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(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本住宅
設備システム協会(JHESA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS A 4414:1998は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正は,シックハウス問題に対応するため,ホルムアルデヒドの放散のおそれのある材料に関す
る部分の改正を主たる目的とし,更に建築モデュラーコーディネーションに関連する日本工業規格の改正
に伴う,寸法部分の用語の改正,JIS Z 8301の様式との整合及びSI単位への移行を行った。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。
JIS A 4414には,次に示す附属書がある。
附属書1(規定)遮音性及び地震時における耐転倒性の試験方法
附属書2(参考)引出しの急速開閉試験用装置
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目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 種類 ······························································································································ 1
4. 品質及び構造 ·················································································································· 1
4.1 外観 ···························································································································· 1
4.2 構造及び加工 ················································································································ 1
4.3 性能 ···························································································································· 2
5. 材料 ······························································································································ 2
6. 寸法 ······························································································································ 3
6.1 収納間仕切りのコーディネーティング面 ············································································· 3
7. 試験 ······························································································································ 4
7.1 帆立部の衝撃抵抗性試験 ································································································· 4
7.2 安定性試験 ··················································································································· 4
7.3 強度及び耐久性試験 ······································································································· 5
7.4 表面処理試験 ················································································································ 6
7.5 絶縁抵抗耐電圧試験 ······································································································· 7
8. 検査 ······························································································································ 7
8.1 形式検査 ······················································································································ 7
8.2 受渡検査 ······················································································································ 8
