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Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1  適用範囲 

2

2  引用規格 

2

3  用語及び定義  

3

4  SPM の設計及び施工  

6

4.1  一般事項  

6

4.2  SPM の設計  

9

4.3  雷保護ゾーン(LPZ  

10

4.4  SPM の基本  

12

5  接地及びボンディング  

13

5.1  一般事項  

13

5.2  接地極システム  

14

5.3  ボンディング回路網  

15

5.4  ボンディング用バー  

19

5.5  LPZ の境界におけるボンディング  

19

5.6  ボンディング用構成部材の材料及び寸法  

20

6  磁気遮蔽及び配線経路  

21

6.1  一般事項  

21

6.2  空間遮蔽  

21

6.3  内部配線の遮蔽  

21

6.4  内部配線の経路  

21

6.5  外部配線の遮蔽  

21

6.6  磁気遮蔽の材料及び寸法  

21

7  協調のとれた SPD システム  

22

8  分離用(絶縁用)インターフェース  

22

9  SPM の管理  

22

9.1  一般事項  

22

9.2  SPM の管理計画  

23

9.3  SPM の検査  

24

9.4  保守  

25

附属書 A(参考)LPZ 内における電磁環境評価の基本  

26

附属書 B(参考)既設建築物等に対する SPM の実施  

47

附属書 C(参考)協調のとれた SPD システムの選定及び施工  

62

附属書 D(参考)SPD の選定において考慮する要素  

68


Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人電気

設備学会(IEIEJ)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改

正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格であ

る。これによって,JIS Z 9290-4:2009 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS Z 9290 の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS Z 9290-1  第 1 部:一般原則

JIS Z 9290-3  第 3 部:建築物等への物的損傷及び人命の危険 
JIS Z 9290-4  第 4 部:建築物等内の電気及び電子システム


日本工業規格

JIS

 Z

9290-4

:2016

(IEC 62305-4

:2010

)

雷保護−

第 4 部:建築物等内の電気及び電子システム

Protection against lightning-

Part 4: Electrical and electronic systems within structures

序文 

この規格は,2010 年に第 2 版として発行された IEC 62305-4 を基に,技術的内容及び構成を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

障害源としての雷は,高エネルギー現象であり,落雷による放電は,数百メガジュール(MJ)のエネル

ギーを放出するが,建築物等内の電気及び電子システムを構成する電子機器を破損させるのに十分な数ミ

リジュール(mJ)のエネルギーと対比した場合,これらの機器を保護するためには,追加の保護手段が必

要である。

この規格の必要性は,雷の電磁気的影響に起因する電気及び電子システムの故障費用の増大によって生

じたものである。特に重要な対象は,データ処理及び記憶装置,並びに多大な投資金額,規模及び複雑性

をもつプラントのプロセス制御及び安全性に用いている電子システムである(プラントの運転停止は,費

用及び安全面の理由から非常に好ましくない。

雷は,JIS Z 9290-1 に規定する,建築物等内における次の各種タイプの被害の原因となる。

− D1:感電による生物の死傷

− D2:火花放電を含む雷電流の影響による物的損傷(火災,爆発,機械的破壊及び化学物質の流出)

− D3:雷電磁インパルス(LEMP)による内部システムの故障

JIS Z 9290-3 は,物的損傷及び人命のリスクを低減するための保護対策に関するもので,電気及び電子

システムの保護は範囲外である。

この規格(JIS Z 9290-4)は,建築物等内の電気及び電子システムの恒久的故障のリスクを低減する保護

対策に関する情報を与えるものである。

電気及び電子システムの恒久的故障は,次の事項を介して雷電磁インパルスによって発生することがあ

る。

−  接続線を経由して機器に伝搬する雷サージ

−  放射電磁界による機器自体への直接的な影響

建築物等に対する雷サージは,次の建築物等への外部の要因又は建築物等の内部の要因によって発生す

ることがある。

−  建築物等外部の雷サージは,引込線への直撃雷又は近傍雷によって発生し,引込線を介して電気及び

電子システムへ伝搬する。


2

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

−  建築物等内部の雷サージは,建築物等への直撃雷又は近傍雷による結合で発生する。

注記 1  建築物等内部の雷サージは,例えば,誘導負荷の開閉のような開閉の影響でも発生する。

結合は,次の各種のメカニズムによって発生する。

−  抵抗結合(

例  建築物等の接地極システムの接地インピーダンス又はケーブル遮蔽部抵抗による。)

−  磁界結合(

例  電気及び電子システムの配線ループ及びボンディング導体のインダクタンスによる。)

−  電界結合(

例  ロッドアンテナによる。)

注記 2  電界結合は,一般的に磁界結合に比較して非常に小さく,無視することができる。

放射電磁界は,次によって発生する。

−  雷道に流れる直撃雷電流

−  導体に流れる部分雷電流[

例  JIS Z 9290-3 による外部雷保護システム(外部 LPS)の引下げ導線内

又はこの規格による外部との空間遮蔽内]

適用範囲 

この規格は,雷電磁インパルス(LEMP)による恒久的故障の発生を低減するため,建築物等内の電気

及び電子システムの保護対策の設計,施工,検査,保守及び試験について規定する。

この規格は,内部システムの機能不全を引き起こす雷による電磁妨害に対する保護には適用しない。た

だし,

附属書 に記載する情報は,このような妨害を評価するために用いることができる。電磁妨害に対

するイミュニティ及び保護対策は,IEC 61000 規格群及び JIS C 60364-4-44 で扱っている。

この規格は,保護方法に対する要求事項及び適切な保護効果を達成するために,電気及び電子システム

の設計者と保護対策の設計者との間の協力のための指針を示す。

この規格は,電気及び電子システム自体の詳細な設計に関しては規定していない。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 62305-4:2010,Protection against lightning−Part 4: Electrical and electronic systems within

structures(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”こ

とを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 5381-11  低圧サージ防護デバイス−第 11 部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバ

イスの要求性能及び試験方法

注記 1  対応国際規格:IEC 61643-1:2005, Low-voltage surge protective devices− Part 1: Surge

protective devices connected to low-voltage power distribution systems−Requirements and tests

注記 2  注記 に記載する対応国際規格及びこれに対応する JIS C 5381-1 は既に廃止されているた

め,JIS C 5381-1 に置き換わって制定された JIS C 5381-11 を引用した。

JIS C 5381-12  低圧サージ防護デバイス−第 12 部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバ

イスの選定及び適用基準

注記  対応国際規格:IEC 61643-12:2008,Low-voltage surge protective devices−Part 12: Surge


3

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

protective devices connected to low-voltage power distribution systems−Selection and application 
principles(IDT)

JIS C 5381-21  低圧サージ防護デバイス−第 21 部:通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイス

(SPD)の要求性能及び試験方法

注記  対応国際規格:IEC 61643-21,Low voltage surge protective devices−Part 21: Surge protective

devices connected to telecommunications and signalling networks−Performance requirements and 
testing methods(MOD)

JIS C 5381-22  通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準

注記  対応国際規格:IEC 61643-22,Low-voltage surge protective devices−Part 22: Surge protective

devices connected to telecommunications and signalling networks − Selection and application 
principles

JIS C 60364-5-53  建築電気設備−第 5-53 部:電気機器の選定及び施工−断路,開閉及び制御

注記  対応国際規格:IEC 60364-5-53:2001,Electrical installations of buildings−Part 5-53: Selection and

erection of electrical equipment−Isolation, switching and control(MOD)

JIS C 60664-1  低圧系統内機器の絶縁協調−第 1 部:基本原則,要求事項及び試験

注記  対応国際規格:IEC 60664-1:2007,Insulation coordination for equipment within low-voltage

systems−Part 1: Principles, requirements and tests(IDT)

JIS C 61000-4-5  電磁両立性−第 4-5 部:試験及び測定技術−サージイミュニティ試験

注記  対応国際規格:IEC 61000-4-5:2005,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-5: Testing and

measurement techniques−Surge immunity test(IDT)

JIS Z 9290-1  雷保護−第 1 部:一般原則

注記  対応国際規格:IEC 62305-1:2010,Protection against lightning−Part 1: General principles(IDT)

JIS Z 9290-3  雷保護−第 3 部:建築物等への物的損傷及び人命の危険

注記  対応国際規格:IEC 62305-3:2010,Protection against lightning−Part 3: Physical damage to

structures and life hazard(MOD)

IEC 61000-4-9:1993,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-9: Testing and measurement techniques−

Pulse magnetic field immunity test−Basic EMC Publication

IEC 61000-4-10:1993,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-10: Testing and measurement techniques

−Damped oscillatory magnetic field immunity test−Basic EMC Publication

IEC 62305-2:2010,Protection against lightning−Part 2: Risk management

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 9290-1 によるほか,次による。

3.1

電気システム(electrical system)

低圧配電系統部品で構成するシステム。

3.2

電子システム(electronic system)

通信機器,コンピュータ,制御及び計測システム,無線システム,並びにパワーエレクトロニクス設備

のようなぜい(脆)弱な(弱耐電圧特性の)電子部品素子で構成するシステム。


4

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

3.3

内部システム(internal systems)

建築物等の内部の電気及び電子システム。

3.4

雷保護,LP(lightning protection)

建築物等,その内部システム及び内容物,並びに人間に対する落雷の影響から保護する総合的なシステ

ム。これは,一般に,LPS 及び SPM で構成されている。

3.5

雷保護システム,LPS(lightning protection system)

建築物等への落雷による物的損傷及び生物への傷害を低減するために用いるシステム全体。

注記 1  これは,外部雷保護システム及び内部雷保護システムの両方で構成されている。

注記 2  これは,総合的なシステムである雷保護(LP)の一部である。

3.6

雷電磁インパルス,LEMP(lightning electromagnetic impulse)

雷サージ及び放射電磁界を発生する抵抗結合,誘導結合及び静電結合による,雷電流の全ての電磁気的

な影響。

3.7

雷サージ(surge)

LEMP によって発生する過渡的な過電圧及び/又は過電流。

3.8

定格インパルス耐電圧,U

W

(rated impulse withstand voltage)

製造業者が機器又はその部分に定めたインパルス耐電圧値。この値は,その機器の絶縁の過渡過電圧に

対する耐電圧性能を表す。

注記  この規格では,充電用導体と接地との間の耐電圧だけを対象としている。

3.9

雷保護レベル,LPL(lightning protection level)

自然界で発生する雷において,想定する最大及び最小の設計値の範囲内の雷電流パラメータの発生確率

に関係する数値。

注記  雷保護レベルは,雷保護対策を設計するために,関連する 1 組の雷電流パラメータの組合せか

ら選択して用いられる。

3.10

雷保護ゾーン,LPZ(lightning protection zone)

雷の電磁気的環境を定義した領域。

注記 LPZ の領域の境界は,物理的境界(例  壁,床,天井)を必要としていない。

3.11

LEMP 保護対策,SPM(LEMP protection measures)

内部システムの LEMP の影響に対する保護のための対策手段。

注記  これは,総合的なシステムである雷保護(LP)の一部である。

3.12

格子状空間遮蔽(grid-like spatial shield)


5

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

格子状開口部寸法によって特性付けられる磁気遮蔽。

注記  ビル又は部屋に対し,建築物等の相互接続した金属製構造体によって構築することが望ましい

例  コンクリート内の鉄筋,金属枠,金属支え)。

3.13

接地極システム(earth-termination system)

外部 LPS の一部で,雷電流を大地に放流することを目的としたシステム。

3.14

ボンディング回路網(bonding network)

建築物等及び内部システム(充電用導体は除く。

)の全ての導体部を接地極システムへ相互接続した回路

網。

3.15

接地システム(earthing system)

接地極システム及びボンディング回路網を結合したシステム全体。

3.16

サージ防護デバイス,SPD(surge protective device)

過渡過電圧を制限し,サージ電流を分流することを目的とした,1 個以上の非線形素子を内蔵している

デバイス。

3.17

I

imp

で試験した SPD(SPD tested with I

imp

代表波形 10/350 μs の部分雷電流に対応するインパルス試験電流 I

imp

に耐える SPD。

注記  電源回路に対する適切な試験電流 I

imp

は,JIS C 5381-11 のクラス I 試験方法に規定している。

3.18

I

n

で試験した SPD(SPD tested with I

n

代表波形 8/20 μs の誘導サージ電流に対応するインパルス試験電流 I

n

に耐える SPD。

注記  電源回路に対する適切な試験電流 I

n

は,JIS C 5381-11 のクラス II 試験方法に規定している。

3.19

コンビネーション波形発生器で試験した SPD(SPD tested with combination wave)

代表波形 8/20 μs の誘導サージ電流に対応するインパルス試験電流 I

SC

に耐える SPD。

注記  電源回路に対する適切なコンビネーション波形試験は,開回路電圧 U

OC

 1.2/50 μs 及び短絡電流

I

SC

 8/20 μs で,内部抵抗 2  Ω のコンビネーション波形発生器による JIS C 5381-11 のクラス III

試験方法に規定している。

3.20

電圧スイッチング形 SPD(voltage switching type SPD)

サージを印加していない場合は高インピーダンスであるが,サージ電圧に応答して瞬時にインピーダン

スが低くなる SPD。

注記 1  電圧スイッチング形 SPD 内に用いる一般的な素子には,エアギャップ,ガス入り放電管,サ

イリスタ形サージ防護素子などがある。これらを“クローバ素子”ということがある。

注記 2  電圧スイッチング形 SPD は,不連続な電圧−電流特性をもつ。

3.21

電圧制限形 SPD(voltage limiting type SPD)


6

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

サージを印加していない場合は高インピーダンスであるが,サージ電圧及び電流の増加に従い連続的に

インピーダンスが減少する SPD。

注記 1  電圧制限形 SPD 内に用いる一般的な素子には,バリスタ,アバランシブレークダウンダイオ

ードなどがある。これらを“クランピング素子”ということがある。

注記 2  電圧制限形 SPD は,連続的な電圧−電流特性をもっている。

3.22

複合形 SPD(combination type SPD)

電圧スイッチング形の素子及び電圧制限形の素子の両方を併せもつ SPD。印加電圧の特性に応じて,電

圧スイッチング,電圧制限又はこれら両方の特性を示すことがある。

3.23

協調のとれた SPD システム(coordinated SPD system)

電気及び電子システムの故障の低減を目的として,適切に選定し,協調をとって設置した複数の SPD。

3.24

分離用(絶縁用)インターフェース(isolating interfaces)

雷保護ゾーン(LPZ)内に引き込む線を伝導する雷サージを低減することができる装置。

注記 1  これらには,巻線間の遮蔽板を接地した絶縁変圧器,非金属の光ファイバケーブル及び光ア

イソレータを含む。

注記 2  これらの装置の絶縁耐力特性は,この適用に対して本質的な特性によって,又は SPD を介し

て利用することができる。

注記 3  空間を利用する場合は分離用インターフェース,絶縁物を利用する場合は絶縁用インターフ

ェースと使い分けられるが,この規格では区別せず,分離用(絶縁用)インターフェースと

する。

4 SPM の設計及び施工 
4.1 

一般事項 

電気及び電子システムは,LEMP から損傷を受けやすい。したがって,内部システムの故障発生を防止

するため,LEMP 保護対策(SPM)を設置する必要がある。

SPM の設計は,電磁両立性(EMC)及び施工の実務での広い知識をもつ雷保護及び雷サージ防護の専門

家によって実施することが望ましい。

LEMP に対する保護は,雷保護ゾーン(LPZ)の概念に基づき,被保護システムを含む空間を LPZ で分

割しなければならない。これらのゾーンは,LEMP の厳しさがそのゾーン内の内部システムのイミュニテ

ィレベルと両立できるように理論上割り当てた空間(又は内部システム)の部分である(

図 参照)。隣

り合うゾーンは,LEMP の厳しさの明確な差によって特性付ける。LPZ の境界は,採用する保護対策によ

って決定する(

図 参照)。


7

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

○:直接又は適切な SPD による引込線・管類のボンディング 
注記  この図は,建築物等を内部 LPZ に分割した例を示している。建築物等に接続する全ての金属製の引込線・管

類は,LPZ 1 境界でボンディング用バーを経由してボンディングしている。さらに,LPZ 2(

例  電算室)に

接続する導電性の引込線・管類は,LPZ 2 の境界でボンディング用バーを経由してボンディングしている。

図 1−異なる LPZ に分割する基本的原則 


8

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

a)  空間遮蔽及び協調のとれた SPD システムを用いた SPM:[伝導雷サージ(U

2

U

0

I

2

I

0

及び放射磁界(H

2

H

0

)に対して十分に保護した機器] 

b) LPZ 

の空間遮蔽及び LPZ 1 の引込口での SPD 保護を実施した SPM:[伝導雷サージ 

U

1

U

0

I

1

I

0

)及び放射磁界(H

1

H

0

)に対して保護した機器] 

c)  内部配線の遮蔽及び LPZ 1 の引込口での SPD 保護を実施した SPM:[伝導雷サージ 

U

2

U

0

I

2

I

0

)及び放射磁界(H

2

H

0

)に対して保護した機器] 

図 2SPMLEMP 保護対策)の実施例 

LPZ 0

LPZ 1

LPZ 2

I

0

H

0

U

1

I

1

U

0

I

0

U

2

I

2

H

2

H

部分雷電流

LPS+LPZ 1 の遮蔽

被保護機器

きょう(筐)体

SPD

(SB)

SPD

(MB)

H

0

LPZ 2 の遮蔽

(破損のおそれあり)

(破損のおそれあり)

LPS+LPZ 1 の遮蔽

I

0

H

0

部分雷電流

被保護機器

きょう(筐)体

U

1

I

1

SPD

(MB)

U

0

I

0

H

1

H

0

LPZ 1

LPZ 0

(破損のおそれあり)

I

0

H

0

部分雷電流

LPS(遮蔽なし)

被保護機器

遮蔽ケース,

U

2

I

2

(MB)

U

0

I

0

H

0

H

2

H

2

シャーシーなど

    SPD

LPZ 1

LPZ 0

LPZ 2


9

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

d)  協調のとれた SPD システムだけを用いた SPM:[機器は,伝導雷サージ(U

2

U

0

I

2

I

0

に対しては保護しているが,放射磁界(H

0

)に対しては保護していない] 

      :遮蔽境界 
      :非遮蔽境界 
注記 1 SPD は,次の箇所に設置できる。

− LPZ

1 の境界[例  主分電盤(MB)]

− LPZ

2 の境界[例  二次分電盤(SB)]

−  機器の近傍又は接続部[

例  コンセント部分(SA)]

