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A 1510-3 : 2001  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条の規定に基づき,財団法人建材試験センター (JTCCM) /財団法人日

本規格協会 (JSA) から工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調

査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。これによってJIS A 1512 : 1995は廃止

され,JIS A 1510-3に置き換えられる。 

JIS A 1510の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS A 1510-1 第1部:錠 

JIS A 1510-2 第2部:ドア用金物 

JIS A 1510-3 第3部:フロアヒンジ,ドアクローザ及びヒンジクローザ

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格         JIS 

A 1510-3 : 2001 

建築用ドア金物の試験方法− 

第3部:フロアヒンジ,ドアクローザ 

及びヒンジクローザ 

Test method for door fittings of buildings− 

Part3 : Floor concealed door closers, door closers and hinge closers 

1. 適用範囲 この規格は,建築物の開口部の戸に用いる金物のうち,金属ばねと緩衝油との組合せ作用

によって自動的に戸を閉じるフロアヒンジ,ドアクローザ及びヒンジクローザの開閉試験方法について規

定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS A 4702 ドアセット 

JIS K 2269 原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法 

JIS K 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8703 試験場所の標準状態 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

a) ストップ力 一定の開き範囲で戸を一時的に又は長期的に止める機構を備えており,ストップ力とは

その操作に必要な開き力及び閉じ力。 

b) バックチェック性能 戸の開き方向に風の外力が加わっても急激に開かないようブレーキがかかる機

構を備えており,その性能。 

c) ディレードアクション性能 戸の閉じ始め時において,一定範囲以内を通過する時間が長くなるよう

設定される機構を備えており,その性能(遅延閉扉)。 

d) 開閉速度 人又は開閉装置によって戸を開く速さを開き速度,試験体の閉扉機能によって戸が閉じら

れる速さを閉じ速度といい,それらの総称。 

e) プッシュプルゲージ 戸の開き力又は閉じ力を測定するためのダイヤル目盛付の計測器 

4. 試験項目 試験項目は,表1による。 

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A 1510-3 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1 試験項目 

区分 

試験項目 

試験内容 

適用試験箇条 

性能 

開き力 

戸を開くのに要する力(力のモーメン
ト)。 

フロアヒン
ジ及びヒン
ジクローザ
については,
6.3.1 
 
ドアクロー
ザについて
は,6.3.2 

閉じ力 

戸を閉じるのに要する力(力のモーメン
ト)。 

効率 

開き力に対する閉じ力の比率。 

閉じ速度 

戸を閉じるのに要する時間。 

温度依存性 

温度変化に対する閉じ速度の変化量。 

ストップ力(1) 

戸の開放時にストップをかけるのに要す
る力(力のモーメント)。 

戸のストップを外すときの力(力のモー
メント)。 

戸閉鎖位置(2) 

戸の閉鎖位置のずれ。 

バックチェック性能(3) 

バックチェックの作動時間。 

ディレードアクション性能(4) ディレードアクション区間の作動時間 

耐久性 繰返し開閉後の開き力 

繰返し開閉後における開き力の初期値と
の変化量。 

繰返し開閉後の閉じ力 

繰返し開閉後における閉じ力の初期値と
の変化量。 

繰返し開閉後の効率 

繰返し開閉後における効率の初期値との
変化量。 

繰返し開閉後の閉じ速度 

繰返し開閉後における閉じ速度の初期値
との変化量。 

繰返し開閉後の戸閉鎖位置 

繰返し開閉後における戸閉鎖位置のずれ
の初期値との変化量。 

繰返し開閉後のバックチェッ
ク性能(3) 

繰返し開閉後におけるバックチェック性
能の初期値との変化量。 

繰返し開閉後のディレードア
クション性能(4) 

繰返し開閉後におけるディレードアクシ
ョンの初期値との変化量。 

注(1) ストップ力の測定は,戸を開く途中でストップさせる機構をもつ試験体だけに適用する。 

(2) 戸閉鎖位置の測定は,両自由フロアヒンジだけに適用する。 
(3) バックチェック機構をもつ試験体だけに適用する。 
(4) ディレードアクション機構をもつ試験体だけに適用する。 

