日本工業規格
JIS
A
5801
-1975
建築用防火木材
Fire-retardant Woods for Buildings
1. 適用範囲 この規格は,薬液処理を施した建築用防火木材(以下,防火木材という。)について規定す
る。
引用規格:
JIS A 1301 建築物の木造部分の防火試験方法
JIS A 5508 鉄丸くぎ
JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)
JIS Z 2102 木材の平均年輪幅・含水率及び比重測定方法
JIS Z 2113 木材の曲げ試験方法
2. 種別及び寸法 防火木材の種別及び製造寸法並びに使用に当たって加工する場合の寸法は表 1 による。
表 1
製造寸法
厚さ mm
種別
ひき立て材
かんな削り
仕上材
使用に当たって加工する場合の寸法
備考
屋外用 1 級 15∼45
幅・厚さにおいて 13mm 以下に加工してはならない
板
ひき割
屋外用 2 級 13
幅・厚さにおいて 11mm 以下に加工してはならない
板
屋外用 3 級 9
左記寸法から
2mm 以 内 を
減じてもよい
幅・厚さにおいて 7mm 以下に加工してはならない
板
屋内用 1 級 13∼45
幅・厚さにおいて 11mm 以下に加工してはならない
板
ひき割
屋内用 2 級 11
左記寸法から
2mm 以 内 を
減じてもよい
幅・厚さにおいて 9mm 以下に加工してはならない
板
備考 厚さのマイナスの許容差は認めない。
3. 品質
3.1
防火木材は,含水率 20%以下のものでなければならない。
3.2
防火木材は無節材で,割れ又ははなはだしいそりのないものでなければならない。ただし,最大径
2cm 以下の節及び長さ 10cm 以下の割れについては,裏打その他防火上有効な処理を施した場合は差し支
えない。
3.3
防火木材の処理に用いる薬液は,処理後に木材に支障をきたすような強酸・強アルカリでなく,鉄
類及び亜鉛を侵すおそれの少ないもので,かつ木材腐朽菌の繁殖を促さないものでなければならない。
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4. 試験
4.1
供試材及び試験体 供試材及び試験体は(1)∼(5)による。
(1) 防火木材は各処理単位ごとに樹種及び材種の区別によって心材の供試材を摘出し,この供試材から試
験体を採取する。
なお,試験において無処理材との比較を行う場合の無処理試験体採取用供試材は,同一樹種のもの
から当事者間で協定のうえ摘出する。
(2) 防火試験に用いる試験体の試験面の大きさは,30cm×30cm とする。
(3) 供試材から(2)の試験面の幅をもった試験体を採取することができない場合には,適当につぎ合わせた
試験体を用いても差し支えない。
(4) 試験体は,両面かんな削り仕上げをし,その厚さは表 2 による。
表 2
種別
試験体の厚さ mm
屋外用 1 級 13
屋外用 2 級 11
屋外用 3 級 7
屋内用 1 級 11
屋内用 2 級 9
(5) 試験体は,供試材の材幅のほぼ中心線にそって全長にわたり均分的に必要な個数だけ採取する。
4.2
防火試験
4.2.1
浸せき処理 屋外用防火木材の防火試験には,前処理として浸せき処理を行う。その方法は,試験
体を 2 枚重ね合わせ,分離しないように適当に処理し,四周面を適当な方法で防水被覆し,20℃の清水中
に 8 昼夜(192 時間)浸せきする。浸せき用水の容積は,浸せきする試験体の総容積の 50 倍以上とし,試
験体は,相互に又は容器内面に接触してはならない。
4.2.2
防火試験 屋外用防火木材は,4.2.1 の浸せき処理を終えた試験体を換気の良好な乾燥器の中で
50℃で 24 時間乾燥し,浸せき面を試験面として防火試験を行う。
屋内用防火木材は,含水率 16±2%の試験体について防火試験を行う。
防火試験は JIS A 1301(建築物の木造部分の防火試験方法)によって行い,その規定に合格しなければ
ならない。なお,防火試験中に板裏に達する割れ又は節抜けを生じてはならない。
4.3
さび試験 浸せき処理を行わない供試材から 1 枚又は 2 枚つぎ 5cm 角以上,供試材と同厚の試験体
を採取し,同樹種・同寸法の無処理試験体とともに 50℃で 24 時間乾燥した後,JIS A 5508(鉄丸くぎ)に
規定する清浄な鉄丸くぎ 5 本を鉛直に先端が 1cm 以上突出するように頭部まで打込み,これを底部に清水
を入れたデシケータ中にくぎの頭部を上にして静置し,50℃で 10 日間放置する。
次に防火木材試験体及び無処理試験体からくぎを抜き取り,これを JIS K 8576(水酸化ナトリウム)に
規定する水酸化ナトリウム溶液 (50%) 中で 30 分間同一条件で煮沸した後,鉄さびを十分に除く。この場
合鉄丸くぎの重量減少率が,無処理試験体のものに比べて同等以下でなければならない。
防火木材試験体及び無処理試験体は,それぞれ 3 個ずつ試験を行い,重量減少率はそれぞれ 3 個の平均
をとるものとする。
4.4
吸湿試験 浸せき処理を行わない供試材から 1cm 角,供試材と同厚の試験体を採取し,50℃で 24
時間乾燥した後,温度 25℃,湿度約 90%の容器中に 24 時間放置した後,重量増加率が同樹種・同寸法の
無処理のものに比べて 2 倍以内でなければならない。
この場合の防火木材試験体及び無処理試験体は,それぞれ 3 個ずつ試験を行い,重量増加率はそれぞれ
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3 個の平均をとるものとする。
4.5
強度試験 供試材と同厚の幅 3cm,長さ 30cm の短ざく形の試験体を採取し,これを 50℃で 24 時間
乾燥した後,JIS Z 2113(木材の曲げ試験方法)の規定に従って曲げ試験を行い,同樹種・同寸法の無処
理のものに比べて,曲げ強さの低下が 10%以内でなければならない。
なお,この試験は,当事者間の協定によって省略しても差し支えない。
4.6
含水率 含水率の測定方法は JIS Z 2102(木材の平均年輪幅・含水率及び比重測定方法)による。
5. 検査 防火木材は 4.の各試験を 3 回行い,3 回とも規定に合格しなければならない。
6. 表示 防火木材には種別・寸法(幅・厚さ)・製造業者名又はその略号及び製造年月日を明記しなけれ
ばならない。