A 1912:2015
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 記号及び単位 ··················································································································· 2
5 原理······························································································································· 2
6 器具······························································································································· 2
6.1 一般 ···························································································································· 2
7 試験条件························································································································· 4
7.1 一般 ···························································································································· 4
7.2 温度及び相対湿度 ·········································································································· 4
7.3 供給空気及びバックグラウンド濃度··················································································· 4
7.4 物質伝達率 ··················································································································· 4
7.5 単位面積当たりの換気量及び換気回数················································································ 5
8 試験条件の検証 ················································································································ 5
8.1 試験条件のモニタリング ································································································· 5
8.2 大形チャンバーの気密性 ································································································· 5
8.3 大形チャンバー内の換気回数 ··························································································· 5
8.4 大形チャンバー内の換気性能係数······················································································ 5
8.5 回収率及びシンク効果 ···································································································· 6
8.6 表面気流測定 ················································································································ 6
9 大形チャンバーの準備 ······································································································· 6
10 試験体・試験片の準備 ····································································································· 6
10.1 一般 ··························································································································· 6
10.2 試験体可動部(扉など)の開閉 ······················································································· 7
11 測定方法 ······················································································································· 7
11.1 バックグラウンド濃度及びトラベルブランク ····································································· 7
11.2 大形チャンバー内での試験体・試験片の位置 ····································································· 7
11.3 チャンバー出口濃度を測定する時間 ················································································· 7
11.4 空気捕集 ····················································································································· 8
12 分析方法 ······················································································································· 8
12.1 VOCの分析················································································································· 8
