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Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

今回の制定では,国際規格との整合を図った。 

JIS Z 7151には,次に示す附属書がある。 

附属書A(規定) 測定精度上の影響因子 

附属書B(規定) 円形と長方形ダクト中の試料採取点位置を決定するための方法と規則 

附属書C(規定) ピトー管の使用と注意 

附属書D(規定) ピトー管の校正 

附属書E(規定) ダクトの直径の7倍の直管ダクトの必要条件に適しない試料採取位置に関する推

奨事項 

附属書F(規定) ダクト内の粒子質量流量を測定するための代替法 

附属書G(参考) 参考文献

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 7151 : 2000 

(ISO 9096 : 1992) 

固定発生源排出物質−ガスの流れる 
ダクト中での粒子状物質の濃度及び 

質量流量測定−手分析的重量法 

Stationary source emissions−Determination of concentration and 

mass flow rate of particulate material in gas-carrying ducts− 

Manual gravimetric method 

序文 この規格は,1992年に第1版として発行されたISO 9096, Stationary source emissions−Determination of 

concentration and mass flow rate of particulate material in gas-carrying ducts−Manual gravimetric methodを翻訳

し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。 

注意−安全確保のための予防措置 

一般的事項 

試料採取は,現場の状況に応じてさまざまな危険を伴う。管理者・測定実務者・行政担当官などの関係

者は,あらかじめ予期される危険性について十分に考慮しておく。もし,危険性を取り除くことができな

い場合,試料採取を行う以前に,条例,法規制又は国際的規制との関連で適切な安全措置を講じる必要が

ある。 

現場で予想される危険性と危険を抑制する手段として,以下のことが考えられる。 

あらゆる場合にも,プラントの管理者や運転者は,試料採取が行われていることを十分意識しておく。 

測定者に対する危険性 

a) 容易に近づくことができない高所での作業−危険の回避手段,手すり及び足場,ベースボード(9.5

を参照),警報システムなどが必要。遠隔場所の連絡を考えて遠距離通信器が必要。測定者は一人で作

業を行わない。 

b) 作業場及びプラントの至る所からの有毒,腐食,高温のガス若しくはダスト−現場の状況を考えたモ

ニタリング及び警報システム,個人防御装備などが必要。 

c) 電気装置や静電気による電気的危険性−防御装置及び接地などが必要。 

d) プラント及び機器からのノイズ及び熱−防御手段が必要。 

e) 重量物及び大型装置の取り扱い−測定場所を考えたリフトが必要。 

他の人に対する危険性 

a) 作業場からの落下物−警告サイン及びバリケードなどが必要。 

b) つまずきの原因となるケーブルなどの資材の存在−警告サインなどが必要。 

プラントに対する危険性 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

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a) 可燃性ガスの着火−スパークを起こさない装置などが必要。 

b) 測定ダクト中への装置の落下−採取器ヘッドなどとくに注意を払い,脱落しないようにする。 

1. 適用範囲 

この規格は,ダクト,煙突,排気管などの閉鎖空間を流れるガス流中の粒子状物質の濃度と質量流量を

測定するための手分析重量法について規定したもので,濃度範囲0.005〜10g/m3の測定に適用する。

0.050g/m3以下の濃度では誤差は±10%以上になる(12.及び14.を参照)。 

この方法は,主として固定発生源から排出される粒子状物質を測定するための基準となる方法で,自動

計測器の校正にも使用する。この方法は,ダクト内のガス流ができるだけ安定した状況で適用する。換気

及び空調システム,室内空気又はミスト同伴ガスには適さない。 

この規格は,測定装置の設計・機能,試料採取位置選定の条件も規定している。条件が満たされない場

合には,測定した粒子濃度及び質量流量には大きな誤差が含まれる(14.を参照)。 

備考 この規格の対応国際規格を次に示す。 

ISO 9096 : 1992 Stationary source emissions−Determination of concentration and mass flow rate of 

particulate material in gas-carrying ducts−Manual gravimetric method 

2. 引用規格 

次の規格は,この国際規格条項を構成する条項を含む。この印刷時において,指摘された版は有効であ

った。全規格は,必要な場合に改訂される。本国際規格に基づいた同意事項に賛同する関係各機関は,次

に示す規格の最新版を採用する可能性を検討することが望ましい。 

ISO 3966 : 1977, 閉鎖管内の流体の測定−ピトー静圧管を用いた速度測定 

3. 定義 

3.1 

測定孔:試料採取線端のダクトに開けた孔で。ここから試料採取管を挿入する[図1と試料採取線 

(3.15) を参照]。 

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図1 円形ダクトに関する定義図 

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3.2 

実ガス状態:試料採取点での温度と圧力。 

3.3 

移動採取方法:各試料採取点に試料採取装置を移動しながら,決められた時間内での試料採取。 

3.4 

ダクト,排気管,煙突,スタック:ガスを輸送するための閉鎖された構造物。 

3.5 

有効圧力:試料採取点の圧力と同じ高さの大気中の圧力との差。 

3.6 

ガス:ダクト内を流れる粒子状物質とガス状物質との混合物。 

3.7 

動水直径:測定断面の周囲の長さ

測定断面積

×

4

3.8 

各点採取方法:各試料採取点から別々に試料採取する方法。 

3.9 

等速吸引試料採取:試料採取点のガス速度と吸引ノズル内に入るガス速度を等しくして試料採取を

行う方法(図2を参照)。 

図2 等速吸引 

3.10 粒子濃度:ガスの温度と圧力における単位体積当たりの粒子質量。 

3.11 粒子質量流量:単位時間当たりガス流中に含まれる粒子質量。 

3.12 粒子,粒子状物質:連続するガス相中に分散された様々な形状,構造,密度の固体粒子。 

3.13 代表ガス試料:測定断面において平均粒子濃度が得られる試料ガス。 

3.14 測定断面:試料採取位置においてダクトの中心線に垂直な平面(図1を参照)。 

3.15 試料採取線:ダクト内の試料採取点が置かれる測定断面上の仮想線(図1を参照)。 

3.16 試料採取点:試料採取線上で試料採取を行う位置。 

3.17 試料採取位置:試料採取を行うために適したダクトの位置。 

3.18 作業現場:試料採取を行う作業場。 

3.19 標準状態:標準の温度と圧力で,273.15K, 101.325kPa。 

4. 記号とそれらの単位,下付き記号と指数 

4.1 

記号とそれらの単位 

表1による。 

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4.2 

下付き記号と指数 

表2による。 

表1 記号とそれらの単位 

記号 

内容 

単位 

ノズルの有効面積 

m2 

試料採取の断面積 

m2 

粒子状物資の濃度 

g/m3 

δ 

ノズル先端の厚さ 

試料採取面のダクトの直径 

dH 

水力学的ダクトの直径 

dN1 

ノズルの内径 

dN2 

ノズルの外径 

do 

オリフィスの直径 

水分濃度 

kg/m3 

試料採取線上の個々の位置(直径又は半径) 

− 

校正係数 

− 

特有の長さ 

l1 

試料採取側面の長い方の長さ 

l2 

試料採取側面の短い方の長さ 

捕集粒子状物質の質量 

グラム分子量 

kg/kmol 

nd 

試料採取直径上の試料採取点の数 

− 

ndia 

試料採取直径の数(試料採取線) 

− 

nr 

試料採取半径上の試料採取点の数 

− 

n1 

l1の分割数 

− 

n2 

l2の分割数 

− 

絶対圧力 

Pa 

pam 

大気圧 

Pa 

pe 

有効圧力 (pe=p−pem) 

Pa 

∆P 

測定装置までの圧力差 

Pa 

qm 

ダクト内の粒子状物質の流量 

g/h 

qν 

ガス流量 

m3/h 

ガス成分の割合 

− 

ρ 

ガスの密度 

kg/m3 

ι 

試料採取時間(全体での) 

∆ι 

各試料採取点における試料採取時間 

温度(絶対値) 

