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Z 7201

:2012

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

1

2

  用語及び定義  

2

3

  製品含有化学物質管理の原則  

4

3.1

  一般  

4

3.2

  組織における製品含有化学物質管理 

4

3.3

  成形品への変換工程  

4

3.4

  各製品及び業態に応じた製品含有化学物質の管理  

4

3.5

  製品含有化学物質情報  

5

3.6

  製品含有化学物質に関するマネジメントシステムの評価  

5

3.7

  企業機密への配慮  

5

4

  製品含有化学物質管理の指針  

5

4.1

  一般  

5

4.2

  製品含有化学物質管理方針の表明  

5

4.3

  計画策定  

5

4.3.1

  製品含有化学物質管理基準の明確化  

5

4.3.2

  目標及び実施計画  

5

4.3.3

  責任及び権限の明確化  

6

4.3.4

  内部コミュニケーション  

6

4.4

  運営管理  

6

4.4.1

  運営管理一般  

6

4.4.2

  設計・開発における製品含有化学物質管理  

6

4.4.3

  購買における製品含有化学物質管理  

6

4.4.4

  製造工程における製品含有化学物質管理  

7

4.4.5

  引渡しにおける管理  

7

4.4.6

  外部委託先における製品含有化学物質の管理状況の確認  

7

4.4.7

  トレーサビリティ  

7

4.4.8

  顧客との情報交換  

7

4.4.9

  変更管理  

8

4.4.10

  不適合品発生時における対応  

8

4.5

  人的資源及び文書・情報の管理  

8

4.5.1

  教育・訓練  

8

4.5.2

  文書及び記録の管理  

8

4.6

  実施状況の評価及び改善  

8

附属書 A(参考)JIS Q 9001:2008 及び JIS Q 14001:2004 との対応 

10


Z 7201

:2012  目次

(2)

ページ

附属書 B(参考)成形品への変換工程  

12

附属書 C(参考)製品含有化学物質管理の七つの枠組みと指針の対比  

14


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まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


   

日本工業規格

JIS

 Z

7201

:2012

製品含有化学物質管理−原則及び指針

Management of chemical substances in products-Principles and guidelines

序文 

2002

年に開催された持続可能な開発に関する世界首脳会議では,人の健康及び環境に関わる問題に適切

に対応する観点から,

“2020 年までに化学物質の製造・使用が人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を

最小化すること”が合意され,そのための行動の一つとして,国際的な化学物質管理のための戦略的アプ

ローチ(SAICM)を取りまとめることが合意された。2006 年に決議された SAICM では,ライフサイクル

を通した化学物質の適正管理の実現を目指している。

また,製品に含有される特定の化学物質を制限したり,含有情報の提供を求める新しい動きが国際的に

広がってきた。

製品含有化学物質を管理したり,その情報の開示・伝達を求めたりすることの目的は,製品使用時の,

及び使用済み製品の適切な処理による,人の健康及び環境への影響の低減,リサイクル処理の効率化及び

リサイクルの推進などである。

このような国際的な動向は,ものづくり全体に関わる重要な課題であり,効率的な対応が必要となって

いる。製品を顧客へ引き渡すためには,仕向け先の製品含有化学物質に対する基準の順守が必要である。

製品含有化学物質に関わる全ての組織が,それぞれの製品の製品含有化学物質を管理し,その含有化学

物質の情報を開示・伝達することによって,サプライチェーン全体での管理が実現し,製品含有化学物質

が適切に管理された製品の引渡しが可能となる。

そのためには,川上側から川下への成分情報などの伝達に加え,川下側からも用途などについての情報

提供といった,双方向での情報交換が重要である。

サプライチェーンの川上から川下までの,多くの業界の知見を集約して作成したこの規格が示す製品含

有化学物質管理の原則及び指針を参考として,より効率的,かつ,確実な管理が実践されることが期待で

きる。

適用範囲 

この規格は,製品含有化学物質管理に取り組む全ての組織が,その規模,種類,成熟度を問わず,適切

かつ効率的に実施できるように,サプライチェーン全体で共有されるべき,設計・開発,購買,製造,引

渡しの各段階における製品含有化学物質管理の原則及び指針を示す。

この規格は,製品含有化学物質管理に関するマネジメントシステムの審査登録を意図していない。

注記  この規格の箇条 の製品含有化学物質管理の指針(以下,指針という。)は,組織においてマネ

ジメントシステム(JIS Q 9001 及び JIS Q 14001)の構築に際して参考にできる部分がある。こ

の指針と既存のマネジメントシステムで関連する部分との対比を

附属書 に示す。


2

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用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

2.1 

化学物質(chemical substance)

