A 8308:2003 (ISO 6165:2001)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人 日本建
設機械化協会(JCMA)/財団法人 日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正す
べきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS A 8308:1998は改正され,この規格に置き換えられる。
改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 6165:2001,Earth-moving machinery
―Basic types―Vocabularyを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,
このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登
録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
A 8308:2003
(ISO 6165:2001)
土工機械―基本機種―用語
Earth-moving machinery―Basic types―Vocabulary
序文 この規格は,2001年に第1版として発行されたISO 6165:2001,Earth-moving machinery―Basic types
―Vocabularyを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,道路建設,ダム建設,溝掘削,建築現場,その他の工事で,土砂などの掘削,
積込み,運搬,ま(撒)きだし及び締固めの作業を行うように設計された土工機械の分類,用語とその定
義について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21に基づき,IDT(一致している),MOD(修
正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 6165:2001,Earth-moving machinery―Basic types―Vocabulary (IDT)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 8320 土工機械―機械全体,作業装置及び構成部品の質量測定方法
備考 ISO 6016:1998 Earth-moving machinery - Methods of measuring the masses of whole machines,
their equipment and componentsが,この規格と一致している。
JIS A 8313 土工機械--製品識別番号(PIN)
備考 ISO 10261:2002 Earth-moving machinery - Product identification numbering systemsが,この規
格と一致している。
3. 定義 土工機械の分類,用語及びその定義は,次による。
3.1
分類
3.1.1 土工機械(earth-moving machinery) 履帯(クローラ)式,車輪(ホイール)式(トラック式を含
む。)又は脚式の自走又は被けん引の機械で,エクィップメント及び/又はアタッチメント(作業具)を装
備し,主として土砂,岩又は類似の材料の掘削,積込み,運搬,まきだし,締固め又は溝掘りをするよう
に設計された機械。
備考 土工機械は,一般に乗車した運転員によって操縦されるが,遠隔操縦式又は歩行しながら運転
される手押し(ハンドガイド)式のものもある。
3.1.1.1
ミニ機械(compact machine) 運転質量(JIS A 8320参照)が 4 500kg以下の土工機械(3.1.1参照,
ショベル系掘削機を除く。)又は 6 000kg以下のショベル系掘削機(3.2.4参照)。
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A 8308:2003 (ISO 6165:2001)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考 6 000kg以下のショベル系掘削機は,ミニショベルと呼ぶ。
3.1.2
機種(machine family) 同じ作業内容の目的で設計された機械グループ(3.1.1参照)。
備考 土工機械には,次の機種がある。
−ブルドーザ(トラクタドーザ,3.2.1参照)
−スクレーパ(3.2.7参照)
−ローダ(トラクタショベル,3.2.2参照)
−グレーダ(3.2.8参照)
−バックホウローダ(3.2.3参照)
−ランドフィルコンパクタ(3.2.9参照)
−ショベル系掘削機(エキスカベータ,3.2.4参照)
−ローラ(3.2.10参照)
−トレンチャ(3.2.5参照)
−パイプレイヤ(3.2.11参照)
−ダンパ(重ダンプトラック及び不整地運搬車,3.2.6参照)
3.1.3
機械の型式/形式(machine model/type) 一つの機種に対する製造業者の指定する呼び。
備考 各機種には,製造業者が呼称する数種類の型式/形式の機械があってもよい。
3.1.4
個別機械(individual machine) 個々の機械をはっきり識別するための固有の識別番号をもつよう
製造された機械。
備考 JIS A 8313に基づく製品識別番号(PIN)は,個々の機械を明白に識別する。
3.2
機種の定義
3.2.1
ブルドーザ(トラクタドーザ,tractor-dozer) 自走する履帯(クローラ)式又は車輪(ホイール)
式のエクィップメント付き機械で,主として機械の前進動作によって土砂などを掘削,押土及び整地作業
を行うドーザアタッチメント又は押す力若しくは引く力によって作業を行うアタッチメントを装着したも
の。
3.2.2
ローダ(トラクタショベル,loader) 自走する履帯(クローラ)式又は車輪(ホイール)式の機械
で,前部に(バケットを用いて)積込み作業を行うエクィップメントを装備し,機械の前進動作によって
土砂などをすくい(掬)込み又は積込みを行うもの。
備考 ローダの作業サイクルは,通常,土砂などのすくい込み,持上げ,運搬及び放出で構成される。
3.2.2.1
スイングローダ(swing loader) 正面の位置から左右に回転できる揺動式のリフトアームをもつ
ローダ(3.2.2参照)。
備考 スイングローダの作業サイクルは,ローダのサイクルと同様であるが,機械の前後方向中心軸