12.2 ホルムアルデヒドを除く他のカルボニル化合物の分析 ························································· 8
13 放散速度の算出方法 ········································································································ 8
14 報告書 ·························································································································· 9
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ページ
附属書A(参考)2 m3大形チャンバーの例 ··············································································· 11
附属書B(参考)14 m3大形チャンバーの例 ·············································································· 15
附属書C(参考)24 m3大形チャンバーの例 ·············································································· 19
附属書D(参考)試験体・試験片の保存及び準備に関する手順····················································· 23
附属書E(参考)揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒドを除く
他のカルボニル化合物のガイドライン値 ············································································ 25
附属書F(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表 ······························································ 27
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まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本
工業規格である。
これによって,JIS A 1912:2008は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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建築材料などからの揮発性有機化合物(VOC),及び
ホルムアルデヒドを除く他のカルボニル化合物
放散測定方法−大形チャンバー法
Determination of the emission of volatile organic compounds and
aldehydes without formaldehyde by building materials and
building related products-Large chamber method
序文
この規格は,2008年に制定され,その後の関連規格との用語及び定義並びに記号の整合化に対応するた
めに改正した。技術上重要な改正に関する新旧対照表を附属書Fに示す。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,大形チャンバーを用いて,家具,建築材料などから空気中へ放散する揮発性有機化合物(以
下,“VOC”という。)及びホルムアルデヒドを除く他のカルボニル化合物測定方法について規定する。
なお,この規格は,家具,建築用ボード類,壁紙,床材など,及びそれらの施工に用いる接着剤,塗料
などに加え,これらを組み合わせた製品などに適用できる。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 1901 建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散
測定方法−小形チャンバー法
JIS A 1911 建築材料などからのホルムアルデヒド放散測定方法−大形チャンバー法
JIS A 1962 室内及び試験チャンバー内空気中のホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の定量
−ポンプサンプリング
JIS A 1965 室内及び試験チャンバー内空気中揮発性有機化合物のTenax TAⓇ吸着剤を用いたポンプ
サンプリング,加熱脱離及びMS又はMS-FIDを用いたガスクロマトグラフィーによる定量
JIS A 1966 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集・加熱脱離・キャピラリーガスクロ
マトグラフィーによるサンプリング及び分析−ポンプサンプリング
JIS K 0123 ガスクロマトグラフィー質量分析通則
JIS K 0124 高速液体クロマトグラフィー通則
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
2
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JIS Z 8703 試験場所の標準状態
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS A 1901及びJIS A 1911による。対象化学物質は,VOC,ホ
ルムアルデヒドを除く他のカルボニル化合物とする。
4
記号及び単位
この規格で用いる主な記号及び単位は,JIS A 1901及びJIS A 1911による。
5
原理
この試験は,大形チャンバーを用いて,チャンバー出口濃度,通過する空気流量及び試験体・試験片の
個数又は表面積を求め,試験対象となる建築材料などの単位個数又は単位面積当たりの対象化学物質の放
散速度を測定する方法である。
一定の温度,相対湿度及び換気量の条件をもつ大形チャンバー内で空気を流通させ,出口で捕集した空
気からチャンバー出口濃度,バックグラウンド濃度,トラベルブランク及び換気量を知ることによって,
特定の経過時間tにおける単位個数又は単位面積当たりの対象化学物質の放散速度を算出する(箇条13参
照)。
6
器具
6.1
一般
建築材料などから放散される対象化学物質の放散速度の測定に用いる主な器具は,次による。
− 大形チャンバー
− かくはん装置
− 空気清浄装置
− 温度・湿度制御装置
− 流量計
− 空気捕集装置
− 試験体・試験片のシール材
− 試験体・試験片設置用の架台
− 分析装置
6.2
大形チャンバー この規格の大形チャンバーに適用する一般仕様及び要求事項は,次による。大形
チャンバーのシステムの概念図を,図1に示す。出口空気と入口空気とを循環してはならない。
3
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図1−大形チャンバーの概念図
6.2.1
形状 大形チャンバーの対象化学物質に接する部分は,ステンレス鋼,ガラスなどの吸着が非常に
少ない材料で作られたものとし,容積は1 m3を超え80 m3までとする。大形チャンバーは,内部の空気が
