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(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 対象者が使用するドア及び窓の選定時に配慮する共通事項 ······················································· 5 

5 ドア及びこれらに取り付ける金物の選定 ··············································································· 8 

6 窓及びこれらに取り付ける金物の選定 ················································································· 11 

附属書A(参考)住宅用ドアの種類及び取り付ける金物の例························································ 15 

附属書B(参考)各種ドア製品の選定及び適正評価の例 ······························································ 17 

附属書C(参考)住宅用窓の種類及び取り付ける金物の例 ·························································· 19 

附属書D(参考)各種窓製品の選定及び適正評価の例 ································································ 22 

附属書E(参考)ドア製品及び窓製品の選定の具体的手順例 ························································ 25 

附属書F(参考)簡易な適正評価シートを用いて玄関ドアを選定する具体的手順例 ·························· 31 

附属書G(参考)簡易な適正評価シートを用いてトイレドアを選定する具体的手順例······················· 33 

附属書H(参考)適正評価シートを用いずに玄関ドアを選定する具体的手順例································ 35 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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高齢者・障害者配慮設計指針− 

住宅設計におけるドア及び窓の選定 

Designing guideline for the elderly and people with disabilities- 

Windows and doors application in housing design 

序文 

人は,一般的に高齢化に伴い動作能力などの身体機能が低下する。身体機能が低下している高齢者及び

障害のある人々は,住宅用のドア及び窓の使用において,不便を感じる場合がある。 

この規格は,2010年に公表したTS A 0027を基に,高齢者及び障害のある人々を対象として,安全で快

適な住宅を設計するためにドア及び窓を選定する際の指針として制定する。 

適用範囲 

この規格は,高齢者及び障害のある人々(以下,対象者という。)が居住する住宅において,住宅設計者,

使用者などが,手動式のドア及び窓,並びにそれらに取り付ける金物を選定する際に配慮するための指針

を示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS A 1541-1 建築金物−錠−第1部:試験方法 

JIS A 4702 ドアセット 

JIS A 4706 サッシ 

JIS Z 8071 規格におけるアクセシビリティ配慮のための指針 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS A 1541-1,JIS A 4702,JIS A 4706及びJIS Z 8071によるほ

か,次による。 

3.1 

開きドア 

丁番などを用いて戸を支持し,戸端部の鉛直軸を中心に開閉する方式のドア。 

注記 開きドアには,片開きドア,両開きドア及び親子開きドアがある。使用箇所によって,玄関ド

ア,勝手口ドア及び室内ドアに区分する。 

3.2 

折戸 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

丁番などで連結した2枚以上の戸を折り畳むことによって開くドア。 

注記 開きドアに比べて開閉時の戸の軌跡が小さいので,スペースに制約がある場合などにおいて,

室内ドア,浴室ドア,ウォークインクローゼットなどに使用することが多い。 

3.3 

引戸 

戸がレール又は溝に沿って水平に移動する開閉方式のドア。 

注記 引戸には,引違い戸,片引戸,引分け戸及び引込み戸がある。使用箇所によって玄関引戸,勝

手口引戸及び室内引戸に区分する。 

3.4 

フィックス窓 

枠に直接ガラスなどを固定したもので開閉できない窓。 

注記 固定窓ともいう。 

3.5 

引き窓 

戸がレール又は溝に沿って水平に移動する開閉方式の窓。 

注記 引き窓には,引違い窓,片引き窓,自由片引き窓,両そで(袖)片引き窓,引分け窓及び引込

み窓がある。 

3.6 

開き窓 

丁番などを用いて戸を支持し,戸端部の鉛直軸を中心に開閉する方式の窓。 

注記 開き窓には,片開き窓及び両開き窓がある。さらに,戸が開く方向によって外開き窓及び内開

き窓がある。 

3.7 

たてすべり出し窓 

窓を開けたとき,戸のつり(吊)元側が,たて枠から反対のたて枠方向に移動しながら開く窓。 

注記 たてすべり出し窓には,片たてすべり出し窓及び両たてすべり出し窓がある。 

3.8 

上げ下げ窓 

2枚の戸で構成し,戸が上下に動く窓。 

注記 上部が固定で下部の戸だけが動く片上げ下げ窓,及び上下の戸が動く両上げ下げ窓がある。 

3.9 

突出し窓 

上枠側を軸として戸が外側に開く窓。 

3.10 

内倒し窓 

下枠側を軸として戸が内側に開く窓。 

3.11 

すべり出し窓 

戸の下端を外側に押し出すと,戸の上端部がたて枠に沿って移動しながら開く窓。 

注記 たてすべり出し窓と区別するために横すべり出し窓ということもある。 

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3.12 

オーニング窓 

同一枠内で複数の戸の端部を連動金物で連結し,オペレータ装置のハンドル操作などによって同時に戸

が開閉する窓。 

3.13 

ガラスルーバー窓 

複数のガラスの端部を連動金物で連結し,オペレータ装置のハンドル操作などによって同時にガラスが

開閉する窓。 

3.14 

ドレーキップ窓 

開閉用ハンドルの操作方向で機構を切り換えることによって,内倒し又は内開きのいずれかの開き方が

選択可能な窓。 

3.15 

掃出し窓 

住宅の居室からテラス,バルコニーなどに出入りできるようにした窓。 

注記 掃出し窓には,開き窓及び引き窓がある。室外から施解錠できない構造のため,ドアとは区別

している。 

3.16 

ドア錠 

ドア及び引戸の施錠に用いる錠。 

3.17 

上げ落し 

両開きドア,親子開きドアなどで,後開きの戸(子扉ともいう。)が開かないように固定するための,上

下に軸棒を突き出す構造の金物。 

注記 フランス落しともいう。 

3.18 

ドアガード 

開きドアの内側からの締まりに用いるループ状の本体をアーム状の受けに引っ掛ける構造の金物。 

注記 来訪者を確認するとき,戸は僅かに開くだけで外から開放できないようになっている。 

3.19 

用心鎖,ドアチェーン 

開きドアの内側からの締まりに用いる鎖付きの金物。 

注記 来訪者を確認するとき,戸は僅かに開くだけで外から開放できないようになっている。 

3.20 

引手 

引戸又は引き窓のたてかまちに戸の開閉操作用に取り付ける金物。 

3.21 

引手かまち 

引戸の開閉操作をするとき,手を掛ける部分。通常は,戸先かまちがその役目をする。 

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3.22 

クレセント 

引違い窓,片引き窓,上げ下げ窓などの召合せかまちに取り付ける締まり金物で,レバーを回転し掛け

金を相手の受けに掛ける形式のもの。 

注記 掛け金は,引き付け及び左右の押し付けができる三日月形をしている。 

3.23 

補助錠 

主に防犯を目的として補助的に用いる錠。引違い窓では外障子の下かまちに設置し,施錠すると突起が

内障子の召合せかまちに当たり,開放できないようにしたもの。 

注記 サブロックともいう。 

3.24 

カムラッチ 

つば(鐔)状の締まり機構を備えた取っ手(把手)。 

注記 開き窓,すべり出し窓などに用いる。 

3.25 

グレモン締り 

レバーハンドルと連結棒とが連動して施錠する錠。 

注記 通常,上下枠にデッドボルトを突き出して施錠する形式をいうが,連結棒に取り付けた複数個

のローラーピンとたて枠側の受けとで施錠する形式をいうこともある。 

3.26 

オペレータ装置 

ハンドルを回転して窓を開閉するための金物。 

注記 たてすべり出し窓,ガラスルーバー窓,オーニング窓などに用いる。 

3.27 

上げ下げロック 

上げ下げ窓の戸をたて枠に施錠する締まり金物。 

3.28 

突出し棒 

突出し窓に用いる棒状の開閉用の金物。 

注記 開放角度が段階的に調整でき,閉じたときは締まり機能がある。 

3.29 

突出し締り 

突出し窓に用いるアーム兼用の締まり金物。 

注記 開放時に一定の開き角度を保持する機能がある。 

3.30 

トップラッチ 

内倒し窓,外倒し窓などの締まり金物。 

注記 窓を閉じるとスプリングで突き出すラッチによって自動的に締まり状態となる。 

3.31 

フック棒 

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手の届かない高所に設置した内倒し窓などを開閉するために用いる先端にフックの付いた棒。 

3.32 

操作チェーン 

手の届かない高所に設置したオーニング窓などを開閉するために,窓の本体に取り付けたオペレータ装

置に連動したチェーン。 

3.33 

ピボットヒンジ 

開きドアの戸を上下から軸で支えるようにした金物。 

3.34 

ドアクローザ 

ドアの戸と枠とに取り付け,金属ばね及び油圧によって戸を自動的にゆっくり閉じる機構をもつ金物。 

3.35 

アームストッパ 

開きドア又は開き窓の戸を所定の角度に開いた状態でストップさせる金物。 

3.36 

戸当たり 

開きドアの戸を開いたとき,戸又は取っ手(把手)が壁などに当たらないように床などに取り付ける金

物。 

3.37 

つ(吊)り車 

上つ(吊)り形式の引戸に用いる戸車。 

3.38 

フリクションステイ 

たてすべり出し窓及びすべり出し窓に用いるヒンジで,その中心が戸じり(尻)側から戸先側にスライ

ドする機構をもつもの。 

3.39 

上げ下げ窓用支持金物 

上げ下げ窓の戸の開閉をスムーズに行うために装着する金物。 

注記 バランサ,つ(吊)り車,ラック・アンド・ピニオンなどがある。 

3.40 

ヒンジ 

開きドア,開き窓,突出し窓,内倒し窓などに用いる軸回転形式の金物の総称。 

注記 丁番,ピボットヒンジなどがある。 

3.41 

有効開口幅 

ドアを開放したときに,金物の出っ張り部分などを除く,人が通過できる範囲の幅。 

対象者が使用するドア及び窓の選定時に配慮する共通事項 

4.1 

一般 

4.2に示す対象者の機能障害及び活動制限を考慮し,ドア及び窓を,使いやすく,かつ,安全に開閉操作

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

するに当たって,ドア及び窓で配慮する共通事項は,4.3による。 

4.2 

対象者の機能障害及び活動制限 

対象者の身体機能が低下している部位又はその機能を,JIS Z 8071に規定する機能障害,活動制限など

によって関連する項目を表1のとおり区分し,併せてこれらの項目に対応するドア及び窓を操作する際の

状態の例を示す。 

表1−対象者の機能障害及び活動制限並びに対象者がドア及び窓を操作する際の状態の例 

部位又は

機能 

対象者の機能障害及び活動制限 

対象者がドア及び窓を操作する際の状態の例 

手・指 

− 物を回す又は曲げる能力の低下及び手を動かす

ことに関わる他の機能障害 

− 親指と他の指とを近づける能力の低下又は大き

く離す能力の低下 

− 物を押しながら回すといった複雑な操作をする

能力の低下 

− 手の細かい動作を妨げる不注意による動作又は

無意識の動き(震えなど) 

