A 1149:2017
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 試験装置及び器具 ············································································································· 2
5 供試体···························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 2
6.1 供試体の準備 ················································································································ 2
6.2 供試体寸法の測定 ·········································································································· 2
6.3 ひずみ測定器の取付け ···································································································· 2
6.4 載荷の準備 ··················································································································· 2
6.5 載荷方法 ······················································································································ 2
7 結果の計算 ······················································································································ 3
8 報告······························································································································· 3
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 4
附属書JB(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表 ····························································· 8
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(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本
コンクリート工学会(JCI)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本
工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS A 1149:
2010は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
A 1149:2017
コンクリートの静弾性係数試験方法
Method of test for static modulus of elasticity of concrete
序文
この規格は,2010年に第1版として発行されたISO 1920-10を基とし,使用実態を反映するため,技術
的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。また,技術上重要な改正に関する新旧対照表を附属書JBに
示す。
1
適用範囲
この規格は,静的な圧縮力を受けるコンクリート円柱供試体及び構造物から採取した円柱コア供試体の
縦方向の静弾性係数を求める試験方法について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 1920-10:2010,Testing of concrete−Part 10: Determination of static modulus of elasticity in
compression(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 1107 コンクリートからのコアの採取方法及び圧縮強度試験方法
JIS A 1108 コンクリートの圧縮強度試験方法
JIS A 1132 コンクリートの強度試験用供試体の作り方
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
静弾性係数
供試体の応力−ひずみ曲線において,最大荷重の1/3に相当する応力点と供試体の縦ひずみ50×10−6の
ときの応力点とを結ぶ線分の勾配として与えられる割線静弾性係数。
3.2
検長
2
A 1149:2017
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
供試体のひずみを検出する長さ。
3.3
ひずみ測定器
供試体の縦ひずみを検出するための測定器の総称。
なお,縦ひずみの検出センサーには,ひずみゲージ,差動トランス式変位計などを用いる。
4
試験装置及び器具
試験装置及び器具は,次による。
4.1
圧縮試験機及び上下の加圧板 圧縮試験機及び上下の加圧板は,JIS A 1108の4.(装置)に規定する
ものとする。
4.2
ひずみ測定器 ひずみ測定器は,供試体の縦ひずみ(ひずみ度)を10×10−6以下の精度で測定でき
るものとする。また,ひずみ測定器の検長は,コンクリートに用いた粗骨材の最大寸法の3倍以上かつ供
試体の高さの1/2以下とする。
5
供試体