天然に存在するか,又は任意の製造過程において得られる元素及びその化合物。

2.2 

混合物(mixture)

二つ以上の化学物質(2.1)を混合したもの。

注記  混合物の例として,塗料,インキ,合金のインゴット,はんだ,樹脂ペレットなどがある。

2.3 

成形品(article)

製造中に与えられた特定の形状,外見又はデザインが,その化学組成の果たす機能よりも,最終使用の

機能を大きく決定づけているもの(

附属書 参照)。

注記  成形品の例として,金属の板材,歯車,集積回路,電気製品,輸送機器などがある。

2.4 

化学品(chemical product)

化学物質(2.1)及び/又は混合物(2.2

2.5 

部品(part)

完成品(2.6)に至るまでの成形品(2.3

注記  部品の例として,次のようなものがある。

a)

化学品から初めて成形品へ変換された部品

パソコンの例:キーボードの一つのキー

電子機器の例:電話機用樹脂製ケース

輸送機器の例:自動車用ブレーキパッド

工作機器の例:モーター用銅材

家具の例:スプリング用鋼材

b)

部品を組み合わせて製造された部品

パソコンの例:パソコンのキーボード

電子機器の例:電話機用受話器

輸送機器の例:自動車用ブレーキ

工作機器の例:電動ドリル用モーター

家具の例:ベッド用マット

2.6 

完成品(end product)

化学品(2.4)及び/又は部品(2.5)を組み合わせたり,加工したりして製造した最終の成形品(2.3)。

注記  完成品の例として,次のようなものがある。

パソコンの例:パソコン

電子機器の例:電話機

輸送機器の例:自動車


3

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工作機器の例:電動ドリル

家具の例:ベッド

2.7 

製品(product)

組織(2.8)が,その活動の結果として,顧客(2.10)に引き渡す化学品(2.4

,部品(2.5)及び完成品

2.6

注記  製品の包装に使用する包装材もその製品に含める場合がある。

2.8 

組織(organization)

責任,権限及び相互関係が取り決められている人々及び施設の集まり。

2.9 

供給者(supplier)

製品(2.7)を川下側に引き渡す組織(2.8

2.10 

顧客(customer)

製品(2.7)を川上側から受け取る組織(2.8

注記  この規格では,消費者は顧客には含まない。

2.11 

引渡し(delivery)

製品(2.7)を顧客(2.10)に送り出すこと。

注記 1  JIS Q 9001 では,引渡しのほかに,類似の用語としてリリース(release)も使用されている

が,組織内部で次の工程に引き渡すことも含むため,この規格では製品を顧客に送り出すこ

とを示す用語として,引渡しを用いている。

注記 2  引渡しを,出荷,納品という場合もある。

2.12 

サプライチェーン(supply chain)

供給者(2.9)及び顧客(2.10)の連鎖。

2.13 

製品含有化学物質(chemical substances in products)

製品(2.7)中に含有されることが把握される化学物質(2.1

2.14 

業界基準(industry criteria)

各産業が構成する団体が作成し,かつ,公表している製品含有化学物質(2.13)の管理に関する基準。

2.15 

製品含有化学物質管理基準(management criteria for chemical substances in products)

製品含有化学物質(2.13)に関係する法規制及び業界基準(2.14)に基づいて,組織(2.8)が定めた基

準。

注記  製品含有化学物質管理基準は,顧客から順守する必要があると連絡された法規制及び組織と顧

客との間で採用を合意した顧客の業界基準を含む。


4

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2.16 

製品含有化学物質情報(information of chemical substances in products)

製品含有化学物質管理基準(2.15)で対象とした化学物質(2.1)に関わる情報。

2.17 

トレーサビリティ(traceability)

製品(2.7)に関わる購買,製造及び引渡し(2.11)に関わる履歴が把握できること。

注記  引渡しの履歴には,消費者を含まない。

2.18 

不適合(nonconformity)

製品含有化学物質管理基準(2.15)を満たしていないこと。

製品含有化学物質管理の原則 

3.1 

一般 

製品含有化学物質管理に関わる組織は,製品含有化学物質管理の原則を理解した上で,管理の仕組みを

構築し,実施し,維持及び評価することが重要である。

3.2 

組織における製品含有化学物質管理 

製品含有化学物質管理は,製品含有化学物質管理基準を満たす製品を実現できるように,設計・開発,

購買,製造,引渡しの各段階で次のとおり実施する。

a)

設計・開発段階では,製品含有化学物質管理基準を満たす製品を実現するために,自らの製品及び業

態に応じて購買,製造,引渡しの各段階において実施すべき事項を考慮した上で,製品含有化学物質

に関わる管理基準を定める。

b)