注記 2  詳細な設置規定は,JIS C 60364-5-53 参照。

図 2SPMLEMP 保護対策)の実施例(続き) 

LEMP による電気及び電子システムの恒久的故障は,次の原因によって発生する。

a)  接続線を経由して機器に伝搬する伝導及び誘導の雷サージ

b)  放射電磁界による機器自体への直接的な影響

機器へ直接被害を及ぼす放射電磁界の影響に対する保護には,空間遮蔽及び/又は遮蔽した線からなる

SPM を,遮蔽した機器エンクロージャと組み合わせて用いることが望ましい。

接続線を経由して機器に伝搬する伝導及び誘導の雷サージの影響に対する保護には,協調のとれた SPD

システムの SPM を用いることが望ましい。

機器が関連する EMC 製品規格に規定する無線周波の放射及びイミュニティに適合する場合,機器に対

して直接放射する電磁界による機器の故障は無視することができる。

一般に,機器は,関連する EMC 製品規格に適合する必要があり,協調のとれた SPD システムで構成す

る SPM は,通常 LEMP の影響に対して機器を十分に保護する。

関連する EMC 規格に適合しない機器の場合,協調のとれた SPD システムで構成する SPM だけでは,

LEMP の影響から十分に保護できない。この場合,電磁界の直接的影響に対して最適な保護を実現するた

めの方法に関する情報を,

附属書 に示す。放射磁界に対する機器のイミュニティレベルは,IEC 61000-4-9

及び IEC 61000-4-10 によって選定する必要がある。

特別な適用が必要な場合,耐性保護協調を検証するため,実験室において模擬した SPD,配線及び実機

を含んだシステムレベルの試験を実施してもよい。

4.2 SPM の設計 

SPM は,雷サージ及び放射磁界から機器を保護するために,次によって設計することが望ましい。LPS,

磁気遮蔽及び協調のとれた SPD システムの保護対策を実施した SPM の例を,

図 に示す。

(破損のおそれあり)

LPZ 0

LPZ 1

LPZ 2

H

0

U

1

I

1

U

0

I

0

U

2

I

2

部分雷電流

LPS(遮蔽なし)

被保護機器

きょう(筐)体

SPD

(SB)

SPD

(MB)

H

0

I

0

H

0

SPD(SA)


10

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

a)  空間遮蔽及び協調のとれた SPD システムを用いた SPM は,放射磁界及び伝導雷サージに対して保護

することができる[

図 の a)  参照]。複数の空間遮蔽及び直列に接続した協調のとれた SPD システム

は,磁界及び雷サージをより低い脅威レベルに低減することができる(SPD については,D.3 参照)

b) LPZ

1 の空間遮蔽及び LPZ 1 の引込口の SPD 保護を用いた SPM は,放射磁界及び伝導雷サージに対

して機器を保護することができる[

図 の b)  参照]。

注記 1  磁界が減衰しない(LPZ 1 の遮蔽効果が低い)場合,又は雷サージが減衰しない(高い電

圧に対する SPD の防護レベルが低い,及び SPD の機器側配線への誘導の影響が残る。

)場

合,十分な保護はできない。

c)  遮蔽された機器エンクロージャと組み合わせた内部配線の遮蔽を用いた SPM は,放射磁界に対して保

護することができる。LPZ 1 の引込口の SPD は,伝導雷サージに対して保護することができる[

図 2

の c)  参照]

。より低い脅威レベルを達成するため(1 段階で LPZ 0 から LPZ 2 へ)に,十分に低い適

切な電圧防護レベルとするための特別な SPD(

例  内部に LPZ 0 と LPZ 2 との追加協調)を必要とす

ることがある。

d) SPD が伝導雷サージに対してだけ保護をするため,協調のとれた SPD システムを用いた SPM は,放

射磁界の影響を受けない機器を保護するためだけに適用することができる[

図 の d)  参照]。協調の

とれた SPD システムを用いることで,より低い脅威レベルを達成することができる。

注記 2  図 の a)c)による手法は,関連する EMC 製品規格に適合しない機器に対して推奨する。

注記 3  等電位ボンディングの SPD を用いただけの JIS Z 9290-3 による LPS は,ぜい(脆)弱な電

気及び電子システムの保護に対して何ら効果的な保護にはならない。メッシュ幅の短縮及

び適切な SPD の選定によって LPS が改善でき,その結果,これらが SPM の効果的な構成

要素となる。

4.3 

雷保護ゾーン(LPZ 

雷の危険を考慮して,各 LPZ を 4.3.1 及び 4.3.2 に定義する(JIS Z 9290-1 参照)

4.3.1 

外部ゾーン 

外部ゾーンは,次のように分類する。

a) LPZ

0:雷の減衰していない電磁界による危険があり,更に内部システムが全雷サージ電流又は部分

雷サージ電流にさら(曝)される可能性のあるゾーン。LPZ 0 は,b)及び c)のように分類する。

b) LPZ

0

A

:直撃雷放電及び全雷電磁界による危険があるゾーン。内部システムは,全雷サージ電流にさ

ら(曝)される可能性がある。

c) LPZ

0

B

:直撃雷放電に対しては保護しているが,全雷電磁界による危険があるゾーン。内部システム

は,部分雷サージ電流にさら(曝)される可能性がある。

4.3.2 

内部ゾーン(直撃雷放電に対して保護している場合) 

内部ゾーンは,次のように分類する。

a) LPZ

1:雷サージ電流が,電流分流及び分離用(絶縁用)インターフェースによって,並びに/又は

境界での SPD によって制限されるゾーン。空間遮蔽は,雷電磁界を低減することができる。

b) LPZ

2,…,n:雷サージ電流が,電流分流及び分離用(絶縁用)インターフェースによって,並びに

/又は境界での追加の SPD によって更に制限されるゾーン。追加の空間遮蔽は,雷電磁界を更に低減

することができる。

注記  一般に,個々のゾーンの番号が高いほど,電磁環境のパラメータ(雷サージ及び放射磁界の値)

は小さい。


11

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

例えば,協調のとれた SPD システム及び/又は磁気遮蔽による SPM の設置によって,LPZ を構築する

ことができる(

図 参照)。被保護機器の数,種類及びイミュニティレベルによって,適切な LPZ を決定

することができる。LPZ には,小さな局部的ゾーン(

例  機器エンクロージャ)から大きな統合したゾー

ン(

例  全建築物等空間)までを含む(図 B.2 参照)。

二つの分離した建築物等は,電力線又は信号線によって接続するか,又は必要な SPD の数を低減する場

合は,同一レベルの LPZ を相互接続することが必要である(

図 参照)。

注記  この図は,電力線又は信号線によって接続した 2 個

の LPZ 1 を示す。両方の LPZ 1 が,互いに数 10 m

又は数 100 m 離れた別の接地システムをもつ別の
建築物等の場合には,特別の注意を払うことが望ま

しい。この場合には,保護していない接続線に沿っ

て雷電流の大部分が流れることがある。

注記  両 LPZ 1 を相互接続する場合,シールドケーブル又

は遮蔽したケーブルダクトを用いて,その遮蔽部が

部分雷電流を流すことができるようにすることで,
この問題を解決できる。これを図に示す。この遮蔽

に沿った電圧降下がそれほど大きくない場合,SPD

を省略できる。

a) SPD を用いて相互接続した 個の LPZ 1 

b)  シールドケーブル又は遮蔽したケーブルダクトを用

いて相互接続した 個の LPZ 1 

注記  この図は,電力線又は信号線によって接続した 2 個

の LPZ 2 を示す。ラインは LPZ 1 の脅威レベルにあ

るので,各 LPZ 2 の引込口に SPD を必要とする。

注記  両 LPZ 2 を相互接続する場合,シールドケーブル又

は遮蔽したケーブルダクトを用いることで,干渉を

避けることができ,SPD を省略できる。これを図に
示す。

c) SPD を用いて相互接続した 個の LPZ 2 

d)  シールドケーブル又は遮蔽ケーブルダクトを用いて

相互接続した 個の LPZ 

図 3−相互接続した LPZ の例 

他の LPZ の内部に LPZ を拡張することは,特別な場合に必要になるか,又は必要な SPD の数を低減す

る場合に用いてもよい(

図 参照)。

LPZ 内の電磁環境の評価に関する詳細情報を,附属書 に示す。


12

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

注記  変圧器によって電力供給している建築物等を図

に示す。変圧器が建築物等の外にある場合,建築
物等に引き込む低圧線だけに SPD による保護が

必要である。

注記  建築物等内に変圧器を設置し,高圧側に避雷器を

設置しない場合(建築物等の所有者は,高圧側に
保護対策の設置を許可しないことがよくある。

低圧側だけに SPD を必要とする LPZ 1 内中に
LPZ 0 を拡張することでこの問題を解決できる。
これを図に示す。

a)  変圧器が建築物等の外部(LPZ 0)にある場合 b) 

変圧器が建築物等の内部にある場合(LPZ 1 内に
LPZ 0 を拡張) 

注記  電力線又は信号線が引き込まれている LPZ 2 を

図に示す。この引込線には,LPZ 1 の境界と LPZ 
2 の境界に 2 個の SPD で協調をとる必要がある。

注記 LPZ 2 をシールドケーブル又は遮蔽ケーブルダ

クトを用いて LPZ 1 内に拡張する場合,引込線を

直接 LPZ 2 に引き込むことができる。これを,図
に示す。ただし,この SPD は,脅威レベルを直

ちに LPZ 2 のレベルに低減する。

c) 2 個の SPD で協調をとる必要がある場合: 

SPD(ゾーン 0/1 間)及び SPD(ゾーン 1/2 間) 

d) 1 個の SPD だけが必要な場合: 

SPD(ゾーン 0/2 間)(LPZ 1 内に LPZ 2 を拡張)

図 4−拡張した雷保護ゾーンの例 

4.4 SPM の基本 

LEMP に対する基本的な保護対策は,次による。

a)  接地及びボンディング(箇条 参照)  接地極システムは,伝導した雷電流を大地に放流する。

ボンディング回路網は,電位差を最小化し,磁界を低減することができる。

b)  磁気遮蔽及び配線経路(箇条 参照)  空間遮蔽は,建築物等に対する直撃雷又は近傍雷によって発

生した LPZ 内の磁界を減衰させ,内部雷サージを低減する。シールドケーブル又はケーブルダクトを

用いた内部配線の遮蔽は,内部に誘導する内部雷サージを最小化する。

内部配線の経路は,誘導ループを最小化し,内部雷サージを低減することができる。

注記 1  空間遮蔽並びに内部配線の遮蔽及び経路は,組み合わせて又は分割して用いることができ

る。

建築物等へ引き込む外部配線の遮蔽は,接続した内部システムへ伝導する雷サージを低減する。

c)  協調のとれた SPD システム(箇条 参照)  協調のとれた SPD システムは,外部及び内部で発生する


13

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

雷サージの影響を制限する。

d)  分離用(絶縁用)インターフェース(箇条 参照)  分離用(絶縁用)インターフェースは,引込線

から LPZ 内へ侵入する伝導雷サージの影響を制限する。

接地及びボンディングは,常に確実に実施し,特に,建築物等へ引き込む全ての導電性引込管類は,引

込口点で直接又は等電位ボンディング用 SPD を介してボンディングする。

他の SPM は,単独又は SPM を組み合わせて用いることができる。

SPM は,設置場所において想定する動作上のストレス(例  温度,湿度,腐食性雰囲気,振動,電圧及

び電流のようなストレス)に耐えなければならない。

最も適切な SPM の選定は,技術及び経済面を考慮して,IEC 62305-2 に規定するリスク評価によらなけ

ればならない。

既設建築物等内の内部システムのための SPM の実施における実用的な情報を,

附属書 に示す。

注記 2  JIS Z 9290-3 に規定する雷等電位ボンディング(EB)は,危険な火花放電の防止だけを対象

としている。雷サージに対する内部システムの保護は,この規格による協調のとれた SPD シ

ステムが必要である。

注記 3 SPM の実施に対する追加の情報は,JIS C 60364-4-44 を参照。

接地及びボンディング 

5.1 

一般事項 

適切な接地及びボンディングは,次のものを組み合わせた完全な接地システムを基礎としている(

図 5

参照)

a)  接地極システム(雷電流を地中へ放流) 
b)  ボンディング回路網(電位差の最小化及び磁界の低減)


14

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

接地極システム

注記  図示している全ての導体は,建築物等の金属製部材又はボンディング導体に接続している。これらの一

部は,雷電流を捕捉し,伝導し,大地に放流することもできる。

図 5−接地極システムに相互接続したボンディング回路網で構成する三次元の接地システム例 

5.2 

接地極システム 

建築物等の接地極システムは,JIS Z 9290-3 に従わなければならない。電気システムだけを設置してい

る建築物等内では,A 形接地極システムを用いることができるが,B 形接地極システムを用いる方が好ま

しい。電子システムのある建築物等では,B 形接地極システムを用いることが望ましい。

建築物等周囲の環状接地極又は基礎の周囲のコンクリート内環状接地極は,建築物等の下部及び周囲に

標準的なメッシュ幅 5 m のメッシュ回路網と統合することが望ましい。これが接地極システムの特性を大

きく改善する。建築物等地下室の床コンクリートの鉄筋が,規定どおりに相互接続したメッシュ構造で,

かつ,

標準的に 5 m ごとに接地極システムに接続している場合,

これもまた適切な接地極システムである。

工場プラントにおけるメッシュ接地システムの例を,

図 に示す。

ボンディング
回路網


15

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

①:鉄筋によるメッシュ状回路網をもつビル 
②:工場内の塔

③:独立機器(スタンドアロン)

④:ケーブルトレイ

図 6−工場のメッシュ状接地極システムの例 

接地システムを分離する特別な場合に関連する二つの内部システム間の電位差を低減するためには,次

の方法を採用することができる。

a)  電力線と同一経路とした多くの平行なボンディング導体,又は格子状の鉄筋入りコンクリート製ダク

ト(又は連続的に接続された金属製コンジット)内にケーブルを収納し,これらを両方の接地極シス

テムに統合する。

b)  適切な断面積の遮蔽層をもつシールドケーブルを,分離した接地システムの両端でボンディングする。 
5.3 

ボンディング回路網 

内部 LPZ 内の全ての機器間での危険な電位差の発生を防止するために,低インピーダンスのボンディン

グ回路網が必要である。さらに,このようなボンディング回路網は,磁界も低減する(

附属書 参照)。

これは,建築物等の金属製部材又は内部システムの部品を統合しているメッシュ状ボンディング回路網

によって,及び各々の LPZ の境界において直接又は適切な SPD を用いて全ての金属部品又は導電性引込

線をボンディングすることによって実現することができる。

ボンディング回路網は,標準メッシュ幅 5 m の三次元メッシュ状構造として表現することができる(

参照)。この回路網は,建築物等内及び屋上の金属製構成部材(コンクリート内鉄筋,エレベータ用レー


16

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

ル,クレーン,金属製屋根,金属製ファサード,窓及び扉の金属製枠,金属製床枠,金属製引込管,金属

製ケーブルトレーなど)に対して多数の相互接続をしなければならない。同様に,ボンディング用バー(

環状ボンディング用バー,建築物等の各階における幾つかのボンディング用バー)と LPZ の磁気遮蔽とを

相互接続しなければならない。

ボンディング回路網の例を,

図 及び図 に示す。

①:受雷部導体

②:屋根パラペットの金属カバー 
③:鉄筋

④:鉄筋上に重ねたメッシュ状導体

⑤:メッシュ状導体の接続部 
⑥:内部ボンディング用バーの接続部

⑦:溶接又はクランプによる接続

⑧:任意の接続部

⑨:コンクリート内の鉄筋(メッシュ状導体が重なる)
⑩:環状接地電極(ある場合)

⑪:基礎接地電極 
a:重ねるメッシュ状導体の標準幅 5 m 
b:このメッシュを鉄筋と接続する標準距離 1 m

図 7−等電位ボンディングのための建築物等の鉄筋の利用の例 


17

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

①:電動力機器 
②:鋼製桁

③:ファサードの金属製カバー

④:ボンディング接続部 
⑤:電気又は電子機器

⑥:ボンディング用バー 
⑦:コンクリート内の鉄筋(メッシュ導体が重なる)

⑧:基礎接地極

⑨:各種引込線・管の共通引込口

図 8−鉄筋コンクリート造の建築物等における等電位ボンディングの例 

内部システムの導電性部分(

例  キャビネット,機器エンクロージャ,ラック)及び保護接地導体(PE)

は,

図 のように形状によるボンディング回路網にボンディングしなければならない。


18

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

スター形状  ○

S

(S 形)

メッシュ形状  ○

M

(M 形)

基本形状

ボンディング

回路網への統合

:ボンディング回路網

:ボンディング導体

:機器

   

:ボンディング回路網へのボンディング点

ERP

:接地基準点

S

S

:スター接続点によって統合したスター形状

M

M

:メッシュによって統合したメッシュ形状

図 9−内部システムの導電性部分のボンディング回路網への統合 

S 形を用いる場合,内部システムの全ての金属製部材(例  キャビネット,機器エンクロージャ,ラッ

ク)は,接地システムから分離又は絶縁しなければならない。S 形は,結果として S

S

形になる接地基準点

(ERP)として作用する単一ボンディング用バーによって接地システムに相互接続しなければならない。S

形を用いる場合,個別の機器間の全ての配線は,誘導ループを避けるために,S 形に従ったボンディング

導体に沿って平行に,かつ,接近して敷設しなければならない。内部システムが比較的小さいゾーン内に

配置し,かつ,全ての引込線を 1 か所だけからゾーンに引き込む場合,S 形を用いることができる。

M 形を用いる場合,内部システムの金属製部材を,接地システムと分離絶縁しないが,多数のボンディ

ング点によってこのボンディング回路網に統合し,結果として M

M

形となる。比較的広い複数のゾーン又

は建築物等全体に広がる内部システムに対し,多くの配線によって機器の各所間を接続し,かつ,建築物

等に数箇所から引き込む場合,M 形を用いることが望ましい。

複雑なシステムでは,

図 10 に示すとおり,両方の形(M 形及び S 形)の利点を組み合わせることがで

き,結果として,組合せ 1(M

M

を組み合わせた S

S

)又は組合せ 2(M

M

を組み合わせた M

S

)となる。


19

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

組合せ  1

組合せ  2

ボンディング 
回路網への統合

:ボンディング回路網

:ボンディング導体

:機器

   