できる限り混合するよう設計されているものとする。大形チャンバーは,清掃,洗浄作業が容易に行える
構造とする。参考として2 m3大形チャンバーの例を附属書A,14 m3大形チャンバーの例を附属書B,及
び24 m3大形チャンバーの例を附属書Cに示す。
大形チャンバーのシール材は,低放散性及び低吸着性のもので,バックグラウンド濃度への影響が小さ
いものを使用する。
6.2.2
気密性 大形チャンバーは,制御されていない外気と換気することが極力少ないように気密状態と
する。したがって,大形チャンバー内は大気圧よりも少し高い気圧で操作し,試験場所による影響を防ぐ
ことが望ましい。
6.2.3
空気の供給装置 大形チャンバーは,換気量を連続的に一定の数値に制御することが可能な装置
(流量制御装置など)を備えているものとする。要求事項は7.4による。
6.2.4
設置場所 大形チャンバーは,屋内に設置する。
6.3
かくはん装置 大形チャンバー内の濃度分布を均一にする目的で,かくはんファンを装備すること
ができる。かくはんファンは,清掃,洗浄作業が容易に行える構造とし,低放散性及び低吸着性のもので,
バックグラウンド濃度への影響が小さいものを使用する。
6.4
空気清浄装置 大形チャンバーに供給する空気は,できる限り清浄な空気が必要であるため,バッ
クグラウンド濃度の上昇を防ぐために,通常,空気清浄装置を使用する。
6.5
温度・湿度制御装置 大形チャンバー内の空気は,必要温度に制御する。
温度及び相対湿度は,温度・湿度制御システムとは独立して,連続的にモニタリングする。
大形チャンバー内に結露を生じさせたり,加湿のために水をチャンバー内に直接噴霧させたりしないよ
うに注意する。
6.6
流量計 大形チャンバーの出口又は入口に流量計を設置し,大形チャンバー内の正確な換気量を測
定する。
6.7
空気捕集装置 空気捕集は,大形チャンバー出口空気を用いる。ダクト及びチューブを介して捕集
する場合は,その間をできる限り短くし,大形チャンバーと同じ温度に保つ。
なお,ダクト及びチューブの材質は,ポリテトラフルオロエチレン素材など,吸着が非常に少ないもの
4
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を用いる。
大形チャンバーからの排気は,試験場所から確実に排除する。
空気捕集を二重に行うために,空気捕集用分岐管を使用することもできる。
6.8
試験体・試験片のシール材 想定する放散面以外の面をシールする。シール材は,低放散性及び低
吸着性のもので,バックグラウンド濃度への影響が小さいものを使用する。
6.9
試験体・試験片設置用の架台 試験体・試験片は,大形チャンバーの中央に設置することを基本と
し,必要に応じて,架台を用いて設置する。使用する架台は,清掃,洗浄作業が容易に行える構造とし,
低放散性及び低吸着性のもので,バックグラウンド濃度への影響が小さいものを使用する。
6.10 分析装置 VOCの分析には,水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(GC/FID),又は質量
分析計付きガスクロマトグラフ(GC/MS)を使用する。また,ホルムアルデヒドを除く他のカルボニル化
合物の分析には,高速液体クロマトグラフ装置(HPLC)を使用する。
VOCの分析装置は,JIS A 1965の箇条6(装置),JIS A 1966の箇条6(装置)若しくはJIS K 0123の5.
(装置)によるか,又はこれらと同等以上の精度をもつ装置を用いてもよい。ホルムアルデヒドを除く他
のカルボニル化合物の分析装置は,JIS A 1962の6.3.1(HPLCシステム)若しくはJIS K 0124の箇条5(装
置)によるか,又はこれらと同等以上の精度をもつ装置を用いてもよい。
7
試験条件
7.1
一般
試験条件は,7.2〜7.5による。また,試験は大気圧に近い状態で行う。
7.2
温度及び相対湿度
大形チャンバー内の温度は28 ℃で,相対湿度は,JIS Z 8703に規定する50 %とする。大形チャンバー
は,次の条件の範囲内で制御する。
温度:(28±1.0)℃
相対湿度:(50±5)%
なお,温湿度依存性を確認するために,その他の温湿度条件で測定を行うことが望ましい。
試験場所の空気と大形チャンバー内との温度及び相対湿度が異なるため,大形チャンバーの中に試験
体・試験片を入れるとき,大形チャンバー内の環境に初期的な変動が観測されることがあるので,これら
の変動は記録する。
注記 温度及び相対湿度は,放散速度に大きな影響を与える。
温度及び相対湿度の範囲は,時変動を示すものであり,大形チャンバー内の温度分布及び湿度分布を極
力生じさせないようにする。
7.3
供給空気及びバックグラウンド濃度
供給空気及びバックグラウンド中のTVOC濃度は,放散試験に影響を及ぼさない程度の50 μg/m3以下と
することが望ましい。また,単一の測定対象物質は5 μg/m3以下とすることが望ましい。
なお,加湿のときに使用する純水には,影響を及ぼすような対象化学物質が極力少ないものとする。JIS
K 0557に規定するA1以上の水で,対象成分を検出しないものとする。
7.4
物質伝達率
大形チャンバー内における建築材料などの表面の物質伝達率は,水蒸気に換算して9〜18 m/h程度が望
ましい。
注記 物質伝達率の大小は,蒸散支配による放散の場合に影響を及ぼすことがある。影響の度合いは
基材によって異なる。逆に,内部拡散支配による放散の場合は,物質伝達率の影響が少ない。
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濃度分布を生じさせないように,適切なかくはんを行う。大形チャンバー内の濃度をなるべく均一にす
るためのかくはんファンを設置する場合は,物質伝達率が18 m/h以上となるような強制対流場を作り出さ
ない。
物質伝達率9〜18 m/hは,建築材料などの表面を流れる雰囲気空気の風速で,おおむね0.1〜0.3 m/sに相
当する。
7.5
単位面積当たりの換気量及び換気回数
定常状態では,チャンバー出口濃度は,放散試験条件を設定する場合のパラメータとして選択される単
位面積当たりの換気量(Q/A)に左右される。
換気回数は,(0.5±0.05)回/hを標準とする。
異なる大形チャンバーから得られた結果を比較する場合には,換気回数の試料負荷率に対する比(n/L
値)を同一条件とする。
注記 換気回数n及び試料負荷率Lの比(n/L値)は,放散速度に影響を与えることがある。
8
試験条件の検証
8.1
試験条件のモニタリング
温度,相対湿度及び換気量は,次の精度で連続的にモニタリングして記録する。
− 温度
±0.5 ℃
− 相対湿度 ±5 %
− 換気量
±10 %
温度,相対湿度は,入口又は出口空気を測定してもよい。
8.2
大形チャンバーの気密性
大形チャンバーの気密性は,圧力維持及び/又は降下測定,又は入口及び出口空気の流量同時比較測定,
又はトレーサーガス希釈の測定によって,年1回以上の頻度で確認する。
8.3
大形チャンバー内の換気回数
大形チャンバー出口又は入口に流量計を設置し,測定した換気量Qをチャンバーの容積Vで除したもの
を換気回数nとする。
換気回数の設定値の変動はなるべく少なくする。通常,トレーサーガスを用いた換気回数の確認は,年
1回以上の頻度で行うことが望ましい。
流量計を用いて出口で試験を行う場合には,その装置による背圧のため,大形チャンバーに流れる流量
が下がる可能性に注意する。
8.4
大形チャンバー内の換気性能係数
換気性能係数を測定するための試験は,大形チャンバー内に何も入れない状態で行う。
一定の濃度及び流量でトレーサーガスを供給空気に混合させてから,大形チャンバー出口で濃度の経時
