A 1441-2:2007
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本音響学会(ASJ)/財団法人日本
規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査
会の審議を経て,国土交通大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 15186-2:2003,Acoustics−
Measurement of sound insulation in buildings and of building elements using sound intensity−Part 2: Field
measurementsを基礎として用いた。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS A 1441-2には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考)調整項KC
附属書B(参考)この規格による測定の精度及び測定値の偏り
附属書C(参考)側路伝搬音の影響及びその測定
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS A 1441の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS A 1441-1 第1部:実験室における測定
JIS A 1441-2 第2部:現場における測定
A 1441-2:2007
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
1.1 一般事項 ······················································································································ 1
1.2 測定精度 ······················································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 2
3. 定義 ······························································································································ 2
4. 測定装置 ························································································································ 7
4.1 一般事項 ······················································································································ 7
4.2 校正 ···························································································································· 7
5. 試験装置 ························································································································ 8
5.1 音源及び受音室の選定 ···································································································· 8
5.2 試料の設置条件 ············································································································· 8
6. 測定の手順 ····················································································································· 8
6.1 一般事項 ······················································································································ 8
6.2 音の発生 ······················································································································ 8
6.3 音源室における室内平均音圧レベルの測定 ·········································································· 8
6.4 受音室の適正に関する初期測定························································································· 8
6.5 受音側における平均ノーマル音響インテンシティレベルの測定 ··············································· 9
6.6 複数の分割面と音源位置との組合せ ·················································································· 12
6.7 暗騒音 ························································································································ 12
6.8 測定周波数範囲 ············································································································ 12
6.9 所要測定量 ·················································································································· 13
7. 測定結果の表示 ·············································································································· 13
8. 試験報告書 ···················································································································· 13
附属書A(参考)調整項KC ··································································································· 14
附属書B(参考)この規格による測定の精度及び測定値の偏り ····················································· 15
附属書C(参考)側路伝搬音の影響及びその測定 ······································································ 18
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ·································································· 21
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日本工業規格 JIS
A 1441-2:2007
音響−音響インテンシティ法による建築物及び
建築部材の空気音遮断性能の測定方法−
第2部:現場における測定
Acoustics−Measurement of sound insulation in buildings and of building
elements using sound intensity−Part 2: Field measurements
序文 この規格は,2003年に第1版として発行されたISO 15186-2,Acoustics−Measurement of sound
insulation in buildings and of building elements using sound intensity−Part 2: Field measurementsを翻訳し,技術
