A 5441:2003
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本建材産業協会(FECIMI)から,
工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経
済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 種類及び記号 ·················································································································· 1
5. 形状及び寸法 ·················································································································· 2
5.1 形状 ···························································································································· 2
5.2 寸法 ···························································································································· 2
5.3 寸法の許容差 ················································································································ 3
6. 品質 ······························································································································ 3
6.1 性能 ···························································································································· 3
6.2 外観 ···························································································································· 4
7. 試験方法 ························································································································ 4
7.1 試験の一般条件 ············································································································· 4
7.2 試験体 ························································································································· 4
7.3 寸法の測定 ··················································································································· 4
7.4 素材比重,含水率及び吸水率試験······················································································ 5
7.5 曲げ強度試験 ················································································································ 5
7.6 衝撃試験 ······················································································································ 6
7.7 吸水による長さ変化率試験······························································································· 6
7.8 耐凍結融解性試験 ·········································································································· 7
7.9 難燃性試験 ··················································································································· 8
8. 製品の呼び方 ·················································································································· 8
9. 検査 ······························································································································ 8
10. 表示 ···························································································································· 8
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日本工業規格 JIS
A 5441:2003
押出成形セメント板 (ECP)
Extruded cement panel
序文 この規格は,主として中高層の鉄骨造建築物の外壁及び間仕切壁に用いる押出成形セメント板の種
類,品質,試験方法などについて規定する。押出成形セメント板は,セメント,けい酸質原料及び繊維質
原料を主原料として,中空を有する板状に押出成形しオートクレーブ養生したパネルである。品質基準と
して,曲げ強度などの力学的性能及び耐水性,耐久性,難燃性を明確に規定し,使用者の選択がより容易
にできるように作成した日本工業規格である。
1. 適用範囲 この規格は,主として建築物の非耐力外壁及び間仕切壁に用いる材料で,セメント,けい
酸質原料及び繊維質原料を主原料として,中空をもつ板状に押出成形しオートクレーブ養生した押出成形
セメント板(以下,ECPという。)について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 1321 建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法
JIS A 1414 建築用構成材(パネル)及びその構造部分の性能試験方法
JIS A 1435 建築用外壁材料の耐凍害性試験方法(凍結融解法)
JIS B 7512 鋼製巻尺
JIS B 7516 金属製直尺
JIS K 1464 工業用乾燥剤
JIS K 8123 塩化カルシウム(試薬)
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
a) 繊維質原料 パルプ,ガラス質繊維など(石綿を使用してはならない)。
b) 押出成形法 形状に合わせた金型を通して,原料を連続して板状に押し出し成形する製法。
c) 働き幅 製品幅に目地幅(目地幅は製造業者ごとに定められている。)を加えた寸法。
4. 種類及び記号 ECPの種類は,表面形状及び充てん材によって表1及び表2のとおり区分する。
a) 表面形状による種類 表面形状による種類の区分は,表1による。
2
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表 1 表面形状の種類
種類
記号
備考
フラットパネル
F
表面を平滑にしたパネル
デザインパネル
D
表面にリブ及びエンボスを施したパネル
タイルベースパネル
T
表面にタイル張付け用あり(蟻)溝形状を施したパネル
b) ロックウール充てんの有無による種類 ロックウール充てんの有無による種類の区分は,表2による。
表 2 ロックウール充てんの種類
種類
記号
備考
ロックウール充てん品
R
中空部にロックウールを充てんしたパネル
5. 形状及び寸法
5.1
形状 ECPの形状の例を,図1に示す。
5.2
寸法 ECPの寸法及び許容差は,次による。
a) 標準品 標準品の寸法は表3及び寸法の許容差は表4による。
表 3 標準品の寸法
単位 mm
表面形状による分類
厚さ
働き幅
長さ
フラットパネル
35
450
5 000以下
50
500
600
60
450
75
500
600
900
1 000
1 200
100
450
500
600
デザインパネル
50
60
600
タイルベースパネル(2)
60
605以下(1)
注(1) タイルベースパネルの働き幅は,タイル割付に合わせる(図2参照)。
(2) タイルベースパネル表面のあり溝形状は,図3による。
b) 特注品 特注品の長さ及び製品幅は,受渡当事者間の協定による。ただし,許容差は,表4による。
3
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図 1 形状の例
図 2 製品幅及び厚さの例
図 3 タイルベースパネル表面のあり溝形状の例
5.3
寸法の許容差 標準品及び特注品の寸法許容差は,表4による。
表 4 寸法の許容差
単位 mm
長さ
製品幅
厚さ
0
0
+1.5
−2
−2
−1.5
6. 品質
6.1
性能 性能は7.によって試験し,表5の規定に適合しなければならない。
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表 5 性能
素材比重 曲げ強度
N/mm2
耐衝撃性
含水率
%
吸水率
%
吸水による
長さ変化率
%
耐凍結融解性
難燃性
1.7以上 17.6以上
割れ,貫通するき裂
があってはならな
い。
8以下 18以下 0.07以下
著しい割れ,膨れ,はく
(剥)離がなく,かつ,
質量変化率が5 %以下
難燃1級
6.2
外観 外観は,表6に適合しなければならない。
表 6 外観
欠点の種類
判定
汚れ,きず
著しく目立つものであってはならない。
反り,ねじれ
使用上支障があってはならない。
欠け,異物の混入
使用上支障があってはならない。
割れ,貫通するき裂
あってはならない。
7. 試験方法
7.1
試験の一般条件
a) 試験室の温度及び湿度 試験室の温度及び湿度条件は,JIS Z 8703に規定する標準温度条件15級 (20
±15) ℃及び標準湿度条件20級 (65±20) %RHによる。
b) 数値の丸め方 数値の丸め方は,JIS Z 8401による。
7.2
試験体
a) 試験体の大きさ及び個数 試験体の大きさ及び個数は,表7による。
表 7 試験体の大きさ及び個数
試験項目
試験体の大きさ
(長さ×幅)mm
試験体の個数
素材比重
100×100
3
曲げ強度
1 200×450以上
3
耐衝撃性
1 800×1 800(3)以上
1
吸水率
100×100
3
含水率
100×100
3
吸水による長さ変化率
160×40
2
耐凍結融解性
200×100
3
難燃性
220×220
1
注(3) パネル幅600 mmを3枚以上
b) 試験体の調整 試験体の調整は,気乾状態(4)とする。
注(4) 気乾状態とは,試験体の作製後,通風のよい室内で14日間放置した状態をいう。
7.3
