A 6206:2013
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 種類······························································································································· 2
5 品質······························································································································· 2
6 原材料···························································································································· 3
7 試験方法························································································································· 3
8 検査······························································································································· 4
9 包装······························································································································· 4
10 表示 ····························································································································· 4
11 報告 ····························································································································· 4
附属書A(規定)高炉スラグ微粉末のモルタルによる活性度指数及びフロー値比の試験方法 ··············· 6
附属書B(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表 ······························································· 8
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,鐵鋼スラグ協会
(NSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の
審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS A 6206:2008は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格
JIS
A 6206:2013
コンクリート用高炉スラグ微粉末
Ground granulated blast-furnace slag for concrete
序文
この規格は,せん鉄製造過程で生成する高炉水砕スラグを粉砕した微粉末を,コンクリートとして用い
るために必要な品質などについて規定したものである。この規格は,1995年に制定され,その後3回の改
正を経て今日に至っている。また,技術上重要な改正に関する旧規格との対照を附属書Bに記載する。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,コンクリート又はモルタルに混和材料として用いる高炉スラグ微粉末について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS R 5201 セメントの物理試験方法
JIS R 5202 セメントの化学分析方法
JIS R 5204 セメントの蛍光X線分析方法
JIS R 5210 ポルトランドセメント
JIS R 9151 セメント用天然せっこう
JIS Z 1505 クラフト紙袋−セメント用
JIS Z 1534 重包装用ポリエチレン袋
JIS Z 8801-1 試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい
