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Z 9290-3

:2014

(1)

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

2

2

  引用規格

2

3

  用語及び定義

3

4

  雷保護システム(LPS

6

4.1

  LPS のクラス

6

4.2

  LPS の設計

7

4.3

  鉄筋コンクリート造の建築物等における鋼材の連続性

7

5

  外部雷保護システム

8

5.1

  一般事項

8

5.2

  受雷部システム

8

5.3

  引下げ導線システム

13

5.4

  接地極システム

16

5.5

  構成部材

18

5.6

  材料及び寸法

19

6

  内部雷保護システム

21

6.1

  一般事項

21

6.2

  雷等電位ボンディング

22

6.3

  外部雷保護システムの絶縁

24

7

  LPS の保守及び点検

26

7.1

  一般事項

26

7.2

  点検内容

26

7.3

  点検時期及び項目

26

7.4

  保守

26

8

  接触電圧及び歩幅電圧による生物への傷害に対する保護対策

27

8.1

  接触電圧に対する保護対策

27

8.2

  歩幅電圧に対する保護対策

27

附属書 A(規定)受雷部システムの配置

28

附属書 B(規定)危険な火花放電回避のための引込ケーブルの遮蔽体の最小断面積

33

附属書 C(参考)離隔距離 の算出

34

附属書 D(参考)爆発の危険性を伴う建築物等の LPS に対応した規定

40

附属書 E(参考)雷保護システムの設計,施工,保守及び点検に関する指針

46

附属書 JA(参考)JIS と対応国際規格との対比表

134


Z 9290-3

:2014

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人電気設備学会(IEIEJ)及び一

般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,国土交通大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS Z 9290

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS

Z

9290-1

  第 1 部:一般原則

JIS

Z

9290-3

  第 3 部:建築物等への物的損傷及び人命の危険

JIS

Z

9290-4

  第 4 部:建築物内の電気及び電子システム


日本工業規格

JIS

 Z

9290-3

:2014

雷保護−

第 3 部:建築物等への物的損傷及び人命の危険

Protection against lightning-

Part 3: Physical damage to structures and life hazard

序文

この規格は,2010 年に第 2 版として発行された IEC 62305-3 を基とし,技術的内容を変更して作成した

日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,

附属書 JA に示す。

この規格は,建築物等の内部及び周辺における物的損傷並びに接触電圧及び歩幅電圧による生物(人間

及び家畜類)への傷害に対する雷保護に関して規定する。

建築物等の物的損傷に対する雷保護の最も効果的な対策は,雷保護システム(LPS)である。この LPS

は,一般に,外部雷保護システム(外部 LPS)及び内部雷保護システム(内部 LPS)の両者で構成してい

る。

外部 LPS(3.2 参照)は,次のことを目的としている。

a)

建築物等への落雷の捕捉(受雷部システムを使用)

b)

雷電流を安全に接地極に導く(引下げ導線システムを使用)

c)

雷電流を大地に放流する(接地極システムを使用)

内部 LPS(3.5 参照)は,外部 LPS の部材と建築物等の内部への導電性部材との間の雷等電位ボンディ

ング又は離隔距離の確保(すなわち,電気的絶縁)によって,建築物等内部の危険な火花放電を防止する。

接触電圧及び歩幅電圧による生物への傷害に対する主な雷保護対策の目的を,次に示す。

1)

露出した導電性部材の絶縁及び/又は地表面の高大地抵抗率化によって,身体に流れる危険な電流

を低減する。

2)

物理的制限及び/又は警告表示によって,危険な接触電圧及び歩幅電圧の発生を低減する。

LPS の種類及び配置は,新築の建築物等の設計初期段階で考慮することが望ましい。これによって,建

築物等の導電性部分を LPS の部材として最大限に活用できる。それらを実施することで,統合した設備の

設計及び建設がより容易となり,全体的な美観の改善も可能となる。さらに,最小のコスト及び作業で LPS

の効果を向上することができる。

雷電流を大地へ放流する効果的な接地極システムを形成するため,建築物基礎の鉄筋構造を適切に利用

するには,建設が開始してからでは不可能である。したがって,大地抵抗率及び土壌の特性は,できる限

り建設計画の初期段階で考慮することが望ましい。これは,接地極システムの設計の基本であり,建築物

等の基礎の設計作業に影響することがある。

最低のコストで最良の成果を得るために雷保護設計者と雷保護施工者,建築設計者及び建設業者との間


2

Z 9290-3

:2014

の定期的な協議が必要である。

既存の建築物等に LPS を追加する場合,この規格に従って常に努力することが望ましい。LPS の種類及

び配置の設計は,既存の建築物等の特徴を考慮することが望ましい。

1

適用範囲

この規格は,雷保護システム(LPS)によって建築物等を物的損傷から保護し,かつ,LPS 近傍におけ

る接触電圧及び歩幅電圧による人命などへの危険から保護するための要求項目について規定する(JIS Z 

9290-1

参照)

注記  この規格では,建築物並びに煙突,塔,油槽などの工作物及びその他のものを,“建築物等”と

いう。

この規格は,次の項目に適用できる。

a)

建築物等に適用する LPS の設計,施工,点検及び保守(建築物等の高さによらない。

b)

接触電圧及び歩幅電圧による生物への傷害に対する雷保護の確立

次の設備などは,この規格の適用範囲外とする。

c)

鉄道システム

d)

建築物等の外部に設ける送電システム,配電システム及び発電システム(建築物等に付帯するものを

除く。

e)

建築物等の外部に設ける通信システム(建築物等に付帯するものを除く。

f)

車両,船舶,航空機及び沖合設備

注記 1  爆発のリスクによって周辺を危険にする建築物等の LPS に対する特別な要求事項は検討中で

ある。仮の規定内容を参考として

附属書 に示す。

注記 2  この規格は,過渡過電圧による電気システム及び電子システムの故障を保護することを意図

したものではない。このような特別な要求事項は,JIS Z 9290-4 に規定する。

注記 3  風力発電の雷保護は,IEC 61400-24 に規定する。

注記 4  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 62305-3:2010

,Protection against lightning−Part 3: Physical damage to structures and life

hazard(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 5381-11

  低圧サージ防護デバイス−第 11 部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバ

イスの要求性能及び試験方法

注記  対応国際規格:IEC 61643-11,Low-voltage surge protective devices−Part 11: Surge protective

devices connected to low-voltage power systems−Requirements and test methods(IDT)

JIS C 5381-21

  低圧サージ防護デバイス−第 21 部:通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイス

(SPD)の要求性能及び試験方法


3

Z 9290-3

:2014

注記  対応国際規格:IEC 61643-21,Low voltage surge protective devices−Part 21: Surge protective

devices connected to telecommunications and signalling networks−Performance requirements and

testing methods(IDT)

JIS Z 9290-1

  雷保護−第 1 部:一般原則

注記  対応国際規格:IEC 62305-1,Protection against lightning−Part 1: General principles(IDT)

JIS Z 9290-4

  雷保護−第 4 部:建築物内の電気及び電子システム

注記  対応国際規格:IEC 62305-4:2010,Protection against lightning−Part 4: Electrical and electronic

systems within structures(IDT)

IEC 60079-10-1:2008

,Explosive atmospheres−Part 10-1: Classification of areas−Explosive gas atmospheres

IEC 60079-10-2:2009

, Explosive atmospheres − Part 10-2: Classification of areas − Combustible dust

atmospheres

IEC 62305-2

,Protection against lightning−Part 2: Risk management

IEC 62561 (all parts)

,Lightning protection system components (LPSC)

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1

雷保護システム,LPS(lightning protection system)

建築物等への落雷による物的損傷及び生物への傷害を低減するために使用するシステム全体(JIS Z 

9290-1

参照)

注記 1  外部雷保護システム及び内部雷保護システムの両方で構成される。

注記 2  これは,雷保護(LP)の総合的システムの一部である。

3.2

外部雷保護システム(external lightning protection system)

LPS の一部で,受雷部システム,引下げ導線システム及び接地極システムで構成されるシステム(JIS Z 

9290-1

参照)

3.3

被保護建築物等から分離した外部 LPS(external LPS isolated from the structure to be protected)

受雷部システム,引下げ導線システムなどの雷電流経路を被保護建築物等と接触しないように分離配置

した外部 LPS。

注記  分離した LPS では,LPS と被保護建築物等との間の危険な火花放電を防止する。

3.4

被保護建築物等から分離しない外部 LPS(external LPS not isolated from the structure to be protected)

受雷部システム,引下げ導線システムなどの雷電流経路を被保護建築物等と分離せずに配置した外部

LPS。

3.5

内部雷保護システム(internal lightning protection system)

LPS の一部で,雷等電位ボンディング及び/又は外部 LPS との電気的絶縁で構成されるシステム(JIS Z 

9290-1

参照)


4

Z 9290-3

:2014

3.6

受雷部システム(air-termination system)

外部 LPS の一部で,落雷を捕捉するための,突針,メッシュ導体又は水平導体のような金属部材で構成

されるシステム(JIS Z 9290-1 参照)

3.7

引下げ導線システム(down-conductor system)

外部 LPS の一部で,落雷電流を受雷部システムから接地極システムへ導くことを目的としたシステム

JIS Z 9290-1 参照)

3.8

水平環状導体(ring conductor)

雷電流の分流のために,建築物等の周囲にループを形成し,かつ,引下げ導線に相互接続した導体。

3.9

接地極システム(earth-termination system)

外部 LPS の一部で,落雷電流を大地に放流することを目的としたシステム(JIS Z 9290-1 参照)

3.10

接地極(earth electrode)

接地極システムの一部又はその集合体で,大地と直接電気的に接触し,雷電流を大地に放流するもの。

3.11

環状接地極(ring earth electrode)

建築物等の周辺地中又は地表面に,閉ループを形成する接地極。

3.12

基礎接地極(foundation earth electrode)

建築物等の基礎直下の地中,又は建築物等の基礎コンクリート内に配置した,一般的に閉ループを形成

した導電性部分。

IEC 60050-826:2004,826-13-08 参照]

[3]

3.13

等価接地インピーダンス(conventional earthing impedance)

接地極に流れる電流の波高値に対する接地極に生じる電圧の波高値との比。一般に,これらは,同時に

は現れない(JIS Z 9290-1 参照)

3.14

接地電圧(earth-termination voltage)

接地極システムと無限遠点との間の電位差。

3.15

LPS

の構造体利用構成部材(natural component of LPS)

あえて雷保護用として設置したものではないが,LPS の一つ以上の機能を提供可能な導電性構成部材。

注記  この用語の使用例を次に示す。

a)

構造体利用受雷部

b)

構造体利用引下げ導線

c)

構造体利用接地極


5

Z 9290-3

:2014

3.16

接続部材(connecting component)

LPS の部材で,導体間の相互接続又は金属製工作物と接続するもの。

注記  橋絡及び伸縮部材を含む。

3.17

取付部材(fixing component)

LPS の部材で,LPS 構成要素を被保護建築物等に取り付けるために使用するもの。

3.18

金属製工作物(metal installation)

雷電流経路を形成する可能性のある,被保護建築物等内の金属製設備又は部材。配管,金属製階段,エ

レベータのガイドレール,換気・暖房・空調用ダクト,相互接続した鉄筋,鉄骨など。

3.19

外部導電性部材(external conductive parts)

配管,金属ケーブル,金属ダクトなどのような,雷電流の一部が流れる可能性のある,建築物等に出入

りする金属製部材(JIS Z 9290-1 参照)

3.20

電気システム(electrical system)

低圧配電系統部品で構成されるシステム(JIS Z 9290-1 参照)

3.21

電子システム(electronic system)

通信機器・コンピュータ・制御及び計測システム・無線システム・パワーエレクトロニクス設備のよう

なぜい(脆)弱な(弱耐電圧特性の)電子機器で構成されるシステム(JIS Z 9290-1 参照)

3.22

内部システム(internal system)

建築物等の内部の電気システム及び電子システム(JIS Z 9290-1 参照)

3.23

雷等電位ボンディング,EB(lightning equipotential bonding)

分離した金属製部分を,雷電流によって発生する電位差を低減するため,直接又はサージ防護デバイス

を介して LPS へ接続すること。

3.24

ボンディング用バー(bonding bar)

金属製工作物,外部導電性部材,電力及び通信線並びに他のケーブル類を LPS に接続できる金属製のバ

ー。

3.25

ボンディング導体(bonding conductor)

分離した導電性部材を LPS に接続する導体。

3.26

相互接続した鉄筋(interconnected reinforced steel)

電気的な連続性があるとみなす鉄筋コンクリート造内部の補強用鋼材。


6

Z 9290-3

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3.27

危険な火花放電(dangerous sparking)

被保護建築物等の内部で物的損傷の原因となる雷による放電。

3.28

離隔距離(separation distance)

危険な火花放電が発生しない 2 個の導電性部材間の距離。

3.29

サージ防護デバイス,SPD(surge protective device)

過渡過電圧を制限し,サージ電流を分流することを目的とした,1 個以上の非線形素子を内蔵している

装置(JIS Z 9290-1 参照)

3.30

試験用接続部(test joint)

LPS 構成部材の電気的試験及び測定を容易にするために設けた接続部。

3.31

LPS

のクラス(class of LPS)

LPS を設計するための雷保護レベルによる LPS の等級を表す数字。

3.32

雷保護設計者(lightning protection designer)

LPS の設計において,熟練した専門家。

3.33

雷保護施工者(lightning protection installer)

LPS の施工において,熟練した人材。

3.34

爆発の危険を伴う建築物等(structure with risk of explosion)

固形爆発性材料又は IEC 60079-10-1 及び IEC 60079-10-2 に規定された危険ゾーンをもつ建築物等。

3.35

分離用スパークギャップ,ISG(isolating spark gap)

導電性の設備部分を電気的に分離するための放電距離をもつ部品。

注記  雷撃の場合,その設備部分は,放電で一時的に電気的に接続状態となる。

3.36

分離用インタフェース(isolating interfaces)

雷保護ゾーン LPZ 内に引き込む線を伝搬する雷サージを低減することができる装置(JIS Z 9290-1 参照)

注記 1  これらには,巻線間の遮蔽層を接地した絶縁変圧器,非金属の光ファイバーケーブル及び光

アイソレータを含む。

注記 2  これらの装置の絶縁耐力特性が,この適用に対して十分でない場合,SPD を組み合わせて適

用する。

4

雷保護システム(LPS

4.1

LPS

のクラス

LPS のクラスは,被保護建築物等の特性及び考慮する雷保護レベルによる。


7

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表 に示す LPS の 4 クラス(I∼IV)は,JIS Z 9290-1 で規定する雷保護レベルによる。

表 1−雷保護レベル(LPL)と雷保護システム(LPS)のクラスとの関係(JIS Z 9290-1 参照)

LPL LPS のクラス

I I

II II

III III 
IV IV

各クラスには,次のような特性項目が必要となる。

a) LPS

のクラスに依存する項目

1)

雷パラメータ(JIS Z 9290-1 

表 及び表 参照)

2)

回転球体半径,メッシュ幅及び保護角度(5.2.2 参照)

3)

引下げ導線の平均間隔(5.3.3 参照)

4)

危険な火花放電に対応した離隔距離(6.3 参照)

5)

接地極の最小長さ(5.4.2 参照)

b) LPS

のクラスに依存しない項目

1)

雷等電位ボンディング(6.2 参照)

2)

受雷部システムにおける金属配管及び金属板の最小厚さ(5.2.5 参照)

3) LPS

の材料及び使用条件(5.5.1 参照)

4)

受雷部,引下げ導線及び接地極の材料,形状及び最小寸法(5.6 参照)

5)

接続導体の最小寸法(6.2.2 参照)

LPS の各クラスの性能は,IEC 62305-2 の附属書 による。

4.2

LPS

の設計

LPS の設計及び施工での段階が,被保護建築物等の設計及び建設の段階で一致している場合には,技術

的及び経済的に最適な LPS の設計が可能である。特に,建築物等自体の設計段階で,建築物等の金属製部

材を LPS の部材として利用することが望ましい。

既存の建築物等に対する LPS のクラス及び配置の設計は,

既存の状況の制約を考慮しなければならない。

LPS の設計資料には,適切で確実な設備とするために当該設計に必要な全ての情報を含まなければなら

ない。その詳細を参考として

附属書 に記載する。

LPS は,熟練した専門家である雷保護設計者(以下,LPS 設計者という。)と雷保護施工者(以下,LPS

施工者という。

)とによって設計・施工することが望ましい(E.4.2 参照)

4.3

鉄筋コンクリート造の建築物等における鋼材の連続性

鉄筋コンクリート造の建築物等における鉄筋は,垂直及び水平鉄筋の大部分の相互接続箇所を溶接又は

確実に接続してあれば,電気的に連続性があるとみなす。垂直鉄筋の接続は,溶接,クランプ,又はその

直径の 20 倍以上の長さで重ね合わせてバインド接続若しくは確実に接続されていなければならない(

E.5

参照)

。新築の建築物等では,LPS 設計者又は施工者は,鉄筋部材間の接続方法を,建設業者,土木技

師及び鉄筋関係者と協議し,明確にしなければならない。

接続状態が明確でない場合,鉄筋の電気的連続性は,建築物等の最上階から地上レベル間の電気的測定

によって確認する。その場合の抵抗値は,0.2 Ω 以下が望ましい(測定方法は,E.4.3 参照)

。この値以下に

ならない場合,鉄筋は,5.3.5 に規定する構造体利用引下げ導線として使用できない。


8

Z 9290-3

:2014

プレキャスト及びプレストレスト鉄筋コンクリートの場合には,鉄筋の電気的連続性は,隣接するプレ

キャストコンクリート間で達成しなければならない。

注記 1  鉄筋の電気的連続性の詳細を参考として附属書 に示す。

注記 2  鉄筋の電気的連続性は,国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの,又は国土交通大臣の

認定を受けたものである必要がある。

5

外部雷保護システム

5.1

一般事項

5.1.1

外部 LPS の適用

外部 LPS は,側壁への雷放電を含む建築物等への落雷を捕捉し,雷電流を雷撃点から大地へ放流するこ

とを目的とし,かつ,熱的若しくは機械的な損傷がなく,又は火災若しくは爆発を引き起こす可能性のあ

る危険な火花放電の発生を防止し,雷電流を大地に放流することを目的とする。

5.1.2

外部 LPS の選定

外部 LPS は,主に,被保護建築物等に取り付ける。

雷撃点又は雷電流が流れる導体における,熱的及び爆発の影響が,建築物等又は内容物への損傷の原因

になる可能性のある場合,分離した外部 LPS を考慮することが望ましい(

附属書 参照)。代表的な例と

しては,可燃物で覆った建築物等,可燃物の壁のある建築物等,並びに火災及び爆発の危険性のある領域

を含む。

注記  分離した LPS の使用は,建築物等及び設備機器類等又はその用途の変更によって LPS を改修す

る場合,適している。

内容物の条件によって,引下げ導線に流れる雷電流による放射電磁界の低減が必要な場合にも,分離し

た LPS を考慮する。

5.1.3

構造体利用構成部材の使用

建築物等の内部及び/又は上部に常に存在し,かつ,改修しない導電性材料で構成した構造体(例えば,

建築物等の相互接続した鉄筋,鉄骨など)は,LPS の一部として使用できる。

その他の構造体利用構成部材は,LPS の補助的な追加部材としてだけ使用することができる。

注記  追加の情報を参考として附属書 に示す。

5.2

受雷部システム

5.2.1

一般事項

受雷部システムを適切に設計することによって,雷電流の建築物等への侵入確率は,大幅に低減するこ

とができる。

受雷部システムは,次の各要素又はその組合せで構成できる。

a)

突針(金属製ポール及びマストを含む。

b)

水平導体

c)

メッシュ導体

全ての受雷部システムは,5.2.25.2.3 及び

附属書 に従った配置にし,この規格に完全に従わなければ

ならない。

個々の突針は,電流の分流を確実にするために,屋根レベルで共通に接続するのが望ましい。

全ての受雷部に対し,金属製受雷部システムの実寸法値だけを,被保護範囲の決定に使用しなければな

らない。


9

Z 9290-3

:2014

放射性の受雷部は,使用してはならない。

5.2.2

配置

建築物等の上部に設置した受雷部は,突角部,出隅及び縁部(特に全てのファサードの上面)に,次の

受雷部システムの配置決定に使用する方法を 1 個以上使用して配置しなければならない。

a)

保護角法

b)

回転球体法

c)

メッシュ法

回転球体法は,全ての場合に適用可能である。

保護角法は,単純な形状のビルに適しているが,

表 2,表 2A 及び図 に示す受雷部の高さによって保護

角度が異なる。

メッシュ法は,平たん(坦)な表面を保護する場合に適している。

LPS のクラスに対応した保護角度,回転球体半径及びメッシュ幅を,表 及び図 に示す。受雷部シス

テムの配置についての詳細を

附属書 に示す。

表 2LPS のクラスに対応した回転球体半径の最小値,最大メッシュ幅及び保護角度の最大値

LPS のクラス

保護方法

回転球体半径 r

(m)

メッシュ幅 W

m

(m)

保護角度 α

(°)

I 20  5×5

図 参照

II 30 10×10

III 45 15×15 
IV 60 20×20

注記 1  ●印を超える値は,適用しない。その場合は,回転球体法及びメッシュ法による。 
注記 2  は,被保護範囲の基準平面を超える受雷部の高さである。 
注記 3  角度は,2 m 未満の では変化しない。 
注記 4  保護角度の具体的数字例を表 2A に示す。

図 1LPS のクラスに対応した保護角度

h(m)


10

Z 9290-3

:2014

表 2ALPS のクラスに対応した保護角度

受雷部の

高さ h(m)

保護角度 α(°)

LPS のクラス

I II III IV

2

70 74 77 78

3

66 70 74 76

4

62 67 71 74

5

59 64 69 72

6

55 62 67 70

7

53 60 65 69

8

50 57 64 67

9

47 55 62 66

10

45 53 60 64

11

42 52 59 63

12

40 50 57 62

13

38 48 56 61

14

35 46 55 60

15

33 45 53 59

16

31 43 52 57

17

29 42 51 56

18

27 40 50 55

19

25 38 49 54

20

23 37 48 53

21

  35 46 53

22

  34 45 52

23

  33 44 51

24

  31 43 50

25

  30 42 49

26

  28 41 48

27

  27 40 47

28

  26 39 46

29

  24 38 46

30

  23 37 45


11

Z 9290-3

:2014

表 2ALPS のクラスに対応した保護角度(続き)

受雷部の

高さ h(m)

保護角度 α(°)

LPS のクラス

I II III IV

31

36  44

32

35  43

33

34  42

34

33  42

35

32  41

36

31  40

37

30  39

38

29  38

39

28  38

40

27  37

41

26  36

42

26  35

43

25  35

44

24  34

45

23  33

46

33

47

32

48

31

49

30

50

30

51

29

52

28

53

28

54

27

55

26

56

26

57

25

58

24

59

23

60

23

5.2.3

高層建築物等の側壁への落雷に対応した受雷部

5.2.3.1

高さ 60 m 未満の建築物等

一般に,

“高さ 60 m 未満の建築物等の側壁へ落雷する確率は十分に低く,考慮する必要がない。

”とし

ている。屋根又は水平部からの突出部は,IEC 62305-2 のリスク計算によって決定した LPS のクラスに従

って保護しなければならない。

5.2.3.2

高さ 60 m 以上の建築物等

60 m を超える建築物等では,側壁への落雷は,特に表面の突角部,出隅及び縁部に対して可能性が高い。

注記 1  高層建築物等の側壁への落雷は,全落雷の数パーセントだけであり,かつ,それらの雷電流

パラメータは,建築物等頂部へのそれに比べて非常に小さいので,側壁への落雷によるリス

クは一般に小さい。しかし,建築物等の外壁に取り付けた電気及び電子システムは,雷電流

が小さくても破壊されることがある。


12

Z 9290-3

:2014

受雷部システムは,高層建築物等の上部(すなわち,建築物等の高さ 60 m を超える部分で,一般的に

は建築物等の高さの上部 20 %の部分)及びその上に設置した設備を保護するために設置しなければならな

い(

附属書 参照)。

建築物等のこれら上部への受雷部システムの配置規定は,突角部,出隅及び重要な突出部(例えば,バ

ルコニー,展望台など)への受雷部システムの配置を重要視し,LPL IV 以上の規定に適合していなければ

ならない。

高層建築物等の側壁に対する受雷部には,

表 の最小寸法に適合する金属製クラッド(複合材)及び金

属製カーテンウォールのような部材を使用できる。外部の金属製構造体を利用しない場合,受雷部の要求

事項は,建築物等の突角部に配置する外部の引下げ導線の使用も含む。

要求事項に適合するように設置した受雷部又は構造体利用の受雷部は,設置した引下げ導線に接続し,

かつ,建築物等の鉄骨又は 5.3.5 の規定に適合する電気的連続性をもつコンクリート内の鉄筋のような構

造体利用引下げ導線に適切に相互接続できる。

注記 2  適切な接地極及び構造体利用引下げ導線を利用することが望ましい。

5.2.4

構造

被保護物と分離しない LPS の受雷部は,次のように設置することができる。

a)

屋根が不燃性材料で構成されている場合,受雷部導体は,屋根の表面に設置できる。

b)

屋根が可燃性材料で構成されている場合,受雷部導体と屋根材との間隔に注意を払わなければならな

い。かやぶ(萱葺)き屋根のように屋根材を取り付けるために鋼材を使用していない場合には,0.15 m

以上の間隔が必要である。他の可燃物に対しては,0.1 m 以上の間隔が必要である。

c)

被保護物の可燃性部材は,外部 LPS の構成部材と直接接触してはならず,かつ,落雷によって孔があ

く可能性のある金属屋根の下に配置してはならない(5.2.5 参照)

木製の薄板のような多少燃えにくい材料についても,同様に注意を払わなければならない。

注記  平屋根に水がた(溜)まる可能性がある場合,受雷部は最高水位よりも上になるように設置す

ることが望ましい。

5.2.5

構造体利用構成部材

建築物等における次の部材は,5.1.3 に従った LPS の構造体利用受雷部の構成部材とすることが望ましく,

かつ,使用することができる。

a)

次に適合する被保護建築物等を覆う金属板

1)

種々の部品間の電気的連続性が,恒久的であるもの(

例  黄銅ろう付,溶接,クランプ,圧着,縫

合せ,ねじ止め又はボルト締め)

2)

金属板が雷放電によって穴があいても差し支えない構造の場合,又は金属板の下部に着火する可燃

物がない場合,金属板の厚さが

表 に示した t' の値以上のもの

3)

雷放電による開孔及び局所過熱(ホットスポット)を懸念する場合,金属板の厚さが

表 に示した

の値以上のもの

注記 1  局所過熱(ホットスポット),又は発火の問題が発生するところでは,雷放電によって内

部表面の温度上昇が危険にならないことを確認することが望ましい。局所過熱,又は発

火の問題は,金属板が LPZ 0

B

又は建築物等の内側にある場合は無視してもよい。

4)

絶縁物で覆われていない


13

Z 9290-3

:2014

表 3−受雷部システムの金属板及び金属配管の厚さの最小値

単位  mm

LPS のクラス

材料

厚さ

a)

厚さ

b)

t' 

I∼IV

− 2.0

(ステンレス,亜鉛めっき鋼)

4 0.5

チタニウム 4

0.5

銅 5

0.5

アルミニウム 7 0.65

亜鉛

− 0.7

a)

  は,開孔を避ける。

b)

  t' は,開孔,局所過熱又は発火が問題とならない金属板だけに適用する。

b)

非金属屋根が損傷してもよい場合,その屋根の下に接して配置した金属製部分(トラス,相互接続し

た鉄筋など)

c)

装飾部品,レール,パイプ,手すりなどの断面積が,受雷部構成部材の規定断面積以上の場合

d)

表 及び表 6A に従った厚さ及び断面積をもつ材料で構成した,屋根上の配管及びタンク

e)

表 に示した厚さ に適合する材料で構成し,雷撃点の内側表面の温度上昇が危険でない場合,爆発

物又は可燃物を取り扱う配管及びタンク(

附属書 参照)

表 に示す厚さの条件を満足しない場合,配管及びタンクは,保護範囲内に配置しなければならない。

可燃物又は爆発物を取り扱う配管は,フランジ部分に挿入するガスケット(パッキン)が金属物でない

場合,又はフランジ端部を正しくボンディングしていない場合,受雷部構成部材として使用してはならな

い。

注記 2  薄い塗装皮膜,約 1 mm のアスファルト又は 0.5 mm の PVC は,絶縁物として取り扱わない。

詳細は,E.5.3.4.1 及び E.5.3.4.2 を参照する。

5.3

引下げ導線システム

5.3.1

一般事項

引下げ導線は,LPS に流れる雷電流によって損傷する可能性を低減するため,受雷部から大地に向けて

次の方法で設置しなければならない。

a)

複数の電流経路を並列に形成する。

b)

最短の電流経路を形成する。

c)

建築物等の導電性部材との雷等電位ボンディングを 6.2 に従って形成する。

注記 1  複数の引下げ導線を横方向で接続することは,効果的である。

引下げ導線及び水平環状導体の配置は,離隔距離に影響を与える(6.3 参照)

注記 2  等間隔で水平環状導体と外周で相互接続した,数多くの引下げ導線を設置することは,危険

な火花放電の発生頻度を低減し,かつ,内部設備への保護効果が向上する(JIS Z 9290-4 

照)

。鉄骨造及び電気的連続性のある鉄筋コンクリート造の建築物等では,この状態となる。

引下げ導線間隔の推奨距離を,

表 に示す。

引下げ導線の雷電流の分流については,参考として

附属書 に示す。

5.3.2

分離した LPS の配置

LPS の配置は,次のとおり行う。


14

Z 9290-3

:2014

a)

受雷部が,非金属又は相互接続していない鉄筋などの,分離した複数の支持柱(又は 1 本の支持柱)

上に取り付けた突針である場合,各支持柱には 1 条以上の引下げ導線が必要である。支持柱が金属又

は相互接続した鉄筋である場合,追加の引下げ導線を施設する必要はない。

b)

受雷部が架空に施設した複数の水平導体又は 1 本の導体である場合,各支持構造物に 1 本以上の引下

げ導線が必要である。

c)

受雷部が格子状の場合,各導体支持端部において 1 条以上の引下げ導線が必要である。

5.3.3

分離しない LPS の配置

分離しない LPS においては,引下げ導線の数は 2 条以上とする。さらに,建築上及び実際の制約条件の

下で,被保護建築物等の外周に沿って配置することが望ましい。ただし,一般建築物等の被保護物の水平

投影面積が 25 m

2

以下のものは,1 条でよい。

引下げ導線は,等間隔となるように配置することが望ましい。引下げ導線間隔の推奨距離を,

表 に示

す。

注記  引下げ導線間の間隔は,6.3 に規定する離隔距離と相関関係にある。

表 4LPS のクラスに対応する引下げ導線の間隔の推奨値

単位  m

LPS のクラス

平均間隔

I 10

II 10

III 15 
IV 20

引下げ導線は,地表面近く及び垂直方向最大 20 m 間隔ごとに,水平環状導体などで相互接続しなけれ

ばならない。

引下げ導線は,できる限り建築物等の突角部に設置することが望ましい。

5.3.4

構造

引下げ導線は,受雷部に直接接続しなければならない。

引下げ導線は,大地に対して最短で最も直接的な経路を形成するように,直線的かつ垂直に設置しなけ

ればならない。ループの形成は,避けなければならない。ただし,やむを得ない場合,コの字形としても

よいが,

導線の開口 2 点間の距離 及び開口点間の導線長 は,

6.3

に適合しなければならない

図 参照)。


15

Z 9290-3

:2014

図 2−引下げ導線のループ

引下げ導線は,絶縁材料によって覆う場合でも,雨どいなどの内部に配置してはならない。

注記  雨どいの内部では,水分の影響によって,引下げ導線は腐食する。

引下げ導線は,引下げ導線間並びに扉及び窓との離隔距離を 6.3 に規定した離隔距離以上となるように

配置することが望ましい。

被保護物と分離しない引下げ導線は,次のように設置できる。

a)

