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Z 6016:2015  

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 管理規程························································································································· 3 

4.1 一般 ···························································································································· 3 

4.2 組織の状況及び電子化プロセス実現の背景 ·········································································· 3 

4.3 リーダシップ ················································································································ 3 

4.4 組織の役割及び運用 ······································································································· 3 

4.5 計画 ···························································································································· 4 

4.6 支援 ···························································································································· 4 

4.7 オペレーション ············································································································· 5 

5 電子化プロセス ················································································································ 5 

5.1 電子化の流れ ················································································································ 5 

5.2 電子化のための準備 ······································································································· 6 

5.3 スキャニング ················································································································ 7 

5.4 索引の入力 ··················································································································· 7 

5.5 検証 ···························································································································· 7 

5.6 電子署名及びタイムスタンプの付与··················································································· 9 

5.7 登録 ···························································································································· 9 

5.8 電子化文書の活用 ·········································································································· 9 

5.9 長期保存及び媒体移行 ···································································································· 9 

5.10 文書の廃棄 ·················································································································· 9 

6 監査及び評価 ··················································································································· 9 

7 維持及び改善 ·················································································································· 10 

7.1 是正措置 ····················································································································· 10 

7.2 継続的改善 ·················································································································· 10 

附属書A(規定)電子化文書の仕様及び装置の設定 ··································································· 11 

附属書B(規定)スキャナの画像品質を確認するための検査項目及び検査方法 ································ 13 

附属書C(規定)電子化文書のセキュリティ対策 ······································································ 15 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本

文書情報マネジメント協会(JIIMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して

日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した

日本工業規格である。これによって,JIS Z 6016:2008は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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紙文書及びマイクロフィルム文書の電子化プロセス 

Electronic imaging process of paper documents and  

microfilmed documents 

適用範囲 

この規格は,紙文書及びマイクロフィルム文書のライフサイクルにおける電子化,保管,活用,廃棄,

品質管理,セキュリティ対策など一連の電子化プロセスについて規定する。 

この規格は,色の識別が重要な構成要素となっている文書には適用しない。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS X 9205 電子製版画像データ交換用タグ付きファイルフォーマット(TIFF/IT) 

JIS Z 6015 エレクトロニックイメージング用語 

JIS Z 6017 電子化文書の長期保存方法 

ISO 12653-3,Electronic imaging−Test target for scanning of office documents−Part 3: Test target for use in 

lower resolution applications 

ISO 19005-1,Document management−Electronic document file format for long-term preservation−Part 1: 

Use of PDF 1.4 (PDF/A-1) 

ISO 19005-2,Document management−Electronic document file format for long-term preservation−Part 2: 

Use of ISO 32000-1 (PDF/A-2) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 6015によるほか,次による。 

3.1 

紙文書 

紙に記録した文書。 

3.2 

マイクロフィルム文書 

マイクロフィルムに記録した文書。 

3.3 

電子化文書 

紙文書又はマイクロフィルム文書を,電子画像(ビットマップ)化した文書。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.4 

