A 8315:2010 (ISO 3411:2007)
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 運転員の身体寸法 ············································································································· 2
5 運転員周囲の最小空間 ······································································································· 6
5.1 一般 ···························································································································· 6
5.2 許容する調整範囲 ·········································································································· 6
A 8315:2010 (ISO 3411:2007)
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本建設
機械化協会(JCMA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS A 8315:2001は改正され,この規格に置き換えられた。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
日本産業規格
JIS
A 8315:2010
(ISO 3411:2007)
土工機械−
運転員の身体寸法及び運転員周囲の最小空間
Earth-moving machinery-
Physical dimensions of operators and minimum operator space envelope
序文
この規格は,2007年に第4版として発行されたISO 3411を基に,技術的内容及び構成を変更すること
なく作成した日本産業規格である。
1
適用範囲
この規格は,JIS A 8308に規定する土工機械の運転員の身体寸法,及び運転席の囲いの内側で運転員が,
通常の運転操作を行うために必要な最小空間について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 3411:2007,Earth-moving machinery−Physical dimensions of operators and minimum operator
space envelope(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 8308 土工機械−基本機種−用語
注記 対応国際規格:ISO 6165,Earth-moving machinery−Basic types−Identification and terms and
definitions(MOD)
JIS A 8318 土工機械−座席基準点(SIP)
注記 対応国際規格:ISO 5353,Earth-moving machinery, and tractors and machinery for agriculture and
forestry−Seat index point(IDT)
JIS A 8326 土工機械−運転座席−寸法及び要求事項
注記 対応国際規格:ISO 11112,Earth-moving machinery−Operator's seat−Dimensions and
requirements(IDT)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
2
A 8315:2010 (ISO 3411:2007)
3.1
小柄運転員(small operator)
世界のすべての土工機械運転員のうち,身体寸法の小さいほうからおおよそ5パーセント点にある運転
員(図1,図2及び図3参照)。
3.2
中柄運転員(medium operator)
世界のすべての土工機械運転員のうち,身体寸法の小さいほうからも大きいほうからもおおよそ50パー
セント点にある運転員(図1,図2及び図3参照)。
3.3
大柄運転員(large operator)
世界のすべての土工機械運転員のうち,身体寸法の大きいほうからおおよそ5パーセント点にある運転
員(図1,図2及び図3参照)。
3.4
作業時姿勢(working posture)
運転員が作業をしているときにとる姿勢。
3.5
背筋を伸ばした姿勢(erect posture)
運転員が背筋を伸ばして起立又は背もたれなしに背筋を伸ばして着座しているときの姿勢。
4
運転員の身体寸法
起立及び着座した運転員の身体寸法の範囲を,それぞれ図1及び図2に示す。また,各関節間の寸法を,
図3に示す。
寸法は,靴又は長靴の高さ分として25 mmの余裕を含む。その他の着衣がこれらの寸法に与える影響は
