A 1112:2012
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 試験用器具 ······················································································································ 1
4 密度の測定 ······················································································································ 1
5 試料······························································································································· 2
6 試験方法························································································································· 2
7 計算······························································································································· 2
8 報告······························································································································· 3
8.1 必ず報告する事項 ·········································································································· 3
8.2 必要に応じて報告する事項 ······························································································ 3
附属書A(参考)技術上重要な改正に関する新旧対照表 ······························································ 6
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本
コンクリート工学会(JCI)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本
工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS A 1112:2003は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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フレッシュコンクリートの洗い分析試験方法
Method of test for washing analysis of fresh concrete
1
適用範囲
この規格は,フレッシュコンクリートの配合を洗い分析試験によって求める方法について規定する。
なお,技術上重要な改正に関する旧規格との対照を附属書Aに記載する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 1103 骨材の微粒分量試験方法
JIS A 1109 細骨材の密度及び吸水率試験方法
JIS A 1115 フレッシュコンクリートの試料採取方法
JIS A 1116 フレッシュコンクリートの単位容積質量試験方法及び空気量の質量による試験方法(質量
方法)
JIS A 1134 構造用軽量細骨材の密度及び吸水率試験方法
JIS A 1138 試験室におけるコンクリートの作り方
JIS R 5201 セメントの物理試験方法
JIS Z 8801-1 試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい
3
試験用器具
試験用器具は,次による。
a) コンクリートの単位容積質量の測定などに用いる容器,はかり及び突き棒は,JIS A 1116に規定する
ものとする。
b) モルタルの洗い分析試験に用いるはかりは,ひょう量10 kg以上で,目量1 g以下のものとする。
c) モルタルの水中における見掛けの質量の測定に用いる容器は,水密で,容量は5 L以上とし,その底
は丸みをもったものとする。
d) ふるいは,JIS Z 8801-1に規定する公称目開き4.75 mm,600 μm及び90 μm金属製網ふるい1)とする。
注1) これらのふるいは,それぞれ5 mmふるい,0.6 mmふるい,0.09 mmふるいと呼ぶことがで
きる。5 mmふるいは,枠の寸法が標準寸法より大型のものを用いるのが便利である。
4
密度の測定
セメント及び細骨材について,次の方法によって試験を行い,それらの密度を求めておく。
a) セメントの密度試験 セメントの密度試験は,JIS R 5201による。又は,セメント生産者が提示する
2
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試験成績書の値を用いる。
b) 細骨材の密度試験 細骨材の密度試験は,JIS A 1109又はJIS A 1134による。
5
試料
試料は,次による。
a) コンクリートの試料採取方法は,JIS A 1115の規定によるか,又はJIS A 1138の規定による。
b) コンクリートの試料の量は,粗骨材の最大寸法が50 mm以下のときは約20 L,50 mmを超えるときは
約40 Lとする。
6
試験方法
試験方法は,次による。
a) 箇条5の試料から洗い分析用として,代表的試料を粗骨材の最大寸法が50 mm以下のときは約5 kg,
50 mmを超えるときは約6 kg採取する。さらに,残りの試料を用いJIS A 1116によってコンクリート
の単位容積質量を量り,B(kg/m3)とする。このとき,単位容積質量試験の容器の内容積及び容器内
のコンクリートの質量を測定し,それぞれV(L)及びmb(kg)とする。
b) 単位容積質量を量った試料全部を5 mmふるいを用いてふるい分け,粗骨材とモルタルとに分離する。
c) b)の操作によって得られた粗骨材を水洗いし,表面乾燥飽水状態2)として質量を量り,mg(kg)とす
る。
注2) 軽量骨材の場合は,表面乾燥状態。
d) a)で採取した洗い分析用試料を1 gまで正確に量った後,5 mmふるいの上で水で洗いながら粗骨材と
モルタル試料にふるい分ける。5 mmふるいにとどまった粗骨材を表面乾燥飽水状態2)として質量を量
り,試料質量から差し引いてモルタルの質量を求めmm(g)とする。
e) d)で得られたモルタル試料を水中での質量測定用の容器に入れ,容器中の水が2 L程度となるように,