9. 表示 ······························································································································ 8
9.1 製品に対する表示 ·········································································································· 8
9.2 添付書類による表示 ······································································································· 8
10. 取扱い上及び維持管理上の注意事項 ··················································································· 8
附属書1(規定)遮音性及び地震時における耐転倒性の試験方法 ·················································· 10
附属書2(参考)引出しの急速開閉試験用装置 ·········································································· 12
日本産業規格 JIS
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住宅用収納間仕切り構成材
Storage partition components for dwellings
1. 適用範囲 この規格は,住宅の室空間に用いられる収納間仕切り構成材(以下,収納間仕切りという。)
及びそれに組み込まれる収納部について規定する。
備考1. 収納間仕切りとは,収納の機能をもち,室空間を間仕切る構成材をいう。
2. 収納部とは,組み合わせて使用することを目的とする単品をいう。
2. 引用規格 付表1に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構
成する。これらの規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
3. 種類 収納部の種類は,表1による。
表 1 収納部の種類
収納部の種類
記号
用途内容
衣類用
W
洋服だんす・整理だんすのような収納機能をもつもの。
食器用
K
食器戸棚・茶だんすのような機能をもつもの。
書籍用
B
本箱・書棚のような機能をもつもの。
複合用
C
衣類用・食器用・書籍用のいずれかをそれぞれ組み合わせたもの。
その他
D
家庭用電気機器などのような収納機器をもつもの。
4. 品質及び構造
4.1
外観 完成品の外観等は,次による。
a) 完成品(1)の外観は良好で,美観を損なうような色むら,はく離,くるい,不ぞろい,きずなどの著し
い欠点があってはならない。
注(1) 完成品とは,その製品の組立仕様書に従って組み立てられたものをいう。
b) 人体及び衣類に直接触れる部分には,鋭い角部や危険な突起などがあってはならない。
c) 使用上支障のあるような揮発性物質及び臭気を発生してはならない。
4.2
構造及び加工 構造及び加工は,次による。
a) 収納間仕切りの構造は,建築く(躯)体への組込み及び接合を容易に,かつ,確実に実施できるよう
に考慮する。
b) 木材又は木質材料を使用するときは,組立て後,割れ,くるいなどの欠陥を生じにくい構造とする。
c) 帆立て構造のものは,7.1によって試験を行い,倒れたり崩壊による著しい危険性がない構造とする。
d) 接着,溶接などは確実に行い,また,き裂を生じにくい構造とする。
e) 木部を接着して組み立てる場合は,接着後十分に圧締めを行う。
f)
ねじ類,その他の金属を用いて組み立てる場合は,接合部に緩みが生じないように確実に結合する。
2
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g) 取り外し可能な商品及び部材は,確実に固定できる構造とする。
4.3
性能 完成品は,7.によって試験を行ったとき,表2の規定に適合しなければならない。
なお,試験は,対象とする製品に備わった機能についてだけ,この試験項目の中から選ぶ。
表 2 性能
項目
規定
試験方法
安定性
帆立部の衝撃抵抗性
倒れたり破壊による著しい危険性があってはならない。
7.1
力を加えない状態での安定性
転倒してはならない。
7.2.1
可動部に力を加えた状態での安定
性
転倒してはならない。
7.2.2
棚板に力を加えた状態での安定性
転倒してはならない。
7.2.3
強度及び
耐久性
棚板支持部の強度
使用上支障のある破損,変形及び外れがあってはならない。 7.3.1.1
棚板のたわみ
たわみ率は,0.5 %以下で,使用上支障のある破損及び変
形があってはならない。
7.3.1.2
ハンガー用棒の支持具の強度
使用上支障のある破損,変形及び外れがあってはならない。 7.3.2.1
ハンガー用棒のたわみ
たわみ率は,0.4 %以下で,使用上支障のある破損及び変
形があってはならない。
7.3.2.2
天板及び底板の強度
使用上支障のある破損,変形及び外れがあってはならない。 7.3.3
開き戸の垂直力
使用上支障のある破損,変形及び外れがあってはならない。 7.3.4.1
開き戸の水平力
使用上支障のある破損,変形及び外れがあってはならない。 7.3.4.2
開き戸の耐久性
使用上支障のある破損,変形及び外れがあってはならない。 7.3.4.3
引戸及び水平巻き戸の急速開閉
使用上支障のある破損,変形及び外れがあってはならない。 7.3.5.1
引戸及び水平巻き戸の耐久性
使用上支障のある破損,変形及び外れがあってはならない。 7.3.5.2
フラップの強度
使用上支障のある破損,変形及び外れがあってはならない。 7.3.6.1
フラップの耐久性
使用上支障のある破損,変形及び外れがあってはならない。 7.3.6.2
巻込み戸の急速開閉
使用上支障のある破損,変形及び外れがあってはならない。 7.3.7.1
巻込み戸の耐久性
使用上支障のある破損,変形及び外れがあってはならない。 7.3.7.2