:ボンディング回路網へのボンディング点

ERP

:接地基準点

S

S

:スター接続点によって統合したスター形状

M

M

:メッシュによって統合したメッシュ形状

M

S

:スター接続点によって統合したメッシュ形状

図 10−電子システムのボンディング回路網への統合方法の組合せ 

5.4 

ボンディング用バー 

ボンディング用バーは,次による。

a)  ボンディング用バーは,次のボンディング用として設置しなければならない。

1) LPZ に接続する全ての導電性の引込線・管類(直接又は適切な SPD を用いる。)

2)  保護接地導体 PE 
3)  内部システムの金属製部材(例  キャビネット,機器エンクロージャ,ラック) 
4)  建築物等の周囲及び内部における LPZ の磁気遮蔽部

b)  効果的なボンディングのために,次の施工基準が重要である。

1)  全てのボンディング方法に対する基本は,低インピーダンスのボンディング回路網である。 
2)  ボンディング用バーは,できるだけ短い距離で接地システムに接続することが望ましい。

3)  ボンディング用バー及びボンディング導体の材料及び寸法は,5.6 に適合しなければならない。 
4) SPD は,最小の誘導電圧降下となるように,ボンディング用バー及び充電用導体へ最短距離となる

方法で施工することが望ましい。

5)  回路の保護側(SPD の後段)では,ループ面積を最小化するか,又はシールドケーブル若しくはケ

ーブルダクトを用いて,相互誘導の影響を最小化することが望ましい。

5.5 LPZ の境界におけるボンディング 

LPZ を定義した場合,LPZ の境界を貫通する全ての金属部及び引込線・管類(例  金属管,電力線,信

号線)に対してボンディングしなければならない。

注記 LPZ 1 に接続する引込線・管類のボンディングは,矛盾する要求事項がある場合があるため,

関連するネットワーク供給者(電力会社及び電気通信会社)と協議することが望ましい。


20

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

ボンディングは,ボンディング用バーを介して,境界の引込口にできるだけ接近して実施しなければな

らない。

引込線・管類は,できる限り同一箇所で引き込み,同一のボンディング用バーに接続することが望まし

い。引込線・管類を異なる箇所で引き込む場合には,各引込線・管類はボンディング用バーに接続し,こ

れらのボンディング用バーを相互に接続しなければならない。この実現のために,環状ボンディング用バ

ー(環状導体)にボンディングすることが望ましい。

等電位ボンディング用の SPD は,LPZ 内の内部システムに接続している引込線に,LPZ の入口でボンデ

ィング用バーに常にボンディングしなければならない。相互接続又は拡張した LPZ を用いることによって

必要とする SPD の数を低減することができる。

各 LPZ の境界でボンディングしたシールドケーブル又は相互接続した金属ケーブルダクトは,同一レベ

ルで相互接続した幾つかの LPZ,又は次の境界まで拡張した LPZ に適用することができる。

5.6 

ボンディング用構成部材の材料及び寸法 

用いる材料,寸法及び条件は,JIS Z 9290-3 に従わなければならない。ボンディング用構成部材のため

の最小断面積は,

表 に従わなければならない。

クランプは,LPL(JIS Z 9290-1 参照)及び電流分流解析[JIS Z 9290-3 

附属書 B(危険な火花放電回

避のための引込ケーブルの遮蔽体の最小断面積)

参照]

による雷電流値に従った寸法でなければならない。

SPD は,箇条 に適合した特性でなければならない。

表 1−ボンディング用構成部材の最小断面積 

ボンディング用構成部材

材料

a)

断面積

b)

mm

2

ボンディング用バー(銅,銅被覆鋼又はめっき鋼)

銅,鉄 50

ボンディング用バーから接地システム又は他のボンディ
ング用バーへの接続導体(雷電流の全部又は大部分を流す

もの)

銅 16(14)

アルミニウム 25(22)

鉄 50

内部の金属設備からボンディング用バーへの接続導体(雷

電流の一部を流すもの)

6(5.5)

アルミニウム 10(8)

鉄 16(14)

SPD の接地導体

c)d)

クラス I 試験 SPD

銅 16(14)

クラス II 試験 SPD 6(5.5)

クラス III 試験 SPD 1

その他の SPD

e)

 1

a)

  他の材料を用いる場合は,同等の抵抗値を保証する断面積であることが望ましい。

b)

  対応国際規格では,熱的及び機械的要求事項を満足するという条件で,より小さい導体サイズを

用いることができる[JIS Z 9290-1 

附属書 D(LPS 構成部材に関する落雷の影響を解析するた

めの試験パラメータ)参照]旨の記載があるため,我が国の数値を括弧書きで追加する。これら

の数値は,IEC 62305-3:2010 のまえがきにも記載されている。

c)

  電力引込線回路に用いる SPD に対し,接続導体のための追加の情報が,JIS C 60364-5-53 及び JIS 

C 5381-12 に記載されている。

d)

 SPD の接地導体は,SPD の電流定格(I

n

I

imp

)によってその断面積を決定することができる。

e)

  その他の SPD は,通信及び信号システムで用いる SPD を含む。


21

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

磁気遮蔽及び配線経路 

6.1 

一般事項 

磁気遮蔽は,電磁界及び内部誘導雷サージを低減することができる。内部配線の適切な経路も,内部誘

導雷サージを最小化することができる。両方の対策を行うことは,内部システムの恒久的故障の低減に有

効である。

6.2 

空間遮蔽 

空間遮蔽によって,保護ゾーンを決定する。保護ゾーンは,建築物等の全体,一部分,一部屋又は機器

エンクロージャだけの場合もある。空間遮蔽は,格子状の若しくは連続的な金属遮蔽であるか,又は建築

物等自身の“構成部材”で構成することがある(JIS Z 9290-3 参照)

空間遮蔽は,機器の多くの部品ではなく,建築物等の限定したゾーンを保護することがより実用的で有

益である場合,よい方法となる。既存の設備に対して取り付けることは,より高い費用及びより大きい技

術的困難さが発生する可能性があるので,空間遮蔽は,新しい建築物等又は内部システムの早期計画段階

から準備することが望ましい。

6.3 

内部配線の遮蔽 

遮蔽は,ケーブルの金属製遮蔽,閉鎖形金属製ケーブルダクト及び金属製の機器エンクロージャを用い

るなど,被保護システムに用いるケーブル配線及び機器の種類を制限することがある。

6.4 

内部配線の経路 

内部配線の適切な経路は,誘導ループを最小化し,建築物等の内部における雷サージ電圧の発生を低減

する。ループ面積は,接地した建築物等の構成部材に接近して配線し,並びに/又は電力線及び信号線を

一緒に配線することで最小化することができる。

注記  電力線と非遮蔽の信号線との間には,障害を避けるためにある程度の距離を必要とする。

6.5 

外部配線の遮蔽 

建築物等への引込線の遮蔽には,ケーブルの遮蔽,金属製閉鎖ケーブルダクト又は鉄筋を相互接続した

コンクリート製ケーブルダクトを含む。引込線の遮蔽は有用であるが,多くの場合,SPM の計画者の権限

外である(引込線の所有者は,通常,電力会社及び/又は電気通信会社である。

6.6 

磁気遮蔽の材料及び寸法 

磁気遮蔽の材料及び寸法は,次による。

a)  ゾーン LPZ 0

A

及び LPZ 1 の境界における磁気遮蔽(

例  格子状空間遮蔽,ケーブル遮蔽,機器エンク

ロージャ)の材料及び寸法は,JIS Z 9290-3 に規定する受雷部導体及び/又は引下げ導線の要求事項

に従わなければならない。特に,次による。

1)  金属製部品,金属製ダクト,パイプ及びケーブル遮蔽の最小厚さは,JIS Z 9290-3 の表 3(受雷部シ

ステムの金属板及び金属配管の厚さの最小値)に適合しなければならない。

2)  格子状空間遮蔽の配置及びそれらの導体の最小断面積は,JIS Z 9290-3 の表 6(受雷部導体及び突針

の材料,形状及び最小断面積)及び

表 6A(引下げ導線の材料及び最小断面積)に従わなければなら

ない。

b)  雷電流の通過を意図しない次のような磁気遮蔽の寸法は,JIS Z 9290-3 の表 及び表 に適合する必

要はない。

1)  磁気遮蔽と LPS との間の十分な離隔距離(s)を設ける場合におけるゾーン LPZ 2 の境界(LPZ 1/2

の移行)又はこれ以上の境界[JIS Z 9290-3 の 6.3(外部雷保護システムの絶縁)参照]

2)  建築物等への落雷頻度 N

D

が無視することができる場合における各 LPZ の境界。N

D

が 0.01 回/年未


22

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

満の場合は,無視することができる。

協調のとれた SPD システム 

雷サージに対する内部システムの保護は,電力線及び信号線の両方に対して,協調のとれた SPD システ

ムを用いて,体系的に対応する必要がある。SPD の協調に関する選定及び施工の概念は,電力線及び信号

線とも類似している(

附属書 参照)。

2 個以上の内部 LPZ(LPZ 1,LPZ 2 又はこれら以上の LPZ)をもつ雷保護ゾーンの概念を用いた SPM

では,SPD は,各 LPZ の引込口に配置しなければならない(

図 参照)。

LPZ 1 だけを用いた SPM では,SPD は少なくとも LPZ 1 の引込口に配置しなければならない。

上記のように配置した場合でも,SPD の位置と被保護機器とが離れている場合には,追加の SPD が必要

になることがある(

附属書 参照)。

SPD の試験要求事項は,次の規格に適合しなければならない。

−  電力システム用では,JIS C 5381-11 による。

−  通信及び信号システム用では,JIS C 5381-21 による。

協調のとれた SPD システムの選定及び施工に関する情報を,

附属書 に示す。協調のとれた SPD シス

テムの選定及び施工は,次の規格にも適合しなければならない。

−  電力システムの保護に対しては,JIS C 5381-12 及び JIS C 60364-5-53 による。

−  通信及び信号システムに対しては,JIS C 5381-22 による。

建築物等内の種々の設置箇所における SPD の特性の決定のために,雷によって発生するサージの大きさ

の情報及び指針を,

附属書 及び JIS Z 9290-1 の附属書 E(各設置場所における雷サージ)に示す。

分離用(絶縁用)インターフェース 

分離用(絶縁用)インターフェースは,LEMP の影響を低減するために用いることができる。このよう

なインターフェースの過電圧に対する保護は,必要な場合,SPD を用いることで達成できる。分離用(絶

縁用)インターフェースの耐電圧レベル及び SPD の電圧防護レベル U

P

は,JIS C 60664-1 に規定する過電

圧カテゴリと協調をとらなければならない。

注記  この規格の適用範囲は,建築物等内の機器の保護に関するもので,絶縁変圧器による利点があ

る相互接続した建築物等の保護には適用しない。

9 SPM の管理 
9.1 

一般事項 

経済的で効果的な保護システムを達成するために,SPM の設計は,建築物等の計画段階及び建設前に実

施することが望ましい。これによって,建築物等の構成部材の最大限の利用並びにケーブルの配線及び装

置の配置において,最適な解決策の選定が可能となる。

一般に既存の建築物等の増改築による SPM は,新築の建築物等よりも高額となる。ただし,LPZ の適

切な選定及び既存の設備の利用又は改良によって投資金額を最小化することができる。

適切な保護は,次の全ての条件を満足する場合に限り達成可能である。

a)  雷保護専門家によって対策を決定する。

b)  建築物等及び SPM に関する種々の専門家間(例  建設技師と電気技術者)の良好な協力関係が存在す

る。


23

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

c)  9.2 の管理計画を遵守する。

SPM は,検査及び保守によって維持しなければならない。建築物等又は保護対策に重要な変更があった

場合,新しいリスク評価を実施することが望ましい。

9.2 SPM の管理計画 

SPM の計画及び調整は,管理計画(表 参照)を必要とする。リスクを許容レベル以下に低減するのに

必要な保護対策を決定するため,初期のリスク評価(IEC 62305-2 参照)から始める。これを実施するた

め,雷保護ゾーンを確定しなければならない。

JIS Z 9290-1 で規定する LPL 及び採用した保護対策によって,次を実施しなければならない。

a)  ボンディング回路網及び接地極システムによって構成する接地システムを設置する。 
b)  外部金属製部材及び引込線は,直接又は適切な SPD によってボンディングする。 
c)  内部システムは,ボンディング回路網に統合する。

d)  配線経路及び配線の遮蔽の組合せで空間遮蔽を実施してもよい。 
e)  協調のとれた SPD システムの要求事項を決定する。 
f)  分離用(絶縁用)インターフェースの適合性を決定する。

g)  既存建築物等については,特別な対策が必要になる場合がある(附属書 参照)。

この後,選定した保護対策の費用対効果について,再度リスク評価法を用いて,再評価及び最適化する

ことが望ましい。

表 2−新築ビル,及びビルの構造又は用途において大幅な変更に対する SPM の管理計画 

段階

目的

実行関係者

最初のリスク解析

a)

 LEMP 保護の必要性の調査

必要な場合には,リスク評価法を用いて適切な SPM を選
定する。

一連の各保護対策を採用後に,リスクの低減を調査する。

−  雷保護専門家

b)

−  所有者

最 終 的 な リ ス ク 解

a)

選定した保護対策に対する費用対効果比は,再度リスク評

価法を用いて最適化を図ることが望ましい。 
結果として,次のことを決定する。 
a) LPL 及び雷パラメータ 
b) LPZ 及びこれらの境界

−  雷保護専門家

b)

−  所有者

SPM の計画

次の SPM の明確化 
a)  空間遮蔽の手段 
b)  ボンディング回路網 
c)  接地極システム 
d)  配線の遮蔽及び経路 
e)  引込線・管の遮蔽 
f)  協調のとれた SPD システム 
g)  分離用(絶縁用)インターフェース

−  雷保護専門家

b)

−  所有者 
−  建築家

−  内部システムの計画者

−  関連設備の計画者

SPM の設計

基本的な図面及び説明書 
入札用リストの準備

詳細図面及び施工のための工程表

−  設計事務所又は同等の組織

SPM の設置 
(監理含む)

設備の品質

文書類

可能な限りの詳細図面の修正

−  雷保護専門家

b)

− SPM の施工者

−  設計事務所 
−  監理者

SPM の承認

システムの状態の調査及び調査結果の提出

−  当事者以外の雷保護専門家

−  監理者


24

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

表 2−新築ビル,及びビルの構造又は用途において大幅な変更に対する SPM の管理計画(続き) 

段階

目的

実行関係者

定期検査 SPM の健全性の確認

−  雷保護専門家

b)

−  監理者

a)

  IEC 62305-2 参照

b)

 EMC の幅広い知識及び施工の実施の知識を併せもつ雷保護専門家

9.3 SPM の検査 
9.3.1 

一般事項 

検査は,技術文書の確認,目視検査及び試験測定を含む。検査によって,次の事項を証明する。

− SPM は,設計に適合している。

− SPM は,設計した機能を満足している。

−  全ての新しく追加した保護対策が,SPM に正しく組み込まれている。

検査は,次に示す時期に実施しなければならない。

− SPM の設置時

− SPM の設置後

−  定期的

− SPM に関連する構成部材の変更後

−  建築物等への雷放電後(

例  雷カウンタの表示,建築物等への雷撃の目撃証言,雷に起因した建築物

等被害の物的証拠)

定期検査の頻度は,次のことを考慮して決定しなければならない。

−  腐食性の土壌,腐食性雰囲気などの地域的環境

−  用いる保護対策の方式

注記  特定の要求事項に対する当局による規定がない場合,JIS Z 9290-3 の表 E.2(LPS の最長点検周

期)の値を推奨する。

9.3.2 

検査要領 

9.3.2.1  技術文書の確認 

新しい SPM の設置後,

技術文書は,

完成度及び関連規格との整合性を確認しなければならない。

その後,

技術文書は,例えば SPM の変更又は拡張後に,継続的に最新のものにしなければならない。

9.3.2.2  目視検査 

目視検査は,次の事項を証明するために実施しなければならない。

a)  導体及び接続点に接続の緩み及び偶発的な破損がない。 
b)  システムに腐食による劣化部分がない(特に,地表面レベルにおいて)。

c)  ボンディング導体及びケーブル遮蔽材に損傷がなく,相互接続している。 
d)  更なる保護対策の追加又は変更を必要としない。 
e) SPD の損傷及び SPD のヒューズ又は分離器の動作の兆候がない。

f)  適切な配線経路を維持している。 
g)  空間遮蔽に対する安全(離隔)距離を維持している。 
9.3.2.3  測定試験 

目視できない接地システム及びボンディング回路網の部分は,導通検査を実施することが望ましい。

注記 SPD に状態表示がない場合,状態を確認するための測定は,製造業者の指示に従うのがよい。


25

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

9.3.3 

検査文書 

検査を容易にするため,検査要領書は,全ての設備及び設備の構成部品の状況,並びに試験方法及び記

録するための試験データを文書として提供することができるように,検査員の業務の助けとなるような十

分な情報が含まれていることが望ましい。

検査員は,報告書を用意し,技術文書及びこれまでの検査報告書に添付しなければならない。検査報告

書には,次の情報を含めなければならない。

a) SPM の一般的状況 
b)  技術文書からの(全ての)逸脱事項

c)  実施した(全ての)測定結果 
9.4 

保守 

検査後,指摘した不備は遅滞なく修理しなければならない。必要に応じて,技術文書を改訂しなければ

ならない。


26

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

附属書 A

(参考)

LPZ

内における電磁環境評価の基本

A.1  一般事項 

この附属書は,LEMP に対する保護に用いる LPZ 内部の電磁環境を計算するための情報を提供するもの

である。これは,電磁障害に対する保護にも適切なものである。

A.2  雷による電気及び電子システムへの有害な影響 
A.2.1  
損傷の原因 

損傷の主な原因は,雷電流及び雷電流に関連する同じ波形の磁界である。

注記  保護を考慮する場合,雷による電界は一般に影響が少ない。

A.2.2  損傷の対象 

雷サージ及び磁界に対して限られた耐性レベルしかもたない建築物等内及び屋上に設置した内部システ

ムは,雷及び後続の磁界の影響を受けた場合,損傷又は誤作動することがある。

建築物等の屋外に設置したシステムは,減衰していない磁界のリスクがあり,さらに,露出した場所に

設置している場合,最大で直撃雷の全雷電流のサージによるリスクがある。

建築物等内に設置したシステムは,伝搬又は誘導した内部雷サージ及び引込線から伝搬した外部雷サー

ジによって残留する減衰した磁界のリスクがある。

機器の耐性レベルに関する詳細は,関連する次の規格を参照する。

−  電力設備の定格インパルス耐電圧レベルは,JIS C 60664-1 

表 F.1(低圧系統電源から直接給電され

る機器のための定格インパルス電圧)に規定している。各過電圧カテゴリに対する耐電圧レベルは,

100 V 及び 100-200 V システムに対する定格インパルス耐電圧の場合には,0.8 kV,1.5 kV,2.5 kV 又

は 4 kV と規定し,200 V 及び 230/400 V システムに対する定格インパルス耐電圧の場合には,1.5 kV,

2.5 kV,4 kV 又は 6 kV と規定している。

−  一般通信機器の耐電圧レベルは,ITU-T Recommendation K.20ITU-T Recommendation K.21 及び

ITU-T Recommendation K.45 に規定している。

一般に,機器の耐性レベルは,添付の製品仕様書によって,次のとおり指定し,試験することができる。

−  伝導雷サージに対しては,JIS C 61000-4-5 に従って,波形 1.2/50 μs の電圧(0.5 kV,1 kV,2 kV 又は

4 kV)に対して,それぞれの電圧に対応した波形 8/20 μs の電流(0.25 kA,0.5 kA,1 kA 又は 2 kA)