購買段階では,購買における製品含有化学物質に関わる管理基準に基づき供給者に発注し,供給者か

ら購買する製品の製品含有化学物質情報を入手し,購買する製品が購買における製品含有化学物質に

関わる管理基準を満たすように管理する。

c)

製造段階では,製造における製品含有化学物質に関わる管理基準に基づき,組成変化,濃度変化など

に着目して製品中に含有される化学物質を管理する。

d)

引渡し段階では,引き渡す製品が製品含有化学物質管理基準を満足することを確認する。

注記  業態によっては,設計・開発,購買,製造,引渡しの全ての段階があるとは限らない。

3.3 

成形品への変換工程 

サプライチェーン全体で製品含有化学物質管理を行うには,化学品から初めて成形品に変換される部品

の製品含有化学物質を適切に管理することが鍵となる。

具体的には,化学品から初めて成形品に変換される部品を製造するために用いる原材料中に含まれる化

学物質量の把握だけでなく,成形品への変換工程における化学物質の量及び化学物質の変化,更に混入汚

染防止などの管理が必要となる。

附属書 に“成形品への変換工程”に関する,図を用いた説明がある。

3.4 

各製品及び業態に応じた製品含有化学物質の管理 

サプライチェーンを構成する組織の製品及び業態は多種多様であり,各組織はその専門分野の知見を活

かして,自らの工程における製品含有化学物質管理を実践することが望まれる。その場合は,製品含有化

学物質管理上のリスクを特定,分析,及び評価し,適切な対策を講じる必要がある。必要,かつ,可能な

場合は,知見をもつ関連する組織の協力を得ながら製品含有化学物質管理を進めることが望まれる。


5

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3.2

及び 3.3 の原則に基づいて,サプライチェーン全体の製品含有化学物質管理は七つの枠組みに分類で

きる(

附属書 参照)。組織は,七つの枠組みの中から自らの製品及び業態に関係する枠組みを確認し,

それらの枠組みについての指針に基づいた管理を実践することが望まれる。

附属書 に製品含有化学物質

管理の七つの枠組みの説明,及び枠組みと箇条 の指針との対比を示す。

3.5 

製品含有化学物質情報 

サプライチェーンに関わる全ての組織は,設計・開発,購買,製造,引渡しの各段階における製品含有

化学物質管理を原則として,合理的な情報に基づいて製品含有化学物質情報を整備し,提供することが望

まれる。

3.6 

製品含有化学物質に関するマネジメントシステムの評価 

この規格は,製品含有化学物質管理の原則及び指針を規定しており,この規格を規定要求事項として適

合性評価を行うことはできない。

しかし,サプライチェーンにおいては,組織の製品含有化学物質管理が適切に実施されていることの確

認が必要となる場合がある。この場合には,各産業が構成する団体は,必要に応じて,製品含有化学物質

管理を実施する組織が,適合性評価及び宣言を行うことができるように,この規格が規定する原則及び指

針に関連付けた製品含有化学物質に関するマネジメントシステムの要求事項を文書としてとりまとめるこ

ともできる。

3.7 

企業機密への配慮 

国内外の法対応に必要な製品含有化学物質情報は開示しなければならないが,組織の健全な競争力を維

持するためには,企業機密の確保も重要である。特に,製品としての混合物,又は成形品中に含有される

化学物質情報を開示することは,これらの製品の供給者にとっては重要な問題につながる懸念がある。そ

のため製品含有化学物質情報の授受に当たっては,相互に取り引きする組織において企業機密に対する十

分な配慮が必要となる。企業機密には,商流及び購買製品名称などのビジネス情報を含む場合もある。

製品含有化学物質管理の指針 

4.1 

一般 

組織は,この規格の指針に従って,製品含有化学物質管理の仕組みを確立し,文書化し,実施し,維持

し,継続的に改善することが望ましい。

4.2 

製品含有化学物質管理方針の表明 

製品含有化学物質管理に関するトップマネジメントは,組織の製品含有化学物質管理の方針を定め,製

品含有化学物質管理に適切に取り組むことを表明することが望ましい。

4.3 

計画策定 

4.3.1 

製品含有化学物質管理基準の明確化 

組織は,製品に対応する製品含有化学物質管理基準を定め,文書化することが望ましい。

注記 1  製品含有化学物質管理基準は製品分野によって複数存在することもある。

注記 2  製品含有化学物質管理基準は,顧客から順守する必要があると連絡された法規制及び顧客と

の間で採用を合意した顧客の業界基準を含む。

4.3.2 

目標及び実施計画 

組織は,製品含有化学物質管理について目標を設定することが望ましい。組織は,その目標を達成する

ための実施計画を策定し,実施し,維持することが望ましい。組織は,必要に応じて,これらの目標及び

実施計画を見直すことが望ましい。


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注記  目標は,製品含有化学物質管理方針と整合がとれたもので,その達成度を評価できることが重

