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Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

(1)

目  次

ページ

序文

1

201.1

  適用範囲,目的及び関連規格

2

201.2

  引用規格

3

201.3

  用語及び定義

3

201.4

  一般要求事項

9

201.5

  ME 機器の試験に対する一般要求事項

9

201.6

  ME 機器及び ME システムの分類

9

201.7

  ME 機器の標識,表示及び文書

9

201.8

  ME 機器の電撃のハザードに関する保護

20

201.9

  ME 機器及び ME システムの機械的ハザードに関する保護

20

201.10

  不要又は過度の放射のハザードに関する保護

21

201.11

  過度の温度及び他のハザードに関する保護

21

201.12

  制御及び計器の精度並びに危険な出力に対する保護

21

201.13

  危険状態及び故障状態

36

201.14

  プログラマブル電気医用システム(PEMS

36

201.15

  ME 機器の構造

37

201.16

  ME システム

37

*201.17

  ME 機器及び ME システムの電磁両立性

37

*202

  電磁両立性−要求事項及び試験

37

202.6

  電磁両立性

37

附属書

38

附属書 D(参考)警告及び禁止図記号例

39

附属書 AA(参考)理論的根拠

41

附属書 CC(参考)参考文献

84

附属書 DD(規定)用語−定義した用語の索引

93


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:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人日本

画像医療システム工業会(JIRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日

本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業

大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS Z 4951:2004 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の

特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。


   

日本工業規格

JIS

 Z

4951

:2012

(IEC 60601-2-33

:2010

)

磁気共鳴画像診断装置−基礎安全及び基本性能

Medical electrical equipment-

Part 2-33: Particular requirements for the basic safety and essential

performance of magnetic resonance equipment for medical diagnosis

序文

この規格は,2010 年に第 3 版として発行された IEC 60601-2-33 を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

この規格の本文中の太字は,

JIS T 0601-1

JIS Z 4005

及びこの規格の箇条 201.3 で定義した用語である。

太字で表記していない場合,定義は適用せず,意味は文脈に沿って解釈する。

この規格は,診断用 MR

システム及び MR 装置について,検査を受ける患者の安全,操作を行う MR

作業従事者の安全,並びに MR システムの開発,製造,据付及びサービスを行う MR 作業従事者の安全に

ついての技術的な側面について規定する。この規格で述べている

患者及び MR 作業従事者への電磁場

(EMF)による被ばく(曝)の上限値については,特別な設定での作業者への被ばく及び一般大衆への被

ばくを想定するものではない。その上限値は,

患者及び MR 作業従事者へのリスクと患者への利益とのバ

ランスを考慮して決定している。

安全についての組織的な取組は,

責任部門の課題である。この課題は,職員の適切な訓練,MR システ

ムへの接近についての施設内規則,安全についての決定を行う職員の資格の限定,医学的責務の定義,及

患者が MR システムの中,又は近くにいる場合には,その責務から生じる特定の要求事項を含む。

そのような組織的な取組の例として,次のものがある。

第一次水準管理操作モードでの操作

−  MR

システムの中にいる患者の蘇生のための緊急処置

−  超電導磁石が

クエンチした場合の緊急処置

−  禁忌とされる

患者の選別又は許容範囲の照射レベルを超える可能性のある状態を選別するプロトコル

の設定及び保守

−  検査中の

患者の日常のモニタリング及び医療管理に関わる規則

−  MR

作業従事者への電磁場による被ばくを最小にし,かつ,上限を設定する規則

この規格の使用者が規格の起草段階に検討のために用いた基本的資料を正しく参照できるように,幾つ

かの定義及び要求事項についての広範囲な理論的根拠を

附属書 AA に示した。

この規格と,

通則 JIS T 0601-1 及び副通則との関連を細分箇条 201.1.3 及び細分箇条 201.1.4 に記載する。

この規格で導入された MR

作業従事者への電磁場被ばく上限値は,患者に対する被ばく上限値を超える

ものではない。全ての被ばく上限値は,

患者及び MR 作業従事者を,健康への悪影響及び受容できないリ


2

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:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

