A 2101:2002
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人 日本建築学会(AIJ)/財団法人 日本
規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調
査会の審議を経て,国土交通大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 6946:1996 (Building components
and building elements-Thermal resistance and thermal transmittance-Calculation method)を基礎として用いた。
また,令和2年10月26日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。国土交通大臣及び日本産業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS A 2101には,次に示す附属書がある。
附属書A(規定)表面熱伝達抵抗
附属書B(規定)換気のない中空空間の熱抵抗
附属書C(規定)テーパーのついた層をもつ構成要素の熱貫流率の計算方法
附属書D(参考)熱貫流率の補正
附属書E(参考)空げきに対する補正の例
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表
A 2101:2002
(2)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義及び記号 ·················································································································· 2
3.1 定義 ···························································································································· 2
3.2 記号及び単位 ················································································································ 2
4. 原理 ······························································································································ 2
5. 熱抵抗 ··························································································································· 3
5.1 均質な層の熱抵抗 ·········································································································· 3
5.2 表面熱伝達抵抗 ············································································································· 3
5.3 空気層の熱抵抗 ············································································································· 4
5.4 非暖冷房空間の熱抵抗 ···································································································· 5
6. 熱貫流抵抗 ····················································································································· 6
6.1 均質な層からなる建築構成要素の熱貫流抵抗 ······································································· 6
6.2 均質な層及び不均質な層によって構成される建築構成要素の熱貫流抵抗 ··································· 6
7. 熱貫流率 ························································································································ 8
附属書A(規定)表面熱伝達抵抗 ···························································································· 9
附属書B(規定)換気のない中空空間の熱抵抗 ·········································································· 11
附属書C(規定)テーパーのついた層をもつ構成要素の熱貫流率の計算方法 ··································· 13
附属書D(参考)熱貫流率の補正 ··························································································· 16
附属書E(参考)空げきに対する補正の例 ················································································ 18
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ·································································· 21
日本産業規格 JIS
A 2101:2003
建築構成要素及び建築部位−
熱抵抗及び熱貫流率−計算方法
Building components and building elements-