供試体は,JIS A 1132の箇条4(圧縮強度試験用供試体)によって作製した円柱形の供試体又はJIS A 1107
によって切り取った円柱形のコア供試体とする。
なお,コア供試体の高さがその直径の2倍になるように成形する。
6
試験方法
6.1
供試体の準備
供試体は,所定の養生を終わった直後の含水状態で試験ができるようにしなければならない。
水中養生又は湿潤養生を行った供試体は,ひずみゲージを貼り付けるため,供試体の表面を自然乾燥さ
せてもよい。
6.2
供試体寸法の測定
JIS A 1132の箇条4によって作製した円柱供試体の場合はJIS A 1108に,円柱コア供試体の場合はJIS A
1107によって,供試体の寸法を測定する。
6.3
ひずみ測定器の取付け
ひずみ測定器は,供試体の軸に平行かつ対称な二つの線上で,供試体の高さの1/2の位置を中心に取り
付ける。
6.4
載荷の準備
載荷の準備は,次による。
a) 試験は,温度及び湿度の変化の少ない室内で行う。
b) 供試体は,供試体直径の1 %以内の誤差で,中心軸が加圧板の中心と一致するように置く。
6.5
載荷方法
載荷方法は,次による。
a) 載荷は,供試体に衝撃を与えないように一様な速度で行う。
なお,載荷の初期段階において過大な速度で供試体に荷重を加えると,初期ひずみが測定できない
ため注意する必要がある。
b) 荷重を加える速度は,圧縮応力度の増加が毎秒0.6±0.4 N/mm2になるようにする。
3
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) 供試体の縦ひずみは,最大荷重の1/2程度まで測定し,その測定間隔は等間隔として少なくとも10点
以上記録する。
d) 供試体が急激な変形を始めた後は,荷重を加える速度の調整を中止して,荷重を加え続ける。
e) 供試体が破壊するまでに圧縮試験機が示す最大荷重を有効数字3桁まで読む。
7
結果の計算
試験結果の計算は,次による。
a) 6.5の結果から,供試体ごとに応力−ひずみ曲線を作成する。
b) 各供試体の静弾性係数は,次の式によって算出し,四捨五入して有効数字3桁に丸める。
3
2
1
2
1
10−
×
−
−
=
ε
ε
S
S
Ec
ここに,
Ec: 各供試体の静弾性係数(kN/mm2)
S1: 最大荷重の1/3に相当する応力(N/mm2)
S2: 供試体の縦ひずみ50×10−6のときの応力(N/mm2)
ε1: S1の応力によって生じる供試体の縦ひずみ
ε2: 50×10−6
8
報告
報告は,次の事項について行う。
a) 必ず報告する事項 必ず報告する事項は,次による。
1) 試験年月日
2) 供試体の種類
3) 供試体の番号
4) 供試体の寸法
5) 供試体の養生方法及び養生温度
6) ひずみ測定器の種類及び検長(mm)
7) 最大荷重(N)及び圧縮強度(N/mm2)
8) 静弾性係数(kN/mm2)
b) 必要に応じて報告する事項 必要に応じて報告する事項は,次による。
1) 供試体の材齢
2) 供試体の採取方法
3) コア供試体の場合,その切取り位置
4) コア供試体の場合,その切取り方法
5) コア供試体の場合,切り取った構造物の概要
6) 応力−ひずみ曲線
7) 供試体の破壊状況
8) コア供試体の材齢
4
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附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS A 1149:2017 コンクリートの静弾性係数試験方法
ISO 1920-10:2010,Testing of concrete−Part 10: Determination of static modulus of
elasticity in compression
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 コンクリート円柱供試
体及び円柱コア供試体
の静弾性係数試験方法
について規定。
1
JISと同じ
一致
2 引用規格
3 用語及び
定義
3
応力ひずみ曲線において,
最大荷重の1/3のときの応
力と0.5 MPaを結ぶ線分の
勾配
変更
3.1の静弾性係数を,圧縮強度の1/3
点の割線係数とする原則は一致し
ている。JISでは,基本応力をひず
みが50×10−6のときの応力とする
点が異なっている。
基本応力の上限載荷応力に対する
比が,コンクリートの強度又はコ
ンクリートの種類によって大きく
変化するのを避けるため。
追加
3.3ひずみ測定器を追加。
用語の追加であり実質的な差異は
ない。
4.1 圧縮試
験機及び上
下の加圧板
JIS A 1108の4.(装置)
5.1
試験機
EN 12390-4又は国家規格
に適合
一致
4.2 ひずみ
測定器
検長が,粗骨材の最大
寸法の3倍以上かつ供
試体高さの1/2以下。
5.2
検長が,供試体直径の2/3
以上で直径を超えてはな
らない。
変更
JISでは,検長を粗骨材最大寸法の
3倍以上かつ供試体の高さの1/2以
下とした。
左記の検長であれば正しいひずみ
を測定できることを確認している
ため。
2
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1
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(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5 供試体
−
6.1
供試体数
参照測定法では,3本を強
度用,2本を静弾性係数用
とし,合計5本とする。逐
一測定法の場合は,3本と
する。
削除
JISでは供試体数を限定しない。
使用実態に合わせて限定しないこ
ととした。
JIS A 1132,JIS A 1107。
コア供試体の高さは直
径の2倍。
6.2
供試体の高さは直径の2〜
4倍,2倍を推奨。直径は,
作製供試体の場合は100
mm以上かつ粗骨材の最大
寸法の4倍以上。コア供試
体の場合は100 mm以上か
つ粗骨材の最大寸法の3倍
以上。
変更
高さが直径の2倍である円柱形供
試体を推奨する点では一致する。
JISでは,立方体及び直方体供試体
を含まない。
立方体及び直方体供試体は,その
適用頻度が少ないため。
6 試験方法