− 利き手でない手(左手又は右手)の使用を強いら

れることによる能力の低下 

− 筋力及び持久性の低下 
− 握力の低下[システムを操作するa) 際の抵抗又は

回転による困難又は苦痛をもたらす。] 

− ハンドル,取っ手(把手),つまみなどが

小さいと操作がしにくい。 

− 周囲のスペースが小さいとハンドル,取っ

手(把手),つまみなどの操作がしにくい。 

− ハンドル,サムターンなどの操作力が大き

いと操作がしにくい。 

− キー挿入部にキーが挿入しにくい。 

腕 

− 物を回す又は曲げる能力の低下及び手を動かす

ことに関わる他の機能障害 

− 肩の関節及び/又は肘の関節の動きの範囲が制

限されることに起因する,離れたところにある又
は床にある物に手を届かせる能力の低下 

− 上半身の弱さ又は筋骨格の一時的な傷害に起因

する,重い又はかさばる物を扱う能力の低下 

− 筋力及び持久性の低下 

− 戸の開閉力が大きいと開閉がしにくい。 
− 開き窓などで,開き方向によっては操作が

しにくい場合がある。 

− 腕の動作範囲が狭く,大きな戸の開閉がし

にくい。 

脚 

− 歩く,自由に移動する,階段又ははしごを昇降,

及びある場所から他の場所へ移動する能力の低
下 

− 向きを変える,体を曲げる又はバランスをとると

きに身体を制御する能力の低下 

− 物を動かすために,足全体を使った協調動作を実

行する能力の低下 

− 筋力及び持久性の低下 

− つえ(杖)などを使用しなければ自立歩行

ができない,又は歩行に不便を感じる。 

− 車椅子を使用しなければ移動ができない,

又は移動に不便を感じる。ただし,車椅子
の操作は自分でできる。 

− 段差の乗り越えなどのとき,体を支えるも

のがないと転倒しやすい。 

− 重い戸を開閉するとき,踏ん張りが効かな

い。 

視力 

− 像をはっきりと見て識別する能力の低下 
− 近くの物から遠くの物に対し焦点を変える能力,

及び遠くの物から近くの物に焦点を変える能
力・コントラストを認識する能力の低下 

− 光に対する感受性の低下(より多くの光を必要と

する。) 

− 有効な視力が非常に制限されているか,又は全く

ないと考えられるが,聴覚,触覚など他の感覚機
能を使用して,情報を得ることができる 

− 小さな文字の注意書き及び操作説明書が

読めない。 

− 間近では物を認識できるが,少し離れると

ぼんやりする。 

− 照度の低い場所では物が見えにくい。 
− 階段の段差を認識することが困難である。 
− 視覚だけに頼った識別は困難である。 

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表1−対象者の機能障害及び活動制限並びに対象者がドア及び窓を操作する際の状態の例(続き) 

部位又は

機能 

対象者の機能障害及び活動制限 

対象者がドア及び窓を操作する際の状態の例 

平衡感覚 

− 向きを変える,体を曲げる又はバランスをとると

きに身体を制御する能力の低下 

− 滑る,つまずくなど,転倒につながる平衡感覚障

害の可能性の増大 

− 平衡機能障害に起因する,転倒のおそれの増加 

− つかまるものがないと転倒しやすくなる。 
− 補助器具がないと転倒しやすくなる。 

注a) この規格では,ドア及び窓の開閉操作及び施解錠操作をいう。 

4.3 

ドア及び窓を選定する際に配慮する共通事項 

対象者が使用する住宅用ドア及び窓を選定する際に配慮する共通事項は,次による。 

a) 操作性 ドア,窓及びそれらに取り付ける金物を操作する際に影響を与える対象者の身体機能及び動

作能力には,次が関係するため,対象者の機能障害及び活動制限を考慮し,手・指の掛けやすさ,握

りやすさ又はつまみやすさに配慮する。 

1) 身長,体形並びに手・指の動きの自由さ,操作,動作,筋力,持久力及び上肢の動く範囲 

2) 視覚,触覚,平衡感覚など 

3) 車椅子,歩行器,つえ(杖),装具などの福祉用具の使用の有無 

b) 空間構成 ドア及び窓の開閉時における戸と対象者又は車椅子との位置関係並びに操作部へのアプロ

ーチのしやすさに支障がなく,かつ,開閉操作のための動作に無理がないことに配慮する。 

c) 安全配慮 

1) 操作が覚えやすく,かつ,間違えにくいか。さらに,一連の操作を必要とするものにあっては,操

作手順が分かりやすいか。開閉方法又は動作が複雑なドア及び窓については,選定に際して使用者

に対して的確な説明ができ,確認が得られるものか。 

2) 開閉時及び金物の操作時に,手・指又は腕が,ドア又は窓の枠,周囲の壁などとぶつからないよう,

十分なスペースが確保されているか。 

3) 戸の開状態,閉状態及び開閉操作時に,ドア本体及び金物の突起部,鋭利部などによるけががしに

くく,かつ,引っ掛かりによる転倒防止のために突起部が配慮されているものか。 

4) 操作時に,戸の戸先,つり(吊)元,金物の各部位などによる手・指挟みが発生しにくいものか。 

5) 非常時の避難に際して,操作が容易にできるものか。 

6) ドア及び出入りに使用する掃出し窓においては,開口部の段差が小さく,通過時につまづかないよ

う配慮されているものか。 

7) 建具が存在することが視認しやすく,かつ,衝突しないよう配慮されているものか。特に,ガラス

面積が大きいドア及び窓を設置する場合は,戸に中桟が付いた製品を選定すること,又はラベル,

フィルムなどを貼付することによって,戸及びガラスの存在を認識しやすくなっていることが望ま

しい。 

8) ドア,掃出し窓,フィックス窓などでガラス下端が床付近に存在している場合は,下かまちの見付

寸法が大きくなっているなど,車椅子のフットサポートの接触によってガラスが破損しないよう配

慮されているものか。 

d) 住居内環境配慮 ドア及び窓に関わる居住時の環境へは,次の事項に配慮する。 

1) 健康で快適な生活のための断熱性及び気密性の確保 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) 疾病及びアレルギーの発生の抑制 

3) 住宅の立地,間取りなどに応じて,適切な採光,通風及び換気が可能な開口部の位置及び大きさ 

ドア及びこれらに取り付ける金物の選定 

5.1 

一般 

住宅設計者は,4.2によって身体機能の低下状況を把握し,対象者に適したドア及びこれらに取り付ける

金物(これらを合わせて,以下,ドア製品という。)を選定しなければならない。対象者が居住する住宅を

新築又は改修する際に,ドア製品を選定し,それらを適正評価するための手順を定める。 

選定及び適正評価は,4.3及び5.2に定める各事項を考慮し,5.3及び5.4に定める判断の目安によって,

5.5に定める手順で行う。 

なお,住宅用ドアの種類及びそれらに金物が取り付けられた状態の例を,附属書Aに示す。 

5.2 

ドア選定時の配慮事項 

5.2.1 

戸の開閉 

ドアの選定時に,戸の開閉に関して配慮する事項は,次による。 

a) 対象者が操作しやすいドアの開閉方式,戸の開閉方向及び開閉力,並びに戸の開閉時に対象者の手が

届く戸の幅であるか。開きドアでは,戸の開き方向とは反対側から閉じる際,戸先側のハンドル又は

握り玉に手が届きにくくなる。特に車椅子を使用する場合は,手を伸ばして戸を閉じることが困難に

なる場合もあるため,ドアクローザが取り付けられ閉鎖速度が適切に調整できるものが望ましい。 

b) 車椅子を使用する人,対象者の身長及び姿勢などを配慮した戸の開閉操作部の高さか。 

c) 手・指,腕及び脚の機能が低下している人でも戸を片手で,かつ,容易に開閉できるものか。 

5.2.2 

金物の操作 

ハンドル,ドア錠などの金物を選定する際に,それらの操作に関して配慮する事項は,次による。 

a) 車椅子を使用する人,対象者の身長及び姿勢などに配慮して操作が容易な位置に金物が取り付けられ

ているか。 

b) 手・指及び腕の機能が低下している人でも,小さな力で操作できるものか。 

c) 操作部の形状は,手・指を掛けやすく,又は握りやすいものか。手・指の機能が低下している人に対

しては,身体の他の部位を使用した操作が可能であることが望ましい。 

d) 操作部の周囲に,操作のための十分なスペースが確保されているか。 

e) 操作は,1回の動作又は一連の流れ動作で完了するものか。 

f) 

視力が低下している人に対しては,操作部が大きい,色彩及びコントラストを工夫しているなど,視

認しやすいものか。 

g) 鍵穴がすり鉢の形状になっているなど,鍵が挿入しやすくなっているか。 

5.2.3 

ドアの通過 

ドアを選定する際に,出入口を容易に通過できることに関して配慮する事項は,次による。 

a) 車椅子を使用する人に対しては,車椅子が通過できる有効開口幅が確保されているか。 

b) 下枠の段差が小さく,スムーズに通過できるものか。 

c) 転倒又は身体の損傷に結び付かないよう,取っ手(把手),ドアガードなどの突起部が衣服若しくは身

体に触れないか,又は引っ掛かりにくい形状であるか。 

d) 自閉機構付きの場合,閉鎖速度を遅くするために適切な調整が可能であり,かつ,ドアの開放状態を

一定時間を保つ閉鎖遅延機能をもっているか。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) 自閉機構付きでない場合,制動装置が取り付けられているなど,安全に配慮されているものか。 

