令和2年10月26日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標準化法の用語に合わせ,規格中
“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
日本産業規格 JIS
A 1321-1994
建築物の内装材料及び工法の
難燃性試験方法
Testing method for incombustibility of internal
finish material and procedure of buildings
1. 適用範囲 この規格は,建築物の内装に用いる材料及び工法の火災初期における難燃性試験方法につ
いて規定する。
なお,この難燃性試験は,表1に示すとおり,難燃性の級別に応じて,基材試験,表面試験,付加試験
によって行う。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS A 5413 石綿セメントパーライト板
JIS C 1602 熱電対
JIS G 3459 配管用ステンレス鋼管
JIS G 3532 鉄線
JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
JIS G 4309 ステンレス鋼線
JIS R 2305 高アルミナ質耐火れんが
表1
難燃性の級別
試験方法
難燃1級
2.に規定する基材試験及び3.に規定する表面試験
難燃2級
3.に規定する表面試験
難燃2級A
3.に規定する表面試験及び4.に規定する付加試験
難燃3級
3.に規定する表面試験
2. 基材試験
2.1
試験体 試験体は,次のとおりとする。
(1) 試験体の材料及び構成は,実際に用いられるものと同一のものとする。ただし,表面に付加された塗
装その他の化粧仕上げ層を除いたものとすることができる。
(2) 試験体の個数は3個とする。
(3) 試験体の大きさは,高さを50±3mm,他の2辺を40±2mmとし,供試材料から採取する。材料の厚
さがこの大きさより小さい場合には,供試材料のかさ比重とほぼ等しくなるようにし,かつ,可燃物
を最大限に含むように重ね合わせてJIS G 3532に規定する線径0.5mm以下の鉄線で図1-2に示すよう
に緊結する。
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(4) 試験体は,製造後,通風のよい室内におおむね1か月以上放置したものを,35〜45℃の乾燥器中で120
時間以上乾燥した後,デシケーター中に24時間以上放置して養生したものとする。
(5) 試験体支持枠は,JIS G 4305に規定する冷間圧延ステンレス鋼板及びJIS G 4309に規定するステンレ
ス鋼線で,材質はいずれもSUS 304として図1-3のように作製し,その質量は,15g以下とする。試
験体支持棒は,JIS G 3459に規定する材質SUS 304のステンレス鋼管で,外径4±0.1mm,肉厚1mm
以下,長さ300±1mmとして図1-4のように作製する。支持棒にはストッパーを付け,試験体を2.3(4)
に規定する炉内位置に速やかに挿入できるようにする。
2.2
加熱炉 加熱炉は,次のとおりとする。
(1) 加熱炉の構造は,図1-1に示すものとする。
(2) 加熱炉の熱源は,定電圧装置を備えた電熱とする。
(3) 炉内温度を測定する熱電対は,図1-1のように熱接点を炉壁内面から10±1mm離し,炉壁の高さの中
央で中心軸に対称な位置に2個設置する。
(4) 加熱炉は,2.3(3)に規定する標準材料を挿入して加熱したとき,(3)に規定する2個の熱電対の示度(以
下,炉内温度という。)が各々750±10℃において30分間以上継続加熱できるものとする。
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図1-1
図1-2
図1-3
4
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図1-4
図1-5
2.3
加熱試験 加熱試験は,次のとおりとする。
(1) 加熱試験は,試験体挿入後20分間加熱して行う。
(2) 炉内温度の測定は,JIS C 1602に規定する0.75級以上の精度をもつ,外径1.6mm以下の先端封じ式シ
ース型CA熱電対及び実線記録式の電子管式自動平衡記録温度計で行う。
