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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

A 1325-1995 

建築材料の線膨張率測定方法 

Measuring method of linear thermal expansion for building materials 

1. 適用範囲 この規格は,建築材料(1)の線膨張率を押棒式熱膨張計によって測定する方法について規定

する。 

注(1) 対象とする材料は,主に建築材料として使用される金属,セラミックス,耐火材料,ガラス製

品,岩石,鉱物,プラスチック,木,コンクリート,セメント・モルタル製品,陶磁器製品及

びこれらから構成される複合材である。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS C 1602 熱電対 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8704 温度測定方法−電気的方法 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。 

(1) 長さ変化率 材料の温度を変化させたとき,その温度範囲での材料の長さ変化量と室温における長さ

との比。 

(2) 線膨張率 材料の温度変化と長さ変化との関係が直線で表されるとき,この範囲の長さ変化率を,温

度変化で除した値又は直線のこう配を室温における長さで除した値。 

(3) 平均線膨張率 材料の温度変化と長さ変化量の関係が,直線で表せない場合の温度間における長さ変

化率を,その2点間の温度差で除した値。 

3. 試料 試料は,次のとおりとする。 

(1) 試料の採取 試料は,長さ方向の両端を平行かつ平滑に仕上げた角柱又は円柱とする。その長さは約

100mm,一辺又は直径は20〜50mm程度とし,個数は3個とする。 

なお,複合材から試料を採取する場合には,複合材の特性を代表するような箇所から材料を採取す

る(2)。 

注(2) コンクリート及びモルタル類については,骨材の寸法を考慮して,型枠又はコア抜きして作製

する。標準的には,最大骨材寸法の2倍以上の断面積が望ましい。ボード類の厚さは,製品の厚

さとする。 

(2) 試料の状態調節 試料は,測定に先立ち,温度20±5℃,湿度 (50±10)%又は材料の実際の使用状態

を考慮した条件の恒温恒湿室内に24時間以上静置する。 

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A 1325-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4. 測定装置 測定装置は,図1に示すように押棒式熱膨張計,温度調節槽,変位計測器,温度計測器な

どによって構成し,次のとおりとする。ただし,押棒式熱膨張計によらない場合は,附属書1によって測

定する。 

(1) 温度調節槽 温度調節槽には,定昇温機能が付いた低温槽,恒温槽,電気炉など,材料の使用目的に

応じた温度範囲をもつものを用いる。 

備考 温度範囲は,用いる温度調節槽の性能によるが,一般には電気炉では室温以上から900℃付近

まで,恒温槽では−20℃から150℃付近までの測定が可能であり,低温層では液体窒素などの

冷却ガスを用いることによって−20℃以下の測定も可能である。 

(2) 押棒式熱膨張計 材料の熱による長さ変化を,押棒を介して変位計で測定するもので,押棒と試料ホ

ルダー及び試料ホルダーに装着した変位計で構成し,それぞれ次のとおりとする。 

(a) 試料ホルダー 試料を収納できる容器で,石英ガラスなどの低膨張材料で作製する。 

(b) 押棒 試料の変位量を変位計に伝達するもので,試料ホルダーと同じ材料で作製する。 

(c) 変位計 差動トランス型変位計などを用いて,5μmの精度で長さ変化を測定できるものとする。 

(3) 温度測定器 温度測定は,JIS Z 8704に規定するB級測定方式又はこれに準じる測定方式を用いる。

測温には,測定温度に耐えるもので,JIS C 1602に規定するT熱電対又はK熱電対若しくはそれらと

同等以上に校正したものを使用する。 

図1 測定装置(例) 

5. 測定手順 測定手順は,次のとおりとする。 

(1) 試料の長さを,ノギスなどを用いて0.5mmの精度で読み取る。 

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(2) 試料の中心部に穴を開けて熱電対を埋め込む。埋め込めない場合は,試料表面にはがれないように接

着する。 

(3) 温度調節槽内に置いた試料ホルダーの中央に試料を垂直に静置する。試料が自立しない場合は,膨張

を妨げないように適当な支持材を用いて垂直に設置する。 

(4) 押棒を,変位計と試料上面との間に,垂直に取り付ける。 

(5) 温度調節槽の温度上昇は,試料の表面と内部とに温度差を生じさせないような加熱速度とし,原則と

して約1℃/min(3)とする。 

注(3) 試料の伝熱性又は熱容量によって考慮し,伝熱性が良い材料は,これより速くてもよいが,岩

石,コンクリートなど熱容量の大きい材料では,約30℃/h程度がよい。 

(6) 試料の温度及び長さ変化量を測定する。ただし,デジタル計測器で測定する場合には,全測定期間内

で10点以上の測定を行う。 

6. 結果の算出 線膨張率又は平均線膨張率は,次の式によって算出し,JIS Z 8401によって有効数字2

けたで示す。 

α又は

θ

α

Δ

Δ

1

0

L

=

ここに, 

α又はα: 線膨張率又は平均線膨張率 (K−1)  