5.3 

ドアを選定するための判断の目安 

5.3.1 

玄関ドア 

玄関ドアを選定するための判断の目安は,次による。 

a) 手・指又は腕の機能が低下している人,及び/又は脚の機能が低下しているが自立歩行できる人には,

開きドア及び引戸が適している。 

b) 平衡感覚が低下している人又は視力の低下している人は,開きドアでは転倒のおそれがあるため,引

戸が適している。 

c) 車椅子を使用する人には,引戸が適している。開きドアとする場合は,住宅の設計段階で戸の開閉方

向及びドア回りのスペースについて,手の届きやすさ及び車椅子の取り回しやすさに配慮している。 

5.3.2 

勝手口ドア 

勝手口ドアは,周囲のスペースが十分確保できない,段差が発生するなどの理由によって,対象者が使

用することが困難である場合が多いが,それらが解決できる場合は,玄関ドアと同様の判断の目安による。 

5.3.3 

室内ドア 

室内ドアを選定するための判断の目安は,5.3.1よる。 

なお,折戸は,狭いスペースでも開口を大きくすることができるので便利であり,車椅子を使用するな

どの脚の機能が低下している人には適しているが,開きドアとは動きが異なるため,手・指,腕若しくは

脚の機能,視力又は平衡感覚が低下している人には注意が必要である。 

5.4 

金物を選定するための判断の目安 

5.4.1 

開閉時及び施解錠時に直接触れて操作する金物 

開閉時及び施解錠時に直接触れて操作する金物は,手・指及び/又は腕の機能が低下している人に関係

し,その判断の目安は次による。 

なお,操作部の大きさ及び形状が手になじむ適切なもので,できる限り単純な操作であることが望まし

い。 

a) 握り玉 握り玉を握り,かつ,ひねる動作が必要なため,手・指及び/又は腕の機能が低下している

人には適さない。 

b) レバーハンドル 操作部に手を添えて一方向の動作だけで操作できるため,手・指及び/又は腕の機

能が低下している人にも適している。 

c) プッシュプルハンドル 取っ手(把手)の押し引きの動作だけで操作できるため,押すときには手・

指及び/又は腕の機能が低下している人に適している。一方,引くときには手・指の機能が低下して

いる人には,取っ手(把手)の形状,大きさなどに配慮し,スムーズに操作できるかどうかを確認す

ることが望ましい。 

d) サムラッチハンドル 親指で操作部を押さえたままの動作を必要とするため,手・指の機能が低下し

ている人には適さない。 

e) ドア錠 シリンダー部のキー挿入部は,すり鉢状でキーがキー挿入部へ導かれるもの及びキー挿入部

の周囲が発光するものが適している。また,キーの向きが制約されないリバーシブルタイプが望まし

い。 

なお,手・指の機能が低下している人には,電気錠が適している。 

f) 

サムターン 指でつまんで操作するため,大きく,かつ,視認性がよいものが適している。手・指の

機能が低下している人には,ボタン操作,リモコン操作などで施解錠できる電気錠が適している。操

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

作部が脱着式などの防犯サムターンを用いる場合,操作性を確認することが望ましい。 

g) 上げ落し 子扉など建具の固定のためのもので,通常,操作する頻度が少ない。操作する場合は,身

をかがめたり,背伸びしたりするため,腕又は脚の機能が低下している人には適さない。操作部が埋

め込み式の場合は,狭い場所の操作なので,手・指の機能又は視力の低下している人には適さない。 

h) ドアガード及び用心鎖 ドアガードは,アームを動かすだけの操作なので,手・指及び/又は腕の機

能が低下している人にも適している。用心鎖は,鎖の一方の留め金具を受け金具に脱着するため,手・

指の機能が低下している人には適さない。 

i) 

引手 ハンドル状の引手は,上下に大きく握る範囲が広く,握りやすい形状が適している。また,戸

の質量が大きい場合などは,初動時の力を軽減することができる補助機構をもつハンドルとしている。

彫込引手は,指が確実に掛かる寸法及び形状のものが適している。 

j) 

引手かまち又は戸先かまち 戸を開閉する際に指を掛けて操作するため,指掛け部分が小さいものは,

指の機能が低下している人には適さない。ハンドル状の引手などを用いることが望ましい。 

k) 取っ手(把手) 折戸の操作などに用いる取っ手(把手)は,握りやすい又はつまみやすい大きさ及び

形状のものが適している。ただし,開閉操作時に2枚の戸の間,戸と周囲の壁などとの間に手・指が

挟まれないことを確認する必要がある。 

5.4.2 

直接触れないが操作性に影響を与える金物 

開閉時及び施解錠時に直接触れないが,操作性に影響を与える金物は,手・指及び/又は腕の機能が低

下している人に関係し,その判断の目安は次による。 

a) ドアクローザ クローザによってドアが自動的に閉鎖するので,車椅子を使用する人には適している。

閉鎖速度が適切に調整され,通過時間が確保されていれば,車椅子及び脚の機能が低下している人が

安全に通行することができる。また,閉鎖遅延機能をもつものを用いることが望ましい。 

なお,手・指,腕又は脚の機能が低下している人には,開ける力が低減されていることが望ましい。 

b) アームストッパ 手・指及び/又は腕の機能が低下している人には,軽い力で解除できることが望ま

しい。 

c) 戸当たり 床などに突き出る構造の戸当たりは,脚の機能が低下している人,車椅子を使用する場合

などには,通行の障害とならないよう注意する必要があり,床面に平たんに収まる収納式戸当たりを

使用することが望ましい。 

5.5 

ドア製品の選定及び適正評価の手順 

対象者に配慮した適正なドアの開閉方式及びドア製品の候補の選定,並びに適正評価の手順は,次によ

る。 

なお,ドア製品の選定及び適正評価の例を附属書Bに,具体的な手順例として,住宅一戸分を詳細に検

討し,選定する例を附属書Eに,適正評価シートを用いて玄関ドア及びトイレドアを改修のために交換す

る際に簡易に選定する例をそれぞれ附属書F及び附属書Gに,さらに,適正評価シートを用いずに玄関ド

アを簡易に選定する例を附属書Hに示す。 

a) 手順1(ドア製品の候補の選定) 4.2によって,対象者の身体機能の低下状態を把握した上で,用途

及び使用部位ごとに適正なドアの開閉方式を選ぶとともに,該当するドア製品の候補を選定する。 

なお,選定に当たっての判断の目安は,5.3による。また,ドア製品の選定に当たっては,5.2及び

ドアの基本性能から,居住者を含む全ての使用者の安全,利便性などを考慮する必要がある。 

b) 手順2(金物を選定する上での配慮事項の明確化) 手順1で選定したドア製品の候補に取り付ける金

物を選定するに当たって,手順1で把握した対象者の身体機能の低下状態によってドアの開閉操作及

11 

A 2191:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

び施解錠操作に関連する金物として配慮する事項を明確化する。 

なお,身体機能が低下している部位が複数の場合は,それぞれに該当する全ての配慮する事項につ

いても考慮する。 

c) 手順3(金物の選定) 手順2で明確化した配慮事項を満たした金物を選定し,採用するドア製品の候

補を決定する。 

d) 手順4(候補製品の評価) 手順3で決定したドア製品の候補の使いやすさを評価する。 

なお,金物を選定するための判断の目安は,5.4による 

窓及びこれらに取り付ける金物の選定 

6.1 

一般 

住宅設計者は,4.2によって身体機能の低下状況を把握し,対象者に適した窓及びこれらに取り付ける金

物(これらを合わせて,以下,窓製品という。)を選定しなければならない。対象者が居住する住宅を新築

又は改修する際に,窓製品を選定し,それらを適正評価するための手順を定める。 

選定及び適正評価は,4.3及び6.2に定める各事項を考慮し,6.3に定める判断の目安によって,6.4に定

める手順で行う。 

なお,窓の種類及びこれらに金物が取り付けられた状態の例を,附属書Cに示す。 

6.2 

窓の選定時の配慮事項 

6.2.1 

戸の開閉 

窓の選定時に,戸の開閉に関して配慮する事項は,次による。 

a) 対象者が操作しやすい窓の開閉方式,戸の開閉方向及び開閉力,並びに戸の開閉時に対象者の手が届

く戸の幅であるか。外開き方式の窓などでは,戸を開放したときに戸先かまちに取り付けたハンドル

が遠くなるため,手が届かなくなる場合がある。車椅子を使用する場合,又は身体的に無理な姿勢若

しくは不安定な姿勢を強いられる可能性がある場合には,戸の幅が小さく手の届きやすい寸法とする

か,オペレータ装置が装着されているかなどを考慮する。 

b) 車椅子を使用する人,対象者の身長及び姿勢などを配慮した戸の開閉操作部の高さか。 

c) 手・指,腕及び脚の機能が低下している人でも戸を片手で,かつ,容易に開閉できるものか。 

6.2.2 

金物の操作 

クレセント,ハンドル,補助錠などの金物の選定時に,これらの操作に関して配慮する事項は,次によ

る。 

a) 手・指及び腕の機能が低下している人でも,小さな力で操作できるものか。 

b) 操作部が握りやすい又はつまみやすい形状であるか。手・指の機能が低下して物を握る又はつまむと

いう動作が困難な人に対しては,操作部を握らずに指を掛ける又は身体の別の部位を使用した操作が

可能であることが望ましい。 

c) 視力が低下している人に対しては,操作部が大きい,色彩及びコントラストを工夫しているなど視認

しやすいものか。 

d) 操作は,1回の動作又は一連の流れ動作で完了するものか。 

e) 車椅子を使用する人,対象者の身長及び姿勢などに配慮して,操作が容易な位置に金物が設置されて

いるか。 

f) 

操作部の周囲に余裕のあるスペースが設けられ,手・指を掛けやすく,又は握りやすいものか。 

6.2.3 

窓の通過 

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A 2191:2017  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

人が通過することを前提とする掃出し窓を使用する場合の配慮する事項は,5.2.3による。 

6.3 

窓を選定するための判断の目安 

6.3.1 

フィックス窓 

フィックス窓は,開閉のための動作を必要としないため,開閉及び金物操作について考慮する必要はな

い。 

なお,フィックス窓は,通常,面積が大きいため,視力が低下している人に対しては,中桟を付けて視

認しやすくするなどの衝突防止対策がとられていることが望ましい。 

6.3.2 

引き窓 

引き窓を選定するための判断の目安は,次による。 

a) 引き窓は,操作時に戸が室内外に出ないため,身体の前後移動が少なくて済むので,脚の機能及び平

衡感覚が低下している人に適している。 

b) 引き窓は,戸の操作が一次元方向に限られるため,手・指及び/又は腕の機能が低下している人に適

している。 

c) 引き窓は,戸先かまちの溝などを引手として用いる場合が多く認識しづらいため,視力が低下してい

る人には,手掛け部が識別でき,無理なく操作できることを確認することが望ましい。 

d) ハンドル状の引手は,上下に大きく握る範囲が広く,握りやすい形状が適している。また,戸の質量

が大きい場合などは,初動時の力を軽減することができる補助機構をもつハンドルとすることが望ま

しい。彫込引手は,指が確実に掛かる寸法及び形状のものが適している。 

e) 引手かまち又は召合せかまちは,指掛け部分が小さいときは,指の機能が低下している人には適さな

い。ハンドル状の引手などを適用していることが望ましい。 

f) 

