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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

(1) 

目  次

ページ

序文  

1

0.1  使用者  

1

0.2  作成理由  

1

0.3  子どもの安全との関連性  

1

0.4  役割  

2

0.5  構成  

2

1  適用範囲  

2

2  引用規格  

3

3  用語及び定義  

3

4  子どもの安全への一般的アプローチ  

4

4.1  一般  

4

4.2  年齢区分の呼び方  

4

4.3  リスクアセスメント  

4

4.4  危害の防止及び低減  

5

4.5  視覚に入らない子ども  

6

4.6  障がいのある子どもへのニーズ  

6

5  安全上の考慮事項:子どもの発達,行動及び不慮の危害  

7

5.1  子どもの発達及び行動  

7

5.2  子どもの発達に関する知識,危害防止への適用  

12

5.3  発達年齢と対比した実年齢  

12

5.4  14 歳以上  

12

6  子どもの安全環境  

12

6.1  一般  

12

6.2  物理的環境  

13

6.3  社会的環境  

13

6.4  睡眠環境  

13

7  子どもに関連するハザード  

14

7.1  一般  

14

7.2  機械的ハザード及び落下のハザード  

15

7.3  落下及びその他の衝突による傷害 

21

7.4  溺水のハザード  

22

7.5  窒息のハザード  

23

7.6  首の絞付けのハザード  

24

7.7  小さな物体及び吸引によるハザード  

25

7.8  火災のハザード  

26


Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)  目次

(2) 

ページ

7.9  温度のハザード  

27

7.10  化学的ハザード  

29

7.11  感電のハザード  

30

7.12  放射(放射線,紫外線,光及び電磁波)のハザード  

31

7.13  騒音(音圧)によるハザード  

33

7.14  生物によるハザード  

34

7.15  爆発及び火炎せん(閃)光のハザード  

34

8  保護方策の適格性  

35

8.1  一般  

35

8.2  製品による保護方策  

35

8.3  据付けによる保護方策  

36

8.4  人に適用される保護方策  

36

8.5  行動による保護方策  

37

8.6  説明書による保護方策  

37

附属書 A(参考)評価チェックリスト  

38

附属書 B(参考)傷害データベース  

40

参考文献  

42


Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

(3) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


   

日本工業規格

JIS

 Z

8050

:2016

(ISO/IEC Guide 50

:2014

)

安全側面-規格及びその他の仕様書における

子どもの安全の指針

Safety aspects-Guidelines for child safety

in standards and other specifications

序文 

この規格は,2014 年に第 3 版として発行された ISO/IEC Guide 50 を基に,技術的内容及び構成を変更

することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

0.1 

使用者 

この規格は,規格,仕様書及び類似の出版物を作成又は改正する専門家に対して提供するもので,特に,

設計者,建築家,製造業者,サービス提供業者,教育者,通信業者,政策立案者などに対し,有用となり

得る重要な背景情報を配慮している。

この規格は,特定の規格がない場合,監査人及び安全検査員に対して有用な情報も提供する。

0.2 

作成理由 

傷害の防止は,社会全体で共有すべき責任である。課題は,子どもが死亡又は重傷を負う可能性を最小

限に抑えることが実現できるように,製品(以下,製品という。それは,製造物,その包装,プロセス,

構造物,据付け,サービス,構築されている環境,又はこれらのいずれかの組合せが含まれる。)を作成す

ることである。この課題の重要な点は,安全性と子どもが刺激的な環境を探索し,学習する必要性とのバ

ランスを取ることである。傷害防止は,設計,技術,製造管理,法規,教育及び自覚の促進によって対処

できる。

0.3 

子どもの安全との関連性 

多くの国々で,幼児期から思春期にかけての子どもの傷害が,死亡及び障がいの主要原因となっており,

子どもの安全は,社会が重視すべき問題である。WHO/UNICEF 合同の子どもの傷害の防止に関するワー

ルドレポート

[26]

 は,不慮の傷害を 5 歳以上の子どもの主な死亡原因であると特定している。毎年 830 000

人を超える子どもが交通事故,溺水,やけど,落下及び中毒で死亡している。

子どもは,リスクを経験したり認識することなく,生来の探索心を抱いて大人の世界に生まれてくる。

子どもは,必ずしも意図されたものではないが,必ずしも“誤使用”とはいえない方法で,製品を使用し

又は周辺環境との関わり合いをもつことがある。その結果,傷害を負う潜在的な可能性は,特に幼児期か

ら思春期にかけて大きくなる。子どもを見守ることで,常に大きな傷害を防止又は最小限にできるわけで

はない。したがって,しばしば,追加的な傷害防止の戦略が必要になる。

子どもの傷害を防ぐための戦略を検討する際には,子どもが小さな大人ではないという事実を認識しな

ければならない。子どもの傷害に対するぜい(脆)弱性及び子どもの傷害の性質は,大人のそれとは異な


2

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

っている。理想的には,こうした戦略において,製品の合理的に予見可能な使い方又は周辺環境にも考慮

しなければならない。子どもは,通常の子どもの行動特性に基づいて,それらとの関わりをもつこととな

り,また,その行動特性は,年齢及び発達レベルによって異なる。したがって,子どもの傷害を防ぐため

の戦略は,しばしば,大人の傷害を防ぐことを目的とする戦略とは異なっている。

0.4 

役割 

一般的に規格は,次のような特有の機能をもっており,傷害の防止及び低減において重要な役割を果た

すことができる。

-  設計,製造管理及び試験のために技術的な専門知識を引き出す。

-  重要な安全要求事項を規定する。

-  説明書,警告,図解,記号などを通じて伝える。

0.5 

構成 

この規格は,JIS Z 8051 に対する追加情報を提供する。JIS Z 8051 が,安全性全般という観点で,リス

ク低減に対する構造的なアプローチを提示するのに対して,この規格は,子どもの発達と不慮の傷害から

の危害との関係に焦点を当て,子どもが遭遇すると思われるハザードに対する取組み方への対処を提供し

ている。この規格の構成は,次による。

a)

箇条 は,ハザードに対処する系統的方法の原則を含んでいる。子どもの安全に関する一般的アプロ

ーチを取り扱う。

b)  箇条 は,子どもの人体計測(5.1.2

,運動能力(5.1.3),生理機能(5.1.4)及び認識力(5.1.5)の発

達並びに探索行動(5.1.6)を含め,子どもの発達及び行動と不慮の傷害との関係を取り扱う。

5.2 では,子どもの発達に関する知識を危害の防止に適用する重要性を取り扱う。5.3 では,子ども

の実年齢と対比した発達年齢を取り扱う。

c)

箇条 は,子どもの物理的及び社会的環境の適切さ,そして子どもの睡眠環境に関連する特別な配慮

を取り扱う。

d)  箇条 は,製品の使用又は製品との関わりを通じて子どもが影響を受けることがあるハザード,及び

これらのハザードに対処するための具体的示唆を取り扱う。

e)

箇条 は,保護方策の適格性を判断するための体系的方法を取り扱う。

さらに,附属書 に,ある規格を評価するためのチェックリストを添付している。これは,ハザード,

起こり得る傷害の種類及び解決策への構造的なアプローチの概要を示している。ただし,これは解決策の

ほんの数例を示したにすぎず,この規格と併読することが不可欠である。附属書 に,傷害データベース

に関する一部の情報を列挙している。

適用範囲 

この規格は,規格,仕様書及び類似の出版物を作成又は改正する専門家に対する指針を示す。この規格

は,たとえ子ども専用として意図されていなくても,子どもが使用又は関わりをもつことが大いに想定さ

れる製品に対して,子どもへの身体的危害を及ぼす可能性のある潜在的原因へいかに対策を施すべきかを

目的としている。

この規格は,故意の危害(例えば,虐待)又は心理的危害(例えば,脅迫)のような非肉体的危害の防

止に関する指針は提供していない。

この規格は,経済的な理由による結果として,上記のようなことが起こる場合については扱わない。


3

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

注記 1  製品の定義については,3.5 に規定されている。

注記 2  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO/IEC Guide 50:2014,Safety aspects-Guidelines for child safety in standards and other

specifications(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,“一致している”

ことを示す。

引用規格 

引用規格はない。

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1 

ケアラー(carer)

個々の子どもの安全(3.7)について,一時的であれ,責任を果たす人,又は子どもの世話をする人。

注記  ケアラー(carer)は,“ケアギバー(caregiver)”と(海外では)いうこともある。

例  親,祖父母,子どもに対して限定的な責任を与えられた兄弟姉妹,その他の親戚,大人の知り合

い,ベビーシッター,教師,保育士,ユースリーダー(青少年施設の指導員),スポーツコーチ,

キャンプ生活の指導員,保育所就業者。

3.2 

子ども(child)

14 歳未満の人。

注記 1  年齢は地域の法令によって異なる年齢制限を採用する規格もある。

注記 2  詳細は,4.2 を参照。

3.3 

危害(harm)

人への傷害若しくは健康障害,又は財産及び環境への損害。

JIS Z 80513.1 を参照。)

3.4 

ハザード(hazard)

危害(3.3)の潜在的な源。

JIS Z 80513.2 を参照。)

3.5 

製品(product)

製造物,プロセス,構造物,据付け,サービス,構築された環境又はこれらのいずれかの組合せ。

注記  消費財の場合,包装は,製品の一部として保持されることが意図されているか,又はその可能

性があるかに関係なく,製品の不可分の一部とみなされる(7.1 も参照)。

3.6 

リスク(risk)

危害(3.3)の発生確率及びその危害の度合いの組合せ。


4

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

JIS Z 80513.9 を参照。)

3.7 

安全(safety)

許容不可能なリスク(3.6)がないこと。

JIS Z 80513.14 を参照。)

3.8 

許容可能なリスク(tolerable risk)

現在の社会の価値観に基づいて,与えられた状況下で受け入れられるリスク(3.6)のレベル。

JIS Z 80513.15 を参照。)

子どもの安全への一般的アプローチ 

4.1 

一般 

製品に対する規格を作成又は改正する場合,規格の作成者は,規格の対象となっている製品が子どもを

直接の使用者として想定しているかどうかに関わりなく,子どもが,なぜ,どのように関わりをもつかを

考慮することが望ましい。子どもの安全と一般的な安全とを区別して考える概念については,この箇条で

説明する。この概念は,JIS Z 8051 の規定に追加されたものである。

4.2 

年齢区分の呼び方 

子どもの発達を示す分類の呼び方は,慣用的に使用されているものである。これらは互いに相容れない

ものではなく,文脈によっては,次のように,幅のある意味合いでも厳密な意味を込めても使用されるこ

とがある。

-  まだ歩行できないような子どもを,この規格では,“ベビー(babies)”又は“乳児(infants)”という

こととする。

-  歩行はできるが,その歩行能力は完全に発達しておらず,また,強い探索行動を示す子どもを,この

規格においては,“幼児(toddlers)”ということとする。

-  よちよち歩きの段階を超えたが,基本的能力はいまだに発展途上にあるもので,3 歳~8 歳の子どもを,

この規格では,“低年齢の子ども(young children)”ということとする。彼らは,十分に発達した運動

神経能力をもち,大人が基本的にすることを一部行い始め,徐々に見守りを受けなくなるが,その行

動はまだ衝動的で予測できない。重要なことであるが,この年齢幅の上限と下限とでは,子どもの能

力及び行動に大きな差異が生じる。

-  思春期に達していない子どもを,この規格では,“高年齢の子ども(older children)”ということとす

る。上限年齢は変動することがあるので,この用語は約 9 歳~12 歳を指すが,13 歳又は 14 歳の子ど

もを指すことがある。この年齢グループの子どもは自立性を増しつつあり,大人のすることのほとん

どを実行することができる(ただし,その力量の度合いは様々である。)。ただし,行動には一貫性が

なく,予測できないことがあり,仲間からのプレッシャーに反応することもあり,自分の行為の結果

を完全に理解しているわけではない。これは,安全感覚と自立意識との両方を望むという感情的葛藤

が起こり得る時期だからである。この年齢グループの上限では,自主性への強い願望をもち,新しい

経験を求めることがある。

4.3 

リスクアセスメント 

リスクアセスメントは,傷害防止戦略の重要なステップである。各ハザードに関して,危害の原因とな

り得る全ての事象又は事象連鎖を特定することが極めて重要である。


5

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

一般的なリスクアセスメントのアプローチについては,JIS Z 8051 に記載されている。そこでは,特定

の危険状態に関連するリスクを,ハザードが原因となることがある危害の度合いと,その危害の発生確率

との関係から定義している。危害の度合い,及び特に発生確率は,客観的に求め,また,恣意的で直感的

な意思決定ではなく,因果関係を実証した関連事実に基づいていることが望ましい。子どもの安全に取り

組む際には,子どものリスクに関連する次の要因には,特に注意が必要である。

a)  子どもと人及び製品との関わり方

b)  子どもの発達及び行動

c)

子ども及びケアラーの認識,知識及び経験の度合い

d)  社会的,経済的及び環境的要因:子どもの身体的特徴及び行動に関連して傷害を受ける可能性

e)

ケアラーによって,見守られる度合い

4.4 

危害の防止及び低減 

4.4.1

危害は,生命維持に不可欠なもの(例えば,溺れたり,窒息したときの酸素)の欠乏,エネルギー

の伝達(例えば,機械,熱,電気,放射線),体の抵抗力よりも大きな作用因子(例えば,化学的,生物学

的)への暴露などのハザードから発生することがある(箇条 参照)。これらは,発生に至るまでの事象又

は発生後の事象への取組みを行うことで,防止又は低減することができる。一般には,安全な製品を設計

することが一次予防となる。

4.4.2

危害の防止及び低減の戦略として,次に示す一つ又は複数の取組みを進めるとよい。

-  ハザードの排除及び/又はハザードへの暴露の排除(一次予防,安全な設計,例えば,引火性液体を

非引火性液体に差し換えるなど)

-  ハザードへの暴露の排除(一次予防)

-  ハザードへの暴露の確率の低減(二次予防,例えば,チャイルドレジスタンス包装の使用)

-  危害の度合いの低減(二次予防,例えば,保護具の使用又は家庭用温水の温度を下げる。)

-  救助,治療,リハビリテーションなどのアプローチによって,危害の長期的な作用を低減させる(三

次予防)。

注記  リスク低減のアプローチは,JIS Z 8051 の 6.3 にも記載されている。

4.4.3

さらに,こうした戦略には受動的なものも又は能動的なものもあり得る。受動的な戦略は,個々人

が保護されるための何らかの措置を講じなくても機能するが,能動的な戦略は,ハザードを最小に低減す

るために個々人が何らかの措置を講じることが必要になる。ハザードを排除するか又はハザードに対して

防護する受動的な防止への戦略は,能動的な戦略よりも成功の確率が高くなる。

重大な傷害に至り得るリスクを排除する,最小化するなどして,製品の安全性を向上させることは,設

計段階において開始することが望ましい。これは,まずは一次予防アプローチを組み入れることとし,そ

れが可能でないとする場合は,二次予防アプローチを取ることを念頭に置いたものである。二次予防は,

残留リスク,すなわち使用者が対処する必要があり得るものについて,使用者に情報を提供することが必

要である。可能な限り,製品の設計は受動的な防止への戦略を目標にすることが望ましい。

注記  リスク低減のためのアプローチは,JIS Z 8051 の 6.3 にも記載されている。

様々な資料を使用して,製品に関連する危害の潜在性を特定することができる。これらの資料には次の

事項が含まれるが,これらだけに限らない。

-  傷害統計

-  傷害サーベイランスシステムから得られる詳細情報


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

-  調査結果

-  試験データ(試験に合格したことは,必ずしも製品にハザードがないことを意味するものではない。)