的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧
表をその説明を付けて,附属書1(参考)に示す。
1. 適用範囲
1.1
一般事項 この規格は,音響インテンシティ法によって壁,床,ドア,窓及び小形建築部品の現場
における遮音性能を測定する方法について規定する。この測定方法によれば,JIS A 1417と同等の測定を
行うことができる。この測定方法によれば,側路伝搬の影響が避けられない場合にも遮音測定が可能で,
側路伝搬の寄与を調べるための定量的データ又は側路伝搬を含む遮音性能に関するパラメータが得られる。
側路伝搬がない,又はあってもその影響が少ない実験室における測定方法を規定したJIS A 1441-1の条
件を満足しない実験室においても,この規格を適用することができる。
なお,低周波数帯域の実験室測定を規定した国際規格として,ISO 15186-3がある。
この規格では,遮音測定を規定する方法によって行った場合の側路伝搬透過の影響,及び次に示す目的
に対してインテンシティ測定が適用できるかについても記述している。
− 建築部材の現場で実際に測定された遮音性能と,JIS A 1416に規定するような側路伝搬を低減した実
験室における測定条件との比較
− 建築部材における透過音の部位別寄与の順位付け
− 一つ又は二つ以上の透過経路の個別の側路伝搬透過損失の測定
この測定方法によれば,周波数帯域ごとの空気音遮断性能が得られる。それらの値にJIS A 1419-1の評
価方法を適用することによって,遮音性能を単一数値で評価するための指標を求めることができる。
1.2
測定精度 この規格に規定する方法による場合の測定の再現性は,建築部材又は一個の小形建築部
品を測定した場合,それぞれJIS A 1417,JIS A 1428による場合と同等又はそれ以上である。
備考1. この測定方法による測定値を従来の残響室法によって測定した結果と比較する場合,両測定
方法間の数値的な偏りを考慮するための調整項が必要である。この調整項に関しては,附属
書Aに示す。
2
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2. この規格とJIS A 1416及びJIS A 1417によった場合との音響透過損失の測定結果の一致の程
度に関しては,附属書Bに示す。
3. 側路伝搬については,附属書Cに示す。
4. この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 15186-2:2003,Acoustics−Measurement of sound insulation in buildings and of building
elements using sound intensity−Part 2: Field measurements (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで発効年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成
するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その最
新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 1416 実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法
備考 ISO 140-3,Acoustics−Measurement of sound insulation in buildings and of building elements−Part
3: Laboratory measurements of airborne sound insulation of building elementsからの引用事項は,
この規格の該当事項と同等である。
JIS A 1417 建築物の空気音遮断性能の測定方法
備考 ISO 140-4,Acoustics−Measurement of sound insulation in buildings and of building elements−Part
4: Field measurements of airborne sound insulation between roomsからの引用事項は,この規格の
該当事項と同等である。
JIS A 1419-1 建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法−第1部:空気音遮断性能
備考 ISO 717-1,Acoustics−Rating of sound insulation in buildings and of building elements−Part 1:
Airborne sound insulationからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS A 1428 実験室における小形建築部品の空気音遮断性能の測定方法
備考 ISO 140-10,Acoustics−Measurement of sound insulation in buildings and of building elements−
Part 10: Laboratory measurement of airborne sound insulation of small building elementsからの引
用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS A 1441-1 音響−音響インテンシティ法による建築物及び建築部材の空気音遮断性能の測定方法
−第1部:実験室における測定
JIS C 1507 電気音響−音響インテンシティ測定器−圧力形ペアマイクロホンによる測定
備考 IEC 61043:1993,Electroacoustics−Instruments for the measurement of sound intensity−
Measurements with pairs of pressure sensing microphonesが,この規格と一致している。
JIS C 1515 電気音響−音響校正器
備考 IEC 60942,Electroacoustics−Sound calibratorsが,この規格と一致している。
JIS Z 8736-1:1999 音響−音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法−第1
部:離散点による測定
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
なお,記号に付している添え字の意味は,表1に示す。
3
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備考 この規格において,測定面上における測定値の平均値を表す場合には,測定量の記号の上にバ
ーを付ける。例えば,nIは,測定面上にわたって平均したノーマル音響インテンシティである
のに対し,バーを付していないnIは,測定面上のある点におけるノーマル音響インテンシティ
である。
参考 原国際規格では,ISO 15186-1とISO 15186-2との量記号が異なることを説明している部分があ
るが,両規格のJIS化に当たり量記号を統一したので,この規格では削除した。
3.1
室内平均音圧レベル (average sound pressure level in a source room) Lp1 対象とする室内における空
間的及び時間的な平均2乗音圧を,基準音圧の2乗で除した値の常用対数を10倍した値。空間的な平均は,
音源近傍の直接音領域,壁などの室境界の近傍音場を除いた空間全体について行う。
備考1. この量の単位は,デシベル(dB)。
2. 詳細は,JIS A 1417参照。
3.2
準音響透過損失 (apparent sound reduction index) R′ 測定の対象とする建築部材に入射する音響
パワーに対する直接及びすべての側路伝搬経路を通して透過して受音室に放射される全音響パワーの比の
常用対数の10倍。
備考1. JIS A 1416に規定する側路伝搬を低減するための特別な方法がとられている場合以外には,
測定される音響パワーには側路伝搬成分が含まれている。詳細は,附属書Cに示す。
2. 音響透過損失の英語名として,この規格の対応国際規格では“sound reduction index”が用い
られているが,“sound transmission loss”も広く用いられている。日本語名の音響透過損失は,
後者の訳である。前者に相当する日本語名は,音響減衰指標である。
3. 詳細は,JIS A 1417参照。
3.3
音響インテンシティ (sound intensity) I ある点における粒子速度の方向に垂直な単位面積を通過
する音響エネルギー流の時間平均値で,次の式で与えられるベクトル量。
∫
=
2
1
d
)
(
)
(
1
t
t
t
t
u
t
p
T
I
ρ
ρ
································································· (1)
ここに,
)
(t
p