引下げ導線は,壁が不燃性材料の場合,壁内部又は表面に配置できる。

b)

引下げ導線は,可燃性材料で構成した壁で,かつ,電流経路の温度上昇が壁材に危険を及ぼさない場

合,その壁の表面に配置できる。

c)

引下げ導線は,可燃性材料で構成した壁で,かつ,引下げ導線の温度上昇が壁材に危険を及ぼす場合,

その壁の表面から 0.1 m を超えるように配置しなければならない。取付部材は,壁に直接配置できる。

引下げ導線は,引下げ導線と可燃物との間隔を確保できない場合,100 mm

2

以上の鋼,又はそれと熱的

に等価な断面積の導体にしなければならない。

5.3.5

構造体利用構成部材

次の建築部材は,構造体利用引下げ導線として使用することができる。

a)

次の条件を満たす金属製工作物

1)

各種部材間の電気的な連続性が,5.5.3 に従った方法によって永続的である場合

2)

寸法が,

表 に規定した引下げ導線の値以上の場合

可燃性材料又は爆発性材料の配管は,フランジのガスケットが金属製でない場合,又はフランジ面

を適切にボンディングしていない場合,構造体利用引下げ導線として使用してはならない。

注記 1  金属製工作物は,絶縁材料で被覆していてもよい。

b)

建築物等において電気的に連続性のある鉄筋コンクリート内部の鋼材

注記 2  プレキャストコンクリートの鉄筋は,鉄筋間の相互接続を確実に実施することが重要であ

る。さらに,鉄筋は相互接続点で導電性があることが重要である。個々の部材は,現場に

おいて組立時に相互接続することが望ましい(

附属書 参照)。

注記 3  プレストレストコンクリートの場合,LPS に接続した結果,許容できない機械的な影響の

原因となるリスクに対して,注意を払うことが望ましい。

s:導線の開口 2 点間の距離 
l:開口 2 点間の導線長さ

l

1 

ll

1

l

2

l

3 

l

2

l

3 


16

Z 9290-3

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c)

建築物等内の相互接続した鋼材

注記 4  鉄骨造の金属構造体又は相互接続した鉄筋を引下げ導線として利用する場合,水平環状導

体は不要である。

d)

次の条件を満たすファサード,ガイドレール及びファサードの金属部品

1)

引下げ導線としての要求事項を満たす断面積

5.6.2 参照)

をもち,

金属管又は金属板の厚さが 0.5 mm

以上の場合

2)

垂直方向の電気的連続性が 5.5.3 の要求事項を満足する場合

注記 5  詳細は,附属書 を参照する。

5.3.6

試験用接続部

試験用接続部は,構造体利用の引下げ導線と構造体利用接地極とを組み合わせた場合を除き,接地極の

接続箇所で,各引下げ導線に取り付けることが望ましい。

試験用接続部は,測定の目的のため,工具などで開路できるようにし,通常は閉路しておかなければな

らない。

5.4

接地極システム

5.4.1

一般事項

接地極システムの形状及び寸法は,危険な過電圧を生じることなく,雷電流(高周波現象)を大地へ放

流するために重要な要素である。一般に,低い接地抵抗値(低周波測定で 10 Ω 未満)を推奨する。

雷保護の観点から,一つに統合した接地極システムが望ましく,かつ,全ての目的(すなわち,雷保護,

電力及び通信システム)に適している。

複数の接地極システムは,6.2 の要求事項に従って接続していなければならない。

注記 1  他の接地極システムとの分離及びボンディングの条件は,通常,国家機関の決定による。

注記 2  異なる材料で構成した接地極システムを相互に接続した場合,著しい腐食の問題が発生する

ことがある。

5.4.2

接地形態

接地極システムにおいて,接地極を基本的に二つの形態に分ける。

5.4.2.1

A

形接地極

A 形接地極は,各引下げ導線に接続し,被保護物の外側に設置した水平接地極,垂直接地極若しくは板

状接地極,又は閉ループを形成しない基礎接地極で構成する。

A 形接地極の場合,接地極の総数は,引下げ導線の条数以上でなければならない。


17

Z 9290-3

:2014

注記  クラス III 及びクラス IV は大地抵抗率に依存しない。

図 3LPS のクラスに基づく接地極の最小長さ l

1

各引下げ導線に接続する,各接地極の最小長さは,次のとおりである。

a)

水平接地極の場合:l

1

b)

垂直(又は斜めに配置した)接地極の場合:0.5 l

1

c)

板状接地極の場合:最小寸法は,

表 とする。

ここで,l

1

は,

図 に示した接地極の最小長さである。

組合せ接地極(水平接地極又は垂直接地極)では,合計の長さとする。

接地極システムの接地抵抗が,10 Ω 未満(干渉を避けるために,電力周波数及びその倍数の周波数以外

での計測による。

)である場合,

図 の最小長さによらなくてもよい。

a)

c)  の条件に適合しない場合,B 形接地極を使用しなければならない。

注記 1  接地抵抗を低減する場合,接地極の長さの延長は,60 m までが実用的である。大地抵抗率が

3 000 Ωm を超える土壌では,B 形接地極又は接地抵抗低減剤の使用を推奨する。

注記 2  詳細は,附属書 を参照する。

5.4.2.2

B

形接地極

B 形接地極は,全体の長さの 80 %以上が土壌と接触している,被保護建築物等の外側に配置した水平環

状導体,又は閉ループを形成した基礎接地極で構成する。メッシュ形状の接地極も適合する。

なお,水平環状導体は,20 %は土壌に接触していなくても,常に全長の始めから終わりまで完全に接続

していなければならない。

環状接地極(又は基礎接地極)では,これによって囲う面積の等価半径 r

e

は,式(1)のとおり l

1

以上でな

ければならない。

1

e

l

  (1)

ここで,l

1

は,

LPS

のクラス I∼

IV

に従った

図 3

の値である。


18

Z 9290-3

:2014

等価半径 r

e

の長さが要求する l

1

の長さより短い場合,次の式

(2)

及び式

(3)

で与える長さ l

r

(水平)及び/

又は l

v

(垂直)の接地極を追加しなければならない。

e

1

r

r

l

l

=

  (2)

(

)

2

/

e

1

v

r

l

l

=

  (3)

追加接地極の数は,2 以上とし,かつ,引下げ導線の条数以上としなければならない。

追加接地極は,引下げ導線を環状接地極と接続した箇所で,できるだけ等間隔に接続することが望まし

い。

5.4.3

接地極の施工

環状接地極(B 形接地極)は,建物の外壁から約 1 m 離し,0.5 m 以上の深さに埋設することが望ましい。

A 形接地極は,建物の外側に,上端の深さを 0.5 m 以上に埋設し,かつ,地中における電気的結合の影

響を最小にするために,均等に配置しなければならない。

注記 1

  A 形接地極が,舗装又は隣接するコンクリート内にある試験用ハンドホールに配置している

場合,0.5 m の条件を無視できる。

接地極は,施工中に検査ができるように設置しなければならない。

接地極は,腐食,土壌の乾燥及び凍結の影響が最小限になるよう埋設深さ及び接地極の形態を選定しな

ければならない。

その結果,接地抵抗の安定化を図ることができる。土壌が凍結条件下では,垂直接地極が凍結部に接触

する部分の効果を無視することが望ましい。

注記 2

  したがって,全ての垂直接地極に対して,

5.4.2.1

及び

5.4.2.2

で計算した長さ l

1

値に 0.5 m を

追加することが望ましい。

岩盤が露出している場合,B 形接地極が望ましい。

大規模な電子システムを設置した建築物等,又は火災の危険の高い建築物等に対しては,B 形接地極が

望ましい。

5.4.4

構造体利用接地極

5.6

に従ったコンクリート基礎内の相互接続した鉄筋,又は他の適切な埋設金属構造物は,接地極として

利用することが望ましい。コンクリート内の鉄筋を接地極として利用する場合,コンクリートのひび割れ

を避けるために相互接続部には特別な考慮をしなければならない。

注記 1

  プレストレストコンクリートでは,許容できない機械的ストレスを発生するような雷電流通

過の影響に配慮することが望ましい。

注記 2

  基礎接地極を使用する場合,接地抵抗が長期間で増加する可能性がある。

注記 3

  詳細は,

附属書 E

を参照する。

5.5

構成部材

5.5.1

一般事項

LPS の構成部材は,雷電流の電磁力の影響及び予想できるストレスに対して損傷してはならない。

IEC 

62561

規格群に規定した試験に満足した部材を選定することでも達成できる。

LPS の構成部材は,

表 5

に示す材料によって製造しなければならない。又は,機械的,電気的及び化学

的(腐食)性能がこれらと同等以上である他の材料を使用してもよい。

注記

  取付部材には,金属以外の材料を使用してもよい。


19

Z 9290-3

:2014

表 5

LPS

の材料及び使用条件

a)

材料

使用条件

腐食条件

気中

地中

コンクリート内

耐性

進行性

電解対象

単線,より線,

棒,管,板

単線,より線,

棒,管,板,

被覆

単線,より線,

棒,管,板,

被覆

多くの環境で

優れている

硫黄化合物,

有機材料

溶融亜

鉛めっ

き鋼

c),d),e)

単線,より線,

棒,管,板

単線,

棒,管,板

単線,より線

b)

棒,管,板

空気中,コンク

リート中,

良性の土壌中

で使用可能

濃度の高い

塩化物

銅めっ

き鋼

単線,

棒,管,板

単線,

棒,管,板

単線,

棒,管,板

多くの環境で

優れる

硫黄化合物

ステン

レス鋼

単線,より線,

棒,管,板

単線,より線,

棒,管,板

単線,より線,

棒,管,板

多くの環境で

優れる

濃度の高い

塩化物

アルミ

ニウム

単線,より線,

棒,管,板

適さない

適さない

低い濃度の

塩化物又は

硫化物環境で

良好

アルカリ性

溶解物

f)

棒,管,板,

被覆

棒,管,板,

被覆

適さない

高い濃度の

硫化物環境で

良好

酸性土壌

銅,

ステンレス,鋼

a)

  この表は,一般的な指針だけを記載する。特殊環境では,耐腐食性に対しての慎重な検討が必要である(附

属書 参照)。

b)

  より線は,単線よりも腐食しやすい。より線は,コンクリートと大地との出入口で腐食しやすい。これが,

亜鉛めっきのより鋼線を地中での使用に推奨しない理由である。

c)

  亜鉛めっき鋼は,湿った土壌又は粘土内では腐食の可能性がある。

d)

  コンクリート中の亜鉛めっき鋼は,コンクリートの出入口で腐食する可能性があるため,地中に取り出さな

いことが望ましい。

e)

  コンクリート中で,鉄筋の鉄材と接触する亜鉛めっき鋼は,地下水に塩分を含む可能性のある沿岸部では,

使用しないことが望ましい。

f)

  地中での鉛の使用を,環境的な配慮によって禁止又は制限する。

5.5.2

取付け

受雷部及び引下げ導線は,電磁力及び不測の外力(振動,雪塊の滑落,熱による伸縮など)によって導

体の破損又は緩みが生じないように,堅固に取り付けなければならない(

JIS Z 9290-1

附属書 D

参照)

注記

  推奨取付け間隔を,参考として

表 E.1

に示す。

5.5.3

接続

導体の接続部の箇所数は,最小限にしなければならない。接続は,黄銅ろう付,溶接,クランプ,圧着,

縫合せ,ねじ止め又はボルト締めによって確実に行わなければならない。

これを達成するために,鉄筋コンクリート建築物等の中の鉄筋の接続は,

4.3

による。

5.6

材料及び寸法

5.6.1

材料

材料及び寸法は,被保護建築物等又は LPS の腐食の可能性を考慮して選定しなければならない。

5.6.2

寸法

受雷部導体及び突針の材料,形状及び最小断面積を

表 6

に,引下げ導線の材料及び最小断面積を

表 6A

に,接地極の材料,形状及び最小寸法を

表 7

に示す。


20

Z 9290-3

:2014

表 6

受雷部導体及び突針の材料

形状及び最小断面積

単位  mm

2

材料

形状

最小断面積

すずめっき銅

帯,管 50

a)

 50

より線

a)

 50

棒(突針)

b)

 176

アルミニウム

板,帯,管 70

棒 50

より線 50

アルミニウム合金

板,帯,管 50

c)

棒 50

より線 50

棒(突針)

b)

 176

銅被覆アルミニウム合金

棒 50

溶融亜鉛めっき鋼

板,帯,管 50

c)

棒 50

より線 50

棒(突針)

b)

 176

銅被覆鋼

棒 50

板,帯,管 50

ステンレス鋼

板,帯,管

c)

 50

c)

 50

より線 70

棒(突針)

b)

 176

a)

  機械的ストレスが基本的にない場合の適用では,50 mm

2

(直径 8 mm)は 25 mm

2

に低減でき

る。この場合,取付部材の間隔の縮小を考慮することが望ましい。

b)

  突針だけに適用する。風圧荷重が問題とならない場所の突針は,最小直径 9.5 mm 及び長さ(突

出部)1 m 以下のロッドを使用できる。

c)

  熱的及び機械的考慮が重要である場合,これらの寸法は 75 mm

2

に増加することが望ましい。

表 6A

引下げ導線の材料及び最小断面積

単位  mm

2

LPS のクラス

材料

最小断面積

I∼IV

銅 16

アルミニウム 25

鉄鋼 50

ステンレス鋼 50


21

Z 9290-3

:2014

表 7

接地極の材料

形状及び最小寸法

d)

材料

形状

最小寸法

接地棒直径

mm

接地導体断面積

mm

2

接地板の大きさ

mm

すずめっき銅

より線

− 50 −

棒 15

50

− 50 −

管 20

− 500×500×1.5

格子板

b)

− 600×600

e)

溶融亜鉛めっき鋼

棒 14

78

管 25

− 90 −

− 500×500×2

格子板

b)

− 600×600

e)

形鋼

c) 

a)

より線

− 70 −

− 78 −

− 75 −

銅被覆鋼

棒 14

50

− 90 −

ステンレス鋼

棒 15

78

− 100 −

a)

  コンクリートに埋設する深さは,50 mm 以上としなければならない。

b)

  格子板の全長は,4.8 m 以上とする。

c)

  各種の形鋼は,側面の投影面積 290 mm

2

以上及び厚さ 3 mm 以上でよい。例えば,十字形鋼。

d)

  コンクリート内に設置した B 形の基礎接地極は,少なくとも 5 m ごとに鉄筋と確実に接続しなけ

ればならない。

e)

  格子板に用いる部材断面積は,素材の断面積の寸法以上とする。

6

内部雷保護システム

6.1

一般事項

内部雷保護システムは,被保護建築物等の内部において,外部雷保護システム及び建築物等の導電性部

材に流れる雷電流による危険な火花放電の発生を防止しなければならない。

6.1.1

火花放電の発生箇所

危険な火花放電は,外部雷保護システムと次に示す構成部材との間で発生することがある。

a

)  金属製工作物

b

)  内部システム

c

)  外部導電性部材及び建築物等への引込線

注記 1

  爆発の可能性のある建築物等の内部における火花放電は,常に危険性が高いため,

附属書

D

に記載した追加的な保護対策を必要とする。

注記 2

  内部システムの過電圧に対する保護は,

JIS Z 9290-4

を参照する。

6.1.2

火花放電の防止方法

危険な火花放電は,次の方法によって防止する。


22

Z 9290-3

:2014

a

)

6.2

による雷等電位ボンディング

b

)

6.3

による外部 LPS との絶縁

6.2

雷等電位ボンディング

6.2.1

一般事項

6.2.1.1

等電位化

等電位化は,LPS と次に示す物との相互接続によって達成する。

a

)  金属製工作物

b

)  内部システム

c

)  外部導電性部材及び建築物等への引込線

雷等電位ボンディングを内部システムに対して実施した場合,雷電流の一部は,そのシステムに流入す

るので,この影響を考慮しなければならない。

6.2.1.2

相互接続部品

相互接続部品を,次に示す。

a

)

ボンディング導体

  構造上電気的な連続性がない箇所に使用。

b

)

サージ防護デバイス

SPD

)  ボンディング導体で直接的な接続が適切でない箇所に使用。

c

)

分離用スパークギャップ

ISG

)  ボンディング導体で直接的な接続を許容しない箇所,例えば,絶

縁フランジで絶縁した金属製パイプ相互間に使用。

6.2.1.3

実施方法

雷等電位ボンディングを実施する方法は,重要であり,かつ,相反する要求事項が存在するので,通信

線ネットワーク,電力線及びガスの管理者,及び他の管理者又は関連する LPS 設計者などの有識者との間

で検討しなければならない。

SPD は,検査が可能なように設置しなければならない。

注記 1

 LPS を設置している場合,被保護建築物等の外部に配置した金属体が影響を受けることがあ

り,設計時にその対応を考慮することが望ましい。外部の金属体に対する雷等電位ボンディ

ングが必要になる場合がある。

注記 2

  雷等電位ボンディングは,構造体で他の等電位ボンディングと統合し,協調をとることが望

ましい。

6.2.2

金属製工作物に対応した雷等電位ボンディング

分離した外部 LPS の場合,雷等電位ボンディングは,地表面だけで実施しなければならない。

分離しない外部 LPS に対して,雷等電位ボンディングは,次の位置に設置しなければならない。

a

)  地下階又は地表面付近。ボンディング導体は,容易に検査を実施できるように設計し,かつ,施工し

たボンディング用バーに接続しなければならない。ボンディング用バーは,接地極システムに接続し

なければならない。大規模建築物等(例えば,幅 20 m 超過)では,環状のボンディング用バー,又

は相互接続した二つ以上のボンディング用バーを設置できる。

b

)  絶縁の要求事項を満たしていない箇所(

6.3

参照)

雷等電位ボンディングの接続は,できる限り直接かつ直線的にしなければならない。

注記

  建築物等の導電性部材に対し,雷等電位ボンディングをした場合,雷電流の一部が建築物等の

内部に流れ込むことがあり,この影響を考慮することが望ましい。

複数のボンディング用バーを相互に接続する導体及びボンディング用バーと接地極システムとを接続す

る導体の最小断面積を,

表 8

に示す。


23

Z 9290-3

:2014

表 8

複数のボンディング用バー相互

又はボンディング用バーと

接地極システムとを接続する導体の最小断面積

単位  mm

2

LPS のクラス

材料

断面積

I∼IV

銅 14

アルミニウム 22

鉄 50

建築物等の内部の金属製工作物とボンディング用バーとを接続するボンディング導体の最小断面積を,

表 9

に示す。

表 9

建築物等内部の金属製工作物をボンディング用バーに接続する導体の最小断面積

単位  mm

2

LPS のクラス

材料

断面積

I∼IV

5

アルミニウム

8

鉄 14

被保護建築物等内部にある,ガス管及び水道管の絶縁継手は,ガス又は水道の供給業者の同意の下で,

雷等電位ボンディングのために ISG で橋絡しなければならない。

ISG は,次の特性でなければならない。

−  I

imp

k

c

I

ここに,I

imp

は,ISG のインパルス電流耐量,k

c

は,外部 LPS の当該部分に流れる雷電流である(

属書 C

参照)

−  定格インパルス放電開始電圧 U

RIMP

は,部品間のインパルス耐電圧レベルより低い。

6.2.3

外部導電性部材に対応した雷等電位ボンディング

外部導電性部材に対する雷等電位ボンディングは,できる限り被保護建築物等の引込口近傍で行わなけ

ればならない。

ボンディング導体は,

JIS Z 9290-1

附属書 E

に従って計算した雷電流の分流分(I

F

)に耐えなければ

ならない。

直接接続をしてはいけない場合,次に示す特性の ISG を使用しなければならない。

a

)  I

imp

I

F

ここに,I

F

は,外部導電性部材に流れる雷電流である(

JIS Z 9290-1

附属書 E

参照)

b

)  定格インパルス放電開始電圧 U

RIMP

は,部品間のインパルス耐電圧レベルよりも低い。

注記

 LPS の設置は必要としないが,雷等電位ボンディングの設置が必要な場合,低圧用電気設備

の接地極(

C 種,D 種)をこの目的に使用してもよい。

IEC 62305-2

は,LPS の設置を必

要としない場合の情報を提供している。

6.2.4

内部システムのための雷等電位ボンディング

内部システムのための雷等電位ボンディングは,

6.2.2 a

)  及び

6.2.2 b

)  に従って設置しなければならない。

内部システムのケーブルを金属遮蔽物内又は金属管内に収めている場合,遮蔽物及び配管だけをボンデ

ィングすれば十分である(

附属書 B

参照)


24

Z 9290-3

:2014

注記

  遮蔽物及び配管のボンディングでは,ケーブルに接続した機器への過電圧による故障を避ける

ことはできない。このような機器の保護については,

JIS Z 9290-4

を参照する。

内部システムのケーブルを遮蔽していない又は金属管内に収めていない場合,SPD でボンディングしな

ければならない。TN 系統では,PE 又は PEN 導体を LPS に直接又は SPD でボンディングしなければなら

ない。

ISG に接続するボンディング導体は,

6.2.2

に規定する電流耐量と同等のものにしなければならない。

SPD は,

JIS C 5381-11

及び

JIS C 5381-21

に従って,次の特性でなければならない。

a

)  I

imp

k

c

I

ここに,k

c

は,外部 LPS の当該部分に沿って流れる雷電流である(

附属書 C

参照)

b

)  電圧防護レベル U

p

は,部品間のインパルス耐電圧レベルより低い。

雷サージに対する内部システムの保護が必要な場合,

JIS Z 9290-4

の箇条

7

に従った要求事項を満たす

協調のとれた SPD を使用しなければならない。

6.2.5

被保護建築物等の引込線の雷等電位ボンディング

電力及び通信用引込線への雷等電位ボンディングは,

6.2.3

によって実施しなければならない。

各配線の全ての導線は,直接又は SPD によってボンディングすることが望ましい。活線は,SPD を介し

てボンディング用バーに接続する。TN 系統では,PE 又は PEN 導体をボンディング用バーに直接又は SPD

を介して接続する。

配線を金属遮蔽又は金属管内に収めている場合は,これらの金属遮蔽及び金属管を,ボンディングしな

ければならない。これらの遮蔽及び金属管の断面積 S

c

が,

附属書 B

に従って計算した最小値 S

CMIN

以上の

場合,導体に対する雷等電位ボンディングは必要としない。

注記 1

  電気・電子機器の保護対策は,

JIS Z 9290-4

を参照する。

ケーブル遮蔽又は金属管の雷等電位ボンディングは,建築物等への引込口近傍で実施しなければならな

い。

ISG に接続するボンディング導体は,

6.2.3

に規定する電流耐量と同等以上のものにしなければならない。

SPD は,

JIS C 5381-11

及び

JIS C 5381-21

に従って,次の特性でなければならない。

a

)  I

imp

I

F

ここに,I

F

は,引込線に流れる雷電流である(

JIS Z 9290-1

附属書 E

参照)

b

)  電圧防護レベル U

p

は,部品間のインパルス耐電圧レベルよりも低い。

雷サージに対する内部システムの保護が必要な場合,

JIS Z 9290-4

の箇条

7

に従った要求事項を満たす

協調のとれた SPD を使用しなければならない。

注記 2

 LPS の設置は必要としないが,雷等電位ボンディングの設置が必要な場合,低圧用電気設備

の接地極(

C 種,D 種)をこの目的に使用してもよい。

IEC 62305-2

は,LPS の設置を必

要としない場合の情報を提供している。

6.3

外部雷保護システムの絶縁

6.3.1

一般事項

受雷部及び引下げ導線と,建築物等の金属部分,金属製工作物及び内部システムとの間を電気的に絶縁

するために,それらの間を離隔距離 以上とする。の計算は,式(4)による。

l

k

k

k

s

×

×

=

c

m

i

  (4)

ここに,

s: 離隔距離(m)


25

Z 9290-3

:2014

k

i

選定した LPS のクラスに関わる係数(

表 10

参照)

k

m

電気絶縁材料に関わる係数(

表 11

参照)

k

c

受雷部及び引下げ導線を流れる部分雷電流に関わる係
数(

表 12

及び

附属書 C

参照)

l: 受雷部及び引下げ導線に沿い,離隔距離を考慮する点か

ら,直近の雷等電位ボンディング点又は接地極までの長
さ(m)

E.6.3

参照)

注記

  受雷部に沿った長さ は,連続した金属製屋根を構造体利用受雷部とした建築物等では無視で

きる。

表 10

選定した LPS のクラスに関わる係数 k

i

の値

LPS のクラス

k

i

I 0.08

II 0.06

III 及び IV 0.04

表 11

電気絶縁材料に関わる係数 k

m

の値

材料

k

m

空気 1

コンクリート,れんが,木材 0.5

注記 1  複数の絶縁材料が重なっている場合,低い値の k

m

を使用するのがよい。

注記 2  他の絶縁材料を使う場合,材料の製造業者が構造物の仕様書及び k

m

値を提供することが望ましい。

表 12

受雷部及び引下げ導線を流れる部分雷電流に関わる係数 k

c

の値

引下げ導線の総数

k

c

1 1 
2 0.66

3 以上 0.44

注記  表 12 の値は,全ての B 形接地極,及び隣接する接地極の接地抵抗が

2 倍以下となる A 形接地極に適用する。接地極の接地抵抗が 2 倍以上
となる場合,k

c

=1 とみなす。

建築物等に引き込む配線及び外部導電性部材は,建築物等の引込口で,雷等電位ボンディング(直接又

は SPD を介して)を行わなければならない。

金属製又は電気的連続性をもった鉄筋コンクリート造の建築物等では,離隔距離は必要ない。

受雷部・引下げ導線に流れる雷電流の分流係数 k

c

は,LPS のクラス,全体の総数 n,引下げ導線の配置,

引下げ導線を相互接続する水平環状導体,接地極システムの種類などに依存する。必要な離隔距離は,離

隔距離を考慮する点から,接地極又は直近の雷等電位ボンディング点までの最短距離の電圧降下に依存す

る。

6.3.2

簡易計算法

式(4)を適用する代表的な建築物等では,次の条件を考慮する。

ここに,

k

c

受雷部及び引下げ導線を流れる部分雷電流に関わる係
数(

表 12

及び

附属書 C

参照)


26

Z 9290-3

:2014

l: 受雷部及び引下げ導線に沿い,離隔距離を考慮する点か

ら,直近の雷等電位ボンディング点又は接地極までの長
さ(m)

E.6.3

参照)

引下げ導線間の雷電流の分流については,

附属書 C

に示す。

注記

  簡易計算法は,一般に安全側となる。

6.3.3

詳細計算法

メッシュ法による受雷部又は相互接続した水平環状導体は,受雷部又は引下げ導線に,分流比によって

異なる値の電流が長さ方向に流れる。この場合,正確な離隔距離 は,次の式(5)で計算できる。

(

)

n

cn

2

2

c

1

1

c

m

i

l

k

l

k

l

k

k

k

s

×

+

+

×

+

×

×

=

  (5)

受雷部又は引下げ導線で,相互接続した水平環状導体によって異なった値の電流が長さ方向に流れる場

合の計算例を,

図 C.4

及び

図 C.5

に示す。

注記 1

  この計算法は,大規模建築物等又は複雑な形状の建築物等での離隔距離の計算に適している。

注記 2

  個々の導体に対する分流係数 k

c

の計算に対し,回路網数値計算プログラムが使用できる。

7

LPS

の保守及び点検

7.1

一般事項

全ての LPS の有効性は,その施工,保守及び実施した試験方法による。

点検,試験及び保守は,雷雨中に実施してはならない。

注記

 LPS の保守及び点検の詳細を,参考として

E.7

に示す。

7.2

点検内容

点検の目的は,次の内容を確認することである。

a

) LPS は,この規格に基づいた設計に適合している。

b

) LPS の全ての構成部材は,良好な状態で,設計どおりの機能を果たすことができ,かつ,腐食がない。

c

)  新たに追加した設備又は構造物は,LPS で保護している。

7.3

点検時期及び項目

7.3.1

点検時期

点検は,

7.2

に従って,次に示す時期に実施することが望ましい。

a

)  建築物等の建設中(埋設した接地極の確認)

b

) LPS の設置後

c

)  被保護建築物等の特性によって規定した周期(すなわち,腐食性の問題及び LPS のクラス)

注記

  詳細は,

E.7

を参照する。

d

)  改修若しくは修理後,又は建築物等に落雷を受けたことを確認したとき

7.3.2

点検項目

点検期間中に,次の項目の確認が特に重要である。

a

)  受雷部の構成部材,導体及び接続部材の品質低下及び腐食

b

)  接地極の腐食

c

)  接地極システムの接地抵抗値

d

)  接続,雷等電位ボンディング及び取付けの状態

7.4

保守


27

Z 9290-3

:2014

LPS の信頼性を維持するため基本的な条件の下で,規則的な点検を行う。点検によって得た不具合の情

報は,全て所有者に報告し,所有者は,不具合の部分を遅滞なく修理しなければならない。

8

接触電圧及び歩幅電圧による生物への傷害に対する保護対策

8.1

接触電圧に対する保護対策

LPS を上記の要求事項に従って設計及び施工しても,LPS の引下げ導線の近傍は,特定の条件で,人命

に対して危険となる場合がある。

8.1.1

一般的対策

次のいずれか一つの条件に適合する場合,危険は,許容レベルに低減する。

a

)  通常は,引下げ導線から 3 m 以内に人が立ち入らない。

b

)

5.3.5

に従って,10 条以上の引下げ導線システムを使用している。

c

)  引下げ導線から 3 m 以内の地表面の接触抵抗が 100 kΩ 以上である。

注記

  絶縁材料の層,例えば,厚さ 5 cm のアスファルト(又は厚さ 15 cm の砂利)は,一般的に,危

険を許容レベルに低減する。

8.1.2

特殊対策

8.1.1

a

)∼

c

)

のいずれの条件にも適合しない場合,

接触電圧による生物への傷害に対する保護対策を,

次のように実施しなければならない。

a

)  露出した引下げ導線の絶縁性能は,100 kV,1.2/50 μs のインパルス耐電圧試験に耐えること(例えば,

3 mm 厚以上の架橋ポリエチレン被覆)。

b

)  引下げ導線に接触する確率を最小にするための物理的な制限及び/又は警告表示。

保護対策は,関連規格による(

JIS Z 9101

参照)

8.2

歩幅電圧に対する保護対策

LPS を上記の要求事項に従って設計及び施工しても,LPS の引下げ導線の近傍は,特定の条件で,人命

に対して危険となる場合がある。

8.2.1

一般的対策

次のいずれか一つの条件に適合する場合,危険は,許容レベルに低減する。

a

)  通常は,引下げ導線から 3 m 以内に人が立ち入らない。

b

)

5.3.5

に従って,10 条以上の引下げ導線システムを使用している。

c

)  引下げ導線から 3 m 以内の地表面の接触抵抗が 100 kΩ 以上である。

注記

  絶縁材料の層,例えば,厚さ 5 cm のアスファルト(又は厚さ 15 cm の砂利)は,一般的に,危

険を許容レベルに低減する。

8.2.2

特殊対策

8.2.1

a

)∼

c

)

のいずれの条件にも適合しない場合,

歩幅電圧による生物への傷害に対する保護対策を,

次のように実施しなければならない。

a

)  メッシュ接地極システムによる等電位化

b

)  引下げ導線から 3 m 以内の危険な領域に接近する確率を最小にするための物理的な制限及び/又は警

告表示

保護対策は,関連規格による(

JIS Z 9101

参照)


28

Z 9290-3

:2014

附属書 A

規定)