-  事例報告の調査

-  苦情データ

-  他のタイプの製品から得られた危険性に関するデータからの推測。監視データ,リコール及び他の地

域的な規制がある場合は,その他の類似した措置を考慮することが望ましい。

警告  危害の報告がないことは,必ずしもハザードがないことを意味するものではない。 

子どもへの危害は,一般に様々な年齢での彼らの発達段階とハザードへの暴露とに密接に関連している

ため,子どもの傷害データを年齢別に分類し,そこに現れるパターンを特定することが重要である。

例 1  オーブンの扉,熱湯などによるやけど,熱傷,医薬品又は家庭用化学品による中毒,溺水など

が最も多いのは,5 歳未満である。

例 2  遊具からの落下による傷害は,5 歳~9 歳が最も多い。

例 3  スポーツに関連する落下又は衝突に関連する傷害は,10 歳~14 歳が最も多い。

対策は,特に傷害データ,子どもの行動,工学及び生体力学に基づいた調査及び評価によって明確にす

ることができる。例えば,消費者からのフィードバックは,製品を再設計する際に必要な貴重な情報をも

たらす。

予防策を選定する場合,大人への許容リスクが子どもには当てはまらないことがあることを認識するこ

とが重要である。大人を保護するような対策を子どもに採用する場合は,リスクが増大又は追加される可

能性を考慮することが不可欠である(例えば,車の助手席側のエアバッグ)。

傷害サーベイランスシステムの詳細は,附属書 に記載する。

4.5 

視覚に入らない子ども 

4.5.1

子どもは,次の例のように幾つかの理由から,その存在を検知するのが難しく,視覚に入らないこ

とがある。

-  身体が小さいことで,大人には視覚に入りにくくなる。

-  危険を理解する判断力の欠如及び予測不能な行動によって,大人には予測できないような危険状態に

入ることがある。

4.5.2

人間の視力には,周辺視野における限界のような制限がある。したがって,次の例のように大人の

視野の外にいる子どもは,深刻な事故に巻き込まれるリスクがある。

-  車両の近くにいる子どもは,運転者の死角に入り,見落とされ,車両にはねられることがある。

-  子どもは走ってくる車両の前に飛び出して,はねられることがある。

-  人が(家,設備などの)ドアを開閉するとき,子どもが視野に入らないことがある。

4.5.3

子どもが死角に入ってしまうことによるリスクを防止又は低減するために,次の例のような可能な

戦略を検討することが望ましい。

-  子どもがスクールバスの運転者に視認されることのないまま,その前を横断することがないよう,自

動車が通るような危険の多い場所に入ることを防止するための障壁又はスイングアームバリア(開閉

式ゲート)を設置する。

-  車両上に鏡又は認識システムを取り付けることで,死角をなくす。

-  ドアの透明部分を,更に低いレベルまで拡張する。

4.6 

障がいのある子どもへのニーズ 

多くはないがある一定の割合で,障がいのある子どもがいる。子どもの障がいには,先天的な健康障が


7

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

い若しくは身体障がい,又は病気,傷害若しくは栄養不足による後天的な障がいがある。多くの子どもが

単一の障がいのある一方で,複数の障がいを抱える子どももいる。例えば,脳性小児麻ひ(痺)の子ども

は,移動が困難な場合があり,更に意思疎通及び知的能力に障がいがある場合もある。健康状態又は身体

障がいと,環境及び個人的因子との複雑な相互作用は,それぞれの子どもが抱え込む障がいが異なること

を意味する。

重要  この理由から,専門家の助言を求めることが望ましい。 

障がいのある子どもの場合,その程度及び要求される内容によって,この指針で示されていることが適

切な場合だけではなく,一般的な対応が不可能であるために個別の対応が必要となる場合がある。

“障がい”という用語には,その性質,度合い及び影響において様々に変化する広範囲の条件が含まれ

る。障がいには,次の事項が含まれるが,これらだけに限らない。

-  行動及び学習障がい

-  身体及び成長障がい

-  感覚障がい

-  運動スキルの障がい

この指針では,障がいのある子どもの不慮の傷害の発生確率及びその傷害の度合いを最小限にする方法

について詳細な助言は提供しない。

注記  障がいのある人のニーズについては,JIS Z 8071 に概要が記載されている。しかしながら,障

がいのある子どもに関する手引きを特別に取り扱ってはいない。

安全上の考慮事項:子どもの発達,行動及び不慮の危害 

5.1 

子どもの発達及び行動 

5.1.1 

一般 

子どもは,体の小さな大人ではない。ハザードへの暴露に加えて,発達段階を含めた子ども固有の特性

が,大人とは異なった形で子どもをリスクにさらす。発達段階には,広い意味で,子どもの体の大きさ,

体型,生理,体力及び認識力,情緒の発達,並びに行動が含まれる。こうした特性は,子どもの発達に応

じて急速に変化する。そのため,親及びその他のケアラーは,様々な発達段階における子どもの能力を過

大評価又は過小評価し,子どもをハザードにさらすことが多い。こうした状況は,子どもを取り巻く環境

の多くが大人用として設計されているという事実によって増幅される。

製品に関連する潜在的ハザードを決定する場合は,この箇条に記載する子どもの特性の全てを検討する

必要がある。こうした特性は,次の例のように複合的に作用し,子どもの危害のリスクを増大させること

があることを肝に銘じておくことが望ましい。

-  子どもは探索行動の結果として,はしごに登るかもしれない。

-  認識力が未熟なため,子どもははしごが高すぎるとか,又は不安定だと認識できないかもしれない。

-  運動制御力が未熟なため,子どもはつかみ損ねて,落下するかもしれない。

こうした子どもの製品の使用又は製品との関わり合いは,正常な子どもの行動として考慮すべきである。

“誤使用”という用語は誤解を招きやすく,また,子どものハザードに関して不適切な意思決定につなが


8

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

りかねない。ある調査によれば,子どもは,子ども用に設計されていない,例えば,電子レンジのような

製品を頻繁に使用している子どもと製品との関わり合いについて考えるとき,それが遊びなのか,能動的

学習なのか,又は意図した使用なのかを区別することは難しい。安全上の理由から,これらの関わり合い

を区別しようとすることは建設的でない。

安全への配慮は,リスク及び刺激的な環境を探索し学習しようとする子どもの特性との間で適切なバラ

ンスをとることが望ましい。目標とすべきは,子どもの発達のレベルに従った設計によって,危害のリス

クを低減することである。

5.1.2 

子どもの体の大きさ及び人体計測データ 

子どもは,体の特性のため,特に危害を被りやすい。この危害の性質は,大人が経験するものと異なる

こともある。

子どもの体の大きさについては,周囲のものとの関係を考慮して,背の高さ,人体各部の長さ,幅及び

全周を含めて,人体計測データを調べる必要がある。

正規分布及び安全のための許容範囲を定める場合は,

人体計測データによることが望ましい。大人と同様に,子どもは身体各部について一貫性のある寸法をも

つとは限らない。例えば,身長が 95 パーセンタイル値の子どもが,50 パーセンタイル値の頭及び 25 パー

センタイル値の手の長さをもつことがある。ある一つの(同じ)年齢層でも,子どもの発達及び身体の大

きさには,大きな違いが生じる可能性がある。男性及び女性では,異なる年齢で急成長する。

注記  人体計測データの有用な文献については,参考文献

[25], [41]

 が参照できる。

体の大きさ及び体重分布が大人と比較して危害の要因となる例を,次に示す。

a)

熱による傷害の場合,ある一定の(熱源との)接触面積について,その体表面積に対する割合は,大

人の場合に比べて子どもの場合には更に大きくなる。また,子どもは体重に対して体表面積の割合が

高いので,熱傷の箇所から失われる体液量の比率が大きくなることがある。

b)  低年齢の子どもは体の大きさに比べて頭が大きい。重心が高ければ,例えば,子どもが座ったり,登

ったり,又は立ったりすることのある家具又は構造物からの落下の可能性が大きくなる。

子どもは,しばしば,頭から直接落下する。

c)

重心が高いことで,プール,バケツ,便器,浴槽などへの落下の可能性が高まり,したがって,溺れ

るリスクが増大する。相対的に子どもは頭が大きいので,頭が通り抜けるには,体の他の部分よりも

っと広いスペースが必要である。

d)  頭が通り抜けるスペースは,体の他の部分と比較するとずっと大きいことが必要となる。頭が通り抜

けられない大きさの隙間を,足を先に出して体から通り抜けると,隙間に挟まってしまう。

e)

頭の質量が相対的に大きいと,むち打ち症の発生確率及び度合いが増大する。

f)

子どもは,指,手及び体の一部を小さな開口部又は隙間に差し込んで,その先にある回転及び可動部

品,電気部品,その他のハザードに近づいてしまうおそれがある。

g)

大人には危害とならない少量の物質が,子どもにとっては危害となることがある。子どもは,体重に

対して体の表面積の比が大きく,また,体が小さいことから,化学的及び放射のハザードにさらされ

ると,大人以上に強い影響を受けることがある。

5.1.3 

運動能力の発達 

運動能力の発達とは,大まかな動作及び細かな動作並びにその協調の成熟プロセスを指す。子どもの運

動スキルの発達を理解することは,危害を排除又は低減するための製品の設計にとって不可欠なことであ

る。


9

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

この発達プロセスには,一次的な不随意の反射運動から,意図的な目標を定めた行動への変化が含まれ

る。このプロセスの達成の過程には,首が据わる,前かがみになる,お座りができる,寝返りを打つ,は

(這)う,立ち上がる,登る,身体を揺らす,歩く,走るための体力及び技能,並びに手及び指でものを

操作する能力の習得が含まれる。バランス,制御及び体力が十分に発達するまで,子どもは,特に転倒し

たり,そこから抜け出すことができないような不安定な姿勢に陥ったりする。

例 1  ベビーは,横たわっていると端へ動いて転がり落ちることがあるが,体を起こして元に戻るこ

とはできない。その結果,製品間のくさび状の隙間に挟まれ,窒息に陥る可能性がある。

例 2  ようやく立てるようになったベビー及びよちよち歩きの幼児は,手の届く範囲にあるコード,

リボン又は窓の飾り付けを体に絡み付けてしまうことがある。このようなときに座ったり又は

倒れたりすると,コードが首の回りにきつく絡まり,窒息死するおそれがある。

例 3  何にでも登りたがる子どもは,衣服,アクセサリ及び着用しているもの(例えば,リュックサ

ック,髪飾り)が家具類又は突起部に引っ掛かることがある。そこから脱することができない

と,つ(吊)り下げられることになる。

例 4  子どもはバランスを失ったり,又は手を放したりしてしまうことがあり,高い所から落下する

ことがある。

例 5  おおよそ生後 3 か月頃から,乳児は寝返りを打てるようになり,マットレス及び寝具が柔らか

すぎると,窒息することがある。

5.1.4 

生理学的発達 

子どもは体の大きさ及び運動機能に加えて,発達する数多くの生理学的機能がある。このようなものの

中には,感覚機能,生体力学特性,反応時間,代謝及び器官の発達が含まれる。

子どもの感覚機能の発達は,時間をかけて起こる。視覚の発達は,他の感覚よりも遅い。大部分の子ど

もが,大人と同じ視野をもつ段階になっても視野が狭く,又は奥行き感覚に困難なことがある。

生理学的発達が未熟なため,傷害の要因となっている例を,次に示す。

a)

子どもは(大人に比べて)体が小さく呼吸速度も速いために,毒性を示す可能性のある医薬品,化学

物質,植物などの影響を特に受けやすい。

b)  子どもは代謝機能の未熟さ及び器官の未発達によって,大人には有害でない医薬品,化学物質又は植

物の毒性に対して高い感受性を招く結果となる。

c)

子どもの皮膚が特に薄いという特性も含め,熱による傷害に対して更に冒されやすい。

d)  子どもの骨格は完全には発達していないため,機械的な力に対して異なった反応を示す。

e)

子どもは,強い光源による危害に対して影響を受けやすい。

f)

子どもは,音圧に対して敏感である。

5.1.5 

認識力の発達 

子どもの認識力の発達段階は,その行動の結果を理解できるか,又はできないかについての能力を決定

する。低年齢の子どものハザードを認識して回避する能力は,限られている。危険な条件の有害な結果に

ついて,一貫性のある,信頼できる予測又は応答をしない。したがって,大人にとっては明白なハザード

も,子どもにとってはそれほど明白とはいえない。

少年期のある段階において,経験並びに両親及びその他のケアラーによる教育が子どもの行動に影響し

始めるが,製品を開発するときにそれを期待しないことが望ましい。

5.1.6 

探索行動 


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

子どもは乳児期の初期の頃から,生まれつきの探索心によって突き動かされる。子どもの探索行動は,

発達段階に応じて分類することができる。子どもは,幾らか予測できる一連の肉体的成熟及び精神的成熟

の過程を踏むので,探索行動もまた予測できる。この探索行動によって,子どもは製造業者が意図しなか

った方法で,製品を使用することがある。

探索行動の中で最も頻繁に観察されることの一つは,ものを操作する行為である。乳児期,これはしば

しば,大半がものをいじり,口に含む行為に関連する。口に含むという探索的行為は,単に食べるという

ことではない。子どもの口は比較的敏感であり,口に含む行為は快楽の感覚を子どもに与えると同時に,

歯が生えることに伴う痛みを低減してくれる。口に含む探索的行為には,基本的な運動調整(例えば,自

分の手を口まで運ぶこと)が必要である。子どもは,自分の肉体的特性について学習できる方法でものの

探索を開始する。さらに複雑な両手の連携,及びものを回転する,落とす,強打する,投げるなどの他の

探索行動が出現すると,口に含む探索的行為は,それに反比例して減退する。ただし,何らかの口に含む

行為は,探索の早期の段階から相当先の段階まで継続する。

子どもの感覚,運動及び認識能力は向上するため,環境の探索は次第に精巧なものになる。子どもは,

自分の体を含めて,いろいろな“もの”を探索し続ける。大きな“もの”の中に自分から入ること,又は

体のくぼみの中に小さな“もの”を入れることは通常のことである。やがて,多くの子どもにとって,社

会的遊びが主要な一次的探索行動となる。仲間のすることが,更に重要な探索行動の動機付けの要因とな

る。

大人は,探索が,リスクを含む未知のものを発見するプロセスであると理解している。全ての年齢の子

どもは,更に追加的なリスクに直面する。それは,リスク認識及び意思決定能力,自分の能力の限界に対

する理解不足,並びに体力及び認識力の未成熟によるものである。これらは,全て危険を回避する能力に

影響を与える。子どもは幾らかのリスクは認識できるものの,7 歳~8 歳頃になって因果関係(原因及び結

果)を理解することができるようになるまで,潜在的な危険状態に含まれるリスクを評価することができ

ない。

表 に,子どもの典型的な探索行動を要約する。

表 1-典型的な探索行動の例 

探索行動

対象年齢

説明に役立つ実例

口に含む

か(噛)む,吸う,かじる,そしゃく(咀
嚼)する,なめる。

誕生~3 歳まで

おしゃぶり(soother,pacifier),
木の積み木,小形タオル,衣服,
非食用物質製の食品,歯固め,
玩具,ボタン電池(コイン形リ
チウム電池を含む。),家具,窓
台(窓下の外側又は内側にある
横材で,よく植木鉢などが置か
れる。