のレベルで試験を行う。

注記  特定の機器に対して,上記規格の要求項目に適合するために,内部 SPD を含めることができ

る。これらの内部 SPD の特性は,協調に関する要求項目に影響を与えることがある。

−  磁界に対しては,IEC 61000-4-9 に規定する波形 8/20 μs の試験レベル(100 A/m,300 A/m 又は 1 000

A/m),及び IEC 61000-4-10 に規定する 1 MHz の試験レベル(10 A/m,30 A/m 又は 100 A/m)で,試

験を行う。

関連する EMC の製品規格によって規定した無線周波数(RF)の放射波及びイミュニティ試験を満足し

ていない機器は,これらの機器に直接放射する磁界によって危険となることがある。一方,これらの規格

を満足している機器の故障は,検討しなくてもよい。


27

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

A.2.3  損傷を受ける設備と損傷の原因との間の結合メカニズム 

機器の耐性レベルは,損傷の原因からの影響を受けないレベルである必要がある。これを達成するため

に,LPZ を適切に構築することによって,結合メカニズムを十分に制御する必要がある。

A.3  空間遮蔽,配線経路及び配線遮蔽 
A.3.1  
一般事項 

直撃雷又は大地への近傍雷によって LPZ 内部に発生する磁界は,LPZ の空間遮蔽だけで低減することが

できる。電子システム内に発生する雷サージは,空間遮蔽,配線の経路選定及び遮蔽,又はその両方の組

合せのいずれかによって,最小化することができる。

雷保護ゾーン LPZ 0,LPZ 1 及び LPZ 2 をもつ建築物等へ落雷した場合の LEMP 例を,

図 A.1 に示す。

被保護電子システムは,LPZ 2 の内部に設置する。

図 A.1−雷撃による LEMP の状況 

表 A.1 の番号 1,2 及び 3 は,図 A.1 のパラメータ I

0

H

0

及び U

W

を規定している。機器を設置した場所

で想定するストレスに耐えられることを保証するため,適切な試験パラメータを

表 A.1 の番号 4 及び 5 に

規定している。


28

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

表 A.1−損害の原因及び機器に関連するパラメータ 

番号

損害の原因

対象設備

及び機器

関連規格

関連パラメータ

1  損害の主原因

(LEMP)

JIS Z 

9290-1 

LPL(I∼IV)に従ったパラメータによって規定

インパルス

波形

(μs)

波高値(kA)

波頭しゅん

(峻)

(kA/μs)

関連する

影響

LPL LPL

I II III

IV

I II

III

IV

I

0

 10/350

200

150  100

100

20

15 10  10 部分雷電流

1/200 100

75  50

50

100

75 50 50  誘導

0.25/100

50

37.5

25

25

200

150 100  100

誘導

H

0

I

0

に相当した発生磁界

2  電気設備の定

格インパルス

電圧

JIS C 

60664-1 

インパルス耐電圧(kV)

(過電圧カテゴリ I∼IV によって規定)

U

W

 100/200

V システム 200

V 及び 230/400 V システム

過電圧カテゴリ

過電圧カテゴリ

IV III II  I  IV III II  I

4 2.5 1.5 0.8 6  4 2.5 1.5

3  通信機器の耐

電圧レベル

ITU-T Recommendation K.20ITU-T Recommendation K.21 又は

ITU-T Recommendation K.45 による。

4  適切な製品規

格がない機器

に対する試験

JIS C 

61000-4-5

落雷の影響で伝搬する(UI)に対するイミュニティレベルの試験

インパルス波形

試験レベル

4 3 2 1

U

OC

(kV) 1.2/50(μs) 4

2

1

0.5

I

SC

(kA) 8/20(μs) 2

1

0.5

0.25

5  関 連 す る

EMC 製 品 規
格に不適合な

機器に対する

試験

関連規格

落雷の影響で放射する(H)に対するイミュニティレベル

インパルス波形又は減衰振動

イミュニティレベル H(A/m)

IEC 

61000-4-9

インパルス波形  8/20(

μs)

(減衰振動 25 kHz,T

P

=10

μs)

1 000 300  100

IEC 

61000-4-10 

減衰振動  1(MHz)

(インパルス 0.2/0.5

μs,T

P

=0.25

μs)

100 30  10

電子システムに被害を及ぼす主な電磁的原因は,雷電流 I

0

及び磁界 H

0

である。引込線に部分雷電流が

流れ込む。これらの電流及び磁界は,ほぼ同一波形である。ここで考慮する雷電流は,第 1 正極性雷撃 I

F

(主として,

波尾長の長い 10/350

μs の波形),第 1 負極性雷撃 I

FN

(1/200

μs の波形)及び後続雷撃 I

S

(0.25/100

μs の波形)である。第 1 正極性雷撃の電流 I

F

によって磁界 H

F

が,第 1 負極性雷撃の電流 I

FN

によって磁界

H

FN

が,及び後続雷撃の電流 I

S

によって磁界 H

S

が発生する。

電磁誘導の影響は,主に磁界の波頭部によって発生する。

図 A.2 に示すように,H

F

の波頭部は,最大値

H

F/MAX

及び 10

μs の最大値までの時間 T

P/F

をもつ 25 kHz の減衰振動磁界として表すことができ,H

S

の波頭

部は,最大値 H

S/MAX

及び 0.25

μs の最大値までの時間 T

P/S

をもつ 1 MHz の減衰振動磁界として表すことが

できる。同様に,H

FN

の波頭部は,最大値 H

FN/MAX

及び 1

μs の最大値までの時間 T

P/FN

をもつ 250 kHz の減

衰振動磁界として表すことができる。

したがって,第 1 正極性雷撃の磁界は代表的な周波数 25 kHz,第 1 負極性雷撃の磁界は 250 kHz,及び

後続雷撃の磁界は 1 MHz として特性付けることができる。これらの周波数の減衰振動磁界は,IEC 

61000-4-9 及び IEC 61000-4-10 に規定している。

LPZ の境界部における磁気遮蔽及び SPD の設置によって,I

0

及び H

0

として定義した減衰していない雷

の影響は,被害を受ける機器の耐電圧レベル以下に低減することが望ましい。

図 A.1 に示すように,被保


29

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

護機器は,周囲の磁界 H

2

並びに侵入する雷電流 I

2

及び電圧 U

2

に耐えることが望ましい。

I

1

から I

2

への低減及び U

1

から U

2

  への低減は,附属書 における課題であり,H

0

から十分に低い値 H

2

への低減は,ここでは次のように考える。

格子状空間遮蔽の場合,LPZ の内部の磁界(H

1

H

2

)の波形は,外側の磁界(H

0

)の波形と同一である

と仮定することができる。

図 A.2 に示した減衰振動波形は,IEC 61000-4-9 及び IEC 61000-4-10 に規定する試験に適合し,かつ,

第 1 正極性雷撃の磁界 H

F

及び後続雷撃の磁界 H

S

の波頭部によって形成した磁界に対する機器の耐量レベ

ルを決定するために用いることができる。

誘導ループ内に結合している磁界によって誘導した雷サージ(A.5 参照)は,機器の耐電圧レベル以下

であることが望ましい。

a)  単一インパルス 8/20 μs25 kHz 減衰振動)による 

第 正極性雷撃(10/350 μs)の磁界の波頭部の模擬波形 

b) 1 

MHz の減衰振動(多重インパルス 0.2/0.5 μs)による 

後続雷撃(0.25/100 μs)の磁界の波頭部の模擬波形 

注記 1  最大値までの時間 T

P

と波頭長 T

1

とが異なっていても,適切な近

似のために,ここでは数値を同一とした。

注記 2  最大値の比率を次の式に示す。

H

F/MAX

H

FN/MAX

H

S/MAX

=4:2:1

図 A.2−減衰振動による磁界の波頭部の模擬波形 

A.3.2  格子状空間遮蔽 

一般に建築物等では,天井,壁及び床の鉄筋,金属製骨組み,金属製屋根並びに金属製ファサードのよ

うな構造体利用構成部材によって,実際には,LPZ の大きな空間遮蔽を構成している。これらの構成部材

は,格子状(メッシュ)空間遮蔽を形成し,効果的な遮蔽のために,そのメッシュ幅は 5 m 以下である必

要がある。


30

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

注記 1  JIS Z 9290-3 による標準的な外部 LPS において,LPZ 1 が 5 m を超えるメッシュ幅で形成し

ている場合,遮蔽効果は期待できない。ただし,鉄骨造で,多くの構造上の鋼支柱をもつ大

きな建物は,十分な遮蔽効果を備えている。

注記 2  さらに,内部 LPZ の遮蔽は,空間的な部屋の遮蔽,閉鎖した金属製ラック若しくはキャビネ

ット,又は金属製の機器エンクロージャによって達成することができる。

実際には,コンクリート内の鉄筋及び金属製枠(金属製扉及び極力遮蔽した窓枠)によって,建物又は

部屋のための大きな空間遮蔽を形成することができる。その例を

図 A.3 に示す。

:全ての鉄筋及び全ての交差部分では,溶接又はクランプ締めをしている。

注記  実際には,広範囲な建築物等に対して全ての点で溶接又はクランプ締めすることは不可能

である。しかし,大部分の箇所は,接触又は追加の配線で意図せず相互接続することにな

る。したがって,実質的には 1 m 以下での接続が可能となる。

図 A.3−鉄筋及び金属製枠によって構成した大きな空間遮蔽 

内部システムは,LPZ の遮蔽体からの離隔距離を考慮した“安全空間内”だけに位置することが望まし

い(

図 A.4 参照)。部分雷電流が遮蔽体(特に LPZ 1 に対して)を流れるため,遮蔽体に近接した部分に

は比較的強い磁界が発生する。


31

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

注記  電子システム用空間 V

S

は,LPZ n の遮蔽部分からの安全離隔距離 d

s/1

又は

d

s/2

を確保することが望ましい(A.4 参照)

図 A.4−内部 LPZ n の電気及び電子システムのための空間 

A.3.3  配線経路及び配線の遮蔽 

内部システムに発生する雷サージは,適切な配線経路(誘導ループ面積の最小化)

,シールドケーブル若

しくは金属製ケーブルダクト(内部への誘導の影響を最小化)

,又は両方の方法の組合せによって低減する

ことができる(

図 A.5 参照)。


32

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

内部システムに接続したケーブルは,極力ボンディング回路網の金属部分に接近して配置することが望

ましい。これらのケーブルを,例えば金属製配管及びダクトのような,ボンディング回路網の金属製エン

クロージャ内に配線すると有効である(IEC/TR 61000-5-2 参照)

LPZ(特に LPZ 1)の遮蔽体近くに敷設したケーブルは,その位置における強い磁界のため,特別な注

意を払うことが望ましい。

離れた建築物等間を渡るケーブルを保護する必要がある場合,それらは金属製ケーブルダクト内に敷設

することが望ましい。これらのダクトは,離れた建築物等のボンディング用バーに両端で接続することが

望ましい。ケーブル遮蔽(両端でボンディング)が,想定する部分雷電流を通電することができる場合,

金属製ケーブルダクトを追加する必要はない。

設備の中に形成したループ内に誘導する電圧及び電流は,

内部システムでのコモンモードサージとなる。

これらの誘導電圧及び電流の計算は,A.5 を参照する。

大きな事務所ビルの例を,次に示す(

図 A.6 参照)。

a) LPZ

1 では鉄筋及び金属製ファサードによって,LPZ 2 ではぜい(脆)弱な内部システムのための遮

蔽用エンクロージャによって,遮蔽は達成する。幅の狭いメッシュボンディングシステムの設置を可

能とするためには,幾つかのボンディング用端子を各部屋に用意する。

b)  高圧側の引込口の直近に SPD の設置ができない特別な場合,LPZ 1 内に 6.6/7.7 kV の引込線を収容す

るために LPZ 0 を拡張することがある。

a)  保護していないシステム 

b)  空間遮蔽による内部 LPZ 内の磁界の低減 

c)  配線の遮蔽による線路の磁界の影響の低減 

図 A.5−配線経路選定及び遮蔽対策による誘導の影響の低減 


33

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

d)  適切な配線経路による誘導ループ面積の低減 

①:金属製きょう(筐)体の機器

②:電源線

③:信号線 
④:誘導ループ領域

⑤:空間遮蔽

⑥:配線の遮蔽

⑦:低減した誘導ループ領域

図 A.5−配線経路選定及び遮蔽対策による誘導の影響の低減(続き) 


34

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

:等電位ボンディング

○:サージ防護デバイス(SPD)

図 A.6−事務所ビルの SPM の例 

A.4 LPZ 内の磁界 
A.4.1 LPZ 
内の磁界の概算 

遮蔽効果について理論的(A.4.2 参照)又は実験的(A.4.3 参照)に調査をしていない場合,減衰量は,

A.4.1.1A.4.1.3 によって計算することが望ましい。


35

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

A.4.1.1  直撃雷の場合の LPZ 1 の格子状空間遮蔽 

建物の遮蔽(LPZ 1 の周囲の遮蔽)は,外部 LPS の一部分とすることができ,直撃雷の雷電流は,そこ

を流れる。建築物等の屋根の任意の点に落雷した場合の状況を,

図 A.7 の a)に示す。

注記  距離 d

w

及び d

r

は,対象とする点までの距離。

a)  LPZ 1 内の磁界 

注記  距離 d

w

及び d

r

は,LPZ 2 の境界までの距離。

b)  LPZ 2 内の磁界 

図 A.7−直撃雷における磁界の強さの計算 

LPZ 1 内の任意の点における磁界の強さ H

1

には,式(A.1)を適用する。

(

)

r

w

m

0

h

1

/

d

d

w

I

k

H

×

×

×

=

(A/m)  (A.1)

ここに,

d

r

遮蔽した LPZ 1 の屋根と対象とする点との間の最短距離(m)

d

w

遮蔽した LPZ 1 の壁と対象とする点との最短距離(m)


36

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

I

0

LPZ 0

A

の雷電流(直撃雷電流)

(A)

k

h

形状係数,代表的な値 k

h

=0.01(1/

w

m

LPZ 1 の格子状遮蔽のメッシュ幅(m)

式(A.1)を適用することによって,LPZ 1 内の磁界の最大値は,式(A.2)∼式(A.4)となる(

注記 を考慮す

る。

−  第 1 正極性雷撃による:

(

)

r

w

m

F/MAX

h

1/F/MAX

/

d

d

w

I

k

H

×

×

×

=

(A/m)  (A.2)

−  第 1 負極性雷撃による:

(

)

r

w

m

FN/MAX

h

1/FN/MAX

/

d

d

w

I

k

H

×

×

×

=

(A/m)  (A.3)

−  後続雷撃による:

(

)

r

w

m

S/MAX

h

1/S/MAX

/

d

d

w

I

k

H

×

×

×

=

(A/m)  (A.4)

ここに,  I

F/MAX

保護レベルによる第 1 正極性雷撃の電流の最大値(A)

I

FN/MAX

保護レベルによる第 1 負極性雷撃の電流の最大値(A)

I

S/MAX

保護レベルによる後続雷撃の電流の最大値(A)

注記 1  5.3 によるメッシュ状ボンディング回路網を設置している場合,磁界は 1/2 に減少する。

式(A.1)∼式(A.4)で求めた値は,次の遮蔽体からの離隔距離 d

s/1

をもつ格子状(メッシュ)遮蔽内の安全

空間 V

S

だけに適用する(

図 A.4 参照)。

−  SF≧10 の場合:d

s/1

w

m

×SF/10(m)  (A.5)

−  SF<10 の場合:d

s/1

w

m

(m)   (A.6)

ここに,

SF: 表 A.3 の式によって計算した遮蔽係数(dB)

w

m

格子状遮蔽のメッシュ幅(m)

注記 2  格子状遮蔽をもつ LPZ 1 内の磁界の実験結果は,遮蔽体近くの磁界の上昇が,上記の計算式

による結果よりも低いことを示している。

例  表 A.2 に示すような 3 種類の寸法をもつ代表的な格子状遮蔽を定義する。銅の格子状遮蔽に対し

て,w

m

=2 m のメッシュ幅を仮定する(

図 A.10 参照)。この結果,安全空間 V

S

を規定する隔離距

離は,d

s/1

=2.0 m となる。I

0/MAX

=100 kA のときの V

S

内部に有効な H

1/MAX

の値を,

表 A.2 に示す。

屋根までの距離は,高さの半分とする(d

r

H/2)

。壁までの距離は,長さの半分[d

w

L/2(中

心)

]又は長さに等しい(d

w

d

s/1

(壁に近い最も厳しい条件)とする。

表 A.2I

0/MAX

100 kA 及び w2 m のときの例 

遮蔽のタイプ

図 A.10 参照)

L×W×H

m

H

1/MAX

(中心)

A/m

H

1/MAX

d

w

d

s/1

A/m

1 10×10×10 179

447

2 50×50×10 36

447

3 10×10×50 80

200

A.4.1.2  近傍雷の場合の LPZ 1 の格子状空間遮蔽 

近傍雷の場合の状況を

図 A.8 に示す。LPZ 1 の遮蔽空間の周囲に発生する磁界は,平面波として近似す

ることができる。


37

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

図 A.8−近傍雷の場合における磁界の強さの計算 

平面波に対する格子状空間遮蔽の遮蔽係数 SF を,

表 A.3 に示す。

表 A.3−平面波に対する格子状空間遮蔽の磁界の減衰 

材料

SF(dB)

a)b)

25 kHz(第 1 正極性雷撃に有効) 1

MHz(後続雷撃に有効)

250 kHz(第 1 負極性雷撃に有効)

銅又はアルミニウム 20×log(8.5/w

m

) 20×log(8.5/w

m

)

c)

(

)

 

r

w

 

 

×

+

×

2

c

6

m

/

10

18

1

/

/

5

.