受雷部システムの配置

A.1

保護角法による受雷部システムの配置

A.1.1

一般事項

受雷部システムは,被保護建築物等を完全に保護範囲内に入るように配置する。

保護範囲の決定には,金属製の受雷部システムの実寸法だけによらなければならない。

A.1.2

垂直の受雷部システムによる保護範囲

垂直の突針によって保護する範囲は,受雷部軸上の先端を頂点とした,

表 2

及び

表 2A

に示す LPS クラ

ス及び受雷部高さに従った保護角度 α の円すい(錐)形の形状となる。保護範囲の例を,

図 A.1

及び

図 A.2

に示す。

A

突針の先端

B

基準平面

OC  保護領域の半径 
h

1

  保護する基準平面からの受雷部の高さ

α

表 及び表 2A による保護角度

図 A.1

−(

単純平面に接地した

垂直の受雷部による保護範囲

α

h

A

C

O

B

h

1


29

Z 9290-3

:2014

α

2

H

h

2

h

1

α

1

h

1

h

1

  受雷部の物理的な高さ

注記  保護角度 α

1

は,受雷部システムの保護する屋根表面からの高さ h

1

に依存する。保護角度 α

2

は,基準平面である

地面からの高さ h

2

h

1

に依存する。

図 A.2

垂直の受雷部による保護範囲

A.1.3

水平導体を用いた受雷部システムによる保護範囲

水平導体によって保護する範囲は,水平導体上に頂点をもつ仮想突針によって保護する範囲の合成とし

て規定する。保護範囲の例を,

図 A.3

に示す。

h

1

C

0

C

0

α

A

A

B

h

1

α

注記  記号は,図 A.1 による。

図 A.3

水平導体を用いた受雷部システムによる保護範囲

A.1.4

メッシュ状にした水平導体による保護範囲

メッシュ状にした水平導体による保護範囲は,メッシュを形成する単一の導体によって決まる保護範囲

の組合せで規定する。

メッシュ状にした水平導体による保護範囲の例を,

図 A.4

及び

図 A.5

に示す。


30

Z 9290-3

:2014

図 A.4

保護角法及び回転球体法に従った

メッシュ状の分離した水平導体による保護範囲


31

Z 9290-3

:2014

図 A.5

保護角法及びメッシュ法に従った

メッシュ状の分離しない水平導体による保護範囲

A.2

回転球体法による受雷部システムの配置

この方法による受雷部システムの配置は,LPS のクラス(

表 2

及び

表 2A

参照)に従った半径 の球体

を,あらゆる方向から建築物等の上部及び周囲並びに大地に沿って回転し,被保護建築物等に接触しなけ

れば,適切である。この場合,球体は,受雷部システム及び大地だけに接触する(

図 A.6

参照)

LPS のクラスに従った回転球体半径 よりも高い建築物等では,建築物等の側壁へ落雷が発生すること

がある。回転球体に接触する側壁面は,雷撃点となり得る。しかし,高さが 60 m 未満の建築物等では側

壁への落雷は,一般的にはごく僅かである。

高層建築物等では,建築物等の頂部,突角部及び出隅に多く落雷し,側壁へは,全体の数%である。

さらに,観測によると,側壁への落雷の確率は,雷撃点の大地からの高さが低くなるにつれて急激に減

少する。したがって,高層建築物等の上部側壁に受雷部システムを配置することが望ましい(一般に,建

築物等の高さの上部 20 %)

。この場合,回転球体法は,建築物等の上部の受雷部システムにだけ適用する。


32

Z 9290-3

:2014

図 A.6

回転球体法による受雷部システムの設計

A.3

メッシュ法による受雷部システムの配置

メッシュ法は,平たん(坦)な表面の保護を目的として,次の全ての条件を満たす場合,全表面を保護

するものとみなす。

a

)  受雷部導体が次の位置にある場合

1

)  屋根の縁部

2

)  屋根の突出部分

3

)  屋根の勾配が 1/10 を超える場合,屋根の棟部分

注記 1

  メッシュ法は,湾曲のない,平屋根又は勾配のある屋根に適切である。

注記 2

  側壁を落雷から保護する場合,側壁面にメッシュ法の配置が適切である。

注記 3

  屋根の勾配が 1/10 を超える場合には,メッシュの代わりに勾配に沿って,規定のメッシ

ュ幅以下の間隔で受雷部を並列に配置してよい。

b

)  受雷部のメッシュ寸法が,

表 2

に示した値以下の場合

c

)  受雷部システムを,常に雷電流が 2 以上の経路で接地極システムに流れるような構造とした場合

d

)  受雷部システムによって保護する範囲の外側に張り出した金属製設備などがない場合

注記 4

  詳細を,参考として

附属書 E

に示す。

e

)  受雷部導体をできる限り最短かつ直線的に配置する場合

0.8

 H

H

H

注記 1  回転球体半径  r  は,選択した LPS のクラスによる(表 参照)。 
注記 2  60 m  以下の側壁部分に対しては,一般的に受雷部は必要としない。

b)

に示す 0.8  H  は,高さ 75 m  を超える建築物に適用する。高さ 75 m 以下の場合は,

60 m  以上の側壁に対して受雷部が必要となる。

a)

  60 m  以下の建築物の受雷部システムの設計 

b)

  60 m  を超える建築物の受雷部システムの設計 


33

Z 9290-3

:2014

附属書 B

規定)

危険な火花放電回避のための引込ケーブルの遮蔽体の最小断面積

遮蔽体に流れた雷電流によって,導体(心線)とケーブルの遮蔽体との間に過電圧が生じ,危険な火花

放電を発生することがある。過電圧は,遮蔽体の材料及び寸法並びにケーブルの長さ及び位置によって異

なる。

危険な火花放電を回避するための遮蔽体の最小断面積 S

CMIN

(mm

2

)を,次の式(B.1)で示す。

w

6

c

c

F

CMIN

10

U

L

I

S

×

×

×

=

ρ

  (B.1)

ここに,

S

CMIN

遮蔽体の最小断面積(mm

2

I

F

遮蔽体に流れる電流(kA)

ρ

c

遮蔽体の抵抗率(

Ω

m)

L

c

ケーブルの長さ(m)

表 B.1

参照)

U

w

ケーブルで給電する電気・電子システムのインパルス耐
電圧(kV)

表 B.1

遮蔽体の施設状態を考慮したケーブル長さ

単位  m

遮蔽体の施設状態

L

c

抵抗率

ρ

Ωm)の土壌と接触

L

c

≦8×

ρ

土壌と絶縁又は大気中に設置

構造物と直近の遮蔽体の接地点との間の距離 L

c

注記

  雷電流がケーブルの遮蔽層又は心線に流れた場合の温度上昇が,ケーブルの絶縁材料の許容値

以内であることを確認するのが望ましい。詳細は,

JIS Z 9290-4

を参照。

遮蔽層及び心線に流せる雷電流を,次に示す。

a

)  銅遮蔽ケーブル:I

F

=8×S

C

b

)  非遮蔽ケーブル:I

F

=8×n'×S'

C

ここに,

I

F

遮蔽層又は心線に流せる雷電流(kA)

n': 導体の数

S

C

遮蔽層の断面積(mm

2

S'

C

各導体の断面積(mm

2


34

Z 9290-3

:2014

附属書 C 

参考)

離隔距離 の算出

受雷部と引下げ導線との間の雷電流の分流係数 k

c

は,受雷部システムの種類,引下げ導線の総数 n,位

置及び相互接続した水平環状導体,並びに接地極システムの種類による。

注記 1

  必要な離隔距離は,離隔距離を考慮する点から,直近の雷等電位ボンディング点への最短径

路の電圧降下による。

注記 2

  この附属書は,B 形接地極の全て及び隣接する接地極の接地抵抗が 2 倍以下となる A 形接地

極に適用する。接地極の接地抵抗が 2 倍以上となる場合,k

c

=1 とみなす。

受雷部又は引下げ導線に流れる電流が一定の場合,k

c

は,

図 C.1

図 C.2

,及び

図 C.3

を適用する(

6.3.2

参照)

複数の引下げ導線の場合で,各階で引下げ導線を水平環状導体で相互接続した場合の計算例を,

図 C.4

に,メッシュ受雷部システムにおける k

c

の計算例を,

図 C.5

に示す。

ここに,  h:受雷部の地上からの高さ 
          c:隣接引下げ導線間の距離

図 C.1

架空に施設した受雷部システムにおける分流係数 k

c

の値

c

h

c

h

k

+

+

=

2

c


35

Z 9290-3

:2014

c

3

c

2

.

0

1

.

0

2

1

h

c

n

k

×

+

+

=

 
ここに,  n:引下げ導線の総数 

c:隣接引下げ導線間の距離

h:水平環状導体間の間隔又は高さ

 
注記 1  k

c

に対する式は,立方体の建築物等及び n≧4 の場合の近似値である。及び の値は,3 m から 20 m の範囲

と仮定している。

注記 2  内部に引下げ導線がある場合,引下げ導線の総数 を考慮することが望ましい。

図 C.2

複数の引下げ導線システムにおける分流係数 k

c

の値


36

Z 9290-3

:2014

h

0.33 0.50 1.00 2.00

c:  棟沿いの最寄りの引下

げ導線からの距離

 
h:  棟から次の等電位ボン

デ ィ ン グ 地 点 又 は 接 地

シ ス テ ム ま で の 引 下 げ

導線の長さ

この図に示す k

c

の値は,太

線及び雷撃点で示す引下げ
導線を対象とする。

 
引下げ導線の位置(k

c

につ

いて考慮すべき)を,当該引

下げ導線を示す図と比較す

る。

 
実際の c/の値を規定す

る。この値が図に示す二つの
値の範囲内にある場合,補間

法によって k

c

を判断する。

 
注記 1  図示より長い距離の

追加の引下げ導線の

場合は,影響は少な
い。

注記 2  棟より下の相互接続

した水平環状導体の
場合,

図 C.4 を参照。

注記 3  数値は,図 C.1 の式

に従う並列インピー
ダンスの簡易式によ

って求めた。

k

c

0.57

0.60

0.66

0.75

k

c

0.47

0.52

0.62

0.73

k

c

0.44

0.50

0.62

0.73

k

c

k

c

0.40

0.43

0.50

0.60

k

c

0.35

0.39

0.47

0.59

c

 

h

 

k

c

0.31

0.35

0.45

0.58

図 C.3

勾配のある屋根の水平導体の場合の分流係数 k

c

の値


37

Z 9290-3

:2014

h

0.33 0.50 1.00 2.00

k

c

0.31

0.33

0.37

0.41

k

c

0.28

0.33

0.37

0.41

k

c

0.27

0.33

0.37

0.41

k

c

0.23

0.25

0.30

0.35

k

c

0.21

0.24

0.29

0.35

c

 

h

 

k

c

0.20

0.23

0.29

0.35

図 C.3

勾配のある屋根の水平導体の場合の分流係数 k

c

の値

続き


38

Z 9290-3

:2014

a

1

c

m

i

a

a

l

k

k

k

s

d

×

×

=

b

2

c

m

i

b

b

l

k

k

k

s

d

×

×

=

c

3

c

m

i

c

c

l

k

k

k

s

d

×

×

=

e

4

c

m

i

e

e

l

k

k

k

s

d

×

×

=

(

)

2

2

c

f

1

c

m

i

f

f

h

k

l

k

k

k

s

d

×

+

×

×

=

(

)

4

4

c

3

3

c

g

2

c

m

i

g

g

h

k

h

k

l

k

k

k

s

d

×

+

×

+

×

×

=

3

1

c1

2

.

0

1

.

0

2

1

h

c

n

k

×

+

+

=

1

.

0

1

2

c

+

=

n

k

01

.

0

1

3

c

+

=

n

k

n

k

1

4

c

=

n

k

k

1

c4

cm

=

=

 
 
 
 
 
 
 
ここに,  n :引下げ導線の総数 

c :引下げ導線間の距離

h :水平環状導体間の間隔(高さ)

m :総階数

d :最も近い引下げ導線までの距離

l :ボンディング点からの高さ

 
 

注記  内部に引下げ導線がある場合,総数 を考慮することが望ましい。

図 C.4

各階で引下げ導線を水平環状導体で相互接続した

複数の引下げ導線の場合の

離隔距離の計算例

c

 

d

g

d

a

l

a

h

1

d

b

l

b

h

2

d

c

l

c

h

3

d

e

l

e

h

4

h

m

l

f

l

g

d

f

c


39

Z 9290-3

:2014

ここに,A,B,C:流入点

注記 1  分流の規則は,次のとおり。

a)

流入点  電流は,メッシュ受雷部システムへの流入点で,電流分流経路の総数によって分流する。

b)

分岐点  電流は,受雷部メッシュの分岐点で 50 %に低減する。

c)

引下げ導線  電流は,更に 50 %に低減するが,k

c

は,1/以上でなければならない。

n:引下げ導線の総数)

注記 2  k

c

の値は,屋根の出隅への雷撃点を考慮しなければならない。屋根の出隅に引下げ導線を沿わせることを考慮

する必要はない。引下げ導線に沿った k

c

の値は,屋根の出隅で接続した受雷部の k

c

の値による。

注記 3  上記のように,屋根の出隅への雷撃点からメッシュ部が少ない場合,近接した距離を考慮する点から始まる

k

c

の関連する値だけを使用しなければならない。

注記 4  内部引下げ導線がある場合,総数 の合計を使用することが望ましい。

図 C.5

複数の引下げ導線システムの場合のメッシュ受雷部システムにおける分流係数 k

c

の計算例


40

Z 9290-3

:2014

附属書 D 

参考)

爆発の危険性を伴う建築物等の LPS に対応した規定

D.1

一般事項

この附属書は,爆発の危険を伴う建築物等に対応した雷保護システムの設計,施工,増築及び改修につ

いて,追加的な要求事項を規定する。

注記 1

  この附属書の規定は,爆発の危険性のある建築物等に適用した雷保護システムにおける実績

に基づいている。

注記 2

  日本では,消防法,火薬類取締法などの規定に従わなければならない。

D.2

用語及び定義

この附属書で用いる主な用語及び定義は,箇条

3

及び

IEC 60079-14

:2007 によるほか,次による。

D.2.1

固体の爆発性材料

(solid explosives material)

主な目的又は通常の目的において,爆発の可能性を伴う固体の化学合成物質,混合物及び装置。

D.2.2

ゾーン 0

(zone 0)

空気及びガス,煙又は霧状の爆発物質が混合した状態からなる爆発の可能性の高い環境が,連続的に,

長期にわたり又は頻繁に発生する場所。

IEC 60050-426

:2008 の

426-03-03

を変更]

[6]

D.2.3

ゾーン 1

(zone 1)

空気及びガス,煙又は霧状の爆発物質が混合した状態からなる爆発の可能性の高い環境が,通常の作業

において時々発生する可能性のある場所。

IEC 60050-426

:2008 の

426-03-03

を変更]

[6]

D.2.4

ゾーン 2

(zone 2)

空気及びガス,煙又は霧状の爆発物質が混合した状態からなる爆発の可能性の高い環境が,通常の作業

において発生する可能性がない,又は発生しても持続時間が短い場所。

注記 1

  持続時間とは,爆発の可能性の高い状態が存在する時間の合計である。持続時間は,通常,

放散の全時間を含め,放散が終了した後の分散が収束するまでの時間である。

注記 2

  発生頻度又は持続時間は,特別な産業又は作業に関連した規約に記載している。

IEC 60050-426

:2008 の

426-03-03

を変更]

[6]

D.2.5

ゾーン 20

(zone 20)

空気中に可燃性のちり(塵)が密集した爆発の可能性の高い環境が,連続的に,長期にわたり又は頻繁

に発生する場所。

IEC 60079-10-2

:2009 の

6-2

を変更]


41

Z 9290-3

:2014

D.2.6

ゾーン 21

(zone 21)

空気中に可燃性のちり(塵)が密集した爆発の可能性の高い環境が,通常の作業において時々発生する

可能性のある場所。

IEC 60079-10-2

:2009 の

6-2

を変更]

D.2.7

ゾーン 22

(zone 22)

空気中に可燃性のちり(塵)が密集した爆発の可能性の高い環境が,通常の作業において発生する可能

性がない,又は発生しても持続時間が短い場所。

IEC 60079-10-2

:2009 の

6-2

を変更]

D.3

基本的要求事項

D.3.1

一般事項

落雷を受けた場合,雷撃点を除き,LPS が溶解又は飛散の影響がないように設計・施工しなければなら

ない。

注記 1

  雷撃点では,火花又は損傷が発生する可能性がある。雷撃点の配置決定において,この現象

を考慮することが望ましい。引下げ導線を危険な領域の外側に設置することができない設備

の場合,引下げ導線は危険にさら(曝)される領域で自然発火温度を超過しないようにする。

注記 2

  電気機器への雷撃による影響は,あらゆる場合回避できない。

D.3.2

要求事項

保護するプラントの計画図面並びに

IEC 60079-10-1

及び

IEC 60079-10-2

に従った固体の爆発性材料の取

扱い領域,貯蔵領域及び危険な領域の適正な情報を,LPS 設計者及び LPS 施工者に提供しなければならな

い。

D.3.3

接地極

爆発の危険性のある全ての建築物等の LPS は,

5.4.2.2

による B 形接地極システムを推奨する。

注記

  建築物等の構造物が,B 形接地極システムの環状接地極と同等な効果を発揮することがある(例

えば,金属製の貯蔵タンク)

固体の爆発の可能性の高い材料及び爆発の可能性の高い混合物を内蔵する建築物等の接地極システムの

接地抵抗は,できる限り低くし,10

Ω

以下が望ましい。

D.3.4

雷等電位ボンディング

一般的な雷等電位ボンディングは,

6.2

による LPS 並びに

IEC 60079-10-1

及び

IEC 60079-10-2

による爆

発の危険性がある領域をもつ設備に対して,実施しなければならない。

D.4

固体の爆発性材料を収納する建築物等

固体の爆発の可能性の高い材料を収納する建築物等の LPS の設計においては,構造物中で使用又は貯蔵

する材料の特性を考慮しなければならない。比較的爆発しにくい爆発の可能性の高い材料は,この附属書

の規定以外の追加的な考慮は必要としない。しかし,雷による電界の急激な変化及び/又は磁界の影響を

受けやすい爆発の可能性の高い材料も存在する。その場合には,ボンディング及び遮蔽を追加することが

必要になる。

固体の爆発の可能性の高い材料が存在する建築物等には,分離した外部 LPS(

5.1.2

参照)が望ましい。


42

Z 9290-3

:2014

建築物等全体が,厚さ 4 mm 以上の鉄製及びそれと同等な(アルミニウムでは厚さ 7 mm 以上)金属製の

外枠で囲んでいる場合には,

5.2.5

による構造体を利用した受雷部システムによって保護していると考える。

このような建築物等には,

5.4

の接地に対する要求を適用できる。

注記

  局所過熱又は発火を懸念するところでは,雷撃点の内部表面が危険な温度上昇とならないこと

を確認することが望ましい。

爆発の可能性の高い材料が存在する全ての場所には,LPS の一部としてサージ防護デバイス(SPD)を

使用しなければならない。SPD は,固体の爆発物が存在する場所の外に設置しなければならない。露出し

た爆発物又は爆発性のちり(塵)が存在する場所の内部に設置する SPD は,防爆仕様でなければならない。

D.5

危険な領域のある建築物等

D.5.1

一般事項

外部 LPS(受雷部システム及び引下げ導線システム)の全ての部分は,危険な領域から 1 m 以上離して

配置しなければならない。これが困難な場合,危険な領域の範囲内を通過する導体は,接続箇所がないこ

とが望ましい,又は,

5.5.3

によらなければならない。

危険領域内での接続の偶発的な緩みを防止しなければならない。

雷によって孔があく可能性のある金属板(

5.2.5

参照)の直下に危険な領域がある場合,受雷部は,

5.2

による。

D.5.1.1

サージの抑制

SPD は,危険領域の外に配置しなければならない。

危険な領域内に配置する SPD は,それに対する(

防爆仕様など)承認を得なければならない。

D.5.1.2

雷等電位ボンディング

表 7

及び

表 8

に従って,

5.3.5

に従った電気的導電性をもつように接続した配管も,接続部として使用で

きる。

処理ユニットの地上の金属製外部配管は,30 m 以内ごとに接地しなければならない。配管への接続は,

雷電流通過の際,火花が発生しないようにしなければならない。配管への接続は,ラグ板若しくはボルト

を溶接し又はねじ切り穴をフランジにあけるのが適切である。クランプによる接続は,雷電流通過の際の

発火防止,

並びに接続の信頼性を保証するための試験及び手続きによって証明した場合にだけ使用できる。

接合点には,コンテナ,金属構造部分,ドラム及びタンクへの接続器並びに接地用リード線を備えていな

ければならない。

LPS と他の設備,建築物等及び機器との間の雷等電位ボンディングは,管理者の同意を得て実施する。

放電ギャップを利用した雷等電位ボンディングは,

管理者の同意なしに実施できない。

そのような装置は,

設置場所の環境に適合していなければならない。

D.5.2

ゾーン 及びゾーン 22 の存在する建築物等

ゾーン 2 及びゾーン 22 として定義した領域のある建築物等は,保護対策の追加を必要としない。

表 3

の要求事項に適合する材質及び厚さの金属製の屋外設備

(ゾーン 2 及びゾーン 22 内にある屋外の柱,

反応装置,容器など)には,次の内容を適用する。

a

)  受雷部及び引下げ導線は不要。

b

)  製造施設は,箇条

5

の規定によって接地しなければならない。

D.5.3

ゾーン 及びゾーン 21 の存在する建築物等

ゾーン 1 及びゾーン 21 として定義した領域のある建築物等には,ゾーン 2 及びゾーン 22 の要求事項の


43

Z 9290-3

:2014

ほかに,次の要求事項を追加する。

a

)  配管に絶縁性の部品がある場合,管理者は,保護対策を決定しなければならない。例えば,破壊を引

き起こす放電は,防爆仕様の分離用スパークギャップ(ISG)を使用して防止できる。

b

) ISG 及び絶縁部品は,爆発の危険のある領域外に取り付けなければならない。

D.5.4

ゾーン 及びゾーン 20 の存在する建築物等

ゾーン 0 及びゾーン 20 として定義した領域にある建築物等には,

D.5.3

の要求事項のほかに,次の事項

を適用する。

ゾーン 0 及びゾーン 20 として定義した領域のある屋外の設備は,ゾーン 1,ゾーン 2,ゾーン 21 及びゾ

ーン 22 の要求事項に次の内容を追加する。

a

)  可燃性の液体を内蔵するタンクの中の電気機器は,この用途に適していなければならない。雷保護対

策は,構造物の種類に応じて実施しなければならない。

b

)  ゾーン 0 及びゾーン 20 として定義した領域のある密閉した鉄製の容器は,雷撃点の内側表面の温度上

昇が危険ではないようにするため,雷撃点となり得る箇所は,

表 3

に従った厚さにしなければならな

い。これより薄い場合には,受雷部を設けなければならない。

D.5.5

特別な適用

D.5.5.1

燃料供給所

自動車,船などのための燃料供給所における危険な領域での金属製配管は,箇条

6

の規定によって接地

しなければならない。配管は,レールの電流,迷走電流,電車用ヒューズ,電食防止システムなどを考慮

して,既存の鉄製構造体及びレールに接続しなければならない(必要な場合,危険領域に設置する ISG を

介して行う。

D.5.5.2

貯蔵タンク

可燃性の蒸気を発生する可能性のある液体又は可燃性のガスの貯蔵に使用する特定な構造物(タンク)

は,それ自体での保護が基本であり(4 mm 以上の厚さの鉄又は 7 mm 以上の厚さのアルミニウムの ISG な

しでの連続的な金属製の容器)

,雷撃点の内部表面の温度上昇が危険とならない場合は,追加の保護対策は

必要ない。

同様に,土壌で覆ったタンク及び配管は,受雷部を設ける必要がない。この設備内で使用する計装及び

電気システムは,管理者の承認を得なければならない。雷保護対策は,構造の種類に応じて実施しなけれ

ばならない。

タンクヤード(製油所・貯蔵所など)におけるタンク群では,それぞれのタンクの一点だけを接地すれ

ばよい。複数のタンクは,相互に接続しなければならない。

表 8

及び

表 9

によって接続し,更に,

5.3.5

従って電気的に接続している場合,配管を接続部材として使用してもよい。

独立したタンク又は容器に対し,接地極との接続数は,水平方向の最大寸法(直径又は長辺)に応じ,

箇条

5

に従い,かつ,次のようにしなければならない。

a

) 20

m 以下:1 倍

b

) 20

m 超過:2 倍

浮き屋根式タンクでは,浮き屋根は,タンク本体に効果的にボンディングしていなければならない。浮

き屋根式タンクの場合,密閉,分路,相互配置などの設計には,火花放電による爆発性混合物の着火及び

発火の危険性を十分に考慮し,最小限に抑える。

ローリングラダーを設置している場合,階段とタンクの上部との間及び階段とタンクの浮き屋根との間

で,階段のちょう(蝶)番全箇所に,幅 35 mm 以上,厚さ 3 mm 以上の可とう性ボンディング導体を使用


44

Z 9290-3

:2014

しなければならない。

浮き屋根式タンクに,ローリングラダーを設置していない場合,タンク本体と浮き屋根との間を,幅 35

mm 以上,厚さ 3 mm 以上の一つ以上(タンクの大きさに依存する。)の可とう性ボンディング導体によっ

て接続しなければならない。

ボンディング導体は,へこ(凹)んだループ形状とならないように配置しなければならない。浮き屋根

式タンクでは,複数の分岐接続を,浮き屋根とタンク本体との間に約 1.5 m ごとに,屋根の周辺に設けな

ければならない。材料の選定は,製品及び/又は環境の要件を考慮して決定する。雷電流に対応したタン

ク本体と浮き屋根との間の適切な接続を実施した対策は,試験によって証明し,かつ,接続の信頼性を保

証するための手続きをした場合だけ,許容できる。

D.5.5.3

配管ネットワーク

生産設備内,ただし処理ユニットの外部にある地上の金属配管網は,接地極システムに 30 m ごとに接

続するのが望ましい,又は地表面の接地極若しくは接地棒によって接地することが望ましい。配管の絶縁

用支持材は,考慮しなくてもよい。

D.6

保守及び点検

D.6.1

一般事項

爆発の危険をもつ建築物等を保護するために設置した全ての LPS は,適切に保守し,かつ,検査しなけ

ればならない。箇条

7

の規定及び追加の要求事項は,爆発の危険を伴う建築物等における LPS の点検及び

保守のために必要である。

D.6.2

一般の要求事項

設置した LPS のために,保守及び点検の計画を立案しなければならない。LPS の保守指針は,LPS 設備

の完成時に提示,又は点検計画に追加しなければならない。

D.6.3

資格

必要な訓練を受けた者並びに専門的知識及び技術をもつ者だけが,爆発性施設の LPS の保守,点検及び

試験をしなければならない。

点検には,次のような者を必要とする。

a

)  危険領域内の設備及び LPS(部材及び施工)について,理解があり,理論的及び実践的な専門知識を

もつ者。

b

) LPS(部材及び施工)に関連した箇所の,目視検査及び精密検査の要求事項を理解している者。

注記

  資格者の能力及び訓練は,関連する機関の訓練及び評価によって確認してもよい。

D.6.4

検査の要求事項

設備の継続した使用に対し,良好な状態にあることを確認するために次項の一つ以上を実施し,かつ,

必要な場合,保守を実施しなければならない。

a

)  定期的な点検

b

)  熟練した者による継続した監理

調整,保守,修理,再生,変更又は交換を実施後は,当該機器又はその重要部分を点検しなければなら

ない。

D.6.4.1

定期点検

定期点検を実施する者は,点検の調査結果を確実に報告することに先入観を抱かせないように,保守業

務の要求項目から,十分に独立的であることが必要である。


45

Z 9290-3

:2014

注記

  点検者が,外部の独立機関の者である必要はない。

D.6.4.2

熟練者による継続した管理

継続した管理の目的は,発生する損傷及びその後の改修箇所の早期発見を可能にすることである。通常

業務(取付け工事,交換,点検,整備,不備のチェック,清掃,制御操作,端子の接続及び断線,機能試

験,測定など)に従事しており,かつ,早い段階での損傷及び変化を発見する能力を発揮するような,既

存の熟練者が実施する。

D.6.3

a

)

及び

b

)

の条件に加えて,設備を,次のような熟練者が通常業務の中で定期的な基準に基づ

いて巡視する場合,通常の定期検査を省略でき,かつ,ほぼ常駐する熟練者を利用することで,機器類が

安全であることを保証できる。

a

)  設備内の特定機器の劣化過程及び環境への影響について知識をもつ者。

b

)  目視及び/又は精密検査を行うために,通常業務の作業日程の一環として詳細な点検を行うことを要

求できる者。

熟練者による継続的な管理をする場合も,初期点検及びサンプリング点検を実施しなければならない。

D.6.5

電気的試験の要求事項

LPS は,12(∼14)か月ごとに,電気的な試験をしなければならない。

しかし,適切な定期点検の間隔を正確に予測することは複雑な問題である。そのため,点検の等級及び

適切な点検の間隔については,機器の種類,製造業者の指定,場合によっては劣化の要因及び過去の点検

結果を考慮して決定しなければならない。

類似の機器,プラント,工場などの環境に対する点検の等級及びその間隔が確立している場合,この経

験を点検計画の決定に使用しなければならない。

3 年を超える定期点検の間隔は,関連情報を含む評価に基づくことが望ましい。

LPS の保守及び点検は,危険領域内における他の全ての電気設備の保守及び点検とともに実施するのが

望ましく,かつ,保守のスケジュールに組み込まなければならない。

試験に使用する測定器は,

IEC 61557-4

に従わなければならない。

LPS に接続した単一の対象物の直流抵抗は,0.2 Ω 以下でなければならない。

試験は,適切な計測器製造業者の指示によって実施しなければならない。

D.6.6

接地抵抗の試験方法

接地抵抗試験のために専用に設計した測定器だけが,試験に適用することができる。

試験測定器は,製造業者の指定に従って,適切に保守及び校正をしなければならない。

できれば,爆発物施設の接地抵抗を測定する場合,3 電極法による試験を実施しなければならない。

D.6.7

サージ保護

雷サージに対する保護装置(及び,場合によっては絶縁による対策)は,12 か月以内の間隔又は LPS

の電気的試験を実施するときに,製造業者の指定に従って,点検しなければならない,かつ,SPD は,建

築物等への落雷の疑いがあった後は,必ず点検しなければならない。

D.6.8

修理

保守要員は,点検中に発見した全ての不具合箇所の修理を,許容期間内に実施することを確認しなけれ

ばならない。

D.6.9

記録及び文書

建築物等又は LPS への落雷によって生じた損害の全てを,直ちに文書化し,報告しなければならない。

点検及び保守の履歴記録は,傾向の分析をするために,各施設に対して維持・継続しなければならない。


46

Z 9290-3

:2014

附属書 E

参考)

雷保護システムの設計,施工,保守及び点検に関する指針

E.1

一般事項

この附属書は,この規格に適合する LPS(雷保護システム)の設計,施工,保守及び点検に関する指針

を示す。

この附属書は,この規格の他の部分と併用することが望ましく,併用することによって有効となる。国

際的な専門家の承認を得た保護技術の例を示す。

注記

  この附属書に示す方法は,保護を達成するための一例である。その他の方法も,同等に有効な

場合もある。

E.2

附属書の構成

この附属書において,主要な箇条番号は本文の箇条番号を反映している。これによって,二つの文書間

の相互参照が容易になる。

このために,この附属書で

E.3

は項目だけを設け,内容は空欄とした。

E.3

用語及び定義

空欄

E.4

雷保護システム

LPS

の設計

E.4.1

一般事項

既存の建築物等に構築する LPS は,低コストでこの規格に適合する同等の保護レベルの他の保護手段に

対し,常に比較検討することが望ましい。最適な保護レベルの選定は,

IEC 62305-2

を適用する。

LPS は,LPS 設計者及び LPS 施工者が設計及び施工することが望ましい。

LPS 設計者及び LPS 施工者は,落雷の電気的及び機械的影響の両方を評価でき,かつ,電磁両立性(EMC)

