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日本工業規格

JIS

 A

1302

-1994

建築物の不燃構造部分の防火試験方法

Method of fire test for noncombustible structural parts of buildings

1.

適用範囲  この規格は,建築物の壁・柱・はり・床(天井を含む。)などの不燃構造部分(鉄骨その他

不燃材料を軸組とした構造部分)の防火試験方法について規定する。

備考1.  7.に規定する衝撃試験又は8.に規定する注水試験は,必要に応じて行う。

また,主要な軸組については,6.に規定する載荷加熱試験を行う。

2.

この試験に合格した構造は,次に示す区分によって表示する。

加熱試験の級別  1 級,2 級,3 級

衝撃試験 S

その他の試験の有無

注水試験 W

載荷加熱試験

L

記号例:2 級 SW    2 級加熱試験に合格し,衝撃試験と注水試験にも合格したもの。

3.

この規格の引用規格を,次に示す。

JIS C 1602

  熱電対

4.

この規格の中で{  }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,参

考値である。

2.

試験体

2.1

試験体は,その構造を実際のものと同一に製作し,部分によって防火力に差がある場合は,防火上

弱点と思われる部分を含ませる。

2.2

試験体の試験面の標準の大きさは,

表 のとおりとする。

表 1

試験体の種類

大きさ

壁,床 180×180cm 以上

長さ 180cm 以上

(断面は実際のものによる。

はり

長さ 180cm 以上

(断面は実際のものによる。

2.3

試験体は,気乾状態になるまで乾燥させる。

3.

加熱炉

3.1

加熱炉は,4.に示す温度の時間的変化を試験面の全面にほぼ一様に与えられるようなものとする。

3.2

加熱炉の熱源は,直接試験面に十分に達することができるような石炭ガス炎,重油炎,その他の適

当な火炎とする。

3.3

試験体取付用枠は,耐熱性のものとし,試験面を所定の位置に保存できるような構造のものとする。


2

A 1302-1994

3.4

壁は,鉛直位置で片面から,柱は同じく四周から,はり及び床は,水平位置で下方から加熱する。

3.5

加熱炉には,必要によって加熱中に規定の荷重を試験体に載荷することができる装置を附属させる。

4.

加熱等級  加熱温度は,表 及び付図 の標準曲線によるものとし,加熱温度によって 1 級,2 級及

び 3 級とする。

表 2  加熱試験温度

単位  ℃

経過時間

(min)

加熱区分

2 3 4 5 6 7 8 9 10

11

12

13

14

15

16

1

級加熱

100

150

260

410

660

910

1 060

1 120

1 120

1 090

1 010

920

850

780

720

2

級加熱  75  120 190 310 500

680

790

840

840

820

760

690 640 585

540

3

級加熱  25

55 100 180 300

410

500

550

550

525

490

450 400 365

330

経過時間

(min)

加熱区分

17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

1

級加熱  660 610 560 530 480 450 410 380 350 320 290 260 230 200

2

級加熱  495 460 420 395 360 340 310 285 260 240 220 195 175 150

3

級加熱  305 280 260 240 225 210 190 175 160 150 140 125 110 100

備考

  2

分目までは,常温から漸増させる。

5.

加熱試験

5.1

試験面の周囲は,火炎をしゃ断することができる材料で覆い,周囲がすいて試験面以外が燃焼する

おそれがある場合は,周囲に石綿その他のものを充てんするなど,適当に処理して加熱する。

5.2

加熱温度は,JIS C 1602 に定める 0.75 級以上の性能をもつ径 1mm の CA 熱電対によって測定する。

5.3

標準温度を測定する熱接点は,

付図 のように壁及び柱にあっては試験面の中心及び上端に近い部

分の 2 か所,はりにあっては各面の中心,床にあっては試験面の中心及び左右の 3 か所,その平均温度を

4.

に規定した標準曲線に沿わせるようにする。

熱接点の設置方法は,

付図 のようにモルタル表面温度で測定するように設置する。

加熱温度の測定は,1 分ごとに行う。

5.4

表面温度を

付図 以外の方法で測定する場合には,あらかじめ付図 に規定するモルタル表面に熱

接点を設けて,規定の温度を示す加熱条件を

付図 4(a)又は(b)]に示す方法で測定しておき,これをその

加熱炉の加熱特性温度として,標準温度に代えて

付図 の方法で測定することができる。

5.5

防火被覆材料の裏面の温度(継目を含む。以下,裏面温度という。

)は,JIS C 1602 に定める 0.75 級

以上の性能をもつ径 0.65mm の CA 又は CC 熱電対の熱接点を

付図 のように配置し,これを 10×10cm 以

上,厚さ 1cm の気乾状態のすぎ材で密着するように覆って測定する[

付図 3(b)]。

以上のほかに弱点部については 10×10cm,厚さ 0.3cm の鉄片で覆い,不燃性のせっこう類で絶縁した熱

接点を設ける。

5.6

次に規定する が 0.9以下又は 1.1以上の場合は,試験回数には算入しない。ただし,が 1.1K

以上で 5.7 の規定に合格の場合又は 0.9以下で不合格の場合は,それぞれ合格又は不合格とする。

A

:実施した加熱時間温度曲線と 260℃線との囲む面積(単位 100℃分)