(3) 加熱は,あらかじめ試験体を挿入する前に,JIS R 2305に規定する高アルミナ質耐火れんがの2種特
級品で2.1(3)の規定と同一寸法で作製した標準材料を挿入し,炉内温度が2個の熱電対の各々の示度
で750±10℃に20分間以上安定するよう加熱炉を調整した後行う。試験体は(4)に規定する位置に速や
かに挿入して試験を開始する。
(4) 加熱炉に挿入した試験体の位置は,図1-5に示すように試験体の側面の中心線と炉内温度測定用熱電
対の熱接点との位置が,ほぼ一致するようにする。
2.4
判定 3個の試験体のそれぞれについて行った加熱試験において,試験体挿入後の炉内温度が,2対
の熱電対のうちの高い方の値で810℃以下である場合を合格とする。
3. 表面試験
3.1
試験体 試験体は,次のとおりとする。
(1) 試験体の材料及び構成は,実際に用いられるものと同一のものとする。
(2) 試験体の個数は3個とする。
(3) 試験体の大きさは,縦・横それぞれ22cmとし,厚さは実際のものと同一とする。ただし,厚さが15mm
を超える場合には,試験体の防火上の性能を増大させず,かつ,発煙の程度を減少させない方法で,
その厚さを15mmまで減ずることができる。
(4) 試験体は,製造後通風のよい室内におおむね1か月以上放置したものを,35〜45℃の乾燥器中で24
時間以上乾燥した後,デシケータ中に24時間以上放置して養生したものとする。
3.2
試験装置
3.2.1
加熱炉 加熱炉は,次のとおりとする。
(1) 加熱炉の構造は,図2に示すものとする。
(2) 加熱炉の主熱源は,原則として定電圧装置を備えた電熱とし,副熱源は,原則として都市ガスとする。
(3) 加熱炉の排気温度(以下,排気温度という。)を測定する熱電対は,図2に示すように,その熱接点を
配置するものとする。
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図2 加熱炉
(4) 加熱炉は,標準板[JIS A 5413に規定する厚さ1cmの0.8石綿パーライト板でオートクレーブ養生し
たもので,3.1(3)及び(4)に適合するものをいう。]を用いて3.3(1)に規定する加熱を10分間行った場合
に,表2に掲げる排気温度を20℃以内の誤差で再現できるものとする。
表2
経過時間 min
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
排気温度 ℃
70
80
90
155 205 235 260 275 290 305
3.2.2
集煙箱 集煙箱は,次のとおりとする。
(1) 発煙量(単位面積当たりの発煙係数)を測定するため,3.2.1に規定する加熱炉の上部に図3に示す直
方体の集煙箱(内面における大きさは,高さ1m,他の2辺を1.41mとする。)を設け,煙かくはん(攪
拌)装置及び光量測定装置を備えるものとする。
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図3 集煙箱
(2) 光量測定装置は,図4に示すものとし,集煙箱の中央部分の天井面から30cm下方の位置で,煙を毎
分約1.5lの流量で吸引し測定する装置をもち,光源及び受光部には,煙の粒子の付着を防止する装置
を備えるものとする。
図4 光量測定装置
3.3
加熱試験 加熱試験は,次のとおりとする。
(1) 加熱試験は,試験体の受熱面の大きさを縦・横それぞれ18cmとし,はじめに副熱源で3分間加熱し
た後,更に主熱源を加えて難燃性の級別に応じて表3に示すとおりの加熱を行う。
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表3
難燃性の級別 はじめの副熱源だけ
による加熱時間
副熱源及び主熱源に
よる加熱時間
加熱時間の合計
min
min
min
難燃1級
3
7
10
難燃2級
3
7
10
難燃3級
3
3
6
(2) 排気温度の測定は,2.3(2)によって行う。
(3) 煙を透過する光量の測定は,加熱試験中15秒以内ごとに行う。
(4) 加熱試験は,試験の開始前に標準板を用い(1)に規定する方法によって予備加熱を行った後,裏ぶたを
取り除き,排気温度を測定する熱電対の示度が約50℃に降下してから始めるものとする。ただし,続
けて試験を行う場合にあっては,標準板による予備加熱は必要ないものとする。