変化を測定する(ステップアップ法)。その経時変化から大形チャンバー内の換気性能係数ηは,名目換気
時間τnを平均空気齢
>
<τで除した値で算出される。換気性能係数は,90 %以上が望ましい。大形チャン
バー出口での空気齢は,名目換気時間と一致する。また,大形チャンバー内のトレーサーガスをファンな
どによって完全混合した後,清浄な空気を供給し,大形チャンバー出口で濃度の経時変化を測定してもよ
い。その経時変化から大形チャンバー内の換気性能係数を算出する(ステップダウン法)。
経過時間tにおける大形チャンバーの排気におけるトレーサーガス濃度ρe(t),経過時間が十分長いとき
(平衡時)のトレーサーガス濃度ρs,初期のトレーサーガス濃度ρ(0) とすると,それぞれ次の式で表され
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る。
換気性能係数
>
<
=
τ
τ
η
/
n
························································ (1)
名目換気時間
V/Q
τ=
n
····························································· (2)
ステップアップ法
∫∞
−
=
>
<
0
s
e)
(
1
dt
t
t
V
Q
τ
ρ
ρ
································· (3)
ステップダウン法
∫∞
=
>
<
0
e
)0(
)
(dt
t
t
V
Q
τ
ρ
ρ
······································· (4)
8.5
回収率及びシンク効果
測定対象物質の回収率及びシンク効果は,対象成分の標準ガス,パーミエーションチューブなどを用い
て発生させた既知濃度ガスを用いて測定する。ここで測定する濃度は,附属書Eに示す値と同程度である
ものとする。
大形チャンバーの性能は,トルエンについて80 %以上の平均回収率を確保できるものとする。その他の
測定対象物質の回収率を測定してもよい。
親水性の測定対象物質の回収率を測定する場合は,除湿空気を使用する。
注記 シンク効果若しくは漏れがある場合,又は校正精度が低い場合は,試験で最低限必要な精度を
満たすことが困難となる。
平均回収率は,大形チャンバーの入口濃度に対する出口濃度から算出する。
回収率の算出においては,測定濃度からバックグラウンド濃度は差し引かない。
8.6
表面気流測定
直接,風速が計測できる場合は,微風速計を用いて雰囲気空気の風速が,0.1〜0.3 m/sにあることを確認
する。この場合,必要に応じてかくはん装置を設置し,所定の風速が得られるようにできる限り調整を行
う。
9
大形チャンバーの準備
試験を開始する前には,大形チャンバーの洗浄を行う。大形チャンバーを水拭き清掃する。十分にバッ
クグラウンド濃度が下がることを確認すれば,清浄な空気で長時間換気する方法でもよい。
10 試験体・試験片の準備
10.1 一般
放散試験の準備終了後,サンプルを運搬用の包装から取り出し,試験体・試験片を準備する。試験体・
試験片を大形チャンバー内に設置した時点を試験開始とする。
試験体・試験片の保存及び試験体・試験片の準備に関する事項を,附属書Dに示す。
a) サンプル全体を試験体とする場合 できる限り大形チャンバーの外で,サンプルから運搬用の包装材
を取り除き,試験体として大形チャンバーに搬入する。大形チャンバー内で組立作業を行う場合は,
チャンバー内に包装材などが残らないように十分注意する。
b) サンプルの施工状態を試験体・試験片とする場合 施工状態をシミュレートするために製作するサン
プルは,大形チャンバーの外で作業を行い,所要の養生を行った後,大形チャンバー内に施工状態に
極めて近い状態で設置する。
c) シール工程
1) シール工程を行わない場合 試験体・試験片からの放散部位を限定しない条件で対象化学物質の放
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散速度を測定する場合は,端,裏面などをシールしない。
2) シール工程を行う場合 施工状態をシミュレートする場合など,試験体・試験片からの放散部位を
限定する条件で対象化学物質の放散速度を測定する場合は,試験体・試験片を施工状態に近い状態
で設置するか,端,裏面に相当する部分をアルミニウムはくなどを用いてシールしてもよい。
小口だけから放散する建築材料を測定する場合は,他の部分をシールして測定する。
面材の場合,シール作業の代わりに,2枚の建築材料をはり合わせることで裏面からの放散を防
ぐこともできる。
10.2 試験体可動部(扉など)の開閉
a) 扉を閉じる場合 試験体の可動部(扉,引出しなど)を閉じた条件で測定する場合,報告書に扉など
を閉じて測定した旨を記載する。
b) 扉を開く場合 試験体の可動部(扉,引出しなど)を開いた条件で測定する場合,報告書に扉などを
開いて測定した旨を記載する。
11 測定方法
11.1 バックグラウンド濃度及びトラベルブランク
新しく放散試験を開始する前に,空の大形チャンバーについて1日換気を行った後でバックグラウンド
濃度を測定し,定量する。トラベルブランクは,空気捕集ごとに測定し,定量する。
なお,バックグラウンド濃度及びトラベルブランクは,放散試験に影響を及ぼさない程度の50 μg/m3以
下とすることが望ましい。
11.2 大形チャンバー内での試験体・試験片の位置
試験体・試験片は,大形チャンバーの中央部に置き,必要であれば架台を用意し,空気が試験体・試験
片の放散面上を均一に流れるように努力する。
なお,施工状態をシミュレートする場合は,この限りではない。
11.3 チャンバー出口濃度を測定する時間
a)によって試験を開始した後に,事前に設定した時間に従って,11.4によって空気捕集を開始する。
a) 放散試験 大形チャンバーを流れる換気流量及び空気の漏れのないことを確かめ,空気捕集の間の排
気流量が,空気捕集時の流量によって,影響を受けないことを確認する。
空気捕集は,通常,試験開始から1日,3日,7日,(14±1)日及び(28±2)日経過後に採取する
ものとし,追加の空気捕集を行ってもよい。
なお,測定した試験開始からの経過日数を,報告書に記載する。
注記1 試験の目的に応じて,放散量を過小評価しない範囲でこれら以外の測定日数を選んでもよ
い。
注記2 減衰のデータが必要な場合,空気捕集は試験開始から28日経過以降も採取してもよい。
注記3 測定限界以下になった場合には,試験を終了してもよい。
b) 試験体・試験片の保存 長期間の試験で,試験体・試験片を大形チャンバーから取り出す場合は,通
常,測定時と同じ条件で保存する。試験体・試験片は,空気が自由に接触できるような状態にすると
ともに,他の試験体・試験片又は保存場所からの影響をなるべく受けないように注意する。通常,空
気を捕集する1日以上前までに大形チャンバー内に戻す。
高温での保存は避ける。
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11.4 空気捕集
通常,捕集管として,VOCの捕集にはTenax TAⓇ 1)吸着管を,ホルムアルデヒドを除く他のカルボニル
化合物の捕集には2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(DNPH)カートリッジを使用する。
空気捕集の方法は,JIS A 1901に準じる。ただし,VOC用捕集管はJIS A 1965の6.1(サンプラ)又は
JIS A 1966の6.1(サンプラ),ホルムアルデヒドを除く他のカルボニル化合物用捕集管はJIS A 1962の6.1.1
(サンプリングカートリッジ)による。
注1) ここに示す“Tenax TAⓇ”は,この規格の使用者の便宜のために,一般に入手できるものとして