θ 

温度 

℃ 

ν 

ガスの流速 

m/s 

ガス量 

m3 

Vm 

ガスのグラム分子量 

kg/kmol 

xi 

直径又は半径線上の試料採取点から壁面までの距離 m 

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表2 下付記号と指数 

下付記号と指数 

内容 

試料採取面における実際のガス状態 

ガス測定装置内のガス状態 

個々の数字 

標準状態 

ノズル 

オリフィス 

pt 

ピトー管 

水分 

′ 

水分を含む場合 

5. 原理 

鋭いエッジのノズルをガス流中に直交させて置き,試料ガスを一定時間等速に吸引する。ダクト内の粒

子濃度の分布が不均一な場合があるので,試料はダクト断面内のあらかじめ選定した位置で採取する。試

料ガス中の粒子状物質はろ紙によって分離した後,乾燥・ひょう量する。粒子濃度はひょう量した粒子の

質量と吸引したガスの体積から算出する。粒子質量流量は,粒子濃度とガス流量から算出する。また,粒

子質量流量は,ひょう量した粒子の質量,試料採取時間,ダクトとノズルの断面積からも算出できる。 

6. 測定の概要 

代表ガス試料を発生源から採取する。この試料が全体のガス流を代表するかの度合いは,次の事柄に依

存する。 

・ 測定断面におけるガス速度の均一性。 

・ 測定断面における試料採取点の十分な数。 

・ 試料の等速吸引。 

通常,試料ガスはダクトの測定断面積に応じて,一つ以上の試料採取点から採取する。この断面は等面

積に分割し,試料ガスはその中心から採取する(附属書Bを参照)。測定断面における粒子濃度を求める

ため,ノズルをある試料採取点から他の点へ移動し,各点で試料ガスの等速吸引を行う。試料採取時間は

その断面積に比例して採取する。 

一般的に,試料ガスは以下の試料採取装置によって採取する。 

・ 入口ノズルの付いたプローブ管。 

・ 粒子分離器,1形と2形。 

・ 吸引ガス流量測定器,1形と2形。 

・ 排ガス吸引器。 

粒子分離器とガス流量測定器は,ダクト内又は外いずれでも用いてよい。試料採取装置の概略図を図3

と図4に示す。図示した数字は表3に示した項目の数字に対応するが,図5と図6,7.と13.で使われる数

字と異なる。 

試料採取の間,粒子の分離及び流量測定などを妨げないため,試料採取装置内に蒸気(水分,硫酸など)

を凝縮させないこと。このため,試料採取管,粒子分離器,ガス流量測定器は露点以上に保温する。 

水蒸気が少ない場合には,水蒸気は粒子分離器の下流,乾式ガスメーターまでの間で除去できる。 

等速吸引のため,試料採取点でのガス速度を測定し,それに応じて吸引ガス流量の計算と調節を行う。 

ガス速度の測定は,通常ピトー管が使用される。ガス流量測定器をダクト内に置く場合,吸引するガス

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

の差圧とピトー管の差から,等速吸引状態の調節が可能になる。ガス流量測定器がダクト外の場合,等速

吸引ガス流量の計算は複雑になり,その計算には標準状態のガス密度(乾きガス成分と水分量から計算し

ても良い。),ダクトとガス流量測定器内のガスの温度と圧力,ガス流量を水分除去後に測定するならばガ

ス中の水分量が必要になる。 

試料採取後,捕集した粒子状物質は完全に回収(ノズル及びプローブの清掃も必要)し,乾燥・ひょう

量する。 

粒子濃度と質量流量の計算方法は7.及び13.に示す。ダクト内の粒子質量流量の代替法の計算は,附属書

Fに示す。 

図3 ガス測定装置の上流で水分除去を行わない場合のダスト測定装置(8.2を参照)の構成図 

図4 ガス測定装置の上流で水分除去を行う場合のダスト測定装置(8.2を参照)の構成図 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

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7. 測定と計算(再記述) 

図5と図6に,必要な測定操作,粒子濃度と質量流量の計算の全体の流れを示す。これらの図は,図3

と図4の試料採取装置例と対応している。その他の試料採取装置(1形の粒子分離器及びガス流量測定器)

と計算(附属書F)も,それらがこの規格の条件を満たす場合には使用できる。 

ガス速度 (8) の計算に必要なガス密度 (7) は,図5(ガス流量測定器前で水分を除去)のように,測定

したガスの温度 (3),静圧 (4),水分 (6) 及びガス成分 (5) から算出する。ピトー管を使用する場合には,

密度は測定した動圧 (1) とともに速度の計算式に用いる。異なったガス条件でのガス流量 (9, 10, 11) は,

ガス速度 (8) とダクト測定断面積 (2) を用いて計算できる。 

等速吸引のためには,ポンプの吸引能力,ガス速度,粒子濃度及び試料採取時間に応じて適当なノズル

径を選ぶ。等速吸引のための吸引ガス流量 (12) は,吸引ノズルの口径 (13),ガス速度 (8),ダクト内のガ

ス条件 (3, 4) とガスメータ内のガス条件 (16, 17) によって決まる。吸引ガス流量 (14) はそれらに応じて

調節する。 

測定後,吸引したガス量 (15) は使用したガスメータの静圧 (16) と温度 (17) によって標準状態 (21) 

に換算する。 

粒子を捕集するためのろ紙はあらかじめ乾燥・ひょう量 (18) し,試料採取後も同様に処理する (19)。

この差から捕集した全粒子状物質の質量を得る。粒子濃度 (22) は,標準ガス状態に換算した吸引ガス量 

(21) に対する捕集された粒子質量の比として表す。 

最終的に,粒子濃度 (22) とダクト内のガス流量 (11) とを乗じて粒子質量流量 (23) を得る。 

移動採取法の場合は,粒子濃度は各点におけるそれぞれの等速吸引流量において,同一時間ごとに捕集

したダストの質量積算値に等速吸引量の積算値の逆数を乗じると平均濃度となる。 

図6(ガス流量測定器前で水分を除去しない)において,標準状態 (10) での湿りガス流量の計算は図5

と同様に行う。ただし,等速吸引流量 (12) は,ガス流量測定器 (14) の差圧力に対するピトー管の動圧と

の関係から,二つの圧力差 (4, 16) と温度差 (3, 17),吸引ノズル径 (13) を用いて計算する。 

この場合,乾きガス状態への換算は行わない。吸引した湿りガス量の標準状態 (20) への換算は,湿り

吸引ガス流量 (14) と試料採取時間 (24) から求める。しかし,ガス中の水分量が分かる場合には,粒子濃

度は乾きガス基準でも計算できる。 

湿りガス状態に基づく粒子濃度は,吸引した湿りガス量 (20) とろ紙の質量 (18, 19) から計算できる。

その粒子質量流量 (23) は,この粒子濃度 (22) と標準状態 (10) でのダクト中の湿りガス流量を乗じるこ

とによって求める。 

参考 7.の記述中で( )の中の数字は,図5又は図6の図中に示された数字記号を意味している。 

background image

 
 

9

Z

 7

1

5

1

 : 

2

0

0

0

 (I

S

O

 9

0

9

6

 : 

1

9

9

2

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図5 ガス測定装置の上流で水分除去を行う場合の測定と計算図 

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1

0

Z

 7

1

5

1

 : 

2

0

0

0

 (I

S

O

 9

0

9

6

 : 

1

9

9

2

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図6 ガス測定装置の上流で水分除去を行わない場合の測定と計算図 

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8. 装置 

8.1 

概要 

限られた適用範囲(例えば,ボイラ排ガス温度の通常範囲,粒子状物質の低濃度,一定の大きさのダク

トだけ。)において,さまざまな種類の試料採取装置が使用されているが,できるだけ図3と図4の装置構

成として用いる。図中の数字は,8.2に挙げた項目と対応するが,図5と図6,7.と13.で使用したものとは

異なる。 

この規格に準じて使用する試料採取装置及び流量測定器には,測定孔での装置の取り付け具,測定孔か

らのガスの漏れ及び大気の侵入を防ぐための器具が必要である。測定孔の大きさは,入口ノズルの挿入の

際に損傷を受けない程度の大きさにする。 

この規格に準じた装置と条件は表3によって,一般に装置に使用する材料は,耐腐食性と耐熱性とし,

粒子の沈着を起こすような粗い管内表面は避ける。これらの表面からの粒子の回収は厄介である。ろ紙も

腐食ガス又は高温で性能を損なわないものとする。 

8.2 

粒子濃度測定のための装置リスト 

2種類の吸引ガス測定法に分類できる。 

・ 吸引ガスの流量測定(方法I) 

・ 吸引ガスの体積測定(方法II) 

オリフィス板を使用する場合(方法I),吸引ガスの水分量はそのまま維持する(図3を参照)。このオ

リフィスは等速吸引の調節・維持のために使用できる。積算形乾式ガスメータを使用する場合(方法II),

水分をガスメータに入る前に除去する(図4を参照)。瞬間形ガス流量測定器(例えば,さまざまな面積流

量計)は等速吸引の調節・維持が可能で,ガスメータは吸引ガス量が精度良く測定できる。 

表3に,粒子濃度と流量測定に必要な装置部品をまとめた。部品番号1から17の数字は図3と図4と同

じである。 

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12 

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表3 粒子濃度とガス流量測定に必要な装置部品リスト 

No. 