施解錠のためのクレセントは,指の機能が低下している人が使用する場合は,レバー部分に指が確実

にかかる大きさのものが望ましい。また,回転防止ロックのレバー部分も,指が掛かりやすい形状と

なっていることが望ましい。 

なお,戸の開閉と連動して施解錠できる戸先錠は,指の機能が低下している人に対しては,解錠時

の操作性を確認する必要がある。 

g) 引違い窓の下かまちに設置する補助錠は,指先で軽く動作するものが望ましい。 

なお,テラス窓の補助錠を操作する場合,腰をかがめたり,しゃがんだりして無理な姿勢とならな

いかを確認することが望ましい。 

h) テラスの出入りなどに引き窓として掃出し窓を使用する場合は,下枠に段差が発生しやすいため,脚

の筋力又は平衡感覚が低下している人が通過するときに身体を安定させるために,戸のたてかまち,

引手などが握りやすい形状の製品を選定するか,又は近傍の壁に手すりなどを設置することが望まし

い。 

6.3.3 

開き窓及びたてすべり出し窓 

開き窓及びたてすべり出し窓を選定するための判断の目安は,次による。 

a) 屋外側に開く開き窓及びたてすべり出し窓は,開けるときに,ハンドルなど操作部が屋外へ移動する

ため,窓サイズが大きい場合は腕を伸ばす必要がある。そのため,腕の機能が低下している人又は腕

を十分に伸ばせない車椅子を使用する人には,開閉が困難な場合がある。 

b) 戸が屋外へ飛び出す動きに伴って,窓のサイズ及び高さによっては身体が屋外に乗り出す又はふらつ

くおそれがあるので,脚の機能が低下している人及び平衡感覚が低下している人は,転倒及び落下の

おそれがあるため,安全に操作できることを確認することが望ましい。 

13 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) たてすべり出し窓では,フリクションステイが用いられており,丁番に比べて操作力を要する場合が

あるので,手・指及び/又は腕の機能が低下している人が使用する場合は,製品の候補の操作力を確

認することが望ましい。 

d) 開閉及び施解錠のためのカムラッチ又はグレモン締りの操作ハンドル部分は,大形で手になじみやす

い形状のものが望ましい。また,グレモン締りのハンドルは,連結棒と連動しているが,軽い力でス

ムーズな動きで施錠及び解錠ができることが望ましい。 

e) オペレータ装置を装着している場合は,腕を屋外に伸ばす必要がないため,車椅子を使用する人及び

平衡感覚が低下している人でも容易かつ安全に開閉操作ができる。ただし,指の機能が低下している

人にはハンドルを回転して操作できるかどうかの確認することが望ましい。 

f) 

防犯対策として補助錠が設置されている場合は,その操作位置及び操作性を確認することが望ましい。 

g) テラスの出入りなどに開き窓として掃出し窓を使用する場合は,下枠に段差が発生しやすいため,脚

の筋力又は平衡感覚が低下している人が通過するときに身体を安定させるために,戸の開閉操作ハン

ドルが握りやすい形状の製品を選定するか,又は近傍の壁に手すりなどを設置することが望ましい。 

6.3.4 

上げ下げ窓 

上げ下げ窓を選定するための判断の目安は,次による。 

a) 上げ下げ窓は,手・指若しくは腕の機能が低下している人,又は脚の機能は低下しているが自立歩行

できる人には使用可能であるが,操作方法及び操作力が製品によって大きく異なる場合があるため,

製品の候補の操作方法及び操作力を確認することが望ましい。 

b) 上げ下げ窓は,平衡感覚が低下している人には,開閉時に操作部の高さが上下し,姿勢の安定を保つ

ことが困難な場合があるため,適さない。 

c) 上げ下げ窓は,車椅子を使用する人には,手が届かない場合が多いため,適さない。 

d) 上げ下げ窓を使用する場合には,開閉操作力に大きな影響を与えるため,特に手・指及び/又は腕の

機能が低下している人が使用する場合は,バランサが適切に調整されている必要がある。 

e) 上げ下げ窓は,開閉操作方法及び施解錠の方法が分かりにくい場合があり,特に視力が低下している

人には注意が必要である。 

f) 

防犯対策として補助錠が設置されている場合は,その操作位置及び操作性を確認することが望ましい。 

6.3.5 

突出し窓,内倒し窓,外倒し窓及びすべり出し窓 

突出し窓,内倒し窓,外倒し窓及びすべり出し窓は,通常の使用頻度は低く,それぞれ独自の開閉・施

解錠機構があり,操作が複雑だったり力を要したりする場合があるので,高齢者又は障害のある人の使用

には適さない場合が多い。使用する場合は,製造業者のショールームなどで現物を確認することが望まし

い。 

6.3.6 

オーニング窓及びガラスルーバー窓 

オーニング窓及びガラスルーバー窓は,手・指,腕若しくは脚の機能,視力又は平衡感覚が低下してい

るいずれの人にも使用可能であるが,オペレータ装置を装着している場合は,ハンドルを回転して操作で

きるかどうかを確認することが望ましい。 

6.3.7 

ドレーキップ窓 

ドレーキップ窓を選定するための判断の目安は,次による。 

a) ドレーキップ窓は,開き方によってハンドル操作が90°又は180°の異なる操作が必要であり,手・

指の機能が低下している人には適さない。 

b) 内倒し時には戸の質量を支える必要があるため,腕又は脚の機能が低下している人に対しては適さな

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A 2191:2017  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

い。 

c) 内開き時には戸を屋内側に大きく動かすために身体を移動させる必要があるため,平衡感覚が低下し

ている人に対しては適さない。 

d) 室内側に戸が開き,衝突するおそれがあるため,視力の低下している人には適さない。 

e) ドレーキップ窓以外の多機能サッシについても同様の注意が必要である。 

6.4 

窓製品の選定及び適正評価の手順 

対象者に配慮した適正な窓の開閉方式及び窓製品の候補の選定,並びに適正評価の手順は,次による。 

なお,窓製品の選定及び適正評価の例を附属書Dに,具体的な手順例として,住宅一戸分を詳細に検討

し,選定する例を附属書Eに示す。 

a) 手順1(窓製品の候補の選定) 4.2によって,対象者の身体機能の低下状態を把握した上で,用途及

び使用部位ごとに適正な窓の開閉方式を選び,該当する窓製品の候補を選定する。 

なお,選定に当たっての判断の目安は,6.3による。また,窓製品の選定に当たっては,6.2及び窓

の基本性能から,居住者を含む全ての使用者の安全,利便性などを考慮する必要がある。 

b) 手順2(金物を選定する上での配慮事項の明確化) 手順1で選定した窓製品の候補に取り付ける金物

を選定するに当たって,手順1で把握した対象者の身体機能の低下状態によって窓の開閉操作及び施

解錠操作に関連する金物として配慮する事項を明確化する。 

なお,身体機能が低下している部位が複数の場合は,それぞれに該当する全ての配慮事項について

考慮する。 

c) 手順3(金物の選定) 手順2で明確化した配慮事項を満たした金物を選定し,採用する窓製品の候補

を決定する。 

d) 手順4(候補製品の評価) 手順3で決定した窓製品の候補の使いやすさを評価する。 

なお,金物を含む窓製品を選定するための判断の目安は,6.3による。 

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A 2191:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

住宅用ドアの種類及び取り付ける金物の例 

A.1 一般 

住宅用ドアの種類及びそれらに取り付ける代表的な金物の例を,次に示す。 

なお,ここでは一例を示し,全てのドア本体及び金物の種類を網羅するものではない。 

A.2 開きドア 

開きドアの外観及びそれらに取り付ける代表的な金物の例を,図A.1に示す。 

a) 玄関ドアに握り玉を 

b) 玄関ドアにレバーハンドルを 

取り付けた例 

取り付けた例 

c) 玄関ドアにプッシュプルハンドルを 

d) 玄関ドアにサムラッチハンドルを 

取り付けた例 

取り付けた例 

図A.1−開きドア及び取り付ける金物の例 

A.3 引戸 

引戸の外観及びそれらに取り付ける代表的な金物の例を,図A.2に示す。 

プッシュプルハンドル 

ドア錠 

サムラッチハンドル 

ドア錠 

握り玉 

ドア錠 

レバーハンドル 

ドア錠 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 玄関引戸(片引き)に引手(握りタイプ)を 

取り付けた例 

b) 玄関引戸(引違い)に引手(彫込みタイプ)を 

取り付けた例 

図A.2−引戸及び取り付ける金物の例 

A.4 折戸 

折戸の外観及びそれらに取り付ける代表的な金物の例を,図A.3に示す。 

a) 室内折戸にレバーハンドルを 

b) ウォークインクローゼット用の折戸に 

取り付けた例 

取っ手(把手)を取り付けた例 

図A.3−折戸及び取り付ける金物の例 

レバーハンドル 

取っ手(把手)

引手(彫込みタイプ) 

引手(彫込みタイプ)

ドア錠 

ドア錠 

ドア錠 

引手(握りタイプ) 

ドア錠 

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A 2191:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

