A 1205:2020
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 試験器具························································································································· 1
4.1 液性限界試験器具 ·········································································································· 1
4.2 塑性限界試験器具 ·········································································································· 3
5 試料······························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 液性限界試験 ················································································································ 3
6.2 塑性限界試験 ················································································································ 4
7 計算······························································································································· 5
7.1 液性限界 ······················································································································ 5
7.2 塑性限界 ······················································································································ 6
7.3 塑性指数 ······················································································································ 6
8 報告······························································································································· 6
附属書A(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表 ······························································ 7
A 1205:2020
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人
地盤工学会(JGS)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を改正すべきとの申出があり,日本産業標
準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本産業規格である。これによって,JIS A 1205:2009は
改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。国土交通大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
A 1205:2020
土の液性限界・塑性限界試験方法
Test method for liquid limit and plastic limit of soils
序文
この規格は,1950年に制定され,その後7回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は2009年に
行われたが,その後のJIS K 6253の廃止,JIS K 6253-3の制定,及びJIS A 0207に基づく表記,用語の変
更などに対応するために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。また,技術上重要な改正に関する旧規格との対照を
附属書Aに記載する。
1
適用範囲
この規格は,目開き425 μmのふるいを通過した土の液性限界,塑性限界及び塑性指数を求める試験方
法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 0207 地盤工学用語
JIS A 1201 地盤材料試験のための乱した土の試料調製方法
JIS A 1203 土の含水比試験方法