JIS Z 9015-0 計数値検査に対する抜取検査手順−第0部:JIS Z 9015抜取検査システム序論
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
高炉水砕スラグ
高炉でせん鉄と同時に生成する溶融状態の高炉スラグを水によって急冷したもの。
3.2
高炉スラグ微粉末
高炉水砕スラグを乾燥・粉砕したもの,又はこれにせっこうを添加したもの。
2
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3.3
基準モルタル
高炉スラグ微粉末の品質の試験において,普通ポルトランドセメントを用いて作製した基準とするモル
タル。
3.4
試験モルタル
高炉スラグ微粉末の品質の試験において,普通ポルトランドセメントと試験の対象とする高炉スラグ微
粉末を,質量で等量ずつ用いて作製したモルタル。
3.5
活性度指数
基準モルタルの圧縮強度に対する試験モルタルの圧縮強度の比を分率で表したもの。
3.6
フロー値比
基準モルタルのフロー値に対する試験モルタルのフロー値の比を分率で表したもの。
4
種類
高炉スラグ微粉末の種類は,比表面積によって次の4種類とする。
a) 高炉スラグ微粉末3000
b) 高炉スラグ微粉末4000
c) 高炉スラグ微粉末6000
d) 高炉スラグ微粉末8000
5
品質
高炉スラグ微粉末の品質は,表1による。
表1−高炉スラグ微粉末の品質
品質
高炉スラグ
微粉末3000
高炉スラグ
微粉末4000
高炉スラグ
微粉末6000
高炉スラグ
微粉末8000
密度
g/cm3
2.80以上
2.80以上
2.80以上
2.80以上
比表面積
cm2/g
2 750以上
3 500未満
3 500以上
5 000未満
5 000以上
7 000未満
7 000以上
10 000未満
活性度指数 %
材齢7日
−
55以上
75以上
95以上
材齢28日
60以上
75以上
95以上
105以上
材齢91日
80以上
95以上
−
−
フロー値比
%
95以上
95以上
90以上
85以上
酸化マグネシウム
%
10.0以下
10.0以下
10.0以下
10.0以下
三酸化硫黄
%
4.0以下
4.0以下
4.0以下
4.0以下
強熱減量
%
3.0以下
3.0以下
3.0以下
3.0以下
塩化物イオン
%
0.02以下
0.02以下
0.02以下
0.02以下
3
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6
原材料
6.1
高炉水砕スラグ
高炉水砕スラグは,塩基度が1.60以上のものを用いる。
塩基度は,次の式によって算出する。各成分の定量方法は,JIS R 5202又はJIS R 5204による。ただし,
試料は,比表面積が4 000 cm2/g程度になるように粉砕したものを用いる。
2
3
2
SiO
O
Al
MgO
CaO
b
+
+
=
ここに,
b: 塩基度
CaO: 高炉水砕スラグ中の酸化カルシウムの含有量(%)
MgO: 高炉水砕スラグ中の酸化マグネシウムの含有量(%)
Al2O3: 高炉水砕スラグ中の酸化アルミニウムの含有量(%)
SiO2: 高炉水砕スラグ中の二酸化けい素の含有量(%)
6.2
せっこう
せっこうは,JIS R 9151に規定するセメント用天然せっこう又はこれに準じるものを用いる。
6.3
粉砕助剤
高炉水砕スラグを粉砕するときに粉砕助剤を用いる場合は,高炉スラグ微粉末の品質に影響を及ぼさな
いことを確かめなければならない。その使用量は,高炉スラグ微粉末に対して,質量で1 %以下とする。
7
試験方法
7.1
試料
試料の調製は,次による。
a) 試料は,検査単位について平均品質を示すように,適当量の高炉スラグ微粉末を採取し縮分する。そ
の採取方法及び縮分方法は,受渡当事者間の協議によって決める。
なお,適当量とは,縮分後の試料が5 kg以上になる量をいう。
b) 採取し縮分した試料は,JIS Z 8801-1に規定する金属製網ふるい850 μmでふるって雑物を除去し,防
湿性の気密な容器に密封して保存する。試験に際しては,あらかじめ試験室内に入れ,室温と等しく
なるようにする。
7.2
密度
密度の試験は,JIS R 5201の6.(密度試験)による。ただし,試料の質量は,90 gとする。
注記 セメントの場合よりも空気が抜けにくいので,注意する必要がある。
7.3
比表面積
比表面積の試験は,JIS R 5201の7.1(比表面積試験)による。ただし,試料の質量は,ブレーン空気透
過装置のセルに粉末度測定校正用標準試料と同程度の加圧力で詰めることのできる量とする。
7.4
活性度指数及びフロー値比
活性度指数及びフロー値比の試験は,附属書Aによる。
7.5
酸化マグネシウム
酸化マグネシウムの定量方法は,JIS R 5202の箇条11(酸化マグネシウムの定量方法)又はJIS R 5204
による。
7.6