の基本原則を理解していることが望ましい。さらに,LPS 設計者は,腐食の影響を評価でき,専門家の支

援を必要とするという判断ができることが望ましい。

LPS 設計者及び LPS 施工者は,建築物等の施工及び建設を規制するこの規格及び法規の要求事項に従っ

て,LPS 構成部材の適正な設計及び施工に関する訓練を受けることが望ましい。

LPS 設計及び施工は,同一者が行うことがある。専門の設計者又は施工者になるためには,関連規格に

関する広い知識及び数年の経験を必要とする。

LPS の計画,施工及び試験は,数多くの技術分野にまたがる作業であり,選定した雷保護レベルを最小

コスト及び最少労力で達成するためには,建築物等の関係者全員による調整が必要である。

図 E.1

のフロ

ー図に従うことで,LPS の管理が効率的となる。特に広範囲な電気及び電子設備を含む建築物等について

は,品質保証体制の確立が重要である。


47

Z 9290-3

:2014

注記  ●点部は,建築設計者,技術者,LPS 設計者間で十分な協調をとることが必要である。

図 E.1

LPS

の設計フロー図

被保護建築物等の特性

リスク評価及び必要な保護レベルの決定

外部 LPS の種類の選定

材料の種類

(腐食問題)

(可燃性表面)

LPS 構成部材の寸法決定

構造体利用

受雷部システム

突  針

水平導体

メッシュ導体

構造体利用

引下げ導線システム

引下げ導線の設計

隠蔽又は露出

必要数

構造体利用

接地極システム

B 形基礎接地極

A 形又は B 形接地極

構造体利用

内部 LPS の設計

ボンディング及び遮蔽

離隔及びケーブルの配置

SPD

LPS の設計図及び仕様書


48

Z 9290-3

:2014

品質保証対策は,全ての図面の承認を必要とする計画段階から,施工完了後には検査が不可能となる全

ての LPS の重要部材をチェックすることが望ましい。品質保証対策は,LPS に関する最終的な試験記録を

作成した測定の試験記録書を作成した検収段階の後に,保守計画に従って細心の定期検査を定め,LPS の

寿命まで継続する。

建築物等又は設備を改修する場合,既存の LPS がこの規格に適合しているかを判定するため確認するこ

とが望ましい。保護が不適切と判定した場合,速やかに改善することが望ましい。

受雷部システム,引下げ導線システム,接地極システム,雷等電位ボンディング,構成部材などの材料,

範囲及び寸法は,この規格に適合することが望ましい。

E.4.2

LPS

の設計

E.4.2.1

計画手順

LPS に関する詳細設計作業に着手する前に,LPS 設計者は,可能な限り,建築物等の機能,基本設計,

構造及び立地条件に関する基本的な情報を取得することが望ましい。

法令規制上又は施主によって LPS を指定していない場合,LPS 設計者は,

IEC 62305-2

に規定するリス

ク評価の手順に従って,建築物等を LPS で保護するかを判断することが望ましい。

E.4.2.2

協議

E.4.2.2.1

一般情報

新設建築物等の設計及び施工段階において,LPS 設計者,LPS 施工者及び建築物等内の設備,又は建築

物等の使用に関する規則に責任を負うその他の関係者全員(例えば,施主,建築設計者,建設業者)は,

定期的に協議することが望ましい。

図 E.1

に示すフロー図は,LPS の合理的設計を容易にする。

既存の建築物等の LPS の設計及び施工段階において,建築物等,その使用設備及び引込附帯設備に関係

する責任者間で可能な限り協議することが望ましい。

協議は,建築物等の施主,建設業者又はその代理人を通じて行うことが必要な場合もある。既存の建築

物等の場合,LPS 設計者は,改修するために必要な図面を LPS 施工者に提供することが望ましい。

関係当事者間の定期的協議によって,最少限のコストで有効な LPS が実現できる。例えば,LPS 設計と

施工との協調によって,一部のボンディング導体が不要となり,かつ,必要なボンディング導体の長さが

短縮できる。建築物等の内部の各種設備に共通の配線経路を設けることによって,建築費が大幅に削減で

きることも多い。

建築物等の設計変更によって LPS の変更もあるため,建築物等施工の全段階を通じて協議することが大

切である。建築物等の完成後に目視による管理が不可能である LPS 部材の点検についても協議をする必要

がある。この協議では,構造体利用構成部材と LPS との間の全ての接続部の位置を決定することが望まし

い。通常は,建築設計者が新規建設プロジェクトに関する協議会の手配及び調整に当たる。

E.4.2.2.2

主な協議者

LPS 設計者は,建築物等の施主を含め,建築物等の設計・施工に関わる関係者との技術協議を行うこと

が望ましい。

LPS 全体に関する責任範囲を,建築設計者,電気工事業者,建設業者,LPS 施工者(LPS 供給者を含む。),

及び施主(又は施主の代理人)と共に LPS 設計者が調整することが望ましい。

LPS の設計及び施工に関与する各当事者の責任を明確化することは,特に重要である。場合によっては,

建築物等の屋根に取り付けた LPS 構成部材又は建築物等の基礎より下に配置した接地極接続導体によって,

建築物等の耐水性を損うこともあるので留意することが必要である。


49

Z 9290-3

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E.4.2.2.2.1

建築設計者

次の事項について建築設計者と合意することが望ましい。

a

)  全ての LPS 導体の経路選定

b

) LPS 構成部材の材質

c

)  全ての金属管,とい,手すり及び類似品の詳細

d

)  離隔距離確保のために,建築物等の上部,内部又は付近に設置する機器,装置,工場設備などで,移

動又は LPS にボンディングを必要とするものの詳細。設備の例として,警報システム,セキュリティ

システム,社内通信システム,信号及びデータ処理システム,ラジオ及び TV 放送の系統がある。

e

)  接地回路網の位置に影響を及ぼし,又は LPS から安全な距離を置いて設置する必要のある埋設導電性

配管などの範囲

f

)  接地回路網に使用できる範囲

g

)  建築物等に対する LPS の取付けに関する作業及び責任分担の範囲。例えば,構造(主に屋根)などの

防水性に影響を及ぼす取付け具

h

)  建築物等に使用する導電性材料,特に LPS にボンディングする必要のある連続した金属体。例えば,

鉄骨,鉄筋,建築物等に出入りする又は内部に設置する金属管など

i

) LPS の外観

j

)  建築物等の構造に対する LPS の影響

k

)  鉄筋への接続位置,特に,外部導電性部材(管,ケーブルシールドなど)が貫通する位置

l

) LPS の隣接建築物等の LPS への接続

E.4.2.2.2.2

公共施設

要求事項が相違することもあるため,引込附帯設備の LPS に対する直接ボンディング又はそれが困難な

場合,ISG 又は SPD を介するボンディングについて,関係者と協議することが望ましい。

E.4.2.2.2.3

消防及び救急機関

次の事項について,事前に消防及び救急機関と合意しておくことが必要である。

a

)  警報器及び消火設備の配置

b

)  ダクトの経路,構成材料及び密閉性

c

)  可燃性の屋根をもつ建築物等に適用する雷保護方法

E.4.2.2.2.4

電子システム及び外部アンテナの設置者

次の事項について,電子システム及び外部アンテナの設置者と合意することが望ましい。

a

)  ケーブルの架空支持及びシールドと LPS との分離又はボンディング

b

)  架空ケーブル及び内部回路網の経路選定

c

) SPD の設置

E.4.2.2.2.5

建設業者及び施工者

次の事項について,建設業者及び施工者と LPS の関係者間で合意することが望ましい。

a

) LPS として使用可能な主な部材の形状,位置及び数量

b

) LPS 設計者(又は LPS 施工者若しくは LPS 供給者)が提供し,建設業者が取り付ける部品

c

)  基礎の下に布設する LPS 導体の位置

d

)  建設段階で LPS の構成部材を使用する。例えば,既存の接地回路網を建設工事中のクレーン,ホイス

ト,その他の金属部分の接地に使用できる。

e

)  鉄骨造の場合,柱の数及び位置,並びに接地極と LPS のその他の構成部材との接続用取付部材の形状


50

Z 9290-3

:2014

f

)  金属で覆った材料が,LPS の構成部材として使用することが適切か

g

)  金属で覆った材料が LPS の構成部材として適切である場合,その各々の部分の電気的連続性を確認す

る方法及び LPS の他の部分に接続する方法

h

)  地上及び地下から建築物等に入るコンベア,TV 及び無線用のアンテナ線,その金属製支持物,金属

製ダクト,窓拭き装置などの附帯設備の種類及び位置

i

)

建築物等の LPS の接地極システムと電力及び通信設備のボンディングとの協調

j

)  旗ざお(竿),屋上機械室(例えば,エレベータ機械室,換気,暖房及び空調機械室),貯水タンク,

その他の突出物の位置及び数

k

)  特に LPS の導体を,建築物等の耐水性を維持する適切な取付け方法を決定するために,屋根と壁とに

用いるべき構造

l

)

引下げ導線を良好に配置するために建築物等を貫通する孔の設置

m

)  建築物等の鉄骨,鉄筋及びその他の導電性部分に対するボンディング接続部の設置

n

)  例えば,コンクリート内の鉄筋のように,確認不可となる LPS 構成部材の点検頻度

o

)  特に異種金属間での接触部における腐食を考慮した導体用金属の最適な選択

p

)  試験用接続部への接近性:機械的損傷若しくは盗難に対し,又は旗ざお(竿)若しくはその他の可動

設備,特に煙突の定期検査のための昇降用設備の降下に対し,非金属カバーによる保護の実施

q

)  上記の詳細を含み,全ての導体及び主要な構成部品の位置を示す図面の作成

r

)  鉄筋に対する接続点の位置

E.4.2.3

電気的及び機械的要求事項

E.4.2.3.1

電気設計

LPS 設計者は,最も効率的な構造とするため,適切な LPS を選定することが望ましい。すなわち,建築

物等の設計を考慮することで,分離した LPS 若しくは分離しない LPS,又は両者の組合せのいずれかを決

定できる。

LPS の設計中に大地抵抗率測定を実施し,かつ,大地抵抗率の季節変化を考慮することが望ましい。 
LPS の電気的基本設計中に,建築物等の導電性部材の適切な使用方法として,構造体構成部材をそのま

まで使用するか又は補強して使用するかを検討することが望ましい。

LPS の構造体利用構成部材の電気的及び物理的性質を評価し,この部材がこの規格の要求事項に適合し

ていることを保証するのは LPS 設計者の責任である。

鉄筋コンクリートなどの金属製部材を LPS 導体として使用するには,細心の配慮及び被保護建築物等に

関する法規の知識を必要とする。鉄筋コンクリートの鉄筋は,LPS の導体として使用することができる,

又は雷電流が分離した LPS に流れるときは,雷によって建築物等に発生する電磁界を低減するための導電

性遮蔽層として使用することができる。この LPS 設計は,特に大規模な電気システム及び電子システムの

ある特殊な建築物等の保護を容易にする。

構造体利用引下げ導線は,

5.3.5

に規定する構造仕様の要求事項を確実に満たす必要がある。

E.4.2.3.2

機械設計

LPS 設計者は,電気設計の完了後,機械設計事項について建築物等に関する責任者と協議することが望

ましい。

腐食のリスクを避けるための材料の正しい選定とともに,地域条例などによって美観的配慮が必要な場

合があり,適切な運用が必要である。

LPS の各部分のための雷保護構成部材の最小寸法値を,

表 3

及び

表 6

表 9

に示す。


51

Z 9290-3

:2014

LPS 構成部材に使用する材料を,

表 5

に示す。

表 5

表 7

に定める寸法及び材料以外の場合,LPS 設計者又は施工者は,

表 1

から選定した LPS のクラ

スの雷パラメータを用いて LPS 導体の温度上昇を予測し,それに従って寸法を決定することが望ましい。

構成部品の取付け面が,過度の温度上昇によって問題となる場合(可燃性又は融点が低い。

,断面積の

大きい導体を指定するか,又は取付け面から離隔できる取付け具の使用,耐火層の挿入若しくは他の安全

対策を考慮することが望ましい。

LPS 設計者は,あらゆる腐食問題を確認し,かつ,適切な対策を採用することが望ましい。

LPS に対する腐食の影響は,材料の寸法を増加,耐食性構成部品を使用,又はその他の腐食対策を講じ

ることで低減できる。

LPS 設計者及び LPS 施工者は,導体に流れる雷電流の電磁力(作用)に耐えるとともに,温度上昇によ

る導体の伸縮に対応する取付け具を採用することが望ましい。

E.4.2.3.3

片持式構造部分をもつ建築物等

片持式構造部分の下に立つ人が,片持壁面に布設した引下げ導線に流れる雷電流の代りの経路となる可

能性を低減するため,距離 は式(E.1)の条件を満たすことが望ましい。

s

d

+

>

5

.

2

   (E.1)

ここで,は,

6.3

に従って算定した離隔距離である。

2.5 m は,人が腕を垂直に伸ばしたときの指先までの高さを示す(

図 E.2

参照)

d  距離>s 
s  6.3 による離隔距離 
l  離隔距離 の評価のための長さ

注記  手を挙げた人の高さは,2.5 m とする。

図 E.2

建築物等の片持式構造部分の LPS 設計

LPS

  l

1

  l=l

1

+

l

2

s

2.5 m

d

  l

2


52

Z 9290-3

:2014

図 E.2

に示す導体のコの字部(直線的でない部分)は,過大な電圧降下を生じる可能性があり,その結

果,雷放電が建築物等の壁を通過し,損傷を招くおそれがある。

6.3

の条件が満たされない場合,

図 E.2

に示す条件に適合するように,導体は建築物等を貫通する直線的

経路をとることが望ましい。

E.4.3

鉄筋コンクリート建築物等

E.4.3.1

一般事項

4.3

に適合する鉄筋コンクリート造の鉄筋を,LPS の構造体利用構成部材として使用することができる。

構造体利用構成部材は,次の要求事項に適合しなければならない。

a

)

5.3

による引下げ導線

b

)

5.4

による接地回路網

総合抵抗が 0.2  Ω 以下であることは,

図 E.3

で示すように 4 線式(電流通電線 2 本及び電圧検出線 2 本

使用)の測定装置を用い,受雷部システムと大地レベルの試験用接続部間との抵抗を測定することによっ

て,検査できる。測定電流は,約 10 A であることが望ましい。

注記 1

  測定領域への立入り,又は測定用の配線が困難な場合,屋上から地上までの間の数箇所に測

定用のバーを設け,各点で測定を行うようにしてもよい。接続部の総抵抗と引下げ導線の抵

抗との和は計算できる。

図 E.3

総合電気抵抗の測定

また,コンクリート内の鉄筋の導電性が適合した場合,

6.2

に従う内部 LPS の等電位化したケージを形

成することが望ましい。

さらに,建築物等の鉄筋が適切であれば,電気機器及び電子機器を

JIS Z 9290-4

に従って雷電磁界によ

って生じる障害から保護する電磁シールド(遮蔽)としても有効である。

コンクリートの鉄筋と建築物等のその他の鋼製構造材とを,外部及び内部の両側で,

4.3

に適合するよう

に接続した場合,物的損傷に対する有効な保護ができる。


53

Z 9290-3

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鉄筋に流入した電流は,多数の並列経路を通って流れる。メッシュ形状に施設した鉄筋のインピーダン

スは低く,雷電流による電圧降下も低い。鉄筋メッシュ中に流れる電流によって生じる磁界は,低電流密

度及び対向電磁界を生じる並列経路によって弱まる。

隣接する内部導体の干渉は,

それに応じて低減する。

注記 2

  電磁障害に対する保護については,

JIS Z 9290-4

及び

IEC/TR 61000-5-2

を参照。

4.3

に適合する連続性をもつ鉄筋コンクリート壁で全面的に囲んだ部屋の場合,

壁近傍の鉄筋に流れる雷

電流による磁界は,導線を直接引き下げた建築物等の内部より減少する。建物内にある配線に発生する誘

導電圧が低いため,内部システムの保護対策が容易になる。

施工後は,鉄筋の配置及び構造の判定をするのは,ほぼ不可能である。したがって,LPS として使用し

た鉄筋の配置を文書化することが望ましい。これは,図面,説明書及び施工中に撮影した写真を利用して

可能となる。

E.4.3.2

コンクリート中の鉄筋の利用

ボンディング導体又は接地用板は,鉄筋へ信頼性の高い電気的接続を行うために,設けることが望まし

い。

例えば,建築物等に取り付けた導電性フレームは,LPS の構造体利用構成部材又は内部での等電位ボン

ディングシステムに対する接続点として使用できる。

実例として,等電位化を達成するために機械,装置又はきょう(筐)体の架台及び基礎アンカーを使用

することがある。

図 E.4

に,建築物等における鉄筋及びボンディング用バーの配置を示す。


54

Z 9290-3

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1  電力機器

6  ボンディング用バー

2  鋼製桁

7  コンクリート内の鉄筋(多層のメッシュ導体)

3  ファサードの金属製カバー

8  基礎接地極

4  ボンディング接続部

9  各種引込線の共通引込口

5  電気機器又は電子機器

図 E.4

鉄筋コンクリート造の建築物等における等電位ボンディング

建築物等におけるボンディング点の配置を LPS 設計の早期計画段階で定め,建設業者に通知することが

望ましい。

建設業者は,鉄筋への溶接が可能か,クランプ締めは可能か,又は追加の導体を設置する必要があるか

を判断するために,協議することが望ましい。

コンクリート打設前に,必要な作業を全て行い,検査することが望ましい(すなわち,LPS の計画は,

建築物等の設計と並行して行うことが望ましい。


55

Z 9290-3

:2014

E.4.3.3

鉄筋に対する溶接又はクランプ締め

鉄筋の連続性は,クランプ締め又は溶接によって確立することが望ましい。

鉄筋への溶接は,構造設計者が同意した場合だけ可能とする。鉄筋は 50 mm 以上溶接することが望まし

い(

図 E.5

参照)

図 E.5

コンクリート内の鉄筋の標準的な接続工法

LPS の外部の構成部材に対する接続は,指定位置でコンクリートを貫通して引き出した鉄筋,又は鉄筋

に溶接若しくはクランプ締めした接続用の棒及び板によって行うことが望ましい。

a)

  溶接接続(雷電流及び EMC に対して適切) 

b)

  クランプ接続(雷電流及び EMC に対して適切) 

c)

  バインド接続(雷電流及び EMC に対して適切) 

d)

  結束接続(EMC に対してだけ適切) 

50 mm 以上

20×以上


56

Z 9290-3

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コンクリート内の鉄筋及びボンディング導体間の接続をクランプ締めによって行う場合,コンクリート

の硬化後,接続の検査が不可能となるため,安全上の理由から 2 個のボンディング導体,又は異なる鉄筋

に対する 2 個のクランプをもつ 1 個のボンディング導体を使用することが望ましい。ボンディング導体及

び鉄筋が異種金属である場合,接続箇所を防湿材で密封することが望ましい。

図 E.6

に,鉄筋と円形導体及び帯状導体との接続に使用するクランプを示す。

図 E.7

に,鉄筋に対する外部システムの接続の詳細を示す。

ボンディング導体の断面積は,ボンディング点に流れる雷電流の割合に応じて決定することが望ましい

表 8

及び

表 9

参照)

a)

  鉄筋に対する円形導体 

b)

  鉄筋に対する帯状導体 

1  鉄筋 
2  円形導体 
3  ねじ 
4  帯状導体

図 E.6

鉄筋と導体との間の接続に使用するクランプの例


57

Z 9290-3

:2014

1  ボンディング導体 
2  鋼製ボンディング用コネクタに溶接したナット 
3  鋼製ボンディング用コネクタ

a)

4  鋳造非鉄金属製ボンディング点 
5  銅より線を使用したボンディング用コネクタ 
6  防食対策部 
7  C 形鋼(C 形取付けバー) 
8  溶接

注記  c)  に示す構造は,技術的な見地からは,一般的な対策とはいえない。 

a)

  鋼製ボンディング用コネクタは,溶接又はクランプ締めによって多くの点で鉄筋に接続する。

図 E.7

鉄筋コンクリート壁における鉄筋に対する接続点の例

E.4.3.4

材料

雷保護の目的のためにコンクリート中に設置する追加の導体として,鋼,軟鋼,亜鉛めっき鋼,ステン

a)

  鋼製ナットを用いた接続部材 

b)

  非鉄材を用いた接続部材

鉄筋 条に接続) 

c)

  鋼製部材(鉄筋)を直接突き出す例 

d)

  形鋼を用いた接続部材 


58

Z 9290-3

:2014

レス鋼及び銅並びに銅覆鋼を使用できる。

亜鉛めっき鋼は,特に,塩化物を含むコンクリート内で著しく劣化する。特定の状況の下で,亜鉛は,

鉄筋に触れると急速に腐食が進み,コンクリートの劣化を引き起こすおそれがある。亜鉛めっき鋼は,沿

岸地域又は地下水に塩分を含むおそれがある場所では使用しないことが望ましい。多くの外部要因の評価

を必要とするコンクリート内の亜鉛めっき鋼は,慎重な分析後,良好な結果の場合だけ使用することが望

ましい。これを考慮して,他に記載する材料を使用することが好ましい。

コンクリート内の鉄筋との混同を避けるために,通常の異形鉄筋とは異なる表面をもつ,直径 8 mm 以

上の鋼棒を追加の導体として使用することが望ましい。

E.4.3.5

腐食

鉄筋をボンディング導体としてコンクリート壁から引き出す場合,腐食に対する保護について,特に留

意することが望ましい。

最も簡単な腐食対策は,壁からの出口点の近傍,例えば壁の 50 mm 以上の内部及び外部にシリコンゴム

又はアスファルトで仕上げを施すことである[

図 E.7 c

)  参照]。

しかし,これはあまり良い工学的な解決策とはいえない。改善策としては,

図 E.7

の他の例に示すよう

に,特別に開発したコネクタを使用することである。

銅又は銅被覆鋼のボンディング導体をコンクリート壁に導入する場合,帯状導体,適切なボンディング

点,PVC 被覆,又は絶縁被覆線を使用すれば,腐食のリスクが低減する。

表 6

表 6A

及び

表 7

に従った

ステンレス鋼製のボンディング導体の場合は,腐食対策を講じる必要はない[

図 E.7 b

)参照]。

著しく腐食が生じる環境では,壁から引き出すボンディング導体は,ステンレス鋼製にすることが望ま

しい。

注記

  コンクリート内の鉄筋に接続するコンクリート外部の亜鉛めっき鋼は,特定の状況下では,コ

ンクリートに損傷を生じることがある。

鋳造タイプのナット又は軟鋼を壁の外部に使用する場合,これらを腐食から保護することが望ましい。

ナットの電気的な接触を確実にするために,菊座金を使用することが望ましい[

図 E.7 a

)

参照]

腐食対策に関する詳細については,

E.5.6.2.2

を参照。

E.4.3.6

接続部

検証によって,結束接続は,雷電流経路には適していない。結束は,雷電流が流れた場合,コンクリー

トを破裂させ,損傷を与える危険がある。しかし,以前の調査によれば,少なくとも 3 条ごとの鉄筋の結

束によって電気回路網を形成し,その結果,実際には全ての鉄筋を電気的に相互接続した状態になると推

定できる。鉄筋コンクリート造建築物における測定は,この結論を裏付けている。

雷電流経路には,溶接及びクランプ締めが望ましい方法である。接続部としての結束接続は,等電位化

又は EMC の目的のための導体にだけ適している。

相互接続した鉄筋に対する外部回路の接続は,クランプ又は溶接によって行うことが望ましい。

コンクリート内の鉄筋間の溶接部[

図 E.5 a

)  参照]は,50 mm 以上であることが望ましい。交差鉄筋は,

平行に 70 mm 以上重ね合わせるよう曲げることが望ましい。

注記

  溶接を許可する箇所では,従来の溶接及びテルミット溶接の両方を許容している。

溶接した鉄筋をコンクリート内に打設する場合,交差部の溶接は,数ミリでは不十分である。この溶接

では,コンクリート打設時に破損することがある。

鉄筋コンクリートの鉄筋相互の溶接法を

図 E.5 a

)  に示し,クランプ,バインド及び結束の方法を

図 E.5 b

)

d

)  に示す。


59

Z 9290-3

:2014

鉄筋に対する溶接が不可能である場合,クランプ又は追加の導体を使用することが望ましい。

これら追加の導体は,鋼,軟鋼,亜鉛めっき鋼又は銅製でもよい。鉄筋による遮蔽の効果を得るために

は,追加の導体を結束及びクランプによって多数の鉄筋に接続することが望ましい。

E.4.3.7

引下げ導線

コンクリート壁又は柱の鉄筋及び構造用鋼製フレームを構造体利用引下げ導線として使用できる。受雷

部システムとの接続を容易にするために,接続部を屋根上に設けるとともに,構造体利用接地極の場合を

除き,接地極システムとの接続を容易にするために,試験用接続部を設けることが望ましい。

特定の鉄筋を引下げ導線として使用する場合,電気的連続性を得るように,同じ位置に配置している鉄

筋を接地への経路に使用することが望ましい。

屋根から地表までの直線的経路を形成する構造体利用引下げ導線の電気的連続性を保証できない場合,

追加の専用導体を設置することが望ましい。これら追加の専用導体は,鉄筋と結束又はクランプ接続する

ことが望ましい。

既存の建築物等で,引下げ導線の経路に疑いがある場合,外部に引下げ導線システムを追加することが

望ましい。

鉄筋コンクリート造の建築物等における LPS の構造体利用構造例を,

図 E.4

及び

図 E.8

に示す。鉄筋コ

ンクリート内の鉄筋を基礎接地極として使用する場合,

E.5.4.3.2

を参照する。


60

Z 9290-3

:2014

1

屋上パラペットの金属製かさ(笠)木

2

ファサード材と受雷部との間の接続

3

水平導体

4

分割した金属製ファサード材

5

内部 LPS の等電位ボンディング用バー

6

ファサード材間及び支持フレームの接続部

7

試験用接続部

8

コンクリート内の鉄筋

9 B 形環状接地極 
10  基礎接地極

この図では,次の寸法を適用した:a=5 m,b=5 m,c=1 m 
注記  板と板との接続については,図 E.34 を参照する。

a)

  鉄筋コンクリート造建築物等における構造体利用引下げ導線システムによる

金属ファサード材の使用 

図 E.8

構造体利用引下げ導線システムとしての金属製ファサードの使用

及びファサード支持材の接続


61

Z 9290-3

:2014

1  垂直フレーム 
2  壁取付け具 
3  接続金具 
4  水平フレーム

b)

  ファサード支持材の接続 

図 E.8

構造体利用引下げ導線システムとしての金属製ファサードの使用

及びファサード支持材の接続

続き

柱及び壁の内部の引下げ導線は,その鉄筋を相互接続し,

4.3

に基づく導電性条件に適合することが望ま

しい。

個々のプレキャストコンクリートの鉄筋並びにコンクリート柱及びコンクリート壁の鉄筋を,床及び屋

根の打設前に床及び屋根の鉄筋と接続することが望ましい。

広範囲に連続的な導電性部材は,現場でコンクリートを打設する全ての構造構成要素(壁,柱,階段,

エレベータシャフトなど)の中に存在する。床を現場打設コンクリートで構成する場合,雷電流の均一な

分布を保証するため,個々の柱及び壁の内部引下げ導線を,その鉄筋と相互接続することが望ましい。床

をプレキャストコンクリートで構成する場合,通常,この接続は利用できない。しかし,床製作時に,個々

のプレキャストコンクリートの鉄筋を柱及び壁の鉄筋に接続するための,接続用端子を設置することがで

きる。

つ(吊)りファサードとして使用するプレキャストコンクリートは,ボンディング用接続部を設けてい

ないため,LPS として有効ではない。オフィスビルなどの建築物等の内部に設置した広範囲な情報処理機

器及びコンピュータネットワークを備えた機器に対し,有効な LPS を設置する場合,雷電流を建築物等の

ファサードに流れるように,このファサードの鉄筋を相互接続し,かつ,建築物等の鉄筋と接続しなけれ

ばならない(

図 E.4

参照)

建築物等の外壁に連窓を設置する場合,

連窓の上下のプレキャストコンクリート部分を柱に接続するか,

又は窓のピッチ以下の間隔で相互接続するかを決定することが望ましい。

広範囲に外壁の導電性部分を統合することによって,建築物等の内部の電磁遮蔽が向上する。連窓の金

属製ファサードに対する接続を,

図 E.9

に示す。


62

Z 9290-3

:2014

1  ファサード板と金属製窓枠間の接続 
2  金属製ファサード板 
3  水平金属窓枠 
4  垂直金属窓枠 
5  窓

図 E.9

連窓の金属製ファサードに対する接続

鉄骨造建築物等の鉄骨を引下げ導線として使用する場合,各柱を,

図 E.7

に示すボンディング点でコン

クリート基礎の鉄筋に接続することが望ましい。

注記

  電磁遮蔽のために,建築物等の鉄筋を使用する場合は,

JIS Z 9290-4

を参照する。

大形で低層の建築物等(ホールなど)の場合,建物の外周だけではなく,内部の柱でも屋根を支持して

いる。導電性の柱は,建築物内部に危険な火花放電を防止するための内部引下げ導線を形成するように,

頂部において受雷部システムに接続し,床面において等電位ボンディングシステムに接続することが望ま

しい。この内部引下げ導線の周囲には,強い電磁的影響がある。

鉄骨構造では,一般に,ボルト締めした鋼製屋根桁を使用する。機械的強度を達成するトルクで締め付

けた場合,ボルト締めした鋼製部分は全て電気的に相互接続状態になる。最初の雷放電で薄い塗膜に穴が

あき,導電性ブリッジを形成する。

ボルト,ナット及び座金の座面(接触面)を露出することによって,電気的接続を改善することができ

る。構造組立て後に長さ約 50 mm の溶接をすると,更に改善できる。

既設建築物等の外壁の中又は表面に広範な導電性部材を引下げ導線として使用する場合は,その連続性

を確認することが望ましい。雷電磁インパルス(LEMP)に対する保護の必要性に加えて建築意匠に関す

る高い要求を維持する必要がある場合にも,この工法を推奨する。

相互接続した等電位ボンディング用バーを設けることが望ましい。各等電位ボンディング用バーを外壁

及び床内の導電性部材に接続する。この接続部は,地盤面及び各階の床面における水平鉄筋にあらかじめ

設けることが望ましい。


63

Z 9290-3

:2014

床又は壁内の鉄筋への接続点は,鉄筋 3 条以上に対して設けることが望ましい。

E.4.3.8

等電位

各床面において鉄筋に対する多数のボンディング用接続部を必要とし,かつ,等電位化及び建築物等の

内部空間遮蔽のために,コンクリート壁の鉄筋を利用して低インダクタンスの電流経路を形成することを

重要視する場合は,各床面のコンクリートの内部又は外部に環状導体を設置することが望ましい。この環

状導体は,10 m 以下の間隔で垂直鉄筋と相互接続することが望ましい。

この配置は,信頼性が高いので,特に妨害電流の大きさが不明の場合,優先的に採用することが望まし

い。

メッシュ回路網も推奨する。接続部は,電力供給側の地絡時の大電流を流すように設計することが望ま

しい。

等電位ボンディング用バーは,大形建築物等では環状導体として作用する。この場合,鉄筋に対する接

続点を 10 m ごとに設けることが望ましい。建築物等の鉄筋の LPS に対する接続には,

6.2.2 a

)  の地下階に

ついて定める対策以外の特別な対策は必要としない。

E.4.3.9

接地極としての基礎

大形建築物等及び工業用プラントの基礎は,通常鉄筋で強化している。この構造物の地表面下の部分に

ある基礎,基礎スラブ及び外壁の鉄筋は,

5.4

の要求事項を満たす場合,有効な基礎接地極を形成する。

基礎及び地中壁の鉄筋は,基礎接地極として使用できる。

この方法は,低コストで有効な接地極システムを構築できる。さらに,建築物等の鉄筋で構成する金属

製エンクロージャは,一般に建築物等の電力供給源(設備)