JIS K 6253-3 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ
JIS Z 8801-1 試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS A 0207によるほか,次による。
3.1
流動曲線
液性限界試験結果によって,落下回数の対数を横軸,含水比の算術目盛を縦軸にとり,測定値をプロッ
トして,それら測定値に最も適合する直線。
4
試験器具
4.1
液性限界試験器具
液性限界試験器具は,次による。
a) 液性限界測定器 液性限界測定器は,黄銅皿,落下装置及び硬質ゴム台から構成され,図1に示す形
2
A 1205:2020
状,寸法及び次に示す条件を満たすもの。
1) 落下装置は,黄銅皿の落下高さを10 mmに調節でき,1秒間に2回の割合で自由落下できるもの。
2) 硬質ゴム台は,JIS K 6253-3に規定するデュロメータ硬さ試験機のうちタイプAデュロメータによ
る硬さが88±5のもの。硬質ゴムは経過年数とともに硬くなるので,1年に1回程度は硬さを測定
することが望ましい。
単位 mm
図1−液性限界測定器の例
b) 溝切り及びゲージ
1) 溝切り 溝切りは,図2に示す形状及び寸法のステンレス鋼製のもの。
2) ゲージ ゲージは,厚さ(10±0.1)mmのステンレス鋼製又は黄銅製の板状のもの。独立の板状の
ものでもよい。
単位 mm
図2−溝切り及びゲージの例
60°±0.2°
45°±0.2°
3
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c) その他の器具
1) 含水比測定器具 含水比測定器具は,JIS A 1203に規定するもの。
2) ガラス板 ガラス板は,厚さ数mm程度の板ガラスが望ましい。
3) へら
4) 蒸留水
4.2
塑性限界試験器具
塑性限界試験器具は,次による。
a) すりガラス板 すりガラス板は,厚さ数mm程度のすり板ガラス。
b) 丸棒 丸棒は,直径約3 mmのもの。
c) その他の器具 その他の器具は,4.1 c) と同じもの。
5
試料
試料は,次による。
a) 自然含水比状態の土を用いてJIS A 1201に規定する方法によって得られた目開き425 μmのふるいを
通過したものを試料とする。用いるふるいは,JIS Z 8801-1に規定する金属製網ふるいとする。試料
を空気乾燥しても液性限界・塑性限界の試験結果に影響しない場合は,空気乾燥試料を用いてもよい。
b) 試料の量は,液性限界試験用には約200 g,塑性限界試験用には約30 gを目安とする。
c) 試料をガラス板の上に置き,十分に練り合わせる。
1) 試料の水分状態は,液性限界試験ではパテ状,塑性限界試験では団子状になる程度にする。試料の
含水比が低い場合は,蒸留水を加え,また,含水比が高すぎる場合は,自然乾燥によって脱水する。
2) 空気乾燥した場合,蒸留水を加えて十分に練り合わせた後,土と水とのなじみをよくするために,
水分を蒸発させないようにして10数時間放置する。
6
試験方法
6.1
液性限界試験
液性限界試験は,次による。
a) 黄銅皿と硬質ゴム台との間にゲージを差し込み,黄銅皿の落下高さが(10±0.1)mmになるように落
下装置を調整する。
b) へらを用いて試料を黄銅皿に最大厚さが約10 mmになるように入れ,形を整える。溝切りを黄銅皿の
底に直角に保ちながらカムの当たりの中心線を通る黄銅皿の直径に沿って図3のように溝を切り,試
料を二つに分ける。
4
A 1205:2020
図3−溝切り後の状態
図4−合流した試料
c) 黄銅皿を落下装置に取り付け,落下装置によって1秒間に2回の割合で黄銅皿を持ち上げて落とすこ
とを繰り返し,溝の底部の二つに分けた試料が図4に示すように長さ約15 mm合流するまで続ける。
d) 溝が合流したときの落下回数を記録し,JIS A 1203に規定されている方法に従い,合流した付近の試
料の含水比を求める。
e) 試料に蒸留水を加えるか,又は水分を蒸発させた後,試料をよく練り合わせてb)〜d) の操作を4回以
上繰り返す。その際,落下回数10〜25回の試料を2個,25〜35回の試料を2個が得られるようにす
る。
f)
液性限界試験は,対象とする試料についてe) の作業を最低1回行う。
6.2
塑性限界試験
塑性限界試験は,次による。
a) 練り合わせた試料の塊を,手のひらとすりガラス板との間で図5のように転がしながら試料をひも状
にし,ひもの太さを直径3 mmの丸棒に合わせる。この土のひもが直径3 mmになったとき,再び塊
にしてこの操作を繰り返す。
b) a) の操作において,図6のように試料のひもが直径3 mmになった段階で,試料が切れ切れになった
とき,JIS A 1203に規定されている方法に従い,その切れ切れになった部分の試料を集めて速やかに
含水比を求める。
c) 塑性限界試験は,対象とする試料について最低3回行う。
合流部分
15 mm
5
A 1205:2020
ここに,
a:直径3 mmの丸棒
b:ひも状の試料
ここに,
a:直径3 mmの丸棒
b:切れ切れの試料
図5−試料をひも状にする方法
図6−試料が切れ切れになった状態
7
計算
7.1
液性限界
液性限界は,次による。
a) 片対数グラフ用紙の対数目盛に落下回数及び算術目盛に含水比をとって,測定値をプロットする。
b) 測定値に最もよく適合する直線を流動曲線とする。
c) 図7のように,流動曲線において,落下回数25回に相当する含水比w(%)を小数点以下1桁まで読
み取り,液性限界wL(%)とする。