Thermal resistance and thermal transmittance-Calculation method
序文 この規格に従って計算された熱貫流率は,この規格の適用範囲に示されている建築構成要素を通過
する熱流量を決定するのに適している。
この規格は,1996年に第1版として発行されたISO 6946:1996 (Building components and building
elements-Thermal resistance and thermal transmittance-Calculation method)並びにDraft Amendment 1(1999)を
翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。ただし,追補(amendment)については,編
集し,一体とした。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変
更の一覧表をその説明を付けて,附属書1に示す。
1. 適用範囲 この規格は,建築部位及び建築構成要素の熱抵抗及び熱貫流率の計算方法について規定す
る。ドア,窓及びその他のガラスのはまった部分,地盤への熱移動を伴う部位並びに透気を意図した部位
は対象から除外する。
計算方法は,関係する材料及び製品の適切な熱伝導率設計値又は熱抵抗設計値に基づいている。
この方法は,熱的に均質な層 (空気層も含む。)によって構成される部位及び構成要素に適用する。また,
この規格は,不均質な層に用いることのできる近似方法も示す。ただし,断熱層に金属熱橋がある場合は
対象から除外する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21に基づき,IDT(一致している),MOD(修
正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 6946:1996,Building components and building elements-Thermal resistance and thermal
transmittance-Calculation method (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成
するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最
新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 0202 断熱用語
備考 ISO 7345:1987 (Thermal insulation―Physical quantities and definitions)からの引用事項は,こ
2
A 2101:2002
の規格の該当事項と同等である。
ISO 10456:1999 Building materials and products―Procedures for determining declared and design thermal
values
ISO 13789:1999 Thermal performance of buildings―Transmission heat loss coefficient―Calculation
method
ISO 13370:1998 Thermal performance of buildings―Heat transfer via the ground―Calculation methods
ISO 10211-1:1995 Thermal bridges in building construction―Heat flows and surface temperatures―Part
1:General calculation methods
3. 定義及び記号
3.1
定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS A 0202によるほか,次による。
3.1.1
建築部位(building element) 建築物の主要な部分。例えば,壁,床又は屋根。
3.1.2
建築構成要素(building component) 建築部位又はその一部。
備考 この規格において,“構成要素”という用語は部位及び構成要素の両方を示す。
3.1.3
熱設計値(design thermal value) 熱伝導率設計値又は熱抵抗設計値。
備考 ある特定の製品は,適用法又は環境条件が異なる場合,二つ以上の設計値をとり得る。
3.1.4
熱伝導率設計値(design thermal conductivity) 特定の室内外条件のもとでの建築材料又は製品の熱
伝導率の値であり,建築構成要素に組み込まれた状態でその材料又は製品の性能を代表しているとみなす
ことができるもの。
3.1.5
熱抵抗設計値(design thermal resistance) 特定の室内外条件のもとでの製品の熱抵抗の値であり,
建築構成要素に組み込まれた状態でその製品の性能を代表しているとみなすことができるもの。
3.1.6
熱的に均質な層(thermally homogeneous layer) 熱物性が一様又は一様になっているとみなせる一
定の厚みの層。
3.2
記号及び単位
記号
量
単位
A
面積(area)
m2
R
熱抵抗設計値(design thermal resistance)
m2・K/W
Rg
空気層の熱抵抗(thermal resistance of air space)
m2・K/W
Rse
屋外側表面熱伝達抵抗(external surface resistance)
m2・K/W
Rsi
室内側表面熱伝達抵抗(internal surface resistance)
m2・K/W
RT
熱貫流抵抗(環境から環境)
[total thermal resistance (environment to environment)]
m2・K/W
R′
T
熱貫流抵抗上限値(upper limit of total thermal resistance)
m2・K/W
R″
T
熱貫流抵抗下限値(lower limit of total thermal resistance)
m2・K/W
Ru
非暖冷房空間の熱抵抗(thermal resistance of unheated space)
m2・K/W
U
熱貫流率(thermal transmittance)
W/(m2・K)
d
厚さ(thickness)
m
h
熱伝達率(heat transfer coefficient)
W/(m2・K)
λ
熱伝導率設計値(design thermal conductivity)
W/(m・K)
4. 原理 計算方法の原理は,次による。
a) 構成要素の熱的に均質な部分それぞれの熱抵抗を求める。