かくはんしながら試料中の空気を完全3)に追い出す。この操作の終了後,水面の泡を取り除き,必要
に応じて,アルコール,消泡剤などを加えて泡を消す。約10分間静置した後,容器に入れたまま試料
を水中に入れ,容器外側に付着する気泡を確実に取り除き水中における試料の見掛けの質量を量り,
mm'(g)とする。
注3) 空気を完全に除くことは,試験誤差を少なくするために極めて重要である。
f)
水中における見掛けの質量を量ったモルタル試料は,0.6 mmふるい及び0.09 mmふるい上で順次水で
洗いながらふるい分ける4)。これらのふるいにとどまった試料の和の水中における見掛けの質量を量
り,ms'(g)とする。
注4) 0.09 mmふるいで洗い分析する場合には,あらかじめ試料に十分水を加え,かくはんして懸
濁液の状態として,ふるいを通すのが便利である。
7
計算
試験の結果は,次の式によって算出し,四捨五入して整数に丸める。
モルタル試料中のセメントの質量:mc(g)
)
1
´
´
(
−
×
−
=
c
c
s
m
c
m
m
m
ρ
ρ
ここに,
ρc: セメントの密度(g/cm3)
3
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mm': 水中におけるモルタル試料の見掛けの質量(g)
ms': 水中における細骨材の見掛けの質量(g)
モルタル試料中の細骨材(0.09 mmふるいにとどまるもの)の質量:ms(g)
1
´
−
×
=
s
s
s
sm
m
ρ
ρ
ここに,
ρs: 細骨材の表乾密度(g/cm3)
モルタル試料中の水の質量:mw(g)
)
(
s
c
m
w
m
m
m
m
+
−
=
ここに,
mm: モルタルの質量(g)
単位粗骨材量:G(kg/m3)
000
1
×
=V
m
G
g
ここに,
mg: 骨材の表面乾燥(飽水)状態の質量(g)
単位モルタル量:M(kg/m3)
G
B
M
−
=
ここに,
B: コンクリートの単位容積質量(kg/m3)
単位セメント量:C(kg/m3)
m
c
m
m
M
C
×
=
単位細骨材量:S(kg/m3)
m
s
m
m
M
S
×
=
単位水量:W(kg/m3)
m
w
m
m
M
W
×
=
必要のある場合には,あらかじめJIS A 1103に準じて,細骨材及び粗骨材の0.09 mmふるいを通過する
質量の百分率を求めておき,これを用いてセメント及び細骨材,粗骨材の質量を補正する。
注記 結果の検討を行いたい場合には,箇条6 f)において0.09 mmふるいを通った材料の乾燥質量を
用いる。
8
報告
8.1
必ず報告する事項
必ず報告する事項は,次による。
a) 単位セメント量(kg/m3)
b) 単位水量(kg/m3)
c) 単位細骨材量(kg/m3)
d) 単位粗骨材量(kg/m3)
e) 水セメント比(%)
8.2
必要に応じて報告する事項
必要に応じて報告する事項は,次による。
4
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a) コンクリートの配合
b) スランプ(cm)
c) 空気量(%)
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参考 単位セメント量,単位水量,単位細骨材量,単位粗骨材量及び水セメント比の計算例を次に示
す。
セメントの密度 ρc=3.15(g/cm3)
細骨材の密度 ρs=2.59(g/cm3)
コンクリートの単位容積質量(kg/m3)
394
2
000
1
955
.9
833
.
23
=
×
=
=V
m
B
b
単位粗骨材量(kg/m3)
121
1
000
1
955
.9156
.
11
=
×
=
=Vm
G
g
単位モルタル量(kg/m3)
273
1
121
1
394
2
=
−
=
−
=
G
B
M
洗い分析用コンクリート試料の質量(g)
998
5
0=
m
m0中の粗骨材の質量(g)
848
2
=
a
m
モルタル試料の空中における質量(g)
150
3
848
2
998
5
0
=
−
=
−
=
a
m
m
m
m
モルタル試料の水中における見掛けの質量(g)
696
1
´=
m
m
モルタル試料中の細骨材の水中における見掛けの質
量(g)
087
1
´=
s
m
モルタル試料中のセメントの質量(g)
892
1
15
.3
15
.3
)
087
1
696
1(
1
)´
´
(
=
−
×
−
=
−
×
−
=
c
c
s
m
c
m
m
m
ρ
ρ
モルタル試料中の細骨材の質量(g)
771
1
1
59
.2
59
.2
087
1
1
´
=
−
×
=
−
×
=
s
s
s
s
m
m
ρ
ρ
モルタル試料中の水の質量(g)
487
)
771
1
892
(
150
3
)
(
=
+
−
=
+
−
=
s
c
m
w
m
m
m
m
単位セメント量(kg/m3)
360
150
3
892
273
1
=
×
=
×
=
m
c
m
m
M
C
単位細骨材量(kg/m3)
716
150
3
771
1
273
1
=
×
=
×
=
m
s
m
m
M
S
単位水量(kg/m3)
197
150
3487
273
1
=
×
=
×
=
m
w
m
m
M
W
水セメント比(%)
7.
54
360
197
100
=
=
×
C
W
上記の試験結果を示方配合と比較すれば,次のとおりである。
種類
示方配合における単位量(kg/m3)
洗い分析試験結果(kg/m3)
セメント
水
細骨材
粗骨材
364
182
709
1 101
360
197
716
1 121
水セメント比(%)
50.5
54.7
注記 粗骨材の最大寸法25 mmのコンクリート
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
技術上重要な改正に関する新旧対照表
現行規格(JIS A 1112:2012)
旧規格(JIS A 1112:2003)
改正理由
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
及び題名
内容
4 密度の
測定
a) セメントの密度試験は,JIS R 5201によ
る。又は,セメント生産者が提示する試験
成績書の値を用いる。
4. 密度の
測定
a) セメントの密度試験は,JIS R 5201によ
る。
セメント生産者が提示する試験成績書の密度の
値を用いることも現実的であり,試験上の問題
も生じないため。
6 試験方
法
e) 泡を消すためにアルコール,消泡剤など
を加える。
6. 試験方
法
e) 泡を消すためにイソプロピルアルコー
ルを加える。
消泡作用のあるものであれば,試験上,物質を
特定する必要がないため。
7 計算
必要な場合,JIS A 1103に準じて,細骨材及
び粗骨材の0.09 mmふるいを通過する質量
の百分率を求め,セメント及び細骨材,粗
骨材の質量を補正する。
7. 計算
必要な場合,JIS A 1103によって,細骨材
の0.09 mmふるいを通過する質量の百分率
を求め,セメント及び細骨材の質量を補正
する。
JIS A 1103では0.075 mm以下の粒子を対象とす
るため,“準じる”こととした。また,粗骨材中
の微細粒子も無視できない可能性があるため,
考慮できるようにした。
6
A
1
11
2
:
2
0
1
2