要である。

4.3.3 

責任及び権限の明確化 

組織は,効果的な製品含有化学物質管理を実施するために,責任及び権限を定めることが望ましい。

4.3.4 

内部コミュニケーション 

組織は,内部コミュニケーションに関わる手順を確立し,方針,製品含有化学物質管理基準,目標,実

施計画,責任及び権限を関連部門に周知することが望ましい。

4.4 

運営管理 

4.4.1 

運営管理一般 

製品含有化学物質管理は,製品含有化学物質管理基準を満たす製品を実現できるように,設計・開発,

購買,製造,引渡しの各段階で実施される。

4.4.2 

設計・開発における製品含有化学物質管理 

組織は,設計・開発段階において,製品含有化学物質管理基準を満たす製品を実現できるように,自ら

の製品及び業態に応じて購買,製造,引渡しの各段階における製品含有化学物質に関わる管理基準を明確

にし,文書化することが望ましい。

注記 1  設計部門に限らず,購買製品を組織で選定している場合などは,この規格に該当することに

なる。

注記 2  製品が製品含有化学物質管理基準を満たすためには,購買製品に含有している化学物質及び

製造工程内で添加・発生・除去される化学物質を考慮し,設計条件,購買条件,製造工程,

製造条件,引渡し条件などを定めることが重要である。製造条件には,誤使用・混入汚染防

止及び反応工程の適切な管理を含む。

注記 3  設計・開発段階において,実験,試作,量産などで必要なことを定めておくことが重要であ

る。

注記 4  設計・開発で明確にした各段階における製品含有化学物質に関わる管理基準は,例えば,仕

様書又は図面,製造指示書又は作業指示書,基準書などで示すことができる。

注記 5  各段階における製品含有化学物質に関わる管理基準の適用範囲に漏れのないように注意する

ことが重要である。

注記 6  リサイクル材を使用する場合は,そのリスクを十分に把握した上で,管理方法を定め,運用

することが重要である。

4.4.3 

購買における製品含有化学物質管理 

4.4.3.1 

製品含有化学物質情報の入手・確認 

組織は,供給者へ購買における製品含有化学物質に関わる管理基準(以下,購買管理基準という。

)を提

示し,製品含有化学物質情報を入手することが望ましい。組織は,購買管理基準を満たしていることを確

認し,その結果を記録することが望ましい。

購買管理基準に沿った製品含有化学物質情報の入手・確認は,製造開始前までに完了することが望まし

い。

4.4.3.2 

供給者における製品含有化学物質の管理状況の確認 

組織は,供給者を選定する際に,供給者の製品含有化学物質の管理状況を確認し,記録することが望ま

しい。組織は,取り引きを継続する場合においても,製品含有化学物質管理基準を満たすために,必要に

応じて供給者の製品含有化学物質管理の状況を再確認し,記録することが望ましい。組織は,確認の結果


7

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に対する処置をあらかじめ定めておくことが望ましい。

4.4.3.3 

受入れ時における製品含有化学物質管理 

組織は,受入れ時に,購買製品が組織の購買管理基準を満たしていることを確認し,記録することが望

ましい。

注記  受入れ時における確認の方法を明確にすることが重要である。例えば,判定方法(現品と情報

との照合,必要に応じた組織での測定など)