寸法の測定 寸法の測定は,次による。
a) 寸法の測定枚数 寸法の測定枚数は,各製品種類ごとに3枚以上とする。
b) 寸法の測定位置
1) 厚さ 供試体の周辺から20 mm以上内側の四隅を1/20 mm精度のノギスで測り,4点の平均値を求
めてパネルの厚さとする。
2) 長さ及び幅 供試体を平らな面に置き,供試体のほぼ中央1か所の寸法をJIS B 7512に規定する目
量が1 mmの1級コンベックスルール又は,JIS B 7516に規定する目量が1 mmの1級直尺を用いて
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測定する。
7.4
素材比重,含水率及び吸水率試験 図4に示す位置から試験体(100×100 mm)を採取し,その質量
(W1)を測定する。次に,試験体を常温の水中に浸せきし,48時間経過した後,試験体を細い糸などで水
中につるしたときの質量(W2)を測定する。試験体を水中より取り出し,試験体各面をふき,直ちに質量
(W3)を測定する。その後,試験体を105±5 ℃に調節した熱風乾燥機内で48時間乾燥させた後,シリカ
ゲルを入れたデシケータ中に静置し,常温まで冷却したときの質量(W0)を測定する。質量は,それぞれ
0.1 gの精度まで測定する。
単位 mm
図 4 素材比重,含有率及び吸水率試験の試験体
a) 含水率 含水率は,次の式によって求める。
100
)
(
0
0
1
×
−
=
W
W
W
u
ここに,
u: 含水率(%)
W0: 乾燥時の質量(g)
W1: 試験体を採取したときの質量(g)
b) 吸水率 吸水率は,次の式によって求める。
100
)
(
0
0
3
×
−
=
W
W
W
Q
ここに,
Q: 吸水率(%)
W0: 乾燥時の質量(g)
W3: 吸水時の質量(g)
c) 素材比重 素材比重は,次の式によって求める。
100
)
(
2
3
0
×
−
=
W
W
W
ρ
ここに,
ρ: 素材比重
W0: 乾燥時の質量(g)
W2: 試験体を水中につるした時の質量(g)
W3: 吸水時の質量(g)
7.5
曲げ強度試験 曲げ強度試験は,JIS A 1414の6.10(単純曲げ試験)によって行う。試験体の幅及び
厚さは製品寸法とし,支持スパン長さは1 000 mm以上とする。加力方法は図5に示すような,2線荷重試
験装置を用い,使用時に想定される荷重を受ける面を上にして設置する。スパン中央の変位量について平
均変位速度が約5×10−2 mm/sec以下となるように載荷し,曲げ破壊荷重を求める。
曲げ強度は,次の式によって求める。ただし,断面係数は設計断面係数とする。
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Z
wL
Z
PL
F
8
8
2
b
+
=
ここに,
Fb: パネルの曲げ強度 (N/mm2) ,
P: 曲げ破壊荷重 (N)
L: 支持スパン長さ (mm)
Z: 断面係数 (mm3)
w: 試験体の自重 (N/mm)
図 5 曲げ強度試験
7.6
衝撃試験 衝撃試験は,JIS A 1414の6.15(衝撃試験)によって行う。試験体はパネル(1 800×600
mm)3枚を一組とし,鉄骨フレームにECPの標準工法で取り付ける。
図6に示すように,中央部のパネルに質量30 kgの砂袋を2 mの高さから1回落下させ,表裏面の割れ,
貫通するき裂のないことを目視によって確認する。ただし,厚さ35 mmのパネルは30 kgの砂袋を1 mの
高さから落下させる。
単位 mm
図 6 衝撃試験
7.7
吸水による長さ変化率試験 図7に示す位置から,長さ及び幅方向の試験体(160×40 mm)を採取
し,乾燥機に入れ,その温度を60±3 ℃に保ち24時間経過した後取り出して,JIS K 8123に規定する塩
化カルシウム又はJIS K 1464に規定するシリカゲルを入れたデシケータ中に静置し,常温まで冷却する。
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次に,図8に示すように,試験体の標線間隔が,約140 mmになるように標線を刻む。その後,1/500 mm
以上の精度をもつコンパレータを用いて標線間の長さを測定し,それを基準長さ(L1)とする。
次に,試験体の長さ方向を水平にこば立てし,その上端が水面下約3 cmとなるように保持して,常温の
水中に浸せきする。48時間経過した後,試験体を水中から取り出して湿布で表面に付着した水をふき取り,
再び標線間の長さ(L2)を測定し,長さ変化率(∆L)を次の式によって求める。
100
1
1
2
×
−
=
L
L
L
L
∆
ここに,
∆L: 吸水による長さ変化率 (%)
L1: 乾燥時の標線間の長さ (mm)
L2: 吸水時の標線間の長さ (mm)
単位 mm
図 7 試験体の採取位置
単位 mm
図 8 標線
7.8
耐凍結融解性試験 耐凍結融解性試験は,JIS A 1435の3.3(気中凍結水中融解法)によって試験し,
200サイクル時の外観検査及び質量変化率を求める。外観検査は,著しい割れ,膨れ,はく離の有無を確
認する。
質量変化率は,次の式によって求める。
100
0
0
n
×
−
=
W
W
W
rw
ここに,
rw: 質量変化率(%)
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W0: 48時間水中浸せきしたときの質量(g)
Wn: 200サイクル終了直後の質量(g)
7.9
難燃性試験 難燃性試験は,JIS A 1321による。
8. 製品の呼び方 ECPの呼び方は,次の例による。
例 F − 60 60 R
ロックウール充てんの有無による種類(R)
働き幅(cm)
厚さ(mm)
表面形状による種類(F,D,T)
9. 検査 合理的な抜取検査方式で行い,5.及び6.の規定に適合しなければならない。
備考 耐衝撃性,吸水による長さ変化率,耐凍結融解性及び難燃性の検査は,これらの性能に,影響
を及ぼす生産条件を変更したときに行う。
10. 表示 製品,包装又は送り状には,次の事項を表示する。
a) 種類又はこれを表す記号
b) 製造業者名又はその略号
c) 製造年月日又はその略号
d) 製品寸法
e) 面の表を表す表示
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