電子化 

紙文書又はマイクロフィルム文書を,スキャナなどを用いて電子画像(ビットマップ)化すること,又

はその一連のプロセス。 

3.5 

スキャニング 

紙文書又はマイクロフィルム文書を,スキャナなどを用いて読み取り,電子化する作業。 

3.6 

検証 

電子化文書が確実に電子化され,仕様を満たしていることの確認。 

3.7 

登録票 

電子化する文書の索引を記録したもの。 

3.8 

格納 

電子化文書又は電子文書を,磁気ディスクなどの電磁的記録媒体に書き込む操作。 

3.9 

共用サーバ 

電子化文書又は電子文書を格納する装置において,ネットワーク上で共用して使う仕組みを提供するサ

ーバ。 

3.10 

登録 

電子化文書又は電子文書が,検証を経て組織で指定された者によって確認され,定められた管理台帳に

記録する操作。 

3.11 

管理台帳 

電子化文書の文書名,登録日,媒体保管場所などの管理項目を記載した台帳。 

3.12 

索引 

ファイル,文書,コレクションなどの内容の位置を示すキーワード,参照情報などのリスト。 

3.13 

画像補正 

電子化文書の画像品質を維持向上するために行う,階調補正及びエッジ強調などの画質改善。 

3.14 

電子署名 

紙文書における従来の手書きによる署名及び押印に代わるもので,電子化文書及び電子文書の改ざん検

知を可能にし,誰が作成した文書であるかを証明するもの。 

3.15 

タイムスタンプ 

電子化文書及び電子文書がいつから存在し,その時点から第三者だけでなく作成者本人にも改ざんされ

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ていないことを証明する技術。 

3.16 

活用 

管理規程による電子化文書の利用。 

3.17 

媒体移行 

電子化文書の原本性を保証しながら,別の記録媒体にファイル形式を変更することなく移し替える操作。 

管理規程 

4.1 

一般 

管理規程は,電子化プロセスのマネジメントシステムを構成する中核となる。したがって,マネジメン

トシステムの観点から電子化プロセス管理規程は,4.2〜4.7によって構成する。 

4.2 

組織の状況及び電子化プロセス実現の背景 

組織は,組織の目的に関連し,かつ,その電子化プロセスの意図した成果を達成する組織に与える外部

及び内部の課題を明確にしなくてはならない。その手順は,次による。 

a) 電子化プロセスを導入する背景,組織の状況などを整理し,目的を明確にする。 

電子化に対する組織目標をもたなければならない。対象とする文書が,法律などによってスキャニ

ング精度,運用の仕組みなど要件が示されている場合には,それらによる。 

b) 対象とする文書の社会的価値,業務価値,法的な価値を明確にする。 

対象となる文書は,業務の一連の記録である。その記録をエビデンスと呼ぶ。業務処理に基づいて,

作成されることから業務が正当に実施されたことをエビデンスとなる文書で説明できることになる。 

c) a) 及びb) と,現在の状況との差異を課題とする。 

4.3 

リーダシップ 

トップマネジメントは,次によって,その電子化プロセスに関するリーダシップ及びコミットメントを

実証しなくてはならない。 

a) 業務の目的,電子化方針などを上位組織,ステークホルダの要求に基づいて定めている。 

b) 電子化プロセスに関わる業務について,全体が規定されている。 

規定の中では,業務の方針,管理,担当などのそれぞれの作業の割り当てを決めている。 

作業内容を記録し,作業に誤謬,改善のポイントがあれば規定を改定し,作業を改善している。 

c) 電子化プロセスに関するセキュリティポリシをもっている。 

要件は,文書分類ごとに定める文書の性質(個人データを含む,企業機密を含むなど)の観点から

分類し,取扱いの方針を定めている。 

文書ごとに定義を割り当てている。定めた要件を文書分類ごとに適用し,取扱方法を定めている。 

− 組織の上位マネジメントから承認されている。また,文書化されている。 

− 監査などを経てリスクを評価して見直しをしている。 

4.4 

組織の役割及び運用 

トップマネジメントは,次の項目によって,電子化プロセスに関連する役割を定め,その役割に対して,

責任及び権限を割り当て,組織内に伝達する。 

a) 電子化プロセスでの組織の役割,運用を定める。 

b) 組織内の指示系統を明らかにし,電子化プロセスに関わる人の役割を明らかにする。 

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c) 法令に基づいて,ビジネスの一部として電子化プロセスの組織を構成する。 