引出し及びランナーの強度
使用上支障のある破損,変形及び外れがあってはならない。 7.3.8.1
引出し及びランナーの耐久性
引出し力は30 N以下で,押し込み力80 N以下で使用上支
障のある破損,変形及び外れがあってはならない。
7.3.8.2
引出しの急速開閉
使用上支障のある破損,変形及び外れがあってはならない。 7.3.8.3
引出しの底部の外れ
使用上支障のある破損,変形及び外れがあってはならない。 7.3.8.4
構造及び骨組の強度
変位量は15 mm以下で,使用上支障のある破損,変形及び
外れがあってはならない。
7.3.9.1
壁取付具の強度
落下してはならない。
7.3.9.2
表面処理 常温液体に対する表面処理抵抗
JIS A 1531に規定する等級3以上。
7.4.1
木部塗膜密着性
塗膜がはがれてはならない。
7.4.2
金属部塗膜密着性
塗膜がはがれてはならない。
7.4.3
金属部塗膜防せい性
きずの両側3 mmの外側に,膨れ及びさびが認められては
ならない。
7.4.4
金属部めっき厚さ
JIS H 8617に規定する等級2級以上,かつ,JIS H 8610に
規定する等級2級以上。
7.4.5
絶縁抵抗
・耐電圧
絶縁抵抗
1 MΩ以上。
7.5.1
耐電圧
異常があってはならない。
7.5.2
5. 材料 収納間仕切りに使用する主な材料は,表3に規定するもの,又はこれと同等以上の品質でなけ
ればならない。
3
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表 3 材料
区分
材料
木材
針葉樹の造作用製材,針葉樹の下地用製材,広葉樹製材,押角及び耳付材の日本農林規格に
規定するもので,含水率12 %以下のもの(2)。
合板
合板の日本農林規格に規定する1類又は2類のもので,ホルムアルデヒドの放散量がF☆☆☆
等級の規定値以下のもの。
集成材
集成材の日本農林規格に規定するもので,ホルムアルデヒドの放散量がF☆☆☆等級の規定値
以下のもの。
単板積層材
単板積層材の日本農林規格に規定するもので,ホルムアルデヒドの放散量がF☆☆☆等級の規
定値以下のもの。
繊維板及び同化粧板 JIS A 5905に規定するもので,ホルムアルデヒドの放散量がF☆☆☆等級の規定値以下のもの。
パーティクルボード
及び同化粧板
JIS A 5908に規定するもので,ホルムアルデヒドの放散量がF☆☆☆等級の規定値以下のもの。
合成樹脂化粧板
JIS K 6903に規定するもの。
合成樹脂成形品
該当する日本産業規格に準拠するもの。
ステンレス鋼板
JIS G 4305に規定するもの。
鋼材
JIS G 3101に規定するもの。
鋼板
JIS G 3101及びJIS G 3141に規定するもの,並びにこれを母材にした日本産業規格に規定す
る表面処理鋼板又はこれに準じるもの。
アルミニウム及びア
ルミニウム合金板
JIS H 4000及びJIS H 4100に規定するもの。
せっこうボード
JIS A 6901に規定するもの。
けい酸カルシウム板 JIS A 9510に規定するもの。
接着剤
JIS A 5536及びJIS A 5549に規定するもので,ホルムアルデヒドの放散量がF☆☆☆等級の規
定値以下のもの。
塗料
JIS K 5961及びJIS K 5962に規定するもので,ホルムアルデヒドの放散量がF☆☆☆等級の
規定値以下のもの。
注(2) 含水率の測定方法は,JIS Z 2101による。ただし,電気的測定方法によって行ってもよい。
6. 寸法
6.1
収納間仕切りのコーディネーティング面 コーディネーティングサイズ及び製作サイズは,次によ
る。
a) コーディネーティング面 収納間仕切りのコーディネーティング面は,位置公差(p),収納間仕切り
の寸法公差(t),及び収納間仕切りの組合せに必要な部分の寸法(g)を考慮して,間口方向,奥行方
向及び高さ方向の最大外形面に対して設定する。ただし,各方向における取付工事に支障のない接合
部材及び奥行き方向における引き手,丁番などの突出部は,最大外形面に含まないものとする。
b) コーディネーティングサイズ 収納間仕切りのコーディネーティングサイズは,表4によって,対向
するコーディネーティング面の距離に適用する。ただし,これ以外のものは受渡当事者間の協定によ
って定めてもよい。
表 4 収納間仕切りのコーディネーティングサイズ
単位 mm
方向
コーディネーティングサイズ
間口方向
600
800
900 1 200 1 800 2 400 2 700 3 000 3 200 3 600 4 500
奥行方向
300
400
450
600
800
900
高さ方向
1 800 2 100 2 200 2 400
c) 製作寸法 収納間仕切りの製作サイズは,収納間仕切りのコーディネーティングサイズより小さくな
4
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ければならない。
d) 製作公差 収納間仕切りの製作公差は,コーディネーティングサイズに対して,表5による。
表 5 収納間仕切りの製作公差
単位 mm
方向
製作サイズの公差
間口方向
10
奥行方向
3
高さ方向
5
7. 試験
7.1
帆立部の衝撃抵抗性試験 帆立部の衝撃抵抗性試験は,収納間仕切りの背面を壁パネルとして使用
するものは,同製品を自立させ,また,床,壁,天井などに固定する形式のものは固定した後,図1に示
す方法によって,ひもの長さ2 mの先端に砂袋(15 kg,200 mmの直径)のおもりをつるす。おもりの下
端が床から1 200 mmの位置になるように垂直に垂らす。次いで,砂袋を垂直の位置から振り子状に移動
させる。砂袋の移動位置は,垂直時の下端の水平位置から250 mmの高さまで移動させる。その位置から
砂袋を5回自然落下を繰り返して,倒れ破壊などの危険性を確認する。
単位 mm
図 1 帆立部の衝撃抵抗性試験
7.2
安定性試験 安定性試験は,JIS S 1201に従い,使用可能な状態に組み立てられた収納部(以下,収
納部という。)を転倒させようとする力に耐える能力を備えていることを確認するために行う試験で,JIS S
1201の3.(試験装置及び試験条件)に従って,次の試験項目について行う。
7.2.1
力を加えない状態での安定性試験 力を加えない状態での収納部の安定性試験は,JIS S 1201の4.