各種ドア製品の選定及び適正評価の例 

B.1 

各種ドア製品の選定及び適正評価の例 

B.1.1 一般 

対象者に配慮した適正なドアの開閉方式の選定は,表B.1による。表B.1で選定したドアの開閉方式に

該当する製品の候補を選定し,その製品に取り付ける金物の選定及び評価は,表B.2による。 

なお,表B.2に示す“配慮事項”と“身体機能の低下状態”との関係は,一般的な関係を示したもので,

その詳細な状態及び程度は,対象者の状況を勘案する必要がある。表B.2に示す事項以外に対象者に固有

の配慮する事項がある場合は,“上記以外の追加事項”の欄に記載する。 

B.1.2 選定の手順例 

選定の手順例は,次による。 

a) 手順1(ドア製品の候補の選定) 対象者の状態を考慮し,それぞれの用途及び使用部位ごとに表B.1

から適正な開閉方式を候補として選ぶとともに,ドア製品の候補を選定する。 

なお,開閉方式及び製品の候補は複数であってもよい。 

b) 手順2(金物を選定する上での配慮事項の明確化) 金物を選定するに当たって,表B.2を用いて対象

者の身体機能の低下状態による配慮事項を明確化する。具体的には,該当する身体機能が低下してい

る部位によって,配慮事項に◎印又は◯印が付されている場合は,該当する配慮事項に

印を記入す

る。 

なお,身体機能が低下している部位が複数の場合は,該当する全ての配慮事項に

印を記入する。 

c) 手順3(金物の選定) 手順2で明確化した配慮する事項を満たす金物を,手順1で選定した製品の候

補に標準仕様で装備されているか又はオプションで準備されているかを留意の上選定し,それぞれを

適正評価し,金物を含めた採用する製品を決定する。製品によって,該当する金物の設定がない場合

又は表B.2に示したもの以外の金物が用意されている場合は,カタログなどで確認するか又は当該製

造業者に問い合わせる必要がある。 

d) 手順4(候補製品の評価) 表B.2の

印が記入されている該当する配慮事項について,選定する金物

の候補が使いやすいかどうかを◎印及び◯印の個数を“適正評価”の欄に記入し,これを目安に評価

する。 

なお,選定の候補となる金物の種類が複数存在する場合は,それぞれの金物ごとに集計し評価する。 

金物を選定するための判断の目安は5.4によるが,各製品の情報をカタログなどで参照するほか,

経験豊富な建築士などの意見を聞いたり,住宅モデルハウス,製造業者のショールームなどでドア本

体の開閉を含めて現物を確認することが望ましい。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表B.1−身体機能の低下状態に対する各種ドアの適正評価表 

使用部位 

開閉方式 

身体機能の低下状態 

手・指 

腕 

脚 

視力 

平衡感覚 

自立歩行できる 

車椅子使用 

玄関ドア 

開きドア 

◎ 

◎ 

◎ 

○ 

○ 

○ 

引戸 

◎ 

◎ 

◎ 

◎ 

◎ 

◎ 

室内ドア 

開きドア 

◎ 

◎ 

◎ 

○ 

○ 

○ 

引戸 

◎ 

◎ 

◎ 

◎ 

◎ 

◎ 

折戸 

○ 

○ 

◎ 

◎ 

○ 

○ 

◎印は“適している”を,○印は“使用可能であるが注意が必要な場合がある”を表す。 

表B.2−身体機能の低下状態に対する金物の適正評価シート 

配慮事項 

身体機能の 

低下状態 







開閉する際に直接触れて操作する金物 

直接触れない
が操作性に影

響する金物 

開きドアに 

使用 

引戸に 

使用 

折戸に 

使用 

共通 

開きドア 

に使用 

共通 



脚 視
















































































使

片手で操作できる 

◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎  

 − − − − − 

小さな力で開閉できる 

◎ ◎ ○ ◎ − ○  

 −  

 − − − −  

小さな力で施錠・解錠できる ◎ ◎ ○ ○ ◎ ○  − − −  

 − − − − − −  

 − − − − − 

握らず(つままず)に操作で
きる,又は握り(つまみ)や
すい 

◎ − − − − −  

 − − − − − 

操作部・キー挿入部が視認し
やすい,又はキーを挿入しや
すい 

− − − − ◎ −  − − − −  − −  − −  

 − − − − − 

1回の動作で操作できる,又
は流れ動作で操作できる 

◎ ◎ ○ ○ ◎ ◎  

 − − − − − 

車椅子使用時でも施錠・解錠
操作が無理なくできる 

− − − ◎ − −  − − −  

 − − − − − −  

 − − − − − 

操作部に手・指を掛けるスペ
ースに余裕がある 

◎ − − − − −  

 − − − − − 

閉鎖速度を遅くできる,又は
開放状態を保持できる 

◎ ◎ ○ ◎ − ○  − − − − − − − − − − − − − − − − − −  − 






適正評価 

◎印は“配慮する”を,○印は“身体機能の低下
状態又は他の条件によって配慮する”を,−印は

“該当なし”を表す。 

“使いやすい”場合は◎印を,“使用可能”な場合は○印を,“使

いにくい”場合は△印を記入する。“−”は評価対象外を示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

住宅用窓の種類及び取り付ける金物の例 

C.1 一般 

住宅用窓の種類及びこれらに取り付ける代表的な金物の例を,次に示す。 

なお,ここでは一例を示し,全ての窓本体及び金物の種類を網羅するものではない。 

C.2 引き窓 

引き窓の内観及びこれらに取り付ける代表的な金物の例を,図C.1に示す。 

図C.1−引き窓及び取り付ける金物の例 

C.3 開き窓及びたてすべり出し窓 

開き窓及びたてすべり出し窓のうち,たてすべり出し窓の内観及びこれらに取り付ける代表的な金物の

例を,図C.2に示す。 

引手かまち 

引手かまち 

補助錠 

クレセント 

a) 引違い窓(腰高)における 

引手かまちの例 

クレセント 

引手 
(彫込みタイプ)

補助錠 

引手 
(彫込みタイプ) 

b) 引違い窓(掃出し窓)に引手(彫込みタイプ)を 

取り付けた例 

クレセント 

引手 
(握りタイプ)

補助錠 

引手 
(握りタイプ)

c) 引違い窓(掃出し窓)に引手(握りタイプ)を 

取り付けた例 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) たてすべり出し窓にカムラッチ又は 

b) たてすべり出し窓にオペレータ装置を 

グレモンハンドルを取り付けた例 

取り付けた例 

図C.2−たてすべり出し窓及び取り付ける金物の例 

C.4 上げ下げ窓 

上げ下げ窓の内観及び取り付ける代表的な金物の例を,図C.3に示す。 

図C.3−上げ下げ窓及び取り付ける金物の例 

C.5 突出し窓,内倒し窓,外倒し窓及びすべり出し窓 

突出し窓,内倒し窓,外倒し窓及びすべり出し窓のそれぞれの内観並びにこれらに取り付ける代表的な

金物の例を,図C.4に示す。 

a) 突出し窓の例 

b) 内倒し窓の例 

c) 外倒し窓の例 

d) すべり出し窓の例 

図C.4−突出し窓,内倒し窓,外倒し窓及びすべり出し窓並びに取り付ける金物の例 

カムラッチ 

トップラッチ 

突出し棒 

トップラッチ 

クレセント 

補助錠 

カムラッチ又は 
グレモンハンドル 

補助錠 

オペレータ装置 

補助錠 

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21 

A 2191:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

C.6 オーニング窓及びガラスルーバー窓 

オーニング窓及びガラスルーバー窓のそれぞれの内観並びにそれぞれに取り付ける代表的な金物の例を,

図C.5に示す。 

a) オーニング窓の例 

b) ガラスルーバー窓の例 

図C.5−オーニング及びガラスルーバー窓並びに取り付ける金物の例 

C.7 ドレーキップ窓 

ドレーキップ窓の内観及び取り付ける代表的な金物の例を,図C.6に示す。 

図C.6−ドレーキップ窓及び取り付ける金物の例 

ハンドル 

開閉機構 

オペレータ装置 

オペレータ装置 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D 
(参考) 

各種窓製品の選定及び適正評価の例 

D.1 各種窓製品の選定及び適正評価の例 

D.1.1 一般 

対象者に配慮した適正な窓の開閉方式の選定は,表D.1による。表D.1で選定した窓の開閉方式に該当

する製品の候補を選定し,その製品に金物が取り付けられた状態を表D.2で評価する。 

なお,表D.2に示す“配慮事項”と“身体機能の低下状態”との関係は,一般的な関係を示したもので,

その詳細な状態及び程度は,対象者の状況を勘案する必要がある。表D.2に示す事項以外に対象者に固有

の配慮する事項がある場合は,“上記以外の追加事項”の欄に記載する。 

D.1.2 選定の手順例 

選定の手順例は,次による。 

a) 手順1(窓製品の候補の選定) 対象者の状態を考慮し,それぞれの用途及び使用部位ごとに表D.1か

ら適正な開閉方式を候補として選ぶとともに,窓製品の候補を選定する。 

なお,開閉方式及び製品の候補は複数であってもよい。 

また,主に居室以外で使用する突出し窓,内倒し窓,外倒し窓,すべり出し窓,オーニング窓,ガ

ラスルーバー窓などについては,生活形態による使用頻度,全ての使用者の状況などを勘案して考慮

するか否かを決定する。また,一般に窓製品は金物を含む状態で販売され,金物の種類が選択できな

い場合があるので,手順3に示す金物の適正評価を考慮して開閉方式を選定することが望ましい。 

b) 手順2(金物を選定する上での配慮事項の明確化) 金物を選定するに当たって,表D.2を用いて対象

者の身体機能の低下状態によって配慮する事項を明確化する。具体的には,該当する身体機能が低下

している部位によって,配慮事項に◎印又は◯印が付されている場合は,該当する配慮事項に

印を

記入する。 

なお,身体機能が低下している部位が複数の場合は,該当する全ての配慮事項に

印を記入する。 

c) 手順3(金物の選定) 手順2で明確化した配慮事項を満たす金物を,手順1で選定した製品の候補に

装着されている金物を適正評価し,金物を含めた採用する製品の候補を決定する。 

なお,オプションで金物を選択できる場合は,標準仕様と比較検討する。手順1で選定したそれぞ

れの開閉方式ごとの関連する金物は,表D.1の“表D.2における関連する金物”に示す記号で示して

いる。評価する製品によって,該当する金物の設定がない場合又は表D.2に示したもの以外の金物が

用意されている場合は,カタログなどで確認するか又は当該製造業者に問い合わせる必要がある。 

d) 手順4(候補製品の評価) 表D.2の

印が記入されている該当する配慮事項について,選定する金物

の候補が使いやすいかどうかを◎印,◯印又は△印で評価する。 

なお,選定の候補となる金物の種類が複数存在する場合は,それぞれの金物ごとに集計し評価する。 

それぞれの開閉方式ごとの金物を選定するための判断の目安は6.3によるが,各製品の情報をカタ

ログなどで参照するほか,経験豊富な建築士などの意見を聞いたり,住宅モデルハウス,製造業者の

ショールームなどで金物が装着された各種窓の開閉を含めて現物を確認したりすることが望ましい。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表D.1−身体機能の低下状態に対する各種窓の適正評価表 

開閉方式 

身体機能の低下状態 

表D.2における

関連する金物 

手・指 

腕 

脚 

視力 

平衡感覚 

自立歩行できる 

車椅子使用 

フィックス窓 

◎ 

◎ 

◎ 

◎ 

◯ 

◎ 

− 

引き窓(腰高) 

◎ 

◎ 

◎ 

◎ 

◯ 

◎ 

A,B,E 

引き窓(掃出し窓) 