掲げた。同じ効果を得られることを証明することができれば,これと同等の他のものを用いて
もよい。
12 分析方法
12.1 VOCの分析
Tenax TAⓇ 1)吸着管などを加熱脱着装置に取り付け,加熱によってVOCを脱離させる。VOCの分析法は,
JIS A 1965の箇条9(分析),JIS A 1966の箇条10(手順)又はJIS K 0123の10.(定量分析)による。
12.2 ホルムアルデヒドを除く他のカルボニル化合物の分析
DNPHカートリッジ内のカルボニル化合物DNPH誘導体は,アセトニトリルを用いて溶解して脱離させ
る。ホルムアルデヒドを除く他のカルボニル化合物の分析法は,JIS A 1962又はJIS K 0124の箇条8(操
作)による。
13 放散速度の算出方法
試験体・試験片を大形チャンバーに入れてからの経過時間tにおける単位個数当たりの放散速度quは,
式(5) による。チャンバー出口濃度ρtは,経過時間tにおける対象VOC,TVOC又はホルムアルデヒドを
除く他のカルボニル化合物の濃度を表す。また,式(6) による単位面積当たりの放散速度qAを用いてもよ
い。
バックグラウンド濃度ρbが,TVOCについて50 μg/m3を超えた場合は50 μg/m3まで,単一物質について
5 μg/m3を超えた場合は5 μg/m3まで差し引くことができる。
単位個数当たりの放散速度qu
u
Q
ρ
ρ
q
×
−
=
)
(
b
t
u
······································································· (5)
単位面積当たりの放散速度qA
A
Q
ρ
ρ
q
×
−
=
)
(
b
t
A
······································································ (6)
ここに,
ρt: 経過時間tにおける対象化学物質のチャンバー出口濃度
(μg/m3)
ρb: バックグラウンド濃度(μg/m3)
Q: チャンバーの換気量(m3/h)
u: 試験体・試験片の個数(unit)
A: 試験体・試験片の表面積(m2)
目的によっては,放散速度qを時間/濃度の関係から,例えば,濃度/時間のデータによる減衰モデル
を適用することによって算出する方法もある。
放散速度qは,換気回数nと試料負荷率Lとを用いて表現することもできる。
9
A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位個数当たりの放散速度qu
u
b
t
b
t
u
)
(
)
(
L
n
ρ
ρ
u
Q
ρ
ρ
q
×
−
=
×
−
=
·················································· (5')
単位面積当たりの放散速度qA
a
b
t
b
t
A
)
(
)
(
L
n
ρ
ρ
A
Q
ρ
ρ
q
×
−
=
×
−
=
·················································· (6')
ここに,
n: 換気回数(回/h)
Lu: 個数単位の試料負荷率(unit/m3)
La: 面積単位の試料負荷率(m2/m3)
単位長さ当たりの放散速度ql,単位体積当たりの放散速度qvは,式(7) 及び式(8) による。
単位長さ当たりの放散速度ql
l
b
t
b
t
l
)
(
)
(
L
n
ρ
ρ
l
Q
ρ
ρ
q
×
−
=
×
−
=
···················································· (7)
単位体積当たりの放散速度qv
v
b
t
b
t
v
)
(
)
(
L
n
ρ
ρ
v
Q
ρ
ρ
q
×
−
=
×
−
=
··················································· (8)
ここに,
l: 試験体・試験片の長さ(m)
v: 試験体・試験片の体積(m3)
ここで定義されている換気回数は,空のチャンバーに対する換気回数。実際には試験体・試験片の体積
によってチャンバーの実効容積は,減少する。
14 報告書
試験報告書には,この規格に基づいて実施した旨のほか,通常,次の内容を記載する。
a) 試験機関
− 試験機関の名称及び所在地
− 試験責任者名
− 試験実施日
b) 製品の種類
− 製品の種類(可能な場合は製品名)
− サンプルの選択プロセス(抜取り方法など)
− 製品の経緯(製造年月日,ロット番号,試験機関到着日,包装から取り出した日時及び試験体・試
験片を準備した日時など)
c) 結果
− 規定の経過時間における対象化学物質,及び/又はTVOCの放散速度
d) データ分析
− 測定されたチャンバー出口濃度から特定の放散速度qを算出するときは,用いた方法(数学的モデ
ル又は数式)
− 温湿度条件を変更して測定した場合,算出に用いた換算式
e) 試験条件
− チャンバー条件(温度,相対湿度,換気回数及び物質伝達率)
− 試験体・試験片の台数,面積及び試料負荷率
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A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
− シール工程の有無
− 対象化学物質の空気捕集に関する情報(使用した捕集管,空気捕集量,大形チャンバーに入れてか
ら捕集開始までの経過時間,空気捕集時間の長さ及び回数など)
− 試験途中の試験体・試験片のチャンバーからの取出しの有無
− 試験体・試験片の設置位置(中央又は施工状態)
f)
測定機器
− 使用した器具及び方法に関する情報(チャンバー,試験体・試験片のシール材,空気清浄装置,温
度・湿度制御装置,流量計,空気捕集装置,分析装置など)
g) 品質管理・品質保証
− 対象化学物質のバックグラウンド濃度及びトラベルブランク
− シンク効果を評価するための回収率データ
− 測定回数
− 複数回空気捕集を行った場合は,その個々の分析結果
− 温度,相対湿度及び換気回数の精度
− 品質保証の報告
11
A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
2 m3大形チャンバーの例
この附属書は,本体に基づく装置の参考として記載したものであり,規定の一部ではない。
A.1 2 m3大形チャンバーシステムの構成
例示した2 m3大形チャンバーは,建材の素板全体の試験が可能なチャンバーである。チャンバーは,温
度制御のためアウターチャンバーとインナーチャンバーとで構成する二重槽構造である。インナーチャン
バーの容量は,2 m3である。装置は,試験温度維持機能,250 ℃までの加熱機能,かくはん機能,清浄空
気供給機能,温度・湿度制御機能,流量制御機能,空気捕集機能(サンプリングポンプ),空気圧縮機能な
どをもつ機器で構成する。
A.2 構成機器
A.2.1 一般
図A.1に2 m3大形チャンバーシステム構成図を,図A.2に2 m3大形チャンバーの装置外観図の例を,図
A.3に2 m3大形チャンバー装置立体図の例を示す。主な構成機器は,次のとおりとする。
− 2 m3大形チャンバー
− かくはん装置
− 清浄空気供給装置
− 温度・湿度制御/測定装置
− 流量制御/測定装置
− 空気捕集装置(サンプリングポンプ)
− 分析装置
− 空気圧縮機
A.2.2 2 m3大形チャンバー
インナーチャンバーは,対象化学物質の吸着/再放散の低減及び気密性確保のため,ステンレス鋼板の
全溶接構造とする。試験体・試験片の出入れに使用する扉開口部には,低放散性のパッキン材料を用いる。
A.2.3 かくはん装置
インナーチャンバー内の物質伝達率を制御するため,かくはんファンを装備する。かくはんファンへの
