>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

Z 7121

:2006

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS Z XXXX

には,次に示す附属書がある。

附属書(参考)適用事例及び留意事項



Z 7121

:2006

(3)

目  次

ページ

序文 

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

2

4.

  LCI 調査の全般的事項 

3

4.1

  LCI 調査の主要な特徴 

3

4.2

  LCI 調査の構成段階 

4

5.

  目的及び調査範囲の設定 

5

5.1

  調査の目的 

5

5.2

  調査範囲 

5

6.

  インベントリ分析

11

6.1

  全般的事項 

11

6.2

  データ収集の準備

12

6.3

  データ収集 

13

6.4

  計算手順 

13

6.5

  フロー及び排出の配分 

15

7.

  LCI 結果の解釈

17

7.1

  全般的事項 

17

7.2

  重要な項目の特定

19

7.3

  評価

19

7.4

  結論及び提言 

21

8.

  調査報告

21

9.

  クリティカルレビュー 

24

9.1

  クリティカルレビューの一般的要求事項 

24

9.2

  クリティカルレビューの必要性

24

9.3

  クリティカルレビューの過程

25

附属書(参考)適用事例及び留意事項

26

1.

  附属書の用い方 

26

2.

  LCI 調査の構成要素

26

3.

  目的の設定に関する適用事例及び留意事項

29

4.

  機能,機能単位及び基準フローの設定に関する適用事例及び留意事項

31

5.

  システム境界の設定に関する留意事項 

38

6.

  システムを比較する場合の機能の特定及びシステム境界の設定に関する適用事例及び留意事項

39

7.

  単位プロセスの入力,出力及び境界の設定に関する適用事例及び留意事項 

51


Z 7121

:2006

8.

  データ収集に関する適用事例及び留意事項

58

9.

  配分の回避に関する適用事例及び留意事項

59

10.

  配分操作に関する適用事例及び留意事項 

61

11.

  循環的利用に対する配分操作の適用事例及び留意事項 

64

12.

  データ品質評価の実施に関する適用事例及び留意事項

79

13.

  感度分析の実施に関する適用事例及び留意事項 

83

14.

  LCI 結果の解釈に関する適用事例及び留意事項 

86

 


日本工業規格

JIS

 Z

7121

:2006

プラスチックの循環的利用段階を含む 
ライフサイクルインベントリ調査方法

Methods of life cycle inventory studies on plastics including recycling stages

序文  循環型社会の形成推進において,プラスチックの循環的利用は重要な課題の一つである。この課題

に対しては,ライフサイクルを通じて環境負荷を低減し,資源及びエネルギーを合理的に使用することが

求められている。このような課題の解決には,ライフサイクルアセスメント(LCA)が手法の一つとして

重要である。

LCA

に対しては,JIS Q 14040JIS Q 14041JIS Q 14042 及び JIS Q 14043 が制定されている。これら

の規格は,すべての製品又はサービスを対象としているため,一般的・共通的な内容となっており,特に,

循環的利用の取扱いについては詳述されていない。そこで,この規格は,プラスチックの循環的利用に的

を絞り,JIS Q 14040 シリーズの原則的な要求事項に適合し,かつ,プラスチックの循環的利用の特異性,

固有の事情などに応じた実践的な規格を目的として作成された。この規格は,ライフサイクルを通じた更

なる環境負荷低減及び資源・エネルギーの合理的使用に資するプラスチックの循環的利用の推進に役立つ

ことを意図している。

なお,この規格の適用範囲は,ライフサイクルインベントリ(LCI)調査であり,ライフサイクル影響

評価(LCIA)については規定していない。これは,プラスチックの循環的利用について,LCIA を実施し

ないということではない。LCIA に対する要求事項は,プラスチックの循環的利用に固有の事項ではない

ので,この規格に含めなかった。この規格に従って,調査の目的及び調査範囲の設定並びに LCI 分析を行

い,その結果を用いて LCIA を行う場合は,JIS Q 14042 を適用する。

1. 

適用範囲  この規格は,プラスチックの循環的利用段階を含むライフサイクルインベントリ調査(4.2

参照)の方法について,要求事項及び手順を規定する。

備考  “循環的利用段階を含む LCI 調査”には,例えば,次のような場合がある(附属書の 2.2 参照)。

−  循環的利用段階を含むライフサイクル全体を対象とした LCI 調査(

附属書図 参照)。

−  循環的利用段階に着目し,それ以前及び/又はそれ以降のライフサイクル段階を対象外とした

LCI

調査(

附属書図 参照)。

2. 

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 6900

  プラスチック―用語

JIS Q 14001

  環境マネジメントシステム―要求事項及び利用の手引

JIS Q 14021

  環境ラベル及び宣言―自己宣言による環境主張(タイプⅡ環境ラベル表示)

JIS Q 14040

  環境マネジメント―ライフサイクルアセスメント―原則及び枠組み


2

Z 7121

:2006

JIS Q 14041

  環境マネジメント―ライフサイクルアセスメント―目的及び調査範囲の設定並びにイ

ンベントリ分析

JIS Q 14042

  環境マネジメント―ライフサイクルアセスメント―ライフサイクル影響評価

JIS Q 14043

  環境マネジメント―ライフサイクルアセスメント―ライフサイクル解釈

JIS Q 14050

  環境マネジメント―用語

3. 

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,次による。

a)

プラスチック  必須の構成成分として高重合体を含み,かつ,完成製品への加工のある段階で流れに

よって形を与え得る材料(

1

)

JIS K 6900 参照)

(

1

)

同様に流れによって形を与え得る弾性材料は,プラスチックとして考えない。

b)

プラスチック製品  その全部又は一部にプラスチックを用いた製品(

2

)

備考  最終製品(

3

)

だけでなく,原材料(

4

)

・部品などの中間製品(

5

)

も含む。

(

2

)

“製品”の定義:すべての製品又はサービス(JIS Q 14021 参照)

この規格で単独で用いられる“製品”という用語は,

“製品又はサービス”と同義である。

“すべての製品”には,循環的利用製品が含まれる。

“すべてのサービス”には,使用済みプ

ラスチック製品を循環的に利用すること,適正に処理・処分することなどが含まれる。

(

3

)

“最終製品”の定義:使用前にそれ以上加工や変化を必要としない製品(JIS Q 14041 参照)

(

4

)

“原材料”の定義:製品を製造するために使用される一次材料又は二次材料(JIS Q 14040 参照)

一次材料とは原材料を意味し,二次材料とは何らかの加工を加えた中間素材を示す。

(

5

)

“中間製品”の定義:単位プロセスからの入力又は出力をいい,更に加工,変化が必要なもの

JIS Q 14041 参照)

c)

使用済みプラスチック製品  本来の目的又は用途として用いられなくなったプラスチック製品。

備考1.  使用済みプラスチック製品には,次のような例を含む。

−  プラスチック製品の製造工程から排出される端材,不合格品など。

−  その製造業者又は保有者にとって不要となった未使用のプラスチック製品。

−  その製造業者又は保有者にとって不要となった使用済みのプラスチック製品。

2.

使用済みプラスチック製品には,単一のプラスチックだけを含む場合,複数のプラスチック

を含む場合,プラスチックと他の物質(例えば,紙,金属,食品残さなど)とを含む場合な

どがある。

3. LCI

調査では,

“使用済み”と“廃棄”とを明確に区別しなければならない。

“使用済み”と

は,単にライフサイクルの中で製品が使用段階の後にあることを示し(

備考 1.の上二つの例

のように未使用の場合もある。

,その後,その製品の全部又は一部が再使用されたり,リサ

イクルされたり,廃棄のために中間処理されたり,そのまま廃棄される。一方,

“廃棄”とは,

その製品が循環的に利用されずに最終処分される場合だけを示している。

d)

再使用  使用済みプラスチック製品を製品として繰り返し使用すること,又は使用済みプラスチック

製品の全部若しくは一部を部品その他製品の一部として繰り返し使用すること。

e)

リサイクル  使用済みプラスチック製品の全部又は一部を原材料として再生利用すること。

f)

エネルギー回収  使用済みプラスチック製品を熱及び/又は電気を得ることに利用すること。

g)

循環的利用  再使用,リサイクル及びエネルギー回収。

h)

循環的利用製品  循環的利用によって得られる製品。


3

Z 7121

:2006

備考  原材料,部品,回収エネルギーなどを含む。

i)

再生原材料  リサイクルによって製造された原材料。

備考  再生原材料は,一部に新規原材料を含む場合がある。

j)

新規原材料  再生原材料を含まず,天然資源だけによって製造された原材料。

k)

新規製品  新規原材料だけによって製造された製品。

参考  リサイクルによって製造された製品を“再生製品”という。再生製品は,再生原材料だけでな

く,一部に新規原材料を用いて製造される場合がある。

l)

一次製品  循環的利用段階を含む製品システムにおいて,循環的利用される前の製品。

備考  この用語は,二次製品と対比して用いる。一次製品は,新規製品とは限らず,循環的利用製品

である場合もある。

m)

二次製品  循環的利用段階を含む製品システムにおいて,循環的利用によって得られる製品。

備考  この用語は,一次製品と対比して用いる。循環的利用製品とほぼ同義であるが,一次製品も循

環的利用製品である場合がある。二次製品は,一次製品と同じ場合と異なる場合とがある。

4. LCI

調査の全般的事項

4.1

LCI

調査の主要点  次に,LCI 調査の幾つかの主要点を示す。

− LCI 調査は,原材料の採取から最終処分に至る製品システム(

6

)

の環境側面(

7

)

を体系的,かつ,適切

に取り扱うことが望ましい。ただし,目的及び調査範囲の設定によっては,使用済みプラスチック

製品となるまでのライフサイクル段階及び/又は再生原材料となってからのライフサイクル段階を

他の製品システムとし,調査対象製品システムの境界外に設定して調査する場合もある(

附属書の

2.2

参照)

− LCI 調査の詳細度及び対象期間は,目的及び調査範囲の設定によって大幅に変わる場合がある。

− LCI 調査の調査範囲,前提条件,データ品質の記述,手法及び結果は,透明性(

8

)

を保つことが望ま

しい。LCI 調査においては,データ源について検討及び文書(

9

)

化し,明確,かつ,適切に伝達する

ことが望ましい。

− LCI 調査の意図した用途によっては,機密保持及び所有権にかかわる事項を尊重するための条項を

設定することが望ましい。

− LCI 手法は,新しい科学的な知見及び技術レベルの進展を柔軟に受け入れることが望ましい。

−  一般に対して開示する比較主張(

10

)

に用いることを意図している調査には,特定の要求事項を適用す

る(

附属書の 6.1 参照)。

− LCI 調査を実施するための単一の方法というものは存在しない。この規格の利用者の特定の用途及

び要求事項に基づいて,組織(

11

)

は実用的に LCI 調査を実施する柔軟性をもつことが望ましい。

(

6

)

“製品システム”の定義:一つ又はそれ以上の定義された機能を果たす,物質的及びエネルギ

ー的に結合された単位プロセス(

12

)

の集合体(JIS Q 14040 参照)

この規格の中で単独で使用される“製品”という用語は,製品システムだけでなくサービス

システムを含む場合がある(JIS Q 14040 参照)

(

7

“環境側面”の定義:環境(

13

)

と相互に影響し得る,組織の活動,製品又はサービスの要素(JIS 

Q 14001

参照)

(

8

“透明性”の定義:開かれた,包括的で分かりやすい情報の提示(JIS Q 14040 参照)

(

9

“文書”の定義:情報及びそれを保持する媒体(JIS Q 14041 参照)


4

Z 7121

:2006

(

10

)  

“比較主張”の定義:ある製品と同一の機能をもつ競合製品に対する優越性,又は同等性に関

する環境主張(

11

)

JIS Q 14040 参照)

(

11

“環境主張”の定義:製品,部品又は包装の環境側面を示す説明文,シンボル又は図表(JIS Q 

14050

参照)

(

12

)  

“組織”の定義:法人か否か,公的か私的かを問わず,独立の機能及び管理体制をもつ,企業,

会社,事業所,官公庁,協会,又はそれらの一部若しくは結合体(JIS Q 14001 参照)

(

13

)  

“単位プロセス”の定義:LCA を実施する際に,データを収集するための製品システムの最

小部分(JIS Q 14040 及び

附属書の 2.3 参照)。

(

14

)  

“環境”の定義:大気,水質,土地,天然資源,植物,動物,人及びそれらの相互関係を含む,

組織の活動をとりまくもの。

ここでいう“とりまく”とは,組織内から地球規模のシステムにまで及ぶ。

JIS Q 14001 

照)

4.2 LCI

調査の構成段階  LCI 調査は,図 に示すように,目的及び調査範囲の設定,LCI 分析(

15

)

並び

に結果の解釈(

16

)

を含まなければならない。JIS Q 14040JIS Q 14041 及び JIS Q 14043 の要求事項及び推

奨事項は,影響評価(

17

)

に関する条項を除いて,この規格に従って実施する LCI 調査にも適用される。

一般に対して開示する比較主張を意図している場合,LCI 調査だけで比較主張の根拠としてはならず,

影響評価を実施しなければならない。

LCI

分析の結果を用いて影響評価を行う場合は,JIS Q 14040JIS Q 14042 及び JIS Q 14043 の影響評価

に関する要求事項及び推奨事項を適用する。

LCI

調査の結果は,種々の意志決定過程への有用な判断材料となり得る。LCI 調査の結果の用途は,こ

の規格の適用範囲外であり,この規格では規定しない。

備考  この図で,太枠で示した三つの段階が,LCI 調査の構成段階である。LCA 調査

は,これらに影響評価段階を含めたものである。矢印は,調査作業の流れを示
す。 

  1  ライフサイクルアセスメントの構成段階

目的及び調査

範囲の設定

インベントリ

分析(LCI)

影響評価

(LCIA)

−製品の開発及び改善

−戦略立案

−政策立案

−マーケティング

−その他

LCA

の構成段階

調査結果の直接の用途


5

Z 7121

:2006

(

15

“ライフサイクルインベントリ(LCI)分析”の定義:対象とする製品システムに対する,ライ

フサイクル(

18

)

全体を通しての入力(

19

)

及び出力(

20

)

のまとめ,並びに定量化を行う LCA(

21

)

の構成

段階(JIS Q 14040 参照)

特に注記がない限り,

“インベントリ分析”は LCI 分析を意味する。

(

16

“ライフサイクル解釈”の定義:LCI 分析若しくは影響評価のいずれか,又はその両方から得

られた知見を,LCA の結論及び提言を得るために,設定した目的及び調査範囲に整合するよう

に統合する LCA の構成段階(JIS Q 14040 参照)

特に注記がない限り,

“解釈”はライフサイクル解釈を意味する。

(

17

“ライフサイクル影響評価(LCIA)

”の定義:製品システムの潜在的な環境影響(

22

)

の大きさ,

及び重要度を理解し評価することを目的とした,LCA の構成段階(JIS Q 14040 参照)

特に注記がない限り,

“影響評価”はライフサイクル影響評価を意味する。

(

18

“ライフサイクル”の定義:原材料の採取,又は天然資源の産出から最終処分までの,連続的

で相互に関連する製品システムの段階(JIS Q 14040 参照)

(

19

“入力”の定義:単位プロセスに入る物質又はエネルギー(JIS Q 14040 参照)

(

20

“出力”の定義:単位プロセスから出る物質又はエネルギー(JIS Q 14040 参照)

(

21

“ライフサイクルアセスメント(LCA)

”の定義:製品システムのライフサイクルを通した入力,

出力,及び潜在的な環境影響のまとめ並びに評価(JIS Q 14040 参照)

潜在的とは,

“顕在化していないもの,及び実際には存在しないかもしれないものも含む可能

性や見込み”を意味する。

(

22

“環境影響”の定義:有害か有益かを問わず,全体的に又は部分的に組織の活動,製品又はサ

ービスから生じる,環境に対するあらゆる変化(JIS Q 14001 参照)

5. 

目的及び調査範囲の設定  LCI 調査の目的及び調査範囲は,明確に設定し,その意図した用途に整合

していなければならない。

5.1 

調査の目的  LCI 調査の目的を設定するときは,意図する用途(

23

)

,調査を実施する理由,意図する

伝達先,すなわち,調査の結果を伝えようとしている相手,及び一般に対して開示する比較主張に調査結

果を用いることを意図しているか否かを,あいまいさのないように記述しなければならない。一般に対し

て開示する比較主張を意図している場合は,LCI 分析の結果を用いて影響評価を行わなければならない。

附属書の 3.に目的設定の事例を示す。

(

23

この規格では,LCI 調査の用途を規定していないが,LCI 調査の実施者(従事者)は,目的設

定において LCI 調査結果の用途を明記しなければならない。

5.2 

調査範囲

5.2.1 

調査範囲設定の全般的事項  LCI 調査の調査範囲を設定するときは,調査目的を達成するために次

の事項を考慮し,明確に記述しなければならない。

−  製品システム又は比較調査の場合は複数の製品システムがもつ機能(5.2.2 及び 5.2.4 参照)

−  機能単位(5.2.2 参照)

−  調査対象の製品システム(5.2.3 参照)

−  製品システム境界(5.2.3 参照)

−  配分の手順(6.5 参照)

−  解釈の方法(7.参照)


6

Z 7121

:2006

−  必要とするデータ(5.2.5 及び 5.2.6 参照)

−  前提条件

−  限界(7.参照)

−  データ品質要件(5.2.7 参照)

−  実施する場合には,クリティカルレビューの種類(5.2.8 及び 9.参照)

−  調査に要求される報告書の種類及び書式(8.参照)

調査の広がり,深さ及び詳細度が,設定した目的を取り扱うことと矛盾なく,かつ,十分であるように,

調査範囲は十分適切に設定することが望ましい。

LCI

調査は,反復的な技法であると認識することが望ましい。すなわち,データ及び情報が収集される

に伴い,設定した調査の目的に合致させるために,調査範囲の種々の面で修正が必要となることもある。

場合によっては,予期しない制限,制約によって,又は追加情報の結果として,調査の目的自体を改訂し

てもよい。このような変更は,その根拠とともに明確に文書化することが望ましい。

5.2.2 

機能,機能単位及び基準フロー  LCI 調査の調査範囲を設定するときには,調査対象システムの機

能(性能特性)を明確に述べなければならない。

一つのシステムは,数多くの機能をもつ場合があり,調査において選定する機能は,調査の目的及び調

査範囲に依存する。それぞれの機能に対応する機能単位(

24

)

を定義しなければならない。

(

24

“機能単位”の定義:LCA 調査において,基準単位として用いられる定量化された製品システ

ムの性能(JIS Q 14040 参照)

機能単位とは,製品システムが提供する機能を示す性能の定量的尺度である。機能単位を導入する主目

的の一つは,入力及び出力のデータを正規化(数学的な意味で)する基準を提供することである。したが

って,機能単位は明確に定義し,計量可能でなければならない。機能単位は,目的及び調査範囲に整合し

ていなければならない。

機能単位は,

調査結果の比較可能性を保証するのに必要となる。異なったシステムを評価するときには,

調査結果の比較可能性,すなわち,その比較が共通の基準に基づいていることを保証することが不可欠で

ある。

機能単位を定義した後,その機能を満たすのに必要となる製品量を定量化しなければならない。この定

量化の結果が基準フロー(

25

)

である。基準フローは,システムの入力及び出力を計算するのに用いる。

(

25

“基準フロー”の定義:機能単位で表される機能を満たすのに必要な与えられた製品システム

内のプロセスからの出力の定量的尺度(JIS Q 14041 参照)

システム間の比較は,同一の機能に基づいて行わなければならない。その機能は,それぞれの基準フロ

ーによって形成される同一の機能単位によって定量化しなければならない。

例  “使用済み PET ボトルを処理処分する”という機能 y について,リサイクルによる繊維製品製造

(システム A)及び単純焼却(システム B)の両システムの比較例を示す。機能 y に対する機能

単位は,

それぞれのシステムが処理処分する使用済み PET ボトルの質量で表現してよい

(例えば,

“1 kg の使用済み PET ボトルの処理処分”

。基準フローは,例えば,

“処理処分する使用済み PET

ボトル 1 kg”となる。この基準フローに基づいて,両システムにおける入力及び出力のインベン

トリをまとめることができる。

機能単位の比較において,いずれかの付加機能を考慮しない場合は,これらの省略について文書化しな

ければならない。例えば,システム A(

例  使用済み PET ボトルのリサイクルによる繊維製品製造)とシ

ステム B(

例  使用済み PET ボトルの単純焼却)とは,選択した同一の機能単位(例  1 kg の使用済み PET


7

Z 7121

:2006

ボトルの処理処分)で表現できる機能 y(

例  使用済み PET ボトルの処理処分)を果たすものとする。シ

ステム A が,更に,その機能単位で表せない機能 z[

例  繊維製品製造(例えば,0.8 kg の再生繊維製品)]

をも果たす場合,機能 z がこの機能単位に含まれないことを文書化しなければならない。又は,その代わ

りに両システムの比較の妥当性を高めるために,機能 z を提供する付加的システム(

例  天然資源を直接

用いた原材料からの新規繊維製品 0.8 kg の製造)

をシステム B の境界内に加えてもよい。

いずれの場合も,

採用した手順を文書に残し,その正当性を示さなければならない。

機能,機能単位及び基準フローの設定については,

附属書の 4.に事例を示す。また,機能単位の比較に

ついては,

附属書の 6.に事例を示す。

5.2.3 

システム境界  システム境界(

26

)

は,モデル化するシステムに含まれる単位プロセスを規定する(

属書の 2.22.3 及び 2.5 参照)。

(

26

“システム境界”の定義:製品システムと,環境又は他の製品システムとの境界(JIS Q 14040

参照)

幾つかの要因が,システム境界を決定する。その中には,調査の意図する用途,前提条件,カットオフ

基準(

27

)

,データ及び費用の制約,並びに意図する伝達先が含まれる。

(

27

単位プロセス又は製品システムに関連する物質若しくはエネルギーのフロー量又は環境面の重

要性の程度であって,調査から除外するための基準(5.2.6 参照)

入力及び出力の選定,同一データ区分内での集約の程度,及び製品システムのモデル化は,調査の目的

に整合していなければならない。システム境界を設定するときの基準は,調査範囲の設定段階で特定し,

かつ,その妥当性を示さなければならない。一般に対して開示する比較主張に用いることを意図している

調査では,物質及びエネルギーの流れを調査範囲に含めるべきかどうかを決定するための分析を行わなけ

ればならない。

理想的には,その境界における入力及び出力は,基本フロー(

28

)

で表し,設定した境界と環境との間に人

為的な変化が加わらないものとなるように製品システムをモデル化することが望ましい。多くの場合,そ

のような包括的な調査を実施する十分な時間,データ又は(人的・物質的・経済的)資源がない。調査に

よってどの単位プロセスをモデル化すべきか,及びどの程度詳細に調査しなければならないかを決定しな

ければならない。調査の包括的な結論に重大な影響を与えないような入力及び出力の定量化に資源を費や

す必要はない。

(

28

“基本フロー”の定義:(1)  調査対象のシステムに入る物質又はエネルギーで,事前に人為的な

変化を加えずに環境から取り込まれたもの。  (2)  調査対象のシステムから出る物質又はエネル

ギーで,事後に人為的な変化を加えずに環境へ排出されるもの(JIS Q 14040 参照)

どの環境排出物を評価すべきか,また,その評価の詳細度をどの程度にすべきかに関する決定を行わな

ければならない。多くの場合,当初設定したシステム境界は,予備作業(6.4.5 参照)の結果に基づいて見

直すことになる。入力及び出力の選択を補助するために用いた判断基準は,明確に理解し記述することが

望ましい。この手順のより詳細な指針は,5.2.6 に示す。

ライフサイクル段階,プロセス,又は入出力の省略決定を下した場合は,これを明確に記述し,その妥

当性を示さなければならない。

システム境界の設定に用いる基準は,

調査結果が妥協の産物ではないこと,

及び設定した目的に合致することを保証するとき,その信頼性を左右するものである。

幾つかのライフサイクル段階,単位プロセス,及びフローは,考慮しておくことが望ましい。例えば:

−  主要な一連の製造・処理工程(使用済みプラスチック製品の回収,再使用,リサイクル及びエネ

ルギー回収を含む。

)中の入力及び出力


8

Z 7121

:2006

−  配送・輸送

−  燃料,電気及び熱の製造及び使用

−  製品の使用及び維持管理

−  プロセス廃棄物及び製品の処分

−  補助材料の製造

−  資本設備の製造,維持管理及び解体

−  照明,暖房などの付加的要素

−  (実施するならば)影響評価に関連するその他の配慮

単位プロセス及びその相互関係を示すプロセスフローを用いてシステムを記述することは,

有用である。

各単位プロセスは,最初に次の事項を明確に記述することが望ましい。

−  原材料又は中間製品の受入れ,単位プロセスの始点

−  単位プロセス内で生じる変化及び操作の性質

−  中間製品又は最終製品の行き先,単位プロセスの終点

どの入力及び出力データを他の製品システムまで追跡するべきかは,配分手順を含めて決めることが望

ましい。他の LCA 従事者(

29

)

が同じインベントリ分析をできるように,システムは十分に詳細,かつ,明

確に記述することが望ましい。

(

29

) 

“LCA 従事者”の定義:LCA を実行する個人又は団体(JIS Q 14040 参照)

この規格では,この用語及び定義における“LCA”を“LCI 調査”と読み替える。したがっ

て,この規格において“LCA 従事者”は,

“LCI 調査を実行する LCI 調査従事者”を意味する。

システム境界の設定については,

附属書の 5.に留意事項を示す。

5.2.4 

システム間の比較  比較調査の場合,結果を解釈する前に,比較対象システムの同等性を評価しな

ければならない。システムは,同一の機能単位及び等価的な方法論的考察によって比較しなければならな

い。方法論的考察には,例えば,性能,システム境界,データ品質,配分の手順,入力及び出力を評価す

る判断基準,影響評価などが含まれる。これらの項目に関してシステム間のどんな差異も明示し,かつ,

報告しなければならない。

一般に対して開示する比較主張を意図している場合には,9.3.4 のクリティカルレビューの過程に従って

この評価を実施しなければならない。一般に対して開示する比較主張に対するもう一つの要求事項は,影

響評価を実施しなければならないことである。

比較調査における機能の特定及びシステム境界の設定については,

附属書の 6.に事例を示す。

5.2.5 

データ区分  LCI 調査に必要なデータは,調査の目的に依存する。そのようなデータは,システム

境界内の単位プロセスに関する生産現場から収集してもよい。又は,公表された情報源から入手,若しく

は計算してもよい。実際は,すべてのデータ区分に測定,計算又は推定で得たデータが混在する。

附属書

の 2.4 では,システム境界内の各単位プロセスにおいて定量化する入力及び出力の主な項目を概説してい

る。調査でどのデータ区分を用いるかを決定するときには,これらのデータ区分を検討することが望まし

い。調査の目的を達成するために,個別のデータ区分を更に詳細に検討することが望ましい。

エネルギーの入力及び出力は,LCI における他の入力又は出力と同様に扱わなければならない。種々の

エネルギーの入力及び出力は,モデル化するシステムの中で使われる燃料,フィードストックエネルギー

(

30

)

及びプロセスエネルギー(

31

)

の生産並びに配送に関連する入力及び出力を含まなければならない。

(

30

“フィードストックエネルギー”の定義:エネルギー源として使われない製品システムへの原

材料入力の燃焼熱。これは,高位発熱量又は低位発熱量で表現される(JIS Q 14041 参照)


9

Z 7121

:2006

(

31

“プロセスエネルギー”の定義:プロセス又はプロセス内の設備を作動させるのに必要な,単

位プロセスへのエネルギー入力(

32

)

をいい,そのエネルギーの生産及び輸送のためのエネルギー

入力を除く(JIS Q 14041 参照)

(

32

“エネルギーフロー”の定義:単位プロセス又は製品システムへの入力又はそこからの出力で,

エネルギー単位で定量化されるもの。入力されるエネルギーフローはエネルギー入力と呼び,

出力されるエネルギーフローはエネルギー出力と呼ぶ場合がある(JIS Q 14041 参照)

大気圏,水圏及び陸圏への排出物は,しばしば,排出制御装置を通過した後,点源又は分散発生源から

の放出量で表される。有意な場合は,データ区分に漏えい(洩)排出物(

33

)

も含めることが望ましい。指標

値[例えば,生物化学的酸素要求量(BOD)

]を用いてもよい。

(

33

“漏えい(洩)排出物”の定義:大気圏,水圏又は陸圏への管理下にない排出物(

例  パイプ

ラインの結合部から漏出した物質)

JIS Q 14041 参照)

その他のデータ区分で入力及び出力データが収集されるものには,例えば,騒音及び振動,土地利用,

放射線,臭気並びに廃熱がある。

5.2.6 

入力及び出力の初期選択基準  調査範囲の設定において,インベントリ分析のために初期の入力及

び出力を選択する。この手順は,製品システムへの一つ一つの入力及び出力をモデル化することが,実際

的ではない場合が多いことを認めたものである。どの入力及び出力を境界外の環境までたどるべきか,換

言すれば,入力を生じる又は出力を受け取る単位プロセスのうち,どれを調査対象の製品システムに含め

るべきかを特定するのは,反復的作業である。通常は,この初期の特定作業は,利用可能なデータを用い

て行う。追加データを調査過程で収集した後,入力及び出力をより完全に特定し,感度分析(

34

)

にかけるこ

とが望ましい(6.4.5 参照)

(

34

“感度分析”の定義:選択した手法及びデータが調査結果へ及ぼす影響を見積もるための系統

的手順(JIS Q 14041 参照)

入力及び出力の採択基準(カットオフ基準)並びに前提条件については,明確に記述しなければならな

い。選択した基準が調査結果に及ぼす潜在的な影響も評価し,また,最終報告書に記述しなければならな

い。

物質の入力に対して,分析は調査対象の入力の初期選択から始まる。この選択は,モデル化対象の各単

位プロセスに関連する入力を特定することに基づくことが望ましい。この作業は,特定の現場又は公表さ

れた情報源から集めたデータを用いて行ってもよい。この作業の目的は,各単位プロセスに関する重要な

入力を特定することである。

LCI

調査の実施で,調査対象とすべき入力及び出力の決定に幾つかの基準を用いる。例えば,質量 a)

エネルギーb)及び環境関連事項 c)である。入力の初期特定を質量の寄与だけで行うと,重要な入力が調査

から除かれてしまうことがある。したがって,このプロセスでは,エネルギーと環境関連事項も基準とし

て用いることが望ましい。

a)

質量  質量を評価基準として用いるとき,モデル化する製品システムの質量入力の設定比率以上に累

積寄与が大きくなるような入力すべてを調査に含めることが,適切な判断として要求される(

附属書

の 7.5 の a)参照)

b)

エネルギー  同様に,エネルギーを評価基準として用いるとき,製品システムのエネルギー入力の設

定比率以上に累積寄与が大きくなるような入力を調査に含めることが,適切な判断として要求される

附属書の 7.5 の b)参照)。


10

Z 7121

:2006

c)

環境関連事項  環境関連事項の基準に関する判断では,製品システムの各データ区分の推定量に対し

て追加的に設定した比率以上に大きく寄与する入力を含めることが望ましい

附属書の 7.5 の c)参照)。

例えば,データ区分として硫黄酸化物を選択したときは,製品システムの総硫黄酸化物排出量に対し

て事前に設定した比率以上に寄与するいかなる入力も含めるという基準を設定することができる。

これらの基準は,例えば,最終廃棄物処理工程を対象システム内に含めることによって,どの出力をシ

ステム境界外の環境まで追うべきかを特定することにも用いることができる。

例  排ガス,排水及び固形廃棄物の最終処理工程をシステム境界内に含め,システムからの出力を基

本フローにより近づけ,a)c)のカットオフ基準を用いることによって,どの出力を調査に含め,

システム境界外の環境まで追うべきかを決定する。

調査が,公表する比較主張の根拠として用いることを意図している場合,この項で概説したように入力

及び出力データの最終的な感度分析には,質量,エネルギー及び環境関連事項の基準を含めなければなら

ない。この手続きによって特定し,選択した入力(出力)すべては,基本フローとしてモデル化すること

が望ましい。

入力及び出力の選択基準については,

附属書の 7.に事例を示す。

5.2.7 

データ品質要件  データ品質(

35

)

に関する記述は,調査結果の信頼性を理解し,調査の成果を適切

に解釈する上で重要である。データ品質要件は,調査の目的及び調査範囲に合致するように規定しなけれ

ばならない。データ品質は,データの収集及び整理統合に用いる手法に依存するとともに,量的及び質的

な側面によって表現することが望ましい。

(

35

“データ品質”の定義:設定された要件への適合性を示すデータの特性(JIS Q 14041 参照)

データ品質要件では,次のパラメータを定義できるようにすることが望ましい。

時間に関する有効範囲  望ましいデータ取得からの経過時間(例えば,過去 5 年以内)及び最低

限のデータ収集期間(例えば,1 年間)

附属書の 12.3.2 参照)。

地理的な有効範囲  調査目的を満たすため,単位プロセスに関するデータを収集すべき地理的な

広がり(例えば,局所的,地域的,国単位,大陸規模,地球規模)

附属書の 12.3.3 参照)。

技術の有効範囲  技術の組合せ(例えば,実際の工程の分布に応じた重み付け,適用可能な最高

水準の技術又は最悪の操業単位,適用可能な使用済みプラスチック製品の組成,忌避材料)

附属

書の 12.3.4 参照)。

さらに,例えば,特定現場から収集したデータか又は公表情報源からのデータか,そのデータは測定,

計算又は推定のいずれであるかなど,データの性格を明らかにする記述も考慮しなければならない。

5.2.6

に示す感度分析で決定されるように,調査対象システムの物質及びエネルギーフローに大きな寄与

をする単位プロセスに対しては,特定の現場データ又は代表的な平均データを用いることが望ましい。環

境にとって重要な物質を排出すると考えられる単位プロセスに対しても,特定現場からのデータを用いる

ことが望ましい。

すべての調査において,更に次のデータ品質要件を,目的及び調査範囲の設定に応じた詳細度で検討し

なければならない。

精度  選択した各データ区分について,データ値の変動性の尺度(例えば,分散)(附属書の 12.4.2

参照)

完全性  単位プロセスの各データ区分について,潜在的に存在する数に対して実際のデータ報告

場所が占める割合(

附属書の 12.4.3 参照)。


11

Z 7121

:2006

代表性  取得データが,対象としている真の母集団をどの程度反映しているかを示す定性的な評

価(すなわち,地理的,時間的及び技術的な有効範囲)

附属書の 12.4.4 参照)。

整合性  調査方法論をどの程度均一に,分析の種々の要素に適用したかを示す定性的な評価(附

属書の 12.4.5 参照)。

再現性  該当の調査に無関係な LCA 従事者が,記述されている方法論とデータ値に関する情報に

よって,調査で報告されている結果をどの程度再現できるかを示す定性的な評価(

附属書の 12.4.6

参照)

一般に対して開示する比較主張の根拠として用いることを意図している場合は,この項に記述されてい

るすべてのデータ品質要件を調査に含まなければならない。

5.2.8 

クリティカルレビューにかかわる検討事項  クリティカルレビューは,LCI 調査が,手法,データ

及び報告に対するこの規格の要求事項に合致しているかどうかを検証する技法である。

通常,クリティカルレビューの実施は任意である。クリティカルレビューを実施するかどうか,実施す

る場合は,いかに実施するか,誰が実施するか,及びクリティカルレビューの種類(9.3 参照)は,調査範

囲の設定段階において決定しなければならない。

ただし,一般に対して開示する比較主張に調査結果を用いることを意図している場合には,9.3.4 に従っ

てクリティカルレビューを実施しなければならない。

6. 