4.5 

計画 

電子化プロセスの作業実施などの計画を策定するとき,4.2に掲げる課題及び4.3に規定する要求事項を

考慮し,意図した成果を達成できることを確実にする。また,望ましくない影響を防止及び低減するよう

に計画する。さらに,課題が明確化した際には,継続的に改善を実施する。具体的には,次による。 

a) 組織目標に従って,電子化プロセスでのリスク(間違い,不正操作など)を洗い出しておく。 

b) 電子化プロセスの対象とする文書及び書面を明らかにしておく。 

c) 対象とする文書,書面の品質条件などを明らかにし,条件(目標)などに伴って,作業などを監視し,

継続的改善を実施する。 

4.6 

支援 

組織は,電子化プロセスを確立し,実施及び維持していくために必要となる資源(組織,人員,機材な

ど)を決定し,提供する。 

なお,電子化プロセスの確立のためには,次の項目を考慮する。 

a) 電子化プロセスに関わる適格な人員,機材を導入する。 

− 電子化プロセスに関連する人員に必要な力量を決定する。 

− 適切な教育,訓練に基づいて,それらの人々が力量を備えていることを確実にする。 

− 必要な力量を身につけるための処置をとり,とった処置の有効性を評価する。 

− 力量の証拠として文書化した情報を保持する。 

− 電子化プロセスに関連する機材などの品質基準を決定する。 

− 関連する機材を使用する際に該当の品質基準を満たしていることを確実にする。 

− 品質基準を満たしていることを確認した証拠として文書化した情報を保持する。 

b) 電子化プロセスの品質基準を定めておく。品質基準作成の場合は,次の項目を考慮する。 

− 品質基準は,法に基づいた基準を適用する。基準がない場合には,文書の重要度などから判断し,

品質確認の方法(プロセス)及び品質基準(精度,色など)を選択する。 

− 機器は,関連した品質基準,プロセスを維持できる仕組みを選択する。 

− 電子化作業には,スキャニング担当者が,データの偽造がないことを確認する作業など確認のプロ

セスを設ける。 

− スキャニングする文書が複写物(フォトコピーなど)である場合は,オリジナル文書と同一である

ことを保証する手段を提供する。 

− 規定された文書ファイル形式を利用する。 

− 適時に新しい情報を取り入れて法的な要件,技術要件を維持するようにする。 

− 業務品質を維持するための監査者及び監査基準を規定する。 

c) 文書管理業務の管理規程を作成し,作業管理を明文化する。管理規程を作成する場合は,次の項目を

考慮する。 

− 組織構造(電子化業務を実施する場合の組織構造を定める。) 

− 文書の生成及び受取(対象とする文書の生成方法,受取方法) 

− 文書の保存及び処分(対象とする文書の保存方法,最終的な破棄,廃棄方法) 

− 文書の利用に関する情報(文書の利用目的,利用期間,利用者など属性の構造など) 

− 文書の保存に関する情報(文書の保存期間,法律で定められた保存期間以外にも組織的に規定する

場合もある。) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 文書の重要度などに関する情報(該当の文書の,組織活動にとっての重要度,リスク観点からの重

要度などを定める。) 

− 文書の品質に関する情報(スキャニングされた文書又は電子化文書の見読性の基準) 

文書に関する情報(属性)を整理し設定することは,検索など文書を利用することを容易にしたり,

保存期間中に文書を整理することを容易にする。属性には,文書の内容を示す情報,文書の品質,作

成の由来などを示す情報,文書の保存状態を示す情報などがある。電子化などの際の電子化文書の属

性を,管理台帳などに反映し保存する場合には,属性情報を活用する。 

これら管理台帳に記載された情報は,索引として利用する。JIS Z 6017では管理台帳の項目をダブ

リンコアの基本要素に従って作成している。そのため,電子化される前の文書の作成時にダブリンコ

アの基本要素に従い索引付けすることは,電子化プロセスでの管理台帳の作成を自動化するうえで有

効な方法となる。 

d) 作業内容をマニュアル化し,明文化する。作業工程の組立及びマニュアルを作成する場合は,次の項

目を考慮する。 

1) 作業工程の組立は,次による。 

− 電子化プロセスが設計されており文書化されている。 

− 作業の手続きは,組織のコントロール下でなければならない。 

− 手続きを遵守することができるように,日々の作業についてトレーニングする。 

2) 作業マニュアルは,次による。 

− 作業マニュアルには,電子化プロセスの詳細を表す。 

− いろいろな文書の種類に基づく手続きの全てを作業マニュアルに記載する。 

− 作業マニュアルは文書化されており,全ての利用者から参照できるようにする。 

− 作業マニュアルは,最新の状態を維持し,作業者が作業内容を理解しているように維持する。 

− 作業マニュアルは適切な時期に見直しするようにしなければならない。見直しの結果は,上位組

織などによって,レビューされ,承認されていなければならない。 

3) 品質基準は,次による。 

− 精度(密度,色など)の取扱方法(文書の重要度によって精度を選択することなど),スキャニン

グするデータを品質確認する精度,方法などをマニュアルに記載しておく。 

− 作業した結果などが検証できるよう作業台帳などに作業内容,品質検証結果などを記載しておく。 

4.7 

オペレーション 

日常の業務オペレーションは,次による。 

a) 詳細のオペレーション組立方法は,箇条5に示す。 

b) 作業マニュアルの作成,更新などの記録を取得する。 

c) 作業者が作業マニュアルに基づいて,作業したことを記録する。 

d) システムの動作証跡を取得する。システムの監査証跡の全データに対して,関与するプロセス,イベ

ントの日付及び時刻がそれぞれ何であるかを認識できる。 

電子化プロセス 

5.1 

電子化の流れ 

標準的な電子化プロセスは,次の手順に従う。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

 電子化プロセス管理規程の作成(箇条4) 

     ↓ 

 電子化のための準備(5.2) 

     ↓ 

 スキャニング(5.3) 

     ↓ 

 索引の入力(5.4) 

     ↓ 

 検証(5.5) 

     ↓ 

 電子署名及びタイムスタンプの付与(5.6) 

     ↓ 

 登録(5.7) 

     ↓ 

 電子化文書の活用(5.8) 

     ↓ 

 長期保存及び媒体移行(5.9) 

     ↓ 

 文書の廃棄(5.10) 