回転させる

子どもは回転させることで,ものを目視で
調べる。

月齢 6 か月~2 歳

がらがら,中に水又はビーズが
入っている玩具,積み木,ひっ
くり返すと音を出す玩具

反対の手に持
ち替える

運動調整力が高まると,子どもは両手を使
用して,ものを回転することができるよう
になる。この行為によって,子どもはもの
を片方の手からもう一方の手に移して,も
のを完全に 1 回転させることができる。

月齢 9 か月~2 歳

ボール,太鼓のばち,積み木,
積上げ玩具,プラスチック組立
積み木


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

表 1-典型的な探索行動の例(続き) 

探索行動

対象年齢

説明に役立つ実例

挿入(体をも
のの中に)

子どもが 1 本の指を他の指から離すことが
できるようになったときに始まる。すなわ
ち,子どもが他の全ての指を伸ばすことな
く,1 本の指を伸ばすことができるときであ
る。そのとき,子どもは,指をものの中に
入れることによって,又は指をものの外側
に沿って走らせることによってものを探索
し始める。成長するにつれて,子どもは探
索するとき体の他の部分(手,足,脚,頭
など)及び体全体をものの中に挿入し始め
る。

月齢 6 か月~10 歳 ファスナのつまみ,差込み口,

プラスチック管,容器の口,段
ボール箱,犬用ゲージ,手す(摺)
り,仕切り柵の羽根板

挿入(ものを
体の中に)

子どもはものを自分の身体のくぼみに入れ
ることによって,環境内のもの及び自分の
体を探索する。

2 歳~6 歳

ビーズ,ステッカー,豆,綿棒,
ボタン,粘土,玩具の小さい部

強打

子どもは様々なものがどのような音を出す
かを聞くためにものをたた(叩)く。子ど
もはこれによって,ものの重さに関する感
覚をつかむ。

月齢 9 か月~5 歳

木のスプーン及び積み木,クレ
ヨン,積上げ玩具でポット及び
鍋をたた(叩)く。玩具は,一
緒に又は硬い表面上でたた(叩)
くことで音を出す。

落とす

ものを落とす行為は,子どもの生涯の非常
に早い時期に始まる。この種の探索によっ
て,子どもはものは視野の外にあっても存
在し続けること,及び親又はケアラーの行
為に何らかのレベルの制御性があり得るこ
とを学習し始める。

月齢 6 か月~3 歳

食器,おしゃぶり,ボール,小
さい玩具,落とすと跳ねる又は
音を出す玩具

投げる

子どもは握れるものを投げ始める。この行
為は,重さに関する情報を子どもに与える
だけでなく,運動技スキルの訓練及び力の
表現でもある。

1 歳~4 歳

ボール,フリスビー(回転させ
投げて遊ぶ円盤状の玩具)

,縫い

ぐるみ,子どもの手にぴったり
合う玩具,その他怒っていると
き何でも

ごっこ遊び

子どもはものを意図されたとおりに使用す
ることに満足しなくなると,ものに対する
様々な可能性の全てに手を出し,発見しよ
うとし始める。これは,子どもがそれまで
の全てのやり方を使って,ものに対して(や
ってもよい)限界を試し,最適なシミュレ
ーションを得ようとする実験にもなる。

3 歳~10 歳

着せ替え服,人形,恐竜の玩具,
自動車,汽車,ミニチュアの世
界(城,ドールハウス,キッチ
ンなど)

,看護師ごっこ又はお医

者さんごっこ

限界を試す

子どもはしばしば,ものに興味をもつこと
で,その限界を試そうとするが,そうする
ことでリスクも増大する。これらの疑問に
答えることは,子どもが,もの及びものに
生じる変形を理解することに役立つ。子ど
もは,これによってものの重さに関する感
覚をつかむ。因果関係及び自分に起こり得
るリスクについて,子どもの感覚は,十分
には発達していない。実際,この段階の子
どもはしばしば,自分を無敵であると感じ
ている。

3 歳~10 歳

遊具,ワゴン及び乗物玩具,ス
ポーツ用具。壁の上に乗ってバ
ランスをとり,木に登り,自転
車又はスケートボードを用いた
エアロビクス運動をする。


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

5.2 

子どもの発達に関する知識,危害防止への適用 

製品に関する規格を作成するときは,合理的に予見可能な,子どもによる使用を考慮しなければならな

い。5.1 に記載する特性は,子どもが製品とどのような関わり合いをもつかを予測するときの助けとなる。

例 1  保管容器を設計する:子どもは,例えば,保存袋,冷蔵庫などの容器に関連付けて自分の体の

大きさを探索しようとする。保管容器の開口部が,その中に頭部ではなく下半身を入れること

ができる場合,子どもは危害を受けることもある。全身を入れることができる場合は,通気が

必要である。そうでなければ,子どもは窒息の危険にさらされる。容器に水が入っている場合,

子どもは溺水の危険にさらされる。

例 2  電気装置を設計する:子どもは,せん(閃)光灯,音,ボタンにひ(惹)かれることがある。

そのため,例えば,鋭利なエッジ,取り込み部,小形部品,可動部品,バッテリへの接触路な

どの危険な構成要素を取り除くことが重要である。

例 3  子どもはしばしば,大人,高年齢の子ども及びメディアのキャラクターのまねをする:このこ

とは,通常は大人によって使用され,子ども向けではない製品を子どもが使用するようになる。

子どもがその動作の意味を理解していないと危険である。例えば,子どもは医薬品を弟及び妹

に与えたり,ロック装置を動かしたり,また,器具の電源を入れたりすることがある。

例 4  包装,特に包装が色鮮やかなもので,子どもをひ(惹)き付ける(例えば,玩具のような形状)