,通信及び電子設備のための優れた基準電位を

提供する。

良好な接続部を確保するためには,結束による鉄筋の相互接続に加え,追加のメッシュ回路網を設置す

ることが望ましい。この追加の回路網も鉄筋に接続することが望ましい。外部引下げ導線又は構造体利用

引下げ導線の接続用及び外部に設置した接地極の接続用導体を,適切な位置でコンクリート内から取り出

すことが望ましい。

一般に,基礎の鉄筋は,建築物等の沈下を考慮して各部材間に隙間を設けている場合を除き,導電性で

ある。

建築物等の導電性部分間の隙間は,

5.5

によるクランプ及び接続端子を使用し,

表 6A

に適合するボンデ

ィング導体によって橋絡することが望ましい。

基礎の上に設置するコンクリートの柱及び壁の鉄筋は,基礎の鉄筋及び屋根の導電性部分に接続するこ

とが望ましい。

コンクリートの柱,壁及び導電性部材をもつ屋根の鉄筋コンクリート造建築物等の LPS の設計を,

E.10

に示す。


64

Z 9290-3

:2014

1  水切端子を通過する LPS 導体 
2  コンクリート柱の鉄筋 
3  コンクリート壁の鉄筋

注記  内部の柱の鉄筋は,LPS の受雷部及び接地極に接続した場合,構造体利用内部引下げ導線となる。柱の近傍に

ぜい(脆)弱な電子機器を設置している場合,柱近辺の電磁的影響を考慮することが望ましい。

図 E.10

工場の内部引下げ導線

鉄筋に対して溶接を容認しない場合,柱の中に追加の導体を設置することが望ましく,かつ,試験用接

続部を設けることが望ましい。

これら追加の導体は,鉄筋に結束又はクランプすることが望ましい。

施工が完了し,全ての附帯設備を等電位ボンディング用バーを介して建物に接続した後は,保守計画の

一部として接地抵抗を測定することは,事実上不可能となることが多い。

測定することが不可能な状況では,基礎の近傍に 1 個以上の監視(追跡)用接地極を施設し,その接地

極の接地抵抗の測定を実施することによって土壌環境の経年変化を監視できる。ただし,良好な等電位化

が基礎接地系統の主要な利点であり,接地抵抗はそれほど重要とならない場合がある。

E.4.3.10

設置手順

LPS 導体及びクランプは,全て LPS 施工者が設置することが望ましい。

コンクリート打設前の LPS の設置の遅れによって,

建設工事に遅延が生じないように十分な時期をみて,

建設業者と協議することが望ましい。


65

Z 9290-3

:2014

建設中,通常の各種の測定を実施するとともに,施工者が工事を監理することが望ましい(

4.3

参照)

E.4.3.11

プレキャスト鉄筋コンクリート部材

プレキャスト鉄筋コンクリート部材を,LPS のために,例えば,遮蔽体,引下げ導線又は等電位化のた

めの導体として使用する場合,プレキャスト鉄筋コンクリートの鉄筋と建築物等の鉄筋との相互接続を後

で容易にするため,

図 E.7

に基づく接続点をこの部材に取り付けることが望ましい。

接続点の位置及び形状は,プレキャスト鉄筋コンクリート部材の設計時に決定することが望ましい。

接続点は,プレキャストコンクリート部材内の,ボンディング用接続部から次の接続部まで連続した鉄

筋に配置することが望ましい。

プレキャスト鉄筋コンクリート部材内の鉄筋で,

連続鉄筋の配置が不可能な場合は,

導体を追加設置し,

既存の鉄筋に結束することが望ましい。

一般に,

図 E.11

に示すような板状のプレキャスト鉄筋コンクリート部材の各コーナごとに,1 個の接続

点及びボンディング導体が必要である。

E.4.3.12

エキスパンションジョイント

建築物等が多数のブロックから成り,ブロック間には可動を考慮したエキスパンションジョイントを備

え,かつ,電子機器を建物内へ広範に設置している場合,ボンディング導体を,各構造ブロックの鉄筋間

に,

表 4

に規定する引下げ導線間の半分以下の間隔で,伸縮をもたせて接続することが望ましい。

低インピーダンスの等電位化と建築物等内部の空間の有効な遮蔽とを確保するために,建築物等のブロ

ック間のエキスパンションジョイントは,

図 E.11

に示すように,要求される遮蔽効果に応じて伸縮又は可

動するボンディング導体によって短い間隔で橋絡することが望ましい。


66

Z 9290-3

:2014

1  プレキャスト鉄筋コンクリート 
2  ボンディング導体

a)

  ボルト締め又は溶接によって連接した

板状プレキャスト鉄筋コンクリート部材へのボンディング導体 

1  伸縮用開口部 
2  溶接による接続 
3  凹部(へこみ) 
4  伸縮ボンディング導体 
A  鉄筋コンクリート部材 1 
B  鉄筋コンクリート部材 2

b)

  建築物等の伸縮目地を橋絡する二つの鉄筋コンクリート部材間の伸縮ボンディング 

図 E.11

鉄筋コンクリート建築物等におけるボンディング用導体の設置と

二つの鉄筋コンクリート部材間との伸縮ボンディング

A

B


67

Z 9290-3

:2014

E.5

外部 LPS

E.5.1

一般事項

外部 LPS 導体の配置は,LPS 設計の基本であり,かつ,被保護建築物等の形状,要求する雷保護レベル

(LPL)及び採用した幾何学的設計方法による。受雷部システムの設計は,一般に,引下げ導線システム,

接地極システム及び内部 LPS の設計を必要とする。

隣接建築物に LPS がある場合,許容するところでは,これらの LPS を当該建築物の LPS に接続するこ

とが望ましい。

E.5.1.1

分離しない LPS

外部 LPS は,多くの場合,被保護建築物等に取り付けることができる。

雷撃点又は雷電流を流す導体における熱の影響によって,被保護建築物等又は被保護建築物等内の内容

物に損傷が生じるおそれがある場合,LPS 導体と可燃物との間隔を 0.1 m 以上とすることが望ましい。

注記

  次に代表的な被保護建築物等の例を示す。

a

)  可燃性材料で覆った建築物等

b

)  可燃性の壁のある建築物等

E.5.1.2

分離した LPS

導電性構成部材及び雷等電位ボンディングシステムに地表面だけで接続した LPS は,

3.3

によって分離

した LPS と定義する。

ボンディングした内部導電性部材に雷電流が流れることによって,建築物等又はその内容物に損傷が生

じるおそれがある場合,分離した外部 LPS を使用することが望ましい。

注記 1

  建築物等の変更によって LPS の修正を予想する場合,分離した LPS を使用すると都合がよい。

分離した LPS は,

6.3

に規定する離隔距離に従った被保護建築物等に隣接する突針若しくは支持柱を設

置するか,又は支持柱間に架空線を張ることによって達成する。

分離した LPS は,れんが積み,木造など絶縁材による建築物等に設置した場合,

6.3

に定める離隔距離

を維持し,地表面における接地極システムへの接続以外は,建築物等の導電性部分及び内部に設置した機

器に対しいずれも接続しない。

建築物等内部の導電性機器及び導体は,受雷部システム導体及び引下げ導線までの距離を

6.3

に定める

離隔距離より長くすることが望ましい。増設設備は,全て分離した LPS の要求事項に適合することが望ま

しい。LPS 設計者及び LPS 施工者は,これらの要求事項を建築物等の所有者に通知することが望ましい。

所有者は,後日,建物の内部又は外部の工事を行う請負業者に,これらの要求事項を通知することが望

ましい。請負業者は,これらの通知がない場合,所有者に要求することが望ましい。

分離した LPS を備えた建築物等に設置する全ての機器を,LPS の保護範囲内に配置し,離隔距離の条件

を満たすことが望ましい。建築物等の壁に直接取り付けた導体取付け具が,導電性部分に接近し過ぎてい

る場合,LPS と内部導電性部分間の距離が,

6.3

に定める離隔距離を確保するために,LPS 導体を絶縁性の

導体取付け具で取り付けることが望ましい。

注記 2

  絶縁性取付け具は,環境条件も考慮し,離隔距離以上とすることが望ましい。

雷等電位ボンディングに接続していない屋根表面に取り付けた導電性の屋上設備が,受雷部システムま

での距離が離隔距離を確保していないが,雷等電位ボンディングまでの距離は離隔距離を確保している場

合には,屋上設備を分離した LPS の受雷部システムに接続することが望ましい。したがって,雷等電位ボ

ンディングに接続していない導電性の屋上設備をもつ建築物等でも分離した LPS とみなさない。

屋上設備近傍の LPS の設計及び施工に関する安全指示については,雷撃時にこの設備の電圧が受雷部シ


68

Z 9290-3

:2014

ステムの電圧まで上昇する現象を考慮することが望ましい。

雷電流が建築物等の壁を貫通して内部に設置した機器に流れるのを防止したい場合,分離した LPS を広

範に連結した導電性部分をもつ建築物等の上に設置することが望ましい。

鉄骨構造,鉄筋コンクリートなどを相互接続し,連続性をもたせた導電性部材からなる建築物等におい

ては,分離した LPS は建築物等のこれら導電性部材までの離隔距離を維持することが必要である。適切な

離隔を達成するために,LPS 導体を絶縁した導体取付け具によって建築物等に固定する方法がある。

組積造(Brick)の建築物等には,鉄筋コンクリート造の柱及び天井を多く使用していることに留意する

ことが望ましい。

E.5.1.3

危険な火花放電

LPS と金属製の電気設備及び通信設備との間の危険な火花放電は,次の手段によって避けることができ

る。

a

)  分離した LPS では,

6.3

に従う絶縁又は離隔

b

)  分離しない LPS では,

6.2

に従う雷等電位ボンディング又は

6.3

に従う絶縁又は離隔

E.5.2

受雷部システム

E.5.2.1

一般事項

この規格は,突針,水平導体及びメッシュ導体を同等とみなしているため,受雷部システムの選定の基

準を定めたものではない。

受雷部システムの配置は,

表 2

の要求事項に従うことが望ましい。

E.5.2.2

配置

受雷部システムの設計には,受雷部による保護領域が重なり合うこと,かつ,建築物等を

5.2

に従って

全体的に保護することを前提として,次の方法を個別に又は組み合わせて使用することが望ましい。

a

)  保護角法

b

)  回転球体法

c

)  メッシュ法

全ての方法は,LPS の設計に使用できる。

LPS のクラスの選定は,被保護建築物等の立地条件,種類及び重要度による。

配置は,LPS の設計者が選定できる。ただし,次の点を考慮するのが合理的である。

−  保護角法は,単純な建築物等又は大形建築物等の小さい部分に適している。この方法は,選定した LPS

の保護レベルに該当する回転球体の半径より高い建築物等には適していない。

−  回転球体法は,複雑な形状の建築物等に適している。

−  メッシュ法は,汎用であり,平面の保護に特に適している。

建築物等の各部に使用する受雷部及び LPS の設計方法は,設計図書に明記することが望ましい。

E.5.2.2.1

保護角法

保護角法は,受雷部(突針,支持柱及び水平導体)の上端から,その上端を通る鉛直線に対して角度 α

の円すい(錐)内側を保護範囲とする方法である。

保護角度 α は,被保護表面より上の受雷部の高さを とし,

表 2

に適合することが望ましい。

単一の点で円すい(錐)を作成する。LPS の各種受雷部導体によって保護範囲を作成する方法を,

図 A.1

及び

図 A.2

に示す。

表 2

によれば,保護角度 α は,被保護表面より上の受雷部の高さが異なると変化する(

図 A.3

及び

図 E.12

参照)


69

Z 9290-3

:2014

H  基準平面より上の建物の高さ 
h

1

  受雷部の物理的な高さ

h

2

  基準平面より上の受雷部の高さ:h

1

H

α

1

  屋根上(基準平面)より上の受雷部の高さ hh

1

に対応する保護角度

α

2

  高さ h

2

に対応する保護角度

図 E.12

表 に基づく種々の高さに関する保護角法による受雷部の設計

保護角法は,幾何学的な限界があり,

表 2

に定める回転球体の半径 より大きい場合は,適用でき

ない。

屋根上の工作物を受雷部で保護し,かつ,その保護範囲が建物の縁部を超える場合,受雷部を工作物と

縁部との間に配置する必要がある。これが不可能な場合,回転球体法を適用することが望ましい。

保護角法を用いた受雷部の設計を,分離した LPS については,

図 E.13

及び

図 E.14

に示し,分離しない

LPS については,

図 E.15

及び

図 E.16

に示す。


70

Z 9290-3

:2014

1  受雷部支持柱 
2  被保護建築物等 
3  基準平面である地面 
4  保護円すい(錐)間の交点 
s  6.3 に基づく離隔距離 
α  表 に規定した保護角度

a)

  立面図 

注記  二つの円は,基準平面である地表面の保護範囲を示す。

b)

  平面図 

図 E.13

保護角法に基づいて設計した 本の分離した支持柱を用いた分離した外部 LPS

2


71

Z 9290-3

:2014

1

受雷部支持柱

2

被保護建築物等

3

基準平面における保護範囲

4

水平導体

s

1

s

2

  6.3 に基づく離隔距離

α

表 に規定した保護角度

注記  この受雷部システムは,保護角法に基づいて設計している。建築物等全体が保護範囲内にあることが望ましい。

図 E.14

水平導体によって相互接続した 本の支持柱を用いた分離した外部 LPS

a)

  本の支持柱からなり,

左右に位置する立面図

b)

  本の支持柱からなり,

前後に位置する立面図

c)

  平面図


72

Z 9290-3

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1  突針 
2  被保護建築物等 
3  基準平面である地面 
α  表 に規定した保護角度

注記  建築物等全体が突針の保護範囲内に入ることが望ましい。

図 E.15

突針による分離しない LPS の設計例

b)

  本の突針を用いた例 

a)

  本の突針を用いた例 


73

Z 9290-3

:2014

a)

  正面図 

b)

  側面図 

α  表 に規定した保護角度 
d

1

  水平導体の屋根からの距離

注記  建築物等全体が保護範囲内に入ることが望ましい。

図 E.16

保護角法に基づく水平導体による分離しない LPS の設計例

受雷部システムを配置する表面が傾斜している場合,保護範囲を形成する円すいの軸は必ずしも突針で

はなく,突針を配置している表面に対する垂線となる。円すいの頂部は,突針の頂部に等しくなる(

図 E.17

参照)


74

Z 9290-3

:2014

1

保護範囲

2

基準平面

3

突針

h

表 に規定した受雷部に該当する高さ

α

表 に規定した保護角度

D,D'  保護範囲の境界線

図 E.17

傾斜面における突針の保護範囲

E.5.2.2.2

回転球体法

表 2

の保護角法が使用できない場合,建築物等の各部及び各区域の保護範囲を確認するため回転球体法

を使用することが望ましい。

この方法では,あらゆる方向(建築物等の周囲及び上部)に回転する半径 の球体と被保護建築物等と

が接触しないように,受雷部システムを配置する。したがって,球体は,地面及び/又は受雷部システム

だけに接触することが望ましい。

回転球体の半径 は,LPS のクラスによって異なる(

表 2

参照)

。回転球体の半径は,次式のとおり建築

物等への雷電流の波高値と相互関係にある。

r=10×I

0.65

はキロアンペア(kA)で定義する。

図 E.18

に,様々な建築物等に対する回転球体法の適用例を示す。半径 の球体を,地面又は地面と接触

している構造物及び受雷部導体となり得る部材と接触するまで,建築物等の周囲及び上部に回転する。

球体が建築物等と接触する場所では,雷撃を受ける可能性があるため,受雷部によって保護する必要が

ある。


75

Z 9290-3

:2014

1  斜線部は雷撃の可能性があり,表 に基づく保護を必要とする。 
2  建築物等上のマスト及び支持柱 
r  表 に規定した回転球体の半径 
側壁への落雷に対する保護は,5.2.3 及び A.2 に従わなければならない。

図 E.18

複雑な形状をもつ建築物等における LPS 受雷部配置の設計

回転球体法を建築物等の図面に適用する場合,図面で立面図及び平面図だけで考察する場合,見逃す可

能性があるため,保護しない領域に突出する部分がないことを確認し,建築物等をあらゆる方向から検討

する必要がある。

受雷部導体による保護範囲は,回転球体が大地と受雷部導体,受雷部導体と受雷部導体に接触した状態

で,回転球体が侵入しない空間である。

保護角法及びメッシュ法に基づく LPS の設計及び受雷部構成要素の配置例を,

図 E.19

に示す。


76

Z 9290-3

:2014

1  受雷部(水平,メッシュ)導体 
2  突針 
3  メッシュ幅 
4  引下げ導線 
5  環状接地極 
h  地面より上の受雷部の高さ 
α  表 に規定した保護角度

図 E.19

保護角法及びメッシュ法による LPS の設計及び受雷部構成要素の配置例

図 E.20

に示す水平基準平面より上に配置する 2 本の平行な水平導体の場合,導体間の空間における導体

のレベルより下の回転球体の侵入距離 は,式(E.2)で計算することができる。

( )

[

]

2

1

2

2

2

/

d

r

r

p

=

  (E.2)

ここに,

p: 回転球体の侵入距離

r

表 2

に規定した回転球体の半径

d: 2 本の平行な水平導体又は 2 本の突針の離隔する距離

侵入距離 は,h

t

から被保護建築物等(

図 E.20

におけるモータ)の高さを引いた値以下であることが望

ましい。


77

Z 9290-3

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1  水平導体 
2  基準平面 
3 2 本の平行な水平導体又は 2 本の突針によって保護する空間 
h

t

  突針の基準平面より上の高さ

p  回転球体の侵入距離 
h  受雷部の高さ 
r  表 に規定した回転球体の半径 
d  2 本の平行な水平導体又は 2 本の突針の離隔する距離

注記  受雷部間の対象物を保護するためには,回転球体が侵入する距離 は,h

t

から被保護対象物の最大高さを引いた

値未満である必要がある。

図 E.20

2

本の平行な水平導体又は 本の突針によって保護する空間

r

d

図 E.20

に示す例は,3 本又は 4 本の突針,例えば 4 本の突針を同じ高さ で正方形の四隅に配置した場

合にも有効である。この場合,

図 E.20

における は 4 本の突針によって形成する正方形の対角線に相当す

る。

雷撃点は,回転球体法を用いて決定することができる。また,回転球体法によって,建築物等の各点に

対する雷撃発生の可能性を確認することもできる。

E.5.2.2.3

メッシュ法

メッシュは,次の条件に適合する場合,平面全体を保護するとみなす。

a

)

附属書 A

に規定するように,受雷部導体を次の位置に配置する。

1

)  屋根の縁部線上


78

Z 9290-3

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2

)  屋根のひさし

3

)  屋根の勾配が 1/10 を超える場合,屋根の棟線上

4

)  高さ 60 m 以上の建築物等においては,建築物等の高さの上部から 20 %までの側面。ただし,高さ

が 75 m 以下の場合は 60 m まで。

b

)  受雷部のメッシュ幅は,

表 2

に示す値以下とする。

c

)  雷電流が,2 以上の引下げ導線から接地極へ流れ,受雷部システム(メッシュ)によって保護する範

囲外に,金属製工作物が突出しないように,受雷部システムを構成する。

注記

  多数の引下げ導線によって,離隔距離を短縮し,建物内部の電磁界も低減する(

5.3

参照)

d

)  受雷部導体は,できる限り短くかつ直線状とする。

メッシュ法を用いた分離しない LPS の設計例を,陸屋根建築物等については,

図 E.21 a

)  に示し,勾配

屋根建築物等については,

図 E.21 b

)  に示す。工場における LPS の設計例を,

図 E.21 c

)  に示す。


79

Z 9290-3

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a)

  陸屋根における LPS 受雷部 

w

m

  メッシュ幅

注記  メッシュ幅は,表 に適合することが望ましい。

b)

  勾配屋根における LPS 受雷部 

図 E.21

メッシュによる分離しない LPS の設計例


80

Z 9290-3

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A  試験用接続部

注記  寸法は,全て表 及び表 に基づいて選択した保護レベルに適合することが望ましい。

c)

  片流れ屋根建築物等における LPS の例 

図 E.21

メッシュによる分離しない LPS の設計例

続き

E.5.2.3

高層建築物等における側壁への落雷に対応する受雷部

高さ 60 m を超える建築物等においては,側壁の上部 20 %に受雷部システムを設けることが望ましい。

60 m 以下の部分では,受雷部システムを省略できる。

注記 1

  高さ 60 m と 75 m との間の建築物等には,保護領域を 60 m 以下に拡張する必要はない。

注記 2

  建物上部の外壁面に取り付けた電子機器(例えば,航空障害灯及び ITV カメラなど)がある

場合,水平導体,メッシュ導体などを用いて保護することが望ましい。

E.5.2.4

構造

E.5.2.4.1

一般事項

導体の断面積が

表 6

に適合した場合,導体の許容温度を超えない。

可燃性材料からなる屋根又は壁は,次の一つ以上の手段を用いて,雷電流の危険な影響(LPS 導体の発

熱)から,保護することが望ましい。

a

)  断面積を大きくすることによって,導体の温度上昇値を下げる。

b

)  導体と屋根材との距離を大きくする(

5.2.4

も参照)

c

)  導体と可燃性材料との間に耐熱材を挿入する。

E.5.2.4.2

分離しない受雷部

受雷部導体及び引下げ導線は,各引下げ導線に雷電流を分流するために,屋上で相互接続することが望

ましい。

屋根の導体及び突針の取付け部は,導電性又は非導電性の支持材及び取付け具を用いて屋根に固定する


81

Z 9290-3

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ことができる。壁が不燃性材料の場合,導体を壁の表面に取り付けてよい。

これらの導体について推奨する取付け間隔を,

表 E.1

に示す。

表 E.1

推奨する取付け間隔

単位  mm

配置

帯及びより線

棒状導体

水平表面上の水平導体

000

000

垂直表面上の水平導体

600

1 000

地面から 20 m までの垂直導体

1

500

1 000

20 m を超える垂直導体

000

1 000

注記 1  この表は,特別な配慮を必要とするビルトインタイプの取付けには適用しない。 
注記 2  環境条件の評価(例えば,想定する風圧荷重)を行う必要がある場合,推奨するものと異なる取付

け間隔でもよい。

屋根棟をもつ小住宅及び類似の建築物等では,水平導体を屋根棟上に設置することが望ましい。水平導

体によって保護範囲内に建築物等の全体が入る場合,2 条以上の引下げ導線を,建築物等の対角の突角部

で切妻縁部に沿って,布設することが望ましい。

雨どいなどが,

5.2.5

に適合する場合,構造体利用構成部材として使用できる。

図 E.22

a

)∼

c

)  に,勾配屋根上の水平導体と引下げ導線との配置例を示す。


82

Z 9290-3

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適切な寸法の例 
a  :1 m 
b  :0.15 m(必須ではない。) 
c  :1 m 
d  :できる限り縁部に近接 
e  :0.2 m 
f  :0.3 m 
g  :1 m 
h  :0.05 m 
i  :0.3 m 
j  :1.5 m 
k  :0.5 m 
α  :表 に規定した保護角度

図 E.22

勾配付き瓦屋根の建築物等における四つの LPS の詳細

a)

勾配屋根の棟上の受雷部導体及び

屋根引下げ導線の設置

b)

  保護角法を用いた煙突保護のための

突針の設置

c)

  雨どいに接続した引下げ導線の設置

d)

  引下げ導線における試験用接続部の設置

及び縦といに対するボンディング


83

Z 9290-3

:2014

横長な建築物等の場合,

表 4

に基づく追加の引下げ導線を,屋根棟上に取り付けた受雷部導体に接続す

ることが望ましい。

大きな屋根の張出し部をもつ建物においては,水平導体を棟の端部まで延長することが望ましい。屋根

の切妻縁部において,屋根上の水平導体と引下げ導線とを接続することが望ましい。

可能な限り,受雷部導体,接続導体及び引下げ導線を直線的経路で設置することが望ましい。

陸屋根の建築物等では,周囲の受雷部導体をできる限り屋根外周(端部)に沿って設置することが望ま

しい。

屋根面が,

表 2

に規定したメッシュ幅を超える場合,受雷部導体を追加設置することが望ましい。

図 E.22

a

)∼

c

)  に,建築物等の勾配屋根上で使用する受雷部導体用取付け金具の構成の詳細例を示す。

図 E.23

に,陸屋根での取付け金具の構成の詳細例を示す。


84

Z 9290-3

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a 600

mm∼1 000 mm(表 E.1 参照)

1  金属製パラペット[かさ(笠)木] 
2  伸縮継手 
3  接続継手 
4 T 字形継手 
5  受雷部導体取付け具 
6  水切装置を通した導体 
7  金属製構造部材 
8  接続継手

注記  金属製パラペット[かさ(笠)木]を受雷部導体として使用し,LPS の構造体利用引下げ導線として使用する

金属製構造部材に接続する。

図 E.23

建築物等の屋根に構造体利用構成部材を使用した LPS の構造

図 E.24

に,木材,組積造(Brick)などの絶縁材で構成される陸屋根をもつ建築物等の外部 LPS の配置

を示す。屋根上設備は,保護範囲内にある。高層建築物等では,全ての引下げ導線に接続する水平環状導

体をファサードに設置する。これら水平環状導体間の間隔は,

5.3.3

に従うことが望ましい。回転球体半径

のレベルより下の水平環状導体は,等電位化導体として必要である。


85

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1

突針

2

水平導体

3

引下げ導線

4 T 字形継手 
5

十字形継手

6

試験用接続部

7 B 形環状接地極 
8

等電位化のための水平環状導体

9

屋根設置物をもつ陸屋根

10  内部 LPS のためのボンディング用バー 
11 A 形接地極

注記  引下げ導線間の間隔及び水平環状導体は,5.3.3 の要求事項による。

図 E.24

屋上設備を備えた陸屋根をもつ高さ 60 m までの絶縁材

木造

れんがなど

からなる

建築物等における外部 LPS の配置


86

Z 9290-3

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LPS の導体及び突針は,風雨に耐えることができるように,機械的に固定することが望ましい。

外壁の機械的保護のために設けた金属カバーは,金属溶融による発火のおそれがなければ,

5.2.5

に従っ

て構造体利用構成部材として使用できる。発火のおそれは,外装材の下地材料の種類によって異なる。使

用する下地材料の発火のおそれを,請負者が確認することが望ましい。

金属製屋根が,他の防水構造の場合と同様に,落雷によって孔があくことがある。このような場合,雷

撃点から水が屋根に浸透し,遠く離れた箇所で雨漏りする可能性がある。このような事態を避ける場合,

受雷部システムを設置することが望ましい。

採光用の小形ドーム並びに排煙用及び排熱用の開閉窓は,通常閉じている。このうち,開閉窓を保護す

るための設計については,開閉窓を開閉したとき及び中間位置にあるときの状態を含め,施主及び/又は

所有者と保護の必要性について協議し,決定することが望ましい。

5.2.5

に適合しない導電性の板からなる屋根材は,雷撃点での融解を許容できる場合,受雷部として使用

できる。許容できない場合は,導電性の屋根材を十分な高さの受雷部システムによって保護することが望

ましい(

図 E.20

及び

図 E.25

参照)

r  表 に規定した回転球体の半径 
a  受雷部導体

注記  回転球体は,金属屋根のいずれの部分とも接触しないことが望ましい。

図 E.25

導電性被覆の破損を許容できない場合の屋根上の受雷部の構造例

導電性支持材と同様に非導電性支持材も使用できる。

導電性支持材を使用する場合,屋根板との接続部は,部分雷電流(接続部に流れる雷電流)に耐えるこ

とが望ましい(

図 E.25

参照)

パラペットを構造体利用受雷部として使用する例を,

図 E.23

に示す。

屋根上の突出した外装金属材は,突針によって保護することが望ましい。

5.2.5

に適合しない外装金属材

は,LPS にボンディングすることが望ましい。

図 E.26

に,コンクリート内の構造体利用引下げ導線と受雷部との接続例を示す。


87

Z 9290-3

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1

突針

2

水平導体

3

引下げ導線

4 T 字形継手 
5

十字形継手

6

鉄筋に対する接続部(E.4.3.3 及び E.4.3.6 参照)

7

試験用接続部

8 B 形環状接地極 
9

屋上設備を設置している陸屋根

10 T 字形継手−耐食性

注記  建築物等の鉄筋は,4.3 に適合することが望ましい。LPS の寸法は,全て選択した保護レベルに適合することが

望ましい。

図 E.26

外壁の鉄筋を構造体利用構成部材として使用した

鉄筋コンクリート建築物等の外部 LPS の構造


88

Z 9290-3

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E.5.2.4.2.1

屋上駐車場及び屋上電気設備の雷保護

この種の建築物等の保護には,受雷部スタッドを使用できる。これらのスタッドはコンクリート内の鉄

筋に接続する(

図 E.27

参照)

。鉄筋に対する接続が不可能な屋根の場合,水平導体を車道スラブの継目に

布設し,受雷部スタッドをメッシュ交点に配置する。メッシュの幅は,

表 2

に示す保護レベルに対応する

値を超えてはならない。受雷部スタッドを使用した場合では,この駐車場における人及び車両を落雷から

保護できない。

1  受雷部スタッド 
2  鉄筋への接続金具 
3  コンクリートの鉄筋

図 E.27

屋上駐車場に使用する受雷部スタッドの例

屋上の駐車場及び電気設備を落雷から保護する必要がある場合,突針及び/又は架空の水平導体を使用

することが望ましい(

図 E.28

参照)


89

Z 9290-3

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1  保護範囲 
2  金属製屋上設備 
3  水平導体 
4  電源線(導電性シールドで覆うことが望ましい。) 
5  電気機器 
s  6.3 に基づく離隔距離 
α  保護角度(表 参照)

注記  突針の高さは,表 に準拠することが望ましい。

図 E.28

受雷部システムに接続しない

屋上の金属製電気設備の保護に使用する突針

垂直導体がある場合,手の届く範囲について考慮することが望ましい。必要な離隔距離は,例えば,柵

又はロープを用いて立ち入り禁止区域を設定することによって,確保できる。

落雷に対する危険について注意を促す掲示を,駐車場入口に設けることが望ましい。

厚さ 50 mm 以上のアスファルトを敷いている場合,接触電圧及び歩幅電圧は無視できる。さらに,

4.3

に適合する鉄筋コンクリート構造の場合は,歩幅電圧は無視できる。

E.5.2.4.2.2

屋上部分に一般の人が立ち入らない鉄筋コンクリート建築物等

受雷部システムを設けた一般の人が立ち入らない陸屋根においては,受雷部導体を

図 E.26

に示すように

設置することが望ましい。屋根の等電位化のための水平環状導体については,屋根パラペット上の金属材

を,

図 E.23

及び

図 E.29

に示すように使用することができる。


90

Z 9290-3

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1  耐食接続 
2  伸縮継手 
3  金属製パラペット[かさ(笠)木]

注記  腐食を避けるため,伸縮継手並びに接続導体の材料及び形状の適切な選択を,特に配慮することが望ましい。

図 E.29

金属カバー[パラペット用かさ

木]の電気的連続性の確保の方法

屋上にメッシュ導体を設置する方法の一例を,

図 E.26

に示す。

一般に,屋上コンクリートの鉄筋に対する落雷は,防水層を損傷する。その場合,雨水によって鉄筋の

腐食が生じ,損傷に至る。腐食によるコンクリートの機械的強度を低下させないため,鉄筋コンクリート

に対する直接的な落雷を防止するため,受雷部システムを設置し,できれば鉄筋にボンディングすること

が望ましい。

外壁の機械的保護のために設けている金属カバー[パラペット用かさ(笠)木]は,金属溶融による発

火のおそれがない場合,

5.2.5

に基づく受雷部の構造体利用構成部材として使用できる。

表 3

に適合しない導電性屋根材でも,雷撃点での溶融を許容する場合,受雷部導体として使用できる。

許容できない場合は,導電性屋根材を十分な高さの受雷部システムによって保護することが望ましい(

E.20

及び

図 E.25

参照)