: ある点における音圧の瞬時値(Pa)
)
(t
uρ
: 同じ点における粒子速度の瞬時値(m/s)
T: 時刻t1に始まりt2に終わる積分平均の時間(s)
備考 この量の単位は, 単位面積当たりのワットである。
3.4
ノーマル音響インテンシティ (normal sound intensity)
nI 単位法線ベクトルnで表される測定面
に対して垂直方向の音響インテンシティ(W/m2)の成分。
n
I
I
ρ
ρ
=
n
················································································· (2)
ここに,
nρ: 測定面から外向きの単位法線ベクトル
3.5
ノーマル音響インテンシティレベル (normal sound intensity level)
nI
L 音響インテンシティの基
準値0Iに対するノーマル音響インテンシティの絶対値の比の常用対数を10倍した値で,次の式で与えら
れる。
0
n
10
log
10
n
I
I
LI=
····································································· (3)
ここに,
0I: 音響インテンシティの基準値(
2
12W/m
10−
=
)
3.6
符号付き音圧−インテンシティ指標 (surface pressure-intensity indicator)
n
pI
F
測定面における音
圧レベルの平均値
p
Lとノーマル音響インテンシティレベルの平均値
nI
Lとの差で,次の式で与えられる。
4
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n
n
I
p
pI
L
L
F
−
=
······································································· (4)
ここに,
p
L: 式(5)で与えられる音圧レベルの平均値 (dB)
nI
L: 式(6)で与えられるノーマル音響インテンシティレベルの
平均値 (dB)
=
∑
=
N
i
i
p
L
i
S
S
Lp
1
1.0
10
1
log
10
M
M
10
············································· (5)
∑
=
=
N
i
i
i
I
I
I
S
S
L
1
n
n
0
M
M
101
log
10
···················································· (6)
ここに,
pi
L: i番目の部分測定面において測定される時間及び空間平均
音圧レベル (dB)
i
In: 全部でN個の部分測定面(総面積M
S)のi番目の部分測
定面において測定される時間及び空間平均符号付きノーマ
ルインテンシティ
∑
=
=
N
i
i
S
S
1
M
M
··········································································· (7)
備考 すべての部分測定面の面積が等しい場合に限り,この指標は,JIS Z 8736-1で規定されている
符号付き音圧−インテンシティ指標3
F及びJIS Z 8736-3で規定する符号付き音圧−インテン
シティ指標
n
pI
F
に対応する。
3.7
音圧−残留インテンシティ指数 (pressure-residual intensity index)
0
pI
δ
音場内でプローブを,音響
インテンシティが0となるような向きに設置したときに測定される音圧レベル
p
Lと音響インテンシティ
レベル
ILとの差で,次の式で与えられる。
δ
δ
I
p
pI
L
L−
=
0
········································································· (8)
ここに,
δ
I
L: 式(9)で与えられる残留音響インテンシティレベルの表示
値 (dB)
0
10
log
10
I
I
LI
δ
δ=
······································································· (9)
備考 これは,JIS Z 8736規格群で与えられる定義と一致している。
0
pI
δ
の詳細な定義は,JIS C 1507
参照。
3.8
インテンシティ準音響透過損失 (apparent intensity sound reduction index)
I
R′ 一つの音源室及び
一つの受音室(屋外であってもよい)で測定した一つの建築部材について,ノーマル音響インテンシティ
レベルから計算される準音響透過損失で,次の式で与えられる。
+
−
+
−
=
′
0
M
10
0
10
1
log
10
log
10
6
n
S
S
L
S
S
L
R
I
p
I
······················· (10)
ここに,右辺の第一項は音源室における試料に対する入射パワー,第二項は受音室側で試料から放射さ
れる音響パワーに関係した項である。その他の記号の意味は,次による。
1
p
L: 音源室における室内平均音圧レベル (dB)
S: 測定対象の建築部材の面積で,平面的又は断面的に二室が
5
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互い違いの配置となっている場合には,両室に共通の壁又
は床の面積 (m2)
nI
L: 受音室内に設定した測定面上のノーマル音響インテンシテ
ィレベルの平均値 (dB)
M
S: 測定面の総面積 (m2)
0S: 基準の面積 (= 1 m2)
備考1. すべての部材から受音室に放射される音響パワーによって準音響透過損失を評価する場合,
附属書Cに示すように,この指数I
R′は,各々の側路伝搬要素のインテンシティ音響透過損
失
j
I
RF(3.9参照)を合成したものになる。
2. 重み付きインテンシティ準音響透過損失
w
,I
R′
は,JIS A 1419-1に従ってR'を
I
R'に置き換え
て評価する。
3. JIS A 1417に規定する方法では,受音室側に伝搬するすべての音響パワーを測定することに
よって準音響透過損失R′を求めるが,この方法で得られるI
R′は,それとは基本的に異なる。
インテンシティ準音響透過損失の測定では,インテンシティプローブの指向性を利用するこ
とによって,個々の受音室側の表面から放射される音響パワーを選択的に測定することが可
能である。したがって,これらの受音室におけるすべての面からの音響パワーを合成するこ
とによって,R′の推定が原理的に可能となる。より詳細な記述は,附属書Cによる。
3.9
側路伝搬要素jのインテンシティ音響透過損失 (intensity sound reduction index for flanking element
j)
j
I
RF ある建築部材が受音室と音源室との間に取り付けられている場合,受音室内のj番目の側路伝搬
面に対するノーマル音響インテンシティレベルから計算される音響透過損失で,次の式で与えられる。
+
−
+
−
=
0
M
10
0
10
1
F
log
10
log
10
6
n
S
S
L
S
S
L
R
j
j
I
p
j
I
····················(11)
ここに,右辺の第一項は音源室における試料に対する入射パワー,第二項は受音室内のj番目の側路伝
搬面から放射される音響パワーに関係した項である。その他の記号の意味は,次による。
1
p
L: 音源室における室内平均音圧レベル (dB)
S: 測定対象の建築部材の面積で,平面的又は断面的に二室が
互い違いの配置となっている場合には,両室に共通の壁又
は床の面積 (m2)
j
I
Ln: 受音室内のj番目の側路伝搬要素に対する測定面上のノー
マル音響インテンシティレベルの平均値 (dB)
j
SM: 受音室におけるj番目の側路伝搬要素に対する測定面の総
面積 (m2)
0
S: 基準の面積 (= 1 m2)
備考 受音室内に多数の要素から音が放射されている状況でそれらの効果を合成する場合,附属書C
に示すように,上記の指標で表される寄与を測定対象部材のインテンシティ準音響透過損失I
R′
(3.8参照)と合算することができる。
3.10 インテンシティ部材規準化音圧レベル差 (intensity element normalized level difference)
e
n,
,I
D
次の
式で与えられるレベル差。
[
]
+
−
−
=
0
M
10
1
e
n,
,
log
10
6
n
A
S
L
L
D
I
p
I
······································· (12)
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ここに,
1
p
L
: 音源室における室内平均音圧レベル (dB)
nI
L: 受音室内に設定した測定面上のノーマル音響インテンシテ
ィレベルの平均値 (dB)
M
S: 測定面の総面積 (m2)
0
A: 基準の面積 (= 10 m2)
備考1. インテンシティ部材規準化音圧レベル差は,小形建築部品についてだけ用いられる。
2. 重み付きインテンシティ部材規準化音圧レベル差
w
e,,n,I
D
は,JIS A 1419-1に従って
e
n,
D
を
e,n,I
D
に置き換えて評価する。