スクから保護するものと期待している。

静磁場については,短期的に自覚される生理的及び感覚的な影響が考えられる。それらは,MR

作業従

事者の状態に僅かに影響するが,それは被ばく中又はその後の短い時間だけである。

傾斜磁場出力及び RF(ラジオ波)送信に関わる MR 作業従事者に対する被ばくは,通常では短期的な

いかなる生理的及び感覚的な影響も及ぼさない。さらに,許容されるレベルの被ばくによる人体への生物

学的集積効果については,いかなる経験的及び理論的根拠も,一般に認められていない。

騒音に対する要求事項は,

患者と MR 作業従事者とでは異なる。

201.1

適用範囲,目的及び関連規格

次を除き,JIS T 0601-1(以下,通則ともいう。

)の箇条 を適用する。

なお,平成 27 年 5 月 31 日まで JIS Z 4951:2004 は適用することができる。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 60601-2-33:2010

,Medical electrical equipment−Part 2-33: Particular requirements for the basic

safety and essential performance of magnetic resonance equipment for medical diagnosis(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”こ

とを示す。

201.1.1

適用範囲

置換

この規格は,MR

装置及び MR システムについての基礎安全及び基本性能に適用する。以降 ME 装置と

しても参照する。

この規格は,

意図する使用から逸脱する MR 装置の用途には適用しない。

ある箇条又は細分箇条が ME

機器だけか又は ME システムだけに限定して適用することを意図している

場合は,それらの表題及び内容にその旨を記載している。その記載がない場合には,その箇条又は細分箇

条は,ME

機器及び ME システムの両方に適用する。

この規格は,

インターベンショナル MR 検査に関わる基本性能の要求事項を含まない。

201.1.2

目的

置換

この個別規格の目的は,

患者及び MR 作業従事者を保護するために,MR 装置の基礎安全及び基本性能

を規定することである。

注記  この規格では,MR 作業従事者は医学的に適切に選別され,MR 作業従事者の職務において適

切に訓練及び指示を受けているものとしている。

201.1.3

副通則

追加

この個別規格は,通則の箇条 及びこの個別規格の 201.2 に記載した関連する副通則を引用している。

IEC 60601-1-2

は,箇条 202 として引用する。JIS T 0601-1-3 及び IEC 60601-1-10 は,適用しない。

その他の規格化された JIS T 0601-1 規格群の副通則は,発行時に適用する。

201.1.4

個別規格

置換

IEC 60601

規格群において,個別規格は対象としている個別の ME

機器に対して通則及び副通則に含ま


3

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:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

れる要求事項を修正,置換又は削除することがある。さらに,他の

基礎安全及び基本性能の要求を追加す

ることがある。

個別規格の要求事項は,通則の要求事項に優先する。

簡潔にするために,この個別規格において JIS T 0601-1 は通則として,副通則はその規格番号で引用す

る。

この個別規格の箇条及び細分箇条の番号は,通則に対応し接頭番号“201”とする(例えば,この規格の

201.1

は,通則の箇条 を示す。

。副通則を適用する場合は,接頭番号“20x”で示し,は副通則の規格

番号の最後の数字(規格の節番号)を表す(例えば,この個別規格の 202.4 は,副通則 IEC 60601-1-2 の箇

条 を,この個別規格の 203.4 は副通則 JIS T 0601-1-3 の箇条 を示す。

通則の文章を変更した部分は,次の用語で示す。

置換”とは,通則又は該当する副通則の箇条又は細分箇条の文章が,この個別規格の文章によって完

全に置換されることを意味する。

追加”とは,この個別規格の文章が通則又は該当する副通則の要求事項に追加されることを意味する。

追補”とは,通則又は該当する副通則の箇条又は細分箇条の文章が,この個別規格の文章で示すよう

に変更することを意味する。

細分箇条,図又は表で通則に追加するものは,201.101 で始まる番号を付ける。しかし,通則の定義の番

号は 3.13.139 であるので,この規格に追加する定義の番号は,201.3.201 から始まる番号をつける。追加

する

附属書は AABB など,追加する細別は aa),bb)などの文字を付している。附属書 AA に対応する解

説又は理論的根拠の記載がある場合,箇条番号及び細別に*201.x.x のように*を付ける。

以下,

“この規格”とは,この個別規格とともに通則及び該当する副通則を引用することを意味する。

この個別規格に対応する箇条又は細分箇条がない場合は,関連しないようにみえても,通則又は該当す

る副通則の箇条,又は細分箇条をそのまま適用する。通則又は該当する副通則の一部を,関連するように

みえても適用しない場合は,この個別規格でその旨を明記する。

201.2

引用規格

次を除き,通則の箇条 を適用する。

注記  参考文献を,附属書 CC に記載した。

追加

JIS T 0601-1

  医用電気機器−第 1 部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項

注記  対応国際規格  IEC 60601-1:2005,Medical electrical equipment−Part 1: General requirements for

basic safety and essential performance(MOD)

