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目 次
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1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 試料ろ液 ························································································································· 1
4 分析方法 ························································································································· 1
5 結果······························································································································· 2
6 報告······························································································································· 2
附属書A(規定)試料ろ液の採取が困難なフレッシュコンクリートからの試料ろ液の採取方法 ············ 3
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本コン
クリート工学協会(JCI)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業
標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS A 1144:2001は改正され,この規格に置き換えられた。
また,令和2年10月26日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。国土交通大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
日本産業規格 JIS
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フレッシュコンクリート中の水の塩化物イオン濃度
試験方法
Method of test for chloride concentration in water of fresh concrete
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適用範囲
この規格は,フレッシュコンクリート中の水の塩化物イオン濃度の試験方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 1115 フレッシュコンクリートの試料採取方法
JIS K 0101 工業用水試験方法
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 0127 イオンクロマトグラフ分析通則
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
JIS Z 8801-1 試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい
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試料ろ液
フレッシュコンクリート試料は,JIS A 1115によって採取する。試料ろ液は,次のいずれかとする。
a) フレッシュコンクリートの上面に浮き出たブリーディング水
b) フレッシュコンクリートをJIS Z 8801-1に規定する公称目開き4.75 mmのふるいによってウェットス
クリーニングを行って分離したモルタル分の上面に浮き出たブリーディング水
c) フレッシュコンクリートから吸引ろ過,加圧ろ過(圧搾)又は遠心分離によって採取した水
d) フレッシュコンクリートをJIS Z 8801-1に規定する公称目開き4.75 mmのふるいによってウェットス
クリーニングを行って分離したモルタル分から吸引ろ過,加圧ろ過(圧搾)又は遠心分離によって採
取した水
e) フレッシュコンクリートの粘性が高く試料ろ液の採取が困難な場合は,附属書Aの試料ろ液の採取方
法によって採取した水
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分析方法
試料ろ液の塩化物イオン(Cl−)量の分析方法は,次のいずれかとする。ただし,妨害イオンの影響が
あるため試料ろ液はあらかじめ酸化しておく。
a) JIS K 0101の32.1[チオシアン酸水銀(Ⅱ)吸光光度法]
b) JIS K 0101の32.3(硝酸銀滴定法)
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c) JIS K 0113の5.(電位差滴定方法)に準じた塩化物イオン電極を用いた電位差滴定方法
d) JIS K 0127
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結果
試験は,同一試料ろ液について2回行う。塩化物イオン濃度は,分析結果を質量分率(%)で小数点以
下3けたまで求めて,その平均値を四捨五入によって小数点以下2けたに丸める。
なお,試料ろ液を附属書Aの方法によって採取した場合は,質量分率(%)で小数点以下3けたまで求
めた分析結果に希釈倍率を乗じ,その平均値を四捨五入によって小数点以下2けたに丸める。
注記 フレッシュコンクリート中の塩化物イオン含有量(kg/m3)は,得られた塩化物イオン濃度(%)
に配合による単位水量(kg/m3)を乗じれば求められる。
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報告
報告は,次の事項について行う。
a) コンクリートの配合
b) 試料ろ液の採取方法及び保管方法
c) 分析方法
d) 塩化物イオン濃度(%)
ただし,試料ろ液を附属書Aの方法によって採取した場合は,保管方法に変え,フレッシュコンクリー
ト試料中の水の希釈倍率を報告する。
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附属書A
(規定)
試料ろ液の採取が困難なフレッシュコンクリートからの試料ろ液の
採取方法
序文
この附属書は,粘性が高く試料ろ液の採取が困難なフレッシュコンクリート試料を水によって希釈し,
試験に供する試料ろ液を採取する方法について規定する。
A.1 試験用器具
試験用器具は,次のものを用いる。
A.1.1 はかり はかりは,ひょう量がフレッシュコンクリート試料とかくはん容器との合計質量以上で,
目量が1 g又はこれより小さいものとする。
A.1.2 かくはん容器 かくはん容器は,フレッシュコンクリート試料と水とを入れてかくはんを行っても
漏れの生じない十分な大きさのものとする。
なお,かくはん時に転倒震とう(盪)を行う場合は,フレッシュコンクリート試料と水とを入れて転倒
震とう(盪)ができる大きさのポリプロピレン製広口瓶などを用いるとよい。
A.2 希釈に用いる水
フレッシュコンクリート試料の希釈に用いる水は,蒸留法若しくはイオン交換法によって精製した水,
又は逆浸透法,蒸留法,イオン交換法などを組み合わせた方法によって精製した水とする。
JIS K 0557に規定する種別A1以上又は日本薬局方に規定する精製水以上の純度に精製された水を用い
るとよい。
A.3 フレッシュコンクリート試料中の水の希釈倍率
フレッシュコンクリート試料中の水の希釈倍率は,3倍を標準とする。
A.4 フレッシュコンクリート試料のはかりとり量
フレッシュコンクリート試料は,2 kg以上を1 gのけたまではかりとる。
A.5 フレッシュコンクリート試料に添加する水の量
フレッシュコンクリート試料に添加する水の量は,次の式(1)及び式(2)によって計算し,四捨五入によっ
て1 g単位で整数に丸める。
(
)1
−
×
=
m
s
a
D
W
W
······································································· (1)
M
W
M
W
s
s
×
=
············································································ (2)
ここに,
a
W: フレッシュコンクリート試料に添加する水の量(g)
s
W: フレッシュコンクリート試料中の水の質量(g)
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m
D: フレッシュコンクリート試料中の水の希釈倍率
s
M: フレッシュコンクリート試料の質量(g)
W: 配合による単位水量(kg/m3)
M: 配合によって求めたコンクリートの単位容積質量(kg/m3)
A.6 フレッシュコンクリート試料の希釈方法
フレッシュコンクリート試料の希釈方法は,次による。
a) フレッシュコンクリート試料をはかりとる。フレッシュコンクリート試料は,かくはん容器に直接は
かりとることが望ましい。
b) フレッシュコンクリート試料にA.5で求めた規定量の水を加え,かくはんする。かくはんは,フレッ
シュコンクリート試料中のセメントペーストと水とが十分に混ざり合い均質となるまで行う。
1回目のかくはんが終了したらかくはん容器を静置し粗骨材が完全に沈降するのを待ち,この後2
回目のかくはんを行う。2回目のかくはんが終了したらかくはん容器を静置し粗骨材が完全に沈降す
るのを待つ。
なお,普通骨材を用いたコンクリートを試験する場合,かくはん容器をおよそ5分間静置すれば,
粗骨材が完全に沈降するとみなしてよい。
A.7 懸濁水及びモルタル分の採取並びに試料ろ液の抽出方法
希釈したフレッシュコンクリート試料からの試料ろ液の抽出は,次による。
a) 希釈したフレッシュコンクリート試料の上部から懸濁水及びモルタル分の必要量を採取する。
b) 採取した懸濁水及びモルタル分から試料ろ液を抽出する。試料ろ液を抽出する方法は,次のいずれか
とする。
なお,吸引ろ過によって試料ろ液を得るときに長い時間を要する場合には,ろ液が減圧環境下にお
いて蒸発し濃縮する可能性がある。また,環境温度が高いと蒸発が促進されるため,吸引ろ過以外の
抽出方法をとることが望ましい。
1) 吸引ろ過
2) 加圧ろ過(圧搾)
3) 遠心分離