インベントリ分析

6.1 

全般的事項  インベントリ分析は,製品システムに関連する入力及び出力を定量化するためのデー

タ収集及び計算手順を含む。このような入力及び出力は,システムに関連した資源の使用並びに大気圏,

水圏及び陸圏への排出を含む場合がある。LCA の目的及び調査範囲によっては,これらのデータから解釈

が導かれる場合もある(これを LCI 調査という。

。これらのデータは,ライフサイクル影響評価への入力

情報にもなる。

インベントリ分析を実施する過程は,反復的なものである。システムに関してデータを収集し,より多

くのことが明らかになるにつれて,調査の目的に合致するようにデータ収集手順の変更を要する新しいデ

ータの要件,又は限界が特定されてくることもある。ときには,調査の目的又は調査範囲を変更しなけれ

ばならないような問題が明らかになる場合もある。

インベントリ分析は,

図 に概説されている実施手順に沿って実行することが望ましい。


12

Z 7121

:2006

  2  インベントリ分析手順の概要(一部の反復的ステップは示されていない。)

6.2 

データ収集の準備  データ収集に用いる手順は,調査範囲,単位プロセス,又は意図した用途によ

って変わる場合もある。データ収集は,多大な(人的・物質的・経済的)資源を必要とする過程となるこ

ともある。データ収集における実際上の制約は,調査範囲の中で考慮し,調査報告の中で文書化すること

が望ましい。

LCI

調査の範囲設定によって,単位プロセス及び関連するデータ区分の初期設定が確立する。データ収

集は,幾つかの報告現場(

36

)

及び公表文献に及ぶので,モデル化する製品システムの統一的,かつ,整合性

のある理解がなされるような幾つかの手順が有用である。

これらの手順には,次の事項を含むことが望ましい。

−  相互関係を含めたモデル化するすべての単位プロセスの輪郭を示す明確なプロセスフロー図の作

成。

−  各単位プロセスの詳細な記述及び各単位プロセスに関連するデータ区分リストの作成。

−  測定単位を明示したリストの作成。

目的及び調査範囲の設定

( 5. 

データ収集の準備

( 6.2 

データ収集 ( 6.3 

データの妥当性の検証

( 6.4.2 

データの単位プロセスへ
の関連付け

( 6.4.3 

データの機能単位への関
連付け

( 6.4.4 

データの集約

( 6.4.4 

システム境界の精査

( 6.4.5 

データ収集調査票

収集データ

妥当性を検証したデータ

単位プロセスごとに

妥当性を検証したデータ

計算したインベントリ

機能単位ごとに

妥当性を検証したデータ

完成したインベントリ

データ収集調査票の改訂

更に必要なデータ

又は単位プロセス

フロー及び排出の配分

( 6.5 


13

Z 7121

:2006

−  各データ区分に対するデータ収集手法と計算手法の明示。これは報告現場の担当者が LCI 調査に

どのような情報が必要かを理解するのに役立つ。及び:

−  報告現場において提供データにかかわる特殊事情,不規則性又は他の事項を明文化するための指

示書の提供。

データ収集調査票の一例を

附属書表 に示す(附属書の 7.及び 8.参照)。

(

36

報告現場とは,実際に入出力データを収集する場所及び人をいう。

6.3 

データ収集  インベントリに含まれる定性的及び定量的データは,システム境界内に含まれる各単

位プロセスに対して収集しなければならない。

データ収集に用いる手順は,LCI 調査によってモデル化する種々のシステムの各単位プロセスによって

異なる。手順は,また,調査への参加者の構成及び資格,並びに(データに関する)所有権及び機密の両

方に関する要求事項を満たすための必要項目によっても異なる場合がある。この手順と理由は,文書化し

ておくことが望ましい。

データ収集には,調査する各単位プロセスについての十分な知識が必要である。二重計算や欠損を避け

るため,各単位プロセスの説明を記録しておかなければならない。これには,どこがプロセスの始点と終

点かを決定する入力及び出力並びに単位プロセスの機能に関する定量的,

かつ,

定性的な記述が含まれる。

特に,使用済みプラスチック製品に関する入力及び出力については,その組成,性状,品位などを記述す

ることが望ましい(

附属書の 4.7.1 参照)。単位プロセスが,複数の入力をもつ場合[例えば,ガス化プラ

ントへの使用済みプラスチック製品,水蒸気,空気(酸素)など複数の入力]

,又は複数の出力をもつ場合

(例えば,コークス炉からのコークス炉ガス,炭化水素油,コークスなどの複数の出力)

,配分手順に関す

るデータを文書化し,かつ,報告しなければならない。エネルギー入力及び出力は,エネルギーの単位で

定量化しなければならない。適用可能な場合には,燃料の質量又は体積,種類及び発熱量を記録しておく

ことが望ましい。また,水蒸気の温度及び圧力も記録しておくことが望ましい。

公表文献からデータを収集した場合には,その出典を明記しなければならない。調査の結論に対して重

要なデータで,文献から収集したものに関しては,関連データ収集の手順,データの収集時期及びデータ

品質指標を詳述している公表文献を示さなければならない。そのようなデータが初期のデータ品質要件に

適合しない場合には,その旨を記述しておかなければならない。

6.4 

計算手順

6.4.1 

全般的事項  データ収集の後,定義したシステムのインベントリ結果を導き出すために,モデル化

すべき製品システムの各単位プロセス,及び設定した機能単位に対応する計算手順が必要となる。

エネルギーフローの計算では,エネルギーの発生及び使用にかかわる入力及び出力とともに,利用する

燃料の種類及び電源構成,エネルギーの変換効率並びに輸送効率を考慮することが望ましい。

電力の生産に関する基本フローを決定するとき,電源構成,並びに燃焼,変換,送電及び配電の効率を

考慮に入れなければならない。電力以外のエネルギーが併産されるときは,それらのエネルギー間での配

分を考慮に入れなければならない。また,水蒸気の生産に関する基本フローを決定するとき,燃料,並び

に燃焼及び変換の効率を考慮に入れなければならない。設定した前提条件は明確に記述し,論拠を示さな

ければならない。可能な場合には,消費される各種の燃料を反映するために,現実の電力量の構成を用い

ることが望ましい。

可燃物,例えば,石油,ガス,又は石炭に関する入力及び出力は,それぞれの発熱量を乗じることによ

って,エネルギー入力又は出力に変換できる。ここで,高位発熱量又は低位発熱量のいずれを用いたかを

報告しなければならない。調査を通じて同じ計算手続きを一貫して用いることが望ましい。


14

Z 7121

:2006

データ計算には,幾つかの実施手順が必要である。これらは,後述の 6.4.2 から 6.4.5 まで及び 6.5 で説

明する。すべての計算手順は,明確に文書化しなければならない。

6.4.2 

データの妥当性の検証  データ収集の過程で,データの妥当性を検証しなければならない。これに

は,例えば,物質収支やエネルギー収支の確認及び/又は排出係数の比較分析を含む場合がある。こうした

妥当性検証手順で明白な異常データが示された場合には,5.2.7 のデータ品質要件に適合する代替データが

必要となる。

欠落データが特定された各データ区分及び各報告現場に対して,欠落データ及びデータ欠損を次のよう

に扱うことが望ましい(

附属書の 12.4.7 参照)。

−  根拠が示された“非ゼロ”データ値。

−  根拠が示された場合は,

“ゼロ”データ値。

−  又は,類似の技術を採用している単位プロセスから得られる数値に基づく計算値。

欠落データの取扱いは文書化しなければならない。

6.4.3 

データの単位プロセスへの関連付け  各単位プロセスに対して,適切な基準フロー量を決定しなけ

ればならない(例えば,材料 1 kg 又はエネルギー1 MJ)

。基準フロー量として使用済みプラスチック製品

を設定する場合は,その組成,性状,品位などを記述することが望ましい(

附属書の 4.7.1 参照)。単位プ

ロセスの定量的な入力及び出力は,この基準フロー量と関係付けて計算しなければならない。

参考  単位プロセスへの関連付けとは,単位プロセスごとに定めた主要製品又は対象物質に対する基

準フロー(量)に対応してデータを計算することである。単位プロセスごとの基準フロー(量)

を,そのプロセスが機能することで得られる主要製品単位量(1 kg,1 kW・h など)にとると,

はん(汎)用的に利用できる LCI データ(原単位データ)として整理できる。

6.4.4 

データの機能単位への関連付け及びデータの集約  フロー図及びシステム境界に基づいて,システ

ム全体に関する計算が可能となるように,単位プロセスは相互結合されている。これはシステム内のすべ

ての単位プロセスのフローの量を,機能単位で正規化することによって達成できる。計算によって,シス

テムのすべての入力及び出力を機能単位に関連付けることが望ましい。

参考  機能単位への関連付けとは,各単位プロセスに関連付けたデータをライフサイクル全体で集計

できるように,LCI 調査対象の機能単位相当になるようある係数を乗じて換算する作業のこと

である。この作業の結果,エネルギー又は物質フローによる前後の単位プロセス間での連結を

確定し,ライフサイクル全体での集計が可能となる。この作業をすることで,各単位プロセス

のデータ値は,LCI 調査の対象となる製品システムの基準フローに対応した数値に換算される

ことになる。

製品システム中の入力及び出力を集約するときには注意を払うことが望ましい。集約のレベルは,調査

の目的を満たすのに十分なものであることが望ましい。同等の物質及び類似の環境影響に関連するデータ

区分どうし以外は集約すべきでない。更に詳細な集約規則が必要な場合は,調査の目的及び範囲の設定段

階でその根拠を示すか,又は以後の影響評価段階にゆだねることが望ましい。

6.4.5 

システム境界の精査  LCI 調査の反復的な性質を考慮して,評価にどのデータを含めるかはその有

意性を決める感度分析に基づかなければならない(

附属書の 13.参照)。そして,それによって 5.2.6 に概説

した初期分析を検証しなければならない。初期の製品システム境界は,調査範囲を設定するときに設定し

たカットオフ基準に従って,適切に修正しなければならない。感度分析によって,次の結果を得る場合が

ある。

−  感度分析によって有意性がないことが見出された場合,該当するライフサイクル段階又は単位プ


15

Z 7121

:2006

ロセスの除外。

−  調査結果に対して有意な影響を及ぼさない入力及び出力の除外。

−  感度分析で有意性が示された新しい単位プロセス,入力及び出力の追加。

この精査の過程及び感度分析の結果は,文書化しなければならない。この分析によって,以後のデータ

の取扱いは,LCI 調査の目的に対して有意であると判定された入力及び出力データに限定できる。

参考  システム境界の精査とは,LCI 調査の目的にかなうだけのインベントリ結果が得られるかどう

かを,感度分析を用いて点検し,目的に合うまで単位プロセスの追加又は削除,更には収集デ

ータの見直しをすることである。

6.5 

フロー及び排出の配分

6.5.1 

全般的事項  LCI 分析は,製品システム内の単位プロセスを,単純な物質又はエネルギーの流れに

よって結合できることに依存している。実際には,工業プロセスが,単一の出力を産出したり原材料入力

と出力(製品,排出物など)とが線形関係をなす場合は少ない。事実,大多数の工業プロセスは複数の製

品を産出し,中間製品や使用済み製品を原材料として再生している。したがって,物質やエネルギーのフ

ローは,関連する環境排出物と同様に,明確に述べた手続きに従って異なる製品間に配分(

37

)

しなければな

らない。また,プラスチックの循環的利用においては,複数の製品システムが使用済みプラスチック製品

の再生プロセスによって結合されている場合がある。この場合,再生プロセスの物質及びエネルギーのフ

ローを一次側及び/又は二次側の複数の製品システムに配分する必要がある場合もある。

(

37

“配分”の定義:単位プロセスの入力又は出力のフローを調査対象の製品システムに振り分け

ること(JIS Q 14041 参照)

配分手順は,複数の製品を含むシステムを扱う場合に必要になる。また,プラスチックの循環的利用に

おいては,複数の製品システムからの使用済みプラスチック製品が混合されて循環的に利用される場合,

再生された原材料が複数の製品システムで循環的に利用される場合などがあり,これらを扱う場合にも配

分手順が必要になる。物質及びエネルギーのフローは,関連する環境への排出物とともに明記した手順に

従って,個々の製品に配分しなければならない。そして,それは文書化し,根拠を示さなければならない。

6.5.2 

配分原則  インベントリは,入力と出力との間の物質収支に基づくものである。したがって,配分

手順はそのような基本的な入力−出力の関係及び特性をできる限り模したものであることが望ましい。次

の原則は,共製品(

38

)

,エネルギーの内部配分,サービス(例えば,輸送,廃棄物処理),及び開ループ又

は閉ループ形のいずれの循環的利用にも適用できる。

−  調査では,対象以外の製品システムと共有されるプロセスを特定し,それは,後述の手順に従っ

て取り扱わなければならない。

−  単位プロセスに配分した入力及び出力の合計は,配分する前のその単位プロセスの入力及び出力

に等しくなければならない。

−  幾つかの代替的な配分手順が適用可能と考えられる場合には,感度分析を実施して,選択した配

分手順からのかい(乖)離がもたらす結果を示さなければならない。

各単位プロセスに用いる入力及び出力の配分手順は,文書化し,根拠を示さなければならない。

(

38

“共製品”の定義:同一の単位プロセスからもたらされる二つ又はそれ以上の製品のうちの一

つ(JIS Q 14041 参照)

6.5.3 

配分手順  上述の原則に基づいて,次の段階的手順(

39

)

を適用しなければならない。

a)

ステップ 1  可能な場合は,次によって配分を回避することが望ましい。

1)

配分対象の単位プロセスを二つ又はそれ以上の数の小プロセスに細分割して,これらの小プロセス


16

Z 7121

:2006

に関係する入力及び出力データを収集する。

2)  5.2.2

の要件を考慮して,共製品に関する追加機能を含めるよう製品システムを拡大する。

b)

ステップ 2  配分が回避できない場合,システムの入力及び出力を,異なる製品又は機能の間でそれ

らの間に内在する物理的関係を反映する方法で分割して配分することが望ましい。すなわち,そのシ

ステムによって提供される製品又は機能の量的な変化に伴って,入力及び出力が変化するような方法

でなければならない。その結果としてもたらされた配分は,共製品の質量又はモルで計量されたフロ

ーのような単純な尺度には必ずしも比例しない。

c)

ステップ 3  物理的な関係だけを配分の根拠として用いることができない場合,入力及び出力は,製

品及び機能間のその他の関係を反映する方法で,配分することが望ましい。例えば,環境上の入力及

び出力データは共製品の間で,製品の経済価値に比例させて配分してよい。

出力は,部分的に共製品であり,かつ,部分的に廃棄物(

40

)

である場合がある。その場合,共製品と廃棄

物との間の比率を特定することが必要である。その理由は,入力及び出力は,共製品の部分に対してだけ

配分しなければならないからである。

配分手順は,対象システムの類似の入力及び出力に対して,統一的に適用しなければならない。例えば,

システムから流出する使用可能な製品(例えば,中間,最終又は使用済み製品)に対して配分が行われる

とき,配分手順は,システムに流入する製品に用いられる配分方法と同様の手順を適用しなければならな

い。

(

39

正式には,ステップ 1 は,配分手順ではない。

(

40

“廃棄物”の定義:製品システムからの出力で,処分されるもの(JIS Q 14041 参照)

6.5.4 

循環的利用に対する配分手順  6.5.2 及び 6.5.3 の配分原則及び配分手順は,循環的利用の場合にも

適用する。しかし,これらの場合には,次の理由によって詳細な説明の追加が必要となる。

a)

循環的利用(循環的利用とみなせる処理を含む。

)においては,原材料の採取及び処理,並びに製品の

最終処分に対する単位プロセスに関連した入力及び出力が,二つ以上の製品システムによって共有さ

れる場合がある。同様に,循環的利用のための製品システム間の結合(例えば,回収・再生)に対す

る単位プロセスに関連した入力及び出力も,二つ以上の製品システムによって共有される場合がある。

b)

循環的利用では,以後の利用の際に物質固有の特性が変化する場合がある(例えば,容器包装プラス

チックの油化,高炉還元剤利用など)

c)

回収・再生プロセスに関するシステム境界の設定に対しては,特別な注意が必要である。

特に元の一次製品システムと以後の二次製品システム間の回収・再生プロセスについては,6.5.2 

示した配分原則に従っていることを確認して,システム境界を特定し,かつ,根拠を明確にしなけれ

ばならない。

循環的利用に対しては,幾つかの配分手順が適用できる。そのとき,物質固有の特性の変化を考慮しな

ければならない。この手続きの幾つかを

図 で概念的に示し,いかにして上述の制約に対応できるかを説

明するために,次のように区分する。

区分 1  閉ループ形配分手順は,閉ループ形製品システムに対して適用する(図 の上段の区分 1

詳しくは

附属書の 11.2 参照。)。

区分 2  循環的に利用された物質の固有の特性に変化がない場合には,閉ループ形配分手順は,

開ループ形製品システムにも適用できる(

図 の中段の区分 2。詳しくは附属書の 11.3 参照。)。


17

Z 7121

:2006

その場合,再生原材料の使用が新規原材料の使用と置き換わるため,配分の必要がなくなる。し

かし,適用可能な開ループ形製品システムにおける新規原材料の初回の使用は,次に概説する開

ループ形配分手順に従う場合がある(

附属書の 11.7 参照)。

区分 3  開ループ形配分手順は,材料が他の製品システムに循環的に利用され,かつ,その材料

固有の特性が変化を受けるような開ループ形製品システムに適用する(

図 の下段の区分 3。詳

しくは

附属書の 11.411.9 参照)。6.5.3 に規定した対象となる単位プロセスに対する配分手順に

は,配分の根拠として次を用いることが望ましい。

・  物理的特性

・  経済価値(例えば,原材料価値を考慮したスクラップ価値)

・  又は,循環的に利用された材料の以後の使用回数(

附属書の 11.7 参照)

  3  製品システムと循環的利用に対する配分手順とのループ形の区分

7. LCI

結果の解釈

7.1 

全般的事項  ライフサイクル解釈の目的は,LCI 調査の先行段階(目的及び調査範囲の設定並びに

LCI

分析)の知見に基づいて,結果を分析し,結論を導き,限界を説明し,提言を行うことである。さら

に,解釈の結果を透明な形で報告することである。また,解釈は,調査の目的及び調査範囲の設定に従っ

て,LCI 調査の結果を,容易に理解しやすく,完全で整合のとれた形で説明することも意図している。

LCI

調査のライフサイクル解釈段階は,次のように,

図 に示す三つの要素からなる。

− LCI 分析段階の結果に基づく重要な項目の特定。

−  完全性点検(

41

)

,感度点検(

42

)

及び整合性点検(

43

)

を考慮した評価(

44

)

−  結論,提言及び報告。

(

41

“完全性点検”の定義:LCA 又は LCI 調査の先行段階からの情報が,目的及び調査範囲の設定

に従った結論を導くのに十分であることを検証する過程(JIS Q 14043 参照)

(

42

“感度点検”の定義:感度分析から得られた情報が,結論を導き,提言を提示するのに適切で

製品システムからの
材料が同一製品シス
テム内で循環的に利
用されている。

製品システムからの
材料が異なる製品シ
ステムで循環的に利
用されている。

循環的利用に対する配分手順は
閉ループ形か開ループ形か

材料は、固有の
特性を変えるこ
となく循環的に
利用されている。

循環的に利用さ
れた材料は、固
有の特性に対す
る変化を受ける。

製品システムは閉ルー
プ形か開ループ形か

閉ループ形

製品システム

開ループ形

製品システム

開ループ形

配分手順

閉ループ形

配分手順

区分3の例
1)

発泡スチロール→熱分解油

(油化して燃料油として利用
する場合)

区分1の例
1) PET

ボトル→PETボトル

2)

塩ビパイプ→塩ビパイプ

区分2の例
1) PET

ボトル→卵パック

2)

温室用ビニル→床材・シート

(循環的利用前後の材料物性が
同等とみなせる場合)

区分1

区分2

区分3

循環的利用の例


18

Z 7121

:2006

あることを検証する過程(JIS Q 14043 参照)

(

43

“整合性点検”の定義:前提条件,手法及びデータが,調査全体にわたって,かつ,目的及び

調査範囲の設定に従って,一貫して適用されていることを検証する過程(JIS Q 14043 参照)

(

44

“評価”の定義:LCA 又は LCI 調査の結果に対する信頼を確立するための,ライフサイクル解

釈段階における第二ステップ(JIS Q 14043 参照)

  4  解釈段階の構成要素と LCA の他の構成段階との関係

解釈段階と LCA の他の構成段階との関係を,

図 に示す。LCA の目的及び調査範囲の設定段階,並び

に解釈段階は,調査の骨組みを作り,LCA の他の段階(LCI 分析及び LCIA)は,製品システムに関する

情報を生み出す。

LCI

分析の結果は,調査の目的及び調査範囲に従って解釈しなければならない。解釈は,結果の不確実

性を理解するために有意な入力,出力及び方法論的選択に関してのデータ品質評価及び感度分析を含まな

ければならない。LCI 分析では,調査の目的に関連して,次の事項を検討しなければならない。

−  システム機能及び機能単位の設定は適切か。

−  システム境界の設定は適切か。

−  データ品質評価及び感度分析で特定した限界。

データ品質評価,感度分析,結論及び LCl 結果から得られるいかなる提言も,文書化しなければならな

い。結論及び提言は,上述の検討から得られた知見と整合性をもったものでなければならない。

LCI

結果(

45

)

は,入力及び出力データだけに関連するものであって環境影響にかかわるものではないので,

そのことをわきまえて,その解釈は慎重に行うことが望ましい。LCI 調査だけで一般に開示することを意

図した比軟の根拠としてはならない。

加えて,入力の不確実性及びデータの変動性の蓄積効果によって,不確実性が LCI の結果に入り込む。

LCI

に適用される不確実性分析(

46

)

は,揺らん(籃)期の段階にある技法である。しかし,LCI 結果及び結

−製品の開発及び改善
−戦略立案
−政策立案
−マーケティング
−その他

目的及び調査

範囲の設定

インベントリ

分析(LCI)

影響評価

(LCIA)

1

重要な項目
の特定

2

評価

−完全性点検
−感度点検
−整合性点検

3

結論,提言
及び報告

LCI

調査は,影響評価

段階を含まない。

解釈段階

1

及び2と

相互に絡めて
3

を導き出す。

1

∼3が解釈段階の構成要素。

LCA

の構成段階

調査結果の直接用途


19

Z 7121

:2006

論の不確実性を決定することが,分布範囲及び/又は確率分布を用いて結果における不確実性を明らかにす

るのに有用である。LCI の結論をよりよく説明し,支持するために,実行可能な場合には常にこのような

分析を実施することが望ましい。

解釈段階に関する更なる情報と事例を,

附属書の 12.14.に示す。

(

45

“LCI 結果”の定義:システム境界を横断するフローを含み,ライフサイクル影響評価の出発

点となる,ライフサイクルインベントリ分析の結果(JIS Q 14042 参照)

(

46

“不確実性分析”の定義:入力の不確実性及びデータの変動性の累積効果によって,LCI 分析

の結果に生じた不確実性を,確認及び定量化するための系統的手順。

結果の不確実性の確認には,変動範囲又は確率分布が使われる(JIS Q 14041 参照)

7.2 

重要な項目の特定

7.2.1 

目的  ライフサイクル解釈の第一の要素であるこの要素の目的は,重要な項目を特定するために,

調査の目的及び調査範囲の設定に従って,また,解釈段階の評価要素と相互に関係させながら,LCI 段階

の結果を体系化することにある。この相互関係の目的は,配分方式,カットオフの決定といった,先行段

階において用いた手法及び前提条件のかかわり合いを包含することにある。

7.2.2 

情報の特定及び体系化  LCI 調査の先行段階の知見から要求される情報には,次の 4 種類がある。

−  先行段階(LCI 分析)で得られた知見。この情報は,データ品質に関する情報とともに集め,体

系化しなければならない。これらの結果は,例えば,ライフサイクルの段階に従って,製品シス

テム,輸送,エネルギー供給,循環的利用及び廃棄物管理といった各プロセス,単位操作などに,

適切な方法で体系化することが望ましい。これは,入力及び出力の結果のデータ一覧,表,棒グ

ラフ又はその他の適切な表現でよい。したがって,更なる分析のためには,この時点で得られる

すべての関連する結果を収集し,整理する。

−  方法論の選択。例えば,LCI 分析における配分方式及び製品システム境界。

−  目的及び調査範囲の設定で示した調査で用いた価値観の選択。

−  用途に関して,目的及び調査範囲の設定で明示した様々な利害関係者の役割及び責任並びに実施

した場合には,並行するクリティカルレビュー過程からの結果。

7.2.3 

重要な項目の決定  先行段階(LCI 分析)からの結果が,調査の目的及び調査範囲の要求を満たす

ことが判明した場合には,これらの結果の重要性をその時点で決定しなければならない。このために,LCI

分析段階からの結果を使用する。

この決定は,

評価要素との反復的な過程として実施することが望ましい。

重要な項目としては,次のことがあり得る。

−  インベントリデータ区分。エネルギー,排出物,廃棄物など。

−  ライフサイクル段階からの LCI 結果への本質的な寄与。輸送,エネルギー生産及び循環的利用と

いった個別の単位プロセス,プロセスのグループなど。

製品システムの重要な項目を決定することは,単純であることもあれば複雑であることもある。この規

格は,ある項目が調査に関連するのか又は関連しないのか,また,ある項目が製品システムにとって重要

であるのか又は重要でないのかについて,指針を与えるものではない。

環境関連事項を特定し,それらの重要性を決定するために,様々な固有のアプローチ,方法及び手段が

利用できる。

参考  事例については,附属書の 14.2 を参照。

7.3 

評価

7.3.1 

全般的事項  ライフサイクル解釈の第二の要素である評価要素の目的は,解釈段階の最初の要素に


20

Z 7121

:2006

おいて特定した重要な項目を含めた LCI 調査の結果の確実性と信頼性とを検証し,そのレベルを高めてい

くことにある。その結果は,調査の責任者,その他の利害関係者に対して,調査結果を明確に分かりやす

く示すような形で提示しなければならない。評価は,調査の目的及び調査範囲に従って行わなければなら

ず,また,調査結果の意図した最終用途を考慮に入れることが望ましい。

評価では,次の三つの技法の使用を考慮しなければならない。

−  完全性点検(7.3.2 参照)

−  感度点検(7.3.3 参照)

−  整合性点検(7.3.4 参照)

不確実性分析及びデータ品質評価の結果によって,これらの点検を補完することが望ましい。

参考  事例については,附属書の 14.3 を参照。

7.3.2 

完全性点検  完全性点検の目的は,解釈に必要なすべての関連情報とデータとが入手可能であり,

かつ,完全であるかどうかを確認することである。

関連情報が欠落している場合,又は不完全である場合には,その情報が LCI 調査の目的及び調査範囲を

満たすために必要か否かを検討しなければならない。この情報が不要と思われる場合には,その理由を記

録することが望ましい。評価は,その後に継続することができる。不足している情報が,重要な項目を決

定するために必要であると考えられる場合,先行する段階(LCI 分析)における分析をやり直すか,又は

その代わりに目的及び調査範囲の設定を修正することが望ましい。

ここで得られた知見及びそれを正当とする事由を記録しなければならない。

7.3.3 

感度点検  感度点検の目的は,最終結果がデータに伴う不確実性又は配分手法の選択によって影響

されているかどうかを判断することによって,最終結果と結論の信頼性とを評価することである。

先行段階(LCI 分析)で感度分析及び不確実性分析を実施した場合,この評価(感度点検)にはその結

果を含めなければならない。また,更に感度分析を行う必要性が指摘されることがある。

感度点検で必要とされる詳細さの程度は,主に LCI 分析において得られた知見に依存する。

感度点検においては,次の事項を考慮しなければならない。

− LCI 調査の目的及び調査範囲によってあらかじめ特定した項目。

− LCI 調査のすべての先行する段階から得られた結果。

−  専門的判断と過去の経験。

上述の感度点検の結果は,調査結果に及ぼす明確な影響を決定するだけでなく,より広範な及び/又は精

密な感度分析の必要性を決定する。

感度点検によって,異なった選択肢に基づいた調査の間に重要な差異が存在することを見出せなくても,

このような差異が存在しないと自動的に結論付けられるわけではない。差異が存在している可能性がある

が,使用するデータ及び手法に関連した不確実性が原因で特定できない,又は定量化できないという場合

もある。このような可能性を検討したうえで有意な差異がなければ,それを調査の最終結果としてよい。

7.3.4 

整合性点検  整合性点検の目的は,前提条件,手法及びデータが目的及び調査範囲と整合している

かどうかを判断することである。

LCI

調査に関連している場合,又は目的及び調査範囲の設定の一部として必要とされる場合には,次の

論点に対処する必要がある(

附属書の 14.3.4 参照)。

−  製品システムのライフサイクルに沿ったデータ品質の差異及び異なる製品システムの間でのデー

タ品質の差異は,調査の目的及び調査範囲との整合性があるかどうか。

−  データに地理的及び/又は時間的な差異がある場合には,一貫して適用したか否か。すなわち,そ


21

Z 7121

:2006

のような差異は,調査の目的及び調査範囲との整合性があるか否か。

−  配分原則とシステム境界をすべての製品システムに一貫して適用したか否か。すなわち,配分原

則及びシステム境界が,すべての製品システムにおいて調査の目的及び調査範囲との整合性があ

るか否か。

7.4 

結論及び提言  ライフサイクル解釈の第三の要素であるこの要素の目的は,LCI 調査の意図する報

告者に向けて,結論を導き出し,提言を行うことである。

当該調査からの結論は,解釈段階におけるその他の要素と相互に絡めて導き出すことが望ましい。この

方法に関する論理的順序は,次による。

a)

重要な項目の特定。

b)

手法論及び結果に関する完全性,感度並びに整合性の評価。

c)

予備的な結論を導き,この結論が,特に,データ品質要件,あらかじめ定めた前提条件,価値観,及

び用途に固有の要求事項を含み,調査の目的及び調査範囲の要求事項と整合していることを点検する。

d)

この結論の整合性が確認できたならば,完全な結論として報告する。そうでなければ,適宜,上述の

ステップ a)b)又は c)に戻る。

調査の目的及び調査範囲から見て適切な場合には,意思決定者に対して正当な根拠の下に特定の事柄に

関して提言を行うことが望ましい。提言は,調査の最終結論に基づいていなければならない。また,結論

から論理的,かつ,合理的に導かれる影響を反映したものでなければならない。提言は,意図した用途に

関係付けられていることが望ましい。

8. 