JIS Z 4005

  医用放射線機器−定義した用語

注記  対応国際規格:IEC/TR 60788,Medical electrical equipment−Glossary of defined terms(MOD)

NEMA MS 4:2006

,Acoustic noise measurements procedure for diagnostic magnetic resonance imaging

devices

NEMA MS 8:2008

,Characterization of the specific absorption rate (SAR) for magnetic resonance imaging

systems

201.3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,通則及び JIS Z 4005 によるほか次による。

なお,この規格で使用する記号を

表 201.101 に記載する。

注記  定義した用語の索引を附属書 DD に記載した。


4

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:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

追加

201.3.201

B

1+RMS

値(B

1+RMS

MR に寄与する RF 磁場 B

1+

の二乗平均の平方根(rms)

[

]

x

x

0

2

1

RMS

1

)

(

t

dt

t

B

B

t

+

+

=

ここに,

t: 時間

t

x

評価時間

RF 送信コイルの中心で見積もる。

201.3.202

適合性容積(COMPLIANCE VOLUME)

傾斜磁場出力の適合性を試験するための,患者が接近可能な空間。

円筒形

全身用磁石を備えた MR 装置の適合性容積は,その軸が磁石の軸と一致する半径 0.20 m で,長さ

が傾斜磁場コイルの長さに等しい円筒である。

垂直磁場磁石及び全身用傾斜磁場システムを備えた MR 装置の適合性容積は,患者の体軸に沿って,長

さが傾斜磁場コイルの直径に等しく,直径が 0.40 m か又は磁極間距離のいずれか小さい方の円筒である。

その他の全ての MR

装置の適合性容積は,MR 装置の意図する使用に従って患者の身体の一部分を正し

く配置できる領域の容積になる。

201.3.203

立入制限区域(CONTROLLED ACCESS AREA)

安全上の理由から立入りが制限される区域。

201.3.204

体内深部温度(CORE TEMPERATURE)

体内深部の平均温度。

注記  通常は,直腸,舌下又は鼓膜温度に等しい。より正確には,体内深部温度は,食道又は動脈血

の温度で表される。頭部温度は,

体内深部温度である。

201.3.205

実効刺激持続時間(t

s, eff

(EFFECTIVE STIMULUS DURATION)

傾斜磁場が単調に増加又は減少する期間の長さ。心臓又は末しょう(梢)神経の刺激に対する上限値を

表すのに用いる。ピーク対ピーク磁場変動と,その期間における傾斜磁場の時間微分の最大値との比とし

て定義する(

図 201.101 参照)。


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:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

グラフ a)

G

傾斜磁場

G

max

傾斜磁場の最大値

 
グラフ b)

dB/dt

磁場の時間変化率

(dB/dt)

max

  磁場の時間変化率の最大値

t

s,eff

実効刺激持続時間

グラフ a)に,傾斜磁場 が単調に変化する三つの期間を示す。グラフ b)に,対応する

傾斜磁場出力

dB/dt

及び

実効刺激持続時間 t

s,eff

を示す。

図 201.101−傾斜磁場波形及び実効刺激持続時間

201.3.206

緊急減磁装置(EMERGENCY FIELD SHUT DOWN UNIT)

超電導磁石又は常電導磁石を緊急の場合に消磁する装置。

201.3.207

環境温度(ENVIRONMENTAL TEMPERATURE)

実際の不均一な環境において放射及び対流によって交換する熱量に等しい黒体の均一

(等温)

温度

(℃)

注記  環境温度の測定については,附属書 AA 参照。

201.3.208

第一次水準管理操作モード(FIRST LEVEL CONTROLLED OPERATING MODE)

一つ又は複数の出力が

患者に医療管理を必要とする生理学的ストレスを引き起こす可能性のある値に達

する MR

装置の操作モード。

201.3.209

傾斜磁場出力(GRADIENT OUTPUT)

