(ミニ不整地運搬車以外)
ミニ不整地運搬車以外のダンパには,JIS A 8920のレベルIIに適合するFOPSを装備できるようになっ
ていなければならない。
4.6.3
ミニ不整地運搬車
4.6.3.1
キャブ付きミニ不整地運搬車
キャブ付きミニ不整地運搬車は,JIS A 8920のレベルIのFOPSを装備できるようになっていなければ
ならない。
4.6.3.2
自己積込み装置を備えたミニ不整地運搬車
自己積込み装置を備えたミニ不整地運搬車は,積荷が運転席の頭上を通過する場合は,JIS A 8920のレ
ベルIIのFOPSを装着しなければならない。
4.7
運転席
4.7.1
キャブ
キャブは,JIS A 8340-1の4.3.2を適用しなければならない。例外として,ミニ不整地運搬車は,運転員
の健康にとって有害な環境下で使用する場合以外はキャブを必要としない。
4.7.2
運転座席
運転座席は,JIS A 8340-1の4.4.1に適合しなければならない。さらに,JIS A 8304による次の入力スペ
クトルクラスの要求事項にも適合しなければならない。
− 車輪式のダンパはクラスEM1
− ミニ不整地運搬車はクラスEM7
懸架式座席(サスペンションシート)が選択装着として提供される場合も,上記の要求事項に適合しな
ければならない。
4.7.3
起立式搭乗形ミニ不整地運搬車
4.7.3.1
一般
起立式搭乗形ミニ不整地運搬車の走行速度は,4 km/hを超えてはならない。
7
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4.7.3.2
操縦装置
機械の推進は,ホールドツーラン式の操縦装置による操作でなければならない。
機械の走行中に運転員が自分を支えることができるようにする適切な装置を備えなければならない。こ
の装置が搭乗式の運転台に備えられている場合は,運転員が運転台に乗降するのを制約したり妨げてはな
らない。
走行及び前後進の操縦装置は,運転員が自分を支えるために片手を空けておけるように設計しなければ
ならず,操縦装置に不意に接触する危険を低下するものでなければならない。
4.7.3.3
(削除)
4.8
かじ取り装置
4.8.1
一般
かじ取り装置は,JIS A 8340-1の4.6.1によるほか,次の4.8.2及び4.8.3も含め適用しなければならない。
4.8.2
回転座席付きダンパのかじ取り操作装置
180°回転式座席のダンパでは,いずれの座席位置でも,かじ取り操作の動作が意図した方向に対応する
ようなかじ取り装置でなければならない。
4.8.3
全旋回形不整地運搬車の走行及びかじ取り操作装置
上部旋回体が通常の運転方向でない場合には,走行及びかじ取り操作の動作は意図した機械動作方向と
対応していなくてもよい。
4.9
(削除)
4.10 視界
ダンパの視界は,JIS A 8340-1の4.8によるほか,次による。
直接及び間接視界は,JIS A 8311を満足しなければならない。後部荷台式の不整地運搬車の視界につい
ては,固定フレーム式ダンパ(重ダンプトラック)の基準を適用する。
回転座席付きダンパは,前中央視界が視界評価区分Iの基準に合う操縦位置を少なくとも一つはもたな
ければならない(JIS A 8311参照)。
5
安全要求事項及び/又は安全方策の検証
JIS A 8340-1の箇条5を適用しなければならない。
6
使用上の情報
取扱説明書は,JIS A 8340-1の6.2によるほか,次による。次のa)〜m)は安全に関わる事項として強調
し,注意又は警告しなければならない。
a) 安全な放荷の指示。
b) ダンパから放荷するときは,重心が次第に変わっていくので,機械の安定が足元の条件によって大き
く左右されることの注意(車輪式ダンパが,軟弱地で稼働し,例えば,湿った粘土又は凍結した積載
物が荷台に付着しているときは特に危険源となる。)。
c) 自己積込み装置を備えたミニ不整地運搬車で積み込むときは,安定性の面から機械は堅固で平たん
(坦)な地面に据えることの注意。軟弱かつ不整地での積込み作業は避けなければならないことの注
意。