調査報告  報告書の種類と書式(例えば,内部向け報告書,第三者(

47

)

向けの公表を意図した報告書,

比較主張を意図した報告書など)は,調査範囲の設定段階において定義しなければならない。

LCI

調査の結果は,意図した伝達先(報告対象者)に対して公正,完全,かつ,正確に報告しなければ

ならない。LCI 調査の結果,データ,方法,前提条件及び限界は,透明性があり,その LCI 調査に固有の

複雑さ及びトレードオフを読者に理解されるように十分詳細に示さなければならない。また,報告書は,

結果及び解釈が調査の目的と矛盾なく使われることを可能とするものでなければならない。

LCI

調査の結果が第三者,

すなわち,

調査の責任者又は LCA 従事者以外の利害関係者に伝達される場合,

伝達の形式にかかわらず第三者向け報告書を作成しなければならない。この報告書は,参照可能な文書の

一つとして,伝達がなされる第三者の誰もが利用できなければならない。第三者への報告が必要なときに

は,報告には次の項目のうちの

*印が付けられたすべての項目を含まなければならない。その他の追加事

項もすべて検討することが望ましい。

(

47

“第三者”の定義:審議されている問題点に関連する当事者から独立して認められる個人又は

団体(JIS Q 14050 参照)

a)

一般的側面

1) LCI

調査の責任者及び従事者(内部又は外部)

参考 LCI 調査の責任者とは,LCI 調査の実施を決定し委託する調査主体の責任者のことである。

LCI

実施チームのリーダーではない。

2)

報告の日付

3)

調査を,この規格の要求事項に従って実施したことを示す記述


22

Z 7121

:2006

b)

調査目的の設定

1)

調査実施の理由

2)

意図した用途

3)

対象とする報告先(意図した伝達先)

4)

調査が,一般に開示する比較主張を支援することを意図しているかどうかの記述

ただし,一般に開示する比較主張を支援することを意図している場合は,影響評価(LCIA)を行

わなければならない。

c)

調査範囲の設定

1)

修正とその根拠

参考  修正には二つの場合が考えられる。一つは,何らかの理由で当初から実際の製品システム

に修正を加えて調査する場合。もう一つは,LCI 調査の途中で調査範囲を修正する場合。

調査範囲の設定に関して修正がある場合は,まとめて修正内容及びその根拠を記述し,そ

の後に次の各項について修正後の内容を記述しても,次の各項目に分けて修正及びその根

拠を記述してもよい。

2)

機能

−  性能特性の記述

製品システムの比較の場合は,比較の対象となる共通の機能。

−  製品システムの比較において省略された追加機能

3)

機能単位及び基準フロー

−  目的及び調査範囲との整合牲

−  定義

備考  機能単位及び基準フローを使用済みプラスチック製品によって設定する場合は,その内容

を少なくとも定性的に(例えば,

“排出された使用済み PET ボトル”

“A 市において分別

収集・中間処理された使用済みプラスチック製容器包装”

,また,異物を含むか否かなど。

記述しなければならない。可能であれば,定量的に(例えば,組成など)記述することが

望ましい。対象とする使用済みプラスチック製品の定量的記述が,調査範囲の設定段階で

困難な場合は,インベントリ分析のデータ収集結果及び仮定に基づいて,定量的に記述し

なければならない。

また,機能単位及び基準フローをプラスチックの循環的利用製品によって設定する場合

は,定性的記述だけでなく定量的な記述(例えば,品質,品位など)をしなければならな

い。

製品システムの比較の場合は,機能単位及び基準フローの同等性を示さなければならな

い。

−  性能測定の結果

4)

システム境界

−  基本フローとしてのシステムの入力及び出力

−  決定基準

備考  システム境界の決定基準及び単位プロセスの取捨選択基準について記述する。特に,原材

料採取から最終処分に至る全ライフサイクル段階を調査対象としない場合(例えば,使用

段階までのライフサイクル段階,再生原材料となってからのライフサイクル段階などを調


23

Z 7121

:2006

査対象外とする場合)

,対象外とするライフサイクル段階及びその理由を記述しなければな

らない。

製品システムの比較の場合は,比較する複数のシステム境界の同等性を示さなければな

らない。排出物の処理プロセスの決定基準については,同等の基本フローとなるまでのプ

ロセスを考慮するか,そうでない場合には処理の水準を同等にしなければならない。

−  省略されたライフサイクル段階,プロセス又は必要データ

−  単位プロセスの初期の記述

−  配分に関する決定

5)

データ区分

−  データ区分の決定

−  各データ区分の詳細

備考  使用済みプラスチック製品については,その組成をどこまで詳細に調査するか(例えば,

種類別,化合物群別,化合物別など)を設定しなければならない。

−  エネルギー入力及び出力の定量化

−  発電に関する前提条件

−  発熱量

−  漏えい排出物の算入

6)

入力及び出力の初期選択に対するカットオフ基準

−  カットオフ基準及び前提条件の記述

−  結果に及ぼす選択の影響

−  物質,エネルギー及び環境基準の設定(製品システムの比較の場合

*)

7)

データ品質要件

d)  LCI

分析

1)

データ収集の手順

2)

単位プロセスの定性的,定量的記述

3)

公表文献情報

4)

計算手順

5)

データの妥当性検証

−  データ品質評価

−  欠落データの取扱い

6)

システム境界の精査のための感度分析

7)

配分の原則及び配分手順

−  配分手順の文書化及び根拠の確認

−  配分手順の統一的適用

e)

ライフサイクル解釈

1)

結果

2)

結果の解釈にかかわる,手法及び関連データ双方についての前提条件及び限界

3)

データ品質の評価

4)

価値観の選択,理論的根拠及び専門家の判断の観点から完全な透明性

解釈段階についての報告においては,価値観の選択,理論的根拠及び専門家の判断に関して,完


24

Z 7121

:2006

全な透明性を厳密に遵守しなければならない。

5) 

感度分析

6)

システム機能及び機能単位

7)

システム境界

8)

不確実性分析

9)

データ品質評価及び感度分析によって特定された限界

10)

結論及び提言

f)

クリティカルレビュー

1)

レビュー実施者の氏名及び所属

2)

クリティカルレビュー報告書

3)

提言に対する対応

比較主張の場合は,次の点についても報告書に記載しなければならない。ただし,LCI 調査だけで一般

に開示することを意図した比較の根拠としてはならず,影響評価(LCIA)を行わなければならない。

−  物質及びエネルギーのフローの取捨選択の根拠となる分析

−  使用したデータの精度,完全性及び代表性の評価

−  5.2.4 に従って比較するシステムの同等性についての記述

−  クリティカルレビューの過程についての記述

−  不確実性分析及び感度分析の結果

−  見出された差異の有意性の評価

9. 

クリティカルレビュー

9.1

クリティカルレビューの一般的要求事項  クリティカルレビューの過程は,次の事項を保証しなけ

ればならない。

− LCI 調査を実施するために用いた方法が,この規格に合致している。

− LCI 調査を実施するために用いた方法が,科学的及び技術的に妥当である。

−  用いたデータが,調査の目的に照らして適切,かつ,合理的である。

−  解釈は,明らかになった限界及び調査の目的を反映している。

−  調査報告は,透明性及び整合性がある。

クリティカルレビューは,LCI 調査で選択した目的又は LCI 調査の結果の用途について検証したり正当

化するものではない。

適切なクリティカルレビューの範囲及び種類は,調査範囲の設定段階で定義しなければならない。

9.2 

クリティカルレビューの必要性  クリティカルレビューは,例えば,利害関係者(

48

)

を参画させるこ

とで LCI 調査の理解を促進し,その信頼性を増すことがある。

LCI

分析に続いて影響評価(LCIA)を行い,LCA 結果を比較主張の支援に用いる場合には,外部の利害

関係者への誤解や悪影響の可能性を軽減するため,クリティカルレビューを実施しなければならない。

しかしながら,クリティカルレビューを実施したという事実は,いかなる場合においても,LCA 調査に

基づく比較主張の正当性を保証することを意味するものではない。

(

48

“利害関係者”の定義:製品システムの環境パフォーマンス(

49

)

又は LCA の結果にかかわりを

もつか,若しくはその影響を受ける個人又は団体(JIS Q 14040 参照)


25

Z 7121

:2006

(

49

“環境パフォーマンス”の定義:組織の環境側面についてのその組織のマネジメント測定可能

な結果(JIS Q 14001 参照)

9.3 

クリティカルレビューの過程

9.3.1 

一般的記述  LCI 調査についてクリティカルレビューを実施する場合,クリティカルレビューの範

囲は,調査の目的及び調査範囲の設定段階で明確にすることが望ましい。クリティカルレビューの範囲に

は,これを実施する理由,その対象範囲及び詳細度,並びにこの過程に参画させる必要のある者を特定す

ることが望ましい。

必要に応じて,LCI 調査の内容に関する守秘協定を結ぶことが望ましい。

9.3.2 

内部専門家レビュー  クリティカルレビューは,LCI 調査を実施した組織の内部で行ってもよい。

その場合には,LCI 調査とは独立の,内部専門家が実施しなければならない。この専門家は,この規格の

要求事項に精通し,必要な科学的及び技術的な専門知識をもつことが望ましい。

レビュー文書は,LCI 調査を実行した者が作成した後,内部の独立した専門家がこれを審査する。また,

レビュー文書は,内部の独立した専門家がすべてを作成してもよい。レビュー文書は,LCI 調査報告書に

含めなければならない。

9.3.3 

外部専門家レビュー  クリティカルレビューは,LCI 調査を実施した組織の外部で行ってもよい。

その場合には,LCI 調査とは独立した,外部専門家が実施しなければならない。この専門家は,この規格

の要求事項に精通し,必要な科学的及び技術的な専門知識をもつことが望ましい。

レビュー文書は,LCI 調査の実施者が作成した後,外部の独立した専門家がこれを審査する。また,レ

ビュー文書は,外部の独立した専門家がすべてを作成してもよい。

レビュー文書,LCA 従事者のコメント及びレビュー実施者の提言への対応は,LCI 調査報告書に含めな

ければならない。

9.3.4 

利害関係者によるレビュー  外部の独立した専門家が,当該 LCI 調査の責任者によってレビュー

委員会の委員長として選任される。レビューの目的,範囲及び予算に基づき,委員長は独立した適格なレ

ビュー実施者を委員として選任する。

この委員会には,LCI 調査から得られた結論によって影響を受ける,他の利害関係者,例えば,政府機

関,非政府団体又は競合者を含めることがある。

レビュー文書及びレビュー委員会報告書は,専門家のコメント及びレビュー実施者又は委員会による提

言へのすべての対応とともに,LCI 調査報告書に含めなければならない。


附属書(参考)適用事例及び留意事項

この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。

1. 

附属書の用い方  この附属書は,本体の規定に対する理解を高めるため,本体の重要な規定の幾つか

について,それらを満たしてプラスチックの循環的利用段階を含む LCI 調査を実施するための事例及び規

定の適用に当たっての留意事項を示すものである。事例は,本体の対応する規定に沿って,また,特定の

使用法に沿って記載している。

これらの事例は,規定を満たし,記載されている方法論的問題点を説明できる多くの事例のごく一部で

ある。これらの事例は,規格を適用するための唯一の方法ではない。幾つかの重要な規定に対しては,複

数の事例が示してある。これは,多くの場合,規定を満たすための複数のやり方が存在するためである。

それらのどのやり方を採用するかについての判断は,調査の目的に依存し,また,調査対象となる製品シ

ステム又はライフサイクルのどの段階を対象とするかによっても変わり得る。

また,これらの事例は,完全な LCI 調査のごく一部だけを反映したものとみなすべきである。

この附属書に示されている事例は簡略化されたもので,本体の要求事項や推奨事項などを満たす手順,

要件,留意事項などの説明目的だけに作成したものであり,現実のプラスチックの循環的利用とは異なる

場合がある。

参考  ISO/TR Q 14049:2000(Environmental management ― Life cycle assessment ― Examples of

application of ISO 14041 to goal and scope definition and inventory analysis

)にも,目的及び調査範

囲の設定並びにインベントリ分析に関する適用事例が示されている。

2. LCI

調査の構成要素

2.1 

全般的事項  ここでは,LCI 調査に関する主要な用語及び構成要素について概説する。

2.2 

製品システム  製品システムは,定義した一つ又はそれ以上の機能を果たす単位プロセスが,中間

製品などの流れによって結ばれた集合である。

附属書図 は,プラスチックの循環的利用段階を含む各ラ

イフサイクル段階を調査対象とする製品システムの例を示し,

附属書図 は,プラスチックの循環的利用

段階だけを調査対象とする製品システムの例を示している。

附属書図 の例は,プラスチック製品のライ

フサイクル全体を調査対象としてシステム境界を設定しており,他の製品システムから入る流れの例とし

ては,燃料,電力,補助材料などが,また,他の製品システムへ出る流れの例としては,高炉還元剤,分

解ガス,熱分解油,回収エネルギーなどが設定される場合がある。

附属書図 の例では,一次製品システ

ムを調査対象システムに含める場合,再生プロセス以降のライフサイクル段階(例えば,循環的利用製品

の製造,使用,処分など)を調査対象システムに含める場合などもある。

附属書図 の調査対象システム

から流出する他の製品システムの例としては,元の一次製品システム,一次製品とは異なる二次製品シス

テムなどが設定される場合がある。このような調査対象製品システムの設定は,調査目的の設定に依存す

る。

製品システムの記述には,単位プロセス,基本フロー,システム境界を横切る製品の流れ(システムに

入る流れ又はシステムから出る流れ)

,システム内の中間製品・循環的利用製品などの流れを含む。

プラスチックの循環的利用にかかわる製品システムの基本的特性は,その機能によって特徴付けられ,


単に特定のプラスチック製品だけによって定義付けることはできない。

*

輸送は,各プロセスの内部輸送及び各プロセス間の輸送がある。

**

エネルギー供給からは,各プロセスへのエネルギーの流れがつながる場合がある。

備考  簡略化のため,一部のプロセス,フローなどは示されていない。

附属書図  1  プラスチック製品のライフサイクル全体を調査対象とする製品システムの例

備考  簡略化のため,一部のプロセス,フローなどは示されていない。回収,前処理及び再生を単位プロセ

スとして分けない場合もある。

附属書図  2  プラスチックの循環的利用段階だけを調査対象とする製品システムの例

原材料製造

(

石油精製・

プラスチック

生産)

組立加工

(

成型)

使

廃棄物処理

前処理

(

異物除去)

再生

(

リサイクル

工程など)

輸送*

エネルギー

供給

流入基本フロー

(天然資源など)

製品の

流れ

他の製品
システム

流出基本フロー

(大気圏への
排出物など)

他の製品
システム

製品の

流れ

システムの環境(調査対象システムの境界外)

調査対象システムの境界

資源採取

(

原油採取)

**

流入基本フロー

(天然資源など)

使用済み

プラスチック

製品の流れ

他の製品
システム

流出基本フロー
(水圏への
排出物など)

他の製品
システム

製品の

流れ

システムの環境(調査対象システムの境界外)

廃棄物処理

前処理

(分別・選別・

異物除去・

洗浄・粉砕など)

(リサイクル

工程など)

一次製品
システム

原材料・燃料・
電力などの流れ

調査対象システムの境界


2.3 

単位プロセス  プラスチックの循環的利用にかかわる製品システムは,単位プロセスに細分化され

る(

附属書図 参照)。単位プロセスは,中間製品,最終製品,使用済み製品,循環的利用製品,処理さ

れる廃棄物などの流れによって相互に連結され,

他の製品システムに対しては製品の流れによって,

また,

システムの環境とは基本フローによって連結される。

附属書図  3  循環的利用製品システムにおける一連の単位プロセスの例

LCI

調査では,単位プロセスごとに入出力データを収集する。

単位プロセスに流入する基本フローの例としては,地下の原油,太陽光放射などがある。単位プロセス

から流出する基本フローの例としては,大気圏への排出物,水圏への排出物,放射線などがある。中間製

品の流れの例としては,素材,半組立品などがある。循環的利用製品の流れの例としては,再生原材料,

再生製品,回収エネルギーなどがある。

製品システムをその構成要素である単位プロセスに分割すると,製品システムの入力及び出力の識別が

容易になる。多くの場合,入力の一部は,出力製品の構成要素として用いられる。しかし,単位プロセス

の内部で用いられる入力があっても出力製品の一部とはならない入力もある[例えば,触媒,洗浄水など

の補助入力(

50

)

。単位プロセスは,それが稼動した結果,他の出力(基本フロー及び/又は製品)をも産出

する。

単位プロセスの境界は,

調査の目的を満足させるのに必要なモデル化の詳細度によって決定される。

(

50

“補助入力”の定義:製品を生産する単位プロセスで使用される物質の入力で,製品の含有物

にならないもの(JIS Q 14040 参照)

製品システムは物理的なシステムであるため,各単位プロセスは,質量及びエネルギー保存の法則に従

う。物質及びエネルギーの収支は,単位プロセスの記述の妥当性の検証に有用である。

2.4 

データ区分  測定,計算又は推定のいずれかによって収集したデータによって,単位プロセスの入

力及び出力が定量的に表される。主なデータ分類項目には,次のものが含まれる。

−  エネルギー入力,原材料の入力,補助入力,その他の物理的入力

−  製品(循環的利用製品を含む。

−  大気圏への排出物,水圏への排出物,陸圏への排出物,その他の環境側面

これらのデータ分類項目の範囲内で個々のデータ区分は,調査の目的を満たすために更に詳述しなけれ

ばならない。例えば,大気圏への排出物というデータ分類項目では,一酸化炭素,二酸化炭素,硫黄酸化

単位

プロセス

流出基本フロー

流入基本フロー

単位

プロセス

流出基本フロー

流入基本フロー

単位

プロセス

流出基本フロー

流入中間製品の流れ(例えば,再生原材料)

流入基本フロー

流入中間製品の流れ(例えば,使用済みプラスチック製品)


物,窒素酸化物などがデータ区分としてそれぞれ特定できる。

参考  JIS Q 14040 では,“データ区分”は“データ領域”と訳されている。

2.5 

製品システムのモデル化  LCI 調査は,物理的システムの主な要素を記述するモデルを作成して実

施する。製品システム中のすべての単位プロセスのあらゆる相互関係,又は製品システム及びその環境と

のあらゆる関係を調査することは,往々にして実際的ではない。モデル化を行う物理的システムの要素の

選択は,調査の目的及び範囲の設定に依存する。用いるモデルを記述し,それらの選択の根拠となる前提

条件を明示することが望ましい。

3. 

目的の設定に関する適用事例及び留意事項

3.1 

本体の規定  本体の 5.1 では,目的として次の四つの要素を明確に記述することを要求している。

−  意図する用途

−  調査を実施する理由

−  意図する伝達先(調査の結果を伝えようとしている相手)

−  一般に対して開示する比較主張に調査結果を用いることを意図しているか否か

LCI

調査では,初めに,調査結果の用途,すなわち,結果を何に利用するのかを明確にする必要がある。

実施理由としては,調査が必要となった動機,背景など,又はなぜ他の方法ではなく LCI 調査を実施する

のかを記述する。意図する伝達先とは,LCI 調査の結果を報告及び/又は開示する相手のことである。

目的をあいまいさのないように設定することによって,調査の方向性が明確になり,作業を円滑に行う

ことが可能となる。調査作業の過程で様々な判断が必要となる場合があり,その判断は,設定した目的に

照らして行うので,目的が抽象的であると判断が難しくなる。したがって,目的は,できるだけ具体的に

設定する必要がある。調査作業の進行に伴い,設定した目的自体が適切でないと判断した場合は,目的を

より適切なものに変更する。実際は,調査の初期段階から適切な目的を具体的に設定することは難しいの

で,調査の実施過程で反復的に目的を修正し,より適切な目的を設定する場合もある。

また,一般に開示する比較主張を意図する場合は,“影響評価(LCIA)を実施しなければならない”な

どの特定要求事項が規定されているので(6.1 参照)

,目的設定段階で一般に開示する比較主張を意図して

いるか否かを明確に記述する必要がある。

3.2 

目的設定の適用事例  附属書表 は,目的設定の 4 要素のうち用途,理由及び伝達先について,プ

ラスチックの循環的利用段階を含む LCI 調査における記述例を示している。これらは,LCI 調査の実施者

が,自らの調査対象について目的設定の記述を行う場合の参考とするための例文を提供するものである。

附属書表 の例文は,単なる目的設定の記述例に過ぎないので,その内容と現実とはまったく関係がない。

また,例文とは異なる表現や設定対象もある。


附属書表  1  プラスチックの循環的利用段階を含む LCI 調査における目的設定の記述例

意図する用途(結果を何に利用するか)

実施する理由(必要となった動機,背景など)

意図する伝達先(誰に伝えるか)

1

調査対象とする循環的利用製品,プロセス又はシステムにつ
いて,LCI 分析結果を影響評価(LCIA)の入力データとし

て用いる。

(次のような例に影響評価を含める必要があるため。

(次のような例に影響評価を含めて
伝達する。

2

プラスチック製品 A を循環的に利用する場合及び焼却・埋

立する場合の LCI データの公表に用いる。

循環的利用を促進するには一般消費者(国民)の協力が不可

欠であり,それには情報開示が必要なため。

一般消費者(公開報告書,パンフレ

ット,環境ラベルなど)

3

自社開発したプラスチックの循環的利用プロセス A につい
て,環境面のより一層の改善点抽出に用いる。

【開発・改善】

ライフサイクル全体を考慮したプロセスに起因する環境負
荷のより一層の改善を自らはかるため。

組織内関係者(社内の研究開発部門,
設計部門など)

4

液体洗剤などの容器の循環的利用システムについて,環境面
の最適化検討に用いる。

【開発・改善,戦略・政策立案】

公共水域の水質保全などの観点から,下水・排水処理などを
含めた循環的利用システム全体の環境負荷改善をはかるた

め。

組織内関係者(自治体,容器製造・
利用者などの環境部門など)

5

プラスチックの循環的利用製品 A について,資源・エネル
ギー消費原単位,環境汚染物質排出原単位とその基準値(目

標値)との比較に用いる。

【開発・改善,マーケティング】

社会的にライフサイクル全体を考慮した環境改善が求めら
れており,消費・排出原単位の基準値(目標値)に対する達

成度(改善度)を評価する必要があるため。

一般消費者(環境報告書など) 
認証*機関(認証基準など)

組織内関係者(環境管理部門など)

6

新規プラスチック製品 A について,使用段階以降を考慮し

た製品設計・改良等の検討に用いる。

【開発・改善,マーケ

ティング】

社会的に循環的利用及び/又は廃棄物処分を考慮した製品開

発が求められており,原材料,製造方法等の見直しを含めた
製品設計・改良又は循環的利用方法若しくは廃棄物処分方法
の検討が必要なため。

一般消費者(情報開示など)

顧客(技術資料など) 
組織内関係者(製品開発・設計部門
など)

7

プラスチックを循環的に利用した新建材と同一機能の既存
木製建材との比較に用いる。

【開発・改善,マーケティング】

ライフサイクル全体を考慮した環境改善効果の比較検討又
は選択が必要なため。

一般消費者(広告宣伝など) 
顧客(技術資料など) 
組織内関係者(研究開発部門など)

8

使用済み PET ボトルについて,焼却・埋立処分と複数の循
環的利用方法との比較に用いる。

【戦略・政策立案,マーケ

ティング】

ライフサイクル全体を考慮した環境負荷の差異を定量的に
把握し,複数の循環的利用方法と処分方法とを比較検討して

適切な方法の選択が必要なため。

一般消費者(環境報告書など) 
組織内関係者(社内・業界内・自治体

などの戦略・政策立案者など)

9

使用済みプラスチック製品のコークス炉化学原料化につい
て,焼却処分などと比較した社会的環境改善効果の検討に用

いる。

【開発・改善,マーケティング】

コークス炉化学原料化法導入による社会システム全体の環
境負荷変化の定量的把握が必要なため。

顧客(技術資料など) 
組織内関係者(研究開発部門など)

10

開発中の循環的利用プロセス A について,焼却・埋立処分,

競合する他の循環的利用プロセスとの比較に用いる。【開
発・改善,マーケティング】

開発中の循環的利用プロセスの環境面からの改良,差別化が

必要なため。

組織内関係者(研究開発部門など)

顧客(技術資料など)

“認証”の定義:製品,工程又は付帯サービスが所定の“要求事項”を満たしていることを第三者が文書で保証する手続(JIS Q 14050 参照)

備考  この表においては,循環的利用プロセスとは“高炉還元剤化”などの狭義の処理プロセスを意味し,循環的利用システムとは“循環的利用プロセス”を含む社

会システムなどの広義の処理システムを意味する。 
“意図する用途”の例文中の【開発・改善】などは,

本体の図 に示す  “調査結果の直接の用途”の中で関連する主な用途を示している。


4. 

機能,機能単位及び基準フローの設定に関する適用事例及び留意事項

4.1 

本体の規定  本体の 5.2.1 では,調査範囲の設定において考慮し,明確に記述しなければならない 12

項目を規定している。これらは,まず,初期設定として考慮し,できるだけ明確に記述しなければならな

いが,調査の実施過程で反復的に修正する場合があり得るものである。

調査範囲のうち,機能,機能単位及び基準フローの設定については,

本体の 5.2.2 で規定している。

また,データの機能単位への関連付けについては,

本体の 6.4.4 で規定している。

ここでは,これらの規定を満たすための事例,留意事項などについて記載する。ただし,ここに示す事

例は,規定を満たす唯一の方法ではない。

4.2 

プラスチックの循環的利用システムの機能  LCI 調査における“機能”とは,一般に,調査対象の

製品システムが提供する便益のことである。通常,製品又はサービスに求められるものは,その製品又は

サービスそのものではなく,それによってもたらされる便益(利用価値)である。プラスチックの循環的

利用システムも,例えば,

“使用済みプラスチック製品の廃棄物としての処分量を削減する”などの便益を

もたらすので,これもサービスシステムの機能の一つとみなすことができる。

一般的な製品システムでは,調査対象である製品又はサービス自体がもたらす便益が主要な機能として

特定されるが,

プラスチックの循環的利用システムでは,

“使用済みプラスチック製品が循環的に利用され,

廃棄物として処分されなくなり,かつ,資源消費を削減する”という便益も,重要な機能となっているこ

とが特徴である(

附属書図 参照)。

備考  この図では,矢印の太さが,フロー量の大小を模式的に表している。

附属書図  4  プラスチックの循環的利用システムに関する便益及び機能の特徴

附属書図 に示すように,循環的利用がない場合[図の a)]に比べ,プラスチックの循環的利用によっ

て[図の b)]新規原材料の製造が代替され,かつ,焼却・埋立(適正処分)が減少し,それらに伴う資源

消費(流入基本フロー)及び環境排出物(流出基本フロー)が削減される。ただし,循環的利用それ自体

に伴う新たな流入及び流出基本フローが生じる。

資源採取

使

焼却・埋立

プラスチック

製品

a)

循環的利用がない製品システムの例

基本フロー

(原油など)

基本フロー

(陸圏排出物

など)

資源採取

使

プラスチック

製品

b)

循環的利用がある製品システムの例

基本フロー

(原油など)

基本フロー

(陸圏排出物

など)

焼却・埋立

循環的利用

製品に関する機能=
製品が提供する便益

製品に関する機能=
製品が提供する便益

流入基本フローを
減らす機能=便益

資源消費削減

流出基本フローを
減らす機能=便益

廃棄物削減


附属書表 は,プラスチックの循環的利用システムがもつ多面的な機能の一部を細分化して示したもの

である。

附属書表  2  プラスチックの循環的利用システムがもつ機能の例

−  使用済みプラスチック製品の回収(収集) 
−  使用済みプラスチック製品に含まれる利用できる資源と利用できない廃棄物との分離(分別,選別) 
−  使用済みプラスチック製品の廃棄物としての処分量削減

・  廃棄物処分量削減に伴う資源消費及び環境排出物の削減 
・  埋立用地の削減

−  使用済みプラスチック製品の処理

−  使用済みプラスチック製品の無害化 
−  使用済みプラスチック製品の有効利用 
−  循環的利用製品の製造(再使用,リサイクル,エネルギー回収)

・  循環的利用製品自体が提供する便益(例えば,使用済みプラスチック製品のガス化によって製造され

る水素のアンモニア原料としての利用)

・  循環的利用製品によって代替される製品の製造量削減に伴う資源消費及び環境排出物の削減

−  ・・・・・・

4.3 

機能,機能単位及び基準フローの設定手順  機能及び機能単位の定義並びに基準フローの決定の手

順は,次のステップに区別することができる。

−  機能の特定(4.4 参照)

−  機能の選択及び機能単位の定義(4.5 参照)

−  製品の性能の特定及び基準フローの決定(4.6 参照)

附属書図 は,使用済みプラスチック製品のガス化を例として,これらのステップの手順を示している。

附属書表 は,これらの手順に従って設定した機能,機能単位及び基準フローの例を追加事例も含めて示

している。これらの手順及び事例については,次の 4.4 から 4.6 で詳しく順に説明する。

なお,これらの例では,プラスチックの循環的利用システムがもつ多面的な機能(

附属書表 参照)を,

便宜的に“廃棄物として処分することなく循環的に処理(特に注記がない限り,単に“処理”という。

)す

る機能”と“使用済みプラスチック製品を有効利用する機能”とに大別している。前者は,廃棄物処分の

代替機能に着目した見方であり,後者は,新規製品製造の代替機能に着目した見方である。


附属書図  5  機能,機能単位及び基準フローの設定事例

4.4 

機能の特定  機能単位を導入する目的は,製品システムによって提供される便益を定量化すること

である。したがって,最初のステップは,LCI 調査の対象とする製品システムがもつ目的,すなわち,一

つ又は複数の機能を特定することである。

この手順の始点は,調査する特定の製品(例えば,再生 PET 製卵パック)でも,また,最終的な要求又

は目標(例えば,使用済みプラスチック製品の循環的利用)でもよい。機能は,通常は特定の製品又はプ

ロセスの性質に関連付ける。特定の製品を対象として調査を実施する場合は,その製品の機能の特定から

始める。先に機能(要求又は目標)を設定し,次にその機能を満たす製品システムを選定して調査を実施

する場合もある。設定した機能は,幾つかの異なった製品システムによって実現されることもある。例え

ば,

附属書表 の事例 3 の“卵の保護”という機能は,再生 PET 樹脂などによるプラスチック製卵パック

によっても,再生紙などによる紙製卵パックによっても実現される。また,

“使用済みプラスチック製品の

処理及び/又は利用”という目標は,種々の循環的利用方法(例えば,ガス化,高炉還元剤化など)によっ

て実現される。

機能の特定(4.4

機能の選択及び
機能単位の定義(4.5

製品の性能の特定及び
基準フローの決定(4.6

製品システム

使用済みプラスチック
製品のガス化

製品システムの機能

−使用済みプラスチック

製品の処理

−水素の製造
−・・・・・・・

LCI

調査の対象として

選択した機能

使用済みプラスチック
製品の処理

機能単位

1 kg

の使用済みプラス

チック製品の処理

LCI

調査の対象として

選択した機能

水素の製造

機能単位

1 kg

の水素の製造

製品システムの性能

使用済みプラスチック
製品を処理

基準フロー

1 kg

の使用済みプラス

チック製品

製品システムの性能

水素を製造

基準フロー

1 kg

の水素

附属書表3

事例1-1参照)

附属書表3

事例1-2参照)


附属書表  3  機能,機能単位及び基準フローの設定事例

事例番号

1-1 1-2 2-1 2-2  3

順  製品システム

使用済みプラスチック製品の

ガス化

使用済みプラスチック製品の

高炉還元剤化

再生 PET 製

卵パック

1

機能の特定

4.4

−  使用済みプラスチック製品の処

−  合成ガスの製造

−  水素の製造 
− CO の製造 
− CO

2

の製造

−  ・・・・・・

−  使用済みプラスチック製品の処

−  鉄鉱石の還元

−  高炉内での溶解・反応熱の供給 
−  石炭・コークスの消費削減 
−  高炉ガスの発生

−  ・・・・・・

−  使 用 済 み

PET

ボトル

の処理

−  卵 パ ッ ク の

製造

−  パ ッ ク 原 料

の消費削減

−  卵の保護 
−  取 扱 い の 利

便性

−  ・・・・・・

2

調査対象とす
る機能の選択

4.5

使用済みプラス
チック製品の処

水素の製造

使用済みプラス
チック製品の処

鉄鉱石の還元

卵の保護

3

機能単位の

定義(4.5

1 kg

の使用済み

プラスチック製

品の処理

アンモニア製造
原料用の 1 kg の

水素の製造

1 000 kg

の使用

済みプラスチッ

ク製品の処理

1 000 kg

の使用

済みプラスチッ

ク製品の還元剤
としての利用

パッキングから
消費までの間,

100 000

個の卵を

保護

4

製品システム

の性能の特定

4.6

使用済みプラス

チック製品を処

アンモニア製造

原料用の水素を
製造

使用済みプラス

チック製品を処

使用済みプラス

チック製品を微
粉 炭 ・ コ ー ク ス
代替として利用

10

個入りの再生

PET

製卵パック

5

基準フローの

決定(4.6

1 kg

の使用済み

プラスチック製

1 kg

のアンモニ

ア製造原料用水

1 000 kg

の使用

済みプラスチッ

ク製品

1 000 kg

の使用

済みプラスチッ

ク製品

10

個入りの再生

PET

製卵パック

が 10 000 個

附属書表 及び附属書表 に示すように,一つの製品システムは,数多くの機能をもつ場合がある。例

えば,使用済みプラスチック製品のガス化システム(事例 1-1 及び 1-2 参照)の機能としては,使用済み

プラスチック製品の処理,合成ガス(水素及び一酸化炭素の混合ガス)の製造,二酸化炭素の製造などが

特定できる。同様に,使用済みプラスチック製品の高炉還元剤化システム(事例 2-1 及び 2-2 参照)の機

能としては,使用済みプラスチック製品の処理,鉄鉱石の還元,高炉内での溶解・反応熱の供給,石炭・

コークスの消費削減,高炉ガスの発生などが特定できる。事例 3 は,循環的利用によって得られる製品の

例であるが,再生 PET 製卵パックのシステムがもつ機能としては,使用済み PET ボトルの処理,卵パッ

クの製造,卵パック用原料資源の消費削減などが特定でき,卵パック自体の機能としては,卵の保護,取

扱いの利便性などが特定できる。

4.5 

機能の選択及び機能単位の定義

4.5.1 

調査対象とする機能の選択  附属書表 及び附属書表 に示すように,一つの製品システムが,数

多くの機能をもつ場合があるが,

特定の LCI 調査にとっては,

それらの機能のすべてが必要とは限らない。

したがって,

考えられるすべての機能から,

調査の目的に照らして重要な機能を選択しなければならない。

附属書図 及び附属書表 に示すように,同じ製品システムに対しても異なった見方があり得る(4.3 

照)ので,調査の目的設定が重要であり,目的によって同じ製品システムに対する調査内容が変わってく


る。

例えば,使用済みプラスチック製品のガス化システムに対する LCI 調査の場合,調査目的の主眼が使用

済みプラスチック製品を廃棄物として処分することなく循環的に処理することにあれば,特定した複数の

機能の中から調査対象として選択する機能は,

“使用済みプラスチック製品の処理”とすることができる

(事例 1-1 参照)

