2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
A 5409-1993
鉄筋コンクリート組立塀構成材
Precast reinforced components for concrete fences
1. 適用範囲 この規格は,鉄筋コンクリート組立塀の構成材(以下,コンクリート組立塀という。)につ
いて規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS G 3112 鉄筋コンクリート用棒鋼
JIS G 3117 鉄筋コンクリート用再生棒鋼
JIS G 3532 鉄線
JIS R 5210 ポルトランドセメント
JIS Z 9001 抜取検査通則
2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考値である。
2. 種類 種類は,構成材とその曲げ強さ,寸法及び配筋によって表1のとおりとする。
表1 種類
控付柱
6番
7番
8番
9番
10番
柱
6番
7番
板
−
かさ木
−
隅柱
−
幅木
−
3. 品質
3.1
コンクリート組立塀の鉄筋は,正しく配筋されていなければならない。
3.2
コンクリート組立塀は,その表面が ち密で,有害な き裂,きずがなく,かつ,著しいひずみがあ
ってはならない。
なお,板の長手方向の反りの最大矢高は,3mm以上あってはならない。
3.3
コンクリート組立塀の曲げ強さ及び吸水率は,表2の規定に適合しなければならない。
2
A 5409-1993
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表2 曲げ強さ及び吸水率
構成材の種類
曲げ強さ
吸水率 %
ひび割れ発生荷重N {kgf}
破壊荷重N {kgf}
控付柱
6番
2 940.0 {300} 以上
8 820.0 {900} 以上
15以下
7番
3 920.0 {400} 以上
11 760.0 {1 200} 以上
8番
5 390.0 {550} 以上
15 680.0 {1 600} 以上
9番
6 860.0 {700} 以上
20 580.0 {2 100} 以上
10番
8 820.0 {900} 以上
25 480.0 {2 600} 以上
柱
6番
2 940.0 {300} 以上
8 820.0 {900} 以上
7番
3 920.0 {400} 以上
11 760.0 {1 200} 以上
板
1 274.0 {130} 以上
1 862.0 {190} 以上
かさ木
980.0 {100} 以上
1 470.0 {150} 以上
4. 形状,寸法及び配筋 形状,寸法及び配筋は,付図及び付表による。
5. 材料及び製造
5.1
セメントは,JIS R 5210に規定する早強ポルトランドセメント又は普通ポルトランドセメントとす
る。
5.2
骨材は,清浄・強硬・耐久的で,ごみ,泥,塩類などの有害量を含まず,細粗粒が適度に混合して
あり,その最大寸法は20mmで,製品最小厚の31未満,かつ,偏平又は細長の粒を含んではならない。
5.3
鉄筋は,JIS G 3112,JIS G 3117又はJIS G 3532に規定する棒鋼又は普通鉄線とする。
配筋は,JIS G 3532に規定するなまし鉄線による結束又は電気抵抗スポット溶接によって行うものとす
る。
5.4
コンクリート組立塀の製造に用いるコンクリートの調合は,表2に示す品質の製品を得るように定
め,セメント使用量は370kg/m3以上とする。製品の品質を悪くしない範囲で,表面活性剤,その他の適当
な混和材料を使用してもよい。
5.5
原料の練り混ぜにはミキサを用い,成形には動力による振動機を用いなければならない。
5.6
成形後は500度時(1)以上,湿度70%以上に保存した後 脱形し,その後7日間以上多湿の状態で養生
し,更に10日間以上保存してから出荷する。
注(1) 度時とは,養生温度 (℃) と養生時間 (h) の相乗積である。
備考1. 初期養生を行う場合には,次の注意が必要である。
(1) セメントが凝結を始める時間に,急激な温度の変化を与えないこと。
(2) 養生温度が5℃以下,65℃以上にならないように注意すること。
2. 湿潤養生期間中は,むしろ,布などで覆い,日光の直射を避ける。
6. 試験
6.1
数値の換算 従来単位の試験機又は計測器を用いて試験する場合の国際単位系 (SI) による数値へ
の換算は,次による。
1kgf=9.80N
6.2
曲げ試験
3
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6.2.1
控付柱の曲げ試験 控付柱は,5.6に規定する期間を経た気乾状態のものを用い,全形のまま図1
のように表3に示すスパンをとり,径30mmの鋼製丸棒で10×20×1cmの鉄板(2)を介して支え,一端をス
トッパで支え,控付柱の地上線上[施工高さ (H) から かさ木高さ75mmを引いた位置]に同様の丸棒を
介して荷重を加え,ひび割れ発生荷重(3)及び破壊荷重を求める。
注(2) 6番については,鉄板を介さなくてもよい。
(3) ひび割れ発生荷重とは,ひび割れが初めてできたときに試験機が示す荷重をいう。
図1 控付柱の曲げ試験
表3 支持スパン及び荷重スパン
単位mm
構成材の種類
支持スパン
荷重スパン
l
l1
l2
控付柱
6番
1 950
1 445
505
7番
2 250
1 745
8番
2 550
2 045
9番
2 850
2 345
10番
3 150
2 645
6.2.2
柱及びかさ木の曲げ試験 柱及びかさ木は,5.6に規定する期間を経た気乾状態のものを用い,全
形のまま図2のようにスパン1 500mmをとり,径30mmの鋼製丸棒で10×20×1cmの鉄板を介して支え,
スパンの中央に同様に丸棒を介して荷重を加え,ひび割れ発生荷重(3)及び破壊荷重を求める。
図2 柱及びかさ木の曲げ試験
4
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6.2.3