d) 凍った又は滑りやすい坂を下るとき最大の制動性能を得るための手順(例えば,センターデファレン
シャルロックをかける。)の説明。
8
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e) 降坂するときのリターダの使用方法の説明(例えば,常用ブレーキをかける前にリターダを十分に効
かせなければならない。)。
f)
定格積載質量以上の荷を積載してはならない旨の警告。
g) ダンパの視界性の制約に関連した危険の運転員に対する注意,及び機械を動かすときは,必ず全周の
視界及び周囲に人がいないことを確認し,又は誘導員を配置するといった運転員・機械所有者に対す
る必要な対策の助言。
h) 履帯式不整地運搬車の20°を超える傾斜地での運用禁止。
i)
履帯式不整地運搬車を20°以下の傾斜地で安全に運用するための運転員に対する注意。
j)
履帯式不整地運搬車を10°以上の傾斜地で降坂運用する場合の注意。変速機は1速(低速)段とし,
機関の回転速度はハイアイドルの半分以下とし,傾斜の向きに真っすぐな走行方向とする。
k) 車体屈折式ダンパは,放荷時車体を真っすぐにしなければならないことの運転員に対する注意。
l)
積載物の放荷は,平たん(坦)地で行うべきことの運転員に対する注意。
m) 全旋回形不整地運搬車で傾斜面を走行中に荷台を旋回してはならないことの運転員に対する警告。
9
A 8340-5:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
ダンパの代表的な機種の例
図A.1−固定フレーム式ダンパ(重ダンプトラック)
図A.2−車体屈折式ダンパ(重ダンプトラック)
図A.3−履帯式不整地運搬車
図A.4−車輪式ミニ不整地運搬車
10
A 8340-5:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図A.5−履帯式ミニ不整地運搬車
図A.6−自己積込み装置付きミニ不整地運搬車
図A.7−起立式搭乗形ミニ不整地運搬車
図A.8−荷台半旋回形ミニ不整地運搬車
11
A 8340-5:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図A.9−全旋回形不整地運搬車
12
A 8340-5:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
ダンパ特有の重大な危険源のリスト
JIS A 8340-1の附属書JAに示す危険源リストのほか,次のリストを追加して適用する。
番号a)
危険源
JIS B 9700-1 JIS B 9700-2
この規格
危険源,危険状態及び危険事象
1
次の事項から起こる機械的危険源
− 作業機の機械部品
− 例えば,自己積込み装置
4.2.2
4.2
4.6.3.2
1.1
押し潰しの危険源
4.2.1
4.2.1
4.2,4.2.4,
4.4,4.5,4.6
3
熱的危険源
3.2
熱間又は冷間作業環境を起因とする健康障害
4.4
4.7.1
8
人間工学の無視から起こる危険源
8.8
視覚表示装置の不適切な設計又は配置
4.8.1,4.8.8
4.2.3,4.3
8.9
安全の組込み原則の無視
4.8
4.2.5
12
動力源の故障
4.11.5
4.2.2,4.3
16
機械の安定性の欠如及び転倒
4.2.2
4.6,5.2.6
4.2.5
移動性によって付加される危険源,危険状態及び危険事象
18
走行機能に関連したもの
18.4
走行機能
5.2.7
4.2.3,4.3,
4.8.3
19
機械上の作業位置(運転席含む)に関連したもの
19.4
作業位置における機械的危険源
a) 転倒
4.2.2
5.2.1
4.5
b) 物体の落下,物体が貫通
5.2.1
4.6
19.5
運転及び作業位置からの不十分な視界
4.2.1
4.10
19.7
不適切な座席
4.6
5.4.3
4.7.2
20
制御システムによるもの
20.3
手動操作及び運転モードの不適切な設計
4.11.1
4.2.1,4.8.2,
4.8.3
24
運転者及びオペレータに対する指示が不十分(取扱説明書,
標識,警告及び表示)
6.