一方,調査目的の主眼が循環的利用によって得られる製品にあれば,調査対象として選択する機能は,

例えば,

“水素の製造”とすることができる(事例 1-2 参照)

事例 1-1 は,処理システムとみて,調査の目的が“使用済みプラスチック製品(例えば,1 kg)をガス

化処理するときのインベントリを求める”場合に相当する。

一方,事例 1-2 は,製造システムとみて,調査の目的が“使用済みプラスチック製品をガス化して水素

(例えば,1 kg)を製造するときのインベントリを求める”場合に相当する。

事例 2-1 は,事例 1-1 と同様の追加事例である。

一方,事例 2-2 は,調査目的の主眼が使用済みプラスチック製品の利用にあり,調査対象として選択す

る機能は,例えば,

“鉄鉱石の還元”とすることができる。

事例 3 は,事例 1-2 と同様の追加事例であるが,循環的利用によって得られる製品のもつ機能(卵の保

護)を主眼とした設定の例を示している。

調査対象として選択する機能は,一つとは限らない。例えば,事例 1-2 では,水素の製造及び二酸化炭

素の製造という複数の機能を選択して調査を行う場合も考えられる。

4.5.2 

機能単位の定義  次に,選択した重要な機能は,機能単位として定量化する。すなわち,機能単位

とは,製品システムによって提供される便益を定量化して定義したものである。

事例 1-1 では,選択した機能“使用済みプラスチック製品の処理”に対する機能単位は,例えば,

“1 kg

の使用済みプラスチック製品の処理”と定義することができる。機能単位及び基準フローの設定で“使用

済みプラスチック製品”を選択した場合は,4.7.1 に示すように,その特定について留意する必要がある。

一方,事例 1-2 では,選択した機能“水素の製造”に対する機能単位は,例えば,

“アンモニア製造原料

用の 1 kg の水素の製造”と定義することができる。

事例 2-1 は,事例 1-1 と同様であるが,機能単位の量が異なる定義の例を示している。

一方,事例 2-2 では,選択した機能“鉄鉱石の還元”に対する機能単位は,例えば,

“1 000 kg の使用済

みプラスチック製品の還元剤としての利用”と定義することができる。

事例 3 では,

“卵の保護”という機能が卵のパッキングから消費までの間で必要とされるので,例えば,

機能単位を“パッキングから消費までの間,100 000 個の卵を保護”と定義することができる。この機能単

位の定義は,卵パックの強度など,選択した機能を満たす製品の性能と関連している。

同様に,事例 1-2 で“アンモニア製造原料用の 1 kg の水素の製造”という機能単位の定義は,純度など

水素の品質と関連している。

事例 1-1 及び事例 2-1 の“使用済みプラスチック製品の処理”に対する機能単位と製品システムの性能

との関連については,4.7.2 を参照。事例 2-2 の“鉄鉱石の還元”に対する機能単位と製品システムの性能

との関連については,6.4 の a)を参照。

機能単位は,

異なったパラメータの組合せで表現する場合もある。

例えば,

“水素の製造”

の機能単位は,

“純度 99 体積%以上,不純物である CO 許容限度 0.1 体積%未満,温度 120  ℃,圧力 4 MPa の水素 1 kg

の製造”のように異なるパラメータの組合せで定義することもある。


製品システムが複数の機能をもつ場合は,

異質の量の組合せで機能単位を表現することもある。

例えば,

使用済みプラスチック製品の焼却からのエネルギー回収システムが発電と温水製造の二つの機能をもつ場

合,機能単位は,

“170 kW の発電及び 1 時間当たり 950 kg の割合での 85  ℃の温水製造“と定義すること

もできる。

日々発生する使用済みプラスチック製品を処理する観点からは,循環的利用プロセスの単位時間当たり

の処理能力が問題になる場合がある。また,大規模に処理することによって規模の効果を得ている循環的

利用プロセスでは,その性能を維持するために,使用済みプラスチック製品を広範囲から大量に収集し,

単位時間当たりの受入量を安定的に確保する必要がある場合もある。

設定した機能単位が,

“使用済みプラ

スチック製品 1 000 kg の処理”のように時間の次元を含まない場合には,これらの事柄は反映されない。

したがって,処理能力又は受入能力が問題になる場合には,例えば,

“1 日当たり使用済みプラスチック製

品 10 t の処理”などと設定する必要がある。特に,複数のシステムの比較の場合は,それぞれのシステム

の単位時間当たりの処理能力が同等でなければ,比較できない場合がある(6.2 参照)

4.6 

製品の性能の特定及び基準フローの決定  特定の機能単位を定義すると,次の作業は,機能単位に

よって定量化した機能を達成するのに必要な製品の数量,すなわち,基準フローを決定することである。

基準フローは,製品システムの性能と関連付けられ,通常は,標準的な測定方法に基づいて決定する。

もちろん,この測定及び計算の種類は,調査対象の製品システムによって異なる。

機能単位は,製品の数量として表すこともあり,その場合,機能単位と基準フローとは同一になる。

附属書表 の事例 1-2 は,機能単位を製品の数量として表し,基準フローも同一の数量として設定する

例である。事例 1-1,2-1 及び 2-2 は,製品の数量ではなく,それぞれの循環的利用システムが処理又は利

用する使用済みプラスチック製品の数量(すなわち,使用済みプラスチック製品を処理又は利用するとい

うシステムの性能)として機能単位を設定し,基準フローも同一の数量となる例である。

事例 3 では,保護する卵の数量を機能単位とし,製品パックの性能(パッキングから消費までの間,卵

を保護するという機能単位の要求を満たすパック 1 個が保護する卵の数量)

を 10 個として基準フローを決

定している。ここでは,代表的なパックとして 10 個入りを選んでいる。しかし,実際には複数の容量のパ

ック(例えば,6 個入り,12 個入り)が存在するので,市場や特定の工場などを対象として調査を行い,

容量別のパックの製造(又は消費)実績を適切に反映して基準フローを決定する場合もある。

4.7 

使用済みプラスチック製品に関する留意事項

4.7.1 

調査対象とする使用済みプラスチック製品の特定  プラスチックの製造工程(例えば,成形加工)

などから排出される端材,不合格品などのプラスチックの循環的利用の場合は,一般的に,プラスチック

の種類(樹種など)が明確で,プラスチック以外の異物の混入も少ないので,そのプラスチックの質量,

組成などをパラメータとして機能単位及び基準フローを設定し,その内容を特定することが比較的容易で

ある。

一方,家庭などから排出される使用済みプラスチック製品の循環的利用の場合は,特別の注意が必要で

ある(

附属書表 参照)。一般的に,使用済みプラスチック製品は,複数の種類のプラスチックを含み,

その構成比率が不明確であったり,大きく変動する場合がある。例えば,使用済み PET ボトルには,キャ

ップ由来のポリプロピレン,

ラベル由来の各種プラスチック材料などが含まれ,

その比率は一定ではない。

また,無色透明の PET ボトルと着色 PET ボトルとは,異なる用途に利用され,その比率も一定でない。

循環的利用プロセスによっては,特定の種類のプラスチックは,利用に適さない場合もある。例えば,PET

樹脂は油化には適さず,油化装置に投入されると主として固形廃棄物として排出される。また,使用済み


プラスチック製品は,プラスチック以外の異物を含む場合も多く,その構成内容が不明確であったり,大

きく変動する場合もある。これらは,分別排出の方法によっても異なり,使用済みプラスチック製品が“不

燃ごみ”として排出されている場合は,金属,ガラス,陶磁器などが含まれる。一方,

“可燃ごみ”として

排出されている場合は,紙,木竹,ちゅうかい(厨芥)などが含まれる。何らかの分別排出が行われてい

る場合でも,実際には分別が徹底して行われるとは限らず,容器包装プラスチックなどでは食品残さなど

の内容物が付着している場合もある。分別排出の方法にかかわらず,プラスチックが,紙,アルミニウム

など他の素材との複合材料として用いられていたり,他の素材と結合されて用いられている場合には,そ

れら異種の素材と混合して排出される場合もある。

附属書表  4  使用済み PET ボトルに含まれる異物等の例

フロー

内  容

質量

kg

構成比 
質量%

流入

回収された使用済み PET ボトル(ベール) 1

200

100

再生されたクリアーPET フレーク 1

000

83

キャップ由来のポリプロピレン,ポリエチレンなど

      50

    4

着色 PET ボトル

      30

    3

流出

固形廃棄物(分離不能な PET 樹脂を含む)

  120

 10

排出された使用済みプラスチック製品(端材,不合格品などの場合も同様)に含まれる異種のプラスチ

ック及びプラスチック以外の異物を調査でどう取り扱うかは,調査の目的の設定によって異なり,それに

よって機能単位及び基準フローの内容も異なる。例えば,特定のプラスチックだけの循環的利用について

LCI

調査を実施する場合は,調査の対象とするプラスチックだけの数量によって機能単位及び基準フロー

を設定する場合もある。しかし,この場合も,使用済みプラスチック製品に含まれる調査対象プラスチッ

クのすべてが利用されるとは限らず,例えば,

附属書表 に示すように,一部は分離できずに固形廃棄物

として利用されずに排出される場合もある。一方,排出された使用済みプラスチック製品に含まれる異種

のプラスチック及びプラスチック以外の異物の分別,

選別などの工程も含めて LCI 調査を実施する場合は,

異物などを含む使用済みプラスチック製品全体の質量によって機能単位及び基準フローを設定する場合も

ある。この場合も,排出されたときの状態のままで機能単位及び基準フローを設定する場合,自治体など

によって何らかの中間処理が行われた後,循環的利用プロセスを運営する者が原材料として受け取った使

用済みプラスチック製品の状態で機能単位及び基準フローを設定する場合などがある。これらは,目的及

び調査範囲の設定によって変わってくる。

このように“使用済みプラスチック製品”といっても,その性状などは排出の状況などによって千差万

別である。したがって,調査の対象とする使用済みプラスチック製品の状態を特定しなければならない。

使用済みプラスチック製品の状態には,プラスチックの種類(例えば,樹種,軟質・硬質の別,フィルム・

成形品などの形態別,これらの比率など)

,異物の種類(例えば,素材別,形態別,これらの比率など)な

どが含まれる。これらの詳細度は,調査の目的及び調査範囲の設定による。また,調査の初期段階では詳

細に特定することは困難なので,データ収集後に反復的に詳細設定を行う場合もある。一方,機能単位及

び基準フローの設定では,ある特定の段階の使用済みプラスチック製品(例えば,容器包装リサイクル法

における市町村の指定保管施設に分別収集・保管されている状態の使用済みプラスチック製品)の状態と

して定性的に定義し,その定量的内容(例えば,組成,性状,品位など)は,データ収集によって明らか

にする場合もある。


いずれの場合も,調査の対象とする用済みプラスチック製品の始点及び始点における状態を特定し,報

告書の調査範囲の設定段階又はインベントリ分析段階に明記しなければならない。機能単位及び基準フロ

ーの設定に使用済みプラスチック製品が含まれる場合は,データ収集結果及び仮定に基づき,その使用済

みプラスチック製品の組成を定量的に特定し,インベントリ分析を行わなければならない。

4.7.2 

プラスチックの循環的利用システムの性能  プラスチックの循環的利用システムに関する LCI 調

査において,調査対象システムの始点の設定,始点における使用済みプラスチック製品の状態の特定は,

システムの機能や性能に関連する。

例えば,PET ボトルは,使用済みとなった(飲み終わった)後,家庭などでボトルの洗浄,キャップ及

びラベルの分別などが行われる場合もある。次に,分別排出,分別収集され,自治体などの中間処理場で

圧縮減容化され,ベール状にこん(梱)包される。その後,リサイクル事業者に引き取られ,選別,破砕,

洗浄,分離,乾燥などの工程を経て再生原材料(再生フレークなど)となり,更に,再生製品に加工され

る。

この例において,調査対象システムの始点を使用済みとなったときに設定した場合,

そのシステムでは,

家庭などでの異物の洗浄,分別などの機能も含めて考慮する必要があり,それらがシステムの性能にも反

映する。また,調査対象システムの始点をリサイクル事業者が受け取ったときに設定した場合,そのシス

テムには,分別収集や圧縮減容化などの機能が含まれていないが,リサイクル事業者における異種プラス

チック,異物などの選別,洗浄,分離などの機能は考慮する必要がある。PET ボトルの循環的利用におい

ては,ベールの汚れの程度,異種プラスチック・異物の混入率などによって採点し,ランクを A(非常に

よい)

,B(ややよい)又は D(要改善)に分類している。調査対象システムの機能単位及び基準フローを,

“使用済み PET ボトル(例えば,1 kg)の処理”又は“一定品質の再生フレーク(例えば,1 kg)の製造”

として設定する場合,ベールのランクによって異物等の混入率などが異なるので,機能単位の要求を満た

すシステムの性能,すなわち,異物等の選別,洗浄,分離などの性能が異なってくる(6.6.3 参照)

5. 

システム境界の設定に関する留意事項

5.1 

本体の規定  調査範囲の設定段階におけるシステム境界の設定については,本体の 5.2.3 で次のよう

に規定している。

−  入力及び出力の選定,同一データ区分内での集約の程度,及び製品システムのモデル化は,調査

の目的に整合していなければならない。

−  システム境界を設定するときの基準は,調査範囲の設定段階で特定し,かつ,その妥当性を示さ

なければならない。

−  調査によってどの単位プロセスをモデル化すべきか,及びどの程度詳細に調査しなければならな

いかを決定しなければならない。理想的には,システム境界における入力及び出力は基本フロー

で表し,設定した境界と環境との間に人為的な変化が加わらないものとなるように製品システム

をモデル化することが望ましい。

−  ライフサイクル段階,プロセス,又は入出力の省略決定を下した場合は,これを明確に記述し,

その妥当性を示さなければならない。

5.2 

プラスチックの循環的利用に関する留意事項  調査対象システムの始点をどこにするかは,調査の

目的及び調査範囲の設定に依存する。プラスチックの循環的利用段階以降を対象とする LCI 調査において

は,例えば,システムの始点を次のように設定する場合がある。

−  使用済みプラスチック製品が排出されたところ。


−  使用済みプラスチック製品が排出され,分別排出,分別回収,中間処理(例えば,圧縮減容化)

などのプロセスを経て,リサイクル事業者が,使用済みプラスチック製品を原材料として受け取

ったところ。

前者は,例えば,家庭などで排出するときの分別,自治体などによる収集運搬・中間処理などを含めて

LCI

調査を実施することが調査目的である場合などに相当する。後者は,例えば,家庭での分別,自治体

での収集・処理などを調査範囲から除外する場合などに相当する。前者と後者とでは,使用済みプラスチ

ック製品の状態が異なることに留意しなければならない(4.7.1 及び 6.2 参照)

いずれの場合も,システムの始点における使用済みプラスチック製品の状態は,異物などを含めて定性

的及び/又は定量的に記述しなければならない。

プラスチックの循環的利用システムでは,使用済みプラスチック製品に含まれる利用できないプラスチ

ック・異物などの除去,除去されたものの処理などに関する入力及び出力が,LCI 分析の結果に大きく影

響する場合がある。したがって,これらの除去及び処理プロセス,並びに関連する入出力をどこまで含め

るか,また,循環的に利用されたプラスチックの終点における状態(例えば,性状,品位など)を明確に

設定し,記述しなければならない。

6. 

システムを比較する場合の機能の特定及びシステム境界の設定に関する適用事例及び留意事項

6.1 

本体の規定  複数の製品システムの比較調査に対する特定要求事項には,一般に対して開示する比

較主張を意図しているか否かにかかわらず要求される事項と,一般に対して開示する比較主張を意図して

いる場合に更に要求される事項とがある。

一般に対して開示する比較主張を意図しているか否かにかかわらず,複数の製品システムを比較する場

合の機能,機能単位及び基準フローの設定並びにシステム境界の設定に関する特定の要求事項は,

本体の

5.2.2

及び 5.2.4 において次のように規定されている。

−  システム間の比較は,同一の機能に基づいて行わなければならない。その機能は,それぞれの基

準フローによって形成される同一の機能単位によって定量化しなければならない。

−  機能単位の比較において,いずれかの付加機能を考慮しない場合は,これらの省略について文書

化しなければならない。又は,その代わりに両システムの比較の妥当性を高めるために,一方の

システムだけがもつ機能と同等の機能を提供する付加的システムを,その機能をもたない他方の

システムの境界内に加えてもよい。いずれの場合も,採用した手順を文書に残し,その正当性を

示さなければならない。

−  システムは,同一の機能単位及び等価的な方法論的考察によって比較しなければならない。方法

論的考察には,例えば,性能,システム境界,データ品質,配分の手順,入力及び出力を評価す

る判断基準,影響評価などが含まれる。これらの項目に関してシステム間のどんな差異も明示し,

かつ,報告しなければならない。

−  比較調査の場合,結果を解釈する前に,比較対象システムの同等性を評価しなければならない。

一般に対して開示する比較主張を意図している場合は,更なる要求事項が,

本体の 5.2.3 及び 5.2.4 に次

のように規定されている。

−  一般に対して開示する比較主張に用いることを意図している調査では,物質及びエネルギーの流

れを調査範囲に含めるべきかどうかを決定するための分析を行わなければならない。

−  一般に対して開示する比較主張の場合には,

本体の 9.3.4 のクリティカルレビューの過程に従って

この評価を実施しなければならない。


−  一般に対して開示する比較主張に対するもう一つの要求事項は,影響評価を実施しなければなら

ないことである。

システム間の比較を行うことを目的とした調査の場合は,比較する各システムの機能,機能単位,基準

フロー及びシステム境界の設定が等価であるか否かを検討し,

それらが等価であれば比較可能と判断する。

この場合,入力及び出力を基準フロー当たりに換算することによって,性能,種類などの異なるシステム

間の比較が可能となる。もし,重要な機能などが等価でなければ,システム拡大などによって相違を調整

し,それらを等価にしなければならない。比較する各システムの機能,機能単位,基準フロー及びシステ

ム境界を同等とみなすことができなければ,それらのシステムを比較してはならない。したがって,シス

テム間の比較においては,機能,機能単位,基準フロー及びシステム境界の設定が,特に重要となる。

これらについては,次の 6.2 から順に説明する。

機能単位,システム境界などを等価にすることは,比較調査の必要条件であるが,一般に開示する比較

主張を意図している場合は,LCI 調査だけで比較主張の根拠としてはならず,更に影響評価及び外部の独

立した専門家委員会(利害関係者を含めることがある)によるクリティカルレビューを行うことが十分条

件として必要になる。

6.2 

使用済みプラスチック製品に関する留意事項  プラスチックの循環的利用に関するシステム間比較

を行う場合で,

かつ,

機能単位及び基準フローを使用済みプラスチック製品の量によって設定する場合は,

その質も同一としなければならない。これによって,質・量ともに同一の使用済みプラスチック製品につ

いて比較することになる。

(使用済みプラスチック製品の特定及び状態の記述については,4.7.1 参照。

比較調査の対象となる使用済みプラスチック製品の始点における状態によっては,比較対象となり得る

システムが限定されることがある。例えば,多種多様なプラスチック及びプラスチック以外の異物を多く

含む混合状態で排出される使用済みプラスチック製品は,再生原材料としてのリサイクルが現実的には難

しい場合がある。

また,4.5.2 に述べられているように,プラスチックの循環的利用に関するシステム間比較を行う場合,

それぞれのシステムの単位時間当たりの処理能力が同等でなければ,比較できない場合がある。例えば,

特定の地域で日々発生する使用済みプラスチック製品を対象とした循環的利用システムの比較では,それ

ぞれのシステムの処理能力が,使用済みプラスチック製品の発生量に見合う必要がある。

6.3 

機能の特定と選択  機能単位の定義は,調査の目的に密接に関連する。製品システムの比較が目的

ならば,次の点に特に注意を払うことが必要である。すなわち,その比較自体が有効であり,あらゆる追

加機能も特定及び記述し,また,すべての重要な機能を考慮に入れていることを保証しなければならない

6.6 参照)

例  循環的利用に関する調査は,単に使用済みプラスチック製品を廃棄物として処分することなく循

環的に処理するという機能だけではなく,他の機能を含むべきである(すなわち,材料の再生利

用やエネルギー回収という循環的利用システムを提供する機能)

機能の選択は,比較調査の場合,特に重要になる。製品システム間の比較を行う場合は,比較対象とな

るシステムが相互に代替可能であることが必す(須)であり,少なくとも一つ以上の同一の共通機能を機

軸として比較することになる。比較するシステム間には,共通でない機能もあり,それぞれのシステムの

重要な機能がどの程度共通しているかを調査の目的及び調査範囲の設定に照らして,比較可能性を判断す

る。

例 PET ボトルにおいて,容器としてのイメージ機能を省くことは,物理的性能が同様の容器(すな

わち,同一量の飲料を収容する)との比較を可能とするかもしれないが,生産者や顧客は,それ


を比較可能として受入れないであろう(6.4 の c)参照)

6.4 

基準フローの等価性  一般的に,基準フローは,機能単位にかかわる標準試験に基づいて計算する

場合が多いが,この標準試験の条件と測定方法は,意図した比較の目的に照らして適切なものでなければ

ならない。

a)

高炉還元剤化の事例  例えば,使用済みプラスチック製品の高炉還元剤化システム(附属書表 の事

例 2-1 及び 2-2 参照)と既存の高炉システムとを比較する場合,使用済みプラスチック製品は,既存

システムのコークス投入及び/又は微粉炭吹込みを代替すると考えられる。鉄鉱石の還元機能に着目す

ると,使用済みプラスチック製品の炭素及び水素の含有率を標準試験によって分析し,コークスの炭

素と還元能等価として,それぞれの基準フローを計算する方法が考えられる。また,高炉への熱供給

機能に着目すると,使用済みプラスチック製品と微粉炭の(低位)発熱量を標準試験によって測定し,

発熱量等価として,それぞれの基準フローを計算する方法が考えられる。しかし,実際には,反応速

度,伝熱速度,化学及び熱平衡などによって理論的な還元能や発熱量が,すべて高炉内で利用される

わけではない。したがって,高炉内での有効利用率を測定することがより適切ではあるが,コークス

及び/又は微粉炭に対する使用済みプラスチック製品の代替率は小さいので,実際の有効利用率を測定

することは困難である。可能であれば,高炉を模した試験炉で実験を行い,還元能及び/又は熱供給能

を測定するなどの方法も考えられる。

いずれにしても,調査の目的に照らして,適切な標準試験方法を設定し,基準フローの計算方法及

びその根拠を示さなければならない。

b)

飲料ボトルの事例  飲料容器の再使用に関する等価な基準フローの事例として,リターナブルボトル

とワンウェイの PET ボトルとのシステム間比較を行う場合を示す。例えば,ボトルのもつ数多くの

機能のうち“飲料の保護”だけに着目し,

“充てんから消費まで 50 000 L の飲料を保護する”という

機能単位を設定する。ただし,この事例は,十分な量のボトルが流通している定常状態の例であり,

飲料の保護,流通,供給などに要する時間は考慮していない。

ここで,PET ボトル 1 本当たりの容量(製品の性能)を 0.5 L とすると,基準フローは“0.5 L のワ

ンウェイ PET ボトルが 100 000 本”

と計算される。

これと等価なリターナブルボトルの基準フローは,

次のように計算することもできる。例えば,リターナブルボトル 1 本当たりの容量を V(L)

,最初に

製造するボトルの本数を B(本)

,再使用率を R(%)

,最初の使用を 1 回目として 回再使用したと

すると,

“50 000 L の飲料を保護する”という機能単位との間に次の式が成り立つ。

(

)

(

)

(

)

 (

+・・・・+

L

000

50

1

100

1

100

100

100

100

100

1

1

2

å

×

×

÷

ø

ö

ç

è

æ

×

×

÷

ø

ö

ç

è

æ

×

×

÷

ø

ö

ç

è

æ

×

×

×

×

×

R

R

B

V

R

B

V

R

B

V

R

B

V

R

B

V

B

V

n

n

n

 (1)

ここで,V=0.4 L,R=90 %で無限回(n=∞)再使用したとすると,式(1)は次のようになる。

 (

L

000

50

1

9

.

0

1

9

.

0

4

.

0

×

×

B

 (2)


式(2)を解くと,B=12 500 本となる。したがって,

“再使用率 90  %の 0.4 L のリターナブルボトル

が 12 500 本”という基準フローは,

“50 000 L の飲料を保護する”という機能を果たし,

“0.5 L のワン

ウェイ PET ボトルが 100 000 本”と等価な基準フローとみなすことができる。

この例で再使用率 90  %とは,1 回使用されるごとに,その 10  %は回収されないか,回収されても

再使用に耐えない,ということを意味している。

仮に,0.4 L のリターナブルボトルがワンウェイで用いられるとすると,同じ機能単位は,

“0.4 L の

ワンウェイボトルが 125 000 本”という等価な基準フローで実現できる。これと比較して,同じ容量

のリターナブルボトルの場合,最初に製造された 12 500 本のボトルが繰り返し使用されることによっ

て,同容量のワンウェイボトルの 1/10 の本数で同一の機能単位が満たされる。このことは,リターナ

ブルボトルのシステムがもつ機能,性能の一つを表している。この例では,ワンウェイボトルに比べ

て使用回数は増加するが投入本数は少なくなり,最初に製造されたリターナブルボトル 12 500 本が平

均的に 10 回使用され,累積では 125 000 本・回になる。

c)

その他の事例及び留意事項  次に“比較不能”の事例を示す。ワンウェイボトルの例で,“0.50 L の

ボトルが 9 000 本”と“0.45 L のボトルが 10 000 本”という基準フローは,物理的には,

“4 500 L

の飲料を保護する”という同一機能を果たす。しかし,幾つかの状況では,消費者は体積又は質量の

異なったボトルを見分けることができるとは限らない。0.50 L のボトルに替わり,体積が若干小さい

0.45 L のボトルが導入された場合,消費者が 1 本は 1 本とみなすと,飲料の総消費は減少するであろ

う。この場合,その中身を無視して体積の異なるボトルの比較の LCI 調査をすることはできない。も

ちろん,消費量の変化を考慮に入れ,飲料とボトルを一括して比較できるように調査の目的を再定義

する場合もある。

附属書表 に示したような複数の機能をもつ幾つかのシステムでは,機能は分離され,幾つかのシ

ステムによって提供される場合もある。

−  使用済みプラスチック製品の焼却場での処分と天然ガスからの水蒸気改質による合成ガスの生

産との組合せによって,使用済みプラスチック製品のガス化システム(

附属書表 の事例 1-1

及び 1-2 参照)と同一の機能単位が提供されることもあり得る。

−  使用済みプラスチック製品の焼却場での処分並びにコークス及び微粉炭を用いる既存の高炉シ

ステムという二つのプロセスの組合せによって,使用済みプラスチック製品の高炉還元剤化シ

ステム(

附属書表 の事例 2-1 及び 2-2 参照)と同一の機能単位が提供されることもあり得る。

しかし,幾つかの機能は非常に密接に関連し,分離が不可能な場合もある。例えば,高炉における

使用済みプラスチック製品の熱供給機能は,その主要な機能(還元機能)と分離することはできない。

参考  二つの関連する機能の分離は,技術的には可能かもしれないが,他の要因のため,二つの

別々の機能がそれらを結合した機能と比較できない場合もある。そのような例の一つとし

て、ISO/TR Q 14049:2000 の 4.4(基準フローの等価性)には一体形冷凍冷蔵庫の事例が示

されている。

ここに示した事例のほとんどでは,二つの製品システムの等価性は,使用者の受容性によって決定

されることに注意する必要がある。この受容性,すなわち,二つの製品システムが比較可能とみなさ

れるか否かは,代替品の価格や,例えば,環境パフォーマンスに関する情報などの製品にかかわる追

加情報によって影響される。したがって,これらが無条件に製品開発や戦略的経営判断の目的となる


場合には,価格や関連情報に関する特定の条件下で同等とみなされるようになる。その場合には,二

つの製品システムを比較することが合理的となる場合もある。

6.5

性能の相違の調整  基準フローが直ちに同等とみなされる場合,調整は必要ではない。

その他の場合は,調整が必要となる。この調整手順は,共製品に関する配分の場合と同じ原則に従う。

すなわち,望ましい選択は,製品性能の相違を回避するためのシステム境界の変更である。システムの拡

大による調整は,常に可能ではない。この変更が可能でもなく,また,変更できたとしても実際に計算が

できない場合は,配分操作を適用する場合もある。この場合,比較システムへの入出力は,何らかの方法

で複数の機能に配分しなければならない。

調査対象の機能の再考などを伴った,より根本的な事例が,6.4 の c)の“比較不能”の例に示されてい

る。そこでは,飲料をも含めた検討が必要とされた。

システム境界の変更による調整の事例を次の 6.6 に示す。

参考  ISO/TR Q 14049:2000 の 4.5(性能の相違の調整)にも,性能の相違の調整について幾つかの事

例が説明されている。

6.6 

システム境界の調整に関する事例  ここでは,比較を目的としたプラスチックの循環的利用に関す

る LCI 調査について,幾つかの事例を示す。

システム間の比較を可能にする基本的な要件は,比較する各システムの機能及び機能単位が同一,かつ,

基準フローが等価であることである。

一般に,

プラスチックの循環的利用システムに関する比較において,

システム間の性能の調整は,システム拡大によって行う場合が多い。これは,6.5 に示したように調整手順

は配分原則に従い,

本体の 6.5.3 で規定しているように望ましい第一選択手順は配分の回避,具体的には

プロセスの細分割又はシステムの拡大と規定しているからである。システム拡大の一つとして“控除”と

いう調整方法もある。システム拡大の基本的な要件は,複数の機能単位の総和が同一,かつ,システム境

界が一致していることである。したがって,同一の使用済みプラスチック製品について複数の循環的利用

システムを比較する場合は,次のようなことが必要である。

−  システムに流入する使用済みプラスチック製品の入力状態が同一(質及び量が同じ入力が処理さ

れる)

−  システムから流出する製品及び/又はエネルギー出力が同一(質及び量が同じ出力が得られる)

−  大気圏,水圏及び陸圏排出物の処理水準(質)が同等(6.6.1 及び 6.6.3 の b)参照)

6.6.1 

循環的利用と埋立との比較  ここでは,質及び量が同一である使用済みプラスチック製品を熱利用

焼却する場合とそのまま埋め立てる場合との比較の例を示す。調査の目的設定(用途及び理由)は,例え

ば,

“熱利用焼却と埋立との比較を行い,

二酸化炭素及び固形廃棄物の排出削減の観点から適切なシステム

を選択する判断材料として用いる”とする。

附属書図 は,比較する二つのシステムの概略を示している。図の上段に示す熱利用焼却システムは,

エネルギー回収によって製品として熱(例えば,90  ℃の温水 80 kg)を生産する。一方,図の中段に示す

埋立システム自体は,製品を産出しない。これら二つのシステムは,出力が異なる,すなわち,機能が異

なるので,

そのまま単純に二酸化炭素及び固形廃棄物の排出を比較することはできない

附属書表 参照)。

しかし,例えば,両システムの製品出力が同一になるようにシステムを拡大することによって,機能を同

一にすることができる。すなわち,熱利用焼却システムから回収される熱と等価な熱を生産するシステム

(例えば,図の下段に示す石油を燃料とする温水ボイラ)を埋立システムに加えることによって,拡大後

の両システムは,同一の使用済みプラスチック製品を処理し,同一の製品(温水)を生産することになる。

附属書表 は,熱利用焼却及び/又は埋立システムの機能,機能単位及び基準フローを示している。単独


の熱利用焼却システム(例 1)と埋立システム(例 2)とでは,機能及び機能単位が同一ではない。しかし,

熱利用焼却システムとシステム拡大した(等価な熱生産システムを加えた)埋立システムとの機能,機能

単位及び基準フローは,等価とみなすことができる(例 3)

附属書図  6  熱利用焼却と埋立とのシステム間比較の概略図

附属書表  5  熱利用焼却及び/又は埋立システムの機能,機能単位及び基準フロー

1 2 3

製品システム

熱利用焼却

埋立

比較可能な両システム

選択した

重要な機能

−  使用済みプラスチック製品

の処分

−  温水の生産(熱回収)

−  使用済みプラスチック製品

の処分

−  使用済みプラスチック製品

の処分

−  温水の生産

機能単位

熱回収によって 90  ℃,80 kg の
温水生産を伴う 1 kg の使用済

みプラスチック製品の処分

1 kg

の使用済みプラスチック製

品の処分

− 1

kg

の使用済みプラスチッ

ク製品の処分

− 90 ℃,80 kg の温水生産

基準フロー

使用済みプラスチック製品 1 kg

使用済みプラスチック製品 1 kg

使用済みプラスチック製品 1 kg

収集

輸送

前処理

焼却

熱回収

(原油,水など)

環境排出物

(CO

2

,固形廃棄物など)

使用済み

プラスチック製品

(1 kg)

(90 ℃,80 kg)

収集

輸送

埋立

採掘

輸送

石油精製

輸送

温水

ボイラ

使用済み

プラスチック製品

(1 kg)

(90 ℃,80 kg)

(原油,水など)