b) 表面熱伝達抵抗も含めて,a)で求めた個々の熱抵抗を結合し,構成要素の熱貫流抵抗を求める。
3
A 2101:2002
個々の部分の熱抵抗は,5.1によって求める。
5.2によって求めた表面熱伝達抵抗の値は,たいていの場合適切である。低放射率表面,外部風速が明確
な場合及び平らでない表面に対する詳細な計算手順は,附属書Aによる。
この規格では,空気層は熱的に均質であるとみなしてよい。高放射率表面をもつ大きな空気層の熱抵抗
の値は,5.3によって求める。その他の空気層に対する手順は,附属書Bによる。
層の熱抵抗は,次に示すように結合する。
a) すべて熱的に均質な層から成る構成要素の場合,熱貫流抵抗は6.1によって,熱貫流率は7. によって
求める。
b) 一つ以上の熱的に不均質な層を含む構成要素の場合,熱貫流抵抗は6.2によって,熱貫流率は7. によ
って求める。
c) テーパーのついた層を含む構成要素の場合,熱貫流抵抗及び熱貫流率は,附属書Cによって求める。
断熱層に空げきがある場合,断熱層を接合具が貫通している場合及び屋根防水上部断熱工法の屋根に降
水がある場合には,それらの影響を考慮するために,最後に,適切であれば,附属書Dによって熱貫流率
の補正を行うことができる。
このように計算された熱貫流率は,当該構成要素の両側の環境の間に適用する。例えば,外気に接して
いる場合には室内環境と屋外環境の間,両側とも室内の場合には二つの室内環境の間,非暖冷房空間に接
する場合には非暖冷房空間と室内環境の間に適用する。非暖冷房空間を熱抵抗として扱う簡易な手順は,
5.4による。
5. 熱抵抗
5.1
均質な層の熱抵抗 熱設計値は,熱伝導率設計値又は熱抵抗設計値のいずれかで与えられる。熱伝
導率設計値が与えられている場合には,次の式によって,層の熱抵抗を求める。
λ
d
R=
··················································································· (1)
ここに,
d: 構成要素内の層の厚さ
λ: 材料の熱伝導率設計値(ISO 10456:1999によって計算
された値,又は表から得られた値)
備考1. 厚さdは呼び厚さとは異なることがある(例:圧縮性の材料が圧縮状態で取り付けられたと
きには,dは呼び厚さよりも小さくなる)。厚さの許容差が与えられている場合には,許容差
も適切に考慮してdの値を設定することが望ましい(例:許容差が負の値のとき)。
2. 熱伝導率設計値λは,公的機関によって測定された値を用いることもできる。
計算途中で用いる熱抵抗値は,少なくとも小数3位まで計算しなければならない。
5.2
表面熱伝達抵抗 平らな表面で境界条件が特に指定されていない場合には,表1の値を用いる。“水
平”の欄の値は,熱流方向が水平面に対して±30°までの場合に適用する。平らではない表面又は境界条
件が明確な場合には,附属書Aの手順を用いる。
4
A 2101:2002
表 1 表面熱伝達抵抗 ( m2・K/W )
熱流方向
上向き
水平
下向き
Rsi
0.10
0.13
0.17
Rse
0.04
0.04
0.04
備考 表1の値は設計値である。構成要素の熱貫流率の
宣言及び熱流方向に依存しない値が要求される
場合には,水平熱流の値を用いることが望まし
い。
5.3
空気層の熱抵抗 この項で得られる値は,次の条件を満たす空気層に適用する。
− 実際上,平行,かつ,熱流方向に垂直で,放射率が0.8以上の2面にはさまれている。
− (熱流方向に測定した)厚さが,他の二つの方向の寸法のどちらに対しても0.1倍未満で,0.3 m以下。
備考 0.3 mを超える厚さの空気層を含む構成要素単独の熱貫流率は,計算しないほうがよい。むしろ,
熱流量は熱平衡を解くことによって計算することが望ましい(ISO 13789:1999を参照)。
− 室内環境との間に空気のやりとりがない。
上記の条件に当てはまらない場合には,附属書Bの手順を用いる。
5.3.1
換気のない空気層 換気のない空気層とは,その中に明確に流れ込む空気がないような空気層のこ
とである。熱抵抗の設計値は,表2による。“水平”の欄の値は,熱流方向が水平面に対して±30°までの
場合に適用する。
表 2 換気のない空気層の熱抵抗 (m2・K/W) 高放射率面
空気層
の厚さ
mm
熱流方向
上向き
水平
下向き
0
0.00
0.00
0.00
5
0.11
0.11
0.11
7
0.13
0.13
0.13
10
0.15
0.15
0.15
15
0.16
0.17
0.17
25
0.16
0.18
0.19
50
0.16
0.18
0.21
100
0.16
0.18
0.22
300
0.16
0.18
0.23
備考 中間値は,線形補間によって求める。
空気層と屋外環境の間に断熱層がなく,空気層に屋外環境に通じる小さな開口がある場合で,空気層の
中を空気が流れないようにこれらの開口が配置されており,開口が次の値を超えないときには,その空気
層も換気のない空気層とみなす。
− 垂直空気層に対しては,長さ1 m当たり500 mm2
− 水平空気層に対しては,表面積1 m2当たり500 mm2 (1)
備考 組積造中空壁の外側壁に垂直オープンジョイントの形で排水口がある場合には,この排水口を
換気のある開口とはみなさない。
注(1) 垂直空気層に対しては,範囲は,長さ1 m当たりの開口面積で表す。水平空気層に対しては,
範囲は,面積1 m2当たりの開口面積で表す。
5
A 2101:2002
5.3.2
わずかに換気のある空気層 わずかに換気のある空気層とは,その中に屋外環境から次の範囲の開
口を通って限られた空気が流れ込む空気層のことである。
− 垂直空気層に対しては,長さ 1 m当たり 500 mm2を超え 1 500 mm2以下
− 水平空気層に対しては,表面積 1m2当たり 500 mm2を超え 1 500 mm2以下(1)
わずかに換気のある空気層の熱抵抗の設計値は,表2の対応する値の二分の一とする。ただし,空気層
と屋外環境の間の熱抵抗が 0.15 m2・K/Wを超える場合には,その値を0.15 m2・K/Wに置き換える。
5.3.3
十分に換気のある空気層 十分に換気のある空気層とは,空気層と屋外環境との間にある開口が,
次の値を超える空気層のことである。
− 垂直空気層に対しては,長さ1 m当たり1 500 mm2
− 水平空気層に対しては,表面積1 m2当たり1 500 mm2 (1)
− 十分に換気のある空気
層を含む建物構成要素の熱貫流抵抗は,その空気層及びその空気層と屋外環境との間にあるすべての層
の熱抵抗を無視し,屋外側表面熱伝達抵抗として静止空気に対応する値(すなわち,同じ構成要素の室内
側表面熱伝達抵抗に等しい値)を用いる。
5.4
非暖冷房空間の熱抵抗 非暖冷房空間と室内環境との界壁が断熱されており,かつ,非暖冷房空間
の外皮が断熱されていない場合には,非暖冷房空間を熱抵抗として扱う次のような簡易な手順を適用して
