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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 2
3 用語及び定義··················································································································· 2
4 種類······························································································································· 4
5 要求事項························································································································· 6
5.1 一般 ···························································································································· 6
5.2 駆動装置 ······················································································································ 7
5.3 ドアセット ··················································································································· 7
5.4 起動 ···························································································································· 8
5.5 危険領域の回避及び危険領域の保護 ·················································································· 9
5.6 追加要求事項 ··············································································································· 18
5.7 耐久性 ························································································································ 20
6 試験方法························································································································ 20
6.1 一般 ··························································································································· 20
6.2 試験条件 ····················································································································· 20
6.3 手動操作 ····················································································································· 21
6.4 耐久性試験 ·················································································································· 21
6.5 回転ドアセットの危険源に対する試験 ·············································································· 22
7 完工検査及び保全点検······································································································ 22
7.1 完工検査 ····················································································································· 22
7.2 保全点検 ····················································································································· 23
8 使用上の情報·················································································································· 23
8.1 一般 ··························································································································· 23
8.2 表示 ··························································································································· 24
附属書A(参考)各種自動ドアセットの主な用語の図解 ····························································· 25
附属書B(規定)測定箇所 ···································································································· 26
附属書C(規定)保護装置の試験 ··························································································· 29
附属書D(規定)低エネルギー自動ドアセット ········································································· 36
附属書E(規定)開き戸セットの安全防護 ··············································································· 38
附属書F(参考)回転ドアセットの危険箇所············································································· 40
附属書G(規定)完工検査書及び保全点検記録 ········································································· 43
附属書H(参考)危険源,危険状態及び危険事象のリスト ·························································· 44
附属書I(規定)電気的検知保護設備(ESPE)の要求事項 ·························································· 48
附属書J(規定)能動的光電保護装置(AOPD)の追加要求事項··················································· 51
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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附属書K(規定)拡散反射形能動的光電保護装置(AOPDDR)の追加要求事項 ······························ 53
附属書L(規定)圧力検知マット及び圧力検知フロアの要求事項 ················································· 60
附属書M(規定)圧力検知エッジ及び圧力検知バーの要求事項 ···················································· 64
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,全国自動ドア協会(JADA)及び一般財団法
人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工
業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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歩行者用自動ドアセット−安全性
Power operated pedestrian doorsets-Safety
序文
この規格は,歩行者用自動ドアセット(以下,自動ドアセットという。)に特有な危険源を考慮して作成
したものである。この規格で対象とする機械,及び危険源・危険状態・危険事象は,この規格の適用範囲
で示す。
この規格は,JIS B 9700に規定したタイプC規格である。このタイプC規格の規定が,タイプA規格又
はタイプB規格の規定と異なる場合は,このタイプC規格の規定が優先する。
1
適用範囲
この規格は,電力によって電気機械的に駆動する,自動ドアセットの使用時の安全性を確保するための,
要求事項及び試験方法について規定する。ただし,次のものには適用しない。
なお,この規格は,製造業者の指示事項に基づき,専門業者が設置,保全及び点検を行うことを意図す
る自動ドアセットを対象とする。また,人を安全に通行させることを主な用途として,他のドアセットに
組み込まれた自動ドアセットも含む。
自動ドアセットを意図するとおりに使用した場合,及び製造業者が合理的に予見可能な誤使用状態で使
用した場合の,自動ドアセットに関する全ての重要危険源,危険状態及び危険事象を附属書Hに示す。
− 垂直に動くドア
− エレベータのドア
− 車両のドア
− 産業プロセスで使用されるドア
− パーティションウォール
− プラットホームドア
− 銀行・空港などのセキュリティ用のドア
− 多機能トイレの出入口に設置されるドアセット
この規格は,自動ドアセットのうち,法令などで定める防火設備としての特殊機能は対象としない。こ
のような用途では,法令などで定める特殊機能がそれらの用途の要件に適合することが優先される。
この規格は,JIS C 61000-6-2で規定する電磁妨害の範囲外である環境での運転は対象としない。また,
この規格は,自動ドアセットの操作装置の無線部は対象としない。
この規格は,自動ドアセットから発生する騒音に関する特定の要求事項は,重要な危険源とみなさない
ため規定しない。
この規格は,爆発のリスクのある環境での使用は対象としない。
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2
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2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 9700 機械類の安全性−設計のための一般原則−リスクアセスメント及びリスク低減
JIS B 9703 機械類の安全性−非常停止−設計原則
JIS B 9704-1:2015 機械類の安全性−電気的検知保護設備−第1部:一般要求事項及び試験
JIS B 9704-2:2008 機械類の安全性−電気的検知保護設備−第2部:能動的光電保護装置を使う設備
に対する要求事項
JIS B 9704-3:2011 機械類の安全性−電気的検知保護設備−第3部:拡散反射形能動的光電保護装置
に対する要求事項
JIS B 9705-1 機械類の安全性−制御システムの安全関連部−第1部:設計のための一般原則
JIS B 9711 機械類の安全性−人体部位が押しつぶされることを回避するための最小すきま
JIS B 9715 機械類の安全性−人体部位の接近速度に基づく安全防護物の位置決め
JIS B 9717-1:2011 機械類の安全性−圧力検知保護装置−第1部:圧力検知マット及び圧力検知フロ
アの設計及び試験のための一般原則
JIS B 9960-1:2011 機械類の安全性−機械の電気装置−第1部:一般要求事項
JIS C 0920 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
JIS C 6802 レーザ製品の安全基準
JIS C 7550 ランプ及びランプシステムの光生物学的安全性
JIS C 9335-1 家庭用及びこれに類する電気機器の安全性−第1部:通則
JIS C 60068-2-6 環境試験方法−電気・電子−第2-6部:正弦波振動試験方法(試験記号:Fc)
JIS C 60068-2-14 環境試験方法−電気・電子−第2-14部:温度変化試験方法(試験記号:N)
JIS C 60068-2-78 環境試験方法−電気・電子−第2-78部:高温高湿(定常)試験方法(試験記号:
Cab)
ISO 13849-2,Safety of machinery−Safety-related parts of control systems−Part 2: Validation
ISO 13856-2:2013,Safety of machinery−Pressure-sensitive protective devices−Part 2: General principles for
design and testing of pressure-sensitive edges and pressure-sensitive bars
IEC 60947-1:2011,Low-voltage switchgear and controlgear−Part 1: General rules
IEC 61439-1:2011,Low-voltage switchgear and controlgear assemblies−Part 1: General rules
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 9700によるほか,次による。
3.1
歩行者用自動ドアセット(power operated pedestrian doorset)
歩行者が通行するための自動ドアセットで,手動又は蓄積された機械的エネルギーではなく,外部から
供給される電源によって,少なくとも1方向に移動する一つ以上の戸だけをもつもの。
なお,戸,駆動装置,起動装置,保護装置及び安全な作動に必要な構成部品を含む。
3.2
ドアセット(doorset)
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3
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自動ドアセットの構成要素のうち,駆動装置,起動装置及び保護装置を除く,固定要素(枠,サイドス
クリーンなど)及び可動要素(戸)からなるアセンブリ。
3.3