環境排出物

(CO

2

,固形廃棄物など)

使用済みプラスチック製品の

熱利用焼却システム

使用済みプラスチック製品の

埋立システム

比較のために加えた
等価な温水製造システム

a)

熱利用焼却システム

b)

システム拡大した埋立システム


熱利用焼却に比べて埋立の方が二酸化炭素排出が少ないか否かは,インベントリ分析を実施してみない

と分からない。

附属書図 に示すように,埋立システムは,熱利用焼却システムにはない原油の採掘,産

油国から精製地までの輸送及び石油精製の各ライフサイクル段階でも二酸化炭素を排出するので,使用済

みプラスチック製品の焼却・熱回収と石油の燃焼・熱回収との熱回収率,使用済みプラスチック製品と石

油との炭素含有率などの違いによって,いずれのシステムが二酸化炭素排出が少ないかは,一概にはいえ

ない。

この例では,等価な熱生産プロセスの燃料として石油を選択したが,他のシステムも考えらる。例えば,

石炭,天然ガスなどを燃料とした熱生産プロセスを選択することもでき,システムに加える等価なプロセ

スによっても結果が異なる場合がある。また,熱回収の形態を温水,蒸気,電力などのいずれとするかに

よっても結果が異なる場合もある。したがって,考えられる複数の代替シナリオについて比較を行うか,

又は,比較に用いる代替シナリオの選択根拠を示す必要がある。

エネルギーの比較の場合も,量と質を同一にしなければならないので,エネルギーの状態の記述(例え

ば,90  ℃の温水 80 kg,150  ℃・0.3 MPa の蒸気 10 kg,7 kW・h の電力など)に留意する必要がある。

また,熱利用焼却システムにおいては,使用済みプラスチック製品は,燃え殻・焼却灰などとなって(減

容化されて)埋め立てられる。一方,埋立システムにおいては,使用済みプラスチック製品は,そのまま

地中に埋め立てられる。したがって,二つのシステムから排出される固形廃棄物は,量も質も環境影響も

異なり,無害化されたわけではないことにも留意しなければならない。固形廃棄物の質的な比較まで行い

たい場合には,質を同等にする処理システムを付加する,影響評価を含めるなどの方法がある。

ところで,この事例は,いわゆる動脈系の熱生産プロセスと静脈系の熱生産(回収)プロセスとの比較

にもなっている。その場合,調査の目的は,例えば,

“原油からの熱生産プロセスと使用済みプラスチック

製品の循環的利用による熱生産プロセスとの比較を行い,資源消費及び二酸化炭素排出の観点から適切な

システムを選択する判断材料として用いる”と変更することもできる。原油からの熱生産プロセスに埋立

システムを加えるシステム拡大によって,両システムの機能は“熱の生産及び使用済みプラスチック製品

の処分”

,機能単位は“90  ℃,80 kg の温水生産及び 1 kg の使用済みプラスチック製品の処分”

,基準フロ

ーは“90  ℃の温水 80 kg”と設定することもでき,等価な機能,機能単位及び基準フローによって比較可

能となる。

6.6.2 

異なる循環的利用システム間の比較  ここでは,使用済みプラスチック製容器包装の原材料化(再

生樹脂製造)と油化によって得られる炭化水素油(熱分解油)を用いる発電(エネルギー回収)との比較

に関する事例を示す。調査の目的設定(用途及び理由)は,例えば,

“使用済みプラスチック製容器包装の

原材料化と油化−発電とのシステム比較を行い,化石資源の消費及び温室効果ガスの排出を削減する観点

から,適切なシステムを選択する判断材料として用いる”とする。

附属書図 は,比較する二つのシステムの概略を示している。原材料化システム(図の最上段)は,市

町村の指定保管施設に保管されている使用済みプラスチック製容器包装のベールを(運搬後)原料として

受け入れ,製品として再生樹脂を製造する。一方,油化システム(図の上から 3 段目)は,同様にベール

を受け入れ,製品として熱分解油を製造する。さらに,この事例では,熱分解油はディーゼル発電機の燃

料として用い,電力を生産する。ここで,両システムが受け入れる使用済みプラスチック製容器包装(ベ

ール)の状態(質及び量)は,同一とする(6.6.3 参照)


附属書図  7  原材料化と油化−発電とのシステム間比較の概要図

原材料化システム

形態分離

材質分離


重分離

環境排出物

使用済

プラス

チック製

容器包

再生樹脂

A重油

石油精

環境排出物

電力

環境排出物

ディーゼル

発電

比較のために加えた
A重油製造システム

比較のために加えた
発電システム

油化システム

別・


減容

造粒

脱塩

熱分

油回収

使用済み

プラスチック

容器包装

電力

熱分解油

ディーゼル

発電

環境排出物

環境排出物

(資源)

石油精製




新規樹

環境排出物

比較のために加えた
新規樹脂製造システム

a)

原材料化システムの拡大

b)

油化−発電システムの拡大


これら二つのシステムは,生産する製品が異なる,すなわち,機能が異なるので,そのまま単純に温室

効果ガスなどのインベントリを比較することはできない(

附属書表 参照)。しかし,例えば,両システ

ムの製品出力が同一になるようにシステムを拡大することによって,比較可能とすることができる。すな

わち,原材料化システムには,原油から A 重油を製造し,ディーゼル発電によって電力を生産するシステ

ム(図の上から 2 段目)を加える。一方,油化−発電システムには,原油から石油精製・石油化学を経て新

規樹脂を製造するシステム(図の最下段)を加える。ここで,原材料化システムと新規樹脂製造システム

とは,同質同量の樹脂を製造し,油化−発電システムと A 重油−発電システムとは,同質同量の電力を生

産するものとする。拡大後の両システムは,同一の製品(樹脂及び電力)を同質同量生産するので,二つ

のシステムの化石資源消費及び温室効果ガス排出を比較することができる。

附属書表 は,原材料化及び/又は油化−発電システムの機能,機能単位及び基準フローを示している。

単独の原材料化システム(例 1)と油化−発電システム(例 2)とでは,機能及び機能単位が同一ではない。

しかし,それぞれに等価な(いわゆる動脈)システムを加えて拡大した両システム(例 3)の機能,機能

単位及び基準フローは,等価とみなすことができる。

附属書表  6  原材料化及び/又は油化−発電システムの機能,機能単位及び基準フロー

1 2 3

製品システム

原材料化

油化−発電

比較可能な両システム

選択した

重要な機能

−  使 用 済みプ ラス チ ック製

品の処理

−  再生樹脂の製造

−  使 用 済みプ ラス チ ック製

品の処理

−  発電

−  使用済みプラスチック製品

の処理

−  樹脂の製造 
−  発電

機能単位

0.5 kg

の再生樹脂の製造を伴う

1 kg

の使用済みプラスチック製

品の処理

2.3 kW

・h の発電を伴う 1 kg の

使用済みプラスチック製品の
処理

− 1

kg

の使用済みプラスチッ

ク製品の処理

− 0.5

kg

の樹脂の製造

− 2.3

kW

・h の発電

基準フロー

使用済みプラスチック製品 1 kg

使用済みプラスチック製品 1 kg

使用済みプラスチック製品 1 kg

この事例では,既設のディーゼル発電機の燃料を,使用済みプラスチック製容器包装の熱分解油と A 重

油との間で代替するものとしている。熱分解油の製造に伴い,新たに自家発電を行うものとする場合は,

購入電力を代替することになる。その場合,

附属書図 の上から 2 段目のシステムは,調査の対象となる

地域の電源構成を反映した電力供給システムに置き換えることができる。また,電力の供給調整は,石油

火力発電所によって優先的に行われるものとして,石油火力発電システムに置き換えることもできる。こ

れらの代替シナリオによって,結果が異なる場合もある。したがって,代替シナリオ選択の考え方を示す

必要がある。

また,この事例は,使用済みプラスチック製容器包装からの再生樹脂製造と原油からの新規樹脂製造と

の比較,又は使用済みプラスチック製容器包装から製造した熱分解油を用いた発電と原油から製造した A

重油を用いた発電との比較,すなわち,それぞれいわゆる動脈システムと静脈システムとの比較という見

方もできる。

6.6.3 

同一の循環的利用システムにおける比較  ここでは,使用済み PET ボトルのフレーク化システム

(再生 PET フレークの製造)に関する比較の事例を示す。

使用済み PET ボトルは,分別収集され,市町村などの中間処理場で圧縮減容化されてベール状にこん包

される。このとき,汚れの程度,異種プラスチック・異物などの混入率などによって採点し,ベールを A


(非常に良い)

,B(やや良い)又は D(要改善)に分類している。

a)

ベールとなった以降のライフサイクル段階だけの比較  この事例では,調査目的(用途及び理由)の

設定を,例えば,

“使用済み PET ボトルのフレーク化システムにおけるインベントリについて,ベー

ルのランクが A と D との比較を行い,エネルギー消費及び固形廃棄物の排出にどの程度の差があるか

の調査に用いる”とする。

附属書図 は,比較する二つのシステムの概略を示している。附属書表 は,両システムの機能,

機能単位及び基準フローを示している。両システムは,数多くの機能をもっているが,主な機能の中

から調査の目的に照らして“再生 PET フレークの製造”を調査の対象とする重要な機能として選択し

た場合(事例 a)

,例えば,機能単位は“再生 PET フレーク 1 000 kg の製造”

,基準フローは“再生 PET

フレーク 1 000 kg”と設定できる。ここで,機能単位は同一,かつ,基準フローは同等とみなせるの

で,両システムは比較可能である。この事例では,調査目的自体がベールランクの A と D との比較な

ので,システムの始点における使用済みプラスチック製品の質が異なることは当然であり,比較要件

として同一である必要はない。また,機能単位及び基準フローは,使用済み PET ボトルではなく,再

生 PET フレークで設定されているので,再生 PET フレークの質と量が同一であることが比較要件と

して必要であるが,使用済み PET ボトルの質と量が同一である必要はない。

附属書図  8  ベールとなった以降のライフサイクル段階だけを比較する両システムの概略図

この事例では,同量同質の再生 PET フレークを製造するため,汚れ・異物などの少ないランク A の

ベールは,ランク D のベールより少なくてよい。これに伴い,ランク A のシステムは,ランク D の

システムに比較して,エネルギー消費,固形廃棄物排出が少なくなるであろう(仮に,ランク A とラ

フレーク化システム

ラベル除去

比重分離

環境排出物

Aランクの

ベール

再生PET

フレーク

1 000 kg

フレーク化システム

ラベル除去

比重分離

環境排出物

Dランクの

ベール

再生PET

フレーク

1 000 kg

1)

異物が少ないAランクの

ベールのシステム

2)

異物が多いDランクの

ベールのシステム


ンク D とを同量処理したとすると,ランク A のシステムの方が多くの再生 PET フレークを製造でき

る。

この事例 a は,フレーク化プロセスにおいて同質同量のフレークを製造する場合の原料ベールの違

いの比較にはなっている。しかし,原料ベール A と D とが負っている(上流の)インベントリの違い

は考慮されていない。ベールとなるまでのインベントリが得られない場合,調査の目的によってベー

ルとなるまでのライフサイクル段階を考慮しない場合など,ベールとなった以降のライフサイクル段

階だけを対象とする調査では,このような比較が行われる場合もある。例えば,リサイクル企業では,

このような比較調査が行われる場合がある。また,原材料化と他の循環的利用法(例えば,廃棄物発

電など)とを比べ,異物の少ないランク A の場合は原材料化が有利であり,異物の多いランク D の場

合は廃棄物発電が有利となるか否かを調査する場合も,このような比較が行われる場合がある。

附属書表  7  比較する両システムの機能,機能単位及び基準フロー

製品システム

使用済み PET ボトルのフレーク化

機能

−  使用済み PET ボトルの処理(廃棄物削減など) 
−  再生 PET フレークの製造 
−  使用済み PET ボトルに含まれる汚れ・異物などの除去(分別,洗浄,分離)

− PET の原材料資源の節減 
−  ・・・・・・

LCI

調査の対象として

選択した機能

事例 a:再生 PET フレークの製造

事例 b:使用済み PET ボトルの処理 
(使用済み PET ボトルに含まれる汚れ・異
物などの除去を含む。

機能単位

再生 PET フレーク 1 000 kg の製造

使用済み PET ボトル 1 000 kg の処理 
(汚れ・異物などの除去を含む。

基準フロー

再生 PET フレーク 1 000 kg

使用済み PET ボトル 1 000 kg

b)

ベールとなるまでのライフサイクル段階を含めた比較  事例 a では,ベールとなるまでのライフサイ

クル段階を調査対象外とし,それまでのインベントリを考慮していない。調査の目的によっては,ベ

ールとなるまでのインベントリを考慮しなければならない場合がある。例えば,調査目的の設定(用

途及び理由)を,

“使用済み PET ボトルの家庭での洗浄・分別を徹底する場合と,リサイクル企業で

の集中洗浄・分別を行う場合とを比較し,資源消費及び環境排出物にどの程度の差があるかの調査に

用いる”などとした場合である。

ここで,

“使用済み PET ボトルの処理”を調査の対象とする重要な機能として選択し(

附属書表 7

の事例 b 参照)

,例えば,機能単位は“使用済み PET ボトル 1 000 kg の処理”

,基準フローは“使用済

み PET ボトル 1 000 kg”と設定すると,機能,機能単位及び基準フローは一見同等のように見える。

しかし,使用済み PET ボトルのベール A と D とでは,汚れ・異物などの状態が明らかに異なるので,

機能単位は同一ではなく,基準フローも等価ではない。したがって,

附属書図 のようなシステム境

界の設定では両システムを比較できないので,比較可能とするためには,何らかの調整が必要である。

調整の方法としては,例えば,使用済み PET ボトルの状態が等しくなるところまでシステムを拡大す

る方法がある。また,ランク D に含まれ,ランク A に含まれない異物などを別途処理するシステムを,

ランク A のシステムに加えるか,逆にランク D のシステムから控除する方法などもある。ただし,こ

の事例では,PET ボトルの使用段階までのインベントリは同一として,調査対象外とする。


附属書図  9  ベールとなるまでのライフサイクル段階を含めた比較を行う両システムの概略図

使用済み PET ボトルのベールのランクは,主として家庭など排出元での洗浄・分別の程度にかかっ

ている。

附属書図 は,PET ボトルが排出元で使用済みとなったところまで上流にさかのぼってシス

テムを拡大した場合の概略を示している。比較する二つのシステムの調査対象とする機能は,

“使用済

み PET ボトルの処理”であり,機能単位は“使用済み PET ボトル 1 000 kg の処理”

,基準フローは“使

用済み PET ボトル 1 000 kg”と設定できる(

附属書表 の事例 b 参照)。ここで,排出元で使用済み

となったときの PET ボトルの状態は,両システムで同一とみなせるので,機能単位は同一,かつ,基

準フローも同等となって,両システムは比較可能となる。

このような調整が必要となったのは,選択した“使用済み PET ボトルの処理”という大くくりの機

能に含まれる“汚れ・異物などの除去”という重要な機能が,ランク A のシステムとランク D のシス

テムとでは異なるためである。

両システムについて重要な機能及び機能単位を同一にすると,

例えば,

選択した機能は“使用済み PET ボトルの汚れ・異物などの除去を含む処理”

,機能単位は“使用済み

PET

ボトル 1 000 kg の汚れ・異物などの除去を含む処理”と設定できる。この事例は,プラスチック

の循環的利用システムの比較において,始点における使用済みプラスチック製品の状態の特定,重要

排出元→

市町村等→

フレー

ク化


浄・分

別︵排

出元

分別

排出︵

収集場

所︶

分別

収集


容化︵

ベール

使
用済み

PET

ボトル

Aラ

ンクの

ベール

︵異物

少︶

再生P

ET

フレー

環境排出物

環境排出物

排出元→

市町村等→

フレー

ク化


浄・

分別︵

排出元

分別

排出︵

収集場

所︶

分別収

減容化

︵ベ

ール︶

使
用済み

PET

ボトル

Dラ

ンクの

ベー

︵異物

多︶


生PE

Tフレ

ーク

環境排出物

環境排出物

1)

排出元で洗浄・分別を

徹底した場合

2)

フレーク化プロセスで

集中洗浄・分別した場合


な機能の選択,システム境界の設定が特に重要であることを示している。

なお,

附属書図 の両システムから得られる再生 PET フレークは,同量とみなしているが,実際に

は,汚れ・異物などの混入程度によってシステム内での各分別・選別工程での歩留まりが異なるなどの

理由によって,得られる再生フレークの量が異なる場合もある。仮に,異物を多く含むランク D のベ

ールの方が,フレーク化プロセスの選別・分離工程などにおける異物への同伴によって PET 樹脂の歩

留まりが無視できないほど低くなるとすれば,

附属書図 の下段の再生 PET フレークの方が少なくな

る。その場合,その減少量に相当する原油からの新規 PET 樹脂製造システムを下段のシステムに加え

るなどの調整によって,比較可能性を高めることが望ましい。

附属書図 に示す二つのシステムの比較では,ベールのランクが A 又は D の場合について,単にフ

レーク化プロセスでのインベントリ比較だけではなく,PET ボトルが使用済みとなってからランク A

又は D のベールとなるまでのプロセスとフレーク化プロセスとを合わせた比較となっている。したが

って,調査の目的設定を,例えば,

“使用済み PET ボトルのフレーク化システムについて,排出元か

らベール化までのプロセスを含めて,ベールのランクが A と D とのインベントリ比較を行い,エネル

ギー消費及び固形廃棄物の排出を削減する観点から,適切なシステムを選択する判断材料として用い

る”と修正することもできる。

ここで,それぞれの排水処理や固形廃棄物処理の相違など,新たな問題が提起される。一般に,大

気圏及び水圏に排出される環境規制対象物質は,工場等では規制値を満たすための処理を行った後,

排出される。しかし,例えば,家庭などから排出される水圏排出物は,地域によって,直接公共水域

に放流される場合,浄化槽又は下水処理場で処理した後,放流される場合などがある。一方,固形廃

棄物については,家庭などで分別された異物は,一般廃棄物として自治体で処理された後,陸圏に排

出される場合と,何らかの循環的利用がなされる場合とがある。また,リサイクル事業者において分

別された固形廃棄物は,産業廃棄物として自家処理又は処理業者によって処理された後,陸圏に排出

される場合と,何らかの循環的利用がなされる場合とがある。陸圏に排出される場合も,焼却後埋め

立てられる場合と,そのまま埋め立てられる場合とがある。これらの処理の水準によって,エネルギ

ー消費,環境影響も異なる。したがって,大気圏,水圏及び陸圏排出物(固形廃棄物を含む。

)につい

ては,比較可能性を高めるため,処理の水準を同一にするようシステム境界を調整することが望まし

い。

このように,比較を目的としたプラスチックの循環的利用に関する LCI 調査においては,機能,機

能単位,基準フロー,システム境界などについて比較対象システム間の等価性を評価することが必要

である。

7. 

単位プロセスの入力,出力及び境界の設定に関する適用事例及び留意事項

7.1 

本体の規定  調査範囲の設定における入力及び出力の初期選択基準については,本体の 5.2.6 で次の

ように規定している。

−  入力及び出力の採択基準(カットオフ基準)並びに前提条件については,明確に記述しなければ

ならない。

−  選択した基準が調査結果に及ぼす潜在的な影響も評価し,また,最終報告書に記述しなければな

らない。

−  調査対象とすべき入力及び出力の採択基準として,例えば,質量,エネルギー及び環境関連事項

を用いる。入力の初期特定を質量の寄与だけで行うと,重要な入力が調査から除かれてしまうこ


とがあるので,エネルギーと環境関連事項も基準として用いることが望ましい。

・  質量を評価基準として用いるとき,モデル化する製品システムの質量入力の設定比率以上に累

積寄与が大きくなるような入力すべてを調査に含めることが,適切な判断として要求される。

・  エネルギーを評価基準として用いるとき,製品システムのエネルギー入力の設定比率以上に累

積寄与が大きくなるような入力を調査に含めることが,適切な判断として要求される。

・  環境関連事項の基準に関する判断では,製品システムの各データ区分の推定量に対して追加的

に設定した比率以上に大きく寄与する入力を含めることが望ましい。

・  これらの基準は,例えば,最終廃棄物処理工程を対象システム内に含めることによって,どの

出力をシステム境界外の環境まで追うべきかを特定することにも用いることができる。

−  調査が,公表する比較主張の根拠として用いることを意図している場合,入力及び出力データの

最終的な感度分析には,質量,エネルギー及び環境関連事項の基準を含めなければならない。

附属書図 10  入力及び出力並びにシステム境界の設定手順

LCI

調査の目的設定は,個々のデータ区分の選択に対する方針を提供する。個々のデータ区分の選択は,

包括的な入力及び出力のリストを含む場合,又は調査において検討する特定の課題に特有なものとなる場

合もある。

システムのデータ区分は,目的及び調査範囲の設定においてリスト化する。エネルギーフローに関する

情報は,通常,手に入りやすく,また,エネルギーフローは,天然資源の利用及び環境への排出に重要な

影響を与える可能性が高いため,LCI 調査に典型的なデータである。

調査の範囲に含む入出力として選択する物質フローに関する決定は,結果に影響を及ぼす。調査の解釈

に影響する可能性のあるすべての重要な物質フローを含むことが必要である。

附属書図 10 は,物質の入力及び出力並びにシステム境界の選択手順を示しており,各ステップについて

7.2

から 7.6 で順に説明する。

7.2 

製品システムの単位プロセス及びその境界の設定  製品システムを構成する単位プロセスは,調査

の目的と範囲に整合して製品の供給から使用に至る流れに沿って表現するべきである。システム境界は,

製品システムの単位プロセス及びその境界の設定(7.2

各単位プロセスに対する初期データ収集(7.3

物質及びエネルギーフローの初期推定(7.4

決定規則の適用(7.5

設定された入力,出力及びシステム境界(7.6


どの単位プロセスを LCI 調査に含まなければならないかを決定する。

附属書図 11 は,単位プロセスの槻念を入出力とともに記述したものである。単位プロセスの例としては,

使用済みプラスチック製品のガス化による水素製造システムの一部を構成する

“ガス化プロセス”

がある。

この単位プロセスは,補助材料(例えば,水蒸気,アンモニア水)

,エネルギーなどの入力及び環境排出物

を伴い,原材料又は中間材料[例えば,使用済みプラスチック製品,酸素(空気)

]の入力を,製品システ

ムの中で更に加工される“中間製品(例えば,分解ガス)

”に変換する。この情報によって,変換を行う特

定の工程を設定することもある。次に,調査の目的に適した特定の報告現場のリストを作成する。

単位プロセスの境界を設定するには,製品システムのうちでデータが入手可能な最小部分を決定するた

め,検討の対象の中における幾つかの現場に接触することになるかもしれない。特定の現場によって実行

される特定の工程には変動の可能性があるので,単位プロセスの境界は,配分手順の必要性を最小限にす

るように設定する。

附属書図 11  単位プロセスの記述の概念例

循環的利用を含む製品システムにおいては,天然資源由来のフローと循環的利用(中間)製品のフロー

との合流点が存在する場合,それが単位プロセスの内部に含まれないように境界を設定することが望まし

い[

附属書図 12 の a)参照]。これによって,循環的利用の有無(又は循環的利用の変動)による天然資源

由来のフロー(単位プロセス)の変化が明確になる。このような設定が困難な場合は[

附属書図 12 の b)

参照]

,合流点を含む単位プロセスに対して,循環的利用(中間)製品のフロー(使用済みプラスチック製

品由来のフロー)の有無(又は変動)による入出力データの変化を収集することが望ましい。

例えば,使用済み PET ボトルのモノマー化において,分解モノマーを重合プラントで利用し,天然資源

由来のモノマーと混合するのであれば,モノマー製造までと重合プロセスとは,単位プロセスとして別々

に設定することが望ましい。

なお,

附属書図 12 は,閉ループ形循環的利用の例を示しているが,開ループ形循環的利用の場合も同様

である。

単位プロセス

原材料(中間材料)入力

補助材料入力

エネルギー入力

大気圏への排出物

中間製品

共製品

水圏への

排出物

処理される

廃棄物

陸圏への

排出物


附属書図 12  循環的利用フローの合流点に対する単位プロセスの境界設定例

附属書図 13 及び附属書表 は,もう一つの例として,再生 PET フレークの生産のための単位プロセス

及びその入出力を記載したものである。

附属書図 13  再生 PET フレーク製造に関する単位プロセスの記述例

モノマー

製造

ポリマー

製造

製品
製造

使用

分別
収集

化学
分解

天然資源

使用済みプラスチック製品

モノマー

モノマー/ポリマー

製造

製品
製造

使用

分別
収集

化学
分解

天然資源

使用済みプラスチック製品

モノマー

b)

天然資源からポリマー製造までを

一つの単位プロセスとした境界設定

a)

循環的利用フローの合流点の前後で

単位プロセスを分けた境界設定

再生PETフレーク製造

分別収集

前処理

再生処理→(フレーク等)

焼却(可燃残さ)

埋立(焼却灰)

使用済みPETボトル

苛性ソーダ

塩酸

消石灰

工業用水

購入電力

軽油

低硫黄重油

再生PETフレーク(目的製品)

着色PET・PVC(共製品)

ラベル・キャップ(共製品)

大気圏排出物
(CO

2

・NO

x

・SO

x

ばいじん・HClなど)

水圏排出物
(排水・BODなど)

その他固形廃棄物

焼却灰・飛灰


附属書表  8  再生 PET フレーク製造に関する単位プロセスの入出力例

フロー名

フローの分類

単位

使用済み PET ボトル

二次原材料

他のシステムからの製品

kg

1

000

苛性ソーダ

補助材料

中間製品 kg

0.007

消石灰

補助材料

中間製品 kg

1.354

入  塩酸

補助材料

中間製品 kg

0.002

塩化第二鉄

補助材料

中間製品 kg

0.007

力  工業用水

補助材料

中間製品 kg

342

購入電力

エネルギー

中間製品 kW・h 378

軽油(輸送)

エネルギー

中間製品 L

32

低硫黄重油

エネルギー

中間製品 L

0.027

再生 PET フレーク

目的製品

中間製品 kg

878

着色 PET・PVC

共製品

中間製品 kg

24

ラベル・キャップ由来の樹脂

共製品

中間製品 kg

98

 CO

2

大気圏排出物

基本フロー kg-C

158

出 NO

x

大気圏排出物

基本フロー kg

0.412

4

 SO

x

大気圏排出物

基本フロー kg

0.139

3

力  ばいじん

大気圏排出物

基本フロー kg

0.091

5

 HCl

大気圏排出物

基本フロー kg

0.000

3

排水

水圏排出物

基本フロー kg

4

759

 BOD

水圏排出物

基本フロー g

59

焼却灰・焼却飛灰

処理される廃棄物

中間製品 kg

2.599

その他固形廃棄物

処理される廃棄物

中間製品 kg

122

7.3 

各単位プロセスに対する初期データ収集  データ収集手順に関する指針は,最終的にデータを収集

する少数の現場のサンプルを含む初期のデータ入手可能性調査の結果によって定めることもある。

アンケートを計画して(原材料,エネルギーなどの)供給者に送ることは名案かもしれない。その供給

者も,そのアンケートを自分達の供給者にコピーして送ることができる。しかし,アンケートだけでは十

分ではない。たとえ説明及び例示を含む最も明白なアンケートでさえ,全員が質問を同じように理解でき

る保証はない。したがって,その回答は慎重に扱わなければならない。アンケートの送付前後の電話連絡

によって,回答数及び回答の質の両方を改善できる可能性もある。重要なデータを確実に正しくとるため

には,相手会社を訪問することが必要かもしれない。

外国企業と作業をするときは,自国では明白な単位及び略語も外国では理解不能であったり誤解も招く

ことがあるので,特別な注意が必要である(例えば,bbl,el,ha,t,ton)

。いかなる略語も用いないこと,

及び重要な場合は SI 単位を用いるように依頼するのがよい。

各単位プロセスについて要求する一般的情報は,次のように構成してもよい。

−  参照単位(例えば,

“各入出力データは,その単位プロセスの製品製造量 1 kg に対する量として

与えられている”

。単位プロセスの参照単位は,一つ又は複数の入出力物質の場合もエネルギー

フローに対して定義することができ,また,ある一定期間の量として定義する場合もある(例え

ば,

“年間生産量”

−  データに含まれている内容,すなわち,単位プロセスの始まりと終わり。また,それらのデータ

に補助物質,排ガス・排水・固形廃棄物処理設備,こん(梱)包,洗浄,事務管理,マーケティ

ング,研究開発,実験設備,従業員関連事項(暖房,照明,作業着,通勤,食堂,トイレ設備)

機械の製造及び維持管理といった項目が含まれているか否かを明らかにする。さらに,データが


通常操業時だけのものか,運転開始及び停止時の条件下のもの,非定常的に流入及び流出するも

の(例えば,汚泥など)

,合理的に予測可能な状況,又は非常事態を含んでいるか否かも明らかに

する。

−  施設の地理的な位置。

−  適用技術及びその技術レベル。

−  単位プロセスが複数の製品を製造するならば,環境負荷の配分に関連したデータ。既に,配分を

行っているか否か,また,配分を行っていれば,配分をどのように行ったかに関する情報。

場合によっては,次の情報をあらゆる入出力に対して明確にする必要がある。

−  データの収集期間,また,データが期間全体にわたる平均値を示すのか,その期間内の一部の値

であるのか。

−  データの収集方法とその代表性(例えば,

“月に一度のサンプル”

“連続測定”

“消費記録による

計算”

,“推定”)。また,測定現場の数,測定手法,計算方法(平均値の計算方法を含む。)並び

にデータ除外及び前提条件の有意性を含む。

−  データ収集の責任者の氏名及び所属並びに収集の日付。

−  検証の手順。

入出力には可能な限り不確実性に関する記述を付加しておくことが望ましい(標準偏差,データ分布の

種類などの統計情報が望ましいが,最小限,データの変化範囲を示す。

。また,入力フローの始点(例え

ば,

“私有の水道からの水”

)及びフローの終点(例えば,

“排水処理施設”

)も記述しなければならない。

また,フローが環境との直接的な入出力(例えば,河川に放流される処理済みの排水)なのか,他の技術

的プロセス(例えば,農地への処理汚泥)なのかが容易に理解できるようにしておく必要がある。また,

フローによっては,品質(例えば,乾燥質量,油分,エネルギー含有量)を示しておくことも重要である。

特に,プラスチックの循環的利用では,循環的利用の前後におけるプラスチックの品質(例えば,組成,

等級など)を示しておくことが重要である。

輸送は,独立した単位プロセスとして報告することが望ましい。輸送システムは,固定インフラストラ

クチヤ(例えば,道路,線路,パイプ,港湾,駅)

,可動キャリア[例えば,トラック,飛行機,格納容器

(コンテナ)

]及びエネルギー源(例えば,軽油,電気)に分類することができる。輸送の各モードにおい

て,次の数値を報告する。

−  エネルギーの種類,距離(例えば,km)及び輸送性能(質量×距離,例えば,kg・km)に関連付

けられたエネルギー量。

−  距離及び輸送性能に関連付けられた環境負荷。

−  空荷の帰り便を含む平均積載率,及びこれに使用される修正係数。

7.4 

物質及びエネルギーフローの初期推定  このステップでは,初期のデータ収集に基づいて,物質及

びエネルギーフローの初期推定を行う。

参考 ISO/TR Q 

14049:2000

の 5.5(物質及びエネルギーフローの初期推定)には,ガラス瓶のシステ

ムを例として,初期推定した物質の入力一覧が

表 に示されている。また,同じ例で,ガラス

瓶のライフサイクルの各段階において初期推定したエネルギー消費が,直接消費される電力及

び熱,輸送,並びにフィードストックに分類して

表 に示されている。

7.5 

決定規則の適用  このステップでは,次の決定規則を適用する。これらの決定規則は,連続して適

用する場合もある。

a)

質量の寄与に対する決定規則  質量に基づいて物質入力を除外するという決定は,頻繁に行われてき


た。単位プロセスヘの入力質量の 5 %未満又はシステム全体の質量の 1 %未満の寄与しかない物質を

除外するという経験則は,文献でも広くみられる。しかし,このような規則では,個々には 1 %未満

の寄与しかない入力物質が多数あり,それらを合計すると,システム全体の入力質量の数十%にも及

ぶ入力が除外されてしまうことも起こり得る。したがって,データ品質の観点からは,個々の物質の

寄与率に基づく決定規則よりも,むしろ,調査対象システム全体に対する累積寄与率に基づく決定規

則を優先するべきである。すなわち,適切な決定規則は,累積量が製品システムへの入力の総質量の

一定割合(例えば,99 %以上)を構成する物質すべてを入力に含めるというものであろう。

参考  ISO/TR Q 14049:2000 の 5.6.1(質量の寄与に対する決定規則)には,ガラス瓶のシステムを例

として,

“含まれるべきすべての物質の合計がシステムヘの質量入力の 99 %以上になるように

する。

”という決定規則を設定している場合が示されている。この決定規則に基づいて,初期推

定したすべての物質入力のうち,累積質量が 99  %以上になるまでの材料だけを特定し,その

他の物質は,その後の分析からは除外することになる。

b)

エネルギーに対する決定規則  質量だけを基準としてプロセスの選択を行うと,重要なデータが除外

されることがある。質量は,物質の寄与を示す重要な指標であるが,幾つかの物質は,他のものより

もはるかにエネルギー集約的となっている。したがって,質量に基づく決定規則を,分析システムの

累積エネルギー消費量に対する決定規則で補うことが推奨される。

参考 ISO/TR 

14049:2000

の 5.6.2(エネルギーに対する決定規則)には,ガラス瓶のシステムを例

として,

“含まれるすべてのプロセスのエネルギー消費の合計が,システムの総エネルギー消費

量の 99 %以上になる。

”というプロセスの選択のための決定規則を設定している場合が示され

ている。この決定規則に基づいて,物質入力は小さいがエネルギー消費量では大きな割合を占

めている(質量入力だけに基づく場合に除外されるであろう)重要な単位プロセス,ライフサ

イクル段階[水洗及び充てん(填)

,使用(消費者による冷蔵)

]を特定している。

c)

環境関連項目に対する決定規則  質量に基づく判断基準は,環境関連項目に基づく判断基準によって

補うこともある。環境関連項目に関する定量的決定規則は,それぞれのデータ区分,又は影響評価区

分に対して設定することもある。

参考 ISO/TR 

14049:2000

の 5.6.3(環境関連項目に対する決定規則)には,ガラス瓶のシステムを

例として,

“累積寄与が各区分の初期算定量の 90 %をカバーするプロセスを含める。

”という決

定規則を設定している場合が示されている。その例では,

“対人毒性−大気”という影響領域(

51

)

については,

“鉛−大気”及び“窒素酸化物−大気”というデータ区分がこの影響領域の 90 %

を占めるため,これらのデータ区分を精査することになる。その結果,鉛の放出(他のシステ

ムから受け取る破砕ガラスからもたらされる)によって,ガラスの製造を新たなプロセスとし

て分析に含めることになる。さらに,重大な毒性物質を排出する可能性のある物質の定性的評

価によって,幾つかの物質を分析に追加することになる。

(

51

“影響領域”の定義:懸念する環境関連事項を表示し,LCI 結果が割り振られる領域(JIS Q 14042

参照)

7.6 

設定された入力,出力及びシステム境界  前項までに説明した手順によって,LCI 調査に含める物

質の入出力及びシステム境界を設定する。この手順は,質量,エネルギー及び環境関連項目の絶対値に比

例して追加情報を探索することを可能とする。したがって,これらの決定規則は,時間と資源の効率的な

利用によって LCI 調査の総合的な品質を最も高める指針を与えるものである。


8. 