軽微である。すべての数値は,背筋を伸ばした姿勢の運転員の身体寸法を示す。作業時姿勢は,一般に“ゆ
ったりした”状態なので,寸法はわずかに小さくなる。すなわち,身長(1A)及び挙手時全高(2A)は,
約15 mm小さくなり,座高(3A)及び着座時の眼の高さ(3B)は,約25 mm小さくなる。
世界の幾つかの地域では,運転員の5 %よりも多くの運転員が小柄運転員として記載した数値よりも短
い脚の長さとなっている。これらの地域に適応させるため,特別に調節してもよい。
3
A 8315:2010 (ISO 3411:2007)
記号
名称
寸法 mm
小柄運転員
中柄運転員
大柄運転員
1A
身長(靴を含む。)a)
1550
1730
1905
1B
両手間隔c)
1585
1765
1942
1C
両ひじ間隔c)
850
958
1060
1D
頭部幅b)
140
151
163
1E
足の幅(靴を含む。)
95
125
139
2A
挙手時全高c)
1900
2118
2325
2B
頭部奥行
170
194
210
2C
眼の背面距離c)
170
194
210
2D
胸部の厚さc)
210
247
280
2E
腹部の厚さc)
210
257
300
2F
足の長さ(靴を含む。)c)
250
276
311
注記 表中の値は,測定した世界中の土工機械の運転員の寸法の範囲を代表するものである。小柄運転
員の寸法は測定のおおよそ5パーセント点(percentile),中柄運転員はおおよそ50パーセント点
(percentile),大柄運転員はおおよそ95パーセント点(percentile)である。体重は,小柄運転員
が51.9 kg,中柄運転員が74.4 kg,大柄運転員が114.1 kgである。
注a) 保護帽着用時には,この寸法に約50 mmを加算する。
b) 頭部幅の寸法は,両耳を含まない。
c) これらの寸法は,あらかじめ定められた一定の基準によって算出した。
図1−運転員の起立時身体寸法
4
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1
座席基準点(SIP)
記号
名称
寸法 mm
小柄運転員
中柄運転員
大柄運転員
3A
座高a)
800
894
976
3B
着座時の眼の高さ
690
780
858
3C
肩の高さ
530
585
651
3D
ひじの高さ
200
239
285
3E
座高面高さc)
400
449
495
3F
ももの高さc)
120
146
170
3G
ふくらはぎ背面距離c)
420
474
525
3H
ひざの背面距離
530
601
670
3I
着座時のひざの高さ(靴を含む。)
500
558
627
3J
指先からひじまでの高さc)
410
464
515
3K
指先から背面距離c)
750
832
909
3L
にぎりによる減少長さc)
−65
−73
−80
3M
指先から手首までの距離
170
190
207
3N
手の幅b), c)
80
87
96
3O
手の厚さc), d)
25
30
35
3P
SIPから背面距離
113
125
137
3R
SIP高さ
80
88
97
4A
肩幅
380
450
514
4B
両ひじ幅c)
385
454
521
4C
着座時の腰の幅
320
378
456
注記 表中の値は,測定した世界中の土工機械の運転員の寸法の範囲を代表するものである。小柄運転
員の寸法は測定のおおよそ5パーセント点(percentile),中柄運転員はおおよそ50パーセント点
(percentile),大柄運転員はおおよそ95パーセント点(percentile)である。体重は,小柄運転員
が51.9 kg,中柄運転員が74.4 kg,大柄運転員が114.1 kgである。
注a) 保護帽着用時には,この寸法に約50 mmを加算する。
b) 手の幅の寸法は,親指を含まない。
c) これらの寸法は,あらかじめ定められた一定の基準によって算出した。
d) 手の厚さは,手のひらではなく,指の付け根の部分による。
図2−運転員の着座時身体寸法
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A 8315:2010 (ISO 3411:2007)
記号
名称
寸法 mm
小柄運転員
中柄運転員
大柄運転員
A
足首−靴底
98
107
120
B
ひざ−足首
367
405
450
C
腰−ひざ
372
425
475
D
腰−座席(垂直方向)a), b)
80
88
97
E
腰−背当て(前後方向)b)
113
125
137
F
肩−腰
396
442
486
G
腰−首a), b)
481
538
591
H
肩−ひじb)
247
276
303
I
手首−手のにぎりb)
105
119
137
J
ひじ−手首b)
220
246
270
K
眼−身体の中心線b)
71
79
87
L
身長(靴を含む。)
1550
1730
1905
M
眼の高さ−首b)
133
149
164
N
肩−肩(水平方向)b)
310
349
382
O
腰−腰(水平方向)b)
152
170
187
P
足首−ペダル踏点b)
124
138
152
注a) 着座時の寸法を示す。
b) 寸法は,比例によって算出。
図3−身体の関節間の寸法