三酸化硫黄
三酸化硫黄の定量方法は,JIS R 5202の箇条12(三酸化硫黄の定量方法)による。
4
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7.7
強熱減量
強熱減量の定量方法は,JIS R 5202の箇条5(強熱減量の定量方法)による。ただし,加熱温度は700
±25 ℃とする。
7.8
塩化物イオン
塩化物イオンの定量方法は,JIS R 5202の箇条18(塩素の定量方法)による。
8
検査
高炉スラグ微粉末の検査は,合理的な抜取検査方式によって試料を抜き取り,箇条7に規定する試験を
行い,箇条5に適合したものを合格とする。検査ロットの大きさは,JIS Z 9015-0又は受渡当事者間の協
定による。試験結果は,期間を定め保管する。
9
包装
高炉スラグ微粉末を包装する場合は,JIS Z 1505に規定するクラフト紙袋(セメント用),又はJIS Z 1534
に規定する重包装用ポリエチレン袋に入れ,包装する。
10 表示
高炉スラグ微粉末を包装する場合は包装袋に,包装しない場合は送り状に,次の事項を表示する。
なお,出荷日は,受渡当事者間の協定によって適当な形式の表示を記入して差し支えない。
a) 名称(コンクリート用高炉スラグ微粉末)
b) 種類(例 高炉スラグ微粉末4000)
c) 正味質量
d) 製造業者名又はその略号
e) 製造工場名又はその略号
f)
製造年月日,製造年月,製造期間,又は製造ロット番号,若しくはいずれかの略号
11 報告
製造業者は,購入者から要求があった場合には,試験成績表を提出しなければならない。試験成績表の
標準の様式は,表2による。
5
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表2−試験成績表の標準様式
高炉スラグ微粉末試験成績表
年
月度
生産者名
株式会社 印
種類
品質
高炉スラグ
微粉末3000
高炉スラグ
微粉末4000
高炉スラグ
微粉末6000
高炉スラグ
微粉末8000
JIS A 6206による規定値
試験値
密度
g/cm3
2.80以上
比表面積
cm2/g
2 750以上
3 500未満
3 500以上
5 000未満
5 000以上
7 000未満
7 000以上
10 000未満
活性度指数 %
材齢7日
−
55以上
75以上
95以上
材齢28日
60以上
75以上
95以上
105以上
材齢91日
80以上
95以上
−
−
フロー値比
%
95以上
95以上
90以上
85以上
酸化マグネシウム
%
10.0以下
三酸化硫黄
%
4.0以下
強熱減量
%
3.0以下
塩化物イオン
%
0.02以下
備考1. せっこう添加:有,無
2. 高炉水砕スラグの塩基度の試験値: (1.60以上)
3. 材齢28日の活性度指数は前月度,材齢91日の活性度指数は前々々月度の値を示す。
連絡先
○○○○株式会社
〒○○○−○○○○
○○県○○市
TEL
FAX
6
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附属書A
(規定)
高炉スラグ微粉末のモルタルによる活性度指数及び
フロー値比の試験方法
A.1 適用範囲
この附属書は,高炉スラグ微粉末のモルタルによる活性度指数及びフロー値比の試験方法について規定
する。
A.2 試験用機械器具
試験用機械器具は,JIS R 5201に規定するものを用いる。
A.3 試験に用いる材料
A.3.1 セメント
セメントは,任意に選んだ3生産者の,JIS R 5210に規定する普通ポルトランドセメントを,等量ずつ
用いる。
A.3.2 細骨材
細骨材は,JIS R 5201に規定する標準砂を用いる。
A.3.3 水
水は,精製水又は上水道水を用いる。
A.4 試料
試料は,7.1によって縮分し調製したものを用いる。
A.5 試験方法
A.5.1 モルタルの作り方
A.5.1.1 モルタルの配合
モルタルの配合は,表A.1による。
表A.1−モルタルの配合
単位 g
モルタルの種類
セメント
試料
細骨材
水
基準モルタル
450±2
−
1 350±5
225±1
試験モルタル
225±1
225±1
注記 表A.1は,1バッチ分の練混ぜ量を示したもので,断面40 mm平方,長さ160 mmの角柱供試
体3個分又はフロー試験2回分のモルタル量に相当する。
7
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A.5.1.2 練混ぜ
練混ぜは,JIS R 5201の10.4.3(練混ぜ方法)による。ただし,試験モルタルの場合には,試料は,セ
メントと同時に練り鉢に入れる。
注記 試料,セメント,細骨材及び水は,室温と等しくなるようあらかじめ試験室内に準備しておく。
A.5.2 供試体の作製
a) 基準モルタル及び試験モルタルを各々必要なバッチ数だけ練混ぜ,各バッチから断面40 mm平方,長