,判定結果の記録方法,識別管理方法などがある。

4.4.4 

製造工程における製品含有化学物質管理 

4.4.4.1 

製造工程における製品含有化学物質管理一般 

組織は,製造工程における製品含有化学物質に関わる管理基準に基づいて,製造工程を管理し,その結

果を記録することが望ましい。

注記 1  具体的には,組成変化及び濃度変化によって,製品含有化学物質管理基準で対象とした化学

物質が,製造工程における製品含有化学物質に関わる管理基準を超えて残留又は生成しない

ように管理することが重要である。

注記 2  重点的な管理が必要な工程を特定することが重要である。例えば,酸化・還元反応などによ

る化学物質の組成変化,濃縮,蒸発などによる化学物質の濃度変化が発生する工程を特定し,

適切な管理を行うことが重要である。

4.4.4.2 

誤使用・混入汚染防止 

組織は,製品含有化学物質管理基準で対象とした化学物質の誤使用・混入汚染防止策を実施することが

望ましい。

注記 1  具体的には,重点的な管理が必要な工程とそれ以外の工程とを分離する方法などがある。

注記 2  重点的な管理が必要な工程では,使用する設備,治工具などの分離,部品,仕掛品及び完成

品の保管(倉庫を含む)を適切に行うことが重要である。

注記 3  製造工程に投入する化学物質の,製品への混入汚染防止策を適切に行うことが重要である。

4.4.5 

引渡しにおける管理 

組織は,引渡しにおける製品含有化学物質に関わる管理基準を満たすことを確認した上で,その結果を

記録し,製品を引き渡すことが望ましい。受入れ時及び製造工程中において,あらかじめ定めた確認事項

が全て実施されたことを再確認することが望ましい。製品倉庫においても,誤出荷・混入汚染のないよう

に管理することが望ましい。

4.4.6 

外部委託先における製品含有化学物質の管理状況の確認 

組織は,製品の設計・開発,製造などの工程を他の組織へ委託する場合,製品含有化学物質管理基準を

順守できるように外部委託先の製品含有化学物質の管理状況を確認し,その結果を記録することが望まし

い。

4.4.7 

トレーサビリティ 

組織は,製品含有化学物質情報を把握し,その情報を速やかに利用,開示及び伝達できるように,適切

な手段によって,製品含有化学物質情報のトレーサビリティを確実にすることが望ましい。

注記  この規格に従った製品含有化学物質に関する記録を関連付けることで,トレーサビリティを実

現することができる。

4.4.8 

顧客との情報交換 

組織は,次の事項に関して顧客との情報交換を図るための効果的な方法を明確にし,実施し,その内容

を記録することが望ましい。


8

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a)

顧客が順守する必要がある法規制及び業界基準

b)

製品含有化学物質情報

c)

製品含有化学物質管理に関する情報

製品含有化学物質情報に変化が生じる場合には,組織は,事前にその情報を顧客に伝達することが望ま

しい。

注記  伝達時期は,顧客と合意しておくことが重要である。

4.4.9 

変更管理 

組織は,製品含有化学物質管理基準で対象とした化学物質に影響を及ぼす可能性のある変更の要素を抽

出することが望ましい。組織は,変更に対して,製品含有化学物質情報の変化の確認を適切に行い,その

変更を実施する前に製品含有化学物質管理基準を満たすことを確認することが望ましい。組織は,変更管

理の手順を文書化し,変更時にはその結果を記録することが望ましい。

注記 1  変更の要素には,供給者の変更・追加,購買製品の変更,製造工程の変更などがある。

注記 2  供給者における変更情報を,事前に入手することが重要である。また顧客へ変更情報を事前

に通知することが重要である。

4.4.10 

不適合品発生時における対応 

組織は,製品含有化学物質に関わる不適合品発生時における社内への連絡,供給者・製造委託先・顧客

への連絡,及び応急処置の方法を定め,文書化することが望ましい。応急処置の後に,原因を特定し,必

要な処置を決定,実施して再発を防止することが望ましい。発生を未然に防止するための予防処置を講じ

ることが望ましい。組織は,不適合時の対応を記録することが望ましい。

注記 1  応急処置の例としては,波及範囲の特定(発生ロットの特定,対象設備など),拡散防止(出

荷停止,製造停止など)がある。

注記 2  社内への連絡では,製品含有化学物質管理のトップマネジメントへの連絡が重要となる場合

がある。

4.5 

人的資源及び文書・情報の管理 

4.5.1 

教育・訓練 

組織は,製品含有化学物質管理に必要な教育・訓練について,運営管理の項目ごとに内容を定めること

が望ましい。組織は,製品含有化学物質管理に関わる作業及び要員を特定し,必要な教育・訓練を実施し,

記録することが望ましい。

4.5.2 

文書及び記録の管理 

組織は,この規格が要求する“文書化が必要な手順”及び記録,並びに組織が必要と決定した手順及び

記録を含む文書を管理することが望ましい。

注記 1  文書の例としては,方針,製品含有化学物質管理マニュアル,関連する化学物質管理手順書,

規定,規格,基準,標準類,手順書,文書体系図などがある。

注記 2  記録の例としては,製品含有化学物質情報,受入れ確認データ,引渡し確認データ,内部監

査結果などがある。

注記 3  これらの文書及び記録は,組織の他のマネジメントシステム文書及び記録と統合して管理し

てもよい。

注記 4  これらの文書は,必ずしもマニュアルの形である必要はない。

4.6 

実施状況の評価及び改善 

組織は,製品含有化学物質管理の状況について,あらかじめ定めた間隔で評価することが望ましい。組


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織は,是正処置の必要な事項については,是正処置を実施することが望ましい。評価及び是正処置の結果

は,記録し,製品含有化学物質管理に関するトップマネジメントに報告することが望ましい。製品含有化

学物質管理に関するトップマネジメントは,

その評価及び是正処置の結果をレビューすることが望ましい。


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附属書 A

(参考)