3.11 インテンシティ規準化音圧レベル差 (intensity normalized level difference)
n,I
D 次の式で与えられ
るレベル差。
[
]
+
−
−
=
0
M
10
1
n,
log
10
6
n
A
S
L
L
D
I
p
I
········································· (13)
ここに,
1
p
L: 音源室における室内平均音圧レベル (dB)
nI
L: 受音室内に設定した測定面上の音響インテンシティレベル
の平均値 (dB)
M
S: 測定面の総面積 (m2)
0
A: 基準の面積(= 10 m2)
備考1. この指標は,音源室と受音室とが斜めに配置されていて,両者の間に共通の建築部材が存在
しない場合に用いる。
2. 重み付きインテンシティ部材規準化音圧レベル差
w
n,,I
D
は,JIS A 1419-1に従って
n
Dを
n,I
D
に置き換えて評価する。
3.12 調整インテンシティ準音響透過損失 (modified apparent intensity sound reduction index)
m
,I
R′
次
の式で与えられる音響透過損失。
C
m
,
K
R
R'
I
I
+
′
=
···························································································(14)
ここに,KCの値は,附属書Aによる。
備考1. JIS A 1441-1及びこの規格によって測定する低い周波数帯域における音響透過損失と従来法
(JIS A 1416,JIS A 1417及びJIS A 1428に規定)による測定結果との間に差異が生じること
が分かっている。この差を調整するために,音響インテンシティ法による測定結果に調整項
KCを加えて,調整インテンシティ準音響透過損失を求める。
2. 現場における測定値に適用する値KCは,実験室における測定(JIS A 1441-1による)に対す
るKCと同じとしてよい。ただし,受音室の状況によっては,更に大きな差が生じることも
ある(附属書B参照)。
3. 重み付き調整インテンシティ準音響透過損失
w
m,
,I
R
は,JIS A 1419-1に従ってR′を
m
,I
R′
に置
き換えることによって評価する。
w
m,
e,
n,
,I
D
の表記も同様に与えられる。
3.13 測定面 (measurement surface) 受音側に設定する試料を完全に囲み込む面で,その面上でスキャニ
ング又は離散点による方法で音響インテンシティの測定を行う。
3.14 測定距離 (measurement distance)
M
d 試料に対して垂直な方向における測定面と試料との間の距離。
3.15 部分測定面 (measurement sub-area) 測定面を分割した面で,その上でインテンシティプローブに
よる一回の連続的なスキャニングを行う。離散点法による場合には,その上に離散測定点を設定する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.16 測定領域 (measurement volume) 測定面,測定対象試料及び試料に比べて特に放射音が顕著でない
任意の隣接する面などによって囲まれる空間。
備考 6.4.2参照。
表 1 添え字の意味
下付き文字
意味
e
部材
F
側路伝搬
I
インテンシティ
i
小領域
j
スピーカ設置位置
m
調整
M
測定
p
音圧
w
重み付き
4. 測定装置
4.1
一般事項 音響インテンシティの測定器は,
12
10−W/m2を基準値として1/3オクターブバンドでイン
テンシティレベルを測定できるものを用いる。スキャニング法による場合には,実時間で音響インテンシ
ティが測定できなければならない。プローブを含む測定器は,JIS C 1507のクラス1に適合していなけれ
ばならない。
インテンシティプローブと分析器とからなる測定システムの音圧−残留インテンシティ指数
0
pI
δ
は,そ
れぞれの部分測定面及び測定面全体についての測定面上音圧−インテンシティ指標
n
pI
F
(6.5.4参照)に
関する条件を満足しなければならない。
備考 測定周波数帯域全体にわたって測定を行うためには,2マイクロホン方式のインテンシティプ
ローブでは,長さの異なるスペーサを用いてマイクロホン間隔を(段階的に)変化させる必要
がある。測定周波数範囲とスペーサの長さとの関係は,
0
pI
δ
とpI
Fとに依存する。
− 50 Hzから500 Hzまでは,長さ50 mmのスペーサを用いる。
− 500 Hzを超える場合は,12 mmのスペーサを使う。ただし,通常は,2 000 Hz以上の周波
数帯域についてプローブの感度を補正する必要がある。
100〜5 000 Hzの周波数範囲を測定対象とする場合は,口径1/2インチの音圧マイクロホン二
つと長さ12 mmのスペーサを用いればよい。
音圧レベル測定用の測定器は,JIS A 1417の規定による。音源室で用いるマイクロホンは,拡散音場に
おいて平たんな周波数感度を示すものを用いる。
4.2
校正 適切な規格に従って校正を実施している実験室では少なくとも1年に一度,測定のたびに事
前にインテンシティ校正器を用いて校正を行っている場合には少なくとも2年に一度,JIS C 1507への適
合性を確認する必要がある。
型式試験及び検定を受けている音響インテンシティ測定器を使用する場合にも,測定に先立って次の手
順で動作を確認する必要がある。
a) 取扱説明書の指示に従って測定器を暖機する。
b) JIS C 1515に規定するクラス1又はそれ以上の音圧校正器を用いて,2本のマイクロホンの出力を校
8
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正する。
c) 残留インテンシティ試験装置を用いて,インテンシティプローブの音圧−残留インテンシティ指数
0
pI
δ
を測定し,残留インテンシティ試験装置の作動範囲で測定器がそのクラスの条件を満たしている
かどうか確かめる。位相補償などの製造業者が推奨する性能向上のための方法をとってもよい。位相
補償及び残留インテンシティ試験は,実際に測定するレベルに近いレベルで行うことが望ましい。
d) 音響インテンシティ校正器が利用できる場合は,これを用いて音響インテンシティの指示値を確認す
る。
5. 試験装置
5.1
音源及び受音室の選定 一般に測定対象の建築部材は,二室を隔てる建築部位の一部となっている。
どちらを音源室に,またどちらを受音室にするかを決める場合には,測定精度に影響を与える次の事項を
考慮する。
a) 室内の吸音性 残響時間が短く,吸音性が高い部屋を,受音室とする。
b) 室容積 受音室の容積はさほど重要ではないが,音源室の容積が大きいことによって,低い周波数帯
域のインテンシティ音響透過損失の測定精度が高くなる。
c) 室内の拡散性 室形状が不整形で,反射性の物がランダムに配置されていることによって,音源室内
の音場の一様性が高まる。しかし,受音室では,そのような条件は必要としない。
5.2
試料の設置条件 ほかの測定方法の規格(ドア,壁及び床についてはJIS A 1416,小形建築部品は
JIS A 1428)による結果との比較を目的とする場合には,測定対象の建築部材の取付け方法及び周辺部の
固定条件は,それらの規格の規定に従う。
測定対象部材の実際に設置された状態における性能を調べることが目的である場合には,試験報告書に
明記しない限り,測定対象部材に一切変更を加えてはならない。
6. 測定の手順
6.1
一般事項 個々の音源設置位置ごとに,音源室内の室内平均音圧レベル
1
p
L及び受音室の測定面にお
ける平均ノーマル音響インテンシティレベル
n
I
Lを測定する。十分な測定条件[式(15)の基準を満足する]
となっていることを確かめた上で,インテンシティ準音響透過損失I
R′及び/又は側路伝搬要素jのインテ
ンシティ音響透過損失
j
I
RF,また,3.11の備考1. に記述したように,音源室と受音室との間に共通の建
築部材が存在しない場合には,インテンシティ規準化音圧レベル差
n
I
Dを計算する。
6.2
音の発生 音源スピーカの設置位置は,JIS A 1417の規定による。
6.3
音源室における室内平均音圧レベルの測定 JIS A 1417に規定する手順に従って,音源室内の平均音
圧レベルを測定する。
6.4
受音室の適正に関する初期測定
6.4.1
測定音場の確認 インテンシティ測定に対する受音室の条件を調べるために,音源室内において音
源を作動し,測定対象の建築部材から0.1〜0.3 m離れた対角線上をインテンシティプローブでスキャンす
る。これによって,測定面上のすべての領域で音場指標
n
pI
F
(4.1及び6.5.4参照)及び暗騒音の条件が満
たされていることを確認する。
6.4.2
側路伝搬音の確認 測定面に隣接する部位からの音響放射によって,測定精度が低下する可能性が
あるので,このような部位から顕著な音響パワーの放射がないようにする。この影響を調べるための方法
を,附属書Cに示す。
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6.5
受音側における平均ノーマル音響インテンシティレベルの測定
6.5.1
一般事項 音源の設置位置ごとに,建築部材から放射される平均音響インテンシティをスキャニン
グ法又は離散点法を用いて測定する。
6.5.2