(力を加えない状態での安定性)に従い,すべての部分を規定の状態にして1分間放置する試験で確認す
る。
7.2.2
可動部に力を加えた状態での安定性(垂直力)試験 可動部に力を加えた状態での収納部の安定性
試験は,JIS S 1201の5.[可動部分に力を加えたときの安定性(垂直力)]に従い,100 Nの垂直力を1分
間加える試験で確認する。
5
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7.2.3
棚板に力を加えた状態での安定性(垂直力及び水平力)試験 7.2.2と同様に棚板に力を加えた状
態での収納部の安定性試験は,JIS S 1201の6.[オープン棚部の棚板に力を加えたときの安定性(垂直力
及び水平力)]に従い,棚板の所定の位置に水平力30 Nを1分間加える試験で確認する。
7.3
強度及び耐久性試験 強度及び耐久性試験は,JIS S 1200に従い,収納部の機能に即した正しい使用
及び通常起こり得る誤用を想定し,それらの状況に相当するおもり,力及び速度を試験品の様々な部分に
加え,材料,設計,構造又は製造工程に関係なく,性能を確認するために行う試験で,JIS S 1200の5.(一
般試験条件)及び6.(試験環境及び試験装置)に従い,次の試験項目について行う。
7.3.1
棚板
7.3.1.1
棚板支持部の強度試験 棚板支持部の強度試験は,JIS S 1200の7.1.1による。棚板上に載せるお
もりの質量及び鋼製衝撃板の種類は,表6のとおりとする。
表 6 棚板支持部の強度試験の載荷質量及び鋼製衝撃板の種類
収納部の種類 試験する以外の
部分にかける
おもり
鋼製衝撃板の種類
質量
kg
幅
mm
厚さ
長さ
エネルギー
N・m
試験区分
試験区分
試験区分
kg/dm2
2
3
4
2
3
4
mm
mm
2
3
4
衣類用
0.5
0.75
1.1
48
70
10
200
0.74
1.08
食器用
1.1
1.7
70
109
1.08
1.66
書籍用
1.1
1.7
70
109
1.08
1.66
複合用
1.1
1.7
70
109
1.08
1.66
その他
1.1
1.7
70
109
1.08
1.66
7.3.1.2
棚板のたわみ試験 棚板のたわみ強度試験は,JIS S 1200の7.1.2による。棚板にかけるおもりは,
表7のとおりとする。
表 7 棚板のたわみ試験の棚板にかけるおもり
収納部の
種類
試験おもり kg/dm2
試験区分
2
3
4
衣類用
1
1.5
食器用
1.5
2
書籍用
1.5
2
複合用
1.5
2
その他
1.5
2
7.3.2
ハンガー用棒
7.3.2.1
ハンガー用棒の支持具強度試験 ハンガー用棒の支持具強度試験は,JIS S 1200の7.2.1に従い,
試験するハンガー用棒の長さ1 dm当たり質量4 kgのおもりを載せる試験で確認する。
7.3.2.2
ハンガー用棒のたわみ試験 ハンガー用棒のたわみ試験は,JIS S 1200の7.2.2に従い,試験する
ハンガー用棒の長さ1 dm当たり質量4 kgのおもりを載せる試験で確認する。
7.3.3
天板及び底板の強度試験 天板及び底板の強度試験は,JIS S 1200の7.3に従い,天板の強度につ
いては,床から天板上面までの高さ1 050 mm未満の場合は750 N,1 050 mm以上の場合は250 N,また,
底板の強度については,床上収納部の内法の高さに制限なしの場合は750 N,内法高さが1 050 mm未満の
場合は350 Nの力を加える試験で確認する。
7.3.4
開き戸
7.3.4.1
開き戸の垂直力試験 開き戸の垂直力試験は,JIS S 1200の8.1.1.1に従い,質量25 kgのおもり
6
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を載せる試験で確認する。
7.3.4.2
開き戸の水平力試験 開き戸の水平力試験は,JIS S 1200の8.1.1.2に従い,60 Nの水平力を加え
る試験で確認する。
7.3.4.3
開き戸の耐久性試験 開き戸の耐久性試験は,JIS S 1200の8.1.2に従い,扉の裏表にそれぞれの
質量1.5 kgの二つのおもりを取り付けて,40 000回の開閉を繰り返す試験で確認する。
7.3.5
引戸及び巻き戸
7.3.5.1
引戸及び水平巻き戸の急速開閉試験 引戸及び水平巻き戸の急速開閉試験は,JIS S 1200の8.2.1