低エネルギー自動ドアセット(low energy power operated doorset)
自動ドアセットのうち,制限された運動エネルギーをもつもの。
3.4
ブレークアウト(break-out)
自動ドアセットの戸及び/又はサイドスクリーンを,手で押し開くことができる機能。
3.5
駆動装置(drive)
自動ドアセットの構成要素のうち,電動機,制御システム及び電気・電子・機械的な構成部品で構成さ
れ,戸を駆動する部分。
3.6
制御システム(control system)
起動装置,保護装置などからの信号を受け,駆動装置を制御する処理を行うシステム。
3.7
監視システム(monitoring system)
他のシステムが正しく機能していることを確認及び検証し,そのシステムに機能不良が発生したときは,
自動ドアセットを選択された安全な作動モードに切り換えるシステム。
3.8
起動装置(activator)
自動ドアセットの作動を開始する手段。
3.9
サイクル(cycle)
開作動及び閉作動からなる動き。
注記 自動回転ドアセット以外の場合,1サイクルは完全な開作動及び閉作動からなる。自動回転ド
アセットの場合,1サイクルとは1回の通過を指す。
3.10
かもい(lintel)
開口上方の負荷を支持するために開口頂部に渡された水平構造部材。
3.11
サイドスクリーン(side screen)
自動ドアセットの一部となり得る,固定された又はブレークアウト機能をもつ袖壁。
3.12
戸(leaf)
開口部を開閉するためのパネル状の可動要素。
3.13
前方立(leading mullion)
自動回転ドアセットの戸が曲面スクリーンを通過する,最初の方立。
注記 附属書A参照
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3.14
後方立(trailing mullion)
自動回転ドアセットの戸が曲面スクリーンを通過する,最後の方立。
注記 附属書A参照
3.15
有効開口幅(clear opening width)
自動ドアセットの戸が全開位置にあるときに(ただし,自動回転ドアセットを除く。),実際に通行可能
な開口部の幅。
注記 自動引き戸セット,自動バランスドアセット及び自動折り戸セットの場合,主閉エッジから,
対向閉エッジ又は面までの距離を指す。
3.16
主閉エッジ(main closing edge)
対向閉エッジに平行な,自動ドアセットの戸のエッジ。
注記 附属書A参照
3.17
対向閉エッジ(opposing closing edge)
自動ドアセットの動いている戸に対する,反対の戸の主閉エッジ,固定エッジ又は面から成るエッジ(例
枠,床)。
注記 附属書A参照
3.18
副閉エッジ(secondary closing edge)
主閉エッジ又は対向閉エッジを除く,自動ドアセットの戸の他の閉エッジ。
注記 附属書A参照
3.19
保護領域(protection area)
押しつぶし及び衝撃の危険源に対して,保護装置による安全防護を備える,主閉エッジ又は副閉エッジ
の軌跡及びその近傍の領域。
注記 引き戸セット及び折り戸セットの保護領域は,附属書Cを参照。
4
種類
自動ドアセットの構造的な種類は,表1による。
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表1−種類
種類
説明
自動引き戸セット
(power operated sliding doorset)
一つ以上の戸が隣接した構造物に平行なガイド内を水平に動くもの(図1参
照)。以下,“引き戸セット”という。
自動開き戸セット
(power operated swing doorset)
片側がヒンジ又はピボットで動くようにした戸をもつもの(図2参照)。以下,
“開き戸セット”という。
自動回転ドアセット
(power operated revolving doorset)
エンクロージャ内にある共通の垂直回転軸に接続された一つ以上の戸をもつ
もの(図3参照)。以下,“回転ドアセット”という。
自動折り戸セット
(power operated folding doorset)
片側をドアセットの枠に,ヒンジ又はピボットで取り付けた二つ以上の戸が,
一緒にヒンジで動くようにしたもの(図4参照)。以下,“折り戸セット”と
いう。
自動バランスドアセット
(power operated balanced doorset)
戸を回転させると同時に横にスライドさせるピボットをもつもの(図5参照)。
以下,“バランスドアセット”という。
a) 片引き
b) 引分け
c) 二重片引き
d) 二重引分け
e) 円形片引き
f) 円形引分け
図1−引き戸セットの例
a) 片開き
b) 両開き
図2−開き戸セットの例
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a) 2枚戸
b) 3枚戸
c) 4枚戸
d) 長円形
e) 2軸形
注記 図中の矢印は,一般的な回転方向を示す。
図3−回転ドアセットの例
a) 2枚戸
b) 4枚戸
図4−折り戸セットの例
a) 片開き
b) 両開き
図5−バランスドアセットの例
5
要求事項
5.1
一般
自動ドアセットは,手動ドアセットを自動に変更することを含め,この規格の要求事項を満たすように,
設計,製造,設置,運転,及び適切に保全し,次による。
a) 残留リスクがある場合は,使用者に注意を促すために警告表示を用いなければならない。
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b) 自動ドアセットは,切り傷,擦り傷などの負傷をもたらす鋭利な端部をもたないように,設計・設置
しなければならない。
c) 自動ドアセットは,安全に設置,使用,点検,保全及び分解できるように設計しなければならない。
d) 使用中の,構成部品又は部品の意図しない脱落を防止する方策を講じなければならない。
e) さらに,この規格では規定しない,関連するが重要ではない危険源については,JIS B 9700の原則に
従って自動ドアセットを設計しなければならない。
f)
この箇条の各要求事項は,目視検査,機能試験,測定,計算,その他の方法のいずれか一つ,又はそ
れらの組合せによって検証しなければならない。
5.2
駆動装置
5.2.1
一般
駆動装置は,意図する使用条件,及び合理的に予見可能な誤使用条件において,戸を安全に移動及び停
止するような構造でなければならない。始動,停止及び保護の全ての関連装置について,接続設備を設け
なければならない。
電気安全については,JIS C 9335-1の要求事項を満足しなければならない。
制御システムの安全関連部は,JIS B 9705-1のパフォーマンスレベル“c”に適合しなければならない。
5.2.2
電源遮断時の挙動
駆動装置の電源が,使用者,戸の移動制限装置又は停電によって遮断された場合,戸の動きは人を危険
にさらすことなく停止するか,又は1サイクル以上後に,所定の安全位置に達してから停止しなければな
らない。5.5.4に適合する低エネルギー作動は,人に対して安全であるとみなす。所定の安全位置には,あ
らゆる種類の蓄積エネルギー(例 バッテリー,機械的エネルギーなど)を用いて到達してもよい。電源
遮断の原因が取り除かれる,又は電源が復旧するまで,戸は静止していなければならない。
自動ドアセットが動いているときに停電又は瞬時停電が発生した場合,再始動したときに危険な状態と
なってはならない。
5.2.3
入力電源断路器
自動ドアセットには,全極遮断が可能な電源スイッチ又は差込プラグを装備しなければならない。電気
的駆動ユニットを差込プラグで接続するときは,電源スイッチは不要である。遮断の手段は,意図しない,
及び許可のない再投入に対して安全防護できるように,設計しなければならない。不可能な場合は,遮断
の手段がドアセットから視認できなければならない。
5.3
ドアセット
5.3.1
材料
材料は,鋭利な端部があってはならない。ガラスは,割れたとき鋭利な破片となってはならない。
透明な戸又は戸の表面は,例えば,恒久的なマーキング,適切なラベル又は着色材料を用いることによ
って,明瞭に認識できなければならない。
通常使用及び合理的に予見可能な誤使用において生じる力又は圧力による,戸又は他の部品のたわみが,
永久ひずみ又は脱輪を発生させてはならない。
5.3.2
戸の形状
戸には,切り傷,擦り傷などの負傷の原因となり得る,鋭利な端部はあってはならない。戸から突き出
した部品(例 錠,ハンドル)が,潜在的な危険源(例 引込み,せん断)となってはならない。
自動ドアセットのガラス戸が,全体的にかまちで囲われていない場合(例 ガラスが上部及び下部だけ
支持されている),ガラスはドアセットの作動中に硬い材料と接触してはならない。
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5.3.3
戸の移動制限装置
自動ドアセットの戸は,制限装置又は他の手段(例 機械的,電子的又は電気的な装置)によって,終
端移動位置を越えることなく,自動的に停止しなければならない。
5.3.4
手動操作
自動ドアセットを手動で操作できる場合,ハンドル・握りなど,手動操作用の要素は,すぐ近くの固定
要素又は可動要素との間で,挟込み,せん断及び引込みの危険源となってはならない。戸は,220 N以下
の力で開閉できなければならない。ただし,風,又は他の環境要因の影響は考慮しない。
なお,自動ドアセットの電源が切られた状態で,使用者が日常的に戸を手動で操作することが想定され
る場合,100 N以下の力で開閉できなければならない。
この要求事項は6.3の試験によって検証する。
5.4
起動
5.4.1
自動起動
5.4.1.1
一般
自動起動装置の選定及び配置は,歩行者の自動ドアセットへの予想される動線を考慮しなければならな
い。
注記1 自動起動装置の機能は,通常の歩行速度で自動ドアセットに接近する人によって,確実に自
動ドアセットを起動させることである。
注記2 自動ドアセットが公道に面しているなどの状況においては,歩行者が連続することで自動ド
アセットが常時開いた状態になることを避けるため,自動起動装置が作動するのは歩行者が
自動ドアセットに近づいてからでなければならず,自動ドアセットが開くのを歩行者が待た
なければならないこともある。自動ドアセットから,自動ドアセットが確実に遅れず開くよ
うに起動を開始する位置までの距離は,自動ドアセットの幅及びその開速度に影響される。
注記3 幾つかの方向から近づく動線があり得る場合は,追加の自動起動装置,又は自動起動装置の
組合せが必要となることもある。
注記4 自動起動装置には,電波センサ,赤外線センサ,マット,画像センサなどがある。
5.4.1.2
マット起動
マット起動装置の有効検知領域の最小幅は,有効開口幅より左右両側それぞれ,75 mmを減じた幅より
も大きくなければならない。
注記 マット起動装置の有効検知領域の最小奥行きは,自動ドアセットの幅に応じて変わる。
自動ドアセットが確実に遅れずに開くように,最小奥行きは自動ドアセットの面から,又は自動ドアセ
ットが進行方向とは反対に開く場合は,開位置にある自動ドアセットの先端エッジから,1 000 mmとする
ことが望ましい。
二つ以上のマット起動装置を並べて敷設する場合,隣接する縁の間の起動しない部分の距離が,60 mm
を超えてはならない。
二つのマット起動装置を敷居の部分を挟んで敷設する場合,それらの間の起動しない部分の距離が,75
mmを超えてはならない。
マット起動装置は,つまずきの危険源とならないように,確実に床に固定しなければならない。
5.4.1.3
センサ起動
動体検出装置又は存在検出装置は,所定の検出領域内での動き又は存在を検出できるので,自動ドアセ
ットが作動を開始するための自動起動装置として使用してもよい。自動ドアセットの種類によって,十分
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な自動起動装置を用意し,配置することに配慮しなければならない。
起動の検出領域は,自動ドアセットの戸の面の前方,1 000 mm以上であることが望ましい。
注記 動体検出装置又は存在検出装置は,人,物体などの動き又は存在を検出し,制御システムに信
号を送るように設計された装置である。
開き戸セットが歩行者に向かって開くとき,検出領域のエッジは,全開位置にある自動ドアセットの戸
の先端エッジから,1 000 mm以上でなければならない。
5.4.2
手動起動
手動起動指令は,自動ドアセットの戸を操作する(例 開き戸セットの戸を押す)ことで与えてもよい。
注記1 手動起動は,歩行者が手動起動装置を意図的に操作することによって,自動ドアセットを開
くことが可能となる。
注記2 手動で起動する自動ドアセットは,通常,所定の遅延時間後に自動的に閉じるように設計す
る。
手動起動は,例えば高齢で衰弱した人が自動ドアセットを開けるのを手助けするために,一般の人が使
用する自動ドアセットに備えてもよい。
手動起動装置の種類及びその位置は,歩行者のニーズを満足しなければならない。特に,開作動中に,
歩行者が自動ドアセットに妨げられたり,ぶつかったりしないように,よく見えるところに手動起動装置
は配置しなければならない。手動起動装置は,不用意な起動のリスクを最小化するように設計及び設置し
なければならない。手動起動装置は,歩行者の手の届くところに位置し,明瞭に識別及び視認できなけれ
ばならない。
なお,自動ドアセットが公道に面しているなどの特定の状況において,自動ドアセットの意図しない起
動を抑制するために手動起動装置を設置する場合は,連続して通行する歩行者を考慮し,次のa) 又はb) の
いずれかを満足しなければならない。歩行者の大部分が高齢者,障害者,子どもなどであるとき,歩行者
が戸に接触しないようにしなければならない。
a) 5.4.1.3のセンサ起動の要求事項を満たし,少なくとも閉作動中は有効となる自動起動装置が併用され
る。
b) 作動が5.5.4の低エネルギー作動の要求事項を満たす。
接触式の手動起動装置を戸の表面に設置する場合は,床面からその中心までの高さが950±50 mmとな
るように設置し,明瞭に識別及び視認できなければならない。
注記3 手動起動装置には,赤外線センサなどによる擬似的な接触式の手動起動装置によるものを含
む。
5.4.3
遠隔起動
遠隔起動のための遠隔指令は,火災報知設備,中央制御室又は他の発信源から送ってもよい。
注記 遠隔起動は,自動ドアセットから少し離れたところからの遠隔指令によって,自動ドアセット
を起動する。
5.5
危険領域の回避及び危険領域の保護
5.5.1
一般
自動ドアセットは,開作動又は閉作動における押しつぶし,せん断,衝撃及び引込みの危険源を回避す
るか,又はそのような危険源を安全防護するように設計しなければならない。
危険箇所は床面から高さ2 500 mmまで安全防護しなければならない。ただし,次の場合を除く。
a) 駆動装置のカバーのガイド溝部,駆動アーム,かもいの下の自動ドアセット上部の閉機構は,危険箇
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所であるとみなさない。これらの箇所への接触は意図的な行為を要するので,保護装置を備える必要
はない。
b) 指の捕捉を引き起こす戸と枠との間の危険箇所は,床面から高さ2 000 mmまでの安全防護とする。
また,危険源から保護するために,次の方策を用いてもよい。
− ガード(5.5.9参照)
− 防護柵(5.5.10及び5.5.11参照)
− 戸の力の制限(せん断及び引込みの危険源には適用しない)(5.5.7参照)
− 電気的検知保護設備(ESPE)及び/又は圧力検知保護設備(PSPE)(5.5.8参照)
− 安全距離(5.5.11参照)
− 低エネルギー作動(5.5.4参照)
5.5.2
引き戸セット
5.5.2.1
開作動
次の要求事項のいずれかを満たす場合,押しつぶし及び衝撃の危険源に関する安全防護は,開作動中の
危険箇所に備わっているものとみなす。歩行者の大部分が高齢者,障害者,子どもなどであるとき,歩行
者が戸に接触しないようにしなければならない。
a) 人体の危険にさらされる部位については,副閉エッジと周囲の隣接する部分との間に200 mm以上の
安全距離(Y)があり,戸が平面部と平行に動き,戸の前面と固定されたサイドスクリーンとの間の
距離(X)が100 mm以下である[図6 a) 参照]。
二重引き戸に対しては,測定の基準となる戸は周囲の隣接する部分に最も近い戸であるとみなす。
子どもに対する配慮が必要な場合は,次の追加要求事項のいずれかを満たすことが望ましい。