場合,子どもはその製品を使用しがちである。

子どもには,実物とイミテーション若しくは模型との違い又はいずれかが有害になり得るかを認識する

ことを期待することができない。漫画のキャラクターのように,子どもたちが魅力的なイメージをもつ製

品,又はそれ自体が漫画のキャラクターのようにデザインされている製品,例えば,ヘアドライヤ,ラン

タン及びたばこのライターなどの製品は,子どもが玩具のように扱うようになる。これは,不適切で不安

全な使用につながる。

5.3 

発達年齢と対比した実年齢 

子どもが直面するリスクを考える場合,実年齢が発達年齢と常に一致するわけではないことを理解する

ことが望ましい。すなわち,実年齢が同じ子どもでも,発達が大きく異なることがある。

例えば,ある狭い年齢幅においては,月齢約 12 か月で歩行できるベビーがいる一方,まだはいはいのま

まのベビーもいる。4 歳児の多くは,チャイルドレジスタントがあると認証された容器を開けることがで

きないが,4 歳児の一部は開けることができる。また,8 歳児の一部は,道路を横断するときに決められた

行動パターンに従っているが,他の 8 歳児は予測できない行動をとることがある。

5.4 14 歳以上 

この規格では,子どもは 14 歳未満の人と定義されている。ただし,この指針の適用範囲を超えることに

なるが,発達が 14 歳で停止するわけではないことを念頭におくことが重要である。自立しようとする意欲

がリスクを招く行動に結び付く可能性がある。成長及び脳の成熟は,通常,20 歳を超えても継続する。

子どもの安全環境 

6.1 

一般 

子どもの発達に加えて,物理的環境及び社会的環境も,子どもと製品との関わり合い方に影響する。自

然及び人工的環境,気候,言語,習慣,性格及び信仰,知識,並びに使用者の経験の全てが,製品の安全

に影響する。

危害の発生確率及びその度合いは,二人以上の子どもの存在及び関与によって増大する可能性がある。


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

例 1  トランポリン上での傷害は,子どもがトランポリン上にいるもう一人の子どもに,ぶつかるこ

とで生じることが多い。

例 2  大人の行動を模倣して,一人の子どもが別の子どもに薬を飲ませることがある。

例 3  一人の子どもが,仲間としてのプレッシャーをかけて,他の子どもにリスクを伴う行動をとら

せることがある。

注記  相当な割合の傷害が,本人以外の子どもの関与に伴うものである。

6.2 

物理的環境 

不衛生な環境での原料及び製品の製造及び保管は,汚染をもたらす。

製品が,複数の環境で使用されることを考慮することが必要である。製品は次の例のように意図してい

ない環境で使用されることがある。

-  簡易テント(ポップアップテント)が,屋内で遊び小屋として設置される。

-  (屋外用の)トランポリンが屋内で使用される。

-  屋内用電気装置が屋外で使用される。

-  屋外用発電機が屋内で使用される。

-  風化による劣化のおそれがある屋内用遊具が屋外に設置される。

-  医療機器,例えば,酸素ボンベ,除細動器,病院ベッドなどが家庭環境で使用される。

-  屋外用の花火が,屋内及び一部区切られた空間で使用される。

6.3 

社会的環境 

製品の設計者は,製造業者の本来の意図に反して現在子どもが使用している製品の場合を含め,発展し

つつある技術によって引き起こされる問題点,及びそれに伴って現れるハザードを理解して取り扱うこと

が望ましい。また,子ども用のものでも,意図した年齢よりも若い子どもに使用されている製品の例もあ

る。こうした製品には,実使用者の年齢を反映する製品設計がされていない可能性がある。

“ダウンエイジング”傾向がある。これは,“ませた子ども”とも呼ばれる。この傾向では,低年齢の子

どもが,従来は高年齢の子どもが使用していた衣服及び履物,宝飾,疑似ピアス,化粧及びデジタル式電

気機器を使用する。

両親及びその他のケアラーと子どもとの関係は,地理的,文化的又は人種的及び社会経済的な違いによ

って変わるものと考えられる。しつけ,見守り,安全意識などの文化的規範が異なることを理解すること

が望ましい。子どものライフスタイルは,地理的,文化的又は人種的,及び社会経済的状況によって絶え

ず変化する。例えば,子どもはだんだんと学校に行きたがるようになるが,一方で娯楽センター及び社会

活動センターに出かけて,コンピュータ,ビデオゲームなどの座ったままの活動に,ますます夢中になる。

思春期に近づくにつれて,仲間からのプレッシャー及びリスクをいと(厭)わない行動が,製品の使用

又は消費に影響するようになる。レクリエーション活動は,更に高い危害のリスクに結び付くことがある。

それは,“安全”といわれる機器によって十分に守られていると思い込む行動,スポーツ特有の競争的性格

からくる攻撃的行動,注意を引くための行動などによる。

6.4 

睡眠環境 

子どもは,かなりの時間を睡眠に費やしている。子どもは長時間,寝室で過ごすこととなるが,見守り

がない状態が長くなると,それは,異常で特殊な環境下に子どもが置かれることを意味する。同じ室内に

別の子どもがいることも考えられ,そのため,危害の可能性が増大する。

ベッド,ベビーベッド,又はその他の寝具は,子どもの実際の環境と同様に,子どもが眠っているとき

だけでなく,睡眠の前及び後の目覚めているとき及び長時間見守られていない場合でも,安全であること


14

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

が望ましい。

安全な睡眠環境は,ベビーベッド又はベッドが安全ということにとどまらない。ベビーベッド又はベッ

ドとともに使用する製品,例えば,家具及び備品並びに衣服,玩具などのその他の品目も考慮することが

望ましい。睡眠環境において考えられる多くのハザードは,箇条 に示す。

適切な組立て,維持管理の必要性,更にしっかりとした作りになっている製品の状態が維持されるか,

及び損傷を受けていないことの確認も重要である。これらの問題は,明確なラベル表示及び消費者向けの

注意書きによってサポートすることが必要である。寝具は,間違った若しくは危険な組立てを防止するよ

うに,又はそのような状態であれば直ちに明らかになるように設計されることが望ましい。

ベビーベッド及びベッドを含む家具の配置にも配慮することが望ましい。それは例えば,子どもがよじ

登って開いたままの窓に近づくような,危険な状況にならないように,窓覆いのひも[例えば,ブライン

ドのひも,カーテンタッセル(カーテンの房飾り)など]又はベビーモニターのコードのような危険な製

品に手が届くことがないようにすることを意味する。それによって,寝室内で安全な位置決めをするよう

に部屋を設計することができる。

多くの子ども用製品は,12 か月未満の子どもがその上に眠るのに使用するには適していない。例えば,

チャイルドシート,ベビーカー,ウォーターベッド,手す(摺)り付きベッド,スリングタイプのおんぶ

ひも,ハンモックなどがある。姿勢による窒息のリスクは,両親及びその他のケアラーにはほとんど知ら

れていない。

寝具製品は,

適切な組立て,使用及び維持管理を確実に行うための明確で分かりやすい注意書きを備え,

また,特に,当該製品の使用開始年齢及び終了年齢に関する適切な警告文を含めることが望ましい。

安全な睡眠とは,乳幼児突然死症候群(SIDS)を防ぐために,ベビーを仰向けに寝かせるということで

済むというものではない。ベビーがいるところでの室温,喫煙などの問題が関係してくる。SIDS 防止に関

する詳細な指針は,この指針の範囲とはしない。この点に関する指針は,保健専門家及び乳幼児の健康福

祉に関係している組織から入手することができる。

子どもに関連するハザード 

7.1 

一般 

子どもの安全環境(箇条 参照)に示した事実に鑑みると,製品に関係したリスクは,子どもにとって

は高くなることがある。製品関連のハザード,及びそれが子どもを傷つける可能性については,7.2 以降で

説明している。報告された傷害のパターンに基づいた多くの事例が,この規格の使用者にとってハザード

を理解する一助になるように提供されている。個々のハザードが複合して作用すると,それぞれのハザー

ドに個別に関連する傷害とは異なる,又はそれよりも重大な傷害を招くことがあることを認識することが

重要である。

技術の進歩,在宅勤務及び高度な在宅医療(例えば,ガスボンベ及びモニタリング装置の使用など)の

ようなライフスタイルの変化によって新たなハザードが出現し,子どもの環境に入り込んでくることがあ

るという事実も,同じように認識することが重要である。

一般に,ハザードを評価する場合は,全ての年齢層を検討すべきである。多くのハザードは,子どもは

もちろん大人にも当てはまるが,子どもは,例えば,化学的ハザード,温度のハザードなどから生じる危

害に対して特に敏感である。

ある製品の安全性を検討するとき,その製品が使用される状況を検討することが不可欠である。例えば,

ある製品を,実際に使用されることとなる典型的な状況とは異なる状況で試験した場合,その製品の実生


15

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

活における性能とは違ったものになることがある。同様に,浴槽でベビーが使用する椅子又は車のチャイ

ルドシートのように,ある製品が別の製品と組み合わせて使用するように意図されているか,又は使用さ

れると予想されるときは,リスクを最小限に抑えて,また新しいハザードが生じないように,両方の製品

を組み合わせた性能を調べることが望ましい。

製品は,耐用寿命又は意図した寿命を超えた時期を含めて,そのライフサイクルの様々な段階で,死亡

又は傷害の原因となることがある。製品を処分するとき,製品に新たなハザードを生じさせないことも不

可欠である。例えば,子どもは廃棄されたなどのボタン電池(コイン形リチウム電池を含む。以下,同じ。

を取り出し,飲み込むことがある。それと同時に,維持管理の必要性を最小限にした設計と,製品の正し

く時宜を得た維持管理とが伴って,製品のもたらすハザードを低減できる。

製品を保持するように,製品の一部として意図されたパッケージングは,製品の不可分の部分とみなす

ことが望ましい。例えば,保管容器に入れて提供される子ども用の積み木がある。保持されるように意図

されていない場合でも,包装は子どもの関心を引くものであるため,安全との関わりを評価することが望

ましい。

7.2 

機械的ハザード及び落下のハザード 

7.2.1 

隙間及び開口部 

接近可能な隙間又は開口部は,体全体又はその一部,及び服又は装身具のはまり込み又は巻き込みのリ

スクをもたらすことがある。はまり込み及び巻き込みは,硬質な製品だけに限られるわけではなく,ルー

プ状のロープのようなひも又は網でも発生することがある。図 は,はまり込み及び巻き込みの状況の図

解を示すものである。隙間及び開口部を評価するときは,既存の規格に定義されている適切な指差し込み

プローブ(試験指),胴及び頭の試験用固定ジグを使用することが望ましい。ここで考えられる潜在的傷害

には,打撲,切断及び首の絞付け(7.6 参照)が含まれる。頭又は体がはまり込んで,子どもが自分の体を

持ち上げて圧迫を逃れようとすることができないような状況に陥ることがある。頭がはまり込むと,特に

子どもの足が届かない高さの場合は,致命傷又は重傷を負うリスクが高い。

ベビーカー(ここでは,座った姿勢の子どもを乗せるストローラータイプを含む。),小形の移動機器及

び類似の装置は,子どもがこれらに出入りする間(例えば,折り畳んだり,広げたりするなど,一つの形

態から別の形態に変換される間に),その空間距離が変わることがあり得る。衣服を引っ掛けて巻き込んだ

り,窒息させたりするハザード,又はこうした動作の間に,押し潰したり,指又は爪先を切断するハザー

ドを引き起こす危険な隙間はなくすように設計することが望ましい。この問題点は,出っ張り及び突起

7.2.2 参照),並びに鋭利なエッジ及びせん(尖)端部(7.2.3 参照)にも関係してくる。

開口部のサイズが変化する場合は,7.2.6 も参照する。

頭のはまり込みは,次の二通りの方法で発生する。

a)

頭から先に,例えば,バルコニーの手す(摺)りにはまり込む,又はネットを登る。

b)  足から先に,例えば,二段ベッドの仕切りにはまり込む。

ベビーベッド及びベッドのスラット(すのこ状の床板)の間隔,並びにベビーベッドの組子(前後枠の

縦棒)の間の間隔は,身体がその隙間を通り抜けることができる場合は,頭がはまり込むリスクを防止で

きるものであることが望ましい。

身体又は首が挟まれると,息ができなくなることがある。

例 1  狭く,小さな開口部に顎が狭まった。

例 2  指が,スプリング機構,ブランコのチェーン,折り畳み機構などに挟まり,骨折,剝離,又は


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

指先への血流の停止が起きた。

例 3  子ども服のたるんだひも又は衣服から垂れ下がったリボンが,ひもが入り込むには十分に広い

が,トグルボタン又は端部の結び目が入り込むには狭すぎる,V 字形の開口部又は隙間に落ち

込んだ。トグル又は結び目が引っ掛かると,子どもの動きが突然止められた。ひもが服の首元

のものだと,子どもは喉を絞め付けられた。

例 4  一部の郵便受けのフラップドア(跳ね上げ式扉)など,落とし戸のような動作をする開口部で,

一方向には自由に妨げられることなく入ることができるが,反対方向に動こうとすると自動的

にそれが阻害されるようなものがある。

例 5  窓のブラインド及びカーテンのひもが,特に子どもの寝室で首の絞付けの原因になっている。

隙間及び開口部によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  隙間ができないようにする。

-  育ち盛りの子どもの人体計測データと関連付けて,隙間及び開口部の寸法を規定する。

7.2.2 

突起部及び突出部 

突起部及び突出部は,衝突したり,服又は装身具が巻き込まれたりする部位になる。その結果,首の絞

付け,裂傷,刺傷,身体の開口部への侵入,打撲などが生じる。突起部に引っ掛かるひも(衣服),ネック

レスなどのたるみは,子どもを窒息死させる原因となることがある。

例 1  子ども服,特にひも及びフードは,ベビーベッドのコーナーポスト,滑り台頂上の柱及び突き

出たボルトに引っ掛かることがあり,首の絞付けの原因となる。

例 2  遊具の頭とほぼ同じ高さに水平に突き出たポールで,頭に傷を負った。

例 3  浴室の玩具,シュノーケル又は車軸の端が車輪面から突き出ている車輪付き玩具の車軸の上に

子どもが転倒し又は座り,貫入傷又は刺傷の原因になっている。

例 4  遊具の突き出たナット及びボルトが,身体及び頭部に裂傷を与えた。

突起部によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  不必要な突起部を設けない。

-  突起部に丸みを付け,表面からの突き出しをできる限り小さくする。ハザードを評価するときは,試

験用のひも,チェーン又はその他の用具を使用するとよい。

7.2.3 

鋭利なエッジ及びせん(尖)端部 

鋭利なエッジ,せん(尖)端部又は角部と接触すると,裂傷,刺傷又は打撲ができることがある。子ど

もが家庭及び教育環境で出会う製品の多くは,その機能上の必要性を満たすために鋭利になっているもの

であったり,とが(尖)ったものであったりする(例えば,ナイフ,針,台所用具,庭又は車庫で使用す

る工具など)

鋭利なエッジ又はせん(尖)端部は,物体の破損によって生じることがある。家庭用品(例えば,飲み

物を入れる器,テーブル,その他の家具など)及び建築材料[例えば,ドア,窓,つい(衝)立など]と

して使用するガラスは,割れると特に危険なものとなる。成形プラスチック,せん断した金属板など,硬

質材料の取り除かれていない“ばり”及び“とがり”もよくみられる鋭利なエッジである。

鋭利なものを口に含み,その状態のまま歩いたり走り回ったりするのは,子どもにはよくある行動であ

る。

例 1  家庭のテーブル又は台所の調理台の小さな角部にぶつかると,顔の裂傷,歯又は目の傷害を負


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

うことがある。

例 2  子どもが,表面が“安全ガラス”でできていないテーブルの上に転倒して突き破り,大動脈に

裂傷を負って死亡した。ドア又は他の家具の“安全ガラス”でない垂直のガラスと衝突しても,

生命が脅かされる傷害を負うことがある。

例 3  もの,例えば,歯ブラシ又はフォークを口に含んだまま転倒すると,傷害が口蓋に及ぶことが,

又は気道が詰まることがある。

角部,エッジ及びせん(尖)端部によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられ

る。

-  裂傷のリスクを低減するために,露出したエッジをなくすか,ガードするか,丸みを付ける。

-  割れにくいガラスを使用するか,割れても破片で重大な傷を負うことがないようなガラス(“安全ガラ

ス”)を使用する。家庭内及びその他,子どもが自由に動き回るリスクが大きい場所には,建築材料と

してガラス以外の材料を使用することを検討することが望ましい。

-  ペン,鉛筆及び編み針のようなとが(尖)った物体への,低年齢の子どもの接触を制限する。

-  玩具の鋭利な部分は適切にガードするか,又は子どもが操作することが難しい道具を作り,子どもの

接触を制限する。

-  子どもが鋭利な道具を使えるようになったら,初めのうちはよく注意して見守るようにし,危険性の

少ない道具[例えば,刃先のとが(尖)っていないはさみ]を使用させ,使い方を教える。


18

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

図 1-隙間へのはまり込み及び巻き込みの例 

7.2.4 

安定性 

十分な安定性のない製品は,転倒して,その中にいる,その上に登っている,又は近くにいる子どもに

傷害を負わせることがある。危害の性質は,次の例のように製品の機能によって様々である。

a)

調理器具が倒れたときの熱湯などによるやけど

b)  家具,テレビなどの転倒による押し潰し

c)

不安定な自立式ランプが原因の火災によるやけど

身体部分

硬質

完全に閉ざされる

開口部

部分的に 
閉ざされ 
る開口部

非硬質

V 字形

突起

用具の 
可動部

全身

頭及び首

(頭から先に)

頭及び首

(足から先に)

腕及び手

脚及び足


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

例 1  テレビ台のような,重心が高い,最上部が重い,又はキャスタ付きの家具は,子どもが押した

り引いたりするとリスクを生じる。

例 2  一脚テーブルは,テーブル取付け部に椅子を取り付けると倒れることがある。

例 3  開いたままの皿洗い機若しくはオーブンの扉又はたんすの引出しは,よじ登るときの足がかり

として使用されると,危険状態を引き起こすことがある。

例 4  移動式ゴールポスト及び地面にしっかりと固定されていない遊具は,倒れて,死亡を引き起こ

すことがある。

例 5  不安定なタイプの石油ストーブは,その中の燃料及び炎のために特に危険である。

不安定性によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  予測可能な,どのような不安定荷重にも耐えられるように,重心を低くしたり,接地面との接触を確

実にしたりするなどの製品の設計。

-  潜在的に不安定な製品(例えば,移動式ゴールポスト,家具)に対して固定装置を設ける。

-  製品の転倒の影響を制限する(例えば,中身がこぼれないマグカップ)。

7.2.5 

構造的な堅ろう性(機械的強度) 

構造的な堅ろう性に問題があると,製品の破損,小部品の飛び出し及び他のハザードの誘発につながる。

これは,骨折,体内の傷害,裂傷,小部品での喉の詰まりなど,幅広い傷害を引き起こす。

維持管理が適切でないか又は十分でないと,製品はその寿命中に故障することもある。

製品によっては,一度限り(例えば,洋服ダンス,自転車,又はフェンスのような環境構造物)であれ

又はその都度(例えば,折り畳み式ベビーカー)であれ,組み立てるか又は据え付けるように意図されて

いるものがある。組立式製品の安全性は,製品の設計,説明書の適切さ及び組み立てる人の技量に依存す

る。使用するたびに組み立てる製品は,正しくロックできないことがあるロック装置を含むことがある。

同じように,子どもが触れてロックが外れることもある。ロック装置ができるだけ子どもに触れられない

ように,又は子どもが操作できないようにするために安全装置を設けることが望ましい。ロック装置が正

しくロックされていないとき,このことが使用者に明確になることが望ましい。

例 1  子ども及び大人が頑丈と感じたガラス張りのコーヒーテーブルの上に,彼らが立ったり座った

りしたとき,子どもが致命的な裂傷を負った。

例 2  不適切な組立て,点検又は維持管理によって,遊具は壊れることがある。ブランコが壊れたと

き,死亡事故が起きた。

例 3  ロックが不適切であったため,子どもを乗せたベビーカーが壊れ,子どもは指先を切断するに

至った。

例 4  トランポリンネット又はマットを長年,日光にさらしておいた場合のように,製品の重要部品

の劣化が,構造上の破壊を引き起こすことがある。

構造的な堅ろう性に起因するリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  製品の使用者が製造業者の意図よりも高年齢又は高体重であるかもしれないことを認識して,不安定