吸着,かくはんファン自体からの対象化学物質の放散が起こらないように,使用する素材に留意する。ま
た,気密性を確保できる構造とする。
A.2.4 清浄空気供給装置
インナーチャンバーには,化学物質の混入の極めて少ない空気を供給する必要があるため,インナーチ
ャンバーに供給する空気は,清浄空気供給装置で化学物質を除去したものを供給する。清浄空気供給装置
は,複数のフィルタから構成し,除去対象物質ごとに適切なフィルタを組み合わせる。これらのフィルタ
を,気密性の高いケースに収めることによって外部からの影響を排除し,清浄度の高い空気を供給する。
A.2.5 温度・湿度制御/測定装置
インナーチャンバー内の温度は,供給する空気そのものではなく,インナーチャンバーの周辺温度を制
12
A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
御することで間接的にインナーチャンバー内の温度を制御するエアジャケット方式を採用する。インナー
チャンバー内に設置された温度検出端の出力によって,恒温槽の制御温度を調整し,インナーチャンバー
内の温度を制御する。
湿度は,インナーチャンバー内に設置した湿度検出端の出力値に連動した電熱式蒸気加湿器の出力を調
整して自動制御する。加湿に使用する純水は,7.3で規定された水を使用する。
A.2.6 流量制御/測定装置
インナーチャンバーに供給する清浄空気は,規定の換気回数に応じた量を,入口に設置したマスフロー
コントローラで調整し供給する。排気空気は,インバータ制御のファンを用いて制御する。
A.2.7 空気捕集装置(サンプリングポンプ)
インナーチャンバーの排気管に設けられたサンプリングポートから,空気を捕集できる構造とする。サ
ンプリングポンプは,マスフローコントローラを内蔵し,規定の捕集流速で捕集する。捕集流量又は捕集
時間のいずれかによって自動停止する機能をもつ。
A.2.8 分析装置
分析は,Tenax TAⓇ 1)(12.1参照)でサンプリングし,加熱脱着装置を用いて脱離し,水素炎イオン化検
出器付きガスクロマトグラフ(GC/FID),又は質量分析計付きガスクロマトグラフ(GC/MS)で分析する。
また,ホルムアルデヒドを除く他のカルボニル化合物の分析は,DNPH捕集管でサンプリングし,アセト
ニトリルで溶媒抽出し,高速液体クロマトグラフ装置(HPLC)で分析する。詳細は,6.10による。
A.2.9 空気圧縮機
インナーチャンバーに供給する空気は,清浄空気供給装置を通して清浄度を高め,空気圧縮機で空気を
供給する。さらに,空気圧縮の場合の除湿効果とドライヤーユニット,電熱式蒸気加湿器との組合せによ
って,周囲空気の条件によらず,広範な湿度制御が可能となる。
A.3 機能
2 m3大形チャンバーは,次の機能をもつものとする。
a) ベーキング機能 インナーチャンバー内壁面の温度を250 ℃に維持するベーキング運転機能,及び多
量の清浄空気を供給し,槽内の有機物をパージすることが可能なもの。
b) 自動運転機能 インナーチャンバーに装備したセンサーからの入力に従い,機器の自動制御,自動運
転が可能なもの。
13
A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図A.1−2 m3大形チャンバーシステム構成図
単位 mm
図A.2−2 m3大形チャンバー装置外観図の例
14
A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図A.3−2 m3大形チャンバー装置立体図の例
15
A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B
(参考)
14 m3大形チャンバーの例
この附属書は,本体に基づく装置の参考として記載したものであり,規定の一部ではない。
B.1
14 m3大形チャンバーシステムの構成
例示した14 m3大形チャンバーは,空気清浄度,温湿度及び換気量を調整するためにアウターチャンバ
ーとインナーチャンバーとで構成する二重槽構造である。インナーチャンバーの容量は,14 m3である。
システムはチャンバー,空気清浄装置,温度・湿度調整装置,換気量制御装置などで構成する。
B.2
構成機器
B.2.1 一般
図B.1に14 m3大形チャンバーシステム構成図を,図B.2に14 m3大形チャンバー装置外観図の例を,図
B.3に14 m3大形チャンバー装置立体図の例を示す。主な構成機器は,次のとおりとする。
− 14 m3大形チャンバー
− 風速制御装置
− 空気清浄装置
− 温度・湿度調整装置
− 換気量制御装置
− 空気捕集装置
− 分析装置
− 圧力計
− 記録計
B.2.2 14 m3大形チャンバー
インナーチャンバーは,対象化学物質の吸着/再放散の低減及び気密性確保のため,ステンレス鋼板の
全溶接構造とする。試験体・試験片の出し入れに使用する扉開口部には,リーク及び汚染を防止するため
に低放散性のパッキン材料を用いる。
B.2.3 風速制御装置
換気空気は,大形チャンバー内の風速分布を規定範囲に維持するためにかくはんファンによってかくは
んされ,排気口から排出する。ファンの稼動部であるモーターは,オイルなどチャンバー内への汚染物質
の放散を避けるための工夫をする。
B.2.4 空気清浄装置
6.4による。
B.2.5 温度・湿度調整装置
温度の制御は,アウターチャンバーの空気層を冷却・加熱することによってインナーチャンバーの温度
を調整する。また,湿度は,空気清浄装置下流にある湿度調整装置によって行う。
B.2.6 換気量制御装置
空気清浄装置によって清浄化された換気空気は,下流に設置されている流量計及び調整弁によって設定
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A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
換気量に調節され,加湿制御装置へと送り込まれ,所定量加湿した後,チャンバー内へ導入する。
B.2.7 空気捕集装置
6.7による。
B.2.8 分析装置
6.10による。
B.2.9 圧力計
アウターチャンバー及びインナーチャンバー内に圧力計を設置し,チャンバー設置室内,アウターチャ
ンバー,インナーチャンバーの順で大気圧より少しずつ高い状態に保持する。
B.2.10 記録計
温度・湿度センサー,流量計及び圧力計によって連続的にモニタリング及び記録する。
図B.1−14 m3大形チャンバーシステム構成図
17
A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
図B.2−14 m3大形チャンバー装置外観図の例
図B.3−14 m3大形チャンバー装置立体図の例
18
A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
B.3
機能
14 m3大形チャンバーは,次の機能をもつものとする。
B.3.1 ベイクアウト機能
大形チャンバー内の温度を80 ℃に維持する高温運転機能。
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A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書C
(参考)
24 m3大形チャンバーの例
この附属書は,本体に基づく装置の参考として記載したものであり,規定の一部ではない。
C.1 24 m3大形チャンバーシステムの構成
例示した24 m3大形チャンバーは,一般住宅の6畳間を想定した容積をもつチャンバーである。装置は,
温度制御のためアウターチャンバーとインナーチャンバーとで構成する二重槽構造である。インナーチャ