1) 副閉エッジと周囲の隣接する部分との間に300 mm以上の安全距離(Y)がある。
2) 戸の前面と固定されたサイドスクリーンとの間の距離(X)が70 mm以下である。
3) 副閉エッジの形状が,図7に規定する要求事項を満たす。
4) 戸の力が5.5.7で規定する限度値に制限されている。
b) 上記a) において,副閉エッジと周囲の隣接する部分(例 壁)との間に突き出した部分(例 枠)
がある場合,副閉エッジと突き出した部分との間に25 mm以上の安全距離(S)があり,突き出した
部分の前面と固定されたサイドスクリーンとの間の距離(Z)が100 mm以下である[図6 b) 参照]。
二重引き戸に対しては,測定の基準となる戸は周囲の隣接する部分に最も近い戸であるとみなす。
子どもに対する配慮が必要な場合は,次の追加要求事項を全て満たすことが望ましい。
1) 突き出した部分の前面と固定されたサイドスクリーンとの間の距離(Z)が70 mm以下である。
2) 戸の前面と固定されたサイドスクリーンとの間の距離(X)が70 mm以下であるか,又は副閉エッ
ジの形状が,図7に規定する要求事項を満たす。
3) 戸の力が5.5.7で規定する限度値に制限されているか,又は副閉エッジと突き出した部分との間に
100 mm以上の安全距離(S)がある。
c) 戸の力が5.5.7で規定する限度値に制限されており,戸が平面部と平行に動き,戸の前面と固定された
サイドスクリーンとの間の距離(X)が,150 mm以下である[図6 c) 参照]。
子どもに対する配慮が必要な場合は,a),b) 又はd)〜f) のいずれかを満たすことが望ましい。
d) 5.5.8に従った保護装置が副閉エッジと周囲の隣接する部分との間に備わっている。
e) 副閉エッジの領域が,5.5.9に従い,戸の前に8 mm以下,又は25 mm以上100 mm以下の距離に位置
するガードでカバーされている。
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f)
副閉エッジの領域が,5.5.10に従い,戸の前に8 mm以下,又は25 mm以上100 mm以下の距離に位
置する防護柵でカバーされている。
g) 作動が5.5.4の低エネルギー作動の要求事項を満足する。
注記 子どもに対する配慮が必要な場合などには,a)〜g) の要求事項を複数満たすことによって,さ
らなるリスク低減が可能となる。
図6 d) 及び図6 e) に示す安全距離を満足する場合,せん断及び引込みの危険源についての安全防護は,
開作動中の危険箇所に備わっているものとみなす。
単位 mm
Y
X
S
Y
Z
X
a) 押しつぶしの保護
b) 押しつぶしの保護
X
c) 戸の前面の距離
S
S
t
t
Y
S
d) せん断及び引込みの保護
e) 指の保護(引込み)
図6−引き戸セットの安全距離の例
単位 mm
R
X
2
U
a)
X
1
S
注a) 線形テーパ部に段差があってはならない。
図7−引き戸セットの副閉エッジの形状によるリスク低減
5.5.2.2
閉作動
次の要求事項のいずれかを満たす場合,安全防護は閉作動中の危険箇所に備わっているものとみなす。
歩行者の大部分が高齢者,障害者,子どもなどであるとき,歩行者が戸に接触しないようにしなければな
らない。
S>8
の場合t≧25
S>8の場合Y≧25
X1≦100
X2≦70
U≧20
45°≦R≦90°
S≦8
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a) 保護領域(附属書C参照)において,CA基準体が戸の移動領域の全ての位置で検出されるように,
5.5.8に従った保護装置が主閉エッジ側に備わっている。
b) 作動が5.5.4の低エネルギー作動の要求事項を満たす。
5.5.3
開き戸セット
5.5.3.1
一般
開作動又は閉作動の一部において,蓄積された機械的エネルギーで作動する場合,その部分の動きは
5.5.4で要求する低エネルギー設定に調整するか,又は5.5.3.2若しくは5.5.3.3の要求事項を満たさなけれ
ばならない。
人の往来がある領域に直接開く開き戸セットの場合,又は歩行者の大部分が高齢者,障害者,子どもな
どであって,歩行者が戸に接触してはならない場合,5.5.8に従った追加の保護装置を備えなければならな
い。
5.5.3.2
開作動
次の要求事項のいずれかを満たす場合,戸と周囲の隣接する部分との間の,押しつぶし及び衝撃の危険
箇所は,開作動中に安全防護されているとみなす。
a) 5.5.4で規定する低エネルギー作動の要求事項に従って調整されている。
b) 附属書Eで規定する安全防護の設定に従って調整され,十分な安全距離が備わっている[図8 a) 参
照]。
c) 戸の移動領域が,5.5.8に従った保護装置で監視されている(附属書C参照)。
d) 戸の移動領域が,附属書Lに従った圧力検知マットで安全防護されている。
5.5.3.3
閉作動
次の要求事項のいずれかを満たす場合,戸と周囲の隣接する部分との間の,押しつぶし,せん断及び衝
撃の危険箇所は,閉作動中に安全防護されているとみなす。
a) 5.5.4で規定する低エネルギー作動の要求事項に従って調整されている。
b) 附属書Eで規定する安全防護の設定に従って調整されている。
c) 戸の移動領域が,5.5.8に従った保護装置で監視されている(附属書C参照)。
d) 戸の移動領域が,附属書Lに従った圧力検知マットで安全防護されている。
5.5.3.4
戸と枠との間の副閉エッジの危険箇所
指の捕捉の危険源となる戸と枠との間の危険箇所は,構造的に,若しくは適切な保護装置によって回避
するか,又は保護方策によって安全防護しなければならない[図8 b) 参照]。
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単位 mm
X
Y
S
X
S
X
a) 安全距離
8以下
1
2
3
b) 安全方策
1
押出形材
2
ゴムのカバー
3
ゴム又は布地のカバー
図8−開き戸セットの安全距離及び安全方策の例
5.5.4
低エネルギー作動
5.5.4.1
一般
停止させた戸が更に開く又は閉じるのを抑えるのに必要な,移動方向の主閉エッジで測定した力は,開
作動又は閉作動中のいかなる箇所においても67 N以下でなければならない。
作動中の戸の運動エネルギーが1.69 J以下となるように,附属書Dに従って調整しなければならない。
瞬時停電又は駆動装置の故障の場合,移動方向の主閉エッジに力を加えたとき,ラッチを解除するのに
67 N以下,開くのに90 N以下の力で,戸を開けることができなければならない。
低エネルギー作動の自動ドアセットの使用は,リスクアセスメントで高齢,虚弱,又は障害のある歩行
者を考慮し,これらの歩行者に対するリスクが低い場合に限って,検討することが望ましい。
注記 低エネルギー作動の自動ドアセットは,運動エネルギーのレベルが危険であるとはみなさない
ので,通常,追加の保護装置で保護しない。
次のとき,最大150 Nの静的閉力は安全であるとみなす。
a) 開き戸セットの場合,主閉エッジと反対のエッジとの隙間が8 mm以下のとき。
b) 引き戸セット又は折り戸セットの場合,終端移動位置の手前50 mm以内のとき。
5.5.4.2
開き戸セットの低エネルギー作動の追加要求事項
5.5.4.2.1
開時間
開き戸セットは全閉から,バックチェック1)又は80°開くまでのいずれか早い方まで,表D.1に規定す
る最小開時間以上の時間で開かなければならない。60°開くより前でバックチェックとなってはならない。
開き戸セットが90°を超えて開く場合,バックチェック速度と同じでなければならない。
注1) “バックチェック”とは,開き戸セットが全開する前のチェック作動,又は開速度の減速のこ
X≦100の場合S≧25
100<X≦250の場合Y≧200
X>250の場合Y≧500
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とをいい,開チェックともいう。
5.5.4.2.2
閉時間
開き戸セットは90°から10°まで表D.1に規定する最小閉時間以上の時間で,10°から全閉まで1.5秒
以上の時間で閉じるように,現場で調整できなければならない。
5.5.5
バランスドアセット
バランスドアセットの安全防護は,様々な要因(例 構造的な条件,駆動位相,及び駆動装置の原理)
に依存するので,設置条件を考慮して実施しなければならない。
考えられる技術的な解決策の例を,次に示す。
a) 押しつぶし及びせん断の危険源に対する,5.5.11に従った安全距離及び5.5.10に従った防護柵。
b) 押しつぶし及び衝撃の危険源に対する,5.5.7に従った戸の力の制限。
c) 押しつぶし,せん断及び衝撃の危険源に対する,5.5.8に従った保護装置。
d) a)〜c) の組合せ。
5.5.6
折り戸セット
5.5.6.1
一般
指が押しつぶされる可能性があるヒンジの領域の危険箇所は,押出形材のような構造的な手段で回避す
るか,カバー又は保護装置で保護しなければならない[図8 b) 参照]。
図9に押しつぶしの危険源となる危険箇所を示す。
図9−折り戸セットの押しつぶしの危険箇所
5.5.6.2
開作動
次の要求事項のいずれかを満たす場合,開く自動ドアセットの戸の副閉エッジと対向閉エッジ(例 隣
接した壁)との間の押しつぶしのエッジ,及び二つの折れる戸の隙間は,保護されているとみなす。
a) 人体の危険にさらされる部位に関して,副閉エッジと周囲の隣接した部分との間に十分な安全距離が
ある[図8 a) 参照]。
b) 戸の力が,5.5.7で規定する限度値に制限されている。
c) 戸の移動領域が,5.5.8に従った保護装置で監視されている。
戸の力が5.5.7で規定する限度値に制限されている場合,戸の移動範囲内での衝突及び押しつぶしの危険
は,安全防護されているとみなす。
5.5.6.3
閉作動
5.5.7に従った戸の力の制限と組み合わせて,保護領域(附属書C参照)において,CA基準体が戸の移
動領域の全ての位置で検出されるように,5.5.8に従った保護装置が設置されている場合,主閉エッジの押
しつぶしのエッジは,保護されているとみなす。
戸の主閉エッジだけが人又は物にぶつかる可能性があるので,押しつぶしに対する適切な安全防護をこ
の領域に備えなければならない。
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折れる戸とかもいの下の駆動装置のカバーとの間の,押しつぶし及びせん断のエッジは,危険箇所であ
るとみなさない。
5.5.7
戸の力の制限
5.5.7.1
一般
戸の力の制限が保護装置によって達成される場合,5.5.8を満足するように装置を設計しなければならな
い。
5.5.7.2
動的力の限度値
人又は物に衝突したときに,自動ドアセットの戸によって発生する動的力の値は,6.2.2の測定器を用い
て,附属書Bで規定する測定箇所で測定したとき,表2で規定する限度値を超えない場合,安全であると
みなす。
表2−動的力の限度値
自動ドアセットの種類
動的力の限度値
測定箇所
閉エッジと対向閉エッジとの間の距離a)
200 mm以下
200 mm超
500 mm未満
500 mm以上
引き戸セット
400 N
700 N
1 400 N
図B.1及び図B.2
バランスドアセット
400 N
700 N
1 400 N
−b)
折り戸セット
400 N
700 N
1 400 N
図B.3
回転ドアセット
400 N
700 N
1 400 N
図B.4〜図B.6
注a) 対向閉エッジは,副エッジ,又は自動ドアセットの開口の周りの平らな領域である場合もある。
平らな領域は閉エッジ以外の領域であり,0.1 m2より大きく,100 mm未満の辺をもたない。
上記の数値は,最大で0.75秒の期間内の動的力の最大値である。
b) 様々な要因(例 構造的な条件,駆動位相,及び駆動装置の原理)を考慮して決定しなければならない。
図10に,力と時間との関係を示す。
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F
Fd
Td
Tt
t
Fs
150 N
80 N
80 N
Td 150 Nを超える力を最初に測定してから,最大0.75秒の期間(動的期間)
Fd Td以内で測定される最大の力(動的力)。動的力の限度値は表2参照
Tt 80 Nを超える力を最初に測定してから最大5秒の期間であり,Tdを含む。
Fs Tt以内で,かつTd以外で測定される最大の力(静的力)
図10−力と時間との関係
5.5.7.3
静的力の限度値
静的力は,Tdが経過した後に,150 Nを超えてはならない。この静的力は,Ttが経過した後に80 N未満
まで低下しなければならない。ただし,Tdが経過した後に150 Nを超えるが,表2に示す動的力の限度値
より低いピーク値は,次の場合,安全であるとみなす。
a) ピークが次第に減少している場合。
b) 振動の期間が1秒以下である場合。
c) Tt−Tdの期間で計算した平均の力が,150 N以下である場合。
5.5.8
保護装置
保護装置は,次による。
− 圧力検知保護設備(PSPE):表面に機械的な圧力が加わることによって,検出機能が作動するもの。
この保護装置は,危険箇所を完全に保護するように設置しなければならない。
− 電気的検知保護設備(ESPE):光,電波などの遮断若しくは反射,又はその他の原理によって,検出
機能が作動するもの。
保護装置は,次のとおり設計しなければならない。
a) 保護装置が作動している間,危険な戸の動きを防止する指令を与える。
b) JIS B 9705-1で規定するカテゴリ2に対応する保護装置の場合,保護装置のリセット後は,機能確認
を実行し,安全機能が正しく働いているときに限り,自動ドアセットの通常運転を開始する。さらに,
少なくとも1サイクルごとに,終端移動位置又は停止位置のいずれかにおいて,機能確認を実行し,
安全機能が正しく働いているときに限り,自動ドアセットの通常運転を継続する。
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c) 保護装置が作動した後に,5.5.7で規定する戸の力の制限を超えない。
d) 環境変化に対して継続的に適応するESPEは,少なくとも30秒持続する任意の環境変化に適応するよ
うに現場で調整する。
e) 屋外の条件にさらされるセンサ制御ユニット及び出力信号切換装置は,JIS C 0920に規定するIP44以
上の等級で保護する。
f)
保護装置は,附属書I〜附属書Mの要求事項に適合しなければならない。
5.5.9
ガード
エンクロージャ,カバー,ガード又は固定された保護用の戸のような保護方策は,次のとおり設計しな
ければならない。
a) 床面から2 500 mmの高さまでの危険箇所に手が届かない。
b) 鍵,工具などを使わなければ,取り外したり開けたりできない。
c) 更なる危険源(例 せん断又は引込み)を生じない。
5.5.10 防護柵
防護柵は,次による。
注記 防護柵は,歩行者の動線を案内する,又は歩行者が危険領域に進入することを回避するために
設置する。
a) 子どもが容易に上に登ったり,下に潜り込んだりできないように設計する。下部の床面との隙間は,
100 mm以下であることが望ましい。
b) 適切に固定し,水平荷重として,1 000 mm当たり490 Nの力で上部を押したとき,損傷してはならな
い。
c) 高さは900 mm以上とする。ただし,回転ドアセットの場合は,5.6.1.2を満たさなければならない。
防護柵を使用する場合は,新たな危険源となってはならない。
引き戸セットの場合の防護柵の例を,図11に示す。
B
A
A 動線を案内するための防護柵
B 危険領域への進入を回避するための防護柵
図11−引き戸セットの防護柵の例
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5.5.11 安全距離
押しつぶし又は引込みを防止する十分な安全距離は,次による。
− 指に対しては,8 mm以下又は25 mm以上。
− 頭に対しては,200 mm以上。
− 体に対しては,500 mm以上。
追加的な安全距離については,JIS B 9711による。
5.6
追加要求事項
5.6.1
回転ドアセットの追加要求事項
5.6.1.1
周速度
回転ドアセットの最大周速度は,650 mm/s以下でなければならない。
5.6.1.2
安全距離及び安全防護
回転ドアセットの危険箇所を附属書Fに示す。
5.6.1.2.1
主閉エッジと対向閉エッジとの間の危険箇所
主閉エッジと対向閉エッジとの間の危険箇所は,5.5.8に適合する保護装置で保護しなければならない。
保護装置が作動した後の戸の力は,特別な保護を必要とする人が使用する回転ドアセットの,主閉エッジ