な形で倒壊したり,破壊されたりする可能性を最小限にするよう,適切な安全係数を用いて製品を設

計する。

-  不具合があったとき,製品が危害を生じる可能性がないように製品設計をする。

-  一人又は複数の子ども又は大人が上に腰掛けたり,立ったり,又はよじ登ったりすることができそう


20

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

な製品については,製品が実際にそうした荷重を支えられるかどうか確認する。

-  例えば,最大荷重を含め,製品の正しい使用について,製品にラベル表示して消費者に注意を促す。

-  維持管理の必要性が最小限となるように製品を設計する。維持管理が必要な場合は,適切な取扱説明

書を提供する。

-  設計及び維持管理においては,製品劣化の影響を小さくするよう,製品が設置される環境条件を考慮

に入れる。

-  ロック装置の使い方を含めて,不完全な又は誤った組立てができないようにするか,又は不完全さ及

び誤りが一目で分かるようにする(例えば,誤って組み立てた場合,製品は使用できないことが望ま

しい。8.2 も参照。)。

-  調整部又は附属品の取付位置変更部をもつ多目的又は複数の形態をもつ製品は,一つの形態から別の

形態に変換されるときにハザードを生じないようにする。

-  ロックしなければ壊してしまうような製品のロック機構は,子どもが操作できないようにする。

製品は,壊れることなく,過負荷に耐えられることが望ましい。

試験方法は,製品の耐用年数を通じて合理的に予見可能な使用を反映したものであることが望ましい。

7.2.6 

発射体及び可動又は回転体 

可動体との衝突は,挫傷,体内の損傷,骨折などを引き起こすことがある。傷害の度合いは,物体の質

量及び速度に関連する。物体の形状及び材料が要因として影響することもある。

交通事故による同乗者及び歩行者への傷害は,子どもが死亡に至る非常に大きな原因となる。車両によ

る死亡及び傷害の可能性を減らそうという試みは,更に優れたチャイルドシート及びエアバッグのような

二次的予防策に焦点が当てられてきたが,一次予防の取組みも,見過ごすべきではない。そこには,安全

走行の可能な道路の設計,子どもがいるかもしれない区域での速度制限,照明の改善,歩行者用及び自転

車用の保護された道路の設置などが含まれる。ただし,これらだけに限定されるものではない。

可動体又は回転体(例えば,扇風機の羽根,フードカッターの刃,ヒンジ機構)との接触は,裂傷,外

傷性切断又はその他の重大な傷害を引き起こすことがある。このような接触は,髪の毛,服又は装身具が,

例えば,エスカレータ,スキーヤーをロープで上まで引っ張っていくような装置としてのロープリフト,

リフト(エレベータ)又はバスの扉に挟まれたり,又は巻き込まれたりして,頭皮の剝離,ひきずり又は

首の絞付けを引き起こすことがある。さらに,例えば,閉じる車庫の扉,自動車の電動窓,折り畳み式椅

子,ベビーカーのフレームの中など,操作中に大きさが変わる隙間に体の一部が挟まることに,特に注意

することが望ましい。

発射体の飛来進路は,必ずしも予測できるわけでなく,また,その衝突時のエネルギーは比較的小さな

面積に集中する傾向があるため,特に危険なものになり得る。

例 1  回転部を備えた農耕機械に子どもの髪の毛が引っ掛かり,巻き込まれて,毛が引き抜かれ,頭

皮が剝がれた。

例 2  台所用品によっては,可動部及び回転部を組み込んだものがある。指の裂傷及び切断が,研磨

機,ミキサー及び類似の器具に関係していた。

例 3  子どもの脚及び手が,回転木馬のような動く遊具の間に挟まれた。

例 4  子どもの指,手,脚,服及び装身具が,エスカレータ及びリフト(エレベータ)に挟まれた。

例 5  防護が不十分な自転車の車輪のスポークは,同乗させている低年齢の子どもの脚に多くの傷害

を負わせている。


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

例 6  ヒンジ付きのドアは,特にドアのヒンジ側で,子どもに多くの傷害を負わせる。

例 7  例えば,電動の車庫の扉,自動車の窓など,隙間の大きさが変化すると,子ども又はその手足

が潰されることがある。

例 8  腰ひもが車両のドア,リフト(エレベータ),エスカレータなどに挟まれて,子どもが引きずら

れた。

例 9  ランニングマシンのような可動又は回転物体と接触すると,摩擦熱によるやけど及び擦り傷を

受ける。

可動部及び回転部によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  子どもと製品とを離しておく。

-  可動部の質量又は速度を制限する。

-  製品の動きを停止するか,又は逆転させる適切な手段を設ける。

-  衝突が起きたときに,エネルギーを吸収できる手段を設ける。

-  可動部又は回転部を,例えば,収納したり又はガードを設けたりして,これらに子どもの手が届かな

いように製品を設計する。

-  傷害を予防できるように,可動部品間の距離を十分に大きく,又は小さくする。距離は,人体計測デ

ータに基づくことが望ましい。

-  セーフティロック,又は子どもが操作できないようなその他の安全装置を取り付ける。

7.3 

落下及びその他の衝突による傷害 

ベビーが動けるようになるとすぐに,落下による傷害が生じる。子どもは,歩けるようになる以前から,

高い所に登ろうとすることが多い。激しい遊び及びスポーツによる衝突で,危害が生じることがある。

高い所からの落下及びその他の衝突は,体内(例えば,脳及び他の内臓)の傷害,及び特に頭,腕又は

脚の骨折を引き起こす。危害の種類及び程度は,落下する高さ,落下中にぶつかる物体,子どもが着地す

るときの向き,子どもの体重及び子どもが着地する面の性質に左右される。他の所では,壁,屋根,崖又

はその他の屋外環境からの落下によって,重大な傷害が生じることがある。

例 1  家庭内では,接近できる開口部(例えば,窓,ドア)及び階段の下りで,最も重大な落下事故

が発生する。

例 2  子どもが,下を通過したり,その間を通り抜けたり,又は乗り越えることができるバルコニー

の手す(摺)りは,致命的な落下事故の原因となる。

例 3  遊び場では,子どもが自分の能力に合っていない設備を使用するときに落下することがある。

例 4  スポーツ及びレジャーに伴う骨折は,子どもの年齢が高くなり,衝突の結果として落下が起き

るような活動に参加するにつれて増加する。

例 5  ベビーは,ハーネス(固定用ベルト)を備えていない又は側面の防護がないおむつ替えテーブ

ルから落下することがある。

例 6  不適切な履物,例えば,かかとの高い靴を着用した子どもが転倒することがある。

危険な高さによるリスクを回避又は低減するための戦略は,落下を防止すること及び落下の結果を低減

することの両方が含まれる。

落下は,次のことで防止できる。

-  バルコニーに効果的な対策をする。


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

-  設計によって,例えば,水平ではなく垂直の設計要素を用いて(ただし,足掛かりはなくして),また,

障壁となる仕切りを組み入れて,子どもがよじ登る可能性を低減する。

-  階段の最上段及び最下段への接近を防止する。

-  建物には,窓の防護物及びロック装置を取り付ける。

-  子どもが確実に握れるようなサイズの構造物を用いる。

-  ベビーベッド,背の高いベッド又は遊具などの製品の周囲には,適切な高さの手す(摺)り及び障壁

となる仕切りを設ける。

-  製品(例えば,遊具)の適切な使用に関する,特に,年齢,身長,体重などに関する取扱説明書を提

供する。

落下による傷害は,次のことで低減できる。

-  落下のリスクがある高さを低くする,子どもが落下しても危険なものと接触しないように製品を設計

及び据え付ける,又は衝撃吸収性のある表面材料を取り付ける。

-  適切な安全用具及び環境を設計する。

-  スポーツ又はレジャー活動におけるルールは,参加者の能力及び発達段階を確実に反映したものとす

る。

7.4 

溺水のハザード 

子どもは水にひ(惹)かれるが,その体力は水への興味と一致しない。溺れるとき,子どもは大声で叫

んだり,大きな音を立てたりしないことが多い。事実,事故は全くの沈黙の中で起こり得る。乳幼児は極

めて溺れやすい。水位が低くても,子どもの顔の部分が水に隠れると致命的となる。

子どもの環境,発達及び能力のレベルは,溺れるリスク及び場所に影響する。子どもは重心が高いため,

プール,バケツ,便器,浴槽などに落ちるリスクが大きくなり,その結果,溺れるリスクが大きくなる。

また,子どもは,髪の毛又は体の一部がプール又は温泉の排水口に引き込まれて溺水したこともある。

例 1  子どもがプールのカバーを歩いて渡ろうとして,底にたまった水の中に落ちて,又は水と地面

との境界が植物に覆われて分からなくなった庭の池に落ちて,溺水した。

例 2  低年齢の子どもが,ケアラーのまね(真似)をして洗濯をしようとして,洗濯物を上部から出

し入れする洗濯機の中に落ちた。

例 3  子どもが不透明なプールのカバーの下に落ち込んだ。

例 4  子どもが少しの水が入ったバケツの中で溺れた。

例 5  水の中,例えば,バスシート(子ども用浴室椅子)の中で一人にされて,子どもが溺れた。

溺れるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  子ども,特に幼児及び低年齢の子どもが,スイミングプール,庭の池,バケツなどの家の中及びその

周囲にある水場へ近づくのを防ぐ。

-  水槽,井戸及びその他の貯水場所を,子どもが操作できない蓋で覆う。

-  浴槽内に乳幼児を一人で放置しないように警告し,また,バスシートが安全装置ではないことを強調

する警告を行う。

-  しっかりと注意して見守ることが容易なものとなるように,見通しのよい水場環境を設計する。

-  柵の補助として,アラームなどの警報装置を設計する。

-  例えば,玩具などの規制外の個人用の浮き輪には,これを安全用具として使用してはならないという


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

ような適切な警告を必ず付ける。

-  水中スポーツでは,子どものサイズ及び体重に適した,認証された救命胴衣を子どもに着用させる。

-  水中又は水の周囲にいるとき,子どもをケアラーの視界内及び手の届く範囲内にとどめておく。

-  泳ぎを知らない子どもたちは,水中又は水の周囲にいるとき,認証を受けた浮き用具を着用する。

さらに,スイミングプール,バスタブ,親水公園及び類似の状況に関する戦略としては,次の事項が含

まれる。

a)  (吸込み口の)表面積を大きくして,吸込み力を減らす。

b)  複数の吸込み口を設ける。

c)

排水口を流れる有効流量を減らす。

d)  装身具,指,爪先,衣服又は髪の毛が引き込まれないように,排水口の格子のサイズを決める。

e)

詰まったときに吸込みを遮断するための,安全スイッチを設ける。

f)

身体各部に適合しないサイズのケージ(凸形格子)を吸込み口に設置して,強い吸込み力を低減する。

7.5 

窒息のハザード 

7.5.1 

一般 

子どもは,自分自身の全身又は体の一部をものの中に入れて,その環境を探索する。子どもは,呼吸す

る能力を制限するか又は酸素の摂取を制限することがある非透過性材料で,自分自身の全身又は体の一部

を覆うことがある。さらに,ベビーの姿勢によって窒息することがある。ベビーの頭は比較的重く,首が

弱いので,座位姿勢時に頭が支えられず,呼吸を妨げることがある。彼らが不適切な表面,例えば,柔ら

かすぎるか又は極度に傾斜している面の上で眠る場合も,こうした事態が起こり得る。

7.5.2 

柔軟な性質のもの 

空気を通さない柔軟な性質のものは,特に,低年齢の子どもに対する窒息リスクをもたらす。遊んでい

るとき,彼らは,その柔軟な性質のあるもの又は物体を顔又は頭にかぶせたり,又はその上に寝そべった

りすることがある。

このリスクをもたらし得る製品には,顔の形になるもの,又は鼻及び口を覆う柔軟な性質のものがある。

例  子どもがポリ袋で頭又は顔をすっぽり覆うと,窒息及び脳に回復不能の損傷が生じることがある。

柔軟な性質のものによるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  柔軟な性質のものの大きさを制限し,鼻及び口を覆うことができないようにする。

-  通気穴を設ける。

-  特に,生後 12 か月までのベビーには,柔らかい寝具,枕及び軟質の玩具の使用及び接近を制限する。

-  マットレスは,ベビーベッドにしっかりと固定し,また,隙間なく合うようにする。

-  柔軟性の低い材料を使用する。

7.5.3 

閉じ込められた空間 

空気を通さない密閉空間は,窒息リスクをもたらす。遊んでいるとき,子どもは製品の中に自分自身の

全身を潜めることがある。

このリスクをもたらし得る製品には,おもちゃ箱,古い冷蔵庫,携帯用保冷ボックス,車のトランク及

び保管袋が含まれる。

囲われた空間によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。


24

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

-  空間の大きさを,子どもが入れないものに制限する。

-  囲われた空間に適切な通気を提供するための,通気穴を設ける。

-  製品を内側から開けられるように設計する。例えば,冷蔵庫,車のトランク,保管袋。

7.5.4 

マスク並びに半球形及び類似の物体 

ごっこ遊びの一環として,子どもはマスク及び半球形の物体を顔にかぶり,空気の流れを遮断する。使

い捨ての食品容器,包装材料,お面及び模造ヘルメットがこの例である。

口及び鼻の気道閉塞,又は顔の吸引によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えら

れる。

-  物体のサイズを制限して,鼻と口の両方を覆うことができないようにする。

-  適切な空気の流れを得るための通気穴を設ける。

-  鼻及び口を密封することを防止するように,形状を変える。

7.5.5 

姿勢による窒息 

首の座らないベビーが座位又は立位に置かれたとき,頭部は前方に倒れ,その気道が制限される原因と

なる。

例 1  傾斜型揺りかご,チャイルドシート,だっこひも及びベビーカーは,乳児の場合,特に十分な

頭部支持がされていないことがあり,乳児の頭部が長時間にわたって前方に倒れるようになる。

同様に,ベビーが柔らかい表面上に置かれたとき,二酸化炭素の再吸入が起こり得る。

例 2  柔らかい表面の例は,ウォーターベッド及びビーンバッグチェア(豆袋形のソファー)である。

姿勢による窒息のリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  頭部が支持されるように,製品を設計する。

-  保健専門家及びケアラーに情報を提供する。

-  製品に警告を表示して,睡眠に使用しないことが望ましいことを示す。

7.6 

首の絞付けのハザード 

首の絞付けは,二つの異なる結果を生じ得る。一つは,肺への空気の供給が制限されることである。も

う一つは,脳への酸素供給の妨害である。これは通常,柔らかいひも,V 字形の開口部,ヘルメットの顎

ひも,衣服の首開口部,衣服,袋などの品目に付いている引きひも,宝石又はその他首の周りにかける品

目,クライミングネット(遊びで登る網),ひも付きの窓のブラインドなどによって引き起こされる。首の

絞付けは,複数の要因が結び付いて生じることが多い。例えば,子どもの活動及び探索,ケアラーが絞付

けのハザードを認識していないこと,不適切な製品設計。

例 1  子どもの衣服の留められていないひも又はリボンが,ひもには十分に広いが,端にあるボタン

又は結び目には狭すぎる V 字形の開口部又は隙間に落ち込み,ボタン又は結び目が引っ掛かっ

てしまうと,子どもの動きが急に止められる。ひもが衣服の首元にあると,子どもの首が絞め

付けられる。

例 2  子どもの衣服,特にひも及びフードは,ベビーベッドのコーナーポスト,滑り台上のポスト及

び突き出たポストに引っ掛かることがあり,その結果,首が絞め付けられることとなる。

例 3  窓のブラインド及びカーテンのひもは,子どもの寝室にある場合は,特に首が絞め付けられる

ことを引き起こしてきた。

例 4  自転車用ヘルメットを着用した子どもは,体を通すが,ヘルメットをかぶった頭部が通過しな


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

い遊具で遊ぶとき,ヘルメットの顎ひもで首を絞め付けることがある。

戦略には,次の事項が含まれる。

-  衣服を引っ掛けるような突起物のない,二段ベッド,ベビーベッド及び遊具を生産する。

-  ひものない窓覆いを使用するか,危険なループ又は危険な長さをなくしたひもを付けた窓覆いを使用

する。

-  子どもが近づける窓覆いのひも(例えば,ブラインドのひも,カーテンタッセルなど)については,

危険なループ又は長さを防止するような,安全装置を生産する。

-  特に,首の位置にひものない子ども服を生産する。

-  力がかかると切れるようなネックレスを作る。

-  首の周りに着用する製品の首の絞付けハザードについて,ケアラーを教育するか又は警告を添付する。

-  遊具(例えば,滑り台)にロープを装着することのハザードについて意識を高める。

7.7 

小さな物体及び吸引によるハザード 

7.7.1 

小さな物体 

小さな物体及び製品の一部は,特によちよち歩きの幼児及び低年齢の子どもにとって,潜在的に重大な

ハザードをもたらす。小さな物体は,気道,気管及び食道に入り込んで,肺への空気の流れを遮断し,窒

息をもたらす。丸みのある(例えば,球形の)物体も,口の奥の気道を塞ぎ,同様に窒息をもたらすこと

がある。ゴム風船などの喉に張り付く物体は,特に危険である(口に入れた場合)。

子どもは頻繁に,複数の部品を同時に吸い込んだり,又は飲み込んだりする。次のような危険な状況が

発生することがある。

a)

飲み込んだり,又は吸い込んだりした物体が,気管又は気道内の奥深くにつかえ,窒息の原因となる。

b)  物体は,飲み込まれて,食道の大動脈弓につかえ,気道の閉塞の原因となり,窒息することがある。

c)

食道につかえたボタン電池は,ボタン電池の周囲の組織を溶かしてしまう追加的なハザードである。

d)  ボタン電池は,鼻孔のような体の穴に挿入されたとき,又は飲み込まれたとき,閉塞,液漏れ,腐食

又は局部的な有害電気化学反応が起きる原因になることがある。

e)

磁石は,飲み込まれて,内臓を損傷させることがあり,これは致命的なものになることがある。

f)

複数の小形磁石は,飲み込まれたとき,互いに引き合って小腸を損傷することがある。

g)