5. 試験の一般条件 

5.1 

数値の丸め方 数値の丸め方は,JIS Z 8401による。 

5.2 

試験条件 試験の条件は,特に規定のない限りJIS Z 8703に定める常温・常湿とする。 

6. 試験方法 

6.1 

試験の概要 この試験は,試験体を用いて試験戸を試験枠に取り付け,実際の使用時と同じ状態で

表1の性能欄に示す項目を測定した後,戸の繰返し開閉の操作を行い,表1の耐久性の欄に示す項目の測

定を行って,初期値と繰返し開閉操作後の値との変化量によって,試験体の繰返し開閉使用に対する耐久

性を求める。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.2 

試験装置 開閉試験装置は,主として試験戸,試験枠及び閉扉装置から構成し,これに開閉回数を

計る回数計,開き角度を示す測定盤,開閉力を測定するプッシュプルゲージなどを備えるものとする。た

だし,閉扉は,試験体の閉じ力によって行う。試験装置の一例を図1に示す。 

a) 試験戸 試験戸は,試験体を取り付ける戸で,木製又は鋼製とし,表2に示す質量及び寸法のものと

する。また,その開扉のための連動かん(桿)又はロープなどを試験戸の図1に示す位置[作動点(5)]

に取り付けることができるものとする。 

注(5) 戸を開くときに開き力を加える点をいう。戸を建物の開口部に取り付けて使用するときには,

この位置に取っ手を取り付ける。 

表2 試験戸の質量及び寸法 

試験体の番手 質量 kg(6) 回転抵抗N・m(7) 

寸法mm(8)幅×高さ 

25 

1以下 

900×2 000 

40 

60 

2以下 

80 

100 

3以下 

120 

注(6) 所定の質量より軽い戸に,慣性モーメントが同一になるように

適宜に必要な質量を付加したものでもよい。 

(7) ドアの回転抵抗は,ドアクローザに適用する。 
(8) 幅及び高さは,慣性モーメントが変わらない場合は,その寸法

を変えてもよい。 

b) 開扉装置 開扉装置は,試験戸を動力によって開扉する装置をいい,試験戸を,開き角度約70°で繰

返し開扉でき,その開きに要する時間は2〜6秒とする。ただし,閉扉時に試験体の閉じ力に影響を及

ぼさないものとする。 

c) 試験枠 試験枠は,試験戸を支持する部位全体をいい,試験中に装置全体ががたつかないような堅固

な構造とする。 

なお,JIS A 4702に規定するスイングドアセットについては,その枠を使用する。 

d) プッシュプルゲージ プッシュプルゲージは試験戸の開閉力を測定するものをいい,測定時の荷重が

測定容量(最大測定目盛)の15〜85%の範囲内で使用するものとする。 

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A 1510-3 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

備考 この図は,フロアヒンジを取り付けた場合の一例を示す。 

図1 フロアヒンジ,ドアクローザ及びヒンジクローザの開閉試験装置(例) 