指定の条件及び位置において,一つ又は複数の

傾斜磁場ユニットによって発生する磁場強度又は電場強

度の変化率など,傾斜磁場の性能特性を記載するパラメータ。

201.3.210

傾斜磁場ユニット(GRADIENT UNIT)

MR

装置の座標系の 1 軸に沿って,共に傾斜磁場を生成する全ての傾斜磁場コイル及び増幅器。

201.3.211

頭部用 RF 送信コイル(HEAD RF TRANSMIT COIL)

患者の頭部の MR 検査を行うための,MR 装置内での使用に適したボリューム RF 送信コイル。

201.3.212

頭部 SAR(HEAD SAR)

一定時間,頭部の質量にわたって平均化した SAR

201.3.213

インターベンショナル MR 検査(INTERVENTIONAL MR EXAMINATION)


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:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

医用処置(例えば,バイオプシ又は病変の治療)のガイド(侵襲を含む。

)としての MR

検査。

201.3.214

アイソセンタ(ISOCENTRE)

MR

装置における傾斜磁場が空間的にゼロとなる点。

注記 1  通常は,この点は磁場が最も均一な領域に対応する(IEC 62464-1:2007,定義 3.1.15)。

注記 2  通常は,システムにおける撮像対象の位置に対応する。

201.3.215

局所 RF 送信コイル(LOCAL RF TRANSMIT COIL)

ボリューム RF 送信コイル以外の RF 送信コイル。

201.3.216

局所 SAR(LOCAL SAR)

一定時間に任意の身体組織 10 g にわたって平均化した SAR

201.3.217

磁気共鳴,MR(MAGNETIC RESONANCE 又は MR)

磁場の中に置かれた原子核の集合体による電磁エネルギーの共鳴吸収。

201.3.218

磁気共鳴画像診断装置,MR 装置(MAGNETIC RESONANCE EQUIPMENT 又は MR EQUIPMENT)

患者の MR 検査(in vivo)を目的とした医用電気機器。MR 装置は,電源から表示モニタまでの,全て

のハードウェア及びソフトウェアで構成される。

注記  MR 装置は,プログラム可能な医用電気機器(PROGRAMMABLE ELECTRICAL MEDICAL 

SYSTEM

,略称 PEMS)である。

201.3.219

MR

検査(MAGNETIC RESONANCE EXAMINATION 又は MR EXAMINATION)

患者から磁気共鳴によってデータを収集するプロセス。

201.3.220

磁気共鳴画像診断システム,MR システム(MAGNETIC RESONANCE SYSTEM 又は MR SYSTEM)

MR

装置,表示装置,制御装置,エネルギー供給装置を含む附属品の全体の総称。立入制限区域がある

場合は,これも含む。

201.3.221

MR

作業従事者[MAGNETIC RESONANCE WORKER (MR WORKER)]

その専門的職業のため,MR

システムの立入制限区域内又は同等の場所に立ち入る者。

注記  MR ボランティア,患者介護人などの人々は,この定義に含めない。操作者及び職員は,この

定義に含む(

附属書 AA 参照)。

201.3.222

最大傾斜磁場スルーレイト(MAXIMUM GRADIENT SLEW RATE)

通常の撮像条件において,可能な限り短い立上がり時間で

傾斜磁場ユニットをその規定の最大傾斜磁場

強度 G

max

と G

max

との間で切り換えることによって得られる傾斜磁場の変化率。

201.3.223

医療管理(MEDICAL SUPERVISION)

患者の健康状態,照射レベル(撮像条件)又はその組合せのいずれかによって,MR 装置の一部のパラ


7

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:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

メータが

患者へのリスクを増加させる可能性のある場合の患者への適切な医学的管理。

201.3.224

通常操作モード(NORMAL OPERATING MODE)

患者に生理学的ストレスを引き起こす可能性のある値を一切出力しない MR 装置の操作モード。

201.3.225

身体部分 SAR(PARTIAL BODY SAR)

一定時間に

ボリューム RF 送信コイルにさら(曝)される患者の身体部分の質量にわたって平均化した

SAR

201.3.226

PNS

出力(PNS OUTPUT)