ンバーの容量は,24 m3である。装置は,試験温度維持機能に加え,100 ℃までの加熱機能,かくはん機
能,清浄空気供給機能,温度・湿度制御機能,流量制御機能,空気捕集機能(サンプリングポンプ),空気
圧縮機能などをもつ機器で構成する。
C.2 構成機器
C.2.1 一般
図C.1に24 m3大形チャンバーシステム構成図を,図C.2に24 m3大形チャンバー装置外観図の例を,図
C.3に24 m3大形チャンバー装置立体図の例を示す。主な構成機器は,次による。
− 24 m3大形チャンバー
− かくはん装置
− 清浄空気供給装置
− 温度・湿度制御/測定装置
− 流量制御/測定装置
− 空気捕集装置(サンプリングポンプ)
− 分析装置
− 空気圧縮機
C.2.2 24 m3大形チャンバー
インナーチャンバーは,対象化学物質の吸着/再放散の低減及び気密性確保のため,ステンレス鋼板の
全溶接構造とする。試験体・試験片の出入れに使用する扉開口部には,低放散性のパッキン材料を用いる。
C.2.3 かくはん装置
インナーチャンバー内の物質伝達率を制御するため,かくはんファンを装備する。かくはんファンへの
吸着,かくはんファン自体からの対象化学物質の放散が起こらないように,使用する素材に留意する。ま
た,気密性を確保する構造とする。
C.2.4 清浄空気供給装置
インナーチャンバーには,化学物質の混入の極めて少ない空気を供給する必要があるため,インナーチ
ャンバーに供給する空気は,清浄空気供給装置で,化学物質を除去したものを供給する。清浄空気供給装
置は,複数のフィルタから構成し,除去対象物質ごとに適切なフィルタを組み合わせる。これらのフィル
タを,気密性の高いケースに収めることによって外部からの影響を排除し,清浄度の高い空気を供給する。
C.2.5 温度・湿度制御/測定装置
インナーチャンバー内の温度は,供給する空気そのものではなく,インナーチャンバーの周辺温度を制
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A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
御することで間接的にインナーチャンバー内の温度を制御するエアジャケット方式を採用する。インナー
チャンバー内に設置された温度検出端の出力によって,恒温槽の制御温度を調整し,インナーチャンバー
内の温度を制御する。
湿度は,インナーチャンバー内に設置した湿度検出端の出力値に連動した電熱式蒸気加湿器の出力を調
整して自動制御する。加湿に使用する純水は,7.3で規定された水を使用する。
C.2.6 流量制御/測定装置
インナーチャンバーに供給する清浄空気は,規定の換気回数に応じた量を,入口に設置したマスフロー
コントローラで調整して供給する。排気空気は,インバータ制御のファンを用いて制御する。
C.2.7 空気捕集装置(サンプリングポンプ)
インナーチャンバーの排気管に設けられたサンプリングポートから,空気を捕集できる構造とする。サ
ンプリングポンプは,マスフローコントローラを内蔵し,規定の捕集流速で捕集する。捕集流量又は捕集
時間のいずれかによって自動停止する機能をもつ。
C.2.8 分析装置
分析は,Tenax TAⓇ 1)でサンプリングし,加熱脱着装置を用いて脱離し,水素炎イオン化検出器付きガス
クロマトグラフ(GC/FID),又は質量分析計付きガスクロマトグラフ(GC/MS)で分析する。また,ホル
ムアルデヒドを除く他のカルボニル化合物の分析は,DNPH捕集管でサンプリングし,アセトニトリルで
溶媒抽出し,高速液体クロマトグラフ装置(HPLC)で分析する。詳細は,6.10による。
C.2.9 空気圧縮機
インナーチャンバーに供給する空気は,清浄空気供給装置を通して清浄度を高め,空気圧縮機で空気を
供給する。さらに,空気圧縮の場合の除湿効果とドライヤーユニット,電熱式蒸気加湿器との組合せによ
って,周囲空気の条件によらず,広範な湿度制御が可能となる。
C.3 機能
24 m3大形チャンバーは,次の機能をもつものとする。
a) 高温運転機能 インナーチャンバー内の温度を100 ℃に維持する高温運転機能をもつ。この場合,多
量の清浄空気を供給し,槽内の有機物をパージすることが可能なもの。
b) 自動運転機能 インナーチャンバーに装備したセンサーからの入力に従い,機器の自動制御,自動運
転が可能なもの。
c) 保安設備 インナーチャンバーには作業員の入室が想定されるため,閉じ込め防止のための脱出口を
設けるなど,作業者の安全確保のための設備を装備する。
21
A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図C.1−24 m3大形チャンバーシステム構成図
22
A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
図C.2−24 m3大形チャンバー装置外観図の例
図C.3−24 m3大形チャンバー装置立体図の例
23
A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書D
(参考)
試験体・試験片の保存及び準備に関する手順
この附属書は,サンプルの採取,試験体・試験片の準備に関する手順について記載するものであり,規
定の一部ではない。これらは,今後,集積される新たな知見及びそれらに基づく国際的な評価作業の進捗
に伴い,将来,必要があれば変更されるものである。
D.1 製品のサンプリング方法及び準備
D.1.1 一般
放散試験チャンバーを用いた家具,建築材料などから放散される対象化学物質の放散試験を行う場合に
は,試験前及び試験中において,その製品を正しく取り扱う。
この手順は,新しく製造された出荷/施工前の家具,建築材料などに限り適用する。この規格で試験対
象となる製品のサンプリング方法,運搬方法,運搬条件及び試験体・試験片の準備方法は,次による。
D.1.2 製品のサンプリング方法
試験対象となる製品は,通常の手順で製造,包装及び取り扱われるものとする。サンプリングした家具,
建築材料などは直ちに包装し,速やかに試験機関に送付する。
D.1.3 サンプルの包装及び運搬
サンプルは,化学物質による汚染,又は熱,湿気などに影響されないよう保護する。ただし,家具など
のようにその大きさのため密封することが困難な場合は,製品の標準的なこん包方法でもよい。
採取したサンプルは,運搬の条件によってその材料の放散特性に影響を及ぼす可能性がある。特に,温
度による影響の可能性を考慮する。
D.1.4 板,パネル,ボードなどの製品のサンプルの選択
板,パネル,ボードなどの製品のサンプルの選択は,次による。
a) 通常,未開封の標準パッケージをサンプルとする。ただし,試験機関で試験体・試験片の切出しが難
しい場合は,10.1に従って用意した試験体・試験片を試験機関に送付してもよい。
b) サンプルごとにアルミニウムはくで包み,一つの袋に対してサンプルは1個として,未印刷のポリエ
チレン袋に入れて密封することが望ましい。ただし,複数個の同じ製品のサンプルを用意するときは,
サンプルを全て重ね,上下を保護用の製品で挟んだ状態としたものを,まとめて一つのポリエチレン
袋に入れてもよい。
D.1.5 ロール状製品のサンプルの選択
ロール状製品のサンプルの選択は,次による。
a) ロールの2 m以上内側の位置でサンプルを採取する。
b) サンプルは,ロールの幅なりで長さ1 mのものを採取する。
サンプルを採取した後,通常の生産方向へロール状に丸める。ロールをステープラで留め,アルミニウ
ムはくで包み,未印刷のポリエチレン袋に入れて密封する。一つの袋に対してサンプルは1個とする。
サンプルを採取してからポリエチレン袋に入れるまでの作業を1時間以内に行う。
D.1.6 家具など立体的な製品でのサンプルの選択
家具など立体的な製品でのサンプルの選択は,次による。