測定面 受音側に測定対象試料を完全に取り囲む測定面を設定する。実際の測定のために,その面
は,更に小面積の部分測定面に分割する。
試料がニッシェ内に取り付けられている場合には,ニッシェ開口部の平面を測定面とする。この面では,
ニッシェの内側に比べて音場の一様性が高い。試料がニッシェ内に取り付けられていない場合又はニッシ
ェの深さが0.1 m以下の場合には,図1に示す箱状の測定面を設定する。小形建築部品を対象とする場合
には,この条件となるのが一般的である。隔壁のように,測定対象建築部材が完全にその受音室のある一
面となっている場合には,図2に示す測定面は,平面的に壁に平行にとる。
図 1 測定対象建築部材を取り囲む箱状の測定面(陰の部分)
1: 受音室
2: 8個の部分測定面に分割された測定面
3: 測定対象の建築部材(濃い陰の部分)
備考 この例では,8個の部分測定面は同一である。部分測定面の
分割の方法は,測定者が決定する。
図 2 測定対象建築部材に平行な測定面及びその分割
小形建築部品の場合には,半球状,円筒状又は部分的に箱状の測定面を用いてもよい。
音響インテンシティの測定距離は,0.1〜0.3 mとする。0.1 m未満の距離は,振動する部位の近接音場と
なっているので避ける。このような近接音場では,インテンシティの向きが頻繁に正負に変化しやすい。
箱状の測定面を用いる場合,0.3 mより長い測定距離は避ける。
図1に示すように,箱状の測定面の5面のうちの四つの側面は,測定対象部材の周囲と交差し,それら
10
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の幅は,測定面の前面と試料面との間の距離0.1〜0.3 mとなる。これらの側面を完全にサンプリングした
場合,近接音場における放射の影響を含むことになる。これを避けるために,測定対象部材から放射され
る音響パワーが,測定空間に含まれる試料以外の面から放射される音響パワーに比べて十分に大きい場合
には,箱状の測定面の四つの側面の幅0.1 mの底部では,音響インテンシティのサンプリングを行わない。
試料以外の面からの放射は,不要な側路伝搬成分となり得る。その影響が大きい場合には,測定面代わり
に適用される測定面の輪郭面の適正は,附属書CのC.2によって決定してもよい。
測定面は,測定領域内に測定対象試料以外の吸音面(例えば,厚いパイルカーペット)が含まれないよ
うに設定する。これが不可能な場合には,測定対象試料以外の吸音面は,測定を行う各1/3オクターブバ
ンド周波数における吸音率が0.1未満の材料で覆う。このような処置をしないと,放射インテンシティの
過小評価及び音響インテンシティ準音響透過損失の過大評価となるおそれがある。
6.5.3
プローブの向き プローブは,常に測定面に対して垂直に保ち,測定対象建築部材から外向きに放
射されるノーマル音響インテンシティnIが,正の値として測定される方向に向ける。
6.5.4
測定面の適正 スキャニング法又は離散点法のいずれかの方法によって,全測定面上で時間的及び
空間的に平均したノーマル音響インテンシティレベル
nI
L並びに音圧レベル
p
Lを測定する。その結果から,
符号付き音圧−インテンシティ指標
n
pI
F
を,1/3オクターブバンドの測定周波数帯域ごとに計算する。そ
の結果が次の条件を満たせば,測定音場の条件は十分と判断できる。
反射性試料の場合:
n
pI
F
<
0
pI
δ
−7 又は吸音性試料の場合:
n
pI
F
< 6 · (15)
ただし,試料の吸音率が0.5を上回る周波数帯域については,吸音性とみなす。
備考 吸音性試料の代表例としては,表面があなあき板で吸音処理されたものが挙げられる。その他
のほとんどの試料は,反射性とみなしてよい。
ノーマル音響インテンシティの測定値が負となる場合,又は符号付き音圧−インテンシティ指標
n
pI
F
が
式(15)を満足しない場合には,測定環境を改善する必要がある。その場合,まず測定距離を5〜10 cm程度
大きくする。それでも上記の条件を満たさない場合には,受音室内に吸音材を追加する。
現場測定では,外来騒音源によって測定環境の許容条件が満たされなくなることがある。受音室内で側
路伝搬音を放射する面もその一つである。これについては,附属書Cに示す方法によって,適正な測定環
境となっているか否かを調べ,その影響が無視できない場合には,取り除くか又は覆わなければならない。
6.5.5
スキャニングによる場合の手順
6.5.5.1
一般事項 測定面は,一つ又は幾つかの部分測定面に分割する。それぞれの部分測定面における
スキャニングの時間は,その面の大きさに比例させる。スキャン速度は,一定に保つ。その速度は0.1〜0.3
m/sとする。一つの部分測定面から他の部分測定面へ移るときには,測定をいったん中断する。それ以外
の場合には,測定は連続的に行う。
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備考 測定されたインテンシティはそれぞれ
1
nI
L
及び
2
nI
L
とする。
図 3 方向が互いに90°異なる第一及び第二スキャニングのスキャニングパターン
測定面又は部分測定面におけるスキャニングは,図3に示すように,互いに平行で端部で折り返す経路
上で行う。スキャニング線の密度は,音の放射の均一性を考慮して決める。部分的な音漏れがあるような
場合には,一般に音場の不均一性が高いので,スキャン経路の間隔を密にする必要がある。通常,スキャ
ン線の間隔は,測定距離M
dと同じ程度とする。
測定面が図1のような箱状の場合,又は室の縁辺部若しくは入り隅に設置された小形建築部品の測定の
場合などのように部分的に箱状となる場合には,試料が取り付けられている隔壁と箱状の測定面との交差
部に近い領域に,特に注意する必要がある。各々の箱状の測定面の側面は,計算手順において,一つの部
分測定面になると考えられる。
6.5.5.2
スキャニングの繰返し精度の確認 測定面全体にわたる平均インテンシティを計算する前に,そ
れぞれの部分測定面におけるスキャニングによるインテンシティ測定の繰返し精度を確認する必要がある。
6.4によって受音室の条件を確認した後,図3に示すような二通りのスキャニングを行う。その結果とし
て
1
nI
L
及び
2
nI
L
の測定値を記録する。測定したすべての1/3オクターブバンドについて,式(16)の条件が
満たされている場合,式(17)によって2回のスキャニングの結果の算術平均値を求める。
0.1
2
1
n
n
≤
−
I
I
L
L
···································································· (16)
(
)
2
1
n
n
n
2
1
I
I
ij
I
L
L
L
+
=
······························································· (17)
ここに,添え字iは部分測定面の番号,jは音源の設置位置の番号を示す。
式(16)の条件を満足しなかった場合,再度2回のスキャニングを繰り返し,その結果について式(16)の条
件を調べる。この条件が満たされない場合には,スキャン線の密度,測定面又は測定環境を変え,条件が
満たされるまでその手順を繰り返す。それでも条件が満たされない場合には,この方法による場合に必要
な条件からの偏差を明記した上で,測定結果を試験報告書に記載する。
参考 原国際規格では,式(15)を基準としているが,式(16)を基準とするのが正しいので改めた。
6.5.6
離散点による場合の手順 スキャニングによる方法の代わりに,6.5.2に規定した測定面上に設定
した固定点で測定する方法をとってもよい。その場合,固定測定点の間隔は,測定面と試料との間隔
M
dと
同程度とする。試料に大きな音漏れの箇所がある場合又は音響パワー流が不均一になっている場合には,
測定距離は一定に保ったままで測定グリッドをより密にする。その測定は,JIS Z 8736-1に規定されてい
る実用級(グレード2)の手順に従う。また,JIS Z 8736-1の附属書Bによって,測定点の配置の適正さ
を確認する。それぞれの測定点において,最低10秒間の測定を行う。
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6.6
複数の分割面と音源位置との組合せ それぞれの部分測定面に対して,6.5.5又は6.5.6に規定した手
順によって測定を行う。
測定面をM個の部分測定面(それぞれの面積は
i
SM)に分割し,かつ,音源設置位置の数がNである場
合,次の式によって,その測定面の平均音響インテンシティnIを計算する。
()
∑
∑
=
=
=
M
i
L
i
N
j
ij
ij
I
S
S
N
I
I
1
n
1.0
M
1
M
n
sgn
10
1
n
0
······························ (18)
ここに,
j: 音源設置位置を表す指標
i: 部分測定面を表す指標
sgn: ある部分測定面の音響インテンシティが測定領域の方に向
く場合,(
ij
In)は−1,逆の場合は1をとる
SM: 次の式で与えられる測定面全体の面積 (m2)
∑
=
M
i
i
S
S
M
M
··········································································· (19)
式(18)によって計算されるnIが負となる場合,測定面を通る平均インテンシティ流が測定対象試料の方