6
注a) 番号は,JIS A 8340-1の附属書JAを参照。
13
A 8340-5:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JB
(参考)
参考文献
[1] ISO/TS 20474-14,Earth-moving machinery−Safety−Part 14: Information on national and regional provisions
14
A 8340-5:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JC
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS A 8340-5:2012 土工機械−安全−第5部:ダンパ(重ダンプトラック及び不
整地運搬車)の要求事項
ISO 20474-6:2008 Earth-moving machinery−Safety−Part 6: Requirements for dumpers
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(V)JISと国際規格との
技術的差異の理由及び今
後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
この規格の適用範囲について規
定。
1
JISとほぼ同じ。
追加
削除
“派生機械にも適用する。”及び
“公道を走行する普通ダンプトラ
ックには適用しない。”を追加。
“発行日以前に製造された機械に
は適用しない。”を削除。
ISO/TS 20474-14に日本
の要求として追加及び削
除が必要。
2 引用規格
2
3 用語及び定
義
3
JISとほぼ同じ。
3.1
ダンパ
3.1
一致
3.1A
普通ダンプトラック
−
追加
旧JISの定義を継続採用。
国際提案の対象とはしな
い(対外的主張不要)。
3.1B
重ダンプトラック
−
追加
旧JISの定義を継続採用。
国際提案の対象とはしな
い(対外的主張不要)。
3.1C
不整地運搬車
−
追加
旧JISの定義を継続採用。
国際提案の対象とはしな
い(対外的主張不要)。
3.2
固定フレーム式ダンパ
3.2
一致
3.3
車体屈折(アーティキュレート)
式ダンパ
3.3
一致
3.4
全旋回形不整地運搬車
3.4
一致
3.4A
荷台半旋回形ミニ不整地運搬車
−
追加
旧JISの定義を継続採用。
国際提案の対象とはしな
い(対外的主張不要)。
3.5
ミニ不整地運搬車
3.5
一致
2
A
8
3
4
0
-5
:
2
0
1
2
15
A 8340-5:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(V)JISと国際規格との
技術的差異の理由及び今
後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3.5A
起立式搭乗形ミニ不整地運搬車
−
追加
4.7.3に合わせて追加。
ISO 20474-6への記載が
必要。
3.6
自己積込み装置
3.6
一致
3.7
運転質量
−
追加
旧JISの定義を継続採用。
国際提案の対象とはしな
い(対外的主張不要)。
3.8
機械総質量
−
追加
旧JISの定義を継続採用。
国際提案の対象とはしな
い(対外的主張不要)。
3.9
定格積載質量
−
追加
旧JISの定義を継続採用。
国際提案の対象とはしな
い(対外的主張不要)。
3A ダンパ特
有の重大な危
険源のリスト
−
追加
ISO/TS 20474-14のEUの要求を採
用(附属書JAの追加を伴う。)。
4 安全要求事
項及び/又は
安全方策
4
JISとほぼ同じ
4.1 一般
JIS A 8340-1及びこの規格の箇
条に適合しなければならないこ
との記述。
4.1
一致
4.2 ダンプ荷
台
4.2
4.2.1
操作装置
4.2.1
追加
操作方向と荷台の動く方向が一致
しなくともよい例外の記述。
国際提案の対象とはしな
い(対外的主張不要)。
4.2.2
荷台の降下
4.2.2
一致
4.2.3
荷台降下不完全時の警報及び速
度制限
4.2.3
一致
4.2.4
荷台支持装置
4.2.4
一致
4.2.5
積載物の付着
4.2.5
一致
4.3 リターダ
危険な状況を避けるための事項
の記述。
4.3
追加
旧JISの要求事項を継続採用。
2
A
8
3
4
0
-5
:
2
0
1
2
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A 8340-5:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(V)JISと国際規格との
技術的差異の理由及び今