8

log

20

20×log(8.5/w

m

)

w

m

:格子状遮蔽のメッシュ幅(m)

r

c

:格子状遮蔽の棒の半径(m)

a)

  式の結果が負となった場合,SF=0

b)

  5.3 によるメッシュ状ボンディング回路網を設置した場合,SF に 6 dB を加える。

c)

  透磁率 μ

r

  ≒ 200

発生する磁界 H

0

は,式(A.7)で計算する。

H

0

I

0

/(2×

π×s

a

)(A/m)  (A.7)

ここに,

I

0

LPZ 0

A

の雷電流(A)

s

a

雷撃点と遮蔽空間の中心との間の距離(m)

式(A.7)を適用することによって,LPZ 0 の磁界の最大値は,式(A.8)∼式(A.10)となる。


38

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

−  第 1 正極性雷撃による:H

0/F/MAX

I

F/MAX

/(2×π×s

a

)(A/m)  (A.8)

−  第 1 負極性雷撃による:H

0/FN/MAX

I

FN/MAX

/(2×π×s

a

)(A/m)   (A.9)

−  後続雷撃による:      H

0/S/MAX

I

S/MAX

/(2×π×s

a

)(A/m)  (A.10)

ここに,  I

F/MAX

選定した保護レベルによる第 1 正極性雷撃の電流の最大値
(A)

I

FN/MAX

選定した保護レベルによる第 1 負極性雷撃の電流の最大値
(A)

I

S/MAX

選定した保護レベルによる後続雷撃の電流の最大値(A)

LPZ 1 内の H

0

から低減した H

1

は,

表 A.3 に示す SF の値を用いて導出することができる。

H

1/MAX

H

0/MAX

/10

SF/20

(A/m)  (A.11)

ここに,

SF: 表 A.3 の式によって計算した遮蔽係数(dB)

H

0/MAX

LPZ 0 の磁界(の最大値)(A/m)

式(A.11)を適用することによって,LPZ 0 内の磁界 H

0

から低減した LPZ 1 内の磁界 H

1

の最大値は,式

(A.12)∼式(A.14)となる。

−  第 1 正極性雷撃による:H

1/F/MAX

H

0/F/MAX

/10

SF/20

(A/m) (A.12)

−  第 1 負極性雷撃による:H

1/FN/MAX

H

0/FN/MAX

/10

SF/20

(A/m)  (A.13)

−  後続雷撃による      :H

1/S/MAX

H

0/S/MAX

/10

SF/20

(A/m) (A.14)

式(A.11)∼式(A.14)で求めた値は,次の遮蔽体からの離隔距離 d

s/2

をもつ格子状(メッシュ)遮蔽内の安

全空間 V

S

だけに適用する(

図 A.4 参照)。

−  SF≧10 の場合:d

s/2

w

m

SF/10

(m)  (A.15)

−  SF<10 の場合:d

s/2

w

m

(m)  (A.16)

ここに,

SF: 表 A.3 の式によって計算した遮蔽係数(dB)

w

m

格子状遮蔽のメッシュ幅(m)

近傍雷の場合の格子状遮蔽内の磁界強度の計算についての追加の情報に対しては,A.4.3 を参照する。

例を,次に示す。

例 1  近傍雷の場合,LPZ 1 内の磁界強度 H

1/MAX

は,雷電流 I

0/MAX

,LPZ 1 の遮蔽体の遮蔽係数 SF 

び雷道と LPZ 1 の中心との間の距離 s

a

による(

図 A.8 参照)。

雷電流 I

0/MAX

は,選定した LPL による(JIS Z 9290-1 参照)

。遮蔽係数 SF

表 A.3 参照)は,

主として格子状遮蔽のメッシュ幅の関数である。距離 s

a

は,次のいずれかである。

a)  対象物への直撃雷の場合,LPZ 1 の中心と対象物の近傍(例  マスト)との間の距離 
b) LPZ

1 の近傍の大地への落雷の場合,LPZ 1 の中心と雷道との間の最短距離

したがって,最も厳しい条件は,想定可能な最接近距離 s

a

と最大電流 I

0/MAX

とが同時に発生

した場合である。

図 A.9 に示すように,この最小距離 s

a

は,電子・幾何学的モデルから規定し

た[JIS Z 9290-1 の A.4(最小雷電流パラメータの決定)参照]

,建築物等(LPZ 1)の高さ H

及び長さ L(又は幅 W

,並びに I

0/MAX

による回転球体半径 r

表 A.4 参照)の関数である。


39

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

図 A.9−回転球体半径及び建築物等の寸法による距離 s

a

距離は,式(A.17)及び式(A.18)で計算することができる。

Hのとき,

2

/

2

2

a

L

H

H

r

s

+

×

×

=

  (A.17)

Hのとき,

2

/

a

L

r

s

+

=

  (A.18)

注記

この最小値よりも少ない距離の場合,落雷は,建築物等に直撃する。

例 2

表 A.5 に示す寸法をもつ三つの代表的な遮蔽を指定することができる。ここでは,平均メッシ

ュ幅

w

m

2 m

をもつ銅製の格子状遮蔽を仮定する。これは,遮蔽係数

SF

12.6 dB

及び離隔距

d

s/2

2.5 m

を指定する安全空間

V

S

という結果となる。

V

S

内の全てに有効であると想定する

H

0/MAX

及び

H

1/MAX

に対する値は,

I

0/MAX

100 kA

に対して計算し,その結果を

表 A.4 に示す。

表 A.4−最大雷電流による回転球体半径 

保護レベル

雷電流 I

0/MAX

kA

回転球体半径 r

m

I 200

313

II 150 260

III,IV 100  200

表 A.5I

0/MAX

100 kA 及び w2 m のときの SF12.6 dB に対する例 

遮蔽のタイプ

図 A.10 参照)

L×W×H

m

s

a

m

H

0/MAX

A/m

H

1/MAX

A/m

1 10×10×10 67  236

56

2 50×50×10 87  182

43

3 10×10×50 137

116

27


40

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

A.4.1.3 LPZ 

及びこれ以上の格子状空間遮蔽 

LPZ 2

及びこれ以上の空間遮蔽内には,大きな部分雷電流は流れない。したがって,最初に

LPZ

n

内の

H

n

から低減した

LPZ

n

1

内の

H

n

1

は,A.4.1.2 に示すように,近傍雷に対して式

(A.19)

によって計算するこ

とができる。

H

n

1

H

n

/10

SF/20

A/m

  (A.19)

ここに,

SF

表 A.3 による遮蔽係数(

dB

H

n

LPZ n

内の磁界(

A/m

H

n

H

1

の場合,磁界の強さは次によって計算することができる。

a)

 LPZ

1

の格子状遮蔽体への直撃雷の場合には,A.4.1.1 及び

図 A.7 の b)を参照する。ここで,

LPZ 2

遮蔽と壁及び屋根との間の距離は,それぞれ

d

w

及び

d

r

である。

b)

 LPZ

1

の近傍雷の場合には,A.4.1.2 及び

図 A.8 を参照する。

これらの磁界の値は,遮蔽体から安全離隔距離

d

s/2

を確保した格子状遮蔽内部の安全空間

V

S

に対してだ

けに有効である(A.4.1.2 及び

図 A.4 参照)。

A.4.2  直撃雷による磁界の理論的計算 

A.4.1.1 において,磁界の強さ

H

1/MAX

の計算式は,

図 A.10 に示すような三つの標準的な格子状遮蔽に対

する数値的磁界計算に基づいている。

これらの計算では,

屋根の一つの縁に落雷したものと仮定している。

雷道は,屋根の上に

100 m

の高さの垂直な棒状導体と仮定している。地表面は,理想的な導体平面と仮定

している。

図 A.10−格子状大規模空間遮蔽のタイプ 

計算では,模擬した雷道及び全ての棒を含む格子状の遮蔽体の各ロッドの磁界結合が考慮され,雷電流

分布を計算するための方程式の組合せが得られる。この電流分布から遮蔽内の磁界強度が得られる。ロッ

ドの抵抗は,無視することができると考える。したがって,格子状遮蔽の電流分布及び磁界強度は,周波

数に無関係である。同様に,過渡的影響を避けるため,静電結合は無視する。

タイプ

1

の遮蔽(

図 A.10 参照)に対する結果の一部を,図 A.11 及び図 A.12 に示す。


41

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

w

m

:メッシュ幅

図 A.11−格子状遮蔽タイプ の内部における磁界の強さ H

1/MAX

図 A.12−メッシュ幅による格子状遮蔽タイプ の内部における磁界の強さ H

1/MAX

注記 1

格子状遮蔽をもつ

LPZ 1

内の磁界の実験結果では,遮蔽体に近接する磁界の増加は上記計算

結果よりも小さいことを示している。

注記 2

計算結果は,格子状遮蔽への距離が,

d

s/1

w

m

の場合だけ有効である。


42

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

全ての場合において,最大雷電流を

I

0/MAX

100 kA

と仮定した。

図 A.11 及び図 A.12 の両図において,

H

1/MAX

は,

H

x

H

y

及び

H

z

で表す点における磁界の最大強さで,式

(A.20)

で求められる。

2

z

2

y

2

x

1/MAX

H

H

H

H

+

+

=

  (A.20)

図 A.11 において,

H

1/MAX

は,雷撃点(

x

0

y

0

z

10 m

)から空間の中央(

x

y

5 m

z

5 m

)へ

の直線距離によって計算する。

H

1/MAX

は,パラメータが格子状遮蔽の幅

w

であるこの線上における点の

x

軸の関数として表す。

図 A.12 において,

H

1/MAX

は遮蔽内の

2

点(点

A

x

y

5 m

z

5 m

,点

B

x

y

3 m

z

7 m

)に対

して計算する。結果は,メッシュ幅

w

の関数として表す。

両図は,格子状遮蔽内部の磁界分布を支配する主なパラメータ(壁又は屋根からの距離及びメッシュ幅)

の影響度を示している。

図 A.11 において,遮蔽空間の中で,雷撃点から別の任意の点への直線距離によって計算する場合,磁界

の強さ

H

1/MAX

の成分がゼロ軸と交差して符号が変わることがあるので注意する。したがって,式

(A.1)

は,

格子状遮蔽内部に実際に存在し,より複雑な磁界分布に対する一次近似の式である。

A.4.3  直撃雷による磁界の実験的評価 

遮蔽した建築物等の内部磁界は,実測によって決定することができる。雷電流発生器を用いて,遮蔽し

た建築物等の任意の点への直撃雷シミュレーションの実験例を,

図 A.13 に示す。通常,このような実験に

おいて,電流波形を実際の雷電流波形と近似させ,縮小モデル実験として実施することができる。

a)  縮小モデル実験構成例 

図 A.13−遮蔽した建築物等内の磁界の強さを評価する縮小モデルの実験例 


43

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

U:約 10 kV 
C:約 10 nF

b)  インパルス電流発生器 

図 A.13−遮蔽した建築物等内の磁界の強さを評価する縮小モデルの実験例(続き) 

A.5  誘導電圧及び電流の計算 
A.5.1  
一般事項 

図 A.14 による長方形のループだけを考慮する。他の形状のループは,同一のループ面積の長方形に置き

換えることが望ましい。

図 A.14−線路によって形成したループに誘導した電圧及び電流 

注記

この図の記号は,式

(A.23)

の記号及びその意味に説明がある。


44

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

A.5.2  直撃雷の場合の LPZ 1 内の状況 

LPZ 1

の空間

V

S

内の磁界

H

1

に対して,式

(A.21)

を適用する(A.4.1.1 参照)

)

(

r

w

m

0

h

1

d

d

w

I

k

H

×

×

×

=

A/m

  (A.21)

開回路電圧

U

OC

に対して,式

(A.22)

を適用する。

t

I

d

w

k

d

l

b

U

d

d

1

ln

0

l/r

m

h

l/w

o

OC

×



×

×





+

×

×

=

μ

(V)  (A.22)

波頭長 T

1

の期間に,式(A.23)で計算する最大値 U

OC/MAX

が発生する。

1

MAX

/

0

l/r

m

h

l/w

o

OC/MAX

1

ln

T

I

d

w

k

d

l

b

U

×



×

×





+

×

×

=

μ

(V)  (A.23)

ここに,

μ

o

4×π×10

7

[(Vs)/(Am)]

b: ループ幅(m)

d

l/w

d

l/w

d

s/1

の場合,遮蔽の壁からループまでの距離(m)

d

l/r

遮蔽の屋根からループまでの平均距離(m)

I

0

LPZ 0

A

の雷電流(直撃雷電流)

(A)

I

0/MAX

LPZ 0

A

の雷電流の最大値(A)

k

h

形状係数,k

h

=0.01(1/

l: ループの長さ(m)

T

1

LPZ 0

A

の雷撃の電流の波頭長(s)

w

m

格子状遮蔽のメッシュ幅(m)

短絡回路電流 I

SC

は,式(A.24)による。

S

0

l/r

m

h

l/w

o

SC

1

ln

L

I

d

w

k

d

l

b

I

×



×

×





+

×

×

=

μ

A

  (A.24)

ここでは,電線の抵抗分を無視する(最も厳しい場合を考慮する。

最大値

I

SC/MAX

は,式

(A.25)

による。

S

0/MAX

l/r

m

h

l/w

o

SC/MAX

1

ln

L

I

d

w

k

d

l

b

I

×



×

×





+

×

×

=

μ

A

  (A.25)

ここに,

L

S

ループの自己インダクタンス(

H

長方形ループに対して,自己インダクタンス

L

S

は,式

(A.26)

によって計算することができる。

( )





+

+





×

×

+

+

×

+

×

=

2

c

2

2

S

1

1

2

ln

4

.

0

8

.

0

8

.

0

l

b

r

b

l

b

l

b

l

L

6

2

c

10

1

1

2

ln

4

.

0

×





+

+





×

×

+

b

l

r

l

b

H

  (A.26)

ここに,

r

c

ループの電線の半径(

m

1

正極性雷撃(

T

1

10 μs

)の磁界の誘導電圧及び電流は,式

(A.27)

及び式

(A.28)

による。


45

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

F/MAX

l/r

m

l/w

OC/F/MAX

1

ln

26

.

1

I

d

w

d

l

b

U

×



×





+

×

×

=

V

(A.27)

S

F/MAX

l/r

m

l/w

6

SC/F/MAX

1

ln

10

6

.

12

L

I

d

w

d

l

b

I

×



×





+

×

×

×

=

A

  (A.28)

1

負極性雷撃(

T

1

1 μs

)の磁界の誘導電圧及び電流は,式

(A.29)

及び式

(A.30)

による。

FN/MAX

l/r

m

l/w

OC/FN/MAX

1

ln

6

.

12

I

d

w

d

l

b

U

×



×





+

×

×

=

V

  (A.29)

S

FN/MAX

l/r

m

l/w

6

SC/FN/MAX

1

ln

10

6

.

12

L

I

d

w

d

l

b

I

×



×





+

×

×

×

=

A

  (A.30)

後続雷撃(

T

1

0.25 μs

)の磁界の誘導電圧及び電流は,式

(A.31)

及び式

(A.32)

による。

S/MAX

l/r

m

l/w

OC/S/MAX

1

ln

4

.

50

I

d

w

d

l

b

U

×



×





+

×

×

=

V

  (A.31)

S

S/MAX

l/r

m

l/w

6

SC/S/MAX

1

ln

10

6

.

12

L

I

d

w

d

l

b

I

×



×





+

×

×

×

=

A

  (A.32)

ここに,

  I

F/MAX

1

正極性雷撃の電流の最大値(

kA

I

FN/MAX

1

負極性雷撃の電流の最大値(

kA

I

S/MAX

後続雷撃の電流の最大値(

kA

A.5.3  近傍雷の場合の LPZ 1 内の状況 

LPZ 1

の空間

V

S

内の磁界

H

1

は,均一と推定する(A.4.1.2 参照)

開回路電圧

U

OC

は,式

(A.33)

による。

t

H

l

b

U

d

d

1

o

OC

×

×

×

=

μ

V

  (A.33)

波頭長

T

1

の間には,式

(A.34)

に示す最大値

U

OC/MAX

が,発生する。

1

1/MAX

o

OC/MAX

T

H

l

b

U

×

×

×

=

μ

V

  (A.34)

ここに,

μ

o

4π·10

7

(Vs)/(Am)

b

ループ幅(

m

H

1

時間に依存する

LPZ 1

内の磁界(

A/m

H

1/MAX

LPZ 1

内の磁界の最大値(

A/m

l

ループの長さ(

m

T

1

磁界の波頭長(

s

。雷電流の波頭長に同一。

短絡回路電流

I

SC

は,式

(A.35)

による。

S

1

o

SC

L

H

l

b

I

×

×

×

=

μ

A

  (A.35)

ここでは,電線の抵抗を無視する(最も厳しい場合)

最大値

I

SC/MAX

は,式

(A.36)

による。


46

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

S

1/MAX

o

SC/MAX

L

H

l

b

I

×

×

×

=

μ

A

  (A.36)

ここに,

L

S

ループの自己インダクタンス(

H

L

の計算は,A.5.2 参照)

1

正極性雷撃(

T

1

10 μs

)の磁界

H

1/F

によって誘導する電圧及び電流は,式

(A.37)

及び式

(A.38)

による。

1/F/MAX

OC/F/MAX

126

.

0

H

l

b

U

×

×

×

=

V

  (A.37)

S

1/F/MAX

6

SC/F/MAX

10

26

.

1

L

H

l

b

I

×

×

×

×

=

A

  (A.38)

1

負極性雷撃(

T

1

1 μs

)の磁界

H

1/FN

によって誘導する電圧及び電流は,式

(A.39)

及び式

(A.40)

による。

1/FN/MAX

OC/FN/MAX

26

.

1

H

l

b

U

×

×

×

=

V

  (A.39)

S

1/FN/MAX

6

SC/FN/MAX

10

26

.

1

L

H

l

b

I

×

×

×

×

=

A

  (A.40)

後続雷撃(

T

1

0.25 μs

)の磁界

H

1/S

によって誘導する電圧及び電流は,式

(A.41)

及び式

(A.42)

による。

1/S/MAX

OC/S/MAX

04

.