もよい。
備考 ISO 13789:1999には,建物から非暖冷房空間を経由して屋外環境に流れる熱流量の,一般的
で,より正確な計算方法の手順が示されており,より正確な結果が要求されている場合にはこ
の手順を用いるのが望ましい。床下空間に対しては,ISO 13370:1998を参照。
5.4.1
小屋裏空間 平らな断熱された天井とこう配屋根からなる小屋組みに対しては,小屋裏空間をあた
かも表3に示す熱抵抗をもつ熱的に均質な層とみなしてもよい。ただし,小屋裏空間が外気に通じている
場合には,5.3.3と同様の扱いとする。
表 3 小屋裏空間の熱抵抗
屋根の特徴
Ru
m2・K/W
1
ルーフィングフェルト,野地板及び類似した下地材のないかわら屋根。
0.06
2
シート屋根
ルーフィングフェルト,野地板又は類似した下地材のあるかわら屋根。
0.2
3
2と同様だが,屋根裏面がアルミめっき又はその他の低放射率の表面
のもの。
0.3
4
野地板及びルーフィングフェルトが下地としてある屋根。
0.3
備考 表3の値は,小屋裏空間と(こう配)屋根の熱抵抗を含む。これらは,屋外側表
面熱伝達抵抗(Rse)を含まない。
5.4.2
その他の空間 建物に小さな非暖冷房空間があり,かつ,非暖冷房空間と室内環境との界壁が断熱
されている場合には,室内環境と屋外環境との間の熱貫流率を,非暖冷房空間とその外側の構成要素をあ
たかも熱抵抗がRuの均質な層を付け加えたかのように扱うことによって求めることができる。ただし,非
暖冷房空間が外気に通じている場合には,5.3.3と同様の扱いとする。Ruは,次の式による。
Ru = 0.09 + 0.4
e
i
A
A ······················································································· (2)
ただし,Ru ≤ 0.5 m2・K/W
6
A 2101:2002
ここに, Ai: 室内環境と非暖冷房空間の間のすべての構成要素の総面積
Ae: 非暖冷房空間と屋外環境の間のすべての構成要素の総面積
備考1. 小さな非暖冷房空間には,車庫,倉庫及び温室を含む。
2. 室内環境と非暖冷房空間との間に二つ以上の構成要素がある場合には,それぞれの構成要素
の熱貫流率の計算に,Ruを含めることが望ましい。
6. 熱貫流抵抗 最終的に得られた熱貫流抵抗は,小数2位の値に丸める。
6.1
均質な層からなる建築構成要素の熱貫流抵抗 熱流に垂直な熱的に均質な層からなる平らな建物構
成要素の熱貫流抵抗 RT は,次の式によって計算する。
RT = Rsi + R1 +R2 + … + Rn + Rse ···················································· (3)
ここに,
Rsi: 室内側表面熱伝達抵抗
R1, R2, … Rn: 各層の熱抵抗設計値
Rse: 屋外側表面熱伝達抵抗
室内の建物構成要素(間仕切りなど)の熱貫流抵抗を計算する場合又は構成要素が室内環境と非暖冷房
空間との間にある場合には,Rsiを両面に適用する。
備考 構成要素の表面から表面までの熱抵抗が要求されている場合には,表面熱伝達抵抗を式(3)から
省く。
6.2
均質な層及び不均質な層によって構成される建築構成要素の熱貫流抵抗 この項では,熱的に均質
な層及び不均質な層からなる建物構成要素の熱貫流抵抗を計算する簡易な方法を示す。ただし,断熱層に
金属熱橋がある場合は対象から除外する。
備考1. ISO 10211-1:1995又はPart 2(準備中):Calculation of linear thermal bridgesに従った数値計
算方法を用いることによって,より正確な結果が得られる。
2. 6.2で述べる手順は,結露危険性を評価する目的で表面温度を計算する場合には適さない。
6.2.1
構成要素の熱貫流抵抗 表面に平行な熱的に均質な層及び不均質な層からなる構成要素の熱貫流
抵抗RTは,熱貫流抵抗の上限値及び下限値の算術平均として計算する。
2
T
T
T
R
R
R
′′
′
=
+
········································································· (4)
ここに,
T
R′: 熱貫流抵抗の上限値で,6.2.2によって計算する。
T
R′′: 熱貫流抵抗の下限値で,6.2.3によって計算する。
上限値と下限値の計算は,図1に示すように,セクション及び層に分割した構成要素を考えて行う。構
成要素は,mjの部分に分割されたようになり,それぞれの部分は熱的に均質となる。
7
A 2101:2002
図 1 熱的に不均質な構成要素のセクションと層
構成要素[図1 a)]を,セクションに切断されたもの[図1 b)]及び層に切断されたもの[図1 c)]と
みなす。
構成要素の表面に垂直なセクションm(m = a, b, c,…, q)の面積比を fm とする。
表面に平行な層 j( j=1, 2, …, n)の厚さをdjとする。
m j部分の熱伝導率をλmj ,厚さをdj ,面積比を fm ,及び熱抵抗を Rmj とする。
セクションの面積比は,全面積に対するそのセクションの面積の割合である。すなわち, fa + fb + … +
fq = 1
6.2.2
熱貫流抵抗の上限値(R′T) 熱貫流抵抗の上限値は,構成要素の表面に垂直な一次元的な熱流を
仮定することによって,求める。計算式を次に示す。
Tq
q
Tc
c
Tb
b
Ta
a
T
R
f
R
f
R
f
R
f
'
R
+
…
+
+
+
=
1
············································· (5)
ここに, RTa , RTb , … ,
RTq:
各セクションごとに式(3)を用いて計算
した,環境から環境への熱貫流抵抗
fa , fb , … , fq: 各セクションの面積比
6.2.3
熱貫流抵抗の下限値(R″T) 熱貫流抵抗の下限値は,構成要素の表面に平行なすべての面が等温
面(2)であると仮定することによって,求める。
まず,熱的に不均質な層の等価熱抵抗Rj を,それぞれ次の式によって計算する(3)。
qj
q
bj
b
aj
a
j
R
f
R
f
R
f
R
+
+
+
…
=
1
······················································· (6)
次に,式(3)を用いて熱貫流抵抗の下限値を求める。すなわち,
R″
T = Rsi + R1 + R2 +…+ Rn + Rse
注(2) 空気層に接して平らではない面がある場合は,次のように,あたかも平らな面であるかのよう
に計算を行うのが望ましい。
8
A 2101:2002
引っ込んだ部分を引き伸ばす(ただし,熱抵抗は変更しない)。
突出した部分を取り除く(取り除いた分の熱抵抗は減らす)。