6.1 供試体
の準備
6.3
ISO 1920-3
ISO 1920-4
ISO 1920-6
一致
6.2 供試体
寸法の測定
−
−
追加
必ず報告する事項の一つとして供
試体の寸法を規定しているが,旧規
格では,その測定方法及び試験手順
については規定していなかった。引
用規格であるJIS A 1107及びJIS A
1108では,供試体の寸法を必ず報
告する事項としているため,引用規
格と整合させるようにJISは追加
した。
同時に適用されることの多い引用
規格であるJIS A 1107及びJIS A
1108で供試体の寸法の測定方法を
規定し,必ず報告する事項として
いることを考慮し,供試体寸法の
測定について規定することとし
た。このためJISは追加したが国
際規格の見直しの際,提案を検討。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
6.3 ひずみ
測定器の取
付け
供試体の軸に平行,か
つ対称な二直線上。供
試体高さの1/2の位置。
5.2
供試体高さの中央で,端部
から測定器までの距離が
供試体高さの1/4以上。対
称の二面での測定を推奨。
一致
−
7.1
必要に応じ,供試体密度を
測定
削除
JISでは,供試体密度の測定を規定
しない。
国際規格は必要に応じてであるこ
とから実質的な差異はない。
−
7.2
圧縮強度の測定
削除
JISでは,静弾性係数と圧縮強度の
測定を同時に測定する,逐一測定法
と一致。事前の圧縮強度試験は行わ
ない。
JISでは,単調載荷としたため,
あらかじめ圧縮試験を実施する必
要がない。国際規格の見直しの際,
提案を検討。
6.4 載荷の
準備
供試体中心が誤差1 %
以内で,加圧板の中心
と一致するように置
く。
7.3
ISO 1920-4引用
一致
6.5 載荷方
法
圧縮応力度の増加を毎
秒0.6±0.4 N/mm2。測
定は等間隔で,最大荷
重の1/2まで行う。少
なくとも10点計測。
7.3
圧縮応力度の増加を,毎秒
0.20から0.60 N/mm2。
測定方法を,参照測定法と
逐一測定法の二つを規定。
(参照測定法)
0.5 N/mm2と圧縮強度の
1/3の応力で,応力とひず
みを計測。計測の際,荷重
を60秒維持する。
(逐一測定法)
連続的に計測する。
変更
JISは,参照測定法は規定せず,単
調載荷とし連続的に測定を行う逐
一測定法だけを規定。
JISでは,単調載荷としたため,
あらかじめ圧縮試験を実施する必
要がない。精度の良い試験機を用
いて,正確に作った供試体を正規
の場所に置けば,ひずみの測定値
に大きな差は生じないことと,予
備載荷の静弾性係数に及ぼす影響
が小さいことを確認したため。
7 結果の計
算
静弾性係数は,3.1の定
義に対応する式によっ
て計算し,有効数字3
桁に丸める。
7.4
静弾性係数は,3.1の定義
に対応する式によって計
算し,有効数字3桁に丸め
る。
一致
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0
1
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
8 報告
必ず報告する事項と必
要に応じて報告する事
項とを区分して規定。
7.3.2
1/3応力時の左右のひずみ
が,平均値の±20 %より差
がある場合は報告。
削除
数値の規定に検討が必要なため
JISは削除したが国際規格の見直
しの際,提案を検討。
8.1.2
8.2
JISとほぼ同じ
変更
ISO規格に規定されJISにはない項
目
c) 混和材料の使用
g) 密度
k) 基本応力,圧縮強度の1/3応力
l) k)の応力でのひずみ
o) 試験方法に合わない事項
国内の使用実態に合わせて変更し
た。国際規格の見直しの際,提案
を検討。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 1920-10:2010,MOD
注記1
箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致 ················ 技術的差異がない。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JB
(参考)
技術上重要な改正に関する新旧対照表
現行規格(JIS A 1149:2017)
旧規格(JIS A 1149:2010)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
1 適用範囲
この規格は,静的な圧縮力を受けるコンクリート
円柱供試体及び構造物から採取した円柱コア供試
体の縦方向の静弾性係数を求める試験方法につい
て規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応
の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 1920-10:2010,Testing of concrete−
Part 10: Determination of static modulus
of elasticity in compression(MOD)
1 適用範囲
この規格は,静的な圧縮力を受けるコンクリート
円柱供試体及び構造物から採取した円柱コア供試
体の縦方向の弾性係数を求める試験方法について
規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応
の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 6784:1982,Concrete−Determination
of static modulus of elasticity in
compression(MOD)
対応する国際規格が改訂され
たため,整合させた。
6.2供試体寸
法の測定
JIS A 1132の箇条4(圧縮強度試験用供試体)によ
って作製した円柱供試体の場合はJIS A 1108に,
円柱コア供試体の場合はJIS A 1107によって,供
試体の寸法を測定する。
−
−
供試体の測定方法を追加し
た。
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