24
A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 実際に使用するときに附属する部材/部品の全てをもって,試験体とする。
b) こん包は,通常の製品と同等とする。ただし,簡易こん包などのために表面が外気に露出する場合は,
ポリエチレン袋でこん包・密封する。
D.2 サンプルのラベル表示
サンプルを入れたポリエチレン袋などの包装材に製品の種類,製造年月日及びロット番号を記載したラ
ベルを表示する。ラベルの表示に当たっては,サンプルに影響がないように注意する。
D.3 試験を開始するまでのサンプルの保存
製品の放散試験は,試験機関に送付してから直ちに開始する。測定の開始まで試験機関でサンプルを保
存する場合,製品の劣化を防ぐためサンプルを保存する期間中は,前記の包装材料で密封状態に保つ。た
だし,保存する期間は,4週間を限度とする。
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A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書E
(参考)
揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒドを除く
他のカルボニル化合物のガイドライン値
この附属書は,厚生労働省によって定められた室内空気汚染に係るガイドラインに基づいて参考のため
に記載するものであり,規定の一部ではない。
E.1
ガイドライン値
このガイドライン値は,現状において入手可能な科学的知見に基づき,人がその化学物質の示された濃
度以下のばく(曝)露を一生涯受けたとしても,健康への有害な影響を受けないであろうとの判断によっ
て設定された値である。これらは,今後,集積される新たな知見及びそれらに基づく国際的な評価作業の
進捗に伴い,将来必要があれば変更されるものである。
対象VOCの例を,表E.1に,ホルムアルデヒドを除く他のカルボニル化合物の例を,表E.2に示す。
表E.1−対象VOCの例
化学物質名
CAS-No.
ガイドライン値
トルエン
108-88-3
260 μg/m3
キシレン
o-キシレン
95-47-6
870 μg/m3
m-キシレン
108-38-3
p-キシレン
106-42-3
p-ジクロロベンゼン
106-46-7
240 μg/m3
エチルベンゼン
100-41-4
3800 μg/m3
スチレン
100-42-5
220 μg/m3
表E.2−ホルムアルデヒドを除く他のカルボニル化合物の例
化学物質名
CAS-No.
ガイドライン値
アセトアルデヒド
75-07-0
48 μg/m3
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A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献 JIS A 1460 建築用ボード類のホルムアルデヒド放散量の試験方法−デシケーター法
JIS A 6921 壁紙
ISO 16000-9:2006,Indoor air−Part 9: Determination of the emission of volatile organic compounds
from building products and furnishing−Emission test chamber method
ISO 16000-11:2006,Indoor air−Part 11: Determination of the emission of volatile organic compounds
from building products and furnishing−Sampling, storage of samples and preparation of test
specimens
EN 717-1:2004,Wood-based panels. Determination of formaldehyde release. Formaldehyde emission
by the chamber method
ASTM E 1333:2002,Standard Test Method for Determining Formaldehyde Concentrations in Air and
Emission Rates from Wood Products Using a Large Chamber
ASTM D 6670:2001,Standard Practice for Full-Scale Chamber Determination of Volatile Organic
Emissions from Indoor Materials/Products
ECA Report No.19:1997,Total volatile organic compounds (TVOC) in indoor air quality investigations
Technical Note AIVC 28:1990,A Guide to air change efficiency, Air Infiltration and Ventilation Centre
27
A 1912:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書F
(参考)
技術上重要な改正に関する新旧対照表
現行規格(JIS A 1912:2015)
旧規格(JIS A 1912:2008)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
3 用語及
び定義
JIS A 1901及びJIS A 1911を引用することとし,
JIS A 1901及びJIS A 1911と重複する用語は,削除
した。
3. 用語,
定義,記号
及び単位
この規格で用いる用語全てについて規定。
室内空気関係のJISの
規格中には同一の用語
が異なった定義で使用
されている箇所があっ
たため,用語の統一化を
行ったJISを引用する
こととした。
11.4 空気
捕集
通常,捕集管として,VOCの捕集にはTenax TAⓇ
吸着管を,ホルムアルデヒドを除く他のカルボニル
化合物の捕集にはDNPHカートリッジを使用する。
空気捕集の方法は,JIS A 1901に準じる。ただし,
VOC用捕集管は,JIS A 1962,JIS A 1965,JIS A 1966
による。
10.4 空気
捕集
通常,捕集管として,VOCの捕集にはTenax TAⓇ吸着管を,
カルボニル化合物の捕集にはDNPHカートリッジを使用す
る。試験空気を供給して8時間以上が経過した大形チャンバ
ー内の温度及び相対湿度が定常状態であることを確認した
後,捕集管を接続して1日後の大形チャンバー濃度を測定す
ると同時に,トラベルブランク値も測定する。
以降,経過時間ごとの大形チャンバー濃度及びトラベルブ
ランク値を測定する。
事前に大形チャンバー内の濃度を予測することが難しい
場合は,破過確認のため捕集管を二つ連結させる。捕集管の
破過の有無は,式(5)によって判断する。求めた値が95 %以
上の場合は,試験対象化学物質は実質的に前方の捕集管だけ
に吸着されたことになるので,破過していないと判断でき
る。
(%)
≧
+
95
100
2
1
1
×
C
C
C
········································ (5)
VOC用捕集管はJIS A 1962の6.1.1,JIS A 1965の6.1及び
JIS A 1966の6.1を参照するとよい。
捕集方法の詳細は,JIS
A 1901参照として記載
を省略した。
2
A
1
9
1
2
:
2
0
1
5