A 8303 : 1998 (ISO 7457 : 1997)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS A 8303 : 1987は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,対応する国際規格に整合させるために,ISO 7457 : 1997, Earth-moving machinery−
Determination of turning dimensions of wheeled machinesを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,
このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案出
願にかかわる確認について,責任をもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
A 8303 : 1998
(ISO 7457 : 1997)
土工機械−ホイール式機械の
回転半径測定方法
Earth-moving machinery−Determination of
turning dimensions of wheeled machines
序文 この規格は,1997年第2版として改正投票に付されたISO 7457, Earth-moving machinery−
Determination of turning dimensions of wheeled machinesを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更する
ことなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,ホイール式土工機械がエクイップメント及びアタッチメントを装着した状態
で,平たん路面で回転するときに描かれる回転直径,回転半径,機械最外側回転直径,タイヤ最内側及び
最外側の回転直径を求める方法について規定する。
この規格は,操向可能なすべてのホイール式土工機械について,使用する操向装置の形式に関係なく適
用する。
2. 引用規格 次に掲げる引用規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構
成する。これらの引用規格のうちで,発効年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定
を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年(又は発行年)を付記していな
い引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 8308 土工機械−基本的機種−用語
備考 ISO 6165 : 1997, Earth-moving machinery−Basic types−Vocabularyが,この規格と一致してい
る。
ISO 5010 : 1992 Earth-moving machinery−Steering requirement−Rubber-tyred machines
ISO 9248 : 1992 Earth-moving machinery−Units for dimensions, performance and capacities, and their
measurement accurasies
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS A 8308及び次による。
3.1
回転中心 (turning centre) 一定回転半径で回転するときの中心となる点(図1参照)。
3.2
回転直径 (turning diameter) 機械が7.に規定された測定手順によって,実行可能な最急回転すると
きに,又はスキッドステアローダのときは計算[図1 a)参照]によって,タイヤの中心が試験場の路面に
描く軌跡の最大円の直径(図1参照)。
3.3
回転半径 (turning radius) 回転直径 (3.2) の半分(図1参照)。
2
A 8303 : 1998 (ISO 7457 : 1997)
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3.4
機械最外側回転直径 (machine clearance diameter) 機械が7.に規定された測定手順によって,実行
可能な最急回転するときに,又はスキッドステアローダのときは,計算[図1 a)参照]によって,機械,
そのエクイップメント及びアタッチメントの鉛直射影の最外側点によって描かれる最小円の直径(図1参
照)。
備考 機械最外側回転直径は,エクイップメント及びアタッチメントの種類によって異なるので,こ
れらを測定結果記録表に記載する。
図1 回転と各直径との関係
3
A 8303 : 1998 (ISO 7457 : 1997)
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3.5
最外タイヤ外側及び最内タイヤ内側回転直径 (outer and inner tyre clearance diameter) 機械が7.に規