データ収集に関する適用事例及び留意事項  附属書表 に指針として用いることができる調査票の例

を示す。この事例の目的は,プラスチックの循環的利用プロセスの報告現場から収集する情報の例を示す

ことである。

附属書表  9  プラスチックの循環的利用プロセスに対するデータ収集調査票の例

実施者名称:

記入完了日:

単位プロセスの名称:

報告現場名:

データ収集期間:      年

開始月:

終了月:        月

単位プロセスの説明(必要ならば別紙を添付すること)

物質の入力(a)

単位

サンプリング手順の説明

投入元

水の消費量(b)

単位

サンプリング手順の説明

投入元

エネルギー入力(c)

単位

サンプリング手順の説明

投入元

材料の出力(製品を含む)

単位

サンプリング手順の説明

投入先

大気圏排出物(d)

単位

サンプリング手順の説明(必要ならば別紙を添付すること)

水圏排出物(e)

単位

サンプリング手順の説明(必要ならば別紙を添付すること)

陸圏排出物(f)

単位

サンプリング手順の説明(必要ならば別紙を添付すること)

その他の排出物(g)

単位

サンプリング手順の説明(必要ならば別紙を添付すること)

この調査票に記載するデータは,特定期間内の未配分データの総量を示している。

計算,データ収集,サンプリング又は単位プロセス機能に関する記述からの変動に特記すべきことがあれば,すべ

て記述すること(別紙を添付すること)

(a)

入力となる使用済みプラスチック製品は,例えば,プラスチックの種類別,プラスチック以外の素材別,その

他異物(例えば,水分,食品残さなど)に分ける。

(b)

例えば,工業用水,上水,地下水,海水,河川水など。

(c)

例えば,ガソリン,灯油,軽油,A 重油,低硫黄 C 重油,高硫黄 C 重油,天然ガス,都市ガス,LPG,石炭,

バイオマス,購入電力など。

(d)

例えば,Cl

2

,CO,CO

2

,ばいじん・粒子状物質,F

2

,H

2

S

,H

2

SO

4

,HCl,HF,N

2

O

,NH

3

,NO

x

,SO

x

,フロン

類,有機物(炭化水素類,PCB,ダイオキシン類,フェノール)

,金属類(Hg,Pb,Cr,Fe,Zn,Ni)など。

(e)

例えば,BOD,COD,酸類(H

+

,Cl

-

,CN

-

など)

,洗剤,油,溶解有機物*,F

-

,Fe イオン,Hg,炭化水素類*,

Na

+

,NH

4

+

,NO

3

-

,有機塩素*,その他金属*,その他窒素化合物*,フェノール類,リン酸塩,SO

4

2-

,懸濁物質

など。  (

*  このデータ区分に含まれる化合物を列記する。)

(f)

例えば,鉱物廃棄物,産業廃棄物,都市ごみ,有毒性廃棄物(化合物を列記する)など。

(g)

例えば,騒音,振動,悪臭,廃熱,放射線など。


調査票に示すデータ区分は,

慎重に選択することが望ましい。選択するデータ区分及び仕様の詳細度は,

調査の目的と整合している必要がある。したがって,

附属書表 に示すデータ区分は,単なる例示にすぎ

ない。ある種の調査では,非常に細分化したデータ区分を必要とする。例えば,使用済みプラスチック製

品の入力(又は出力)インベントリは,プラスチックの種類,含まれている他の素材・異物などに(更に

化合物レベルまで)細分化する場合もある(4.7.1 に留意)

。陸圏への排出物のインベントリは,例示した

調査票のような一般的なデータ区分ではなく,廃棄物の種類(例えば,汚泥)

,特定の化合物(例えば,有

害物質)などをリストアップすることもある。

また,例示した調査票には,データ収集及び記入に関する個別の指示を添付してもよい。入力に関する

質問に加えて,入力及び出力情報の内容及び報告する数量の求め方を更に特徴付ける一助としてもよい。

例示した調査票には,その他の欄,例えば,データ品質[不確実性,測定データ(実装置・実験装置)

計算データ・推定データ・代替データ]を説明する欄を追加することができる。

9. 

配分の回避に関する適用事例及び留意事項

9.1

本体の規定  本体の 6.5.3 では,ステップ として次のように規定している。

ステップ 1  可能な場合は,次によって配分を回避することが望ましい。

・  配分対象の単位プロセスを二つ又はそれ以上の数の小プロセスに細分割して,これらの小プロ

セスに関係する入力及び出力データを収集する。

本体の 5.2.2 の要件を考慮して,共製品に関する追加機能を含めるよう製品システムを拡大する。

したがって,配分は,可能な限り回避又は最小限にとどめることが望ましい。これを実現する二つの方

法は,次のとおりである。

a)

プロセスを更に小プロセスに分割する。どれが複数の製品を同時に産出する不可分な真の結合プロセ

スであって,どれが製品の一つだけと関係しているプロセスかを特定する。真の結合プロセスだけを

配分するべきである(9.2 参照)

b)

より多くのプロセスを含め,それによってシステム境界を拡大し,配分を回避する(9.3 参照)

。シス

テム境界の拡大に必要な事項は,次のとおりである。

−  調査の目的が(代替プロセスによる)変化の評価,すなわち,同一製品に対する複数の代替シ

ナリオ間の比較である。

− LCA の支援によって判断を行った結果として,実際に生じるであろう変化の特性及びその範囲

は,かなりの確度で予測可能である。

−  データは,問題の結合システムに対して利用できる。

システム境界を拡大する場合,次の問題が提起される。この製品システムによってサービスが実現

されなかった場合,このサービスは果たしてどのように実現されるか,また,そのサービスが実現さ

れなかった場合,長期的な限界的な効果はどうなるか,ということである(9.3 参照)

例えば,

製品システム A では提供され,

製品システム B では実現されないサービスが存在する場合,

これを製品システム B においてどのように扱うかである。そのサービスの機能が社会に必要とされて

いる,又は環境負荷の短期的及び長期的な低減効果が有意である場合は,方法が既知である何らかの

プロセスを製品システム B に付加して,同等のサービスが提供されるようにする必要がある。このと

き,そのサービスだけを提供するプロセスを付加する場合と,別な製品システムの一部を利用してそ

のサービスを得る場合がある。後者の場合には,新たな配分問題を生じることになり,その配分を避


けるためには,更にシステム境界を拡大する必要が生じる。一方,妥当な配分方法の根拠を示し,配

分問題を解決する場合もある。

9.2 

プロセスの細分割によって配分を回避する事例  プラスチックの循環的利用によって二つ以上の製

品が製造される場合,それらの共製品の間で配分が必要となる。例えば,使用済みプラスチック製品のガ

ス化においては,水素,一酸化炭素(及び/又は二酸化炭素)のほか,溶融スラグ,塩化アンモニウムなど

が製品になる場合がある。しかし,ガス化プロセスでの入出力すべてを共製品間で配分するということで

はない。ガス化プロセスを小プロセスに分割することによって,一つの共製品だけに関係するプロセス(入

出力)を特定することが可能になる。例えば,水素をアンモニア合成プラントに送る[又は出荷のために

充てん(填)する]送風設備(又は圧縮設備)は,水素にだけ用いられる。そのため,この小プロセスを

ガス化プロセス全体にわたる一つのプロセスとして配分することは,適切ではない。したがって,配分を

避けるために,ガス化プロセス全体に関する包括的なデータ収集と,水素送風設備に関するデータ収集を

別々に実施する必要がある。真の結合プロセスへの分割と特定が必要である。

別の例として,使用済みプラスチック製品の油化プロセスにおいて,熱分解油の共製品として塩酸を回

収・精製している場合がある。このとき,脱塩素工程下流の塩化水素ガスからの塩酸回収・精製工程を小

プロセスに分割し,それらに関する入出力を特定(収集)可能であれば,配分を避けることができる。こ

れらの入出力を熱分解油にも配分することは適切ではなく,塩酸だけに配分することが望ましい。

共製品の工場における内部輸送プロセス及び材料処理プロセスは,しばしば,共製品の一つだけと関連

しているものである。プロセスの詳細を追求してデータ収集を行う必要がある。

9.3 

システム拡大によって配分を回避する事例  例えば,調査する製品システムが,製品 A と他の製品

システムで用いられる回収エネルギーB とを併産する場合,二つの出力があるという理由から配分問題が

生じる。具体例としては,プラスチック製品 A を製造するプロセスで生じた端材などを焼却して得られる

回収エネルギーB を工場内の他の製品プロセス,事務所などの付帯設備で利用する場合がある。また,使

用済みプラスチック製品の循環的利用プロセスで循環的利用製品 A を製造し,同時に排熱回収によって得

られるエネルギーB を工場内の事務所などで利用する場合なども考えられる。

附属書図 14  システム境界の拡大(控除)によって配分を回避する例の概念図

附属書図 14 に示すように,この配分問題は,システム境界を拡大することによって解決できることも多

い。例えば,調査するシステムから回収されるエネルギーB

1

と同質同量のエネルギーB

2

を提供する代替シ

ステムを対象システムに含め,システム境界を拡大する(例として,回収エネルギーB

1

が温水,水蒸気又

拡大したシステム境界

調査する
システム

代替

システム

結果として

生じるシステム

製品A

製品A

エネルギーB

2

MJ

回収エネルギーB

1

MJ


は電力であれば,代替システムとして温水ボイラ,蒸気ボイラ,ディーゼル発電機などがそれぞれ考えら

れる。

。ここで,調査するシステムの各入力又は出力から,代替システムの各入力又は出力を差し引く(控

除する)ことによって,配分を回避して,製品 A に対する入出力を算出することができる。

(回収エネル

ギーB

1

に対する入出力は,エネルギーB

2

に対する入出力と同じになる。

システム境界を拡大することによって配分を回避する方法は,同一機能が得られる代替の方法が既知で

ある場合だけに適用できる。

代替システムの出力によって何が置き換えられるのかについての前提条件は,

文書化しなければならない。これらの条件が満たされない場合,システム拡大の手順は適用できず,配分

が必要となる。

異なった出力をもつシステムを比較するためにシステム境界を拡大し,配分を回避する事例については,

6.6.1

及び 6.6.2 に記載している。これらの事例では,比較するシステムがそれぞれ異なる循環的利用製品

を生産するため,それら複数のシステムによる資源消費及び環境排出物は,直接比較ができない。そこで,

互いに,新規原材料からそれぞれ相当する同質同量の新規製品を生産する代替システム(補助プロセス)

を追加し,システム境界を拡大している。拡大後の各システムは,それぞれ同質同量の循環的利用製品及

び新規製品を生産することを保証するので,全体の資源消費及び環境排出物を比較することができる。

比較システムに追加する補助プロセスは,分析しているシステムを切り替えるとき,実際に影響を受け

るものでなければならない。これを特定するためには,次のことを知る必要がある。

−  調査する製品システムのうち,対象となる共製品(比較システムにおいて,補助プロセスによっ

て代替生産することを検討する製品)の生産量が時間的に変動するか(変動する場合,各々の共

製品に関する補助市場の時間変動との整合性が重要となる場合もある。

,又は生産量が一定であ

るか(一定の場合,ベース負荷を前提とした限界値が重要となる。例えば,共製品として電力が

生産され,補助プロセスとして公共電力を考慮する場合,調査対象地域の電源構成全体とするか,

火力発電とするかなど。

−  個々の共製品の補助市場については,それぞれ次の要件を検討する必要がある。すなわち,特定

の単位プロセスの需給が,対象とするシステムによって直接の影響を受けるか(この場合,その

単位プロセスを補助プロセスとして適用可能。

,又は一般市場で需給が決定されるか。後者の場

合には,次のことが分かっていなければならない。

・  市場に製品を提供しているプロセス又は技術のうち,対象とするシステムによって量的に制約

を受けているものが一つでもあるか(この場合,共製品の出力は需要の変化に対して対応でき

ないため,それらの単位プロセスは補助プロセスとして適用できない。

・  量的に制約を受けないどの供給者・技術が,限界コスト(最高又は最低)で製造し,その結果,

補助(代替)製品に対する需要変動に対して,限界供給者・技術となるか。すなわち,補助プ

ロセス又は技術の一般市場における経済的位置付けが分かっていなければならない。

10. 

配分操作に関する適用事例及び留意事項

10.1

本体の規定  本体の 6.5.3 では,ステップ 及びステップ として次のように規定している。

ステップ 2  配分が回避できない場合,システムの入力及び出力を,異なる製品又は機能の間で

それらの間に内在する物理的関係を反映する方法で分割して配分することが望ましい。すなわち,

そのシステムによって提供される製品又は機能の量的な変化に伴って,入力及び出力が変化する

ような方法でなければならない。その結果としてもたらされた配分は,共製品の質量又はモルで

計量されたフローのような単純な尺度には必ずしも比例しない。


ステップ 3  物理的な関係だけを配分の根拠として使用できない場合,入力及び出力は,製品及

び機能間のその他の関係を反映する方法で,配分することが望ましい。例えば,環境上の入力及

び出力データは,共製品の間で製品の経済価値に比例させて配分してよい。

これらのステップは,配分操作の優先順位を規定しており,第一が“配分の回避”

,第二が“物理的配分”

第三が“その他の配分(例えば,経済価値)

”の順である。

10.2 

物理的関係に基づいた配分の適用事例  配分が回避できない場合,まず,入出力を配分する異なる

製品又は機能の間に内在する物理的関係を反映する方法で配分することが望ましい。物理的関係には,質

量,面積,体積(容積)

,モル数,発熱量などがある。重要なことは,配分される入出力が,配分する製品

(又は機能)間のどの物理量と関連付けられるか,すなわち,製品システムと入出力との物理的因果関係

の特定である。安易に質量配分してはならない。

1.  プラスチックのガス化による水素及び二酸化炭素の製造

この例では模式的に,プラスチックを炭化水素(C

m

H

n

)とし,部分酸化反応によってガス化

した後,生成した CO は転化反応によってすべて CO

2

に転換するものとする。単純化した反応

式は,次のようになる。

    C

m

H

n

+0.5mO

2

mH

2

O

mCO

2

+(m+0.5n)H

2

一般的に,は の 2 倍に近い場合が多いので,仮に n=2とすると,上式からモル比では,

CO

2

:H

2

が 1:2 で生成することになる。ここで,CO

2

の炭素は,すべてプラスチック由来であ

るが,H

2

は,プラスチック由来と水由来が半分ずつとなる。一方,分子量は CO

2

=44,H

2

=2

なので,上式から質量比では,CO

2

:H

2

が 11:1 で生成することになる。

このとき,ガス化にかかわる各入出力をモル比で配分すると,1/3 が CO

2

に,2/3 が H

2

に配

分される。これを更に質量原単位に換算すると,CO

2

単位質量当たり(1/3×1/44=1/132)

:H

2

単位質量当たり(2/3×1/4=1/6)の比は,1:22 となる。一方,ガス化にかかわる各入出力を

質量比で配分すると,11/12 が CO

2

に,1/12 が H

2

に配分される。これを更に質量原単位に換算

すると,CO

2

単位質量当たり(11/12×1/44=1/48)

:H

2

単位質量当たり(1/12×1/4=1/48)の比

は,1:1 となる(つまり,質量原単位は同一)

ガス化の目的製品を水素とし,二酸化炭素は副次的な製品であるとする場合,物理的関係を

反映した配分方法として,質量配分ではなくモル比で配分し,水素に多く配分する方が妥当と

説明する場合もある。

2.  二つの異なるプラスチック部品 A 及び B の塗装

二つの異なるプラスチック部品 A 及び B を同一の塗装ラインで塗装する。塗料消費量,エネ

ルギー消費量,揮発性有機化合物(VOC)の排出などは,塗装ライン全体としてだけ把握され

る。この LCI 調査では,部品 A だけの関係データが必要であるとする。

この場合,部品 A だけに塗装する実験的稼動を実施することによって配分を回避できる。

このような実験的運転ができないような技術的又は経済的理由がある場合は,配分が必要に

なる。物理的配分を行う場合,配分に用いる物理量(パラメータ)が適切か否かの判定条件は,

次のとおり。ある物理量を配分パラメータとして選んだとき,配分対象の共製品(ここでは部

品 A,B)のその物理量合計及び共製品以外の入出力を変化させずに,部品 A,B のその物理量

比率を変化させることができるならば,その物理量によって物理的配分が可能となる。もし質

量を配分パラメータとして選び,A,B の質量合計を変化させずに,A,B の質量比率を変化さ

せると,結果として塗料の量は異なる。したがって,この場合,質量配分は正しいとはいえな


い。一方,面積を配分パラメータとして選び,塗布面積の合計を変えないで A,B の塗布面積

の比率を変化させると,人出力とも不変で一定となる。したがって,この場合,この塗布面積

は正しい物理的パラメータとみることができる。配分係数は,A 全部品の塗布面積を,同時に

塗布する全部品(A+B)の塗布面積合計で除したものとして算出することができる。

輸送における配分については,JIS Q 14041 

附属書 B(いろいろな配分手順の例)の B.3(物理的関係

による配分)の

例 2(輸送)の事例を参考にするとよい。この事例では,異なる金属の輸送の場合は質量

基準で配分することを,また,異なる空箱の輸送の場合は容積基準で配分することを説明している。この

事例は,使用済みプラスチック製品又は循環的利用製品の輸送にも適用できる。

参考  ISO/TR Q 14049:2000 の 7.3.1(純粋に物理的関係に基づいた配分の事例)には,製品とそのこ

ん(梱)包材との間での配分の方法(質量又は容積基準)

,輸送機関(例えば,トラック)自体

の質量(自重)と積載物との間での配分方法が例示されている。この事例も,使用済みプラス

チック製品又は循環的利用製品の輸送に適用できる。

10.3 

経済的根拠に基づいた配分の適用事例  ここでは,使用済み PET ボトルの再生原材料化(再生 PET

フレーク製造)を例として説明する。

附属書表 に示すように,回収された使用済み PET ボトルからは,目的製品である再生クリアーPET フ

レークに加え,共製品として再生着色 PET フレーク,キャップ由来のポリプロピレン・ポリエチレン樹脂

などが生産される。そのため,例えば,再生フレーク化プロセスに関連する入出力の配分問題が生じる。

再生フレーク化の概略プロセスは,

附属書図 に示されているが,これらは一連の工程であるため,共製

品の一つだけを生産するプロセスを特定(細分割)することによって配分を回避することは,一部を除い

てできない。また,共製品の一つだけを生産する実験的稼動によって共製品別の入出力データを収集する

ことも,現実には不可能である。したがって,再生クリアーPET フレークと他の共製品との間で関連する

入出力を適切に分配するための配分係数を求めなければならない。

配分原則の順番に従って,まず,物理的根拠に基づいて配分が可能であるかを検討する。本体の規定に

よれば,

配分の根拠とする物理的関係は,

共製品の量的な変化に伴って入出力が変化しなければならない。

この事例では,

共製品間の質量割合が変化しても,

それに伴って入出力が変化するとはいえないであろう。

共製品間に内在する他の物理的パラメータ(例えば,体積,比重など)も,配分根拠としての妥当性を説

明することが難しい。

したがって,配分原則の第三の選択肢として許容されている経済的根拠に基づく配分を適用する。ここ

で,各共製品の価格は,次のとおりとする。

−  再生クリアーPET フレーク  70 円/kg:価格の相対比 1.00(基準)

−  再生着色 PET フレーク  30 円/kg:価格の相対比 0.43

−  キャップ由来のポリプロピレン・ポリエチレン樹脂  15 円/kg:価格の相対比 0.21

附属書表 を例として,各共製品の価格と価格合計との比から配分係数を求めると,再生クリアーPET

フレーク 0.977,再生着色 PET フレーク 0.013,ポリプロピレン・ポリエチレン 0.010 となる。ここで,配

分係数の和が 1 になることを確認しなければならない。この場合,配分される関連入出力の各共製品に対

する質量原単位の相対比は,価格の相対比と同じになる。つまり,この例では価格配分によって,再生ク

リアーPET フレークの環境負荷原単位は,再生着色 PET フレークの約 2.3 倍になる。このことは,再生フ

レーク化プロセスが,他の共製品のためではなく,再生クリアーPET フレークの生産のためにある,とい

う説明を可能にするであろう。

仮に質量配分すると,配分係数は再生クリアーPET フレーク 0.926,再生着色 PET フレーク 0.028,ポリ


プロピレン・ポリエチレン 0.046 となる。この場合,当然ではあるが,配分される関連入出力の各共製品

に対する質量原単位は,同じ値になる。

なお,これらの計算で

附属書表 のうち固形廃棄物を除いたのは,関連入出力は,共製品に対してだけ

配分しなければならないからである。

11. 

循環的利用に対する配分操作の適用事例及び留意事項

11.1 

本体の規定  本体の 6.5.4 の規定は,次のように説明できる。

循環的利用を考慮する場合には,一次製品と二次製品との間で資源消費,環境負荷などの割り当てを行

う必要があるため,基本的に“配分”が必要となる。そのとき,循環的利用プロセスが,システム境界内

にすべて含まれるような“閉ループ形システム”か,循環的利用先が一次製品のシステム境界外に出てい

く“開ループ形システム”かで取扱いが異なる。

ある一つの製品システムにおいて,製品製造段階で排出される副産物,使用済み製品などが,廃棄処理

されずに循環的に利用され,同一の製品システムの中に戻される場合は,そのループをシステム境界内に

取り込むことによって“閉ループ形システム”とすれば,配分を適用することなくライフサイクルでの資

源消費及び環境負荷を算出することができる(

“閉ループ形”配分手順。11.2 参照。

これに対して,別の製品システムで循環的に利用される場合,すなわち,

“開ループ形システム”では,

入出力のうち一次製品のシステム境界内に留まる部分と境界外に回収のために取り出される部分を,循環

的利用の比率によって配分する必要がある(

“開ループ形”配分手順。11.411.9 参照)

しかし,

“開ループ形システム”の循環的利用であっても,循環的利用によって物質固有の特性に変化が

ない場合には,仮想的なプロセスを設定することで“閉ループ形システム”として扱うことができるよう

になる(11.3 参照)

。物質固有の特性に変化がない場合とは,例えば,使用済みプラスチック製品を同じプ

ラスチックとして一次製品とは異なる用途に循環的に利用する場合である。一方,特性が変化する例とし

ては,使用済みプラスチック製品を油化して熱分解油として循環的に利用する場合などがある。

11.2 

閉ループ形循環的利用の適用事例  附属書図 15 に示す例では,あるプラスチックの成形加工プロセ

スにおいて,原料樹脂の 95 質量%が成形品となり,残り 5 質量%は端材又は不合格品になるものとする。

端材及び不合格品は,回収され,溶融されて原料樹脂に戻される。

この場合,閉ループ形配分手順が適用できる。成形品とならなかった樹脂は,次の成形加工に必要な原

料樹脂の一部に利用でき,したがって,正味の原料樹脂消費量は,5 質量%削減される。

端材及び不合格品を原料樹脂に戻すためには,それらを回収し,再利用するためのプロセスが必要とな

る(この例では,歩留まり 100  %とする。

。このプロセスを調査対象プロセスに加え,拡大したシステム

に対して閉ループ形配分手順が適用でき,配分の必要性は回避できる。

この例では,調査対象とするプロセス自体は変化しないので,システム境界を拡大しても正味の原料樹

脂消費量は,拡大前のシステムと同一に保たれ,拡大前のシステムでは必要であった配分が回避される。

一方,拡大後のシステムでは,回収及び再利用のためのプロセスに関する電力消費など他の資源消費及び

環境排出物を LCI 調査に追加する。

この配分事例は,使用済みプラスチック製品を回収し,何らかの再利用プロセスを経て元の製品だけに

戻すような循環的利用システムにも適用できる。


(

  )内の数値は,成形加工に用いられる原料樹脂の質量を 100 とした場合の各フロー

の質量を示している。

附属書図 15  閉ループ形循環的利用に関する事例のプロセスフロー

11.3 

開ループ形循環的利用システムに対する閉ループ形配分手順の適用事例  一つの製品に固有のシス

テムにおける循環的利用が,その製品から独立している循環的利用プロセスに関与する場合も存在する。

この製品システムは,原材料(ここでは,素材としてのプラスチックを意味する。

)を独立した循環的利用

プロセスに供給し,その循環的利用プロセスにおいて処理された原材料を受け取る。もし,この循環的利

用プロセスと製品固有のライフサイクルとの間での原材料の行き来が同量であれば,製品固有のシステム

は,問題なく閉ループ形循環的利用としてモデル化できる(11.2 のとおり)

。もし,原材料の行き来が同量

でない場合,

(閉ループ形配分手順の)開ループ形循環的利用が存在し,共製品の取扱いに関する更なる考

慮が必要である。これら原材料の循環的利用の便益に関する配分問題が表面化する。

附属書図 1618 の仮想的な例は,この問題を明確にし,配分問題に対する解決策を提示する。

附属書図 16 は,プラスチック製の飲料容器のライフサイクルを簡単化して示している(図中の質量は,

着目しているプラスチックだけの質量を示す。

。この例では,回収される使用済み容器の一部は,この容

器固有のシステムに戻されるが,残りは,システム外の開ループ形循環的利用に関与することになる。シ

ステム外へ供給される回収原材料出力は,共製品とみなされ,配分の対象となる。

プラスチックの

成形加工プロセス

成形加工品

端材・不合格品

(5)

(95)

拡大したシステム境界

回収・再利用

プロセス

新規原料樹脂(95)

成形加工に用いられる

原料樹脂(100)

再利用される原料樹脂

(5)


附属書図 16  開ループ形循環的利用システムであるが閉ループ形配分手順を適用する

プラスチック製飲料容器のライフサイクル(概念図)

この配分問題の解決策として提案されるのは,システム境界を拡大することである。問題の鍵は,

“この

プラスチック製容器生産システムから出る回収原材料の便益とは何か?”

ということである。

その回答は,

同種のプラスチック市場に回収原材料が追加されることによって,次のようなことが起こることである。

−  利用可能な回収原材料が増加し,

−  新規原材料が置き換えられる。

“配分を回避するためのシステム境界の拡大”という方法によって,例えば,同種プラスチックの非飲

料容器,非食品容器などの生産といった,別の製品システムで用いられる新規原材料に置き換わることを

考えて,飲料容器固有のシステムからシステム外に供給される回収原材料出力の効果を計算することが可

能である(

附属書図 17 参照)。附属書図 16 にあるシステム外に出る回収原材料出力を利用すると,追加

的な環境影響を及ぼす。しかし,

附属書図 17 のように,w kg の新規原材料生産に置き換わることによる

環境面での便益も考慮しなければならない。この手順によって,再生原材料生産と新規原材料生産との相

違が計算できる。両者の環境影響の差は,調査対象システム外に供給される回収原材料出力による便益で

あり,調査対象のプラスチック製飲料容器システムに帰せられる。

再生原材料製造

(フレーク化など)

同種プラスチックの

他の製品システム

容器 90 kg

回収原材料

(80

z) kg

調査対象システムの境界

プラスチック製

飲料容器製造

新規樹脂

kg

原料樹脂

100 kg

使用済み容器

90 kg

新規原材料製造

再生樹脂

kg

使

回収原材料

70 kg

処分

20 kg

前処理

(洗浄・選別など)

回収原材料

(端材など)

10 kg

kg


附属書図 17  開ループ形循環的利用システムであるがシステム境界を拡大することによって

閉ループ形配分手順を適用するプラスチック製飲料容器のライフサイクル

これらの影響は,新規原材料と再生原材料との混合比を修正することに基づいて,閉ループ形配分モデ

ルで計算できる(

附属書図 18 参照)。これには,飲料容器製品固有のシステム及び同種プラスチックの他

(この例では,非食品容器)の市場において,

“新規原材料生産”と“再生原材料生産”というプロセスが,

同一又は大きな差異がないこと,並びに新規原材料及び再生原材料の固有の特性が同一又は類似であるこ

とが必要となる。

附属書図 18 の閉ループ形循環的利用モデルには,次のような前提条件がある。

附属書図 16 と同量の 100 kg のプラスチック製飲料容器用原材料(原料樹脂)の生産。

−  製品固有の回収原材料排出量と同量,すなわち,80 kg の回収原材料の回収。

この配分事例は,使用済みプラスチック製品が,元の製品及び(複数の)異なる製品の両方に循環的に

利用され,その際,そのプラスチックの固有の特性に変化がなく,再生原材料の利用が共通の新規原材料

の消費に置き換わるシステムに適用できる。この場合,

附属書図 16 に示すような元の製品システムに戻

らない回収原材料に対する配分を行う必要はなくなり,

附属書図 18 に示すように,すべての回収原材料

が元の製品の再生原材料として利用されるとして,閉ループ形配分手順が適用できる。すなわち,配分を

再生原材料製造

(フレーク化など)

容器 90 kg

回収原材料

(80

z) kg

プラスチック製

飲料容器製造

新規樹脂

kg

原料樹脂

100 kg

使用済み容器

90 kg

新規原材料製造

再生樹脂

kg

使

回収原材料

70 kg

処分

20 kg

前処理

(洗浄・選別など)

回収原材料

(端材など)

10 kg

kg

プラスチック製飲料容器のライフサイクル

同種プラスチックの非食品容器の

ライフサイクル

新規原材料製造

再生原材料製造

(フレーク化など)

非食品

容器製造

非食品

容器製造

新規樹脂

kg

再生樹脂

kg

インベントリ

インベントリ

拡大したシステム境界


回避できる。また,

附属書図 17 に示すように,異なる製品の再生原材料として利用する便益を,配分を

行うことなく算出することができる。

附属書図 18  プラスチック製飲料容器に対して混合比を修正して

適用した場合の閉ループ形配分モデル

11.4 

開ループ形循環的利用の適用事例(その 1)  ここでは,開ループ形循環的利用の効果に関する LCI

分析において,配分を回避する事例を示す。

本体の 6.5.3 で規定しているように,配分問題が生じるとき,

配分を行うより配分を回避する方が望ましい。

附属書図 19 は,この事例で説明するシステムの概要を示している。

再生原材料を提供する側の一次製品システム A について評価する場合,システム境界 A[システム境界

A

1

及び A

2

に再生段階(11.5 参照)を含む。

]を拡大し,再生原材料と同等の原材料を製造するシステム境

界 B

1

を含め,再生原材料を利用することで削減される原材料製造 B にかかわる環境負荷変化量も調査す

る。このとき,機能単位を“一次製品システム A の機能”として,システム境界 A にかかわる入出力から

システム境界 B

1

にかかわる入出力変化量を引いた数値とする方法(控除)と,機能単位を“製品システム

A

の機能及び原材料製造 B の機能”として,システム境界 A にかかわる入出力にシステム境界 B

1

にかか

わる入出力を加えた数値とする方法(付加)がある。ある製品システムにおける循環的利用の効果を評価

再生原材料製造

(フレーク化など)

容器 90 kg

調査対象システムの境界

プラスチック製

飲料容器製造

新規樹脂

20 kg

原料樹脂

100 kg

使用済み容器

90 kg

新規原材料製造

再生樹脂

80 kg

使

回収原材料

70 kg

処分

20 kg

前処理

(洗浄・選別など)

回収原材料

(端材など)

