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Z 7252

:2014

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  引用規格  

1

3

  用語及び定義  

3

4

  一般事項  

10

5

  分類に必要な情報及びその内容決定の手順  

10

5.1

  分類の概念  

10

5.2

  分類基準及び分類手順  

10

5.3

  利用可能なデータ,試験方法及び試験データの質  

11

5.4

  混合物の分類に特別に考慮しなければならない事項  

12

5.5

  健康に対する有害性及び環境に対する有害性におけるつなぎの原則  

13

附属書 A(規定)物理化学的危険性  

16

附属書 B(規定)健康に対する有害性 

51

附属書 C(規定)環境に対する有害性  

100

附属書 D(参考)参考文献  

114

附属書 JA(参考)JIS と対応国際規格との対比表  

117


Z 7252

:2014

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本

化学工業協会(JCIA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格

を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が改正

した日本工業規格である。

これによって,JIS Z 7252:2009 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格は,国際連合経済社会理事会によって,2011 年に改訂された“Globally Harmonized System of

Classification and Labelling of Chemicals (GHS), Fourth revised edition, ISBN 9789211170429[化学品の分類お

よび表示に関する世界調和システム(GHS)改訂 4 版]

”から内容の一部を抜粋し,翻訳したものであり,

国際連合による承諾を得ている。

This standard includes extracts of Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals

(GHS), fourth revised edition, ISBN 9789211170429, Copyright ©United Nations 2011. Extracts from GHS have

been translated and reproduced with the permission of the United Nations, and this translation constitutes an

unofficial translation for which the SDOs accept full responsibility.

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の

特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


日本工業規格

JIS

 Z

7252

:2014

GHS

に基づく化学品の分類方法

Classification of chemicals based on “Globally Harmonized System of

Classification and Labelling of Chemicals (GHS)”

序文 

この規格は,国際連合経済社会理事会によって 2011 年に発行された“化学品の分類および表示に関する

世界調和システム(GHS)改訂 4 版[Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals

(GHS),Fourth revised edition]”に基づいて作成した日本工業規格である。

GHS

に基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法は,JIS Z 7253 に規定されている。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表にその説明を付けて,

附属書 JA に示す。

適用範囲 

この規格は,GHS に基づき化学品を,物理化学的危険性,健康に対する有害性及び環境に対する有害性

に関して分類する方法について規定する。ただし,

“成形品(3.4 参照)

”は除く。

注記 1  法規制などは,この規格に優先する。

注記 2  暫定措置として,2016 年(平成 28 年)12 月 31 日までは,JIS Z 7252:2009 に従って分類し

てもよい。

注記 3  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals (GHS),Fourth revised

edition(MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS G 3115

  圧力容器用鋼板

JIS G 3141

  冷間圧延鋼板及び鋼帯

JIS G 4051

  機械構造用炭素鋼鋼材

JIS K 2601

  原油試験方法

JIS H 4000

  アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条

JIS K 2265-1

  引火点の求め方−第 1 部:タグ密閉法

JIS K 2265-2

  引火点の求め方−第 2 部:迅速平衡密閉法


2

Z 7252

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注記  対応国際規格:ISO 3679,Determination of flash point−Rapid equilibrium closed cup method

(MOD)

JIS K 2265-3

  引火点の求め方−第 3 部:ペンスキーマルテンス密閉法

注記  対応国際規格:ISO 2719,Determination of flash point−Pensky-Martens closed cup method

(MOD)

JIS K 2265-4

  引火点の求め方−第 4 部:クリーブランド開放法

注記  対応国際規格:ISO 2592,Determination of flash and fire points−Cleveland open cup method

(MOD)

JIS K 2254

  石油製品−蒸留試験方法

注記  対応国際規格:ISO 3405:1988,Petroleum products−Determination of distillation characteristics

及び ISO 3924:1977,Petroleum products−Determination of boiling range distribution−Gas

chromatography method(全体評価:MOD)

JIS K 5601-2-3

  塗料成分試験方法−第 2 部:溶剤可溶物中の成分分析−第 3 節:沸点範囲

注記  対応国際規格:ISO 4626,Volatile organic liquids−Determination of boiling range of organic

solvents used as raw materials(IDT)

JIS Z 7253

  GHS に基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法−ラベル,作業場内の表示及び安全デ

ータシート(SDS)

ISO 1516

,Determination of flash/no flash−Closed cup equilibrium method

ISO 1523

,Determination of flash point−Closed cup equilibrium method

ISO 10156

,Gases and gas mixtures−Determination of fire potential and oxidizing ability for the selection of

cylinder valve outlets

UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Model regulations(危険物輸送に関する勧告

モデル規則)第 17 改訂版

UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests and criteria(危険物輸送に関する

勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第 5 版

OECD Test Guideline 107

,Partition Coefficient (n-octanol/water): Shake Flask Method

OECD Test Guideline 117

,Partition Coefficient (n-octanol/water), HPLC Method

OECD Test Guideline 201

,Freshwater Alga and Cyanobacteria, Growth Inhibition Test

OECD Test Guideline 202

,Daphnia sp. Acute Immobilisation Test

OECD Test Guideline 203

,Fish, Acute Toxicity Test

OECD Test Guideline 210

,Fish, Early-Life Stage Toxicity Test

OECD Test Guideline 211

Daphnia magna Reproduction Test

OECD Test Guideline 301 (A-F)

,Ready Biodegradability

− A:

DOC

Die-Away

Test

− B:

CO

2

 Evolution Test

−  C: Modified MITI Test (I)

−  D: Closed Bottle Test

−  E: Modified OECD Screening Test

−  F: Manometric Respirometry Test

OECD Test Guideline 305

,Bioconcentration: Flow-through Fish Test


3

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OECD Test Guideline 306

,Biodegradability in Seawater

OECD Test Guideline 406

,Skin Sensitisation

OECD Test Guideline 429

,Skin Sensitisation: Local Lymph Node Assay

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。ここに規定していない用語の定義は JIS Z 7253 の箇

条 3(用語及び定義)による。

3.1 

化学物質(substance)

天然に存在するか,又は任意の製造過程において得られる元素及びその化合物。

注記  化学物質の安定性を保つ上で必要な添加物及び用いられる工程に由来する不純物を含有するも

のも,当該化学物質とする。しかし,当該化学物質の安定性に影響を与えることなく,又はそ

の組成を変化させることなく分離することが可能な溶剤については,これを含有しないものを

当該化学物質とする。

“化学物質”は,

“物質”ということもある。

3.2 

混合物(mixture)

互いに反応を起こさない二つ以上の化学物質を混合したもの。

注記  合金は,混合物とみなす。

3.3 

化学品(chemicals)

化学物質又は混合物。

注記  “化学品”は,“製品”と同じ意味である。ただし,“製品”という呼称は,毒物及び劇物取締

法における“製剤”の意味だけでなく,器具,機器,用具といった“物品”の意味で用いられ

ることがあるが,

“物品”は“化学品”からは除かれることに留意が必要である。

3.4 

成形品(article)

製造時に特定の形又はデザインに形作られたものであり,かつ,最終使用時に,全体又は一部分がその

形態又はデザインに依存した最終用途における機能を保持するもの。

注記  “成形品”は,“物品”ということもある。

3.5 

気体,ガス(gas)

50  ℃において 300 kPa(絶対圧)を超える蒸気圧をもつ化学品,又は 101.3 kPa の標準圧力で,20  ℃に

おいて完全にガス状である化学品。

3.6 

液体(liquid)

50  ℃において 300 kPa 以下の蒸気圧をもち,20  ℃において標準圧力 101.3 kPa では完全なガス状ではな

く,かつ,標準圧力 101.3 kPa において融点又は融解が始まる温度が 20  ℃以下の化学品。

なお,固有の融点が特定できない粘性の大きい化学品は,ASTM D 4359-90 試験を行うか,又は危険物

の国際道路輸送に関する欧州協定(ADR)の

附属文書 の 2.3.4 に定められている流動性特定のための試

験を行い,液体の該非判定を行わなければならない。


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3.7 

固体(solid)

液体又は気体の定義に当てはまらない化学品。

3.8 

蒸気(vapour)

液体又は固体の状態から放出されたガス状の化学品。

3.9 

粉じん(dust)

気体(通常は,空気)の中に浮遊する化学品の固体の粒子。

3.10 

ミスト(mist)

気体(通常は,空気)の中に浮遊する化学品の液滴。

3.11 

危険有害性(hazard)

化学品がもつ悪影響が生じる潜在的な特性。物理化学的危険性,健康有害性及び環境有害性がある。

3.12 

危険有害性クラス(hazard class)

可燃性固体,発がん性,水生環境有害性などの,物理化学的危険性,健康又は環境有害性の種類。

3.13 

危険有害性区分(hazard category)

各危険有害性クラス内の判定基準に基づく区分。例えば,引火性液体には,四つの危険有害性区分があ

る。

注記  これらの区分は,危険有害性クラス内での危険有害性の強度及び/又は当該危険有害性を示唆

する科学的根拠による確実性に基づく相対的な区分である。

3.14 

濃度限界(concentration limit)

未試験の混合物を,成分の危険有害性に基づいて分類する場合に使用する成分の含有濃度の限界値。

3.15 

安全データシート,SDS(safety data sheet)

化学品について,化学物質,製品名,供給者,危険有害性,安全上の予防措置,緊急時対応などに関す

る情報を記載する文書。

注記  SDS は,JIS Z 7250:2010 などで“製品安全データシート”,“化学物質等安全データシート”又

は“MSDS (Material Safety Data Sheet)”と定義していたものである。

なお,JIS Z 7250:2010 は廃止され,JIS Z 7253 に置き換えられた。

3.16 

物理化学的危険性 

3.16.1 

爆発物(explosive)

それ自体の化学反応によって,周囲環境に損害を及ぼすような温度及び圧力並びに速度でガスを発生す

る能力のある固体物質若しくは液体物質(又は物質の混合物)

。火工物質はたとえガスを発生しない場合で


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も爆発物とされる(A.1 参照)

3.16.2 

火工物質(pyrotechnic substance)

非爆ごう性で自己持続性の発熱化学反応によって生じる熱,光,音,ガス,煙又はこれらの組合せによ

って,一定の効果を生みだせるように作られた化学品。

3.16.3 

可燃性又は引火性ガス(flammable gas)

20  ℃,標準気圧 101.3 kPa において,空気と混合した場合に爆発範囲(燃焼範囲)をもつガス。

なお,可燃性ガスと引火性ガスとはこの規格では同義であるが,法令によっては異なる定義をしている

場合があるので注意が必要である(A.2 参照)

3.16.4 

化学的に不安定なガス(chemically unstable gas)

空気又は酸素がない状態でも爆発的に反応し得る可燃性又は引火性ガス(A.2 参照)

3.16.5 

エアゾール(aerosol)

圧縮ガス,液化ガス若しくは溶解ガス(液状,ペースト状又は粉末を含む場合もある。

)を内蔵する金属

製,ガラス製又はプラスチック製の再充塡不能な容器に,内容物をガス中に浮遊する固体若しくは液体の

粒子として,又は液体中若しくはガス中に泡状,ペースト状若しくは粉状として噴霧する噴射装置を取り

付けたもの(A.3 参照)

3.16.6 

支燃性又は酸化性ガス(oxidizing gas)

一般に酸素を供給することによって,空気以上に他の物質の燃焼を引き起こす,又はその一因となるガ

ス。

なお,支燃性ガスと酸化性ガスとはこの規格では同義であるが,法令によっては異なる定義をしている

場合があるので注意が必要である。

注記  “空気以上に他の物質の燃焼を引き起こす,又はその一因となるガス”とは,ISO 10156 に規

定する方法によって測定された 23.5 %以上の酸化能力をもつ純粋ガス又は混合ガスをいう

A.4

参照)

3.16.7 

高圧ガス(gas under pressure)

20  ℃,200 kPa(ゲージ圧)以上の圧力の下で容器に充塡されているガス又は液化若しくは深冷液化さ

れているガス。

高圧ガスには,圧縮ガス,液化ガス,溶解ガス及び深冷液化ガスが含まれる。

注記  高圧ガスには,危険物の輸送に関する国連勧告 UN Recommendations on the transport of dangerous

goods, Model Regulation (2001)  又は国内法に引用されているものを含む(A.5 参照)。

3.16.8 

引火性液体(flammable liquid)

引火点が 93  ℃以下の液体(A.6 参照)

3.16.9 

可燃性固体(flammable solid)


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容易に燃焼するか又は摩擦によって,発火又は発火を誘発する固体(A.7 参照)

3.16.10 

自己反応性化学品(self-reactive substance)

酸素(空気)がない状態でも非常に強力な発熱性分解をする熱的に不安定な液体又は固体。爆発物,有

機過酸化物又は酸化性物質として分類されている化学品は含まない(A.8 参照)

3.16.11 

自然発火性液体(pyrophoric liquid)

少量であっても,空気との接触後 5 分以内に発火する液体(A.9 参照)

3.16.12 

自然発火性固体(pyrophoric solid)

少量であっても,空気との接触後 5 分以内に発火する固体(A.10 参照)

3.16.13 

自己発熱性化学品(self-heating substance)

自然発火性液体又は自然発火性固体以外で,空気との反応によってエネルギーの供給なしに自己発熱す

る固体又は液体。この物質は,大量(キログラム単位)に存在し,かつ長時間(数時間∼数日間)経過し

た後にだけ発火する点で自然発火物質とは異なる。

注記  化学品の自己発熱とは,空気中の酸素と徐々に反応し発熱する過程をいう。発熱の速度が熱損

失を超える場合は,化学品の温度は上昇し,ある誘導期間を経て,自己発火及び燃焼に至る(A.11

参照)

3.16.14 

水反応可燃性化学品(substance which, in contact with water, emit flammable gases)

水との相互作用によって自然発火性となるか,又は危険な量の可燃性ガス,引火性ガスを放出する固体

若しくは液体の化学品(A.12 参照)

3.16.15 

酸化性液体(oxidizing liquid)

それ自体は必ずしも燃焼性をもたないが,一般的に酸素の発生によって,他の物質を燃焼させ又はその

一因となる液体(A.13 参照)

3.16.16 

酸化性固体(oxidizing solid)

それ自体は必ずしも燃焼性をもたないが,一般的に酸素の発生によって,他の物質を燃焼させ又はその

一因となる固体(A.14 参照)

3.16.17 

有機過酸化物(organic peroxide)

2 価の-O-O-構造をもち,1 個又は 2 個の水素原子が有機ラジカルによって置換された過酸化水素の誘導

体とみなすことができる液体又は固体の有機物質。有機過酸化物組成物(混合物)を含む(A.15 参照)

3.16.18 

金属腐食性化学品(corrosive to metal)

化学反応によって金属を実質的に損傷又は破壊する化学品(A.16 参照)

3.17 

健康に対する有害性 


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Z 7252

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3.17.1 

急性毒性(acute toxicity)

化学品の経口若しくは経皮からの単回投与,24 時間以内の複数回投与,又は 4 時間の吸入ばく露によっ

て起こる有害な性質。

3.17.2 

皮膚腐食性(skin corrosion, dermal corrosion)

試験物質の 4 時間以内の適用で,皮膚に対して不可逆的な損傷を発生させる性質。

注記  不可逆的な損傷は,皮膚組織の破壊[表皮から真皮に至る視認可能なえ(壊)死]として認識

される。

3.17.3 

皮膚刺激性(skin irritation, dermal irritation)

試験物質の 4 時間以内の適用で,皮膚に可逆的な損傷を発生させる性質。

3.17.4 

腐食性反応(corrosive reaction)

潰瘍,出血若しくは出血性か(痂)皮,又は 14 日間の観察期間終了時点での皮膚脱色による変色,適用

部位全域の脱毛若しくは傷跡によって特徴付けられる皮膚の反応。

3.17.5 

アルカリ予備・酸予備(alkali reserve・acid reserve)

皮膚腐食性,及び眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性において,溶液がもつアルカリ又は酸に対する

緩衝能力。対象試料液を滴定することによって当該溶液が緩衝作用で供給する OH

又は H

の量で表す。

注記 1  同一の pH 値を示す強アルカリ性又は強酸性試料であっても,アルカリ又は酸による皮膚に

対する腐食性の強さは同一とは限らず,当該試料に pH 値を一定に保とうとする緩衝能力が

ある場合は,新たな解離によって水酸化物イオン(OH

)又は水素イオン(H

)が生じ pH

値が維持され,皮膚腐食性,及び眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性が高くなる。

注記 2  Health Canada:Reference Manual for the Consumer Chemicals and Containers Regulations, 2001 で

は,アルカリ予備は pH 11∼pH 13 の試料について求められ,同試料を pH 10.0 にするために

必要な塩酸量を,それを中和するに必要な水酸化ナトリウムの量として計算されている。ま

た,酸予備は,pH 1∼pH 3 の酸性試料について求められ,同酸性試料を pH 4.0 にするために

必要な水酸化ナトリウムの量として計算されている。

3.17.6 

眼に対する重篤な損傷性(serious eye damage)

眼の前表面に対する試験物質の投与に伴う眼の組織損傷の発生又は重篤な視力低下で,

投与から 21 日以

内に完全には治癒しないものを発生させる性質。

3.17.7 

眼刺激性(eye irritation)

眼の表面に試験物質をばく露した後に生じた眼の変化で,

ばく露から 21 日以内に完全に治癒するものを

生じさせる性質。

3.17.8 

呼吸器感作性(respiratory sensitization)

化学品の吸入によって気道過敏症を引き起こす性質。


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3.17.9 

皮膚感作性(skin sensitization)

化学品の皮膚接触によってアレルギー反応を引き起こす性質。

注記  “皮膚感作性”は,“接触感作性(contact sensitization)”ともいう。

3.17.10 

生殖細胞変異原性(germ cell mutagenicity)

次世代に受け継がれる可能性のある突然変異を誘発する性質。

3.17.11 

変異原性(mutagenicity)

細胞の集団又は生物体における突然変異の発生率を増加させる性質。

3.17.12 

突然変異(mutation)

細胞内遺伝物質の量又は構造の恒久的変化。

注記  “突然変異”は,表現型として認識される経世代的な遺伝的変化,及びその基となるデオキシ

リボ核酸(DNA)の変化の両方に適用される。

3.17.13 

遺伝毒性(genotoxicity)

DNA の構造,含まれる遺伝情報,又は染色体の分離を変化させる性質。

注記  例として,正常な複製過程の妨害による DNA 損傷作用又は非生理的な状況での一時的な DNA

複製への影響など。

3.17.14 

発がん性(carcinogenicity)

がんを誘発させる性質,又はその発生率を増大させる性質。

3.17.15 

生殖毒性(reproductive toxicity)

雌雄の成体の生殖機能及び受精能力に対し悪影響を及ぼす性質及び子の発生に対し悪影響を及ぼす性質。

3.17.16 

特定標的臓器毒性,単回ばく露(specific target organ toxicity, single exposure)

単回ばく露によって起こる特定標的臓器に対する特異的な非致死性の毒性。

なお,単回ばく露は,可逆的若しくは不可逆的,又は急性若しくは遅発性の機能を損なう可能性がある,

全ての重大な健康への影響を含む。

3.17.17 

特定標的臓器毒性,反復ばく露(specific target organ toxicity, repeated exposure)

反復ばく露によって起こる特定標的臓器に対する特異的な非致死性の毒性。

なお,反復ばく露は,可逆的若しくは不可逆的,又は急性若しくは遅発性の機能を損なう可能性がある,

全ての重大な健康への影響を含む。

3.17.18 

吸引性呼吸器有害性(aspiration hazard)

誤えんの後,化学肺炎若しくは種々の程度の肺損傷を引き起こす性質,又は死亡のような重篤な急性の

作用を引き起こす性質。


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Z 7252

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3.17.19 

誤えん(aspiration)

液体又は固体の化学品が,口若しくは鼻くう(腔)から直接,又はおう(嘔)吐によって間接的に気管

及び下気道へ侵入すること。

注記  “誤えん”は,原因物質が喉頭,咽頭部分の上気道と上部消化器官との分岐部分に入り込んだ

場合,吸気によって引き起こされる。

3.18 

環境に対する有害性 

3.18.1 

水生環境有害性(hazard to the aquatic environment)

化学品の短期的なばく露における水生生物に対する有害な性質,又は水生生物のライフサイクルに対応

したばく露期間に水生生物に悪影響を及ぼす潜在的若しくは顕在的な性質。

3.18.2 

急性水生毒性(acute aquatic toxicity)

化学品への短期的なばく露による水生生物に対する有害な性質。

3.18.3 

慢性水生毒性(chronic aquatic toxicity)

水生生物のライフサイクルに対応したばく露期間に水生生物に悪影響を及ぼす,化学品の潜在的な,又

は顕在的な性質。

3.18.4 

生物学的利用性(bioavailability, biological availability)

化学品が生物に取り込まれ,かつ,生物内のある部位に分布する程度。

注記  “生物学的利用性”は,化学品の物理化学的特質,生物の体内組織及び生理機能,ファーマコ

キネティクス(薬物動態学)並びにばく露の経路に依存する。単なる利用性は,生物学的利用

性の必要条件にならない。

3.18.5 

生物蓄積性(bioaccumulation)

あらゆるばく露経路(例えば,空気,水,底質又は土壌,食物)からの生物体内への化学品の取込み,

生物体内における化学品の変化,及び排せつ(泄)からなる総体的な結果。

3.18.6 

生物濃縮(bioconcentration)

水を媒体とするばく露による生物体内への化学品の取込み,生物体内における化学品の変化,及び排せ

つからなる総体的な結果。

3.18.7 

分解(degradation)

有機物分子がより小さな分子に,更に最終的には二酸化炭素,水及び塩類になる現象。

注記  嫌気的条件では,メタン,二酸化炭素,水及び塩類になる。窒素化合物は,最終的には,窒素

酸化物又は窒素になる。

3.18.8 

オゾン破壊係数(ozone depleting potential)


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Z 7252

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ハロカーボンによって見込まれる成層圏オゾンの破壊の程度を,CFC-11(トリクロロフルオロメタン)

に対して質量ベースで相対的に表した積算量。積算量はハロカーボンの種類によって異なる。オゾン破壊

係数の正式な定義は,等量の CFC-11 排出量を基準にした,特定の化合物の排出に伴う総オゾンのじょう

(擾)乱量の積算値の比の値。

3.18.9 

モントリオール議定書(Montreal protocol)

議定書の締約国によって調整又は修正された,オゾン層破壊物質に関するモントリオール議定書。

一般事項 

この規格は,

“自主的に分類”ができるように GHS に基づく分類(以下,分類という。

)を各危険有害

性クラスの区別及び危険有害性区分の区別を明確にすることで,可能な限り簡潔に,かつ,分かりやすく

規定したものである。健康に対する有害性及び環境に対する有害性における危険有害性クラスの多くにつ

いて危険有害性クラスを分類するための判定基準は半定量的又は定性的であるため,データの解釈を行う

には,専門家の判断が必要な場合がある。

分類に必要な情報及びその内容決定の手順 

5.1 

分類の概念 

危険有害性の分類は,次の手順によって行う。

a)

化学品についての危険有害性に関連するデータを特定する。

b)

化学品のもつ上記 a) のデータを検討して,その化学品の危険有害性を確認する。

c)

危険有害性の分類基準とデータとを比較検討して,化学品の該当する危険有害性クラス及び危険有害

性区分を判定する。

5.2 

分類基準及び分類手順 

5.2.1 

物理化学的危険性の分類基準及び分類手順 

化学品に関する危険性の分類のための分類基準は,

附属書 に規定する。

混合物の分類について推奨する手順は,次による。

a)

混合物そのものの試験データが利用できる場合は,混合物の分類はそのデータに基づいて行う。

b)

混合物が既知の物理化学的危険性成分を含む場合には,その危険性の判定手順を実施する。ただし,

可燃性又は引火性ガス,支燃性又は酸化性ガスについては計算によって判定することが望ましい

A.2.3 及び A.4.3 参照)

5.2.2 

健康に対する有害性及び環境に対する有害性の分類基準及び分類手順 

化学品に関する有害性の分類のための分類基準は,健康に対する有害性については

附属書 B,環境に対

する有害性については

附属書 に規定する。

混合物の分類について推奨する手順は,次による。

a)

混合物そのものの試験データが利用できる場合は,混合物の分類はそのデータに基づいて行う。

b)

混合物そのものの試験データが利用できない場合には,混合物の分類が可能かどうかは,つなぎの原

則(bridging principle)

5.5 参照)を考慮して,判断することが望ましい。

c)

a)

及び b) が適用できない場合には,成分物質の有害性に関する既知の情報に基づいて有害性を推定す

る。この場合,

附属書 及び附属書 に規定する混合物の分類の方法を用いて分類する。

多くの場合,生殖細胞変異原性,発がん性及び生殖毒性の危険有害性クラスに関して混合物全体として


11

Z 7252

:2014

の信頼できるデータは期待できない。そこで混合物は,これらの危険有害性クラスに関してそれぞれの附

属書にある濃度限界を用いて,個々の成分に関して入手できる情報に基づいて分類する。混合物全体とし

てのデータが附属書で記載されているように決定的である場合には,混合物の分類はそのデータに基づい

て適宜修正してもよい。

5.3 

利用可能なデータ,試験方法及び試験データの質 

5.3.1 

一般事項 

健康に対する有害性及び環境に対する有害性の分類においては,既存のデータを利用する。物理化学的

危険性の分類においては,危険有害性クラスの種類によって試験データを必要とする場合もある。化学品

の分類は,判定基準及び判定基準の基礎となる試験の信頼性に依存する。分類は,特定の試験の結果によ

って判定する場合(例えば,易生分解性試験)

,又は量−反応曲線及び試験で得た所見から解釈する場合が

ある。いずれの場合も,懸念する危険有害性クラスを判定するための有効なデータが得られるように,試

験条件を標準化し,対象とする化学品について再現性のある結果が得られるようにする必要がある。有効

性の検証(バリデーション)とは,特定の目的を達成するための信頼性及び妥当性を確立するプロセスで

ある。

5.3.2 

既に分類されている化学品 

この規格に従って分類する場合は,試験の重複及び試験動物の不必要な使用を避けるために,化学品の

分類のために既存システムによって得た試験データを採用してもよい。

なお,この規格における判定基準が既存システムの判定基準と異なる場合は,注意を払う必要がある。

過去の試験から得た既存データの質を決定することは困難な場合もある。そのような場合には,専門家の

判断を求めることが望ましい。

5.3.3 

特殊な問題のある化学品 

特殊な問題のある化学品の分類は,次による。

a)

化学品の生物系及び環境系への影響は,とりわけ化学品中の成分の物理化学的性質及び生物学的利用

性によって左右される。一部の化学品,例えば,ある種のポリマー又は金属では,この点に関して特

殊な問題が生じる。国際的に認められている試験方法による決定的な試験データによって,化学品が

生物学的に利用できないことが示される場合は,それらを分類する必要はない。同様に,混合物の成

分に関する生物学的に利用できるデータは,これらの混合物を分類するときに,該当する分類基準と

ともに用いることが望ましい。

b)

ある種の物理化学的危険性(例えば,爆発性又は酸化性)は,鈍性化爆発物の例に見られるように,

混合物,物品及び包装に含まれること又は他の要因によって,希釈によって変化する場合がある。特

定の分野(例えば,貯蔵)に対する分類手順では経験又は専門性を考慮する必要がある。

5.3.4 

動物愛護 

動物愛護は,重要な関心事である。この倫理的問題には,ストレス又は痛みの緩和だけでなく,試験動

物の使用及び消費も含まれる。可能かつ適切な場合は,生きた動物を必要としない試験が,生きて感覚を

もつ実験動物を用いる試験よりは望ましい。そのために,ある有害性(例えば,皮膚腐食性及び皮膚刺激

性,及び眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性)の試験には,動物を用いない観察及び試験方法から始ま

る試験体系が分類システムの中に含まれている。急性毒性などその他の有害性は,動物数を少なくした,

又は痛みを軽減させた動物試験法が国際的に受け入れられており,それらを従来の LD

50

(半数致死量)の

試験よりも優先することが望ましい。

5.3.5 

ヒトから得られた証拠 


12

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分類を目的として化学品のヒトの健康に対する有害性の評価を行う場合は,ヒトに対する化学品の作用

に関する信頼できる疫学的データ及び経験,例えば,職業ばく露によるデータ,事故ばく露によるデータ

を考慮する。有害性の特定のためだけにヒトで試験することは,一般に認められていない。

5.3.6 

専門家の判断 

混合物の分類は,ヒトの健康及び環境を保護するために,できるだけ多くの混合物について既存の情報

を確実に使用できるように,多くの領域で専門家の判断を活用することが望ましい。特に,証拠の重み付

けが必要な場合には,化学品の有害性の分類でのデータの解釈は,専門家が判断することが望ましい。

5.3.7 

証拠の重み付け 

証拠の重み付けは,次による。

a)

危険有害性クラスには,データが判定基準を満たした場合に,直ちに分類できるものがある。証拠の

総合的な重み付けによって,化学品が分類できる場合もある。この場合には,有効なインビトロ(in

vitro)試験の結果,関連する動物データ,疫学的調査及び臨床研究又は記録の確かな症例報告,所見

などのヒトでの経験,及び毒性の決定に関するあらゆる利用可能な情報を全て考慮することが望まし

い。

b)

データの質及び一貫性は重要である。作用部位及び作用機序又は作用形態についての研究結果を,関

連した化学品の評価に加えることが望ましい。陽性結果及び陰性結果の両方を組み合わせて証拠の重

み付けを実施することが望ましい。

c)

ヒトのデータ及び動物のデータにおいて,

附属書 及び附属書 に規定する判定基準と一致する陽性

の作用は,分類を裏付けるものとみなせる。二つの情報源から証拠が得られ,その知見が矛盾してい

る場合は,分類の問題を解決するために,それらの情報源から得られた証拠の質及び信頼性を評価す

る。一般的に,質及び信頼性に優れたヒトのデータは,他のデータよりも優先する。ただし,綿密に

計画し,実施した疫学的調査であっても,対象数が少ない場合は,比較的頻度は低いが重要な影響を

検出できない,又は潜在的交絡要因を推定できないことがある。適切に実施した動物試験から陽性の

結果を得た場合は,ヒトで陽性の結果が得られていないことを理由にその動物試験の陽性結果を否定

しなくてもよいが,予測できる影響の発生率及び潜在的交絡要因の影響に関して,ヒト及び動物両方

のデータの頑健性及び質の評価が必要である。

d)

ばく露経路,作用機序に関する情報,及び代謝に関する研究は,ある影響がヒトに現れるかどうかを

判定する場合に有用である。そのような情報からヒトへの適用について疑問が生じた場合は,低い方

の分類・区分に分類することが適切な場合もある。作用形態又は作用機序がヒトに該当しないことが

明らかである場合は,その化学品は,危険有害性区分に分類してはならない。

e)

陽性結果及び陰性結果の両方を組み合わせて証拠の重み付けを実施することが望ましい。ただし,優

れた科学的原則に従って実施し,

かつ,

統計学的及び生物学的に有意な結果が得られている場合には,

一つの陽性結果を示す試験から,危険有害性の分類をしてもよい。

5.4 

混合物の分類に特別に考慮しなければならない事項 

5.4.1 

用語の定義の重要性 

考慮しなければならない事項を,次に示す。

a)

混合物の分類を理解するには,用語の定義が必要である。これらの定義は,分類及び表示に向けて製

品の危険有害性を評価又は判定するためで,インベントリー報告などの他の状況で適用するためのも

のではない。定義をするのは,次のことを確実にするためである。

1)

分類対象範囲内の全ての製品を,それらの危険有害性を判定するために評価し,

附属書 A∼附属書


13

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C

に規定する判定基準に従って分類する。

2)

評価は,実際の製品,すなわち,安定した製品で行う。製造中に反応が起こり,新しい生成物が生

じる場合は,その生成物に対して新たに危険有害性についての評価及び分類を行わなければならな

い。

b)

化学品の分類を一貫して行うには,3.13.3 に規定する定義を用いることが望ましい。不純物,添加

物,又は化学品の成分を特定し,それぞれを分類する。ある危険有害性クラスについて濃度限界を超

える場合には,これらの分類についても考慮する。

c)

化学品によっては,大気中の気体,例えば,酸素,二酸化炭素,水蒸気などとゆっくり反応して,異

なる化学物質を形成するものもある。混合物の他の成分と極めてゆっくり反応して,異なる化学物質

を形成するものもある。また,自己重合して,オリゴマー又はポリマーを形成するものもある。しか

し,このような反応によって生成する化学物質の濃度は,一般的には,十分低いとみなせるので,混

合物の有害性分類に影響しない。

5.4.2 

健康に対する有害性及び環境に対する有害性における濃度限界の使用 

混合物の分類のための濃度限界の使用は,次による。

a)

未試験の混合物を成分の有害性に基づいて分類する場合は,ある危険有害性クラスには,混合物の分

類された成分に対して統一的な濃度限界を使用することが望ましい。採用した濃度限界で,ほとんど

の混合物の有害性を特定することができるが,濃度限界以下の濃度でもその成分が特定可能な有害性

を示す場合がある。また,その成分が有害性を示さないと予想できる濃度よりも,濃度限界がかなり

低い場合もある。

b)

この規格に規定する濃度限界は,どの分野・部門(例えば,生産,貯蔵,輸送,作業場での利用,消

費者の利用,環境中での存在など)でも一様に適用することが望ましい。しかし,分類する者が,あ

る成分が統一的な濃度限界以下でも有害性をもつことが明白であるという情報をもつ場合は,その成

分を含む混合物は,その情報に従って分類することが望ましい。

c)

ある成分がこの規格に規定する濃度限界以上の濃度で存在しても,有害性が顕在化しないという明確

なデータがある場合は,その混合物は,そのデータによって分類することが望ましい。また,そのデ

ータによって,ある成分が単独で存在する場合よりも混合物中で存在する場合に,より有害性が増す

という可能性が除外されなければならない。さらに,その混合物は,その決定に影響を与える他の成

分を含んではならない。

5.4.3 

健康に対する有害性及び環境に対する有害性における相乗又はきっ(拮)抗作用 

この規格の要求事項に従って評価を行う場合は,評価者は,混合物成分間の潜在的相乗作用についての

あらゆる情報を考慮することが望ましい。きっ(拮)抗作用に基づいて混合物の分類をより低位の区分に

下げることは,その決定が十分なデータによって裏付けできる場合に限る。

5.5 

健康に対する有害性及び環境に対する有害性におけるつなぎの原則 

5.5.1 

一般事項 

混合物は,各有害性を判定するために試験を行う必要はない。当該混合物の健康に対する有害性及び/

又は環境に対する有害性を特定するには,個々の成分及びその類似の試験された混合物に関する十分なデ

ータがある場合は,これらのデータを使用して,5.5.25.5.7 及び

表 のつなぎの原則によって分類する。

ただし,

表 に示す危険有害性クラスに限定し,適用する。

これによって,分類プロセスに動物試験を追加する必要がなく,混合物の有害性判定のために入手した

データを可能な限り最大限に用いることができる。


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5.5.2 

希釈 

試験した混合物が,急性毒性,皮膚腐食性及び皮膚刺激性,眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性,特

定標的臓器毒性(単回ばく露,反復ばく露)又は水生環境有害性をもつ化学品の場合,該当する有害性の

最も低い成分に比べて同等以下の有害性分類に属する物質で希釈され,その物質が他の成分の該当する有

害性に影響を与えないことが予想されれば,新しい希釈された混合物は,試験された元の混合物と同等と

して分類してもよい。試験された混合物が,呼吸器感作性若しくは皮膚感作性,生殖細胞変異原性,発が

ん性,生殖毒性又は吸引性呼吸器有害性をもつ化学品の場合,該当する有害性がなく,また,他の成分の

該当する有害性に影響を与えないと予想される希釈剤で希釈される場合,新しい希釈された混合物は,元

の試験された混合物と同等として分類してもよい。

5.5.3 

製造バッチ 

試験した製造バッチの混合物の有害性は,同じ製造業者によって又はその管理下で生産した同じ製品の

試験していない別のバッチの有害性と本質的に同等とみなすことができる。ただし,試験していないバッ

チ間で有害性が変化するような有意の変動があると見られる理由がある場合は,この限りではない。この

ような場合には,新しく分類することが望ましい。

5.5.4 

有害性の高い混合物の濃縮 

試験した混合物が,区分 1 又は細区分 1A(

附属書 又は附属書 参照)に分類され,区分 1 又は細区

分 1A に分類された成分の濃度が増加する場合は,試験されていない新しい混合物は,追加試験なしで区

分 1 又は細区分 1A に分類してもよい。

5.5.5 

一つの危険有害性区分内での内挿 

三つの混合物(混合物 A,混合物 B 及び混合物 C)が同じ成分をもち,混合物 A 及び混合物 B が試験さ

れて同じ危険有害性区分にあり,試験されていない混合物 C と同じ毒性学的活性成分をもち,毒性学的活

性な成分の濃度が,混合物 A と混合物 B との中間にある場合は,混合物 C は,混合物 A 及び混合物 B と

同じ危険有害性区分に分類することができる。

5.5.6 

本質的に類似した混合物 

次によって仮定する。

a)

二つの混合物:(i) A+B

(ii)

C+B

b)

成分 B の濃度は,両方の混合物で本質的に同じである。

c)

混合物(i)の成分 A の濃度は,混合物(ii)の成分 C の濃度に等しい。

d)

成分 A 及び成分 C の有害性に関するデータが利用でき,実質的に同等である。すなわち,成分 A 及

び成分 C が同じ危険有害性区分に属し,かつ,成分 B の有害性には影響を与えることはないと判断で

きる。

混合物(i)又は混合物(ii)が既に試験データによって分類されている場合は,他方の混合物は同じ危険有害

性区分に分類してもよい。

5.5.7 

エアゾール 

エアゾール形態の混合物は,

添加した噴霧剤が噴霧時に混合物の有害性に影響しないという条件下では,

有害性について試験した非エアゾール形態の混合物と同じ危険有害性区分に分類してもよい。ただし,急

性毒性又は特定標的臓器毒性(単回ばく露,反復ばく露)をもつ成分を含む混合物の場合,経口及び経皮

毒性について試験された非エアゾール形態の混合物と同じ危険有害性区分に分類してもよいが,エアゾー

ル化された混合物の吸入毒性に関する分類は,個別に考慮するのがよい。


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Z 7252

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表 1−健康に対する有害性及び環境に対する有害性におけるつなぎの原則 

有害性

希釈

5.5.2 参照)

製造バッチ

5.5.3 参照)

有害性の高い
混合物の濃縮

5.5.4 参照)

一つの危険有
害性区分内で

の内挿

5.5.5 参照)

本質的に類似
した混合物

5.5.6 参照)

エアゾール

5.5.7 参照)

急性毒性(B.1 参照)  ●

皮膚腐食性及び皮膚

刺激性(B.2 参照)

a)

眼に対する重篤な損

傷 性 又 は 眼 刺 激 性

B.3 参照)

b)

d)

呼吸器感作性又は皮

膚感作性(B.4 参照)

生 殖 細 胞 変 異 原 性

B.5 参照)

発がん性(B.6 参照)  ●

生殖毒性(B.7 参照)  ●

特 定 標 的 臓 器 毒 性

( 単 回 ば く 露 )( B.8

参照)

特 定 標 的 臓 器 毒 性

( 反 復 ば く 露 )( B.9

参照)

吸引性呼吸器有害性

B.10 参照)

水生環境有害性(C.1

参照)

c)

注記  各危険有害性クラスにおいて,つなぎの原則が適用できる有害性は,表中に●印を記載している。各危険有

害性クラスへ適用する場合の注意事項については,

a)

d)

 に記載している。

a)