向へ向いていることになる。このような場合には,音響透過損失は定義できず,この方法による測定は不
可能である。
備考 受音室が残響過多である場合,又は測定領域の外部に側路伝搬面音を放射する面などの外来騒
音源がある場合に,負のインテンシティが生じる可能性がある。これを補正するための手続き
は,6.5.4及び附属書Cによる。
測定面上の平均値を表すノーマル音響インテンシティレベル
nI
Lは,次の式によって計算する。
0
10
log
10
n
I
I
L
n
I=
···································································· (20)
ここに,ノーマル音響インテンシティn
Iは,式(18)によって計算される測定面上の平均値である。
同様に,次の式によって測定面上の符号付き音圧−インテンシティ指標を計算する。
n
n
1
1
1.0
M
M
10
10
1
1
log
10
I
pij
i
pI
L
S
S
N
F
N
j
M
i
L
−
×
=
∑∑
=
=
·························· (21)
ここに,
ij
p
L: j番目の音源設置位置に対するi番目の部分測定面上の平均
音圧レベル (dB)
音源室及び受音室を隔てる建築部材については,式(18)によって計算された測定面上のインテンシティ
の符号が正で,かつ,6.5.4の規定が満足されれば,インテンシティ準音響透過損失が式(10)によって与え
られる。
6.7
暗騒音 測定面上の音圧レベル,音響インテンシティレベルともに,暗騒音によるレベルに比べて
少なくとも10 dB大きくなければならない。これらの条件は,次の手順によって調べる。音場指標
n
pI
F
に
関する条件が満たされている場合(6.5.4参照),音源のレベルを10 dB下げてみて,
n
pI
F
の変化が1 dBよ
り小さければ,条件は満たされている。
備考 インテンシティの測定では,暗騒音の影響をその音圧レベルによって補正することができない
ため,暗騒音のレベルに関する条件は,JIS A 1417に規定する条件より厳しい。
6.8
測定周波数範囲 音圧レベル及び音響インテンシティレベルの測定は,次の中心周波数の1/3オクタ
ーブ周波数帯域について行う。
13
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100 Hz,125 Hz,160 Hz,200 Hz,250 Hz,315 Hz,400 Hz,500 Hz,630 Hz,800 Hz,1 000 Hz,1 250 Hz,
1 600 Hz,2 000 Hz,2 500 Hz及び3 150 Hz
低周波数帯域の測定が必要な場合には,次の中心周波数の1/3オクターブ周波数帯域について測定を追
加する。
50 Hz,63 Hz及び80 Hz
高周波数帯域の測定が必要な場合には,次の中心周波数の1/3オクターブ周波数帯域について測定を追
加する。
4 000 Hz及び5 000 Hz
オクターブ帯域の値が必要な場合は,JIS A 1417に規定する手順に従って,1/3オクターブ帯域の値から
計算する。
6.9
所要測定量
I
R′,
M
I
R′
,
j
I
RF,
n
I
D,
ne
I
D
及び
n
pI
F
から,それぞれに関連する量を計算する。
音源室と受音室との間に共通する面がない特別な場合には,I
R′及び
j
I
RFは定義できないので,それぞれ
ne
I
D
及び
n
I
Dに置きかえる。
7. 測定結果の表示 遮音性能(例えば,I
R′,
j
I
RF,
n
I
D,
ne
I
D
など)及びそのデータを査定する音場
指標(符号付き音圧−インテンシティ指標)
n
pI
F
は,すべての周波数帯域にわたって小数点第一位までの
数値及び図で表す。図示する場合,横軸はオクターブの幅が15 mm(1/3オクターブの幅が5 mm),また,
縦軸は10 dBが20 mmとなるようにとる。
8. 試験報告書 試験報告書には,次の事項を記載する。
a) 測定機関の名称
b) 測定機関の所在地
c) 依頼者の名称
d) 測定実施年月日
e) この規格によったこと及び満足できなかった条件
f)
測定試料の設置状況,すき間処理,面密度など
g) 測定に用いた試験室の容積及び諸元
h) 測定対象部材の音源室及び受音室に共通する面積が10 m2以下の場合は,その旨を表すための記号(<10
m2)を付した試料の面積S及び測定面の面積
M
S。
i)
測定面上平均ノーマル音響インテンシティ[式(18)で定義している]の符号が正となっているすべて
の1/3オクターブバンドについて,遮音性能を表す値(I
R′,
j
I
RF′ ,
ne
I
D
など)を示す。調整した値
も報告する場合は,KCの値も示す。
j)
すべての1/3オクターブバンドにわたって測定面上の平均ノーマル音響インテンシティ[式(18)で定義
している]の符号が正の場合にだけ,重み付きインテンシティ音響透過損失を示す。
k) 符号付き音圧−インテンシティ指標
n
pI
F
及び音圧−残留インテンシティ指数
0
pI
δ
の周波数特性。
l)
試料表面から測定面までの距離,測定面の形及び面積,部分測定面の詳細,また,スキャニング法に
よる場合にはスキャン線の密度,離散点法による場合には離散測定点の測定グリッド。
m) プローブ(マイクロホンの口径,マイクロホン間隔)を含む測定装置に関する説明
備考 重み付きインテンシティ音響透過損失の評価方法は,JIS A 1419-1を参照。
14
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附属書A(参考)調整項KC
この規格に従って測定した結果とJIS A 1417及びJIS A 1428に規定する通常の測定法による結果とを比
較する場合,測定法の違いに起因する測定値の系統的な差を調整するための調整項が必要となる。
この規格では,調整項KCの値を,次の方法によって求める。
JIS A 1417及びJIS A 1428による従来法の測定値で,受音室の諸元が明らかな場合には,次の式で計算
される値とする。
+
=
2
2
b
10
C
8
1
log
10
V
S
K
λ ··························································· (A.1)
ここに,
2
b
S
: 受音室内の全表面積 (m2)
2
V: 受音室の容積 (m3)
λ: 周波数帯域の中心周波数の音の波長 (m)
参考 原国際規格には受音室の諸元が不明の場合の計算方法も記載しているが,極めて特殊な条件から
求められた方法であり,この規格に記載することは適切でないので削除した。
15
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附属書B(参考)この規格による測定の精度及び測定値の偏り
B.1
一般事項 この附属書は,同一の設置条件及び取付け条件で,同じ建築部材をこの規格によって測
定した場合に,JIS A 1417及びJIS A 1428によって規定する準音響透過損失を再現する精度を推定する方
法について述べる。
すべての側路伝搬による放射面が遮へい(蔽)されていない場合には,JIS A 1417に規定する通常の方
法によって測定される準音響透過損失には,受音室に至るすべての側路伝搬の寄与が含まれ,インテンシ
ティ法による方法によってそれに対応する測定値を得るには,受音室のすべての面から放射されるインテ
ンシティを総計する必要がある。インテンシティ法による場合,すべての主要な放射面から放射される音
響パワーの測定に不備があると,次に記述するバイアス項K2の値は,負で大きな値となる。したがって,
このバイアス項K2の値によって,すべての主要放射面からの放射音響パワーが,的確に測定されいるかど
うかを確かめることができる。
B.2
バイアス項K2の推定 この規格の方法による遮音性能の測定結果(
m
I
R′)をJIS A 1417に規定される
従来法による測定結果(140
R′
)と比較する場合,測定法の違いに起因する測定値の系統的な差(偏り)を調
整するための項K2が必要となる。
m
140
2
I
R
R
K
′
−
′
=
······································································ (B.1)
偏りが生じる原因は,すべての場合について明らかになっているわけではない。
この規格で規定する測定方法において生じる偏り及び測定精度は,測定対象試料及び受音室の測定環境
の双方に関係すると推定される。この理由によって,この規格の測定方法を適用したすべての測定に適用
できる,単一の偏り推定量を設定することは不可能である。しかし,その値の範囲を示すことは可能であ
る。
JIS A 1441-1に規定する方法によって,ドア,窓及び壁の遮音性能を測定した場合の測定精度及び偏り
を図B.1に示す。これは,この規格の方法による測定では精度が最も高い場合に相当し,受音室が大きく,
その諸元が明確で,側路伝搬による音の放射が十分に抑えられている場合に適用できる。
16
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備考1. データ(参考文献6から引用)は,ドア,窓及び壁について,
3か所の試験機関において測定した結果の平均値である。
2. 測定精度は,サンプルのバイアス項K2の平均 (太線)及び
標準偏差(上下の線)で表す。