名称 

機器 

規格 

 1 

入口ノズル 

8.3参照 

 2 

プローブ管 

8.4参照 

 3 

粒子分離器 

8.5参照,0.3μmの粒子で98%以上の

捕集率のろ紙 

 4 

吸引ガス流量測定器(方法I) 

オリフィス板,フローメータほか 

瞬間及び積算値とも±2%以下 

 5 

吸引ガス流量調節器 

二つの調節器(微調節用とガス流の遮

断用) 

 6 

排ガス吸引器 

ポンプ(方法II) 

ベンチュレータ,ファンエジェクタ 

ノズル,サンプリング管,ろ紙,オリ

フィスなどの圧損に耐える。 

 7 

ガスメータ(方法II) 

乾式ガスメータ 

ガス体積の±2%以下 

 8 

吸引ガス流量測定器(方法II) 

オリフィス板,ロターメータ他 

等速吸引流量の±5%以下 

 9 

水分除去器(方法II) 

凝縮器,乾燥器(例えばシリカゲル) 

ガス体積の±1%以下 

10 

排ガス温度測定器 

熱電対,棒状温度計他 

ダクト内の絶対温度の±1%以下 

11 

排ガス圧力測定器 

液体マノメータ他 

絶対圧力の±1%以下 

12 

ピトー管用圧力測定器 

傾斜形液体マノメータ他 

5Pa以下まで読取り可能 

13 

排ガス流速測定器 

ISO 3966規定品,標準ピトー管と校正

済みのS形ピトー管 

流速の±1%以下 

14 

排ガス水分測定器 

凝縮器,乾湿球,温度乾燥器 

ガス体積の±1%以下 

15 

吸引ガス温度測定器 

熱電対他 

絶対温度の±1%以下 

16 

吸引ガス圧力測定器 

液体マノメータ他 

ガスメータ内の絶対温度の±1%以下 

17 

吸引流量測定器(方法I)用差圧測定

器 

傾斜形液体マノメータ他 

読み値の±4%以下 

18 

大気圧測定器 

±300Pa以下 

19 

ノズル,管内沈着粒子回収具 

すべてを回収可能なもの。 

内表面を傷つけないもの。 

20 

粒子輸送用容器 

ふた付き容器。粒子とともにひょう量

するため,耐熱性頑強で軽いもの。 

粒子の質量の±1%以下,又は0.1mg

程度までひょう量可能な天びんを使

用しない限り,捕集粒子は容器の質量

の0.3%以上が必要。 

21 

ろ紙容器 

部品番号20と同じ仕様 

22 

時計 

スタート,ストップの機能付き 

1秒まで読み取れるもの 

23 

粒子分離器の附属品 

サイクロン,マイクロサイクロン,ろ

布バック他 

24 

プローブ管,粒子分離器及び吸引流量

測定器(方法I)の加熱・冷却器 

25 

排ガス成分分析器 

適応可能なもの 

ガス密度は±2%以下 

26 

天びん 

容器中のわずかな量の粒子をひょう

量する必要がある 

捕集した粒子の±1%以下,又は0.1mg

程度までひょう量できるもの 

27 

ダクトの寸法測定器 

校正されたものさし,大型ダクトでは

巻き尺 

ダクトの内径は直線で±1%以下まで

測る 

8.3 

入口ノズル 

入口ノズルは試料採取装置の一部で,装置まで試料ガスを導入する最初の部分である。ノズルは一般に

鋭いエッジでシンプルな構造で,試料採取装置の性能に影響を及ぼすような突起物などがあってはならな

い。鋭いエッジ,シンプルな構造例を図7に示す。その他機械的に傷つきにくい設計で,次の許容精度を

満たすもの。 

δ/dN1>0.05の場合,有効直径dNを次の式によって決定する。 

(

)

2

2

1

2

1

N

N

N

d

d

d

+

+

=

δ

background image

13 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

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図7 吸引ノズル (1) の形状 

入口部の内径dN1は4mm以上で,ノズル外部の広がりはテーパ状とし,粒子沈着が起きないように滑ら

かにする。曲がり部は,ノズル外部径の少なくとも半径1.5倍以上とする。ノズルの内部表面は滑らかに

し,滑らかさを保てる材料で作る。ノズル先端からノズルの支持部までの距離は,周囲のガス流に影響を

及ぼすような流れの乱れを起こさない十分な長さをとる。通常,支持部直径の約3倍にする。 

備考1. ノズルの内径は入口部の内径より小さくしてはならない。 

2. 試料を広い速度範囲にわたりガス流から吸引できるよう,通常異なる内径のノズルを用いる。 

8.4 

プローブ管 

プローブ管は試料採取装置の一部で,試料ガスを吸引するためにダクト及び煙道内におかれた入口ノズ

ルを備えたもので,通常入口ノズル,ろ紙,水分分離器などいろいろな部品と連結する。ダクト内に置か

れるプローブ部分は堅強なものとする。 

プローブ管は入口ノズルの位置合わせにおいて,その方向を示すための目印などを備える。ろ紙までの

プローブ管の内部は,すべて十分に磨いて滑らかにし,接続部の数はできる限り少なくする。プローブ管

内に沈着したすべての粒子を回収するための用具を準備しておく。 

8.5 

粒子分離器 

主粒子分離器はろ紙とし,副粒子分離器(ろ布バック,サイクロンなど)はろ紙の負担を減らすために

用いる。主粒子分離器は20℃で0.3μmの粒子(DOPなど)に対して,98%以上の捕集率をもつろ紙とする。

捕集率を維持するために適した最大ガス流量以上にしない(ろ紙の大きさによる)。 

この目的のために最も適したろ紙は平板又は円筒形のろ紙で,繊維充てんろ紙は性能が繊維径及び充て

ん方法によって変わるため,粒子の保持効率に十分注意を払う。これを使用する場合には,繊維は十分細

く,前述の性能を十分満たす充てん密度まで注意して充てんする(チャンネルは避ける)。繊維充てんろ紙

の粒子保持効率は,既知の効率の平板繊維ろ紙と比べて確認しておく。ろ紙の支持体は,ろ紙の取り外し

の際にろ紙を傷めないように設計する。 

ろ紙の輸送の際,粒子を捕集したろ紙は,どんな損失及び水分の吸着も起こさないように取り扱う。 

特殊な場合(例えば,顕微鏡観察又は化学分析のための溶液若しくは金属成分を含まない物質)は,特

別なろ過材が必要となる。ソーダガラス繊維などの腐食性のガス及び粒子に侵されるようなものは使用し

ない。通常,シリカ,ほう珪酸ガラス,アルミナシリカが適する。 

粒子分離器は,ダクト内に挿入するか,ダクト外に取り付けられる。前者の場合,ノズル入口でのガス

の流れに影響を与えないようノズル先端までの距離を考慮した分離器の構造を決める。また,後者の場合,

どんな凝縮も起こさないよう加熱を施す。 

14 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ろ過体の上流で沈着した粒子状物質が容易に,かつ,確実に回収できるようにノズル,プローブ管,粒