5.2 

電子化のための準備 

5.2.1 

スキャニング作業前の準備及び点検 

5.2.1.1 

文書に対する準備 

文書のスキャニングを行う場合は,その前に次の準備を行う。 

a) スキャニング作業をスムーズに進めるために,作業開始前に,スキャニングする文書にクリップ,ス

テープル,付箋紙,紙折れ,しわ,汚れ,紙粉の付着などがないことを確認する。 

b) 白黒文書とカラー文書とが混在しているか,かつ,カラーでスキャニングする場合は,作業効率を高

めるため全体の文書量及び混在頻度を事前に確認し,白黒文書とカラー文書とを分けてスキャニング

してもよい。 

c) 文書が汚損,破損しているなど,文書の保存状態又は形状に応じる処置について,その要否を確認し,

必要であれば複製することが望ましい。 

5.2.1.2 

入出力装置などに対する点検 

入出力装置などに対する点検は,次による。 

a) スキャナの読取り部及び自動文書送込み装置の給紙・搬送部に紙粉などのごみ及び汚れがないことを

確認する。 

b) 文書管理システムにとっての適正を確認した上で,文書を電子化し,ファイルを作成する。 

なお,文書管理システムにおける適正を確認するための文書の電子化仕様は,附属書Aによる。 

画像品質,文字の可読性,入力作業効率,活用時の伝送効率,操作性能などに問題があれば,解像

度,階調,ファイル形式及び圧縮を再検討し,適正な値を決定する。 

c) スキャニングに際して,自動文書送込み装置の妥当性を判断する際,ISO 12653-3の試験標板を利用

し,検査項目を満たしていることを確認することが望ましい。 

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5.3 

スキャニング 

5.3.1 

電子化する文書及びそのスキャニング方法 

電子化する文書及びそのスキャニング方法は,次による。 

a) 紙文書の場合 紙文書には,白と黒とだけで表現する白黒文書と,様々な色で表現されているカラー

文書とがあり,紙文書は,一般にスキャナを用いてスキャニングを行う。 

b) マイクロフィルム文書の場合 マイクロフィルム文書は,一般にマイクロフィルムスキャナを用いて

スキャニングを行う。また,一度紙に出力後,スキャナでスキャニングを行ってもよい。 

5.3.2 

紙文書などの電子化文書へのスキャニング 

紙文書などを電子化文書としてスキャニングして共用サーバ又は電磁的記録媒体に格納する方式は,次

のいずれかによる。 

なお,電子化文書に変換するとき,それらの文書の入力準備作業は,5.2による。 

a) 手作業によるスキャニング方式 紙文書などを電子化文書に手作業でスキャニングする場合は,スキ

ャナを利用して紙文書をパソコンなどに電子化文書として取り込んだ後,文書名,共用サーバ,電磁

的記録媒体の登録先のフォルダ名などをオペレータが入力し,電子化文書として共用サーバ又は電磁

的記録媒体に格納する。 

b) 自動変換方式 紙文書などを電子化文書に自動変換する場合は,次による。 

1) 事前準備 システムの導入時にシステム運用管理者が,スキャニングをする紙文書の種類によって

文書管理データベース又は共用サーバのフォルダ名との関連を決める。 

2) 自動変換 登録票,スキャニングをする紙文書などをセットにしてスキャニングし,ネットワーク

に接続された共用サーバ又は記録媒体に自動的に格納する。 

5.4 

索引の入力 

5.4.1 

索引の項目 

箇条4の管理規程で定めた項目を入力するが,次の索引項目は必須である。 

− 作業日時 

− 作業者 

− 監督者 

− ページ数(適切なスキャニングが行われたことを証明するため) 