注(3) 他に,次に示す層の等価熱抵抗 Rj を用いる方法がある。
R j = d j /λ″
j
ここに,λ″
j はj層の等価熱伝導率で,次の式によって計算する。
λ″
j = λaj fa+λbj fb+…+λqj fq
空気層が不均質な層の一部の場合は,空気層を等価熱伝導率λ″
j = dj / Rg の材料として扱って
もよい。ここに,Rg は附属書Bに従って求めた空気層の熱抵抗である。
6.2.4
誤差評価 計算した熱貫流率が,明示された精度基準を満たす必要がある場合には,最大相対誤差
をここで示す方法によって推定してもよい。
6.2の近似方法を用いたときの最大相対誤差eは,パーセント表示で次のようになる。
100
2
×
′′
−
′
=
T
T
T
R
R
R
e
····································································· (7)
例 上限値と下限値との比が1.5の場合,生じ得る誤差の最大値は20 %となる。
実際の誤差は,通常,最大誤差よりもかなり小さくなる。6.2で述べた手順によって求めた値の精度が容
認できるか否かを決定するために,この誤差評価を用いても差し支えない。このとき,次のことを顧慮す
る。
− 計算の目的
− 6.2で述べた手順によって熱貫流抵抗を求めた構成要素を通過して流れる建物外皮の全熱流量の割合
− 入力データの精度
7. 熱貫流率 熱貫流率は,次の式によって求める。
T
R
U
1
=
················································································· (8)
熱貫流率は,附属書Dに従って適切な補正を行うことができる。ただし,U の全補正量が3 %より小さ
い場合は,補正を行わなくてもよい。
最終的に得られた熱貫流率は,有効数字2けたに丸める。計算に用いた入力データの情報も提供しなけ
ればならない。
9
A 2101:2002
附属書A(規定)表面熱伝達抵抗
1. A.1 平らな表面 表面熱伝達抵抗は,次の式によって求める。
r
c
s
h
h
R
+
=
1
········································································ (A.1)
ここに,
hc: 対流熱伝達率
hr: 放射熱伝達率
ただし,hr =εhro ·································································· (A.2)
hro= 4σT 3m ············································································ (A.3)
ここに,
ε: 表面の放射率
hro: 黒体表面の放射熱伝達率(表A.1参照)
σ: ステファン−ボルツマン定数[5.67×10−8 W/(m2・K)]
Tm: 表面及びその周辺の平均絶対温度
表 A.1 黒体の放射熱伝達率 hro
温度
℃
hro
W/(m2・K)
− 10
0
10
20
30
4.1
4.6
5.1
5.7
6.3
室内側表面では,hc = hci とする。ここに,
− 上向き熱流 : hci = 5.0 W/(m2・K)
− 水平熱流 : hci = 2.5 W/(m2・K)
− 下向き熱流 : hci = 0.7 W/(m2・K)
屋外側表面では,hc = hce とする。ここに,
hce = 4 + 4v ················································· (A.4)
ここに,
v: 表面付近の風速 m/s
種々の風速における表面熱伝達抵抗Rseの値は,表A.2による。
備考 本体の5.2に示した室内側表面熱伝達抵抗は,20 ℃における hro を用い,ε = 0.9 として計算し
たものである。本体の5.2に示した屋外側表面熱伝達抵抗は,0 ℃における hroを用い,ε = 0.9
及び v = 4 m/sとして計算したものである。
10
A 2101:2002
表 A.2 種々の風速におけるRseの値
風速
m/s
Rse
m2・K/W
1
2
3
4
5
7
10
0.08
0.06
0.05
0.04
0.04
0.03
0.02
2. A.2 平らでない表面をもつ構成要素 熱貫流抵抗の計算において,構造体の柱のような平面から突出
した部分は,当該部分を構成する材料の熱伝導率が 2 W/(m・K) 以下の場合には無視する。当該部分を構
成する材料の熱伝導率が2 W/(m・K)を超え,かつ,当該部分が断熱されていない場合には,突出した部分
の実際の表面積とその投影面積の比を用いて,表面熱伝達抵抗を修正する(図A.1参照)。
A
A
R
R
p
s
sp=
········································································· (A.5)
ここに,
Rs: A.1に従って求めた,平らな表面の表面熱伝達抵抗
Ap: 突出した部分の投影面積
A: 突出した部分の実際の表面積
式(A.5)は,室内側表面熱伝達抵抗及び屋外側表面熱伝達抵抗の両方に適用する。
図 A.1 実際の面積及び投影面積
11
A 2101:2002
附属書B(規定)換気のない中空空間の熱抵抗
1. 一般事項 この附属書は,ガラス窓以外の建築構成要素における中空空間に適用する。ガラス窓及び
窓枠に対しては,より精密な取扱いが必要である。
ここでいう中空空間という用語は,空気層(熱流方向に沿って厚さを測定したとき,幅及び長さの両方
が厚さの10倍以上あるもの)及びボイド(幅又は長さが厚さと同程度のもの)の両方を含む。空気層の厚
さが場所によって異なる場合には,その平均値を用いて熱抵抗を計算する。
備考 中空空間を横切る放射熱移動及び対流熱移動は,中空空間を挟む平面間の温度差にほぼ比例す
るため,中空空間は熱抵抗をもった媒体として扱うことができる。
2. B.2 長さ及び幅が両方とも厚さの10倍を超える換気のない中空空間 中空空間の熱抵抗は,次の式に
よる。
r
a
g
h
h
R
+
=
1
····························································································· (B.1)
ここに, Rg: 中空空間の熱抵抗
ha: 伝導/対流熱伝達率
hr: 放射熱伝達率
ha は,次に示すように計算する。
− 上向き熱流 :1.95 W/(m2・K) 及び 0.025/d W/(m2・K) のうち大きい方の値
− 水平熱流 :1.25 W/(m2・K) 及び 0.025/d W/(m2・K) のうち大きい方の値
− 下向き熱流 :0.12 d −0.44 W/(m2・K)及び 0.025/d W/(m2・K) のうち大きい方の値