に従い,m2の値を3 kgとする試験で確認する。
7.3.5.2
引戸及び水平巻き戸の耐久性試験 引戸及び水平巻き戸の耐久性試験は,JIS S 1200の8.2.2に従
い,20 000回の開閉を繰り返す試験で確認する。
7.3.6
フラップ
7.3.6.1
フラップの強度試験 フラップの強度試験は,JIS S 1200の8.3.1に従い,200 Nの力を加える試
験で確認する。
7.3.6.2
フラップの耐久性試験 フラップの耐久性試験は,JIS S 1200の8.3.2に従い,10 000回の開閉を
繰り返す試験で確認する。
7.3.7
巻込み戸
7.3.7.1
巻込み戸の急速開閉試験 巻込み戸の急速開閉試験は,JIS S 1200の8.4.1に従い,上下両方向に
それぞれ30回の自由落下を繰り返す試験で確認する。
7.3.7.2
巻込み戸の耐久性試験 巻込み戸の耐久性試験は,JIS S 1200の8.4.2に従い,10 000回の開閉を
繰り返す試験で確認する。
7.3.8
引出し
7.3.8.1
引出し及びランナーの強度試験 引出し及びランナーの強度試験は,JIS S 1200の8.5.1に従い,
250 Nの力を加える試験で確認する。
7.3.8.2
引出し及びランナーの耐久性試験 引出し及びランナーの耐久性試験は,JIS S 1200の8.5.2に従
い,40 000回の開閉を繰り返す試験で確認する。
7.3.8.3
引出しの急速開閉試験 引出しの急速開閉試験は,JIS S 1200の8.5.3に従い,引出し内には容積
1 dm3当たり0.33 kgのおもりを入れて,引出しの重さが,5 kgのときは1.5 m/s,35 kgのときは1.0 m/sの
速度で,引出しの速度が調整された試験装置(附属書2参照)の試験で確認する。
7.3.8.4
引出しの底部の外れ試験 引出しの底部の外れ試験は,JIS S 1200の8.5.4に従い,60 Nの力を
加える試験で確認する。
7.3.9
構造及び骨組
7.3.9.1
構造及び骨組の強度試験 構造及び骨組の強度試験は,JIS S 1200の9.1に従い,300 Nの力を加
える試験で確認する。
7.3.9.2
壁取付具の強度試験 壁取付具の強度試験は,JIS S 1200の9.2に従い,すべての水平面に1 dm2
当たり2.25 kgのおもりを載せる試験で確認する。
7.4
表面処理試験 表面処理試験に用いる試験片は,供試体から木質系の場合は,長さ約150 mm,幅約
50 mm,鋼板の場合は,長さ約150 mm,幅約50 mm,鋼管の場合は,原形のまま,長さ約150 mmの大き
さのものをとる。ただし,供試体と同一生産条件で生産されたものでもよい。
なお,常温液体に対する試験片は除くものとする。
7.4.1
常温液体に対する表面処理抵抗試験 常温液体に対する表面処理抵抗試験は,JIS A 1531の規定に
7
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よって,酢酸4.4 %,アンモニア10 %溶液,中性洗剤及び事務用インクの4種類の試験液を用いて,6
時間放置した後,試験液をふき取り,表面の異常の有無を調べる。
7.4.2
木部塗膜密着性試験 木部塗膜密着性試験は,試験片に,鋭利な刃物で,刃物が木質素地に達する
ように2 mm間隔で,相互に直交するようにけがき線を11本ずつ引き,1 mm×1 mmのます目を100個作
る。その上に,JIS Z 1522に規定する粘着テープを張り付けた後,すぐにはがし,塗膜のはがれの有無を
調べる。
7.4.3
金属部塗膜密着性試験 金属部塗膜密着性試験は,試験片に鋭利な刃物で,刃が金属素地に達する
ように1 mm間隔で,相互に直交するようにけがき線を11本ずつ引き,2 mm×2 mmのます目を100個作
る。その上に,JIS Z 1522に規定する粘着テープを張り付けた後,すぐにはがし,塗膜のはがれの有無を
調べる。
7.4.4
金属部塗膜防せい性試験 金属部塗膜防せい性試験は,試験片に,図2に示すように刃が金属素地
に達するようにきずを付け,3 %食塩水(15〜25 ℃)をビーカーに深さ約70 mm入れたものに,きずを
付けた試験片を約半分浸し,100時間経過後,浸せきしたままで,きずの両側3 mmの外側の膨れの有無,
及び引き上げて静かに水洗いした後,乾燥させ,きずの両側3 mmの外側のさびの有無を調べる。
単位 mm
図 2 金属部塗膜防せい性試験
7.4.5