10 kg

80 kg


するときは,循環的利用がない場合とある場合との差,又は循環的利用量(率)を変えた場合の差を計算

するので,

“控除”又は“付加”のいずれの方法を用いても,計算結果は同じである。いずれの方法でも,

再生原材料の増減によって変化する主なライフサイクル段階は,再生段階,原材料製造 B 及び適正処分 A

である。例えば,循環的利用が増加すると,再生にかかわる負荷は増加するが,原材料製造 B 及び適正処

分 A にかかわる負荷は減少する。

附属書図 19  開ループ形循環的利用の効果に関する配分回避の事例

一方,再生原材料を利用する側の二次製品システム B について評価する場合,システム境界 B(システ

ム境界 B

1

及び B

2

に再生段階を含む。

)を拡大し,再生原材料を利用することで削減される適正処分 A に

かかわるシステム境界 A

2

を調査に含める。

“控除”による方法では,原材料製造 B,適正処分 A 及び再生

段階の環境負荷変化量を評価する。また,

“付加”による方法では,機能単位を“製品システム B の機能

並びに再生及び適正処分 A の機能”として,システム境界 B にかかわる入出力にシステム境界 A

2

にかか

わる入出力を加えて評価する。このとき,製品システム A が“控除”を用いて評価されていれば,再生原

材料利用による環境負荷削減効果は既に評価されているので,原材料製造 B の変化量を含めると二重計算

になる。製品システム A と B とを別々に計算した値の合計と,両システム全体の計算値とは等しくなけれ

ばならない。したがって,原材料製造 B の削減に伴う環境負荷削減効果を何らかの方法で,製品システム

A

と B とに配分しなければならない。これについては,11.6 を参照。

この事例では,

“控除”又は“付加”のいずれの方法でも,再生原材料の元となる原材料製造 A にかか

わる入出力は,すべて製品システム A に負担させている。

11.5 

開ループ形循環的利用の適用事例(その 2

11.5.1 

システムの記述  附属書図 20 は,この事例で説明するシステムの概要を示している。ここでは,

一次製品が使用済みになった段階から二次製品製造のための再生原材料が得られるまでの再生段階にかか

わる入出力を,一次製品システムと二次製品システムとの間で配分する事例を示す。

再生段階は,例えば,分別排出,分別収集,圧縮減容,選別(異物除去)

,破砕,洗浄,分離,再生原材

料製造,運搬などの小プロセスからなる。これらの小プロセスの一部は,適正処分のための中間処理段階,

又は二次製品製造段階に含まれる場合もある。

システム境界A

2

適正処分A

原材料製造A

製品製造A

(使用A)

中間処理A

システム境界B

2

原材料製造B

製品製造B

(使用B)

中間処理B

適正処分B

一次製品システムA

(再生原材料)

(使用済み製品)

二次製品システムB

システム境界A

1

システム境界B

1

再生


ここで重要なことは,配分対象となる再生段階に含まれる小プロセスを特定し,その境界を明確に記述

することである。調査対象システム,調査目的などによって,境界の設定は異なる。

附属書図 20  再生段階にかかわる入出力の配分に関する事例

11.5.2 

配分方法  この事例に対する配分方法には,様々な考え方がある。どのような配分方法を採用する

かは,調査の目的の設定による。ここで重要なことは,配分方法及びその根拠を明確に記述することであ

る。また,配分方法に関係なく,一次製品ステムと二次製品システムとに配分される再生段階にかかわる

各入出力の合計は,配分前の各入出力と等しくなければならない。

次に,幾つかの配分方法の例を示す。

a)

再生段階にかかわる入出力は,すべて一次製品システム A に配分(100/0)する。すなわち,再生段

階を製品システム A の境界内に含める。

これは,

“再生段階を一次製品の適正処分の一部として扱う”という考え方である。このとき,二次

製品システム B は,再生段階にかかわる環境負荷ゼロで再生原材料を得たと考える。

b)

再生段階にかかわる入出力は,すべて二次製品システム B に配分(0/100)する。すなわち,再生段

階を製品システム B の境界内に含める。

これは,

“再生段階を二次製品のための原材料製造の一部として扱う”という考え方である。このと

き,

使用済み製品は,

再生段階にかかわる環境負荷ゼロで一次製品システムの境界外に出たと考える。

c)

再生段階にかかわる入出力は,一次製品システム A と二次製品システム B とに半分ずつ配分(50/50)

する。

これは,a)と b)との中間的な考え方で,

“再生段階にかかわる環境負荷は,一次製品システムと二次

製品システムとで等分負担する。

”ということである。

d)

物理的関係を反映する配分方法としては,次のような考え方もあり得る。例えば,使用済み製品のう

ち,再生原材料にならないものは,一次製品システムの適正処分の一部と考え,

“再生段階に流入する

使用済み製品の質量”と“再生段階から流出する再生原材料の質量”との比率,又は“使用済み製品

の質量−再生原材料の質量”と“再生材料の質量”との比率で配分する。

なお,再生段階を小プロセス(工程)に分割し,例えば,

“使用済み製品に含まれる異物の除去プロ

セスにかかわる入出力は,一次製品システムにだけ配分する”という考え方もある。事例としては,

一次製品システムA

システム境界A

原材料製造A

製品製造A

(使用A)

中間処理A

適正処分A

流入

基本フロー

流出

基本フロー

二次製品システムB

システム境界B

原材料製造B

製品製造B

(使用B)

中間処理B

適正処分B

流入

基本フロー

流出

基本フロー

再生

(再生原材料)

(使用済み製品)


あるプラスチックの循環的利用において,塩素含有プラスチックが利用できない場合の塩素含有プラ

スチックの選別工程,脱塩素工程などがある。しかし,

“異物除去プロセスも再生原材料を得るための

精製プロセス”と考え,二次製品システムにだけ配分する,という逆の考え方もある。

ここに示した考え方は,使用済み製品及び再生原材料(循環的利用製品)の質を考慮した配分方法

に発展させることができる。例えば,使用済みプラスチック製品の質が低い場合は,使用済みプラス

チック製品の投入質量が多くなり,得られる再生原材料の質量は少なくなるであろう。また,使用済

みプラスチック製品の質が低いことによって負荷が増加する小プロセス(例えば,洗浄工程)は一次

製品システムに配分し,再生原材料の質を高めるために負荷が増加する小プロセス(例えば,油化に

おける分留工程)は二次製品システムに配分する,という考え方もある。

e)

経済価値を反映する配分方法としては,次のような考え方もあり得る。

例えば,円で購入した使用済みプラスチック製品から得られる再生原材料を 円で販売したとす

る。単純に,と との比率で配分する方法が考えられる。また,と との差は付加価値なので,

付加価値が高まる分に応じて二次製品システムに配分すると考え,と“YX”との比率で配分する

方法も考えられる。一方,付加価値が大きいのは,使用済みプラスチック製品の価値が低いためだと

して一次製品システムに多く配分すると考え,逆比で配分する方法も考えられる。

別の例として,処理費 円で引き取った使用済みプラスチック製品から得られる再生原材料を 

で販売したとする。この場合は,が高いほど使用済みプラスチック製品の処理に負荷(費用)がか

かり,が高いほど再生原材料の製造に負荷がかかる(価値が高くなる)と考え,と との比率で

配分する方法が考えられる。この場合,付加価値は“XY”となる。

さらに,別の例として,再生段階を小プロセスに分割し,

“ある工程までは経済価値が負であるが,

次の工程からは経済価値が正になると考え,ある工程までにかかわる入出力は一次製品システムに配

分し,次の工程以降にかかわる入出力は二次製品システムに配分する”という考え方もある。

ここに示した考え方は,使用済みプラスチック製品及び再生原材料(循環的利用製品)の質を考慮

した配分方法に発展させることができる。例えば,使用済みプラスチック製品の質が低い場合は使用

済みプラスチック製品の購入価格が低くなるか,又は処理費が高くなり,再生原材料の質が高い場合

は販売価格が高くなるであろう。

附属書図 20 に示す製品システムでは,再生段階にかかわる資源消費及び環境排出物は,上述の配分の考

え方に従って一次製品システムと二次製品システムとに配分する(例示以外の配分方法もある)

。一方,再

生原材料を構成する素材の新規製造及びそれを用いた一次製品 A の製造にかかわる入出力は,すべて一次

製品システム A に配分するものとしている。つまり,循環的に利用される素材を 1 回目に利用する製品シ

ステムが,その素材製造にかかわる資源消費及び環境排出物をすべて負担する,という考え方である。し

たがって,二次製品システム B では,境界外から流入する再生原材料の素材製造にかかわる資源消費及び

環境排出物は,考慮しない。

11.6 

開ループ形循環的利用の適用事例(その 3

11.6.1 

事例の概要  ここでは,循環的に利用されるプラスチック素材にかかわる入出力を,一次製品シス

テムと二次製品システムとの間で配分する事例を示す。いずれの配分方法も一長一短があるので,採用し

た配分方法とその根拠を明確に記述しなければならない。ただし,再生段階にかかわる入出力の配分は,

11.5

による。


11.6.2 

適用事例 1  附属書図 21 は,この事例で説明するシステムの概要を示している。この事例では,

製品システム A 又は B の一方を主システムと考えて配分する。

附属書図 21  循環的に利用されるプラスチック素材にかかわる入出力の配分事例 1

一次製品システム A を主と考える場合,A のシステム境界にはシステム境界 A

1

及び A

2

だけでなく,シ

ステム境界 B

2

の入出力のうち,システム A からシステム B に流入する再生原材料に相当する適正処分 B

にかかわる入出力を加える。一次製品システム A で製造されたプラスチック素材が,二次製品システム B

で循環的に利用されても,その最終処分は,すべて一次製品システム A が負担する,という考え方である。

このとき,二次製品システム B には,システム境界 B

1

にかかわる入出力,及びシステム境界 B

2

の入出力

のうち,再生原材料相当分を除いた適正処分 B にかかわる入出力を配分する。したがって,二次製品シス

テム B では,再生原材料に対する原材料製造 A にかかわる入出力はゼロとなる。これは,一般的に新規原

材料に比べて再生原材料の質が低下するので,新規原材料製造にかかわる負荷を二次製品システムには配

分しない,という考え方ともいえる。ただし,二次製品システム B では,再生原材料相当分の適正処分 B

にかかわる入出力がゼロとなるが,適正処分 B で再生原材料由来のプラスチック素材が回収された場合,

それによる原材料製造の削減効果は,一次製品システム A に含まれる。

一方,二次製品システム B を主と考える場合,B のシステム境界にはシステム境界 B

1

及び B

2

だけでな

くシステム境界 A

1

の入出力のうち,システム A からシステム B に流入する再生原材料に相当する原材料

製造 A にかかわる入出力を加える。原材料製造 A は,二次製品システム B に再生原材料を供給するため

に存在する,という考え方である。このとき,一次製品システム A には,システム境界 A

2

にかかわる入

出力,及びシステム境界 A

1

の入出力のうち,再生原材料相当分を除いた原材料製造 A にかかわる入出力

を配分する。つまり,二次製品システム B では,再生原材料に利用される原材料製造 A にかかわる入出力

を含めなければならない。したがって,一次製品システム A では,二次製品システム B で利用されない原

料製造 A にかかわる入出力だけを含めればよい。

なお,いずれの場合(11.6.3 で説明する場合も含む。

)も,両システムを結合する再生段階にかかわる入

出力の配分方法については,11.5 に示したような考え方がある。

システム境界A

1

原材料製造A

製品製造A

(使用A)

中間処理A

適正処分A

システム境界B

1

原材料製造B

製品製造B

(使用B)

中間処理B

適正処分B

一次製品システムA

(再生原材料)

(使用済み製品)

二次製品システムB

システム境界A

2

システム境界B

2

再生


11.6.3 

適用事例 2  システム境界の分割によらない配分方法も考えられる。本体の 6.5.3 で規定している

ように,配分の優先順位は,物理的関係を反映する方法,その他の関係を反映する方法(例えば,経済価

値)の順である。次に幾つかの例を示す。

a)

物理的関係を反映した配分方法  一次製品システム A 及び二次製品システム B において,製品 A 及

び製品 B の製造量が一定で,循環的利用が増加した場合を模式的に考えると,

附属書図 22 のような

変化が考えられる。すなわち,原材料 B の新規製造量が減少し,原材料製造 B にかかわる入出力が減

少する。また,使用済みプラスチック製品 A の適正処分量が減少し,適正処分 A にかかわる入出力が

減少する。これらの物理的関係を反映する方法として,次のような配分が考えられる(

附属書表 10

参照)

附属書図 22  循環的利用が増加した場合の物理的変化の模式図

1)

原材料製造 A 及び原材料製造 B 並びに適正処分 A 及び適正処分 B にかかわる各入出力を合算し,

適正処分の A と B との処分量の比率で配分する。両システムにおける新規原材料製造及び適正処分

にかかわる負荷を,それぞれのシステムがその素材を処分(消費)した比率に応じて配分する,と

いう考え方である。循環的利用が増加すると,二次製品システムに配分する比率が高まるが,配分

する負荷の合計は減少する。

2)

原材料製造 A 及び原材料製造 B 並びに適正処分 A 及び適正処分 B にかかわる各入出力を合算し,

新規原材料の A と B との製造量の比率で配分する。両システムにおける新規原材料製造及び適正処

分にかかわる負荷を,それぞれのシステムが新規原材料を製造した比率に応じて配分する,という

考え方である。循環的利用が増加すると,一次製品システムに配分する比率が高まるが,配分する

負荷の合計は減少する。

3)

原材料製造 A 及び原材料製造 B にかかわる各入出力を合算し,新規原材料の A と B との製造量の

比率で配分する。一方,適正処分 A 及び適正処分 B にかかわる各入出力を合算し,適正処分の A

と B との処分量の比率で配分する。両システムにおける新規原材料製造にかかわる負荷は,それぞ

れのシステムが新規原材料を製造した比率に応じて配分し,適正処分にかかわる負荷は,それぞれ

再生

二次製品システムB

システム境界B

原材料製造B

製品製造B

(使用B)

中間処理B

適正処分B

原材料

製造B

減少

適正処分B

変わらない

(再生原材料)

一次製品システムA

システム境界A

原材料製造A

製品製造A

(使用A)

中間処理A

適正処分A

原材料

製造A

変わらない

適正処分A

減少

(使用済み製品)

製品A及び製品Bの製造量一定で

循環的利用が増加すると

原材料製造

A

+B

減少

適正処分

A

+B

減少


のシステムがその素材を処分した比率に応じて配分する,という考え方である。循環的利用が増加

すると,一次製品システムに配分する新規原材料製造にかかわる負荷の比率が高まり,一方,二次

製品システムに配分する適正処分にかかわる負荷の比率が高まるが,それぞれ配分する負荷の合計

は減少する。

この方法は,原材料製造にかかわる負荷の配分には 2)を用い,適正処分にかかわる負荷の配分に

は 1)を用いる,という中間的な考え方である。

4)

原材料製造 A 及び原材料製造 B 並びに適正処分 A 及び適正処分 B にかかわる各入出力を合算し,

その 50  %は新規原材料の A と B との製造量の比率で配分し,残りの 50  %は適正処分の A と B と

の処分量の比率で配分する。この方法は,1)と 2)とを半分ずつ組み合わせた考え方である。

附属書表 10  物理的関係を反映した配分方法の概要

原材料製造にかかわる入出力の配分

適正処分にかかわる入出力の配分

配分の考え方

1) A

の適正処分量:B の適正処分量

A

の適正処分量:B の適正処分量

それぞれのシステムが素材を
処分(消費)した比率に応じて
配分。

2) A

の原材料製造量:B の原材料製造量  A の原材料製造量:B の原材料製造量

それぞれのシステムが新規原
材料を製造した比率に応じて

配分。

3) A

の原材料製造量:B の原材料製造量

A

の適正処分量:B の適正処分量

原材料製造にかかわる負荷は
製造量,

適正処分にかかわる負

荷は処分量で配分。

4)

50 %

)A の製造量:B の製造量

50 %

)A の処分量:B の処分量

50 %

)A の製造量:B の製造量

50 %

)A の処分量:B の処分量

1)

と 2)とを 50 %ずつ組み合わ

せた配分。

b)

経済価値を反映した配分方法  例えば,新規原材料に比べて再生原材料の質が低下し,これに伴い原

材料の経済価値が変わる場合がある。このとき,

附属書図 22 の原材料製造 A にかかわる入出力を,

新規原材料 A と再生原材料 B との価格の比率で,一次製品システム A と二次製品システム B とに配

分する。これは,新規材原料と再生原材料との質の差を考慮した配分方法ともいえる。

11.7 

開ループ形循環的利用の適用事例(その 4

11.7.1 

事例の概要  ここでは,仮想的なプラスチック製品 A の一次製品システムにおける入出力を,一

次製品システムと二次製品システムとの間で配分する例を示す。この事例では,特定の製品システムや区

分を反映しておらず,また,正確な値も提供されていない。単に,配分手順の説明のための仮想的な事例

である。用いる配分手順は,物理的性質及び回収された素材としてのプラスチックのその後の利用回数に

基づいている。この事例の説明順序を

附属書図 23 に示す。

この事例は,循環的に利用されるプラスチック素材が,一次製品とは異なる二次製品システムで利用さ

れ,かつ,その固有の特性が変化を受けるような開ループ形循環的利用システムに適用できる。


附属書図 23  開ループ形循環的利用に関する事例の説明順序

11.7.2 

配分の根拠  配分係数算定の根拠,すなわち,一次製品と回収素材を用いた循環的利用製品との間

で配分される負荷の総計は,一次製品システムに伴うインベントリを製品の寿命が尽きるまでの過程に反

映させることである。

附属書図 24 は,配分の根拠を示している。

附属書図 24  配分の根拠

配分の根拠(11.7.2

回収/循環的利用されるプラスチック素材の利用方法の設定(11.7.3

利用回数の計算(11.7.4

利用回数に基づく配分係数の計算(11.7.5

それぞれのシステムに帰する最終的負荷(11.7.6

資源採取

新規原材料製造

プラスチック製品A製造

使

廃棄物として処分

循環的利用製品B

循環的利用製品C

この事例で配分を考慮する
インベントリの範囲
(製品AとB及びCとの間で
どう配分するか)

(100質量%)

70

質量%

30

質量%

(100質量%)

25

質量%

75

質量%


11.7.3 

回収/循環的利用されるプラスチック素材の利用方法の設定  使用済みプラスチック製品 A には,

循環的利用製品 B 及び循環的利用製品 C という一次製品とは異なる循環的利用があるものとする。これら

の違いは,循環的利用製品 B は一度使用されると廃棄されるが,循環的利用製品 C は,更に循環的利用が

可能であるという点である。

この事例では,使用済みプラスチック製品 A の 30 質量%(1−z

1

=0.30)が廃棄物として処分システム

に,残り 70 質量%

z

1

=0.70)

附属書図 24 のように回収及び循環的利用製品システムに入るものとする。

回収プラスチック素材の 70 質量%を受け取る二つの循環的利用製品システムは,性質が異なる。回収プ

ラスチック素材の合計の 25 質量%(u

12

=0.25)は,循環的利用製品 B の生産に用いられるものとし,残

りの 75 質量%(u

13

=0.75)は,その外の閉ループ形循環的利用又は開ループ形循環的利用をもつ循環的利

用製品 C のシステムへと入るものとする。

附属書図 25 は,この事例の物質のフロー及び割合を示してい

る。すべての変数は次の項で説明する。計算を容易にするため,すべての生産係数(y

2

y

4

)は 1.0 とする

(ロスなし)

附属書図 25  廃棄及び回収されたプラスチック素材の様々な循環的利用

11.7.4 

利用回数の計算  附属書図 25 を用いて,プラスチック素材の全利用回数 を推定することができ

る。各々の変数の値及び計算式は,次のとおりである。

次のような変数を定義する。

−  z

1

:最初(1 回目)の使用後に回収され循環的に利用されるプラスチック素材の割合

−  u

12

z

1

のプラスチック素材のうち,循環的利用製品 B 用に利用される割合

プラスチック

製品A

(一次製品)

循環的利用

製品B

1-z

1

循環的利用されない
プラスチック素材

循環的利用される
プラスチック素材

z

1

再生原材料化

循環的利用されない
プラスチック素材

再生原材料化

循環的利用

製品C

循環的利用されない
プラスチック素材

再生原材料化

他のシステムで
循環的利用される
プラスチック素材

z

1

u

12

ロス

z

1

u

12

・(1-y

2

)

z

1

u

12

y

2

z

1

u

12

y

2

ロス

z

1

u

13

z

1

u

13

・(1-y

3

)

z

1

u

13

y

3

(1-z

3

)

ロス

[z

3

x

3

・(1-y

4

)]

[z

3

・(1-x

3

)]

(z

3

)

循環的利用される
プラスチック素材

(z

3

x

3

)

(z

3

x

3

y

4

)

この事例で配分を考慮するインベントリの範囲
(製品AとB及びCとの間でどう配分するか)


−  u

13

z

1

のプラスチック素材のうち,循環的利用製品 C 用に利用される割合

ここで,

u

12

u

13

=1.0 である。

−  y

2

:循環的利用製品 B 生産のための再生原材料の生産係数

−  y

3

:循環的利用製品 C 生産のための 1 回目の再生原材料の生産係数

−  z

3

:再び循環的利用される循環的利用製品 C の割合

この事例では,

z

3

=0.5 とする(再利用率 50 質量%と想定)

−  x

3

:閉ループ中で循環的利用される循環的利用製品 C の割合

この事例では,

x

3

=1.0 とする(循環的利用製品 C の使用後に開ループ形循環的利用がないも

のと想定)

−  y

4

:閉ループ中での循環的利用製品 C 生産のための再生原材料の生産係数

附属書図 25 で示した循環的利用シナリオの場合,循環的利用されるプラスチック素材の全利用回数 u

は,次のように算出できる。

  u=1  [一次製品(プラスチック製品 A)での最初の利用]

    +z

1

×u

12

×y

2

  (循環的利用製品 B での利用)

    +z

1

×u

13

×y

3

  (循環的利用製品 C での利用:1 回目)

    +z

1

×u

13

×y

3

×(z

3

×x

3

×y

4

)

  (循環的利用製品 C での利用:2 回目)

    +z

1

×u

13

×y

3

×(z

3

×x

3

×y

4

)

2

  (循環的利用製品 C での利用:3 回目)

    ・・・・・・

    +z

1

×u

13

×y

3

×(z

3

×x

3

×y

4

)

n

1

  (循環的利用製品 C での利用:回目)

すなわち,

  u=1+z

1

×u

12

×y

2

+(z

1

×u

13

×y

3

)

×[1+(z

3

×x

3

×y

4

)

+(z

3

×x

3

×y

4

)

2

+・・・+(z

3

×x

3

×y

4

)

n

1

]

    =1+z

1

×[u

12

×y

2

u

13

×y

3

×(1+(z

3

×x

3

×y

4

)

+(z

3

×x

3

×y

4

)

2

+・・・+(z

3

×x

3

×y

4

)

n

1

)]

ここで,n=無限大(循環的利用製品 C での無限回の利用)とすると,循環的利用されるプラスチック

素材の全利用回数は,次の式で求まる。

ú

û

ù

ê

ë

é

÷÷ø

ö

ççè

æ

×

×

×

×

+

×

×

+

=

4

3

3

3

13

2

12

1

1

1

1

y

x

z

y

u

y

u

z

u

 (3)

この事例では,z

1

=0.70,u

12

=0.25,u

13

=0.75,y

2

y

3

y

4

=1.0,z

3

=0.5,x

3

=1.0 なので,これらを式(3)

に代入すると u=2.225,すなわち,循環的利用されるプラスチック素材の全利用回数は,2.225 回となる。

11.7.5

利用回数に基づく配分係数の計算  11.7.4 の計算結果から,配分係数は,次のように計算する。

プラスチック製品 A の全製造量の一部 z

1

が,A とは異なる製品システムにおける次の循環的利用のため

回収される場合には,全負荷の(1−z

1

)が一次製品システムに割り当てられ(残り)

,全負荷の z

1

は循環

的利用製品の利用全体に割り当てられる。新規原材料は,この部分にも割り当てるということを忘れては

ならない。一次製品システムに対する最終的な負荷配分係数は,次のようになる。

  (1−z

1

)+(z

1

/u

この式で,第 1 項は,循環的に利用されないプラスチック素材(1−z

1

)に伴い一次製品システムに残る

負荷の割合を表し,第 2 項は,循環的に利用されるプラスチック素材 z

1

の全利用回数のうち,一次製品シ

ステムで利用される回数の割合(1/u)を表している。

z

1

=0.70,u=2.225 であるので,一次製品システムに対する配分係数は,次のようになる。

  (1−0.70)+(0.70/2.225)=0.30+0.314 6=0.614 6


この配分方法は,一次製品システム及び循環的利用製品システム全体の両方に適用される。

同じように,プラスチック回収素材を循環的に利用することから,循環的利用製品の利用全体には次の

ような配分係数を付与する。

  z

1

×[

u−1)/u]=0.70×[

(2.225−1)/2.225]=0.385 4

この式は,循環的に利用されるプラスチック素材 z

1

の全利用回数のうち,循環的利用製品システムで利

用される回数の割合を表している。

一次製品システム及び循環的利用製品システム全体の係数の合計は,1 でなければならない。このこと

を確認することが重要である。

  0.614 6+0.385 4=1.000

11.7.6

それぞれのシステムに帰する最終的負荷  異なるシステムに配分する負荷は,次のようになる。

一次製品システムの場合,機能単位当たりの全プラスチック製品 A のシステムによる負荷に,配分係数

0.614 6

を乗じる。これが,LCI 分析において開ループ形循環的利用システムがもつ重要さである。一次製

品システムの相当の割合(この事例では 0.385 4)が,循環的利用製品システム全体に引き渡される。これ

は,循環的利用製品システムに送られた素材が,無価値な廃棄物ではなく,価値をもつ共製品に類似して

いるという事実を表現している。

循環的利用製品全体に関しては,一次製品システムから流入する“原材料”プラスチックが,残りの負

荷(すなわち,1−0.614 6=0.385 4)をもたらす。循環的利用製品 B の場合,回収されず一度利用された

ら廃棄され,利用した循環的利用“原材料”プラスチックへの配分係数は,0.385 4 のままである。

循環的利用製品 C のシステムに関しては,利用する“原材料”プラスチック全体に付随してくる配分係

数 0.385 4 は,システムに関する知識,並びに他システムでのこれら製品が再び回収及び循環的利用される

割合を知ることによって更に減少する。この例では,x

3

=1 であり,したがって,更なる開ループ形循環

的利用はない。

両システム共,

“原材料”プラスチックに付随してくる負荷に,更に,新しい循環的利用製品システムヘ

供給するために実施する処理などに起因する個々の負荷を加える必要がある。

もしも,更に開ループ形循環的利用が行われた場合,配分手順は,上述の方法と類似している。また,

11.7.5

でも行ったように,配分係数の前提条件及び計算を確認し,割合の合計が 1 になることを確認する

ことが重要である。

この事例は,循環的に利用されるプラスチック素材の利用回数によって配分を行っているが,利用回数

はプラスチック素材の物質収支に基づいているので,

本体の 6.5.3 で規定しているステップ 2,すなわち,

物理的関係(質量)による配分事例の一つである。

11.8 

開ループ形循環的利用の適用事例(その 5)  家庭などから排出される使用済みプラスチック製品の

ように,多種多様なプラスチックが混合している場合の循環的利用に対する LCI 調査では,一次製品を特

定し,一次製品システムと二次製品システムとの配分を行うことは,困難である。このような場合には,

プラスチック種を特定し(例えば,ポリエチレン)

,その新規原材料を製造する仮想的な一次製品システム

を設定し,11.411.7 に示したいずれかの方法によって配分することも考えられる。

一方,循環的に利用されるプラスチックの用途が多岐にわたることもある。このような場合には,一次

製品システム及び再生段階を調査対象とし,再生原材料の製造によって削減される新規原材料製造及び適

正処分にかかわる入出力の変化量を評価(控除)することも考えられる。

11.9 

開ループ形循環的利用の適用事例(その 6)  一次製品システムと二次製品システムとの間の配分に

おいて,次のような寄与を考慮する場合もある。


例えば,技術革新によって,一次製品 A が二次製品 B として循環的に利用が可能又は拡大した場合を調

査対象とする。循環的利用が可能又は拡大した理由として,製品 A が循環的利用しやすい仕様に変更され

た場合と,製品 A には変更がなく,新たな循環的利用技術又は循環的利用製品 B が開発された場合とが考

えられる。前者の場合,一次製品システム A への配分を軽減させることは,妥当であろう。一方,後者の

場合,一次製品システム A への配分を軽減させることは,妥当でない場合もある。

このような場合,一次製品システムと二次製品システムとの寄与率を考慮して配分係数を設定すること

も考えられる。

12. 

データ品質評価の実施に関する適用事例及び留意事項

12.1

本体の規定  本体の 5.2.7 においては,次のように規定している。

−  データ品質要件では,次のパラメータを定義できるようにすることが望ましい。

・  時間に関する有効範囲

・  地理的な有効範囲

・  技術の有効範囲

−  すべての調査において,更に次のデータ品質要件を検討しなければならない。

・  精度

・  完全性

・  代表性

・  整合性

・  再現性

本体の 6.3 においては,次のように規定している。

−  公表文献からデータを収集した場合には,その出典を明記しなければならない。調査の結論に対

して重要なデータで,文献から収集したものに関しては,関連データ収集手順,データ収集時期,

及びデータ品質指標を詳述している公表文献を示さなければならない。そのようなデータが初期

のデータ品質要件に適合しない場合には,その旨を記述しておかなければならない。

本体の 6.4.2 においては,次のように規定している。

−  欠落データが特定された各データ区分,各報告現場に対して,欠落データ及びデータ欠損を次の

ように扱うことが望ましい。

・  根拠が示された“非ゼロ”データ値

・  根拠が示された場合は,

“ゼロ”データ値

・  類似の技術を採用している単位プロセスから得られる数値に基づく計算値

本体の 7.においては,次のように規定している。

−  解釈は,結果の不確実性を理解するために有意な入力,出力及び方法論的選択に関してのデータ

品質評価及び感度分析を含まなければならない。

12.2 

概要  一般的には,包括的な LCI 分析は,調査対象とする製品,プロセス,又は活動に関する数百,

数千のデータの収集と統合を伴うものである。設定した調査範囲によっては,情報は様々な企業から,ま

た,場合によっては世界中から収集することになる。このように,分析過程の全体を通じてデータ品質の

管理が必す(須)の要素となっていることが不可欠である。

附属書図 26 は,データ品質の評価を行う手順を示すもので,幾つかのデータ品質要件と LCI 分析で用

いるであろうデータ品質指標について次に記述する。


附属書図 26  データ品質評価の実施に関する概要

12.3 

報告現場の具体的リストを作成するためのデータ品質要件

12.3.1 

全般的事項  調査の目的では,調査の時間的,地理的及び技術的要件を規定する根拠が設定される。

この範囲設定作業は,データ品質要件を定めるうえで重要な第一歩である。

12.3.2 

時間に関する有効範囲  調査で用いるデータの作成時期と情報源に関しては,幾つかの判断が必要

である。各報告現場固有の一次データと二次データ(例えば,公表データ)との間で取得時期に違いがあ

る場合もある。

例  異なるタイプの情報源を用いての調査範囲の設定

異なる情報源から収集した二つのタイプのデータを用いて調査範囲を設定することができる。

それらは,次のようなデータである。

  −  特定企業から前の年に収集した一次データ

  −  過去 5 年以内に公表された情報源を使った二次データ

データの取得時期がこれらの目標から外れる場合は,その旨を記す必要がある。

モデル化するプロセスが本質的にもつ変動を把握できるため,実際に測定したデータは最善と考えるこ

とができる。適切に記録,計算,又は推定したデータも貴重な入力及び出力となる。可能な場合は,最低

でも 1 年の期間にわたってデータを収集するべきである。

そのようなデータは,

季節による潜在的な影響,

自然のプロセスの変動や,偶発的事象を明らかにすることができる。特定の調査期間に加え,それ以前の

12

か月を調べることは,整合性を点検すると同時に何らかの異常や報告時の誤りを見つけるうえで有用で

目的及び調査範囲の設定

データ収集

データ品質要件(12.3

時間に関する有効範囲

地理的有効範囲

技術の有効範囲

12.3.2

12.3.3

12.3.4

その他方法論的問題

データ品質の評価(12.4
・精度

12.4.2

・完全性

12.4.3

・代表性

12.4.4

異常/欠落データ(12.4.7

整合性(12.4.5

再現性(12.4.6


ある。

特に,使用済みプラスチック製品の組成,循環的利用製品の品質,循環的利用プロセス,それに関連す

る排出物の処理プロセスなどは,上述のような変動が大きい場合があるので,可能な限り,1 年の期間に

わたってデータを収集することが望ましい。プロセス内に蓄積し,ある期間ごとに排出されるちり(塵)