子分離器を設計する。 

9. 前準備 

9.1 

概要 

測定を行う前に,測定の目的と手順について実施するプラント関係者と協議する。プラントの状況,例

えば,定常か周期的かなどで,測定計画に影響を及ぼす。プロセスが定常状態の場合には,測定の間,安

定した操作条件で作業を行う。 

まず,最適な測定位置(9.2を参照),試料採取点の必要な数と形式(9.3を参照)の選定を行うため,プ

ラントの予備調査を行う。このことは,測定孔の位置(9.4を参照)や測定現場の位置(9.5を参照)に影

響を及ぼす。 

集められた情報から,測定装置(9.6を参照)の選択及び測定手順の計画をたてる。また,実施する測定

項目などについてプラントの管理者と協議し,提示しておく。爆発及び火災の危険に対する対応,利用で

きる電力供給源,コンプレッサエアーシステムも確認しておく。あらゆる安全措置をたて(序文を参照),

適した手順を決定しておく。 

選定する測定位置の確認は最適な測定に先立って行う。 

測定期間中のプラントの操作状況と同様に,測定日,開始時間,予備調査及び測定の回数についてもプ

ラントの管理者と合意しておく。 

9.2 

適当な試料採取位置の選定 

試料採取位置は,一定の形状及び断面積が一定な長い直管ダクトで,流れの方向及び乱れを起こすよう

な障害物(例えば,ベンド,ファンダンパ)から十分離れたところで,できれば鉛直ダクトが適している。 

測定断面でガス速度分布が十分に均一になっている場所を確保するため,測定断面のある直管部の長さ

は少なくとも直径の7倍以上が必要で,その場合,測定断面は入口(障害物など)から直径の5倍以上の

距離に,また,煙道出口に近い場合には,出口先端から5倍以上は離して選ぶ(測定断面のある直管部の

長さは,ダクト直径の10倍以上とればよいことになる)。いずれの場合でも,粒子の分布が適度に均一に

なるような部分を選ぶ。試料採取に先駆け,ガス流の状態が10.4の条件を満たすかどうかを確認する。 

水平ダクトにおける試料採取を避けられない場合,測定孔はダクトの底に沈着物の滞留が少ないダクト

出口の近くに設けた方がよい。 

実際,直径の7倍の長さの直管ダクトは,広いスペースを占めるのであまり存在しない。試料採取断面

の選択において,短い直管ダクトでは上記の推奨条件に合わない場合がある。ガスの逆流及び粒子層形成

などが生じれば,測定結果の不確かさは計り知れないほど増大する。この場合の推奨事項は附属書Eを参

照する。 

9.3 

試料採取点の最小数及び位置 

試料採取点の最小数は,測定断面の大きさによって決まる。一般に,この数は断面が大きくなるほど増

える。 

表4と表5に,円形と長方形ダクトの最小数を示す。試料採取点は,試料採取断面の等面積の中心に置

く(附属書Bを参照)。 

採取点はダクトの内壁から試料採取線の3% (d, l>1m) 又は3cm (d, l<1m) 以内に設けない。採取点の計

算結果がこの領域内の場合には,この面積の内側端を選ぶ。採取点は,表4と表5に示した最小数よりも

多い場合も起こる。例えば,不規則な形状のダクト及び流れの逆流が起きているような場合である。 

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15 

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表4 円形ダクトの試料採取点の最小数 

測定断面積の範囲 

m2 

ダクト直径の範囲 

試料採取線の最小 

数(直径) 

直径当たりの 

試料採取点の最小数: 

中数点 

測定断面当たりの 

試料採取点の最小数: 

中数点 

それ以内 

それ以外 

それ以内 

それ以外 

<0.09 

<0.35 

− 

1 1) 

− 

1 1) 

− 

0.09〜0.38 

0.35〜0.70 

0.38〜0.79 

0.70〜1.00 

0.79〜3.14 

1.00〜2.00 

13 

12 

>3.14 

>2.00 

17 

16 

1) 1点の試料採取点によって測定する場合,14.に記述したように測定誤差は大きくなる。 

表5 矩形ダクトの試料採取点の最少数 

測定断面積の範囲 

m2 

個々の測定断面に 

おける採取点の数1) 

試料採取点の最小数 

<0.09 

− 

1 2) 

0.09〜0.38 

0.38〜1.50 

>1.50 

16 

1) 短い側が長い側の2倍以上の場合(B.3を参照)には,採

取点数をふやすよう分割数を増すこと。 

2) 一つの試料採取点での測定は,14.に記述したように大き

な誤差をもたらすことになる。 

9.4 

測定孔の大きさと位置 

測定孔は,9.3に従って決定された試料採取点に届く位置に設ける。その大きさは試料採取装置の大きさ,

出し入れスペースによって決まる。(水平ダクトにおける測定孔の位置については9.2を参照)。 

もし,排ガス吸引器能力が十分でない場合及び有害ガスのため吸引したガスをダクトに戻す必要がある

場合,第2の測定孔が試料採取断面の下流に必要である。 

9.5 

作業場 

安全の予防措置:常設又は仮設作業場は,十分な広さの面積をもち,高さ0.5mと1mの手すり,はしご

の先端部に取り外し可能な鎖,0.25mの垂直なベースボードなどを設ける。 

作業場は,試料採取装置の出し入れを邪魔するような構造物から離して,測定孔に合わせて設定する。

作業場面積は通常5m2以上で,ダクトの直径に依存するが,少なくとも幅1〜2mをもたせる。 

使用する装置に必要な圧縮空気,水,電気などの供給のしやすさも考慮する。装置の上げ下ろしのため

のホイスト及び照明も必要である。 

もし,作業場が天空にさらされる場合には,作業者及び装置のために適切な防護具を準備する。電気ソ

ケット,プラグ,器具は,悪天候を考慮して防水形にする。 

9.6 

装置の選定 

装置の選定は,粒子の種類及び現場の状況に依存する。以下の事柄を考慮する。 

a) およその粒子濃度。 

b) およその粒子径。 

c) ガスの温度。酸及び水の露点を知るために必要。 

d) ガス中のおよその水分の変化。もし,水分が試料採取の間に±5% (V/V) 以上変化する場合には,ガス

流量測定器を含み試料採取装置内で水分が凝縮しないよう吸引ガスの濃度を十分高くする。 

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e) ガスの化学成分。装置の材質の選定に必要。 

f) 

ガスの最高温度。装置の耐熱性において必要。 

g) ダクトの内部の大きさ。ダクト内部に挿入する装置の大きさに関係する。その装置の大きさは試料採

取断面積の10%を超えてはならない。 

h) ガス速度の変化範囲。 

i) 

ダクト内の静圧。 

j) 