物体は,飲み込まれて,食道,胃又は腸の閉塞又はせん(穿)孔のリスクをもたらすことがある。

h)  物体は,体の他の穴の中に挿入されて,苦痛,腫れ,閉塞又は病気を招くことがある。

例 1  唾液と混ざり合うと大きさ,形状又は構造を変化させる物体は,気道を塞ぐことがある。

例 2 12 歳になる子どもの間でも,食べ物の付録に玩具のような食べられない製品が入っていたため

に,その食べ物を食べているとき,その小形部品を飲み込んでしまった,又は摂取してしまっ

た。

例 3  空気が入ったか,又は空気が抜けたゴム風船などの柔軟な物体が,気道につかえたままになっ

た。

例 4  しばしば,高年齢の子どもは,万年筆,ボールペンなどのキャップを口にくわえることがある

が,その形状のため,飲み込みやすい。

例 5  子どもは,小さな果物をそのまま飲み込んだり,果物の種をそのまま飲み込んだりすることが

あり,これらが喉に詰まることがある。


26

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

小形部品によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  小形部品を排除する,特に,球状,円すい(錐)状などの形状は,可能であれば避けることが望まし

い。

-  合理的に予見可能な使用中でも磁石,電池などの小部品が飛び出すことを防止する。

-  低年齢の子どものハザードについて,消費者に対して,年齢にふさわしい指導及び警告を与える。

-  子どもがものを飲み込んでも呼吸することができるように,連続的な空気の通り道を確保するような

二次予防への戦略を適用する。

-  子どもの電池への接近を防止する。

-  低年齢の子どもが誤って食べてしまい窒息するようなリスクを低減するために,食べ物に外観が似て

いるような小さな部品(例えば,ボタン,アクセサリ)は使用しない。

7.7.2 

吸引 

例えば,浴室の玩具,玩具の矢,ダーツなどの製品に付いている吸盤が体の一部に当たって,あざがで

きた。これが目の場合だと,傷害は非常に重大になり,失明に至ることがある。

例 1  スイミングプールの排水口の上で,しゃがんだり又は座ったりしている姿勢で引き込まれ,子

どもが腹部を引き裂かれた。

例 2  内側にくぼんだ形,ドーム形又は半球形の玩具が鼻又は口にぴったりとくっついてしまい,低

年齢の子どもが窒息した。

例 3  子どもが,吸盤を体の一部(目など)の上にくっつけた。

吸引のリスクを回避又は低減するための戦略は,例えば,身体若しくは眼か(窩)に吸着しないような,

又は鼻及び口を覆わないような,例えば,複数の小さな吸盤などの吸盤の設計がある。

7.8 

火災のハザード 

7.8.1 

裸火 

例えば,暖炉及びろうそくの裸火は大人にとっては明白なハザードであるが,子どもを魅了することが

ある。これまでの統計から,子どもは 2 歳頃から火を付けるようになり,マッチ又はライターで遊んでい

て傷害を負っている。この遊び行動は,炎若しくはライターに対する魅力に由来することも,又は大人の

行動をまね(真似)しようとする試みに由来することもあり得る。

障壁となる仕切りは,子どもが火に近づくことを妨げたり,又は火の中にものを投げ入れたりできない

ようにするだけではなく,火元から燃えさしを取り出せないようなものとすることが望ましい。

例 1  低年齢の子どもは,バーベキュー及び裸火の輝き及び炎に魅了されるため,やけどすることが

ある。

例 2  エアゾールは,炎の近くで噴霧すると,可燃性の溶剤が尾を引いてくることがある。

例 3  子どもがライターで遊んでいて,大きなやけどを負い,また,家を焼いた。

裸火によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  子どもにとって操作が困難なように(すなわち,チャイルドレジスタンス),子ども対策をライター及

び他の発火源の設計に盛り込む。

-  子どもをひ(惹)き付けるような外観を備えたライター及び他の発火源の設計(例えば,親しみのあ

る漫画のキャラクター,玩具に似たもの)は,採用しないようにする。反対に,玩具又はあめ(飴)

の容器をライターに似たものにすると,子どもに,ライターが子どものためのものという印象を与え

てしまう。


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

-  家庭内の暖炉の炎に対しては,障壁となる仕切りを用いる。

-  点火源に関する,それほど明確でないハザードについて,ケアラーに警告する[例えば,子どもは炎

にひ(惹)き付けられる,炎が直ちに視認できない,ゆったりとした服に着火することがある,子ど

もはやけどに対してぜい(脆)弱である]。

7.8.2 

燃焼性及び燃焼特性 

火災は,不慮の傷害又は死亡の主要原因の一つである。可燃物は,裸火,高温又は火花にさらされたと

き発火するが,自然発火することもある。着火の容易さ,燃焼速度及び自己消火性は,火災が広がるか又

は鎮静化するかを左右する要因である。

例 1  ゆったりとした服は,ぴったりと合った服よりも,火が付くリスクがはるかに大きい。

例 2  高年齢の子ども,特に男児は,可燃性液体を使って火を付ける実験をする。子どもが発火源の

近くにいる場合,可燃性液体が服の上にこぼれると,ひどいやけどを負うことがある。

燃焼性及び燃焼特性によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  材料の選択及び設計によって,着火の容易さを制限する。

-  次の材料を選ぶことによって,延焼を制限する。

-  自消性である。

-  延焼速度が遅い。

-  密閉空間を使用して,火災を封じ込める。

注記  難燃剤は,その化学特性のために新たな問題を起こすことがある(7.10 も参照)。その使用は,

国又は地域の規制によって制限されることがある。

7.9 

温度のハザード 

7.9.1 

高温及び低温表面によるハザード 

高温又は低温表面との接触は,熱傷を招くことがある。表面が高温又は低温になるのは,内部コンポー

ネント(例えば,エンジン,バッテリ,冷却剤)のため,又は太陽若しくは冷気への外部暴露のためであ

る。表面温度を決定するのは,材料の吸熱又は熱反射特性であり,熱エネルギーの伝達を決定するのは熱

伝導性である。表面の設計にはいろいろあるが,高温になるように設計されているものもあれば(例えば,

電気プレート,電熱調理器の天板),低温になるように設計されているものもある(例えば,冷凍庫)。子

どもは,高温又は低温に関する傷害の可能性を認識する能力が限られているため,高温又は低温表面に触

ろうとする。高温又は低温の製品及び器具は,高温又は低温であることを示すことなく特有の問題を提起

する。

注記  IEC Guide 117 は,熱エネルギーの伝達について,更に多くの情報を提供してくれる。

例 1  直射日光の照り付ける滑り台は,接触やけどを引き起こすのに十分な高温になる。

例 2  加熱調理器のセラミック製の天板のような加熱された器具は,スイッチを切った後も高温のま

まであるが,子どもには,このことが分からない。

例 3  オーブンの中のライトは,低年齢の子どもを魅了するかもしれない。

例 4  電気ヒータの白熱する赤いバーに,低年齢の子どもは自然とひ(惹)かれる。

例 5  非常に低温の手す(摺)り,背負い式のパイプ式子守具の金属部分,又は冷凍庫から取り出し

た冷凍食品をなめて,低年齢の子どもが傷害を負った。

例 6  子どもの皮膚は大人の皮膚よりも敏感であり,また,子どもの体の表面積対体積の比は過度の


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

熱を容易に吸収するため,子どもには電気毛布又は電気敷布が不適切なことがある。

高温及び低温表面によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  本質的に発熱性のある器具には,自動停止装置及びタイマーを取り付ける。

-  環境に暴露される製品(例えば,遊具,スイミングプールのデッキの表面,ドア,チャイルドシート,

屋外家具)には,吸熱又は吸冷性が低いか又はエネルギーを伝達しにくい材料を使用する。日よけの

備えなどの適切な設備及び適切な取扱説明書に従った製品の使用によって,傷害は減少できる。

-  高温又は低温表面による接触やけどを減らすために表面温度を下げる又は上げる。さらに,障壁の追

加,又は温度変化の視覚表示器を追加する(ただし,低年齢の子どもにとって,表示器は何の意味も

もたない。また,表示器は子どもにアピールするようなものでないことが望ましい。)。

-  子どもが高温表面に注目しないようにする。

-  その機能上から,高温になることが必要な表面は,使用後,速やかに温度が下がるようにする。

-  障壁となる仕切りを設けて,薪ストーブ,電気ヒータの高温素子など,高温又は低温の表面に近づけ

ないようにする。

7.9.2 

高温流体によるハザード 

子どもは,特に蒸気を含む高温流体が熱傷の原因となる。子どもは,特に台所,食堂,浴室近辺などで,

熱傷のリスクにさらされる。それは,彼らの探索傾向が強いためである。

例 1  熱い飲み物を入れるカップは,簡単に倒れることがある。

例 2  子どもは,テーブルクロス並びにテーブル及び調理台から垂れ下がった電気コードのようなも

のを引っ張り,高温流体の入った容器を自分の体の上方に引き寄せる。

例 3  ベビーは,大人のケアラーが持っているカップをつかむ。

例 4  子どもは,見守りがない状態でお湯の張ってある浴槽に落ちたり,自分又は兄弟姉妹が温水の

水栓を開いたりすることで,浴槽で熱傷を負うことがある。低年齢の子どもは,手遅れになっ

て大人の助けを借りなければ浴槽から出られなくなるまで危険に気付かないかもしれない。

例 5  炊飯器は,熱傷を起こすのに十分な蒸気を発生する。

例 6  電子レンジは,沸騰していることが見えない状態で,液体過熱を引き起こすことがある。

例 7  電子レンジは,子どもが高温の食品をレンジから取り出すときに,自分でかぶってしまうリス

クを増すような高さに置いてあることがある。

高温流体によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  こぼれにくいティーカップ若しくはコーヒーカップを使用する,又はこぼれるのを防ぐ蓋を追加する。

-  ケトル,コーヒーポット及び揚げ物用器具のような容器の安定性を高める。

-  電気ケトルのコードを台所の調理台の端から垂れ下がらないようにするか,又は容易に抜けるコード

を用いる。

-  使用できる高温流体の量を制限する。

-  温水ヒータの温度を安全なレベルに設定しておく。

-  蛇口から出る水の温度を調節する自動温度調節式混合弁を使用する。

-  蛇口から出る熱湯による熱傷の潜在的な危険性を消費者に伝える。

7.9.3 

溶融挙動(固体が液体になる性質)によるハザード 

ある種のプラスチックのような一部の固体製品は,加熱すると軟化し,一部のものは液化する。軟化し


29

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

た固体又は高温の液体に皮膚が触れると,皮膚への接触面積及び接触時間が必然的に増大するために,ひ

どい傷害を引き起こす原因になる。大人は,この種の変化に関連したハザードを知っていても,子どもは

知らないこともある。

例 1  溶けたろうそくのろう(蝋)は,子どもにやけどを負わせるか,又は子どもが火の付いたろう

そくを落とす原因になる。

例 2  テント又は衣服に使用する合成繊維は,燃えると溶け出し,使用者の上にしたたり落ちるか又

は付着する。

溶融挙動によるリスクを回避又は低減するための戦略は,溶融若しくは軟化し得る材料を封じ込めるか,

又は代替材料を使用することである。

7.9.4 

高体温及び低体温のハザード 

子どもが高温の環境(例えば,部屋又は車内)に置かれると,過熱状態(深部体温の上昇)が生じるこ

とがある。室温と発熱する製品(例えば,羽毛布団,ベビー用電気毛布)との組合せは,一つのハザード

となる。これは,乳幼児突然死症候群に関した一つの要因である。

子どもは,大人よりも急速に熱を吸収又は喪失し,また,高温及び低温に影響されやすいが,子どもは

そうしたことには気付かないまま,うまく対応できないことがよくある。

体温の低下は,低温貯蔵庫に閉じ込められること,又は非常に寒冷な気候で,家にたどり着けないよう

なことで生じる。一部の製品は,深部体温を安全レベル以下に低下させる可能性がある[例えば,エキス

トリームスポーツ(過激なスポーツ)用衣類]。

例  炎天下の車内に取り残された子どもが,高体温で死亡した。

高体温及び低体温によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  室温を制御する装置を使用する子どもが高温又は低温の環境に放置される可能性を最小限にするよう

に,製品の設計を検討する(例えば,自動車,チャイルドシート)

-  毛布及び類似の製品に,過熱の警告を付ける。

7.10 

化学的ハザード 

ハザードとしての化学物質への暴露は,ごく短時間のこともあれば,長期間にわたることもあり,その

影響は急性的なものも又は慢性的なものもある。暴露は,製品の寿命が尽きるまで発生する可能性がある

が,製品が処分された後にも発生することがある。また,家庭の改築,クリーニングなどの間に起こるこ

ともある。

潜在的危害には次の事項が含まれるが,これらに限定されない。例えば,中毒,外的及び内的化学熱傷,

アレルギー反応,慢性病,臓器傷害,がん,化学性肺炎,生殖機能の傷害がある。

例 1  家屋の火事は,しばしば,死亡事故の原因となる有毒物質を放出する。

例 2  子どもは,家庭用化学物質,医薬品又は殺虫剤を飲み込んだり,吸入したりした後,治療が必

要になることが多い。

例 3  子どもが,強い洗浄剤又は電池との接触若しくは吸入によって,化学やけどを負った。

例 4  皮膚と接触しているラテックス及びニッケルは,アレルギー反応を起こすことがある。

例 5  特定の重金属に長期間さらされると,健康に悪影響を生じることがある。

例 6  適切に処分されなかった製品及びアルコール飲料に,子どもが接近した。

例 7  危険な化学物質が,清涼飲料ボトルなどの不適切な容器に移された。

例 8  例えば,子ども用家具又は遊具,窓台,その他の家庭内の各所の鉛塗料など,子どもが接近す

る物体上には毒性塗料が含まれることがある。


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

例 9  家を改築しているとき,子どもが潜在的に有毒な粉じん又は煙にさらされていた。

例 10  ガス,オイルヒータなどの発炎器具は,維持管理が適切に行われず,適切な換気がないと,一

酸化炭素を発生させる。

例 11  マットレス,布又は革張りの椅子及び衣服内の一部の化学添加剤は,毒性をもつことがある。

例 12  家庭用洗剤,殺虫剤又は化粧品からの有機蒸気は,子どもが座ったり,横になったりする床の

近くに残る。

例 13  ごみ捨て場,料理用の火,野焼き,工業プラントなどからの排気ガスは,近くに住む又は近く

の学校に通う子どもに悪影響を与えることがある。子どもの中には,このようなごみ捨て場で

遊んだり,貴重品をあさることがある。

ハザードとしての化学物質によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  1 回又は反復の暴露に関与する化学物質の量を制限する。

