A 1158:2020
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義··················································································································· 1
4 器具······························································································································· 2
5 縮分方法························································································································· 3
6 報告······························································································································· 5
附属書A(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表 ······························································ 6
A 1158:2020
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人
日本コンクリート工学会(JCI)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を改正すべきとの申出があり,
日本産業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本産業規格である。これによって,JIS A
1158:2014は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。国土交通大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
A 1158:2020
試験に用いる骨材の縮分方法
Method for reducing samples of aggregate to testing size
1
適用範囲
この規格は,細骨材及び粗骨材を所定量まで縮分する方法について規定する。ただし,対象とする粗骨
材は,最大寸法が40 mm以下とし,40 mmを超える骨材には適用しない。
なお,40 mmを超える骨材については,他の合理的な方法で縮分する。
技術上重要な改正に関する新旧対照表を,附属書Aに示す。
2
引用規格
次に掲げる引用規格は,この規格に引用されることによって,その一部又は全部がこの規格の要求事項
を構成している。この引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 0203 コンクリート用語
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次によるほか,JIS A 0203による。
3.1
縮分
骨材の特性値を極力変動させない手法によって,骨材の質量(容量)を減少させること
3.2
四分法
骨材を円形に広げて4分割し,対角線上に位置する二つの扇形に広がった骨材を採取することによって,
その量をおおむね1/2に縮分する方法
3.3
試料分取器
骨材を並行するスリットによって2分割し,その量をおおむね1/2に縮分する器具
2
A 1158:2020
4
器具
4.1
スコップ 四分法に使用するスコップは,先端の形状は直線とし,縮分する骨材を均等に採取でき
る大きさとする。なお,細骨材用のスコップは,小形の角形ハンドスコップでもよい。
4.2
試料分取器 試料分取器は,細骨材用及び粗骨材用とし,本体,骨材投入容器及び受容器で構成す
る(図1参照)。試料分取器の各部の仕様は,次による。
図1−試料分取器(細骨材用)の例
a) 本体 本体は,骨材投入口に幅が等しく偶数個の並行するスリットをもち,骨材を損失させることな
く,両側の受容器に均等にかつ滑らかに排出できるシュートをもつ構造とする。その材質は金属製と
し,骨材投入によって変形することのない十分強固なものとする。また,隣接するスリットは,骨材
を別方向に交互に排出できなければならない。
なお,スリットの数及び幅の寸法は,表1及び図2による。
表1−試料分取器本体の仕様
区分
スリットの数
スリットの幅の寸法
細骨材用
偶数で12個以上
10 mm以内とする。
粗骨材用
偶数で8個以上
縮分する骨材の最大寸法の3.5倍以内とし,
全量が通過する間隔とする。
図2−試料分取器(スリット)の仕様の例
3
A 1158:2020
b) 骨材投入容器 骨材投入容器は,一定の速度で骨材を均等に投入できるもので,その幅は,本体の骨
材投入口(スリットの全幅)と同様とする。