に対してエクィップメントを左右にずらすことにより,更なる作業ができる。
3.2.2.2
スキッドステアローダ(skid-steer loader) 通常,左右のアタッチメント支持構造物の間に運転席
があり,固定式車軸をもち,左右の駆動装置の速度を変えるか,逆回転させることによって操向するロー
ダ(3.2.2参照)。
3.2.3
バックホウローダ(backhoe loader) 自走する履帯(クローラ)式又は車輪(ホイール)式の機械
で,その主フレームの前部にローダ装置を,後部にバックホウ装置(通常アウトリガ付き)を,それぞれ
装備するよう設計されたもの。
備考1. バックホウ作業時は,機械の下部走行体を停止したままで,通常は地面より下方を掘削する。
ローダ作業時は,バケットを用い,土砂などを機械の前進動作によってすくい込みをする。
2. バックホウの作業サイクルは,通常,掘削,土砂などの持上げ,旋回及び放出で構成される。
ローダの作業サイクルは,通常,土砂などのすくい積込み,持上げ,運搬及び放出で構成さ
れる。
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A 8308:2003 (ISO 6165:2001)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.2.4
ショベル系掘削機(エキスカベータ,excavator) 自走する履帯(クローラ)式,車輪(ホイール)
式(トラック式を含む。)又は脚歩行式の機械で,通常は,エクィップメントを装着した360°旋回できる
上部旋回体をもち,作業サイクル中は下部走行体を停止したままで,主としてバケットによって,土砂な
どを掘削するように設計されたもの。
備考 ショベル系掘削機の作業サイクルは,通常,土砂などの掘削,持上げ,旋回及び放出で構成さ
れる。
3.2.4.1
超小旋回形油圧ショベル(minimal swing radius excavator;MSRX) 狭い空間で作業するために,
作業装置(エクィップメント及びアタッチメント)を装備した上部旋回体が,下部走行体の幅の 120 %以
内で旋回できる油圧ショベル(3.2.4参照)。
3.2.4.2
脚式ショベル系掘削機(walking excavator) 三本以上の支持脚をもったショベル系掘削機(3.2.4
参照)。脚は屈折及び/又は伸縮してもよく,先端に車輪を取り付けてもよい。
3.2.4.3
機械式ショベル(ケーブルエキスカベータ,cable excavator) 自走する履帯(クローラ)式の機械
で,ワイヤロープで操作される作業装置(エクィップメント及びアタッチメント)を搭載した上部旋回体
をもち,主としてドラグライン,ショベル又はグラブを用いて掘削する機械(3.2.4参照)。
3.2.5
トレンチャ(trencher) 自走する履帯(クローラ)式又は車輪(ホイール)式の機械で,後部及び
/又は前部にエクィップメント又はアタッチメントをもち,主として機械が動きながら連続して溝を掘削
するように設計されたもの。
備考 アタッチメントは,掘削チェーン式,ホイールディスク式,プラウブレード式又は類似のもの
からなる。
3.2.6
ダンパ(重ダンプトラック及び不整地運搬車,dumper) 自走する履帯(クローラ)式又は車輪(ホ
イール)式の機械で,開放形の荷台 (open body)をもち,土砂などを運搬し,ダンプ又はまきだしするも
の。
備考1. ダンパへの積込みは,他の機械によって行われる。
2. ミニダンパには,自ら積み込む装置を備えたものがある。
3.2.6.1
固定フレーム式ダンパ(rigid-frame dumper) 固定フレームをもち,車輪又は履帯(クローラ)で
かじ取りするダンパ(3.2.6参照)。
3.2.6.2
屈折フレーム式ダンパ(アーティキュレートダンプトラック,articulated frame dumper) 屈折式
フレームをもち,それによってかじ取りを行うダンパ(3.2.6参照)。
3.2.6.3
旋回式ダンパ(swing dumper) 360°旋回する上部旋回体をもつダンパ(3.2.6参照)。
備考 上部旋回体は,固定フレーム,開放形の荷台及び運転席をもち,下部走行体は,履帯(クロー
ラ)式又は車輪(ホイール)式からなる。
3.2.7
スクレーパ(scraper)自走又は被けん引の履帯(クローラ)式又は車輪(ホイール)式の機械で,車
軸間に切刃の付いたボウル(open bowl)を備え,機械の前進動作によって土砂などを切削,積込み,運搬,
放出及びまきだしするもの。
備考 機械の前進動作による積込みを,ボウルに装着した動力装置(エレベータ)によって補助する
ものもある。
3.2.7.1
被けん引式スクレーパ(towed scraper) けん引機械によって駆動される,自走式でないスクレー
パ(3.2.7参照)。運転席は,けん引機械上にある。
3.2.8
グレーダ(grader) 自走する車輪(ホイール)式の機械で,前後の車軸間に調整可能な排土板(ブ
レード)をもつもの。
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A 8308:2003 (ISO 6165:2001)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考1. グレーダは,前部又は車軸間に備えることもできる排土板(ブレード)又はスカリファイヤ
をもつこともできる。
2. グレーダは,主として前進動作によって,土砂などの整地,法面成形,溝掘り及び路面かき
起こしをするように設計される。
3.2.9
ランドフィルコンパクタ(landfill compactor) 自走する車輪(ホイール)式の締固め機械で,前部
にエクィップメントとしてドーザ又は積込用アタッチメントをもち,廃棄物を破砕及び締め固める車輪を
装備したもの。機械は,走行動作によって土砂,埋立て材又は廃棄物を,移動,整地又は積み込む。
3.2.10 ローラ(roller) 自走式又は被けん引の締固め装置をもった機械で,一つ以上の鉄輪又はゴムタイヤ
をもち,締固め装置の転動及び/又は振動によって,砕石,土砂,アスファルト舗装材,砂れきなどを締
め固めるもの。
3.2.10.1 被けん引式ローラ(towed roller) けん引機械によって駆動される自走式でないローラ(3.2.10参
照)。運転席は,けん引機械上にある。
3.2.11 パイプレイヤ(pipelayer) 自走する履帯(クローラ)式又は車輪(ホイール)式の機械で,主フレ
ーム,荷つり上げ機構,鉛直方向に回転するサイドブーム及びカウンタウエイトからなるパイプ敷設作業
機を装備し,主としてパイプをつり込み及び敷設するように設計されたもの。