。この場合,回転球体法を適用することが望ましい。この方法に適合するためには,

通常のメッシュ法よりもメッシュ幅を小さくし,支持材を高くする。

導電性支持材を使用する場合,導電性屋根材への接続部は,雷電流の分流に耐えることが望ましい。

屋上端部への受雷部導体として,パラペットに使用している構造体利用受雷部の例を,

図 E.23

に示す。

5.2.5

に規定する受雷部の条件を満たしていない金属部分でも,屋上部分内で,雷電流の種々の経路に接

続するためには使用することができる。

E.5.2.4.2.3

建築物等の適切な遮蔽条件

建築物等内部の電気システム及び電子システムを保護するために,建築物等の外壁及び屋根を電磁遮蔽

体として使用することができる(

IEC 62305-2

附属書 B

及び

JIS Z 9290-4

参照)


91

Z 9290-3

:2014

相互接続した鉄筋を,引下げ導線及び遮蔽空間を形成する電磁遮蔽体として使用している鉄筋コンクリ

ート建築物等の例を,

図 E.26

に示す。詳細は,

JIS Z 9290-4

を参照する。

屋根の受雷部システムの範囲内にある,少なくとも 1 辺の寸法が 1 m を超える全ての導電性部分は,メ

ッシュ受雷部と相互接続することが望ましい。メッシュ形遮蔽は,

6.2

に従って屋上受雷部システムに接続

することが望ましい。

金属製パラペットを構造体利用受雷部として,また,鉄骨を構造体利用引下げ導線として使用している

導電性骨組みをもつ建築物等の受雷部の構造を,

図 E.23

及び

図 E.29

に示す。

LPS における構造体利用構成部材の電気的連続性を確保する方法を,

図 E.29

に示す。

鉄骨構造の建築物等のメッシュ幅は,

表 2

の値に比べて小さく,雷電流は数本の並列導体に分流するの

で,電気的インピーダンスが低下し,結果として,

6.3

に基づく離隔距離を短縮し,設備と LPS との間の

必要な離隔距離はほとんど必要としない。

多くの建築物等において,屋根部分は,建築物等のうち最も遮蔽効果の少ない部分である。したがって,

屋根構造物の遮蔽効率を高めるため,特別の配慮をすることが望ましい。

導電性の構成部材が屋根内に存在しない場合,遮蔽効果は,屋根導体の間隔を狭めることによって改善

することができる。

E.5.2.4.2.4

屋上設備又は突出している設備の保護

屋上面に設置した又は突出している金属製設備を保護するための突針は,

表 2

に基づき,

被保護設備を,

回転球体の保護範囲内に,又は保護角の円すい(錐)範囲内に収まるような高さとすることが望ましい。

突針と屋上設備との間の離隔距離は,

6.3

の条件を満たすことが望ましい。

保護角法を用いた突針による屋上設備の保護例を,

図 E.28

に示す。保護角度は,

表 2

に規定する LPS

の保護レベルに応じた角度としなければならない。

6.3

に基づく離隔距離の要求を満たしていない屋上に設置した金属製設備は,

一本以上のボンディング用

導体で受雷部システムに接続することが望ましい。

屋根に埋め込んだ設備から建物の内部に延びる導体又は金属製配管などの導電性設備は,雷電流の一部

が建物の内部に侵入する可能性がある。

このような導電性設備がある場合,

屋根表面から突出する設備は,

受雷部システムによって保護することが望ましい。受雷部システムによる保護が不可能又は費用対効果が

見込めない場合,規定の離隔距離の 2 倍以上に相当する長さの絶縁部品を導電性設備(例えば,圧縮空気

配管)に設置することができる。

非導電性の煙突が受雷部システムの保護範囲外にある場合,突針又は水平導体によって保護することが

望ましい。煙突に設けた突針は,煙突全体が突針の保護範囲内に入るような高さとする。

煙突が受雷部システムの保護範囲内に位置していない場合,煙突の内面を導電性のすす(煤)の付着物

が覆うことによって,雨が降らなくても,非常に長い距離のストリーマによって電流を伝導するので,非

導電性煙突への落雷の可能性がある。

絶縁れんが製煙突に取り付けた突針の構造を,

図 E.22 b

)  に示す。

E.5.2.4.2.5

電気機器又は電子機器を収納する屋上設備の保護

電気機器及び/又は電子機器を,収納する絶縁材料又は導電性材料からなる屋上設備は,受雷部システ

ムの保護範囲内に設置することが望ましい。

受雷部システムの保護範囲内に設置した機器へは,ほとんど落雷しない。

屋上設備への落雷は,その設備の破損だけではなく,屋上設備の内部,更に建築物等の内部に接続した

電気・電子機器に対しても,広範な損傷を引き起こすことがある。


92

Z 9290-3

:2014

鉄骨構造建築物等の屋上設備も,受雷部システムの保護範囲内に設置することが望ましい。この場合,

突出した受雷部導体は,受雷部システムだけではなく,できれば,鉄骨構造建築物等にもボンディングす

ることが望ましい。建築物等にボンディングする場合,離隔距離を確保する必要はない。

屋上設備に関する要求事項は,落雷の可能性がある(すなわち,回転球体の接触する)垂直表面上に取

り付けた設備にも適用することが望ましい。

電気設備を収容している絶縁材及び導電性の屋上設備を保護する受雷部の構造の例を,

図 E.28

及び

E.30

に示す。

図 E.30

は,離隔距離 を保つことができない場合にだけ適合する。

1  受雷部導体 
2  金属製カバー 
3  ボンディング導体 
4  水平導体 
5  電気機器 
6  SPD 内蔵端子箱 
7  引下げ導線

注記  収容している電気機器は,雷電流の大部分に耐える金属製のケーブルシールドを介して,E.5.2.4.2.6 に準じ,受

雷部システム及び建築物等の導電性構成部材に接続する。

図 E.30

落雷から保護するために受雷部システムに接続した金属製の屋上設備

注記

  特別な保護を必要とする設備の場合,接続したケーブルの屋上レベルで SPD を設けることがで

きる。

離隔距離は,気中だけでなく,固体材料[k

m

=0.5(

表 11

参照)

]を通過する経路についても確保するこ

とが望ましい。

E.5.2.4.2.6

保護範囲から突出する電気設備

建築物等の屋上のアンテナは,アンテナを既に保護している範囲内に設置し,落雷から保護することが

望ましい。


93

Z 9290-3

:2014

アンテナシステムは LPS と接続することが望ましい(

IEC 60728-11

[8]

参照)

分離した外部 LPS[

図 E.31 a

)  参照]又は分離しない外部 LPS[

図 E.31 b

)  参照]を使用してもよい。

分離しない LPS の場合,アンテナマストは受雷部システムに接続することが望ましい。その場合,雷電

流の一部は,被保護建築物等の内部に侵入する。アンテナケーブルは,全ての引込線のための共通の引込

口,又はボンディング用バーの近くで,建築物等に引き込むことが望ましい。アンテナケーブルの導電性

シースは,屋上で受雷部システムと接続し,かつ,ボンディング用バーに接続することが望ましい。

離隔距離を保つことができない電気機器を収納している屋上設備などは,

表 9

に従って受雷部システム

及び屋上設備の導電性構成部材,並びに電気機器の導電性シールドに接続することが望ましい。

図 E.30

は,導電性部分をもつ屋上設備を,電気設備及び建築物等の受雷部と接続する方法の一例である。


94

Z 9290-3

:2014

1  金属製マスト 
2  絶縁支持材 
3  突針 
4  受雷部導体 
5  ボンディング導体 
6  アンテナケーブル 
7  試験用接続部 
8  ボンディング用バー 
9  基礎接地極 
α  保護角度 
s  離隔距離 
l

離隔距離計算のための長さ

MDB

主分電盤

PCB

電源接続箱

a)

  分離した受雷部を用いた保護角法によって保護する TV アンテナ及びアンテナマスト 

図 E.31

TV

アンテナのある住宅の雷保護の例


95

Z 9290-3

:2014

1

金属製マスト

2

屋根の棟上の水平導体

3

引下げ導線と金属製アンテナマスト間の接続

4

アンテナケーブル

5

ボンディング用バー:アンテナケーブルの金属シールドは,ボンディング用バーに接続している。

6

試験用接続部

7 TV 
8

平行に布設したアンテナケーブル及び電力ケーブル

9

電力ケーブル

10  接地極システム 
11 SPD 付き主分電盤 
12  基礎接地極 
13 LPS 導体 
α

保護角度

l

離隔距離の計算を考慮するための長さ

注記  小規模建築物等の場合,5.3.3 によって 2 条の引下げ導線だけで十分である。

b)

  突針としてアンテナマストを使用している TV アンテナ 

図 E.31

TV

アンテナのある住宅の雷保護の例

続き

E.5.2.4.2.7

屋根上の導電性部材の保護

落雷に耐えることができず,かつ,屋上に設置している厚さが不十分な導電性部材,及び

5.2.5

及び

表 3

に基づく構造体利用受雷部システムに関する要求事項を満足しない金属製カバー又は建築物上のその他の

部分は,落雷を許容できない場合,受雷部導体で保護することが望ましい。

屋上の導電性部分の雷保護の設計には,回転球体法を適用することが望ましい(

図 E.32

参照)


96

Z 9290-3

:2014

1  回転球体 
2  突針 
3  電気機器 
4  引下げ導線 
5  金属製機器 
r

回転球体の半径(

表 参照)

s

6.3

による離隔距離

図 E.32

屋上の金属製機器の落雷に対する雷保護システムの設置

離隔距離 を確保できない場合の導電性屋上設備に対し,落雷から保護する受雷部システムの設計例を,

図 E.30

に示す。

E.5.2.4.2.8

土壌で覆った建築物等の雷保護

屋根上を土で覆った建築物等で,通常,人の立ち入らないものについては,通常の LPS を利用できる。

受雷部システムは,土層上部のメッシュで構成した受雷部システム,又は回転球体法若しくは保護角法に

適合する埋設メッシュと接続した多数の突針とすることが望ましい。これができない場合,突針のない埋

設したメッシュ状受雷部システムは,保護効率が低くなることを認識することが望ましい。

s

s

2

4

3

5

3

4

2

1


97

Z 9290-3

:2014

屋根上の土層が 0.5 m 以下の建築物等で,通常,人が立ち入るものについては,危険な歩幅電圧を防止

するため,5 m×5 m のメッシュ幅をもつメッシュシステムを必要とする。地上の人を落雷から保護するた

めに,回転球体法に適合する突針を必要とすることもある。これらの突針の代わりに,柵,照明柱などの

構造体利用受雷部構成部材を使用することができる。

受雷部システムの高さは,

必要な離隔距離とともに,

人の身長に余裕をみた 2.5 m を考慮しなければならない(

図 E.2

参照)

これらの保護をいずれも適用できない場合,雷雨中に落雷のおそれがあることを認識することが望まし

い。

土層が 0.5 m を超える地下建築物等のための対策は,検討中である。現状では,利用できる研究成果が

まだないので,0.5 m 以下の土層の場合と同じ対策を講じるのがよい。

爆発物を収容している地下建築物等には,LPS を追加設置しなければならない。この追加の LPS は,建

築物等全体にわたる分離した LPS であってもよい。双方の保護対策の接地極システムを相互接続すること

が望ましい。

E.5.2.5

構造体利用構成部材

陸屋根をもつ建築物等では,パラペットの金属カバーは,LPS 受雷部システムの代表的な構造体利用構

成部材である。この部材は,パラペットを天候の影響から保護するアルミニウム,亜鉛めっき鋼又は銅の

U 字形に押出し又は曲げ成形した部品からなる。この用途には,

表 3

に示す最小厚さを適用しなければな

らない。

パラペットの金属カバーは,

受雷部導体,

屋根表面上の導体及び引下げ導線に接続することが望ましい。

パラペット部材間の継目に良好かつ信頼性の高い導通がない場合,電気的に橋絡することが望ましい。

パラペットの金属製かさ(笠)木を LPS の構造体利用受雷部導体として用いる受雷部構造の一例を,

E.23

に示す。

最小厚さが

表 3

に適合する屋根上に取り付けた金属製タンク,

金属製配管,

手すりなどの導電性部材は,

受雷部システムの構造体利用構成部材として使用してよい。

高圧のガス若しくは液体又は可燃性のガス若しくは液体を収容している容器及び配管は,構造体利用受

雷部として使用してはならない。これが不可能な場合,配管の設計に際し,雷電流の加熱作用を考慮する

ことが望ましい。

金属製タンクなどの屋上の導電性部材は,建築物等の内部に設置した機器に自然に接続していることが

多い。全雷電流が建築物等の中に流入することを防止するために,LPS の構造体利用構成部材と受雷部メ

ッシュとの間の接続を,確実にしなければならない。

導電性屋上設備と受雷部導体とのボンディングの詳細例を,

図 E.33

に示す。


98

Z 9290-3

:2014

1  受雷部導体支持材 
2  金属管 
3  水平導体 
4  コンクリート内部の鉄筋

注記 1  金属管は 5.2.5 及び表 に,ボンディング導体は表 に,鉄筋は 4.3 に適合することが望ましい。屋根のボン

ディングは,防水処理を施すことが望ましい。

注記 2  この特殊なケースでは,ボンディングは,鉄筋コンクリート造の鉄筋と接続する。

図 E.33

構造体利用突針の受雷部導体への接続

屋根から突出した金属タンク又は金属の導電性部材は,

受雷部ネットワークに接続することが望ましい。

屋根の導電性部材に対する落雷を許容しない場合,この導電性部材を受雷部システムの保護範囲内に配

置しなければならない。

火災の危険がほとんどないファサード上の導電性部材又は建築物等の同等部分を,構造体利用構成部材

とする場合,

5.2.5

に適合することが望ましい。

金属製ファサード板を構造体利用引下げ導線として使用する場合,伸縮継手及びタッピンねじによる二

つの接続例を,

図 E.34

に示す。


99

Z 9290-3

:2014

a)

  伸縮継手による接続

b)

  タッピンねじによる接続 

注記  電気的に橋絡する接続は,特に LEMP に対する保護が向上する。LEMP に対する保護の詳細は,JIS Z 9290-4

を参照。

図 E.34

金属製ファサード板間の橋絡構造

E.5.2.6

分離した受雷部

分離した LPS を設置した場合,被保護建築物等又は機器に隣接する受雷部支持柱は,保護ゾーン内にあ

る建築物等への落雷の可能性を最小限にするものである。

複数の支持柱を設置する場合,架空導線によって相互接続し,LPS と設備との離隔距離は,

6.3

によるこ

とが望ましい。

支持柱間を架空導線で接続することは,保護範囲を広げるとともに,雷電流を数本の引下げ導線経路で

分流する。したがって,LPS に沿った電圧降下及び被保護範囲における電磁障害を低減する。

建築物等内の設備と LPS 間の離隔距離が長くなるため,建築物等内の電磁界の強度は低下する。分離し

た LPS は,鉄筋コンクリート建築物等にも適用でき,その場合,電磁遮蔽が更に向上する。ただし,高層

建築物等においては,分離した LPS の構造は,実用的ではない。

屋根上の広範囲に突出した多数の設置物を保護する必要がある場合,分離した支持材に張り渡した水平

導体からなる分離した受雷部システムが適切である。支持材の絶縁は,

6.3

に基づく離隔距離から算定した

電圧に十分耐えられることが望ましい。

注記

  環境的な状態(汚染)は,支持材の沿面の絶縁強度を下げることがある。分離した受雷部シス

テムと建築物等との間に必要な離隔距離を決定する場合,このことを考慮することが望ましい。

E.5.3

引下げ導線システム

E.5.3.1

一般事項

引下げ導線の本数及び位置の選定時,雷電流が数本の引下げ導線に分流すると,側方への放電又は建築

物等の内部の電磁妨害のリスクが減少することを考慮することが望ましい。さらに,できるだけ引下げ導

線を,建築物等の周囲に沿って左右対称形で均一に配置することが望ましい。


100

Z 9290-3

:2014

分流は,引下げ導線の条数の増加によるだけでなく,水平環状導体によっても向上する。

LPS と等電位ボンディングをしない場合,引下げ導線は,内部回路及び金属部分からできるだけ間隔を

空けることが望ましい。

次の事項を,考慮することが望ましい。

a

)  引下げ導線は,できるだけ短くすることが望ましい(できるだけインダクタンスを小さくするため)。

b

)  引下げ導線間の平均間隔は,

表 4

に示す推奨距離以下とする。

c

)  引下げ導線及び水平環状導体の配置が,離隔距離の値に影響を及ぼす(

6.3

参照)

d

)  片持式建築物等では,人に対する側方への放電のリスクによる離隔距離を考慮することが望ましい

E.4.2.3.3

参照)

施工上又は建築構造上の制約によって引下げ導線を建物の側面又はその付近に配置することが不可能な

場合,

この側面に配置すべき引下げ導線を,

他の側面に追加の引下げ導線として配置することが望ましい。

これらの引下げ導線間の距離は,

表 4

の距離の 1/3 未満とならないことが望ましい。

引下げ導線の間隔については,平均間隔が

表 4

に適合する限り,±20 %の変動を許容する。

中庭の周囲が 30 m 以上の場合は,引下げ導線を設置する必要がある。引下げ導線の間隔の推奨値を,

表 4

に示す。

E.5.3.2

分離した LPS の引下げ導線の総数

空欄

E.5.3.3

分離しない LPS の引下げ導線の総数

5.3.3

によって,引下げ導線は,できるだけ建築物等の各突角部ごとに設置することが望ましい。

しかし,突角部と直近の引下げ導線間の距離が次による場合,突角部は引下げ導線を必要としない。

a

)  隣接する左右の引下げ導線との距離を,

表 4

による距離の半分以下とする。

b

)  隣接する片方の引下げ導線との距離を,

表 4

による距離の 1/4 以下とする。

内部の角部は,考慮しなくてもよい。

E.5.3.4

構造

E.5.3.4.1

一般事項

外部引下げ導線は,受雷部システムと接地極システムとの間に設置することが望ましい。構造体利用構

成部材が利用できる場合,これらの部材を引下げ導線として使用できる。

表 4

に従った引下げ導線間隔を基に計算した,引下げ導線と内部設備との間の離隔距離が,大きすぎる

場合,必要とする離隔距離に適合するよう引下げ導線の本数を増やすことが望ましい。

受雷部システム,引下げ導線システム及び接地極システムを,雷電流ができるだけ最短経路を通るよう

構成することが望ましい。

引下げ導線は,受雷部システムに接続し,できる限り垂直経路で接地極システムに接続することが望ま

しい。

大きい屋根の張出し部などのため,直線的な接続が不可能な場合,受雷部システムと引下げ導線との接

続は,専用の接続部を設け,かつ,雨どいなどのような部材を経由した接続はしないことが望ましい。

外観を考慮する必要がある場合,薄い保護用の塗装,又は外部引下げ導線を覆う PVC(ポリ塩化ビニル)

などを使用してもよい。

異なる高さの絶縁性屋根をもつ建築物等における外部 LPS の設置例を

図 E.35

に示し,陸屋根に屋上設

備をもつ高さ 60 m までの建築物等の外部 LPS 設計例を,

図 E.24

に示す。


101

Z 9290-3

:2014

6

1

7

2

4

5

3

1  水平導体 
2  引下げ導線 
3  T 字形継手−耐食性 
4  試験用接続部 
5  B 形環状接地極 
6  棟上の T 字形継手 
7  メッシュ幅

注記  引下げ導線間の距離は,5.25.3 及び表 に適合することが望ましい。

図 E.35

異なる高さの絶縁性屋根をもつ建築物等における外部 LPS の設置

広範囲にわたる連続した導電性部分をもたない建築物等では,雷電流は LPS の通常の引下げ導線システ

ムだけを流れる。この引下げ導線の配置によって,建築物等内部の電磁界が決まる(

図 E.36

参照)


102

Z 9290-3

:2014

1  LPS の構造体利用構成部材 
2  LPS 導体 
3  試験用接続部 
4  継手

注記  雷保護レベル(LPL)に適合する引下げ導線間の距離及びメッシュ幅は,表 及び表 に従って選定することが

望ましい。

図 E.36

LPS

導体の配置例

 


103

Z 9290-3

:2014

引下げ導線の条数を増やす場合,係数 k

c

に従って離隔距離を縮小することができる(

6.3

参照)

5.3.3

によって,少なくとも 2 条の引下げ導線を建築物等に使用することが望ましい(

図 E.37

参照)

1  電気機器 
2  電線 
3 LPS 導体 
4 SPD 付き主分電盤 
5  試験用接続部 
6  接地極システム 
7  電力ケーブル 
8  基礎接地極 
s  6.3 による離隔距離 
l  離隔距離 の評価のための長さ

注記  この例は,建物の屋根部における電源又はその他の導電性設備に発生する問題を示す。

図 E.37

2

本の引下げ導線及び基礎接地極だけを使用した LPS の構造

高層集合住宅,並びに特に工場及び公共建築物などの大規模な建築物等で,鉄骨造若しくは鉄骨鉄筋コ

ンクリート造,又は鉄筋コンクリート造として設計しているものは,導電性構造部材を構造体利用引下げ

導線として使用できる。

このような建築物等における LPS の総合インピーダンスは低く,内部設備に対して非常に効果的な雷保

護となる。導電性の壁面を引下げ導線として使用することは,特に有効となる。この導電性壁面(鉄筋コ

ンクリート壁,金属板張りのファサード及びプレキャストコンクリート構成要素のファサード)は,

5.3.5

によって接続し,連結している必要がある。


104

Z 9290-3

:2014

相互接続した鋼材などの LPS 構造体利用構成部材の適切な構造の詳細を,

図 E.4

に示す。

構造用鋼材を含む構造体利用構成部材の使用によって,建築物等の内部において,雷電流によって発生

する受雷部システムと接地極システムとの間の電圧降下及び電磁障害が減少する。

受雷部システムを,複合建築物等の内部の柱の導電性部分と大地レベルの雷等電位ボンディングとに接

続している場合,雷電流の一部は,これらの内部引下げ導線に流れる。この分流雷電流の電磁界は,近傍

の機器に影響を及ぼすので,内部 LPS 及び電気・電子機器の設計に当たって考慮しなければならない。分

流の波形が雷電流の波形に従うと仮定すれば,これらの分流の大きさは,建築物等の大きさ及び柱の本数

による。

受雷部システムを内部の柱から絶縁した場合,絶縁破壊しなければ,複合建築物等の内部の柱には電流

は流れない。想定しない箇所で絶縁破壊をした場合,大電流が特定の柱又は柱群に流れる可能性がある。

絶縁破壊によって波頭部の時間が減少するので,電流の立ち上がりしゅん(峻)度は,高まる可能性があ

る。そのため,近傍の機器は,柱を建築物等の LPS にボンディングをする場合より,大きな影響を受ける。

工業用の目的で使用する大規模な鉄筋コンクリート造建築物等における内部引下げ導線の構造の例を,

図 E.10

に示す。内部 LPS を計画する場合,内部の柱付近の電磁的環境を考慮しなければならない。

E.5.3.4.2

分離しない引下げ導線

外壁内側に広範囲な導電性部材をもつ建築物等では,受雷部導体及び接地極システムを多数の箇所で建

築物等の導電性部材に接続することが望ましい。これによって,

6.3

の離隔距離を短縮することができる。

接続の結果,建築物等の導電性部材は,引下げ導線となり,等電位ボンディング用バーとしても使用で

きる。

引下げ導線の間隔が 4 倍以上になるような,大規模で,平たん(坦)な建築物等(

  工場,展示場な

ど)で,雷電流が平らな屋根を長距離にわたって流れるとき,最小の離隔距離にするため,可能な場所で

は,内部に追加の引下げ導線を約 40 m ごとに設けることが望ましい。

導電性部材をもつ全ての内部の柱及び仕切壁は,適切な箇所で受雷部システム及び接地極システムに接

続することが望ましい。

鉄筋コンクリートの内部柱をもつ大規模建築物等の LPS を,

図 E.10

に示す。建築物等の各種導電性部

材間の危険な火花放電を避けるために,柱の鉄筋を受雷部システム及び接地極システムに接続する。その

結果,雷電流の一部がこれら内部の引下げ導線に流れる。電流は,多数の引下げ導線間に分流し,雷電流

とほぼ同じ波形をもつ。しかし,波頭しゅん(峻)度は低下する。このような接続を行わず,フラッシオ

ーバが生じた場合,これら内部の引下げ導線の一本又は数本だけに電流が流れることとなる。

フラッシオーバしたときの電流波形は,雷電流の立ち上がりしゅん(峻)度よりかなり高いため,隣接

した回路ループに誘導する電圧は,かなり増加する。

このような建築物等では,設計に着手する前に,建築物等の設計と LPS の設計とを調整して,建築物等

の導電性部材を雷保護に利用できるようにすることが,特に重要である。十分に協調した設計によって,

最小コストで非常に有効な LPS が構成できる。

片持式構造より下の空間と人との雷保護については,

E.4.2.3.3

及び

図 E.2

によって設計することが望ま

しい。

引下げ導線をしっくい(漆喰)壁又は天井内部へ直接設置することは,雷電流によって生じる温度上昇

による熱膨張と機械的応力との作用によって,しっくいが損傷するおそれがあるため,推奨しない。さら

に,化学反応の結果,しっくいが変色することもある。PVC 被覆導線を用いることで,変色を防止する。

E.5.3.5

構造体利用構成部材


105

Z 9290-3

:2014

引下げ導線システムでの電圧降下,及び建築物等の内部の電磁障害を減少するため,電流が並列に流れ

る導体の総数が最大限となるように,構造体利用引下げ導線の使用を推奨する。

ただし,この引下げ導線が受雷部システムと接地極システム間の経路全体にわたって導電性をもつこと

を確認することが望ましい。

コンクリート壁内の鉄筋を,

図 E.26

に示すような LPS の構造体利用構成部材として使用することが望

ましい。

新設建築物等の鉄筋は,

E.4.3

に適合することが望ましい。構造体利用引下げ導線の導電性が保証できな

い場合,別途引下げ導線を設置することが望ましい。

5.3.5

に基づく構造体利用引下げ導線の条件を満たす金属製の雨水管を引下げ導線として使用すること

もできる。

水平導体及び引下げ導線の適切な取付け寸法を含む設置の例を

図 E.22

a

)∼

c

)  に示し,引下げ導線の

金属製雨水管,導電性とい及び接地導体への接続の例を

図 E.22

c

)  及び

d

)  に示す。

壁又はコンクリート柱の鉄筋及び鉄骨を構造体利用引下げ導線として使用することができる。

建築物等上の金属製ファサード又はファサード材を

5.3.5

に適合する場合,

構造体利用引下げ導線として

使用することができる。

金属製ファサード構成要素及びコンクリート壁内の鉄筋を内部 LPS の等電位化のためのボンディング用

バーへ接続し,等電位基準平面として用いている構造体利用引下げ導線の構造を,

図 E.8

に示す。

壁上部を覆う受雷部システム,接地極システム及びコンクリート壁の鉄筋には,接続部を設けることが

望ましい。

この金属製ファサードにおける電流分布は,鉄筋コンクリート中よりも均一である。一般に,金属製フ

ァサードは,幅 0.6 m∼1.0 m で,建築物等の高さに対応する長さの台形の断面をもつ個々のパネルで構成

している。

高層建築物等の場合,

輸送上の問題によってパネルの長さは建築物等の高さと対応していない。

この場合,ファサード全体は,互いに上下に取り付けた多数のブロックからなる。

金属製ファサードは,約 80  ℃(照射日光による金属製ファサードの最高温度)から−20  ℃(最低温度)

によって生じる最大伸縮の差を算定することが望ましい。

100  ℃の温度差は,アルミニウムの場合で 0.24 %の伸縮に相当し,鋼の場合では 0.11 %の伸縮に相当す

る。

パネルの伸縮によって,隣のパネル又は設置物に対して移動が生じることを考慮する。

図 E.34

に示すような接続をした場合,金属製ファサードにおける均一な電流分布を形成し,かつ,建築

物等の内部の電磁界の影響が低減する。

金属製ファサードは,その全範囲にわたって電気的に相互接続した場合,電磁遮蔽効果は,最大となる。

隣接する金属製ファサードを十分に狭い間隔でボンディングすると,建築物等に高い電磁遮蔽効果を得

ることができる。

均一な電流分布は,接続部の数と直接関連する。

遮蔽の厳しい減衰効果を要求し,かつ,このファサードに連窓がある場合,連窓を導体によって最短で

橋絡することが望ましい。これを金属製の窓枠によって行ってもよい。金属製ファサードを最短で窓枠に

接続することが望ましい。一般に,各端部は,窓構造の垂直部材の隙間を超えない間隔で窓枠の構造金属

材[鉄骨ばり(梁)など]に接続する。曲げ及びう(迂)回は,常に避けることが望ましい(

図 E.9

参照)

相互接続していない比較的小さな構成要素からなる金属製ファサードは,構造体利用引下げ導線システ

ムには使用できず,かつ,電磁遮蔽にも使用できない。


106

Z 9290-3

:2014

建築物等の内部の電気及び電子システムの保護に関する詳細は,

JIS Z 9290-4

を参照する。

E.5.3.6

試験用接続部

試験用接続部によって,接地極システムの接地抵抗の測定が容易になる。

5.3.6

に従った試験用接続部は,引下げ導線システムを接地極システムへ接続するために設置することが

望ましい。これらの試験用接続部は,接地極システムへの適切な接続数を確認できる。したがって,試験

用接続部と受雷部システム又は隣接するボンディング用バーとの間の接続を確認できる。高層建築物等に

おいては,水平環状導体は,壁内に配置することができ,引下げ導線に接続する。これらは,目視できな

いので,電気的測定だけで確認することができる。

建築物等の壁の内側若しくは外側,又は建築物等外部の地中の試験用端子箱内に設置できる試験用接続

部[

図 E.38 b

)

参照]の設計例を,

図 E.38

a

)∼

d

)

に示す。抵抗測定を可能にするため,接続用導体の

一部は,他のものと接触しないように絶縁被覆をもつことが望ましい。


107

Z 9290-3

:2014

      c)                                          d)

      a)                                          b) 

7

7

9

8

6

9

1

5

2

3

4

6

7

9

例 1  壁面の試験用接続部

1  引下げ導線 
2  B 形接地極(適用する場合) 
3  A 形接地極(適用する場合) 
4  基礎接地極 
5  内部 LPS に対するボンディング 
6  壁面の試験用接続部 
7  土中の耐食性 T 字形継手 
8  土中の耐食性継手 
9  引下げ導線と鉄骨柱との継手

例 2  床中の試験用接続部

1  引下げ導線 
2  A 形接地極(適用する場合) 
3  内部 LPS のボンディング用バー 
4  B 形環状接地極 
5  B 形環状接地極 
6  床中の試験用端子箱 
7  土中の耐食性 T 字形継手 
8  土中の耐食性継手 
9  引下げ導線と鉄骨柱との継手

注記 1  d)  に示す試験用接続部は,建築物等の壁の内側若しくは外側,又は建築物等外部の地中の試験用端子

箱内に設置することが望ましい。

注記 2  抵抗測定を可能にするため,接続用導体の一部は,他のものと接触しないように絶縁被覆をもつこと

が望ましい。

図 E.38

構造体利用引下げ導線

鉄骨など

を使用する建築物等の LPS への接地極

の接続例及び試験用接続部の詳細

d)

a)

b)

c) 