と対向閉エッジとの間の危険箇所において,150 N以下でなければならない。この要求事項は6.5.2の試験
によって検証する。
保護装置が作動したとき,最大周速度から完全に停止するまでの制動距離は,先端エッジ及び前方立に
設けた緩衝材の合計収縮幅よりも小さくなければならない。ただし,緩衝材が5.5.7の要求事項を満たす
衝撃吸収能力をもつ場合は,その限りではない。
なお,戸又は前方立の構造の一部が緩衝材の機能をもつ場合,その機能による効果は緩衝材の収縮幅と
同等とみなしてもよい。
防護柵を設置する場合は,主閉エッジと対向閉エッジとの間の危険領域の外側に設置し,幅はこの領域
幅以上,及び高さは床面から1 100 mm以上でなければならない。
5.6.1.2.2
副閉エッジと床との間の危険箇所
回転ドアセットで使用する床の敷物は平らで,回転ドアセットの戸の掃引する領域の不均一さは4 mm
以下でなければならない。床の敷物の隙間は,幅4 mm以下でなければならない。
戸の下部エッジと床との隙間は8 mm以下とする。隙間が8 mmを超える場合は,5.5.8に適合する保護
装置で,隙間を保護しなければならない。この危険源が安全距離によって安全防護されている場合を除い
て,この要求事項は6.5.3の試験によって検証する。
5.6.1.2.3
主閉エッジと内側ウォールとの間の危険箇所
指の捕捉に対して保護するために,戸の外周エッジと,円形ウォール(drum wall)のあらゆる部分との
間の距離が,25 mm以上でなければならない。この要求事項は6.5.4の試験によって検証する。
回転ドアセットの円形ウォールのオフセット(ガラス押縁,緩衝ゴム材の取付部などとの段差)は,保
護されていない限り,10 mm以下でなければならない。
5.6.1.2.4
戸と歩行者との接触
戸との接触による,歩行者への衝撃の緩和が必要と判断される戸の領域については,5.5.8に適合する
PSPE及び/又はESPEを設置し,保護しなければならない。
さらに,直径が3 000 mmを超える回転ドアセットの場合,戸との接触による歩行者への衝撃が許容さ
れないと判断される戸の領域については,5.5.8に適合するESPEで保護しなければならない。この要求事
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項は6.5.5の試験によって検証する。
5.6.1.3
戸が15°を超えて旋回する場合の保護
ピボットをもつ回転ドアセットの戸には,15°を超える戸の旋回を検知するスイッチ(switching device)
が組み込まれていなければならない。スイッチが作動したときは,制御システムに停止信号を送信しなけ
ればならない。
戸を作動位置に復帰させた後は,監視システムによる機能確認を行い,全ての安全機能が適切に働いて
いる場合に限り,回転ドアセットの自動的な再始動が許可されなければならない。
5.6.1.4
非常停止
回転ドアセットは,JIS B 9703の停止カテゴリ1に従った非常停止機器を備えなえればならない。低エ
ネルギー回転ドアセットは,JIS B 9703の停止カテゴリ0に従った非常停止機器を備えなければならない。
非常停止機器は,建物の内部側のアクセス・ポイントに配置しなければならない。
非常停止機器をリセットした後は,監視システムによる機能確認を行い,全ての安全機能が適切に働い
ている場合に限り,回転ドアセットの自動的な再始動が許可されなければならない。
5.6.1.5
照明
通常の周囲の照明が,歩行者の安全を確実にするのに不十分である場合,回転ドアセットの掃引領域を
照らす適切な一体型の照明を備えなければならない。
回転ドアセットの掃引領域は,区画の中央において,床面から1 000 mmの高さで測定したとき,50 lx
以上でなければならない。
注記 このレベルは,通常の周囲の照明又は一体型の照明で実現できる。
5.6.1.6
閉じ込めの危険
通常の運用中,又は停電の場合に,回転ドアセットの通過領域に人が閉じ込められることがあってはな
らない。また,220 N以下の力で戸を開閉できなければならない。
この要求事項は6.3の試験によって検証する。
5.6.1.7
警告表示及び警報
回転ドアセットには,次の警告表示を見やすい箇所に表示しなければならない。
a) 区画内の定員の表示 区画内を安全に通行できる適切な定員を表示する。
b) 急停止の警告表示 通行中に急停止が発生する場合があることを表示する。
c) 進入方向の表示 回転方向,回転範囲,及び進入方向を表示する。
d) 駆込みに対する警告表示 主閉エッジと対向閉エッジとの間の危険領域への駆込み禁止を表示又は
通報(音声,警報など)する。
e) 立止まりに対する警告表示 主閉エッジと対向閉エッジとの間の危険領域での立止まり禁止を表示
又は通報(音声,警報など)する。
5.6.2
引き戸セットの追加要求事項
5.6.2.1
センサ起動
開口部に斜め方向から近づく歩行者の動線があり得る場合,起動の検出領域の幅は,有効開口幅に左右
両側それぞれ,150 mmを加えた幅以上であることが望ましい。
5.6.2.2
警告表示
開作動中の,戸と固定されたサイドスクリーンとの間の危険箇所における,指のせん断及び引込みの危
険源に対して,接触を禁止する表示を危険箇所の近傍に,次のとおりに行わなければならない。
a) 図12の図記号を用いる。
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b) 表示の背景色は白系統色とする。
c) 危険箇所において,少なくとも一つの表示の高さは,床面から750 mm以上1 750 mm以下とする。
単位 mm
φ35以上
注記 JIS S 0101の6.1.2(接触禁止)参照。
図12−接触禁止の図記号
5.6.2.3
案内表示
引き戸セットには,次の表示を見やすい箇所に行わなければならない。
a) 自動ドアセットであることの表示
b) 開く方向を示す表示
c) 主閉エッジと対向閉エッジとの間の危険領域への駆込みを回避するための表示
d) 主閉エッジと対向閉エッジとの間の危険領域での立止まりを回避するための表示
5.7
耐久性
自動ドアセットは,意図する使用及び合理的に予見可能な誤使用において生じる力に耐えられるように
設計しなければならない。自動ドアセットの耐久性を表明する場合は,6.4に従って試験を行わなければ
ならない。
6
試験方法
6.1
一般
試験は,試験条件が規定されていない限り,最も厳しい条件及び構成で実施する。試験は,通常,同じ
試験体を用いて実施し,適用可能な限り,正常作動及び異常作動で実施する。構成部品が関連する不具合
条件に対して,既に確認済みである場合には適用しない。
試験が破壊試験であり,装置の個別の部品を試験することで同等の結果が得られる場合,試験は別々の
試験体又は構成部品で実施してもよい。
6.2
試験条件
6.2.1
一般
試験は,温度試験及び現場測定の場合を除いて,周囲温度15〜30 ℃,相対湿度30〜70 %で実施する。
測定精度は,次による。
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− 温度測定:±3 ℃
− 力測定:±10 %
− 電気量:±3 %
− 時間測定:±5 %
− 長さ測定:±5 %
6.2.2
衝撃力測定器
6.2.2.1
一般
力測定用の試験器具は,次の部品で構成する。
a) 直径80 mmの二つの接触領域。接触領域は,十分な強度をもつ硬質材料(例 鋼鉄)とする。
b) 500±50 N/mmのばね定数を接触領域に与えるばね
c) ロードセル
d) 計時装置
e) 測定値表示器及び測定値出力装置
測定器の仕様は,次による。
− ロードセル増幅器の上昇時間及び下降時間:5 ms未満
− 少なくとも±5 %又は±10 Nの,いずれか最大偏差の方の精度で測定値を得られるもの。
− 測定結果はグラフ形式又は数値表示で得られるもの。
6.2.2.2
現場用測定器
現場用測定器は数値を表示する必要はなく,精度は測定値の±10 %又は±20 Nの,いずれか最大偏差で
ある方とする。校正は少なくとも年1回は実施しなければならない。
6.2.3
現場測定
現場測定は,次の場合に実施する。
− 施工要領書で要求される場合。
− 既設の手動ドアセットの自動化であり,力の制限を安全防護の一つとして選択している場合。
6.3
手動操作
手動操作による戸の開閉力の測定は,手動操作用の要素において,又は手動操作用の要素が取り付けら
れていない場合には,自動ドアセットの先端エッジにおいて,1 000±10 mmの高さで自動ドアセットの戸
に対して直角に,静的なやり方で実施する。
6.4
耐久性試験
6.4.1
一般
自動ドアセットは,製造業者の施工要領書に従って施工する。部品の潤滑及び調整は,製造業者の保全
要領書に従って,耐久試験中に行ってもよい。
実施する試験サイクル数は,自動ドアセットの期待寿命として,製造業者が取扱説明書に記載する場合,
その回数以上とする。
耐久性試験は,実施する試験サイクル数に基づき,次に示す一日当たりのサイクル数(サイクル/日)
以上で実施しなければならない。
− 0〜200 000サイクル:600サイクル/日
− 200 001〜500 000サイクル:2 400サイクル/日
− 500 000サイクルを超える:4 000サイクル/日
試験体は,施工中の安全上の理由のために,又は保全の目的のために電源を切る場合を除いて,試験中
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
22
A 4722:2017
は常に電源に接続しておかなければならない。
6.4.2
通常の環境条件での試験
通常の環境条件(5〜40 ℃)での使用を意図する自動ドアセットの場合,6時間±10 %の慣らし運転期
間の後,常温で実施する。反転作動が意図されているものは,耐久性試験中に,試験サイクルの少なくと
も30 %は反転作動をさせなければならない。
回転ドアセットの場合は,自動ドアセットの危険箇所の保護に使用する保護装置からの信号に対する応
答を,試験サイクルの30 %は試験しなければならない。
6.4.3
高温環境及び低温環境での試験
通常の環境条件(5〜40 ℃)以外の温度範囲での使用を意図する自動ドアセットの場合,駆動ユニット
及び機械的な伝達要素は,最高及び最低の温度で,1 000サイクルの耐久性試験を行わなければならない。
6.5
回転ドアセットの危険源に対する試験
6.5.1
一般
この試験は,5.5.4に従った低エネルギー作動の回転ドアセットには適用しない。
6.5.2
主閉エッジと対向閉エッジとの間の危険箇所
この危険源を回避するために設置されたESPEによる非接触の保護は,附属書Cに規定するCA基準体
を用いて試験する。CA基準体は,対向閉エッジに隣接して置き,戸が接触してはならない[図C.7 a),図
C.8 a) 及び図C.9 a) の試験2参照]。危険領域の外側300 mmまで,CA基準体を確実に検知できなければ
ならない。
この危険源を,回転ドアセットとの接触を許容する装置又は装置の組合せによって保護する場合,図B.4,
図B.5又は図B.6で規定するように,5.5.7に従った力の測定によって試験する。減速のためにESPEを用
いる場合,試験はESPEが作動した後の速度で行う。
6.5.3
副閉エッジと床との間の危険箇所
この危険源を回避するために設置された保護装置は,附属書Cに規定するCB基準体を用いて試験する。
CB基準体は,押しのけられないように床に置く。戸は基準体を完全に乗り越えることなく停止するか,
又は基準体の傾斜した領域に接触することを確認する。保護設備の可とう部との接触は許容される[図C.7
b),図C.8 b) 及び図C.9 b) の試験3参照]。減速のためにESPEを用いる場合,試験はCB基準体及びCA
基準体の組合せで実施しなければならない[図C.7 c),図C.8 c) 及び図C.9 c) の試験4参照]。
6.5.4
主閉エッジと内側ウォールとの間の危険箇所
この危険箇所の安全防護は,附属書Cに規定するCB基準体を用いて試験する。
CB基準体は,図C.7 d),図C.8 d) 及び図C.9 d) に示すように,床面から1 200 mmの高さで円形ウォ
ールに置く。CB基準体は,試験中に,戸と接触しないことを確認する[図C.7 d),図C.8 d) 及び図C.9 d)
の試験5参照]。ただし,保護設備の可とう部との接触は許容される。
6.5.5
戸と歩行者との接触
この危険源を回避するために設置されたESPEによる非接触の保護は,附属書Cに規定するCA基準体
を用いて試験する。保護すべき戸の移動領域において,CA基準体と戸とが接触しないことを確認する[図
C.7 a),図C.8 a) 及び図C.9 a) の試験1参照]。
7
完工検査及び保全点検
7.1
完工検査
自動ドアセットの設置後には,専門業者による完工検査を行わなければならない。少なくとも次の項目
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
23
A 4722:2017
について目視検査,作動確認,測定などを実施しなければならない。
a) 製造業者の施工要領書(8.1参照)に従った適切な設置
b) 適切な構成部品及び材料の使用
c) 自動ドアセットの適切な作動
d) 起動装置の適切な作動
e) 危険領域の回避及び危険領域の保護のための適切な方策(5.5.1参照)
f)
使用上の情報の提供
完工検査の結果は,附属書Gで規定する完工検査書に記録しなければならない。
7.2
保全点検
特定の能力をもたない所有者又は管理者が行える保全作業及び点検作業を除いて,専門業者による保全
及び点検を行わなければならない。少なくとも次の項目について目視検査,作動確認,測定などを実施し
なければならない。
a) 製造業者の保全要領書(8.1参照)で規定する指示事項
b) 自動ドアセットの適切な作動
c) 起動装置の適切な作動
d) 危険領域の回避及び危険領域の保護のための適切な方策(5.5.1参照)
保全及び点検の結果は,附属書Gで規定する保全点検記録に記録しなければならない。
8
使用上の情報
8.1
一般
製造業者は,JIS B 9700の6.4(使用上の情報)に従って,自動ドアセット及び/又は駆動装置の取扱説
明書を提供しなければならない。特に,次の事項は必ず記載しなければならない。
製造業者は,運転,保全及び点検についての情報を提供しなければならない。自動ドアセットを正しく
設置及び分解する方法についての指示事項を含む文書を提供しなければならない。
注記 危険箇所,適切な保護装置及び残留リスクの説明は特に重要である。
自動ドアセット,設置及び保全の要求事項に関連する全ての文書,及び含まれる図表は,判読可能でな
ければならない。
文書には,必要な警告,勧告又は注意を全て含めなければならない。
文書に含まれる記号及び図表は,関連するJISに従わなければならない。
文書には,自動ドアセットを安全に設置又は分解するために実施すべき全ての作業を詳述しなければな
らない。施工要領書には,自動ドアセットの設置後に必要な,全ての検査を規定しなければならない。
自動ドアセットの設置及び改修後には,日常保全の指示事項を含む,適切な取扱説明書を所有者又は管
理者に提供しなければならない。
取扱説明書には,次の情報を含めなければならない。
a) 自動ドアセットの正しい操作方法
b) 作動条件(例 1日当たりの作動時間,自動作動及び/又は手動作動,作動モードの表示)
c) 自動ドアセットの警告表示の説明
d) 意図する環境条件の範囲(例 温度,相対湿度,電磁界,及び該当する場合,風の強い条件での使用
に対する警告)
e) 使用上の制限事項
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24
A 4722:2017
安全機能の詳細,保護装置のリスト及び位置も提供しなければならない。
閉じかけている自動ドアセットへの駆込みなど,禁止する使用についての情報も含めなければならない。
保全要領書では,安全な運用,長期的な信頼性,及び運転率を確保するために,自動ドアセット(保護
装置及び安全システムを含む。)は,製造業者の仕様に従って,定期的に保全すべきことを強調しなければ
ならない。また,実施すべき保全の頻度を詳述し,特定の能力をもたない所有者又は管理者が行える保全
作業についての簡単な概略説明を行い,その他の保全作業は,専門業者が実施すべきことを強調しなけれ
ばならない。保全要領書では,保全作業を記録することの重要性を所有者又は管理者に知らせなければな
らない。附属書Gに,使用すべき保全点検記録を示す。
8.2
表示