  皮膚腐食性又は皮膚刺激性の強い混合物の濃縮は,皮膚腐食性について最も高い細区分に分類した試験混合

物を濃縮した場合は,より濃度が高い混合物は追加試験なしで,最も高い皮膚腐食性の細区分に分類しても

よい。皮膚刺激性について,最も高い区分に分類された試験混合物を濃縮し,皮膚腐食性成分を含まない場

合には,より濃度が高い混合物は追加試験なしで最高の皮膚刺激性区分に分類してもよい。

b)

  眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性の強い混合物の濃縮は,眼に対する重篤な損傷について最も高い細区

分に分類された試験混合物を濃縮した場合は,より濃度が高い混合物は追加試験なしで最も高い細区分に分

類してもよい。皮膚又は眼刺激性について最も高い区分に分類された試験混合物を濃縮し,重篤な眼損傷を
起こす成分を含まない場合は,より濃度が高い混合物は追加試験なしで最高の眼刺激性区分に分類してもよ

い。

c)

  水生環境有害性の最も重度の分類区分(慢性区分 1 及び急性区分 1)に分類される混合物を濃縮して生じた混

合物の分類においては,慢性区分 1 又は急性区分 1 に分類される成分を更に濃縮する場合,その濃縮して生

じた混合物は追加試験なしで元の混合物と同じ分類区分に分類してもよい。

d)

  眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性のエアゾール形態の混合物は,添加された噴霧剤が噴霧時に混合物の

有害性に影響しないという条件下では,試験された非エアゾール形態の混合物と同じ危険有害性区分に分類

してもよい。スプレーの物理的な力による“機械的な”眼損傷の可能性も評価することが望ましい。


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附属書 A

(規定)

物理化学的危険性

A.1 

爆発物 

A.1.1 

一般事項 

この箇条は,爆発物を分類する方法について規定する。

A.1.2 

化学品の分類基準 

A.1.2.1 

爆発物として分類するもの 

爆発物に分類するものは,次による。

a)

爆発性の化学品。

b)

爆発性物品。ただし,不注意若しくは偶発的な発火又は起爆によって,飛散,火炎,発煙,発熱又は

大音響のいずれかによって装置の外側に対して何ら影響を及ぼさない程度の量又はそのような特性の

爆発性の化学品を含む装置を除く。

c)

上記 a) 及び b) 以外の化学品及び物品であって,爆発効果又は火工効果を実用目的として製造したも

の。

A.1.2.2 

爆発物の危険性区分 

爆発物に分類する化学品及び物品は,それぞれがもつ危険性の度合によって,

表 A.1 に示す不安定爆発

物又は 6 種類の等級区分のいずれかに区分する。

表 A.1−爆発物の危険性分類 

区分

分類

不安定爆発物

熱的に不安定である,又は通常の取扱い又は使用に対して鋭敏すぎる爆発物。

等級 1.1

大量爆発の危険性をもつ化学品及び物品(大量爆発とは,ほとんど全量がほぼ瞬時に
影響が及ぶような爆発をいう。

等級 1.2

大量爆発の危険性はないが,飛散の危険性をもつ化学品及び物品。

等級 1.3

大量爆発の危険性はないが,火災の危険性をもち,かつ,弱い爆風の危険性若しくは
僅かな飛散の危険性のいずれか又はその両方をもっている化学品及び物品。

a)

その燃焼によって大量のふく(輻)射熱を放出するもの,又は

b)

弱い爆風若しくは飛散のいずれか,又は両方の効果を発生しながら次々に燃焼
するもの。

等級 1.4

高い危険性の認められない化学品及び物品。すなわち,発火又は起爆した場合にも僅
かな危険性しか示さない化学品及及び物品。その影響はほとんどが包装内に限られ,

ある程度以上の大きさと飛散距離とをもつ破片の飛散は想定されないというものであ

る。外部火災によって包装物のほぼ全ての内容物が瞬時に爆発を起こさないもの。

等級 1.5

大量爆発の危険性をもつが,非常に鈍感な化学品。すなわち,大量爆発の危険性をも
っているが非常に鈍感で,通常の条件では,発火・起爆の確率又は燃焼から爆ごうに

転移する確率が極めて小さい化学品。

等級 1.6

大量爆発の危険性をもたない極めて鈍感な物品。すなわち,極めて鈍感な化学品だけ

を含む物品で,偶発的な起爆又は伝ぱ(播)の確率をほとんど無視できるようなもの。

A.1.2.3 

判定基準 

爆発物は,

表 A.2 に従い UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests and criteria


17

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(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第 I 部(クラス 1 の火薬類に関する分

類手順,試験方法及び判定基準)にある試験シリーズ 2∼試験シリーズ 8 に基づいて,A.1.2.2 の 7 種類の

区分のいずれかに区分する。

表 A.2−爆発物の判定基準 

区分

判定基準

不安定爆発物又は等

級 1.1∼等級 1.6 の爆

発物

不安定爆発物又は等級 1.1∼等級 1.6 の爆発物について,次の試験は実施が必要な核と

なる試験シリーズである。

爆発性:国連試験シリーズ 2[UN Recommendations on the transport of dangerous goods,

Manual of tests and criteria(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準
のマニュアル)第 I 部  第 12 節  試験シリーズ 2]による。意図的な爆発物

(爆発又は火工品的効果を実質的に発生させる目的で製造された化学品及び
物品が含まれる。

)は国連試験シリーズ 2 を実施せず,試験シリーズ 3 から始

める(

図 A.2 参照)。

感度:国連試験シリーズ 3[UN Recommendations on the transport of dangerous goods,

Manual of tests and criteria(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準の
マニュアル)第 I 部  第 13 節  試験シリーズ 3]による。

熱安定性:国連試験 3(c)[UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual

of tests and criteria(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニ
ュアル)第 I 部  13.6.1(試験 3(c):75  ℃熱安定性試験)

]による。

正しい等級の決定には,更に試験が必要である(

図 A.3 参照)。

包装物とされた爆発性の化学品及び物品は,等級 1.1∼等級 1.6 に分類することができるが,規制の目的

によっては,更に隔離区分 A∼隔離区分 S に細分類して技術要件を区別する[UN Recommendations on the

transport of dangerous goods−Model regulations(危険物輸送に関する勧告  モデル規則)第 2.1 章参照]。

注記 1  ある種の爆発性の化学品は,水若しくはアルコールで湿性とするか,又はその他の物質で希

釈してその爆発性を抑えてある。これらは,規制の目的(例:輸送など)によっては,爆発

性の化学品とは別のもの(鈍性化爆発物)として扱うことができる(5.3.3 参照)

注記 2  固体物質の化学品の分類試験では,当該化学品は提供された形態で試験を実施するのがよい。

例えば,供給又は輸送が目的で,同じ化学品が,試験したときとは異なった物理的形態で,

かつ,分類試験の実施を著しく変える可能性が高いと考えられる形態で提供される場合には,

その化学品もまたその新たな形態で試験する。

A.1.2.4 

試験に基づく分類方法 

化学品,及び物品を爆発物に分類し,更に等級を割り当てるには,三段階の極めて複雑な手順がある。

UN Recommendations on the transport of dangerous goods−Manual of tests and criteria(危険物輸送に関する勧

告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第 I 部(クラス 1 の火薬類に関する分類手順,試験方法及び判

定基準)を参照する必要がある。第一段階は,その化学品に爆発性効果があるかどうかを確かめることで

ある(試験シリーズ 1)

。第二段階は,判定手順(試験シリーズ 2∼試験シリーズ 4)であり,第三段階は

危険性等級の割当(試験シリーズ 5∼試験シリーズ 7)である。

“爆破用爆薬中間体(ANE)である,硝酸

アンモニウムエマルション,サスペンション又はゲル”が酸化性液体(A.13)又は酸化性固体(A.14)に

分類するだけ十分に鈍感であるかどうかを評価するには試験シリーズ 8 の試験を実施する。分類手順は次

の判定論理による(

図 A.1∼図 A.4 参照)。


18

Z 7252

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不安定爆発物に分類

等級の割当

分類コード

判定手順

除外

爆発物ではない

爆発物に分類

隔離区分の割当

分類すべき化学品又は物品

隔離区分

  A, B, C, D, E, F

G, H, J, K, L, N  又は S

等級

1.1, 1.2, 1.3, 1.4, 1.5

又は 1.6

図 A.1−爆発物(輸送におけるクラス 1)の化学品又は物品の分類手順の全体的なスキーム


19

Z 7252

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a)

  分類のためには試験シリーズ 2 から開始する。

図 A.2−化学品又は物品を暫定的に爆発物と判定するときの手順 

分類する化学品

化学品を封入

又は包装する。

爆発物で

ない

不安定爆発物に分類

暫定的に爆発物と判定

図 A.3 に進む)

化学品は爆破用爆薬中間
体 (ANE) と し て の 硝 酸 ア
ンモニウムエマルション,
サスペンション又はゲル
であるか。

化学品は

爆発物と判定する

には鈍感すぎるか。

物品,包装された物品又は

化学品は危険すぎるか。

試験シリーズ 4

化学品は爆発物であると

考えられる。

試験シリーズ 3

化学品は

熱的に安定か。

化学品は

試験した形態では

危険か。

すぎるか

分類する物品

試験シリーズ 1

a)

爆発性化学品か。

試験シリーズ 2

試験シリーズ

8

はい

いいえ

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

いいえ

はい

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

化学品は実用的な爆薬又は
火工品としての効果を生じ
るよう製造されているか。


20

Z 7252

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暫定的に爆発物と判定した物品又は化学品

図 A.2 から)

物品は

等級 1.6 の

候補物品か。

はい

試験シリーズ 7

化学品は等級 1.5

の候補か。

はい

試験シリーズ  5

極めて鈍感な

爆発物か。

はい

大量爆発

危険性のある非常に

鈍感な化学品

であるか。

試験シリーズ  6

大量爆発 
するか。

いいえ

主な危険性は

危険を伴う飛散
によるものか。

いいえ

主要な

危険性は輻射熱

又は激しい燃焼であるが

危険を伴う爆風又は飛散の

危険性を伴うか。

いいえ

その危険性

は周辺の消火

活動を妨害

するか。

輸送物外に

危険性が及ぶか。

爆発又は火工品的

効果を実質的に発生させる

目的で製造された化学品

又は物品であるか。

その製品は定義に

よって除外される製品か

A.1.2.1 b)  参照]

いいえ

いいえ

はい

はい

等級 1.4

隔離区分グループ

S

等級 1.5

 
等級 1.6

爆発物

でない

いいえ

はい

    等級 1.4

隔離区分グループは

S以外

等級 1.2

等級 1.3

等級 1.1

はい

はい

はい

 いいえ

はい

いいえ

いいえ

いいえ

化学品を

包装する。

いいえ

はい

図 A.3−爆発物(輸送におけるクラス 1)の等級決定手順


21

Z 7252

:2014

化学品は不安定爆発物以外の爆発

物に分類されると考える。 
図 A.3 における質問“大量爆発危険
性のある非常に鈍感な化学品であ

るか”への答えが“いいえ”の場

合には,化学品は等級 1.1 に分類す
る。

化学品は等級 1.5 の爆発物として分

類されると考え,試験シリーズ 5 に

進む。 
図 A.3 における質問“大量爆発危険
性のある非常に鈍感な化学品である

か”への答えが“はい”の場合には,
化学品は等級 1.5 に分類される。

答えが“いいえ”の場合には,化学

品は等級 1.1 に分類する。

不安定爆発物と分類する。

はい

いいえ

はい

はい

いいえ

いいえ

試験 8(c)

ケーネン試験

物質は密封下では高熱に

対して鋭敏か。

試験シリーズ 8

試験 8(a)

熱安定性試験

化学品は熱的に

安定か。

試験 8(b)

ANE 大型ギャップ試験

化学品を酸化性液体又は酸化性

固体に分類するには衝撃に

対して鋭敏か。

化学品は,

“爆破用爆薬中間体(ANE)である,硝酸アンモ

ニウムエマルション,サスペンション又はゲル”として

酸化性液体区分 2 又は酸化性固体区分 2 に分類する 
A.13 又は A.14

図 A.4−化学品を ANE として酸化性液体又は固体に暫定的に判定する手順


22

Z 7252

:2014

A.1.3 

分類のための追加情報 

爆発性状は,反応によって温度又は圧力の極めて急激な上昇を生じる可能性のある特定の原子団が分子

内に存在することと関係している。スクリーニング手順は,そのような反応原子団の有無及び急激なエネ

ルギー放出の可能性を識別することを目的としている。スクリーニング手順でその化学品が潜在的爆発物

であると識別された場合には,判定手順[UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of

tests and criteria(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第 I 部 10.3(受入手順)

参照)

]によらなければならない。

なお,有機物質の発熱分解エネルギーが 800 J/g 未満である場合には,シリーズ 1 の類の爆ごう伝ぱ(播)

試験もシリーズ 2 の類の爆ごう衝撃感度試験も必要ではない。分解エネルギーが 800 J/g 以上の有機化学品

については,標準 No.8 起爆薬による弾動臼砲試験 MK.IIID(ballistic mortar MK.IIID test)

(F.1)

,弾動臼砲

試験(ballistic mortar test)

(F.2)又は BAM トラウズル試験(BAM Trauzl test)

(F.3)による結果が“否”

である場合,シリーズ 1 の類の試験もシリーズ 2 の類の試験も行う必要はない。この場合,試験 1(a)及び

試験 2(a)の結果は“−”とする。

次の化学品は,爆発物には分類しない。

a)

分 子 内 に 爆 発 性 に 関 わ る 原 子 団 が な い 。 爆 発 性 を 示 唆 す る と 思 わ れ る 原 子 団 の 例 は UN

Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests and criteria(危険物輸送に関する勧告

試験方法及び判定基準のマニュアル)付録 6(スクリーニング手順)に示されており,それを

表 A.3

に示す。

b)

物質が酸素を含む爆発性の性質に関連した原子団を含んでいる,及び酸素収支の計算値が−200 より

低い。

酸素収支は,次の化学反応に対して次の式によって算出する。

C

x

H

y

O

z

+[x+(y/4)−(z/2)]O

2

  → xCO

2

+(y/2)H

2

O

酸素収支=−1 600[2x+(y/2)−z]/分子量

c)

有機化学品に爆発性に関連する原子団が含まれるが,発熱分解エネルギーが 500 J/g 未満であり,かつ,

分解の発熱開始が 500  ℃より低い場合(この温度制限は,爆発性ではないが 500  ℃を超えるとゆっく

りと分解して 500 J/g より大きいエネルギーを放出するような多数の有機物質に手順が適用されない

ようにするものである。

)発熱分解エネルギーは適切な熱量測定法によって決定することができる。

d)

無機酸化性物質と有機物質との混合物では,その無機酸化性物質の濃度が,

質量で 15 %未満,ただし,酸化性物質が区分 1 又は 2 に分類される場合,又は

質量で 30 %未満,ただし,酸化性物質が区分 3 に分類される場合。

混合物が既知の爆発物のいずれかを含む場合には,爆発物の判定手順を実施しなければならない(

図 A.1

図 A.4 参照)。


23

Z 7252

:2014

表 A.3−爆発性に関連する原子団の例 

不飽和の C−C 結合:アセチレン類,アセチリド類,1,2-ジエン類 
C−金属,N−金属:グリニャール試薬,有機リチウム化合物 
隣接した窒素原子: アジド類,脂肪族アゾ化合物,ジアゾニウム塩類,ヒドラジン類, 

スルホニルヒドラジド類

隣接した酸素原子:パーオキシド類,オゾニド類 
N−O: ヒドロキシルアミン類,硝酸塩類,硝酸エステル類,ニトロ化合物, 

ニトロソ化合物,N-オキシド類,1,2-オキサゾール類

N−ハロゲン:クロルアミン類,フルオロアミン類 
O−ハロゲン:塩素酸塩類,過塩素酸塩類,ヨードシル化合物

A.2 

可燃性又は引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 

A.2.1 

一般事項 

この箇条は,

可燃性又は引火性ガス

(化学的に不安定なガスを含む。

を分類する方法について規定する。

A.2.2 

化学品の分類基準 

A.2.2.1 

可燃性又は引火性ガスの危険性区分 

可燃性又は引火性ガスは,常温・常圧で空気と混合したときの爆発限界(上限・下限)によって,

表 A.4

に従ってこのクラスにおける二つの区分のいずれかに区分する。

表 A.4−可燃性又は引火性ガスの判定基準 

区分

判定基準

1

標準圧力 101.3 kPa で 20  ℃において次の性状をもつガス。

a)

ガス濃度が 13 %(体積分率)以下の空気との混合ガスで可燃性又は引火性であ

るもの,又は

b)

爆発(燃焼)下限界に関係なく空気との混合ガスの爆発範囲(燃焼範囲)が 12 %
ポイント以上のもの。

2

区分 1 以外のガスで,標準圧力 101.3 kPa で 20  ℃においてガスであり,空気との混

合気が爆発範囲(燃焼範囲)をもつもの。

注記 1  アンモニア及び臭化メチルは,規制目的によっては特殊例とみなされることがある。

注記 2  エアゾールは,噴射ガス成分の分類によって可燃性又は引火性ガスと分類しないのがよい

A.3 参照)

A.2.2.2 

化学的に不安定なガスの危険性区分 

化学的に不安定でもある可燃性又は引火性ガスは,UN Recommendations on the transport of dangerous

goods, Manual of tests and criteria(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第 III

部  第 35 節(ガス及び混合ガスの化学的不安定性の測定)に記載されている方法を用いて,

表 A.5 に従っ

て化学的に不安定なガスの二つの中のいずれかに追加的に区分する。化学的不安定性に関わる官能基とし

ては 3 重結合,隣接又は共役 2 重結合,ハロゲン化 2 重結合及びひずみのある環が挙げられる。

これらのガスについての区分例は,UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests

and criteria(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第 III 部  第 35 節(ガス及び

混合ガスの化学的不安定性の測定)の

表 35.1 に示されている。また,不安定ガスを 1 種類しか含まない混


24

Z 7252

:2014

合ガスについては,

表 35.1 右端のカラム,及び表 35.2 によって判定できる。ISO 10156 に従った計算でガ

ス混合物が可燃性又は引火性とならなかった場合には,

化学的不安定性の分類を行う必要はない。

試験は,

まず常温・常圧で行う[試験(a)]

。ここで化学的不安定性を認めるときは区分 A とする。試験(a)で不安定

性を認めなかった試料について,区分 B を判定する試験(b)を行う。試験温度は 65  ℃とする。圧縮ガスの

場合,圧力はその製品が収納されている容器の容量及び充塡量で,65  ℃においてガスが示す圧力(対応初

期圧力)とする。液化ガスの場合,対応初期圧力は 65  ℃での蒸気圧とする。この試験条件で化学的不安

定性を認めたものを区分 B とする。

表 A.5−化学的に不安定なガスの判定基準 

区分

判定基準

A

標準圧力 101.3 kPa で 20  ℃において,化学的に不安定である可燃性又は引火性ガス。

B

標準圧力 101.3 kPa 超及び/又は 20  ℃超において化学的に不安定である可燃性又は
引火性ガス。

この試験は,液化混合ガスには適用できない。液化混合ガスの液化分を取り去った後の容器内のガスが

化学的に不安定であると思われる場合には,SDS にその旨を記載する。

A.2.3 

分類のための追加情報 

可燃性又は引火性は,ISO で規定する方法に従って,試験又は計算によって決定する(ISO 10156 参照)

これらの方法を利用するための十分なデータがない場合には,所管官庁が認める類似の方法による試験を

用いることができる。

ISO 10156

に従った計算による可燃性又は引火性ガス混合物の分類 

計算式は,次による。

n

i

ci

i

T

%

ここに,

V

i

%

相当する可燃性又は引火性ガスの含量

T

ci

混合物が空気中ではまだ可燃性又は引火性とならない窒
素中の可燃性又は引火性ガス最大濃度

i

混合物の

i

番目のガス

n

混合物中の

n

番目のガス

ガス混合物に窒素以外の不活性希釈ガスが含まれる場合,この希釈ガスの体積はその不活性ガスの等価

係数(

Ki

)を用いて補正し窒素の等価体積とする。

判定基準は,次による。

1

%

>

n

i

ci

i

T

V

この計算方法によって判定できるのは,区分

2

と区分外との間に限られる。区分

1

と区分

2

とを判別す

る計算方法は与えられていない。


25

Z 7252

:2014

例として,次のガス混合物を用いて計算手順を説明する。

2 % (H

2

)

6 % (CH

4

)

27 % (Ar)

65 % (He)

計算は,次による。

a)

これら不活性ガスの窒素に対する等価係数(

Ki

)を確認する。

Ki (Ar)

0.55

Ki (He)

0.9

b)

不活性ガスの

Ki

値を用いて窒素をバランスガスとして等価の混合物を計算する。

2 % (H

2

)

6 % (CH

4

)

[27 %

×

0.55

65 %

×

0.9] (N

2

)

2 % (H

2

)

6 % (CH

4

)

73 % (N

2

)

81 %

c)

含量合計を補正して

100 %

とする。

[

]

)

(N

%

90.1

+

 )

(CH

%

7.4

+

 )

(H

%

2.5

=

)

(N

%

73

+

 )

(CH

%

6

+

 )

(H

%

2

81

100

2

4

2

2

4

2

×

d)

これらの可燃性又は引火性ガスの

T

ci

係数を確かめる。

T

ci

 H

2

=5.5 %

T

ci

 CH

4

=8.7 %

e)

次の式を用いて等価の混合物の可燃性又は引火性を計算する。

31

.

1

7

.

8

4

.

7

5

.

5

5

.

2

%

=

+

=

n

i

ci

i

T

V

1.31>1 であり,したがって,この混合物は可燃性又は引火性である。 

A.3 

エアゾール 

A.3.1 

一般事項 

この箇条は,エアゾールを分類する方法について規定する。

A.3.2 

化学品の分類基準 

A.3.2.1 

エアゾールの危険性区分 

次のいずれかの判定基準によって可燃性又は引火性に分類される化学物質を成分として含むエアゾール

については,可燃性又は引火性エアゾールに分類するための評価を行う。

a)

引火性液体(A.6 参照)

b)

可燃性又は引火性ガス(A.2 参照)

c)

可燃性固体(A.7 参照)

可燃性又は引火性成分には,自然発火性物質,自己発熱性物質又は水反応性物質は含まない。なぜなら

ば,これらの物質はエアゾール内容物として用いられることはないからである。

エアゾールを,追加的に A.2A.5A.6 又は A.7 とすることはない。

エアゾールは,それを構成する物質,その燃焼熱,及び該当する場合には泡試験(泡エアゾールの場合)

並びに火炎長(着火距離)試験と密閉空間試験(噴射式エアゾールの場合)に基づいて,

表 A.6 に示すよ


26

Z 7252

:2014

う,エアゾールのクラスにおける三つの区分のいずれかに区分する。各試験の方法は UN Recommendations

on the transport of dangerous goods, Manual of tests and criteria(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定

基準のマニュアル)第 III 部  第 31 節(クラス 2 の可燃性エアゾールに関する分類手順,試験方法及び判定

基準)に記載されている。区分 1(極めて引火性の高いエアゾール)及び区分 2(引火性の高いエアゾール)

の判定基準に合わないエアゾールは区分 3(非引火性エアゾール)とする。

1 %を超える可燃性若しくは引火性成分を含む,又は燃焼熱が 20 kJ/g 以上であり,可燃性又は引火性の

分類の手順を踏んでいないエアゾールは,区分 1 に分類するのがよい。

表 A.6−エアゾールの判定基準 

区分

判定基準

1

a)

可燃性又は引火性成分の含有率が 85 %以上で,かつ,燃焼熱が 30 kJ/g 以上(試
験は実施しなくてよい。

b)

噴射式エアゾール

火炎長(着火距離)試験:75 cm 以上の距離で着火する。

c)

泡エアゾール

泡試験:1)  火炎の高さ 20 cm 以上,及び火炎持続時間 2 秒以上,又は,

        2)  火炎の高さ 4 cm 以上,及び火炎持続時間 7 秒以上。

2

a)

噴射式エアゾール

1)

火炎長(着火距離)試験:75 cm 以上の距離で着火しないが,燃焼熱が 20 kJ/g

以上。

2)

燃焼熱は 20 kJ/g 未満だが,火炎長(着火距離)試験で 15 cm 以上,75 cm 未満
の距離で着火する。

3)

燃焼熱は 20 kJ/g 未満で,火炎長(着火距離)試験で 15 cm 以上の距離でも着火

しないが,密閉空間着火試験で次の結果が得られる。

3.1)

換算着火時間 300 秒/m

3

以下,又は,

3.2)

爆発限界(燃焼限界)300 g/m

3

以下。

b)

泡エアゾール

区分 1 に該当しない泡エアゾールで,泡試験の火炎の高さ 4 cm 以上,及び火炎

持続時間 2 秒以上。

3

噴射式エアゾール,泡エアゾール共に

a)

区分 1 又は区分 2 の判定基準に一致しない。

b)

可燃性又は引火性成分の含有率が 1 %以下,かつ,燃焼熱が 20 kJ/g 未満。

A.3.2.2 

試験に基づく分類方法 

エアゾールを可燃性又は引火性エアゾールと分類するには,その可燃性又は引火性成分,その燃焼熱及

び該当する場合には泡試験(泡エアゾールの場合)並びに火炎長(着火距離)試験及び密閉空間試験(噴

射式エアゾールの場合)に関するデータが求められる。分類は

図 A.5∼図 A.7 の判定論理に従う。

注記

は,可燃性又は引火性ガス区分 1,エアゾール区分 1∼区分 2,引火性液体区分 1∼区分 3,

可燃性固体区分 1∼区分 2,自己反応性化学品タイプ B∼タイプ F,自然発火性液体区分 1,自

然発火性固体区分 1,自己発熱性化学品区分 1∼区分 2,水反応可燃性化学品区分 1∼区分 3,

有機過酸化物タイプ B∼タイプ F を示す GHS 絵表示。


27

Z 7252

:2014

可燃性又は引火性成分の含有率が 1 %以下で

かつ

燃焼熱が 20 kJ/g 未満か。

可燃性/引火性成分の含有率が 85 %以上で

かつ

燃焼熱が 30 kJ/g 以上か。

エアゾール

  区分 1

危険

はい

いいえ

はい

いいえ

  区分 3

シンボルなし

警告

      噴射式エアゾールの場合は,判定論理

図 A.6 に進む。

      泡エアゾールの場合は,判定論理

図 A.7 に進む。

図 A.5−判定論理  可燃性又は引火性エアゾール


28

Z 7252

:2014

燃焼熱量が 20 kJ/g 未満であるか。

火炎長(着火距離)試験で 75 cm 以上の距離で着火するか。

噴  射  式  エ  ア  ゾ  ー  ル

区分 1 

危険

    はい

      区分 2

警告

火炎長(着火距離)試験で,15 cm 以上の距離で着火するか。

密閉空間着火試験で以下の結果となるか。

a)

  換算着火時間 300  秒/m

3

以下,又は

b)

  爆発限界(燃焼限界)300 g/m

3

以下。

    はい

    はい

      区分 2

警告

いいえ

いいえ

いいえ

はい

    区分 2

警告

    いいえ

区分 3

シンボルなし

警告

図 A.6−判定論理  噴射式エアゾール


29

Z 7252

:2014

A.3.3 

分類のための追加情報 

燃焼熱(Δ

H

c

(キロジュール毎グラム,kJ/g)は,理論燃焼熱(Δ

H

comb

)と燃焼効率(一般的に 1.0 未満

であり,代表的な効率は 0.95)との積とする。

燃焼熱は,文献報告値,計算値又は試験による測定値でもよい。

注記  試験には,ASTM D 240NFPA30B を用いてもよい。

A.4 

支燃性又は酸化性ガス 

A.4.1 

一般事項 

この箇条は,支燃性又は酸化性ガスを分類する方法について規定する。

A.4.2 

化学品の分類基準 

A.4.2.1 

支燃性又は酸化性ガスの危険性区分 

化学品は,

表 A.7 の判定基準によって,支燃性又は酸化性ガスの区分 1 に分類する。

泡試験で,以下の結果となるか。

a)

  火炎の高さ 20 cm 以上及び火炎持続時間 2 秒以上,又は

b)

  火炎の高さ 4 cm 以上及び火炎持続時間 7 秒以上。

泡エアゾール

区分 1

危険

はい

区分 2

警告

泡試験で火炎の高さが 4 cm 以上及び火炎持続時間

2 秒以上であるか。

いいえ

はい

いいえ

区分 3

シンボルなし

警告

図 A.7−判定論理  泡エアゾール


30

Z 7252

:2014

表 A.7−支燃性又は酸化性ガスの判定基準 

区分

判定基準

1

一般的には,酸素を供給することによって,空気以上に他の物質の燃焼を引き起こ

す,又は燃焼を助けるガス。

支燃性又は酸化性ガスの分類には,ISO 10156 に記載された試験又は計算方法を実施する。

A.4.3 

分類のための追加情報 

ISO 10156

に規定する分類方法では,ガス混合物の酸化力が 0.235(23.5 %)を超える場合に,ガス混合

物は,空気よりも,より酸化力が高いとみなすのがよい,という判定基準を採用している。

酸化力(oxidizing power: OP)は,次によって計算する。

 

=

+

=

n

i

p

k

k

k

i

n

i

i

i

B

K

X

C

X

OP

1

1

1

ここで,

X

i

混合物中

i

番目の支燃性又は酸化性ガスのモル分率

C

i

混合物中

i

番目の支燃性又は酸化性ガス酸素等量係数

K

k

窒素と比較した非活性ガス

k

の当量係数

B

k

混合物中

k

番目の非活性ガスのモル分率

n

混合物中の支燃性又は酸化性ガスの総数

p

混合物中の非活性ガスの総数

例  混合物:9 % (O

2

)+16 % (N

2

O)+75 % (He)  の場合の計算

計算手順

ステップ 1:

当該混合物中の支燃性又は酸化性ガスの酸素当量(C

i

)係数及び非可燃性又は引火性,非酸化性ガスの

窒素当量係数(

K

k

)を確認する。

C

i

 (N

2

O)=0.6(亜酸化窒素)

C

i

 (O

2

)=1(酸素)

K

k

=0.9(ヘリウム)

ステップ 2:

ガス混合物の酸化力を計算する。

201

.

0

75

.

0

9

.

0

16

.

0

09

.

0

6

.

0

16

.

0

1

09

.

0

1

=

×

+

+

×

+

×

=

+

=

 

=

=

=

n

i

p

k

k

k

i

n

i

i

i

B

K

X

C

X

OP

5

.

23

1

.

20

<

したがって,この混合物は支燃性又は酸化性ガスとはみなされない。


31

Z 7252

:2014

A.5 

高圧ガス 

A.5.1 

一般事項 

この箇条は,高圧ガスを分類する方法について規定する。

A.5.2 

化学品の分類基準 

A.5.2.1 

高圧ガスの危険性区分 

高圧ガスは,充塡されたときの物理的状態によって,

表 A.8 の四つのグループのいずれかに分類する。

表 A.8−高圧ガスの判定基準 

グループ

判定基準

圧縮ガス

加圧して容器に充塡したときに,−50  ℃で完全にガス状であるガス。

臨界温度

a)

  −50  ℃以下の全てのガスを含む。

液化ガス

加圧して容器に充塡したときに−50  ℃を超える温度において部分的に液体である

ガス。次の二つに分ける。

a)

高圧液化ガス:臨界温度が−50  ℃と+65  ℃の間にあるガス。

b)

低圧液化ガス:臨界温度が+65  ℃を超えるガス。

深冷液化ガス

容器に充塡したガスが低温のために部分的に液体であるガス。

溶解ガス

加圧して容器に充塡したガスが液相溶媒に溶解しているガス。

エアゾールは,高圧ガスとして分類しない。 

a)

  臨界温度とは,その温度を超えると圧縮の程度に関係なく純粋ガスが液化しない温度をいう。

A.5.3 

分類のための追加情報 

分類は,

図 A.8 に示す判定論理に従って行う。


32

Z 7252

:2014

注記

は,高圧ガスを表す GHS 絵表示。

この分類には,次の既知情報を必要とする。

a)

 50

℃における蒸気圧

b)

 20

℃及び標準気圧における物理的性状

c)

臨界温度

ガスの分類には,上記のデータを必要とする。データは文献,計算又は試験測定で得られる。ほとんど

高圧ガスとして

分類しない

溶解ガス 

警告

はい

いいえ

はい

いいえ

臨界温度は+65  ℃より高いか。

はい

当該ガスは−50  ℃より高い温度で部分的に液体か。

いいえ

当該ガスは−50  ℃で完全にガス状であるか。

深冷液化ガス 

警告 

はい

(低圧) 
液化ガス 

警告 

はい

(高圧) 
液化ガス 

警告

圧縮ガス 

警告 

はい

臨界温度は−50  ℃と+65  ℃の間であるか。

当該ガスは液体溶媒に溶解しているか。

当該ガスは 20  ℃における圧力が 200 kPa(ゲージ圧)以上で容器
に入っているか,又は当該ガスは液化若しくは液化冷却されてい

るか。

化学品はガスである。

はい

当該ガスは低温のため部分的に液化しているか。

いいえ

図 A.8−判定論理  高圧ガス


33

Z 7252

:2014

の純粋ガスは

UN Recommendations on the transport of dangerous goods

Model regulations

(危険物輸送に関す

る勧告  モデル規則)で既に分類されている。ほとんどの混合物は非常に複雑な追加計算が必要となる。

A.6 

引火性液体 

A.6.1 

一般事項 

この箇条は,引火性液体を分類する方法について規定する。

A.6.2 

化学品の分類基準 

A.6.2.1 

引火性液体の危険性区分 

引火性液体は,引火点及び初留点から,

表 A.9 に従って四つの区分のいずれかに分類する。

表 A.9−引火性液体の判定基準 

区分

判定基準

1

引火点 < 23 ℃及び 初留点 ≦ 35 ℃

2

引火点 < 23 ℃及び 初留点 > 35 ℃

3

引火点 ≧ 23 ℃及び ≦ 60 ℃

4

引火点 > 60 ℃及び ≦ 93 ℃

注記 1

引火点が

55

℃∼

75

℃の範囲内にある軽油類,ディーゼル油及び軽加熱油は,規制目的によ

っては一つの特殊グループとされることがある。我が国の消防法では区分

1

∼区分

4

とは異

なる区分を用いているので注意が必要である。

注記 2

引火点が

35

℃を超え

60

℃を超えない液体は,

UN Recommendations on the transport of

dangerous goods, Manual of tests and criteria

(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準

のマニュアル)第

III

 32.5.2

(試験

L.2

:持続燃焼試験)

L.2

において否の結果が得られて

いる場合は,規制目的(輸送など)によっては引火性液体とされないことがある。

注記 3

ペイント,エナメル,ラッカー,ワニス,接着剤,つや出し剤などの粘性の引火性液体は,

規制目的(輸送など)によっては一つの特殊グループとされることがある。この分類又はこ

れらの液体を非引火性とすることは,関連法規又は所管官庁によって決定することができる。

なお,エアゾールは,液体成分の引火性によって,引火性液体として分類しない。

A.6.3 

分類のための追加情報 

化学品の分類及び調和された関連表示情報は,

図 A.9 の判定論理から得られる。


34

Z 7252

:2014

図 A.9−判定論理  引火性液体 

引火性液体を分類するには,その引火点及び初留点に関するデータが必要である。データは試験結果,

文献報告値又は計算によって決定できる。

混合物を構成している既知の引火性液体の濃度が分かっている場合,その混合物が例えば高分子又は添

加剤などの非揮発性成分を含んでいたとしても,次に示す方法で当該混合物の引火点計算値が,関連する

分類基準(それぞれ

23

℃及び

60

℃)より

5

℃以上高い場合には,次の各項を全て満たすときはその引

火点を実験で測定する必要はない。

a)

混合物を構成する成分が正確に分かっている(その材料の組成範囲が特定されている場合には,引火

点計算値が最も低くなる組成を選択して評価するのがよい)

b)

混合物の爆発下限界の計算方法及び各成分の爆発下限界が分かっている(こうしたデータを試験条件

区分 4

シンボル  なし 

警告

はい

はい

いいえ

初留点は 35  ℃より高いか。

区分外

引火点は 23  ℃以上か。

引火点は 60  ℃より高いか。

引火点は 93  ℃以下か。

化学品は液体である。

はい

いいえ

はい

いいえ

いいえ

区分 3

警告

区分 2

危険

区分 1

危険


35

Z 7252

:2014

以外の別の温度に換算する場合には,該当する補正を行わなければならない。

c)

混合物中に存在する状態での各成分の飽和蒸気圧及び活量係数の温度依存性が分かっている。

d)

液相が均一である。

これに適する方法は

Gmehling and Rasmussen

Ind. Eng. Chem. Fundament, 21, 186,1982

)に報告されてい

る。例えば,高分子又は添加剤などの非揮発性成分を含む混合物では,引火点は揮発性成分から算出する。

非揮発性成分は,その溶媒の分圧を僅かに低下させるだけであり,引火点計算値は測定値より僅かに低い

だけであると考えられている。

データが利用できない場合には,引火点及び初留点は試験をして決定しなければならない。引火点は密

閉式試験法で測定しなければならない。開放式試験法は特殊な場合に限って適用する。

次の引火性液体の引火点測定方法を用いるのがよい。

JIS K 2601

  原油試験方法

JIS K 2265-1

  引火点の求め方−第

1

部:タグ密閉法

JIS K 2265-2

  引火点の求め方−第

2

部:迅速平衡密閉法

注記

対応国際規格:ISO 3679

Determination of flash point

Rapid equilibrium closed cup method

MOD

JIS K 2265-3

  引火点の求め方−第

3

部:ペンスキーマルテンス密閉法

注記

対応国際規格:ISO 2719

Determination of flash point

Pensky-Martens closed cup method

MOD

JIS K 2265-4

  引火点の求め方−第

4

部:クリーブランド開放法

注記

対応国際規格:ISO 2592

Determination of flash and fire points

Cleveland open cup method

MOD

ISO 1516

Determination of flash/no flash

Closed cup equilibrium method

ISO 1523

Method of test for petroleum and its products. Determination of flash point

Closed cup equilibrium

method

注記

各国の主要な規格には,次のようなものがある。

ASTM D 56-05

Standard Test Method for Flash Point by Tag Closed Cup Tester

ASTM D 93-08

Standard Test Methods for Flash Point by Pensky-Martens Closed Cup Tester

ASTM D 3278-96

Standard Test Methods for Flash Point of Liquids by Small Scale Closed-Cup

Apparatus

ASTM D 3828-07a

Standard Test Methods for Flash Point by Small Scale Closed Cup Tester

NF M 07-011/NF T 30-050/NF T 66-009

Combustible Liquids

Flash Point by Means of the Abel

Closed Cup Apparatus

DIN 51755

Prüfung von Mineralölen und anderen brennbaren Flüssigkeiten; Bestimmung des

Flammpunktes im geschlossenen Tiegel, nach Abel-Pensky

(引火点

65

℃以下)

GOST 12.1.044-84

Система стандартов безопасности труда. Пожаровзрывоопасность веществ и

материалов. Номенклатура показателей и методы их определения

NF M 07-019

Combustible Liquids

Determination of Flash Points Above 50

°

C by Mean of the

Pensky-Martens Closed Cup Apparatus

NF M 07-036

Combustible Liquids

Flash Point by the Abel-Pensky Closed Cup Method


36

Z 7252

:2014

次の引火性液体の初留点測定方法を用いるのがよい。

JIS K 2254

  石油製品−蒸留試験方法

注記

対応国際規格:ISO 3405

:1988

Petroleum products

Determination of distillation characteristics

及び ISO 3924

:1977

Petroleum products

Determination of boiling range distribution

Gas

chromatography method

(全体評価:

MOD

JIS K 5601-2-3

  塗料成分試験方法−第

2

部:溶剤可溶物中の成分分析−第

3

節:沸点範囲

注記

対応国際規格:ISO 4626

Volatile organic liquids

Determination of boiling range of organic

solvents used as raw materials

IDT

注記

各国の主要な規格には,次のようなものがある。

ASTM D 86-07a

Standard Test Method for Distillation of Petroleum Products at Atmospheric Pressure

ASTM D 1078-05

Standard Test Method for Distillation Range of Volatile Organic Liquids

Commission Regulation EU No440/2008

Annex A

に記載されている方法 A.2

A.7 

可燃性固体 

A.7.1 

一般事項 

この箇条は,可燃性固体を分類する方法について規定する。

A.7.2 

化学品の分類基準 

A.7.2.1 

可燃性固体の危険性区分 

易燃性をもつ可能性のある,粉末状,か(顆)粒状又はペースト状の化学品は,危険物輸送に関する勧

告で定められた試験方法

N.1

による試験の結果を用いて,次の判定基準によって可燃性固体に分類する。

金属粉末以外の物質は,その燃焼時間が

45

秒未満か,又は燃焼速度が

2.2 mm/

秒より速い場合,また金

属又は金属合金の粉末は,着火し,その反応がサンプルの全長にわたって

10

分間以内に伝ぱ(播)する場

合で,双方ともその燃え方から

表 A.10 の判定基準によって,区分

1

又は区分

2

に分けられる。

表 A.10−可燃性固体の判定基準 

区分

判定基準

1

燃焼速度試験:

      金属粉末以外の化学品

        a)  火が湿潤部分を越える,及び 
        b)  燃焼時間 < 45 秒,又は燃焼速度 > 2.2 mm/秒。

      金属粉末:燃焼時間 ≦ 5 分。

2

燃焼速度試験:

      金属粉末以外の化学品 
        a)  火が湿潤部分で少なくとも 4 分間以上止まる,及び

        b)  燃焼時間 < 45 秒,又は燃焼速度 > 2.2 mm/秒。

      金属粉末:燃焼時間 > 5 分及び燃焼時間 ≦ 10 分。

なお,固体の化学品の分類試験では,当該化学品は提供された形態で試験を実施する。例えば,供給又

は輸送が目的で,同じ物質が,試験したときとは異なった物理的形態で,しかも評価試験を著しく変える

可能性が高いとみなされる形態で提供される場合は,そうした物質もまたその新たな形態で試験しなけれ

ばならない。


37

Z 7252

:2014

エアゾールは,粉体成分の可燃性によって,可燃性固体として分類しない。

摩擦によって火が出る固体は,確定的な判定基準が確立されるまでは,既存のもの(マッチなど)との

類推によって,可燃性固体に分類する。

A.7.3 

分類のための追加情報 

混合物についても,純物質と同様の試験を行って,区分判定する。

A.8 

自己反応性化学品 

A.8.1 

一般事項 

この箇条は,自己反応性化学品を分類する方法について規定する。

A.8.2 

化学品の分類基準 

A.8.2.1 

自己反応性化学品の危険性区分 

自己反応性化学品は,

UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests and criteria

(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第

II

部(危険区分

4.1

の自己反応性物

質及び危険区分

5.2

の有機過酸化物に関する分類手順,試験方法及び判定基準)に記載されている方法で

試験し,

表 A.11 に従って,自己反応性化学品における“タイプ

A

∼タイプ

G

”の七つの区分のいずれかに

分類する。

表 A.11−自己反応性化学品の判定基準 

区分

判定基準

タイプ A

包装された状態で,爆ごうし又は急速に爆燃し得る自己反応性化学品。

タイプ B

爆発性をもつが,包装された状態で爆ごうも急速な爆燃もしないが,その包装物内
で熱爆発を起こす傾向をもつ自己反応性化学品。

タイプ C

爆発性をもつが,包装された状態で爆ごうも急速な爆燃も熱爆発も起こすことのな
い自己反応性化学品。

タイプ D

実験室の試験で次のいずれかのような性状の自己反応性化学品。

a)

爆ごうは部分的であり,急速に爆燃することなく,密閉下の加熱で激しい反応

を起こさない。

b)

全く爆ごうせず,緩やかに爆燃し,密閉下の加熱で激しい反応を起こさない。

c)

全く爆ごうも爆燃もせず,密閉下の加熱で中程度の反応を起こす。

タイプ E

実験室の試験で,全く爆ごうも爆燃もせず,かつ密閉下の加熱で反応が弱いか,又

はないと判断される自己反応性化学品。

タイプ F

実験室の試験で,空気泡の存在下で全く爆ごうせず,全く爆燃もすることなく,ま

た,密閉下の加熱でも,爆発力の試験でも,反応が弱いか又はないと判断される自
己反応性化学品。

タイプ G

実験室の試験で,空気泡の存在下で全く爆ごうせず,全く爆燃することなく,密閉
下の加熱でも,爆発力の試験でも,反応を起こさない自己反応性化学品。ただし,

熱的に安定である[自己促進分解温度(SADT)が 50 kg  のパッケージでは 60  ℃以

上]

,また,液体混合物の場合には沸点が 150  ℃以上の希釈剤で鈍感化されている

ことを前提とする。自己反応性化学品が熱的に安定でない,又は沸点が 150  ℃未満

の希釈剤で鈍感化されている場合,その自己反応性化学品は自己反応性化学品タイ

プ F として定義する。

タイプ G には危険有害性情報の伝達要素は指定されていないが,他の危険性クラスに該当する特性が
あるかどうかを検討する必要がある。 
注記  タイプ A∼タイプ G は全てのシステムに必要というわけではない。


38

Z 7252

:2014

A.8.2.2 

温度管理基準 

SADT

55

℃以下の自己反応性物質は,温度管理が必要である。

SADT

決定のための試験法並びに管理

温度及び緊急対応温度の判定は

UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests and

criteria

(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第

II

部,第

28

節(試験シリーズ

H

)に規定されている。選択した試験は,包装物の寸法及び材質のそれぞれに対する方法で実施する。

A.8.3 

判定論理及び分類のための追加情報 

A.8.3.1 

判定論理 

自己反応性化学品を分類するには,

UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests

and criteria

(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第

II

部(危険区分

4.1

の自己

反応性物質及び危険区分

5.2

の有機過酸化物に関する分類手順,試験方法及び判定基準)に記載された試

験シリーズ

A

から試験シリーズ

H

を実施する。分類は次の判定論理に従う。

自己反応性化学品の分類に決定的な特性は,実験によって判定する。

試験法及び関連する評価判定基準は,

UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual

of tests and criteria

(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第

II

部(試験

シリーズ

A

∼試験シリーズ

H

)による。

自己反応性化学品のタイプを分類するための判定論理を,

図 A.10 に示す。


39

Z 7252

:2014

図 A.10−判定論理  自己反応性化学品 

10.1  する

7.2  中程度

7.3  小さい

7.4  いいえ

8.1  激しい

8.2  中程度

8.3  小さい

8.4  ない

10.2  しない

9.1  激しい

9.2  中程度

11.1 はい

13.2  ない

13.1  小さい

12.3  ない

12.2  小さい

5.3  いいえ

5.1  速く伝ぱ

5.2  ゆっくり伝ぱ

1.1  はい

1.3  いいえ

3.1  速く伝ぱ

4.2  ゆっくり伝ぱ 
4.3  伝ぱしない

7.1  激しい

化学品

タイプ 

タイプ A

タイプ 

タイプ 

タイプ 

タイプ 

タイプ 

2.2  いいえ

4.1 速く伝ぱ

11.2  いいえ

1.2  部分的伝ぱ

6.1  はい

2.1 はい

6.2 いいえ

3.2  ゆっくり伝ぱ 
3.3  いいえ

12.1  小さくない

9.3  小さい 
9.4  影響はない

Box 1

試験 

爆ごうを伝ぱ

するか。

Box 2

試験 

包装物状態で爆ごう

するか。

Box 3

試験 

爆燃を伝ぱ

するか。

Box 4

試験 

爆燃を伝ぱ

するか。

Box 5

試験 

爆燃を伝ぱ

するか。

Box 6

試験 

包装物の状態で急速に

爆燃するか。

Box 7

試験 

密封状態で加熱すると

影響はどうか。

Box 8

試験 

密封状態で加熱すると

影響はどうか。

Box 9

試験 

密封状態で加熱すると

影響はどうか。

Box10

試験 

包装物の状態で爆発

するか。

Box 11 

400 kg/450 L 以上の包装物か

又は適用除外とするか。

Box 12

試験 

爆発力はどの

程度か。

Box 13

試験 E

密封状態で加熱すると

影響はどうか。


40

Z 7252

:2014

A.8.3.2 

分類のための追加情報 

次のいずれかの場合は,化学品について,このクラスでの分類を行う必要はない。

a)

A.1

の判定基準に従い,爆発物である。

b)

A.13

又は A.14 の判断基準に基づく酸化性液体又は酸化性固体。ただし,

5 %

以上有機可燃性物質をも

つ酸化性物質の混合物は A.15.2.1 に規定する手順によって自己反応性化学品に分類する。

c)

A.15

の判断基準に従い,有機過酸化物である。

d)

分解熱が

300 J/g

より低い。

e)

 50

kg

の輸送物の

SADT

75

℃を超えるもの。

f)

その分子内に爆発性又は自己反応性に関連する原子団(

表 A.3 及び表 A.12 参照)がいずれも存在しな

い。

表 A.12−自己反応性に関連する原子団の例 

相互反応性グループ:アミノニトリル類,ハロアニリン類,酸化性酸の有機塩類 
S=O:ハロゲン化スルホニル類,スルホニルシアニド類,スルホニルヒドラジド類 
P−O:亜りん(燐)酸塩類 
ひずみのある環:エポキシド類,アジリジン類

不飽和結合:オレフィン類,シアン酸化合物

注記

上記の判定論理及び分類のための追加情報は,調和分類システムの一部ではない。分類担当者

は,判定論理を使う前と使うときに,その判定基準をよく調べることを強く推奨する。

A.9 

自然発火性液体 

A.9.1 

一般事項 

この箇条は,自然発火性液体を分類する方法について規定する。

A.9.2 

化学品の分類基準 

A.9.2.1 

自然発火性液体の危険性区分 

化学品は,

UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests and criteria

(危険物輸送

に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第

III

33.3.1.5

(試験

N.3

:自然発火性液体の試験

方法)に記載されている試験

N.3

の方法から,

表 A.13 に従って,自然発火性液体の区分

1

に分類する。

表 A.13−自然発火性液体の判定基準 

区分

判定基準

1

液体を不活性担体に担持させて空気に接触させると 5 分以内に発火する,又は液体
を空気に接触させると 5 分以内にろ紙を発火させるか,ろ紙を焦がす。

A.9.3 

分類のための追加情報 

製造又は取扱時の経験から,当該化学品が,常温で空気と接触しても自然発火しないことが認められて

いる[すなわち,当該物質が室温で長期間(日単位)にわたり安定であることが既知である。

]場合は,自

然発火性液体の分類手順を適用する必要はない。


41

Z 7252

:2014

A.10 

自然発火性固体 

A.10.1 

一般事項 

この箇条は,自然発火性固体を分類する方法について規定する。

A.10.2 

化学品の分類基準 

A.10.2.1 

自然発火性固体の危険性区分 

化学品は,

UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests and criteria

(危険物輸送

に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第

III

33.3.1.4

(試験

N.2

:自然発火性固体の試験

方法)に記載する試験

N.2

の方法から,

表 A.14 に従って,自然発火性固体の区分

1

に分類する。

表 A.14−自然発火性固体の判定基準 

区分

判定基準

1

固体が空気と接触すると 5 分以内に発火する。

なお,

UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests and criteria

(危険物輸送に関

する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第

III

33.3.1.4

(試験

N.2

:自然発火性固体の試験方法)

に記載する試験

N.2

の方法では,粉状物質を使用して試験することになっているが,

GHS

分類のための固

体の化学品の分類試験では,当該化学品は実際に供給される形態で試験を実施する。例えば,供給又は輸

送が目的で,同じ物質が,試験したときとは異なった物理的形態で,しかも評価試験結果を著しく変える

可能性が高いと考えられる形態で提供される場合,そうした物質もその新たな形態で試験する。

A.10.3 

分類のための追加情報 

製造又は取扱い時の経験から,当該化学品が,常温で空気と接触しても自然発火しないことが認められ

ている場合,自然発火性固体の分類手順を適用する必要はない。

A.11 

自己発熱性化学品 

A.11.1 

一般事項 

この箇条は,自己発熱性化学品を分類する方法について規定する。

A.11.2 

化学品の分類基準 

A.11.2.1 

自己発熱性化学品の危険性区分 

自己発熱性化学品は,

UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests and criteria

(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第

III

33.3.1.6

(試験

N.4

:自己発熱

性物質の試験方法)に記載されている試験

N.4

による結果から,

表 A.15 に従って,二つの区分のいずれか

に分類する。


42

Z 7252

:2014

表 A.15−自己発熱性化学品の判定基準 

区分

判定基準

1 25

mm

3

立方体サンプルを用いて 140  ℃における試験で肯定的結果を得る。

2

a) 100

mm

3

の立方体のサンプルを用いて 140  ℃で肯定的結果が得られ,及び 25

mm

3

立方体サンプルを用いて 140  ℃で否定的結果が得られ,かつ,当該化学品

が 3 m

3

より大きい容積パッケージとして包装される。又は

b) 100

mm

3

の立方体サンプルを用いて 140  ℃で肯定的結果が得られ,及び 25 mm

3

の立方体サンプルを用いて 140  ℃で否定的結果が得られ,100 mm

3

立方体のサ

ンプルを用いて 120  ℃で肯定的結果が得られ,かつ,当該化学品が 450 L より

大きい容積のパッケージとして包装される。又は

c) 100

mm

3

立方体サンプルを用いて 140  ℃で肯定的結果が得られ,及び 25 mm

3

立方体サンプルを用いて 140  ℃で否定的結果が得られ,かつ 100 mm

3

立方体サ

ンプルを用いて 100  ℃で肯定的結果が得られる。

なお,固体の化学品の分類試験では,当該化学品は提供された形態で試験を実施する。例えば,供給又

は輸送が目的で,同じ物質が,試験したときとは異なった物理的形態で,しかも評価試験結果を著しく変

える可能性が高いと考えられる形態で提供される場合,そうした物質もその新たな形態で試験する。

この判断基準は,

27 m

3

の立方体サンプルの発火温度が

50

℃である木炭の例を基にしている。

27 m

3

容積の自然燃焼温度が

50

℃より高い化学品はこの危険性クラスに指定しないのがよい。容積

450 L

の発

火温度が

50

℃より高い化学品は,この危険性クラスの区分

1

に指定しないのがよい。

自己発熱性化学品は固体及び液体が対象であるが,定められた試験方法は

140

℃までに液状になる固体

には適用できない。

注記

常温で液体である化学品は,空気との接触が表面だけに限られるので,蓄熱発火する可能性は

低い。

A.11.3 

分類のための追加情報 

スクリーニング試験の結果と分類試験の結果にある程度の相関が認められ,かつ適切な安全範囲が適用

される場合,自己発熱性物質の分類手順を適用する必要はない。スクリーニング試験には次のような例が

ある。

a)

熱分析(

Grewer Oven

)試験(

VDI

ガイドライン

2263

Part 1

1990

,粉じんの安全特性判定試験法)

で,容積

1 L

につき開始温度が標準温度より

80 K

高い。

b)

原末ふるい分け(

Bulk Powder Screening

)試験[

Gibson, N. Harper, D.J. Rogers, Evaluation of fire and

explosion risks in drying powders, Plant Operation Progress, 4(3), 181-189, 1985

]で,容積

1 L

につき開始温

度が標準温度より

60 K

高い。

A.12 

水反応可燃性化学品 

A.12.1 

一般事項 

この箇条は,水反応可燃性化学品を分類する方法について規定する。

A.12.2 

化学品の分類基準 

A.12.2.1 

水反応可燃性化学品の危険性区分 

水と接触して可燃性又は引火性ガスを発生する化学品は,

UN Recommendations on the transport of

dangerous goods, Manual of tests and criteria

(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュア

ル)第

III

33.4.1.4

(試験

N.5

:水と接触して可燃性ガスを放出する物質の試験方法)の試験

N.5

から


43

Z 7252

:2014

A.16

に従って,三つの区分のいずれかに分類する。

表 A.16−水反応可燃性化学品の判定基準 

区分

判定基準

1

大気温度で水と激しく反応し,自然発火性のガスを生じる傾向が全般的に認められ
る化学品,又は大気温度で水と激しく反応し,そのときの可燃性又は引火性ガスの

発生速度は,どの 1 分間をとっても物質 1 kg につき 10 L 以上であるような化学品。

2

大気温度で水と急速に反応し,可燃性又は引火性ガスの最大発生速度が 1 時間当た

り物質 1 kg につき 20 L 以上であり,かつ区分 1 に適合しない化学品。

3

大気温度では水と穏やかに反応し,可燃性又は引火性ガスの最大発生速度が 1 時間

当たり物質 1 kg につき 1 L 以上であり,

かつ区分 1 又は区分 2 に適合しない化学品。

危険物輸送に関する勧告  第

III

33.4.1.4

(試験

N.5

:水と接触して可燃性ガスを放出する物質の試験

方法)の試験

N.5

では,

4

段階の試験を実施する。試験手順のどの段階であっても自然発火を起こした化

学品は,水と接触して可燃性又は引火性ガスを発生する化学品として分類する。

また,固体の化学品を分類する試験では,その化学品が提示されている形態で試験を実施する必要があ

る。例えば,同一化学品でも,供給又は輸送のために,試験が実施された形態とは異なる,及び分類試験

におけるその試験結果を著しく変更する可能性が高いと思われる物理的形態として提示されるような場合,

その化学品はその新たな形態でも試験する。

A.12.3 

分類のための追加情報 

次の場合,このクラスへの分類手順を適用する必要はない。

a)

当該化学品の化学構造に金属及び半金属(

metalloids

)が含まれていない。

b)

製造又は取扱いの経験上,当該化学品は水と反応しないことが認められている。例えば,当該化学品

は水を用いて製造されたか,又は水で洗浄している。

c)

当該化学品は水に溶解して安定な混合物となることが分かっている。

A.13 

酸化性液体 

A.13.1 

一般事項 

この箇条は,酸化性液体を分類する方法について規定する。

A.13.2 

化学品の分類基準 

A.13.2.1 

酸化性液体の危険性区分 

酸化性液体は,

UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests and criteria

(危険物

輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第

III

34.4.2

(試験

O.2

:酸化性液体の試験)

で定められた試験

O.2

から

表 A.17 に従って,三つの区分のいずれかに分類する。

表 A.17−酸化性液体の判定基準 

区分

判定基準

1

化学品をセルロースとの質量比 1:1 の混合物として試験した場合に自然発火する,
又は化学品とセルロースの質量比 1:1 の混合物の平均昇圧時間が,過塩素酸(質

量分率 50 %)とセルロースの質量比 1:1 の混合物より短い化学品。


44

Z 7252

:2014

表 A.17−酸化性液体の判定基準(続き) 

区分

判定基準

2

化学品をセルロースとの質量比 1:1 の混合物として試験した場合の平均昇圧時間

が,塩素酸ナトリウム溶液(質量分率 40 %)水溶液とセルロースの質量比 1:1 の
混合物の平均昇圧時間以下である,及び区分 1 の判定基準に適合しない化学品。

3

化学品をセルロースとの質量比 1:1 の混合物として試験した場合の平均昇圧時間

が,硝酸(質量分率 65 %)とセルロースの質量比 1:1 の混合物の平均昇圧時間以

下である,及び区分 1 及び区分 2 の判断判定に適合しない化学品。

A.13.3 

分類のための追加情報 

化学品の取扱い及び使用の経験からこれらが酸化性であることが認められるような場合,このことはこ

のクラスへの分類を検討する上で重要な追加要因となる。試験結果と既知の経験とに相違が見られるよう

であった場合は,既知の経験を試験結果より優先させる。

化学品が,その化学品の酸化性を特徴付けていない化学反応によって圧力上昇(高すぎる又は低すぎる)

を生じることもある。そのような場合には,その反応の性質を明らかにするために,セルロースの代わり

に不活性物質,例えば,けい藻土などを用いて危険物の輸送に関する勧告  試験法及び判定基準  第

34.4.2

(試験

O.2

:酸化性液体の試験)の試験を繰り返して実施する必要があることもある。

有機化学品は,次の場合にはこのクラスへの分類手順を適用する必要はない。

a)

化学品は,酸素,ふっ素又は塩素のいずれも含まない。

b)

化学品は,酸素,ふっ素又は塩素を含むが,これらの元素が炭素又は水素にだけ化学結合している。

無機化学品は,酸素原子,ハロゲン原子のいずれも含まない場合,このクラスへの分類手順を適用する

必要はない。

A.14 

酸化性固体 

A.14.1 

一般事項 

この箇条は,酸化性固体を分類する方法について規定する。

A.14.2 

化学品の分類基準 

A.14.2.1 

酸化性固体の危険性区分 

酸化性固体は,

UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests and criteria

(危険物

輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第

III

34.4.1

(試験

O.1

:酸化性固体の試験)

で定められた試験

O.1

による結果から,

表 A.18 に従って,三つの区分のいずれかに分類する。

表 A.18−酸化性固体の判定基準 

区分

判定基準

1

化学品とセルロースとの質量比 4:1 又は 1:1 の混合物として試験した場合,その

平均燃焼時間が臭素酸カリウムとセルロースの質量比 3:2 の混合物の平均燃焼時
間より短い化学品。

2

化学品とセルロースとの質量比 4:1 又は 1:1 の混合物として試験した場合,その

平均燃焼時間が臭素酸カリウムとセルロースとの質量比 2:3 の混合物の平均燃焼

時間以下であり,かつ区分 1 の判断基準に適合しない化学品。

3

化学品とセルロースとの質量比 4:1 又は 1:1 の混合物として試験した場合,その

平均燃焼時間が臭素酸カリウムとセルロースとの質量比 3:7 の混合物の平均燃焼
時間以下であり,かつ区分 1 及び区分 2 の判断基準に適合しない化学品。


45

Z 7252

:2014

一部の酸化性固体はある条件下で爆発危険性をもつことがある(大量に貯蔵しているような場合)

。例え

ば,一部の硝酸アンモニウムは厳しい条件下で爆発する可能性があり,この危険性の評価には“爆発抵抗

試験”

BC

コード(

Code of Safe Practice for Soled Bulk Cargoes, IMO, 2005

,附属書

3

,試験

5

]が使用でき

る場合がある。適切なコメントを安全データシートに記載する。

なお,固体の化学品の分類試験では,当該化学品は提供された形態で試験を実施する。例えば,供給又

は輸送が目的で,同じ物質が,試験したときとは異なった物理的形態で,しかも評価試験を著しく変える

可能性が高いと考えられる形態で提供される場合,そうした物質もその新たな形態で試験する。

A.14.3 

分類のための追加情報 

化学品の取扱い及び使用の経験から,これら化学品が酸化性があることが認められるような場合,この

ことは酸化性固体への分類を検討する上で重要な追加要因となる。試験結果と既知の経験とに相違が見ら

れるようであった場合は,既知の経験を試験結果より優先させる。

有機化学品は,以下の場合には酸化性固体への分類手順を適用する必要はない。

a)

化学品は,酸素,ふっ素又は塩素のいずれも含まない。

b)

化学品は,酸素,ふっ素又は塩素を含むが,これらの元素が炭素又は水素にだけ化学結合している。

無機化学品は,酸素原子,ハロゲン原子のいずれも含まない場合は,酸化性固体への分類手順を適用す

る必要はない。

A.15 

有機過酸化物 

A.15.1 

一般事項 

この箇条は,有機過酸化物を分類する方法について規定する。

A.15.2 

化学品の分類基準 

A.15.2.1 

対象 

次のいずれかの場合,有機過酸化物に分類しない。

a)

過酸化水素の含有量が

1.0 %

以下の場合において,有機過酸化物に基づく活性酸素量が

1.0 %

以下のも

の。

b)

過酸化水素の含有量が

1.0 %

を超え

7.0 %

以下である場合において,有機過酸化物に基づく活性酸素量

0.5 %

以下のもの。

有機過酸化物混合物の活性酸素量(

%

)は,次の式で求められる。





 ×

×

n

i

i

i

i

m

c

n

16

ここに,

n

i

有機過酸化物

i

の一分子当たりの過酸基(ペルオキソ基)

の数

c

i

有機過酸化物

i

の濃度(質量分率)

m

i

有機過酸化物

i

の分子量

A.15.2.2 

有機過酸化物の危険性区分 

有機過酸化物は,

UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests and criteria

(危険

物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第

II

部(危険区分

4.1

の自己反応性物質並び

に危険区分

5.2

の有機過酸化物に関する分類方法,試験方法並びに判定基準)に記載されている方法によ


46

Z 7252

:2014

って試験し,

表 A.19 に従って,七つの区分“タイプ

A

∼タイプ

G

”のいずれかに分類する。

表 A.19−有機過酸化物の判定基準 

区分

判定基準

タイプ A

包装された状態で,爆ごうし又は急速に爆燃し得る有機過酸化物。

タイプ B

爆発性をもつが,包装された状態で爆ごうも急速な爆燃もしないが,その包装物内
で熱爆発を起こす傾向をもつ有機過酸化物。

タイプ C

爆発性をもつが,包装された状態で爆ごうも急速な爆燃も熱爆発も起こすことのな
い有機過酸化物。

タイプ D

実験室の試験で次のいずれかのような性状の有機過酸化物。

a)

爆ごうは部分的であり,急速に爆燃することなく,密閉下の加熱で激しい反応

を起こさない。

b)

全く爆ごうせず,緩やかに爆燃し,密閉下の加熱で激しい反応を起こさない。

c)

全く爆ごうも爆燃もせず,密閉下の加熱で中程度の反応を起こす。

タイプ E

実験室の試験で,全く爆ごうも爆燃もせず,かつ密閉下の加熱で反応が弱いか,又

はないと判断される有機過酸化物。

タイプ F

実験室の試験で,空気泡の存在下で全く爆ごうせず,全く爆燃もすることなく,ま

た,密閉下の加熱でも,爆発力の試験でも,反応が弱いか又はないと判断される有
機過酸化物。

タイプ G

実験室の試験で,空気泡の存在下で全く爆ごうせず,全く爆燃することなく,密閉
下の加熱でも,爆発力の試験でも,反応を起こさない有機過酸化物。ただし,熱的

に安定である(SADT が 50 kg のパッケージでは 60  ℃以上)

,また,液体混合物の

場合には沸点が 150  ℃以上の希釈剤で鈍感化されていることを前提とする。有機過
酸化物が熱的に安定でない,又は沸点が 150  ℃未満の希釈剤で鈍感化されている場

合,その有機過酸化物は有機過酸化物タイプ F として定義する。

タイプ G には危険有害性情報の伝達要素は指定されていないが,他の危険性クラスに該当する特性が

あるかどうかを検討する必要がある。 
注記  タイプ A∼タイプ G は全てのシステムに必要というわけではない。

A.15.2.3 

温度管理基準 

次の有機過酸化物は,温度管理が必要である。

a)

 SADT

50

℃以下のタイプ

B

及び

C

の有機過酸化物。

b)

 SADT

50

℃以下であり密閉加熱における試験結果

1)

が中程度又は

SADT

45

℃以下であり密閉加

熱における試験結果が低いか若しくは反応なしのタイプ

D

の有機過酸化物。

c)

 SADT

45

℃以下のタイプ

E

及び

F

の有機過酸化物。

SADT

決定のための試験法並びに管理温度及び緊急対応温度の判定は,

UN Recommendations on the

transport of dangerous goods, Manual of tests and criteria

(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準の

マニュアル)第

II

部,第

28

節(試験シリーズ

H

)に規定されている。

選択された試験は,包装物の寸法及び材質のそれぞれに対する方法について実施する。

1)

  UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests and criteria

(危険物輸送に

関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第

II

部第

25

節(試験シリーズ

E

)に規定す

る試験シリーズ

E

によって決定される。

A.15.3 

分類のための追加情報 

有機過酸化物は,その化学構造に従って,及び当該混合物の活性酸素及び過酸化水素の含量に従って分


47

Z 7252

:2014

類する(A.15.2.1 参照)

有機過酸化物の混合物は,これを構成する最も危険な成分の有機過酸化物と同じタイプとして分類され

ることもある。ただし,

2

種類の安定な成分でも混合物が熱的に安定でなくなる可能性もあるため,当該

混合物の

SADT

を測定する。

有機過酸化物のタイプを分類するための判定論理を,

図 A.11 に示す。

注記

試験

A

∼試験

H

は,各々,危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準マニュアル  第

II

部(試験シリーズ

A

∼試験シリーズ

H

)を表す。


48

Z 7252

:2014

1.3  しない

1.1  する

10.1  する

7.2  中程度

7.3  小さい

7.4  影響なし

8.1  激しい

8.2  中程度

8.3  小さい

8.4  影響なし

10.2  しない

9.1  激しい

9.2  中程度

9.3  小さい 
9.4 影響なし

11.1  はい

13.2  影響なし

13.1  小さい

12.3  影響なし

12.2  小さい

12.1  小さくない

5.3  伝ぱしない

5.1  速く伝ぱ

5.2  ゆっくり伝ぱ

3.1  速く伝ぱ

3.2  ゆっくり伝ぱ 
3.3  伝ぱしない

4.2  ゆっくり伝ぱ 
4.3 伝ぱしない

7.1  激しい

タイプ 

タイプ A

タイプ C

タイプ D

タイプ E

タイプ 

タイプ G

2.2  しない

4.1 速く伝ぱ

11.2  いいえ

1.2  部分的伝ぱ

6.2  しない

2.1 する

6.1  する

Box 1

試験 A

爆ごうを伝ぱ

するか。

Box 2

試験 

包装物状態で爆ごう

するか。

Box 3

試験 

爆燃を伝ぱ

するか。

Box 4

試験 C

爆燃を伝ぱ

するか。

Box 5

試験 

爆燃を伝ぱ

するか。

Box 6

試験 

包装物の状態で急速

に爆燃するか。

Box 7

試験 

密封状態で加熱

すると影響は

どうか。

Box 8

試験 E

密封状態で加熱

すると影響は

どうか。

Box10

試験 

包装物の状態で

爆発するか。

Box 9

試験 

密封状態で加熱

すると影響は

どうか。

Box 11 

400kg/450L 以上の

包装物か?又は

適用除外と

するか。

Box 12

試験 

爆発力はどの

程度か。

Box 13

試験 E

密封状態で加熱

すると影響は

どうか。

化学品

図 A.11−判定論理  有機過酸化物


49

Z 7252

:2014

A.16 

金属腐食性化学品 

A.16.1 

一般事項 

この箇条は,金属腐食性化学品を分類する方法について規定する。

A.16.2 

化学品の分類基準 

A.16.2.1 

金属腐食性化学品の危険性区分 

金属に対して腐食性である化学品は,

UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of

tests and criteria

(危険物輸送に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第

III

 37.4

(金属腐食

に関する試験方法)を用いて,

表 A.20 に従って,金属腐食性化学品の区分

1

に分類する。

表 A.20−金属腐食性化学品の判定基準 

区分

判定基準

1 55

℃の試験温度で,鋼片及びアルミニウム片の両方で試験した場合,侵食度がい

ずれかの金属において年間 6.25 mm を超える。

ただし,鋼片又はアルミニウムにおける最初の試験で化学品が金属腐食性を示した場合は,他方の金属

による追試をする必要はない。

注記

 GHS

の金属腐食性判定基準は,国連危険物輸送に関する勧告のものをそのまま採用している。

輸送中の事故,漏えいのとき,他の積荷の容器,又は輸送ユニットを腐食させる危険があり,

速やかに洗浄しなければならない化学品を区分

1

としている。区分に入らないことが,取扱設

備又は容器の内面に金属を使用できると保証するものではない。

A.16.3 

分類のための追加情報 

侵食度は,

UN Recommendations on the transport of dangerous goods, Manual of tests and criteria

(危険物輸送

に関する勧告  試験方法及び判定基準のマニュアル)第

III

 37.4

(金属腐食に関する試験方法)の試験

法で測定可能である。各試験においては,次の物質を用いる。

a)

鋼を用いる試験に対する鋼のタイプ

JIS G 3115

SPV235

相当品

JIS G 3141

JIS G 4051

注記 1

次の物質を用いてもよい。

S235JR

+CR(1.0037resp.St37-2)

EN 10025-2

に規定する S275J2G3

+CR(1.0144resp.St44-3)

ISO 3574 

Unified Numbering

System (UNS)

G10200

又は SAE 1020

S235

”に相当する鋼は,JIS G 3115 

SPV235

相当品である。ISO 3574 に対応する JIS

は JIS G 3141 である。

UNS G10200

又は SAE 1020 に対応する JIS は JIS G 4051 である。

b)

アルミニウムを用いる試験に対するアルミニウムのタイプ

JIS H 4000

A7075P

相当品(

T651

注記 2

クラッド加工していない

7075-T6

又は

AZ5GU-T6

のようなタイプ


50

Z 7252

:2014

アルミニウムの

7075-T6

に相当する JIS は,JIS H 4000 

A7075P

相当品(

T651

)である。


51

Z 7252

:2014

附属書 B

(規定)

健康に対する有害性

B.1 

急性毒性 

B.1.1 

一般事項 

この箇条は,化学品の急性毒性を分類する方法について規定する。物質の経口,経皮及び吸入経路によ

る急性毒性の値に基づくばく露経路ごとの急性毒性の区分及びその判定基準値,望ましい試験動物種,吸

入毒性に関わる留意事項,混合物の分類(混合物そのものの急性毒性試験データが利用できる場合及び利

用できない場合の分類,並びに加算式による混合物の成分に基づく分類)についての説明及び規定が含ま

れている。

B.1.2 

化学物質の分類基準 

B.1.2.1 

急性毒性の区分及び判定基準値 

化学品の急性毒性は,経口,経皮又は吸入経路による急性毒性に基づく

表 B.1 に示した判定基準によっ

て,四つの毒性区分の一つに割り当てる。急性毒性の値は,

“急性毒性値又は急性毒性推定値”

(以下,

ATE

という。

)で表す。

ATE

LD

50

(経口又は経皮)若しくは

LC

50

(吸入)値又はそれらの推定値を指す。

表 B.1ATE に基づく急性毒性区分の判定基準 

ばく露経路

区分 1

区分 2

区分 3

区分 4

経口(mg/kg 体重)  ATE

≦ 5

5 < ATE ≦ 50

  50 < ATE ≦ 300

  300 < ATE ≦ 2 000

経皮(mg/kg 体重)  ATE

≦ 50

50 < ATE ≦ 200

  200 < ATE ≦ 1 000

1 000 < ATE ≦ 2 000

気体(ppmV)

ATE

≦ 100

  100 < ATE ≦ 500

  500 < ATE ≦ 2 500

2 500 < ATE ≦ 20 000

蒸気

a)

(mg/L)

ATE

≦ 0.5

0.5 < ATE ≦ 2.0

  2.0 < ATE ≦ 10

  10.0 < ATE ≦ 20

粉じん

b)

 及びミスト

c)

(mg/L)

 ATE

≦ 0.05

  0.05 < ATE ≦ 0.5

  0.5 < ATE ≦ 1.0

  1.0 < ATE ≦ 5

化学品の成分の分類のための ATE は,次のいずれかとする。

注記 1  気体濃度は,体積での百万分の 1(ppmV)を単位として表している。 
注記 2  一般に粉じんは,機械的な工程で形成される。一般にミストは,過飽和蒸気の凝縮又は液体の物理的なせ

ん(剪)断で形成される。粉じん及びミストの大きさは,一般に 1 µm 未満∼約 100 µm である。

注記 3 ATE は Acute Toxicity Estimates の略であるが,ここでは,急性毒性値,急性毒性推定値の両方を指す。 

a)

  分類区分に使用できると判断された既存の LD

50

(経口又は経皮)又は LC

50

(吸入)値。

b)

  毒性範囲試験で得た急性毒性範囲値から表 B.2 に従って得た変換値。

c)

  急性毒性区分から表 B.2 に従って得た変換値。

B.1.2.2 

望ましい試験動物種 

試験動物種には,経口及び吸入経路による急性毒性評価にはラットが望ましく,急性経皮毒性評価には

ラット又はウサギが望ましい。複数種の動物での急性毒性試験データが利用可能である場合には,有効で

適切に実施された試験の中から,科学的判断に基づいて,最もふさわしい

ATE

を選択することが望ましい。

B.1.2.3 

吸入毒性に関して特別に留意することが望ましい事項 

B.1.2.3.1 

吸入毒性に関する数値は,

4

時間の動物試験に基づいている。

1

時間のばく露試験からの試験値

を採用する場合は,

1

時間での数値を,気体及び蒸気の場合は

2

で除し,粉じん及びミストの場合は

4

除すことで,

4

時間に相当する数値に換算できる。


52

Z 7252

:2014

B.1.2.3.2 

吸入毒性の単位は,吸入された化学物質の形態によって決定する。粉じん及びミストの場合の

数値は,

mg/L

単位で表示する。気体の場合の数値は,

ppmV

(体積分率)単位で表示する。液相及び蒸気

相で混成される蒸気の試験の困難さのため,

表 B.1 では単位を

mg/L

として数値の表示をする。ただし,

気相に近い蒸気の場合には,区分

1

100 ppmV

,区分

2

500 ppmV

,区分

3

2 500 ppmV

,区分

4

20 000

ppmV

)のように,

ppmV

(体積分率)単位によって分類する。

B.1.3 

混合物の分類基準 

B.1.3.1 

混合物の急性毒性を分類するための段階的方法 

化学物質に対する判定基準では,致死量データ(試験又は推定による。

)を用いて急性毒性を分類する。

混合物については,分類の目的で判定基準を適用するための情報を入手又は推定する必要がある。急性毒

性の分類方法は,段階的であり,混合物そのもの及びその成分について利用できる情報の量に依存する。

混合物の分類は,基本的には混合物そのものについての急性毒性試験データに基づき,B.1.3.4 によって

B.1

に規定する判定基準に基づいて行う。混合物そのものについての急性毒性試験データが利用できない

場合で,個々の成分及び類似の試験された混合物の両方に関して十分なデータがある場合は,B.1.3.5 によ

ってつなぎの原則(5.5 参照)で分類してもよい。混合物そのものについての急性毒性試験データが利用で

きない場合で,個々の成分及び類似の試験された混合物に関して十分なデータがない場合は,B.1.3.6 によ

って加算式を用いて分類することができる。

図 B.1 に,段階的方法の手順を規定する。


53

Z 7252

:2014

   

混合物そのものの試験データ

 

なし

あり

 
 

あり

 B.1.3.5

のつなぎの原則の適用

分類する。

 
 
 

あり

 B.1.3.6 

a)

の式(B.1)の適用

分類する。

 
 

あり

 B.1.3.6 

a)

の式(B.1)の適用

分類する。

 
 
 
 
 

分類する。

図 B.1−混合物の急性毒性を分類するための段階的方法 

B.1.3.2 

ばく露経路の特定 

急性毒性に関する混合物の分類は,各ばく露経路について行うことができるが,一つのばく露経路だけ

を全成分について検討(推定又は試験)している場合には,その経路についてだけ分類する。

B.1.3.3 

試験で得られた急性毒性範囲値(又は急性毒性区分)から急性毒性点推定値への変換 

混合物の有害性を分類する目的で利用できる全てのデータを使用するために,段階的方法に次の前提を

適用する。

a)