汚泥などのたい(堆)積物に注意する必要がある。比較するシステム間のデータ収集期間が異なる場合は,

その同等性について妥当性を示さなければ,比較してはならない。

12.3.3 

地理的な有効範囲  空間的な境界には,調査対象の製造システムの一部である現場特有の設備が含

まれることもあり,それらは更に特定の地域又は市場に固有のものとして規定する場合もある。同様に,

調査は,特定現場を対象としたものに拡張することもできる。特定の現場を対象とする場合においては,

関係する各企業が,最初に対象となる製品の量を決定し,次にそれが,供給チェーンを通じて上流に,ま

た回収,循環的利用,処分からなる下流へとたどられる。特に原材料の供給業者が調査に関与している場

合などには,この供給チェーンは,製品が販売される特定地域を越えて広がることもある。

情報の管理及びその後のデータ品質評価の枠組みとなるため,製品フローの記録は重要である。このリ

ストは,調査の完全性を評価する根拠ともなり得る。

使用済みプラスチック製品の組成は,地理的な特異性によって影響を受ける場合がある。比較するシス

テム間の地理的有効範囲が異なる場合は,使用済みプラスチック製品の組成,それによって影響を受ける

循環的利用製品の品質,循環的利用プロセス,それに関連する排出物の処理プロセスなどの同等性につい

て妥当性を示さなければ,比較してはならない。

12.3.4 

技術の有効範囲  データを報告する特定現場のリストは,生産,プロセス及び環境管理技術の固有

の特性を規定するために用いられる。業界団体や政府機関によって示される集約データは,後にその産業

セクターの代表性を検討する際に有用である。

調査範囲の設定では,技術の組合せと技術タイプ別の場所の数を規定する。技術進歩については,全ラ

イフサイクルがカバーする期間の間にあり得るならば,技術進歩を考慮に入れることが望ましい。

例 10 年から 20 年の寿命がある冷蔵庫など長寿命の製品の場合は,技術進歩は無視できない要素と

なる可能性がある。寿命 20 年の冷蔵庫を,最新形の寿命 10 年の冷蔵庫 2 台を連続的に用いる場

合と単純に比較することはできない。10 年後に製造される冷蔵庫は,現在の製品よりエネルギー

効率がよい(機能単位当たりのエネルギー入力が少ない)のは確かで,寿命 20 年の冷蔵庫のエネ

ルギー効率は固定されるが,10 年+10 年の選択肢の場合,冷蔵庫のエネルギー効率は,将来の向

上を予測して定める必要がある(厳密には,使用に伴う経時的なエネルギー効率,性能などの低

下も考慮する必要がある。

システム間の比較において,例えば,循環的利用プロセスのデータが,商業生産プロセス,実証化プロ

セス,実験プロセス,実験室プロセスなど,技術水準(発展段階)の異なる現場から得られる場合は,そ

の同等性について妥当性を示さなければ,比較してはならない。

プラスチックの循環的利用プロセスは,入力となる使用済みプラスチック製品の品質によって特性が変

化する。特定の品質の使用済みプラスチック製品の入力に対して得られたデータを,異なる品質の使用済

みプラスチック製品の入力についての LCI 分析に用いる場合は,その妥当性を示さなければならない。

例  特定のプラスチック組成で得られたデータを,様々なプラスチックが混合した使用済み容器包装

プラスチックに適用する場合。

また,循環的利用プロセスへの入力として許容される品質が限定されている場合は,許容範囲外の入力

についての LCI 分析を行ってはならない。


例  幾つかの循環的利用プロセスへの塩素含有プラスチックの投入割合,高炉還元剤化におけるコー

クスに対するプラスチック投入割合など。

プラスチックの循環的利用では,技術的な発展又は変化が著しいものがある。したがって,特に比較を

目的とする場合などでは,このような技術的及び時間的有効範囲に留意しなければならない。

例  プラスチックと異種材料又は異種プラスチックの分離技術の進歩,分別回収の進展,使用済み PET

ボトルの平均的な回収ベールのランク向上,PET ボトル 1 本の質量の減少など。

12.4 

データ品質を特性付けるための要件

12.4.1 

全般的事項  本体では,データの品質並びにそのデータの収集及び統合方法を特徴付ける五つの指

標を示している。

12.4.2 

精度  これは,表現される各データ区分におけるデータ値の変動を示す指標である。それはデータ

セット値が,データセットの平均値に対してどの程度の広がり又は変動があるかを示している。各データ

区分に関し,報告された値の平均値と標準偏差を計算し,製品システム中の各単位プロセスについて記述

する。これらの精度は,報告された値の不確実性の評価に用いることができるほか,調査結果の感度分析

にも有用である。

12.4.3 

完全性  単位プロセスに関するデータの完全性は,総現有データ数(現実に存在する全現場数)に

おける有効一次データ(実際に有効なデータが得られた現場数)の割合で示される。一般的には,各タイ

プの単位プロセスに対してデータ収集前に目標百分率を定める。比較調査の場合は,各製品システムは完

全性に関し同等であるべきである。普通,目標は,一定のレベルに設定する(例えば,70 %)

12.4.4 

代表性  データの特性を表すこの指標は,対象とする真の集合に対するデータセットの反映度を評

価するものである。本質的には,この評価は完全性と似ているが,製品システムの地理的,時間的,技術

的側面に焦点を合わせている。この指標は,対象とする集合の真の正確な測定値を調査に用いるデータ値

が代表している度合いを示している。この指標は,用いたデータによって代表される総量に対する割合に

ついて情報を提供することもある。何らかの重要な相違が見つかった場合は,それを吟味し説明する必要

がある。

1.  完全性はあるが偏ったサンプリング

ある特定地域又は発電網における kW・h 当たりの二酸化炭素の単位排出量を導出するには,

各転換設備について調査し,それをまとめて平均値を求めるというのが適切な方法であろう。

しかし,96  %が水力発電,残り 4  %が在来型石炭火力という発電網について調査を行った場

合,4  %の火力発電所からの排出量を無視することは,重大な偏りを持ち込むことになる。

2.  プラスチックの循環的利用プロセスでは,技術的な発展が著しいものがある。このため,プロ

セス全体のデータによって完全性が高いデータであっても,新規導入評価のための比較を目的

とする場合などにおいては,時間的な側面から最新技術によるプロセスを代表しているとはい

えない場合がある。

12.4.5 

整合性  調査の様々な部分に対して調査方法を,いかに均一に適用するかを示すデータ特性指標が

整合性である。このデータ特性指標は,LCI 分析過程を管理する上で最も重要なものの一つである。整合

性を保証するためには,多くの段階を踏む必要がある。その一つはコミュニケーションである。複数の企

業が関与する調査で,世界各地から各社が次々にデータを収集する場合,どのようなデータが要求されて

いるか,それをどのように測定するか,どのように報告するか,及びどう使われるかに関して明確な理解

が形成されている必要がある。


例  多くの製造業者から報告される値

生産工程への物質の入力にかかわる平均排出量及びエネルギーデータを定めるときには,数多

くの製造者から数値データを収集する必要がある。そのうちの幾つかは,全国標準などの公表デ

ータを用いて報告される場合もあれば,実際の測定によって自社の状況を報告する場合もあろう。

収集方法や精度は均一でないため,また,異なった方法が混在することが避けられない場合には,

データの相違を点検するための予備評価を行うべきである。

例えば,大気圏への排出物を調べて比較した場合,個々の測定で報告される CO

2

量は,全国標

準として公表された値よりもやや低い(又は高い)が,SO

2

の排出量は同一であることが示され

るといったこともあろう。

12.4.6 

再現性  再現性は,独立した調査実施者が調査報告に示された方法とデータ値に関する情報を用い,

報告された結果をどの程度再現できるかという点に関するデータ特性指標である。この指標は,調査結果

に関して何らかの公の主張を行おうとする場合に使用される。ただし,公の場での使用を可能にするため

に必要な透明性水準の達成が,反トラスト法によって除外される場合もある。

12.4.7 

異常データ又は欠落データの特定  異常データは,データセット内で極端な値を示すデータである。

これらの値は通常,統計分析及び専門家によるレビューの結果として発見される。異常データ又は欠落デ

ータが見つけられ,データセットから除外,又は計算値で代替された場合には,調査報告にその旨を明記

する。これらのデータ値が存在するのは,入力データに対する要求の誤った解釈,データ値の報告時の過

ち,データサンプルの不適切な分析,単純に入手不可能であることなどの結果による。

データの異常は,各単位プロセスに対する各データ区分の包括的検討のときに見つかる。これらの異常

データは報告された場所又は社内の専門家に返され,データべ−スに入れることが妥当かどうかの判断が

下される。異常データが工程の不調又は事故による排出ということで説明できる場合は,データセットに

保持される。この決定は,調査の目的と範囲に照らしてなされるべきである。説明手投が見つからないか,

又は報告の誤りを修正できない場合には,その異常データはデータセットから削除され,その旨を報告す

る。

異常が処理されると,個々のデータ区分に関する適切な入力を決定するため,

欠落データの評価を行う。

基本的な指針として,各報告場所に関する各データ区分は,次の項目のいずれか一つをもつものとする。

−  受容可能な報告されたデータ値

−  適切な場合は,ゼロ値

−  報告された値の平均値に基づいて計算した値

−  類似技術を用いた単位プロセスから得られた値

13. 

感度分析の実施に関する適用事例及び留意事項

13.1 

全般的事項  感度分析は,入力パラメータ又は手法の選択に関する判断を一度に一つ変化させるこ

とによって,最終結果に及ぼす影響を評価する。LCI 分析においては,用いるデータの品質の影響,及び

調査の開始時又は分析の反復過程において必然的に主観的となる判断を行うことがあるため,感度分析が

必要となる。調査の透明性を適切に保つためには,これらの判断の影響を理解することが必要である。

13.2 

本体における規定  本体の 5.2.6 においては,次のように規定している。

−  調査が,公表する比較主張の根拠として用いることを意図している場合,この項で概説したよう

に入力及び出力データの最終的な感度分析には,質量,エネルギー及び環境関連事項の基準を含

めなければならない。


本体の 6.4.5 においては,次のように規定している。

− LCI 調査の反復的な性質を考慮して,評価にどのデータを含めるかは,その有意性を決める感度

分析に基づかなければない。

本体の 7.においては,次のように規定している。

−  解釈は,結果の不確実性を理解するために有意な入力,出力及び方法論的選択に関してのデータ

品質評価及び感度分析を含まなければならない。

LCI

分析の重要な結果が,次のいずれかの値に影響を受ける場合には,感度分析を行う必要がある。

−  手法の選定(例えば,配分規則)によって定まる値

−  不確実性の幅をもつ値

−  欠落している値(すなわち,データの欠損)

分析を行うために選定する値又はパラメータを決定する必要がある。

13.3 

事例の解説

13.3.1 

全般的事項  感度分析は,LCI 分析の重要なパラメータを変更して再計算を行い,その結果を,基

準とする結果と比較することによって実施できる。具体的な手順は,次のとおりである。

−  分析すべき重要な点に対応するパラメータを明らかにし,

−  各々の分析に対し,それらのパラメータを変化させ,インベントリを再計算し,

−  インベントリの結果を比較し,パラメータの感度を評価する。

感度分析においては,各々の分析を特徴付けるために幾つかのパラメータを決定する必要がある。計算

の回数は,使用者が決定する感度分析の数に依存する。

考慮すべき重要な要素の例としては,次のような事柄が挙げられる。

−  機能単位の選択

−  データの値の不確実性(ある範囲内の)

,電力消費,輸送距離など。

−  システム境界の不確実性(地理的,時間的)

,電力生産モデル(例えば,2005 年の日本全国平均,

地域の電力会社又はコジェネレーションをもつ石炭燃料の自家発電設備)など。

−  その他の手法にかかわる選択,配分規則,カットオフ規則,循環的利用規則,基本フローを伴わ

ない製造工程の調査の回避など。

感度分析によって,次のような結果が導かれる場合がある。

−  感度分析によって重要度が低いことが示し得る場合の,ライフサイクル段階又は補助システムの

除外。

−  調査の結果に対する重要度の低い物質フローの除外。

−  感度分析によって重要であることが示される新しい単位プロセスの包含。

13.3.2 

分析すべきパラメータの優先度付け  感度分析は,重要な仮定及びデータの変動が LCI 調査の結

果に対して及ぼす影響を分析するために実施する。感度分析のための一般的な方法は,選択した独立変数

に対するデータ入力を定めた割合だけ増加又は減少させる(例えば,ある単位プロセスにおける燃料油消

費を 10  %増加又は減少させる。

)ことによる。

この独立変数の選択において優先度付けを行う際には,調査結果に大きく影響を及ぼす変数を判断する

ために分散指数を用いてもよい。分散指数の考え方は,一つの独立変数が調査結果に対してもつ重大さに

対し,次の四つの要因が影響する可能性があることを示唆するものである。

−  ある単位プロセスのデータ区分の量が,ある製品システムのデータ区分の量に対して及ぼす寄与

−  特定のデータ区分の相対的重要性(感度係数)


−  単位プロセスのデータの,その単位プロセスのデータ区分に対するばらつき

−  データ区分に対する入力の完全性

寄与率の高い単位プロセスは,LCI 分析の結果に及ぼす影響も大きい。それぞれのデータ区分は,物質

フロー,エネルギーフロー及び排出物に関連して様々な環境への効果を及ぼす。

13.3.3 

分析すべきパラメータの選択  関心の対象となるパラメータの優先度付けをしたならば,実施すべ

き感度分析の種類を選択する必要がある。感度分析を行ったならば,その結果の解釈を行う必要がある。

a)

事例の概要  11.7 で示した開ループ形循環的利用の事例を用いて,入力パラメータの妥当性,LCI 調

査に含まれる様々な地域から得られたデータの変動,又は配分手順の選択に伴う影響を評価するため

の感度分析を行った結果について述べる。

これらの感度分析の結果を吟味することによって,11.7 の事例においては循環的利用の程度が高い

ため,選択した配分手順は,規格に適合してはいるものの,更に検討すべき余地のあることが結論付

けられる。

附属書図 27 に示したフロー図は,この事例を記述する段階を示している。

附属書図 27  感度分析に関する事例の記述順序

b)

事例に適用可能な感度分析の種類  説明のため 11.7 に示した事例を吟味すると,様々な感度分析を適

用することができることが示唆される。手法論的な規則又は手順に関していえば,開ループ形循環的

利用における配分は,結果が配分係数の選択に大きく依存するため,重要な要素となる。また,デー

タ品質,例えば,データの同時性並びにデータの収集及び集約時の正確さも重要である。さらに,様々

な製造現場を考慮することになるため,データの品質によらず,調査に用いる平均値はかなりの変動

を反映したものとなり,検討を要する。もう一つ感度分析が必要となる可能性があるのが,一次製品

の配送時の輸送距離の変動範囲である。

調査の結論を導き出す前に,これら及びその他の条件に関する分析が必要である。実際的には,複

数の感度分析を実施することになる。ここでは,簡単のため,配分手順に対する感度分析の事例を選

ぶことにする。ここで配分手順を選択したのには,他にも幾つかの理由がある。使用回数に基づいた

式と特有の配分手順によって,配分係数は循環的利用の程度が高くなり,使用回数が増えるに従って

大きく変化することが明らかとなる。

事例中の一次製品及びその他の共製品の循環的利用率は,プラスチック業界及び国家機関の両者に

よって作成され公認されている国内統計データに基づいている。それにも関わらず,その重要性のた

事例に適用可能な感度分析の種類(13.3.3 b)

適切な範囲内での値の幅の選択( 13.3.3 c) 

算(13.3.4

論(13.3.5


め,手順そのものに対する感度分析を行うことが必要である。

c)

適切な範囲内での値の幅の選択  本体の規定に従えば,11.7 の開ループ形循環的利用の事例に記述さ

れている手順は,一次製品に対する配分係数と,最終的には利用回数及び別のシステムで循環的利用

される一次製品の割合で定まる事後利用回数の総計とを見積もっている。

  配分係数  F=f(uz

1

一次製品に対する は 0.61 と見積もられた。現実的な総合的変動幅として+25  %及び−25  %を想

定すると,の値は最大で 0.76,最小で 0.46 まで変化する可能性がある。

13.3.4 

計算  11.7 にはすべての結果に対する基本的な値が示されているわけではないため,これら二つの

極端な条件に対してあらゆる結果の反復計算を行う必要はない。これらの極端な係数に従って製品システ

ムの様々な段階で特有の差が生じることになるため,結果がこれらの新しい値に直接比例していないこと

を示すだけで十分である。

附属書表 11 に,感度分析のために設定した極端な仮定から得られる基本的な結果の影響を一般的な形で

示す。調査で考慮した特定のパラメータ(その調査にかかわる LCA 実施者の判断の結果)を除くと,次に

示す結果は,分析及び配分係数に関するより広範な感度分析の必要性を判断するために有益なものとなろ

う。

附属書表 11  F(配分係数)の変化による結果の相違

要素

F

=0.46

(−25 %)

F

=0.61

(基準)

F

=0.76

(+25 %)

機能単位:使用される一次製品の質量 100 100 100

循環的利用率:z

1

 0.70

循環的利用される一次製品の質量

 70

利用回数:u

 2.225

負荷:

  一次製品にとどまった比率 0.46

0.61

0.76

  二次製品に移行した比率 0.54

0.39

0.24

製造量/(一次製品使用量 100) 54

39

24

基準値(F=0.61 の場合)からの変化

+15 0 −15

*

F

=f(u

z

1

)

であるため,値の様々な組合せが可能。

13.3.5 

結論  附属書表 11 から予想される結果によって,配分手順に対する感度分析を実施することの適

切さが示唆される。この変動は,調査結果の読者に指摘するに十分なほど顕著なものである。また,この

結果は,更に感度分析を行うことの必要性を示すものである。

F

は利用回数と循環的利用率との関数であるため,各々について別々の分析を行うことが適切であろう。

14. LCI

結果の解釈に関する適用事例及び留意事項

14.1 

全般的事項  ここでは,どのように解釈を実施するかを,この規格の利用者が理解するのを支援す

るために,LCI の解釈段階にある要素の構成例を示す。

14.2 

重要な項目の特定に関する事例  この特定化要素(本体の 7.2 参照)は,評価要素(本体の 7.3 参照)

との反復によって実施する(

本体の図 参照)。特定化要素は,情報の特定及び体系化並びにそれに続く

あらゆる重要な項目の決定から成り立っている。利用可能なデータ及び情報の体系化は,目的及び調査範

囲の設定と同様に,LCI 分析と関連させながら反復実施する。この情報の体系化は,LCI 分析で既に完了


していることがあり,これら前段階の結果の概要をまとめることを目的としている。これによって,結論

を導いて提言を行うとともに,重要で環境に関連した項目の決定を容易にする。体系化手順に基づいて,

その後のすべての決定は各種の分析技法を用いて実施する。

調査の目的及び調査範囲によって,様々な体系化の方法が活用できる。その中で,次の体系化の方法が

利用可能であり,推奨することができる。

−  個々のライフサイクル段階へ区分する。例えば,材料の生産,調査対象製品の製造,使用,循環

的利用及び廃棄物処理(

附属書表 12 参照)。

−  プロセス群別に区分する。例えば,輸送,エネルギー供給(

附属書表 15 参照)。

−  管理の影響力度合によるプロセスの区分。例えば,変化及び改善が管理できる自社プロセスと,

国のエネルギー政策,供給者に特有な境界条件などのような,外部の責任によって設定されるプ

ロセスとの区分(

附属書表 16 参照)。

−  個別の単位プロセスに区分する。これは,最も解決の可能性がある。

この体系化手順の結果は,二次元マトリックスとして提示してもよい。例えば,上述した区分基準が“列”

となり,インベントリの入力及び出力の結果が“行”となる。

重要な項目の決定は,体系化した情報に基づいて実施する。

個々のインベントリデータ区分に関係するデータは,目的及び調査範囲の設定の中であらかじめ決定す

ることができる。LCI 分析若しくは環境マネジメントシステム(

52

)

又は企業の環境方針のような他の情報源

から決定することもできる。幾つかの可能な方法が存在する。調査の目的及び調査範囲並びに必要とされ

る詳細度によって,次に示す方法が推奨できる。

−  寄与度分析。全体の結果に対するライフサイクル段階(

附属書表 13 参照)又はプロセス群(附属

書表 15 参照)の寄与度を,例えば,合計に占める百分率で表すことによって調べる。

−  重要度分析。統計学的手法又はその他の技法によって,定量的又は定性的な順位付け(例えば,

ABC

分析)を行い,著しい又は重要な寄与を調査する(

附属書表 14 参照)。

−  影響度分析。影響関連事項に影響を与える可能性を調査する(

附属書表 16 参照)。

−  異常評価。これまでの経験に基づいて,予測値及び正常な結果からは通常あり得ない又は驚異的

な差異を観察する。これによって後の点検が容易になり,改善評価の指針となる(

附属書表 17

参照)

(

52

“環境マネジメントシステム”の定義:組織のマネジメントシステムの一部で,環境方針を策

定し,実施し,環境側面を管理するために用いられるもの(JIS Q 14001 参照)

この決定手順の結果も,マトリックスとして提示してもよい。マトリックスでは,上述の差異基準が“列”

となり,インベントリの入力及び出力の結果が“行”となる。

より詳細な検討が可能となるように,目的及び調査範囲の設定から選択した特定のインベントリの入力

及び出力についても,この手順を実施することが可能である。この特定手順において,データが変更又は

再計算されることはない。唯一の修正は,百分率などへの変換である。

附属書表 12∼附属書表 17 に,どのように体系化手順が実施できるかの例を示す。

体系化の基準は,目的及び調査範囲の設定に関する特定の要求事項又は LCI 分析の知見のいずれかに基

づいている。

附属書表 12 は,各種ライフサイクル段階を代表する単位プロセス群ごとに,LCI 分析の入力及び出力を

体系化した例であり,

附属書表 13 は百分率で表されている。

附属書表 12 の LCI 結果の寄与度分析では,様々な入力及び出力に対して最も寄与しているプロセス又


はライフサイクル段階を特定する。これに基づき,以降の評価では,それらの知見の意味と安定性とを明

らかにして記述することができ,結論及び提言の基礎となる。この評価は,定性的な評価又は定量的な評

価のいずれに対しても適用できる。

附属書表 12  ライフサイクル段階への LCI の入力及び出力の体系化

単位  kg

LCI

の入力/出力

材料生産

製品製造

使用

循環的利用

その他

合計

無煙炭

1

200

25

500

1

725

CO

2

4 500

100

  2 000

− 150

6

750

NO

x

 40

10

20

− 20 90

りん酸塩 2.5

25  0.5

− 28

AOX

*

 0.05

0.5

0.01

− 0.05

0.61

一般廃棄物 15  150

2

− 5

172

その他の廃棄物  1

500

− 250

1

750

*

吸収されやすい有機ハロゲン化物

附属書表 13  ライフサイクル段階への LCI の入力及び出力の寄与度(百分率)

単位  %

LCI

の入力/出力

材料生産

製品製造

使用

循環的利用

その他

合計

無煙炭 69.6  1.5 28.9  −

− 100

CO

2

 66.7 1.5

29.6

− 2.2

100

NO

x

 44.5

11.1

22.2

− 22.2 100

りん酸塩 8.9 89.3  1.8  −

− 100

AOX 8.2

82.0 1.6

− 8.22

100

一般廃棄物 8.7  87.2

1.2

− 2.9

100

その他の廃棄物 85.7

− 14.3 100

さらに,これらの結果は,個別のランク付け手順,又は目的及び調査範囲の設定であらかじめ定めた方

法のいずれかによって,ランク付けと優先順位付けができる。

附属書表 14 に,次に示すランク付け基準

を使用したランク付け手順の結果を示す。

  A:最も重要で重大な影響,すなわち,寄与度>50  %

  B:非常に重要で関連性のある影響,すなわち,25  %<寄与度<50  %

  C:かなり重要で幾らかの影響,すなわち,10  %<寄与度<25  %

  D:あまり重要でなく,わずかな影響,すなわち,2.5  %<寄与度<10  %

  E:重要ではなく無視してもよい影響,すなわち,寄与度<2.5  %


附属書表 14  ライフサイクル段階への LCI の入力及び出力のランク付け

LCI

の入力/出力

材料生産

製品製造

使用

循環的利用

その他

合計

kg

無煙炭 A E B −

1

725

CO

2

  A E B

− D

6

750

NO

x

 B

C

C

− C 90

りん酸塩 D  A  E  −

− 28

AOX D A E

− D  0.61

一般廃棄物 D

A

E

− D

172

その他の廃棄物 A

− C

1

750

附属書表 15 には,考えられる別の体系化手順を示すために,同じ LCI 事例を用いている。この表は,

LCI

分析の入力及び出力をいろいろなプロセス群に体系化した例を示している。

相対的な寄与度を決定したり選択した基準へのランク付けのような他の技法は,

附属書表 13 及び附属書

表 14 に示したものと同じ手順に従う。

附属書表 15  プロセス群別に分類された体系化マトリックス

単位  kg

LCI

の入力/出力

エネルギー供給

輸送

その他

合計

無煙炭

1 500

75

150

1 725

CO

2

5 500

1 000

250

6 750

NO

x

 65  20 5 90

りん酸塩 5

10 13  28

AOX 0.01

− 0.6 0.61

一般廃棄物 10

120

42

172

その他の廃棄物

1 000

250

500

1 750

附属書表 16 は,影響力の度合によってランク付けして単位プロセス群別に体系化された LCI 分析の入

力及び出力の例である。単位プロセスは,異なる LCI 分析の入力及び出力に対応したプロセス群を代表し

ている。ここでの影響力の度合は,次に示す。

  A:十分に管理でき,大きな改善が可能

  B:管理ができ,幾らかの改善が可能

  C:管理不可能

附属書表 16  プロセス群別に分類された LCI の入力及び出力に関する影響度合のランク付け

LCI

の入力/出力

電源構成

現場

エネルギー供給

輸送

その他

合計

kg

無煙炭 C  A  B  B

1

725

CO

2

 C A B A

750

NO

x

 C A B C 90

りん酸塩

C B C A 28

AOX C  B

− A  0.61

一般廃棄物

C A C A

172

その他の廃棄物

C C C C

1

750


附属書表 17 は,各入出力の異常及び予測外の結果に関して,単位プロセス群別に体系化して評価した

LCI

結果の例を示している。異常及び予測外の結果は,次の記号で示されている。

  ●:予測外の結果,すなわち,寄与率が高すぎるか,又は低すぎる。

  ♯:異常,すなわち,排出物が発生しないはずなのに排出量がある。

  〇:管理せず。

異常値は,計算又はデータ変換時の誤りであることが多い。したがって,慎重に考慮することが望まし

い。LCI 結果の点検は,結論付ける前に実施することを推奨する。

予測外の結果もまた,再調査の上,点検することが望ましい。

附属書表 17  LCI の入力及び出力の異常及び予想外の結果並びにプロセス群の出力表示

LCI

の入力/出力

電源構成

現場

エネルギー供給

輸送

その他

合計

kg

無煙炭

1

725

CO

2

6

725

NO

x

○ 90

りん酸塩

○ 28

AOX

○ 0.61

一般廃棄物

● 172

その他の廃棄物

1

750

さらに,様々な選択肢をシナリオとして調査することによって,方法論についても考慮することができ

る。例えば,配分規則及びカットオフ基準の選択による影響は,その結果と並行して別の前提条件を付け

た場合の結果を示したり,どの排出物が実際に発生しているかを判断したりすることによって簡単に調べ

られる。

要約すれば,重要な項目の特定は,調査データ,情報及び知見に関して行う以降の評価のための体系化

手法を提供することを目的としている。考慮すべき事項には,特に次の項目を挙げることができる。

−  個々のインベントリデータ区分:排出物,エネルギー,資源,廃棄物など。

−  個々のプロセス,単位プロセス又はその集合体。

−  個々のライフサイクル段階

14.3 

評価要素の事例

14.3.1 

全般的記述  評価要素及び特定化要素は,同時並行して実施する手順である。反復手順では,特定

化要素から得た結果の信頼性と安定性とを判断するため,幾つかの論点と作業とをより詳しく論じる。

14.3.2 

完全性点検  完全性点検は,すべての段階で得られたすべての必要な情報とデータとが用いられ,

解釈に利用できることを確認しようとするものである。さらに,データ欠損を確認し,データ収集を完了

する必要性を評価する。特定化要素は,これらの検討事項にとって貴重な根拠となる。

附属書表 18 は,

完全性点検の例を示すものである。完全性は経験に基づく判断にすぎず,重要な側面を忘れていないこと

を確認するものである。


附属書表 18  完全性点検の概要

単位プロセス

選択肢 A

完全か

必要な活動

選択肢 B

完全か

必要な活動

材料生産 X

分からない

B

と比較 X

分からない

A

と比較

エネルギー供給 X

はい

− X

いいえ

再計算

輸送 X

分からない

インベントリ点検

X

はい

製品製造 X いいえ

インベントリ点検

X

はい

こん(梱)包 X

はい

− Y

いいえ

A

と比較

使用 X

分からない

B

と比較 X はい

循環的利用 X  はい

− X

はい

備考  X:データ入力済み  Y:データ入力なし

附属書表 18 の結果によって,幾つかの作業を行う必要があることが分かる。当初のインベントリの再計

算又は再点検を行う場合には,逆戻りすることが必要である。

例えば,廃棄物の管理方法が知られていない製品に関して,二つの起こり得る選択肢間の比較を実施す

ることがある。この比較は,廃棄物処理段階の綿密な調査を実施するようになるか,若しくは設定した目

的及び調査範囲にとって二つの選択肢間の相違が重大ではないか,又は関連性がないという結論に至る可

能性もある。

この調査の基本は,必要とされるインベントリパラメータ(排出物,エネルギー及び材料資源,廃棄物

などのような)

,必要とされるライフサイクル段階及びプロセスなどを含む点検表を用いることである。

14.3.3 

感度点検  感度分析(感度点検)は,前提条件,手法及びデータの変動が結果に及ぼす影響を判断

しようとするものである。主に,特定した項目のなかで最も重要なものの感度を点検する。感度分析の手

順とは,ある所定の前提条件,手法又はデータを使って得た結果を,変更した前提条件,手法又はデータ

を使って得た結果と比較することである。

感度分析では,一般に,前提条件及びデータをある範囲で,例えば,±25  %変動することによって得ら

れる結果に及ぼす影響を点検する。+25  %と−25  %の両方の結果は,その後比較される。感度は,変化

の百分率,又は結果の絶対偏差で表すことができる。これに基づいて,結果の重大な変化(例えば 10  %

以上)を確認することができる。

また,感度分析の実施は,目的及び調査範囲を設定するときに必要とされるか,若しくは経験又は前提

条件に基づいて調査中に判断される。次に挙げる前提条件,手法又はデータの例では,感度分析が有益と

思われる。

−  配分原則

−  カットオフ基準

−  境界の設定及びシステムの定義

−  データに関する判定及び前提条件

−  データ品質

附属書表 19 及び附属書表 20 は,LCI 分析から得た既存の感度分析結果に基づき,感度点検をどのよう

に実施するかを示したものである。


附属書表 19  配分原則に関する感度点検

原油の需要

選択肢 A

選択肢 B

差異

質量による配分      MJ

1

200

800

400

経済価値による配分  MJ 900

900

0

偏差                MJ

−300

+100 400

偏差                 %

−25

+12.5

重大

感度                 %

25

12.5

附属書表 20  データの不確実性に関する感度点検

原油の需要

材料生産

製品製造

循環的利用

合計

基本ケース          MJ

200 350 250 800

前提条件変更ケース  MJ

200 350 150 700

偏差                MJ 0

0

−100

−100

偏差                 %

0

0

−40

−12.5

感度                 %

0

0

40

12.5

附属書表 19 から導かれる結論は,配分は重大な影響を及ぼすということ,また,感度に違いはあるもの

の,配分方法に明確な根拠がない状況では,選択肢 A と選択肢 B との間に実質的な差はないともいえる。

附属書表 20 から導かれる結論は,予測される不確実性の範囲での前提条件(入力データ)の変更によっ

て結果に重大な変化が生じているということ,また,その変動が結果を変えるということである。ここで

の不確実性が重大な影響を及ぼす場合は,新たにデータ収集することが指摘される。

感度点検から導かれる結論は,重大な変化が生じ,前提条件の変更が結論を変化させる,又は結論を逆

にすることさえあるということ,更に,選択肢 A と選択肢 B との差は,当初予想したより小さいというこ

とである。

14.3.4 

整合性点検  整合性点検は,前提条件,手法,モデル及びデータが,製品のライフサイクルに沿っ

て,又は幾つかの選択肢の間で終始一貫しているか否かを判断しようとするものである。不整合の例とし

ては,次のものが挙げられる。

−  データの出典の差異。例えば,選択肢 A が文献値であるのに対して,選択肢 B が一次データであ

る場合。

−  データの精度の差異。例えば,選択肢 A が非常に詳細なプロセスツリーを備え,プロセスの記述

が入手可能であるのに対して,選択肢 B が集約された一つのブラックボックスシステムとして記

述されている場合。

−  技術範囲の差異。例えば,選択肢 A のデータが実験的なプロセス(例えば,パイロットプラント

レベルの高いプロセス効率をもつ新しい触媒)に基づいているのに対し,選択肢 B のデータは既

存の量産技術に基づいている場合。

−  時間に関連する範囲の差異。例えば,選択肢 A のデータが最近開発された技術を説明しているの

に対し,選択肢 B が最近建設された工場と旧式の工場の両方を含む技術構成によって説明されて

いる場合。

−  データ年齢の差異。例えば,選択肢 A のデータが 5 年前の一次データであるのに対し,選択肢 B

が最近 1 年以内に収集されたデータである場合。

−  地理的範囲の差異。例えば,選択肢 A のデータが代表的な欧州の技術構成であるのに対し,選択

肢 B は,高レベルの環境保護方針をもつ欧州連合加盟国の代表値又は単一の工場データを説明し


ている。

これらの不整合の幾つかは,設定した目的及び調査範囲に従って受け入れることが許容される。それ以

外のすべての場合,重大な相違点が存在しているため,結論を出し提言を行う前に,これらの妥当性と影

響を考慮する必要がある。

附属書表 21 は,LCI 調査で行う整合性点検の結果の一例を示したものである。

附属書表 21  整合性点検の結果

検証

選択肢 A

選択肢 B A と B とを比較

処置

データの出典

文献

よし

一次

よし

整合

特になし

データの精度

良好

よし

劣る

目的及び調査範囲
が満たされない

不整合

B

を再度調べる

データ年齢

2

よし

3

よし

整合

特になし

適用した技術範囲

現状

よし

パイロット

プラント

よし

不整合

調査目標のため

処置なし

時間に関連する範囲

最近

よし

実際

よし

整合

特になし

地理的範囲

日本

よし

米国

よし

整合

特になし

関連規格  ISO/TR Q 14049:2000  Environmental management ― Life cycle assessment ― Examples of

application of ISO 14041 to goal and scope definition and inventory analysis