自動ドアセット又は駆動装置の銘板には,明瞭に判読可能かつ容易に消えない方法で,少なくとも次の
情報を記載しなければならない。銘板は,保全点検の際に見やすい箇所に貼付しなければならない。
a) 製造業者の名前及び住所
b) 自動ドアセット及び/又は駆動装置の呼称
c) シリーズ名又は型式名
d) 製造番号
e) 製造年
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附属書A
(参考)
各種自動ドアセットの主な用語の図解
C
B
C
A
A
B
B
C
C
A
C
B
B
B
B
A
C, E
G
A,D,F
B
A 主閉エッジ
B 副閉エッジ
C 対向閉エッジ
D 先端エッジ
E
前方立
F
外側かまち
G 後方立
図A.1−主な用語の図解
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附属書B
(規定)
測定箇所
この附属書は,5.5.7で規定する戸の力の限度値を測定する箇所について規定する。
単位 mm
F a)
500 a)
300 a)
1
2
0
0
1
2
0
0
50以上200以下a)
注a) 該当する場合,5.5.1参照。
図B.1−片引きの引き戸セット
単位 mm
F a)
1
2
0
0
500 a)
300 a)
1
2
0
0
50以上200以下a)
注a) 該当する場合,5.5.1参照。
図B.2−引分けの引き戸セット
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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単位 mm
1
2
0
0
500
300
F a)
F
F
50以上200以下
注a) 該当する場合,5.5.1参照。
図B.3−折り戸セット
単位 mm
500
1
2
0
0
300
200
F
200
図B.4−回転ドアセット,2枚戸
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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単位 mm
F
500
300
1
2
0
0
200
図B.5−回転ドアセット,3枚戸
単位 mm
F
1
2
0
0
500
300
200
図B.6−回転ドアセット,4枚戸
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附属書C
(規定)
保護装置の試験
この附属書は,820〜946 nmの放射波長を用いる拡散反射形能動的光電保護装置(AOPDDR)を基礎と
するESPEに適用する。他の技術を用いる保護装置の場合は,この附属書を指針として使用することがで
きる。ESPEは常に,自動ドアセットの組立一式で試験しなければならない。
C.1 基準体
CA基準体[図C.1 a) 参照]は,寸法700 mm×300 mm×200 mmの箱である。上面及び合った二つの面
は,ESPEの投光器の波長において,2〜5 %の範囲の拡散反射率をもつ材料(IC帯電防止フォームなど。
さらなる材料については,JIS B 9704-3:2011の図3参照)である。他の2面は,ESPEの投光器の波長に
おいて,80〜90 %の範囲の拡散反射率をもつ材料(白紙など)である。基準体の底部は,試験の目的を供
さないため規定しない。
CB基準体[図C.1 b) 参照]は,ショアA硬さ(70±5)であり,ESPEの投光器の波長において,10〜
90 %の範囲の拡散反射率をもつ,艶消し黒のエラストマーである。
基準体は保護装置によって検知されなければならない。また,自動ドアセットの戸は基準体に接触する
前に停止するか,製品文書に記載されたとおりに反転,又は低速作動に切り換わらなければならない。
ドアセットの戸と共に移動しないESPEは,CA基準体の全ての関連する面を用いて試験しなければなら
ない。
単位 mm
200
300
7
0
0
a)
a)
a)
b)
b)
1
6
5
1
1
0
0
15×45°
188
300
65
a) CA基準体
b) CB基準体c)
注a) ESPEの投光器の波長において,2〜5 %の範囲の拡散反射率
b) ESPEの投光器の波長において,80〜90 %の範囲の拡散反射率
c) ESPEの投光器の波長において,10〜90 %の範囲の拡散反射率
図C.1−基準体
C.2 試験方法
存在検出に対する試験を,次の図C.2〜図C.9に示す。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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A 4722:2017
背景を基準として用いるESPEの試験は,ESPEの波長において(20±5)%の拡散反射率をもつ背景(例
カーペット)で実施しなければならない。
単位 mm
200以上
200以上
閉作動中の保護領域
開作動中の保護領域(該当する場合,5.5.1参照)。
CA基準体の全体が保護領域内に位置する場合,保護装置によって検知されなければならない。
図C.2−片引きの引き戸セット
単位 mm
200以上
閉作動中の保護領域
開作動中の保護領域(該当する場合,5.5.1参照)。
CA基準体の全体が保護領域内に位置する場合,保護装置によって検知されなければならない。
図C.3−引分けの引き戸セット
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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単位 mm
200以上
検出区域(I.1.1.1参照)
図C.4−片開きの開き戸セット
単位 mm
200以上
検出区域(I.1.1.1参照)
図C.5−両開きの開き戸セット
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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単位 mm
200以上
閉作動中の保護領域
CA基準体の全体が保護領域内に位置する場合,保護装置によって検知されなければならない。
図C.6−折り戸セット
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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単位 mm
a
b
c
d
a)
b)
e
f
1
2
00
c)
d)
a
試験1(CA基準体による。)
b
試験2(CA基準体による。)
c
検出区域(I.1.1.1参照)
d
戸の中央での試験3(CB基準体による。)
e
戸の中央での試験4(CB基準体とCA基準体との組合せによる。)
f
試験5(CB基準体による。)
図C.7−回転ドアセット,2枚戸
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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単位 mm
b
a
c
d
a)
b)
e
1
2
00
f
c)
d)
a
試験1(CA基準体による。)
b
試験2(CA基準体による。)
c
検出区域(I.1.1.1参照)
d
戸の中央での試験3(CB基準体による。)
e
戸の中央での試験4(CB基準体とCA基準体との組合せによる。)
f
試験5(CB基準体による。)
図C.8−回転ドアセット,3枚戸
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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単位 mm
b
a
c
d
a)
b)
e
1
2
00
f
c)
d)
a
試験1(CA基準体による。)
b
試験2(CA基準体による。)
c
検出区域(I.1.1.1参照)
d
戸の中央での試験3(CB基準体による。)
e
戸の中央での試験4(CB基準体とCA基準体との組合せによる。)
f
試験5(CB基準体による。)
図C.9−回転ドアセット,4枚戸
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附属書D
(規定)
低エネルギー自動ドアセット
D.1 低エネルギー開き戸セットの最小開時間及び最小閉時間
表D.1は,最も一般的な低エネルギー開き戸セットの戸の幅及び戸の質量について,0°からバックチェ
ック若しくは80°までの最小開時間(s),又は90°から10°までの最小閉時間(s)を示す。
表D.1−最小開時間及び最小閉時間
戸の幅D(m)
戸の質量m(kg)
50
60
70
80
90
時間t(s)
0.75
3.0
3.0
3.0
3.0
3.5
0.85
3.0
3.0
3.5
3.5
4.0
1.00
3.5
3.5
4.0
4.0
4.5
1.20
4.0
4.5
4.5
5.0
5.5
注記 時間の値は,0.5 s単位で切り上げる。
その他の戸の幅及び/又は戸の質量の低エネルギー開き戸セットの最小開時間は,次の式を用いて算出
する。
26
.2
m
D
t=
ここに,
t: 最小開時間(s)
D: 戸の幅(m)
m: 戸の質量(kg)
2.26: 換算係数
D.2 低エネルギー引き戸セットの最小移動時間
表D.2は,低エネルギー引き戸セットの戸の質量,及び戸の移動距離による,戸の最小移動時間を示す。
表D.2−低エネルギー引き戸セットの戸の最小移動時間と戸の質量との関係
戸の移
動距離a)
の90 %
D(m)
戸の質量m(kg)
150
140
130
120
110
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
最小移動時間t(s)
0.7
4.7
4.6
4.4
4.2
4.0
3.9
3.7
3.5
3.2
3.0
2.7
2.5
2.1
1.8
1.3
0.8
5.4
5.2
5.0
4.8
4.6
4.4
4.2
3.9
3.7
3.4
3.1
2.8
2.4
2.0
1.4
0.9
6.0
5.8
5.6
5.4
5.2
4.9
4.7
4.4
4.1
3.8
3.5
3.1
2.7
2.2
1.6
1.0
6.7
6.5
6.3
6.0
5.8
5.5
5.2
4.9
4.6
4.3
3.9
3.5
3.0
2.5
1.8
1.1
7.4
7.1
6.9
6.6
6.3
6.0
5.7
5.4
5.1
4.7
4.3
3.8
3.3
2.7
1.9
1.2
8.0
7.8
7.5
7.2
6.9
6.6
6.2
5.9
5.5
5.1
4.7
4.2
3.6
3.0
2.1
1.3
8.7
8.4
8.1
7.8
7.5
7.1
6.8
6.4
6.0
5.5
5.0
4.5
3.9
3.2
2.3
1.4
9.4
9.1
8.7
8.4
8.0
7.7
7.3
6.9
6.4
5.9
5.4
4.9
4.2
3.5
2.5
1.5
10.0
9.7
9.4
9.0
8.6
8.2
7.8
7.3
6.9
6.4
5.8
5.2
4.5
3.7
2.6
注a) 二重引き戸セットの場合は,移動距離は速く移動する方の戸に適用する。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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A 4722:2017
その他の戸の質量の低エネルギー引き戸セットの最大速度は,最大許容エネルギーが1.69 Jであること
から,運動エネルギーの公式を用いて算出する。
)
(J
69
.1
2
1
2
c
=
=
mv
E
戸の質量が分かれば,最大許容速度は次のように算出できる。
)
(m/s
2
c
m
E
v=
ここに,
v: 最大許容速度(m/s)
Ec: 1.69(J)
m: 戸の質量(kg)
その他の移動距離及び質量に対する時間設定は,次の式を用いて算出する。
v
D
t=
ここに,
t: 開又は閉の移動時間(s)
D: 戸の移動距離の90 %(m)
v: 戸の速度(m/s)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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A 4722:2017
附属書E
(規定)
開き戸セットの安全防護
片開きの開き戸セットの場合の,保護装置による安全防護を図E.1に示す。
6
5
4
2
3
1
1
1
保護装置
2
高速領域
3
低速領域
4
低速領域の半径(rslow area)
5
開き戸セットの半径(rdoorset)
6
保護すべき領域の幅(dprotected)
図E.1−片開きの開き戸セット
表E.1は,開き戸セットの半径と,保護すべき領域の最小幅(先端エッジからの最小距離)との関係を
示す。
表E.1−開き戸セットの半径と,保護すべき領域の最小幅及び移動時間との関係
開き戸セット
の半径
rdoorset
(m)
時間t(s)
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
5.5
6
低速領域の半径rslow area(m)
0.16
0.24
0.32
0.4
0.48
0.56
0.64
0.72
0.8
0.88
0.95
保護すべき領域の幅dprotected(m)
0.7
0.54
0.46
0.38
0.30
0.22
0.14
0.06
−
−
−
−
0.8
0.64
0.56
0.48
0.40
0.32
0.24
0.16
0.08
−
−
−
0.9
0.74
0.66
0.58
0.50
0.42
0.34
0.26
0.18
0.10
0.02
−
1.0
0.84
0.76
0.68
0.60
0.52
0.44
0.36
0.28
0.20
0.12
0.05
1.1
0.94
0.86
0.78
0.70
0.62
0.54
0.46
0.38
0.30
0.22
0.15
1.2
1.04
0.96
0.88
0.80
0.72
0.64
0.56
0.48
0.40
0.32
0.25
1.3
1.14
1.06
0.98
0.90
0.82
0.74
0.66
0.58
0.50
0.42
0.35
1.4
1.24
1.16
1.08
1.00
0.92
0.84
0.76
0.68
0.60
0.52
0.45
1.5
1.34
1.26
1.18
1.10
1.02
0.94
0.86
0.78
0.70
0.62
0.55
1.6
1.44
1.36
1.28
1.20
1.12
1.04
0.96
0.88
0.80
0.72
0.65
1.7
1.54
1.46
1.38
1.30
1.22
1.14
1.06
0.98
0.90
0.82
0.75
1.8
1.64
1.56
1.48
1.40
1.32
1.24
1.16
1.08
1.00
0.92
0.85
開時間は0°から80°まで,閉時間は90°から10°までを測定する。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
39
A 4722:2017
その他の開時間及び閉時間の開き戸セットの,低速領域の半径(rslow area),及び保護装置によって保護す
べき領域の幅(dprotected)は,次の式を用いて算出する。
t
vt
r
16
.0
π
2
area
slow
=
=
area
slow
doorset
protected
r
r
d
−
=
ここに,
t: 時間(s)
rslow area: 低速領域の半径(m)
v: 最大許容衝突速度0.25(m/s)
0.16: 換算係数(m/s)
dprotected: 保護すべき領域の幅(m)
rdoorset: 開き戸セットの半径(m)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
40
A 4722:2017
附属書F
(参考)
回転ドアセットの危険箇所
表F.1−2枚戸の回転ドアセットの機械的危険源
危険箇所
JIS B 9700で規定する危険源
図解
A:主閉エッジ/対向閉エッジ
手,腕,足,脚,
小さな子どもの体の引込み
頭,胴体,手,腕,足,脚の押しつぶし
手,腕,足,脚のせん断
D
A
B
A
C
D
B:主閉エッジ/内側ウォール
手,足の押しつぶし
手,足のせん断a)
C:副閉エッジ/床
手,足の押しつぶし
手のせん断b)
体への戸の衝撃
D:副閉エッジ/天井
手の押しつぶし