図B.1 JIS A 1416による測定結果がJIS A 1441-1の方法によって再現される精度の推定
強い側路伝搬があり,かつ,受音室が小さい現場における測定は,測定精度の上で最悪の条件である。
側路伝搬の影響を調べるために作られた実験施設2か所で測定された結果を,図B.2及び図B.3に示す。
備考 このデータは,同一試験機関において測定された14条件に
ついての結果である。測定精度は,サンプルのバイアス項
K2の平均(太線)及び標準偏差(上下の線)で表す。
図B.2 重量均質構造壁を対象として,JIS A 1417による測定結果が
この規格の方法によって再現される精度の推定
図B.2に示すデータは,同一の試験機関で実施された重量均質構造の14の測定結果である。これらのデ
ータで,バイアス項K2は,図B.1に示すJIS A 1441-1によって測定された結果と似ているが,値は大きく
なっている。図B.1及び図B.2における標準偏差を比較すると,一つの試験機関における一連の測定値(図
B.2)の方が小さい値となっている。これは,異なる測定機関の間でK2に差が生じる可能性があることを
示しており,受音室の条件及び測定対象試料が異なることが原因であると考えられる。
推
定
さ
れ
る
バ
イ
ア
ス
項
K
2
,
(d
B
)
推
定
さ
れ
る
バ
イ
ア
ス
項
K
2
, (
d
B
)
周波数 (Hz)
周波数 (Hz)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考1. 同一試験機関において測定された軽量二重壁の34の測定値か
ら求めたデータである。
測定精度は,サンプルのバイアス項K2の平均(太線)及び
標準偏差(上下の線)で表す。
2. この場合には,バイアス項K2は,図B.1及び図B.2に示され
る値より大きい。
図B.3 軽量二重壁構造を対象として,JIS A 1417による測定結果が
この規格の方法によって再現される精度の推定
図B.3に含まれているデータから,バイアス項が測定を行った面によるかどうかを調べた。その結果,
バイアス項は,ほぼ同程度となっていることが分かった。しかし,側路伝搬面の評価における不確かさは
大きくなっており,それは250 Hz以下の周波数で著しい。これは,次に示す項目を含めて幾つかの要因が
組み合わさったことによるものと考えられる。
− コインシデンス限界周波数(図B.3に示すデータではおおむね2 500 Hz)より十分に低い周波数では,
側路伝搬面からの放射パワーは極めて小さいので,効果の大きい遮へい(蔽)シールが必要である。
− 低い周波数で音圧−残留インテンシティ指数が小さい場合には,インテンシティの測定精度が低下す
る。
− 受音室において生じる低次モードによって,低い周波数で従来法である音圧法の精度が低下する。
− 測定点が振動励起接合部から遠ざかるに従って,側路伝搬面から放射されるインテンシティの傾きが
大きくなり,これによってサンプリング誤差が生じる。
図B.1〜図B.3を比較すると,予想される偏差が測定条件(特に側路伝搬音の程度及び室容積による)
によって決まるので,単一の偏りの値及び精度を規定することはできないことが分かる。しかし,測定値
は,一般的に図B.1,図B.2及び図B.3に示される範囲内に入ると考えられる。
B.3
測定精度 小形建築部品を含む建築部材に対する音圧法による測定結果を,調整インテンシティ音
響透過損失によって推定する場合の標準偏差は,図B.1,図B.2及び図B.3で示される範囲内に入ると考
えられる。
周波数 (Hz)
推
定
さ
れ
る
バ
イ
ア
ス
項
K
2
,
(d
B
)
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附属書C(参考)側路伝搬音の影響及びその測定
C.1 一般事項 JIS A 1416で規定する側路伝搬の低減に関する条件は,この規格の測定では必要ないため,
この規格の方法によって得られる測定値には,側路伝搬による成分が含まれていると考えられる。側路伝
搬の強さ及びその(インテンシティ)準音響透過損失に与える影響の程度は,建物の内装仕上げ及びそれ
らの接合部の条件によって変化する。
対象とする面を完全に取り囲む測定面を設定することによって,理論的には受音室の他の面から放射さ
れる音響パワーを含まないで,測定領域に含まれる面から放射される音響パワーだけを測定することが可
能である。したがって,インテンシティ準音響透過損失の推定値における側路伝搬経路の数は,受音室の
表面のうちのどの面が測定領域に含まれるかによる。
測定面を適切に設定すれば,インテンシティ法によって個々の部位からの音の放射を特定することがで
き,それらの大きさに順位を付けることも可能である。
この方法によれば,受音室における主要な側路伝搬を取り除く効果はあるものの,音源室で生じる側路
伝搬については,そのような効果はないことに注意する必要がある。図C.1は,壁又は床の接合部を含む
第一次側路伝搬経路だけを示したものであるが,壁・床・天井のような部位に分かれていても,受音室の
表面からは,いろいろな経路の側路伝搬があることが分かる。
備考 第一次側路伝搬経路とは,音源室内の一つ,一つの接合部及び受音室内の一つからなる一連の
経路のことである。
建築部材の仕様が同じであっても,この規格の方法で得られる現場測定値と,音源室及び受音室におけ
る側路伝搬を低減したJIS A 1441-1及びJIS A 1416に規定する方法によって得られる実験室測定の結果と
が必ずしも一致しないのは,上記による。
備考 図が複雑になるのを避けるために省略しているが,これ以外
の側路伝搬経路もあり得る。
図C.1 共通の壁で仕切られ一体構造の二室の間の直接伝搬経路及び
壁・床などの接合部を含む第一次側路伝搬経路のモデル図
側路伝搬による透過によって,受音室では外来騒音(測定対象以外の音)を増加するので,測定の条件
を満足させる[式(15)を満たす]ためには,受音室に十分な吸音を付加する必要がある。極端な場合には,
受音室で側路伝搬が生じている一つ又はそれ以上の面を覆ってしまう必要もある。
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C.2 側路伝搬音の確認 測定の前に,側路伝搬による音の放射面が測定面に近接してあるかどうか,特
にそれが測定領域内に含まれているかどうかを調べることは有効である。図C.2は,側路伝搬面の一部が
測定領域に含まれている場合を示している。測定領域に含まれる側路伝搬面による影響が,隔壁の準音響
透過損失の推定で無視できるためには,隔壁から放射される音響パワーが,測定領域内の対象とする面以
外の部分(側路伝搬による放射面)から放射される音響パワーに比べてはるかに大きくならなければなら
ない。そのような側路伝搬による放射面が測定領域に含まれている場合には,測定対象試料のインテンシ
ティ準音響透過損失が過小評価される傾向となる。
1: 測定面
備考 太線は,測定領域に含まれる側路伝搬面の部分を示す。
図C.2 隔壁からの放射パワーを推定するための測定面のモデル図
測定面を図のように設定し,側路伝搬面を覆わない条件では,経路D-d,F-d並びにD-f及びF-fの一部
分が測定に含まれる。
隣接する放射面が,測定対象の表面のインテンシティ準音響透過損失の推定に影響しているかどうかを
調べるには,次の方法による。まず,測定面及び測定距離
M
dを設定する。表面インテンシティ
s
n
s
n
F
M
I
I
L
L
−
のおおよその大きさを知るために,測定面上の対角線に沿ったインテンシティの垂直成分を用いる(6.4.1
参照)。次に,プローブを側路伝搬面の方向に向け,測定面内の一本の線に沿ってインテンシティを測定す
る。そのときの側路伝搬面からの距離は
M
dとする。このインテンシティを
s
nF
I
L
とする。
Ms
nI
L
又は
s
nF
I
L
の測定において,音場の条件が十分でない[式(15)が満たされない]場合,受音室内に
吸音を付加するなどの方法で,音場を改善する。ただし,吸音材料は,測定領域内に設置してはならない。
測定空間に含まれるすべての側路伝搬面について,次の式の関係が満たされる必要がある。
10
log
10
F
M
10
F
M
s
n
s
n
>
+
−
S
S
L
L
I
I
············································· (C.1)
ここに,
F
S: 測定領域に含まれる側路伝搬面の部分の面積 (m2)
M
S: 式(7)で定義される測定面の総面積 (m2)
この条件が満たされない場合,測定領域に含まれる側路伝搬面は,部分的に覆わなければならない。最
も実際的で適切な遮へい(蔽)の方法としては,50 mm厚の多孔質繊維吸音材を挿入して13 mm厚の石こ
うボードで覆えばよい。測定領域内に含まれる遮へい(蔽)面の接合部及び端部は,不要な吸音の原因と
なるので,テープをは(貼)る必要がある。このような処理をした後,その効果を調べるために試験を繰
り返す。
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C.3 側路伝搬音響透過損失 この規格による測定方法は,現場又は側路伝搬測定用の実験室における特
定された透過経路の側路伝搬音響透過損失の測定及び順位付けに用いることもできる。それによって得ら
れる測定結果は,準音響透過損失を改善するためにどの部分を処理すべきかを決める場合にも,また,側
路伝搬モデルの構築(例えば,EN 12354-1)の上でも有効である。
