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A 0004 : 1999 (ISO 2848 : 1984)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣・建設大臣が

改正した日本工業規格である。これによって,JIS A 0004 : 1964 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正によって,この規格の本体は,ISO 2848 : 1984, Building construction−Modular coordination−

Principle and rules

に一致するものとなった。


日本工業規格

JIS

 A

0004

 : 1999

 (ISO

2848

 : 1984

)

建築のモデュラー

コーディネーションの原則

Principle of modular coordination in buildings

序文  この規格は,1984 年に第 2 版として発行された ISO 2848, Building construction−Modular coordination

−Principle and rules を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。

1.

適用範囲  この規格は,モデュラーコーディネーションの目的を規定し,建築物の寸法を決める際並

びに構成材,設備部品,集成部品の位置設定及びそれらの寸法設定を行う際に適用される一般原則につい

て規定する。

モデュラーコーディネーションは,あらゆるタイプの建築物の設計,あらゆるタイプの建築構成材の設

計及び生産並びに建築物の建設に適用される。

)  モデュラーコーディネーションは,また,タウンプランニングにも適用してもよい。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 2848, Building construction

−Modular coordination−Principle and rules

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS A 0001

  建築のベーシックモデュール

備考  ISO 1006, Building construction−Modular coordination−Basic module がこの規格と一致してい

る。

JIS A 0002

  建築モデュール用語

備考  ISO 1791, Building construction−Modular coordination−Vocabulary がこの規格と一致している。

ISO 1040, Building construction

−Modular coordination−Multimodules for horizontal coordinating

dimensions

ISO 6512, Building construction

−Modular coordination−Storey heights and room heights

ISO 6513, Building construction

−Modular coordination−Series of preferred multimodular sizes for

horizontal dimensions

ISO 6514, Building construction

−Modular coordination−Sub-modular increments

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS A 0002 による。


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A 0004 : 1999 (ISO 2848 : 1984)

4.

モデュラーコーディネーションの目的  モデュラーコーディネーションの基本的な目的は,構成材が,

相互に,ほかの構成材と,及び現場の建築物の組立にも適合するような方法の標準化によって,建築産業

とその関連産業を援助することである。それによって,建築物の経済性を向上させることができる。

したがって,モデュラーコーディネーションは,次のような効果がある。

a)

建築の設計者,製造業者,流通業者,建設業者,及び他の業者間の協力を容易にする。

b)

設計作業において,設計の自由を制限することなく,標準構成材を用いて建築物を組み立てることが

できるように寸法を決めることを可能にする。

c)

種々のタイプの建築物の建設に対し,限定された数の標準化された建築構成材を使用することで,柔

軟なタイプの標準化を可能にする。

d)

建築構成材の標準サイズの数を最適化する。

e)

材料,形態,又は製造方法のいかんにかかわらず,可能な限り,構成材の互換性を促進する。

f)

建築構成材の位置出し,据付け,及び組立の合理化によって現場作業を簡略化する。

g)

建築物のほかの部分と同様に,設置されたもの(設備,収納ユニット,その他の取付け家具など)間

のディメンジョナルコーディネーションを明確化する。

5.

モデュラーコーディネーションの基本  モデュラーコーディネーションは,本質的に,次のことに基

づいている。

a)

ベーシックモデュール

b)

標準化されたマルチモデュール

c)

ビルディングエレメント及びそれを構成している構成材の,コーディネーティングスペース並びにゾ

ーンを明確にするための基準系

d)

基準系においてビルディングエレメントを,位置づけるルール

e)

ワークサイズを決定するために,建築構成材のサイズを決めるルール

f)

建築構成材の優先サイズ及び建築物のコーディネーティング寸法を,明確にするルール

6.