5

H

l

b

U

×

×

×

=

V

  (A.41)

S

1/S/MAX

6

SC/S/MAX

10

26

.

1

L

H

l

b

I

×

×

×

×

=

A

  (A.42)

ここに,

  H

1/F/MAX

1

正極性雷撃による

LPZ 1

内の磁界の最大値(

A/m

H

1/FN/MAX

1

負極性雷撃による

LPZ 1

内の磁界の最大値(

A/m

H

1/S/MAX

後続雷撃による

LPZ 1

内の磁界の最大値(

A/m

A.5.4 LPZ 

及びそれ以上の内部の状況 

n

2

である

LPZ n

内の磁界

H

n

は,均一であると推定する(A.4.1.3 参照)

したがって,

H

1

H

n

に代用することで,誘導電圧及び電流の計算には同一の式を適用することができ

る(A.4.1.2 参照)


47

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

附属書 B

(参考)

既設建築物等に対する SPM の実施

B.1  一般事項 

既設建築物等内の機器に対し,この規格で概説する

SPM

を,例外なしに設置することは不可能である。

この附属書は,考慮するための主要な点を記載し,強制的ではないが設置している全体的な保護対策を改

良するのに役立つ情報を提供する。

B.2  チェックリスト 

既設建築物等内の雷被害に対する適切な保護対策は,建築物等の構造及び条件並びに既設の電気及び電

子システムを考慮する必要がある。

チェックリストは,リスク解析及び最も適切な保護対策の選定を容易にする。

特に既設の建築物等に対しては,保護ゾーンの概念,接地,ボンディング,配線経路及び遮蔽について

系統的な計画を立てることが望ましい。

表 B.1∼表 B.4 に示すチェックリストは,既設の建築物等及びその設備の必要なデータを集めることに

用いることが望ましい。これらのデータに基づき保護の必要性を判断するために,IEC 62305-2 によるリ

スク評価を実施し,その結果,必要と判断した場合,最も費用対効果の高い保護対策を選定することが望

ましい。

注記

建築設備の電磁妨害に対する保護に関するその他の情報は,JIS C 60364-4-44 を参照。

チェックリストによって収集したデータは,設計の過程にも役立つ。

表 B.1−構造的特性及び周囲環境 

質問項目

a)

1

組積造(石造,れんが造など)

,木造,鉄筋コンクリート造,鉄骨造,金属製ファサード付

2 1 棟の建築物等,エキスパンションジョイントで接続した集合建築物等 
3

平屋及び低層建築物等,高層建築物等(建築物等の寸法)

4

建築物等内の全ての鉄筋の電気的な接続状況

5

金属屋根の材料の種類,形式及び材質

6

金属製ファサードのボンディングの有無

7

窓の金属枠のボンディングの有無

8

窓の大きさ

9

外部 LPS の設置状況

10 LPS の形式及び特性 
11

大地の材質(岩,土)

12

隣接建築物等の高さ,距離及び接地

a)

  詳細は,IEC 62305-2 を参照する。


48

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

表 B.2−設備の特性 

質問項目

a)

1

引込線のタイプ(地中又は架空)

2

外部装置のタイプ(アンテナ又はその他の外部装置)

3

電力線のタイプ(高圧,低圧,架空又は地中)

4

配線経路(縦シャフトの数及び配置,ケーブルダクト)

5

金属製ケーブルダクトの使用

6

建築物等内の内蔵電子機器の有無

7

他の建築物等への金属導体の接続の有無

a)

  詳細は,IEC 62305-2 を参照する。

表 B.3−機器の特性 

質問項目

1

内部システムの相互接続のタイプ(遮蔽若しくは非遮蔽の多芯ケーブル,同軸ケーブル,アナログ
及び/若しくはデジタル,平衡若しくは不平衡,並びに/又は光ファイバケーブル)

a)

2

電子システムに指定されたイミュニティレベル

a)b)

a)

  詳細は,IEC 62305-2 を参照する。

b)

  詳細は,ITU-T Recommendation K.21JIS C 61000-4-5IEC 61000-4-9  及び IEC 61000-4-10 を参照。

表 B.4−保護の概念に対して考慮するその他の質問 

質問項目

1

配電方式[TN(TN-S  又は TN-C)

,TT 又は IT]

2

機器の配置

a)

3

内部システムの機能接地導体のボンディング回路網への相互接続

a)

  詳細は,附属書 を参照する。

B.3  既設建築物等に対する SPM の設計 

設計過程における第

1

段階は,B.2 に従ったチェックリストを通じて作業及びリスク評価を実施するこ

とである。

この解析によって

SPM

が必要になった場合,

図 B.1 に示す段階に従って実施することが望ましい。

被保護機器が配置されている全ての場所に,適切な

LPZ

を割り当てる(4.3 参照)

SPM

の基本は,内部遮蔽及びボンディング回路網でなければならない。このボンディング回路網は,全

ての方向において

5 m

以下のメッシュ幅とすることが望ましい。建築物等の構造がこのような遮蔽及びボ

ンディング回路網を構築できない場合には,少なくとも,建築物等の外壁内の各階で環状導体を設置する

ことが望ましい。この環状導体は,外部

LPS

の各引下げ導体に接続することが望ましい。

注記

既設の建築物等への遮蔽対策は,実行不可能又は非経済的な場合が多い。このような場合,代

替案として

SPD

の使用が効果的である。

B.4 LPZ のための基本的保護対策の設計 
B.4.1 LPZ 

のための基本的保護対策の設計 

保護対策は,内部遮蔽及びボンディング回路網,又は外壁内,通常は

LPZ 1

の境界内の環状導体を基本

とすることが望ましい。外壁が

LPZ 1

の境界ではなく,内部遮蔽及びボンディング回路網が構築できない

場合,環状導体を

LPZ 1

の境界に設置することが望ましい。環状導体は,外壁の環状導体と,少なくとも


49

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

2

か所で,それぞれをできるだけ離して接続しなければならない。

B.4.2 LPZ 

のための基本的保護対策の設計 

保護対策は,内部遮蔽及びボンディング回路網,又は外壁内の環状導体を基本とする。内部遮蔽及びボ

ンディング回路網が構築できない場合,環状導体を各

LPZ 2

の境界に設置することが望ましい。

LPZ 2

面の寸法が

5 m

×

5 m

を超える場合,

5 m

×

5 m

以下のメッシュ幅の格子を敷設しなければならない。環状

導体は,周囲の

LPZ 1

の環状導体と,少なくとも

2

か所で,それぞれをできるだけ離して接続しなければ

ならない。

B.4.3 LPZ 

のための基本的保護対策の設計 

保護対策は,内部遮蔽及びボンディング回路網,又は

LPZ 2

内の環状導体を基本とする。内部遮蔽及び

ボンディング回路網が構築できない場合,環状導体を各

LPZ 3

の境界に設置することが望ましい。

LPZ 3

の面の寸法が

5 m

×

5 m

を超える場合,

5 m

×

5 m

以下のメッシュ幅の格子を敷設しなければならない。環

状導体は,周囲の

LPZ 2

の環状導体と,少なくとも

2

か所で,それぞれをできるだけ離して接続しなけれ

ばならない。

B.5  協調のとれた SPD システムの設置 

協調のとれた

SPD

システムは,異なる

LPZ

の境界を通過するケーブルを保護するために設計すること

が望ましい。

ボンディング及び

SPD

システムによる追加の対策によって,保護性能は大きく向上する。

ケーブルラック等の設計は,ケーブル等に対し,適切な遮蔽を行うように改善しなければならない。

壁,床,天井などの遮蔽のような追加の対策が可能な場合,既に適用した保護に対して,追加保護の実

施を考慮することが望ましい(箇条 参照)

検討している建築物等と他の建築物等との間の相互接続を改善するために設計する(B.11 参照)

保護対策実施済みの建築物等内に新しい内部システムを設置する場合,設計の手順について,新しい内

部システムの位置でも繰り返して行うことが望ましい。

完全な設計手順を,

図 B.1 に示す。


50

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

図 B.1−既存建築物等のための SPM 設計手順 

B.6 LPZ 

の空間遮蔽を用いた既設 LPS の改善 

LPZ 1

周囲の(JIS Z 9290-3 に従った)既設

LPS

は,次によって改善することができる。

a)

外部

LPS

に既存の金属製ファサード及び金属製屋根を接続する。

b)

屋根から接地極システムまで電気的に連続している構造体鉄筋を利用する。

c)

引下げ導線の間隔を短縮し,更に受雷部システムのメッシュ幅を

5 m

以下に短縮する。

d)

構造的に分離した隣接する建築物等間のエキスパンションジョイントに,柔軟性のあるボンディング

導体を接続する。

B.7  電気及び電子システムのための LPZ の確立 

電気及び電子システムの数,種類及びぜい(脆)弱性によって,小さい局部的ゾーン(機器ごとのエン

クロージャ)から統合化した大きなゾーン(建築物等内部全体)までの適切な内部

LPZ

を決定する。

既設の建築物等に対して適切な様々な解決策を提供する内部システム保護のための

LPZ

のレイアウト

の代表例を,

図 B.2 に示し,次に説明する。

a)

建築物等内全体の中に,例えば,絶縁耐力を強化した内部システムのための保護空間を形成する単一

LPZ 1

の設置を

図 B.2 の a)に示す。これを,次に説明する。

1)

この

LPZ 1

は,JIS Z 9290-3 に従った外部

LPS

(受雷部,引下げ導線及び接地極システム)及び内

LPS

(雷等電位ボンディング及び離隔距離に適合)で構成する

LPS

によって形成されている。

B.2 からデータを収集,及び

IEC 62305-2 によるリスク評価を実施

SPM は必要か?

はい

いいえ

LPZ の決定

4.3 及び B.7

基本的ボンディングシステムの設計

5.3 及び B.8

LPZ 1 の基本的保護対策の設計

B.4.1

LPZ 2 の基本的保護対策の設計

B.4.2

LPZ 3 の基本的保護対策の設計

B.4.3

協調のとれた SPD システムの設計

(箇条 7B.5 及び

附属書 C

追加対策の設計

B.6B.9B.11

外部機器に対する保護対策の設計

B.12

建築物等間の相互接続の改良

B.13

中止


51

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

2)

外部

LPS

は,建築物等への落雷に対し

LPZ 1

内を保護するが,

LPZ 1

内の磁界はほとんど減衰しな

いで残留する。これは受雷部及び引下げ導線の導体間隔が

5 m

を超えるためで,受雷部及び引下げ

導線による空間遮蔽効果は期待できない。

3)

内部

LPS

は,全ての電力線及び信号線に対する

SPD

の設置,及び

LPZ 1

の境界において建築物等

への全ての引込線のボンディングを要求する。これは,引込線上の伝導雷サージを

SPD

によって引

込口で制限することを保証する。

注記

分離用(絶縁用)インターフェースは,低周波障害の影響を避けるために,

LPZ 1

内で有

効である。

b)

非遮蔽の

LPZ 1

内では,新設する機器も同様に伝導雷サージに対して保護することが必要である。こ

の例を,

図 B.2 の b)に示す。例として,信号線にはシールドケーブルを,電力線には協調のとれた

SPD

システムを用いて保護することができる。これは,

I

n

で試験した追加の

SPD

及びコンビネーション波

形発生器で試験した

SPD

を機器に近接して設置し,かつ,引込口の

SPD

と協調がとれていることが

必要になる。さらに,機器に対し,追加の絶縁階級クラス

II

“二重絶縁”

JIS C 60664-1 参照)が必

要になることがある。

c)

新しい内部システムを設置するために,

LPZ 1

内に統合する大きなゾーンの

LPZ 2

を構築する例を,

図 B.2 の c)に示す。雷による磁界は,

LPZ 2

の格子状空間遮蔽によって,大幅に減衰する。左側に示

LPZ 1

の境界(

LPZ 0/1

の移行)及び後続の

LPZ 2

の境界(

LPZ 1/2

の移行)に設置する

SPD

は,JIS 

C 5381-12 によって協調のとれたものが望ましい。右側に示す

LPZ 1

の境界に設置する

SPD

は,

LPZ 0/2

の直接的な移行に対して選定することが望ましい(C.3.5 参照)

d)

 LPZ

1

内に二つの小規模の

LPZ 2

を設置する例を,

図 B.2 の d)に示す。

LPZ 2

のそれぞれの境界には

電力線及び信号線のための追加の

SPD

を設置することが望ましい。これらの

SPD

は,JIS C 5381-12

によって,

LPZ 1

の境界にある

SPD

と協調がとれていることが望ましい。


52

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

E:電力線 
S:信号線

a)  LPS 及び建築物等への引込口での SPD を用いた非遮蔽の LPZ 1

(例  強化した絶縁耐力レベルのシステム又は建築物等内部の小さいループに対するもの) 

E:電力線 
S:信号線

b)  遮蔽した信号線,及び電力線に協調のとれた SPD システムを用いた

新しい内部システムのための保護を施設した非遮蔽 LPZ 1 

図 B.2−既存建築物等内に LPZ を確保するための実現性 


53

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

E:電力線 
S:信号線

c)  非遮蔽 LPZ 1 及び新しい内部システムのための大規模に遮蔽した LPZ 2 

図 B.2−既存建築物等内に LPZ を確保するための実現性(続き) 


54

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

E:電力線 
S:信号線

d)  非遮蔽 LPZ 1 及び新内部システムのための二つの局部的 LPZ 2 

図 B.2−既存建築物等内に LPZ を確保するための実現性(続き) 

B.8  ボンディング回路網の使用による保護 

既設の商用周波接地システムは,数

MHz

までの周波数をもつ雷電流に対し,その周波数では非常に高

いインピーダンスとなるので,十分な等電位の水準が得られない。

内部

LPS

の必須な部分としての雷等電位ボンディングを規定した JIS Z 9290-3 によって設計した

LPS

あっても,メッシュ幅

5 m

を超える場合,敏感な内部システムに対して十分ではない。これは,この適用

に対し,ボンディングシステムのインピーダンスが非常に高くなるためである。

5 m

以下のメッシュ幅をもつ低インピーダンスのボンディング回路網を強く推奨する。

一般に,ボンディング回路網は,電力又は信号の伝送回路の一部として用いない。

したがって,

PE

導体は,ボンディング回路網に統合することが望ましいが,

PEN

導体は統合しないこ

とが望ましい。

低インピーダンスのボンディング回路網への機能接地導体(

例  電子システム特有の直接的な接地)の

直接的なボンディングは,この場合での電力線又は信号線への干渉は非常に低いので,許容する。

PEN

体又はそれに接続している他の金属への直接的なボンディングは許容しない。その結果,電子システムに

おける商用周波障害を防止する。

B.9  サージ防護デバイスによる保護 

電力線からの伝導雷サージを制限するため,

SPD

を各内部

LPZ

の引込口に設置することが望ましい(


55

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

B.2 及び図 B.8 の③)。

協調のとれていない

SPD

を設置した建築物等内では,後段の

SPD

又は機器内の

SPD

が引込口の

SPD

適切な動作を妨げる場合があり,電子システムが損傷する可能性がある。

採用した保護対策の効果を維持するために,設置した全ての

SPD

の配置の文書が必要となる。

B.10  分離用(絶縁用)インターフェースによる保護 

機器及びそれに接続する信号線を流れる商用周波障害電流は,大きなループ面積又は十分低いインピー

ダンスのボンディング回路網の欠如に起因することがある。このような障害発生を防ぐために(主として

TN-C

システム)

,既設設備と新しい設備との間の適切な分離は,次のような分離用(絶縁用)インターフ

ェースを利用して達成することができる。

注記 1

日本国内では

TT

システムが一般的であり,

TN-C

システムは一般的ではない。

a)

クラス

II

絶縁機器(

PE

導体なしの二重絶縁)

b)

絶縁変圧器

c)

金属を用いない(メタルフリー)光ファイバケーブル

d)

フォトカプラ

注記 2

金属製の機器エンクロージャとボンディング回路網又は他の金属部分との意図しない電気的

接続に注意することが望ましい。ただし,これらの金属部分が絶縁してある場合はこの限り

でない。家庭又は事務所に設置した電子機器は,電源線で接地に接続しているものが大部分

である。ただし,日本国内では

TT

システムが一般的であり,電子機器は電力線で需要家接

地に接地(接続)されていない。

B.11  配線経路及び遮蔽による保護対策 

適切な配線経路及び遮蔽は,誘導過電圧を低減する有効な対策である。これらの対策は,

LPZ 1

の空間

遮蔽を期待しない場合,特に重要である。この場合,次のような基本原則が,改善した保護となる。

a)

誘導ループ面積を最小化する。

b)

既設の主回路から新しい機器への電源供給は,損傷のリスクを著しく増大するような,大きな誘導ル

ープ面積を作り出すため,避けることが望ましい。さらに,電力線及び信号線を互いに隣接して配線

することによって,大きなループを避けることができる(

図 B.8 の⑧参照)。

c)

シールドケーブルを用いる。これらの信号線の遮蔽層は,少なくとも片端でボンディングすることが

望ましい。

d)

金属製ケーブルダクト又はボンディングした金属板を用いる。分離した金属部は,電気的に相互接続

し,全長を端末でボンディングすることが望ましい。接続は,重なり合った部分のボルト締め又は接

続線によるボンディングが望ましい。ケーブルダクトのインピーダンスを低く保つために,複数のね

じ又は留め金をケーブルダクトの外周に沿って設置することが望ましい(IEC/TR 61000-5-2 参照)

望ましい配線経路及び遮蔽技術の例を,

図 B.3 及び図 B.4 に示す。

.