JIS Q 9001:2008

及び JIS Q 14001:2004 との対応

表 A.1 は,製品含有化学物質管理の指針と,品質及び環境マネジメントシステムとの技術的対比を示し

ている。この比較の目的は,いずれか一方又は両方の規格を既に運用している組織が,製品含有化学物質

管理体制を新たに構築したり,体制の有効性を確認したりする場合に参考情報を提供することである。

項目の実施内容がある程度一致している場合に,各項目間の対応を示しているが,それ以外にも比較的

弱い相互関係があることに留意が必要である。

表 A.1JIS Q 9001:2008 及び JIS Q 14001:2004 との対比 

製品含有化学物質管理の指針

JIS Q 9001:2008

JIS Q 14001:2004

製品含有化学物質管理の指
 

品質マネジメントシステム 4. 

環境マネジメントシステム
要求事項 

4.1 

(製品含有化学物質管理の
指針)一般 

4.1 

一般要求事項 4.1 

一般要求事項 

4.2 

製品含有化学物質管理方針
の表明 

5.1 

5.3 

8.5.1 

経営者のコミットメント 
品質方針 
継続的改善 

4.2 

環境方針 

4.3 

計画策定(表題だけ) 

4.3.1 

製品含有化学物質管理基準
の明確化 

5.2 

7.1 

7.2.1 

7.2.2 

顧客重視 
製品実現の計画 
製品に関連する要求事項の
明確化 
製品に関連する要求事項の
レビュー 

4.3.1 

4.3.2 

環境側面 
法的及びその他の要求事項 

4.3.2 

目標及び実施計画 5.4.1 

5.4.2 

品質目標 
品質マネジメントシステム
の計画 

4.3.3 

目的,目標及び実施計画 

4.3.3 

責任及び権限の明確化 5.5.1 

5.5.2 

責任及び権限 
管理責任者 

4.4.1 

資源・役割,責任及び権限 

4.3.4 

内部コミュニケーション 5.5.3 

内部コミュニケーション 4.4.3 

コミュニケーション 

4.4 

運営管理(表題だけ) 

4.4.1 

運営管理一般 4.1 

一般要求事項 4.1 

一般要求事項 

4.4.2 

設計・開発における製品含 
有化学物質管理 

7.1 

7.2 

7.3 

7.4 

7.5 

製品実現の計画 
顧客関連のプロセス 
設計・開発 
購買 
製造及びサービス提供 

4.3.1 

4.4.6 

環境側面 
運用管理 

4.4.3 

購買における製品含有化学
物質管理(表題だけ) 

4.4.3.1 

製品含有化学物質情報の入
手・確認 

7.4.1 

7.4.2 

購買プロセス 
購買情報 

4.4.6 

4.5.1 

運用管理 
監視及び測定 

4.4.3.2 

供給者における製品含有化
学物質の管理状況の確認 

7.4.1 

購買プロセス 


11

Z 7201

:2012

表 A.1JIS Q 9001:2008 及び JIS Q 14001:2004 との対比(続き) 

製品含有化学物質管理の指針

JIS Q 9001:2008

JIS Q 14001:2004

4.4.3.3 

受入れ時における製品含有
化学物質管理 

7.4.3 

購買製品の検証 4.4.6 

4.5.1 

運用管理 
監視及び測定 

4.4.4 

製造工程における製品含有
化学物質管理(表題だけ) 