モデュール

6.1

ベーシックモデュール  ベーシックモデュールは,モデュラーコーディネーションにおけるサイズ

の基本単位である。

ベーシックモデュールの倍数は,建築構成材,それらが構成する建築の部品及び建築物のモデュラーサ

イズになる。

6.2

マルチモデュール  マルチモデュールは,ベーシックモデュールに,標準化され選ばれた整数を乗

じたものである。特定の用途に適した種々のマルチモデュールが考えられるが,モデュラーコーディネー

ションを行う場合は,マルチモデュールの数値は任意に選択すべきではなく,標準化されたマルチモデュ

ールだけを使用する。

マルチモデュールを使用することによって,モデュラーサイズの数をかなり減らすことが可能である。

特に構成材について,それが機能要素の一部となっている場合に,その寸法の少なくとも一つが機能要素

の寸法と等しい場合には,有効である。

選択されたマルチモデュールに基づくマルチモデュールサイズを基本とするシリーズによって,

さらに,

モデュールサイズの数を減らすことが可能である。


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A 0004 : 1999 (ISO 2848 : 1984)

6.3

サブモデュラーインクレメント  サブモデュラーインクレメントは,ベーシックモデュールの選択

された分数値であり,ベーシックモデュールよりも,より小さな増分が必要な場合に用いられる。

サブモデュラーインクレメントを用いることによって,1M よりも,より小さなきざみを必要とする構

成材と,1M より小さな寸法を一つ又はそれ以上もつ構成材との両方にモデュラーコーディネーションを

行うことが可能である。

全体として計画の適切な計画を行うためモデュラーグリッドを再配置する場合に,サブモデュラーイン

クレメントをその位置決めに用いてもよい。

しかし,サブモデュラーインクレメントを,モデュラースペースグリッドのモデュール基準面間の距離

を決めるために用いないほうがよい。

7.

ノンモデュラーサイズのコーディネーション  モデュラーコーディネーションを全体的に使用する

ことは,いつも可能で経済的であるわけではない。そこで,ノンモデュラーサイズの使用を,場合によっ

ては考える必要がある。特に,多くの建築構成材及び集成部品の厚さは,ノンモデュールであってもよい。

その厚さは,経済性と機能性を強く考慮して決定される。ある場合には,そのサイズは,ベーシックモデ

ュールの単純な分数を用いることによってコーディネーションすることができる。

参考  ノンモデュラーサイズとは,モデュラーサイズ(ベーシックモデュールの整数倍であるサイズ)

ではないサイズ。

8.

基準系  基準系とは,建築構成材又は集成部品のサイズ及び位置が関連づけられる点,線,並びに面

の系である。

基準系は,主として設計段階を通じて用いられることが望ましい。そして,敷地における測定が始めら

れたときから線の系の基本を構成してもよい。

8.1

モデュラースペースグリッド  モデュラースペースグリッドは,建築及び建築構成材が位置づけら

れる三次元の基準系である。したがって,その面は,設計に応じて,モデュラー構成材で満たすことので

きる自由なモデュラースペースを構成する。この系における面相互間の距離は,ベーシックモデュール(ベ

ーシックモデュールグリッド)又はマルチモデュール(マルチモデュラーグリッド)に等しい(

図 参照)。

モデュラースペースグリッドにおける基準面は,モデュラー面とよばれる。

備考  このマルチモデュールは,モデュラースペースグリッドの三つの方向において異なってもよい。

8.2

モデュラーグリッド  設計においては,モデュラースペースグリッドを水平及び垂直に投影したモ

デュラーグリッドを用いて二次元で表現する。

種々のモデュラーグリッドを,目的に応じて,同じ平面又は立面において用いてもよい(

図 参照)。

グリッドを使用する利点は,ベーシックモデュールグリッドが,建築のすべてにおいて連続性を保って

いれば,グリッドが建築計画において連続した基準系を与えるということである。構成材の位置及びそれ

に対応するモデュラー寸法は,図面を作成することによって,また,それらが最終図面に表されている限

り,図面を読むことによって認識することができる。

8.2.1

ベーシックモデュールグリッド  基本的なモデュラーグリッドにおいては,並列して並ぶ平行線の

間隔がベーシックモデュールに等しい(JIS A 0001 参照)

8.2.2

マルチモデュラーグリッド  ベーシックモデュールグリッドに付け加えて,線の間隔がマルチモデ

ュールであるようなマルチモデュラーグリッドが用いられてもよい。このマルチモデュールは,グリッド

の二つの方向において異なってもよい。


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A 0004 : 1999 (ISO 2848 : 1984)