A 1510-3 : 2001  

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6.3 

試験 

6.3.1 

フロアヒンジ及びヒンジクローザの開閉試験 フロアヒンジ及びヒンジクローザの開閉試験は,次

の手順による。 

a) 試験体を,通常の取付方法に従って,試験戸及び試験枠に取り付ける(9)。 

注(9) 試験戸の回転軸心線は,同一鉛直線上にくるようにする。 

b) 試験体の開き力,閉じ力,効率,閉じ速度,温度依存性及び戸閉鎖位置の測定を5 000回作動後,ス

トップ力,バックチェック及びディレードアクションにおいては各50回作動後,次の1)〜9)に示す項

目の測定を行い,これを各項目の初期値とする。開き力,閉じ力及びストップ力の測定時では,プッ

シュプルゲージは,いずれも戸の作動点の位置に取付け,力の測定は,戸面に垂直の状態で行う。開

き力,閉じ力及びストップ力の測定結果は,力の測定値 (N) と試験体の軸心から作動点までの距離と

を乗じて,力のモーメント (N・m) で表す。また,各測定は,それぞれ3回ずつ行って,その平均値

をとるものとし,いずれから先に行ってもよい。 

1) 開き力測定 開き力の測定は,試験体の速度調整弁を全開して戸の閉じ速度(10)を“速い”にする。

試験戸を閉扉状態から,プッシュプルゲージの指示値が読み取れる程度の緩やかな速さで,手動に

よって開きながら,開き角度0°〜5°間を通過するときの力の最大値を測定し,力のモーメントを

求める。 

注(10) 閉じ速度は“速い”は,70°から全閉までの時間が約3秒,“遅い”は約20秒,“中間”は5〜8

秒程度をいう。 

2) 閉じ力測定 閉じ力の測定は,試験体の速度調整弁を全開して,戸の閉じ速度(10)を“速い”の状態

にする。試験戸を開き角度約20°の位置から,試験体の閉じ力によって試験戸を閉じながら,開き

角度5°〜0°間を通過するときの力の最大値を測定して力のモーメントを求める。このとき試験戸

は,プッシュプルゲージの指示値が読み取れる程度の緩やかな速さ(11)で閉じる。 

注(11) 試験戸が緩やかに閉じるように,試験戸に取り付けたプッシュプルゲージの取っ手部に,閉じ

力と反対向きの人力を適度に加える。 

3) 効率 効率は,閉じ力を開き力で除し,百分率で求める(小数点以下1けたを有効とする。)。 

4) 閉じ速度測定 閉じ速度の測定は,試験体の速度調整弁を調整して,試験戸の閉じ速度(10)が“速い”,

“遅い”及び“中間”の3段階の各々の状態にする。試験戸が開き角度約70°の位置から試験体の

閉じ力によって全閉するまでの所定時間 (S) を測定する。 

5) 温度依存性 温度依存性は,常温・常湿で閉扉角度70°〜0°の閉じ速度を“中間”に調整する。

−10℃及び35℃で各60分間加温後,直ちに70°〜0°の閉じ速度を測定する。 

6) ストップ力測定 ストップ力の測定は,試験体の速度調整弁を全開して戸の閉じ速度(10)を“速い”

の状態にする。試験戸を閉じた状態から,プッシュプルゲージの指示値が読み取れる程度の緩やか

な速さで開き,ストップするときの力を読み取り,力のモーメントを求める。試験戸を開くときの

ストップ力測定に引き続き,次にストップを外して,ストップした状態から試験戸を緩やかな速さ

(11)で閉じ,ストップを外すときの力を読み取り,力のモーメントを求める。 

7) 戸閉鎖位置測定 戸閉鎖位置の測定は,試験体の速度調整弁を調整して戸の閉じ速度(10)を“中間”

の状態にする。試験戸を内側へ約70°開いてから,試験体の閉じ力によって閉鎖操作を行い,この

ときの試験戸の閉鎖位置と初期値の測定の開始位置とのずれを測定する。測定は,試験戸の戸先部

における閉鎖位置のずれを測り,この測定値を試験体の軸心から1 000mmの位置のずれ (mm) に

換算する。 

A 1510-3 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

なお,閉鎖位置のずれの測定は,2回目以降もすべて初期値の測定の開始位置から行うものとす

る。 

8) バックチェック機能測定 バックチェックの機能測定は,試験戸に60N/m2の荷重をかけたとき,開

扉角度50°からのバックチェック開始角度及びその後20°開く間の経過時間を測定する。 

9) ディレードアクション機能測定 ディレードアクションの機能測定は,試験戸の開き角度90°から

のディレードアクション解除角度及び経過時間を測定する。 

c) 試験体の速度調整弁を調整して,戸の閉じ速度を“中間”(10)の状態にして開扉装置を駆動させ,試験

戸の繰返し開閉操作を開始する。試験戸の1回の開きは,閉扉状態から開き角度約70°まで所要時間

2〜6秒で行い,閉じは試験体の閉じ力によって行う。 

なお,開閉回数は,閉扉状態から“開ける”→“閉じる”をもって1回とする。ただし,両自由フ

ロアヒンジの場合は,閉扉状態から“開ける(内側へ)”→“閉じる”→“開ける(外側へ)”→“閉

じる”をもって2回とする。 

d) 試験戸の開閉回数が所定回数に達したとき,開閉操作を停止して,b)の1)〜9)に従って開き力,閉じ

力,効率,閉じ速度,ストップ力,戸閉鎖位置,バックチェック及びディレードアクションの測定を

行い,この測定値と初期値との変化量を求める。 

e) さらに,開閉操作を繰り返す場合には,d)の測定の後,開閉操作を続行し,開閉回数が所定回数に達

したその都度d)と同じ測定を行う。 

f) 