混合物において“考慮する成分”とは,

1 %

以上の濃度(固体,液体,粉じん,ミスト及び蒸気につ

いては質量/質量単位,気体については体積/体積単位)で存在するものである。ただし,

1 %

未満

の濃度で存在する成分の場合には,急性毒性についての分類に影響する可能性はないという条件が必

要である。これは,区分

1

又は区分

2

に分類される成分を含む未試験の混合物を分類する場合に適用

する。

b)

分類した混合物を別の混合物の成分として使用して,B.1.3.6 a)

の式

(B.1)

及び B.1.3.6 b) 3)

の式

(B.2)

を用いて新しい混合物の分類を計算する場合には,分類した混合物の実際の又は推定した

ATE

を用い

てもよい。

c)

混合物の全ての成分に対する変換した急性毒性点推定値が同じ区分にある場合,混合物は同じ区分と

する。

d)

試験で得られた急性毒性範囲値(又は急性毒性区分)から式を利用して分類するときに使用する急性

毒性点推定値への変換を,

表 B.2 に規定する。

十分な類似の 
混合物のデータ

全成分のデータ

変換値の推定 
に利用できる

他のデータ

毒性既知の成分

の情報を利用

・毒性未知の成分合計≦10 %の場合は,

  B.1.3.6 a)  の式(B.1)適用。

・毒性未知の成分合計>10 %の場合は, 
  B.1.3.6 b) 3)  の式(B.2)適用。

なし

なし

なし


54

Z 7252

:2014

表 B.2−試験で得られた急性毒性範囲値(又は急性毒性区分)から 

各ばく露経路に関する分類のための急性毒性点推定値への変換 

分類区分又は試験で得られた

急性毒性範囲値

変換値

経口

(mg/kg 体重)

 0

<  区分 1  ≦ 5

 5

<  区分 2  ≦ 50

 50

<  区分 3  ≦ 300

 300

<  区分 4  ≦ 2 000

0.5

5

100 
500

経皮

(mg/kg 体重)

 0

<  区分 1  ≦ 50

 50

<  区分 2  ≦ 200

 200

<  区分 3  ≦ 1 000

 1

000

<  区分 4  ≦ 2 000

5

50

300

1 100

気体

(ppmV)

 0

<  区分 1  ≦ 100

 100

<  区分 2  ≦ 500

 500

<  区分 3  ≦ 2 500

 2

500

<  区分 4  ≦ 20 000

10

100 
700

4 500

蒸気

(mg/L)

 0

<  区分 1  ≦ 0.5

 0.5

<  区分 2  ≦ 2.0

 2.0

<  区分 3  ≦ 10.0

 10.0

<  区分 4  ≦ 20.0

0.05

0.5

3

11

粉じん

又はミスト

(mg/L)

 0

<  区分 1  ≦ 0.05

 0.05

<  区分 2  ≦ 0.5

 0.5

<  区分 3  ≦ 1.0

 1.0

<  区分 4  ≦ 5.0

0.005

0.05

0.5 
1.5

注記  気体濃度は,容積当たりの ppmV  (体積分率)で表している。

B.1.3.4 

混合物そのものの急性毒性試験データが利用できる場合の分類 

混合物は,その急性毒性を判定するためにそのものが試験されている場合は,

表 B.1 に規定する判定基

準によって分類する。混合物について,このような試験データが利用できない場合には,B.1.3.5 又は B.1.3.6

に規定する手順のいずれかによって分類する。

B.1.3.5 

混合物そのものの急性毒性試験データが利用できない場合の分類(つなぎの原則を利用する分

類) 

混合物そのものの急性毒性を決定する試験がなされていないが,個々の成分及び類似の試験された混合

物の両方に関して十分なデータがある場合は,

混合物はつなぎの原則

5.5 参照)

で分類することができる。

B.1.3.6 

混合物の成分に基づく分類(加算式) 

a)

混合物の各成分に基づく混合物の分類は,次による。

混合物の全成分についてデータが利用できる場合は,成分の

ATE

は,次のように考えるのがよい。

1)

急性毒性が知られており,急性毒性区分のいずれかに分類できる成分は含める。

2)

急性毒性はないとみなせる成分は無視する(例えば,水,しょ糖)

3)

限界用量試験(

表 B.1 における適当なばく露経路に対して区分

4

に相当する上限値)のデータが利

用でき,急性毒性を示さない成分は無視する。

上記の範囲内に入る成分を

ATE

が既知の成分であるとみなす。

混合物の

ATE

は,経口,経皮及び吸入毒性について,全ての関連成分の

ATE

から式

(B.1)

によって決定

する。


55

Z 7252

:2014

=

=

n

i

i

i

ATE

C

ATE

1

mix

100

   (B.1)

ここに,

ATE

mix

混合物の

ATE

C

i

成分

i

の濃度

ATE

i

成分

i

ATE

n

成分数(

i

1

n

の値)

b)

混合物の一つ以上の成分についてデータが利用できない場合は,次による。

1)

混合物の個々の成分については

ATE

が利用できないが,次に示す利用できる情報から,予測した変

換値が利用できる場合には,式

(B.1)

を適用する。この場合は,次の評価を用いてもよい。

1.1)

経口,経皮及び吸入急性毒性推定値間の外挿。このような評価には,適切なファーマコダイナミ

クス及びファーマコキネティクスのデータが必要となる。

1.2)

毒性影響はあるが致死量データのない,ヒトへのばく露からの証拠

1.3)

急性毒性影響はあるが,必ずしも致死量データはない化学物質に関して利用できる,他の毒性試

験及び/又は分析からの証拠

1.4)

構造活性相関を用いた極めて類似した化学物質からのデータ

この方法は一般に,急性毒性を信頼できる程度に推定するために,多くの補足技術情報及び高度に訓練

され経験豊かな専門家の能力を必要とする。このような情報が利用できない場合には,3)

に規定する方法

による。

2)

利用できる情報の全くない成分が混合物中に

1 %

以上の濃度で含まれる場合は,混合物は明確な

ATE

を求めることはできない。この場合には,混合物の

x  %

は,急性(経口,経皮又は吸入)毒性

が未知の成分からなるという記載を分類結果に追記するとともに,混合物は既知の成分だけに基づ

いて分類することが望ましい。

3)

急性毒性成分が未知の考慮する成分の濃度の合計が

10 %

以下の場合には,式

(B.1)

を用いることが望

ましい。毒性成分が未知の考慮する成分の全濃度が

10 %

を超える場合には,式

(B.1)

は,式

(B.2)

(未

知の成分補正)によって,未知の成分について調整するように補正することが望ましい。

(

)

=

=

>

n

i

i

i

ATE

C

ATE

C

1

mix

unknown

%

10

if

100

   (B.2)

ここに,

C

unknown

 if

10 %

10 %

超の未知の成分の濃度

ATE

mix

混合物の

ATE

C

i

成分

i

の濃度

ATE

i

成分

i

ATE

n

成分数(

i

1

n

の値)

B.2 

皮膚腐食性及び皮膚刺激性 

B.2.1 

一般事項 

この箇条は,化学品の皮膚腐食性及び皮膚刺激性を分類する方法について規定する。試験を実施する前

に考慮する幾つかの要因についての利用可能な情報の検討の必要性,及び各測定項目についてのそれらの

情報の有無によって段階的に評価し分類する“段階的方法”について規定する。また,混合物そのものの

データが利用できる場合,混合物そのもののデータが利用できない場合,及び混合物の全成分について又

は一部の成分だけについてデータが利用できる場合の分類方法についても規定する。


56

Z 7252

:2014

B.2.2 

化学物質の分類基準 

B.2.2.1 

試験を実施する前に考慮する要因 

化学品の皮膚腐食性及び皮膚刺激性の分類では,試験を実施する前に幾つかの要因を考慮する。固体(粉

体)は,湿らせるか又は湿った皮膚若しくは粘膜に接触すると,皮膚腐食性物質又は皮膚刺激性物質にな

ることがある。単回ばく露又は反復ばく露からの既存のヒトでの経験及びデータ,並びに動物の観察及び

データは,皮膚に対する作用に直接関係し得る情報を与えるので,解析において第一に考慮する。構造的

に関連した化合物から,

分類決定のための十分な情報が得られる場合もある。

同様に,

pH 2

以下又は

pH 11.5

以上のように極端な

pH

の場合は,特に緩衝能力がある場合には完全な相関は示さないが,皮膚作用があ

るとみなしてもよい。一般的にそのような化学品は,皮膚に有意な作用を生じさせると予測できる。また,

化学品が経皮で毒性が高い場合は,皮膚腐食性試験及び皮膚刺激性試験で適用する試験物質の量が毒性用

量を著しく超過して,動物が死亡する原因となるので,このような試験は実施してはならない。有効性が

確認され承認されているインビトロ(

in vitro

)の代替試験法も,分類決定の手助けとして用いてもよい。

化学品に関して利用可能な上記のような情報は全て,インビボ(

in vivo

)の皮膚刺激性試験が必要かど

うかの決定に用いることが望ましい。例えば,極端に

pH

の高い苛性アルカリは,皮膚腐食性物質とみな

せるように,評価段階(B.2.2.2 参照)で一つの要因の評価から得られる情報もあるが,既存情報を全体的

に検討し,総合的な証拠の重み付けをすることは利点がある。因子の幾つかに対して情報を入手している

だけで,因子の全部について入手していない場合には特に当てはまる。一般的に,まず既存のヒトでの経

験及び試験データ,次に動物での経験及び試験データ,更に他の情報源からのデータという順に重視する

ことが望ましいが,適宜判断が必要である。

B.2.2.2 

初期情報を評価する段階的方法 

図 B.2 に規定する皮膚腐食性及び皮膚刺激性の段階的試験法及び評価法を検討することが望ましいが,

場合によっては,全ての要素が当てはまるとは限らない。


57

Z 7252

:2014

段階

測定項目

知見

結論

1a 

ヒト又は動物での既存の経験

f)

皮膚腐食性である。

皮膚腐食性物質として分類する。

a)

 

皮膚腐食性でない,又はデータがない。

 

 

 

1b 

ヒト又は動物での既存の経験

f)

皮膚刺激性である。

皮膚刺激性物質として分類する。

a)

 

皮膚刺激性でない,又はデータがない。

 

1c 

ヒト又は動物での既存の経験

皮膚腐食性でも

皮膚刺激性でもな
い。

追加試験の必要はない。区分外と

する。

 

データがない。

 

2a 

構造活性相関

皮膚腐食性である。

皮膚腐食性物質として分類する。

a)

 

皮膚腐食性でない,又はデータがない。

 

2b 

構造活性相関

皮膚刺激性である。

皮膚刺激性物質として分類する。

a)

 

皮膚刺激性でない,又はデータがない。

 

緩衝作用のある pH

b)

pH

≦ 2 又は

pH ≧ 11.5

皮膚腐食性物質として分類する。

a)

 

pH が極端でない,又はデータがない。

 

動物の既存皮膚試験データから動物試

験の必要性は示唆されない。

c)

必要性はないとい

う示唆がある。

追加試験の必要はない。皮膚腐食

性物質又は皮膚刺激性物質として
分類する。

 

示唆及びデータがない。

 

図 B.2−皮膚腐食性及び皮膚刺激性の段階的試験及び段階的評価 


58

Z 7252

:2014

段階

測定項目

知見

結論

有効,かつ,承認されたインビトロ(in 
vitro)皮膚腐食性試験

d)

陽性の結果。

皮膚腐食性物質として分類する。

a)

 

陰性反応又はデータがない。

 

有効,かつ,承認されたインビトロ(in 
vitro)皮膚刺激性試験

e)

陽性の結果。

皮膚刺激性物質として分類する。

a)

 

陰性反応又はデータがない。

 

有効,かつ,承認されたインビボ(in 
vivo)皮膚腐食性試験(動物 1 匹)

陽性の結果。

皮膚腐食性物質として分類する。

a)

 

陰性反応

 

インビボ(in vivo)皮膚刺激性試験 
(動物 3 匹合計)

g)

陽性の結果。

皮膚刺激性物質として分類する。

a)

 

陰性反応

追加試験の必要は
ない。

追加試験の必要はない。区分外とす

る。

ヒトでパッチテストの実施が

倫理的に許容される場合

f)

陽性の結果。

皮膚刺激性物質として分類する。

a)

 

ヒトでパッチテストの実施が

倫理的に許容されない場合

追加試験の必要はない。区分外とす

る。

a)

  B.2.2.3 又は B.2.2.4 に規定する区分で分類する。

b)

 pH だけの測定でもよいが,緩衝能力の評価としてアルカリ予備又は酸予備の測定が望ましい。

c)

  既に存在している動物データを詳しく見直し,インビボ(in vivo)皮膚腐食性試験及び皮膚刺激性試験が必要

であるかどうかを決定することが望ましい。例えば,試験物質によって,急性経皮毒性試験において限界用量
で皮膚刺激が生じていない場合,又は急性経皮毒性試験で極めて毒性の高い作用が生じている場合は,試験は
必要でない。後者の場合には,この試料は経皮経路による急性毒性では,極めて有害であるとして分類する。
しかし,この試料が皮膚腐食性又は皮膚刺激性であるかどうかは,議論の余地がある。急性経皮毒性情報を評
価する場合には,皮膚病変部の報告が不完全である,試験の実施及び所見が得られたのがウサギ以外の動物種
である,又は動物種はその反応の感受性が異なる場合があることを留意しておくのがよい。

d)

  皮膚腐食性のインビトロ(in vitro)試験法には,国際的に承認された実例として OECD Test Guideline の 430

及び 431 がある。

e)

  皮膚刺激性のインビトロ(in vitro)試験法には,国際的に承認された実例として OECD Test Guideline の 439

がある。

f)

  この証拠は,単回又は反復ばく露によって導くこともできる。

g)

  試験は,通常動物 3 匹を用いて実施する。うち 1 匹は皮膚腐食性試験で陰性となった動物を流用する。

図 B.2−皮膚腐食性及び皮膚刺激性の段階的試験及び段階的評価(続き) 


59

Z 7252

:2014

B.2.2.3 

皮膚腐食性 

B.2.2.3.1

動物試験結果による,皮膚腐食性区分を

表 B.3 に規定する。皮膚腐食性物質とは,皮膚組織の

破壊,すなわち,最大で

4

時間ばく露後に,試験動物

3

匹中

1

匹以上に表皮を貫通して真皮に至るような

明白なえ(壊)死を生じる試験物質である。皮膚腐食性反応では,潰瘍,出血,出血性のか(痂)皮,更

14

日間の観察期間終了時までに,皮膚の脱色による変色,付着全域に及ぶ脱毛及びはん(瘢)痕が特徴

的に見られる。疑いのある病変部の評価には,組織病理学的検査を検討することが望ましい。

B.2.2.3.2

  皮膚腐食性細区分

1A

は,

3

分間以内のばく露後に

1

時間以内の観察期間で反応が認められる場

合,皮膚腐食性細区分

1B

は,

3

分間を超え

1

時間以内のばく露後に

14

日以内の観察期間に反応が認めら

れる場合,及び皮膚腐食性細区分

1C

は,

1

時間を超え

4

時間以内のばく露後に

14

日以内の観察期間に反

応が認められる場合である。

なお,皮膚腐食性細区分まで分類ができない場合は,皮膚腐食性区分

1

とする。

表 B.3−皮膚腐食性の区分及び細区分

a)

皮膚腐食性区分 1

皮膚腐食性細区分

動物 3 匹中 1 匹以上における皮膚腐食性

ばく露時間

観察期間

皮膚腐食性

1A

≦ 3 分間

≦ 1 時間

1B

> 3 分間,≦ 1 時間

≦ 14 日間

1C

> 1 時間,≦ 4 時間

≦ 14 日間

a)

  ヒトのデータを使用する場合は,ヒトから得られた証拠(5.3.5)による。

B.2.2.4 

皮膚刺激性 

B.2.2.4.1

単一の皮膚刺激性区分を

表 B.4 に規定する。この表は,次の内容を含む。

a)

既存の分類方法の中で感度において中間的である。

b)

試験期間全体にわたって継続する作用のある試験物質もある。

B.2.2.4.2

皮膚病変の可逆性は,皮膚刺激性反応評価において考慮するもう一つの事項である。試験動物

2

匹以上で炎症が試験期間終了時まで継続する場合は,脱毛(限定領域)

,過角化症,過形成及び落せつ(屑)

を考慮に入れて,試験物質を皮膚刺激性物質とするのがよい。

B.2.2.4.3

試験中の動物の皮膚刺激性反応は,皮膚腐食性の場合と同様に極めて多様である。有意な皮膚

刺激性反応はあるが,陽性試験の平均スコア基準値よりも低い例も加えられるようにするために,別の皮

膚刺激性の判定基準も加えることが望ましい。例えば,試験動物

3

匹中

1

匹で,通常

14

日間の観察期間終

了時においても病変が認められるなど,試験期間中を通じて平均スコアが極めて上昇していることが認め

られる場合は,試験物質は皮膚刺激性物質としてもよい。他の反応でもこの判定基準が充足されることが

ある。ただし,その反応は化学品へのばく露によるものであることを確認することが望ましい。この判定

基準を加えれば,精度は高くなる。


60

Z 7252

:2014

表 B.4−皮膚刺激性の区分

a)

区分

判定基準

皮膚刺激性

(区分 2)

判定基準は,次のいずれかとする。

a)

試験動物 3 匹のうち少なくとも 2 匹で,パッチ除去後 24 時間,48 時間及び 72
時間における評価,又は反応が遅発性の場合には皮膚反応発生後 3 日間連続し

ての評価結果で,紅斑及び/又はか(痂)皮若しくは浮腫の平均スコア値が 2.3

以上かつ 4.0 以下である。

b)

少なくとも 2 匹の動物で,通常 14 日間の観察期間終了時まで炎症が残る。特に

脱毛(限定領域内)

,過角化症,過形成及び落せつ(屑)を考慮する。

c)  a)

又は b) の判定基準ほどではないが,動物間にかなりの反応の差があり,動物

1 匹で化学品へのばく露に関して極めて明白な陽性作用がみられるような場合。

a)

  ヒトのデータを使用する場合は,ヒトから得られた証拠(5.3.5)による。

B.2.3 

混合物の分類基準 

B.2.3.1 

一般 

混合物の分類は,基本的には混合物そのものについての試験データに基づき,B.2.3.2 によって化学物質

に関する判定基準を用いて行う。混合物そのものについての試験データが利用できない場合は,B.2.3.3 

よってつなぎの原則(5.5 参照)で分類してもよい。混合物の全成分について又は一部の成分だけについて

データが利用できる場合は,B.2.3.4 によって各成分の濃度限界を用いて分類することができる。

B.2.3.2 

混合物そのもののデータが利用できる場合の分類 

B.2.3.2.1 

混合物は,化学物質に関する判定基準を用い,これらの危険有害性クラスについてデータを作

成する試験及び評価方法を考慮に入れて分類する。

B.2.3.2.2 

他の危険有害性クラスと異なり,ある種の化学物質の皮膚腐食性に関しては,分類を目的にし

た場合に簡便で比較的安価に実行できるだけでなく,正確な結果を与える代替試験法がある。混合物の試

験実施について検討する場合は,正確に分類し,かつ,不必要な動物試験を回避するため,皮膚腐食性及

び皮膚刺激性に関する化学物質の分類基準に規定しているとおり,証拠の段階的な重み付けの方法(5.3.7

参照)を適用するのがよい。混合物の

pH

2

以下又は

11.5

以上の場合には,皮膚腐食性物質(皮膚区分

1

)に分類する。

pH

がこれより低い又は高いにもかかわらず,アルカリ予備又は酸予備を考慮すると化学

品が皮膚腐食性でないとみなせる場合には,インビトロ(

in vitro

)の試験を用いて確認することが望まし

い。

B.2.3.3 

混合物そのものについてデータが利用できない場合の分類(つなぎの原則を利用する分類) 

混合物そのものについて皮膚腐食性及び皮膚刺激性を決定する試験をしていないが,個々の成分及び類

似の試験された混合物の両方に関して十分なデータがある場合は,混合物はつなぎの原則(5.5 参照)で分

類することができる。

B.2.3.4 

混合物の全成分について又は一部の成分だけについてデータが利用できる場合の分類(濃度限界

を利用する分類) 

B.2.3.4.1 

混合物の皮膚刺激性及び皮膚腐食性を分類する目的で利用可能な全てのデータを使用するため

に,次の前提を段階的方法に適用する。

混合物で考慮する成分とは,

1 %

以上の濃度(固体,液体,粉じん,ミスト及び蒸気については質量/

質量,並びに気体については体積/体積)で存在するものである。ただし,特に皮膚腐食性の成分の場合

は,

1 %

より低い濃度で存在する成分が,皮膚腐食性及び皮膚刺激性についての分類に関係する可能性は

ないという条件が必要である。


61

Z 7252

:2014

B.2.3.4.2

一般的に,各成分のデータは利用可能であるが,混合物そのもののデータがない場合は,皮膚

腐食性及び皮膚刺激性として混合物を分類する方法は,加成性の理論に基づいている。すなわち,皮膚腐

食性又は皮膚刺激性の各成分は,その程度及び濃度に応じて,混合物そのものの皮膚腐食性又は皮膚刺激

性に寄与しているとみなせる。皮膚腐食性成分が区分

1

と分類できる濃度以下であるが,皮膚刺激性に分

類しなければならない濃度の場合には,加重係数として

10

を用いる。各成分の濃度の合計が分類基準とな

る濃度限界を超えた場合には,その混合物は,皮膚腐食性及び皮膚刺激性として分類する。

B.2.3.4.3 

表 B.5 に混合物が皮膚腐食性及び皮膚刺激性に分類できるかを判定するための濃度限界を規定

する。

B.2.3.4.4

酸,塩基,無機塩,アルデヒド類,フェノール類,及び界面活性剤などの特定の種類の化学品

を分類する場合には,特別の注意を払わなければならない。これらの化合物の多くは

1 %

未満の濃度でも

皮膚腐食性又は皮膚刺激性を示す場合があるので,B.2.3.4.1 及び B.2.3.4.2 に規定した方法は機能しない。

強酸又は強アルカリを含む混合物に関して,

pH

表 B.5 の濃度限界よりも皮膚腐食性に適した指標である

ので,分類基準として使用することが望ましい(B.2.3.2.2 参照)

。また,皮膚刺激性成分又は皮膚腐食性成

分を含む混合物は,化学物質の特性によって,

表 B.5 に規定する加成方式で分類できない場合で,かつ,

1 %

以上の皮膚腐食性成分を含む場合には,皮膚区分

1

に,また,

3 %

以上の皮膚刺激性成分を含む場合は,

皮膚区分

2

に分類する。

表 B.5 の方法が適用できない混合物の分類は,表 B.6 に規定する。

B.2.3.4.5

表 B.5 及び表 B.6 に規定する一般的な濃度限界以上の濃度であっても,成分の皮膚腐食性又は

皮膚刺激性の影響を否定する信頼できるデータがある場合がある。この場合は,混合物は,そのデータに

基づいて分類できる。

表 B.5 及び表 B.6 に規定する一般的な濃度限界以上の濃度であっても,成分の皮膚

腐食性又は皮膚刺激性がないと予想できる場合は,混合物そのものでの試験実施を検討してもよい。これ

らの場合には,B.2.3.2 及び

図 B.2 に規定する証拠の段階的な重み付けの方法を適用することが望ましい。

B.2.3.4.6 

ある成分に関して皮膚腐食性の場合は

1 %

未満,皮膚刺激性の場合は

3 %

未満の濃度で皮膚腐食

性又は皮膚刺激性であることを示すデータがある場合は,その混合物は,それによって濃度限界(5.4.2 

照)を使用して分類することが望ましい。

表 B.5−加成方式が適用できる混合物を皮膚腐食性又は皮膚刺激性として分類するための成分濃度 

各成分の合計による分類

混合物を分類するための成分濃度

皮膚腐食性

皮膚刺激性

区分 1

区分 2

皮膚区分 1

≧ 5 %

< 5 %,≧ 1 %

皮膚区分 2

≧ 10 %

(10×皮膚区分 1)+皮膚区分 2

≧ 10 %

表 B.6−加成方式が適用できない混合物を皮膚腐食性又は皮膚刺激性として分類するための成分濃度 

成分

濃度

混合物の分類:皮膚

酸    pH ≦ 2

≧ 1 %

区分 1

塩基  pH ≧ 11.5

≧ 1 %

区分 1

その他の皮膚腐食性(区分 1)成分で加成計算
の対象にならないもの

≧ 1 %

区分 1

その他の皮膚刺激性(区分 2)成分で加成計算
の対象にならないもの,酸又は塩基を含む

≧ 3 %

区分 2


62

Z 7252

:2014

B.3 

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 

B.3.1 

一般事項 

この箇条は,化学品の眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性を分類する方法について規定する。不必要

な動物試験を回避するために,既知の眼球組織損傷及び眼刺激性に関する情報(過去のヒト又は動物での

経験に関するデータも含む。

)の利用,構造活性相関(

SAR

)の適用,並びに有効性が確認されたインビト

ロ(

in vitro

)試験を段階的に用いた試験及び評価を行う仕組みについて規定する。

B.3.2 

化学物質の分類基準 

B.3.2.1 

既存情報の評価 

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性に関するいかなるインビボ(

in vivo

)試験も,これを行う前に,

試験物質に関する全ての既存情報を見直すことが望ましい。ある化学物質が眼に対し重篤な,すなわち不

可逆的な損傷を起こすかどうかについて,既存のデータによって予備的決定を行うことがある。試験物質

が分類できる場合は,試験は必要ない。化学物質に関する既存情報の評価,又は未検討の新規化学物質の

評価のために,極めて適切であると思われる方法は,眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性に関する段階

的試験方法(

図 B.3 参照)を採用することである。

B.3.2.2 

試験を行う前に考慮する要因 

化学品の眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性を判定するために,試験を行う前に,幾つかの要因を考

慮する。ヒト及び動物で蓄積された経験からは,眼に対する作用に直接関連する情報が得られるので,そ

れを分析の第一段階に置くことが望ましい。また,構造的に関連している化合物から有害性決定に十分な

情報が得られる例もある。同様に,

pH 2

以下又は

pH 11.5

以上などの極端な

pH

は,特に大きな緩衝能力

を伴っている場合には,眼に対する重篤な損傷作用があることを示唆している。そのような化学物質は,

眼に重篤な作用を生じると予測される。皮膚腐食性物質について,局所的な作用である眼への試験を行う

ことを回避するために,眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性を考えるに先立って,皮膚腐食性の可能性

について評価しなければならない。有効性が確認され,承認されているインビトロ(

in vitro

)代替試験を

用いて分類してもよい。

B.3.2.3 

インビボ(in vivo)での眼刺激性試験が必要かどうかの決定 

ある化学品に関して入手した B.3.2.1 及び B.3.2.2 のような情報を全て用いて,インビボ(

in vivo

)での

眼刺激性試験が必要かどうかを決定する。

ある段階の一つの因子を評価して情報が得られることもある

[例

えば,

pH

が極端な苛性アルカリは,局所腐食性であるとみなしてもよい。

]が,既存情報を総合的に検討

し,

全体的な証拠の重みを決定することも大切である。

因子の幾つかに対して情報を入手しているだけで,

全部は入手していない場合は,特に当てはまる。一般的に,まず,化学物質のヒトに対する眼刺激性につ

いての経験,次に皮膚刺激性試験,及び十分に有効性が確認された代替法から得られた結果の順に考慮さ

れた専門家の判断を重視する。皮膚腐食性物質についての動物試験は,できる限り回避する。

B.3.2.4 

初期情報を評価する段階的方法 

場合によっては,全ての条項が該当するとは限らないことを認識したうえで,

図 B.3 に規定する初期情

報を評価する段階的方法で分類する。

B.3.2.5 

試験データが要求されない場合の段階的方法 

試験データが要求されない場合も,

図 B.3 の段階的方法が適用できる。この表は,理想的には新たな動

物試験を行わないで試験物質に関する既存情報のまとめ方,並びに有害性の評価及び有害性の分類への証

拠の重みの適用の追加情報を含む。


63

Z 7252

:2014

段階

測定項目

知見

結論

1a 

過去のヒト又は動物で

の経験に関するデータ

眼に対する

重篤な損傷性物質

区分 1 とする。

 

 
眼刺激性物質

 
区分 2 とする。

ない又は不明

 

1b 

過去のヒト又は動物で
の経験に関するデータ

皮膚腐食性物質

眼に対する作用の評価は 
ない:区分 1 とみなす。

 

ない又は不明

 

1c 

過去のヒト又は動物で

の経験に関するデータ

皮膚刺激性物質

眼に対する作用の評価は

ない:区分 2 とみなす。

 

ない又は不明

 

2a 

構造活性相関 

眼に対する

重篤な損傷性物質

区分 1 とする。

 

ない又は不明

 

2b 

構造活性相関 

眼刺激性物質

眼に対する作用の評価はな
い:区分 2 とみなす。

 

ない又は不明

 

2c 

構造活性相関 

皮膚腐食性物質

眼に対する作用の評価は

ない:区分 1 とみなす。

 

ない又は不明

 

図 B.3−眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性の試験及び評価(図 B.2 も参照) 


64

Z 7252

:2014

段階

測定項目

知見

結論

3a 

pH/アルカリ予備又は 
酸予備

 pH

≧ 11.5

又は pH ≦ 2

区分 1 とする。

 

(アルカリ予備又は酸

予 備 に つ い て 検 討 す

る。

3b 

2 < pH < 11.5

(緩衝能力はない)

 

皮膚腐食性物質である

ことを示すその他の情報

ある

眼に対する作用の評価は

ない:区分 1 とみなす。

 

        ない

 

眼に対する重篤な損傷性
の評価に利用し得る有効

なインビトロ(in vitro)

試験はあるか。

ない

段階 6 に進む。

 

5a 

重篤な眼刺激性に関する
インビトロ(in vitro)試

眼に対する 
重篤な損傷性物質

区分 1 とする。

 

重篤な眼刺激性物質では

ない。

 

      重篤な眼刺激性に関する

      インビトロ(in vitro)試験は

陰性である。

      段階 8 に進む。

眼刺激性に関する有効な

インビトロ(in vitro)試

験は利用可能か。

  ない

      インビトロ(in vitro)試験は

ない。

      段階 7 に進む。

 

        ある

 

6a 

インビトロ(in vitro)眼
刺激性試験

眼刺激性物質

区分 2 とする

 

眼刺激性物質の示唆はな

い。

 

図 B.3−眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性の試験及び評価(図 B.2 も参照)(続き) 


65

Z 7252

:2014

段階

測定項目

知見

結論

試験的に皮膚腐食性を評

価する(皮膚刺激性及び皮
膚腐食性の試験戦略を参

照)

皮膚腐食性物質

眼に対する作用の評価は

ない:区分 1 とみなす。

 

皮膚腐食性物質でない。

 

ウサギ 1 匹を用いる

眼の試験

眼に対する重篤の

損傷性物質

区分 1 とする。

 

重篤な損傷はない。

 

追加のウサギ 1 匹又は 2
匹を用いる眼の試験

眼刺激性物質

区分 2 とする。

 

 

 
眼刺激性物質でない。

 

 
区分外とする。

1a

段階及び 1b 段階  過去のヒト又は動物での経験に関するデータの中に,眼に対する局所作用に関する情報がな

い場合は,皮膚腐食性の評価を考慮しなければならないため,眼刺激性及び皮膚腐食性に関する既存情報は,次の

ように別々に示す。その化学物質を用いた既存の経験を分析することによって,皮膚及び眼の両方に対する作用に

関する重篤な損傷,皮膚腐食性及び皮膚刺激性が特定されることもある。 
・ 1a 段階:ヒト又は動物での経験に基づく眼刺激性の信頼できる判定は,専門家の判断による。多くの場合は,

ヒトでの経験は事故発生の場合の事象であるために,事故後に検出される局所作用を,動物試験データ評価の

ために作成された分類基準と比較する必要がある。

・ 1b 段階:皮膚腐食性物質は動物の眼に滴下するのは望ましくない。このような化学物質は,眼に対する重篤な

損傷につながるとみなすのがよい(区分 1)

 
2a

段階,2b 段階及び 2c 段階  眼刺激性及び皮膚腐食性の構造活性相関(SAR)は,個別に示すが,実際には並行

して行うことが多い。この段階は,有効で一般に承認された SAR 方法を用いて完了することが望ましい。SAR 分

析によって,皮膚及び眼両方に対する重篤な損傷,皮膚腐食性及び皮膚刺激性が特定される。 
・ 2a 段階:理論的評価だけによる眼刺激性の信頼できる判定は,多くの場合は,特性が十分に分かっている化学

物質と類似のものにだけ適用できる。

・ 2c 段階:皮膚腐食性を理論的に評価する。皮膚腐食性物質を動物の眼に滴下するのは望ましくない。そのよう

な化学物質は眼に対する重篤な損傷につながるとみなすのがよい(区分 1)

 
3

段階  pH 2 以下又は pH 11.5 以上の極端な pH は,特にアルカリ予備又は酸予備の評価と組み合わせると,強力な

局所作用をもつことを示唆している。そのような物理化学的性質を示す化学物質は,眼に対する重篤な損傷性物質

であるとみなすことが望ましい(区分 1)

 
4

段階  ヒトでの経験も含めて,入手された情報を全て用いる。ただし,これらの情報は,既存のものだけに限定

する(例えば,経皮 LD

50

試験又は過去の皮膚腐食性に関する情報)

 
5

段階  これらは,国際的に合意された原則及び判定基準(5.3 参照)に従って有効性が確認された,眼に対する重

篤な損傷性又は眼刺激性(例えば,角膜の不可逆的混濁)評価の代替法でなければならない。

図 B.3−眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性の試験及び評価(図 B.2 も参照)(続き) 


66

Z 7252

:2014

6

段階  現在,この段階は近い将来には達成できそうにない。可逆的眼刺激性の信頼できる評価のための有効な代

替法を開発する必要がある。 
 
7

段階  その他に何ら該当する情報がない場合は,ウサギ眼刺激性試験に進む前に,国際的に承認された皮膚腐食

性及び皮膚刺激性試験によって,情報を入手することが不可欠である。これは段階的方法で実施しなければならな
い。可能である場合,有効であり,かつ,承認されたインビトロ(in vitro)皮膚腐食性試験によって情報を入手す

ることが望ましい。それが利用できない場合には,次に動物試験によって評価を完結することが望ましい(A.2.3

参照)

 
8

段階  眼刺激性の段階的インビボ(in vivo)評価。ウサギ 1 匹を用いた限定試験で,眼に対する重篤な損傷が認

められる場合は,更に試験を行う必要はない。 
 
9

段階  (重篤な作用の評価に用いた 1 匹も含めて)2 匹の動物を用いた眼刺激性試験で,その 2 匹で一致して明ら

かな眼刺激性又は明らかに眼刺激性でない反応が認められる場合は,その 2 匹だけが採用されることもある。反応
が異なるか又は紛らわしい反応である場合には,3 匹目の動物が必要となる。この 3 匹目の動物の試験結果によっ

て,分類が必要となることもならないこともある。

図 B.3−眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性の試験及び評価(図 B.2 も参照)(続き) 

B.3.2.6 

眼への不可逆的影響,すなわち,眼に対する重篤な損傷(区分 1 

眼を重篤に損傷する可能性がある化学物質には,単一の区分である区分

1

を適用する。この危険有害性

区分(区分

1

“眼への不可逆的影響”

)の判定基準を

表 B.7 に示す。これらの所見は,試験中のいずれかの

時点で観察された試験動物に対する角膜病変等級

4

及びその他の重篤な反応(例えば,角膜破壊)

,持続性

の角膜混濁,色素物質による角膜の着色,癒着,角膜の血管増殖,並びにこう(虹)彩機能の障害,又は

視力を弱めるその他の作用を含む。持続性の病変とは,通常

21

日間の観察期間内で完全に可逆的ではない

病変をいう。危険有害性分類区分

1

には,ウサギを用いたドレイズ(

Draize

)法による眼の試験で,角膜

混濁が

3

以上,又はこう(虹)彩炎が

1.5

を超えて検出されるという判定基準を満たす化学物質も含む。

これらのような重篤な病変は,

21

日間の観察期間内には通常回復しないからである。

表 B.7−不可逆的な眼への影響に関する区分 

眼刺激性物質区分 1(眼に対する不可逆的影響)とは,次の状況を生じる試験物質である。

a)

少なくとも 1 匹の動物で角膜,こう(虹)彩又は結膜に対する可逆的であると予測できない作用が認められる,

通常 21 日間の観察期間中に完全には回復しない作用が認められる,又は

b)

試験動物 3 匹中少なくとも 2 匹で試験物質滴下後 24 時間,48 時間及び 72 時間における評価の平均スコア計算
値が,

・角膜混濁 ≧ 3  及び/又は

・こう(虹)彩炎 > 1.5

で陽性反応が得られる。

ヒトのデータの使用については,ヒトから得られた証拠(5.3.5 参照)を考慮する。

B.3.2.7 

眼に関する可逆的影響(区分 2 

可逆的な眼刺激を誘発する可能性のある化学物質には,単一の区分である区分

2

を適用する。ただし,

回復性に応じて,

表 B.8 に示す細区分

2A

又は

2B

を適用してもよい。

表 B.8 に可逆的な眼への影響に関する区分を規定する。


67

Z 7252

:2014

表 B.8−可逆的な眼への影響に関する区分 

眼刺激性物質区分 2A(眼に対する刺激性作用)とは,次の状況を生じる試験物質である。

試験動物 3 匹中少なくとも 2 匹で,試験物質滴下後 24 時間,48 時間及び 72 時間における評価の平均スコア計算値
が,

・角膜混濁 ≧ 1  及び/又は

・こう(虹)彩炎 ≧ 1  及び/又は 
・結膜発赤 ≧ 2  及び/又は

・結膜浮腫 ≧ 2

で,陽性反応が得られ,かつ,通常 21 日間の観察期間内で完全に回復する。 
 
眼に対する刺激性作用が 7 日間の観察期間内に完全に可逆的である場合は,眼刺激性は軽度の眼刺激性(区分 2B)

であるとみなす。

動物間で反応に極めて多様性が認められる化学品に対しては,分類の判定において,その情報を考慮し

てもよい。

B.3.3 

混合物の分類基準 

B.3.3.1 

一般事項 

混合物の分類は,基本的には混合物そのものについての試験データに基づき,B.3.3.2 によって化学物質

に関する判定基準を用いて行う。混合物そのものについての試験データが利用できない場合は,B.3.3.3 

よってつなぎの原則(5.5 参照)で分類してもよい。混合物の全成分について又は一部の成分だけについて

データが利用できる場合は,B.3.3.4 によって各成分の濃度限界を用いて分類することができる。

B.3.3.2 

混合物そのもののデータが利用できる場合の分類 

混合物は,化学物質に関する判定基準を用い,これらの危険有害性クラスについてデータを提供する試

験及び評価方法を考慮して分類する。

他の危険有害性クラスと異なり,ある種の化学物質の皮膚腐食性に関しては,分類の目的に対して正確

な結果を与える簡便で比較的安価に実行できる代替試験法が存在する。製造業者が混合物の試験実施を検

討する場合は,正確に分類し,かつ,不必要な動物試験を回避するため,皮膚腐食性,眼に対する重篤な

損傷性又は眼刺激性に関する化学物質の分類基準に規定されているとおり,証拠の重み付けのための段階

的方法を適用することが望ましい。混合物の

pH

2

以下又は

11.5

以上の場合には,重篤な眼の損傷を起

こす眼区分

1

とみなす。アルカリ予備又は酸予備を考慮すると,

pH

がこれより低い又は高いにもかかわら

ず,化学品が重篤な眼の損傷を起こさないとみなせる場合には,インビトロ(

in vitro

)の試験を用いて確

認することが望ましい。

B.3.3.3 

混合物そのものについてデータが利用できない場合の分類(つなぎの原則を利用する分類) 