c) 受容器 左右2個とし,本体によって分割された骨材を損失させることなく,分割された骨材を十分
に収納できる容量とする。
5
縮分方法
縮分は,骨材の種類,最大寸法,骨材量,試験の目的などを考慮して,縮分後に必要な所定量が得られ
るように,次の四分法若しくは試料分取器による方法,又は両者を組み合わせた方法で行う1)。人工軽量
骨材,再生骨材などは,品質が偏る場合があるため,採取する試料の量を増やし,縮分回数を多くするこ
とが望ましい。
注1) 最大寸法の大きい粗骨材又は表面水をもつ細骨材の場合は,四分法が適しており,乾燥した細骨
材は,試料分取器による方法が適している。また,骨材量が多い場合は,四分法が適しており,
骨材量が少ない場合は,試料分取器による方法が適している。四分法によって,ある程度の量ま
で縮分し,その後,試料分取器を用いて縮分すると合理的である。
a) 四分法による方法 四分法による縮分方法は,次による。
1) 縮分する骨材の含水状態を試験の目的に応じて調整する。なお,骨材が絶乾状態の場合,縮分によ
って微粒分が飛散する可能性があるため,例えば,微粒分量試験に供する骨材を縮分する場合は,
表面水を若干もつ状態に調整するとよい。
2) 1)の骨材を,骨材粒子が損失したり,異物が混入しないように,硬く清浄で必要な広さをもつ床な
どの平らな場所に置く。
3) 骨材全体の天地を2回以上切り返してよく混合する。
4) 2回以上切返しを行った後,骨材をスコップで1杯ずつ同じ位置に積み上げ,骨材全体を円すい(錐)
状にする。
なお,骨材を積み上げるときには,大小の粒子が同心円上に均等に広がるように積み上げなけれ
ばならない(図3参照)。
5) 円すい(錐)の頂上をスコップで注意深く押し広げて平らにする。平らに押し広げた骨材の直径は,
厚さの4倍〜8倍程度とする(図4参照)。
6) 押し広げた骨材をスコップで4分割する。このとき,骨材から分離した微粒分も均等に分割する(図
5参照)。
7) 互いに対角線上に位置する二つの扇形に広がった骨材を採取し,よく混合して一つの試料(縮分し
た骨材)とする(図6参照)。
なお,二つの扇形に広がった骨材を採取するときは,ほうき(箒),ブラシなどを用いて微粒分も
残らず採取し,混合する。
8) 3)〜7)の操作を繰り返して,所定量まで縮分する。
4
A 1158:2020
図3−四分法(骨材を積み上げた状態)
図4−四分法(骨材を押し広げた状態)
図5−四分法(骨材を4分割した状態)
図6−四分法(対角線上に位置する二つの扇形に
広がった骨材を採取した状態)
b) 試料分取器による方法 試料分取器による縮分方法は,次による。
1) 骨材の種類及び最大寸法に応じた仕様の試料分取器を準備する。
2) 縮分する骨材の含水状態を試験の目的に応じて調整する。なお,表面水がある細骨材は,試料分取
器の内側に付着し,滑らかに排出できない場合があるので注意する。
3) 2)の骨材を,骨材投入容器内に入れる。このとき,各スリットにほぼ等しい量の骨材が投入できる
ように,容器内の骨材を均等にならす。
4) 試料分取器の受容器に骨材が自由に流れ出る速度で骨材を骨材投入口に投入する(図7参照)。
5) 左右の受容器に排出された骨材を,それぞれ一つの試料(縮分した骨材)とする(図8参照)。
6) 一つの試料(縮分した骨材)をよく混合し,3)〜5)の操作を繰り返して,所定量まで縮分する。
図7−試料分取器による縮分状況
図8−試料分取器による縮分後の状況
5
A 1158:2020
6
報告
報告は,次の事項のうち必要なものを記載する。
a) 骨材の種類,最大寸法及び産地
b) 試料の採取場所及び採取年月日
c) 縮分前の試料の質量及び含水状態(絶乾・気乾など)
d) 縮分方法(四分法,試料分取器,両者を組み合わせた方法),縮分回数
e) 縮分後の試料の質量及びその用途
f)
縮分した年月日
6
A 1158:2020
附属書A
(参考)
技術上重要な改正に関する新旧対照表
現行規格(JIS A 1158:2020)
旧規格(JIS A 1158:2014)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
2 引用規格 次に掲げる引用規格は,この規格に引用されること
によって,その一部又は全部がこの規格の要求事項
を構成している。この引用規格は,その最新版(追
補を含む。)を適用する。
JIS A 0203 コンクリート用語
なし
なし
引用規格としてJIS A 0203
を追加した。
3 用語及び
定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次によるほ
かJIS A 0203による。
2 用語及び
定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
一般的な用語は,JIS A 0203
によることを追記した。
5 縮分方法 なし(縮分の回数を削除した。)
4 縮分方法 さらに,縮分の回数は,c)による。
縮分の回数は,縮分した試
料を用いる骨材試験の方法
及び目的に応じて定めるの
が合理的であることから,
この規格から削除した。
5 縮分方法 縮分後に必要な所定量が得られるように,次の四分