-  適切な容器又は安全保管施設では,チャイルドレジスタントとなっている密封装置のような,物理的

障壁を使用する。

-  毒性の低い化学物質に置き換えるか,当該物質の使用量を更に少なくする。

-  煙及び一酸化炭素検知器を備えた家屋又は建物を設計するか,これらを既存の家屋に取り付ける。

-  発火したとき,燃焼生成物が少なく,又はその毒性がうすい材料を使用する。

-  有機物質を意図的に燃焼させたときに,一酸化炭素の放出及び蓄積を最小限にするように十分な換気

があることを確認する。

-  変異原性,発がん性及び生殖毒性が既知の又は疑いのある物質は,使用を禁止する。

-  既知のアレルギー抗原及び腐食剤を避ける。

-  子どもを魅了するような外観,味及び臭いをもつ化学物質を避ける。

-  苦味剤は,中毒のリスクを最小限にするための他の措置を補足することがある。

-  成分,具体的なハザード,安全な使用,保管及び処分の指示,救急処置,製造業者名及び連絡先情報

を含む,適切な警告及び製品情報を提供する。

-  必要な場合,皮膚と接触する衣服は,初めて使用する前に洗濯をして,アレルギー反応のリスクを最

小限にする必要性について警告を示す。

-  発生ガスが危害を引き起こす可能性がある危険な場所を適切に特定し,そこへのアクセスを制限する。

7.11 

感電のハザード 

感電は,傷害又は死亡の原因となることがある。このハザードは,子どもにとって“見ること”又は“理

解すること”ができないため,特に危険である。

例 1  子どもの興味を引く外観(例えば,アヒルの形)のヘアドライヤは,子どもがそれをもって風

呂に入ることがある。

例 2  魅力的な形をした差込式の常夜灯は,子どもに,コンセントを無害のものと思わせてしまうこ

とがある。

例 3  コンセントの向きは,コンセントが子どもの興味を引くことにならないようにすることが望ま

しい。コンセントによっては,低年齢の子どもには親しげな顔のように見えることがある。

感電によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  露出した充電部への接近を防止する。開口部の位置及びサイズは,指の大きさなど,子どもの人体計


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

測を考慮することが望ましい。湿潤環境では,感電死のリスクが増す。

-  製品を機能させるために,コンセントの場合のように開口部を接近しやすいものにする必要がある場

合,効果的な隔離方法(例えば,シャッター装置,スイッチ又はその他の障壁を含める。)を用いる。

-  漏電遮断器(残留電流装置ともいう。)などの電流遮断装置を使用する。製品の一部として含まれる場

合は,子どもの生理機能に関連付けて基準を定める。

-  玩具及び子どもをひ(惹)き付ける製品は,例えば,電池駆動にして,安全なエネルギーレベル(つ

まり,電圧と相当する電流との組合せ)で動作させる。

ただし,この方法は,新たに別の重要なハザードを生み出すことになることを認識することが重要であ

る。電気を使用することで発生し得る感電以外のハザードについては,この指針の他の箇条で扱っている

7.2.67.7.1 及び 7.9 参照)。

7.12 

放射(放射線,紫外線,光及び電磁波)のハザード 

7.12.1 

電離放射線 

子どもは,自然発生源(例えば,ラドン)からの電離放射線,又は煙感知器,ブラウン管方式のテレビ

若しくは医療機器からの電離放射線にさらされることがある。子どもが電離放射線に近づくことは厳格に

管理することが必要であり,通常は,厳格に管理されている。

例 1  一部のフェイスペイント(顔用ペイント)及び食器上のセラミックゆう(釉)薬は,有害なレ

ベルの放射性顔料を含んでいる。

例 2  リサイクル製品からの放射性コバルトを含有するステンレス鋼が製造されている。

リスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  自然に発生する放射線の侵入を最小限にするように,新しい家を設計する。このアプローチは,しば

しば法的制度で支援されている。

-  放射性ガスを寄せ付けない,又は通気によってそれを排除するように,既存の家を改造する。

-  家庭用製品の放射線源は,処分のときにも接近できないものにする。

-  医療又は他の目的で,子どもへの放射線被ばく(曝)について,法律で厳密な制限を設ける。

7.12.2 

紫外線 

太陽の紫外線(UV)暴露は,最も一般的な放射線暴露である。短時間の暴露で,日焼け又は網膜やけど

が生じることがある。長時間の暴露は,皮膚がん又は白内障を発生させることがある。紫外線暴露は,日

焼け製品又は照明,玩具などの製品からも発生することがある。

子どもは,大人よりも紫外線による危害に敏感である。

例 1  日差しが最も強い,日中の日光で暴露する。

例 2  子どもが日焼けベッドを使用する。

例 3  歯ブラシクリーナなどの,一部の家庭用製品における消毒目的での紫外線を使用する。

例 4  玩具の“スパイキット(スパイごっこをする道具)”は,紫外線灯を含むこともある。

紫外線暴露によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  子どもが遊ぶ環境で日陰が確保され,また,帽子,日焼け止めクリームなど,個人的に十分な日焼け

防止が適用されるように,ケアラーの意識を高めることで,特に最も日差しが激しいときに日光への

暴露を制限する。


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

-  日焼け防止指数(SPF)の高い繊維製の服を推奨するが,ただし,繊維によっては,湿るか又は引き

伸ばされると,日焼け防止力が落ちることに注意が必要である。

-  日焼け防止機能が不十分な子ども用の模造品のサングラスは,使用させないようにする(8.1 参照)。

-  日焼けベッドのような紫外線を発生する製品に添付する警告には,このような製品を子どもが使用し

てはならないと明記することが望ましい。

-  照明システム及び歯ブラシクリーナのような製品からの,接近可能な紫外線源を遮蔽する。

-  子どもが日焼けベッドを使用することを,規則で禁止する。

7.12.3 

高輝度光,集束光又は点滅光 

過度の熱から身を離すこと,又はレーザ及び発光ダイオード(LED)を含めてまぶしい光に目を覆うこ

とは,人間の自然な反応である。しかし,低年齢の子ども,特にベビーは,肉体的に,このような防衛行

動のいずれもとることができないことがある。高輝度光源は,反応するよりも早く目の傷害を引き起こす

ことがある。

周期的な光[すなわち,規則的なせん(閃)光灯又は点滅灯]は,てんかんを患っている子どもに影響

を与えることがある。

LED 照明,キセノンストロボ管などからの潜在的に危険な光の点滅は,子どもの健康に悪影響を与える

ことがある。最も重大な影響は,光過敏性てんかん(せん光誘発けいれん)の発症である。ストロボ効果

(回転又は可動機械がゆっくりと動いているように,又は静止しているように見える。),偏頭痛,自閉症の

人々の間の反復行動の発生の増加,又は読取りなどの視覚的作業の能率低下も発生することがある。その

他の影響には,目の疲れ,疲労,視力のぼやけ及び通常の頭痛が含まれる。点滅頻度及び点滅規則性並び

に輝度の変化の全てが,これらの作用の起こりやすさに影響することがある。

例 1  レーザポインタは,子どもが使用すると自分の視力又は他者の視力を損傷することがある。

例 2  子どもによっては,テレビ画面又はコンピュータゲームに関連した点滅光に非常に敏感なこと

がある。例えば,けいれんが起きた,周囲の照明及び悪影響が一段と増すことがある。

例 3  高輝度の可視集束光は,レーザ光線(ペン)を含め,短時間のうちに皮膚及び目の傷害を引き

起こすことがある。

リスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  製品規制及びケアラーの教育を通じて,高輝度及び集束光への暴露を制限する。

-  点滅光への暴露を制限する。

-  危害の原因となることが知られている周波数は回避する。

7.12.4 

電磁放射線 

電磁放射線に関しては,二つの安全の問題がある。

-  電磁界(EMF),すなわち,人体への電磁放射線の影響

-  電磁両立性(EMC),すなわち,一つの製品から他の製品への電磁放射線の影響

製品の正しい機能動作は,EMC 放射によって影響されることがある。製品は,

-  大規模な放射を引き起こして,他の製品が正常に機能するのを妨げるか,又は意図しない起動をさせ

ることがある。

-  他の製品からの放射を受けて,その正常機能が妨げられるか,又は意図しない動作をすることがある。


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

両方の状況において,回避することが望ましい危険な状況を発生することがある。

意図的(例えば,無線技術,無線機,レンジ)であれ,又は無意識(例えば,ラジオ,家庭用電気器具)

であれ,ますます多くの製品が子どもの環境内で電磁放射線を放出し,子どもはその放射線にさらされて

いる。

一部の規則及び規格は,暴露の限度値を規定しており,EMF 暴露から保護している。電磁界の影響の全

容は,まだ知られていない。

製品の正しい機能動作は,他の製品からの EMC 放射によって影響されることがあり,例えば,装置の

通常の機能動作が妨害されたり,又は意図しない動作が起こって危険な状態がもたらされたりする。

例 1  漏えい電磁波による,ガレージ扉の開閉装置又は調理器具などの家庭用機器の意図しない作動

例 2  乗物玩具のような,子どもの製品の予想しない作動

例 3  電子レンジからの高周波エネルギーの漏れ

リスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  製品からの電磁放射線量を制限する。

-  電磁放射線源と子どもとの間の距離を大きくする。

-  潜在的に危険な機能を防止するために,敏感な安全関連回路の素子を遮蔽する。

7.13 

騒音(音圧)によるハザード 

騒音を原因とするハザードは,以前から認識されている。耳の中の敏感な聴覚器官が一定期間,高い音

圧レベルにさらされると,傷害が起きる。聴覚を損なう傷害は,しばしば回復不能となる。

子どもは,大人に比べて聴力の喪失を受けやすい。子どもの場合,問題を認識することも又はそれを報

告することもできず,騒音が誘発する聴覚の損傷を検出することが難しくなる可能性がある。子どもが,

聞き取りに重大な困難を抱えていることを示すか,又は言語の問題若しくは社会的な問題があるときだけ,

聴力の問題が明らかになることが多い。騒音による危害は,音圧レベル及び暴露時間の両方に比例する。

非常に短時間であれ,大きな騒音は即座に耳を損傷させることがある。

暴露は,短時間のことも(例えば,発砲,エアバッグの展開,爆発物,クリック音)又は更に長時間に

わたることもある(例えば,音楽,ビープ音を出す製品,モータの騒音)。リスクの判定時には,騒音源と

耳との距離も考慮することが望ましい。

連続騒音は,一定の時間が経過した後に傷害を引き起こす。リスクアセスメントでは,音圧レベル及び

暴露時間の両方を考慮する必要がある。音を放出する大半の製品は,このカテゴリに属する。

子どもは,自分又は他の子どもに対するハザードを認識することなく,騒音を出す製品を使用する。例

えば,ヘッドホンを付けたまま散歩したり又は自転車に乗ったりすることに起因する高い騒音レベルは,

間接的な結果として,交通事故又は他のハザードとなる。ただし,音の大きさが不十分な火災警報器又は

静かな電気自動車などの低レベルの騒音も,ハザードを気付かないうちに作り出す。

例 1  紙火薬(スターター用などの火薬式雷管のこと)又は爆竹を用いた玩具などの爆発物にさらさ

れた子ども

例 2  スクイーズ玩具(圧縮すると音が出る玩具)の騒音,ビープ音,ガチャガチャいう音,オルゴ

ール,アラームなどにさらされたベビー。ベビーは,通常,玩具を自分自身で操作することは

できない。兄弟,ケアラーなどの第三者が,通常,騒音源とベビーの耳との間の距離,及び場

合によっては,音圧レベルを決定する。

例 3  子どもは,例えば,イヤホン若しくは小形イヤホンで大音量の音楽を聞いているとき,又はビ


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

デオゲームで遊んでいるとき,騒音に身をさらす。

騒音によるリスクの回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  製品が発する最大騒音レベルを低くする,又は暴露時間を短くする。

-  電源が入ったときに自動的に音量が低くなるように,製品をリセットする。

-  消音する。

-  音量調節を明確にラベル表示する。

-  ハザードに関して消費者に知らせる又は警告する。

7.14 

生物によるハザード 

ウィルス,菌類及びバクテリアは,全ての人を発病させ得るが,低年齢の子どもは健康な大人と比べて

抵抗力又は免疫力が低い。液体,(粘土などの)半固体及び粉末並びに(縫いぐるみなどの)詰めものは,

特に生物による汚染を受けやすい。

さらに,昆虫,げっ歯動物の毛及びふん(糞)の存在が,生物による汚染源のこともある。

例 1  製品に裂け目又は不ぞろ(揃)いの形のものがあると,手が届きにくく,クリーニングが制約

される。

例 2  レジオネラ菌が,空調機,ジェットバス及びシャワーの中で発見されている。

生物による汚染物質への暴露を回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  必要ならば,総合的なクリーニング方法の説明を含めて,完全にクリーニングがしやすいように製品

を設計する。

-  送排水管をレジオネラ菌の成長を阻害するように設計する。

-  例えば,繊維製品,詰めものなどの材料を,輸送中を含めて,衛生的に保存する。

-  汚染を防止するための適切な包装を用意する。

-  子どもの製品(例えば,玩具)に含まれている液体,半固体及び粉末が汚染されないように,また,

微生物が増殖しないように適切に保護されるようにする。

7.15 

爆発及び火炎せん(閃)光のハザード 

製品の引火性及び可燃性は,火炎せん(閃)光及び爆発のハザードを決定する。さらに,蓄圧が爆発を

引き起こすことがある。物質の爆発性混合物は,意図的に作り出されることもあれば(例えば,花火,玩

具のピストル),意図しないで作り出されることもある(例えば,ガス漏れ,ガソリンの蒸気)。高揮発性

の可燃性製品は,高温の容器又は火が完全には消火されていない容器に入れると,火炎せん(閃)光の発

火を引き起こすことがある。爆発は,また有害なレベルの騒音をもたらすことがある(7.13 参照)。子ども

は,特に高年齢の子どもは,花火を含めて,ありとあらゆる製品を試してみたいという願望をもっている。

例 1  適切に製造されていない花火は,早まって,又は遅れて爆発することがある。爆発には,しば

しば粒子の飛び出し及びせん(閃)光が伴うが,これは目を傷つけ,皮膚を焼く原因となるこ

とがある。

例 2  爆発による騒音は,子どもの耳に損傷を与えることがある。

例 3  電池又はエアゾール缶は,熱にかざしたり又は火の中に投げ入れたりすると,爆発することが

ある。

例 4  極性を間違えて挿入した電池は,爆発することがある。

例 5  高温の容器又は消えていない火に可燃性ゲル(ゼリー状の固化したもの)又は液体を加えると,


35

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

火炎せん(閃)光が発生する。

火炎せん(閃)光及び爆発によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  高揮発性材料及び爆発性材料への子どもの接近を,(できる限り)制限する。