混合物そのものについて眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性を決定する試験がなされていないが,当

該混合物の有害性を適切に特定するための,個々の成分及び類似の試験された混合物の両方に関して十分

なデータがある場合は,混合物はつなぎの原則(5.5 参照)で分類することができる。

B.3.3.4 

混合物の全成分について又は一部の成分だけについてデータが入手された場合の分類(濃度限界

を利用する分類) 

B.3.3.4.1

混合物の眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性を分類する目的で利用可能な全てのデータを使

用するために,次の前提を段階的方法に適用する。

混合物の“考慮する成分”とは,

1 %

以上の濃度(固体,液体,粉じん,ミスト及び蒸気については,

質量/質量,気体については体積/体積)で存在するものである。ただし,特に皮膚腐食性の成分の場合


68

Z 7252

:2014

は,

1 %

より低い濃度で存在する成分が,眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性についての分類に関係す

る可能性はないという条件が必要である。

B.3.3.4.2

一般的に,各成分のデータは入手したが,混合物そのもののデータがない場合は,眼に対する

重篤な損傷性又は眼刺激性として混合物を分類する方法は,加成法の理論に基づく。すなわち,皮膚腐食

性,眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性の各成分がその程度及び濃度に応じて,混合物そのものの眼に

対する重篤な損傷性又は眼刺激性に寄与している。皮膚腐食性及び眼に対する重篤な損傷性成分が区分

1

と分類できる濃度以下であるが,眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性に分類できる濃度の場合には,加

重係数として

10

を用いる。各成分の濃度の合計が濃度限界を超えた場合には,その混合物は眼に対する重

篤な損傷性又は眼刺激性として分類する。

B.3.3.4.3 

表 B.9 に,混合物を眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性に分類するのがよいかを判定するた

めの濃度限界を規定する。

B.3.3.4.4

酸,塩基,無機塩,アルデヒド,フェノール及び界面活性剤のようなある特定の種類の化学品

を分類する場合は,特別の注意を払わなければならない。これらの化合物の多くは,

1 %

未満の濃度であ

っても眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性を示す場合があるので,B.3.3.4.1 及び B.3.3.4.2 に規定する方

法は機能しない。強酸又は強塩基を含む混合物に関して,

pH

は,

表 B.9 の濃度限界よりも,眼に対する重

篤な損傷性の適切な指標であるので,分類基準として使用することが望ましい(B.3.3.2 参照)

。眼に対す

る重篤な損傷性又は眼刺激性の成分を含む混合物で,化学物質の特性によって,

表 B.9 に規定する加成方

式に基づいて分類できない場合で,かつ,

1 %

以上の皮膚腐食性及び眼に対する重篤な損傷性の成分を含

む場合には,眼区分

1

に分類する。

3 %

以上の眼刺激性成分を含む場合には,眼区分

2

に分類する。

表 B.9

の方法が適用できない混合物の分類は,

表 B.10 に規定する。

B.3.3.4.5

表 B.9 及び表 B.10 に規定している一般的な濃度限界を超えるレベルで存在するのに,眼の可逆

又は不可逆な影響を否定する信頼できるデータがある場合がある。この場合は,混合物はそのデータに基

づいて分類できる。ある成分が

表 B.9 及び表 B.10 に規定する一般的な濃度限界以上であっても,皮膚腐食

性若しくは皮膚刺激性,又は眼への可逆的若しくは不可逆的影響がないと予想される場合には,混合物そ

のものでの試験実施を検討してもよい。これらの場合は,B.3.3 及び

図 B.3 で規定するとおり,証拠の重み

付けの段階的方法を適用することが望ましい。

B.3.3.4.6

ある成分について,皮膚腐食性又は眼に対する重篤な損傷性の場合

1 %

未満,又は眼刺激性の

場合

3 %

未満の濃度でも,皮膚腐食性,眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性であることを示すデータが

ある場合は,混合物は,それに従って分類するのが望ましい。

表 B.9−加成方式が適用できる混合物を眼に対する重篤な損傷性又は 

眼刺激性として分類するための成分濃度 

各成分の合計による分類

混合物を分類するための成分濃度

眼不可逆性影響

眼可逆性影響

区分 1

区分 2

眼又は皮膚区分 1

≧ 3 %

< 3 %,≧ 1 %

眼区分 2 又は 2A

≧ 10 %

(10×眼区分 1)+眼区分 2 又は 2A

≧ 10 %

眼区分 1+皮膚区分 1

≧ 3 %

< 3 %,≧ 1 %

10×(皮膚区分 1+眼区分 1)+眼区分 2A 又は 2B

≧ 10 %


69

Z 7252

:2014

表 B.10−加成方式が適用できない混合物を,眼に対する重篤な損傷性 

又は眼刺激性として分類するための成分濃度 

成分

濃度

混合物の分類

酸    pH ≦ 2

≧ 1 %

区分 1

塩基  pH ≧ 11.5

≧ 1 %

区分 1

その他の皮膚腐食性(区分 1)及び眼に対する重篤な損傷性(眼

区分 1)成分

≧ 1 %

区分 1

その他の眼刺激性(眼区分 2)成分(酸及び塩基も該当する)

≧ 3 %

区分 2

B.4 

呼吸器感作性又は皮膚感作性 

B.4.1 

一般事項 

この箇条は,化学品の呼吸器感作性又は皮膚感作性を分類する方法について規定する。感作性には,二

つの段階が含まれる。最初の段階は,アレルゲンへのばく露による個人の特異的な免疫学的記憶の誘導で

ある。次の段階は,じゃっ(惹)起,すなわち,感作された個人がアレルゲンにばく露することによって

起こる細胞性又は抗体性のアレルギー反応である。

呼吸器感作性で,誘導からじゃっ(惹)起段階へと続くパターンは,一般に皮膚感作性でも同じである。

皮膚感作性では,免疫システムが反応を学習する誘導段階を必要とする。続いて起こるばく露が視認でき

るような皮膚反応をじゃっ(惹)起するのに十分である場合,臨床症状となって現れる[じゃっ(惹)起

段階]

。結果として,感作性予測のための試験もこのパターンに従っている。すなわち,最初に誘導段階が

あり,それに対する反応を,通常パッチテストを含む標準化されたじゃっ(惹)起段階によって測定する。

誘導反応を直接的に測定する局所リンパ節試験は例外である。ヒトでの皮膚感作性の証拠は,通常,診断

パッチテストで評価する。

通常,皮膚及び呼吸器感作性では,じゃっ(惹)起に必要なレベルは,誘導に必要なレベルよりも低い。

B.4.2 

化学物質の分類基準 

B.4.2.1 

呼吸器感作性物質 

B.4.2.1.1 

危険有害性区分 

B.4.2.1.1.1

化学物質は,細区分のためのデータが十分でない場合には,

表 B.11 の判定基準によって,呼

吸器感作性物質区分

1

に分類する。

B.4.2.1.1.2

化学物質は,データが十分にある場合には,

表 B.11 の判定基準によって,細区分

1A

(強い呼

吸器感作性物質)又は細区分

1B

(他の呼吸器感作性物質)に細かく分類する。呼吸器感作性物質について

は,通常ヒト又は動物で見られた影響は証拠の重み付けによって分類の根拠となる。

表 B.11 における判定

基準に従いヒトの症例又は疫学的研究及び/又は試験動物における適切な研究結果による信頼できる質の

良い証拠に基づいて,証拠の重み付けによって,物質は二つの細区分

1A

又は

1B

のいずれかに分類する。


70

Z 7252

:2014

表 B.11−呼吸器感作性物質の危険有害性区分及び細区分 

区分

判定基準

区分 1

化学物質は,次のいずれかの判定基準によって,呼吸器感作性物質と分類する。

a)

ヒトに対し当該物質が特異的な呼吸器過敏症を引き起こす証拠がある場合,又は

b)

適切な動物試験によって陽性結果が得られている場合

a)

細区分 1A

ヒトで高頻度に症例が見られる,又は動物若しくは他の試験

a)

 に基づいたヒトでの高い

感作率の可能性がある。反応の重篤性についても考慮する。

細区分 1B

ヒトで低∼中頻度に症例が見られる,又は動物若しくは他の試験

a)

 に基づいたヒトでの

低∼中の感作率の可能性がある。反応の重篤性についても考慮する。

a)

  現時点では,呼吸器過敏症試験用として認められた動物モデルはいない。場合によっては,動物実

験によるデータは証拠の重み付け評価において貴重な情報を提供する。

B.4.2.1.2 

ヒトでの証拠 

B.4.2.1.2.1

化学物質が特異的な呼吸器過敏症を誘導する可能性があるとする証拠は,通常,ヒトでの経

験を基に得る。過敏症は,通常,ぜん息として観察されるが,鼻炎,結膜炎及び肺胞炎のようなその他の

過敏症などの可能性もある。この場合には,アレルギー性反応の臨床的特徴をもつことが条件となる。た

だし,免疫学的メカニズムは示す必要はない。

B.4.2.1.2.2

ヒトでの証拠を考える場合は,分類の決定は,事例から得られる証拠に加えて,更に次のこ

とを考慮する。

a)

ばく露された集団の大きさ

b)

ばく露の程度

B.4.2.1.2.3

B.4.2.1.2.1

及び B.4.2.1.2.2 に記載した証拠には,次のものがある。

a)

臨床履歴及び当該化学物質へのばく露に関連する適切な肺機能検査から得たデータで,次の項目及び

その他の裏付け証拠によって確認したもの

1)

インビボ(

in vivo

)免疫学的試験(例えば,皮膚プリック試験)

2)

インビトロ(

in vitro

)免疫学的試験(例えば,血清学的分析)

3)

反復低濃度刺激,薬理学的介在作用など,免疫学的作用メカニズムがまだ証明されていないその他

の特異的過敏症反応の存在を示す試験

4)

呼吸器過敏症の原因となることが分かっている化学物質に関連性のある化学構造

b)

特異的過敏症反応測定のために一般に認められた指針に沿って実施した,当該化学物質についての気

管支負荷試験の陽性結果

B.4.2.1.2.4 

臨床履歴には,特定の化学物質に対するばく露と呼吸器過敏症発生との間の関連性を決定す

るための病歴及び職歴の両方が記載されていなければならない。該当する情報として,家庭及び職場の両

方での悪化要因,疾患の発症及び経過,問題となっている患者の家族歴及び病歴などが含まれる。この病

歴は,更に,子供時代からのその他のアレルギー性又は気道障害についての記録及び喫煙歴についても記

載されていなければならない。

B.4.2.1.2.5

気管支負荷試験の陽性結果から,分類のための十分な証拠が得られるとみなせる。ただし,

実際には上記の試験の多くは既に実施されていることが望ましい。

B.4.2.1.3 

動物試験 

ヒトに吸入された場合,過敏症の原因となる可能性を示す適切な動物試験

1)

から得られるデータには,

次のものがある。


71

Z 7252

:2014

a)

例えば,マウスを用いた免疫グロブリン

E(IgE)

及びその他特異的免疫学的項目の測定

b)

モルモットにおける特異的肺反応

1)

現時点では,呼吸器過敏症試験用として認められた動物モデルはない。一定の環境下では,例

えば,たんぱく質の相対的アレルギー誘発性判断のためのモルモットを用いた修正マキシマイ

ゼーション(

Maximisation

)試験(OECD Test Guideline 406)などの動物試験を用いることがで

きる。ただし,これらの試験は,更なる検証を必要としている。

B.4.2.2 

皮膚感作性物質 

B.4.2.2.1 

危険有害性区分 

B.4.2.2.1.1

化学物質は,細区分のためのデータが十分でない場合には,

表 B.12 の判定基準によって,皮

膚感作性物質区分

1

に分類する。

B.4.2.2.1.2

化学物質は,データが十分にある場合には,

表 B.12 の判定基準によって,細区分

1A

(強い皮

膚感作性物質)又は細区分

1B

(他の皮膚感作性物質)に細かく分類する。皮膚感作性物質については,通

常ヒト又は動物で見られた影響は証拠の重み付けによって分類の根拠となる。

表 B.12 における判定基準に

従いヒトの症例又は疫学的研究及び/又は実験動物における適切な研究結果による信頼できる質の良い証

拠に基づいて,証拠の重み付けによって,物質は二つの細区分

1A

又は

1B

のいずれかに分類する。

表 B.12−皮膚感作性物質の危険有害性区分及び細区分 

区分

判定基準

区分 1

化学物質は,次のいずれかの判断基準によって,皮膚感作性物質と分類する。

a)

化学物質が相当な数のヒトに皮膚接触によって過敏症を引き起こす証拠がある場

合,又は

b)

適切な動物試験によって陽性結果が得られている場合。

細区分 1A

ヒトで高頻度に症例が見られる及び/又は動物での高い感作能力からヒトに重大な感作

を起こす可能性が考えられる。反応の重篤性についても考慮する。

細区分 1B

ヒトで低∼中頻度に症例が見られる及び/又は動物での低∼中の感作能力からヒトに感

作を起こす可能性が考えられる。反応の重篤性についても考慮する。

B.4.2.2.2 

ヒトでの証拠 

B.4.2.2.2.1 

細区分

1A

となるヒトでの証拠には次のものがある。

a)

500 µg/cm

2

[ヒト繰返しパッチテスト

HRIPT

,ヒトマキシマイゼーション(

Maximisation

)試験

HMT

−誘導閾値]で陽性反応

b)

比較的低レベルのばく露を受けた対象集団において,比較的高い率で相当程度の陽性反応を示すパッ

チテストのデータ

c)

比較的低レベルのばく露を受けた対象集団において,アレルギー性接触皮膚炎の比較的高い率で相当

程度の陽性反応を示す他の疫学的な証拠

B.4.2.2.2.2 

細区分

1B

となるヒトでの証拠には次のものがある。

a)

500 µg/cm

2

[ヒト繰返しパッチテスト

HRIPT

,ヒトマキシマイゼーション(

Maximisation

)試験

HMT

−誘導閾値]で陽性反応

b)

比較的高レベルのばく露を受けた対象集団において,比較的低い率ではあるが相当程度の陽性反応を

示すパッチテストのデータ

c)

比較的高レベルのばく露を受けた対象集団において,アレルギー性接触皮膚炎の比較的低い率ではあ


72

Z 7252

:2014

るが相当程度の陽性反応を示す他の疫学的な証拠

B.4.2.2.3 

動物試験 

B.4.2.2.3.1

皮膚感作性区分

1

について,アジュバントを用いる種類の試験方法を用いる場合は,動物の

30 %

以上で反応があれば陽性であるとみなす。アジュバントを用いないモルモット試験方法では,動物の

少なくとも

15 %

以上で反応がある場合,陽性であるとみなす。区分

1

に関して,局所リンパ節試験におい

て刺激指標値が

3

以上であれば陽性反応とみなす。皮膚感作性に関する試験方法は,OECD Test Guideline 

406

[モルモットマキシマイゼーション(

Maximisation

)試験及びビューラー(

Buehler

)モルモット試験]

及び OECD Test Guideline 429(局所リンパ節試験)に規定されている。有効性が確認され,科学的な根拠

が得られている場合は,他の方法を用いてもよい。マウス耳介腫脹試験(

MEST

)は,中程度から強い感

作性物質検出に信頼できるスクリーニング法であり,皮膚感作性評価の第一段階として用いることができ

る。

B.4.2.2.3.2 

動物試験結果による細区分

1A

は,

表 B.13 の値による。

表 B.13−動物試験結果による細区分 1A 

検査

判定基準

局所リンパ節試験 EC3 値 ≦2 %

モルモットマキシマイゼーション

(Maximisation)試験

皮内投与量 ≦0.1 %で,≧30 %の反応又は

皮内投与量 >0.1 %,≦1 %で,≧60 %の反応

ビューラー(Buehler)モルモット

試験

局所投与量 ≦0.2 %で,≧15 %の反応又は

局所投与量 >0.2 %,≦20 %で,≧60 %の反応

B.4.2.2.3.3 

動物試験結果による細区分

1B

は,

表 B.14 の値による。

表 B.14−動物試験結果による細区分 1B 

検査

判定基準

局所リンパ節試験 EC3 値 >2 %

モルモットマキシマイゼーション

(Maximisation)試験

皮内投与量 >0.1 %,≦1 %で,≧30 %,< 60 %の反応又は

皮内投与量 >1 %で,≧30 %の反応

ビューラー(Buehler)モルモット

試験

局所投与量 >0.2 %,≦20 %で,≧15 %,< 60 %の反応又は

局所投与量 >20 %で,≧15 %の反応

B.4.2.2.4 

特別に留意する事項 

B.4.2.2.4.1

化学物質の分類には,次のいずれか,又は全てが証拠に含まれていることが望ましい。

a)

通常,複数の皮膚科診療所でのパッチテストから得られる陽性データ

b)

当該化学物質によってアレルギー性接触皮膚炎が生じることを示した疫学的調査。症例数が少なくて

も,特徴的な症状を示すばく露例の比率が高い状況については,特に注意して確認する必要がある

c)

適切な動物試験から得られる陽性データ

d)

ヒトにおける試験的研究から得られる陽性データ(5.3.5 参照)

e)

通常,複数の皮膚科診療所で得られるアレルギー性接触皮膚炎について,十分に記録された事例

f)

反応の重篤性についても考慮する

B.4.2.2.4.2 

ヒト又は動物で認められる陽性の影響は,通常,分類の証拠になる。動物試験から得られる

証拠は,ヒトのばく露から得られる証拠よりもはるかに信頼できることが多い。ただし,両方の情報源か


73

Z 7252

:2014

ら証拠を得ており,結果に矛盾があるような場合には,両情報源からの証拠の質及び信頼性を評価して,

分類上の疑問点を適宜解決しなければならない。ヒトのデータは,分類を目的としてボランティアを用い

て管理された試験で得られるのでなく,リスク評価の一部として動物試験における無影響を確認するため

に得られる。したがって,皮膚感作性に関してヒトで陽性データが得られるのは,患者対照研究,又はそ

の他のそれほど確定的でない調査によることが多い。このように,ヒトのデータの評価は,症例頻度が当

該化学物質の本来の性質だけでなく,ばく露状況,生物学的利用能,個人素因及び講じられている予防策

を反映しているので注意して評価しなければならない。ヒトの陰性データを,動物試験の陽性結果の否定

に使用することは望ましくない。動物及びヒトのデータの両方に関して,媒剤の影響について考慮する。

B.4.2.2.4.3

B.4.2.2.4.1

及び B.4.2.2.4.2 の条件に一つも適合しない場合は,その化学物質は皮膚感作性物質

として分類する必要はない。ただし,次に示すような皮膚感作性を示唆する項目が

2

種類以上ある場合に

は,判断が変更されることもある。次のデータなどを適宜判断するのがよい。

a)

アレルギー性接触皮膚炎の単発的事例

b)

偶然性,偏り又は交絡要因などが合理的な確信をもって除外できない場合のように,限定された検出

力の下での疫学的調査

c)

既存の指針に従って実施され,B.4.2.2.3.1 に示した陽性の判定基準には適合しないが,有意であると

みられる限界に十分に近い動物試験データ

d)

標準的方法以外の方法で得られる陽性データ

e)

構造的に近い類似化学物質から得られる陽性の結果

B.4.2.2.5 

免疫性接触じんましん 

呼吸器感作性物質に分類するための判定基準に適合する物質は,更に免疫性接触じんましんを引き起こ

すことがある。これらの物質を皮膚感作性物質としても分類することも検討するのがよい。免疫性接触じ

んましんを誘発する物質で,呼吸器感作性物質の判定基準には適合しない物質もまた,皮膚感作性物質と

して分類することを検討するのがよい。

免疫性接触じんましんを生じる物質を識別するのに利用可能な動物モデルは認められていない。したが

って,分類は,通常,皮膚感作性物質と同様にヒトでの証拠に基づいて行う。

B.4.3 

混合物の分類基準 

B.4.3.1 

一般事項 

混合物の分類は,基本的には混合物そのものについての試験データに基づき,B.4.3.2 によって当該デー

タの証拠の重み付けを評価することによって行う。混合物そのものについての試験データが利用できない

場合は,B.4.3.3 によってつなぎの原則(5.5 参照)で分類してもよい。混合物の全成分について又は一部

の成分だけについてデータが利用できる場合は,B.4.3.4 によって各成分の濃度限界を用いて分類すること

ができる。

B.4.3.2 

混合物そのものについて試験データが入手できる場合の分類 

混合物について,化学物質に関する分類基準で規定したとおり,ヒトの経験又は適切な動物実験から信

頼できる質のよい証拠が利用できる場合は,混合物はこのデータの証拠の重み付けの評価によって分類で

きる。混合物に関するデータを評価する場合には,使用用量が確定的な結果を導かないことがあることに

注意を払うのがよい。

B.4.3.3 

混合物そのものについて試験データが入手できない場合の分類(つなぎの原則を利用する分類) 

混合物そのものについて感作性を決定する試験がなされていないが,当該混合物の有害性を適切に特定

するための,個々の成分及び類似の試験された混合物の両方に関して十分なデータがある場合は,混合物


74

Z 7252

:2014

はつなぎの原則(5.5 参照)で分類することができる。

B.4.3.4 

混合物の全成分について,又は一部の成分だけについてデータが入手できた場合の分類(濃度限

界を利用する分類) 

混合物は,少なくとも一つの成分が呼吸器感作性物質又は皮膚感作性物質として分類し,固体,液体及

び気体のそれぞれが

表 B.15 に規定するそれぞれの生体影響に示す濃度限界以上で存在する場合は,呼吸器

感作性物質区分

1

又は皮膚感作性物質区分

1

として分類する。

なお,皮膚感作性物質成分又は呼吸器感作性物質成分が,濃度限界未満であるが,

0.1 %

以上の濃度で混

合物中に存在する場合は,混合物としての記載事項を

SDS

に記載する。また,法規制などで濃度限界が制

定された場合には,それに従う。

表 B.15−呼吸器感作性物質又は皮膚感作性物質として分類する混合物成分の濃度限界 

成分の分類

混合物の分類基準となる濃度限界

呼吸器感作性物質

区分 1

皮膚感作性物質

区分 1

固体及び液体

気体

全ての物理的状態

呼吸器感作性物質

区分 1 成分

≧ 1.0 %

≧ 0.2 %

呼吸器感作性物質

区分 1A 成分

≧ 0.1 %

≧ 0.1 %

呼吸器感作性物質

区分 1B 成分

≧ 1.0 %

≧ 0.2 %

皮膚感作性物質 
区分 1 成分

≧ 1.0 %

皮膚感作性物質 
区分 1A 成分

≧ 0.1 %

皮膚感作性物質

区分 1B 成分

≧ 1.0 %

B.5 

生殖細胞変異原性 

B.5.1 

一般事項 

この箇条は,化学品の生殖細胞変異原性を分類する方法について規定する。この危険有害性クラスの中

で分類する場合は,インビトロ(

in vitro

)での変異原性又は遺伝毒性試験,及びインビボ(

in vivo

)での

哺乳類体細胞を用いた試験も考慮する。突然変異は,表現形レベルで発現される経世代的な遺伝的変化,

及びその根拠となっている

DNA

の変化(例えば,特異的塩基対の変化,染色体転座など)の両方に適用

される。変異原性及び変異原性物質という用語は,細胞又は生物の集団における突然変異の発生を増加さ

せる化学物質について用いる。

遺伝毒性物質及び遺伝毒性は,

DNA

の構造,含まれる遺伝情報又は染色体の分離を変化させる化学物質

若しくはその作用に適用する。これには,正常な複製過程の妨害によって

DNA

に損傷を与えるもの,及

び非生理的な状況において一時的に

DNA

複製を変化させるものもある。遺伝毒性試験結果は,一般的に,

変異原性作用の指標として採用する。

B.5.2 

化学物質の分類基準 

B.5.2.1 

危険有害性区分 

利用可能な証拠の重み付けを取り入れられるように,生殖細胞に対する変異原性物質に

2

種類の区分を


75

Z 7252

:2014

設けている。生殖細胞変異原性物質の危険有害性区分は,

表 B.16 に規定する。

表 B.16−生殖細胞変異原性物質の危険有害性区分 

区分 1  ヒト生殖細胞に経世代突然変異を誘発することが知られている化学物質,又は経世代突然変異を誘発する

とみなされる化学物質。

区分 1A:ヒト生殖細胞に経世代突然変異を誘発することが知られている化学物質。区分 1A への化学物質の分類

は,ヒトの疫学的調査による陽性の証拠による。

区分 1B:ヒト生殖細胞に経世代突然変異を誘発するとみなされる化学物質。区分 1B への化学物質の分類は,次

のいずれかによる。

a)

哺乳類におけるインビボ(in vivo)生殖細胞経世代変異原性試験による陽性結果。

b)

哺乳類におけるインビボ(in vivo)体細胞変異原性試験による陽性結果に加えて,当該化学物質が生殖細胞に

突然変異を誘発する可能性についての何らかの証拠。この裏付け証拠は,例えば,生殖細胞を用いるインビボ

(in vivo)変異原性若しくは遺伝毒性試験によって,又は当該化学物質若しくはその代謝物が生殖細胞の遺伝
物質と相互作用する機能があることの実証によって導かれる。

c)

次世代に受け継がれる証拠はないがヒト生殖細胞に変異原性を示す陽性結果,例えば,ばく露されたヒトの精

子中の異数性発生頻度の増加など。

 
区分 2  ヒト生殖細胞に経世代突然変異を誘発する可能性がある化学物質。

化学物質の区分 2 への分類は,次のいずれかによる。

a)

哺乳類を用いるインビボ(in vivo)体細胞変異原性試験の陽性結果。

b)

インビトロ(in vitro)変異原性試験の陽性結果によって裏付けられたその他のインビボ(in vivo)体細胞遺伝

毒性試験の陽性結果。

注記  哺乳類を用いるインビトロ(in vitro)変異原性試験で陽性となり,更に,既知の生殖細胞変異原性物質と化

学的構造活性相関を示す化学物質は,区分 2 変異原性物質として分類する。

B.5.2.2 

分類区分の考え方及び根拠 

2

種類の区分を設けるための考え方を,次に示す。

a)

分類は,ばく露動物の生殖細胞若しくは体細胞における変異原性又は遺伝毒性作用を判定する試験か

ら得られた試験結果を考慮する。インビトロ(

in vitro

)試験で判定された変異原性又は遺伝毒性作用

も考慮してもよい。

b)

生殖細胞に突然変異を誘発する性質を本来もっている化学物質を分類する。したがって,定量的リス

ク評価のためのものではない。

c)

ヒト生殖細胞に対する経世代的な影響の分類は,適切に実施され,十分に有効性が確認された試験に

基づいて行う。次に例示する

OECD Test Guideline

に規定された方法に従った試験を用いることが望ま

しい。試験結果は専門家の判断によって評価し,入手可能な証拠全てを比較検討して分類することが

望ましい。

1)

インビボ(

in vivo

)生殖細胞経世代変異原性試験

例 1

げっ歯類を用いる優性致死試験(

OECD Test Guideline 478

例 2

マウスを用いる相互転座試験(

OECD Test Guideline 485

例 3

マウスを用いる特定座位試験

2)

インビボ(

in vivo

)体細胞変異原性試験

例 4

哺乳類骨髄細胞を用いる染色体異常試験(

OECD Test Guideline 475

例 5

マウススポット試験(

OECD Test Guideline 484

例 6

哺乳類赤血球を用いる小核試験(

OECD Test Guideline 474


76

Z 7252

:2014

3)

生殖細胞を用いるインビボ(

in vivo

)変異原性又は遺伝毒性試験

3.1)

変異原性試験

例 7  哺乳類精原細胞を用いる染色体異常試験(

OECD Test Guideline 483

例 8  哺乳類精子細胞を用いる小核試験

3.2)

遺伝毒性試験

例 9  哺乳類精原細胞を用いる姉妹染色分体交換(

SCE

)試験

例 10  哺乳類精巣細胞を用いる不定期

DNA

合成(

UDS

)試験

4)

体細胞を用いるインビボ(

in vivo

)遺伝毒性試験

例 11  哺乳類肝臓を用いる不定期

DNA

合成(

UDS

)試験(

OECD Test Guideline 486

例 12  哺乳類骨髄細胞を用いる姉妹染色分体交換(

SCE

)試験

5)

インビトロ(

in vitro

)変異原性試験

例 13  哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験(

OECD Test Guideline 473

例 14  哺乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験(

OECD Test Guideline 476

例 15  細菌を用いる復帰突然変異試験(

OECD Test Guideline 471

d)

個々の化学物質の分類は,専門家の判断によって,入手可能な証拠全体の重み付けに基づいて行うこ

とが望ましい。適切に実施された単一の試験を用いて分類する場合は,その試験から明確で疑いよう

のない陽性結果が得られなければならない。十分に有効性が確認された新しい試験法が開発された場

合には,それらも考慮する総合的な証拠の重み付けのために採用してもよい。ヒトのばく露経路と比

較して,当該化学物質の試験に用いられたばく露経路が妥当であるかも考慮する。

B.5.3 

混合物の分類基準 

B.5.3.1 

一般事項 

混合物の分類は,基本的には当該混合物の個々の成分について入手できるデータに基づき,B.5.3.2 によ

って各成分の濃度限界を用いて行う。混合物そのものについての試験データが入手できる場合は,B.5.3.3

によって当該データに基づいて分類してもよい。混合物そのものについて試験データが入手できない場合

は,B.5.3.4 によってつなぎの原則(5.5 参照)で分類することができる。

B.5.3.2 

混合物の全成分又は一部の成分だけについてデータが入手できる場合の分類(濃度限界を利用す

る分類) 

混合物の少なくとも一つの成分が変異原性物質区分

1

又は変異原性物質区分

2

として分類され,変異原

性物質区分

1

及び変異原性物質区分

2

のそれぞれについて,

表 B.17 に規定する濃度限界以上で存在する場

合は,変異原性物質として分類する。

表 B.17−生殖細胞変異原性物質として分類する混合物成分の濃度限界 

成分の分類

混合物の分類基準となる濃度限界

変異原性物質区分 1

変異原性物質区分 2

区分 1A

区分 1B

変異原性物質区分 1A

≧ 0.1 %

変異原性物質区分 1B

≧ 0.1 %

変異原性物質区分 2

≧ 1.0 %

注記  上の表の濃度限界は,気体(体積/体積単位),液体(質量/質量単位)及び固体(質量

/質量単位)にも適用する。


77

Z 7252

:2014

B.5.3.3 

混合物そのものについて試験データが入手できる場合の分類 

混合物そのものの試験データが入手できる場合は,分類はその試験結果に基づいて分類してもよい。た

だし,この場合は,生殖細胞変異原性試験の用量,試験期間,観察,分析(例えば,統計学的解析,試験

感度)などの他の要因を考慮した上で,その結果が適切であることを示さなければならない。分類が適切

であることの証拠書類を保持し,要請に応じて示すことができるようにすることが望ましい。

B.5.3.4 

混合物そのものについて試験データが入手できない場合の分類(つなぎの原則を利用する分類) 

混合物そのものについて生殖細胞変異原性を決定する試験がなされていないが,個々の成分及び類似の

試験された混合物の両方に関して十分なデータがある場合,混合物はつなぎの原則(5.5 参照)で分類する

ことができる(類似の混合物の試験結果は確定的とする。

B.6 

発がん性 

B.6.1 

一般事項 

この箇条は,化学品の発がん性を分類する方法について規定する。発がん性物質とは,がんを誘発する

か又はその発生率を増加させる化学品を意味する。動物を用いて適切に実施された試験研究で良性及び悪

性腫瘍を誘発した化学物質も,腫瘍形成のメカニズムがヒトには関係しないとする強力な証拠がない限り

は,ヒトに対する発がん性物質として推定されるか又はその疑いがあるとみなせる。

化学品の発がん有害性をもつものの分類は,化学物質固有の特性に基づき行われるものであり,化学品

の使用によって生じるヒトのがんリスクの程度に関する情報を提供するものではない。

B.6.2 

化学物質の分類基準 

B.6.2.1 

危険有害性区分 

発がん性の分類では,化学物質を証拠の強さ及び追加検討事項(証拠の重み付け)を基に

2

種類の区分

のいずれかに区分する。特殊な例では,ばく露経路に特化した分類が必要と判断される場合もある。発が

ん性物質の危険有害性区分は,

表 B.18 に規定する。

表 B.18−発がん性物質の危険有害性区分 

区分 1  ヒトに対する発がん性が知られている又は恐らく発がん性がある。

区分 1 への化学物質の分類は,疫学的データ又は動物データを基に行う。個々の化学物質は,更に次のように区

別してもよい。

区分 1A:ヒトに対する発がん性が知られている化学物質。主としてヒトでの証拠によって区分 1A に分類する。

区分 1B:ヒトに対して恐らく発がん性がある化学物質。主として動物での証拠によって区分 1B に分類する。 
証拠の強さ及び追加検討事項(証拠の重み付け)も考慮した上で,ヒトでの調査によって化学物質に対するヒト

へのばく露とがん発生との因果関係が確立された場合は,ヒトに対する発がん性が知られている化学物質の証拠と

してもよい。又は動物に対する発がん性を実証する十分な証拠がある動物試験を,ヒトに対する発がん性があると
みなせる化学物質である証拠としてもよい。試験でのヒトに対する発がん性の証拠が限られていて,かつ,実験動

物での発がん性の証拠も限られている場合には,ヒトに対する発がん性があるとみなせるかどうかは,適宜科学的

判断によって判定してもよい。

・分類:発がん性物質区分 1A 及び発がん性物質区分 1B

 
区分 2  ヒトに対する発がん性が疑われる。

化学物質の区分 2 への分類は,ヒト又は動物での調査から得られた証拠があるが,それが確実に区分 1 に分類す

るには不十分な場合に行う。証拠の強さ及び追加検討事項(証拠の重み付け)も考慮した上で,ヒトでの調査での

発がん性の限られた証拠,又は動物試験での発がん性の限られた証拠を採用してもよい。

・分類:発がん性物質区分 2


78

Z 7252

:2014

B.6.2.2 

分類区分の考え方及び根拠 

a)

発がん性物質の分類は,信頼でき,かつ,一般に認められている方法によって得られる証拠に基づい

て行う。評価は,全ての既存データ,ピアレビューされて公表された研究,及び適切な追加データに

基づいて行うことが望ましい。

b)

発がん性物質分類は,

2

種類の相互に関連した判断に基づく。すなわち,証拠の強さの評価,及び他

の関連情報(潜在的なヒトに対する発がん性をもつ化学物質を危険有害性区分に分類することに関連

する情報)を考慮する。

c)

証拠の強さには,ヒト及び動物試験を用いた腫瘍数の計測及びその統計的有意性レベルが関わってい

る。ヒトで十分な証拠が得られた場合は,ヒトのばく露とがん発生の間の因果関係が示されるのに対

し,動物で十分な証拠が得られた場合には,その化学物質と腫瘍発生率の増加との因果関係が示され

る。ばく露とがんとの間に陽性の関係がある場合は,ヒトでの限定された証拠が認められることにな

るが,因果関係を証明することはできない。データから発がん作用が示唆されれば,動物での“限定

された証拠”となるが,それで“十分”とはならない。ここで用いた“十分”及び“限定された”と

いう用語は,国際がん研究機関(

IARC

)の定義による。

B.6.2.3 

追加検討事項(証拠の重み付け) 

発がん性の証拠の強さの決定以外にも,その化学物質がヒトで発がん性を示す可能性に影響するその他

の多くの重要な要因を考慮することが望ましい。重要な要因の幾つかの例を次に示す。重要な要因は,ヒ

トに対する発がん性の懸念レベルを増大又は減少させるものとみなすことができる。各要因の相対的な重

要度は,それぞれに付随している証拠の量及び一貫性によって異なる。一般的に,懸念レベルを上げるよ

り下げることの方が,より完全な情報が要求される。追加検討事項は,腫瘍の知見の評価などにおいて,

適宜活用することが望ましい。

a)

総合的な懸念のレベルを評価する場合に考慮する重要な要因を例示する。

例 1

腫瘍の種類及びバックグランド発生率

例 2

複数部位における反応

例 3

病変から悪性腫瘍への進行

例 4

腫瘍発生までの潜伏期間の短縮

その他の懸念レベルを増大又は減少させる可能性のある要因には,次のものがある。

例 5

反応は雌雄いずれかであるか,又は両方で認められるかどうか

例 6

反応は単一種だけであるか,又は幾つかの生物種にも認められるかどうか

例 7

発がん性の明確な証拠がある化学物質に構造的に類似しているかどうか

例 8

ばく露経路

例 9

試験動物とヒトとの間の吸収,分布,代謝及び排せつ(泄)の比較

例 10

試験用量での過剰な毒性作用が交絡要因となっている可能性

例 11

作用機序及びそのヒトに対する関連性,例えば,変異原性,成長刺激を伴う細胞毒性,有糸

分裂誘発性,免疫抑制など

b)

変異原性を考慮する。遺伝的変化は,がん発生の全体的な過程で中心的役割を占めることが認められ

ている。したがって,インビボ(

in vivo

)での変異原性の証拠があれば,その化学物質が発がん性を

もつ可能性が示唆される。

次に示す追加検討事項は,化学物質を区分

1

又は区分

2

へ分類する場合に適用する。発がん性について

の試験が行われていない化学物質は,構造類似化合物の腫瘍データに加え,例えば,ベンジジン系の染料


79

Z 7252

:2014

のように共通の重要な代謝物の生成などその他の重要な要因の検討から得られる裏付けデータを基に,区

1

又は区分

2

に分類する事例がある。

c)

分類には,当該化学物質が投与経路で吸収されるかどうか,又は試験で用いた投与経路では投与部位

だけにしか局所腫瘍が認められないかどうか,更に,その他の主要投与経路による適切な試験から発

がん性はないことが認められているかどうかなどについても考慮する。

d)

更に,構造類似化合物に関して化学的に利用可能な関連情報,すなわち,構造活性相関と同様に,当

該化学物質の物理化学的性質,トキシコキネティクス,トキシコダイナミクスがどの程度解明されて

いるかについても,考慮することが重要である。

B.6.3 

混合物の分類基準 

B.6.3.1 

一般事項 

混合物の分類は,基本的には当該混合物の個々の成分について入手できるデータに基づき,B.6.3.2 によ

って各成分の濃度限界を用いて行う。混合物そのものについての試験データが入手できる場合は,B.6.3.3

によって当該データに基づいて分類してもよい。混合物そのものについて試験データが入手できない場合

は,B.6.3.4 によってつなぎの原則で分類することができる。

B.6.3.2 

混合物の全成分について又は一部の成分だけについてデータが入手できる場合の分類(濃度限界

を利用する分類) 

少なくとも一つの成分が発がん性物質区分

1

又は発がん性物質区分

2

に分類され,更に,発がん性物質

区分

1

及び発がん性物質区分

2

それぞれについて,

表 B.19 で規定する濃度限界以上で存在する場合には,

その混合物は発がん性物質として分類する。

なお,区分

2

の発がん性物質成分が,濃度限界未満であるが,

0.1 %

以上の濃度で混合物中に存在する場

合は,混合物としての記載事項を

SDS

に記載する。また,法規制などで濃度限界が規定されている場合に

は,それに従う。

表 B.19−発がん性物質と分類する混合物成分の濃度限界 

成分の分類

混合物の分類基準となる濃度限界

発がん性物質区分 1

発がん性物質区分 2

区分 1A

区分 1B

発がん性物質区分 1A

≧ 0.1 %

発がん性物質区分 1B

≧ 0.1 %

発がん性物質区分 2

≧ 1.0 %

注記  表の濃度限界は,気体(体積/体積単位),液体(質量/質量単位)及び固体(質量/質量単

位)にも適用する。

B.6.3.3 

混合物そのものについて試験データが入手できる場合の分類 

混合物そのものについて試験データが入手できる場合は,分類はその試験結果に基づいて分類してもよ

い。ただし,この場合は,発がん性試験の用量,試験期間,観察項目,分析(例えば,統計解析,試験感

度)などの他の要因を考慮した上で,その結果が確定的なものであることを示さなければならない。分類

が適切であることの証拠書類を保持し,要請に応じて示すことができるようにする。

B.6.3.4 

混合物そのものについて試験データが入手できない場合の分類(つなぎの原則を利用する分類) 