法若しくは試料分取器による方法,又は両者を組み
合わせた方法で行う1)。人工軽量骨材,再生骨材など
は,品質が偏る場合があるため,採取する試料の量
を増やし,縮分回数を多くすることが望ましい。
4
c) 縮分の
回数
所定量まで縮分する回数は,2回以上とする4)。
注4) 採取する試料の量は,試験の目的,試験項目
などによって異なるため具体的な質量(容
量)は規定しないが,所定量まで縮分する回
数は2回以上とする。人工軽量骨材,再生骨
材などは,品質が偏る場合があるため,採取
する試料の量を増やし,縮分回数を多くする
ことが望ましい。
縮分の回数は,縮分した試
料を用いる骨材試験の方法
及び目的に応じて定めるの
が合理的であることから,
この規格から削除した。
ただし,人工軽量骨材,再
生骨材などでは,採取する
試料の量を増やして品質の
偏りを抑制し,縮分回数を
多くすることが望ましいた
め,試験の推奨方法として,
本文に移した。
2
A
1
1
5
8
:
2
0
2
0
7
A 1158:2020
現行規格(JIS A 1158:2020)
旧規格(JIS A 1158:2014)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
5 縮分方法
注1) 最大寸法の大きい粗骨材又は表面水をもつ
細骨材の場合は,四分法が適しており,乾燥
した細骨材は,試料分取器による方法が適し
ている。また,骨材量が多い場合は,四分法
が適しており,骨材量が少ない場合は,試料
分取器による方法が適している。四分法によ
って,ある程度の量まで縮分し,その後,試
料分取器を用いて縮分すると合理的である。
4 縮分方法
注1) 最大寸法の大きい粗骨材又は骨材量が多い
場合及び表面水をもつ細骨材の場合は,四分
法が適しており,乾燥した細骨材又は骨材量
が少ない場合は,試料分取器による方法が適
している。また,四分法によって,ある程度
の量まで縮分し,その後,試料分取器を用い
て縮分すると合理的である。
四分法が適している場合
と,試料分取器が適してい
る場合とを明確にするため
記載の順序を変更した。
5
a) 四分法
による方法
なし
4
a) 四分法
による方法
1) 対象とする骨材は,細骨材又は粗骨材とする。
1 適用範囲の記載と重複し
ているため,削除した。
5
a) 四分法
による方法
1)
1)中に“なお,骨材が絶乾状態の場合,縮分によって
微粒分が飛散する可能性があるため,例えば,微粒
分量試験に供する骨材を縮分する場合は,表面水を
若干もつ状態に調整するとよい。”を追加した。
4
a) 四分法
による方法
2)
注2) 骨材が絶乾状態の場合,縮分によって微粒分
が飛散する可能性があるため,例えば,微粒
分量試験に供する骨材を縮分する場合は,表
面水を若干もつ状態に調整するとよい。
試験の推奨方法であるた
め,本文に移した。
5
a) 四分法
による方法
7),8)
7) 互いに対角線上に位置する二つの扇形に広がっ
た骨材を採取し,よく混合して一つの試料(縮分
した骨材)とする(図6参照)。
なお,二つの扇形に広がった骨材を採取すると
きは,ほうき(箒),ブラシなどを用いて微粒分
も残らず採取し,混合する。
8) 3)〜7)の操作を繰り返して,所定量まで縮分す
る。
4
a) 四分法
による方法
8),9)
8) 対角線上に位置する二つの扇形に広がった骨材
を取り除く。
なお,骨材を取り除くときは,ほうき(箒),
ブラシなどを用いて微粒分も残らず取り除く(図
6参照)。
9) 残った二つの扇形に広がった骨材をよく混合し
て一組の試料(縮分した骨材)とし,4)〜8)の操
作を繰り返して,所定量まで縮分する。
従来の規定の表現では,取
り除いた試料の取扱いが不
明瞭であったため,手順を
明確にするために,四分法
の用語の定義に即した表現
に改めた。
図6
四分法(対角線上に位置する二つの扇形に広がった
骨材を採取した状態)
図6
四分法(対角線上を除去した状態)
本文の修正に合わせて,図
の題名を修正した。
5
b) 試料分
取器による
方法
なし
4
b) 試料分
取器による
方法
1) 対象とする骨材は,細骨材又は粗骨材とする。
1 適用範囲の記載と重複し
ているため,削除した。
2
A
1
1
5
8
:
2
0
2
0
8
A 1158:2020
現行規格(JIS A 1158:2020)
旧規格(JIS A 1158:2014)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
5
b) 試料分
取器による
方法
2)
2)中に“なお,表面水がある細骨材は,試料分取器の
内側に付着し,滑らかに排出できない場合があるの
で注意する。”を追加した。
4
b) 試料分
取器による
方法
3)
注3) 表面水がある細骨材は,試料分取器の内側に
付着し,滑らかに排出できない場合があるの
で注意する必要がある。
実質的に試験の方法を推奨
しているため,本文に移し
た。
6 報告
d)
縮分方法(四分法,試料分取器,両者を組み合わせ
た方法)
5 報告
d)
縮分方法(四分法,試料分取器,その他の方法)
趣旨を明確にするために表
現を改めた。
2
A
1
1
5
8
:
2
0
2
0