患者への末しょう(梢)神経刺激(PNS)レベルを推測する値。

201.3.227

PNS

しきい(閾)値レベル(PNS THRESHOLD LEVEL)

患者が末しょう(梢)神経刺激を感じ始める PNS 出力の値。

201.3.228

クエンチ(QUENCH)

電流が流れているコイルの超電導状態から常電導状態への電気伝導度の遷移,液体冷媒の急速な蒸発及

び磁場の減衰を伴う。

201.3.229

日常のモニタリング(ROUTINE MONITORING)

MR

装置の操作者,職員などの責務を負う人が行うもので,MR 検査時に患者との間で視覚及び/又は

音声を使って適切に連絡をとる日常の

患者モニタリング。

201.3.230

サーチコイル(SEARCH COIL)

傾斜磁場出力を測定する適合性試験に用いる小口径コイル。

201.3.231

第二次水準管理操作モード(SECOND LEVEL CONTROLLED OPERATING MODE)

一つ又は複数の出力が

患者に受容できないリスクを与える可能性のある値に達し,明確な倫理的承認を

必要とする MR

装置の操作モード。例えば,各国の規制に従って承認されたヒトについての調査研究プロ

トコルに用いるモード。

201.3.232

特殊目的の傾斜磁場システム(SPECIAL PURPOSE GRADIENT SYSTEM)

特殊な目的の MR

装置での使用に適した傾斜磁場システム。

注記  特殊目的の傾斜磁場システムの一例としては,患者の頭部の特殊検査を可能にする MR 装置に

組み込み可能な傾斜磁場システムがある。

201.3.233

比吸収率(SAR)(SPECIFIC ABSORPTION RATE)

物体に吸収される単位質量当たりの RF 電力(W/kg)

201.3.234

磁場の時間変化率(dB/dt)(TIME RATE OF CHANGE OF THE MAGNETIC FIELD)


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Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

磁束密度の単位時間当たりの変化率(T/s)

201.3.235

垂直磁場磁石(TRANSVERSE FIELD MAGNET)

磁場の方向が

患者の体軸方向と直交する磁石

201.3.236

ボリューム RF 送信コイル(VOLUME RF TRANSMIT COIL)

コイルが取囲む容積にわたって均一な RF 電磁場を生成する MR

装置内での使用に適した RF 送信コイ

ル。

注記  ボリューム RF 送信コイルには,全身用 RF 送信コイル,頭部用 RF 送信コイル又は人体の特定

部分に均一に送信するよう設計された RF 送信コイルがある。人体又は人体の一部を囲む単一

ループのコイルは,

ボリューム RF 送信コイルとみなす(例  単一ループの手首用コイル)。

201.3.237

全身用傾斜磁場システム(WHOLE BODY GRADIENT SYSTEM)

全身用 MR 装置での使用に適した傾斜磁場システム。

201.3.238

全身用磁石(WHOLE BODY MAGNET)

全身用 MR 装置での使用に適した磁石。

201.3.239

全身用 MR 装置(WHOLE BODY MAGNETIC RESONANCE EQUIPMENT 又は WHOLE BODY MR

EQUIPMENT)

成人

患者の全身 MR 検査及び身体の一部の MR 検査が可能な大きさの MR 装置。ボリューム RF 送信コ

イル,局所 RF 送信コイル及び特殊目的の傾斜磁場システムを備えてもよい。

201.3.240

全身用 RF 送信コイル(WHOLE BODY RF TRANSMIT COIL)

成人

患者の全身検査が可能な大きさのボリューム RF 送信コイル。

201.3.241

全身 SAR(WHOLE BODY SAR)

一定時間に

患者の身体の全質量にわたって平均化した SAR


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Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