さ160 mmの角柱供試体を3個作製する。
b) 供試体の成形はJIS R 5201の10.4.4(成形)による。
c) 供試体を成形する試験室の温度及び湿度,型枠に詰めた供試体を貯蔵する湿気箱内の温度及び湿度並
びに水槽の水温はJIS R 5201の10.3(温度と湿度)による。
A.5.3 圧縮強度試験
a) 圧縮強度試験はJIS R 5201の10.5(測定)による。ただし,供試体は,断面40 mm平方,長さ160 mm
の角柱供試体3個を,JIS R 5201の10.5に規定する曲げ試験の要領によって,それぞれ二つに分割し
たものを用いる。
b) 圧縮強度の計算はJIS R 5201の10.6(計算)による。
注記 JIS R 5201の10.6によって求めた圧縮強さを,圧縮強度とする。
A.5.4 フロー試験
フロー試験は,JIS R 5201の11.(フロー試験)による。
A.6 活性度指数及びフロー値比の計算
A.6.1 活性度指数
各材齢の活性度指数は,次の式によって算出し,その数値は,四捨五入によって整数に丸める。
100
1
2×
c
c
As=
ここに,
As: 活性度指数(%)
c1: 各材齢における基準モルタルの圧縮強度(N/mm2)
c2: 各材齢における試験モルタルの圧縮強度(N/mm2)
A.6.2 フロー値比
フロー値比は,次の式によって算出し,その数値は,四捨五入によって整数に丸める。
100
1
2×
l
l
F=
ここに,
F: フロー値比(%)
l1: 基準モルタルのフロー値
l2: 試験モルタルのフロー値
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附属書B
(参考)
技術上重要な改正に関する新旧対照表
技術上重要な
改正項目
改正規格(JIS A 6206:2013)
旧規格(JIS A 6206:2008)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
B.1 高炉水砕
スラグ及び高
炉スラグ微粉
末の化学成分
分析方法の追
加
6.1 高炉水
砕スラグ
7.5 酸化マ
グネシウム
酸化カルシウム,酸化マグネシウム,酸化
アルミニウム,二酸化けい素の定量方法と
して,JIS R 5204(セメントの蛍光X線分析
方法)を追加。
6.1 高炉水
砕スラグ
8.5 酸化マ
グネシウム
酸化カルシウム,酸化マグネシウム,
酸化アルミニウム,二酸化けい素の定
量方法:JIS R 5202(セメントの化学分
析方法)
蛍光X線分析は既に工程管理と
して導入している製造工場が多
く,高炉スラグ及び高炉スラグ
微粉末に適用可能であることが
確認されたため,追加した。
B.2 高炉スラ
グ微粉末3000
の追加
4 種類
高炉スラグ微粉末4000,6000及び8000に
加え,高炉スラグ微粉末3000を追加。
4. 種類
高炉スラグ微粉末4000,6000及び8000 コンクリートの温度ひびわれ抑
制対策として,利用拡大に対応
するため追加した。
B.3 高炉スラ
グ微粉末3000
の品質に関す
る規定の追加
5 品質
密度(g/cm3)
:2.80以上
比表面積(cm2/g) :2 750以上,3 500未満
活性度指数(%) :材齢 7日 −
材齢28日 60以上
材齢91日 80以上
フロー値比(%) :95以上
酸化マグネシウム(%):10.0以下
三酸化硫黄 (%): 4.0以下
強熱減量 (%): 3.0以下
塩化物イオン (%):0.02以下
5. 品質
−
高炉スラグ微粉末3000の品質
規格を新たに設けた。
2
A
6
2
0
6
:
2
0
1
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
技術上重要な
改正項目
改正規格(JIS A 6206:2013)
旧規格(JIS A 6206:2008)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
B.4 高炉スラ
グ微粉末4000
の比表面積の
変更
5 品質
比表面積(cm2/g):3 500以上,5 000未満
5. 品質
比表面積(cm2/g):3 000以上,5 000
未満
高炉スラグ微粉末3000の追加
に伴い変更した。
B.5 高炉スラ
グ微粉末6000
及び8000の
活性度指数規
定:材齢91日
の削除
5 品質
活性度指数の規定:材齢7日,材齢28日
5. 品質
活性度指数の規定:材齢7日,材齢28
日,材齢91日
高炉スラグ微粉末の活性度指数
は,材齢7日及び28日では粉末
度にほぼ比例して増大し,粉末
度が高いほど早期に終局値に近
づく傾向がある。高炉スラグ微
粉末6000及び8000の活性度指
数は,材齢28日でその終局値に
近づき,材齢28日までの規定で
十分であることから,材齢91
日の活性度指数の規定は削除し
た。
2
A
6
2
0
6
:
2
0
1
3