3

A 1302-1994

K

付図 に示す標準曲線上の に対する面積で,表 のとおりとする。

表 3

単位 100  ℃分

加熱級別

1

級加熱

2

級加熱

3

級加熱

加熱時間温度面積 96 56 19 
備考  試験を実施した加熱温度の加熱時間温度面積が表 

規定した値に比し誤差がある場合には,実施した防火被

覆材料の厚さに

A

K

を乗じた厚さの試験体を試験したも

のとして,結果を考察する。

5.7

加熱試験の結果,試験体が次の条件に適合するものを合格とする。

(1)

防火上有害と認められる変形,破壊,脱落などの変化を生じないこと。

備考  局部的な爆裂で表層のはく離にとどまるもの及び積層材料で加熱側が一部爆裂,大き裂,はく

離,脱落などを生じても,裏面側材料又はしん材が,これらに該当しないものは合格とする。

(2)

裏面において発炎がないこと。

(3)

試験終了後 30 秒以上の残炎がなく,かつ,1 分以上火気が残存しないこと。

(4)

裏面材料及び構造材料については,次の条件に適合すること。

(a)

裏面温度及び木材部分の温度が 260℃を超えないこと。ただし,装着用の局部的な補助木材は,実

際の着火がなければよい。

(b)

木毛セメント板・せっこうボ−ドなどでは,裏面に達する着火がないこと。

(c)

裏面材料を用いない壁の裏面温度は,350℃を超えないこと。

(d)

鋼材部分の温度は,主構造材については 450℃,補助材料については 600℃以下であること。

(e)

アルミニウム及びその合金部分の温度は,主構造材については 300℃,補助材料については 450℃を

超えないこと。

(5)

装着材料については,有害な着火・脱落などがないこと。

6.

載荷加熱試験

6.1

熱的に強度その他に変化の多い材料で構成された柱・はりなど構造上主要な部分については 5.7(4)

によらないで,載荷加熱試験によって合否の判定を行うことができる。

6.2

設計荷重の

2

1

に相当する量を試験体に載荷しながら 5.の加熱試験を行う。

6.3

加熱試験の結果,試験体が次の条件に適合するものを合格とする。

(1)

試験中の最大たわみ (cm) が

λ

2

/6 000

を超えないもの。

ただし,

1

は試験体の長さ (cm) 又は幅 (cm) の

うち,大きい方の値をとる。

(2)

試験中,試験体に防火上有害な破壊・きれつなどを生じないもの。

7.

衝撃試験  加熱しない試験体を平らな所に,表を上にして水平に置き,これに付図 に示す質量 1kg

のなす形おもりを高さ 1.5m から試験体の弱点部に落として,裏面に達する穴のあかないものを合格とす

る。

8.

注水試験  5.の試験方法によって 10 分まで加熱した試験体に,加熱直後表面に対して 45 度の角度で,

直ちに距離 5m で筒先口径 12.7mm,筒先圧力 137.2kPa {1.4kgf/cm

2

}

の注水を試験面のほぼ中央部に 1 分間

行い,甚だしい破損・欠落のないものを合格とする。


4

A 1302-1994

備考  従来単位の試験機又は計測器を用いて試験する場合の国際単位系 (SI) による数値への換算は,

次による。

1kgf

=9.80N

9.

判定及び報告

9.1

5.

の加熱試験は 3 回,6.7.8.の載荷加熱,衝撃,注水試験は 2 回とし,各回ともに合格しなけれ

ばならない。ただし,実大試験体によった場合は,いずれも 1 回とすることができる。

9.2

試験結果の報告書には,構造種類の名称,試験体の形状・寸法,材料(品質を含む。

,加熱等級,

加熱温度,主要軸組温度,裏面温度とその測定位置,防火上重要な観察事項,結果の判定とその理由,燃

料消費量,試験期間,試験機関及び試験担当者名を記載する。

付図 1


5

A 1302-1994

付図 2

付図 3


6

A 1302-1994

付図 4

付図 5

建築部会  防火試験方法専門委員会  構成表(昭和 50 年 1 月 16 日改正のとき)

氏名

所属

(委員会長)

岸  谷  孝  一

東京大学工学部

斉  藤      光

千葉大学工学部

森  脇  哲  男

東京理科大学

阿  部      寛

農林省林業試験場

矢筈野  義  郎

自治省消防庁

木  原  滋  之

通商産業省生活産業局

市  橋  利  明

工業技術院標準部

今  泉  勝  吉

建設省建築研究所

斉  藤  文  春

建設省建築研究所

中  山      実

東京消防庁

高  野  孝  次

財団法人建材試験センタ−

正法院  陽  三

財団法人日本建築総合研究所

佐  藤      温

建設省住宅局

秋  田      実

東京都建築材料検査所

(事務局)

田  村  尹  行

工業技術院標準部材料規格課

松  本  大  治

工業技術院標準部材料規格課

小  林  秋  穂

工業技術院標準部材料規格課

(事務局)

牛  島  宏  育

工業技術院標準部材料規格課(平成 6 年 2 月 15 日改正のとき)

荒  井      淳

工業技術院標準部材料規格課(平成 6 年 2 月 15 日改正のとき)