表 201.101−記号の一覧

記号 SI 単位

定義

B

0

 T

静磁場

B

1+

 T

高周波磁場

B

1+RMS

 T

B

1+

の二乗の平方根

dB/dt T/s

磁場の時間変化率(dB/dt

V/m

傾斜磁場の切換えによって誘発される電場

T/m

傾斜磁場

L01 V/m 又は T/s

通常操作モードにおける傾斜磁場出力の限界値

L12 V/m 又は T/s

第一次水準管理操作モードにおける傾斜磁場出力の限界値

場合によって異なる

傾斜磁場出力 

O

i

場合によって異なる

傾斜磁場ユニットの傾斜磁場出力

rb 

V/m 又は T/s

基電流

SAR 

W/kg

比吸収率(SAR

t

s,eff

 Ms

実効刺激持続時間 

t

SAR

 Min

SAR

を決定するための平均化時間

温度

w

i

なし

傾斜磁場ユニットの限界値までの傾斜磁場出力について,

そのユニットの重み因子

201.4

一般要求事項

次を除き,通則の箇条 を適用する。

201.4.3

基本性能

追加

注記  この規格の適用範囲に合致する MR 装置に関わる基本性能についての通則に対する追加の要求

事項は,ない。

201.5

ME

機器の試験に対する一般要求事項

次を除き,通則の箇条 を適用する。

201.5.7

湿度前処理

追加

技術仕様に指定する管理した環境下でだけ用いる MR

システムには,湿度前処理を要求しない。

201.6

ME

機器及び ME システムの分類

通則の箇条 を適用する。

201.7

ME

機器の標識,表示及び文書

次を除き,通則の箇条 を適用する。

201.7.9

附属文書

201.7.9.1

一般

追加

附属文書は,患者及び MR 作業従事者に対して適切な照射条件を定めている各国の規制及び規則を責任

部門が遵守できるように,責任部門に十分な情報を提供することが望ましい。

201.7.9.2

取扱説明書

201.7.9.2.10

メッセージ

置換


10

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

取扱説明書には,

安全についての全てのシステムメッセージ,エラーメッセージ及び故障メッセージを,

それらが自明のものを除き,一覧表にしなければならない。

追加

201.7.9.2.101

MR

装置の取扱説明書

a)

患者及び MR 作業従事者への事前チェック

取扱説明書には,

責任部門に患者及び MR 作業従事者の事前チェック項目について明確に記載しな

ければならない。これは,特に職業上の活動,既往歴,現在の病気の状態及び/又は MR

装置の物理

的環境に起因して

リスクが増加する可能性のある患者及び MR 作業従事者に対して適用する。これら

の説明書には,このような危険性がある

患者及び MR 作業従事者を確認するための事前チェック・プ

ログラムの必要性を示し,

患者及び MR 作業従事者を傷害から適切に保護するための注意事項を記載

しなければならない。MR

作業従事者及び患者に対しては,特に過去の職業的活動によって,磁性体

が体内に偶発的に植込まれていることに起因する

リスクについて考慮しなければならない。

次に分類できる

患者について記載しなければならない。

−  MR

検査が禁忌とみなされる患者

−  MR

装置の性能に関係なく,緊急医療処置の必要性が通常よりも高い患者

−  MR

装置が,201.12.4.101 に規定した第一次水準管理操作モードの範囲内で操作可能な場合に,印加

する電磁場(静磁場,傾斜磁場,RF)の値が高くなることが原因で,緊急医療処置の必要性が通常

よりも高い

患者

b) 患者の医療管理

取扱説明書には,201.7.9.2.101 a)で規定した

患者の分類並びに 201.3.208201.3.231 及び 201.3.224

で定義した MR

装置の操作モードに対して,責任部門が適切な管理プログラムを作成するように明確

に記載しなければならない。

取扱説明書は,次による。

−  全ての

患者に対して,少なくとも日常のモニタリングを行うことを記載する。

−  MR

装置が第一次水準管理操作モードで動作可能な場合,第一次水準管理操作モードに入ったとき

に,確実に

医療管理が行えるための手順を作成しておくことを記載する。

−  MR

装置が第二次水準管理操作モードを備えている場合,第二次水準管理操作モードにおける操作

には,国又は地域の規制(例えば,倫理委員会,治験審査委員会など)に従って,人体についての

調査研究のプロトコルの承認が必要であるという注意を含める。さらに,その規制には,

傾斜磁場

出力,SAR 及び静磁場強度について上限値を記載する。

注記 0A  我が国の人体についての調査研究に関する規制としては,“臨床研究に関する倫理指針

(平成 20 年厚生労働省告示第 415 号)