試験戸の開閉回数は,フロアヒンジでは10万回,ヒンジクローザでは5万回を最小単位とする。 

6.3.2 

ドアクローザの開閉試験 ドアクローザの開閉試験は,次の手順による。 

a) 試験戸を丁番などを用いて試験枠に取り付け,試験体を取り付けない状態で,試験戸単体の回転抵抗

(開き力及び閉じ力)を測定し,その値が表2以下にあることを確認する。測定は,開き・閉じ操作

を手動で行いながら6.3.1 b)の1),2)とほぼ同じ要領で行う。 

なお,丁番は,試験戸の質量に応じたものとし,目的とする開閉回数に十分耐えるものとする。 

b) a)に,試験体を通常の取付方法に従って取り付け,6.3.1 b)の1)〜9)に従って,開き力,閉じ力,効率,

閉じ速度,温度依存性及び戸閉鎖位置の測定を5 000回作動後,ストップ力,バックチェック及びデ

ィレードアクションにおいては各50回作動後,測定を行い初期値(12)を求める。 

注(12) 開き力及び閉じ力の初期値は,試験戸の回転抵抗を増(閉じ力に対して),減(開き力に対して)

したものである。 

c) 6.3.1 c)と同じ要領で試験戸の開閉操作を行う。 

d) 試験戸の開閉回数が所定回数に達したとき,開閉操作を停止して6.3.1 b)の1)〜9)の測定を行い,この

測定値と初期値との変化量を求める。 

なお,開き力及び閉じ力については,試験体を取り外してa)の要領で試験戸単体の回転抵抗を増(閉

じ力に対して),減(開き力に対して)する。 

e) 試験戸の開閉回数は,5万回を最小単位とする。 

7. 報告 報告は,次の事項を記載する。 

a) 試験体の名称(製品名,品番),種類(フロアヒンジ,ドアクローザ,ヒンジクローザ)及び寸法 

b) 試験戸の質量,回転抵抗及び寸法 

c) 試験場所の温度及び湿度 

d) 試験項目及び結果 

A 1510-3 : 2001  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) 試験年月日 

f) 

試験機関及び試験実施者 

g) その他 

1) 使用緩衝油の作動温度範囲(13) 

2) 試験中に生じた特記すべき事項 

注(13) JIS K 2269によって測定した使用緩衝油の流動点を付記する。 

JIS A 1510-3(建築用ドア金物の試験方法−第3部:フロアヒンジ,ドアクローザ及びヒンジクローザ) 

改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

○ 坂 田 種 男 

坂田研究室 

(委員) 

和 泉 洋 人 

建設省住宅局 

阿 部 道 彦 

建設省建築研究所 

本 城   薫 

通商産業省生活産業局 

穐 山 貞 治 

工業技術院標準部 

○ 佐 野 行 雄 

財団法人ベターリビング 

橋 本   進 

財団法人日本規格協会 

岸   賢 蔵 

財団法人建材試験センター 

豊 岡 光 男 

都市基盤整備公団 

青 島 清 一 

全国建具組合連合会 

長 岡 正 昭 

社団法人日本建築士事務所協会連合会 

檜 垣 恭 一 

社団法人建築業協会(戸田建設株式会社) 

井 出 辰一郎 

社団法人日本サッシ協会 

前 川 正 行 

日本建築金物工業組合 

○ 石 川   始 

日本ロック工業会(美和ロック株式会社) 

○ 蓑 毛 勝 也 

ドアクローザ工業会(株式会社ニッカナ) 

○ 江 頭   宏 

合資会社堀商店 

○ 野 崎 定 美 

株式会社ベスト 

(事務局) 

佐 藤 哲 夫 

財団法人建材試験センター 

関 根 茂 夫 

財団法人建材試験センター 

備考 ○印は,小委員会委員も兼ねる。 
 

その他の小委員会委員を次に示す。 

永 田 邦 博 

工業技術院標準部 

鈴 木 敏 夫 

財団法人建材試験センター