測定者に対する危険。 

装置内,特にノズルと粒子分離器の間に,水分,硫酸分,その他の蒸気が凝縮しないよう吸引ガス温度

の露点以上に,少なくとも15℃以上に保つ。 

9.7 

選定した試料採取位置の適正確認 

試料採取位置が適正かどうかを確認する。すなわち,試料採取断面におけるガス流の状態が規定の条件

を,10.4に既述した試料採取断面における速度と温度の調査を行い,合致しているかを確認する。 

備考3. 通常,この調査は,試料採取のために必要なあらゆる準備及び前処理を行った後,試料採取

前に行う。 

10. 試料採取前の準備 

10.1 装置の準備 

測定者は作業場を清浄な状態にしてから装置を運ぶ。ガス吸引器,圧力と温度測定器,ゴム,プラスチ

ックチューブなどが良好な状態かどうかを確認する。試料採取装置及びピトー管の内外がきれいになって

いるかも確認する。 

ろ紙支持体などを含めろ紙を乾燥機中で110℃で加熱し,デシケータ中で放冷した後,ひょう量する。

空試験用のろ紙は,室内の温度及び水分の変化を補正するために使用する。ろ紙の材質はろ過温度に耐え

るものでなければならない。ろ材が加熱減量を起こすような場合は,ダクトのガス温度以上 (10K) で加熱

する。 

ひょう量するものはすべてきれいな作業場で取り扱い,容器に入れて運ぶ。 

試料採取前に必要な各装置,例えば流速計,吸引ガス流量測定器,ゲージなどは校正をしておく。 

10.2 装置の組立 

傾斜マノメータを使用する場合は,水平な床又はしっかりした台の上に確実に固定する。 

ピトー管は使用する前にすべての圧力測定孔をきれいにしておく。ピトー管と圧力ゲージとをチューブ

でつないでおき,温度差による読みの誤りを避ける。 

漏れの確認は,ガスメータを使用する場合,プローブの入り口をふさぎ,50kPaの減圧を確認し,装置

への空気の漏れを測定する。漏れは体積流量で1%以下。 

試料採取装置を測定孔の近くに置き,選定したノズルを取り付ける。作業しやすい場所に,マノメータ

及び圧力ゲージをしっかりと固定し,試料採取装置と連結する。 

10.3 測定断面 

ダクトの内寸は,表3に記述した測定器具 (27) によって直線で±1%まで測定し,得られた値から測定

断面積を計算する。この場合,ダクト内部の沈着物は除く。 

10.4 ガス速度と温度の予備測定 

試料採取を行う前に,予備測定を行う。温度とピトー管の動圧(他の測定器を使うならば速度)を選定

したすべての試料採取点に沿って測定する。この場合,有効ダクト径の3%以内若しくは内壁から3cmの

17 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

領域は除く。試料採取点の測定値は,ダクト内の流れが安定している場合には,吸引流量の計算に使う。 

試料採取点数以上の速度測定点数が,次の二つの理由で必要である。一つは試料採取の適合性を判断す

るため,一つは試料採取後の全ガス流量と粒子質量流量を精度よく算出するためである。 

備考4. 閉鎖回路中の流量測定に関したISO 3966に準じればよい精度が得られる。しかし,ISO 3966

の必要条件は,しばしばダクトの状況によって困難となる。 

測定の間,プラントが一定の決められた状況下で操作されているかを確認する。試料採取位置が適当か,

ダクト内の状況が等速吸引操作に適しているか否かを調べる。それらの条件は,次による。 

a) ダクト軸に対するガス流れの角度:≦15° 

b) 局所的に逆流があってはならない。 

c) 最低流速 動圧:≧5Pa 

d) 速度分布 最大:最小比≦3:1 

e) 温度分布 平均温度 (K):≦±5%以下 

a)〜e)の条件を満たさない場合は,この規格では,粒子濃度と質量流量の測定値が認められないので,

他の試料採取位置を捜す。 

11. 試料採取手順 

11.1 ガス速度と温度測定 

試料採取に先立ち,10.4で規定するように速度と温度測定器を用いて予備測定を行う。これらの測定が

早い段階で行われたならば,その後に,ガス速度及び温度の変化が起きていないかどうかを確認する必要

があり,実際の試料採取前にそれらの測定を繰り返す。 

11.2 試料採取点の数と位置 

9.3によって選定した試料採取点で試料を採取する。ダクトの内寸から試料採取点の位置を附属書Bに

従って選定する。ガス速度測定器と試料採取管のいずれも,ダクト壁及び測定孔の固定部の厚さを考慮し,

耐熱性マーカで測定孔の内壁から各試料採取点までの距離を示す印を付ける。 

流れの状態が極めて安定(流速の変動:<5%)している場合,等速吸引は,試料採取前に行った試料採

取点での温度と速度から等速吸引量を算出し,この結果を基に使用するノズル径を選定する。 

試料採取終了後,直ちに流れの安定性を確認する。 

流れの状態が安定していない (変動:<10%) 場合,等速吸引は,局所的なガス速度の相対的変動が同じ

であると仮定し,参照用試料採取点でのガス速度を測定しながら,各点でのガス試料を採取する。 

ダスト内の流れ状態の変動が大きい (>10%) 場合,試料採取の間,試料採取点におけるガス速度を測定

して等速吸引かどうかを確認する。変動が生じているならば,その変動に応じて吸引流量を調節する。こ

の場合,ピトー管をプローブ管に取り付けて試料採取する。プローブの入口ノズルとピトー管の先端はガ

ス速度の測定及び試料採取に影響を及ぼさない程度に離して固定。ピトー管は附属書Dに準じて校正する。 

11.3 試料採取時間 

各試料採取点での採取時間は,流量の調節誤差などを考慮して3分間以上とし,全試料採取時間は以下

のように決定する。 

a) ひょう量のために適した量の試料を捕集する(10.を参照)。 

b) 試料採取装置の捕集率及び操作を妨害するような過度の量の試料の捕集は避ける。 

c) 移動採取か各点採取かを選定する。 

d) 採取点数。 

18 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

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e) プラント操業の連続性,操業周期の期間。 

以上のことを考慮して,できるだけ長く試料採取時間を決める。 

11.4 試料採取 

11.4.1 概要 

プローブ管をダクト内に挿入して,吸引を開始するまで,ノズルへの粒子侵入はあってはならず,次の

点に注意する。 

a) 試料採取装置へガスが流れないように閉鎖弁は閉じておく。 

b) プローブ管はノズル軸がガスの流れ方向に正しく合うように固定するが,ノズルの方向は流れ方向に

向ける。 

c) プローブ管は,捕集した粒子の損失を最小に,また,ダクト及び測定孔内の沈殿物に接触しないよう,

常に注意して取り扱う。 

入口ノズルは確実にプローブ管に取り付け,制御弁はしっかり閉じて,プローブ管をダクト内に挿

入し,最初の試料採取点にガス速度測定器(速度検出部)を固定する。 

ダクト内に挿入した装置が排ガス温度に達するまで放置する。装置の加熱器のスイッチを入れ,機

能が正しく操作しているかを確認する。もし,必要ならば,別途,関連部分はあらかじめ加熱してお

き,操作の迅速化を図る。 

ガス吸引器のスイッチを入れ,入口ノズルが流れ方向に直面するまでプローブ管の向き(約10°以

内まで)を回転させて,しっかりと固定する。タイマーのスタートと同時に制御弁を開く。ノズル口

径,速度など(13.3を参照)を基に計算した必要な等速吸引流量の指示値になるよう制御弁を調節す

る。等速吸引を維持するため,必要な試料採取時間の間制御弁を調節する。ノズルから吸引するガス

速度は試料採取点のガス速度の±10%以内である。 

吸引ガス量はフローメータの差圧と試料採取時間とから求めるが,十分な精度で吸引量を測定する

ため,メータ値を時々読みとる。 

代替法による測定は11.4.2又は11.4.3に準じ,11.4.4のように進めて行う。 

11.4.2 移動採取 (3.3)  

最初の試料を採取した後,捕集した試料は回収せずに,11.4.1の事項に注意し,第2番目の試料採取点

にノズルの再設定を行うためにプローブ管は素早く移動させる。その後,第2番目の試料採取点における

所要の等速吸引流量になるよう素早く制御弁を調節する。最初の試料採取線のすべての試料採取点におい

て,11.4.1に述べたような連続測定及び手順を繰り返す。制御弁を閉じ,タイマを止め,ノズルをガスの

流れ方向に回転させプローブ管を測定孔から取り出し,次の試料採取線に再設定し,すべての試料採取点

で試料採取が終了するまでこれらの測定操作を繰り返す。 

等断面積の各試料採取点における試料採取時間は等しくする。 

11.4.3 各点採取 (3.8)  

粒子分離器がダクト内の採取管に取り付けられている場合には,最初の試料を採取した後,制御弁を閉

じて,タイマを止める。採取管をダクトから抜きだして(11.4.2を参照)粒子捕集器を取り外し,必要な

らば,採取管内の沈殿物を回収する。新しい分離器を再び設定した後,次の試料採取点で11.4.1で述べた

手順で試料採取を行う。 

粒子分離器がダクト外にある場合,採取管内の沈殿物を失わないようにしてプローブ管を抜き出す。 

すべての粒子分離器が各試料採取点で試料採取を終了するまで測定を繰り返す。 

11.4.4 ガス流速と温度の読みの繰り返し 

19 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

速度の測定と試料採取を同時に行わない場合,すべての試料採取点で試料採取が終了した時点で,直ち

に各点の速度と温度の測定(11.2を参照)を繰り返す。もし,ガス速度の合計が11.2の以前測定した流速

の合計の±5%以上である場合,その測定結果は正しい値といえない。 

等速吸引は,計算して決定した吸引流量と実際に吸引した流量,又は試料採取点のガス速度と吸引した

流量から計算したノズル速度とを比較し,実施できた(±10%以内)かを判断する (13.3)。 

等速吸引が達成できなかったならば,その測定結果は無効で,原因を調べて測定をやり直す。 

ダクト内の全ガス流量と粒子質量流量の正確な計算を行うためには,10.4に述べたように,ダクトの測

定断面においてガス速度の測定を繰り返して行う。 

11.5 繰り返し試料 

粒子濃度の繰り返し測定が必要な場合には,11.4のすべての手順に従って,同一のプラント条件下で繰

り返す。最初の試料採取の後,直ちに2回目の試料採取を行う場合には,11.4.4に準じたガス速度と温度

の測定値を2回目の試料の測定値として用いる。 

12. ひょう量 

捕集した試料はひょう(秤)量容器に入れ,容器の外部を注意して清掃し,ひょう量する項目の確認を

する。 

装置の内面に付着した粒子の質量も求め,捕集した粒子質量に加える。もし,必要ならば,装置内面に

付着した粒子はアセトン洗浄によって回収,風袋用ビーカに移し,常温常圧で乾燥する。乾燥した残留物

はろ紙上の粒子と同様な条件下でひょう量する。乾燥したものは,デシケータ中で室温まで放冷し,試料

採取前と同じ条件下で恒量にした後,ひょう量する。 

捕集した粒子が乾燥によって変化していないかも確認する。 

理想的条件(代表的試料採取)下での粒子濃度測定の全体の誤差は約10%である(14.を参照)。これは,

ひょう量の不正確さが2%以下と仮定したもので,このためには十分な量の粒子を捕集しなければならな

い。実際に1mg程度のひょう量誤差があることを考慮すると,約100mgになるような捕集量が必要であ

る。実際の捕集量は,温度,試料採取時間,ガス吸引器の能力によって異なるが,低濃度粒子の場合,採

取時間及び吸引器の能力の増加が必要である。又はひょう量手順の改善によって1mg以下のひょう量誤差

とするなどが必要である。 

13. 計算方法 

13.1 概要 

この箇条の各項では図5と図6の流れに従って計算を記述する。ここにおける括弧内の数字は図中の各

項目の数字に対応し,式中の記号と下付き記号は4.による。 

13.2 ダクト内ガス速度 

それぞれの試料採取点におけるガス速度は,各位置 (8) のガス密度 (7) と動圧 (1) から算出し,平均ガ

ス速度は,すべての試料採取点の測定結果から求める。平均ガス速度 (8) と試料採取断面積 (2) からダク

ト流量 (9) を求める。 

標準状態におけるガス密度ρnは,乾きガスに換算して次の式によって求める。 

i

n

N

i

i

n

n

r

,

1

,

ρ

ρ

×

=∑

=

 ······································································· (1) 