手のせん断c)
注記 その他の機械的危険源も,回転ドアセットの設計によっては発生し得る(例 ピボット付きの回転ドアセ
ットの戸)。
注a) 突き出した形状による。
b) 床の種類による。
c) 天井の種類による。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
41
A 4722:2017
表F.2−3枚戸の回転ドアセットの機械的危険源
危険箇所
JIS B 9700で規定する危険源
図解
A:主閉エッジ/対向閉エッジ
頭,胴体,手,腕,足,脚の押しつぶし
手,腕,足,脚のせん断
D
C
A
B
D
C
A
B
B:主閉エッジ/内側ウォール
手,足の押しつぶし
手,足のせん断a)
C:副閉エッジ/床
手,足の押しつぶし
手のせん断b)
体への戸の衝撃
D:副閉エッジ/天井
手の押しつぶし
手のせん断c)
注記 その他の機械的危険源も,回転ドアセットの設計によっては発生し得る(例 ピボット付きの回転ドアセ
ットの戸)。
注a) 突き出した形状による。
b) 床の種類による。
c) 天井の種類による。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
42
A 4722:2017
表F.3−4枚戸の回転ドアセットの機械的危険源
危険箇所
JIS B 9700で規定する危険源
図解
A:主閉エッジ/対向閉エッジ
頭,胴体,手,腕,足,脚の押しつぶし
手,腕,足,脚のせん断
D
C
A
B
D
C
A
B
B:主閉エッジ/内側ウォール
手,足の押しつぶし
手,足のせん断a)
C:副閉エッジ/床
手,足の押しつぶし
手のせん断b)
体への戸の衝撃
D:副閉エッジ/天井
手の押しつぶし
手のせん断c)
注記 その他の機械的危険源も,回転ドアセットの設計によっては発生し得る(例 ピボット付きの回転ドアセ
ットの戸)。
注a) 突き出した形状による。
b) 床の種類による。
c) 天井の種類による。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
43
A 4722:2017
附属書G
(規定)
完工検査書及び保全点検記録
G.1
完工検査書
完工検査書には,少なくとも次の一般的な情報を記載しなければならない。
a) 製造業者の名称及び連絡先
b) 自動ドアセットのラベルに表示する固有の識別番号(新規の自動ドアセット一式に限る。)
c) 自動ドアセットの設置場所(必要な場合)
d) 設置を行った専門業者の名称及び連絡先
e) 完工日
f)
駆動装置の識別
g) 起動装置の識別
h) 保護装置の識別
完工検査書には,完工検査(7.1参照)の結果を記録し,責任者が日付を記し,署名又は記名押印を行わ
なければならない。
G.2
保全点検記録
保全点検記録には,次の情報を記録しなければならない。
a) 実施した全ての保全及び点検(7.2参照),修理,並びに推奨(例 改良,交換)を含む。
b) 実施した全ての重要な変更及びアップグレード
c) 実施した作業
d) 責任者の名前,日付,及び署名又は記名押印
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
44
A 4722:2017
附属書H
(参考)
危険源,危険状態及び危険事象のリスト
この附属書では,この規格で取り扱う限りにおいて,自動ドアセットに対して重要であるとリスクアセ
スメントによって同定され,リスクを除去又は低減する措置が必要な,全ての重要危険源,危険状態及び
危険事象を表H.1〜表H.3に示す。
なお,表H.1〜表H.3はJIS B 9700に基づいている。
表H.1−危険源のリスト
種類又はグループ
危険源
この規格の細分箇条
発生源
想定される結果
機械的危険源
− 加速度,減速度
− 角張った部品
− 固定部への可動部の接近
− 切断部品
− 弾性要素
− 落下物
− 高圧
− 不安定性
− 運動エネルギー
− 移動要素
− 鋭利な端部
− 蓄積エネルギー
− 押しつぶし
− 切断又は切り傷
− 引込み又は捕捉
− 巻き込み
− 衝撃
− せん断
− つまずき及び墜落
− 窒息
5.2.1
5.3.1
5.3.2
5.3.3
5.5
5.6
電気的危険源
− 電弧
− 電磁現象
− 静電気現象
− 充電部
− 高電圧の充電部への不十
分な距離
− 過負荷
− 不具合状態のとき,充電状
態になる部分
− 短絡
− 熱放射
− やけど
− 化学的影響
− 医療用インプラントへの
影響
− 感電
− 墜落,投げられ
− 火災
− 溶融物の放出
− ショック
箇条1
5.2.1
5.2.2
5.2.3
熱的危険源
− 爆発
− 火炎
− 高温を伴う物体又は材料
− やけど
− 不快感
− 熱傷
5.2
騒音による危険源
− キャビテーション問題
− 可動部
− 不平衡な回転部
− 摩耗部
− 不快感
− 意識喪失
− 平衡感覚の喪失
− 恒久的な聴覚の喪失
− ストレス
− 耳鳴り
− 疲労
重要危険源ではないため,
この規格では取り扱わな
い。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
45
A 4722:2017
表H.1−危険源のリスト(続き)
種類又はグループ
危険源
この規格の細分箇条
発生源
想定される結果
振動による危険源
− キャビテーション現象
− 可動部のずれ
− 不平衡な回転部
− 摩耗部
− 不快感
重要危険源ではないため,
この規格では取り扱わな
い。
放射による危険源
− 低周波電磁放射
− レーザーから無線の周波
数の電磁放射を含む光学
的放射(赤外,可視及び紫
外)
− やけど
− 目及び皮膚の損傷
− 生殖能力への影響
− 突然変異
− 頭痛,不眠など
箇条1
5.2
5.5.8
材料/物質による
危険源
− エアロゾル
− 粉じん
− 爆発物
− 繊維
− 可燃物
− 流体
− ガス
− 呼吸困難,窒息
− がん
− 生殖能力への影響
− 爆発
− 火災
5.3.1
人間工学的危険源
− アクセス
− 表示器及び視覚的表示装
置の設計及び位置
− 制御装置の設計,位置又は
識別
− 努力
− 局部照明
− 視認性
− 筋骨格障害
− ストレス
− その他(例えば,機械的,
電気的な)ヒューマンエ
ラーの結果
5.3.4
5.4.2
5.6.1.5
自動ドアセットが
使用される環境と
関連する危険源
− 電磁波による妨害
− 落雷
− 汚染
− 雪
− 温度
− 風
− 滑り,墜落
− その他,機械又は機械の
部品における危険源によ
って生じる影響の結果
箇条1
5.2.1
5.2.2
5.2.3
危険源の組合せ
− 例えば,反復的活動,努力
及び高い環境温度
− 例えば,脱水症,意識の
喪失,熱射病
重要危険源ではないため,
この規格では考慮しない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
46
A 4722:2017
表H.2−タスクの観点で記載した危険状態のリスト
自動ドアセットのライフ
サイクルの局面
タスク
この規格の細分箇条
運搬
− 持上げ
− 積込み
− こん(梱)包
− 運搬
− 荷下ろし
− 開こん(梱)
この規格では考慮しない。
組立て及び設置
立上げ
− 自動ドアセット及びその構成部品の調整
− 自動ドアセットの組立て
− 動力源への接続(例 電源,圧縮空気)
− 囲いをする作業
− 固定する作業
− テスト
5.1
5.2
5.5.9
5.5.10
5.5.11
箇条7
箇条8
設定
ティーチング/プログラ
ミング及び/又は処理の
切替
− 保護装置及び他の構成部品の調整及び設定
− 自動ドアセットの機能パラメータの調整及び設定又は
検証(例 速度,圧力,力,移動量制限)
− 機能テスト
− プログラムの検証
− 最終製品の検証
5.1
5.3.3
5.3.4
5.4
5.5.4
5.5.7
5.5.8
箇条6
箇条7
箇条8
運転
− 自動ドアセットの機能パラメータの軽微な調整及び設
定(例 速度,圧力,力,移動量制限)
− 手動制御の運転
− 停止/停電後の自動ドアセットの再起動
5.1
5.2.2
5.4.2
8
清掃
保全
− 調整
− 清掃
− 自動ドアセットの部品,構成部品,装置の解体/撤去
− 遮断及びエネルギーの消散
− 潤滑
− 摩耗した部品の交換
− 自動ドアセットの部品,構成部品,装置の検証
5.1
箇条7
箇条8
不具合の発見
トラブルシューティング
− 不具合の発見
− 修理
− 自動ドアセットの部品,構成部品,装置の交換
5.1
箇条7
箇条8
分解
使用停止
− 切断,及びエネルギーの消散
− 解体
5.1
箇条8
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
47
A 4722:2017
表H.3−危険事象のリスト
関連する発生源
危険事象
この規格の細分箇条
自動ドアセットの可触部
の形状及び/又は表面仕
上げ
− 粗い表面との接触
− 鋭利な端部及び角,突出部との接触
5.3.1
5.3.2
自動ドアセットの可動部 − 可動部との接触
− 回転する開口端との接触
5.5
5.6.1
自動ドアセット,自動ド
アセットの部品の運動エ
ネルギー
− 物体の落下
− 可動部との接触
5.1
箇条8
5.5.4
自動ドアセット及び/又
は自動ドアセットの部品
の安定性
− 安定性の喪失
− 人体への衝撃力
5.1
箇条8
5.5.4
5.5.7
自動ドアセットの部品の
機械的強度
− 運転中の分解
5.3.1
6.4
空圧,液圧設備
− 可動要素の置き換え
− 高圧流体の噴出
− 制御されていない動き
この規格では取り扱わな
い。
電気設備
− 直接接触
− 破裂放電
− 電気アーク
− 火災
− 間接接触
− 短絡
5.2.1
5.2.2
5.2.3
制御システム
− 可動部が停止しない故障
− 保護装置の無効化/故障による自動ドアセットの作用
− 制御されていない動き
− 意図しない/予期しない始動
5.2.1
5.2.2
5.3.3
5.4
5.5.8
材料及び物質又は物理的
要因(温度,騒音,振動,
放射及び環境)
− 高温を伴う部分との接触
− 厳しい環境条件
5.2.1
6.4.3
箇条8
自動ドアセットの手動操
作
− ヒューマンエラー/誤使用
− 視認性
5.3.1
5.3.4
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
48
A 4722:2017
附属書I
(規定)
電気的検知保護設備(ESPE)の要求事項
通常使用時に遭遇する可能性のある危険状態を回避するために,自動ドアセットに設置,又は自動ドア
セットとともに使用する保護装置の要求事項は,JIS B 9704-1:2015によるほか,この附属書による。さら
に,能動的光電保護装置(AOPD)を用いるESPE(光ビーム装置)は附属書Jで,拡散反射形能動的光電
保護装置(AOPDDR)を用いるESPEは附属書Kで規定する追加要求事項を満足しなければならない。
I.1
機能,設計及び環境に対する要求事項
機能,設計及び環境に対する要求事項は,JIS B 9704-1:2015の箇条4によるほか,次による。
I.1.1
機能要求事項
機能要求事項は,JIS B 9704-1:2015の4.1による。ただし,“定常運転”及び“検知機能”については次
による。
I.1.1.1
定常運転
定常運転とは,障害が検知されず,OSSDが検知機能の状態と運転モードとによってオン状態又はオフ
状態になることができるESPEの状態である。
ESPEは定常運転中,検出能力(附属書Cに規定するCA基準体及び/又はCB基準体)以上の大きさ
をもつ人体の一部が検出区域内に侵入又は存在するとき,これに応答して規定の出力信号を送出しなけれ
ばならない。
ESPEの応答時間は,供給者が指定する値を超えてはならない。ESPEの応答時間は,鍵,パスワード又
は特別な工具を用いなければ変更できないものとする。ただし,次の条件に全て該当する場合は,使用者
による変更に対して保護されているものとみなす。
− 容易に手の届かない位置に設置することを意図したESPEである。
− ESPEのエンクロージャの最適箇所に,使用者による変更に対する警告がマーキングされている。
I.1.1.2
検知機能
検出能力は,供給者が指定する検出区域の全域で有効でなければならない。検出区域,検出能力及びブ
ランキング機能(モニタ付き又はモニタなし)は,鍵,パスワード又は特別な工具を用いなければ変更で
きないものとする。ただし,次の条件に全て該当する場合は,使用者による変更に対して保護されている
ものとみなす。
− 容易に手の届かない位置に設置することを意図したESPEである。
− ESPEのエンクロージャの最適箇所に,使用者による変更に対する警告がマーキングされている。
I.1.2
設計要求事項
設計要求事項は,JIS B 9704-1:2015の4.2による。ただし,障害検出に関する“タイプ2のESPEへの
要求事項”,ESPEの電気用品に対する“環境汚損度”,及び“表示灯及びディスプレイ”については次に
よる。
I.1.2.1
タイプ2のESPEへの要求事項
タイプ2のESPEへの要求事項は,JIS B 9704-1:2015の4.2.2.3による。ただし,OSSDを一つしかもた
ないESPEでも,SSDはもたなくてもよい。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
49
A 4722:2017
I.1.2.2
環境汚損度
環境汚損度に対する要求事項は,次による。
ESPEの電気用品は,汚損度3の環境に適応しなければならない(IEC 60947-1:2011の6.1.3.2を参照)。
ただし,保護等級がIP54以上(JIS C 0920を参照)のエンクロージャについては,汚損度2で許容される。
I.1.2.3
表示灯及びディスプレイ
表示灯及びディスプレイは,JIS B 9704-1:2015の4.2.5による。ただし,“OSSDの出力状態を表示する
もの”は,次による。
表示器についての詳細な情報を,ESPEの最適なエンクロージャ上に恒久的な方法でマーキングし及び
/又は取扱説明書に記載しなければならない。表示器は,任意付加機能の表示と共用してもよい。
I.1.3
環境要求事項
環境要求事項は,JIS B 9704-1:2015の4.3による。ただし,“周囲温度範囲及び湿度”,“機械的環境”及
び“エンクロージャ”については,次による。
I.1.3.1
周囲温度範囲及び湿度
周囲温度範囲及び湿度は,次による。
ESPEは,+5 ℃〜+40 ℃(装置が一般的な屋内での使用だけを意図する場合),又は−10 ℃〜+50 ℃
の周囲温度変化に対しこの規格の要求事項を満足しなければならない。この範囲外で使用する場合は,
ESPE供給者はそのシステムが正常運転を続けることのできる周囲温度範囲を仕様として定めなければな
らない。湿度95 %(非結露状態),温度20 ℃からJIS B 9704-1:2015の5.4.2の最高周囲温度までの条件で
JIS B 9704-1:2015の5.4.2に従って試験を行い,ESPEがこの規格の要求事項に適合することを検証しなけ
ればならない。
I.1.3.2
機械的環境
I.1.3.2.1
振動
振動に対する要求事項は,次による。
ドアセット上の固定部,又はドアセット周囲の構造物に恒久的に固定することしかできない設計となっ
ている場合を除き,ESPEは,JIS B 9704-1:2015の5.4.4.1に規定する振動試験を実施し,試験中正常運転
を継続しなければならない。
I.1.3.2.2
バンプ
バンプに対する要求事項は,次による。
ドアセット上の固定部,又はドアセット周囲の構造物に恒久的に固定することしかできない設計となっ
ている場合を除き,ESPEは,JIS B 9704-1:2015の5.4.4.2に規定するバンプ試験を実施し,試験中正常運
転を継続しなければならない。
I.1.3.3
エンクロージャ
エンクロージャは,JIS B 9704-1:2015の4.3.4によるほか,次による。
ESPEの全てのエンクロージャは,ESPE本体から分離して設置する部分も含め供給者の指定に従って設
置したとき,少なくともIP44(JIS C 0920を参照)の保護等級を満足しなければならない。ただし,一般
的な屋内での使用条件を適用する駆動装置のエンクロージャに収納される場合は,ESPEのエンクロージ
ャはIP20以上の保護等級を満足するものでよい。
エンクロージャは,必要な全ての調整作業と保全作業を安全かつ効率的に実行可能にするため,適切に
アクセスできるようにしなければならない。アクセスのために取り外すカバーは,脱落しない締付具を用