混合物そのものについて発がん性を決定できる試験がなされてないが,個々の成分及び類似の試験され

た混合物の両方に関して十分なデータがある場合は,混合物はつなぎの原則(5.5 参照)で分類することが


80

Z 7252

:2014

できる(類似の混合物の試験結果は確定的とする。

B.7 

生殖毒性 

B.7.1 

一般事項 

B.7.1.1 

生殖毒性 

この箇条は,化学品の生殖毒性を分類する方法について規定する。生殖毒性は,雌雄の成体の性機能及

び生殖能に対する悪影響並びに子の発生に対する悪影響の二つの主項目に分けることができる。分類とい

う目的から,遺伝子要因に基づく子への遺伝的影響の誘発については,B.5 に規定する生殖細胞変異原性

という別の危険有害性クラスの方がより適切である。

生殖毒性は,次の主項目に分けることができる。

a)

性機能及び生殖能に対する悪影響

b)

子の発生に対する悪影響

ある種類の生殖毒性の影響は,性機能及び生殖能の損傷によるものか,又は発生毒性によるものかを明

確に評価することはできないが,これらの影響をもつ化学品は,一般的な危険有害性情報では,生殖毒性

物質と分類する。

B.7.1.2 

性機能及び生殖能に対する悪影響 

化学品による性機能及び生殖能を阻害する影響には,雌雄生殖器官の変化,生殖可能年齢の開始時期,

配偶子の生成及び移動,生殖周期の正常性,性的行動,受精能若しくは受胎能,分べん(娩)

,妊娠の予後

に対する悪影響,

生殖機能の早期老化,

又は生殖系の完全性に依存する他の機能の変化などが含まれるが,

必ずしもこれらに限らない。

授乳に対する又は授乳を介した影響も生殖毒性に含めるが,ここでの分類においては,別に区分する

B.7.2.1 参照)

注記

授乳に対して悪影響を及ぼす化学品を別に分類することは,授乳中の母親に対して有害性情報

を提供するためにも望ましい。

B.7.1.3 

子の発生に対する悪影響 

広義の発生毒性には,胎盤,胎児又は生後の子の正常な発生を妨害するあらゆる作用が含まれる。それ

らは,受胎の前のいずれかの親のばく露,胎児期における発生中の胎児のばく露,又は出生後の性的成熟

期までのばく露によるものがある。

発生毒性の分類は,妊娠女性及び生殖能のある男女に対して有害性警

告を提供することを第一の目的としている。したがって,分類の目的によって,発生毒性とは本質的に妊

娠中又は親のばく露によって誘発される悪影響をいう。このような影響は,その生体の生涯のいかなる時

点においても発現する可能性がある。主な発生毒性の発現には,次のものがある。

a)

発生中の生体の死亡

b)

形状学的異常

c)

生育異常

d)

機能不全

B.7.2 

化学物質の分類基準 

B.7.2.1 

危険有害性区分 

生殖毒性の分類目的から,化学物質は

2

種類の区分に分類する。生殖毒性物質の危険有害性区分は,

B.20

に規定する。性機能及び生殖能に対する作用と,発生に対する作用とが考慮の対象となる。さらに,

授乳に対する又は授乳を介した影響は,別の危険有害性区分とする。授乳に対する又は授乳を介した影響


81

Z 7252

:2014

の危険有害性区分は,

表 B.21 に規定する。

表 B.20−生殖毒性物質の危険有害性区分 

区分 1  ヒトに対して生殖毒性があることが知られている化学物質,又はあるとみなせる化学物質

この区分には,ヒトの性機能及び生殖能,又は発生に悪影響を及ぼすことが知られている化学物質,又はできれ

ば他の補足情報もあることが望ましいが,動物試験によってその化学物質がヒトの生殖を阻害する可能性があるこ

とを強く推定できる化学物質が含まれる。分類のための証拠が,主としてヒトのデータによるものか(区分 1A)

又は動物データによるものなのか(区分 1B)によって更に次のように分類する。

a)

区分 1A:ヒトに対して生殖毒性があることが知られている化学物質

この区分への化学物質の分類は,主にヒトにおける証拠を基にして行う。

b)

区分 1B:ヒトに対して生殖毒性があるとみなせる化学物質

この区分への化学物質の分類は,主に実験動物による証拠を基にして行う。動物実験から得られたデータは,

他の毒性作用のない状況で性機能及び生殖能若しくは発生に対する悪影響の明確な証拠があるか,又は他の毒
性作用も同時に生じている場合は,その生殖に対する悪影響が,他の毒性作用が原因となった二次的な非特異

的影響ではないと判断されることが必要である。ただし,ヒトに対する影響の妥当性について疑いが生じるよ

うなメカニズムに関する情報がある場合は,区分 2 への分類がより適切である。

 
区分 2  ヒトに対する生殖毒性が疑われる化学物質

この区分に分類するのは,次の化学物質である。

a)

他の補足情報もあることが望ましいが,ヒト又は実験動物から,他の毒性作用のない状況で性機能及び生殖能

又は発生に対する悪影響についてある程度の証拠が得られている化学物質

b)

他の毒性作用も同時に生じている場合は,他の毒性作用が原因となった二次的な非特異的影響でないと判断さ
れるが,当該化学物質を区分 1 に分類するにはまだ証拠が十分でない化学物質(例えば,試験に欠陥があるな

ど,証拠の信頼性が低いため,区分 2 とするのがより適切とみなせる化学物質)

表 B.21−授乳に対する又は授乳を介した影響の危険有害性区分 

授乳に対する又は授乳を介した影響 

授乳に対する又は授乳を介した影響は,この区分(授乳に対する又は授乳を介した影響の危険有害性区分)に分

類する。授乳によって幼児に悪影響を及ぼす可能性についての情報をもつ化学物質は少ない。ただし,女性に吸収

され,母乳分泌に影響を与える,又は授乳中の子供の健康に懸念をもたらすのに十分な量で母乳中に存在すると思

われる化学物質(代謝物を含む。

)は,哺乳中の乳児に対するこの有害性に分類する。この分類は,次のいずれかの

事項を基に判定する。

a)

吸収,代謝,分布及び排せつに関する試験で,当該化学物質が母乳中に毒性発現濃度で存在する可能性が認め

られた場合

b)

動物を用いた一世代又は二世代試験の結果によって,母乳中への移行による子への悪影響又は母乳の質に対す

る悪影響の明らかな証拠が得られた場合

c)

授乳期間中の乳児に対する有害性を示す証拠がヒトで得られた場合

B.7.2.2 

分類区分の考え方及び根拠 

分類の根拠は,次による。

a)

分類は,B.7.2.1 に規定した適切な判定基準及び証拠の重み付けの総合的評価を基に行う。生殖毒性物

質の分類は,生殖に対して,固有かつ特異的な性質の有害影響をもたらす化学物質に適用することを

目的としている。有害影響が単に他の毒性作用の非特異的な二次的影響としての誘発にすぎない場合

は,有害影響をもたらす化学物質に分類しない方がよい。

b)

発生中の子に対する毒性作用の評価では,母体に対する毒性が影響を及ぼしている可能性についても

考慮することが重要である。


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Z 7252

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c)

生殖毒性区分

1A

分類の重要な根拠となるヒトから得られた証拠は,ヒトの生殖に対する有害影響を

示す信頼性のある証拠でなければならない。分類に用いる証拠は,適切な対照群を設け,バランスの

とれた評価が行われ,偏り又は交絡要因について注意が払われ,及び入念に実施された疫学的調査に

よって得られたものであることが望ましい。ヒトから得られても厳密性を欠く場合には,実験動物を

用いた試験によって得られた十分なデータで補足することが望ましく,生殖毒性区分

1B

への分類も

考えるのがよい。

B.7.2.3 

証拠の重み付け 

証拠の重み付けは,次による。

a)

生殖毒性物質としての分類は,証拠の重みの総合的評価に基づいて行う。これは,生殖毒性の決定に

関わる全ての入手可能な情報を一括して考慮することを意味する。これには,ヒトでの疫学的調査及

び症例報告,並びに動物を用いた亜慢性,慢性及び特殊試験の結果とともに,生殖器官及び関連内分

泌器官に対する毒性関連情報が得られる特定の生殖試験の結果が含まれる。化学物質自体に関する情

報が僅かしかない場合は,試験対象である化学物質と化学的に関連性のある化学物質の評価を含める

こともある。入手可能な証拠に対する重み付けは,試験の質,結果の一貫性,作用の特徴及び重篤度,

群間差の統計学的有意性のレベル,影響を受けるエンドポイントの数,投与経路がヒトとの関連性で

妥当であるかどうか,並びに,偏りが排除されているかによって異なってくる。陽性結果と陰性結果

との両者を組み合わせて,証拠の重み付けを決定する。単一の陽性試験の場合でも,優れた科学的原

則に従って実施し,また,統計学的又は生物学的に有意な陽性結果が得られたものであれば,分類の

正当性の判断理由としてもよい[B.7.2.2 c)

も参照]

b)

動物及びヒトでのトキシコキネティクスの試験,作用部位及び作用機序又は作用様式の試験結果から

も関連情報が得られることがあり,これによってヒトの健康に対する有害性に関する懸念が増減する。

作用機序又は作用様式が明確に特定され,それがヒトには関係ないことが最終的に実証される場合は,

又はトシキコキネティクスが著しく異なるためにヒトではこの有害性が発現されないことを明確に示

すことができる場合には,実験動物で生殖に有害影響を及ぼす化学物質であっても分類しない方がよ

い。

c)

実験動物を用いた生殖試験で,認められた作用が,毒性学的重要性が低いか又は最小限のものとみな

される場合は,必ずしも分類に結び付くとは限らない。そうした作用の例として,例えば,精液に関

する測定項目若しくは異常胎児の自然発生頻度の僅かな変化,一般的な胎児の骨格変異の頻度若しく

は胎児体重の僅かな変化,出生後の発生評価の僅かな違いなどがある。

d)

動物試験から得られたデータは,一般的には,特定の生殖毒性の明確な証拠を,その他の全身毒性を

伴わない状況で示すことが望ましい。ただし,発生毒性が母動物におけるその他の毒性影響と同時に

起きる場合は,総合的な有害作用の潜在的影響について,できる限り評価する。まず,はい(胚)又

は胎児における有害影響を検討し,次に,母動物に対する毒性を評価し,こうした有害影響に影響し

ていると思われるようなその他の要因も合わせて,証拠の重み付けの一部として評価することが望ま

しい方法である。一般的に,母動物に毒性を示す用量において認められる発生毒性を機械的に無視し

てはならない。母動物に毒性を示す用量で認められる発生毒性を無視してもよいのは,因果関係を確

立又は否定するデータが利用できる場合だけで,それも適宜行う。

e)

適切な情報が入手された場合は,

発生毒性が,

母動物の介在する特異的メカニズムによるものなのか,

それとも,例えば母動物のストレス又はホメオスタシスのかく乱のような非特異的な二次的メカニズ

ムによるものなのかを判断することが重要である。一般的に,はい(胚)又は胎児に対する影響が二


83

Z 7252

:2014

次的な非特異的影響であることが明確に実証されない限り,母体に対する毒性があることをはい(胚)

又は胎児に対する影響の知見を否定するのに用いない方がよい。特に,子に対する影響が顕著(例え

ば奇形のような非可逆的影響)である場合,これが当てはまる。また,状況によっては,生殖毒性が

母体に対する毒性の二次的結果として,はい(胚)又は胎児に対する作用を割り引いて考えることが

合理的であることもある。例えば,その化学物質の毒性が極めて高いために母動物が生長できないで

重度の栄養障害が起こり幼児の哺育ができない場合,又は母動物が衰弱又はひん(瀕)死の状態であ

る場合などである。

B.7.2.4 

母体に対する毒性 

a)

妊娠期間中から出生後の早期段階に至るまでの子の発達は,ストレス及び母体のホメオスタシスのか

く乱に関係した非特異的メカニズム,又は母体が介在する特異的メカニズムを通して,母体における

毒性作用に影響されることがある。そのため,発生毒性に関する分類決定のために発生の結果を解釈

する場合は,母体に対する毒性が影響している可能性を考慮することが重要である。このことは,母

体に対する毒性と発生への影響との関係が明らかでないため,困難な問題である。発生毒性作用に関

する分類のための判定基準を解釈する場合には,母体の毒性に帰する影響の程度を決定するために,

利用可能なあらゆるデータを用い,専門家の判断と証拠の重み付けとによる手法を利用することが望

ましい。まず,はい(胚)又は胎児に対する有害影響を検討し,次に,母体に対する毒性に加え,こ

うした作用に影響する可能性があると思われるその他の要因があれば,証拠の重み付けとして検討し

て,分類に関する結論に到達するのに役立てることが望ましい。

b)

実際の所見を基に,母体に対する毒性は,その重篤度にもよるが,非特異的な二次的メカニズムによ

って発生に影響を及ぼし,胎児体重増加の抑制,骨化遅延,又はある動物種の系統において組織吸収,

奇形などの影響を誘発する可能性がある。しかし,発生に対する影響と母体に対する一般的な毒性と

の関連性を検討している限られた研究においても,種間における一貫した,再現性のある関連性を実

証できていない。母体に対する毒性があり,かつ,発生に対する影響が認められた場合は,その発生

に対する作用がケース

バイ

ケースで母体に対する毒性の二次作用であると確実に実証されない限り,

発生毒性の証拠であるとみなしてもよい。更に,子に重大な毒性作用,例えば,奇形,はい(胚)若

しくは胎児致死,出生後の著しい機能障害などの不可逆的作用などが認められる場合には,これらを

考慮して分類する。

c)

母体に対する毒性と関連した場合に限り発生毒性を生じる化学品は,母体が介在する特異的メカニズ

ムが示されている場合でも,機械的に割り引いた分類をしてはならない。区分

1

に分類するより区分

2

に分類する方が適切とみなせることもある。ただし,化学物質の毒性が極めて高いために母動物が

死亡若しくは重度の栄養失調となるか,又は母動物が衰弱して子の哺育ができない場合は,発生毒性

は単に母体毒性に誘発された二次的結果にすぎないとみなして,発生影響を無視する方が合理的であ

る。例えば,胎児又は子の体重の僅かな低下,骨化遅延などが母体に対する毒性との関連性で観察さ

れる場合には,必ずしも分類する必要はない。

d)

母体に対する毒性評価に用いる影響を例示する。これらの影響に関するデータが入手可能であれば,

その統計学的又は生物学的有意性及び用量反応関係に照らして評価することが望ましい。

例 1

母体の死亡。対照群と比べて投与群母動物の死亡率が増加し,その増加に用量依存性がある

場合は,これは母体に対する毒性の証拠とみなし,試験物質の全身毒性に起因する可能性が

ある。母動物の死亡率が

10 %

を超える場合は,過剰毒性とみなし,その用量レベルで得られ

たデータは通常,更なる評価には用いない。


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:2014

例 2

交尾率[ちつ(膣)栓又は精子が認められた動物数/交配した動物数×

100

例 3

受胎率(着床が認められた動物数/交尾動物数×

100

例 4

妊娠期間(出産に至る場合)

例 5

体重及び体重変化。利用可能な場合は,母動物の体重変化又は調整(補正)後の母体体重を

母体に対する毒性の評価に含める。試験開始時の母体体重から試験終了時の母体体重より妊

娠子宮質量(又は胎児体重合計値)を除いた値を差し引いた値が,調整(補正)後の平均母

体体重変化であり,当該作用が母体に対するものか,又は子宮に対するものかの指標となる

ことがある。ウサギでは,妊娠期間中の体重変動が普通のため,体重増加量は母体に対する

毒性の有効な指標とならない場合がある。

例 6

摂餌量及び摂水量(該当する場合)

。投与群母動物で対照群と比べて平均摂餌量又は摂水量の

有意な低下が認められた場合,それが特にその試験物質を飼料又は飲水に含めて投与した場

合には,母体に対する毒性評価に有用となる。観察された作用が母体に対する毒性を反映し

ているか,又はより単純に,飼料中又は飲水中の試験物質の味が摂取に適していないためで

あるのかを判断する場合は,摂餌量又は摂水量の変化は,母体の体重と関連させて評価する。

例 7

臨床評価(臨床症状,マーカー,血液学的検査,臨床化学検査など)

。投与群母動物で対照群

に比べて有意な毒性の臨床症状発生率の増加が認められた場合は,母体に対する毒性評価に

有用となる。これを母体に対する毒性評価の根拠として採用する場合は,臨床症状の種類,

発生率,程度及び継続期間が試験で報告されていることが望ましい。母体に対する毒性の臨

床症状として確実なものには,こん睡,衰弱,自発運動こう進,正向反射の消失,歩行失調,

呼吸困難などがある。

例 8

剖検データ。剖検所見の発生率又は重篤度の上昇が,母体に対する毒性の指標となることも

ある。これには,肉眼又は顕微鏡病理所見及び臓器質量データ(例えば,臓器の絶対質量,

体重に対する臓器質量比,脳に対する臓器質量比など)が含まれる。投与群母動物で対照群

に比べて,推定標的臓器の平均質量に有意な変化が認められた場合は,影響を受けた臓器に

病理組織学的な有害影響の所見が認められれば,母動物に対する毒性の証拠であるとみなし

てもよい。

B.7.2.5 

動物試験データの取扱い 

動物試験データの取扱いは,次による。

a)

試験方法として,次に例示する何種類かの方法が利用可能である。

1)

発生毒性試験(例えば,

OECD Test Guideline 414

ICH

ガイドライン

S5A 1993

2)

周産期及び出生後の毒性試験(例えば,

ICH S5B 1995

3)

一世代又は二世代生殖毒性試験(例えば,

OECD Test Guideline 415

416

b)

スクリーニング試験(例えば,

OECD Test Guideline 421

−簡易生殖発生毒性試験,及び

422

−反復投与

毒性生殖発生毒性併合試験)も分類の判断に用いることができるが,これから得られる証拠の質は,

完全な試験から得られた証拠よりも信頼性に劣ることが認識されている。

c)

例えば,一般的毒性を伴わずに生じる重大な有害影響又は変化が,短期又は長期反復投与毒性試験で

認められ,

かつ,

生殖腺の組織病理学的変化など生殖機能を損なう見込みがあると判断された場合は,

分類の根拠として採用してもよい。

d)

インビトロ(

in vitro

)試験又は哺乳類以外の動物での試験から得られた証拠,及び構造活性相関(

SAR

を用いて類似物質から得られた証拠は,分類手順に役立てることができる。その性格上,当該データ


85

Z 7252

:2014

の妥当性の評価には専門家の判断を採用することが望ましい。妥当性を欠くデータは,分類の第一義

的裏付けとしては採用しないことが望ましい。

e)

動物試験は,ヒトでのばく露があり得る経路に関連した適切な投与経路によって実施することが望ま

しい。実際には,生殖毒性試験は,一般的に経口経路によって実施し,そうした試験ではその化学物

質の生殖毒性に関する有害性評価は適切である。ただし,明確な作用メカニズム又は作用機序が特定

されたがヒトには該当しないこと,又はトキシコキネティクスの違いが著しいためにその有害性がヒ

トでは発現されないことが実証できる場合は,実験動物の生殖に有害影響を生じるような化学物質で

も分類しないのが望ましい。

f)

静脈注射,腹くう(腔)内注射などの投与経路を用いる試験では,試験物質の生殖器官のばく露濃度

が非現実的なほどに高濃度となってしまう場合,又は例えば刺激性などによって生殖器官に局所的損

傷をもたらす場合には,細心の注意を払って解釈する。通常,そうした試験だけで,分類の根拠とし

てはならない。

g)

トキシコキネティクスは種差があるので,ヒトの感受性の方が動物モデルより高い場合では,特定の

限界用量を設定することが適切でない場合もある。

h)

通常,動物試験で極めて高い用量段階(例えば,衰弱,重度の食欲不振,高い死亡率を生じるような

用量)だけで認められる生殖に対する有害影響は,例えば,ヒトの感受性の方が動物より高いことを

示すトキシコキネティクスの情報など,その他の情報を入手して,その分類が適切であることを裏付

けない限り,分類の根拠とはならない。この分野の更なる情報は,B.7.2.4 に規定する。

i)

実際の“限界用量”の内容は,採用している試験方法によって異なる。例えば,経口経路による反復

投与毒性に関する

OECD Test Guideline

では,ヒトで予想される反応から用量段階を高める必要性が示

唆されない限りは,試験に用いる高用量として

1 000 mg/kg

が限界用量として推奨されている。

B.7.3 

混合物の分類基準 

B.7.3.1 

一般事項 

混合物の分類は,基本的には当該混合物の個々の成分について入手できるデータに基づき,B.7.3.2 によ

って各成分の濃度限界を用いて行う。混合物そのものについての試験データが入手できる場合は,B.7.3.3

によって当該データに基づいて分類してもよい。混合物そのものについて試験データが入手できない場合

は,B.7.3.4 によってつなぎの原則で分類することができる。

B.7.3.2 

混合物の全成分について又は一部の成分だけについてデータが入手できる場合の分類(濃度限界

を利用する分類) 

混合物そのものについて試験データが入手できず,混合物の全成分について又は一部の成分だけについ

てデータが入手できる場合は,混合物の分類を次によって行う。

a)

混合物の,少なくとも一つの成分が生殖毒性物質区分

1

又は生殖毒性物質区分

2

の生殖毒性物質とし

て分類され,生殖毒性物質区分

1

及び生殖毒性物質区分

2

のそれぞれについて,

表 B.22 に規定する濃

度限界以上で存在する場合は,混合物は,生殖毒性物質として分類する。

b)

混合物の,少なくとも一つの成分が,授乳に対する又は授乳を介した影響について分類し,授乳に対

する又は授乳を介した影響に関する追加区分のために

表 B.22 に規定する濃度限界以上で存在する場

合は,混合物は,授乳に対する又は授乳を介した影響の追加区分について分類する。

注記

生殖毒性物質区分

1

及び生殖毒性物質区分

2

の“生殖毒性成分”又は“授乳に対する又は授

乳を介した影響の追加区分”に分類する物質成分が,濃度限界未満であるが,

0.1 %

以上の濃

度で混合物中に存在する場合は,混合物としての記載事項を

SDS

に記載する。また,法規制


86

Z 7252

:2014

などで濃度限界が制定された場合には,それに従う。

表 B.22−生殖毒性物質として分類する混合物成分の濃度限界 

成分の分類

混合物の分類基準となる濃度限界

生殖毒性物質区分 1

生殖毒性物質

区分 2

授乳に対する又
は授乳を介した

影響の追加区分

区分 1A

区分 1B

生殖毒性物質区分 1A

≧ 0.3 %

生殖毒性物質区分 1B

≧ 0.3 %

生殖毒性物質区分 2

≧ 3.0 %

授乳に対する又は授乳を
介した影響の追加区分

≧ 0.3 %

注記  この表の濃度限界は,気体(体積/体積単位),液体(質量/質量単位)及び固体(質量/質量単位)

にも適用する。

B.7.3.3 

混合物そのものについて試験データが入手できる場合の分類 

混合物そのものについて試験データが入手できる場合は,分類はその試験結果に基づいて分類してもよ

い。ただし,この場合は,用量及び生殖毒性試験の試験期間,観察項目,各種分析(例えば,統計分析,

試験感度)など,他の要因を考慮した上で,結論されたことを示すことが望ましい。分類が適切であるこ

との証拠書類を保持し,要請に応じて示すことが望ましい。

B.7.3.4 

混合物そのものについて試験データが入手できない場合の分類(つなぎの原則を利用する分類) 

混合物そのものについて生殖毒性を決定できる試験がなされてないが,個々の成分及び類似の試験され

た混合物の両方に関して十分なデータがある場合は,混合物はつなぎの原則(5.5 参照)で分類することが

できる(類似の混合物の試験結果は確定的とする。

B.8 

特定標的臓器毒性,単回ばく露 

B.8.1 

一般事項 

この箇条は,単回ばく露によって非致死性の特定標的臓器毒性を生じ,ヒトがばく露を受けた場合,健

康に有害な影響を及ぼす可能性があるような化学品を判別して分類する方法について規定する。B.1B.7

及び B.10 において明確に規定していない可逆的又は不可逆的,及び急性又は遅発性の機能を損なう可能性

がある全ての重大な健康への影響がこれに含まれる。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)の分類は,次の信頼できる証拠に基づいて行う。

a)

ある化学品に対する単回ばく露によって,ヒトに対して一貫性のある特定できる毒性影響を与える。

b)

実験動物において組織若しくは臓器の機能,又は形態に影響する毒性学的に有意な変化が示される。

c)

生物の生化学的項目又は血液学的項目に重大な変化が示される。

d)

これら a)c)

の変化が,ヒトの健康状態に関連性がある。

この危険有害性区分は,ヒトのデータを優先的な証拠として判定する。

評価においては,単一臓器又は体全体の重大な変化だけでなく,幾つかの臓器に対するそれほど重大で

ない一般的変化も考慮する。

特定標的臓器毒性は,ヒトに関連するあらゆる経路,主として,経口,経皮又は吸入によって起こる可

能性がある。

反復ばく露による特定標的臓器毒性の分類は,B.9 に規定する。また,次の特定の毒性は,それぞれ該


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Z 7252

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当する附属書に規定する。

急性毒性(B.1 参照)

皮膚腐食性及び皮膚刺激性(B.2 参照)

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性(B.3 参照)

呼吸器感作性又は皮膚感作性(B.4 参照)

生殖細胞変異原性(B.5 参照)

発がん性(B.6 参照)

生殖毒性(B.7 参照)

吸引性呼吸器有害性(B.10 参照)

特定標的臓器毒性(単回ばく露)の分類基準は,

表 B.23 に規定する。表 B.23 は,区分

1

及び区分

2

化学物質(B.8.2 参照)の基準並びに区分

3

の化学物質(B.8.3 参照)基準及び混合物の区分(B.8.4 参照)

の基準を体系化している。

B.8.2 

化学物質の分類基準 

B.8.2.1 

区分 及び区分 の分類 

表 B.24 に規定するガイダンス値(B.8.2.9 参照)の使用を含む入手した全ての証拠の重み付けに基づく

専門家の判断によって,化学物質を急性の影響と遅発性の影響とに分けて分類する。さらに,観察した影

響の性質及び重篤度によって,区分

1

又は区分

2

のいずれかに分類する(

表 B.23 参照)。

表 B.23−特定標的臓器毒性(単回ばく露)物質の危険有害性区分 

区分 1  ヒトに対して重大な毒性をもつ化学物質,又は実験動物での試験の証拠に基づいて単回ばく露によってヒ

トに対して重大な毒性をもつ可能性があるとみなせる化学物質

区分 1 に化学物質を分類するには,次のいずれかによる。

a)

ヒトの症例又は疫学的研究からの信頼でき,かつ,質のよい証拠。

b)

実験動物における適切な試験において,一般的に低濃度のばく露でヒトの健康に関連のある有意な又は強い毒
性影響を生じたという所見。証拠の重み付けの評価の一環として使用する用量又は濃度のガイダンス値は,

B.8.2.9

に規定する。

 
区分 2  実験動物を用いた試験の証拠に基づき単回ばく露によってヒトの健康に有害である可能性があるとみなせ

る化学物質

区分 2 への化学物質の分類は,実験動物での適切な試験において,一般的に中等度のばく露濃度でヒトの健康に

関連のある重大な毒性影響を生じたという所見に基づいて行う。分類を容易にするためのガイダンス値は,B.8.2.9

に規定する。例外的に,ヒトでの証拠も,化学物質を区分 2 に分類するために使用できる(B.8.2.6 参照)

 
区分 3  一時的な特定臓器への影響

化学品が上記に規定した区分 1 又は区分 2 に分類される基準に適合しない特定臓器への影響をもつ場合がある。

これらは,ばく露の後,短期間だけ,ヒトの機能に悪影響を及ぼし,構造又は機能に重大な変化を残すことなく合
理的な期間において回復する影響である。この区分は,麻酔作用及び気道刺激性を含む。化学物質は,B.8.3 の規定

によって,これらの影響に基づいて明確に分類できる。 

区分 1∼区分 3 への分類において,化学物質によって一次的影響を受けた特定標的臓器若しくは器官を明示する

か,又は一般的な全身毒性物質であることを明示する。毒性の主標的臓器を決定し(例えば,肝毒性物質,神経毒

性物質)

,その目的に沿って分類する。そのデータを注意深く評価し,できる限り二次的影響を含めないのがよい。

例えば,肝毒性物質は,神経又は消化器官で二次的影響を起こすことがある。


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B.8.2.2 

ばく露経路 

化学物質が損傷を起こしたばく露経路を明示することが望ましい。

B.8.2.3 

専門家の判断 

分類は,B.8.2.9 に規定するガイダンス値を含む利用可能な全ての証拠の重み付けに基づいて,専門家の

判断によって判定することが望ましい。

B.8.2.4 

証拠の重み付け 

ヒトでの疾患の発生情報,疫学情報及び実験動物を用いて実施した試験結果を含む全てのデータについ

ての証拠の重み付けは,分類に役立つ特定標的臓器毒性影響を実証するために使用する。

B.8.2.5 

評価するために必要な情報 

特定標的臓器毒性を評価するために必要な情報は,ヒトにおける単回ばく露(例えば,家庭,作業場,

環境中でのばく露)

,又は実験動物を用いて実施した試験のいずれからも得ることができる。この情報を提

供するラット又はマウスにおける標準的動物試験は,急性毒性試験であって,標的組織又は臓器に及ぼす

毒性影響を確認するための臨床所見及び詳細な肉眼及び顕微鏡による検査を含む。他の動物種を用いて実

施された急性毒性試験の結果も適切な情報となる。

B.8.2.6 

特定標的臓器毒性のヒトでの証拠をもつ化学物質 

例外的に,特定標的臓器毒性のヒトでの証拠のある化学物質は,専門家の判断に基づいて区分

2

に分類

することが適切な次の場合がある。

a)

ヒトでの証拠の重み付けが区分

1

への分類を正当化することが十分には確信できない場合。

b)

影響の性質及び重篤度に基づく場合。

ヒトにおける用量又は濃度レベルは,

分類において考慮する必要はなく,

動物試験から入手した証拠が,

区分

2

への分類と矛盾してはならない。すなわち,化学物質について区分

1

への分類を保証する動物試験

データを入手している場合は,その化学物質は区分

1

に分類することが望ましい。

B.8.2.7 

区分 及び区分 への分類を正当化できる影響 

化学物質への単回ばく露が,一貫した特定の毒性作用を示した場合は,分類の根拠となる。

ヒトでの経験又は疾患の発生から得られる証拠は,通常,健康被害の報告に限定され,ばく露条件が不

確実な場合があり,かつ,実験動物で適切に実施された試験から得られる科学的な詳細情報が提供されな

い場合もある。

実験動物での適切な試験の証拠は,臨床所見,肉眼及び顕微鏡による病理組織学的検査の形をとって多

くの詳しい内容を提供でき,かつ,生命への危険に至らないが機能障害を起こす可能性のある有害性をし

ばしば明らかにすることができる。したがって,入手した全ての証拠及びヒトの健康状態への関連性は,

分類の過程において考慮する必要がある。

ヒト又は実験動物における関連性のある毒性影響の実例を,次に示す。

例 1

単回ばく露に起因するり(罹)患

例 2

中枢神経系抑制の徴候及び特定の感覚器(例えば,視覚,聴覚及び嗅覚]に及ぼす影響を含む

本質的に一時的なものにとどまらない呼吸器系,中枢又は末しょう(梢)神経系,他の器官,

又はその他の器官系における重大な機能変化

例 3

臨床生化学的検査,血液学的検査又は尿検査の項目における一貫した重大で有害な変化

例 4

剖検時に観察された,又はその後の病理組織学的検査時に認められたか若しくは確認された重

大な臓器損傷

例 5

再生能力をもつ臓器における多発性又はびまん性え(壊)死,線維症又は肉芽腫形成


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例 6

潜在的に可逆的であるが,臓器の著しい機能障害の明確な証拠を提供する形態学的変化

例 7

再生が不可能な臓器における明白な細胞死(細胞の退化及び細胞数の減少を含む。

)の証拠

B.8.2.8 

区分 及び区分 への分類を正当化できない影響 

分類を正当化できない影響がある場合がある。ヒト又は実験動物におけるこのような影響の実例を,次

に示す。

例 1

毒性学的には幾らかの重要性があるかもしれないが,それだけでは“重大な”毒性を示すもの

ではない臨床所見又は体重増加量,摂餌量若しくは摂水量における僅かな変化。

例 2

臨床生化学的検査,血液学的検査若しくは尿検査項目における軽度の変化又は一時的な影響で,

このような変化若しくは影響に疑いがある,又は毒性学的意義がほとんどない場合。

例 3

臓器機能障害の証拠がない臓器質量の変化。

例 4

毒性学的に重要とみなせない適応反応。

例 5

化学物質が誘発する種に特異的な毒性作用メカニズム。ただし,合理的な確実性をもってヒト

の健康との関連性をもたないことが実証された場合は,分類を正当化できない。

B.8.2.9 

実験動物を用いて実施した試験で得られた結果に基づいた分類のガイダンス値 

化学物質を分類するか否か,また,どの区分に分類するかについて決定するための,重大な健康影響を

生じることが認められた用量又は濃度のガイダンス値を,

表 B.24 に規定する。そのようなガイダンス値を

規定する論拠は,全ての化学物質は潜在的に有毒であり,ガイダンス値以上では,ある程度の毒性影響が

認められる妥当な用量又は濃度があるからである。

したがって,動物試験においては,分類に影響を与える重大な毒性影響が認められた場合は,規定され

たガイダンス値と比較して,これらの影響が認められる用量又は濃度の考察を行うことで,分類の必要性

を評価するための有益な情報が得られる。

重大な非致死性の毒性影響を生じる単回投与ばく露について,

表 B.24 に規定するガイダンス値の範囲は,

急性毒性試験に適用する。

表 B.24−単回ばく露に関するガイダンス値の範囲

a)

ばく露経路

単位

ガイダンス値(C)の範囲

区分 1

区分 2

区分 3

経口(ラット) mg/kg 体重

C

≦ 300

  2 000 ≧ C > 300

ガイダンス値

は,適用しな

b)

経皮(ラット又はウサギ) mg/kg 体重

C

≦ 1 000

  2 000 ≧ C > 1 000

吸入(ラット)気体

ppmV(体積分率)

/4 時間

 C

≦ 2 500

  20 000 ≧ C > 2 500

吸入(ラット)蒸気 mg/L

C

≦ 10

20 ≧ C > 10

吸入(ラット)

粉じん,ミスト又はヒューム

mg/L/4 時間

C

≦ 1.0

5.0 ≧ C > 1.0

a)

  ガイダンス値及び範囲は,あくまでもガイダンスのためのものである。すなわち,証拠の重み付けの一環と

して,分類を判定するためのものであって,厳密な境界値として意図されたものではない。

b)

  この分類は,主にヒトのデータに基づいているので,ガイダンス値は示されていない。動物のデータは,証

拠の重み付け評価に含まれる。

特定の毒性症状は,ガイダンス値以下の用量又は濃度,例えば,

2 000 mg/kg

体重以下の経口投与で起こ

る可能性があるが,影響の性質から分類をしないと判定する結果となる場合もある。逆に,特定の毒性症

状は,動物試験においてガイダンス値を超える用量又は濃度,例えば,

2 000 mg/kg

体重超の経口投与で認


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:2014

められ,さらに,その他の情報源からの補足情報(例えば,他の単回投与試験又はヒトでの症例経験など

結論を支持するもの)がある場合は,証拠の重み付けを考慮して分類する。

B.8.2.10 

その他の考慮事項 

化学物質が動物データの使用だけによって特徴付けられている場合は(新規化学物質では典型的な事例

で,また,多くの既存化学物質にも当てはまる。

,分類の過程では,証拠の重み付け手法として,用量又

は濃度ガイダンス値を考慮することが含まれる。

化学物質への単回ばく露に確実に起因するとされる特定標的臓器毒性影響が明確に実証されたヒトのデ

ータが入手できた場合,当該化学物質は該当する区分に分類できる。投与量が推定の場合でも,ヒトの陽

性データは,動物データに優先する。したがって,認められた特定標的臓器毒性がヒトとの関連性がない,

又は重要でないとみなし化学物質を分類しなかった場合は,その後に,特定標的臓器毒性影響を示すヒト

での発症データが入手できた場合には,当該化学物質を該当する区分に分類することが望ましい。

特定標的臓器毒性について試験が行われていない化学物質でも,場合によっては,検証された構造活性

相関データ及び共通の重要な代謝物の生成などの他の重要な要因も考慮して,専門家の判断に基づいて,

既に分類されている構造類似体から外挿し,該当する区分に分類してもよい。

B.8.3 

化学物質の区分 への分類基準 

B.8.3.1 

気道刺激性の分類基準 

区分

3

への気道刺激性の分類基準は,次による。

a)

せき,痛み,息詰まり,呼吸困難などの症状で機能を阻害する(例えば,局所的な赤化,浮腫,かゆ

み又は痛みによって特徴付けられる。

)ものが気道刺激性に含まれる。この評価は,主としてヒトのデ

ータに基づく。

b)

主観的なヒトの観察の例として,明確な気道刺激性の客観的な測定がある[例えば,電気生理学的反

応,鼻くう(腔)又は気管支肺胞洗浄液での炎症に関する生物学的指標]

c)

ヒトにおいて観察される症状は,敏感な気道をもった個体においてだけ誘発される特異な反応ではな

く,ばく露された個体群において観察される典型的な症状でなければならない。

“刺激性”という単な

る漠然とした報告は,この分類の評価項目の範囲外にある臭い,不愉快な味,くすぐったい感じ又は

乾燥しているといった感覚を含む広範な感覚を表現するために一般に使用されるので除外するほうが

よい。

d)

明確に気道刺激性を扱う検証された動物試験は,現在存在しないが,有益な情報は,単回及び反復吸

入毒性試験から得ることができる。例えば,動物試験は,毒性の症候

(例えば,呼吸困難,鼻炎など)

及び可逆的な組織病理(例えば,充血,浮腫,微少な炎症,肥厚した粘膜層)について有益な情報を

提供することができ,上記の特徴的な症候を反映できる。このような動物実験は,証拠の重み付けに

使用できる。

e)

この特別な分類は,呼吸器系を含む,より重篤な臓器への影響が観察されない場合に行う。

B.8.3.2 

麻酔作用の判定基準 

区分

3

への麻酔作用の判定基準は,次による。

a)

眠気,うとうと感,敏しょう(捷)性の減少,反射の消失,協調の欠如,及びめまいといったヒトに

おける麻酔作用を含む中枢神経系の抑制を含む。これらの影響は,ひどい頭痛又は吐き気としても現

れ,判断力低下,めまい,過敏症,けん(倦)怠感,記憶機能障害,知覚若しくは協調の欠如,反応

時間(の延長)

,又はし(嗜)眠に至ることもある。


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b)

動物試験において観察される麻酔作用には,不活発,協調及び立ち直り反射の欠如,こん(昏)睡,

運動失調を含む。これらの影響が本質的に一時的なものでない場合は,区分

1

又は区分

2

に分類でき

るとみなすのがよい。

B.8.4 

混合物の分類基準 

B.8.4.1 

一般 

混合物は,化学物質に対するものと同じ分類基準(B.8.2 参照)