4.4.4.1 

製造工程における製品含有
化学物質管理一般 

7.5.1 

7.5.2 

8.2.3 

製品及びサービス提供の管
 
製造及びサービス提供に関
するプロセスの妥当性確認 
プロセスの監視及び測定 

4.4.6 

4.5.1 

運用管理 
監視及び測定 

4.4.4.2 

誤使用・混入汚染防止 7.5.1 

7.5.2 

7.5.5 

製品及びサービス提供の管
 
製造及びサービス提供に関
するプロセスの妥当性確認 
製品の保存 

4.4.6 

4.5.1 

運用管理 
監視及び測定 

4.4.5 

引渡しにおける管理 7.5.5 

8.1 

8.2.3 

8.2.4 

製品の保存 
(測定,分析及び改善)一般
プロセスの監視及び測定 
製品の監視及び測定 

4.4.6 

4.5.1 

4.5.2 

運用管理 
監視及び測定 
順守評価 

4.4.6 

外部委託先における製品含
有化学物質の管理状況の確
 

7.4.1 

7.4.2 

7.4.3 

購買プロセス 
購買情報 
購買製品の検証 

4.4.6 

4.5.1 

運用管理 
監視及び測定 

4.4.7 

トレーサビリティ 7.5.3 

識別及びトレーサビリティ 4.4.6  運用管理 

4.4.8 

顧客との情報交換 7.2.3 

顧客とのコミュニケーショ
 

4.4.3 

コミュニケーション 

4.4.9 

変更管理 7.3.7 

7.4 

7.5.1 

7.5.2 

設計・開発の変更管理 
購買 
製造及びサービス提供の管
 
製造及びサービス提供に関
するプロセスの妥当性確認 

4.4.6 

運用管理 

4.4.10 

不適合品発生時における対
 

8.3 

8.4 

8.5.2 

8.5.3 

不適合製品の管理 
データの分析 
是正処置 
予防処置 

4.5.3 

4.4.7 

不適合並びに是正処置及び
予防処置 
緊急事態への準備及び対応 

4.5 

人的資源及び文書・情報の管
理(表題だけ) 

4.5.1 

教育・訓練 6.2 

人的資源 4.4.2 

力量,教育訓練及び自覚 

4.5.2 

文書及び記録の管理 4.2.1 

4.2.3 

4.2.4 

(文書化に関する要求事項)
一般 
文書管理 
記録の管理 

4.4.4 

4.4.5 

4.5.4 

文書類 
文書管理 
記録の管理 

4.6 

実施状況の評価及び改善 5.1 

5.6 

8.2.2 

8.5.1 

経営者のコミットメント 
マネジメントレビュー 
内部監査 
継続的改善 

4.5.5 

4.6 

内部監査 
マネジメントレビュー 


12

Z 7201

:2012

   

附属書 B

(参考)

成形品への変換工程

化学品から成形品を製造する例として,樹脂の成形加工,めっき・塗装・印刷などの表面加工,はんだ

又は接着剤を用いた接合などが挙げられる。

化学品から成形品への変化の過程で,化学組成は変化しない場合もあるが,例えば,焼付け塗装工程で

は塗膜中の低分子量成分が揮散したり,硬化性樹脂の硬化成形工程ではモノマー,硬化剤又は硬化開始剤

が,硬化反応に関与し,硬化樹脂への結合,組込み,高分子化などによる化学組成の変化が起こる場合が

あるので注意が必要である(

図 B.1 及び表 B.1 参照)。

図 B.1−化学物質又は混合物から成形品への変換工程 

化学品

(化学物質・混合物)

成形品

部品

完成品

製品に含まれる 
化学物質及び 
その量は固定 
されていない

製品に含まれる 
化学物質及び 
その量の固定化

成形品に含まれる化学物質及びその量は変化しない

成形工程

完成品

組立工程

部品

部品

部品

添加物

ペレット

化学品から 
初めて成形品へ
変換された部品

組立工程

成形品への変換工程 
(化学品⇒成形品)


13

Z 7201

:2012

表 B.1−化学品から成形品への変換工程例 

変換工程名

使用する化学品

工程の対象 
(成形品)

新たな成形品

発生する現象

塗装

塗料

母材

塗装された

母材

揮発:

混 合物 に含 まれる 元の 物質の う
ち,一部又は全部の成分が蒸発し
て抜ける現象(減算で処理)

印刷

インキ

母材

インキ印刷物

印刷・焼成

ガラスペースト

母材

パターン形成

されたガラス基板

合成接着

接着剤

母材

合板

UV

印刷 UV インキ

母材

UV

インキ

印刷物

硬化:

元 の物 質と は異な る物 質に変 化
し,硬くなる現象(加算ではなく,
変換が行われる)

エポキシ封止

エポキシ樹脂

被封止チップ

封止半導体チップ

めっき

めっき液

母材

めっきされた母材

析出:

混合物中の複数の成分化学物質が
相互に変化して,一部の物質が既
存の成形品の表面に固体として出

現する現象(加算ではなく,変換
が行われる)

樹脂成形 ABS ペレット

− ABS 樹脂ケース

溶融:

元来固体である混合物の物理的形
状を変化させるために,加熱して
液体状態に相変化させる過程(多

くの場合,混合物の成分として変
化がない)

はんだ付け

はんだ

実装基板

はんだ済実装基盤

ダイキャスト

成形

合金の

インゴット

ダイキャスト

部品


14

Z 7201

:2012

   

附属書 C

(参考)

製品含有化学物質管理の七つの枠組みと指針の対比

製品含有化学物質管理は,設計・開発,購買,製造,引渡しの各段階で実施されるが,設計・開発の段

階においては,製品含有化学物質管理基準に基づいて,それ以降の段階における製品含有化学物質に関わ

る管理基準が明確にされる。

サプライチェーンに関わる組織それぞれの製造工程は大別すると,

“化学品の製造工程”