通常,マルチモデュラーグリッドの線は,ベーシックモデュールグリッドの線に一致する。しかし,実

際には,それぞれの関係において異なる目的に応じたモデュラーグリッドを配置するほうが都合がよい場

合もある。一つの例は,

床構成材の支柱と等しい寸法をもつ壁構成材の位置を決定する水平グリッドから,

床構成材の位置を決定する水平グリッドへの置換えである。

8.2.3

モデュラーグリッドの中断のゾーン  場合によっては,モデュラーグリッドを中断する必要がある

(例えば,仕切りのエレメントを調整するため。

。モデュラーグリッドの中断の幅は,モデュールであっ

てもモジュールでなくてもよい(

図 参照)。

8.2.4

モデュラーグリッドの置換え  幾つかのモデュラーグリッドが同じ平面を設計する際に用いられ

る場合,一方向又は二方向において,グリッドを置き換えるほうが都合がよい場合もある。グリッド間の

置換えは,全体として計画に適切な解決を生み出すように選択しなければならない(

図 参照)。

9.

位置及び寸法決め  設計の目的のために,それぞれの建築構成材及び集成部品は,基準面又は基準線

によって定義されている基準系の空間,

すなわち,

割り当てられたモデュラースペースに位置づけられる。

このスペースは,ジョイント及び許容される寸法の偏差(

図 参照)のために必要な空間を含んでいる。

したがって,

モデュール計画においては,

構成材の位置を決めているモデュラー面又はグリッドラインは,

面押さえに適用される(

図 参照)。しかし,ある場合には,モデュラーグリッドに関して,例えば,構成

材の心押さえの方が実用的なこともある(

図 参照)。しかし,これは面押さえの特別な場合として考えら

れる。

実際には,構成材及び集成部品のワークサイズは,モデュラーサイズから導き出される。許容差は,特

に,製造,現場位置出し及び組立の偏差に対して考えなければならない。モデュラーコーディネーション

においては,フリースペース(室,壁や床の開口部など)は,そのモデュラー寸法よりも,より大きくな

ければならない。一方,そのスペースにはめることを意図している構成材は,モデュラー寸法より小さく

なければいけない。

10.

優先モデュラーサイズ  加算及び分割をより容易にすることと同様に,サイズの範囲をより少なくす

ることは,優先モデュラーサイズの全般的なシリーズを利用することで可能である。

種々の建築寸法に対するのと同様に,種々の構成材及び集成部品に対する優先モデュラーサイズについ

ての国際規格が決められている。

図 1  モデュラースペースグリッドの例


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A 0004 : 1999 (ISO 2848 : 1984)

図 2  二重がさねしたモデュラーグリッドの例

図 3  モデュラーグリッドの中断

図 4  モデュラーグリッドの置換えの例


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A 0004 : 1999 (ISO 2848 : 1984)

図 5  割り当てられたモデュラースペースに置かれた建築構成材の例

図 6  面押さえのモデュラー面の例

図 7  心押さえのモデュラー面の例


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A 0004 : 1999 (ISO 2848 : 1984)

建築モデュール等 JIS 改正原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

真  鍋  恒  博

東京理科大学工学部

(幹事)

奥  田  宗  幸

東京理科大学理工学部

安  藤  正  雄

千葉大学工学部

居  合  献  弥

建設省住宅局

石  井      守

住宅・都市整備公団建築技術試験所

岩  井  一  幸

東京家政学院大学人文学部工芸文化学科

大  嶋  清  治

工業技術院標準部

大  山      認

トステム株式会社ビル技術統轄部

勝  又  英  明

武蔵工業大学工学部

古  瀬      敏

建設省建築研究所

小  鑓  隆  史

通商産業省生活産業局住宅産業課

杉  山  義  孝

建設省住宅局

俵  谷  莞  三

株式会社梓設計

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会

深  尾  精  一

東京都立大学工学部

福  水  健  文

通商産業省生活産業局

百  瀬      深

社団法人プレハブ建築協会

吉  田  公  人

建設省大臣官房官庁営繕部