,又は B.8.4.2B.8.4.4 に規定する判定基

準を用いて分類する。化学物質と同じように,混合物は,単回ばく露による特定標的臓器毒性について分

類する。B.8.4.2B.8.4.4 に規定する判定基準を用いて分類する場合,混合物の分類は,基本的には混合物

そのものについての試験データに基づき,B.8.4.2 によって当該データの証拠の重みを評価することによっ

て行う。混合物そのものについての試験データが利用できない場合は,B.8.4.3 によってつなぎの原則(5.5

参照)で分類してもよい。混合物の全成分について又は一部の成分だけについてデータが利用できる場合

は,B.8.4.4 によって各成分の濃度限界を用いて分類することができる。

B.8.4.2 

混合物そのものについて試験データが入手できる場合の分類 

混合物についてヒトでの経験又は適切な実験動物での試験から信頼できる質の良い証拠が入手できた場

合は,当該混合物はこのデータの証拠の重みの評価によって分類する。混合物に関するデータを評価する

場合には,用量,試験期間,観察又は分析が,結論を不確定なものにすることがないように注意を払う。

B.8.4.3 

混合物そのものについて試験データが入手できない場合の分類(つなぎの原則を利用する分類) 

混合物そのものについて特定標的臓器毒性を決定できる試験をしていないが,個々の成分及び類似の試

験した混合物の両方に関して十分なデータがある場合は,混合物はつなぎの原則(5.5 参照)で分類するこ

とができる(類似の混合物の試験結果は確定的とする。

B.8.4.4 

混合物の全成分について,又は一部の成分だけについてデータが入手できる場合の分類(濃度限

界を利用する分類) 

B.8.4.4.1 

つなぎの原則を用いて分類できない場合 

混合物そのものについての信頼できる証拠又は試験データがなく,つなぎの原則を用いても分類できな

い場合には,混合物の分類は成分物質の分類に基づいて行う。この場合は,混合物の少なくとも一つの成

分が特定標的臓器毒性物質として区分

1

又は区分

2

に分類でき,区分

1

又は区分

2

のそれぞれについて

B.25

に規定する濃度限界以上の濃度で存在する場合には,その混合物は,単回投与,反復投与,又は両方

について,特定標的臓器毒性物質(特定の臓器指定)として分類する。

なお,区分

2

の標的臓器毒性物質成分が,濃度限界未満であるが,

1.0 %

以上の濃度で混合物中に存在す

る場合は,混合物としての記載事項を

SDS

に記載する。また,法規制などで濃度限界が規定されている場

合には,それに従う。

表 B.25−特定標的臓器毒性物質として分類する混合物成分の区分 及び区分 の濃度限界 

成分の分類

混合物の分類基準となる濃度限界

区分 1

区分 2

特定標的臓器毒性物質区分 1

≧ 10 %

1.0 % ≦ 成分 < 10 %

特定標的臓器毒性物質区分 2

≧ 10 %

B.8.4.4.2 

複数の臓器系に影響を与える化学物質 

複数の臓器系に影響を与える毒性物質を組み合わせて使用する場合は,増強作用又は相乗作用を考慮す


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る。一部の化学物質は,混合物中の他の成分がその毒性影響を増強することが知られている場合には,

1 %

未満の濃度でも標的臓器毒性を引き起こす可能性があるからである。

B.8.4.4.3 

区分 の成分を含む混合物の外挿 

区分

3

の成分を含む混合物の毒性を外挿する場合は,注意が必要である。気道刺激性又は麻酔作用によ

って区分

3

に該当する成分を含む場合は,それぞれの作用ごとに当該成分の濃度を合計し,

20 %

以上とな

った場合には,当該作用に基づいて区分

3

に分類することが考えられる。ただし,専門家による判定が可

能な場合は,それを優先する。

20 %

以下であっても当該作用が予想される場合は,区分

3

に分類する。専

門家判断を実施せずに合計濃度

20 %

以下の基準を適用した場合には,その旨を記載することが望ましい。

B.9 

特定標的臓器毒性,反復ばく露 

B.9.1 

一般的事項 

この箇条は,反復ばく露によって非致死性の特定標的臓器毒性を生じ,ヒトがばく露を受けた場合,健

康に有害な影響を及ぼす可能性があるような化学品を判別して分類する方法について規定する。B.1B.7

及び B.10 に明確に規定していない可逆的又は不可逆的,及び急性又は遅発性の機能を損なう可能性がある

全ての重大な健康への影響がこれに含まれる。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)の分類は,次の信頼できる証拠に基づいて行う。

a)

ある化学品に対する反復ばく露によって,ヒトに対して一貫性のある特定できる毒性影響を与える。

b)

実験動物において組織若しくは臓器の機能,又は形態に影響する毒性学的に有意な変化が示される。

c)

生物の生化学的項目又は血液学的項目に重大な変化が示される。

d)

これら a)c)

の変化が,ヒトの健康状態に関連性がある。

この危険有害性区分は,ヒトのデータを優先的な証拠として判定する。

評価においては,単一の臓器又は体全体の重大な変化だけでなく,幾つかの臓器に対するそれほど重大

でない一般的変化も考慮する。

特定標的臓器毒性は,ヒトに関連するあらゆる経路,主として,経口,経皮又は吸入によって起こる可

能性がある。

単回ばく露による特定標的臓器毒性の分類は,B.8 に規定する。また,次の特定の毒性は,それぞれ該

当する附属書に規定する。

急性毒性(B.1 参照)

皮膚腐食性及び皮膚刺激性(B.2 参照)

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性(B.3 参照)

呼吸器感作性又は皮膚感作性(B.4 参照)

生殖細胞変異原性(B.5 参照)

発がん性(B.6 参照)

生殖毒性(B.7 参照)

吸引性呼吸器有害性(B.10 参照)

B.9.2 

化学物質の分類基準 

B.9.2.1 

区分 及び区分 の分類 

影響を生じるばく露期間及び用量又は濃度を考慮に入れて,

表 B.27 に規定するガイダンス値(B.9.2.9

参照)の使用を含む入手した全ての証拠の重み付けに基づく専門家の判断によって,化学物質を特定標的

臓器毒性物質として分類する。さらに,観察した影響の性質及び重篤度によって,区分

1

又は区分

2

のい


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ずれかに分類する(

表 B.26 参照)。

表 B.26−特定標的臓器毒性(反復ばく露)物質の危険有害性区分 

区分 1  ヒトに対して重大な毒性をもつ化学物質,又は実験動物での試験の証拠に基づいて反復ばく露によってヒ

トに対して重大な毒性をもつ可能性があるとみなせる化学物質

区分 1 に化学物質を分類するには,次のいずれかによる。

a)

ヒトの症例又は疫学的研究からの信頼でき,かつ,質のよい証拠。

b)

実験動物における適切な試験において,一般的に低濃度のばく露でヒトの健康に関連のある有意な,又は強い

毒性影響を生じたという所見。証拠の重み付けの評価の一環として使用する用量又は濃度のガイダンス値は,

B.9.2.9

に規定する。

 
区分 2  動物実験の証拠に基づき反復ばく露によってヒトの健康に有害である可能性があるとみなせる化学物質

区分 2 への化学物質の分類は,実験動物での適切な試験において,一般的に中等度のばく露濃度でヒトの健康に

関連のある重大な毒性影響を生じたという所見に基づいて行う。分類を容易にするためのガイダンス値は,B.9.2.9

に規定する。例外的に,ヒトでの証拠も,化学物質を区分 2 に分類するために使用できる(B.9.2.6 参照)

いずれの区分への分類においても,化学物質によって一次的影響を受けた特定標的臓器若しくは器官を明示する

か,又は一般的な全身毒性物質であることを明示する。毒性の主標的臓器を決定し(例えば,肝毒性物質,神経毒

性物質)

,その目的に沿って分類する。そのデータを注意深く評価し,できる限り二次的影響を含めないのがよい。

例えば,肝毒性物質は,神経又は消化器官に二次的影響を起こすことがある。

B.9.2.2 

ばく露経路 

化学物質が損傷を起こしたばく露経路を明示することが望ましい。

B.9.2.3 

専門家の判断 

分類は,B.9.2.9 に規定するガイダンス値を含む利用可能な全ての証拠の重み付けに基づいて,専門家の

判断によって判定することが望ましい。

B.9.2.4 

証拠の重み付け 

ヒトでの疾患の発生情報,疫学情報及び実験動物を用いて実施した試験結果を含む全てのデータについ

ての証拠の重み付けは,分類に役立つ特定標的臓器毒性影響を実証するために使用する。これには長年に

わたって集められた大量の産業毒性学データを利用する。評価は,校閲され,かつ,公表された研究論文

及び規制所管官庁が受理した追加データを含む全ての既存データに基づくことが望ましい。

B.9.2.5 

評価するために必要な情報 

特定標的臓器毒性を評価するために必要な情報は,ヒトにおける反復ばく露(例えば,家庭,作業場,

環境中でのばく露)又は実験動物を用いて実施した試験のいずれからも得ることができる。この情報を提

供するラット又はマウスにおける標準的動物試験は,

28

日間,

90

日間又は生涯試験(

2

年間まで)であっ

て,標的組織又は臓器に及ぼす毒性影響を確認するための血液学的検査,臨床化学的検査,詳細な肉眼的

及び病理組織学的検査を含む。

他の動物種を用いて実施された反復投与試験のデータも利用できる。

また,

その他の長期ばく露試験,例えば,発がん性試験,神経毒性試験又は生殖毒性試験も,分類評価のために

使用する特定標的臓器毒性の証拠になることがある。

B.9.2.6 

特定標的臓器毒性のヒトでの証拠をもつ化学物質 

例外的に,特定標的臓器毒性のヒトでの証拠をもつある種の化学物質は,専門家の判断に基づいて区分

2

に分類することが適切な,次の場合がある。

a)

ヒトでの証拠の重み付けが区分

1

への分類を正当化することが十分には確信できない場合。


94

Z 7252

:2014

b)

影響の性質及び重篤度に基づく場合。

ヒトにおける用量又は濃度レベルは,

分類において考慮する必要はなく,

動物試験で入手された証拠が,

区分

2

への分類と矛盾してはならない。すなわち,化学物質について区分

1

への分類を保証する動物試験

データが入手されている場合は,その化学物質は区分

1

に分類することが望ましい。

B.9.2.7 

区分 及び区分 への分類を支持すると考えられる影響 

化学物質への反復ばく露が,一貫した特定の毒性作用を示した場合には,分類の根拠となる。

ヒトでの経験又は疾患の発生から得られる証拠は,通常,健康被害の報告に限定され,ばく露条件が不

確実な場合があり,更に,実験動物で適切に実施された試験から得られる科学的な詳細情報が提供されな

い場合もある。

実験動物での適切な試験の証拠は,臨床所見,血液学検査,臨床化学検査,肉眼及び顕微鏡による病理

組織学的検査の形をとって多くの詳しい内容を提供でき,かつ,生命への危険に至らないが機能障害を起

こす可能性のある有害性をしばしば明らかにすることができる。したがって,入手された全ての証拠及び

ヒトの健康状態への関連性は,分類の過程において考慮する必要がある。

ヒト又は実験動物における関連性のある毒性影響の実例を,次に示す。

例 1

反復若しくは長期ばく露に起因するり(罹)患又は死亡。比較的低い用量又は濃度の場合は,

化学物質若しくはその代謝物の生物蓄積のため,又は反復ばく露によって解毒過程が機能しな

くなるため,り(罹)患又は死亡に至る可能性がある。

例 2

中枢神経系抑制及び特定の感覚器(例えば,視覚,聴覚及び嗅覚)に及ぼす影響を含む中枢若

しくは末しょう(梢)神経系又はその他の器官系における重大な機能変化。

例 3

臨床生化学的検査,血液学的検査又は尿検査の項目における一貫した重大で有害な変化。

例 4

剖検時に観察された,又はその後の病理組織学的検査時に認められたか若しくは確認された重

大な臓器損傷。

例 5

再生能力をもつ臓器における多発性又はびまん性え(壊)死,線維症又は肉芽腫形成。

例 6

潜在的に可逆的であるが,臓器の著しい機能障害の明確な証拠を提供する形態学的変化(例え

ば,肝臓における重度の脂肪変化)

例 7

再生が不可能な臓器における明白な細胞死(細胞の退化及び細胞数の減少を含む。

)の証拠。

B.9.2.8 

区分 及び区分 への分類を支持しないと考えられる影響 

分類を正当化できない影響がある場合がある。ヒト又は実験動物におけるこのような影響の実例を,次

に示す。

例 1

毒性学的には幾らか重要性があるかもしれないが,それだけでは“重大な”毒性を示すもので

はない臨床所見又は体重増加量,摂餌量又は摂水量における臨床所見又は僅かな変化。

例 2

臨床生化学的検査,血液学的検査若しくは尿検査の項目における軽度の変化又は一時的な影響

であって,このような変化若しくは影響に疑いがある,又は毒性学的意義がほとんどない場合。

例 3

臓器機能障害の証拠がない臓器質量の変化。

例 4

毒性学的に重要とみなせない適応反応。

例 5

化学物質が誘発する種に特異的な毒性作用メカニズム。ただし,合理的確実性をもってヒトの

健康との関係性をもたないことが実証された場合は,分類を正当化できない。

B.9.2.9 

実験動物を用いて実施した試験で得られた結果に基づいた分類のガイダンス値 

実験動物を使って行った研究において,試験のばく露時間及び用量又は濃度を参照することなく影響の

観察だけに依存することは,

“全ての化学物質は潜在的に毒性をもち,毒性は用量又は濃度及びばく露時間


95

Z 7252

:2014

の関数となる”という毒性学の基本概念の一つを無視していることになる。実験動物を使った研究の大半

においては,試験指針に上限値の用量が使われている。

化学物質を分類するか否か,また,どの区分(区分

1

か,又は区分

2

か)に分類するかについて決定す

るための,重大な健康影響を生じることが認められた用量又は濃度のガイダンス値を,

表 B.27 に規定する。

そのようなガイダンス値を規定する論拠は,全ての化学物質は潜在的に有毒であり,ガイダンス値以上で

は,ある程度の毒性影響が認められる妥当な用量又は濃度があるからである。また,動物を用いて実施す

る反復投与試験は,試験を目的に沿って最も効果的にするために,使用した最高用量で毒性を生じるよう

に設計され,ほとんどの試験では,少なくとも最高用量では幾つかの毒性影響を示す。したがって,分類

を判定するのに必要なことは,どのような影響が生じたかだけでなく,どのような用量又は濃度で影響が

生じたか,それをヒトに対してどのように関連付けるかである。

したがって,動物試験において,分類に影響を与える重大な毒性影響が認められた場合は,規定された

ガイダンス値と比較して,試験したばく露期間及びこれらの影響が認められる用量又は濃度の考察を行う

ことで,分類の必要性を評価するための有益な情報が得られる。

ガイダンス値以下の用量又は濃度で重大な毒性影響が観察されたことによって,分類の決定が影響され

ることがある。

ガイダンス値は,

基本的にはラットを用いて実施した標準の

90

日間毒性試験で認められる影響に基づい

ている。このガイダンス値は,

“有効用量は,ばく露濃度及びばく露時間に正比例する。

”という吸入につ

いてのハーバー規則に類似した用量又はばく露時間外挿を用いて,より長期の,又はより短期のばく露毒

性試験に相当するガイダンス値を外挿する基礎として使用する。その評価は一般にケース

バイ

ケースで

行うのがよい。例えば,

28

日間の試験については,

表 B.27 に規定するガイダンス値を

3

倍して使用する。

したがって,区分

1

への分類の場合は,実験動物を使った

90

日間の反復投与試験において,

表 B.27 

規定するガイダンス値の範囲内で観察された重大な毒性影響が,分類を正当化する。

表 B.27−区分 への分類のガイダンス値 

ばく露経路

単位

ガイダンス値(C)範囲

(用量又は濃度)

経口(ラット) mg/kg 体重/日

C

≦ 10

経皮(ラット又はウサギ) mg/kg 体重/日

C

≦ 20

吸入(ラット)気体

ppmV(体積分率)/6

時間/日

 C

≦ 50

吸入(ラット)蒸気 mg/L/6 時間/日

C

≦ 0.2

吸入(ラット)粉じん,ミスト又はヒューム mg/L/6 時間/日

C

≦ 0.02

区分

2

への分類の場合は,実験動物を用いて実施した

90

日間反復投与試験で観察し,かつ,

表 B.28 

規定するガイダンス値の範囲内で起こることが認められた有意な毒性影響が,分類を正当化する。


96

Z 7252

:2014

表 B.28−区分 への分類のガイダンス値 

ばく露経路

単位

ガイダンス値(C)範囲

(用量又は濃度)

経口(ラット) mg/kg 体重/日   10

< C ≦ 100

経皮(ラット又はウサギ) mg/kg 体重/日   20

< C ≦ 200

吸入(ラット)気体

ppmV(体積分率)

/6 時間/日

 50

< C ≦ 250

吸入(ラット)蒸気 mg/L/6 時間/日   0.2

< C ≦ 1.0

吸入(ラット)粉じん,ミスト又はヒューム mg/L/6 時間/日  0.02

< C ≦ 0.2

ガイダンス値及び範囲は,あくまでもガイダンスのためのものである。すなわち,証拠の重み付けの一

環として,分類の判定をするためのものであって,厳密な境界値として意図されたものではない。

反復投与動物試験においてガイダンス値以下の用量又は濃度,例えば,

100 mg/kg

体重/日以下の経口

投与で,ある毒性が観察されても,この影響を受けやすいことが知られている特定系統の雄ラットだけに

認められた腎毒性のように,影響の性質から分類をしないと判定する結果となる場合もある。逆に,特定

の毒性データが,動物試験においてガイダンス値以上の用量又は濃度,例えば,

100 mg/kg

体重/日以上

の経口投与で起こり,更に,その他の情報源からの補足情報(例えば,他の長期投与試験又はヒトでの症

例経験などその結論を支持するもの)がある場合は,証拠の重み付けを考慮して分類する。

B.9.2.10 

その他の考慮事項 

化学物質が動物データだけによって特徴付けられる場合は(新規化学物質では典型的な事例で,また,

多くの既存化学物質にも当てはまる。

,分類の過程では,証拠の重み付け手法として,用量又は濃度ガイ

ダンス値を考慮することが含まれる。

化学物質への反復又は長期ばく露に確実に起因するとされる特定標的臓器毒性影響が明確に実証された

ヒトのデータが入手できた場合,当該化学物質は該当する区分に分類できる。投与量が推定の場合でも,

ヒトの陽性データは,動物データに優先する。したがって,ある化学物質が,動物試験のために提案され

た用量又は濃度ガイダンス値,又はそれ以下の投与量で特定標的臓器毒性が認められないで,分類区分に

分類しなかった場合には,その後に,特定標的臓器毒性影響を示すヒトでの発症データが入手できれば,

その化学物質を該当する区分に分類することが望ましい。

特定標的臓器毒性について試験が行われていない化学物質でも,場合によっては,検証された構造活性

相関データ及び共通の重要な代謝物の生成などの他の重要な要因も考慮して,専門家の判断に基づいて既

に分類された構造類似体から外挿し,該当する区分に分類してもよい。

B.9.3 

混合物の分類基準 

B.9.3.1 

一般 

混合物は,化学物質に対するものと同じ分類基準(

表 B.27 及び表 B.28 参照),又は B.9.3.2B.9.3.4 

規定する判定基準を用いて分類する。化学物質と同じように,混合物は,反復ばく露による特定標的臓器

毒性について分類する。B.9.3.2B.9.3.4 に規定する判定基準を用いて分類する場合,混合物の分類は,基

本的には混合物そのものについての試験データに基づき,B.9.3.2 によって当該データの証拠の重み付けを

行うことによって行う。混合物そのものについての試験データが利用できない場合は,B.9.3.3 によってつ

なぎの原則(5.5 参照)で分類してもよい。混合物の全成分について又は一部の成分だけについてデータが

利用できる場合は,B.9.3.4 によって各成分の濃度限界を用いて分類することができる。

B.9.3.2 

混合物そのものについて試験データが入手できる場合の分類 


97

Z 7252

:2014

混合物についてヒトでの経験又は適切な実験動物での試験から信頼できる質のよい証拠が入手された場

合は,当該混合物をこのデータの証拠の重み付けによって分類する。混合物に関するデータを評価する場

合には,用量,試験期間,観察又は分析が結論を不確定なものにすることのないように注意を払う。

B.9.3.3 

混合物そのものについて試験データが入手できない場合の分類(つなぎの原則を利用する分類) 

混合物そのものについて特定標的臓器毒性を決定できる試験をしていないが,個々の成分及び類似の試

験された混合物の両方に関して十分なデータがある場合は,混合物はつなぎの原則(5.5 参照)で分類する

ことができる。

B.9.3.4 

混合物の全成分について,又は一部の成分だけについてデータが入手できた場合の分類(濃度限

界を利用する分類) 

B.9.3.4.1 

つなぎの原則を用いて分類できない場合 

混合物そのものについての信頼できる証拠又は試験データがなく,つなぎの原則を用いても分類できな

い場合は,混合物の分類は成分物質の分類に基づいて行う。この場合は,混合物の少なくとも一つの成分

が特定標的臓器毒性物質として区分

1

又は区分

2

に分類でき,

区分

1

又は区分

2

のそれぞれについて

表 B.29

に規定する濃度限界以上の濃度で存在する場合には,その混合物は,単回ばく露,反復ばく露,又は両方

について,特定標的臓器毒性物質(特定の臓器指定)として分類する。

なお,区分

2

の標的臓器毒性物質成分が,濃度限界未満であるが,

1.0 %

以上の濃度で混合物中に存在す

る場合は,混合物としての記載事項を

SDS

に記載する。また,法規制などで濃度限界が規制している場合

には,それに従う。

表 B.29−特定標的臓器毒性物質として分類する混合物成分の濃度限界 

成分の分類

混合物の分類のための濃度限界

区分 1

区分 2

特定標的臓器毒性物質区分 1

≧ 10 %

1.0 % ≦ 成分 < 10 %

特定標的臓器毒性物質区分 2

≧ 10 %

B.9.3.4.2 

複数の臓器系に影響を与える化学物質 

複数の臓器系に影響を与える毒性物質を組み合わせて使用する場合は,増強作用又は相乗作用を考慮す

る。一部の化学物質は,混合物中の他の成分がその毒性影響を増強することが知られている場合には,

1 %

未満の濃度でも特定標的臓器毒性を引き起こす可能性があるからである。

B.10 

吸引性呼吸器有害性 

B.10.1 

一般事項 

この箇条は,化学品のヒトへの吸引性呼吸器有害性を分類する方法について規定する。

誤えんとは,液体又は固体の化学品が口又は鼻くう(腔)から直接,又はおう(嘔)吐によって間接的

に,気管及び下気道へ侵入することをいう。

吸引性呼吸器有害性は,誤えん後に化学肺炎,種々の程度の肺損傷を引き起こす,又は死亡のような重

篤な急性の作用を引き起こす。

誤えんは,原因物質が喉頭咽頭部分の上気道と上部消化官の岐路部分とに入り込むと同時に吸気によっ

て引き起こされる。

化学品の誤えんは,それを摂取した後におう(嘔)吐したときも起こり得る。このことは,急性毒性を


98

Z 7252

:2014

もつため摂取後吐かせることを推奨している場合,表示に影響を及ぼす可能性がある。化学品が誤えんの

危険性に分類される毒性も示す場合は,吐かせることについての推奨は修正する必要がある。

幾つかの炭化水素(石油留分)及びある種の塩素化炭化水素は,化学品の誤えんに関する医学文献レビ

ューによってヒトに吸引性呼吸器有害性をもつことが明らかにされた。

1

級アルコール及びケトンは,動

物実験でだけ吸引性呼吸器有害性が示されている。

分類基準は,動粘性率を参照している。粘性率から動粘性率への変換を式

(B.3)

に示す。

p

n

v

=   (B.3)

ここに,

v

動粘性率(

mm

2

/s

n

粘性率(

mPa

s

p

密度(

g/cm

3

エアゾール及びミスト製剤は,通常,自己加圧式容器,引き金となる装置,ポンプなどで形成される容

器から噴霧される。これらの製剤の分類の鍵は,製剤が噴霧後に誤えんされるほど口内にたまるかどうか

である。容器からのミスト又はエアゾールが微細であれば,口内にたまらないかもしれないが,製剤が霧

状ではなく,流体のようになって噴霧されれば,口内にたまり,誤えんされる可能性がある。通常,引き

金となる装置とポンプとで形成される噴霧器によって噴霧されるミストは,粗い粒子であるため,口内に

たまり,誤えんされる場合がある。ポンプ装置を取り外すことができ,直接内容物を飲み込むことが可能

な場合には,分類を考慮する。

B.10.2 

化学物質の分類基準 

吸引性呼吸器有害性の区分は,

表 B.30 に規定する。

表 B.30−吸引性呼吸器有害性物質の区分 

区分

判定基準

区分 1  ヒトへの吸引性呼吸器有害性があると知

られている化学物質,又はヒトへの吸引

性呼吸器有害性があるとみなされる化学

物質。

区分 1 に分類する化学物質を次に示す。

a)

ヒトに関する信頼度が高く,かつ,質のよい有効な証拠に基

づく(

注記参照)。

b) 40

℃で測定した動粘性率が 20.5 mm

2

/s 以下の炭化水素。

注記  区分 1 に含まれる化学物質の例は,ある種の炭化水素であるテレビン油及びパイン油である。

B.10.3 

混合物の分類基準 

B.10.3.1 

一般事項 

混合物の分類は,基本的には混合物そのものについての試験データに基づき,B.10.3.2 によってヒトに

関する証拠の信頼性に応じて行う。混合物そのものについての試験データが利用できない場合は,B.10.3.3

によってつなぎの原則(5.5 参照)で分類してもよい。混合物の全成分について又は一部の成分だけについ

てデータが利用できる場合は,B.10.3.4 によって各成分の濃度限界を用いて分類することができる。

B.10.3.2 

混合物そのものについてデータが利用できる場合の分類 

混合物は,ヒトに関する信頼度が高く,かつ,質のよい有効な証拠に基づく場合は,区分

1

に分類する。

B.10.3.3 

混合物そのものについてデータが利用できない場合の分類(つなぎの原則を利用する分類) 

混合物そのものについて,吸引性呼吸器有害性を決定するための試験をしていないが,当該混合物の有


99

Z 7252

:2014

害性を適切に特定するための,個々の成分及び類似の試験された混合物の両方に関して十分なデータがあ

る場合は,混合物はつなぎの原則(5.5 参照)で分類することができる。

B.10.3.4 

混合物の全成分について又は一部の成分だけについてデータが利用できる場合の分類(濃度限

界を利用する分類) 

区分

1

に分類する混合物を,次に示す。

a)

区分

1

に分類される化学物質を

10 %

又はそれ以上含み,かつ,

40

℃で測定した動粘性率が

20.5 mm

2

/s

以下の混合物

b)

二つ以上の明瞭な相に分離する混合物を分類する場合は,いずれかの一相が,吸引性呼吸器有害性の

区分

1

に分類される化学物質を

10 %

以上含み,かつ,

40

℃で測定した動粘性率が

20.5 mm

2

/s

以下の

混合物


100

Z 7252

:2014

附属書 C 
(規定)

環境に対する有害性

C.1 

水生環境有害性 

C.1.1 

一般事項 

この箇条は,化学品の水生生物に対する有害性を分類する方法について規定し,次の要素を取り扱う。

a)

急性水生毒性

b)

慢性水生毒性

c)

潜在的な,又は実際の生物蓄積性

d)

有機化学品の(生物的又は非生物的)分解性

C.1.1.1 

分類に使用するデータ 

OECD Test Guideline

など国際的に調和した試験方法によって,

GLP

原則を適用して作成されたデータで

あることが望ましい。そのようなデータが入手できない場合は,入手したデータの中から信頼できるデー

タを基に分類を行う。

なお,一般に,淡水種と海水種との毒性データは同等であるとみなされる。

C.1.1.2 

急性水生毒性の分類に使用するデータ 

急性水生毒性は,通常,魚類の

96

時間

LC

50

OECD Test Guideline 203

又はこれに相当する試験法)

,甲

殻類の

48

時間

EC

50

OECD Test Guideline 202

又はこれに相当する試験法)

,又は藻類の

72

時間若しくは

96

時間

ErC

50

OECD Test Guideline 201

又はこれに相当する試験法)によって決定する。これらの生物種

は,全ての水生生物を代表するものとしてみなされるが,例えば,アオウキクサ属(

Lemna

)などその他

の生物種に関するデータも,試験方法が適切である場合(例えば,

OECD Test Guideline 221

)は考慮する。

C.1.1.3 

慢性水生毒性の分類に使用するデータ 

慢性毒性データは,急性毒性データに比べると利用できるものが少なく,一連の試験手順も厳密には標

準化されていない。

OECD Test Guideline 210

(魚類の初期生活段階毒性試験)

211

(オオミジンコの繁殖

試験)又は

201

(藻類生長阻害試験)によって得られたデータは,採用することができる。その他の有効

性が検証され,国際的に容認された試験によって得られるデータも活用することができる。データとして

は,無影響濃度(

NOEC

)又はその他の慢性毒性値として

NOEC

に相当する影響濃度が利用できる。

C.1.1.4 

生物蓄積性の分類に使用するデータ 

生物蓄積性は,通常,

1-

オクタノール/水分配係数を用いて判断する。一般的には,

OECD Test Guideline

107

又は

117

によって求めた

log K

ow

として報告する。この値が生物蓄積性の潜在的な可能性を示すのに対

して,実験的に求めた生物濃縮係数(

BCF

)は,より適切な尺度を与えるものであり,入手できる場合は,

BCF

の方を採用するのがよい。

BCF

は,

OECD Test Guideline 305

によって求める。

C.1.1.5 

急速分解性の分類に使用するデータ 

環境中で化学品は生物的分解及び非生物的分解を受け,急速分解性の判定基準はこのことを反映してい

る(C.1.2.6.3 参照)

OECD Test Guideline 301 (A-F)

の生分解性試験によって易分解と判定された場合は急

速分解性ありと判定される。

OECD Test Guideline 301 (A-F)

は淡水系の試験であるが,海水環境では

OECD

Test Guideline 306

が利用され,共に急速分解性の判定に用いる。こうしたデータが入手できず生物化学的

酸素要求量(

BOD

)及び化学的酸素要求量(

COD

)データだけが利用可能な場合には,

BOD

5

日間)

/COD


101

Z 7252

:2014

比が

0.5

より大きいことで急速分解性であるとみなす。

非生物的分解の加水分解は生物的及び非生物的分解両方の一次分解となるものであるがそれらのデータ,

非水系中(例えば,土壌中)での分解性及び環境中での分解性について見いだされた分解性は,いずれも,

急速分解性を判定する場合に考慮する。

C.1.1.6 

その他の考慮事項 

水生環境とは,水中に生息する水生生物及びそれらが構成している水域生態系としてみなすことができ

る。その範囲で,例えば,ヒトの健康に対する影響などの水生環境の範囲を超える影響を考慮する必要の

ある水質汚染物質には言及しない。

したがって,

その化学物質の水生毒性が有害性の判定の基礎となるが,

分解性及び生物蓄積性の挙動に関する追加の情報によって変更されることもある。

C.1.2 

化学物質の分類基準 

C.1.2.1 

水生環境有害性の分類区分 

この分類は,三つの急性毒性分類区分及び四つの慢性毒性分類区分で構成するが,その主要部分を成す

のは三つの急性毒性分類区分及び三つの慢性毒性分類区分である(

表 C.1 参照)。急性毒性及び慢性毒性の

分類区分は,独立して適用する。急性区分

1

∼急性区分

3

に分類するための判定基準は,急性毒性データ

EC

50

又は

LC

50

)だけに基づいて規定される。慢性区分

1

∼慢性区分

3

に分類するための判定基準は,段

階的なアプローチに従う。すなわち,まず第一ステップで慢性毒性について得られた情報が長期間有害性

の区分に役立つかどうかを調べ,さらに慢性毒性の十分なデータがない場合には,次のステップで,

2

類の情報,すなわち,急性毒性データと環境運命データ(分解性及び生物蓄積性データ)とを組み合わせ

る(

図 C.1 参照)。

利用できるデータからは,正式の判定基準に基づいて分類することができないが,何らかの懸念の余地

がある場合に用いることができる分類の“セーフティネット”として慢性区分

4

を規定する。

表 C.1 e) 

規定するとおり,水溶性が低く,飽和溶液濃度までの濃度で急性毒性がみられないものであっても,その

化学物質が急速分解せず,かつ,生物蓄積性の可能性がある場合には,慢性区分

4

に分類されることがあ

り得る。そのような難溶性物質は,生物へのばく露レベルが低く,取込み速度も遅いため,短期試験では

毒性を適切に評価できない可能性がある。ただし,

表 C.1 e) に示されたような他の科学的証拠が存在する

場合には,このように分類する必要はない。

急性毒性値が

1 mg/L

を十分に下回る,又は急速分解性がなく,慢性毒性値が

0.1 mg/L

を十分に下回る,

若しくは急速分解性があり,慢性毒性値が

0.01 mg/L

を十分に下回る物質は,濃度が低くても混合物の成

分として混合物の毒性に関与する。加算法を適用するときはその重み付けを増加させる。

C.1.2.2 

判定基準 

水生環境有害性物質の危険有害性区分は,

表 C.1 に規定する。水生環境有害性物質は,表 C.2 に規定す

る判定基準によって分類する。


102

Z 7252

:2014

表 C.1−水生環境有害性物質の危険有害性区分

a)

a) 

水生環境有害性(急性)分類の区分

b)

急性区分 1 は,次のいずれかによる。

− 96 時間 LC

50

(魚類)≦ 1 mg/L  及び/又は

− 48 時間 EC

50

(甲殻類)≦ 1 mg/L  及び/又は

− 72 時間又は 96 時間 ErC

50

(藻類又は他の水生植物)≦ 1 mg/L

c)

急性区分 2 は,次のいずれかによる。 
− 1

mg/L

< 96 時間 LC

50

(魚類)≦ 10 mg/L  及び/又は

− 1

mg/L

< 48 時間 EC

50

(甲殻類)≦ 10 mg/L  及び/又は

− 1

mg/L

< 72 時間又は 96 時間 ErC

50

(藻類又は他の水生植物)≦ 10 mg/L

急性区分 3 は,次のいずれかによる。

− 10

mg/L

< 96 時間 LC

50

(魚類)≦ 100 mg/L  及び/又は

− 10

mg/L

< 48 時間 EC

50

(甲殻類)≦ 100 mg/L  及び/又は

− 10

mg/L

< 72 時間又は 96 時間 ErC

50

(藻類又は他の水生植物)≦ 100 mg/L

b) 

水生環境有害性(長期間)分類の区分(慢性毒性の十分なデータが得られる,急速分解性のない物
質) 

慢性区分 1 は,次のいずれかによる。

−  慢性 NOEC 又は EC

x

(魚類)≦ 0.1 mg/L 及び/又は

−  慢性 NOEC 又は EC

x

(甲殻類)≦ 0.1 mg/L 及び/又は

−  慢性 NOEC 又は EC

x

(藻類又は他の水生植物)≦ 0.1 mg/L

慢性区分 2 は,次のいずれかによる。 
−  慢性 NOEC 又は EC

x

(魚類)≦ 1 mg/L 及び/又は

−  慢性 NOEC 又は EC

x

(甲殻類)≦ 1mg/L 及び/又は

−  慢性 NOEC 又は EC

x

(藻類又は他の水生植物)≦ 1 mg/L

c) 

水生環境有害性(長期間)分類の区分(慢性毒性の十分なデータが得られる,急速分解性のある物
質) 

慢性区分 1 は,次のいずれかによる。

−  慢性 NOEC 又は EC

x

(魚類)≦ 0.01 mg/L 及び/又は

−  慢性 NOEC 又は EC

x

(甲殻類)≦ 0.01 mg/L 及び/又は

−  慢性 NOEC 又は EC

x

(藻類又は他の水生植物)≦ 0.01 mg/L

慢性区分 2 は,次のいずれかによる。

−  慢性 NOEC 又は EC

x

(魚類)≦ 0.1 mg/L 及び/又は

−  慢性 NOEC 又は EC

x

(甲殻類)≦ 0.1 mg/L 及び/又は

−  慢性 NOEC 又は EC

x

(藻類又は他の水生植物)≦ 0.1 mg/L

慢性区分 3 は,次のいずれかによる。 
−  慢性 NOEC 又は EC

x

(魚類)≦ 1 mg/L 及び/又は

−  慢性 NOEC 又は EC

x

(甲殻類)≦ 1 mg/L 及び/又は

−  慢性 NOEC 又は EC

x

(藻類又は他の水生植物)≦ 1 mg/L


103

Z 7252

:2014

表 C.1−水生環境有害性物質の危険有害性区分(続き) 

d) 

水生環境有害性(長期間)分類の区分(慢性毒性の十分なデータが得られない物質) 

慢性区分 1 は,次のいずれかによる。

b)

− 96 時間 LC

50

(魚類)≦ 1 mg/L 及び/又は

− 48 時間 EC

50

(甲殻類)≦ 1 mg/L 及び/又は

− 72 又は 96 時間 ErC

50

(藻類又は他の水生植物)≦ 1 mg/L

c)

なお,急速分解性ではない,又は試験的に求められた BCF ≧ 500(又はデータがないときは

logK

ow

 ≧ 4)である。

d)e)

慢性区分 2 は,次のいずれかによる。

− 1

mg/L

< 96 時間 LC

50

(魚類)≦ 10 mg/L 及び/又は

− 1

mg/L

< 48 時間 EC

50

(甲殻類)≦ 10 mg/L 及び/又は

− 1

mg/L

< 72 又は 96  時間 ErC

50

(藻類又は他の水生植物)≦ 10 mg/L

c)

なお,急速分解性ではない,又は試験的に求められた BCF ≧ 500(又はデータがないときは

logK

ow

 ≧ 4)である。

d)e)

慢性区分 3 は,次のいずれかによる。 
− 10

mg/L

< 96 時間 LC

50

(魚類)≦ 100 mg/L 及び/又は

− 10

mg/L

< 48 時間 EC

50

(甲殻類)≦ 100 mg/L 及び/又は

− 10

mg/L

< 72 又は 96 時間 ErC

50

(藻類又は他の水生植物)≦ 100 mg/L

c)

なお,急速分解性ではない,又は試験的に求められた BCF ≧ 500(又はデータがないときは

logK

ow

 ≧ 4)である。

d)e)

e) 

セーフティネット分類 

慢性区分 4

水溶性が低く(水溶解度 < 1 mg/L)

,飽和溶解濃度までの濃度で急性毒性がみられないものであって,

急速分解性ではなく,生物蓄積性を示す log K

ow

 ≧ 4 であるもの。ただし,他に科学的証拠が存在して

分類が必要でないことが判明している場合には,この限りでない。他の科学的証拠とは,試験的に求
められた BCF < 500,又は慢性毒性 NOEC > 1 mg/L,又は環境中で分解することなどである。

a)

  魚類,甲殻類及び藻類といった生物は,一連の栄養段階及び分類群をカバーする代表種として試

験されており,その試験方法は高度に標準化されている。その他の生物に関するデータも考慮さ

れることもあるが,ただし,同等の生物種及びエンドポイントによる試験であることが前提であ

る。

b)

  物質を急性区分 1 又は慢性区分 1 と分類する場合は,同時に,加算法を適用するための適切な毒

性乗率 M(C.1.3.5.4.5 参照)を示す必要がある。

c)

  藻類に対する毒性値 ErC

50

[すなわち,EC

50

(生長速度法)