− キーワード 

5.4.2 

入力の方法 

索引の入力には,次に示す3通りの方法があり,利用する目的に応じていずれかを選択する。 

a) 索引及び文書の入力を同時に行う方法 この方法は,登録票及び仕切紙を使用する方法で,大量入力

に適する。また,登録票にあるキーワードなどをOCRで読み取り,自動登録すると効率がよい。 

b) 索引の入力を先行する方法 あらかじめ文書の分類を行い,ファイルのタイトルとして入力し,後で

該当するファイルに電子化文書を格納する方法である。この方法は,帳票類及び定型文書に適する。 

c) 文書の入力を先行する方法 文書の入力を先行し,後から格納された文書を見ながら索引を付けてい

く方法である。 

5.5 

検証 

5.5.1 

一般 

電子化文書は,共用サーバ又は記録媒体の電子化文書を開いて一時保管用フォルダの中に格納した文書

が存在しているかを確認することで,入力した文書が確実にスキャニングされたかを調べなければならな

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い。 

このとき,スキャニングされた元の文書,電子化文書の索引単位の総ページ数,索引などの検索性に加

え,スキャニングによって得られた画像のずれ,画像の鮮明さなどの視認性も確認する(5.5.2を参照)。

問題があった場合は,5.5.5を参考に再格納する。 

5.5.2 

電子化文書の画像品質検査方法 

白黒変換及びカラー変換した電子化文書の主な検査項目及び検査は,次による。 

なお,必要に応じて検査項目を省略してもよい。 

また,スキャナの性能が電子化文書の画像品質に影響を及ぼすおそれがあるため,スキャナの性能検査

を適宜行う。スキャナの画像品質を確認するための検査項目及び検査方法は,附属書Bによる。 

a) 画像欠損 画像の周辺部をスキャニングされた元の文書と比較し,周辺部の画像欠損,余分な枠など

がないことを確認する。 

b) 傾き 画像をスキャニングされた元の文書と比較し,傾きが許容内であることを確認する。 

c) 濃度 下地かぶり又は裏写りがなく適正な濃度であるか,文字につぶれ及びかすれがなく判読可能で

あることなどを確認する。 

d) ごみ及びしわ 画像全面にわたり,ごみ又はしわがあることによって文字,記号及び画線が読み取れ

なかったり,見誤ったりすることがないことを確認する。 

e) すじ スキャニングされた元の文書の濃度の高い部分と画像とを比較し,白すじのないことを確認す

る。また,スキャニングされた元の文書の余白部と画像とを比較し,黒いすじなどのすじのないこと

を確認する。 

f) 