108

Z 9290-3

:2014

例えば,接続用導体を介して鉄骨柱などへ接地接続した場合,構造体利用引下げ導線から接地極までの

接続は,分離できる導体部分及び試験用接続部を設けることができる。LPS の接地極システムの監視を容

易にするために,別途,追跡用接地極を設置することが望ましい。

E.5.4

接地極システム

E.5.4.1

一般事項

LPS の設計者及び施工者は,適切な接地極を選定し,建築物等の出入口及び土中の外部導電性部材(ケ

ーブル,金属製ダクトなど)から安全な距離に接地極を配置することが望ましい。LPS 設計者及び LPS 施

工者は,人の出入りする区域に接地回路網を設ける場合,その近傍における危険な歩幅電圧に対し,保護

することが望ましい(箇条

8

参照)

従来の考え方では,雷等電位ボンディングを適用する建築物等の場合,総合的な接地抵抗の推奨値は,

10 Ω 以下であった。抵抗値は,全ての場合,特に爆発物による危険性のある建物では,できるだけ低いこ

とが望ましい。しかし,最も重要な対策は,雷等電位ボンディングである。

接地極の埋設深さ及びタイプは,腐食,土壌の乾燥及び凍結による影響を最小限にし,接地抵抗を安定

化することが望ましい。

凍結条件下では,垂直接地極の最初の 0.5 m は,有効とはみなさない。

土壌の抵抗率が深さとともに低下する場合,また,通常の接地極を打ち込むよりも深い場所で低い抵抗

率の層がある場合,深く打ち込む接地極が有効となる。

コンクリートの鉄筋を接地極として使用する場合,コンクリートの機械的割れを防止するため,相互接

続部に配慮することが望ましい。

鉄筋を保安用接地に使用する場合も,鉄筋の太さ及び接続する部分を考慮した十分な対策を選定するこ

とが望ましい。この場合,鉄筋のサイズを大きくしてもよい。雷保護用接地については,常に,短くまっ

すぐな接続とすることが望ましい。

注記

  プレストレストコンクリートの場合,許容できない機械的応力を発生する雷電流の影響を考慮

することが望ましい。

E.5.4.2

接地極の種類

E.5.4.2.1

A

形接地極

A 形接地極システムは,低層建築物等(例えば,戸建て住宅),既設建築物等,突針若しくは水平導体を

もつ LPS,又は分離した LPS に適している。

このタイプの接地極は,各引下げ導線に接続した水平,垂直又は板状の接地極からなる。

引下げ導線を相互接続する環状の導体がある場合,その導体の土壌に接触している部分が全長の 80 %未

満の場合,この環状の導体は,A 形接地極である。

A 形接地極では,接地極の個数は,各引下げ導線に 1 個以上とすることが望ましい。

E.5.4.2.2

B

形接地極

B 形接地極システムは,メッシュ形受雷部システム又は多数条の引下げ導線をもつ LPS に適している。

このタイプの接地極は,建築物等の外側にある環状接地極(その全長の 80 %以上にわたって土壌と接触)

メッシュ接地極又は基礎接地極のいずれかとする。

硬い岩盤では,B 形接地極だけを推奨する。

E.5.4.3

構造

E.5.4.3.1

一般事項

接地極システムは,次の役割を果たす必要がある。


109

Z 9290-3

:2014

a

)  雷電流の地中への放流

b

)  引下げ導線間の雷等電位ボンディング

c

)  建物の導電性壁近辺での電位差を制御

基礎接地極,環状接地極及びメッシュ接地極は,これらの要求事項を全て満たしている。A 形接地極の

放射状接地極又は深く打ち込んだ垂直接地極は,雷等電位ボンディング及び電位差の制御についての要求

事項を満たしていない。

相互接続した鉄筋コンクリートの基礎を基礎接地極として使用することが望ましい。この基礎は,非常

に低い接地抵抗値を得て,優れた等電位の基準となる。これができない場合,B 形環状接地極を建築物等

の周囲に設置することが望ましい。

E.5.4.3.2

基礎接地極

5.4.4

に適合する基礎接地極は,建築物等の地中の基礎内に設置した導体からなる。追加の接地極の長さ

は,

図 3

を用いて決定することが望ましい。

基礎接地極は,コンクリート中に設置する。これらの基礎接地極は,コンクリートが適切な構造で,か

つ,接地極を 50 mm 以上で覆っている場合,腐食から合理的に保護できる利点がある。コンクリート中の

鉄筋は,

地中の銅導体と同等のガルバニック電位が生じることを考慮することが望ましい。

これによって,

鉄筋コンクリート建築物等のため,接地極システムの設計に対する優れた技術的解決策を提供する(

E.4.3

参照)

接地極に使用する金属は,

表 7

に示す材料によるものとし,地中での腐食に関する金属の状況を常に考

慮する必要がある(

5.6

参照)

。土壌についての情報を得ることができない場合,類似の化学的成分及び硬

さの土壌をもつ隣接した施設における接地極システムの経過を確認することが望ましい。接地極のための

溝を埋め戻す場合,フライアッシュ(飛散灰)

,石炭又は建物の瓦れき(礫)が接地極と直接接触しないよ

う留意することが望ましい。

ガルバニック電流による電気腐食から更なる問題が生じる。コンクリート中の鉄筋は,自然電位におい

て地中の銅とほぼ同等のガルバニック電位をもつ。したがって,コンクリート中の鉄筋を地中の鋼材に接

続すると,約 1 V のガルバニック電圧によって,腐食電流が地中及び湿ったコンクリートに流れて,地中

の鋼を溶解する。

地中の接地極は,コンクリート中の鉄筋に接続する場合,銅,銅被覆鋼又はステンレス鋼製の導体を使

用することが望ましい。

建築物等の周囲においては,

表 7

に従った金属導体又は亜鉛めっき鋼材は,基礎中に設置し,かつ,引

下げ導線の試験用接続部の端子への接続用リード線を上方に引き出すことが望ましい。

引下げ導線に接続した導体の上方の経路は,組積造(Brick)の,しっくい壁又は天井内部又は壁内部に

実施できる。壁内に設置した鋼製接続用リード線は,基礎とれんが壁との間に,通常使用しているアスフ

ァルト用防水紙を貫通してもよい。この点で防湿層にせん(穿)孔しても一般的に問題は生じない。

地階の湿気を減じるために建築物等の基礎の下に挿入することの多い防水層は,電気的絶縁性がある。

接地極は,基礎の(防水層の)下のコンクリート中に設置することが望ましい。接地極システムの設計に

ついては,建設業者の同意を得ることが望ましい。

地下水位が高い場合,建築物等の基礎を地下水から隔離することが望ましい。シーリング防水層を基礎

の外面に施すことが望ましいが,これは電気的絶縁となる。この防水基礎を確立する通常の方法は,基礎

ピットの底部に,深さ約 10 cm∼15 cm の鉄筋のないコンクリート層を打設し,その上に隔離層を布設した

上,コンクリート基礎を設置する。


110

Z 9290-3

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10 m 以下のメッシュ幅の基礎接地極を,基礎ピットの底部の鉄筋のないコンクリート層中に設置しなけ

ればならない。

表 7

に従った導体は,基礎中の鉄筋からなるメッシュ形接地極,環状接地極,及び防湿層外部の引下げ

導線との間を接続しなければならない。許容する場合は,圧力式防水ブッシングを絶縁層(止水層)の貫

通に使用できる。

この絶縁層(止水層)を導体が貫通することを,建設業者が許可しない場合,建築物等の外部で接地部

に接続することが望ましい。

図 E.39

に,防水基礎をもつ建築物等に基礎接地極を設置する方法の 3 通りの例を示す。

分離した基礎をもつ建築物等における接地極の適切な接続について,幾つかの解決策も図示している。

絶縁層が損傷しないよう絶縁層の外部に設けた接続部を,

図 E.39

a

)

及び

b

)

に示す。防湿膜を損な

わないように貫通する絶縁層を通るブッシングを,

図 E.39 c

)

に示す。


111

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a)

  アスファルト防水層の下の無筋コンクリート層中に

基礎接地極をもつ分離した基礎 

b)

  一部地中を通る接地導体をもつ分離した基礎 

c)

  基礎接地極から鉄筋までの防水層を貫通する接続 

1

引下げ導線

2

試験用接続部

3

内部 LPS に対するボンディング導体

4

無筋コンクリート層

5 LPS の接続用導体 
6

基礎接地極

7

防湿膜,防水シート

8

鉄筋と試験用接続部間の接続用導体

9

コンクリート中の鉄筋

10  防湿膜を貫通する防水用ブッシング

注記  建設業者の許可が必要である。

図 E.39

基礎の異なる建築物等の環状基礎接地極の構造

1

2

7

6

3


112

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E.5.4.3.3

A

形接地極−放射状接地極及び垂直接地極

放射状接地極は,試験用接続部を使用して引下げ導線の下端部に接続することが望ましい。適切であれ

ば,放射状接地極は,垂直接地極に接続することができる。

各引下げ導線は,接地極を設けることが望ましい。

表 7

に基づく接地極の導体を,専用の打込み棒を用いて地中に打ち込む場合[

図 E.40 a

)  参照]の,A

形接地極の接地極の例を,

図 E.40

に示す。この接地工法は,地中でのクランプ及び継手の使用を避けるこ

とができ,幾つかの実用的な利点をもつ。垂直又は傾斜形の接地極は,一般にハンマで打ち込む。

1

2

3

4

5

1  短尺の最上部打込み棒 
2  接地導体 
3  土壌 
4  短尺の打込み棒 
5  鋼製の打込み用矢じり

注記 1  連続した導体を短尺の打込み棒によって地中に打ち込む。接地導体の電気的連続性が非常に有

利である。この技法を用いると,継手を接地導体に導入する必要がない。短尺の打込み棒部分

は,取扱いも容易である。

注記 2  短尺の最上部打込み棒は,取り外しできる。 
注記 3  接地導体の最上部は,絶縁被覆をもつこともある。

a)

  垂直導体の 形接地極の例 

図 E.40

A

形接地極の垂直電極の例


113

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4

5

3

1

2

1

1  連結式接地棒 
2  接続カップリング 
3  土壌 
4  棒に導線を接続するクランプ 
5  接地導体

b)

  棒状の 形接地極の例 

図 E.40

A

形接地極の垂直電極の例

続き

他のタイプの垂直接地極もある。接地電極は,LPS の使用期間中にわたり接地効果を維持することが不

可欠である。

施工中に接地抵抗を測定することは,利点がある。接地抵抗の低下が止まったらすぐに打ち込みを中断

できる。さらに,追加の電極を適切な位置に設置することができる。

接地極の施工は,地中にある既設のケーブル及び金属管から十分な離隔距離をとり,かつ,できる限り

計画した位置に行うことが望ましい。離隔距離は,インパルス電流の大きさ及び土壌の抵抗率並びに電極

に流れる電流によって異なる。

A 形接地極システムでは,垂直接地極は,水平接地極よりもほとんどの土壌においてコスト効果が高く,

接地抵抗の安定性も高い。

場合によっては,接地極を建築物等の下部,例えば,地階又は地下室の下に設置することが必要になる。

注記

  箇条

8

に基づく等電位化手段を講じることによって,歩幅電圧を低減することが望ましい。

地表付近の抵抗率が高くなる(例えば,乾燥)危険がある場合,さらに,長い深打形接地極が必要にな

る。

放射状接地極は 0.5 m 以上の深さに埋設することが望ましい。冬季に凍土が生じる地域において,接地

極を深く埋設することは,凍土(非常に高い抵抗率)に配置しないですむ。さらに,接地極を深くするこ

とで,地表における電位差が減少し,その結果,歩幅電圧が低下して,地表の生体に対する危険が少なく

なる。四季を通して安定した接地抵抗を得るためには,垂直接地極を採用することが望ましい。

A 形接地極を設ける場合,全ての接地極は,ボンディング導体及びボンディング用バーによって必要な

等電位化を達成できる。

E.5.4.3.4

B

形接地極−環状接地極

無筋基礎のれんが又は木材などの絶縁材を使用している建築物等には,

5.4.2.2

によって B 形接地極シス

テムを設置する,又はボンディング導体と結合した A 形接地極を使用することが望ましい。等価接地イン


114

Z 9290-3

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ピーダンスを低減するため,B 形接地極は,必要に応じて

5.4.2.2

に従った垂直接地極又は放射状接地極を

追加することで改良できる。接地極の最小長さに関する要求事項を,

図 3

に示す。

通常の土壌条件において,

5.4.3

に示す B 形接地極の範囲及び深さは,建築物等近辺の人を保護するのに

最適である。冬季の気温が低い地域では,接地極の適切な深さを考慮することが望ましい。

B 形接地極は,接地抵抗の変動による雷電流の不均等な分流によって,各引下げ導線に異なった電位が

発生するので,大地レベルでの引下げ導線間の等電位化の機能も果たす。発生した電位差によって,環状

接地極を等電位化する電流が流れる。その結果,電位差は低減し,構造体の中でそれに接続した等電位ボ

ンディングシステムは,ほぼ等電位になる。

施主の異なる建築物等を互いに近接して建設する場合,建築物等を完全に囲む環状接地極を設置するこ

とは不可能であることが多い。この場合,導体の環状部が,一部は B 形接地極,一部は基礎接地極,更に

一部は等電位用のボンディング導体となるため,接地極システムの効果が若干低下する。

被保護建築物等に隣接する範囲に多数の人々が頻繁に集まる場合,この範囲には電位差の制御を行うこ

とが望ましい。さらに,多くの環状接地極を施設する場合,建築物等に最も近い環状接地極(第 1)から

約 3 m 離して設置することが望ましい。建築物等から離れた環状接地極は,地表から順に深く,すなわち,

建築物等からの距離が 4 m のものは 1 m の深さに,7 m のものは 1.5 m の深さに,10 m のものは 2 m の深

さにそれぞれ施設することが望ましい。後続の環状接地極は,放射状導体によって第 1 の環状接地極に接

続することが望ましい。

建築物等に隣接する範囲が,厚さ 50 mm の絶縁性の高いアスファルト舗装の場合,この範囲を利用する

人に対する保護は十分である。

E.5.4.3.5

岩盤地帯の接地極

施工中,基礎接地極をコンクリート基礎内に設置することが望ましい。基礎接地極は,岩盤地帯で接地

効果が低下する場合でも,等電位ボンディング導体として作用する。

追加の接地極は,引下げ導線及び基礎接地極に,試験用接続部で,接続することが望ましい。

基礎接地極を設けていない場合,B 形接地極(環状接地極)をその代わりに使用することが望ましい。

接地極を地中に設置できず,地表面に設置しなければならない場合,機械的損傷から保護することが望ま

しい。

地表又は地表付近に位置する放射状接地極は,機械的保護のため,石材で覆うか,又はコンクリートに

埋設することが望ましい。

建築物等が道路に近接している場合,環状接地極を道路より下に布設することが望ましい。しかし,露

出した道路部分の全長にわたって布設できない場合,少なくとも引下げ導線の近傍に,同様の等電位制御

  A 形接地極)を設けることが望ましい。

建築物等の入口付近の特別の電位差の制御は,分流環状接地極を追加設置,又は土壌の表面層の抵抗率

を人為的に高めるかのどちらかを行うことが望ましい。

E.5.4.3.6

広域における接地極システム

工業用プラントは,多数の関連建築物等からなる。これらの建築物等の間には,数多くの電力ケーブル

及び信号ケーブルを布設している。

この建築物等のための接地極システムは,電気系統の保護にとって極めて重要である。低インピーダン

スの接地極システムによって,建築物等間の電位差が少なくなり,その結果,電気的接合部に侵入する妨

害電圧が減少する。

建築物等に基礎接地極,並びに

5.4

に従った B 形接地極及び A 形接地極を設けることによって,低い接


115

Z 9290-3

:2014

地インピーダンスを達成できる。

接地極,基礎接地極及び引下げ導線間の相互接続は,試験用接続部で行うことが望ましい。試験用接続

部の一部は,内部 LPS の等電位用バーに接続することが望ましい。

内部引下げ導線,又は引下げ導線として使用する内部の構造部分は,歩幅電圧又は接触電圧を防止する

ために,接地極及び床の鉄筋に接続することが望ましい。内部引下げ導線がコンクリート中の伸縮継手付

近にある場合,これらの継手を内部引下げ導線にできるだけ近接して橋絡することが望ましい。

露出した引下げ導線の下部は,厚さ 3 mm 以上の PVC 管又は同等の絶縁材によって絶縁することが望ま

しい。

地中のケーブル経路に対する落雷の確率を下げるために,一本の接地導体及びケーブル経路の面積が広

い場合,多数の接地導体をケーブル経路より上に設置することが望ましい。

多数の建築物等の接地を相互接続することによって,

図 E.40

に示すメッシュ形接地系統を得ることがで

きる。

被保護建築物等の関連する構造物間のケーブルダクトを含むメッシュ接地回路網の設計を,

図 E.41

に示

す。この形状は,建物間を低インピーダンスとし,LEMP 保護に非常に効果的である。


116

Z 9290-3

:2014

3

2

1

4

1

1  鉄筋によるメッシュ状回路網のある建築物等 
2  工場内部の塔屋 
3  単独機器 
4  ケーブルトレンチ

注記  このシステムは,建物間を低インピーダンスとし,EMC に対して非常に効果的である。建物,その他の対象物

に隣接するメッシュの幅は,20 m×20 m でよい。メッシュ幅を,30 m 以上の 40 m×40 m まで拡大することも

できる。

図 E.41

工場のメッシュ接地極システムの配置図

E.5.5

構成部材

追加情報なし

注記

  取付け間隔は,

表 E.1

を参照する。

E.5.6

材料及び寸法

E.5.6.1

機械的設計

LPS 設計者は,設計事項(電気的及び機械的)について,建築物等に関する責任者と協議しなければな

らない。

腐食のリスクを避けるための材料の正しい選択とともに,景観に対する配慮も重要である。

LPS の各部に用いる雷保護構成部材の最小寸法値を,

表 3

及び

表 6

表 9

に示す。

LPS 構成部材に用いる材料は,

表 5

を参照する。

LPS 設計者及び LPS 施工者は,使用する材料の適合性を検証することが望ましい。検証のために,例え

ば,

材料が品質試験に合格したことを実証する試験証明書又は報告書を,

製造業者に要求するものとする。

LPS 設計者及び LPS 施工者は,導体に流れる雷電流による電磁力に耐えるとともに,関連する温度上昇


117

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:2014

による導体の伸縮も許容する,導体支持材及び取付け具を指定することが望ましい。

金属パネル間の接続部は,パネルの材質と適合し,接触面積 50 mm

2

以上とし,雷電流の影響と環境と

による腐食に耐えることが望ましい。

構成部材を取り付ける表面が可燃性又は低融点であり,過剰な温度上昇を懸念する場合,断面積の大き

い導体を使用するか,又は支持柱の使用,耐火層の挿入など,その他の予防措置を考慮することが望まし

い。

LPS 設計者は,腐食の問題のある範囲を全て確認し,必要な対策を指示することが望ましい。

LPS に対する腐食作用の影響は,材料の寸法を大きくするか,耐食性構成部材を使用するか,その他の

防食対策を施すことで減少する。

E.5.6.2

材料の選択

E.5.6.2.1

材料

LPS 材料及び使用条件は,

表 5

を参照する。

受雷部導体,引下げ導線及び接地導体を含む LPS 導体の寸法を,銅,アルミニウム,鋼などの材質別に,

表 6

表 6A

及び

表 7

に示す。銅及びアルミニウムの推奨値が約 50 mm

2

であることは,機械的な要求に基

づいている(例えば,ワイヤーを支持金物間で直線に保ち,屋根でたわまないようにする。

。機械的な制

約が

表 6

の補足の値を考慮していなければ,最小の値(銅 25 mm

2

)を使うべきである。

構造体利用受雷部構成部材として使用する金属板,金属管,きょう(筐)体などの最小厚さを

表 3

に,

ボンディング導体の最小寸法を

表 8

及び

表 9

に示す。

E.5.6.2.2

腐食に対する保護

LPS は,銅,アルミニウム,ステンレス鋼,亜鉛めっき鋼などの耐食性材料が望ましい。突針及び水平

導体の材料は,接続構成部材及び取付部材の材料と電気・化学的に適合するとともに,腐食又は湿気に対

して優れた耐食性をもつことが望ましい。

異種金属間の接続は避けるか,又は保護することが望ましい。

銅部材は,腐食から保護していない限り,亜鉛めっき鋼又はアルミニウム製の部材より上には設置しな

いことが望ましい。

これは,銅部材から微粒子が

離し,銅部材が亜鉛めっき鋼部材と直接接触していない場合でも,亜鉛

めっき鋼部材に著しい腐食による損傷が生じるからである。

アルミニウム製導体は,コンクリート,石灰石,しっくい(漆喰)などの石灰質を含む建物表面には直

接取り付けない,かつ,地中では使用しないことが望ましい。

E.5.6.2.2.1

地中又は気中の金属

金属の腐食は,金属の種類又は置かれた環境によって異なる進度で生じる。湿気,塩分(電解質を形成

する。

,通気性,温度,電解質の移動範囲などの環境的要素が結合し,その条件を非常に複雑なものにし

ている。

さらに,世界各地では,各種の自然的又は産業汚染物質による地域の条件によって,著しい変化を見る

ことができる。特定の腐食問題を解決するために,専門家と協議することが望ましい。

異種金属間の接触部は,周囲又は周囲の一部の電解質の影響で,陽極の金属では大きく腐食するが,陰

極の金属では腐食が少ない。

陰極の金属の腐食を,完全に防止する必要はない。この反応に寄与する電解質は,地下水及び湿気を含

んだ土壌又は地上建築物等の隙間にた(溜)まった水である場合もある。

広範囲の接地系統では,様々な箇所において接地環境が異なる場合がある。この結果,腐食問題が増し,


118

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:2014

特別の対策を要することになる。

次によって,LPS の腐食を最小限とすることができる。

a

)  腐食性の高い環境では,不適切な金属の使用を避ける。

b

)  電気化学的,又は自然電位の著しく異なる異種金属の接触を避ける。

c

)  経年変化に耐えられるようにするため,適切な断面積の導体,ボンディング用バー,端子及びクラン

プを使用する。

d

)  腐食に対する寿命を管理する方法を確立する。

e

)  溶接しない導体継手には,適切な充

材又は絶縁材を施し,湿気を排除する。

f

)  腐食性のガス及び液体に影響を受けやすい金属は,スリーブ又は被覆を施すか,離隔する。

g

)  接地極とボンディングするその他の金属品との電食作用を考慮する。

h

)  陽極の金属(

鋼,アルミニウム)の上にある,陰極の金属(

銅)からの自然的腐食物が,LPS

に接触し,かつ,侵食するような設計を避ける。

上記の条件に適合するために,予防措置を次に示す。

−  素線の直径を,鋼,アルミニウム,銅,銅合金又はニッケル/クロム/鋼合金の場合,1.7 mm 以上と

することが望ましい。

−  接近した又は接触している異種金属は,腐食を生じるおそれがあるが,この接続を電気的に必要とし

ない場合,絶縁スペーサを挿入することが望ましい。

−  他の手段で保護していない鋼製導体は,

表 6

表 6A

及び

表 7

に従って,溶融亜鉛めっきを施すことが

望ましい。

−  アルミニウム製導体は,完全密閉スリーブ又は耐久性の高い保護スリーブでない限り,地中又はコン

クリート中に直接埋設しないことが望ましい。

−  銅とアルミニウムとの接続は,避けることが望ましい。これができない場合は,接続部を溶接するか,

又は Al-Cu の接合処理を施した板を介して接続することが望ましい。

−  アルミニウム導体用の支持金具又はスリーブは,有害な気候による破損を避けるため,類似の金属製

とするか,又は適切な断面積のものとすることが望ましい。

−  銅は,酸性,酸化アンモニウム又は亜硫酸性環境を除き,接地極に適している。ただし,銅はボンデ

ィング対象である鋼製材料に,電食による損傷を生じさせることを考慮することが望ましい。したが

って,特に陰極防食法を使用する場合,専門家の腐食に関する助言を必要とすることがある。

−  腐食性の排気ガスにさらされる水平導体及び引下げ導線については,超合金鋼(16.5 %以上 Cr,2 %

以上 Mo,0.2 % Ti,0.12 %∼0.22 % Ni)の使用などによって,腐食に特に留意することが望ましい。

−  ステンレス鋼又はその他のニッケル合金を同様の耐食要求事項に使用できる。ただし,粘土などの湿

度の多い条件下では,これらの鋼も軟鋼とほぼ同じ進度で腐食する。

−  気中の鋼,及び銅又は銅合金間の継手は,溶接していなければ,すずめっきするか,耐久性のある耐

湿性被覆を施すことが望ましい。

−  銅又は銅合金は,アンモニアガスで応力腐食割れを生じるため,これら特定の用途における締付具に

は使用しないことが望ましい。

−  海洋,沿岸地域においては,全ての導体継手を溶接するか,シールすることが望ましい。

ステンレス鋼又は銅製の接地系統は,コンクリート中の鉄筋に直接接続することができる。

地中の亜鉛めっき鋼製接地極は,雷電流の多くを流すことができる ISG によって,コンクリート内の鉄


119

Z 9290-3

:2014

筋に接続することが望ましい(接続導体の寸法については,

表 8

及び

表 9

参照)

。地中での直接接続は,腐

食のリスクを大幅に高める。使用する ISG は,

6.2

に適合するものとする。

亜鉛めっき鋼は,地中の接地極とコンクリート内の非鉄とを,直接,接続するときだけ,地中の接地極

として使用することが望ましい。

金属管が地中に埋設され,等電位ボンディングシステム及び接地極システムに接続する場合,管を絶縁

しなければ,管の材料及び接地極システムの導体の材料は同じであることが望ましい。塗料又はアスファ

ルトの保護被覆をもつ管は,

絶縁していないものとして扱う。

同一の材料を使用することが不可能な場合,

配管系統に絶縁部を設けて,等電位ボンディングシステムに接続しているプラント区間から絶縁すること

が望ましい。絶縁ブロックは,ISG によって橋絡することが望ましい。ISG による橋絡は,絶縁材が配管

の陰極防食のために設置している場合にも,実施することが望ましい。

鉛被覆をもつ導線は,コンクリート内に直接設置しないことが望ましい。鉛被覆をもつ導線は,耐食性

の締具を用いるか,又は焼ばめ式のスリーブによって腐食から保護することが望ましい。導線を PVC 又は

PE 被覆で保護してもよい。

コンクリート又は土壌から気中に出る部分での鋼製接地導線は,長さ 0.3 m の耐食性ラッピング材又は

焼ばめ式スリーブで,腐食から保護することが望ましい。銅又はステンレス鋼製の導線については,この

対策は不要である。

地中の導線間の継手に使用する材料は,接地導線と同じ腐食性をもつものとする。クランプ締めによる

接続は,継手による接続部が有効な腐食対策を施している場合を除き,一般に許容しない。圧着継手は,

腐食対策に有効である。

溶接継手は,腐食対策を施さなければならない。

実際の経験から次のことが分かっている。

−  アルミニウムは,絶対に接地極として使用してはならない。

−  鉛被覆をもつ鋼製導体は,接地導体に使用することには適していない。

−  鉛被覆をもつ銅製導体は,カルシウム含有率の高いコンクリート内及び地中では使用しないことが望

ましい。

E.5.6.2.2.2

コンクリート内の金属

鋼又は亜鉛めっき鋼をコンクリートに埋設すると,均一なアルカリ性環境によって,金属の固有電位が

安定化する。さらに,コンクリートは,200

Ω

m 以上の均一で比較的高い抵抗率のものである。

その結果,より陰極性の高い材料と外部で接続する場合でも,コンクリート内の鉄筋は,露出して接続

しているときより耐食性がかなり高い。

鉄筋を引下げ導線として使用しても,受雷部への接続部が,例えば,適切な厚さのエポキシ樹脂パテな

どで密閉していれば,大きな腐食の問題は生じない。

基礎接地極としての亜鉛めっき鋼材を,

コンクリート内に設置,

及び鉄筋に直接接続することができる。

銅及びステンレス鋼もコンクリート内に設置し,鉄筋に直接接続することができる。

コンクリート内の鋼の固有の電位によって,コンクリート外部の追加の接地極は,銅又はステンレス鋼

製とすることが望ましい。

繊維強化コンクリート(FRC)においては,接地極を 50 mm 以上の厚さのコンクリートで覆うことが確

保できない場合,建築工事中,作業機械によってこの鋼製接地極が露出し,土壌と接触する可能性がある

ため,使用することができない。このような場合,鋼は重大な腐食のリスクに直面する。FRC における接

地極の材料としては,銅又はステンレス鋼が適している。


120

Z 9290-3

:2014

E.6

内部雷保護システム

E.6.1

一般事項

内部雷保護システムの設計に関する要求事項は,箇条

6

を参照する。

外部雷保護システム及び建築物等の内部導電性部分と設備との関係が,内部雷保護システムの必要性を

大きく左右する。

雷等電位ボンディングについて,あらゆる関係当局及び関係者と協議することが不可欠である。

LPS 設計者及び LPS 施工者は,

E.6

に記載する対策が適切な雷保護を達成するために非常に重要である

ということに留意することが望ましく,施主に通知することが望ましい。

内部雷保護システムは,離隔距離以外は,全ての保護レベルについて同じである。

落雷時の高い電流値及び電流立ち上がりしゅん(峻)度のため,多くの場合,内部雷保護システムに必

要な対策は,交流電源系統に対する等電位化対策より優れている。

注記

 LEMP に対する保護を考慮する必要がある場合,

JIS Z 9290-4

を参照することが望ましい。

E.6.2

雷等電位ボンディング

EB

E.6.2.1

一般事項

分離した外部 LPS の場合,雷等電位ボンディングは,地表レベルだけで行う。

工業用建築物等の場合,電気的連続性のある建築物等及び屋根の導電性部材は,一般に LPS 構造体利用

構成部材として使用でき,かつ,雷等電位ボンディング用部材として使用できる。

建築物等の導電性部材又は建築物等の内部に設置した機器だけでなく,電源系統又は通信機器の導体も

雷等電位ボンディングに接続することが望ましい。建築物等の内部の接地極については,歩幅電圧を制限

するよう特に留意することが望ましい。適切な対策としては,コンクリートの鉄筋を局所的に接地極に接

続する,又は地下室若しくは地階に等電位化メッシュを設けるなどがある。

高さ 30 m を超える建物については,20 m の高さ及びそれより上に 20 m の高さごとに雷等電位ボンディ

ングを繰り返し実施することが望ましい。離隔距離も維持することが望ましい。

これは,少なくともこのような高さにおいて,外部引下げ導線,内部引下げ導線及び金属部分をボンデ

ィングする必要があることを意味する。課電している導体を SPD を介してボンディングすることが望まし

い。

E.6.2.1.1

ボンディング導体

ボンディング導体は,その内部を流れる雷電流の分流分に耐えることが望ましい。

建築物等の内部の金属製設備をボンディングする導体は,通常雷電流の大部分を流さない。それらの最

小寸法を,

表 9

に示す。

外部導電性部分を LPS にボンディングする導体は,一般に雷電流の大部分を流す。その最小寸法を,

8

に示す。

E.6.2.1.2

サージ防護デバイス

SPD

SPD は,その内部を通過すると想定する雷電流の分流分に耐えることが望ましい。SPD は,また,電源

線に接続する場合,電源からの続流を遮断する能力をもつことが望ましい。

SPD の選定は,

6.2

に従って行わなければならない。内部システムを LEMP から保護する必要がある場

合,SPD は,

JIS Z 9290-4

にも適合しなければならない。

E.6.2.2

内部導電性部分の雷等電位ボンディング

内部導電性部分,外部導電性部分,電源系統及び通信システム(例えば,コンピュータ,保安システム)