金属部めっき厚さ試験 金属部めっき厚さ試験は,JIS H 8617の5.3(めっきの最小厚さ)又はJIS
H 8610の5.2(めっきの最小厚さ)の規定による。
7.5
絶縁抵抗耐電圧試験
7.5.1
絶縁抵抗試験 絶縁抵抗試験は,通常の使用状態で人体に触れる部分のうち,非充電金属部及び充
電金属部相互間の絶縁抵抗を500 V絶縁抵抗計で測定する。
7.5.2
耐電圧試験 耐電圧試験は,通常の使用状態で人体に触れる部分のうち,非充電金属部及び充電金
属部相互間に交流電圧1 000 Vを1分間加え,異常の有無を調べる。
8. 検査
8.1
形式検査 形式検査は,新規の設計製作による製品及び設計,材質,加工などの変更によって,新
規の設計製作とみなされる製品については,4.,5.,6.,9.及び10.の項目について行い,それぞれの規定に
適合しなければならない。
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8.2
受渡検査 受渡検査は既に形式検査に合格したものと同じ設計製作による製品の受渡しに際して,
4.1,5.,6.及び9.の項目について行い,それぞれの規定に適合しなければならない。
9. 表示
9.1
製品に対する表示 製品には,次の事項を表示しなければならない。
a) 製品のコーディネーションサイズ 間口(W)×奥行(D)×高さ(H)
b) 製造年月又はその略号
c) 製造業者名又はその略号
d) 収納部の種類及び性能レベル
例 衣類−W
e) 商品名
9.2
添付書類による表示 製品の添付書類には,附属書1に基づいた試験結果を表示することができる。
a) 遮音性
b) 地震時における耐転倒性
10. 取扱い上及び維持管理上の注意事項 製品には,取扱い上及び維持管理上の注意事項を添付しなけれ
ばならない。
a) 事故,補修及びメンテナンス時の連絡先
b) 収納物に対する注意事項
c) 使用材料に対する注意事項
1) 使用材料の材質
2) 製品に使用する構成材のホルムアルデヒド放散区分
例 構成材料
内装仕上げ部分
下地部分
ホルムアルデヒド
発散建築材料
放散区分
ホルムアルデヒド
発散建築材料
放散区分
化粧PB
化粧合板
集成材
化粧MDF
F☆☆☆☆
F☆☆☆☆
F☆☆☆☆
F☆☆☆☆
化粧PB
接着剤
塗料
F☆☆☆☆
F☆☆☆
F☆☆☆
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付表 1 引用規格
JIS A 1416 実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法
JIS A 1531 家具―常温液体に対する表面抵抗の試験方法
JIS A 5536 床仕上げ材用接着剤
JIS A 5549 造作用接着剤
JIS A 5905 繊維板
JIS A 5908 パーティクルボード
JIS A 6901 せっこうボード製品
JIS A 9510 無機多孔質保温材
JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材
JIS G 3141 冷間圧延鋼板及び鋼帯
JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
JIS H 4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS H 4100 アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材
JIS H 8610 電気亜鉛めっき
JIS H 8617 ニッケルめっき及びニッケル−クロムめっき
JIS K 5961 家庭用屋内木床塗料
JIS K 5962 家庭用木部金属部塗料
JIS K 6903 熱硬化性樹脂高圧化粧板
JIS S 1200 家具−収納ユニット−強度と耐久性の試験方法
JIS S 1201 家具−収納ユニット−安定性の試験方法
JIS Z 1522 セロハン粘着テープ
JIS Z 2101 木材の試験方法
日本農林規格 針葉樹の造作用製材
日本農林規格 針葉樹の下地用製材
日本農林規格 広葉樹製材
日本農林規格 押角及び耳付材
日本農林規格 合板
日本農林規格 集成材
日本農林規格 単板積層材
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附属書1(規定)遮音性及び地震時における耐転倒性の試験方法