板の曲げ試験 板は,5.6に規定する期間を経た気乾状態のものを用い,全形のまま図3のように
板の一端を長手方向にスパン50cmをとり,径30mmの鋼製丸棒で支え,スパンの中央に同様の丸棒を介
して荷重を加え,ひび割れ発生荷重(3)及び破壊荷重を測定する。次に,前記の試験の際の板の他端につい
て,板の上面を下にして同様に試験し,ひび割れ発生荷重(3)及び破壊荷重を測定する。
1枚のひび割れ発生荷重(3)及び破壊荷重は,両端のいずれか小さい値をとる。
図3 板の曲げ試験
6.3
吸水試験 試験片は,実容積1l以上の破片を用い,これを温度105〜115℃の空気乾燥器内に入れて,
質量(4)の減少が24時間につき1%以内になったときの質量を乾燥時の質量とする。次に,これを15〜25℃
の水中に徐々に浸し,24時間後取り出して,1辺1cm以上の目の金網の上に載せ,1分間経過後手早く表
面の水をぬれ布でぬぐい,これを計量して吸水時の質量とする。
吸水率は,次の式で算出する。
100
(%)
×
−
=
乾燥時の質量
乾燥時の質量
吸水時の質量
吸水率
注(4) 吸水試験に用いるはかりは,供試体質量の0.5%まで正確に量ることができるものとする。
7. 検査
7.1
検査は,寸法,外観,曲げ強さ及び吸水率について行う。
7.2
検査は,JIS Z 9001によってロットの大きさを決定し,外観の検査については,10個のコンクリー
ト組立塀を,その他の試験については,標準偏差既知の場合はそれぞれ3個,標準偏差未知の場合は,そ
れぞれ7個の試験体を抜き取って行う。
外観の検査は,10個とも合格のときはそのロットを合格とする。
寸法,曲げ強さ及び吸水率の各検査は,次の式を満足すれば,そのロットを合格とする。
寸法及び曲げ強さの場合
σ
6.1
+
L
S
X≧
吸水率の場合
σ
6.1
−
U
S
X≦
ここに,
X: 3個の測定値の平均値
SL: 付表又は表2に示された下限規格値
SU: 表2に示された上限規格値
σ: 標準偏差で,一般には工場における過去のデータから求める。
検査データがなく,標準偏差未知の場合には,σを次の式によ
って求める。
2
2
7
2
6
2
5
2
4
2
3
2
2
2
1
7
07
.1
x
x
x
x
x
x
x
x
−
+
+
+
+
+
+
×
=
σ
5
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ここに,
σ: 標準偏差
x1, x2,……x7: 個々の測定値
x: 測定値の平均値
8. 製品の呼び方 コンクリート組立塀の呼び方は,種類による。
例1. 控付柱 6番
例2. 柱 6番
9. 表示 コンクリート組立塀には,次の事項を表示する。
(1) 製造業者名又はその略号
(2) 成形年月日
6
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付図 形状,寸法及び配筋
7
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付表 形状,寸法及び配筋
種類
高さ
長さ
断面各部の寸法
配筋
H
mm
主筋
副筋
L
l
許容差
a
b
c
d
e
f
許容差 径(5) 本数 径(5) 本数
mm
mm
mm
mm
mm
本
mm
本
控付柱
6番 1 820 2 350以上
0以上
−
120
106
320
45
90 45
+3
0
6
6
3.2
9
7番 2 120 2 650以上 300以上
−
120
106
320
45
90 45
+3
0
6
6
3.2
10
8番 2 420 2 950以上 600以上
−
120
106
320
45
90 45
+3
0
柱部6
4
3.2
11
控部9
2
9番 2 720 3 250以上 900以上
−
136
106
320
45
106 61
+3
0
9
6
3.2
13
10番 3 020 3 550以上 1 200以上
−
136
106
320
45
106 61
+3
0
9
6
3.2
14
柱
6番 1 820 2 350以上
−
−
120
106
−
−
−
−
+3
0
9
4
3.2
9
7番 2 120 2 650以上
−
−
120
106
−
−
−
−
+3
0
10
4
3.2
10
板
−
1 720
−
±2
30
297
−
−
−
− aは+3
−1
bは+3
0
3.2
3
3.2
6
かさ木
−
1 800
−
136
75
−
−
−
−
+3
0
3.2
4
3.2
6
注(5) 径は,該当JISに規定される公称径をいう。
備考 種類には,付表に示すもののほか,隅柱(隅柱図参照),幅木などがある。
隅柱に使用する鉄筋の径は,付表に示した控付柱及び柱に準じる。
隅柱図
8
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JIS A 5409 鉄筋コンクリート組立塀構成材
JIS 改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
栗 山 寛
東北大学名誉教授
後 藤 一 雄
名城大学理工学部建築学科
仕 入 豊 和
東京工業大学工学部建築学科
重 倉 祐 光
東京理科大学理工学部建築学科
岩 田 誠 二
通商産業省生活産業局窯業建材課
上 田 康 二
建設省住宅局建築指導課
室 橋 正太郎
建設省大臣官房官庁営繕部建築課
林 俊 太
工業技術院標準部材料規格課
伊 藤 昭
日本住宅公団本社建築部
高 橋 広 文
日本電信電話公社建築局
土 居 一 郎
株式会社間組建築本部建築部
逸 見 義 男
フジタ工業株式会社建築統括部技術課
中 島 勝 弥
社団法人日本建築士事務所協会連合会
浅 田 英 治
東日本セメント製品工業組合
円 山 隆
株式会社万代商会
三 浦 正 光
東洋コンクリート株式会社
石 井 澄 男
株式会社石井建材工業所
都 築 進
都建材工業株式会社
鈴 木 庸 夫
財団法人建材試験センター標準業務課
(事務局)
山 口 浩 司
財団法人建材試験センター標準業務課