ここに,
d: (熱流方向に沿って測定した)中空空間の厚さ
hr は,次の式による。
hr = E hro ··················································· (B.2)
ここに,
E: 表面間の放射係数
hro: 黒体表面の放射熱伝達率(表A.1参照)
E は,次の式による。
1
1
1
1
2
1
−
ε
ε
/
/
E
+
=
································································ (B.3)
ここに, ε1,ε2 は,中空空間を挟む表面の半球放射率
放射率の設計値は,経時変化の影響を見込んだ値とする。
備考 本体の表2の値は,10 ℃におけるhro の値を用い,ε1 = 0.9,ε2 = 0.9として,式(B.1)に従っ
て計算したものである。
12
A 2101:2002
3. B.3 小さな又は分割された換気のない中空空間(ボイド) 図B.1は,幅が厚みの10倍未満の小さな
中空空間を示したものである。この中空空間の熱抵抗を計算する場合には,式(B.3)のかわりに次の式によ
って表面間の放射係数Eを算出し,B.2の手順を適用する(1)。
+
+
+
+
=
b
d
b
d
E
−
−
2
2
2
1
1
1
2
1
1
2
1
1
1
ε
ε
·································· (B.4)
ここに, d: 中空空間の厚さ
b: 中空空間の幅
ε1 ,ε2 はB.2と同じ。
備考 式(B.4)は,ボイドの厚さにかかわらず,建築構成要素を通過する熱流量の計算に適し,また,
50 mm 以下の厚さのボイドをもつ建築構成要素の温度分布の計算にも適している。ボイドの厚
さが50 mmを超える場合には,式(B.4)は,近似的な温度分布を与える。式(B.4)は,ISO 6946:
1996と異なるが,この規格では精度のよい式を採択した。
注(1) ha は,dによって変わるが,bとは独立である。
ボイドの形状が長方形以外の場合には,実際のボイドと同じ面積及びアスペクト比の長方形のボイドを
考えて,熱抵抗を計算する。
図 B.1 小さな中空空間の寸法
13
A 2101:2002
附属書C(規定)テーパーのついた層をもつ構成要素の熱貫流率の計算方法
1. C.1 一般事項 構成要素にテーパーのついた層(例えば,屋根のこう配のついた外側断熱層)がある
場合には,熱貫流抵抗は構成要素の場所によって変化する。
このような構成要素は,図C.1のように組み立てられる。
備考 テーパーのついた空気層に関しては,附属書Bを参照。
図 C.1 構成要素組立ての原理
熱貫流率は,当該構成要素の面積積分として定義する。
図C.2に示すように,(例えば,屋根の)こう配及び/又は形状が異なる部分で別々に計算を行う。
図 C.2 屋根を個々の部分に分割する方法の例
本体の3. に追加して,この附属書では次の記号を用いる。
記号
量
単位
λ1
テーパーのついた部分(一方の端部で,厚さが0になる)の熱伝導率の設計値
W/(m・K)
R0
構成要素両側の表面熱伝達抵抗を含んだ,残りの部分の熱抵抗の設計値
m2・K/W
R1
テーパーのついた層の最大熱抵抗
m2・K/W
d1
テーパーのついた層の最大厚さ
m
lnは,自然対数を意味する。
14
A 2101:2002
2. C.2 よくある形状に対する計算方法 こう配が5 %以下の場合には,式(C.1)から(C.3)を用いて,熱
貫流率の計算を行う。
備考 5 %を超える場合には,数値計算を用いることができる。
2.1.1
長方形
+
=
0
1
1
1
ln
1
R
R
R
U
································································ (C.1)
2.1.2
頂点で厚みが最大となる三角形
−
+
+
=
1
1
ln
1
2
0
1
1
0
1
R
R
R
R
R
U
·············································· (C.2)
2.1.3
頂点で厚みが最小となる三角形
+
−
=
0
1
1
0
1
1
ln
1
2
R
R
R
R
R
U
···················································· (C.3)
2.2
C.3 計算手順 計算は,次の手順で行う。
a) 全層が熱的に均質な場合は本体の式(3)を用いて,熱的に不均質な層がある場合は本体の6.2の手順を
用いて,構成要素のテーパーのついた層を除いた部分の全熱抵抗を計算し,これをR0とする。
b) 必要に応じて,テーパーのついた層を個々の部分に分割する。
c) 次の式を用いて,テーパーのついた層それぞれのR1を計算する。
1
1
1
λ
d
R=
·············································································· (C.4)
d) C.2の計算式を用いて,個々の部分の熱貫流率を計算する。
e) 全面積 A に対する熱貫流率を,次の式によって計算する。
∑
∑
=
i
i
i
A
A
U
U
········································································ (C.5)
f)
熱貫流抵抗が必要な場合は,次の式によって計算する。
15
A 2101:2002
U
RT
1
=
·············································································· (C.6)
16
A 2101:2002
附属書D(参考)熱貫流率の補正
この附属書(参考)は,熱貫流率の補正について記述するものであり,規定の一部ではない。
2.3
D.1 一般事項 この規格で規定した手順によって得られた熱貫流率は,次に示す影響を考慮して補
正を行う。
− 断熱部の空げき
− 断熱層を貫通する機械的接合具
− 屋根防水上部断熱工法の屋根への降水(1)
補正した熱貫流率Ucは,補正項ΔUを加えることによって求める。
Uc = U + ΔU ···························································································· (D.1)
補正項 ΔU は,次の式による。
ΔU = ΔUg +ΔUf +ΔUr ············································································ (D.2)
ここに,
ΔUg: 空げきに対する補正
ΔUf: 機械的接合具に対する補正
ΔUr: 屋根防水上部断熱工法の屋根に対する補正
注(1) 屋根防水上部断熱工法の屋根とは,防水膜の外側に断熱層がある屋根のことである。