を短い導体によって接続できるように,ボンディングを施すことが望ましい。電気的機能のない内部又は


121

Z 9290-3

:2014

外部導電性部分は,直接ボンディングすることが望ましい。全ての電気的な接続(電源線,信号線)は,

SPD を用いてボンディングすることが望ましい。

水管,ガス管,暖房用及び空調用パイプ,エレベータシャフト,クレーン支持物などの金属製設備は,

互いに接続し,かつ,地表レベルで LPS にボンディングしなければならない。

建築物等に付随しない金属部分が LPS の引下げ導線と近接している場合,この金属部分に火花放電が発

生することがある。これを危険とみなす場合,

6.2

に基づく適切なボンディング対策を,火花放電を防止す

るために実施することが望ましい。

ボンディング用バーの配置例を,

図 E.42

に示す。


122

Z 9290-3

:2014

1

ユーザ向けの電源線

2

電力量計

3

引込接続箱

4

電源引込線

5

ガス管

6

水管

7

集中暖房用配管

8

電子機器

9

アンテナ線のシールド

10  ボンディング用バー 
11 SPD 
12 ISG 
M  メータ(計器)

図 E.42

雷等電位ボンディングの配置例

ボンディング用バーは,接地システム又は水平環状導体に,短い導体で接続するように配置することが

望ましい。

ボンディング用バーは,できれば地表付近の外壁の内側に低圧用主分電盤と近接して配置し,環状接地

極,基礎接地極及び相互接続した鉄筋などの構造体利用接地極に,適用できる場所で,確実に接続するこ

とが望ましい。

増築した建物においては,相互接続していることを条件として,複数のボンディング用バーを使用する

ことができる。非常に長い接続部は,大きなループを形成し,大きな誘導電圧又は電流を生じることがあ

る。これらの影響を最小化するため,

JIS Z 9290-4

に従ったそれらの接続のメッシュ状相互接続,構造及

び接地極システムを考慮することが望ましい。

4.3

に適合する鉄筋コンクリート造の建築物等においては,

鉄筋を雷等電位ボンディングのために使用す

ることができる。この場合,

E.4.3

に規定する溶接又はボルト締め端子継手からなる追加のメッシュ状回路


123

Z 9290-3

:2014

網を壁中に設置し,かつ,ボンディング用バーに溶接した導体経由で接続することが望ましい。

注記

  この場合,離隔距離を確保する必要はない。

ボンディング導体の最小断面積を,

表 8

及び

表 9

に示す。エレベータのガイドレール,クレーン,金属

製の床,管及び電線のような大きさのある全ての内部導電性部分は,

6.3

に基づく離隔距離を維持できない

場合,地表及びその他のレベルにおいて短いボンディング導体によって直近のボンディング用バーに接続

することが望ましい。ボンディング用バー及びその他のボンディング用部材は,想定する雷電流に耐える

部材を選定することが望ましい。

鉄筋組み壁の建築物等では,全雷電流の一部だけが,ボンディング用部材を通過すると考える。

多数の外部導電性部分の引込口をもつ建築物等におけるボンディングの配置例を,

図 E.43

図 E.45

示す。

1  外部導電性部材(例  金属製水管) 
2  電源線又は通信線 
3  コンクリート外壁及び基礎の鉄筋 
4  環状接地極 
5  追加の接地極へ 
6  特殊接続部 
7  鉄筋コンクリート壁 
8 SPD 
9  ボンディング用バー

注記  基礎内の鉄筋は,構造体利用接地極として使用する。

図 E.43

多数の引込口をもつ建築物等において

ボンディング用バーの相互接続に

環状接地極を用いている外部導電性部材用のボンディングの配置例


124

Z 9290-3

:2014

1

コンクリート外壁及び基礎の鉄筋

2

その他の接地極

3

ボンディング用継手

4

内部環状導体

5

外部導電性部材へ(例えば,水管)

6

環状接地極,B 形接地極

7 SPD 
8

ボンディング用バー

9

電源線又は通信線

10  追加接地極へ(A 形接地極)

図 E.44

外部導電性部材及び電源線又は通信線用の多数の引込口をもつ場合の

ボンディング用バーの相互接続に内部環状導体を用いているボンディングの配置例


125

Z 9290-3

:2014

1  電源線又は通信線 
2  外部水平環状導体(地上) 
3  外部導電性部材 
4  引下げ導線用継手 
5  壁内の鉄筋 
6  構造用鉄筋へのボンディング用継手 
7  ボンディング用バー 
8  SPD

図 E.45

外部導電性部材用の多数の引込口をもつ建築物等において

地上で建築物等に引き込むボンディングの配置例

E.6.2.3

外部導電性部材に対応した雷等電位ボンディング

空欄

E.6.2.4

被保護建築物等内の電気及び電子システムの雷等電位ボンディング

内部システムの雷等電位ボンディングの詳細は,

JIS Z 9290-4

を参照する。

E.6.2.5

外部引込線

管の雷等電位ボンディング

外部導電性部材並びに電源線及び通信線は,できるだけ地表付近の共通箇所で建築物等に引き込むこと

が望ましい。

雷等電位ボンディングは,建物への引込口にできる限り近接して実施することが望ましい。低圧電源線

の場合,これは引込盤の直下となる(電力会社の承認が必要)

この共通引込口におけるボンディング用バーを,短いボンディング導体で接地極システムに接続するこ

とが望ましい。

建物に引き込む線がシールド線の場合,シールドをボンディング用バーに接続しなければならない。架

線導体に加わる過電圧は,シールドに流れる分流雷電流の大きさ(

附属書 B

参照)及びシールドの断面積

の関数である。この雷電流を推定する方法は,

JIS Z 9290-1

附属書 E

を参照。想定する過電圧が,線路


126

Z 9290-3

:2014

及び接続対象物の耐電圧を超える場合,SPD が必要となる。

建物に引き込む外部導電性部材が遮蔽していない場合,分流雷電流が課電導体に流れる。この場合,分

流雷電流耐量をもつ SPD を引込点に配置することが望ましい。PE 又は PEN 導体をボンディング用バーに

直接接続してもよい。

外部導電性部材,電源線及び通信線を異なる位置で建物に引き込む場合,すなわち,数個のボンディン

グ用バーを設置する場合,これらのボンディング用バーを,できる限り近接して接地極システム(すなわ

ち,環状接地極)

,建築物等の鉄筋及び建築物等の基礎接地極に接続することが望ましい。

A 形接地極の接地システムを LPS の一部として利用する場合,ボンディング用バーを個々の接地極に接

続し,さらに,内部の環状導体又は部分的な環形状を形成している内部導体によって相互接続することが

望ましい。

地表面より上で外部導電性部材を引き込む場合,ボンディング用バーを LPS の引下げ導線と,可能であ

れば建築物等の鉄筋にボンディングしている外壁の内部又は外部の水平環状導体に接続することが望まし

い。

環状導体は,

表 4

に規定する引下げ導線間の距離を 5 m∼10 m ごとの一定の刻みで分割した間隔で建築

物等の鉄筋及びその他の金属製構成部材に接続することが望ましい。

主として電算センター,通信用局舎,その他 LEMP 誘導の影響を低レベルとする建築物等の設計におい

ては,環状導体を 5 m ごとに鉄筋に接続することが望ましい。

大形の通信設備又はコンピュータ設備を収容する鉄筋コンクリート造の建物,及び EMC(電磁両立性)

要求の厳しい建築物等における外部導電性部材のボンディングについては,建築物等の鉄筋又はその他の

金属製構成部材に対する複数の接続部をもつ接地面を使用することが望ましい。

E.6.3

外部 LPS 

電気的

絶縁

E.6.3.1

一般事項

外部 LPS と建築物等の雷等電位ボンディングに接続した全ての導電性部材との間には,

6.3

によって適

切な離隔距離を維持することが望ましい。

離隔距離 は,

6.3

に示す式(4)によって計算することができる。

離隔距離 の算定のための基準長さ l

6.3

参照)は,雷等電位ボンディングに対する接続点又は接地極

網と引下げ導線に沿った近接点との間の距離とすることが望ましい。水平導体及び引下げ導線は,必要な

離隔距離を小さくするため,できる限り直線的な経路とすることが望ましい。

ボンディング用バーから近接点まで延びる建物内部の導体の長さ及び経路は,一般に離隔距離に対する

影響は少ないが,この導体が雷電流経路と接近して延びている場合,必要な離隔距離は更に小さくなる。

6.3

に従って離隔距離 を算定するために使用する限界長さ の LPS における測定法を,

図 E.46

に示す。


127

Z 9290-3

:2014

1

金属製放熱器/ヒータ

2

れんが積み又は木造の壁

3

ヒータ

4

ボンディング用バー

5

接地極システム

6

接地極システム又は引下げ導線に対する接続部

7

最悪条件の事例

d

実際の離隔距離

l

離隔距離 の算定のための長さ

注記  この建築物等は,れんが構造(絶縁)である。

図 E.46

最悪の雷撃点の場合について

6.3

に従って基準点からの距離 における

離隔距離 を算定するための指針

建物の構成部材,例えばコンクリート中の鉄筋を構造体利用引下げ導線として使用する建築物等におい

ては,基準点は構造体利用引下げ導線に対する接続点とする。

導電性構成部材を含んでいない外面をもつ,木造又は組積造(Brick)の建築物等では,

6.3

に従って離

隔距離 を算定するためには,最悪の雷撃点から内部設備の雷等電位ボンディングシステムが引下げ導線

と接地極システムに接続している点までの雷保護導体に沿った距離全体 を使用することが望ましい。

対象となる設備の全長に沿った離隔距離 より長い離隔距離 を維持することが不可能な場合,LPS に

対する設備のボンディングを,

基準ボンディング点から最も遠い点においても実施することが望ましい

E.46

参照)

。したがって,導体を離隔距離の要求事項(

6.3

参照)に基づいて別経路とするか,又は基準ボ

ンディング点から最も遠い点において LPS にボンディングした導電性遮蔽体で覆うことが望ましい。

高さ 30 m 未満の建物で,基準ボンディング点及び最も遠い点で,設備を LPS にボンディングした場合,

設備の経路全体に沿って離隔距離を確保できる。


128

Z 9290-3

:2014

多くの場合に重要であり,特に配慮する必要がある点を,次に示す。

a

)  大規模建築物等の場合,LPS 導体と金属製設備との間の離隔距離は,実施できないほど大きくなるこ

とが多い。

これは,

これらの金属製設備に対する LPS の追加のボンディングが必要なことを意味する。

その結果,雷電流の一部がこれらの金属製設備を介して建築物等の接地極システムに流れる。

b

)  これら雷電流の分流の結果生じる電磁的障害については,

JIS Z 9290-4

に基づいて,建築物等の設備

を計画し,建築物等内部の雷保護ゾーンの設計を行うとき,考慮することが望ましい。

しかし,障害は,この点での放電によって生じるものより著しく少ない。

屋根の場合,LPS と電気設備との間の距離は,

6.3

に示す離隔距離 より小さいことが多い。この場合,

LPS 又は導体を異なる位置に設置することが望ましい。

建築物等における受雷部導体までの離隔距離に適合しない電気回路の経路変更を実施する場合,電気設

備の責任者の合意を得ることが望ましい。

電気設備の経路変更が不可能な場合,外部 LPS に対するボンディングを

6.3

に従って実施することが望

ましい。

建物によっては,所要の離隔距離を維持することは不可能なことがある。内部構造によって,設計者又

は施工者が状況を評価し,特定の金属部分又は導体に対する接続を行うことが妨げられることがある。こ

のことは建物の施主に連絡し,対処することが望ましい。

E.6.3.2

簡易計算法

広範な建物で長さ又は幅が,高さの 4 倍を超えない場合,

6.3.2

による簡易計算法が可能となる。

E.6.4

内部システムにおける誘導電流の影響に対する保護

外部 LPS の導体に流れる電流は,電磁結合の影響によって内部設備の導体ループに大きな過電圧を生じ

る可能性がある。過電圧によって,内部システムが故障するおそれがある。

実際には,全ての建物に電子機器を収容しているため,雷保護システムの計画に当たっては,外部及び

内部の引下げ導線の電磁界の影響を考慮することが望ましい。

過電圧に対する保護対策は,

JIS Z 9290-4

を参照する。

E.7

LPS

の保守及び点検

E.7.1

点検の範囲

LPS の点検は,

E.7

に従って雷保護専門家が実施することが望ましい。

点検者は,設計書,仕様書,完成図書,部材図面など,LPS に関する必要な書類を要求することが望ま

しい。また,LPS に関する過去に実施した保守及び点検報告書も要求することが望ましい。

全ての LPS は,次の段階において,点検することが望ましい。

a

) LPS の施工中,特に建築物等内に隠蔽し,かつ,接近できなくなる構成部材の施工中

b

) LPS の完成後

c

)

表 E.2

に基づく定期点検時期


129

Z 9290-3

:2014

表 E.2

LPS

の最長点検周期

単位  年

保護レベル

目視点検

総合点検

重要施設

a), b)

に対する総合点検

I 及び II 1

2

1

III 及び IV 2

4

1

a)

  爆発の危険のある建築物等に使用する雷保護システムは,6 か月ごとに目視点検をすることが望ましい。設備

の電気的点検は,年に 1 回実施することが望ましい。年間点検スケジュールとは別に,季節的変動の徴候を

知るために異なる季節に接地抵抗試験を実施することが得策である場合,14∼15 か月のサイクルで試験を実

施するのが望ましい。

b)

  重要施設とは,ぜい(脆)弱な内部システムを内蔵した建築物等,オフィス群,商業施設,多人数が集まる

場所などをいう。

管轄機関によって規定した特定の要求事項を明示している場所を除き,

表 E.2

に示す点検周期を適用す

ることが望ましい。

注記

  国の機関が建築物等の電気系統の定期点検を要求する場合,それと同時に電気系統との雷等電

位ボンディングを含む内部雷保護対策の機能について,雷保護システムを点検することが望ま

しい。同様に,既設設備は,LPS のクラスと関連付けて点検し,又は,建築設備設計・施工上

の運用指針,技術基準,告示・通達,関連する法規,その他の点検規定などによって点検間隔

を定めることが望ましい。

LPS は,少なくとも年 1 回,目視点検をすることが望ましい。激しい気候変動又は厳しい気象条件の生

じる地域においては,

表 E.2

に示す周期を上回る頻度でシステムを目視点検することを推奨する。LPS の

点検が施主の計画する保守計画の一部にある場合,又は保険会社の要求がある場合,施主は,年 1 回の総

合点検を要求することがある。

LPS の点検周期は,次の要因によって決定することが望ましい。

a

)  被保護建築物等の分類,特に損傷の結果生じる影響を考慮した分類

b

) LPS のクラス

c

)  地域の環境,例えば,腐食性の強い環境では,検査の周期を短くすることが望ましい。

d

)  個々の LPS 構成部材の材質

e

) LPS 構成部材を取り付ける表面の状況

f

)  土壌の条件及びそれに伴う腐食進度

上記のほか,被保護物に大幅な変更又は改修をした場合,及び LPS に落雷があった場合には,LPS を点

検することが望ましい。

2∼4 年ごとに総合点検を実施することが望ましい。厳しい環境条件にあるシステム,例えば,強風地域

にあるフレキシブルのボンディング用ストラップ材,パイプライン上の SPD,ケーブルの屋外ボンディン

グなどの強い機械的応力を受ける LPS 部材は,毎年総合点検を実施することが望ましい。

特に,気候又は降雨量が季節によって大幅に変動する地域では,季節ごとに各深度の大地抵抗率を測定

し,それに関連して接地抵抗の変動に留意することが望ましい。

測定した抵抗値が,設計時の予測抵抗値より大きな値に変化した場合,特に抵抗が点検ごとに徐々に増

加している場合,接地極システムの改良を考慮することが望ましい。

E.7.2

点検の順序

E.7.2.1

点検手順


130

Z 9290-3

:2014

この点検の目的は,LPS が,あらゆる点でこの規格に適合していることを確認することである。

点検は,技術文書の確認,目視点検,試験及び点検報告書への記録を含む。

E.7.2.2

技術文書の確認

技術文書は,完備しており,この規格への適合性及び施工した設備との一致に対して,確認することが

望ましい。

E.7.2.3

目視点検

次の事項を確認するため,目視点検を実施することが望ましい。

a

)  設計がこの規格に適合している。

b

) LPS が良好な状態にある。

c

)  接続部に緩みがなく,LPS の導体及び継手に偶発的な破損がない。

d

)  システムには,特に地表面において腐食による劣化がない。

e

)  目視できる接地接続部の全てに異常がない(機能的に動作する。)。

f

)  目視できる導体及びシステム構成部材の全てが取付け面に固定され,機械的に保護する構成部材にも

異常がなく(機能的に動作する。

,正しい位置にある。

g

)  被保護建築物等に追加の保護のための増設又は変更をしていない。

h

) LPS 及び SPD の損傷の徴候並びに SPD を保護するヒューズの溶断及びブレーカの開放動作がない。

i

)

前回の点検以降,建築物等の内部設備に実施した新しい引込線及び附帯設備に対し,導通試験を実施

した,正しい雷等電位ボンディングを確立している。

j

)  建築物等内部のボンディング導体と接続部とに異常がない(機能的に動作する。)。

k

)  離隔距離を維持している。

l

)

ボンディング導体,継手,遮蔽体,ケーブル経路及び SPD は,確認及び試験済とする。

E.7.2.4

試験

LPS の点検及び試験は,目視点検を含み,次の事項を全て実施することが望ましい。

a

)  連続性導通試験,特に当初の施工中目視点検できなかった LPS の部材で,その後も目視点検できない

部材の導通試験の実施

b

)  接地極システムの接地抵抗試験の実施。単独及び総合した接地測定並びに確認を実施し,その結果を

LPS 点検報告書に記録することが望ましい。

注記 1

接地極システムの高周波又はインパルスによる測定は,接地極システムに対するそれぞれ

の特性を判断するために有効である。これらの測定は,施工段階に実施することができ,

同様に,設計時の要求と実際の接地極システムとの適合性を確認するため,定期的に接地

極システムの保守に対して実施することができる。

1

)

各接地極の接地抵抗及び実施可能な場合における接地極システム全体の接地抵抗

各接地極は,引下げ導線と接地極間の試験用接続部で切り離し,分離した状態で測定することが

望ましい(単独測定)

注記 2

  垂直な接地棒,及び部分的又は全体的な環状接地極の両方を含んだ接地回路網に対して,

切離し及び試験は,接地点検ピットで実施することが望ましい。このような点検を行う

ことが困難な場合,定期的試験は,高周波試験又はインパルス試験によって実施するこ

とが望ましい。

接地極システム全体の接地抵抗が 10

Ω

を超える場合,電極が

図 3

に適合していることを確認す

ることが望ましい。


131

Z 9290-3

:2014

接地抵抗の値が著しく増加又は減少している場合,変化の理由を確認するため追加の調査を実施

することが望ましい。

岩盤地域の接地極については,

E.5.4.3.5

の要求事項に従うことが望ましい。この場合,10

Ω

の要

求事項は適用しない。

2

)

全ての導体

接続部及び継手の目視点検の結果

又はその電気的連続性の測定

接地極システムがこれらの要求事項に適合しない場合,又は情報不足によってこれらの要求事項

の確認ができない場合,接地極を追加設置する,又は新規の接地極システムを設置することによっ

て,接地極システムを改善することが望ましい。

故障表示機能がない SPD は,製造業者が提供する指針又は機器を使用し,試験する必要がある。

E.7.2.5

点検の文書化

LPS の点検を容易にするために,LPS の点検指針を作成することが望ましい。これらの指針は,LPS の

設置方法,LPS 構成部材の種類及び状態,試験方法,得られた試験データの適切な記録などのあらゆる重

要な事項を文書化し,点検過程を通じて点検者を指導するのに十分な情報を含んでいるものとする。

点検者は,LPS 点検報告書を作成し,LPS 設計報告書並びに前回に作成した LPS 保守及び点検報告書と

一緒に保管することが望ましい。

LPS 点検報告書は,次の事項を含むものとする。

a

)  受雷部導体及びその他の受雷部構成部材の状態

b

)  腐食レベル及び防食状態

c

) LPS 導体と構成部材との取付け状態

d

)  接地極システムの接地抵抗測定値

e

)  この規格への適合性

f

) LPS の変更,拡張及び建築物等の変更の文書化。さらに,LPS 構造図及び LPS 設計図書を修正するこ

とが望ましい。

g

)  実施した試験の結果

E.7.3

保守

LPS が当初の設計どおり引き続き要求事項を満たしていることを保証するため,LPS を定期的に保守す

ることが望ましい。LPS の設計は,

表 E.2

に従った必要な保守及び点検周期を決定することが望ましい。

LPS の保守計画は,この規格の改正に対応して,LPS の継続的な更新を保証することが望ましい。

E.7.3.1

一般事項

LPS 構成部材は,腐食及び風化による損傷,機械的損傷並びに雷撃による損傷のため,年々その効力を

失う傾向がある。

点検及び保守計画は,専門家である LPS 設計者及び LPS 施工者が建築物等の施主又はその指定代理人と

協力して規定することが望ましい。

LPS の保守作業及び点検を実施するために,点検及び保守の二つの計画を調整することが望ましい。

LPS 設計者が,この規格の要求事項に加えて,LPS 構成部材が落雷による損傷,気象による構成部材の

腐食を防止するための特別の予防策を講じ,その寸法を決定したとしても,LPS の保守は重要である。

この規格の設計要求事項に適合するために,LPS の機械的特性及び電気的特性を,LPS の存続期間中,

十分に維持することが望ましい。

建物若しくはその設備の改造を実施し,又は建物の使用目的を変更する場合,LPS の改良が必要となる

こともある。


132

Z 9290-3

:2014

点検によって修理が必要と判明した場合,この修理を遅滞なく実施し,次の保守周期まで延期しないこ

とが望ましい。

E.7.3.2

保守の実施

全ての LPS を対象とする定期的な保守計画を,制定することが望ましい。

保守の実施の頻度は,次の事項によって定まる。

a

)  気候又は環境による劣化

b

)  実際の落雷による損傷

c

)  建築物等に指定した保護レベル

LPS 保守の実施は,特定の LPS ごとに制定し,建築物等の総合的保守計画の一部とすることが望ましい。

保守計画には,チェックリストとして役立つための実施リストを含む必要がある。それによって,明確

な保守の実施について,今回の結果を前回のものと比較することができる。

保守計画は,次の事項に関する規定を含むものとする。

a

)  全ての LPS 導体及びシステム構成部材の検証

b

) LPS の電気的連続性の検証

c

)  接地極システムの接地抵抗値の測定

d

) SPD の検証

e

)  構成部材及び導体の増締め

f

)  建築物等及びその設備の増設又は変更後,LPS が機能低下していないことを確認するための検証

E.7.3.3

保守の文書化

全ての保守の実施に関する完全な記録を保管するものとし,かつ,要求又は必要である是正措置も含む

ことが望ましい。

保守の実施の記録は,LPS 構成部材及び LPS を評価する手段とすることが望ましい。

LPS 保守記録は,保守の実施の検討及び保守計画更新のための資料として役立つ。LPS 保守記録は,LPS

設計書及び LPS 点検報告書とともに保管することが望ましい。


133

Z 9290-3

:2014

参考文献

[1]  NFPA (National Fire Protection Standards), 780:2008, Standard for the Installation of Lightning Protection

Systems

[2]

IEC 61400-24

,Wind turbines−Part 24: Lightning protection

[3]

IEC 60050-826

:2004,International Electrotechnical Vocabulary−Part 826: Electrical installations

[4]

JIS Z 9101

  安全色及び安全標識−産業環境及び案内用安全標識のデザイン通則

注記

  対応国際規格:

ISO 3864-1

,Graphical symbols−Safety colours and safety signs−Part 1: Design

principles for safety signs and safety markings(IDT)

[5]

IEC 60079-14

:2007,Explosive atmospheres−Part 14: Electrical installations design, selection and erection

[6]

IEC 60050-426

:2008 , International Electrotechnical Vocabulary − Part 426: Equipment for explosive

atmospheres

[7]

IEC/TR 61000-5-2

,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 5: Installation and mitigation guidelines−

Section 2: Earthing and cabling

[8]

IEC 60728-11

,Cable networks for television signals, sound signals and interactive services−Part 11: Safety

[9]

IEC 61557-4

,Electrical safety in low voltage distribution systems up to 1 000 V a.c. and 1 500 V d.c.−

Equipment for testing, measuring or monitoring of protective measures−Part 4: Resistance of earth connection

and equipotential bonding


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Z 9290-3

:2014

附属書 JA

参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS Z 9290-3:2014

  雷保護−第 3 部:建築物等への物的損傷及び人命の危険

IEC 62305-3:2010

, Protection against lightning − Part 3: Physical damage to

structures and life hazard

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

1  適 用 範

建築物並びに煙突,

塔,油槽などの工作
物 及 び そ の 他 の も

の に 適 用 す る 雷 保

護 シ ス テ ム の 設 計
及び施工

1

一般構造物に適用する雷

保護システムの設計及び
施工

変更

建築物等の意味を明確化した。 我が国においてこれまで使用さ

れてきた JIS A 4201:2003 の適用
範囲に合わせた。

2  引 用 規

4.1 LPS の
クラス

LPS のレベルとクラ
スの関係を示す。

4.1

削除

リスクアセスメントの項目を

削除した。

IEC

規格によるリスクアセスメ

ントの概念が,我が国ではまだ確
立されていない。

4.3  鉄 筋
コ ン ク リ

ー ト 造 の
建 築 物 等

に お け る

鋼 材 の 連
続性

連 続 性 の 確 認 方 法

などを規定

4.3

上下間の鉄筋の連続性を

確認するために,電気的

な測定の実施を規定

変更

削除

鉄筋の接続状態が明確でない

場合についてだけ,測定するこ

とを規定した。 
注記 2 を変更,

注記 3 を削除

連続性に関する記述を,国内事情

に合わせて変更した。 
 
注記 2:我が国の規定に合わせた。

注記 3:LPS 部材の規格化は未実

5.2.2  配置

受 雷 部 シ ス テ ム の

配置の方法

5.2.2

追加

保護角度の表 2A を追加した。

グラフだけでなく数値化した表

を追加し,分かりやすくした。

1

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-3


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Z 9290-3

:2014

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

5.2.5  構造
体 利 用 構
成部材

部材の接続方法

(例  黄銅ろう付,
溶接,クランプ,圧

着,縫合せ,ねじ止

め又はボルト締め)

5.2.5

追加

接続方法の例に,圧着を追加し

た。 
表 6 を,表 6 と表 6A の二つに

したため,両方を記載した。

一般に使用している方法を追加

した。

5.3.2  分離
し た LPS

の配置

分離した LPS の配
置 方 法 に つ い て 規

5.3.2

削除

注記にあったローカルルール
を削除した。

我が国では適用しない。

5.3.3  分離
し な い
LPS の 配

分離しない LPS で

の 引 下 げ 導 線 の 配
置について規定

5.3.3

追加 25

m

2

以下は 1 条でよいことを

追加した。 
“引下げ導線は,地表面近く及

び垂直方向最大 20 m 間隔ごと

に,水平環状導体などで相互接
続しなければならない。

を追加した。

JIS A 4201:2003

に準拠した。

 
上記に同じ。

5.4.2.1 A
形接地極

A 形接地極の極の長
さ を 図 で 示 す と と
もに A 形接地極の

形状について記述

5.4.2.1

一致

“接地極の総数は,引下げ導線

の条数以上でなければならな
い。

”に変更した。

明確化した。

5.5  構 成
部材 
5.5.1  一般
事項

LPS 構成部材の使用
条件

5.5.1

削除 
 
 
 
追加

IEC 62561 シリーズに規定

した試験に満足した部材を選
定することでも達成できる。

を削除した。

表 5 内の材料の記述で,より具
体的な形状の棒,管,板を追加

した。

LPS 部材の規格化は未実施 
 
 
 
分かりやすくした。

5.5.3  接続

LPS の接続方法と要

5.5.3

削除

IEC 52561

を削除した。 LPS 部材の規格化は未実施

13
5

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20
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:2014

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

5.6.2  寸法

使 用 材 料 の 形 状 ご

との最小寸法

5.6.2

削除

追加

IEC 52561

を削除した。

表 6A を追加した。 
表 7 内の接地板の寸法に厚さ

寸法を追加した。

LPS 部材の規格化は未実施 
引下げ導線の寸法を,従来寸法を
踏襲し,別表(表 6A)とした。

6.1.1  火花
放 電 の 発
生箇所

火 花 放 電 の 発 生 す

る箇所の記載

6.1

一致

IEC

には箇条がないが,JIS 

体裁に倣い 6.1.1 を作成した。

分かりやすくした。実質的な差異

はない。

6.1.2  火花
放 電 の 防

止方法

危 険 な 火 花 放 電 を

防 止 す る 方 法 に つ

いて規定

6.1

一致

上記に同じ 
6.1.2 を作成した。

上記に同じ

6.2  雷 等
電 位 ボ ン

ディング 
6.2.1  一般
事項 
6.2.1.1  等
電位化

雷 等 電 位 ボ ン デ ィ
ン グ の 要 件 に つ い

て規定

6.2.1

一致

上記に同じ 
6.2.1.1 を作成した。

上記に同じ

6.2.1.2  相
互 接 続 部

相 互 接 続 す る た め
の部品を示す。

6.2.1

一致

上記に同じ 
6.2.1.2 を作成した。

上記に同じ

6.2.1.3  実
施方法

等 電 位 ボ ン デ ィ ン

グ の 実 施 に 関 す る
検討事項

6.2.1

一致

上記に同じ 
6.2.1.3 を作成した。

上記に同じ

6.2.2  金属
製 工 作 物

に 対 応 し
た 雷 等 電

位 ボ ン デ

ィング

雷 等 電 位 ボ ン デ ィ

ン グ を 実 施 す る 位

置について規定

6.2.2

一致

表 8 及び表 9 の断面積の数値

は,日本のサイズが IEC で認

められたため,修正した。

1

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:2014

(I)JIS の規定

(II) 
国 際 規

格番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

7.3  点 検
時 期 及 び
項目 
7.3.1

検時期

点 検 時 期 に つ い て

の要件

7.3

一致

IEC

には箇条がないが,JIS 

体裁に倣い 7.3.1 を作成した。

分かりやすくした。実質的な差異

はない。

7.3.2

検項目

点 検 項 目 に つ い て
の要件

7.3

一致

上記に同じ 
7.3.2 を作成した。

上記に同じ

8  接 触 電
圧 及 び 歩

幅 電 圧 に
よ る 生 物

へ の 傷 害

に 対 す る
保護対策 
8.1  接 触
電 圧 に 対
す る 保 護

対策

接 触 電 圧 に 対 す る

保護対策

8.1

JIS

に同じ

一致

上記に同じ

8.1.1

般的対策

一 般 的 な 対 策 の 要

8.1

一致

上記に同じ 
8.1.1 を作成した。

上記に同じ

8.1.2

殊対策

一 般 的 な 対 策 を 満
足 す る こ と が で き

ないときの対策

8.1

一致

上記に同じ 
8.1.2 を作成した。

上記に同じ

8.2  歩 幅
電 圧 に 対
す る 保 護

対策

歩 幅 電 圧 に 対 す る

保護対策

8.2

JIS

に同じ

一致

上記に同じ

8.2.1

般的対策

一 般 的 な 対 策 の 要

8.2

一致

上記に同じ 
8.2.1 を作成した。

上記に同じ

13
7

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:2014

(I)JIS の規定

(II) 
国 際 規

格番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

8.2.2

殊対策

一 般 的 な 対 策 を 満

足 す る こ と が で き
ないときの対策

8.2

一致

上記に同じ 
8.2.2 を作成した。

上記に同じ

附属書 D

(参考)

爆 発 の 危 険 を 伴 う

建 築 物 等 に 対 応 し

た 雷 保 護 シ ス テ ム
の設計,施工,増築

及 び 改 修 に つ い て

の要求事項

Annex D 
(Normative)

変更

附属書(規定)を(参考)に

変更した。

危険物関連の LPS については,

我が国では,消防法等によって別

途法規化されている。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 62305-3:2010,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  一致……………… 技術的差異がない。

    −  削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
    −  追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

    −  変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD……………  国際規格を修正している。

1

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