2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
A 5208-1996
粘土がわら
Clay rooftiles
1. 適用範囲 この規格は,粘土を主原料として混練,成形及び焼成した粘土がわらについて規定する。
備考 この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,参
考値である。
2. 種類 粘土がわらは,その製法,形状及び寸法によって,次のとおり区分する。
(1) 製法による区分
(a) ゆう薬がわら(1)
(b) いぶしがわら
(c) 無ゆうがわら
注(1) ゆう薬がわらには,塩焼がわらを含む。
(2) 形状による区分
(a) J形粘土がわら J形粘土がわらは,基本形となる桟がわらと,軒がわら,そでがわら,のしがわら,
かんむり(がんぶり)がわらなどの役物とする(例図1〜5参照)。
例図1 桟がわら
例図2 軒がわら
例図3 そでがわら
例図4 のしがわら
例図5 かんむりがわら
(b) S形粘土がわら S形粘土がわらは,基本形となる桟がわらと,半がわら,そでがわら,かんむり
がわらなどの役物とする(例図6〜9参照)。
例図6 桟がわら
例図7 半がわら
例図8 そでがわら
例図9 かんむりがわら
2
A 5208-1996
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(c) F形粘土がわら F形粘土がわらは,基本形となる桟がわらと半がわら,そでがわら,かんむりが
わらなどの役物とする(例図10〜13参照)。
例図10 桟がわら
例図11 半がわら
例図12 そでがわら
例図13 かんむりがわら
(3) 寸法による区分
(a) J形
49A・49B・53A・53B・56・60
(b) S形
49A・49B
(c) F形
40
備考 F形についての40は一例であり,3.3m2当たりのふき枚数の概数値で区分する。
3. 品質
3.1
粘土がわらは,使用上有害な変形,きず及びき裂並びに焼成むら及び色調に著しい不ぞろいがあっ
てはならない。
3.2
粘土がわらは,5.3及び5.4に規定する試験を行い、表1の規定に適合しなければならない。
表1 曲げ破壊荷重及び吸水率
曲げ破壊荷重
N {kgf}
吸水率
%
桟がわら
のしがわら
ゆう薬がわら
いぶしがわら
無ゆうがわら
1 500 {153.0} 以上
600 {61.2} 以上
12以下
15以下
12以下
3.3
粘土がわらに耐凍害性の必要がある場合には,5.5に規定する試験を行い,ひび割れ及びはく離があ
ってはならない。
3.4
粘土がわらの役物の品質は,桟がわらと同等以上とする。ただし,のしがわらを除く役物は,曲げ
破壊荷重を適用しない。
4. 形状及び寸法
4.1
桟がわらの形状は,例図14〜16による。くぎあな又は針金あなの数は1個以上とし,引っ掛けをも
つものとする。
なお,引っ掛けは,桟木に十分に引っ掛かる形状及び寸法でなければならない。
4.2
桟がわらの寸法及び寸法許容差は,表2に示すとおりとする。ただし,F形桟がわらの寸法の表示は,
一例であり,長さ・幅・働き長さ・働き幅は,当事者間の協定による。
4.3
粘土がわらの役物の形状及び寸法は,桟がわらに組み合わせることができるものとし,その寸法許
容差は,桟がわらに準じる。
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備考 粘土がわらの表面及び裏面には,補強,水切りなどの目的で力骨,凸凹模様などを付けてもよ
い。くぎあな及び針金あなは,雨仕舞に支障を生じるものであってはならない。
例図14 J形桟がわら
例図15 S形桟がわら
例図16 F形桟がわら
表2 桟がわらの寸法
形状による
区分
寸法による
区分
寸法mm
参考
長さ
A
幅
B
働き寸法
許容差
谷の深さ
(山の高さ)
C
3.3m2当たりの
ふき枚数
(概数)
長さ
a
幅
b
J形
49A
315
315
245
275
±4
35以上
49
49B
325
315
250
265
53A
305
305
235
265
53
53B
295
315
225
275
56
295
295
225
255
30以上
57
60
290
290
220
250
60
S形
49A
310
310
260
260
50以上
49
49B
335
290
270
250
40以上
F形
40
350
345
280
305
(35以下)
40
備考1. J形桟がわらは,働き長さが表2の寸法より20mm小さいもの(深切がわら)も認める。また,働き幅が表2
の寸法より30mm小さいもの(調整がわら)も認める。
2. S形桟がわら49Aは,長さ320mmも認める。
5. 試験
5.1
試験体 粘土がわらの試験体は,気乾状態(2)の粘土がわら全形のままとする。ただし,曲げ試験に
用いるのしがわらの試験体は,割り線に沿って半裁したものを使用する。
注(2) 気乾状態とは,粘土がわらを乾燥した室内に静置し,ほぼ室温に達した状態をいう。
参考 のしがわらは,半裁で使用することを容易にするため,例図17に示すように表又は裏に割り線
が入れてあるものが多い。
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例図17 のしがわら
5.2
寸法測定 寸法測定は,次による。
(1) J形桟がわら J形桟がわらの長さ (A) 及び幅 (B) は,中央部直交線上,働き長さ (a) は,切り込み
間とする。谷の深さ (C) は,幅 (B) の測定線上で最深部とする。
(2) S形桟がわら S形桟がわらの長さ (A),幅 (B),谷の深さ (C) は,(1)のとおりとする。働き幅 (b) は,