注記

一般の場所(特に電子システムのために設計していない。

)において電子機器への信号線のこう

(亘)長が

10 m

を超える場合,例えば,フォトカプラ,信号絶縁変圧器又は絶縁増幅器のよう

な適切な電気的絶縁接続部をもつ平衡した信号線を用いることを推奨する。さらに,

3

芯ケー

ブルの使用は有効である。


56

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

①:PE(保護接地)

。クラス I 機器を用いている場合に

限る。

②:任意のケーブル遮蔽層。両端をボンディングする。

③:追加の遮蔽としての金属板(

図 B.4 参照)

④:小さいループ面積

注記  小さいループ面積のため,ケーブル遮蔽層と金属板との間の誘導電圧は小さい。

図 B.3−金属板に近接したシールドケーブルを用いたループ面積の低減 

①:ケーブル遮蔽の板へのボンディングがある場合

又はない場合のケーブルの固定

②:端部での磁界の強さは,板の中央部よりも大きい。

E: 電力線 
S: 信号線 
b:  追加遮蔽の金属板の幅寸法

図 B.4−追加遮蔽のための金属板の例 

B.12  外部に設置した機器の保護対策 
B.12.1  
一般事項 

外部に設置した機器の例として,アンテナを含む各種センサ,気象センサ,監視用

TV

カメラ,プラン

ト上の露出されたセンサ(圧力,温度,流量,バルブ位置など)

,建築物等上の外部に位置した電気機器,

電子機器又は放送機器,マスト,処理容器などがある。

B.12.2  外部機器の保護 

可能な場合,直撃雷に対して外部機器を保護するために,例えば局部的な受雷部を用いて,保護ゾーン

LPZ 0

B

の内部に機器を配置することが望ましい(

図 B.5 参照)。

高層の建築物等で,屋上又は側面に設置した機器が直撃雷の被害を受ける可能性がある場合には,回転

球体法(JIS Z 9290-3 参照)を適用することが望ましい。この場合,受雷部を追加することが望ましい。

多くの場合,手すり,はしご,パイプなどは,受雷部としての機能を十分に発揮することができる。ある

種のアンテナを除き,全ての機器は,この方法で保護することができる。アンテナは,その性能に対する

近くの雷保護用の導体からの悪い影響を避けるために,ときには雷保護の範囲外の場所に設置しなければ

ならない。アンテナの設計によっては,確実に接地した導体部分だけが雷放電にさらされた構造になって

いるので,本質的に自己保護している場合がある。その他の場合は,受信機又は変換器へのケーブルに流


57

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

れる過度な過渡電流を防ぐため,フィーダケーブルに

SPD

の設置を必要とする。外部

LPS

を利用するこ

とができる場合,アンテナ支持物をそれにボンディングすることが望ましい。

図 B.5−アンテナ及び他の外部機器の保護 

B.12.3  ケーブルにおける過電圧の低減 

高い誘導電圧及び電流は,ボンディングしたダクト,トランキング又は金属管内にケーブルを配置する

ことによって防止することができる。特定の機器へ接続する全てのケーブルは,同一のケーブルダクトで

導入することが望ましい。可能な場合,建築物等の管状部分内に全てのケーブルを一緒に配置することに

よって,

建築物等自身の固有の遮蔽特性を最大の利点として利用することができる。

これが不可能な場合,

処理容器(タンク)の場合と同様に,ケーブルは建築物等の外側ではあるが建築物等に接近して敷設し,

金属製パイプ,鉄製桟状はしご,その他の十分にボンディングした導電性材料がもたらす自然な遮蔽を最

大限に利用することが望ましい(

図 B.6 参照)。ケーブルを最大限保護するために,

L

形の角部を用いた支

柱では,

L

形の内側の隅に配置することが望ましい(

図 B.7 参照)。

①:受雷部

②:アンテナ用鋼製マスト 
③:手すり

④:相互接続した鉄筋

⑤:LPZ 0

B

からの引込線は,引込口で SPD を必要とする。

⑥:LPZ 1(支柱の内部)からの引込線は,引込口で SPD は

なくてもよい。

R: 回転球体の半径


58

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

①:処理容器(タンク)

②:はしご

③:パイプ

注記  A,B 及び C は,ケーブルトレイについての適切な選択肢

図 B.6−ボンディングしたはしご及びパイプによる固有の遮蔽 

①:L 形の支柱の隅におけるケーブルの理想的配置

②:支柱内のボンディングしたケーブルトレイの配置例

図 B.7−支柱の配線の理想的な配置(鉄製格子状支柱の断面) 

B.13  建築物等間の相互接続の改良 
B.13.1  
一般事項 

分離した建築物等間を相互接続する配線は,次のいずれかによる。

a)

絶縁(メタルフリー光ファイバケーブル)

b)

金属線(

例  ペア線,多芯線,導波管,同軸ケーブル,連続した金属部をもつ光ファイバケーブル)

保護の要求項目は,線の種類,線の数及び建築物等の接地極システムの相互接続の有無による。

B.13.2  絶縁した線 

メタルフリー光ファイバケーブル[

例  金属外装,防湿はく(箔)又はメタルテンションメンバのない

もの]を分離した建築物等間の相互接続に用いる場合,これらのケーブルには保護の必要はない。

B.13.3  金属線 

分離した建築物等の接地極システム間に適切な相互接続がない場合,相互接続した配線は,雷電流に対

し低インピーダンス経路を形成する。したがって,雷電流の実質的な部分は,相互接続した配線に沿って

流れる。この場合,次のようにする。

a)

両方の

LPZ 1

への入口における直接又は

SPD

によるボンディングは,内部の機器だけを保護する。外


59

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

部の配線は,保護対象から外れる。

b)

ボンディング導体を並列に追加敷設することで,雷電流が分流し,配線を保護することがある。

c)

配線は,相互接続して閉鎖形金属ケーブルダクト内に配置することを推奨する。これによって,配線

及び機器を保護する。

分離した建築物等の接地極システム間の適切な相互接続を実施している場合であっても,相互接続した

金属ダクトによる配線の保護を推奨する。

相互接続した建築物等間に多くのケーブルを配置している場合,

これらのケーブルに遮蔽又は外装を施し,片端をボンディングすることによって,ケーブルダクトの代わ

りに用いることができる。

B.14  既設建築物等内への新しい内部システムの統合 

既設建築物等に新しい内部システムを追加する場合,既設設備は,採用することができる保護対策を制

限することがある。

図 B.8 に,既設設備(左側)を,新設の設備(右側)に相互接続する例を示す。既設設備の場合,採用

することができる保護対策には制限がある。

その一方,新設の設備の設計及び計画は,必要な保護対策の全てが採用可能である。


60

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

①:既設の主回路(TN-C,TT,IT)

②:新規の主回路(TN-S,TN-CS,TT,IT) 
③:サージ防護デバイス(SPD)

④:クラス I 標準絶縁

⑤:クラス II 二重絶縁(PE なし) 
⑥:絶縁変圧器

⑦:フォトカプラ又は光ファイバケーブル

⑧:電力線と信号線との接近ルート 
⑨:遮蔽ケーブルダクト

E

:電力線

S

:信号線(遮蔽又は非遮蔽)

E

T1

,E

T2

 :接地極システム

BN

:ボンディング回路網

PE

:保護接地導体

FE

:機能接地導体  (ある場合)

:電力線(3 線:  L,N,PE)

:電力線(2 線:  L,N)

:ボンディング点(PE,FE,BN)

注記  日本国内における一般的な配電システムは TT システムである。したがって,PE,電力線(3 線)

は存在しない。

図 B.8−既設建築物等内の SPM の改良 

B.15  使用可能な保護対策の概要 
B.15.1  
電力線 

商用周波障害の原因になりやすい建築物等内の既設の電力線(

図 B.8 の①参照)は,ほとんどが

TN-C

システムである。このような障害は,分離用(絶縁用)インターフェースによって防止することができる。

新しい電力線(

図 B.8 の②参照)を設置する場合には,

TN-S

形を強く推奨する。

注記

 TN-C

システム及び

TN-S

システムは海外に多い配電方式である。日本国内では

TT

システムが

一般的であり,上記の影響が少ない。


61

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

B.15.2  サージ防護デバイス 

配線へ伝導する雷サージを制限するために,

SPD

を各

LPZ

の引込口及び可能な場合は被保護機器近傍に

設置することが望ましい(

図 B.2 及び図 B.8 の③参照)。

B.15.3  分離用(絶縁用)インターフェース 

障害を防止するため,既設及び新規の機器間を分離用(絶縁用)インターフェースを用いることができ

る[

例  クラス

II

絶縁機器(

図 B.8 の⑤),絶縁変圧器(図 B.8 の⑥参照),光ファイバケーブル又はフォ

トカプラ(

図 B.8 の⑦参照)]。

B.15.4  配線の経路及び遮蔽 

大きなループの配線経路は,非常に高い電圧又は電流を誘導することがあるが,電力線と信号線(

図 B.8

の⑧参照)とを隣接して配線し,ループ面積を最小化することによって防止することができる。さらに,

遮蔽した信号線を用いることを推奨する。増築した建築物等には,追加の遮蔽,例えばボンディングした

金属製ケーブルダクト(

図 B.8 の⑨参照)を同様に推奨する。これらの遮蔽の全ては,両端をボンディン

グすることが望ましい。

LPZ 1

の空間遮蔽効果が少なければ少ないほど,かつ,配線ループの面積が大きければ大きいほど,配

線経路及び遮蔽による対策はより重要になる。

B.15.5  空間遮蔽 

雷による磁界に対する

LPZ

の空間遮蔽は,

5 m

以下のメッシュ幅を必要とする。

JIS Z 9290-3 による標準的な外部

LPS

(受雷部,引下げ導線及び接地極システム)によって形成した

LPZ

1

は,

5 m

を超える特有のメッシュ幅をもつため,この遮蔽効果は期待できない。より高い遮蔽効果を必

要とする場合には,外部

LPS

を改良しなければならない(B.6 参照)

LPZ 1

及びこれ以上のゾーンは,無線周波数の放射及びイミュニティの要求事項に適合していない内部

システムを保護するための空間遮蔽が必要な場合がある。

B.15.6  ボンディング 

MHz

までの周波数をもつ雷電流のための等電位ボンディングとしては,

5 m

のメッシュ幅をもつ低イ

ンピーダンスのボンディング回路網が必要となる。

LPZ

への全ての引込線・管類は,

LPZ

の境界にできる

だけ近い箇所で,直接又は適切な

SPD

によってボンディングをすることが望ましい。

既設の建築物等内でこの条件を満たさない場合,他の適切な保護対策を実施することが望ましい。

B.16  建築物等内の電力線及び配線設備の改良 

古い建築物等内の配電設備の多くは,

TN-C

システムである(

図 B.8 の①参照)。

PEN

導体をもつ接地し

た信号線の接続から発生する

50 Hz

又は

60 Hz

の障害は,次の手段によって避けることができる。

注記 1

 TN-C

システムは,欧州の一般的な配電システムであり,日本国内では上記の影響が小さい。

a)

クラス

II

電気機器又は二重絶縁変圧器を用いた分離用(絶縁用)インターフェース。これは,少数の

電気機器だけの場合,対策となることがある(

図 B.8 の⑤参照)。

b)

配電方式を

TN-S

システムに変更する(

図 B.8 の②参照)。これは,特に電子機器の広範なシステムに

対して推奨する対策である。

注記 2

 TN-S

システムは,欧州の一般的な配電システムであり,日本国内では上記の影響が小さい。

さらに,接地,ボンディング及び配線経路に対する要求事項を,満たしていることが望ましい。


62

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

附属書 C 
(参考)

協調のとれた SPD システムの選定及び施工

C.1  一般 

建築物等へ直接(損傷の発生源

S1

,建築物等の近傍(

S2

,建築物等の引込線へ直接(

S3

)及び建築物

等の引込線の近傍(

S4

)への落雷は,内部システムの故障又は誤動作の原因となる[JIS Z 9290-1 の 5.1

(建築物等への損傷)参照]

この附属書は,協調のとれた

SPD

システムの選定及び施工に関する情報を提供する。追加の情報は,過

電流及び

SPD

の故障時における保護について,JIS C 5381-12 及び JIS C 60364-5-53 に規定している。

JIS Z 9290 規格群の適用範囲では,電子機器のイミュニティレベルを超える雷サージによる故障は,対

象としていない。雷サージによるイミュニティについては,JIS C 61000-4-5 を参照する。

しかし,雷サージは,絶縁破壊,すなわち,過電圧が機器のコモンモードの絶縁レベルを超えることに

よって,しばしば電気及び電子システムの故障の原因となる。

機器の定格インパルス耐電圧

U

W

(コモンモード耐電圧)が,その端子部で充電用導体と接地との間の

雷サージ電圧よりも高い場合,機器を保護することができる。そうでない場合,

SPD

を設置しなければな

らない。

このような

SPD

は,有効な電圧防護レベル

U

P/F

(公称放電電流

I

n

通過時の電圧防護レベル

U

P

に接続導

体のインダクタンス成分による電圧降下を加えたもの)が

U

W

よりも低い場合,機器を保護することがで

きる。

SPD

の設置点で発生する放電電流が

SPD

の指定の

I

n

を超えた場合,電圧防護レベル

U

P

がより高く

なり,

U

P/F

が機器の耐電圧レベル

U

W

を超えることがある。この場合,機器は保護できない。したがって,

SPD

の公称放電電流

I

n

は,設置点で想定することができる雷放電電流以上とすることが望ましい。

U

P/F

U

W

である

SPD

が被保護機器を意図したように十分に保護しない確率は,この

SPD

の設置点での

放電電流が

U

P

を決定した点での電流を超える確率に等しい。

様々な設置場所で想定する電流の評価は,JIS Z 9290-1 

附属書 E(各設置場所における雷サージ)に

記載がある。これは IEC 62305-2 を用いて決定した

LPL

に基づいている。損傷の発生源

S1

の事象を考慮

する場合,電流分流の完全な解析が必要である。追加の情報を

附属書 に示す。

(機器の

U

W

よりも)低い値の

U

P

をもつ

SPD

を選定することは,損傷の発生頻度が低下するだけでな

く,長い動作寿命をもたらすような,機器に対してストレスを低く抑えることにも留意することが望まし

い。

LPL

の関数としての確率

P

SPD

の値は,IEC 62305-2 

表 B.3

LPL

に対応して設計した

SPD

システムに

対する確率

P

SPD

の値)に示す。

注記

よりよい保護特性をもつ

SPD

に対する

P

SPD

の値は,

SPD

の電圧−電流特性が入手することに

よって,決定することができる。

最終的に,有効に協調のとれた

SPD

システムとするためには,電源回路及び信号回路の両方を保護する

SPD

を適用することは非常に重要である。


63

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

C.2 SPD の選定 
C.2.1  
電圧防護レベルを考慮した選定 

SPD

の適切な電圧防護レベルの選定は,次による。

被保護機器のインパルス耐電圧

U

W

 SPD

の接続導体の長さ

 SPD

と機器との間の配線長及び経路

次の機器に対して,被保護機器のインパルス耐電圧

U

W

を指定することが望ましい。

JIS C 60664-1 及び JIS C 5381-12 に従って,電力線に接続する機器

JIS C 5381-22 , ITU-T Recommendation K.20 , ITU-T Recommendation K.21 及 び ITU-T 
Recommendation K.45 
に従って,通信線に接続する機器

製造業者から入手した情報によるその他の線及び機器の端子

注記 1

 SPD

の電圧防護レベル

U

P

は,規定した公称放電電流

I

n

における残留電圧に関係する。

SPD

に流れる電流が大きい又は小さい場合に対し,

SPD

端子における電圧値は,それに応じて変

化する。

注記 2

電圧防護レベル

U

P

は,

SPD

と同一条件(過電圧及び過電流,波形及びエネルギー,電圧印

加する機器など)で試験をした機器のインパルス耐電圧に対比することが望ましい。この件

は検討中である。

注記 3

機器は

SPD

を内蔵することがある。これらの

SPD

の特性は,協調に影響を及ぼすことがあ

る。

SPD

が被保護機器に接続している場合,接続導体のインダクタンス成分による電圧降下

ΔU

SPD

の電

圧防護レベル

U

P

に加える。リード線接続における電圧防護レベル及び配線電圧降下から得る,

SPD

の出

力部における電圧として定義する最終有効電圧防護レベル

U

P/F

図 C.1 参照)は,次の式のように仮定す

ることができる。

電圧制限形

SPD

の場合

U

P/F

U

P

ΔU

電圧スイッチング形

SPD

の場合

U

P/F

U

P

又は

ΔU

の最大値

注記 4

一部の電圧スイッチング形

SPD

では,アーク電圧が数百

V

になる場合があり,アーク電圧

ΔU

に加える必要がある。

複合形

SPD

に対しては,

より複雑な式が必要になる場合がある。

SPD

を建築物等の引込口に設置する場合,長さ

1 m

当たり

ΔU

1 kV

と仮定することが望ましい。接続

導体の長さが

0.5 m

以下の場合,

U

P/F

1.2

×

U

P

と仮定することができる。

V

字接続において)

SPD

だけに

通電した場合,

ΔU

は無視することができる。

SPD

の動作中,

SPD

端子間の電圧を,

SPD

の設置場所において

U

P/F

に制限する。

SPD

と機器との間の配

線長が非常に長い場合,雷サージの伝搬は,振動現象を起こす場合がある。機器の端子部で開放回路の場

合,過電圧が

2

×

U

P/F

にまで上昇することがあり,

U

P/F

U

W

の場合でも,機器の故障となることがある。

SPD

に対する接続導体,接続形状及びヒューズの耐量レベルの情報は,JIS C 5381-12 及び JIS C 

60364-5-53 に規定がある。

さらに,建築物等への直撃雷又は建築物等近傍の大地への落雷は,

SPD

と機器との間の回路ループ内に

過電圧

U

I

を誘起し,この過電圧が

U

P/F

に加わることによって

SPD

の保護効果が低減する。誘導過電圧は,

ループの寸法(配線経路:回路の長さ,

PE

と活線導体との距離,電力線と通信線との間のループ面積)に

伴って増大し,磁界の強さ(空間遮蔽及び/又はラインの遮蔽)に伴って低減する。

注記 5

誘導過電圧

U

I

の計算は,A.4 を適用する。


64

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

次の a)及び b)の条件に当てはまる場合,内部システムを保護することができる。

a)

上段の

SPD

に対してエネルギー協調がとれている。

b)

次の

3

条件のいずれかを満たしている。

1)

  U

P/F

U

W

SPD

と機器との間の配線長が無視できる場合(代表例は,機器の端子部に

SPD

を設置)

2)

  U

P/F

0.8 U

W

:回路長が

10 m

以下の場合(代表例は,二次分電盤又はコンセントに

SPD

を設置)

注記 6

内部システムにおける故障が人命の損失又は公共サービスの損失の原因となる場合,振動現

象による電圧が

2

倍になることを考慮し,判断基準として,

U

P/F

U

W

/2

とすることが望まし

い。

3)

  U

P/F

(U

W

U

I

)/2

:回路長が

10 m

を超える場合(代表例は,建物の引込口,又はある場合には二次

分電盤に

SPD

を設置)