◎ 

◎ 

◎ 

◯ 

◯ 

◎ 

A,B,E 

開き窓(腰高) 

◎ 

△ 

◎ 

△ 

◯ 

◎ 

C,D,E,G 

開き窓(掃出し窓) 

◎ 

◎ 

◎ 

◯ 

◯ 

◯ 

C,E,G 

たてすべり出し窓 

◎ 

△ 

◎ 

△ 

◯ 

△ 

C,D,E,G 

上げ下げ窓 

◯ 

△ 

◯ 

△ 

◯ 

△ 

A,B,E,H 

ドレーキップ窓など 

△ 

△ 

△ 

△ 

△ 

△ 

C,E,I 

突出し窓 

◎ 

◯ 

◯ 

◯ 

◯ 

△ 

C,E,F,G 

内倒し窓 

△ 

△ 

◯ 

△ 

◯ 

△ 

D,E,F,G 

外倒し窓 

△ 

△ 

◯ 

△ 

◯ 

△ 

D,G 

すべり出し窓 

◎ 

◯ 

◯ 

◯ 

◯ 

△ 

C,D,E 

オーニング窓 

◯ 

◯ 

◯ 

◯ 

◯ 

◯ 

D,E 

ガラスルーバー窓 

◯ 

◯ 

◯ 

◯ 

◯ 

◯ 

D,E 

◎印は“適している”を,○印は“使用可能であるが注意が必要な場合がある”を,△印は“使用しないほうがよ
い”を表す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表D.2−身体機能の低下状態に対する金物の適正評価シート 

配慮事項 

身体機能の 

低下状態 







開閉する際に直接触れて操
作する金物 

直接触れ
ないが操
作性に影
響する金
物 

A B C 

G H I 



脚 視






















































































使

片手で操作できる 

◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎  

− − − 

小さな力で開閉できる 

◎ ◎ ○ ◎ − ○  

小さな力で施錠・解錠できる 

◎ ◎ ○ ○ ◎ ○  −  

− 

− −  

握らず(つままず)に操作できる,又は握り(つ
まみ)やすい 

◎ − − − − −  

− − − 

操作部が視認しやすい 

− − − − ◎ −  

− − − 

1回の動作で操作できる,又は流れ動作で操作でき
る 

◎ ◎ ○ ○ ◎ ◎  

− − − 

車椅子使用時でも開閉及び施錠・解錠操作が無理
なくできる 

− − − ◎ − −  

− − − 

操作部に手・指を掛けるスペースに余裕がある 

◎ − − − − −  

− − − 






◎印は“配慮する”を,○印は“身体機能の低下状態又は他の条件によっ
て配慮する”を,−印は“該当なし”を表す。 

“使いやすい”場合は◎印を,“使用可

能”な場合は○印を,“使いにくい”
場合は△印を記入する。“−”は評価
対象外を示す。 

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A 2191:2017  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書E 

(参考) 

ドア製品及び窓製品の選定の具体的手順例 

E.1 

一般 

ドア製品の選定及び適正評価の例(附属書B)及び窓製品の選定及び適正評価の例(附属書D)に沿っ

て,具体的に製品を選定する手順の一例を示す。 

E.2 

諸条件の整理 

E.2.1 対象者の条件 

対象者の家族構成及び身体的条件を聞き取り及び観察した結果を,次に示す。 

a) 家族構成 夫婦2人で,夫が80歳,妻が78歳である。息子家族は同じ県内に別居しているが,月に

一回程度,週末にやって来て滞在する。 

b) 身体的条件 

1) 夫 自分では健康に自信があるといっており普通の生活は可能であるが,妻が見ていると年齢的な

体力の低下が否めないことがある。時々,足腰が弱っていると感じたり,バランスを崩して転びそ

うになることもある。 

2) 妻 3年前に脳梗塞を起こし,リハビリに努めたものの左半身にまひを残しており,外出時は車椅

子に,自宅内ではつえ(杖)又は手すりに頼っている。また,まひのため,左手はほとんど使えな

いので,ドア及び窓の開け閉め時などは,つえ(杖)又は手すりに頼ることができず,戸を体の支

えとせざるを得ず,不安を感じることが多い。 

上記の聞き取り及び観察結果を,次のとおり整理する。 

− 機能障害及び機能低下の程度 対象者の機能障害及び機能低下の程度を整理し,表E.1に示す。 

表E.1−対象者の機能障害及び機能低下の程度 

夫 

妻 

手・指 

加齢によって握力低下の可能性がある。 

左手にまひがある。 

腕 

加齢によって筋力低下の可能性がある。 

左腕にまひがある。 

脚 

筋力が低下している。 

まひのため,車椅子又は補助器具[つえ(杖)又
は手すり]を使用している。 

視力 

加齢によって老眼及び視力低下の可能性がある。 

加齢によって老眼及び視力低下の可能性がある。 

平衡感覚 

加齢によって平衡感覚が低下している。 

まひのため,車椅子又は補助器具[つえ(杖)又
は手すり]を使用している。 

− その他特記事項 息子家族が同じ県内に居住していて定期的に来訪する。緊急時及び必要なときには

来訪を求めることができる。 

E.2.2 住宅建築上の要望事項 

対象者が住宅を建築する上で要望する事項を聞き取った結果を,次に示す。 

a) 妻の身体状態を考慮し,居間,食事室,寝室などを1階に配置し,夫の書斎,息子家族が滞在すると

きに使える部屋,納戸などを2階に配置したい。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 洗濯物を干すなどの理由で,1階の居間からテラスに出入りできるようにしたい。 

c) 敷地周辺は緑が多い環境なので,季節によって通風及び採光を十分に取り入れられるようにしたい。 

E.3 

諸条件による選定の流れ 

E.3.1 ドアの選定及び適正評価 

附属書Bを参考に,ドア製品及び金物を選定し,評価を行う。評価シートは,設計した建物の開口部構

成に配慮の不足がないかを確認するために用いる。この例は,複数の製品から候補を選定する場合の一例

である。A社,B社及びC社のドア製品及び金物の製品の候補を選定する。 

a) 手順1(ドア製品の候補の選定) 表B.1によってドアの開閉方式を評価し,ドア製品の候補を選定す

る。選定に当たっては,4.2,5.2及びドアとしての基本性能を考慮の上,5.3の判断の目安に従う。 

1) 玄関ドア 妻の車椅子利用及び夫の平衡感覚の低下を考慮すると引戸とすることが望ましいが,建

築計画上,引込みスペースが確保できないので,A社の親子開きドアを候補とすることとし,製造

業者のショールームで開閉時に不安がないか確認することにした。 

2) 室内ドア 妻が片まひのためバランスを崩しやすいこと,夫も加齢によって平衡感覚が低下してい

ること,及び妻が戸によって身体の支えることを考慮し,戸が一次元方向にしか動かないために安

定性がある引戸を選定し,B社の製品を候補とした。 

ただし,建築計画上,引込みスペースが確保できない室の出入口は開きドアとし,製品の候補は

デザインの統一性を考慮し,引戸と同じB社の製品を候補とした。さらに,建築工事で体を支える

ための手すりを設置することにした。 

なお,ウォークインクローゼットは折戸で検討したが,不安があるため建築計画を工夫して引戸

を設置できるようにした。 

b) 手順2(金物を選定する上での配慮事項の明確化) 金物を選定するに当たって,表B.2を基に作成し

た表E.2によって,身体機能の低下状態によって配慮する事項を明確化し,

印を記入する。 

表E.2は,部位又は用途ごとに作成することが望ましいが,この例では玄関ドア(開きドア)及び

室内ドア(引戸)を代表例として併記している。表E.2の※印は,車椅子を使用する玄関ドアだけに

適用していることを示す。 

c) 手順3(金物の選定) 手順2で明確化した配慮事項を満たす金物について,5.4の判断の目安によっ

て使用する金物の種類及び製品の候補を決定する。 

d) 手順4(候補製品の評価) 表E.2の

印が記入されている該当する配慮事項について,選定する金物

の候補が配慮事項に対応できているどうかを◎印又は◯印で評価する。製品の候補の選定に当たって

は,設計経験によるほか,製造業者のショールームにおける現物確認によった。 

対象者によっては部分的な身体機能の低下状態の場合もあれば,全般的な身体機能の低下状態の場

合もある。したがって,配慮する事項は対象者によって変わるため,それぞれの配慮する事項に応じ

た適正評価をすることが望ましい。例えば,手・指の握力低下の場合,“片手で操作できる”,“小さな

力で開閉できる”など操作性に関わる配慮する事項についての適正評価をすることが望ましい。また,

僅差で評価しづらい場合は,製品の候補の間で◎印=3点,○印=2点,△印=1点の評価点を付ける

などして評価してもよい。項目別の評価例を,図E.1に示す。 

図E.1のa) は,“片手で操作できる”,“小さな力で開閉できる”など金物の操作性についての評価

例を,図E.1のb) は,“手・指を掛けるスペースに余裕がある”,“操作部が視認しやすい”など金物

の形状についての評価例を,図E.1のc) は,“車椅子使用時でも無理なく操作できる”,“閉鎖速度を

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

遅くできる”など金物の機能についての評価例を,図E.1のd) は,全般的な身体機能の低下状態を

配慮した金物の総合的な評価例を示す。 

表E.2−身体機能の低下状態に対する金物の適正評価シート使用例 

配慮事項 

身体機能の 

低下状態 







開閉する際に直接触れて操作する金物 

直接触れない
が操作性に影

響する金物 

開きドアに 

使用 

引戸に 

使用 

折戸に 

使用 

共通 

開きドア 

に使用 

共通 



脚 視
















































































使



片手で操作できる 

◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ 

 2 3 3 − 1 3 2 − 3 3 2 3 2 − 3 − − − − − 

小さな力で開閉できる ◎ ◎ ○ ◎ − ○ 

 1 3 3 − − 3 2 − 3 3 2 − − − − 3  

 2  

小さな力で施錠・解錠で
きる 

◎ ◎ ○ ○ ◎ ○ 

 − − − − 2 − − − − − − 2 2 − 3 − − − − − 

握らず(つままず)に操
作できる,又は握り(つ
まみ)やすい 

◎ − − − − − 

 1 2 3 − 1 3 2 − 2 3 2 2 2 − 3 − − − − − 

1回の動作で操作でき
る,又は流れ動作で操作
できる 

◎ ◎ ○ ○ ◎ ◎ 

 1 2 3 − 1 3 3 − 2 2 2 2 3 − 3 − − − − − 


操作部に手・指を掛ける
スペースに余裕がある 

◎ − − − − − 

 2 2 3 − 1 2 1 − 2 3 2 2 2 − 2 − − − − − 

操作部・錠の位置が視認
しやすい 

− − − − ◎ − 

  