]が,次に感受性の高い種より 100 倍

以上小さく,このデータによって分類されることになる場合,この毒性が藻類又は他の水生植物

に対する毒性を代表しているかどうかについて検討する必要がある。代表していないとの決定に

は専門家の判断を要する。分類に利用できるデータは ErC

50

である。EC

50

の算出法が特定されて

いない場合で,確かな ErC

50

が入手できない場合にはそのデータを分類に用いてもよい。

d)

  急速分解性でないことは,易生分解性でない,又は急速分解しないという他の証拠が根拠となる。

試験的に求められたデータ,又は推定によって求められたデータのいずれにせよ,分解性に関す
る有用なデータが得られない場合は,その物質は急速分解性がないものとみなすのがよい。

e)

  生物蓄積性は,試験によって求められた BCF が 500 以上であるか,又はそのような BCF が求め

られていない場合には logK

ow

 ≧ 4 が適切な指標である。実測によって求められた logK

ow

値の方

が推定によって求められた logK

ow

値より優先され,また,logK

ow

値より BCF 実測値の方が優先

される。


104

Z 7252

:2014

図 C.1−水生環境に対して長期間有害性のある物質の分類 

三つの栄養段階全
てについて,慢性
毒性の十分なデー
タが入手できるか

表 C.1 の注

b)

  を

参照]

一つ又は二つの栄
養段階について,
慢性毒性の十分な
データが入手でき
るか。

急性毒性の十分な
データが入手でき
るか。

急速分解性に関する情報に応じて,

表 C.1 

b)

又は

表 C.1 c)に示す基準に従って分類を

行う。

次の両方の基準,すなわち, 
a)

  急速分解性に関する情報に応じて,

表 C.1 b)又は表 C.1 c)に示す基準,

b)

(他の栄養段階について急性毒性の十分

    なデータが得られる場合は)

表 C.1 d)

    に示す基準, 
 
に従って評価を行い,最も厳格な結果に合
わせた分類を行う。

表 C.1 d)に示す基準に従って,分類を行う。

できない

できる

できる

できる

できない


105

Z 7252

:2014

表 C.2−水生環境有害性物質の分類スキーム 

分類区分

急性有害性

a)

長期的有害性

b)

慢性毒性データが十分に入手できる場合

慢性毒性データが十分に

入手できない場合

a)

急速分解性のない物質

c)

急速分解性のある物質

c)

急性区分 1 
L(E)C

50

 ≦ 1.00 mg/L

慢性区分 1 
NOEC 又は EC

x

 ≦ 0.1 mg/L

慢性区分 1 
NOEC 又は 
EC

x

 ≦ 0.01 mg/L

慢性区分 1 
L(E)C

50

 ≦ 1.00  mg/L で急

速分解性がないか,又は 
BCF ≧ 500 又は,データが
ない場合 logK

ow

 ≧ 4。

急性区分 2 
1.00 mg/L < L(E)C

50

 ≦

10.0 mg/L

慢性区分 2 
0.1 mg/L < NOEC 又は 
EC

x

 ≦ 1 mg/L

慢性区分 2 
0.01 mg/L < NOEC 又は 
EC

x

 ≦ 0.1 mg/L

慢性区分 2 
1.00 mg/L <  L(E)C

50

  ≦

10.0 mg/L で急速分解性が
ないか,又は 
BCF ≧ 500 又は,データが
ない場合 logK

ow

 ≧ 4。

急性区分 3 
10.0 mg/L < L(E)C

50

 ≦

100 mg/L

慢性区分 3 
0.1 mg/L < NOEC 又は 
EC

x

 ≦ 1 mg/L

慢性区分 3 
10.0 mg/L <  L(E)C

50

  ≦

100 mg/L で急速分解性が
ないか,又は 
BCF ≧ 500 又は,データが
ない場合 logK

ow

 ≧ 4。

慢性区分 4

d)

e)

NOECs > 1 mg/L でない場合であって,急速毒性も急速分解性もなく,BCF ≧ 500 
又は,データがないときは logK

ow

 ≧ 4。

a)

  急性毒性値の帯域は,魚類,甲殻類,藻類又は他の水生植物に対する L(E)C

50

 (mg/L)(又は試験データがない

場合には QSAR 推定値)に基づく。

b)

  三つの栄養段階全てで水溶解度又は 1 mg/L を超える十分な慢性毒性データが存在する場合以外は,物質は

様々な慢性区分に分類される(

“十分”というのは,データが対象のエンドポイントを十分にカバーしている

という意味である。一般的にはこれは測定された試験データを意味するが,不必要な試験を回避するため,

ケース  バイ  ケースで,推定値,例えば(Q)SAR 推定値,又は明白な場合には専門家の判断ということもあり
得る)

c)

  慢性毒性値の帯域は,魚類,甲殻類に対する NOEC (mg/L) 又は等価 EC

x

 (mg/L) か,又はその他慢性毒性に関

して公認されている手段に基づく。

d)

  利用できるデータからは正式な判定基準による分類ができないが,それにもかかわらず何らかの懸念の余地

がある場合に用いられるよう,分類の“セーフティネット”

(慢性区分 4 という。

)を規定する。

e)

  溶解度の限界地点で急性毒性がないことが示されており,速やかに分解されず,生物蓄積性がある難溶性の

物質については,その物質が水生の長期間有害性に区分する必要がないと立証されない場合は,この区分を

適用するのがよい。

C.1.2.3 

水生環境有害性 

水生生物に対する本質的な有害性は,急性及び慢性の両方の毒性によって示される。急性有害性と慢性

有害性とを区別することは可能なため,この双方の性質についてそれぞれの有害性レベルの段階によって

危険有害性区分が規定されている。適切な危険有害性区分を判定するには,通常,異なる栄養段階(魚類,

甲殻類,藻類)について入手した毒性値のうち最低値を用いる。しかし,証拠の重み付けを用いる場合も

ある。急性毒性データは,最も容易に入手でき,試験方法も標準化されている。

C.1.2.4 

水生毒性 


106

Z 7252

:2014

魚類,甲殻類及び藻類に属する生物種は,食物連鎖を構成する各栄養段階(捕食者,消費者,生産者)

及び分類群の代表種として試験に用いられている。また,その試験方法は標準化されている。その他の生

物に関するデータも考慮することもあるが,同等の生物種及び評価項目による試験であることを前提とす

る。藻類生長阻害試験は慢性試験であるが,その

EC

50

は分類の目的では急性毒性値とみなす。この

EC

50

は,通常,生長速度の阻害率を基に求める(生長速度法:

ErC

と略す)

。ただし,試験終了時の生物量の減

少(面積法,バイオマス法ともいい

EbC

と略す。

)による

EC

50

だけしか得られない場合,又はどの算出方

法によって

EC

50

を計算したか示されていない場合は,これらの数値を同様に用いてもよい。

水生毒性試験は,その性格上,試験対象物質を水媒体に溶かし,生物学的利用性のあるばく露濃度を試

験期間中に安定して維持することが必要である。

C.1.2.5 

生物蓄積性 

実際の化学物質の水中濃度が低い場合でも,長い期間を経て水生生物体内に化学物質が蓄積し,毒性影

響を発現することがある。生物蓄積性は,

1-

オクタノール/水分配係数によって測定できる。有機物質の

分配係数と,魚類を用いた

BCF

によって測定した生物濃縮性との関連性は,多くの科学文献によって支持

されている。濃度限界として

log K

ow

 4

を採用しているのは,現実的に生物濃縮性のあるような化学物

質だけを識別するためである。

log K

ow

は,

BCF

測定値の不完全な代替値にすぎないため,

BCF

実測値を常

に優先する。魚類における

BCF

 500

という値は,生物濃縮性が低レベルであるとみなすことができる。

毒性が身体への負荷に関係があることから,

慢性毒性と生物蓄積性との間には何らかの関係が認められる。

C.1.2.6 

急速分解性 

C.1.2.6.1

急速分解性を示す化学物質は,環境から速やかに除去される。特に漏出,事故などの場合は,

影響を及ぼすこともあるが,それは局所的で短期間である。急速分解性を示さないとは,水中において化

学物質が時間的にも空間的にも広い範囲で毒性を発現する可能性があることを意味する。急速分解性を示

す一つの方法として,化学物質が“容易に生分解可能”かどうかを判定できるように設計された生分解性

スクリーニングテストを採用している。このスクリーニングテストに合格する化学物質は,水中環境で“速

やかに”生分解する可能性のある化学物質であり,水中環境で残留する見込みは小さい。しかし,このス

クリーニング試験に不合格となった場合でも,必ずしもその化学物質が環境中で速やかに分解しないこと

を意味するわけではない。そのため,その化学物質が水中環境において生物的又は非生物的に

28

日間で

70 %

以上分解したことを示すデータを用いた基準を追加した。現実的な環境条件下で分解を実証できた場

合は,

“急速分解性”の定義に適合する。多くの分解データは,分解の半減期という形で入手できるが,こ

れらも急速分解性を定義するのに用いることができる。

幾つかの試験は,

その化学物質の究極の生分解性,

すなわち,完全な無機化の達成を測定するものである。分解生成物が水生環境有害性という分類基準に適

合しない限り,通常,急速分解性の評価において一次生分解性は用いない。

C.1.2.6.2

環境中の分解には,生物的な分解及び非生物的な分解(例えば,加水分解)があるが判定基準

に,このことを反映する必要がある。さらに,

OECD

の生分解試験で易生分解性の判定基準に適合しなく

ても,環境中で速やかに分解しないことを意味するのではない。非生物的であっても急速分解性がある場

合には,その化学物質は環境中で急速に分解するとみなすことができる。加水分解による生成物が,水性

環境有害性の分類基準に適合しない場合は,急速分解性の評価においては,加水分解性についても考慮す

る。

C.1.2.6.3

化学物質が,次のいずれかの判定基準に適合した場合は,化学物質は環境中で速やかに分解す

るとみなす。

a)

 28

日間の易生分解性試験で次のいずれかの分解レベルが達成された次の場合。


107

Z 7252

:2014

1)

溶存有機炭素による試験で,分解レベルが

70 %

に達した場合。

2)

酸素消費量又は二酸化炭素生成量による試験で,分解レベルが理論的最高値の

60 %

に達した場合。

なお,その物質が構造的に類似した構成要素をもつ複合的な多成分物質であると認められない場

合,これらの生分解レベルは,分解開始後

10

日以内に達成されなければならない(

10

日間の時間

ウィンドウ条件)

。この場合は,分解開始は,化学物質の

10 %

が分解された時点とする。多成分物

質と認められる場合,十分な根拠があれば,

10

日間の時間ウィンドウ条件は免除され,

28

日間の合

格レベルを適用する。

b)

 BOD

又は

COD

データだけしか利用できない場合で,かつ,

BOD

5

/COD

0.5

以上の場合。

c)

 28

日間以内に

70 %

を超えるレベルで水生環境において分解(生物学的又は非生物学的に)されるこ

とを証明できるその他の有力な科学的証拠を入手した場合。

C.1.2.7 

無機化合物及び金属 

無機化合物及び金属においては,有機化合物に適用される分解性の概念は,限定された意味しかもたな

いか,又は全く意味をもたない。これらの化学物質は分解というよりも,むしろ,通常の環境プロセスに

よって変換され,有毒な化学種の生物学的利用能を増加又は減少させることがある。同様に,生物蓄積性

データも注意して取り扱わなければならない。

難溶性の無機化合物及び金属は,生物学的利用性のある無機化学種固有の毒性,及びこの無機化学種が

溶液中に溶け込む速度及び量に応じて,水生環境において急性毒性又は慢性毒性をもつ可能性がある。全

ての証拠は分類判定のときに重み付けをする。これは特に,変化及び溶解プロトコールでボーダーライン

の結果を示す金属に当てはまる。

C.1.2.8 

定量的構造活性相関(QSAR)の利用 

試験によって入手したデータの方が望ましいが,試験データが入手できない場合には,水生毒性と

log

K

ow

との関係について有効性が確認されている

QSAR

を分類プロセスに利用することができる。このよう

な有効性が確認されている

QSAR

は,その作用機序及び適用可能性が把握されている化学物質に限定し,

修正することなしで判定基準に適用できる。信頼できる算定毒性値及び

log K

ow

の値は,上記のセーフティ

ネットにおいて有効である。易生分解性を予測するための

QSAR

は,現在のところ,まだ急速分解性を予

測するには十分に正確ではない。

C.1.3 

混合物の分類基準 

C.1.3.1 

混合物のための分類方法 

混合物のための分類システムは,化学物質の分類のために用いる全ての分類区分,すなわち,急性区分

1

∼急性区分

3

及び慢性区分

1

∼慢性区分

4

を網羅している。混合物の水生環境有害性を分類するために入

手できる全てのデータを用いるために,次のプロセスで,必要に応じて適用する。

混合物の“考慮する成分”とは,急性

1

又は慢性

1

と分類される成分については濃度

0.1 %

(質量分率)

以上で存在するもの,及び他の成分については濃度

1 %

(質量分率)以上で存在する成分をいう。ただし,

0.1 %

未満の成分でも,その混合物の水生環境有害性を分類することに関連すると予想できる場合(例えば,

毒性が高い成分の場合など)は,この限りではない。

C.1.3.2 

分類のための段階的方法 

水生環境有害性を分類する方法は,次のように,段階的方法であり,混合物そのもの及びその各成分に

ついて入手できる情報の種類に依存する。この段階的アプローチの要素には,試験された混合物のデータ

に基づく分類,

つなぎの原則に基づく分類,

分類済み成分の加算又は加算式の使用に基づく分類が含まれ,

図 C.2 に,この段階的方法の概略を示す。


108

Z 7252

:2014

混合物そのものに関する利用可能な水生毒性試験データ

なし

あり

いいえ

いいえ

図 C.2−急性及び長期間の水生環境有害性に関する混合物の分類のための段階的方法 

C.1.3.3 

混合物そのものについて入手できるデータがある場合の分類 

C.1.3.3.1 

混合物そのものの水生毒性を判定するために試験が行われている場合 

化学物質に関して規定された判定基準に従って分類することができる。その場合の分類は,魚類,甲殻

類,藻類又は水生植物のデータに基づいて行う。混合物そのもの全体の急性又は慢性の十分なデータがな

い場合は,

“つなぎの原則”又は“加算法”を適用する。

混合物の長期間有害性に関わる分類を行うに当たっては,分解性,又は一部のケースでは生物蓄積性に

関する追加の情報が必要である。混合物そのものについては分解性,生物蓄積性などに関するデータはな

い。混合物の分解性,生物蓄積性などの試験のデータは,通常は解釈するのが難しいので用いられること

がなく,そうした試験が有意義なのは単一の物質に対してだけである。

C.1.3.3.2 

急性区分 1,急性区分 及び急性区分 の分類 

既知成分の利用

可能な有害性

データを用いる。

つなぎの原則を適用

5.5 参照)

急性又は長期間有害性に

分類する。

急性又は長期間有害性に

分類する。

急性又は長期間有害性に

分類する。

有害性推定のために

十分な類似の混合物の

データが利用可能。

はい

全ての分類に考慮

しなければならない

成分について水生環境

有害性データ又は

分類データが利用可能。

急性又は長期間有害性に

分類する。

加算法又は加算式

C.1.3.5 参照)を適用。

C.1.3.6

を適用。

次のように加算法を適用

C.1.3.5.4 参照)

a) 

“慢性”と分類した

全成分の含有率(%)。

b) 

“急性”と分類した成分の

含有率(%)。

c) 

急性毒性データをもつ

成分の含有率(%):

加算式(C.1.3.5.2 参照)を

適用し,算出した L(E)C

50

又は

EqNOEC

m

を適切な“急性”又は“慢

性”区分に変換。

はい


109

Z 7252

:2014

混合物そのもの全体について,

L(E)C

50

 100 mg/L

という急性毒性試験の十分なデータ(

LC

50

又は

EC

50

が得られる場合は,混合物を急性区分

1

,急性区分

2

又は急性区分

3

に分類する。

混合物そのもの全体について,

L(E)C

50

 100  mg/L

又は水溶解度より大きいという急性毒性試験のデー

タ[

LC

50

(s)

又は

EC

50

(s)

]が得られる場合は,急性有害性についての分類は区分外である。

C.1.3.3.3 

慢性区分 1,慢性区分 及び慢性区分 の分類 

混合物そのもの全体について,

EC

x

又は

NOEC

 1 mg/L

を示す慢性毒性(

EC

x

又は

NOEC

)の十分なデ

ータが得られる場合に,入手した情報から混合物の関連成分全てが急速分解性があるとの結論が認められ

た場合は,

表 C.1 c)(急速分解性がある)に従って,その混合物を慢性区分

1

,慢性区分

2

又は慢性区分

3

に分類する。

急速分解性がない又は急速分解性が分からない場合は,

表 C.1 b)(急速分解性がない)に従って,その

混合物を慢性区分

1

又は慢性区分

2

に分類する。

混合物そのもの全体について,

EC

x

(s)

又は

NOEC(s)

 1 mg/L

又は水溶解度より大きいことを示す慢性毒

性(

EC

x

又は

NOEC

)の十分なデータが得られる場合は,それでも懸念の余地がある場合を除き,長期間

有害性についての分類は区分外である。

C.1.3.3.4 

慢性区分 の分類 

それでも懸念の余地がある場合は,

表 C.1 e) に従って,その混合物を慢性区分

4

(セーフティネット分

類)に分類する。

C.1.3.4 

混合物そのものについて水生試験データが入手できない場合の分類(つなぎの原則を利用する分

類) 

混合物そのものについての試験データは入手できないものの,当該混合物の成分個々のデータ,及び/

又は類似の混合物について十分なデータがある場合は,当該混合物をつなぎの原則(5.5 参照)で分類する

ことができる。

C.1.3.5 

混合物の全ての成分,又は一部の成分についてだけデータが入手できる場合の分類(濃度限界を

利用する分類) 

C.1.3.5.1 

成分の分類の加算 

混合物の分類は,分類された成分の濃度を加算することで行う(加算式)

“急性”又は“慢性”に分類

した成分の含有率を,そのまま用いる加算法は,C.1.3.5.4 に規定する。

C.1.3.5.2 

分類済みの成分と適切な試験データが入手できる成分との組合せで構成されている混合物の場

合(加算式) 

混合物は,分類済みの成分(急性区分

1

,急性区分

2

,急性区分

3

,慢性区分

1

,慢性区分

2

,慢性区分

3

慢性区分

4

)と適切な試験データが入手できる成分との組合せで構成されていることもある。混合物中の

2

種類以上の成分について適切な毒性データが入手できる場合は,毒性データの性質に応じて次の式

(C.1)

は式

(C.2)

によってこれらの成分の毒性加算値を算出する。この毒性計算値を用いて,その混合物中で毒性

データが入手できた成分が占める部分に急性区分を割り振り,その後これを加算法に適用してもよい。

a)

急性水生毒性に基づく場合。

=

n

i

i

C

E

L

C

C

E

L

C

i

50

m

50

)

(

)

(

  (C.1)

ここに,

C

i

成分

i

の濃度(質量分率)

L(E)C

50i

成分

i

LC

50

又は

EC

50

mg/L


110

Z 7252

:2014

n

成分数(

i

1

n

の値)

L(E)C

50m

混合物の中で試験データが存在している部分の

L(E)C

50

この毒性計算値を用いてその混合物の部分に急性毒性区分を割り振り,その後これを加算法に適用して

もよい。

b)

慢性水生毒性に基づく場合。

 

×

+

=

+

n

n

j

j

i

i

m

j

i

NOEC

C

NOEC

C

EqNOEC

C

C

1

.

0

  (C.2)

ここに,

C

i

急速分解性のある成分

i

の濃度(質量分率

%

C

j

急速分解性のない成分を含む成分

j

の濃度(質量分

%

NOEC

i

急速分解性のある成分

i

NOEC

(又はその他慢性毒性

に関して公認されている手段)

mg/L

NOEC

j

急速分解性のない成分

j

NOEC

(又はその他慢性毒性

に関して公認されている手段)

mg/L

n

成分数(

i

及び

j

1

n

の値)

EqNOEC

m

混合物のうち試験データが存在する部分の等価

NOEC

この等価毒性計算値を用いて,急速分解性物質の判定基準[

表 C.1 c)]に基づいて,その混合物の部分

に長期間危険有害性区分を割り振り,その後これを加算法に適用してもよい。

C.1.3.5.3 

最も高い毒性値の採用 

混合物の一部にこの加算式を適用する場合は,同一分類群(すなわち,魚類,甲殻類又は藻類)につい

て各化学物質の毒性値を用いて混合物のその部分の毒性を計算し,計算値の中の最も高い毒性値(最低毒

性濃度,これら三つの分類群のうち感受性が最も高い種から得られた値)を採用することが望ましい。た

だし,同一分類群での各成分の毒性データが入手できない場合には,化学物質の分類に毒性値を選択する

方法と同じ方法で各成分の毒性値を選択する。すなわち,毒性の高い方の値(感受性が最も高い試験生物

種から得られた値)を採用する。この計算した急性毒性値を使い,化学物質の分類に関する判定基準と同

じ基準を用いて,この混合物のその一部を急性区分

1

,急性区分

2

又は急性区分

3

,又は慢性区分

1

,慢性

区分

2

又は慢性区分

3

と分類してもよい。

C.1.3.5.4 

加算法 

C.1.3.5.4.1 

原則の説明 

急性区分

1

又は慢性区分

1

から急性区分

3

又は慢性区分

3

に至る化学物質の分類区分では,ある区分か

ら一つ区分を移ると,その根拠となっている毒性判定基準には

10

倍の差がある。このため,毒性の高い等

級に分類されている化学物質が,より低い等級にある混合物の分類に寄与することがある。したがって,

これら分類区分の計算では,急性区分

1

又は慢性区分

1

から急性区分

3

又は慢性区分

3

の区分に分類され

る化学物質全ての寄与を考慮する必要がある。

ある混合物に急性区分

1

又は慢性区分

1

として分類される成分が含まれていて,その成分の急性毒性濃

度が

1 mg/L

よりはるかに低い場合は,又は慢性毒性濃度が(急速分解性がないときに)

0.1 mg/L

よりはる

かに低い,若しくは(急速分解性があるときに)

0.01 mg/L

よりはるかに低い場合は,濃度が低くてもその

混合物の毒性に寄与するという事実に注意を払う(5.4.2 参照)

。農薬中の活性成分は,有機金属化合物の

ような高い水生毒性をもち,同時に他の毒性ももつ成分を含んでいることがある。そのような場合は,標

準的な濃度限界を適用すると,その混合物を“本来の毒性よりも低い区分に分類(過小評価)

”してしまう

こともある。したがって,C.1.3.5.4.5 に規定するように,高い毒性をもつ化学物質を考慮するには,毒性


111

Z 7252

:2014

乗率

M

を適用する。

C.1.3.5.4.2 

分類プロセス 

一般的に,混合物の厳しい分類は,厳しくない分類より優先して採用する。例えば,慢性区分

1

の分類

は慢性区分

2

の分類より優先する。その結果,分類結果が慢性区分

1

の場合は,それで分類は既に終了し

ている。それは,慢性区分

1

よりも厳しい分類はないため,更に分類を進める必要はない。

C.1.3.5.4.3 

急性区分 1,急性区分 及び急性区分 への分類 

急性区分

1

,急性区分

2

及び急性区分

3

への分類は,次による。

a)

まず急性区分

1

として分類した全ての成分を検討する。これらの成分の合計が

25 %

以上の場合は,そ

の混合物は全体として急性区分

1

として分類する。計算の結果,混合物の分類が急性区分

1

となった

場合は,分類プロセスは終了である。

b)

混合物が急性区分

1

に分類できない場合は,その混合物が急性区分

2

への分類ができないかを検討す

る。急性区分

1

として分類できる全ての成分の合計の

10

倍と急性区分

2

へ分類できる全ての成分との

合計の総和が

25 %

以上の場合は,その混合物は急性区分

2

に分類する。計算の結果,混合物の分類が

急性区分

2

となる場合は,分類プロセスはこれで終了である。

c)

混合物が急性区分

1

にも急性区分

2

にも分類できない場合は,その混合物が急性区分

3

への分類がで

きないかを検討する。急性区分

1

へ分類できる全ての成分の合計の

100

倍と急性区分

2

へ分類できる

全ての成分との合計の

10

倍と急性区分

3

へ分類できる全ての成分との合計の総和が

25 %

以上の場合

は,その混合物は急性区分

3

として分類する。

d)

分類した成分濃度(

%

)をこのように加算して行う混合物の急性有害性分類は,

表 C.3 に規定する。

表 C.3−分類した成分の加算による混合物の急性有害性分類 

分類される成分の合計

混合物の分類

急性区分 1×M

a)

≧ 25 %

急性区分 1

(M×10×急性区分 1)+急性区分 2

≧ 25 %

急性区分 2

(M×100×急性区分 1)+(10×急性区分 2)+急性区分 3

≧ 25 %

急性区分 3

a)

  毒性乗率 M は,C.1.3.5.4.5 を参照。

C.1.3.5.4.4 

慢性区分 1,慢性区分 2,慢性区分 及び慢性区分 への分類 

慢性区分

1

,慢性区分

2

,慢性区分

3

及び慢性区分

4

への分類は,次による。

a)

まず慢性区分

1

に分類した全ての成分について考える。これらの成分の合計が

25 %

以上の場合は,そ

の混合物は慢性区分

1

に分類する。計算の結果,混合物の分類が慢性区分

1

となった場合は,分類プ

ロセスはこれで終了である。

b)

混合物が慢性区分

1

に分類できない場合は,その混合物が慢性区分

2

に分類できないかを検討する。

慢性区分

1

に分類した全ての成分の合計の

10

倍と慢性区分

2

に分類された全ての成分との合計の総和

25 %

以上の場合は,その混合物は慢性区分

2

に分類する。計算の結果,混合物の分類が慢性区分

2

となった場合は,分類プロセスはこれで終了である。

c)

混合物が慢性区分

1

にも慢性区分

2

にも分類できない場合は,その混合物が慢性区分

3

へ分類できな

いかを検討する。慢性区分

1

に分類した全ての成分の合計の

100

倍と慢性区分

2

に分類した全ての成

分の合計の

10

倍及び慢性区分

3

に分類した全ての成分との合計の総和が

25 %

以上の場合は,その混

合物は慢性区分

3

に分類する。


112

Z 7252

:2014

d)

その混合物が慢性区分

1

,慢性区分

2

又は慢性区分

3

のいずれにも分類できない場合は,その混合物

が慢性区分

4

に分類できないかを検討する。慢性区分

1

,慢性区分

2

,慢性区分

3

及び慢性区分

4

に分

類した成分の合計が

25 %

以上の場合は,混合物は慢性区分

4

に分類する。

e)

分類済み成分を加算して行う混合物の慢性有害性分類は,

表 C.4 に規定する。

表 C.4−分類した成分の加算による混合物の慢性有害性分類 

分類される成分の合計

混合物の分類

慢性区分 1×M

a)

≧ 25 %

慢性区分 1

(M×10×慢性区分 1)+慢性区分 2

≧ 25 %

慢性区分 2

(M×100×慢性区分 1)+(10×慢性区分 2)+慢性区分 3

≧ 25 %

慢性区分 3

慢性区分 1+慢性区分 2+慢性区分 3+慢性区分 4

≧ 25 %

慢性区分 4

a)

  毒性乗率 M は,C.1.3.5.4.5 を参照。

C.1.3.5.4.5 

高い毒性をもつ成分を含む混合物 

毒性が

1 mg/L

よりはるかに低い,又は慢性毒性が(急速分解性がないときに)

0.1 mg/L

よりはるかに低

い,若しくは(急速分解性があるときに)

0.01 mg/L

よりはるかに低い場合の急性区分

1

又は慢性区分

1

の成分は,混合物の毒性に影響する可能性があるため,分類方法に加算法を適用する場合には,その重み

付けを増加させる。急性区分

1

又は慢性区分

1

として分類できる成分が混合物に含まれている場合は,

C.1.3.5.4.3

及び C.1.3.5.4.4 に規定した段階的手法を用いる。その場合には,単に含有率を加算するのでは

なく,急性区分

1

に分類する成分の濃度に毒性乗率を乗じた,重み付け加算を用いる。すなわち,

表 C.3

の左欄の“急性区分

1

”の濃度及び

表 C.4 の左欄の“慢性区分

1

”の濃度に,適切な毒性乗率

M

を乗じる

ことを意味する。これらの成分に適用される毒性乗率

M

は,毒性値を用いて

表 C.5 に規定する。したがっ

て,急性区分

1

又は慢性区分

1

の成分を含む混合物を分類するには,分類担当者はこの加算法を適用する

ために毒性乗率

M

の値を知っておく必要がある。又は,その混合物中の高毒性成分全てについては毒性デ

ータが入手でき,かつ,その他の成分については,急性毒性データがない個々の成分も含めて,毒性が低

いか又は毒性がなく,その混合物の環境有害性に有意に影響しないという証拠がある場合は,式[C.1.3.5.2

(C.1)

又は

(C.2)

]を用いてもよい。

表 C.5−混合物中の高毒性成分に関する毒性乗率 

急性毒性

毒性乗率

M

慢性毒性

毒性乗率 M

L(E)C

50

値   NOEC 値 NRD

a)

 成分 RD

b)

 成分

 0.1

< L(E)C

50

 ≦ 1

1

0.01  < NOEC ≦ 0.1

1

 0.01

< L(E)C

50

 ≦ 0.1

10

0.001  < NOEC ≦ 0.01

10

1

 0.001

< L(E)C

50

 ≦ 0.01

100

0.000 1  < NOEC ≦ 0.001

100

10

 0.000

1

< L(E)C

50

 ≦ 0.001

1 000

  0.000 01 < NOEC ≦ 0.000 1

1 000

100

 0.000 01 < L(E)C

50

 ≦ 0.000 1

10 000

  0.000 001 < NOEC ≦ 0.000 01

10 000

1 000

(以降 10 倍ずつ続く)

(以降 10 倍ずつ続く)

a)

  急速分解性がない。

b)

  急速分解性がある。


113

Z 7252

:2014

C.1.3.5.5 

安全側 

混合物の分類を

1

種類以上の方法で行う場合は,より安全側の結果となる方法を採用する。

C.1.3.6 

利用可能な情報がない成分を含む混合物の分類 

関連成分のうち

1

種類以上について急性毒性又は慢性水生毒性に関して利用可能な情報がそろっていな

い混合物は,決定的な危険有害性区分に分類することはできない。その場合は,混合物は既知成分だけに

基づいて分類し,

“この混合物の成分

x %

については水生環境有害性が不明である”という記載を追加する。

C.2 

オゾン層への有害性 

C.2.1 

一般事項 

この箇条は,オゾン層への有害性を分類する方法について規定する。

C.2.2 

化学物質の分類基準 

化学物質は,次の判定基準によって,オゾン層への有害性区分

1

に分類する。

モントリオール議定書の附属書に列記された,あらゆる規制物質,又はモントリオール議定書の附

属書に列記された成分を,濃度

 0.1 %

で少なくとも一つ含むあらゆる混合物


114

Z 7252

:2014

附属書 D 
(参考) 
参考文献

JIS Z 7250

  化学物質等安全データシート(

MSDS

)−内容及び項目の順序

注記

この規格は,平成

24

3

25

日に廃止され,JIS Z 7253

:2012

に置き換えられた。

JIS Z 8202-8

  量及び単位−第

8

部:物理化学及び分子物理学

注記

対応国際規格:ISO 31-8

Quantities and units

Part 8: Physical chemistry and molecular physics

IDT

なお,ISO 31-8 は現在廃止され,ISO 80000-9 が制定されている。

JIS Z 8203

  国際単位系(

SI

)及びその使い方

注記

対応国際規格:ISO 1000

SI units and recommendations for the use of their multiples and of certain

other units

IDT

なお,ISO 1000 は現在廃止され,ISO 80000-1 が制定されている。

ISO 2719

Determination of flash point

Pensky-Martens closed cup method

ISO 3574

Cold-reduced carbon steel sheet of commercial and drawing qualities

ISO 3679

Determination of flash point

Rapid equilibrium closed cup method

ISO 4626

Volatile organic liquids

Determination of boiling range of organic solvents used as raw materials

ADR

European Agreement Concerning the International Carriage of Dangerous Goods by Road/Economic

Commission for Europe, Committee on Inland Transport UN 2012 2v.

ASTM D 56-05

Standard Test Method for Flash Point by Tag Closed Cup Tester

ASTM D 86-07a

Standard Test Method for Distillation of Petroleum Products at Atmospheric Pressure

ASTM D 93-08

Standard Test Methods for Flash Point by Pensky-Martens Closed Cup Tester

ASTM D 240-09

Standard Test Method for Heat of Combustion of Liquid Hydrocarbon Fuels by Bomb

Calorimeter

ASTM D 1078-05

Standard Test Method for Distillation Range of Volatile Organic Liquids

ASTM D 3278-96

Standard Test Methods for Flash Point of Liquids by Small Scale Closed-Cup Apparatus

ASTM D 3828-07a

Standard Test Methods for Flash Point by Small Scale Closed Cup Tester

ASTM D 4359-90

Standard Test Method for Determining Whether a Material Is a Liquid or a Solid Commission

Regulation EU No440/2008 Annex A

DIN 51755

Prüfung von Mineralölen und anderen brennbaren Flüssigkeiten; Bestimmung des Flammpunktes im

geschlossenen Tiegel, nach Abel-Pensky

(引火点

65

℃以下)

GOST 12.1.044-84

Система  стандартов  безопасности  труда.  Пожаровзрывоопасность  веществ  и

материалов. Номенклатура показателей и методы их определения

NF M 07-011/NF T 30-050/NF T 66-009

Combustible Liquids

Flash Point by Means of the Abel Closed Cup

Apparatus

NF M 07-019

Combustible Liquids

Determination of Flash Points Above 50

 by Mean of the

Pensky-Martens Closed Cup Apparatus

NF M 07-036

Combustible Liquids

Flash Point by the Abel-Pensky Closed Cup Method


115

Z 7252

:2014

NFPA 30B

Code for the Manufacture and Storage of Aerosol Products

OECD Test Guideline 221

Lemna sp. Growth Inhibition Test

OECD Test Guideline 414

Prenatal Developmental Toxicity Study

OECD Test Guideline 415

One-Generation Reproduction Toxicity Study

OECD Test Guideline 416

Two-Generation Reproduction Toxicity Study

OECD Test Guideline 421

Reproduction/Developmental Toxicity Screening Test

OECD Test Guideline 422

Combined Repeated Dose Toxicity Study with the Reproduction/Developmental

Toxicity Screening Test

OECD Test Guideline 430

In Vitro Skin Corrosion: Transcutaneous Electrical Resistance Test Method (TER)

OECD Test Guideline 431

In Vitro Skin Corrosion: Human Skin Model Test

OECD Test Guideline 442A

Skin Sensitization Local Lymph Node Assay: DA

OECD Test Guideline 442B

Skin Sensitization Local Lymph Node Assay: BrdU-ELISA

OECD Test Guideline 471

Bacterial Reverse Mutation Test

OECD Test Guideline 473

In vitro Mammalian Chromosome Aberration Test

OECD Test Guideline 474

Mammalian Erythrocyte Micronucleus Test

OECD Test Guideline 475

Mammalian Bone Marrow Chromosome Aberration Test

OECD Test Guideline 476

In vitro Mammalian Cell Gene Mutation Test

OECD Test Guideline 478

Genetic Toxicology: Rodent Dominant Lethal Test

OECD Test Guideline 483

Mammalian Spermatogonial Chromosome Aberration Test

OECD Test Guideline 484

Genetic Toxicology: Mouse Spot Test

OECD Test Guideline 485

Genetic Toxicology: Mouse Heritable Translocation Assay

OECD Test Guideline 486

Unscheduled DNA Synthesis (UDS) Test with Mammalian Liver Cells in vivo

注記

 OECD

Test

Guideline

一式

入手先:

<http://www.oecd.org/document/40/0,3343,en_2649_34377_37051368_1_1_1_1,00.html>

ICH Guideline S5A

 1993

Detection of Toxicity to Reproduction for Medicinal Products

ICH Guideline S5B

 1995

及び

S5B(M) 2000

Addendum to the Parent Guideline: Toxicity to Male Fertility

注記

入手先:原文

 <http://www.ich.org/cache/compo/276-254-1.html>

日本語版

 <http://www.pmda.go.jp/ich/safety.htm>

注記 1

  ICH: International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of

Pharmaceuticals for Human Use

注記 2

現在,医薬品の生殖発生毒性試験ガイドラインは,

S5(R2): Detection of Toxicity to Reproduction

for Medicinal Products & Toxicity to Male Fertility

として改訂されている(

2005

VDI Guideline 2263

,

Part 1

 1990

Dust fires and dust explosions; hazards, assessment, protective measures; test

methods for the determination of the safety characteristic of dusts

EN 10025-2

Hot rolled products of structural steels

Part 2: Technical delivery conditions for non-alloy

structural steels Gmehling and Rasmussen (Ind. Eng. Chem. Fundament, 21, 186, 1982)

Health Canada: Reference Manual for the Consumer Chemicals and Containers Regulations, 2001

Unified Numbering System (UNS)

(米国ナンバリングシステム)

Gibson, N. Harper, D.J. Rogers, Evaluation of fire and explosion risks in drying powders, Plant Operation

Progress, 4(3), 181-189, 1985


116

Z 7252

:2014

Code of Safe Practice for Soled Bulk Cargoes, IMO, 2005


117

Z 7252

:2014

附属書 JA

(参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS Z 7252:2014

  GHS に基づく化学品の分類方法

Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals (GHS), 
Fourth revised edition

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

1  適 用 範

規格の適用範囲

第 1.1 章

化学品の分類及び表示に

関する世界調和システム
(GHS)の目的,範囲,

適用

変更

表現を変更した。

技術的な差異はない。

4  一 般 事

一般的な事項

追加

JIS

では,規格を利用するための一

般原則を記載した。技術的な差異
はない。

JIS

の様式に従った。

5  分 類 に
必 要 な 情

報 及 び そ
の 内 容 決

定の手順

第 1.3 章

危険有害性のある物質と

混合物の分類

変更 GHS を基に,不明瞭な箇所に補足

説明を加えた。各章に記載されて

いるつなぎの原則をこの箇条にま
とめた。

技術的な差異は軽微である。

JIS

の様式に従った。

附属書 A

(規定)

物理化学的危険性

第 2 部

物理化学的危険性

変更 GHS を基に,不明瞭な箇所に補足

説明を加えた。また,国内法令か
ら 外 れ な い よ う に 表 現 を 変 更 し

た。

技術的な差異は軽微である。

国内の法令等による。

附属書 B 
(規定)

健康に対する有害

第 3 部

健康に対する有害性

変更 GHS を基に,不明瞭な箇所に補足

説明を加えた。また,国内法令か

ら 外 れ な い よ う に 表 現 を 変 更 し

た。更に,国内のビルディングブ
ロックアプローチに沿った内容と

した。技術的な差異は軽微である。

国内の法令等による。

11
7

Z 7

252


20
14


118

Z 7252

:2014

(I)JIS の規定

(II) 
国際規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容

(V)JIS と国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対策

箇 条 番 号

及び題名

内容

箇条番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

附属書 C

(規定)

環境に対する有害

第 4 部

環境に対する有害性

変更 GHS を基に,不明瞭な箇所に補足

説明を加えた。また,国内法令か
ら 外 れ な い よ う に 表 現 を 変 更 し

た。

技術的な差異は軽微である。

国内の法令等による。

附属書 D 
(参考)

参考文献

追加

JIS

では,参考文献をまとめた。

技術的な差異はない。

JIS

の様式に従った。

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals (GHS), Fourth revised edition,MOD

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
    −  変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD……………  国際規格を修正している。

1

18

Z 7

252


20
14