-  包装上に適切な指示及び警告ラベルを施すことを含め,飛散する燃焼物質の量及び粒子が飛ぶ距離を

設計で制限する。

-  揮発性製品及び爆発性製品の自然爆発のリスクを最小限に抑えるように包装をする。

-  チャイルドレジスタンス包装を使用して,揮発性製品及び爆発性製品への接近を制限する。

-  例えば,学校の化学の授業で,爆発することがある物質を子どもが意図的に取り扱うときは,適切な

性能要求事項を備えた顔当て,手袋などの保護具を使用するか,又は使用するように指示する。

花火は,ケアラーによって注意して見守られるようでなければ,子どもにとって安全なものと期待でき

ない。国によっては,(僅かの例外を除いて)花火の市販を禁止し,花火を打ち上げる大人にライセンスを

要求している国もある。

保護方策の適格性 

8.1 

一般 

保護方策は,子どもへの危害の可能性を低減する意図で用いられ,製品,据付け,又は人に適用するこ

とができる。さらに,学習及び指導された行動(例えば,説明書による保護方策からの結果)も含まれる。

したがって,保護方策は単なる保護具を超えるものであり,一つの又は複数の戦略又は行動を含めること

ができる。一般に,保護方策を備えるための優先順位は,次による。

-  製品による保護方策:これは,製品に接触する人の知識又は行為が必要でないため,常に有用である。

-  (組立て及び維持管理を含む)据付けによる保護方策:これは,安全特性が据付け後に初めて有用に

なる(例えば,機器は,安定性を得るために床にボルト付けされることが望ましい。)。

-  身体の保護方策及び人の行動による保護方策:これは,エネルギー源に接近しなければならないとい

う機能上の必要性があるときに有用である。

-  説明書による保護方策:これは,危険なエネルギー源に関して使用者に警告するときに,又は適切な

行動が確保できることを常識的には期待できないために具体的行動を指示する場合に有用である。

8.2 

製品による保護方策 

製品による保護方策とは,製品の物理的部分を構成する保護方策である。これは,使用者の特定の行為

又は知識を必要としないため,傷害が発生することを防止するための優先的方法である。このことは,特

に子どもが接近することがある製品について言えることである。なぜなら,人による保護方策又は説明書

による保護方策は,子どもにとっては有効性が劣るからである。

例 1  乗って遊ぶ玩具では,子どもがその足をアクセルから外すと自動的にブレーキがかかる。

しばしば,保護装置は,子どもを除く幾つかの年齢層を対象として設計されていることがある。

このような装置が作動すると,ベビー及び子どもに対するハザードとなることがある。

例 2  ベビー又は低年齢の子どもが,助手席にいる間に助手席エアバッグが開き,負傷又は死亡した

ことがある。したがって,子どもがそのような座席に座っている間はエアバッグを作動させな

いか,又はその勢いを低減する手段を採用することが望ましい。

注記  現状のエアバッグシステム装備車では,ベビー又は低年齢の子どもを抱えて乗車させたり一人


36

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で自由にさせておくこと,又は助手席にベビーシート若しくはチャイルドシートを後ろ向きに

取り付けて座らせることはしないように警告している。法規制では,特にこの事項についての

記載はないが,エアバッグ装備車であっても,特にベビー又は低年齢の子どもを助手席には座

らせないことが望ましい。

8.3 

据付けによる保護方策 

据付けによる保護方策は,人工的環境の物理的対策である。据付けによる保護方策は,場合によっては,

機器の据付け説明書において記載されることがあるとはいえ,通常は,機器の製造業者によって管理され

ることはない。

例  接地(アース)による保護方策とは,一部は機器内に,また一部は据付けの場所で配置される。

システムが有効になるためには,両方の要素が必要である。

8.4 

人に適用される保護方策 

人に適用される保護方策とは,しばしば人体に着用する物理的な装備である。

注記  これは,個人用保護具と呼ばれることもある。

ヘルメット,サングラス,救命胴衣,安全ゲート,柵などの幾つかの製品は,死亡及び傷害の確率を低

くすることを,又は傷害の程度を最小限にすることを意図したものである。このような製品は,実際に,

容認できるレベルの保護を提供するものであることが重要である。保護具の体裁をしていながら,実際に

は保護を提供していないものが市販された場合は問題である。このような製品は,例えば,玩具のヘルメ

ット又は玩具のサングラスのように,玩具であることが多い。

大人向けとされている多くの保護具が,子どもに対して適切な防護をしないことがある。例えば,大人

用ヘルメットは,子どもはきちんと着用できなくて,十分な衝撃吸収をしないことがある。

ときには,予想もしなかった状況に保護具が使用されて,問題となることもある。例えば,遊ぼうとし

て自転車で遊び場に子どもがやってきたが,子どもは自転車用のヘルメットをかぶったままだった。遊具

は,通常,頭が開口部にはまり込まないように,開口部を設ける場合は,そのサイズを頭の大きさよりも

十分に余裕をもって小さくして頭が入らないようにするか,又は反対に,頭の大きさよりもはるかに大き

くして,頭が楽に通り抜けられるように設計してある。ところが,子どもはヘルメットをかぶったままな

ので,頭のサイズが実際には大きくなり,穴を楽に通り抜けることができない。

自転車用ヘルメットの顎ひもは,自転車から落ちても外れないようにできているので,遊具の開口部に

はまってつ(吊)り下がったようになったときも,顎ひもは外れない。したがって,子どもが死ぬことも

ある。遊具にはまり込んだ場合のようなときに,顎ひもが外れるように設計変更しても,極端な交通事故

の場合は別にして,自転車に乗っているときにも十分な保護機能があることが判明している。

例 1  玩具のヘルメットを自転車用に着用しても,転倒したときの頭の傷害は防げない。

例 2  玩具の膝当ては,転倒した場合,スケート又はスケートボードに乗る人を保護できない。

例 3  遊戯用の浮き輪類には,本物の救命具又は救命胴衣としての機能を果たすものではないという,

適切なラベル表示をしなければならない。

例 4  特定の環境への接近を妨げるように意図した柵でも,足がかりが付いていれば乗り越えられる。

不適切な保護機能によるリスクを回避又は低減する戦略としては,次の事項が考えられる。

-  玩具のヘルメットのような模造品の保護具には,保護の機能がないことを明記したラベル表示をする

ことが望ましい。潜在的危険に関して,明確かつタイムリーな情報を一般大衆に提供する。

-  製品が実際に使用される環境に対応できるように,製品を再設計する。


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

8.5 

行動による保護方策 

行動による保護方策とは,危害の可能性を低減することを意図した自発的な又は指示された行動である。

これは,ハザードを取り扱う一定レベルの経験をもつ人だけに当てはまる。低年齢の子どもの場合は,行

動による保護方策は適用できないし,またそれに頼ることもできないが,子どもが成熟して,経験を積む

につれて適切なものとなる。例えば,彼らは,割れたガラスは鋭利であり,裂傷を受けることを学ぶ。

8.6 

説明書による保護方策 

説明書による保護方策とは,情報を提供する手段である。警告及び警報を含めて,一つ又は複数のハザ

ードの存在及び場所を記載し,また,危害の可能性を低くするために,人に対して特定行動をとらせるこ

とが意図されている。

設計によって解消できないか,又は保護方策若しくは遮蔽によっては十分に制御することができない製

品に由来するハザードによって考えられる影響を避けるためには,情報が提供されることが望ましい。

情報は,読みやすく,理解しやすく,かつ,そのハザードが出現するかもしれない期間又は機会の間,

例えば,供給業者のウエブサイトからダウンロードできる説明書を作成することによって,提供されるこ

とが望ましい。情報媒体が,子どもにとって新たなリスクを生み出すことがないことが望ましい(例えば,

剝がれたラベルが喉に詰まる。)。

調査が示すように,ハザードの一次予防に比べて,警告ラベルの効果は限定的である。警告及び情報は,

子どもの行動に影響を与えることを期待できないので,ケアラーにも向けたものとすることが望ましい。

子どもに製品情報を提供する場合,子どもの認識発達レベルに応じた方法で記載又は説明することが望

ましい。この情報の有効性は,検証してみることが望ましい。子ども向け製品ではない場合でも,子ども

が安全に使用できるために必要不可欠な製品情報を提供することが望ましい。

毒性物質に添付された子どもをひ(惹)き付ける記号のような情報は,子どもに不適切な行動をとらせ

るものでないことが望ましい。そのような情報は,子どもがこの物質に近づくように仕向けるからである。

例 1  化学玩具(化学実験セット)は,玩具の機能に不可欠な既知の有毒化学物質(例えば,硫酸銅)

を含んでいることがある。この事実は,ラベル及び適切な使用説明書で伝達する必要がある。

例 2  ボタン電池の安全性に関する規格の原案の警告例としては,“子どもの手の届かないところに

おいてください。飲み込むと,化学やけど,柔らかい組織のせん(穿)孔及び死亡に至ること

があります。摂取後 2 時間以内に激しいやけどが生じます。直ちに治療を受けてください。”の

ようなものがある。

注記 1  取扱説明書及び購入前の情報についての一般的な指針は,ISO/IEC Guide 37 に与えられてい

る。

注記 2  ISO/IEC Guide 74 は,図記号の使用を扱っている。図記号の追加的情報源は,ISO 7000 及び

ISO 7001 にある。


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

附属書 A

(参考)

評価チェックリスト

体系的アプローチに従うため,規格作成者及びその他の使用者は,全ての新規作業項目の扱いにおいて

表 A.1 に示すチェックリストを使用し,全ての項目が考慮されていることを検証することが望ましい。

このチェックリストは,規格が起草されたときに附属書となることが望ましい。

表 A.1-評価チェックリスト 

番号

質問 Yes

No

NR

b)

1

製品,サービス,プロセス及び据付けと子どもとの潜在的な関わりは検討した
か?

a)

2

設計又は標準化のプロセスに,子どもの安全の専門家(子どもの生理学,子ど
もの発達,疫学の知識をもつもの)が参加したか?

3

次のハザードを検討したか? 
-  機械的ハザード及び落下のハザード(7.2 参照)

-  落下及びその他の衝突による傷害(7.3 参照)

-  溺水のハザード(7.4 参照)

-  窒息のハザード(7.5 参照)

-  首の絞付けのハザード(7.6 参照)

-  小さな物体及び吸引によるハザード(7.7 参照)

-  火災のハザード(7.8 参照)

-  温度のハザード(7.9 参照)

-  化学的ハザード(7.10 参照)

-  感電のハザード(7.11 参照)

-  放射(放射線,紫外線,光及び電磁波)のハザード(7.12 参照)

-  騒音(音圧)によるハザード(7.13 参照)

-  生物によるハザード(7.14 参照)

-  爆発及び火炎せん(閃)光のハザード(7.15 参照)

4

ハザードは,子どもの身体的及び発達上の特徴を考慮して評価したか? 
-  子どもの体の大きさ及び人体計測データ(5.1.2 参照)

-  運動能力の発達(5.1.3 参照)

-  生理学的発達(5.1.4 参照)

-  認識力の発達(5.1.5 参照)

-  探索行動(5.1.6 参照)

5

リスクを低減するために,次の保護方策を検討したか(優先順位で)? 
-  製品による保護方策(8.2 参照)

-  据付けによる保護方策(8.3 参照)

-  人に適用される保護方策(8.4 参照)

-  行動による保護方策(8.5 参照)

-  説明書による保護方策(8.6 参照)

a)

  質問 1 の回答が“No”の場合は,残りの質問を省略してもよい。

b)

 NR=該当しない。

チェックリストの項目に記入した後,質問 3 で“Yes”にチェックマークを付けたハザードについて徹底


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

的に討議する。その討議から明らかになった機能的要求事項が,質問 4 に記載している特徴による全ての

リスクに対処したものかどうかを確認する。


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

附属書 B

(参考)

傷害データベース

安全な製品開発の情報を伝え,また,規格及び他の仕様書,並びに死亡の原因となるものを含めて,子

どもの傷害に関する情報の有効性を評価するための十分詳細なデータは広範囲には入手できない。あるデ

ータベースは,事故を全体的に取り扱っている一方で,他のデータベースは限定された内容である。様々

な品質,完成度,アクセス性及び更新性をもつ地域,国家又は準国家レベルを対象とするデータベースに

は,次のような例がある。

-  米国消費者製品安全委員会の全国電子傷害監視システム(NEISS)は,米国とその領土内における病

院の国内統計のサンプルである。消費者製品に関連した傷害に巻き込まれた全ての緊急外来について,

各 NEISS 病院から患者情報を収集している。この統計のサンプルが,全国の病院の救急救命室で処置

した製品関連傷害の総数を推定することができる。システム及びデータベースを検索する資格に関す

る詳細情報は下記サイトを参照。

 www.cpsc.gov/en/Research--Statistics/NEISS-Injury-Data/

-  欧州連合の傷害データベース(IDB)は,加盟国において収集されたデータへの中央アクセスを提供

するために,1999 年に傷害防止計画の下で欧州委員会の一部 DG SANCO が創設したインターネット

データベースである。IDB は,選ばれた加盟国の病院からの事故救急部データに基づいた欧州規模の

傷害監視システムである。このデータは,標準化された方法によって欧州レベルで集計され,中央デ

ータベースにアクセスできるようになっている。

 https://webgate.ec.europa.eu/sanco/heidi/index.php/IDB

-  オーストラリアでは,ビクトリア州傷害監視ユニット(VISU)が,20 年以上にわたって,国家的及

び国際的に,州全体にわたる外傷死,入院及び救急部発表に関するビクトリア州データを分析し,解

釈して普及させてきた。ビクトリア州傷害監視データは,死亡,入院及び救急部発表を取り扱った個

別の三つのデータ集上に記録されている。詳細は下記サイトを参照。

 http://www.monash.edu.au/miri/research/research-areas/home-sport-and-leisure-safety/visu/

-  日本では,事故情報データバンクシステムとして,関係行政機関が保有する生命・身体に係る消費生

活上の事故の情報を一元的に集約したデータベースがある。事故の再発及び事故の拡大防止に資する

環境整備の一環として,消費者庁及び独立行政法人国民生活センターが連携して,関係行政機関等の

協力を得て実施している。このデータは,インターネットから事故情報を自由に閲覧・検索すること

ができる。詳細は下記のサイトを参照。

 http://www.jikojoho.go.jp/ai_national/

-  日本では,独立行政法人製品評価技術基盤機構が,20 年近くにわたって,製品事故の原因究明を行い,

その調査結果をデータベースとして構築してきた。製品事故情報・リコール情報が掲載されており,


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Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

“製品安全分野”における事故情報の検索ができる。詳細は下記のサイトを参照。

 http://www.jiko.nite.go.jp/php/jiko/search/index.php

傷害及び死亡に関する情報が,規格の必要性を評価して,その有効性を判断するために必要なものの全

てではないことを認識しておく必要がある。死亡と傷害との比率が計算できるようにするには,リスクへ

の暴露に関するデータ(例えば,流通している製品の数又はある種の活動を行っている子どもの数),人口

統計情報(例えば,人口データ,可能であれば年齢集団による分類など)など,リスクへの暴露に関する

データも必要になることがある。適切な暴露データは,見付けることが困難である。


42

Z 8050:2016 (ISO/IEC Guide 50:2014)

   

参考文献

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注記  対応国際規格:ISO/IEC Guide 14,Purchase information on goods and services intended for

consumers

[12]  ISO/IEC Guide 37,Instructions for use of products by consumers

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[14]  JIS Z 8051  安全側面-規格への導入指針

注記  対応国際規格:ISO/IEC Guide 51,Safety aspects-Guidelines for their inclusion in standards

(IDT)

[15]  JIS Z 8071  高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針

注記  対応国際規格:ISO/IEC Guide 71,Guide for addressing accessibility in standards

[16]  ISO/IEC Guide 74,Graphical symbols-Technical guidelines for the consideration of consumers' needs

[17]  IEC Guide 117,Electrotechnical equipment-Temperatures of touchable hot surfaces

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