20 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

又は 

i

n

m

i

N

i

i

n

n

V

M

r

,

,

1

=∑

=

ρ

 ····································································· (2) 

標準状態におけるガス成分は,それぞれのガスの分子量を計算して求める。通常,22.4m3/kmolを使用す

る。排ガスの水分量fは,表3(14.を参照)に決められた方法によって求める。273.15K,101.325kPaの状

態に換算した湿りガスの密度は次の式によって求める。 

804

.0

1

n

n

n

n

f

f

+

+

=

ρ

ρ

 ·········································································· (3) 

又は 

n

n

w

n

w

n

p

p

p

p

ρ

ρ

+

×

=

1

804

.0

 ······················································· (4) 

理想的な水分の密度は,標準状態で0.804kg/m3である。 

ダクト内のガスの密度は,次の条件が満たされる場合には,計算によっても求められる。 

試料採取点での大気圧力pam 

大気圧と試料採取点の圧力差Pe 

排ガス温度Θa 

実際のガス密度 (7) は次の式のようになる。 

=

×

×

=

a

a

n

n

n

a

T

p

p

T

ρ

ρ

a

n

a

e

am

n

n

n

T

p

p

P

T

Θ

+

+

×

×

=

,

ρ

·································································· (5) 

標準形ピトー管を用いたときの試料採取点 (8) のガス速度v′aは,次の式によって求める。 

Pt

a

a

p

×

=

ρ

ν

2

 ······································································ (6) 

その他のピトー管を用いたときにはその係数Kptを求め,次の式によって求める。 

Pt

a

Pt

a

p

K

×

×

=

ρ

ν

2

 ······························································· (7) 

ここで,Kpt≠1 

式 (6) と式 (7) は,50m/sまでのガス速度の計算に使用できる。 

試料採取面における平均ガス速度νʼは,各測定断面におけるすべてのガス速度を用いて式 (8) から算出

する。 

=

=

N

i

i

N

1

1

ν

ν

 ············································································· (8) 

ガス流量q′vaは,式 (9) によって求める。 

×′

=

ν

A

v

qa

3 600 ······································································ (9) 

13.3 吸引ガス流量 

すべての試料採取点での等速吸引のための条件は, 

background image

21 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

N

a

v

ν′

=

 ················································································· (10) 

試料採取点のガス速度は, 

Pt

a

Pt

a

p

K

×

×

=

ρ

ν

2

 ····························································· (11) 

ここで,湿りガス流量をオリフィスで測定する場合,ノズル内のガス速度v′Nは次の式のようになる(図

6を参照)。 

×

×

×

=

×

×

=

o

o

N

N

K

a

v

q

a

ρ

ν

2

1

600

31

1

o

n

a

n

a

e

am

o

e

am

o

T

T

p

p

p

p

p

Θ

+

Θ

+

×

+

+

×

,

,

 ························································ (12) 

式 (10) と式 (12) から, 

×

×

=

a

o

Pt

o

p

p

ρ

ρ

2

,

,

Θ

+

Θ

+

×

+

+

×

×

a

n

o

n

o

e

am

a

e

am

o

Pt

T

T

p

p

p

p

K

K

a

 ·················································· (13) 

吸引流量は,ピトー管の動圧∆pptと式 (13) から求めるオリフィスの差圧∆poとをそれぞれの試料採取点

で一致させ,式 (12) から求める装置の∆poで調節する。 

乾きガス流量をマノメータで測定する場合には,ノズル内のガス速度は次の式のようになる(図5を参

照)。 

×

×

×

=

×

×

=

g

N

N

v

q

a

v

q

a

600

31

1

600

31

1

ν

×

Θ

+

Θ

+

×

+

+

g

N

a

n

a

e

am

g

e

am

T

T

p

p

p

p

,

,

+

804

.0

1

nf

 ············································································· (14) 

式 (10),式 (11) 及び式 (14) から, 

×

×

×

×

=

a

Pt

Pt

g

K

a

p

q

ρ

ν

2

600

3

804

.0

1

1

,

,

n

a

n

g

n

g

e

am

a

e

am

f

T

T

p

p

p

p

+

×

Θ

+

Θ

+

×

+

+

 ··················································· (15) 

各試料採取点での吸引流量は,ピトー管の圧力損失∆Pptを見ながら式 (15) をセットする。ロータメー

タを通過するガス流量qνaの調節は,式(12)の計算値を用いて行う。この値になったら,等速吸引が達成さ

れる。 

実際に,∆Po又はqνgの計算値[式 (13) と式 (15)]が試料採取装置で達成できれば,等速吸引とするが,

達成できない場合には,非等速吸引の試料採取の割合として

a

ν

′/

又は

a

N

a

qv

ν′

600

3/

の比によって表す。 

等速吸引は

0.1

/

=

a

ν

の状態をいい,試料採取は式 (16) で行う。 

1.1

9.0

<

<

a

N

ν

ν

 ·········································································· (16) 

22 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

q′VNの値がガス流量測定監視システム(例えば,乾式ガスメータとタイマを使用して)で得られる場合

には,試料採取の精度に関するより多くの情報が得られることになる。 

13.4 吸引ガス量 

吸引ガス量は,吸引ガス流量測定器(方法I,表3の数字4)又はガスメータ(方法II,表3の数字7)

によって測定する。 

方法Iによる湿りガス量o

V′は次の式によって算出する。 

o

o

o

c

o

p

tK

q

t

V

×

×

=

=

ρ

ν

2

600

3

 ·············································· (17) 

方法IIによる乾きガス量 (15) は次の式によって算出する。 

Vg=吸引後の読み−吸引前の読み ··············································· (18) 

13.5 粒子濃度 

測定断面当たり積算したガス試料(一つのろ紙)の濃度 (22) の計算は, 

標準状態における乾きガスの体積 (22) 当たりとして表す場合, 

n

g

n

V

m

c

,

=

 ··············································································· (19) 

標準状態における湿りガスの体積当たりとして表す場合, 

n

g

n

V

m

c

,′

=

 ··············································································· (20) 

操作状態における湿りガスの体積当たりとして表す場合, 

a

g

a

V

m

c

,′

=

 ··············································································· (21) 

測定断面当たりに一つ以上のガス試料(及びろ紙)の濃度計算は, 

標準状態における乾きガスの体積当たりとして表す場合, 

=

=

=

N

i

i

n

N

i

i

n

i

n

n

c

c

1

,

1

,

,

ν

ν

 ········································································ (22) 

ここに, 

i

n

g

i

i

n

V

m

c

,

,

,=

標準状態における湿りガスの体積当たりとして表す場合, 

=

=

=

N

i

i

n

N

i

i

n

i

n

n

c

c

1

,

1

,

,

ν

ν

 ········································································ (23) 

ここで, 

i

n

g

i

i

n

V

m

c

,

,

,

=

操作状態における湿りガスの体積当たりとして表す場合, 

23 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

=

=

=

N

i

i

a

N

i

i

a

i

a

a

c

c

1

,

1

,

,

ν

ν

 ········································································ (24) 

ここで, 

i

a

g

i

i

a

V

m

c

,

,

,

=

などの式によって求める。 

粒子濃度は,排ガス中の選定された酸素又は二酸化炭素などのガス成分濃度に基づき,次の式の比によ

って修正する。 

[

]

[

]測定値

選定値

2

2

CO

CO

又は 

[]

[]測定値

選定値

2

2

95

.