6
A 8315:2010 (ISO 3411:2007)
5
運転員周囲の最小空間
5.1
一般
運転員周囲の最小空間は,運転席の囲いの内側の寸法である。運転席の囲い(例えば,キャブ,ROPS,
FOPS)に対する運転員の運転・操作に必要な周囲の最小空間を,着座時運転員については図4に,起立時
運転員については図5に示す。幾つかの寸法は,JIS A 8318に規定した座席基準点(SIP)を起点として示
している。空間の輪郭は,囲いの形状を意味しない。この形状は,最小寸法が満足される限り図示と違っ
てもよい。
運転員周囲の最小空間は,図1,図2及び図3に示した大柄運転員の寸法に基づいており,眼で見える
表面変形のない運転席囲いの内側面の寸法である。
5.2
許容する調整範囲
5.2.1
特殊な機械用途に対し,運転員周囲の最小空間の許容する調整範囲及び制約を,5.2.2〜5.2.5に示
す。この規格に示す運転員周囲の最小空間は,土工機械の特定機種に対する規格によって補完又は修正す
ることがある。
5.2.2
特殊な用途では,通常より狭い運転員周囲空間でも運転操作及び運転員保護のために適切な空間を
確保できれば,運転席囲いの最小空間は,図4及び図5の規定より小さくてもよい。
運転員周囲の最小空間に対する修正は,次の事項を含む。
5.2.2.1
運転員の保護帽に対する余裕を与え,通常の座席使用に適合するためには,SIPから運転席の囲
いまでの高さを1 050 mm以上とする必要がある。運転席囲い内で保護帽を着用する必要のない機械用途
では,運転席囲いの高さの最小値を,1 000 mmに減らしてもよい。
5.2.2.2
運転席囲いの高さは,JIS A 8326で定義する座席の形式に応じて,次のように調整してもよい。
a) 垂直の座席サスペンションなしで40 mm減少。
b) 垂直の座席高さ調整なしで40 mm減少。
c) 後傾角が15°以上の座席は,その角度に応じて減少。
5.2.3
運転座席は,運転員が機械の側面を直接見ることができるようにするため,SIPから囲いの上部内
側面までの距離を325 mm以上確保できる場合は,周囲空間の幅方向の中心線からずらして設置してもよ
い。
5.2.4
ある特殊な機械(例えば,ミニ機械)では,この規格で推奨値する最小より狭い運転員周囲空間を
用いる必要があり得る。これらの機械では,運転員周囲の空間の内幅を最小650 mmまで減らしてもよい。
この最小幅の周囲空間を用いる場合は,運転員の操作性及び快適性を確保するため,操縦装置の配置を十
分考慮する必要がある。
5.2.5
運転員が,(例えば,ミニショベルのように)通常かじ取り操作のために前方に傾いたり,(例えば,
小形のブルドーザのように)機械後方直近の視界が必要とされる場合は,SIPから運転員囲いの後端まで
の最小すき間R3を,250 mmに座席の前後調整量の半分を加えた値まで減少してもよい。
7
A 8315:2010 (ISO 3411:2007)
単位 mm
1
周囲空間の内側寸法
2
座席基準点(SIP)
注記 幅方向の寸法は,左右対称である。図示寸法の値は,表1を参照。
図4−通常の運転員周囲の最小空間−着席時運転員の場合
8
A 8315:2010 (ISO 3411:2007)
単位 mm
1
周囲空間の内側寸法
注記 R2の寸法は,表1に示す。囲いの幅寸法と操縦装置とのすき間は,図4に示すものと同じ。
図5−通常の運転員周囲の最小空間−起立時運転員の場合
表1−寸法(図4及び図5参照)
記号
名称
寸法
mm
R1
SIPと囲い内側の天井間の距離
− サスペンション及び高さ調節装置付きの座席に着座した保護帽着用の運転員
− サスペンション及び高さ調節装置付きの座席に着座した保護帽を着用しない運転員
a)
最小1 050
最小1 000
R2
運転席の囲いの内部の壁が相互に交わる部分及び壁が天井と交わる部分の半径
最大250
R3
SIPから後側の壁までの距離
b)
L1
(SIPと囲い内部の天井間の距離)R1を保つべき範囲のSIPからの前方水平距離
最小500
h1
囲いの上部の側壁の下端のSIPからの垂直距離
最大150
h2
囲いの上部の後壁の下端のSIPからの垂直距離
c)
W
脚部の空間幅
最小560
C1
囲いの上部で側壁と前腕及び手とのすき間
最小500
C2
靴でペダルなどの足操作をしているときの運転員の靴と囲いとのすき間
最小30
注a) SIPから運転員の頭上に格納した前窓までの高さは,920 mm以上でなければならない。
b) 最小b+400 mm。ここに,bは水平方向の座席調節量の半分とする。5.2.5参照。
c) この距離は,座席を最低位置に調節したときの背もたれの上端とSIPとの垂直距離以下とする。
9
A 8315:2010 (ISO 3411:2007)
参考文献 [1] JIS Z 8500:2002 人間工学−設計のための基本人体測定項目
注記 対応国際規格:ISO 7250:1996,Basic human body measurements for technological
design(MOD)
[2] ISO 15534-3:2000,Ergonomic design for the safety of machinery−Part 3: Anthropometric data