1. 適用範囲 この附属書は,遮音性及び地震時における耐転倒性の試験方法について規定し,本体9.2
のa)及びb)に規定する表示を行う場合に適用する。
2. 遮音性の試験方法
2.1
試験方法 遮音性を考慮する場合の試験は,JIS A 1416に準じる。
2.2
記録 試験結果の記録は,製品の透過損失の測定値をプロットし,すべての周波数域で,その曲線
を下まわる基準曲線(附属書1図1参照)のうちでレベルが最も高い曲線の数値を,製品の透過損失 (dB)
で示す。
附属書1図 1 遮音性結果ランキング基準曲線図
3. 地震時における耐転倒性の試験方法
3.1
試験方法 堅い床面上に置いたときの地震時における耐転倒性を考慮する場合の試験は,次による。
a) 平らで堅い床面上に製品を自立させるか,又は転倒防止金具(1)などで床,壁,天井に固定する形式の
ものは,仕様に従って設計する。
b) 次に,棚,引出しなどを標準的な使用状態に組み立て,それぞれに次の負荷をかける。
1) 棚 1 dm2当たり0.5 kgのおもりを載せる。
2) 引出し 容積1 dm3当たり0.25 kgのおもりを載せる。ただし,引出し1個当たりの負荷限度を最大
7.5 kgとする。
3) 収納部 1 dm2当たり0.5 kgのおもりを載せる。
c) gを重力加速度(9.8 m/s2),Wを製品及び負荷したおもりの総質量(kg)とした場合に,製品の重心
付近に0.6 Wg(N)の力で水平に前方向に引っ張り(2),転倒するかどうかを調べる。
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注(1) 転倒防止金具は,建築く(躯)体に容易に取り付けられる構造とする。
(2) 家具が移動する場合は,滑止めを取り付ける。
3.2
記録 試験結果の記録は,次の例による。
例 地震時における耐転倒性 あり
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附属書2(参考)引出しの急速開閉試験用装置
この附属書は,引出しの急速開閉試験用装置について記述するものであり,規定の一部ではない。
1. 原理 軽い(空の)引出しは,重い(収納物が入った)引出しより必ず速い速度で閉じられるが,摩
擦は,早急に閉じる速度に重要な影響は及ぼさない。
これらの条件を模擬的に作り出すためには,摩擦ができるだけ小さい,標準の“空”(5 kg)引出し及び
“満杯”(35 kg)引出しを用いる。これらの引出しを用いて,引出しの急速開閉装置の速度を規定の急速
開閉速度に調整する。
2. 方法 引出しを,最大300 mm引き出すか,又はその内側長さ(奥行き)の31若しくは少なくとも100
mmが製品の内側に残る位置まで引き出す(附属書2図1参照)。
引出しを,完全開位置から300 mm押し込む(最大移動距離が300 mm未満の場合は,完全に閉じる。)。
3. 装置 引出しの急速開閉試験用の適切な装置の一つは,空気圧で動作する低摩擦のピストン・シリン
ダー機構及び空気だめから供給される空気の圧力を調整する手段によって構成する。ピストン・シリンダ
ー機構と空気だめとの間の空気の流れは,空気操作弁によって制御し,その空気操作弁は,操作されたと
きに空気だめ内の空気を急速にピストン・シリンダー機構に接続できるものとする。この空気の流量は,
内径及び長さが規定のものである管を接続することによって制御する(附属書2図2参照)。
4. 調整 質量がそれぞれ5 kg及び35 kgで,ランナーにおける総摩擦力が10 N板の標準引出しを2個用
い,質量5 kgのときの速度を1.5 m/s,質量35 kgのときの速度を1.0 m/sに開閉速度が得られるように装
置を調整する。
備考 質量が5 kgから35 kgまでの引出しについては,質量と速度との間に比例関係があるものとみ
なす。
単位 mm
附属書2図 1 引出しの急速開閉試験
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単位 mm
附属書2図 2 空気圧引出し急速開閉装置の回路図
関連規格 JIS A 1460 建築用ボード類のホルムアルデヒド放散量の試験方法―デシケーター法
JIS A 1901 建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合
物放散測定方法―小形チャンバー法
JIS K 6804 酢酸ビニル樹脂エマルジョン木材接着剤