注記 7

通信用シールドケーブルに対し,波頭部の立ち上がりしゅん(峻)度によって,各種の要求

が適用されることがある。この影響における情報は,

ITU-T Lightning Handbook

Chapter 10

に記載がある。

建築物等(又は部屋)の空間遮蔽及び/又はケーブルの遮蔽(シールドケーブル又は金属製ケーブルダ

クトの使用)を実施している場合,誘導過電圧

U

I

は,一般に僅かであり,したがって,ほとんどの場合無

視することができる。


65

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

I 
U

I

U

P/F

U

P

+ΔU

U

P

ΔU=ΔU

L1

+ΔU

L2

H 
dH/dt

:部分雷電流 
:誘導過電圧

:充電用導体とボンディング用バーとの間の雷サージ電圧

:SPD の制限電圧 
:ボンディング導体上での誘導電圧降下

:磁界

:磁界の時間微分

注記  充電用導体とボンディング用バーとの間の雷サージ電圧 U

P/F

は,ボンディング導体上での

誘導電圧降下 Δのために(U

P

及び Δの最大値は必ずしも同期はしてはいないが)

,SPD

の電圧防護レベル U

P

よりも高くなる。さらに,SPD を通過する部分雷電流によって,SPD

の後段回路の防護側ループにおいて追加の電圧を誘導する。したがって,接続した機器に

被害を及ぼす最大電圧は,SPD の電圧防護レベル U

P

よりもかなり高くなることがある。

図 C.1−充電用導体とボンディング用バーとの間の雷サージ電圧 

C.2.2  設置位置及び放電電流を考慮した SPD の選定 

SPD

は,JIS Z 9290-1 

附属書 E(各設置場所における雷サージ)に従って,設置点で想定する放電電

流に耐えることが望ましい。

SPD

の使用は,電源用では JIS C 5381-11,及び通信用では JIS C 5381-21 

よってクラス分けした耐量による。

SPD

の放電電流定格の選定は,接続形態の種類及び配電方式の種類の影響を受ける。これに関するより

多くの情報は,JIS C 5381-12 及び JIS C 60364-5-53 に記載がある。

SPD

は,想定する設置位置によって,次のように選定することが望ましい。

a)

建築物等の引込線入口(

LPZ 1

の境界:

例  主分電盤

MB

1)

I

imp

で試験した SPD(クラス 試験)

 SPD

に要求するインパルス電流

I

imp

は,JIS Z 9290-1 の E.2

[建築物等への落雷による雷サージ(損傷の発生源

S1

]及び/又は E.3.1[ラインへの落雷による

雷サージ(損傷の発生源

S3

]によって選定した

LPL

に従った設置点で想定する(部分)雷電流に


66

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

対応することが望ましい。

2)

I

n

で試験した SPD(クラス II 試験)

このタイプの

SPD

は,線路の大部分が

LPZ 0

B

内にある場合,

又は損傷の発生源

S1

及び

S3

による

SPD

故障の可能性が無視できる場合に,用いることができる。

SPD

の要求する公称放電電流

I

n

は,JIS Z 9290-1 の E.3.2[配電線近傍への落雷による雷サージ(損

傷の発生源

S4

]によって選定した

LPL

及び関連する過電流に基づく設置点で想定するサージレベ

ルとすることが望ましい。

注記 1

損傷の発生源

S1

及び

S3

による

SPD

の故障のリスクは,建物及び引込線への直撃雷(

N

D

及び

N

L

)の合計数が,

N

D

N

L

0.01

の条件に従う場合,無視することができる。

b)

被保護機器の近く[

LPZ 2

及びこれ以上の境界:

SB

(二次分電盤)

SA

(コンセント)

1)

I

n

で試験した SPD(クラス II 試験)

 SPD

の要求する公称放電電流

I

n

は,JIS Z 9290-1 の E.4[誘導

効果による雷サージ(損傷の発生源

S1

又は

S2

]によって選定した

LPL

及び関連する過電流に基

づく設置点で想定するサージ電流とすることが望ましい。

注記 2

クラス

I

及びクラス

II

試験の特性をもつ

SPD

を,この位置に用いることができる。

2)

コンビネーション波形の開回路電圧 U

OC

で試験した SPD(クラス III 試験)

引込線が完全に

LPZ 0

B

内である場合,又は損傷の発生源

S1

及び

S3

による

SPD

の故障が無視できる場合,このタイプの

SPD

を用いることができる。

SPD

が要求する開回路電圧

U

OC

(試験クラス

III

は,インピーダンス

2

のコンビネーション波形発生器を用いるので,短絡電流

I

SC

はこれを用いて決定する。

)は,JIS Z 

9290-1 の E.4 によって選定した

LPL

及び関連する過電流に基づく設置点で想定するサージレベルと

することが望ましい。

C.3  協調のとれた SPD システムの設置 
C.3.1  
一般事項 

協調のとれた

SPD

システムの効率は,

SPD

の適切な選定だけではなく,これらの正しい設置にも依存す

る。次の事項を考慮する。

a)

 SPD

の位置

b)

接続導体

C.3.2 SPD の設置位置 

SPD

の位置は,C.2.2 に従うことが望ましく,主として次の事項に影響を受ける。

a)

規定した損傷の発生源[

例  建築物等への直撃雷(

S1

,引込線への直撃雷(

S3

,建築物等近傍の大

地への落雷(

S2

,引込線近傍への落雷(

S4

b)

雷サージ電流を大地に放流するための最接近場所(建築物等への引込口付近)

考慮する第

1

の基準は,

SPD

が引込口に近いほど,その

SPD

によって保護する建築物等内の機器の数量

を多くすることができる(経済的利点)ことである。第

2

の基準としては,

SPD

と被保護機器とが近いほ

ど,その保護がより効果的となる(技術的利点)ことである。

C.3.3  接続導体 

SPD

の接続導体は,

表 に規定する最小断面積とすることが望ましい。

C.3.4 SPD の協調 

協調のとれた

SPD

システムでは,

カスケードに接続した

SPD

は,

JIS C 5381-12 及び/又は JIS C 5381-22

に従ったエネルギー協調が必要である。この目的のため,

SPD

の製造業者は,異なる

SPD

間でエネルギー

協調を達成するための十分な情報を提供することが望ましい。


67

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

C.3.5  協調のとれた SPD システムを設置するための手順 

協調のとれた

SPD

システムは,次のように設置することが望ましい。

a)

SPD 1 の設置  次の全ての事項に適合させることで,

SPD 1

によって適切に機器を保護する。適合し

ない場合は,追加の

SPD

SPD 2

)の設置が必要になる。

1)

建築物等への引込口(

LPZ 1

の境界:

例  設置場所

MB

)への,C.2.2 の要求項目を満足する

SPD 1

の設置

2)

被保護内部システムのインパルス耐電圧

U

W

の決定

3)

 SPD

1

の電圧防護レベル

U

P1

の選定

4)

C.2.1 の要求項目に適合していることの確認

b)

SPD 2 の設置  次の全ての事項に適合させることで,

SPD 1

及び

SPD 2

によって適切に機器を保護す

る。適合しない場合は,追加の

SPD

SPD 3

)の設置が必要になる。

1)

必要な場合,機器の近く(

LPZ 2

の境界:

例  設置場所

SB

又は

SA

)への,C.2.2 の要求項目を満足

し,かつ,上段の

SPD 1

とエネルギー協調のとれた

SPD 2

の設置(C.3.4 参照)

2)

 SPD

2

の電圧防護レベル

U

P2

の選定

3)

C.2.1 の要求事項に適合していることの確認

c)

SPD 3 の設置  次の全ての事項に適合させることで,

SPD 1

SPD 2

及び

SPD 3

によって適切に機器を

保護する。

1)

必要な場合,機器の近傍[

例  設置場所

SA

(コンセント)

]への,C.2.2 の要求項目を満足し,かつ,

上段の

SPD 1

及び

SPD 2

とエネルギー協調のとれた

SPD 3

の設置(C.3.4 参照)

2)

条件

U

P/F3

U

W

を満足していることの確認(C.2.1 参照)


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Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

附属書 D 
(参考)

SPD

の選定において考慮する要素

D.1  一般 

I

imp

I

max

及び

I

n

は,クラス

I

試験及びクラス

II

試験における動作責務試験で用いる試験パラメータであ

る。これらは,システムに設置する

SPD

の位置での

LPL

確率レベルで発生を想定する放電電流の最大値

に関係する。

I

imp

は,クラス

I

試験に関係し,

I

max

は,クラス

II

試験に関係する。

JIS C 5381-11 に従った

I

imp

Q

及び

W/R

の推奨値を,

表 D.1 に示す。

表 D.1I

imp

a)

の推奨値 

I

imp

b)

kA

1 2 5 10

12.5 

c)

20 25

Q 
C

0.5 1 2.5 5

6.25 

c)

10 12.5

W/R

kJ/Ω

0.25 1 6.25 25 39

c)

 100  156

a)

  この表は,ラインと中性線との間を接続している SPD を対象とする(接続タイプ 1)。

b)

  一般に,I

imp

は,I

max

よりも長い波形に関係している(

例  10/350 μs)。

c)

  JIS C 60364-5-53 参照

D.2 SPD が受けるストレスを決定する項目 

SPD

が雷サージ印加によって受けるストレスは,

多くの複雑で相互に関連したパラメータの関数であり,

次の事項を含んでいる。

a)

建築物等内の

SPD

の位置(

図 D.1 参照)

b)

雷撃の設備への結合方法(

図 D.2 参照)。例  建築物等の

LPS

への直撃雷(

S1

,建築物等への近傍雷

S2

,又は建築物等への引込線への直撃雷(

S3

)若しくは近傍雷(

S4

c)

建築物等内での雷電流の分流。

例  接地極システムへ流れる雷電流の一部,並びに建築物等への引込

線・管類(配電線,金属配管,通信線等)及びこれらに用いている雷等電位ボンディング用の

SPD

経由しての遠方の接地へ流れる残りの雷電流

d)

建築物等への引込線の抵抗及びインダクタンス。これらの構成要素は,電流波高値

I

及び電荷

Q

の配

分比に影響する。

e)

設備に接続した追加の導電性の引込線・管類。これらは直撃雷電流の一部を通電するため,雷等電位

ボンディング用

SPD

を経由して配電線へ流れる割合を低減する。非導電性部材の交換によって,引込

線・管類の耐久性に注意を払うことが望ましい。

f)

波形。雷サージ発生時に,

SPD

が処理する必要のある電流波高値を簡単に考慮することはできない。

この雷サージの波形

例  直撃雷電流及び分流雷電流に対しては

10/350 μs

誘導雷電流に対しては

8/20

μs

)及び電荷量

Q

を考慮する。

g)

電源線経由で対象とする建築物等に相互接続した追加の建築物等。これらは,雷電流の分流に影響す

る。


69

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

1:設備の引込口 
2:分電盤 
3:接続コンセント 
4:主接地端子又はバー 
5:SPD(クラス I 試験又はクラス II 試験) 
6:SPD の接地接続(接地導体)

7

:被保護固定機器

8

:SPD(クラス II 試験)

9

:SPD(クラス II 試験又はクラス III 試験)

10

:減結合素子又は配線長

F1,F2,F3  :過電流保護分離器

注記 1  詳細な情報は,JIS C 5381-12 参照。 
注記 2  これは欧州で一般的な配電方式(TN システム)であり,変圧器の接地(B 種接地)と機器の

接地とが接続されている。日本国内で一般的な配電方式(TT システム)はこれと異なり,B
種接地と機器の接地とは接続されない。

図 D.1−クラス 試験,クラス II 試験及びクラス III 試験 SPD の設置例 


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Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

注記  これは欧州で一般的な配電方式(TN システム)であり,変圧器の接地(B 種接地)と機器の接地とが接続さ

れている。日本国内で一般的な配電方式(TT システム)はこれと異なり,B 種接地と機器の接地とは接続さ

れない。

図 D.2−建築物等への各種の損傷の発生源及びシステム内への雷電流の分流に対する基本的な例 

D.3 SPD への統計的な脅威レベルの定量化 
D.3.1  
一般事項 

設備内の様々な位置で

SPD

が遭遇する電気的環境及び“脅威レベル”を定量化するための多くの試みが

行われてきた。例えば,

LPS

が設置した建築物等の引込口の

SPD

に対する脅威レベルは,リスクを許容可

能値へ制限するため,当該建築物等に対するリスク評価に従って必要となる

LPL

に依存する[JIS Z 9290-1

の箇条 6(雷保護対策の必要性及び経済的正当性)参照]

この規格では,

LPL I

において,建築物等の

LPS

への直撃雷(

S1

)の波高値は,波形

10/350 μs

200 kA

になることを前提としている[JIS Z 9290-1 の 8.1(一般事項)及び

附属書 A(雷電流パラメータ)参照]。

ただし,リスク評価に従って必要となる

LPL

に合致した

SPD

を選定することが望ましい一方で,

SPD

遭遇する雷電流の大きさに影響を受ける要素も存在する。

D.3.2  雷電流の分流に影響する設置係数 

電流分流を特定する計算{JIS Z 9290-1 の E.2[建築物等への落雷による雷サージ(損傷の発生源

S1

参照}をしない場合,一般的な推定は,電流の

50 %

は建物の接地システムに流れ,

50 %

は等電位ボンディ

ング用

SPD

を経由して流出するとしている。三相

4

線の配電システムにおいて,

LPL I

の場合,各

SPD

遭遇する初期の

200 kA

の放電電流の分流

I

imp

は,

25 kA

となることを意味している(

図 D.3 参照)。

なお,建築物等へ

3

組の金属製の引込線・管類で供給し,JIS Z 9290-1 の E.2 のモデルを採用した場合,

三相システムでの各等電位ボンディング用

SPD

への合計電流

I

imp

は,

8.3 kA

になる。

配電システムへの雷電流の分流は,建築物等の引込線・管類の接地のとり方が強く影響する。例えば,

多点接地した中性線をもつ

TN-C

システムでは,雷電流に対し,

TT

システムよりも接地への直接的で,か

つ,より低いインピーダンスの経路をもっている。

電流分流の簡易的仮定は,

SPD

が遭遇する可能な脅威レベルを検討する際に,便利である。ただし,そ


71

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

の仮定を実施した状況に留意することが重要である。さらに,

SPD

を通過する電流成分の波形は,最初の

放電電流の波形と同一であると仮定しているが,実際には,波形は建物の配線のインピーダンス等によっ

て変化することがある。

注記  日本国内では,配電系統の接地よりも落雷する施設の接地抵抗が低い場合が多く,50 %が流出する

ことはまれである。図中の配電システムは TN システム(欧州で一般的)であり,接地相が複数箇
所で接地されていることから,TT システムよりも大きな電流が流出することが想定される。

図 D.3−平衡した電流分流の基本的な例 

コンピュータによるシミュレーションは,

SPD

の正しい選定を行うために,これらの要素を検討する有

益な手段である。複雑なシステムの雷電流分流を評価するため,実際のシステムを

図 D.2 の例に示すよう

に,等価的な電気回路図に変換することが必要である。

多くの規格では,

SPD

がさらされる脅威レベルを考慮する場合,長年にわたる現場での経験を根拠とし

て探し求めてきた。JIS Z 9290-1 

表 E.2(落雷による低圧配電系統への想定する雷サージ電流)は,主と

して,これを実例としている(IEEE C62.41 規格群参照)

D.3.3 SPD 定格の選定における考慮:I

imp

I

max

I

n

及び U

OC

D.3.2 から,

SPD

の適切な定格(

I

imp

I

max

I

n

及び

U

OC

)の選定は,多くの複雑で相互に関連するパラメ

ータによるということは明白である。

次の原因で発生する雷サージによる建築物等内の内部システムの損傷のリスクは,建築物等への直撃雷

S1

)又は引込線への直撃雷(

S3

)から発生した雷サージの影響によるものよりも,しばしば大きくなる

という状況に留意することが重要である。

a)

電力線,電話線及び信号線に結合して誘導した影響(

S4

b)

建築物等近傍への落雷と結合した

LEMP

の影響(

S2

多くの建物は,建築物等又は引込線への直撃雷に対する保護を必要とせず,クラス

I

試験

SPD

に対する

要求は必要としないが,正しく設計したクラス

II

試験

SPD

システムがふさわしい場合がある。

一般的な取組みとしては,直撃雷電流及び分流電流を含む場所(

S1

又は

S3

)ではクラス

I

試験

SPD

を,

誘導の影響を受ける場所(

S2

及び/又は

S4

)ではクラス

II

試験及び/又はクラス

III

試験

SPD

を用いる

ことが望ましい。

このような複雑な事項に対応する場合,

SPD

の選定で最も重要な側面は,想定する雷サージの発生中に


72

Z 9290-4

:2016 (IEC 62305-4:2010)

おける

SPD

の電圧制限特性及び処理することができるエネルギー耐量(

I

imp

I

max

I

n

及び

U

OC

)であるこ

とに留意することが必要である[IEC 62305-2 

表 B.7

LPL

に対応して設計した

SPD

システムに対する

確率

P

EB

の値)の

注記 参照]。

想定する

I

n

において,機器のインパルス耐電圧よりも制限電圧が低い

SPD

は,特に,追加の電圧(接続

線の電圧降下,振動及び誘導現象)を発生する外部要因を考慮し,機器の保護を確実にするだろう。対照

的に,設置場所で要求するエネルギー耐量よりも大きな耐量をもつ

SPD

は,長い動作寿命をもたらすだけ

かもしれない。ただし,より低い制限電圧をもつ

SPD

を調整不十分な電源システムに設置した場合,一時

的過電圧(

TOV

)から想定される損傷の影響をより受けやすくなる。

参考文献

JIS C 60364-4-44  低圧電気設備−第

4-44

部:安全保護−妨害電圧及び電磁妨害に対する保護

注記

対応国際規格:IEC 60364-4-44

Low-voltage electrical installations

Part 4-44: Protection for

safety

Protection against voltage disturbances and electromagnetic disturbances

IDT

IEC 61000 

(all parts)

Electromagnetic compatibility (EMC)

ITU-T Recommendation K.20

:2008

Resistibility of telecommunication equipment installed in a

telecommunications centre to overvoltages and overcurrents

ITU-T Recommendation K.21

:2003

Resistibility of telecommunication equipment installed in customer

premises to overvoltages and overcurrents

ITU-T Recommendation K.45

:2003

Resistibility of telecommunication equipment installed in the access and

trunk networks to overvoltages and overcurrents

IEC/TR 61000-5-2

:1997

Electromagnetic compatibility (EMC)

Part 5-2: Installation and mitigation guidelines

Earthing and cabling

ITU-T Lightning handbook:1994

The protection of telecommunication lines and equipment against lightning

discharges

Chapter 10

IEEE C62.41

:1991

Recommended practice on surge voltages in low-voltage ac power circuits