20

95

.

20

O

O

ここで,20.95は空気中の酸素濃度の体積割合 (%) である。 

計算においては,選定されたガス成分の濃度は測定されるときの同一ガス状態で行うこと。 

13.6 粒子質量流量 

粒子質量流量 (23) は,ダクト内のガス流量と粒子濃度から算出する。 

v

mcq

q=

(移動採取の場合) ····················································· (25) 

v

m

cq

q=

(各点採取の場合) ····················································· (26) 

cとqνの量は,いつも同一ガス状態で求める。計算の代替法は附属書Fを参照。 

14. 正確さ 

ダクト内の理想的状態において,測定の不正確さは粒子濃度で約±10%である。しかし,実際試料採取

の間,ガス速度及び粒子濃度に変動が起きている場合にはあり得ない。この規格の測定条件を満足したと

しても,試料が完全に代表していない場合には,全体の不正確さは±10%以上に大きくなる。 

15. 報告書 

この規格に基づいて実施した測定及び計算によって得られた結果は,以下の項目を含めて関連する情報

とともにまとめる。 

a) この規格を使用したこと 

b) 測定の日時,場所 

c) 測定対象の条件 

・ 発生源の種類 

・ 試料採取中の発生源の状況(プラント負荷,原料使用量) 

・ 試料採取位置 

・ ダクトの形状と大きさ 

・ 試料採取点の数と位置 

24 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) ダクト内のガスの状態 

・ 圧力 

・ 温度 

・ 水分量 

・ ガス成分 

・ 密度 

・ 速度 

・ 流量 

e) 試料採取条件 

・ 粒子濃度の測定方法(試料採取法,吸引ノズル,装置構成,粒子の乾燥条件) 

・ 粒子分離器の大きさ,種類,材質 

・ 吸引ノズル径 

・ 各点での等速吸引流量 

・ 各点での等速吸引の確認結果 

・ 試料採取時間 

・ 採取ガス量 

・ ガス流量測定器での静圧 

・ ガス流量測定器での温度 

・ 吸引ガス量 

・ 捕集ダスト質量 

f) 

粒子濃度 

g) 粒子質量流量 

25 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A(規定) 測定精度上の影響因子 

14.で規定したように,粒子濃度を決めるこの方法の不正確さは,ダクト内の理想的状態の基で約±10%

である。この値は,使用した装置(表3)の誤差を無作為に取り出し,見積もることで得られた。代表的

な影響因子の幾つかを要約したのが,A.1〜A.6である。 

A.1 試料採取断面の位置 

採取断面と上流側の障害物との距離が前述したよりも短いと,測定した濃度誤差は増大する。これは,

乱れの種類,採取断面における局所的ガス速度の最大・最小,粒子の粒径分布に依存する。燃焼施設にお

いて,20%以上の誤差が起きたことが報告され,上流側障害物までの最小距離は附属書E [6] (*)に記述され

ているように維持する。 

A.2 試料採取点の数 

一般に,精度は測定点の数を増やすほどよい。しかし,16以上の増加は精度を改善しない。この場合,

円形ダクト内の試料採取線の数(2本に変えて3本)を増やすことによって改善される。 

A.3 試料採取時間 

採取時間がより長いと,粒子濃度の変化を加減するようになるので望ましく,誤差が減少される。 

A.4 ノズルの設計 

8.3と図7のようなノズルを用い,他の装置部品(ピトー管,プローブ管,ろ紙)をノズル先端でのガス

流に影響を及ぼさないように十分離せば,薄いノズルからのガスの逸脱は5%以下となる [1] (*)。 

A.5 ノズルの整列 

もし,等速吸引が行われ,ガス流の方向とノズル軸との角度が15°以内ならば,整列されたノズルから

のガスの逸脱は3.5%以下となる [1] (*)。 

A.6 等速吸引からの逸脱 

ノズル先端とダクト内のガス速度における10%の差異は,濃度測定値において10%以上の粒子逸脱をも

たらす。しかし,この誤差は粒径とガス速度に強く依存している [1, 4] (*)。ガス速度20m/sで,すべての

粒子の直径が3μm以下では,等速吸引状態からの誤差はほとんど起こらない。ダクト内の流量の変化が極

めて大きいときは,等速吸引は行えない。変化が平均流量の±50%以内の範囲では誤差は±5%以下となる

が,それ以上の大きい変化では誤差は急激に増加する。粒子質量流量の測定値も,ダクト内のガス速度の

誤差の影響を受ける。理想的な流れの状態で,誤差は3〜5%となる。ガス流の変化の速さ及び大きさ,ダ

クト内の旋回流,液滴の存在によるノズルに対する非平行的な流れのため,誤差は容易に増大する。品質

保証手順 [11] (*)は,よい精度を達成させるうえでも役立つ。 

注(*) [ ]の中の数字は,附属書Gで示された参考文献の番号を示す。 

background image

26 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B(規定) 

円形と長方形ダクト中の試料採取点位置を決定するための方法及び規則 

B.1 円形ダクトのための一般則 

円形ダクトに適用される一般則は,測定断面は等面積で分ける。断面積の中心の試料採取点は二つ以上

の直径線(試料採取点)上にある。ダクトの中心にも試料採取点があることである図B.1を参照。各直径

線上の試料採取点の位置は,各直径線上の試料採取点の数,試料採取直径線の数によって決まる。円形ダ

クトの場合,二つの試料採取線(直径)があればよい。ダクト壁から各試料採取点までの距離はxi=Kid

で表される。 

表B.1はKの値をパーセントとして定めるもので,ndは試料採取線(直径)当たりの試料採取点数,i

は直径線上の各試料採取点数である。 

試料採取点数又は試料採取線数(直径)が増える円形ダクトにおいて,直径線上のダクト壁からの距離

xiを計算する一般式は, 

(

)

+

+

+

=

1

2

1

1

2

2

1

2

dia

r

d

r

i

n

n

n

i

n

d

x

 ··················································  (B.1) 

ここで, 

i: 直径線上の各試料採取点数 

d: 直径(試料採取線の長さ) 

図B.1 円形ダクトにおける試料採取点−一般則(直径2m以上の場合を示す) 

background image

27 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表B.1 パーセントとしてのKi値−一般則の円形ダクト 

nd 

11.3 

 5.9 

 4.0 

 3.0 

50.0 

21.1 

13.3 

 9.8 

88.7 

50.0 

26.0 

17.8 

78.9 

50.0 

29.0 

94.1 

74.0 

50.0 

86.7 

71.0 

96.0 

82.2 

90.2 

97.0 

B.2 円形ダクトのための接線則 

円形ダクトに適用される接線則は,測定断面は等面積で分ける。各断面の中心の試料採取点は二つ以上

の直径線(試料採取線)上にあること,ダクトの中心には試料採取点がないことである(図B.2を参照)。

各直線上の試料採取点の位置は,各直径線上の試料採取点数によって決まるが,試料採取直径線数には関

係しない。円形ダクトの場合,二つの試料採取線(直径)当たりの試料採取点数,iは直径線上の各試料

採取点数である。 

試料採取点数若しくは試料は採取線数(直径)が増える円形ダクトにおいて,直径線上のダクト壁から

の距離xi=Kidで表される。 

表B.2はKの値をパーセントとして決めるもので,ndは試料採取線(直径)当たりの試料採取点数,i

は直径線上の各試料採取点数である。 

試料採取点数若しくは試料採取線数(直径)が増える円形ダクトにおいて,直径線上のダクト壁からの

距離xiを計算する接線式は, 

(

)

=

r

i

n

i

d

x

2

1

2

1

1

2

 ····························································  (B.2) 

ここで, i: 直径線上の各試料採取点数 
 

d: 直径(試料採取線の長さ) 

この方法は,ダクトの中心にとどかないような大きなダクトに対して特に適して

いる。 

background image

28 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図B.2 円形ダクトにおける試料採取点−接線(直径2m以上の場合を示す。) 