いるか,容易に脱落しない構造でなければならない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
50
A 4722:2017
I.2
試験方法
試験方法は,JIS B 9704-1:2015の箇条5による。ただし,“表示灯及びディスプレイ”に対する機能試験
については次による。
表示灯及びディスプレイに対する機能試験は,B試験を行い,表示灯及びディスプレイがJIS B
9704-1:2015の4.2.5の要求事項を満たすことを検証しなければならない。
I.3
識別及び安全使用のためのマーキング
識別及び安全使用のためのマーキングは,JIS B 9704-1:2015の箇条6による。ただし,“一般事項”は,
JIS B 9704-1:2015の6.1によるほか,次による。
ESPEのエンクロージャの最適箇所に,JIS B 9704-1:2015の6.1のa),e),f),h)〜j) のほか,次のマー
キングを永久に消えないように行わなければならない。
− 検出区域のパラメータ(例えば,寸法)。マーキングできないとき(例えば,スペース不足)には,附
属文書中にその情報を含めなければならない。
− 検出能力。マーキングできないとき(例えば,スペース不足)には,附属文書中にその情報を含めな
ければならない。
− 応答時間。マーキングできないとき(例えば,スペース不足)には,附属文書中にその情報を含めな
ければならない。
− 保護等級(IPコード)の指定。マーキングできないとき(例えば,スペース不足)には,附属文書中
にその情報を含めなければならない。
− パフォーマンスレベル(JIS B 9705-1に基づく)
I.4
附属文書
附属文書には,据付け,使用,その後の廃棄,及びJIS B 9704-1:2015の箇条7のa)〜mm) の該当事項
のほか,次の事項を含めなければならない。
− 意図するドアセットの種類
− ドアセット上の,又はドアセットに対しての意図する位置
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
51
A 4722:2017
附属書J
(規定)
能動的光電保護装置(AOPD)の追加要求事項
通常使用時に遭遇する可能性のある危険状態を回避するために,自動ドアセットに設置,又は自動ドア
セットとともに使用する,能動的光電保護装置(AOPD)の要求事項は,附属書I及びJIS B 9704-2:2008
によるほか,この附属書による。
この附属書では,試験片は光ビーム装置に対しては,附属書Cで規定するCA基準体及び/又はCB基
準体とする。
J.1
機能,設計及び環境に対する要求事項
機能,設計及び環境に対する要求事項は,JIS B 9704-2:2008の箇条4によるほか,次による。
J.1.1
機能要求事項
機能要求事項は,JIS B 9704-2:2008の4.1によるほか,“検知機能”及び“有効開口角”については,次
による。
検知機能は,供給者が指定する検出区域内において有効に作動しなければならない。鍵,パスワード又
は工具を用いずに検出区域,検出能力,又はブランキング機能を調整できるようにしてはならない。ただ
し,次の条件に全て該当する場合は,使用者による変更に対して保護されているものとみなす。
− 容易に手の届かない位置に設置することを意図したESPEである。
− ESPEのエンクロージャの最適箇所に,使用者による変更に対する警告がマーキングされている。
各投光部及び受光部の有効開口角(以下,EAAという。)がJIS B 9704-2:2008の4.1.2.2の要求事項を満
たさない場合,各投光部及び受光部のEAAに関する仕様を,最適なエンクロージャ上にマーキングし及
び/又は附属文書に記載しなければならない。
J.1.2
設計要求事項
設計要求事項は,JIS B 9704-2:2008の4.2による。ただし,“放射強度”については,次による。
LED技術を用いる投光装置の場合,AOPDが発生し,放出する光の放射強度は,JIS C 7550に従って免
除グループの要求事項を満たさなければならない。
注記1 免除グループはリスクグループ0に等しい(JIS C 7550参照)。
レーザ技術を用いる投光装置の場合,AOPDが発生し,放出する光の放射強度は,いかなるときもJIS C
6802の8.2(購入及びサービスのための情報)に従ってクラス1M装置の被ばく放出限界(AEL)を超え
てはならない。
注記2 クラス2装置は,アライメント又は調整のために使用してもよい。
J.1.3
環境要求事項
環境要求事項は,JIS B 9704-2:2008の4.3によるほか,“光干渉”については,次による。
注記 タイプ2のAOPDに対する,同一設計装置の投光部からの危険側故障のリスクは,製造業者か
ら提供される据付方策によって低減できる。
J.2
試験方法
試験方法は,JIS B 9704-2:2008の箇条5による。ただし,“機能試験”及び“環境試験”については,次
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A 4722:2017
による。
J.2.1
機能試験
機能試験は,JIS B 9704-2:2008の5.2による。ただし,“放射強度”については,次による。
放射強度は,JIS C 6802又はJIS C 7550による測定及び供給者の技術文書を検査することによって検証
しなければならない。
J.2.2
環境試験
環境試験は,JIS B 9704-2:2008の5.4による。ただし,“光干渉試験”に用いる“蛍光灯光源”は,次に
よる。
蛍光灯光源 次の特性をもつ直線形蛍光管。
− 寸法:T8×600 mm(公称径26 mm)
− 定格電力:18〜20 W
− 色温度:3 000〜6 000 K
次の仕様の電子安定器と組み合わせて用いる。
− 作動周波数:25〜50 kHz
− 蛍光管に対応する定格電力で,定格供給電圧±5 %の範囲内で,反射鏡又は拡散板なしで使用。
フラッシュビーコン光源及び/又はストロボ光源として市販の照明器具を用い,かつ,そのエンクロー
ジャ,反射器又はフィルタを取り外すことが困難な場合には,光の強度が減じないとみなせるならば,エ
ンクロージャ,反射器又はフィルタはあってもよい。
J.3
識別及び安全使用のためのマーキング
識別及び安全使用のためのマーキングは,JIS B 9704-2:2008の箇条6による。ただし,“一般事項”は,
次による。
一般事項は,JIS B 9704-2:2008の6.1による。ただし,ビーム中心線を示すマーキングは次による。
− ビーム中心線を示すマーキングをしなければならない。ただし,ビーム中心線が投光器及び受光器の
形状から明らかな場合は除く。
J.4
附属文書
附属文書は,JIS B 9704-2:2008の箇条7による。
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附属書K
(規定)
拡散反射形能動的光電保護装置(AOPDDR)の追加要求事項
自動ドアセットの保護装置として用いられる,拡散反射形能動的光電保護装置(AOPDDR)は,附属書
Iの要求事項によるほか,追加要求事項としてJIS B 9704-3:2011の要求事項のうち,特に光干渉に対する
耐性について,次のように部分的に適用する(タイプ3以外のESPEも対象とする。)。
K.1 AOPDDRの受光器等の光学部品における光干渉(環境要求事項)
ESPEは,次の光にさらされたとき正常な運転状態を続けなければならない。
− 白熱電球光
− 高周波電子式電源で作動する蛍光灯光
− 同一設計のAOPDDRからの投光(AOPDDR供給者から干渉回避のための取付け上の制約が示されて
いないとき。)
ESPEは,次の光を受けたときに危険側故障を起こしてはならない。
− 高輝度の白熱電球光(ハロゲン電球,石英電球を用いた模擬昼光)
− 定格電源で作動する蛍光灯光,及び高周波電子式蛍光灯光
− ストロボ光
− 同一設計のAOPDDRからの投光
− せん(閃)光灯
これらの要求事項は,K.2の試験によって検証する。
K.2 AOPDDRの受光器等の光学部品への光干渉(環境試験)
K.2.1 一般事項
試験の配置は,供試のAOPDDRの特性に適応するものでなければならない。引き戸セットの開口の上
方(例 かもい,駆動装置のエンクロージャ)に設置される,AOPDDRの受光器に対する光干渉の試験に
適用できる配置を図K.1及び図K.2に示す。他の箇所(例 天井)に設置される,又は他の種類のドアセ
ットに設置されるAOPDDRに対する試験は,図K.1及び図K.2を指針とし,その特性に適応する試験配
置によって実施しなければならない。
K.2.2 光源
光源には,JIS B 9704-3:2011の5.4.6.2で規定されたものを用いなければならない。ただし,せん(閃)
光灯光源及び/又はストロボ光源として市販の照明器具を用い,かつ,そのエンクロージャ,反射板又は
フィルタを取り外すことが困難な場合には,光の強度が減じないとみなせるならば,エンクロージャ,反
射板又はフィルタはあってもよい。
K.2.3 試験順序
K.2.4〜K.2.8の光干渉試験に用いる試験手順1〜試験手順3は,JIS B 9704-3:2011の5.4.6.3による。
K.2.4 光干渉試験−白熱電球光源
K.2.4.1 正常運転の確認−AOPDDR受光器への干渉
K.2.2の白熱電球光源を用いて受光器面に1 500 lx±10 %の照度を与え[図K.1 a) 参照],試験手順1に
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よって試験する。
ESPEは,試験手順がオフ状態にあることを要求しているときにオン状態になってはならない。試験手
順がオン状態にあることを要求しているときにオフ状態になる場合は,次の追加試験a) 及びb) を実施し
なければならない。
a) 次の条件で試験手順1を行う間,ESPEは正常運転状態を続けなければならない。
K.2.2の白熱電球光源を,ESPEに検出されない範囲でできるだけ検出区域近くに置く[図K.1 a) 参
照]。ESPEと光源との間の距離は,ESPEがA試験をパスする最小の距離とする。AOPDDRの受光器
面で測定した光の照度が1 500 lxに満たない条件で試験を行った場合は,ESPE附属の説明書に,使用
時に白熱電球光源からの干渉を回避する必要性についての説明を含めなければならない。
b) 次の条件で試験手順1を行う間,ESPEは正常運転状態を続けなければならない。
K.2.2の白熱電球光源を検出区域内に置く[図K.1 b) 参照]。ESPEと光源との間の距離はESPEが
A試験をパスする最小の距離とする。AOPDDRの受光器面で測定した照度が1 500 lxに満たない条件
で試験を行った場合は,ESPE附属の説明書に,使用時に白熱電球光源からの干渉を回避する必要性
についての説明を含めなければならない。
K.2.4.2 危険側故障の確認−AOPDDR受光器への干渉
K.2.2の白熱電球光源を用いて受光器面に3 000 lx±10 %の照度を与える[図K.1 a) 参照]。
試験手順2を行う間,ESPEは危険側故障を起こしてはならない。
この試験において,3 000 lx±10 %の照度を得るために,光源を検出区域の内部に置く必要がある場合に
は,次の追加試験a) 及びb) を実施しなければならない。
a) 次の条件で試験手順2を行う間,ESPEは危険側故障を起こしてはならない。
K.2.2の白熱電球光源を用いて受光器面に3 000 lx±10 %の光の照度を与える。光源は,ESPEに検
出されない範囲でできるだけ検出区域に近い位置に置く[図K.1 a) 参照]。
b) 次の条件で試験手順2を行う間,ESPEは危険側故障を起こしてはならない。附属書Cで規定するCA
基準体及び/又はCB基準体を検出区域の最も遠い境界上に置いてC試験を行わなければならない。
K.2.2の白熱電球光源を検出区域の外側においてできるだけ近くに置く(この場合の照度は,3 000 lx
±10 %でなくてもよい。)[図K.1 a) 参照]。
K.2.5 光干渉試験−蛍光灯光源
K.2.5.1 一般事項
蛍光管の中央部及び両端部(陰極付近及び陽極付近)からの光を用いて三通りの試験を実施しなければ
ならない。
注記 蛍光灯光源を用いる試験の一つの目的は,周波数の高い光に対するAOPDDRの感受性を確認
することである。
K.2.5.2 正常運転の確認−AOPDDR受光器への干渉
検出区域の大きさを設定可能な最小値にして試験する。K.2.2の蛍光灯光源を検出区域の外側のできる
だけ近くで,AOPDDRのハウジングから0.2 mの距離に置く[図K.1 a) 参照]。
K.2.3の試験手順1を行う間,ESPEは正常運転状態を継続しなければならない。
K.2.5.3 危険側故障の確認−AOPDDR受光器への干渉
検出区域の大きさを設定可能な最大値にする。K.2.2の蛍光灯光源を検出区域内でAOPDDRのハウジン
グから0.2 mの距離に置き[図K.1 c) 参照],試験手順2を実施する。試験の間ESPEは危険側故障を起こ
してはならない。C試験は,基準体を検出区域の最も遠い境界に置いて行わなければならない。
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注記 この試験の間は,干渉光源の蛍光管本体は一つの物体として検出されてもよい。
K.2.6 光干渉試験−ストロボ光源
K.2.6.1 一般事項
試験は,フラッシュ周波数が5〜200 Hzまで直線的に増加するストロボ光源を用いて3分間実施しなけ
ればならない。3分の間C試験を連続的に繰り返さなければならない。C試験は,基準体を検出区域の最
も遠い境界に置いて行う。フラッシュ管の位置は,試験の間一定にする。
K.2.6.2 危険側故障の確認−AOPDDR受光器への干渉
K.2.2のストロボ光源を検出区域内でAOPDDRハウジングから3.0 mの距離に置き[図K.1 b) 参照],
試験手順3を実施する。試験の間,ESPEは危険側故障を起こしてはならない。
K.2.7 同一設計の投光器による光干渉試験
K.2.7.1 一般事項
同一設計のAOPDDR相互の光干渉試験を行う場合は,二つのAOPDDRを,分析によって決定した最悪
条件の位置及び向きに取り付けなければならない。このような試験に適用できる配置を図K.2に示す。
K.2.7.2 正常運転の確認
同一設計の二つ以上のAOPDDR相互の干渉回避方策(例えば,特殊な取付条件)に関する説明を使用
上の情報に含めてもよい。使用上の情報に供給者が取付け上の制約を指示しないときは,図K.2の配置で,
同一設計のAOPDDRの投光器からの放射が双方のAOPDDR受光器に直接及び/又は拡散反射によって入
光するようにして,二つのESPEに対してA試験を実施しなければならない。試験を継続する時間は,設
計の系統的分析によって決定しなければならない。
K.2.7.3 危険側故障の確認
図K.2の配置で,同一設計のAOPDDRの投光器からの放射を他方のAOPDDRの受光器に直接及び/又
は拡散反射によって入光させたとき,ESPEに危険側故障が生じてはならない。この試験は両方のESPEに
対して実施しなければならない。試験を継続する時間は,設計の系統的分析によって決定しなければなら
ない。試験中いずれのESPEのOSSDもオン状態になってはならない。
K.2.8 光干渉試験−せん(閃)光灯光源
K.2.8.1 一般事項
せん(閃)光灯の位置は試験の間一定にする。附属書Cで規定するCA基準体及び/又はCB基準体を
検出区域の最も遠い境界に置いて,C試験を実施しなければならない。
K.2.8.2 危険側故障の確認−AOPDDR受光器への干渉
K.2.2のせん(閃)光灯光源を検出区域内でAOPDDRハウジングから3.0 mの距離に置いて[図K.1 b) 参
照],試験手順3を実施する。試験の間,ESPEは危険側故障を起こしてはならない。
K.3 附属文書
ESPE附属文書は,I.4によるほか,妥当な限り次の項目を含めなければならない。
− この附属書には規定がないが指定の検出能力を低下させる可能性のある外部的な影響に関する情報。
例えば,溶接スパッタ,赤外線式リモコン,K.2.2に規定する光源以外の蛍光灯光及びストロボ光,
雪,雨,汚れ,及び熱対流。
− K.2.4.1 b) の要求が該当するとき,白熱電球光源による干渉を回避するための情報。この情報には,
使用中のAOPDDRに影響する光源の例,及びAOPDDRとこれらの光源との間の適切な距離に関する
情報を含めなければならない。
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側面図