 −  

 −  

 −  − − − − − 


車椅子使用時でも施
錠・解錠操作が無理なく
できる 

− − − ◎ − − ※ 1 1 3 − 1 3 2 − 2 3 2 2 2 − 3 − − − − − 

閉鎖速度を遅くできる,
又は開放状態を保持で
きる 

◎ ◎ ○ ◎ − ○ 

 − − − − − − − − − − − − − − − − − − 3 − 






衣服等の引っ掛かりに
くい形状 

◎ ◎ ○ ◎ − ○ 

 1 2 3 − 1 3 3 − 2 2 3 2 3 − 3 2 − − − − 

適正評価 

操作性 

5 10 12 − 5 12 9 − 10 11 8 9 9 − 12 3 − − 2 − 

形状 

2 2 3 − 1 2 1 − 2 3 2 2 2 − 2 − − −  − 

機能,その他 

2 3 6 − 2 6 5 − 4 5 5 4 5 − 6 2 − − 3 − 

総合評価 

9 15 21 − 8 20 15 − 16 19 15 15 16 − 20 5 − − 5 − 

◎印は“配慮する”を,○印は“身体機能の低下
状態又は他の条件によって配慮する”を,−印は

“該当なし”を表す。 

それぞれ“使いやすい”場合は3点,“使用可能”な場合は2
点,“使いにくい”場合は1点とした。“−”は評価対象外を示
す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 操作性による評価例 

b) 形状による評価例 

c) 機能による評価例 

d) 総合評価の例 

図E.1−金物の項目別評価例 

E.3.2 ドアの評価及び製品の選定結果 

E.3.1の手順による適正評価に基づき製品を選定した結果を,次に示す。 

a) 玄関ドア 

1) 手・指の握力低下及びまひ状態を考慮し,サムラッチハンドルを候補から除外した。ハンドルの握

りやすさ及び上下に長く立位でも車椅子利用時でも使いやすいことなどを考慮し,操作性によって

A社のプッシュプルハンドルを選定した。 

2) 上げ落しは,A社の親子開きドアには標準仕様で装備されているが,通常は使用する頻度が低いの

で配慮する事項から除外した。 

3) ドア錠は,オプションで電気錠も用意されているが,通常の手動タイプを製造業者のショールーム

で確認して問題がなかったので標準仕様で可とした。 

4) サムターン,ドアガード及びヒンジは,それぞれ標準仕様で確認して問題がなかったので,それで

可とした。 

5) 車椅子の使用時を考慮し,閉鎖速度が調整しやすいC社のドアクローザを選定した。 

b) 室内ドア(開き) 

1) 手・指の握力低下及びまひ状態を考慮し,操作性は,握り玉よりレバーハンドルの方が適している

と評価した。操作性以外に衣服などの引っ掛かりにくい形状を考慮し,B社のレバーハンドルを選

定した。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) 標準仕様のドア錠は,キーを差し込みにくい印象だったが,通常は使用しないので,配慮する事項

から除外した。 

3) サムターン及びヒンジは,標準仕様しか選ぶことができないが,製造業者のショールームで確認し

た結果,問題がなかったので,それで可とした。 

4) 上げ落し,ドアクローザなどを使用しているドアはない。 

c) 室内ドア(引き) 

1) 引手は,オプションで用意されている握り部分が太く,上下長のある握りタイプを選定した。 

2) ドア錠及びサムターンは,開きドアと同様とした。 

E.3.3 窓の選定及び適正評価 

附属書Dを参考に,窓製品及び金物を選定し,評価を行う。評価シートは,設計した建物の開口部構成

に配慮の不足がないかを確認するために用いる。この例は,各建物部位に対して適正な開閉方式及びその

製品の候補を選定する場合の一例である。 

a) 手順1(窓製品の候補の選定) 表D.1によって窓の開閉方式を評価し,窓製品の候補を選定する。選

定に当たっては,4.2,6.2及び窓としての基本性能を考慮の上,6.3の判断の目安に従う。 

1) 居室窓 居間,食事室及び寝室に設置する窓は,表D.1による評価で◎印が多い引き窓を基本とし

た。テラスに面した窓は掃出し窓を選定し,テラスに設置したウッドデッキとの段差を極力なくす

ように配慮した。それ以外の引き窓は腰高とした。一部の窓については通風を考慮し,表D.1によ

る評価は低いが,採風しやすいたてすべり出し窓を選定した。 

2) 浴室,トイレなど 浴室及びトイレに設置する窓は,換気及びプライバシーを考慮し,表D.1によ

る評価で◯印であるガラスルーバー窓を選定した。それ以外は引き窓を選定した。 

b) 手順2(金物を選定する上での配慮事項の明確化) 金物を選定するに当たって,表D.2を基に作成し

た表E.3によって,身体機能の低下状態によって配慮する事項を明確化し,

印を記入する。表E.3

は,部位又は用途ごとに作成することが望ましいが,ここでは一例だけを示す。 

c) 手順3(金物の選定) 手順2で明確化した配慮事項を満たす金物について,手順1で選定した候補製

品に取り付けられる金物を適正評価し,金物を含めた窓製品の候補を決定する。 

それぞれの開閉方式ごとに使用する金物は,表D.1の右欄のアルファベット記号で示されたものと

し,この例では該当する金物のアルファベット記号を○で囲んでいる。 

d) 手順4(候補製品の評価) 表E.3の

印が記入されている配慮事項について,選定する金物の候補が

使いやすいかどうかを◎印,◯印又は△印で評価する。製品の候補の選定に当たっては,設計経験に

よるほか,製造業者のショールームを活用した現物確認によった。 

使用者によっては,部分的な身体機能の低下状態の場合もあれば,全般的な身体機能の低下状態の

場合もある。したがって,配慮する事項は変わるため,それぞれの配慮する事項に応じた適正評価を

することが望ましい。例えば,手・指の握力低下の場合,“片手で操作できる”,“小さな力で開閉でき

る”など操作性に関わる配慮する事項について適正評価をすることが望ましい。この例を評価した結

果を,E.3.4に示す。 

E.3.4 窓の評価及び製品の選定結果 

E.3.3の手順による適正評価に基づき製品を選定した結果を,次に示す。 

a) 居室窓 

1) テラス面の引き窓(掃出し窓)は,戸の質量が大きいため,オプションで準備されている初動時の

力を軽減できる補助機能をもつハンドルタイプの引手を選定した。 

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A 2191:2017  

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) それ以外の引き窓(腰高)は,通常の引手かまちで問題なく開閉できることを確認した。 

3) たてすべり出し窓は,オペレータ装置仕様とし,開閉時に腕を伸ばして体が不安定になることを防

ぐことにした。ただし,オペレータ装置のハンドルと枠との隙間が小さいが,許容範囲であること

を確認した。 

b) 浴室,トイレなど 

1) ガラスルーバー窓は,オペレータ装置を確認した結果,操作力が小さく問題ないことを確認した。 

2) 引き窓は,居室と同様で問題ないことを確認した。 

表E.3−身体機能の低下状態に対する金物の適正評価シート使用例 

配慮事項 

身体機能の 

低下状態 







開閉する際に直接触れて操
作する金物 

直接触れ
ないが操
作性に影
響する金
物 

Ⓐ Ⓑ C 

Ⓓ 

Ⓖ H I 



脚 視






















































































使

片手で操作できる 

◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ 

 ○ ◎  

◎ 

− − − 

小さな力で開閉できる 

◎ ◎ ○ ◎ − ○ 

 ○ ◎  

○ 

小さな力で施錠・解錠できる 

◎ ◎ ○ ○ ◎ ○ 

 − ○  

− 

− −  

握らず(つままず)に操作できる,又は握り(つ
まみ)やすい 

◎ − − − − − 

 ○ ○  

○ 

− − − 

操作部が視認しやすい 

− − − − ◎ − 

 ○ ○  

○ 

− − − 

1回の動作で操作できる,又は流れ動作で操作でき
る 

◎ ◎ ○ ○ ◎ ◎ 

 ◎ ◎  

○ 

− − − 

車椅子使用時でも開閉及び施錠・解錠操作が無理
なくできる 

− − − ◎ − − 

 ○ ○  

○ 

− − − 

操作部に手・指を掛けるスペースに余裕がある 

◎ − − − − − 

 ○ ◎  

△ 

− − − 








◎印は“配慮する”を,○印は“身体機能の低下状態又は他の条件によっ
て配慮する”を,−印は“該当なし”を表す。 

“使いやすい”場合は◎印を,“使用可

能”な場合は○印を,“使いにくい”
場合は△印を記入する。“−”は評価
対象外を示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書F 

(参考) 

簡易な適正評価シートを用いて玄関ドアを選定する具体的手順例 

F.1 

一般 

附属書Bに示したドア製品の選定及び適正評価に沿って,改修のために交換する玄関ドアを選定する際

の手順の一例を示す。 

F.2 

諸条件の整理 

a) 現状の玄関ドアの状況 築後30年が経過した木造住宅の玄関ドアで,親子開きドアが設置されてい

る。枠開口幅は1 200 mmである。主な金物は,サムラッチハンドル,上げ落し,ドアチェーン,ド

アクローザ及び丁番である。 

b) 対象者の機能障害及び機能低下の程度 

1) 対象者は,高齢化によって腕及び手の筋力が低下しており,戸の開閉が重く感じる。また,指先を

使った重い戸の開閉操作及び細かい操作がしにくいため,サムラッチハンドルが使いにくい。 

2) 使用頻度は低いが,開口を広く取りたいときに,子扉を開くために上下端の上げ落しを操作するこ

とが煩わしい。 

3) 歩行に不便を感じることはあまりないが,出入口の段差によって,時々つまずきそうになることが

ある。また,ショッピングカートの出し入れがしにくい。 

c) 要望事項 

1) ドアの開閉及び施解錠を軽くしたい。 

2) 将来を見据えて,車椅子が容易に出入り可能な最低800 mmの開口幅を確保しておきたい。 

3) 段差解消のための床の工事は容認するが,外壁の工事は行いたくない。 

なお,引戸を採用する場合の引込みスペースは確保できる。 

F.3 

選定の手順 

附属書Bの手順を参考に,ドア製品及び金物を選定し,適正評価を行った。ただし,表B.2を基に必要

部分だけに簡易化した表F.1を用いた。 

なお,この例では,各製造業者の製品による使い勝手の違い及び選定者の経験などを考慮し,個数又は

数値による評価点とはせず◎印などによる感覚的な評価としている。 

F.4 

選定結果 

a) ドア製品の選定 車椅子及びショッピングカートの通過を考慮し,800 mmの有効開口幅を確保が可

能な引戸を候補とし,製造業者のカタログで製品を検討した結果,外壁の屋外側に引き込む引戸であ

れば工事範囲が小さい製品があることが分かったため,その製品を選定した。 

なお,段差を解消するために,併せて屋外側の床工事を行うことにした。 

b) 金物の選定 表F.1を用いて,操作性,形状及び機能別にそれぞれ適正評価を行い,総合的に評価し

た結果,引手(握りタイプ),ドア錠及びドアクローザ(引戸用)の組合せを選定した。 

なお,用心鎖は取り付けないことにした。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表F.1−玄関ドアの金物を選定する際の適正評価シートの例 