49Aでは幅 (B) の測定値 (mm) から50mmを差し引き,49Bでは40mmを差し引く。
(3) F形桟がわら F形桟がわらの長さ (A),幅 (B),働き長さ (a),働き幅 (b) は,中央部直交線上とす
る。山の高さ (C) は,平坦部から頂上部とする。
5.3
曲げ試験 曲げ試験は,次による。
(1) J形及びS形桟がわらの曲げ試験 試験体を図1に示すように直径約30mmの鋼製丸棒で支持した後,
スパン中央に支持棒と平行させて直径約30mmの鋼製丸棒を用いて(3)荷重速度約50N/s {5.1kgf/s} で
均一に載荷し,曲げ破壊荷重を測定する。
(2) のしがわらの曲げ試験 試験体を図2に示すように直径約30mmの鋼製丸棒で支持した後,スパン中
央に支持棒と平行させて直径約30mmの鋼製丸棒を用いて(3)荷重速度約50N/s {5.1kgf/s} でかわら表
面から均一に載荷し,曲げ破壊荷重を測定する。
(3) F形桟がわらの曲げ試験 試験体を図3に示すように9mm以上の鋼製板上に約15×24mmの桟木を試
験体の引っ掛け部がかかるように置き,試験体中央を直径約65mm,厚さ約12mmの鋼製円盤を用い
て(3)荷重速度約50N/s {5.1kgf/s} で均一に載荷し,曲げ破壊荷重を測定する。
注(3) 試験体を支持する鋼製丸棒,鋼製板及び荷重をかける中央の鋼製丸棒,鋼製円盤が試験体に密
着し,かつ,試験体をほぼ水平に支持するために,適当なゴム板を鋼製丸棒,鋼製板及び鋼製
円盤と試験体との間に挿入する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1 桟がわらの曲げ試験
図2 のしがわらの曲げ試験
図3 F形桟がわらの曲げ試験
5.4
吸水試験 吸水試験は,次の方法によって質量を測定し,吸水率を算出する。
なお,質量は感度5g以上の精度で測定する。
(1) 乾燥時の質量の測定は,試験体を空気乾燥器に入れ,その温度を約110℃に保ち,24時間以上経過し
た後取り出して室内に静置し,室温に達したときの質量とする。
なお,窯出し直後の室温以上の粘土がわらを試験体として用いるときは,空気乾燥器による乾燥を
省略することができる。
(2) 吸水時の質量の測定は,次の(a)及び(b)のいずれの方法で測定してもよい。
(a) (1)の試験体を水温15〜25℃の清水中にこば(木端)立てし,その上面が水面下約10cmになるよう
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に全形を浸し,24時間以上経過した後取り出し,手早く湿布でふき,直ちに測定したときの質量と
する。
(b) (1)の試験体を1時間煮沸し,水温15〜25℃の清水中にて清水の温度まで冷却した後取り出し,手早
く湿布でふき,直ちに測定したときの質量とする。
(3) 吸水率は,次の式によって算出する。
100
g
g
g
%
×
=
)
乾燥時の質量(
)
)−乾燥時の質量(
吸収時の質量(
)
吸水率(
5.5
凍害試験 凍害試験は,次による。
(1) 試験体を水温15〜25℃の清水中に24時間以上浸し,吸水させてから取り出し,手早く試験体を湿布
でふき,直ちに−20±3℃の冷気中に試験体同士が接触しないようにこば立てし,8時間以上静置する。
(2) 次に,これを再び水温15〜25℃の水中に6時間以上入れた後,取り出して湿布でふき,試験体のひび
割れ及びはく離の有無を観察する。
(3) 凍結融解及び観察の操作を1回とし,所定の回数繰り返し(4)凍結融解によるひび割れ及びはく離の有
無を調べる。
注(4) 繰り返しの回数は,当事者間の協定による。
5.6
数値の換算 従来単位の試験機又は計測器を用いて試験する場合の国際単位系 (SI) による数値の
換算は,次による。
1kgf=9.80N
6. 検査 検査は,品質及び寸法について,合理的な抜取検査方式によって行い,3.及び4.の規定に適合
しなければならない。
7. 製品の呼び方 粘土がわらの呼び方は,次による。ただし,呼び方は,必要のない部分を除いてもよ
い。
例1. 粘土がわら
いぶし
J形
桟
53A
例2. 粘土がわら
ゆう薬
黄金色
S形
そで
49B
例3. 粘土がわら
ゆう薬
黒色
F形
桟
40
8. 表示 粘土がわらには,1枚ごとに次の事項を表示しなければならない。
(1) 製造業者名又はその略号
(2) 製造年月日又はその略号
9. 取扱い上の注意事項 粘土がわらの取扱説明書,カタログなどには,標準屋根こう(勾)配及びその
流れ長さを明記しなければならない。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS A 5208(粘土がわら)規格原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
大津賀 望
西東京科学大学
(主査)
宮 野 秋 彦
名古屋工業大学
稗 田 祐 史
建設省住宅局
伊 藤 弘
建設省建築研究所
富 田 育 男
通商産業省生活産業局
天 野 徹
工業技術院標準部
森 川 泰 年
愛知県常滑窯業技術センター
岸 賢 蔵
財団法人建材試験センター
大 野 和 男
住宅金融公庫
河 岡 道 顕
社団法人日本建築士事務所協会連合会
吉 留 一 馬
社団法人プレハブ建築協会
日 野 寿 郎
社団法人日本木造住宅産業協会
佐 藤 雅 一
全国中小建築工事業団体連合会
川 村 忠 吉
社団法人全日本瓦工事業連盟
(幹事)
佐 藤 太 郎
全国陶器瓦工業組合連合会
神 谷 治
愛知県陶器瓦工業組合
今 崎 一 治
石州瓦工業組合
岡 田 貞 夫
兵庫県粘土瓦協同組合連合会
(協力委員)
伊 藤 征 幸
愛知県三河窯業試験場
(事務局)
白 石 眞 吾
社団法人日本建材産業協会