後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4.4 車体屈折
フレームの固
定装置
4.4
一致
4.5 転倒時保
護構造(ROPS)
1 500 kgを超えるミニ不整地運
搬車及びキャブ付きミニ不整地
運搬車に関する記述。
4.5
追加
国際提案の対象とはしな
い(対外的主張不要)。
4.6 落下物保
護構造(FOPS)
4.6
一致
4.6.1
一般
4.6.1
一致
4.6.2
ミニ不整地運搬車以外のダンパ
にはレベルIIのFOPSを装備で
きるようになっていること。
ミニ不整地運搬車以外
のキャブ付きダンパに
はレベルIIのFOPSを
装着すること。
変更
旧JISの要求事項5.5“ダンパには
レベルIIのFOPSを装備できるよ
うになっていること”を継続採用。
ISO/TS 20474-14参照の
記載及び
ISO/TS
20474-14への記載が必
要。
4.6.3
ミニ不整地運搬車
4.6.3
一致
4.6.3.1
キャブ付きミニ不整地運搬車に
はレベルIのFOPSを装備できる
ようになっていること。
4.6.3.1 JISと同じ
一致
旧JISの要求事項5.5“キャブ付き
コンパクトダンパ(ミニ不整地運
搬車)はレベルIのFOPSを装備
できるようになっていればよい”
を継続採用。
国際提案の対象とはしな
い(対外的主張不要)。
4.6.3.2
自己積込み装置を備えたミニ不
整地運搬車
4.6.3.2
一致
4.7 運転席
4.7
一致
4.7.1
キャブ
4.7.1
一致
4.7.2
運転座席
4.7.2
一致
4.7.3
起立式搭乗形ミニ不整地運搬車
4.7.3
一致
4.7.3.1
一般
4.7.3.1
一致
4.7.3.2
操縦装置
4.7.3.2
一致
2
A
8
3
4
0
-5
:
2
0
1
2
17
A 8340-5:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(V)JISと国際規格との
技術的差異の理由及び今
後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4.7.3.3
(削除)
4.7.3.3
削除
国際規格の規定をJIS化
すると,“JIS A 8340-1を
適用する”ことになり,
4.1の規定と重なってし
まうことから不要。
技術的差異はない。
4.8 かじ取り
装置
4.8
4.8.1
一般
4.8.1
一致
4.8.2
回転座席付きダンパのかじ取り
操作装置
4.8.2
一致
4.8.3
全旋回形不整地運搬車の走行及
びかじ取り操作装置
4.8.3
一致
4.9
(削除)
4.9
シートベルトについて
規定
削除
国際規格の規定をJIS化
すると,“JIS A 8340-1を
適用する”ことになり,
4.1の規定と重なってし
まうことから不要。
技術的差異はない。
4.10 視界
JIS A 8340-1及びJIS A 8311に適
合しなければならないことの記
述。
4.10
追加
旧JISの要求事項を継続採用。
国際提案の対象とはしな
い(対外的主張不要)。
5 安全要求事
項及び/又は
安全方策の検
証
5
一致
6 使用上の情
報
JIS A 8340-1の6.2に加えて取扱
説明書に記載する事項。
6
追加
ISO/TS 20474-14の日本の要求に
従う。
降坂するときの追加説明。
旧JISの記載を継続採用。
国際提案の対象とはしな
い(対外的主張不要)。
2
A
8
3
4
0
-5
:
2
0
1
2
18
A 8340-5:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(V)JISと国際規格との
技術的差異の理由及び今
後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
附属書A
(参考)
ダンパの代表
的な機種の例
図A.7 起立式搭乗形ミニ不整
地運搬車
図A.8 荷台半旋回形ミニ不整
地運搬車
図A.9 全旋回形不整地運搬車
追加
4.7.3に合わせて追加。
旧JISの図解を継続採用。
ISO 20474-6への記載が
必要。
附属書JA
(参考)
ダンパ特有の
重大な危険源
のリスト
追加
ISO/TS 20474-14のEUの要求を採
用(本体3Aの追加を伴う)。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 20474-6:2008,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致 ················ 技術的差異がない。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
A
8
3
4
0
-5
:
2
0
1
2