表B.2 パーセントとしてのKi値−接線則の円形ダクト 

nd 

14.6 

 6.7 

 4.4 

 3.3 

85.4 

25.0 

14.8 

10.5 

75.0 

29.6 

19.4 

93.3 

70.4 

32.3 

85.4 

67.7 

95.6 

80.6 

89.5 

96.7 

B.3 長方形ダクトのための規則 

方形ダクトを含む長方形ダクトに適用されるこの規則は,測定断面は平行線によって等面積で分けられ

る。試料採取点は各面積の中心に位置する(図B.3を参照)。 

一般的に,長方形ダクトの両側はダクトと同形で等数に分け,分割面数は1,2,3などの四角形となる

[図B.3 a)を参照]。 

試料採取断面の長さの比が(l1とl2:l1はl2より長い)l1/l2>2となる場合,l1側はl2側より多く分割しな

ければならない。長い側は短い側の2倍以上にならないようにとる[図B.3 b)を参照]。 

l1側とl2側の試料採取断面の長さをそれぞれn1とn2で分ければ,試料採取点の数はn1×n2になり,ダク

ト壁から試料採取点までの最小距離はl1/2n1とl2/2n2となる。 

background image

29 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図B.3 長方形ダクト(又は正方形)での試料採取点 

30 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C(規定) ピトー管の使用と注意 

C.1 一般的事項 

この附属書の内容は,ダクト内のガス温度が非常に高い場合にピトー管は使用困難であること以外は,

ISO 3966の要求条件への補足である。 

ピトー管は,以下の条件が満たされないと正しく機能しない。 

a: 全圧孔(ノズル)と静圧孔は詰まりがなく,プローブ管端のそれぞれの圧取り出し口まで気密なもの

とする。 

b: ピトー管の先端の形状と寸法(主管に対して直角な部分)は,ISO 3966の規定又は適当な条件で校正

してあるものに合致するものとする。 

c: 先端はガスの流れに直面させる(±10°以内)。 

d: マノメータまでの二つの圧連絡管は,双方の熱的誤差を避けるために一緒に固定する。 

e: 動圧は,5Pa以上とする。 

メンテナンスとしては,上述のような状況下で使用されているか,ピトー管の寿命はよいかどうかを確

認することである。使用後は繰り返し作業としてC.2で記述されている事項の確認を行う。こうして得た

結果を確認しておくことによって,そのピトー管は次回に確信を持って使用できる。 

C.2 繰り返しの確認調査とメンテナンス 

ピトー管の使用前後で,先端部の損傷(くぼみなど)及び全圧,静圧孔の詰まりがないかを確認する。 

また,測定圧孔と圧取り出し口までガス圧が正しく伝わるかどうかも,空気を吹き込むなどして確認す

る。不良があるようならば,とくにピトー管内の導圧管や接合部にガス漏れがないかを確認する。両圧力

孔をすべて閉じて,水中での漏れの確認も必要である。 

修理後は,元通りの状態になっているか必ず校正を行い確認する。 

C.3 ガス流れ方向とピトー管の関係 

ピトー管は,管の先端を流れるガスに対して±10°以下の場合に正確な測定が行える。ガスの流れに対

して±10°以内でも,先端開口部が直面したときに動圧は最も大きくなる。また,このような方向の確認

によって,ダクト中の渦巻きなどの状況も把握できる。 

background image

31 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D(規定) ピトー管の校正 

標準形ピトー管以外のもの(図D.1)は,標準形ピトー管によって校正し,使用しなければならない。

この特殊なピトー管の先端断面は,ダクトの断面積の10%以下であり,プローブ管と組み合わせる場合に

重要である。校正は,校正用ダクト内の同一測定点で,通常の使用範囲のガス速度を考慮し,広い範囲に

わたり両者の圧力を比較して行う。 

実際に測定した後にも,校正を行うことが望ましい。 

ピトー管係数は次の式によって決定する。 

p

p

K

K

dard

s

dard

s

×

=

tan

tan

 ························································ (D.1) 

S形ピトー管の場合,その他の流れ部分においても,その係数が0.01以上変化してはならない。 

図D.1 ピトー管の概略図 

background image

32 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書E(規定) 

ダクトの直径の7倍の直管ダクトの必要条件に適合しない 

試料採取位置に関する推奨事項 

最小の直管ダクトの長さは本体9.2に準じ,精度は±10%以下が必要である(本体14.を参照)。この必

要条件に適合できない場合,次の推奨事項の措置をとる。 

a) 本体10.4にあるガス流の状況を確認する。 

b) 燃焼システム [6] (*)の経験に基づき,障害物などからの距離は十分にとる(表E.1)。 

本体9.2にあるような直管ダクトの長さが満たされない場合には,精度が±10%以下となるデータ

を提示する。新しいプラントを作る場合には,ダクトはこの規定に準じて作る必要がある。 

表E.1 障害物から試料採取点までの最小距離 

障害物 

距離動水力学径 

ダクトの曲り 

ダクトの接合部 

部分的なダクトの閉塞 

送風機の出口側 

33 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書F(規定) 

ダクト内の粒子質量流量を測定するための代替法 

この方法 [6] (*)は,試料ガスの流量の測定をダクト内に挿入したサイクロンとバックアップフィルター

の圧力損失から測定するものである(本体6.5を参照)。ピトー管の動圧値とこれらの装置の圧力損失値と

を比較し,等速吸引維持のために試料ガス流量を調節する。 

ダクト内の粒子質量流量qmは,この規定に基づいて求めた粒子質量m,試料採取断面積A,ノズル径a,

及び実際の試料採取時tから次式のようにして求める。 

a

A

t

m

qm

×

=

 ············································································(F.1) 

この方法は等速吸引が前提で,測定ダクトの断面とノズル断面積は正確(それぞれ±2%以内)に決定す

る(本体8.3と本体10.3を参照)。 

粒子濃度は,捕集した粒子の質量と吸引ガス量から算出する(本体13.5を参照)。 

34 

Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書G(参考) 参考文献 

[1] BELYAEV, S. P. and LEVIN, L. M. J. Aerosol Sci., vol. 3 (1972), pp. 124-140 and vol. 5, (1974), pp. 325-338. 

[2] BRENCHLEY, D. L, TURLY, C. D. and YARMAC, R. F. Industrial Source Sampling, Ann. Arbor Science Publ. 

Inc., ISBNO-250-40012-X. 

[3] BUTCHER, R. W. Sampling and measurement of particulate emissions from refinery installations, Concawe 

report NO. 4/80. 

[4] COOPER, H. B. H. Jr. Source Testing for Air Pollution Control, Mc Graw−Hill Book Company, London. 

[5] FUCHS, N. A. Atm. Envir., vol. 9 (1975), pp. 697-707. 

[6] HAWSKLEY, P. G. W., BADZIOCH, S. and BLACKETT, J. H. Measurements of Solids in Flue Gases, B. C, U. 

R. A.., The Institute of Fuel, London. 

[7] HERMANN, J. Staub in turbulenter Gasstromung−Staubverteilung und messtechnische Probleme−

Technische Universitat Munchen, April 1976. 

[8] KNAPP, K. T. The number of points needed for representative source sampling, Proceedings of the fourth 

national conference on energy and the environment, Cincinnati, OH, (1975), American Institute of chemical 

Engineers, Dayton. OH p. 563. 

[9] KRENS, R., Staubgehaltsmessungen instromenden Gasen, Lurgi : Apparatebau GmbH. 

[10] LELAND, B. J., HALL, J. L., JOENSEN, A. W. and CARROLL, J. M. Correction of S-Type Pitot-static tube 

coefficients when used for isokinetic sampling from stationary sources, Env. Sci, and Technology, II (1977), 

pp.694-700. 

[11] U. S. Environmental protection Agency. Quality Assurance Handbook for Air Pollution Measurement Systems 

vol. III (1977). Stationary Source Specific Methods. EPA 450/4-77-0276. Emissions Specific Methods. EPA 

450/4-77-0276. Emissions Monitoring and Support Laboratory, Research Triangle Park, NC USA.  

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Z 7151 : 2000 (ISO 9096 : 1992) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

石 岡   修 

財団法人日本品質保証機構 

(委員) 

大 嶋 清 治 

通商産業省工業技術院標準部 

飯 島   孝 

環境庁大気保全局 

小 暮 信 之 

通商産業省工業技術院資源環境技術総合研究所 

岩 崎 好 陽 

東京都環境科学研究所 

石 井 克 巳 

千葉県環境研究所 

佐 俣 満 夫 

横浜市環境科学研究所 

岡 野 友 宏 

株式会社岡野製作所 

今 上 一 成 

濁川理化工業株式会社 

木 村   康 

社団法人日本鉄鋼連盟 

横 山 隆 寿 

電気事業連合会 

土 屋 徳 之 

石油連盟 

村 松 英 樹 

社団法人セメント協会 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会 

(事務局) 

計 良 敏 雄 

社団法人日本環境測定分析協会