準音響透過損失を決定している個々の室表面の相対的な寄与度は,個々の面から放射される音響パワー
を単純に比較することによって評価できる。その音響パワーは,平均ノーマル音響インテンシティ[式(18)]
と測定面の総面積[式(19)]との積として計算される。
音源室において側路伝搬を防ぐための特別の処理をしていない場合,受音室で測定される音響パワーに
は,種々の経路からの寄与が含まれる。図C.1において,受音室の表面fを対象とした場合,測定される
音響パワーには,少なくともF-f及びD-fの二つの側路伝搬経路の寄与が含まれる。側路伝搬面fに関する
インテンシティ音響透過損失は,式(10)によって与えられる。
図C.1で明らかなように,経路F-fを絶縁するため,又はこの経路の側路伝搬音響透過損失の推定値を
得るためには,隔壁Dの音源側を覆わなければならない。同様に,その他の経路について同様の推定を行
うためには,音源室の面Fを覆う必要がある。遮へい(蔽)すべき面を適切に選定すれば,式(10)を用い
て,特定の経路についての側路伝搬音響透過損失の推定値を得ることができる。
C.4 JIS A 1417による測定値と調整インテンシティ準音響透過損失との関係 二室間の遮音性能の測定
にJIS A 1417の方法がしばしば用いられているが,音源室及び受音室に側路伝搬を防ぐための処理が何ら
施されていない場合には,この方法によって得られる二室間の音響透過及び準音響透過損失の測定結果に
は,直接透過成分だけでなく側路伝搬経路による成分も含まれている。同様の推定値をこの規格に規定す
る音響インテンシティによる方法で得るためには,式(C.2)に示すとおり,隔壁及びすべての側路伝搬面に
ついて放射音のインテンシティを推定する必要がある。
C
1.0
M
10
0
10
1
n
10
log
10
log
10
6
K
S
S
S
L
R
j
I
L
j
j
p
I
+
−
+
−
=
′
∑
········· (C.2)
ここに,
j: 受音室内のすべての音響放射面の番号
これによって,側路伝搬による放射面を遮へい(蔽)しない状態で,JIS A 1417によって測定される結
果と直接比較することができる。
逆に言えば,遮へい(蔽)によって音源室のすべての側路伝搬経路をなくし,また壁・床・天井のよう
に明確に区別できる面ごとに測定面を設定することによって,インテンシティ準音響透過損失は,JIS A
1416によって得られる音響透過損失に近づく。現場測定では試料の内部損失及び周辺支持条件の違いが避
けられず,これによって,異なる方法による測定結果を比較することが難しくなる。
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附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS A 1441-2:2007 音響−音響インテンシティ法による建築物及び建築部材の空気音遮
断性能の測定方法−第2部:現場における測定
ISO 15186-2:2003 音響−音響インテンシティ法による建築物及び建築部
材の空気音遮断性能の測定方法−第2部:現場測定
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の
項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
1.
適用範囲
ISO
15186-2
1
JISに同じ
IDT
2.
引用規格
2
JIS Z 8736-1 (ISO 9614
-1)が引用されているに
もかかわらず,参考文献
に記載されている。
MOD/追加 JIS Z 8736-1を引用規格
に追加した。
原国際規格改正時に変更を提案す
る。
3.
定義
3
JISに同じ
IDT
4.
測定装置
4
JISに同じ
IDT
5.
試験装置
5
JISに同じ
IDT
6.
測定の手順
6
6.1
一般事項
6.1
JISに同じ
IDT
6.2
音の発生
6.2
JISに同じ
IDT
6.3
音源室における室内平均音圧レ
ベルの測定
6.3
JISに同じ
IDT
6.4
受音室の適正に関する初期測定
6.4
JISに同じ
IDT
6.5
受音側における平均ノーマル音
響インテンシティレベル測定
6.5
6.5.1
一般事項
6.5.1
JISに同じ
IDT
6.5.2
測定面
6.5.2
JISに同じ
IDT
6.5.3
プローブの向き
6.5.3
JISに同じ
IDT
6.5.4
測定面の適正
6.5.4
JISに同じ
IDT
6.5.5
スキャニングによる場合の手順
6.5.5
4
A
1
4
4
1
-2
:
2
0
0
7
22
A 1441-2:2007
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の
項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体,附属書
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
6.5.5.1
一般事項
ISO
15186-2
6.5.5.1
JISに同じ
IDT
6.5.5.2
スキャニングの繰返し精
度の確認
6.5.5.2
誤った式[式(15)]を
基準としている。
MOD/変更 正しい式[式(16)]に変
更した。
原国際規格改正時に変更を提案す
る。
6.5.6
離散点による場合の手順
6.5.6
JISに同じ
IDT
6.6
複数の分割面と音源位置
との組合せ
6.6
JISに同じ
IDT
6.7
暗騒音
6.7
JISに同じ
IDT
6.8
測定周波数範囲
6.8
JISに同じ
IDT
6.9
所要測定量
6.9
JISに同じ
IDT
7.
測定結果の表示
7
JISに同じ
IDT
8.
試験報告書
8
JISに同じ
IDT
附属書A
(参考)
調整項 KC
Annex A
(normative)
受音室の寸法が不明
の場合の計算方法も
規定されている。
MOD/削除 受音室の寸法が不明の場
合の計算方法を削除し
た。
原国際規格改正時に変更を提案す
る。
normativeである。
MOD/変更 特殊な条件から求められ
た例を基に規定されてお
り,一般性がないので“参
考”とした。
原国際規格改正時に変更を提案す
る。
附属書B
(参考)
この規格による測定の精
度及び測定値の偏り
Annex B
(informative)
JISに同じ
IDT
附属書C
(参考)
側路伝搬音の測定とその
影響
Annex C
(informative)
JISに同じ
IDT
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
4
A
1
4
4
1
-2
:
2
0
0
7
23
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。
2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
4
A
1
4
4
1
-2
:
2
0
0
7
24
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
[1] JIS A 1416 実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法
備考 ISO 140-1:1997,Acoustics−Measurement of sound insulation in buildings and of building elements−
Part 1: Requirements for laboratory test facilities with suppressed flanking transmissionからの引用事
項は,この規格の該当事項と同等である。
[2] JIS Z 8736-2 音響−音響インテンシティによる騒音源の音響パワーレベルの測定方法−第2部:スキ
ャニングによる測定
備考 ISO 9614-2:1996,Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources using sound
intensity−Part 2: Measurement by scanningが,この規格と一致している。
[3] JIS Z 8736-3 音響−音響インテンシティ法による騒音源の音響パワーレベルの測定方法−第3部:ス
キャニングによる精密測定
備考 ISO 9614-3:2002,Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources using sound
intensity−Part 3: Precision method for measurement by scanningが,この規格と一致している。
[4] EN 12354-1,Building acoustics−Estimation of acoustic performance in buildings from the performance of
elements−Part 1: Airborne sound insulation between rooms
[5] JONASSON,H. G. Sound intensity and sound reduction index. Applied Acoustics,40,1993,pp.281-289