定された測定手順によって,実行可能な最急回転するときに,負荷を受けて変形しているいちばん外側と
内側のタイヤの垂直方向の直径断面(下部)の各最も外側と内側の点によって描かれた軌跡の直径(図1
及び図2参照)。
備考 機械の負荷状態の標準は,6.で定義する状態。
図2 最外タイヤ外側回転直径
3.6
Uターン所要最小路面幅 (non-stop 180°turn width) 機械が停止することなしに180°方向変換す
るのに,タイヤの軌跡上必要な最小の路面幅(図3参照)。
4
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備考 図示のようにアーティキュレート式ホイールローダの場合の前輪
軌跡と後輪軌跡は同じ線上,軸距の中心より前方に屈折点がある場
合は前輪タイヤの軌跡は後輪の軌跡の内側となる。
図3 Uターン所要最小路面幅
4. 測定場所 測定場所は,締め固められた,又は舗装された路面とし,タイヤとの粘着性がよく,また,
マーキングが読みやすく,機械の回転によってマーキングが消えにくい場所とする。測定場所の表面は,
視覚的に平たんで,どの方向に対してもこう配が3%以内とする。測定場所は,十分な広さをもち,試験
機械がそれぞれの試験を行いうる場所とする。
5. 測定設備 次の測定機器又は同等のものを用意するものとする。
5.1
鋼製巻尺 直径又は半径を計測するのに十分な長さをもち,1cm単位まで計測できるものとする。
5.2
下げ振り 回転直径(又は半径)の測定で,必要に応じて使用する。
参考 タイヤ最外側及び最内側,機械最外側点を求めるために用いるもので,鋼製の円すい形おもり
につり糸をつけたもの。
5.3
ペダル踏力計 試験を行うために必要に応じて使用する。
5
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6. 測定準備
6.1
輪距が調整可能な機械の場合は,その輪距を計測し記録する。タイヤ空気圧力は機械製造業者の指
定どおりに調整する。製造業者が路面の状態によって種々の空気圧力やバラストについて指定していると
きは,硬い路面用に調整する。タイヤサイズと空気圧力を記録する。
6.2
機械は,その運転時の状態とし,装備したエクイップメント及びアタッチメント,並びにその位置
を記録する。
6.3
動かすことのできるエクイップメントなどは,指定された走行姿勢とする。
6.4
積荷装置は,6.4.1から6.4.3(ISO 5010参照)に規定した,負荷状態か空車状態にする。
6.4.1
自走式スクレーパ及びダンプトラックは,製造業者の指定する機械総質量及び軸質量配分とし,製
造業者によって認められたエクイップメント及びアタッチメントの最も重い組合せの質量に,75kgの運転
員及び規定量の燃料を含めたものとする。
6.4.2
ホイールローダ,ホイールトラクタ,エキスカベータ及びグレーダは,製造業者の指定する運転質
量とし,製造業者によって認められたエクイップメント及びアタッチメントの最も重い組合せの質量でか
じ取り軸に最大の負荷を与えるもので,75kgの運転員及び規定量の燃料を含んだものとする。
6.4.3
かじ取り能力に関連する全構成部品の設定は,製造業者の仕様によるものとする。
すなわち,タイヤサイズと圧力,油圧及び流量,警報装置の作動点など。
7. 測定手順
7.1
操向ハンドル式及びアーティキュレート式による右回転
7.1.1
機械は,操向装置(例えば,操向ハンドル)を右一杯の状態にし,最小回転直径が描けるように,
できるだけ低速で前進運転する。
7.1.2
機械は,操向装置の位置を変化させずに,できるだけ低速で前進運転をして完全な回転を行い,こ
の間一定の短い間隔で停止する。
適当な停止点で,下げ振りを用いて路面に投影をマークする。投影は,次によって行う。
a) 最外輪の負荷時に最外側となる点。この点から最外タイヤ外側回転直径を求める。
備考 計測した車輪が外側に傾いている場合は,タイヤの上部から鉛直に投影して車輪の最外側の位
置を決め,タイヤ最外側の回転直径又は半径を追加判定するのが望ましい。
b) 最内輪の負荷時に最内側となる点。この点から最内タイヤ内側回転直径を求める。
備考 車輪が内側に傾いている場合は,更にそれを考慮に入れる。
c) 機械最外側点は,機械及び附属品の中で最も大きい円を描く点のことである。この点から機械最外側
回転直径を求める。
7.1.3
最外タイヤ外側回転直径は,円周上でほぼ等間隔の3点か,それ以上の点で測定する。この3点以
上の測定値の平均を算出して記録する。さらに,負荷変形した部分で測定した最外タイヤ幅を最外タイヤ
外側直径から減じ,右回転直径として記録する。また,補足としてこの直径の半分を右回転半径として記
録する。
7.1.4
最内タイヤ内側回転直径は,円周上でほぼ等間隔の3点か,それ以上の点で測定する。この3点以
上の測定値の平均を算出して記録する。
7.1.5
機械最外側回転直径は,円周上でほぼ等間隔の3点か,それ以上の点で測定する。この3点以上の
測定値の平均を算出して記録する。
機械最外側回転直径は,機械最外側点の投影点と最外タイヤ外側点との距離を2倍し,最外タイヤ外側
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回転直径に加えて求めることもできる。