3.4
判定 3.3に規定する加熱試験の結果,試験体のそれぞれが,次の(1)〜(5)に適合する場合を合格と
する。
(1) 試験体の全厚にわたる溶融,試験体の裏面に対するき裂(裏面におけるき裂の幅が全厚の101以上であ
るものに限る。),その他防火上著しく有害な変形などのないこと。
(2) 加熱終了後30秒以上残炎がないこと。
(3) 試験結果の排気温度曲線[2.3(2)に規定する記録温度計の示す曲線をいう。以下同じ。]は,加熱試験
中,標準温度曲線[3.2.1(4)に規定する加熱炉を調整した後の各経過時間ごとの排気温度にそれぞれ
50℃を加え,これらを結んで得られる曲線をいう。以下同じ。]を超えないこと。ただし,難燃2級又
は難燃3級については,試験を開始して3分を経過した後は,次の(4)の条件の範囲内で超えることが
できるものとする。
(4) 排気温度曲線が標準温度曲線を超えている部分の排気温度曲線と標準温度曲線で囲まれた部分との面
積(単位℃×分)が,難燃2級にあっては100以下,難燃3級にあっては350以下であること。
(5) 次の式によって求めた単位面積当たりの発煙係数 (CA) は,難燃性の級別に応じ,それぞれ表4の数
値を超えないこと。
I
I
CA
0
10
log
240
=
ここに, I0: 加熱試験開始時の光の強さ (lx)
I: 加熱試験中の光の強さの最低値 (lx)
表4
難燃性の級別
単位面積当たりの発煙係数 (CA)
難燃1級
30
難燃2級
60
難燃3級
120
4. 付加試験 3.3に規定する加熱試験の結果,難燃2級に合格したものについて次の付加試験を行う。
(1) 試験体 3.1に規定する試験体を用い,図5に示すとおり試験体の表面から裏面に貫通する径25mm
の穴を3個あけたものとする。穴をあける場合に,試験体の組成及び構成を損なうことのないように
丁寧に行う。
試験体の個数及び養生は,3.1の(2)及び(4)の規定による。
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図5
(2) 試験装置 3.2に規定する試験装置とする。
(3) 加熱試験 加熱試験は3.3の規定によるものとし,試験体の裏面に3.2.1(4)に規定する標準板を密着し,
炉内に装着し,表3に規定する難燃2級の加熱を行う。
(4) 判定 (3)に規定する加熱試験の結果,試験体のそれぞれが表5の数値を超えないものを合格とする。
表5
標準温度曲線を超え
る温度時間面積
単位面積当たり
の発煙係数
残炎時間
℃分
(CA)
s
150
60
90
5. 報告 試験結果の報告書には,次の事項を記載する。
(1) 難燃性の級別
(2) 材料名,形状・寸法・構成・重量・含有率・表面仕上げ,その他仕様の概要
(3) 加熱条件(熱源の種類,加熱時間,調整温度など)
(4) 供試体の条件(形状・寸法・重量・材齢など)
(5) 試験結果の概要
基材試験については,炉内最高温度,供試体の変化など。
付加試験については,排気温度及び発煙量曲線,温度時間面積,発煙量,残炎時間。
表面試験については,排気温度及び発煙量曲線,温度時間面積,発煙量,残炎時間,溶融,き裂そ
の他の変形など。
(6) 試験実施の日付,試験機関名,同責任者名及び試験実施担当者名
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建築部会 防火試験方法専門委員会 構成表(昭和50年1月16日改正のとき)
氏名
所属
(委員会長)
岸 谷 孝 一
東京大学工学部
斉 藤 光
千葉大学工学部
森 脇 哲 男
東京理科大学
阿 部 寛
農林省林業試験場
矢筈野 義 郎
自治省消防庁
木 原 滋 之
通商産業省生活産業局
市 橋 利 明
工業技術院標準部
今 泉 勝 吉
建設省建築研究所
斉 藤 文 春
建設省建築研究所
中 山 実
東京消防庁
高 野 孝 次
財団法人建材試験センター
正法院 陽 三
財団法人日本建築総合研究所
佐 藤 温
建設省住宅局
秋 田 実
東京都建築材料検査所
(事務局)
田 村 尹 行
工業技術院標準部材料規格課
松 本 大 治
工業技術院標準部材料規格課
小 林 秋 穂
工業技術院標準部材料規格課
(事務局)
牛 島 宏 育
工業技術院標準部材料規格課(平成6年12月15日改正のとき)
荒 井 淳
工業技術院標準部材料規格課(平成6年12月15日改正のとき)