色再現性 スキャニングされる文書の中から色再現が問題になると思われる文書を選び,B.2 k) と同

様の色再現性が許容内であることを確認する。 

g) カラー線の色のずれ スキャニングされる文書の中からカラー線の色のずれが問題になると思われる

文書を選び,B.2 l) と同様の色のずれが許容内であることを確認する。 

h) モアレ 規則正しい細かい模様部分に,周期的なしま(縞)状のパターン(モアレ)がないこと,又

はそのレベルが許容内であることを確認する。 

5.5.3 

検査記録の保管 

5.5.2で行った画像品質の検査記録は,保管しなければならない。 

検査記録の管理は,所定の管理規程で定められたやり方に従い,検査記録としての紙保存は任意とする。 

5.5.4 

索引の検査など 

電子化文書が登録票に従って正しく格納されているかの検査は,必要に応じて全数検査又は少なくとも

次に示す抜取検査をあらかじめ定めた方法で行うのがよい。 

抜取検査を行う場合には,全検査対象に対して適切な数をランダムに抜き取り,正しく入力されている

ことを確認する。誤りがあれば,その誤りを訂正し,再度,同様な抜取検査を行う。 

5.5.5 

電子化文書の再電子化 

最初にスキャニングされた電子化文書について,可読性の観点又は他の要因において不適合であれば,

再度,スキャニングの必要がある。また,文書の再スキャニングの手順を文章化することが望ましい。 

なお,再スキャニングに伴い,最初にスキャニングされた電子化文書が差し替わっていること,バッチ

番号付与及び監査証跡手順に影響を及ぼさないように注意を要する。 

さらに,電子化文書を差し替えた場合には,差し替えるときに実施したことを記録に残すことが望まし

い。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.5.6 

電子化文書の画像補正 

画像品質を維持向上するために,階調補正及びエッジ強調などの画像補正を行った場合,それらを手順

書に記述することが望ましい。 

5.6 

電子署名及びタイムスタンプの付与 

法令又は文書管理規程によって,電子署名又はタイムスタンプの付与が義務付けられている文書につい

ては,電子署名及びタイムスタンプを付与し,改ざんの検知を可能とする。電子署名及びタイムスタンプ

は,付与のためのソフトウェアを文書管理サーバなどに組み込み,検証済みの文書に対して文書管理規程

に従い,速やかに付与を行う。 

なお,電子署名の署名者は,文書の検証者又はその者を直接監督する者とする。 

5.7 

登録 

検証がなされ,必要に応じて電子署名及びタイムスタンプが付与された電子化文書は,パソコン,サー

バなどに作成された適切なフォルダへ登録する。 

5.8 

電子化文書の活用 

電子化文書の利用方法又は検索方法については,文書管理規程に定め,統一的な運用をする。また,電

子化文書システムの一般的なセキュリティ対策については,附属書Cによる。 

5.9 

長期保存及び媒体移行 

長期保存及び媒体移行については,JIS Z 6017による。 

5.10 文書の廃棄 

文書管理規程による保存期間を満了した文書が記録されている紙,マイクロフィルム及び電磁的記録媒

体は,その管理責任者の決裁を受けた後,文書管理規程に従って取り扱う。 

スキャニングを実施した後,文書管理規程に応じて,紙,マイクロフィルム及び電磁的記録媒体を廃棄

してもよい。ただし,廃棄する場合,紙,マイクロフィルム及び電磁的記録媒体,環境保全及びリサイク

ルを考慮し,その時点で適用される国及び地方自治体の法令などを遵守しなければならない。 

また,記録情報の守秘が必要なものに対する廃棄処理については,処理業者との機密保持契約の締結,

処分時の立会いなどの措置が望ましい。 

監査及び評価 

電子化プロセスの監査及び評価を実施する。監査及び評価は,次による。 

a) 電子化プロセスを実施している組織は,次の事項によって,電子化プロセスの監査及び評価を実施す

る。 

− 品質基準等に基づいた作業が実施できているか否かを示す,作業の記録などを採取する。また,評

価の対象となる期間,対象のプロセスを特定する。 

− 監視及び評価を実施する。 

− 監視及び評価の分析の期間。 

b) 電子化プロセスの実施組織は,評価に基づき,電子化プロセスが有効であるか否かの情報をトップマ

ネジメントに提供する。 

− 前回までの監査結果に対して反映ができているか否か,報告内容に取り込まなければならない。 

− 各監査について,監査基準を明確にしなければならない。 

− 監査プロセスの客観性及び公平性を確保するために,監査員を選定し,監査を実施する。 

− 監査の結果を関連する管理層に報告することを確実にする。 

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Z 6016:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 監査プログラムの実施及び監査結果の証拠として,文書化した情報を保持する。 

維持及び改善 

7.1 

是正措置 

不適合な状態が発生した場合には,組織は次の事項を行わなければならない。 

a) その不適合に対処し,必ず次の事項を行う。 

− その不適合を管理し,修正するための処置を取る。 

− その不適合によって起こった結果に対処する。 

b) その不適合が再発したり,他のところで発生したりしないようにするため,次の事項によってその不

適合の原因を除去するための処置を実施するか否かを評価する。 

− その不適合をレビューする。 

− その不適合の原因を明確にする。 

− 類似の不適合の有無,又は,それが発生する可能性を明確にする。 

c) 必要な処置を取る。 

d) とった処置の有効性を評価する。 

e) 必要な場合には,電子化プロセスを変更する。 

組織は,これらの処置の証拠として,不適合の内容及び処置の結果を文書化して保持しなければならな

い。 

7.2 

継続的改善 

組織は,電子化プロセスの適切性,妥当性及び有効性を継続的に改善しなければならない。 

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Z 6016:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(規定) 