L0: 初期の試料の長さ (mm)  

∆θ: 温度変化量 (K)  

∆L: ∆θにおける試料の長さ変化量 (=∆Lm+∆Lc) (mm)(4) 

∆Lm: 変位計による変化量の読み (mm)  

∆Lc: 校正値 (=αc×∆θ×L0)(mm)  

αc: 試料ホルダーの線膨張率 (K−1)  

注(4) 

長さ変化量の校正は,附属書2によって行う。 

7. 報告 測定結果は,下記の項目について報告する。 

(1) 試料の材料名 

(2) 試料の寸法,密度 

(3) 試料の線膨張率又は平均線膨張率及び3個の平均値 

(4) 測定温度範囲,必要に応じて温度と長さ変化率の関係図 

(5) 測定年月日 

(6) 測定機関名及び測定実施者 

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附属書1 押棒式熱膨張計によらない場合の測定方法 

1. 適用範囲 この附属書は,押棒式熱膨張計によらない建築材料の線膨張率測定方法について規定する。 

2. 測定装置 測定装置は,附属書1図1に示すように,一対の変位計と押棒,計測装置,温度調節槽な

どで構成する。 

3. 測定方法 温度調節槽の中に収めた試料の上面と下面との変位計の間に押棒を設置し,試料の両端で

押棒を介して,温度変化による長さ変化量を測定する。 

なお,押棒の温度変化による膨張の影響は,標準試料を用いて附属書2の方法で校正する。 

附属書1図1 測定装置(例) 

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附属書2 長さ変化量の校正方法 

1. 適用範囲 この附属書は,長さ変化量の校正方法について規定する。 

2. 校正方法 変位計の指示値には,試料の長さ変化のほかに,押棒,試料ホルダーの膨張,装置全体の

変形などが含まれている。したがって,より厳格に長さ変化量を求めるには,校正する必要がある。この

校正値は,標準試料を用いて次のような手順で求める。標準試料には,測定試料の線膨張率がほぼ同値の

ものを使用する。 

標準試料を,測定試料と同一条件下で,温度変化∆θに対する変位計の指示値を測定する。このときの指

示値は,次のようになる。 

∆Lrm=∆Lr+∆Lb ········································································· (1) 

同様に,同じ条件下における試料の変位計の指示値は, 

∆Lm=∆L+∆Lb ··········································································· (2) 

である。したがって両式から,試料の長さ変化量は 

∆L=∆Lm−∆Lrm+∆Lr ·································································· (3) 

となる。 

ここに, 

∆Lrm: 標準試料を測定したときの変位計の指示値 

∆Lr: 標準試料の線膨張率から求めたその温度範囲における長

さ変化量の計算値 

∆Lb: 押棒,試料ホルダー,その他の不確定部分の膨脹を含む変

化量 

∆Lm: 試料を測定したときの変位計の指示値 

∆L: 試料の長さ変化量 

ここで, 

B=∆Lrm−∆Lr 

とおくと式(3)は, 

∆L=∆Lm−B 

となり,Bが校正値となる。 

JIS A 1325 新規原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

土 屋 喬 雄 

東洋大学工学部 

大 澤 徹 夫 

岐阜工業高等専門学校 

羽 生 洋 治 

建設省住宅局 

社 本 孝 夫 

建設省住宅局 

平 松 博 久 

通商産業省生活産業局 

高 木 譲 一 

通商産業省工業技術院標準部 

○ 岡 路 正 博 

通商産業省工業技術院計量研究所 

○ 上 園 正 義 

財団法人建材試験センター 

十 倉   毅 

財団法人日本建築総合試験所 

今 仲 昭 喜 

住宅・都市整備公団 

山 田 耕 二 

住宅金融公庫 

吉 留 一 馬 

社団法人プレハブ建築協会 

A 1325-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

氏名 

所属 

永 田 邦 光 

社団法人全国建設業協会 

寒河江 昭 夫 

鹿島建設株式会社技術研究所 

蒲 谷 正 道 

社団法人日本建材産業協会 

谷 澤 喝 二 

ウレタンフォーム工業会 

二 藤 一 世 

押出発泡ポリエチレン工業会 

徳 田 正 男 

高発泡ポリエチレン工業会(古河電気工業株式会社) 

江 川 利 雄 

日本フォームスチレン工業組合 

原   敬 夫 

日本繊維板工業会 

(関係者) 

○ 町 田   清 

財団法人建材試験センター 

(事務局) 

関 根 茂 夫 

財団法人建材試験センター 

備考 ○印は小委員会委員を兼ねる。