2.4
D.2 空げきに対する補正 空げきの程度及び位置によって,表D.1に示す3レベルの補正がある。
表 D.1 空げきに対する補正
補正レベル
ΔU ″
W/(m2・K)
空げきの状態
0
0.00
断熱の高温側に通気がない。断熱層全体にわたって,貫通する空げきがない。
1
0.01
断熱の高温側に通気がない。断熱層を貫通する空げきがあり得る。
2
0.04
断熱の高温側に通気がある。断熱層を貫通する空げきがあり得る。
補正は,次の式による。
2
″
=
T
I
g
R
R
U
Δ
U
Δ
································································ (D.3)
ここに,
RI: 本体の5.1に示した,空げきを含む層の熱抵抗
RT: 本体の6.に示した,構成要素の熱貫流抵抗
備考 空げきに対する補正の例に関しては,附属書Eを参照。
2.5
D.3 機械的接合具に対する補正 機械的接合具が断熱層を貫通している場合には,次の式によって
熱貫流率補正を行う。
ΔUf = α λf nf Af ······································································ (D.4)
ここに,
α: 表D.2に示す係数
λf: 接合具の熱伝導率
nf: 1 m2当たりの接合具数
Af: 一つの接合具の断面積
17
A 2101:2002
表 D.2 係数αの値
接合具の種類
α
m−1
組積造・コンクリート造の壁間の接合具
6
屋根固定用接合具
5
次の場合は,補正を行わない。
− 中空部分の接合具
− 組積造・コンクリート造の壁と木柱との間の接合具
− 接合具又は接合具を構成する部品の熱伝導率が,1 W/(m・K) 未満の場合
この手順は,接合具の両端が金属板に接している場合には,適用しない。
備考 接合具の両端が金属板に接している場合の補正係数は,ISO 10211-1の方法によって求めるこ
とができる。
2.6
屋根防水上部断熱工法の屋根に対する補正
2.6.1
D.4.1
一般事項 D.4で規定する手順は,単層の押出法ポリスチレン(XPS)断熱材が防水膜の
上にある場合に限り適用できる。さらに,敷き砂利のようなオープンカバーの場合にも適用できる。
2.6.2
D.4.2
断熱材と防水膜との間に雨水が流れることに対する補正 断熱材と防水膜との間に雨
水が流れることに対する補正項 ΔUrは次の式によって計算する。
2
=
T
I
r
R
R
p
x
U
Δ
・
································································· (D.5)
ここに,
x: = 0.04
p: 平均降水量 (mm/日)。建設地に応じ適切なデータ(例
えば気象官署のデータ)に基づいた値とする。
RI: 防水膜の上にあるXPS断熱層の熱抵抗
RT: 構成要素の熱貫流抵抗
ΔUrは,小数以下2けたまで計算する。ΔUrが0.01未満の場合は,0とみなす。
2.6.3
D.4.3
拡散によって含水率が増加することに対する補正 拡散によって押出法ポリスチレン
断熱材の含水率が増加するため,ISO 10456:1999に従って熱伝導率の補正を行う。
18
A 2101:2002
附属書E(参考)空げきに対する補正の例
この附属書(参考)は,空げきに対する補正の例について記述するものであり,規定の一部ではない。
施工例としてあり得るものをa)〜h)に示すが,すべてを網羅したものではない。
補正レベル0
a) 2層以上の断熱材がとぎれなく各層互い違いに施工されている場合。
b) 単層の断熱材がとぎれなく施工されており,断熱材どうしの接合部が相じゃくり,さね(実)はぎ又は
シールされている場合。
c) 単層の断熱材がとぎれなく施工されており,断熱材どうしの接合部が突き合わせで,どのような空げ
きも5 mm以内に収まるように,長さ,幅及び直角度の許容差並びに断熱材の寸法安定性が規定され
ている場合。長さの許容差の合計,幅の許容差の合計及び寸法の変化が5 mm以下であり,ボードの
長方形からのずれが5 mm以下であれば,この要求が満たされているものとみなす。
19
A 2101:2002
d) 2層の断熱材で,一方が垂木,間柱,根太又は同様の構造材の間にあり,もう一方が一層目を覆って
とぎれなく施工されている場合。
e) 単層の断熱材が施工されており,構成要素の断熱材を除いた部分の熱抵抗が,熱貫流抵抗の50 %を超
えている場合(すなわち,RI ≤ 0.5 RT )。
補正レベル1
f)
垂木,根太,間柱又は同様の構造材の間にすきまなく断熱材が施工されている場合。
g) 単層の断熱材がとぎれなく施工されており,断熱材どうしの接合部が突き合わせで,空げきが5 mm
を超えるような,長さ,幅及び直角度の許容差並びに断熱材の寸法安定性の場合。長さの許容差の合
計,幅の許容差の合計及び寸法の変化が5 mmを超える場合又はボードの長方形からのずれが5 mm
を超える場合に適合する。
20
A 2101:2002
補正レベル2
h) 上端又は下端の接合又はシールが不十分なため,断熱材の高温側で通気が生じる可能性がある場合。
21
A 2101:2002
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS A 2101:2002 建築構成要素及び建築部位−熱抵抗及び熱貫流率−計算方法
ISO 6946:1996,Dam.1:1999 建築構成要素及び建築部位−熱抵抗及び熱貫
流率−計算方法
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国
際規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の
項目ごとの評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
項目番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
序文
熱貫流率の利用方法
ISO
6946
序文
JISに同じ
ただし,内外境界条件
は多くの場合,室内側
は乾き合成温度,屋外
側は外気温としてい
る。
MOD/削除
ISOの内外境界条件に
関する記述を削除
国際規格では暖房期を対象とすること
を暗黙の前提としている。日本では,
冷房期の日射遮へいを目的とした断熱
も行われるが,冷房期の屋外側境界条
件として外気温は不適切である。この
規格は熱抵抗及び熱貫流率の計算方法
を規定するものであり,内外境界条件
についてはこの規格で記述する必要が
ないため削除した。 ISOへは今後時期
をみて,内外境界条件に関する記述を
削除するよう提案する予定である。
1. 適用範囲
建築部位及び建築構成要素
の熱抵抗及び熱貫流率の計
算方法を規定
1.