平面図
a) 白熱電球光源及び蛍光灯光源(検出領域の隣接部に配置)
1
AOPDDR
2
検出区域
3
光源
4
CA基準体
5
床面
6
駆動装置
7
戸(の軌跡)
8
サイドスクリーン
図K.1−光干渉試験
2
4
3
7
1
2
4
5
6
7
8
3
3
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A 4722:2017
側面図
平面図
b) 白熱電球光源,ストロボ光源及びせん(閃)光灯光源(検出領域の内部に配置)
1
AOPDDR
2
検出区域
3
光源
4
CA基準体
5
床面
6
駆動装置
7
戸(の軌跡)
8
サイドスクリーン
図K.1−光干渉試験(続き)
2
4
3
7
2
3
4
5
6
7
8
1
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A 4722:2017
側面図
平面図
c) 蛍光灯光源(検出領域の内部,ハウジングから0.2 mに配置)
1
AOPDDR
2
検出区域
3
光源
4
CA基準体
5
床面
6
駆動装置
7
戸(の軌跡)
8
サイドスクリーン
図K.1−光干渉試験(続き)
2
4
3
7
1
2
3
4
5
6
7
8
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A 4722:2017
側面図
正面図
1a AOPDDR
1b AOPDDR
2
検出区域
3
CA基準体
4
床面
5
駆動装置
6
戸(の軌跡)
7
サイドスクリーン
図K.2−同一設計の2個のAOPDDR間の干渉試験
1a
1b
5
2
2
4
3
1a, 1b
2
5
7
4
6
3
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附属書L
(規定)
圧力検知マット及び圧力検知フロアの要求事項
通常使用時に遭遇する可能性のある危険状態を回避するために,自動ドアセットに設置,又は自動ドア
セットとともに使用する,保護装置としての圧力検知マット及び圧力検知フロアに関する要求事項は,JIS
B 9717-1:2011によるほか,次による。
L.1
要求事項
要求事項は,JIS B 9717-1:2011の箇条4による。ただし,“一般”,“保全のためのアクセス”,“環境条件”,
及び“JIS B 9705-1による制御システムの安全関連部のパフォーマンスレベル及びカテゴリ”については,
次による。
L.1.1 一般
圧力検知マット及び圧力検知フロアは,有効検知領域に立っている人又は踏み込む人を検出しなければ
ならない。
次の要求事項は,自動ドアセットとして,また,その種類に応じて検討する必要がある。
L.1.2 保全のためのアクセス
圧力検知マット又は圧力検知フロアの内部にアクセスする必要がある場合,鍵,工具,又は同水準の安
全を提供できる手段によってだけ,可能でなければならない。エンクロージャを固定する手段は,鍵又は
工具を除いて,キャプティヴ式でなければならない。
L.1.3 環境条件
環境条件は,JIS B 9717-1:2011の4.11による。ただし,“温度範囲”,“湿度”及び“振動”については,
次による。
L.1.3.1 温度範囲
圧力検知マット又は圧力検知フロアは,5 ℃〜40 ℃の温度範囲において,また,更に広い温度範囲を製
造業者が指定する場合,指定の温度範囲において,JIS B 9717-1:2011の4.2.1及び4.3の要求事項を満足し
なければならない。
L.1.3.2 湿度
湿度の要求事項は,4日間,JIS C 60068-2-78に従わなければならない。
L.1.3.3 振動
振動の要求事項は,JIS B 9717-1:2011の4.11.4による。ただし,ドアセット周囲の構造物に恒久的に固
定することしかできない設計となっている圧力検知マット又は圧力検知フロアは,振動に関する要求事項
を満たす必要はない。
L.1.4 JIS B 9705-1による制御システムの安全関連部のパフォーマンスレベル及びカテゴリ
L.1.4.1
圧力検知マット及び圧力検知フロアは,規定及び表記されるパフォーマンスレベル(PL)及びカテゴリ
の要求事項を満たさなければならない。パフォーマンスレベル及びカテゴリは,JIS B 9705-1で定義され
る。
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L.1.4.2
センサ,制御装置及び出力信号開閉装置は,最低でもJIS B 9705-1で規定するPL=cの要求事項を満た
さなければならない。ただし,安全機能に影響しないセンサ表面の機械的な損傷(例 削りくずによる擦
りきず)は,故障として扱わない。
L.2
マーキング
マーキングは,JIS B 9717-1:2011の箇条5による。ただし,“制御装置のマーキング”及び“センサのマ
ーキング”については,次による。
L.2.1 制御装置のマーキング
制御装置のラベルは,次の情報を含んでいるか,又はこの情報をどこで見ることができるかを示さなけ
ればならない。
a) JIS B 9705-1に従ったパフォーマンスレベル(PL)及びカテゴリ
b) 応答時間
c) リセット機能の有無
d) 識別(例 製造番号,型式)
L.2.2 センサのマーキング
センサのラベルは,次の情報を含んでいるか,又はこの情報をどこで見ることができるかを示さなけれ
ばならない。
a) 体重が20 kgを超える人(例 子ども)を検出するのに適しているか
b) 識別(例 製造番号,型式)
L.3
使用上の情報
使用上の情報は,JIS B 9717-1:2011の箇条6による。ただし,取扱説明書に含めなければならない“装
置の特徴”については,次による。
装置の特徴
a) JIS B 9705-1に従ったパフォーマンスレベル(PL)及びカテゴリ
b) 有効検知領域を含む,個々のセンサの大きさ及び形状の限界値
c) 一つの制御装置で使用できるセンサの数及び大きさの組合せの限界値
d) 構成部品同士の接続
e) 個々の構成部品同士の最大接続長及び接続部品の種類(例 ケーブル仕様,プラグ及びソケット)
f)
装置配備−センサを組み合わせる方法
g) センサ及び制御装置の固定方法
h) 1平方メートル当たりのセンサの質量,及び制御装置の質量
i)
センサに追加するカバーの詳細(該当する場合)
j)
応答時間
k) 動力源の要求条件
l)
JIS C 0920による制御装置の保護等級
m) 出力信号開閉装置の出力仕様
n) 出力信号開閉装置の構成
o) 歩行補助具の検知に対する適合性(例 ステッキ及び歩行器)
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p) 危険を生じる場所に関連して,必要な有効検知領域の計算式を用意しなければならない。計算式の適
用について,典型的な例を示さなければならない(JIS B 9715のA.7.2参照)。
q) 装置が適合するカテゴリ及びパフォーマンスレベル(PL)を含め,意図する又は承認される適用及び
条件の範囲。不適切な適用例も示すことが望ましい。
r) 安全機能の図解及び機械制御インタフェース回路図の例
s)
全ての入出力端子の定格,特性及び位置
t)
化学的,物理的及び環境上の耐久性(例えば,耐溶剤性,許容負荷荷重,使用温度範囲,許容電圧変
動など)に関する指針
u) 意図するドアセットの種類
v) ドアセット上の,又はドアセットに対しての意図する位置
L.4
試験
試験は,JIS B 9717-1:2011の箇条7による。ただし,“試験No.10−環境条件”,“試験No.11−電源”及
び“試験No.14−JIS B 9705-1による制御システムの安全関連部のパフォーマンスレベル”は,次による。
L.4.1 試験No.10−環境条件
環境条件に対する試験は,JIS B 9717-1:2011の7.13による(要求事項は,JIS B 9717-1:2011の4.11を参
照)。ただし,“試験No.10.1−温度範囲”,“試験No.10.2−湿度”,“試験No.10.3−電磁両立性(イミュニテ
ィ)”及び“試験No.10.4−振動”については,次による。
L.4.1.1 試験No.10.1−温度範囲
要求事項は,JIS B 9717-1:2011の4.11.1による。
表L.1の試験は,製造業者が指定する温度範囲で実施する。
表L.1−温度範囲
試験手順
注記
JIS C 60068-2-14
試験 Nb
圧力検知マット又は圧力検知フロアは,動力源に接続する。
加熱及び冷却時の温度変化率は,温度範囲全体にわたって,(0.8±0.3)℃/minでなければならない。試
験中(温度変化中),JIS C 60068-2-14に従って,JIS B 9717-1:2011の7.13.1の機能試験を,1分間隔で実
施しなければならない。この試験は,JIS B 9717-1:2011の7.2で示す有効検知領域よりも小さい検知領域
をもつセンサを使用して実施する。ただし,有効検知領域の寸法は,400 mm×200 mm以上でなければな
らない。
L.4.1.2 試験No.10.2−湿度
要求事項は,JIS B 9717-1:2011の4.11.2による。
耐湿性に関する要求事項は,表L.2に従って4日間にわたって検証しなければならない。
表L.2−湿度
試験方法
試験条件
JIS C 60068-2-78
試験 Cab
温度:(40±2)℃
相対湿度:(93±3)%
圧力検知マット又は圧力検知フロアは,動力源に接続しない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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JIS B 9717-1:2011の7.13.1で規定する機能試験は,湿度試験の開始前及び終了後に実施しなければなら
ない。
試験終了後,IEC 61439-1:2011の11.9に従って,絶縁抵抗を測定しなければならない。
L.4.1.3 試験No.10.3−電磁両立性(イミュニティ)
要求事項は,JIS B 9717-1:2011の4.11.3を参照。
安全関連要求事項は,JIS C 61000-6-2に従って検証しなければならない。
イミュニティは,JIS B 9717-1:2011の表4に示す特性値,及びJIS B 9717-1:2011の7.13.1に示す条件に
よる試験手順に従って,次の状態に対して検証しなければならない。
− 圧力検知マット又は圧力検知フロアに動力を供給している状態
− 圧力検知マット又は圧力検知フロアに動力を供給し,作動力を加えている状態
− 圧力検知マット又は圧力検知フロアに動力を供給し,作動力を取り除いた後,リセット実行前の状態
L.4.1.4 試験No.10.4−振動
要求事項は,JIS B 9717-1:2011の4.11.4を参照。
制御装置及び出力信号開閉装置の振動に対する要求事項は,表L.3に従って検証しなければならない。
試験開始時及び終了時に,及びこの試験中10秒間隔で,JIS B 9717-1:2011の7.13.1に従って機能試験を実
施しなければならない。
表L.3−振動
試験方法
試験条件
JIS C 60068-2-6
試験 Fc
圧力検知マット又は圧力検知フロアは,動力源に接続する。
L.4.2 試験No.11−電源
JIS B 9717-1:2011の4.12.1の要求事項を,JIS B 9960-1:2011の箇条4に従って検証しなければならない。
L.4.3 試験No.14−JIS B 9705-1による制御システムの安全関連部のパフォーマンスレベル及びカテゴリ
要求事項は,JIS B 9717-1:2011の4.15を参照。
ISO 13849-2に従って,安全機能及びカテゴリの妥当性を確認しなければならない。達成したPLと要求
PLrの比較をしなければならない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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附属書M
(規定)
圧力検知エッジ及び圧力検知バーの要求事項
通常使用時に遭遇する可能性のある危険状態を回避するために,自動ドアセットに設置,又は自動ドア
セットとともに使用する,保護装置としての圧力検知エッジ及び圧力検知バーに関する要求事項は,ISO
13856-2:2013によるほか,次による。
M.1 要求事項
要求事項はISO 13856-2:2013の箇条4による。ただし,“作動力”,“力とトラベルとの関係”,“環境条
件”,及び“アクセス”については,次による。
次の要求事項は,自動ドアセットとして,また,その種類に応じて検討する必要がある。
M.1.1 作動力
作動力の要求事項は,ISO 13856-2:2013の4.2による。ただし,歩行者用自動ドアセットの保護装置と
して用いられる圧力検知エッジ及び圧力検知バーは,試験片1(ISO 13856-2:2013の図5参照)だけを適
用すればよい。
M.1.2 力とトラベルとの関係
力とトラベルとの関係は,ISO 13856-2:2013の4.6による。ただし,許容可能な力(acceptable force)は,
5.5.7の要求事項に適合しなければならない。
M.1.3 環境条件
環境条件は,ISO 13856-2:2013の4.12による。ただし,“気象条件”及び“振動”については,次によ
る。
M.1.3.1 気象条件
試験方法は,ISO 13856-2:2013の7.11.2及び7.11.3による。
圧力検知エッジ又は圧力検知バーは,次の気象条件において,正常な動作を継続しなければならない。
− 最低限の温度範囲は5 ℃〜40 ℃でなければならない。また,更に広い温度範囲を製造業者が指定す
る場合,指定の温度範囲でこの要求事項を満たさなければならない(ISO 13856-2:2013の7.11.2参照)。
− 93 %の相対湿度及び40 ℃の温度で4日間保管した後,通常運転を継続し(ISO 13856-2:2013の7.11
参照),また,電気絶縁を維持しなければならない(ISO 13856-2:2013の7.11.3参照)。
M.1.3.2 振動
振動の要求事項は,ISO 13856-2:2013の4.12.4による。ただし,ドアセット周囲の構造物に恒久的に固
定することしかできない設計となっている場合,振動に関する要求事項を満たす必要はない。
M.1.4 アクセス
試験方法は,ISO 13856-2:2013の7.16を参照。
圧力検知エッジ又は圧力検知バーの内部にアクセスする必要がある場合,鍵,工具,又は同水準の安全
を提供できる手段によってだけ,可能でなければならない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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A 4722:2017
M.2 マーキング
マーキングの要求事項は,ISO 13856-2:2013の箇条5による。
M.3 選定及び使用上の情報
選定及び使用上の情報の要求事項は,ISO 13856-2:2013の箇条6による。ただし,“適切な圧力検知エッ
ジ又は圧力検知バーの選択のための本質的データ”及び“使用上の情報”は,次による。
M.3.1 適切な圧力検知エッジ又は圧力検知バーの選択のための本質的データ
ISO 13856-2:2013の6.2によるほか,次の事項を含めなければならない。
− 意図するドアセットの種類
− 自動ドアセット上の,又は自動ドアセットに対しての意図する位置
M.3.2 使用上の情報
使用上の情報の要求事項は,ISO 13856-2:2013の6.3による。ただし,“設置及び検収のための情報”の
うち,“圧力検知エッジ又は圧力検知バーに関連する情報”については,ISO 13856-2:2013の6.3.1 a) によ
るほか,次の事項を含めなければならない。
− 意図する自動ドアセットの種類
− 自動ドアセット上の,又は自動ドアセットに対しての意図する位置
M.4 要求事項の検証
ISO 13856-2:2013の箇条7による。
参考文献 JIS C 61000-6-2 電磁両立性−第6-2部:共通規格−工業環境におけるイミュニティ
JIS S 0101 消費者用警告図記号
EN 16005:2012/AC:2015 Power operated pedestrian doorsets−Safety in use−Requirements and test
methods
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。