“化学品から初

めて成形品に変換された部品の製造工程”

“部品の製造工程”

“完成品の製造工程”に整理することがで

きる。それぞれについて管理方法を定めることが重要だが,購買・製造・引渡しを単位の工程と考えると,

単位工程を基準に各製造工程の管理方法をまとめることができる。

更に重要なことは,それぞれの単位工程で扱う化学物質の状態が,化学品と成形品のどちらであるかを

把握し,それに応じた管理を行うことである。購買・製造・引渡しという単位工程に,化学物質の状態の

考え方を加えると,全ての工程は化学品の購買(管理枠組み I)

・製造(管理枠組み II)

・引渡し(管理枠組

み III)

,成形品の購買(管理枠組み IV)

・製造(管理枠組み V)

・引渡し(管理枠組み VI)の計六つの管理

枠組みに分けて考えることができる。

この六つの管理枠組みを基準に管理方法を定めれば,全サプライチェーンの管理方法が定まることにな

る。製品含有化学物質管理に取り組む組織は,I∼VI の管理枠組みのうち該当する枠組みについて,取り

組む必要がある。管理枠組み VII は共通管理で,製品含有化学物質管理に取り組む全ての組織が対象とな

る(

図 C.1 参照)。


15

Z 7201

:2012

単位工程

 
 
 

製造工程

化学品

(化学物質/混合物)

部品・完成品

(成形品)

購買

製造

引渡し

購買

製造

引渡し

化学品の 
製造工程

化学品

  化学品

化学品

 

化学品から初めて

成形品に変換

される部品

の製造工程

化学品

部品

部品

部品の

製造工程

部品

部品

部品

完成品

製造工程

部品

完成品

  完成品

製品含有化学物質管理

の枠組み

化学品

購買

II 

化学品

製造

III 

化学品

引渡し

IV 

成形品

購買

成形品

製造

VI 

成形品

引渡し

VII 

共通管理の枠組み

図 C.1−製品含有化学物質の七つの枠組み 

化学品から初めて

成形品に変換


16

Z 7201

:2012

   

表 C.1 は,製品含有化学物質管理の七つの管理枠組みに対応する指針の該当箇条番号を示している。こ

の規格は,PDCA の形式で記述されているが,管理枠組みごとに必要となる製品含有化学物質管理の要件

を確認する場合などの参考情報として提供するものである。

表 C.1−製品含有化学物質管理の七つの管理枠組みに対応する指針 

管理の枠組み

該当する指針の細分箇条

I

化学品の購買

4.4.2 

4.4.3 

4.4.3.1 

4.4.3.2 

4.4.3.3 

設計・開発における製品含有化学物質管理 
購買における製品含有化学物質管理 
製品含有化学物質情報の入手・確認 
供給者における製品含有化学物質の管理状況の確認 
受入れ時における製品含有化学物質管理 

II

化学品の製造

4.4.2 

4.4.4 

4.4.4.1 

4.4.4.2 

設計・開発における製品含有化学物質管理 
製造工程における製品含有化学物質管理 
製造工程における製品含有化学物質管理一般 
誤使用・混入汚染防止 

III

化学品の引渡し

4.4.2 

4.4.5 

設計・開発における製品含有化学物質管理 
引渡しにおける管理 

IV

成形品の購買

4.4.2 

4.4.3 

4.4.3.1 

4.4.3.2 

4.4.3.3 

設計・開発における製品含有化学物質管理 
購買における製品含有化学物質管理 
製品含有化学物質情報の入手・確認 
供給者における製品含有化学物質の管理状況の確認 
受入れ時における製品含有化学物質管理 

V

成形品の製造

4.4.2 

4.4.4 

4.4.4.1 

4.4.4.2 

設計・開発における製品含有化学物質管理 
製造工程における製品含有化学物質管理 
製造工程における製品含有化学物質管理一般 
誤使用・混入汚染防止 

VI

成形品の引渡し

4.4.2 

4.4.5 

設計・開発における製品含有化学物質管理 
引渡しにおける管理 

VII

共通管理

4.2 

4.3 

4.4.1 

4.4.6 

4.4.7 

4.4.8 

4.4.9 

4.4.10 

4.5 

4.6 

製品含有化学物質管理方針の表明 
計画策定 
運営管理一般 
外部委託先における製品含有化学物質の管理状況の確認 
トレーサビリティ 
顧客との情報交換 
変更管理 
不適合品発生時における対応 
人的資源及び文書・情報の管理 
実施状況の評価及び改善 

参考文献  [1]  JIS Q 9001:2008  品質マネジメントシステム−要求事項

[2]  JIS Q 14001:2004

  環境マネジメントシステム−要求事項及び利用の手引