JISに同じ
IDT
―
2. 引用規格
JIS A 0202
ISO 10456
2.
2.
ISO 7345
JISに同じ
MOD/変更
IDT
JISでは,ISOの引用
規格と整合したJISを
引用
―
JIS A 0202はISOと整合している。
3. 定義及び
記号
建築部位,建築構成要素など
3.
JISに同じ
IDT
―
4. 原理
計算原理
4.
熱貫流率の補正を行
う。
MOD/変更
JISでは,熱貫流率の
補正を要求事項とは
しない。
日本では熱貫流率の補正は行われてお
らず,国内の施工方法において,ISO
で規定されている補正方法の妥当性が
未検討なため,要求事項とはしないこ
ととした。
2
A
2
1
0
1
:
2
0
0
2
22
A 2101:2002
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国
際規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項
目ごとの評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
項目番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
5. 熱抵抗
5.1均質な層の熱抵抗
5.
5.1
備考2は国際規格に
はない。
MOD/変更
公的機関によって測定さ
れた熱伝導率設計値を用
いることができると明
示。
国際規格の表現では,公的機関によっ
て測定された熱伝導率設計値を用い
ることの可否が不明りょうである。
5.2 表面熱伝達抵抗
5.2
JISに同じ
IDT
―
5.3 空気層の熱抵抗
5.3
JISに同じ
IDT
―
5.4 非暖冷房空間の熱抵抗
5.4
5.4.1 小屋裏空間
5.4.1
小屋裏空間が外気に
通じているか否かに
かかわりなく規定。
MOD/変更
小屋裏空間が外気に通じ
ている場合の規定を変
更。
日本では排熱や排湿を目的として小
屋裏を換気する場合が多く,このよう
な場合には屋根部の断熱効果は期待
できない。 ISOへは今後時期をみて,
外気に通じている場合の規定を変更
するよう提案する予定である。
界壁が断熱されていない場合,又は,
非暖冷房空間が外気に通じている場
合には非暖冷房空間の断熱効果は期
待できない。 ISOへは今後時期をみ
て,外気に通じている場合の規定を変
更するよう提案する予定である。
5.4.2 その他の空間
5.4.2
非暖冷房空間と室内
環境との間の界壁が
断熱構造か否か,ま
た,非暖冷房空間が外
気に通じているか否
かにかかわりなく規
定。
MOD/変更
界壁が断熱されている場
合だけを適用範囲とし,
非暖冷房空間が外気に通
じている場合の規定を変
更。
6. 熱貫流抵
抗
6.
JISに同じ
IDT
―
7. 熱貫流率
7.
熱貫流率の補正を行
う。
MOD/変更
JISでは,熱貫流率の補
正を要求事項とはしな
い。
4. 原理と同様の理由で,要求事項と
はしないこととした。
附属書A (規
定)
表面熱伝達抵抗
Annex
A
MOD/削除
ISOの内外境界条件に関
する脚注を削除。
序文と同様の理由で削除した。
2
A
2
1
0
1
:
2
0
0
2
23
A 2101:2002
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国
際規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項
目ごとの評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
項目番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
附属書B (規
定)
換気のない中空空間の熱
抵抗
Annex
B
B.1 一般事項
B.1
IDT
―
B.2 長さ及び幅が両方と
も厚さの10倍を超える換
気のない中空空間
B.2
IDT
―
B.3 小さな又は分割され
た換気のない中空空間(ボ
イド)
B.3
式(B.4)で精度の悪い
近似式を規定。
MOD/変更
表面間の放射係数Eの式
を,より精度のよい式に
変更。
JISの式は,同様の目的で規定してい
るISO/DIS 15099の式に一致してお
り,こちらの方が精度がよいため。ISO
へは今後時期をみて,ISO/DIS 15099
の式を採用するよう提案する予定で
ある。
附属書C (規
定)
テーパーのついた層をも
つ構成要素の熱貫流率の
計算方法
Annex
C
JISに同じ
IDT
―
附属書D (参
考)
熱貫流率の補正
Annex
D
MOD/変更
規定から参考に変更。
4. 原理と同様の理由で,規定から参
考に変更した。
D.1 一般事項
D.1
JISに同じ
IDT
―
D.2 空げきに対する補正
D.2
JISに同じ
IDT
―
D.3 機械的接合具に対す
る補正
D.3
JISに同じ
IDT
―
D.4 屋上防水上部断熱工
法の屋根
D.4
D.4.1 一般事項
D.4.1
JISに同じ
IDT
―
D.4.2 断熱材と防水膜の
間に雨水が流れることに
対する補正
D.4.2
p:暖房期の平均降水
量
MOD/変更
暖房期に限定しない。
熱貫流率の計算は年間にわたり行わ
れるため,季節を限定する文言は削除
した。ISOへは今後時期をみて,季節
を限定する文言は削除するよう提案
する予定である。
2
A
2
1
0
1
:
2
0
0
2
24
A 2101:2002
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国
際規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項
目ごとの評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
項目番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
附属書D (参
考)
D.4.3 拡散によって含水
率が大きくなることに対
する補正
D.4.3
JISに同じ
IDT
―
附属書E (参
考)
空げきに対する補正の例
JISに同じ
IDT
―
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。
2.
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
2
A
2
1
0
1
:
2
0
0
2
25