7.1.6
以上の方法で求める各直径の測定方法の代わりとして,図4に示す関係式を用いて円周上の等間隔
の3点間の距離を求めて計算することができる。
図4 円周上の等間隔の3点を用いた実測値からの直径計算式
7.1.7
右Uターン所要最小路面幅 (図3参照)は,以下の手順によって求める。
a) 機械はアーティキュレートしない状態,又は操向しない状態とする。機械中心線に平行に機械左側に
基準線を引く。
b) 機械停止状態で操向装置を右へ最大角度まですえ切りする。そして機械を前進走行して270°回る間
に一定間隔で7.1.2で示す最外タイヤ外側点をマークしていく。
回転の最初はa)において描いた線に最も近くからマークするものとする。
c) a)において描いた線に直角な方向で測定し,b)におけるマークのa)において描いた線からの遠い距離
から近い距離を減じた値 (d1−d2) が右Uターン所要最小路面幅である。
7.1.8
同等の精度が得られる他のどのような方法を用いてもよい。
7.1.9
各々の測定は3回実施し,その平均値を求めて測定結果として記録する。
7.2
操向ハンドル式及びアーティキュレート式による左回転 機械は,操向装置を左一杯の状態とし,
7.1の右回転と同様にそれぞれの測定を行い,左回転時の回転径として記録するものとする。
7.3
スキッドステア式機械の測定 回転中心,回転直径,回転半径及び機械最外側回転直径は,機械の
図面から,計算によって求められる[図1及び図1 a)参照]。3.5及び3.6は適用されない。
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A 8303 : 1998 (ISO 7457 : 1997)
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8. ブレーキ操向式機械の任意測定手順 ブレーキ操向式機械については,内側の操向されない車輪にブ
レーキを450Nのペダル踏力か,又は450N以下で車輪がロックする場合はロックするのに必要なペダル踏
力をかけて,7.で規定した測定手順を繰り返す。
得られた結果は,“ブレーキ使用”として記録するものとする。7.で記載した測定手順の結果は,“ブレ
ーキなし”として記録する。
9. 測定結果 次の内容の事項を測定結果記録表に記録する。
a) 製造業者名
b) 機械形式
c) 機種,製造番号
d) 装備品とその位置
e) タイヤサイズ
前輪左
前輪右
後輪左
後輪右
f)
タイヤ空気圧力 (kPa)
前輪左
前輪右
後輪左
前輪右
g) 輪距 (mm)
h) 最外タイヤ外側回転径 (m)
1) ブレーキ非使用右回転半径
直径
2) ブレーキ非使用左回転半径
直径
又は
3) ブレーキ使用右回転半径
直径
4) ブレーキ使用左回転半径
直径
i)
最内タイヤ内側回転径 (m)
1) ブレーキ非使用右回転半径
直径
2) ブレーキ非使用左回転半径
直径
又は
3) ブレーキ使用右回転半径
直径
4) ブレーキ使用左回転半径
直径
j)
回転径 (m)
1) ブレーキ非使用右回転半径
直径
2) ブレーキ非使用左回転半径
直径
又は
3) ブレーキ使用右回転半径
直径
4) ブレーキ使用左回転半径
直径
k) 機械最外側回転径 (m)
1) ブレーキ非使用右回転半径
直径
2) ブレーキ非使用左回転半径
直径
又は
8
A 8303 : 1998 (ISO 7457 : 1997)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3) ブレーキ使用右回転半径
直径
4) ブレーキ使用左回転半径
直径
l)
Uターン所要最小路面幅 (m)
1) ブレーキ非使用右回転
2) ブレーキ非使用左回転
又は
3) ブレーキ使用右回転
4) ブレーキ使用左回転
すべての測定値はメートルで記録し,小数点以下2けた表示とする。
JIS原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
藤 本 義 二
株式会社エミック
藤 野 達 夫
通商産業省機械情報産業局
天 野 徹
工業技術院標準部
高 橋 元
労働省労働基準局安全衛生部
高 田 邦 彦
建設省建設経済局建設機械課
吉 田 正
建設省土木研究所材料施工部
津 村 勝 之
建設省建設大学校建設部
永 盛 峰 雄
千葉工業大学
杉 山 庸 夫
社団法人日本建設機械化協会
大 橋 秀 夫
学識経験者
今 井 俊 行
住友建機株式会社設計開発室
吉 田 正 和
株式会社小松製作所技術本部
吉 田 雄 彦
三菱重工業株式会社相模原製作所
小 栗 匡 一
新キャタピラー三菱株式会社技術部
穴 見 悠 一
小松メック株式会社技術管理室
矢 仲 哲太郎
株式会社神戸製作所建設・汎用機械本部
渡 辺 正
日立建機株式会社品質保証本部
北 崎 誠
東洋運搬機株式会社竜ヶ崎工場
杉 山 篤
水資源開発公団第一工務部
小 室 一 夫
西松建設株式会社平塚製作所
根 尾 紘 一
株式会社熊谷組工事総合本部機材購買部
水 口 弘
株式会社大林組東京本社機械部
山 岸 宏 充
大成建設株式会社機械部
木 村 隆 一
鹿島建設株式会社土木技術本部
後 町 知 宏
日本鋪道株式会社総合技術本部
野 村 昌 弘
国土開発工業株式会社
(事務局)
川 合 雄 二
社団法人日本建設機械化協会