配慮事項 

身体機能の 

低下状態 







開閉する際に直接触れて操作す
る金物 

直接触れな
いが操作性
に影響する
金物 

開きドアに使用 引戸に

使用 

共通 



脚 

























































使



片手で操作できる ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ 

 △ ◎ ◎ 〇 〇 ◎ ◎ ◎ △ − 

− 

小さな力で開閉で
きる 

◎ ◎ ○ ◎ − ○ 

 △ 〇 〇 △ △ ◎ 〇 ◎ △ 〇 

◎ 

小さな力で施錠・
解錠できる 

◎ ◎ ○ ○ ◎ ○ 

 △ ◎ ◎ △ △ ◎ 〇 ◎ △ − 

− 

握らず(つままず)
に操作できる,又
は握り(つまみ)
やすい 

◎ − − − − − 

 △ 〇 ◎ △ △ ◎ △ 〇 △ − 

− 


操作部に手・指を
掛けるスペースに
余裕がある 

◎ − − − − − 

 △ 〇 ◎ △ △ ◎ △ 〇 △ − 

− 


車椅子使用時でも
施錠・解錠操作が
無理なくできる 

− − − ◎ − − 

 △ △ △ △ △ ◎ △ 〇 △ − 

− 

閉鎖速度を遅くで
きる,又は開放状
態を保持できる 

◎ ◎ ○ ◎ − ○ 

 − − − − − − − − − 〇 

◎ 

適正評価 

操作性 

△ 〇 ◎ △ △ ◎ 〇 ◎ △ 〇 

◎ 

形状 

△ 〇 ◎ △ △ ◎ △ 〇 △ − 

− 

機能,その他 

△ △ △ △ △ ◎ △ 〇 △ 〇 

◎ 

総合評価 

△ 〇 ◎ △ △ ◎ △ 〇 △ 〇 

◎ 

◎印は“配慮する”を,○印は“身体機能の低
下状態又は他の条件によって配慮する”を,−
印は“該当なし”を表す。 

それぞれ“使いやすい”場合は◎,“使用可
能”な場合は〇,“使いにくい”場合は△と
した。“−”は評価対象外を示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書G 
(参考) 

簡易な適正評価シートを用いてトイレドアを選定する具体的手順例 

G.1 

一般 

附属書Bに示した各種ドア製品の選定及び適正評価に沿って,改修のために交換するトイレドアを選定

する際の手順の一例を示す。 

G.2 

諸条件の整理 

a) トイレドアの現状 築後30年が経過した木造住宅のトイレドアで,片開きドアが設置されている。有

効開口幅は600 mmである。使用している金物は,サムターン内蔵の握り玉及び丁番である。 

b) 対象者の機能障害及び機能低下の程度 

1) 握り玉をしっかりつかめずに滑ってしまうことがあるため,握って回転する操作が困難である。 

2) 有効開口幅が小さいため,ドア本体及び金物に身体がぶつかり出入りが困難である。 

3) 身体を支えるために戸のつり(吊)元側をつかんでしまい,戸と枠との隙間に指を挟まれてけがを

したことがある。 

4) 床に段差があり,つまずくことがある。 

c) 要望事項 

1) ドアの開閉力を極力軽くしたい。 

2) 将来を見据えて,車椅子が出入り可能な開口幅を確保しておきたい。 

なお,調査した結果,周囲の壁を一部撤去するなどの工事は可能である。また,引戸を採用する

場合の引込みスペースがあることも確認済である。 

3) 掃除などの日常的なメンテンナンスをしやすくしたい。 

4) 併せて床工事を実施し,出入口の段差を解消したい。 

G.3 

選定の手順 

附属書Bの手順を参考に,ドア製品及び金物を選定し,適正評価を行った。ただし,表B.2を基に必要

部分だけに簡易化した表G.1を用いた。 

なお,この例では,各製造業者の製品による使い勝手の違い及び選定者の経験などを考慮し,個数又は

数値による評価点とはせず◎印などによる感覚的な評価としている。 

G.4 

選定結果 

a) ドア製品の選定 戸の開閉操作性及び車椅子の出入りを考慮し,引戸を選択し,かつ,床の段差を解

消しバリアフリーとし,実際にドア製造業者のショールームで現物を確認した。その結果,3枚連動

の引違い形式の引戸であれば車椅子での出入りが可能な有効開口幅を確保できることが分かった。ま

た,この形式は,左右どちら側からも開閉することが可能なため,清掃などのメンテナンスがしやす

く,将来的に介護が必要になった場合にも使いやすいことが確認できた。 

b) 金物の選定 表G.1を用い,操作性,形状及び機能別にそれぞれ適正評価を行い総合的に評価した結

果,引手(握りタイプ)とサムターンの組合せを選定した。また,指挟み事故防止のため,全閉する

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

直前に閉鎖速度を下げることができる制動装置を取り付けることにした。 

表G.1−トイレドアの金物を選定する際の適正評価シートの例 

配慮事項 

身体機能の 

低下状態 







開閉する際に直接触
れて操作する金物 

直接触れな
いが操作性
に影響する
金物 

開きド
アに使
用 

引戸に
使用 




脚 視












































使

操作性 

片手で操作できる 

◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ 

 △ ◎ ◎ 〇 ◎ − − 

小さな力で開閉できる ◎ ◎ ○ ◎ − ○ 

 △ 〇 ◎ 〇 − △ 〇 ◎ 

小さな力で施錠・解錠で
きる 

◎ ◎ ○ ○ ◎ ○ 

 △ ◎ ◎ 〇 ◎ − − − 

握らず(つままず)に操
作できる,又は握り(つ
まみ)やすい 

◎ − − − − − 

 △ 〇 ◎ △ ◎ − − − 

形状 操作部に手・指を掛ける

スペースに余裕がある 

◎ − − − − − 

 △ 〇 ◎ △ 〇 − − 

機能 

車椅子使用時でも施
錠・解錠操作が無理なく
できる 

− − − ◎ − − 

 △ △ ◎ △ 〇 − − 

閉鎖速度を遅くできる,
又は開放状態を保持で
きる 

◎ ◎ ○ ◎ − ○ 

 − − − − − 〇 ◎ ◎ 

上記以
外の追
加事項 

指が挟まれてもけがを
しないこと。 

◎ ◎ ◎ 〇 ◎ ◎ 

 − − − − − 〇 ◎ ◎ 

適正評価 

操作性 

△ 〇 ◎ 〇 ◎ △ 〇 ◎ 

形状 

△ 〇 ◎ △ 〇 − − 

機能,その他 

△ △ ◎ △ 〇 〇 ◎ ◎ 

総合評価 

△ 〇 ◎ △ 〇 〇 〇 ◎ 

◎印は“配慮する”を,○印は“身体機能の低下状態
又は他の条件によって配慮する”を,−印は“該当な
し”を表す。 

それぞれ“使いやすい”場合は
◎,“使用可能”な場合は〇,

“使いにくい”場合は△とした。
“−”は評価対象外を示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書H 
(参考) 

適正評価シートを用いずに玄関ドアを選定する具体的手順例 

H.1 一般 

5.3及び5.4の判断の目安に従って,簡易に玄関ドアを選定する手順の一例を示す。 

H.2 諸条件の整理 

a) 対象者の条件 対象者の身体的条件を聞き取り及び観察した結果を,次に示す。 

− 夫:下肢の膝関節機能に軽度の障害があり,補助器具[つえ(杖)及び手すり]を使用している。

将来的には車椅子使用も考慮する必要があると思われる。また,加齢によって手・指及び腕に軽度

の機能低下が見られる。 

− 妻:健康上問題なく,夫の行動の手助けなども問題なくできる。 

b) 要望事項 要望事項を聞き取り及び観察した結果を次に示す。 

− 有効開口幅を広いものにし,併せて通過時の支障となる段差を解消したい。 

− 小さな力で戸の開閉及び金物の操作ができるようにしたい。 

H.3 選定手順及び選定結果 

a) ドア製品の選定 5.3.1の判断の目安に従って,次のとおりドア製品の選定を行った。 

1) 脚の機能が低下している人にも適した開きドア又は引戸をドア製品の候補として検討を行った結

果,建築計画上,引込みスペースが確保できないので引戸は選択できないことが分かった。 

2) 現状では親子開きドアが設置されているが,図H.1 a) に示すように親扉及び子扉のそれぞれの寸法

を現状の750 mm及び350 mmから900 mm及び200 mmに変更し,親扉側の有効開口幅を車椅子で

も通過可能な寸法にした。 

3) 車椅子の使用を想定して,周囲のスペースが確保できることを確認した上,使用しやすい戸の開閉

方向を決定した。 

4) 併せて段差解消の工事も実施することにした。 

b) 金物の選定 5.4の判断の目安に従って,次のとおり金物の選定を行った。 

1) 現状のドアにはサムラッチハンドルが取り付けられているが,握力の低下によって操作しにくいた

め,主流のプッシュプルハンドルとし,ドア製造業者のショールームで各種現物を確認することに

した。 

2) 図H.1 b) に示すように,操作ハンドル部分が上下に長く,立位でも車椅子利用時でも握りやすく,

操作力が小さいものを選択した。 

3) ドアクローザは,閉鎖遅延機能付きのものを選択した。 

4) 通常の使用頻度が低い上げ落し及び直接触れない金物は対象者の要求事項に影響しないことを考慮

し,標準仕様を選定した。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

a) 親扉及び子扉の寸法の変更 

b) 操作ハンドルの長さ 

図H.1−選定した玄関ドア例 

立位でも車椅子で
も握りやすい高さ
及び上下方向に長
い操作ハンドル 

350 

750 

200 

900