電子化文書の仕様及び装置の設定 

A.1 電子化文書の仕様 

A.1.1 一般 

この附属書は,文書を電子化する場合の仕様について規定する。ただし,対象文書が省令などで規定さ

れている場合は,それに従う。 

A.1.2 スキャニング時の解像度 

一般文書のスキャニング時の解像度は,200ドット/25.4 mm(200 dpi),精細な復元を要求する文書のス

キャニング時の解像度は,300ドット/25.4 mm(300 dpi)又は400ドット/25.4 mm(400 dpi)とするのがよ

い。ただし,中間調をもつ場合は,150ドット/25.4 mm(150 dpi)を用いてもよい。 

電子化文書の解像度は高い方が精細な画像が得られるが,一般的にスキャニングスピードが低下し,フ

ァイル容量が大きくなるため,文書の利用目的及び用途,原稿の文字の大きさなどで最適な解像度を決定

する。 

特に,カラー変換は,白黒変換に比べてファイル容量が大きくなるので,過度に電子化文書の解像度を

高くすることは注意を要する。カラー変換した電子化文書では,白黒変換した電子化文書に比べて解像度

が同等であっても内容の把握ができる場合もある。この場合,実際に電子化する文書を規定した解像度で

スキャニングし,内容の把握ができるかどうかを確認し,最適な解像度を決めるのがよい。 

マイクロフィルム文書(白黒文書)の場合は,元の原稿の大きさにしたときの解像度が,上記の紙文書

の解像度と同じ値となるようにする。 

注記 フィルム上のスキャン解像度は,設定解像度×Mとなる(Mは,撮影の縮小率1:Mのときの

値)。 

A.1.3 スキャニング時の階調 

スキャニング時の階調は,次による。 

a) 白黒変換 中間調を必要としない一般文書の場合は,2階調(白及び黒の2値)でよい。 

中間調を必要とする文書の場合は,多階調(多値)とするのがよい。例えば,写真を含む文書の場

合は,64階調(6ビット/ピクセル。写真モードともいう。)以上とするのがよい。 

b) カラー変換 カラー再現を必要とする文書の場合は,R(赤色),G(緑色)及びB(青色)の各色256

階調(24ビット/ピクセル)を使用するのがよい。 

A.1.4 スキャニング時のファイル形式及び圧縮 

スキャニング時のファイル形式及び圧縮は,次による。 

a) ファイル形式 文書を電子化文書にスキャニングする場合のファイル形式は,紙文書及びマイクロフ

ィルム文書の入力時の画像状態を忠実に保存し,長期保管後も支障なく復元が可能で,公開され広く

活用されているファイル形式を選択することが望ましい。文書の利用目的に応じて,ファイル形式は

TIFF/IT(JIS X 9205)又はPDF(ISO 19005-1及びISO 19005-2など)とするのが望ましい。 

b) 圧縮 画像データのファイル容量を小さくするために,データを圧縮する場合が多い。非可逆圧縮の

場合,圧縮を強く適用し,ファイル容量を小さくすると,文字の再現性は劣化するため,電子化した

画像を復元して,対象とする文字の可読性を確認して適用する。 

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Z 6016:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

また,圧縮方式は,公開され広く活用されている方式を選択する。 

A.2 試験標板などの記録 

電子化文書の品質を証明するため,ISO 12653-3に規定した標板を同一の電磁的記録媒体上の電子化文

書とともにその始め又は終わりの適切なところに記録するのがよい。 

電子化文書ごとに記録する必要がない場合は,電子化文書が含まれるフォルダ又は同一の電磁的記録媒

体に関連付けてその始め又は終わりの適切なところに記録してもよい。 

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Z 6016:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(規定) 

スキャナの画像品質を確認するための検査項目及び検査方法 

B.1 電子化文書の画像品質検査 

B.1.1 画像品質検査方法 

電子化した文書の画像の品質検査は,B.1.2及びB.1.3による。画像品質の判定基準は,B.2の検査項目

ごとに使用者があらかじめ設定する。 

B.1.2 使用する試験標板 

スキャナの性能を確認するための画像の品質検査は,ISO 12653-3に規定されたデジタル用試験標板を

用いて行う。 

B.1.3 スキャナの性能検査 

B.1.2に規定する試験標板を用いて,スキャナ(システムを含む。)が画像品質を満足することを,次の

項目に従い確認する。検査するときの条件は,製造業者の指定条件を尊重する。 

a) 使用する機器の設定 全ての機器(ドライバ用ソフトウェアなど含む。)を実際に変換するモードと等

しく設定する。 

b) 試験標板のスキャニング 各試験標板に汚れなどがないことを確認し,スキャナの位置及び傾きに留

意して試験標板を設置し,画像データを読み取る。自動文書送込み装置があるスキャナの場合には,

画像位置のずれも確認する。 

c) 保存 あらかじめ決められたファイル形式及び圧縮方式で記録媒体に保存する。 

d) 画像品質の検査方法 画像データを表示装置に表示させ又は紙に出力し,検査する。 

検査項目は,B.2による。 

この場合,画像は,電子化した文書とほぼ等倍の大きさに出力して検査するのがよい。また,変換する

文書の中から,画像品質のレベルの異なる文書を選択し,使用するスキャナ(各種設定条件を含む。)でス

キャニングを行い,画像品質,変換速度,データ容量などがシステム全体で適切であるかを確認する。 

また,スキャナが初期性能を維持していることを定期的に確認する。 

B.2 画像品質検査項目 

スキャナ(システムを含む。)の選定時,及びその性能維持の確認を行うための検査項目は,次による。 

判定基準は,その目的に応じて設定し,その基準を満足していることを測定及び目視によって確認する。

また,スキャナの性能を考慮し,時間が経過しても変化しないものであれば省略してよい。 

使用する試験標板は,B.1.2に規定の標板を推奨する。ただし,検査項目に記載された内容が確認できる

標板であれば,それを用いてもよい。 

a) 解像力 B.1.2に規定するデジタル用試験標板の解像力試験図票,ISO No.1試験図票,漢字図票,英

数字図票及び線幅再現図票を用いて解像の限界及びそれぞれの可読性限界を検査する。 

また,放射線図票を用いてあらゆる方向の解像の限界を検査する。 

b) 階調性 B.1.2に規定するデジタル用試験標板の網点階調図票,及び濃淡階調図票を用いて,階調の再

現性を検査する。 

なお,文書の性質上,改ざん痕の発見が必要な用途においては,次のような設定を目安に検査する。 

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Z 6016:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− RGB各色8ビット(256 階調),かつ,200ドット/25.4 mm(200 dpi)以上で読み取りを行う。また,