d) 流動曲線は,直線の勾配が30〜50°になるようにスケールをとる。
e) 液性限界が6.1の試験で求められないときは,NP(Non-Plastic)とする。
図7−流動曲線による液性限界の求め方の例
a
b
a
b
6
A 1205:2020
7.2
塑性限界
塑性限界は,次による。
a) 6.2で求めた3回の含水比の算術平均値を塑性限界wP(%)とする。
b) 塑性限界が6.2の試験で求められないときは,NPとする。
7.3
塑性指数
塑性指数は,次の式によって算出する。ただし,液性限界と塑性限界との間に有意な差がないときは,
NPとする。
IP=wL−wP
ここに,
IP: 塑性指数
wL: 液性限界(%)
wP: 塑性限界(%)
8
報告
報告は,次による。
a) 流動曲線
b) 液性限界(%)
c) 塑性限界(%)
d) 塑性指数
e) その他報告事項
7
A 1205:2020
附属書A
(参考)
技術上重要な改正に関する新旧対照表
現行規格(JIS A 1205:2020)
旧規格(JIS A 1205:2009)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
2 引用規格
JIS A 0207 地盤工学用語
JIS K 6253-3 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さ
の求め方−第3部:デュロメータ硬さ
JIS Z 8801-1 試験用ふるい−第1部:金属製網
ふるい
2 引用規格
記載なし。
JIS K 6253 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さ
の求め方
記載なし。
JIS A 0207地盤工学用語が制
定されたため。
JIS K 6253の廃止,JIS K
6253-3の制定に対応するた
め。
3 用語及び定
義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS A
0207による。
3 用語及び定義 3.1 液性限界 液性限界試験によって求められ
る,土が塑性状態から液状に移るときの含水比。
3.2 塑性限界 塑性限界試験によって求められ
る,土が塑性状態から半固体状に移るときの含
水比。
3.3 塑性指数 液性限界と塑性限界との差。
JIS A 0207に掲載されている
定義を記載しない。
4 試験器具
4.1 液性限界
試験器具
a) 液性限界測
定器
2)
硬質ゴム台は,JIS K 6253-3に規定するデュロ
メータ硬さ試験機のうちタイプAデュロメータ
による硬さが88±5のもの。
4 試験器具
4.1 液性限界試
験器具
4.1.1 液性限界
測定器
b)
硬質ゴム台は,JIS K 6253に規定するデュロメ
ータ硬さ試験タイプAによる硬さが88±5のも
の。
JIS K 6253の廃止,JIS K
6253-3の制定に対応するた
め。
4 試験器具
4.1 液性限界
試験器具
c) その他の器
具
2) ガラス板
ガラス板は,厚さ数mm程度の板ガラスが望ま
しい。
4 試験器具
4.1 液性限界試
験器具
4.1.3 その他の
器具
b) ガラス板
ガラス板は,厚さ数ミリメートル(mm)程度の
板ガラスが望ましい。
表記方法の変更。
4
A
1
2
0
5
:
2
0
2
0
8
A 1205:2020
現行規格(JIS A 1205:2020)
旧規格(JIS A 1205:2009)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
4 試験器具
4.2 塑性限界
試験器具
a) すりガラス
板
すりガラス板は,厚さ数mm程度のすり板ガラ
ス。
4 試験器具
4.2 塑性限界試
験器具
a) すりガラス
板
すりガラス板は,厚さ数ミリメートル(mm)程
度のすり板ガラス。
表記方法の変更。
6 試験方法
6.1 液性限界
試験
b)
へらを用いて試料を黄銅皿に最大厚さが約10
mmになるように入れ,
6 試験方法
6.1 液性限界試
験
b)
へらを用いて試料を黄銅皿に最大厚さが約1
cmになるように入れ,
単位の統一。
6 試験方法
6.1 液性限界
試験
c)
溝の底部の二つに分けた試料が図4に示すよう
に長さ約15 mm合流するまで続ける。
6 試験方法
6.1 液性限界試
験
c)
溝の底部の土が長さ約1.5 cm合流するまで続け
る。
単位の統一。
試験方法を分かりやすくする
ために図4を追加。
6 試験方法
6.1 液性限界
試験
f)
液性限界試験は,対象とする試料についてe) の
作業を最低1回行う。
−
記載なし。
試験回数について明記。
6 試験方法
6.2 塑性限界
試験
c)
塑性限界試験は,対象とする試料について最低
3回行う。
−
記載なし。
試験回数について明記。
7 計算
7.1 液性限界
c)
図7のように,流動曲線において,落下回数25
回に相当する含水比w(%)を小数点以下1桁
まで読み取り,液性限界wL(%)とする。
7 計算
7.1 液性限界
c)
流動曲線において,落下回数25回に相当する含
水比を液性限界wL(%)とする。
有効桁数について明記。
液性限界の求め方を分かりや
すくするために図7を追加。
7 計算
7.2 塑性限界
a)
6.2で求めた3回の含水比の算術平均値を塑性
限界wP(%)とする。
7 計算
7.2 塑性限界
a)
6.2で求めた含水比を塑性限界wP(%)とする。 試験回数について明記。
4
A
1
2
0
5
:
2
0
2
0