過度の画像補正は適用しない。 

c) 圧縮 圧縮処理後の画像でも,解像力及び階調性が損なわれていないことを検査する。 

d) 画像欠損 B.1.2に規定するデジタル用試験標板の三角図票を用いて画像の有効範囲及び位置ずれを

検査し,外枠升目図票を用いて画像欠損量を検査する。 

e) 傾き B.1.2に規定するデジタル用試験標板の外枠升目図票及び三角図票を用いて,画像を取り込める

領域及び傾きを検査する。 

f) 

濃度むら B.1.2に規定するデジタル用試験標板のカラー網点階調図票を用いて,全体の濃度の均一性

を検査する。 

g) 幾何学的ひずみ B.1.2に規定するデジタル用試験標板の対角線図票を用いて,ゆがみ及びひし形状を

検査する。また,対角線図票を用いて走査の安定性を検査する。 

h) 同期性 B.1.2に規定するデジタル用試験標板の同期性図票を用いて,走査の同期性を検査する。 

i) 再現性 B.1.2に規定するデジタル用試験標板の線幅再現図票を用いて,細線の再現の限界を検査する。 

j) 

すじ B.1.2に規定するデジタル用試験標板の黒帯図票を用いて,黒帯の中の白いすじの有無を検査す

る。また,B.1.2に規定するデジタル用試験標板に存在しない黒いすじなどのすじのないことを検査す

る。 

k) 色再現性などの検査 B.1.2に規定するデジタル用試験標板を用いて,色再現性,解像度,階調性,文

字識別及び文字の再現度を検査する。 

l) 

カラー線における色のずれなどの検査 B.1.2に規定するデジタル用試験標板を用いて,複写できる最

大サイズ(フレーム領域の最内部四角枠),四つのグレースケールの同等性及びカラー線の色のずれを

検査する。 

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Z 6016:2015  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(規定) 

電子化文書のセキュリティ対策 

C.1 一般 

この附属書は,紙文書及びマイクロフィルム文書の電子化文書へのスキャニングの作業中,及びスキャ

ニング後の電子化文書の活用段階におけるセキュリティ対策について規定する。 

電子化文書システムが全組織的な情報処理システムに組み込まれる場合は,全組織のセキュリティ対策

が優先する。 

C.2 電子化文書のリスク管理 

電子化文書システムを運用するに当たっては,日常使う機器のトラブル及び災害に備え,次の対策を行

ことが望ましい。 

a) 日常のバックアップ 定められた管理規程に従い,システム運用管理者を設け,日々登録された文書

について,遅くとも当日中に別の記録媒体にバックアップファイルを作成することが望ましい。 

スタンドアロン方式で紙文書を登録している場合は,紙文書の登録者が責任をもって電子化文書の

バックアップファイルを作成する。 

b) 保存用バックアップ 日常のバックアップのほかに,使用機器の重大な故障及び災害に備え,光ディ

スク系記録媒体などでバックアップファイルを作成する。このバックアップファイルは,地震などの

災害がおよぶ危険性の少ない場所に保存する。 

C.3 電子化文書のセキュリティ対策 

電子化文書システムを運用するに当たっては,文書の機密性を保ち,改ざん,漏えいなどが起こらない

ように,次の対策を行うことが望ましい。 

a) アクセス管理 参照権限,更新権限などのアクセス管理は,次による。 

1) 参照権限の設定 格納及び登録した電子化文書に対して,参照可能な人又はグループ単位で参照権

限の設定を行う。 

2) 更新権限の限定 運用管理責任者を除いて,更新権限を与えない。 

3) アクセスログの取得及び保存 電子化文書のログ(保存,参照,更新,廃棄,日時,氏名など)を

記録し保存する。 

b) ネット上の外部侵入者対策 外部からの不正アクセスに備え,運用システムにはファイアウォールな

どを利用した外部侵入者対策システムを設ける。 

c) 電子化文書の保存場所 電子化文書は,防災を考慮し,鍵などを備えた不法侵入対策などの安全対策

が施された管理区域に保存する。管理区域では,定められた管理者以外は,容易に近づけないように

し,入退出者,文書,その関連物品の搬入及び搬出管理を的確に行う。 

参考文献 公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA) 

“電子化文書の画像圧縮ガイドライン”2011年10月 

入手先:http://www.jiima.or.jp/pdf/5̲JIIMA̲guideline.pdf