”がある。

c)  緊急医療処置

取扱説明書には,

責任部門に対して次のことを明確に記載しなければならない。すなわち,責任部

門は,MR 検査中に患者が外部要因によって気分が悪くなった,又は傷害を受けた場合に,できる限

り迅速な医療処置がとれるように,磁場の存在を考慮して

患者に適用する特定の緊急医療処置の手順

を定め,かつ,実行できるようにしておかなければならない。

これらの説明書には,磁場の影響から速やかに

患者を解放する手順(必要な場合には,緊急減磁装


11

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

置を使用する手順)を確立しておくことを記載事項に含めなければならない。

d) 患者及び MR 作業従事者への過度の騒音

取扱説明書は,次による。

−  麻酔下の

患者は,高い音圧に対する許容度が通常よりも低い可能性があり,そのために,このよう

患者の耳の保護は中等度の音圧レベルであっても省略しない方がよいことに注意を喚起しなけれ

ばならない。

−  人が被る騒音についての法律が一部の国にあるということに注意を喚起しなければならない。

注記 0B  我が国では,JIS T 0601-1 の 9.6.2 を参照する。

−  撮像中の

立入制限区域での作業においては,MR 作業従事者は騒音に関する保護規則に適合する聴

力保護具を身につけなければならないことを記載しなければならない。

−  適切な防音手段が講じられていないと,一過性又は持続的な聴覚障害の

リスクがあることについて

注意を喚起しなければならない。

MR

装置の等価騒音レベル(LAeq, 1h)が 99 dB(A)を超える可能性がある場合は,取扱説明書は,

次による。

−  等価騒音レベルは,

NEMA MS 4:2006)に従った測定条件で測定したことを記載しなければならな

い。

患者の安全性を考慮して聴力保護が必要であり,この聴力保護手段は,等価騒音レベルを 99 dB(A)

未満に下げるのに十分でなければならないことを記載しなければならない。

−  特に標準の耳あてを使うことができない場合,又は新生児若しくは未熟児のようにいかなる聴力保

護手段も使用することができない場合には,聴力保護のための適切な処置を行うための特別な注意

及び訓練が,

操作者に必要であることを記載しなければならない。

−  妊婦・胎児,新生児,乳児,幼児及び高齢者の場合は,不安の増加によって,許容される音圧レベ

ルでも問題になる可能性があることについて注意を喚起しなければならない。

注記 1  適切な警告表示については,ISO 7010:2003  追補 3(2007)に規定している。

e)  立入制限区域

MR

装置に立入制限区域を設ける必要がある場合は[201.7.9.3.101 a)及び 202 参照],取扱説明書は,

次による。

責任部門は,立入制限区域への立入りについての国又は地域の法令による要求事項に従う義務のあ

ることを示さなければならない。

注記 1A  我が国では,MR 装置の立入制限区域についての法令は存在しない。

立入制限区域の範囲及び形状について,仕様を与えなければならない。この場合,図を付けるのが

望ましい。

患者及び MR 作業従事者が立入制限区域内に入って,鉄及び他の磁性体を含む物体が引きつけられ

リスク,これらの金属体に回転力が及ぶリスク,及び立入制限区域内に偶然入った人がペースメ

ーカのような医療用の体内植込物の機能異常によって影響を受ける

リスクについて,立入制限区域

への立入りを制限する適切な管理規則を

責任部門が定める必要性があることを示さなければならな

い。

注記 2  静磁場強度が 0.5 mT 未満の場合は,管理規制は不要である。

製造業者は,立入制限区域内での使用を指定又は推奨する機器及び工具の一覧を示さなければなら

ない。一覧に示した全ての

機器,附属品又は工具について,その取付けに当たって必要な特別な手


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Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

段,又はその使用に当たって必要な注意事項がある場合は,それらを記載することが望ましい。

立入制限区域内での使用が指定又は推奨されていない患者モニタリング装置,生命維持装置及び緊

急治療装置などの周辺装置は,MR

装置の RF 磁場,傾斜磁場又は漏えい(洩)磁場によってその

作動が阻害される可能性があること,及びこの周辺装置が MR

装置の正常な作動を妨害する可能性

があることを記載しなければならない。

−  MR 適合,MR 条件付適合及び MR 非適合という機器の表示の意味を記載しなければならない。

f)  冷媒(液体又は気体)

超電導磁石を備えた MR

装置では,事故及びクエンチを防ぐために,取扱説明書には次の事項を含

めなければならない。

−  液体冷媒の供給についての適切な要求事項

−  冷媒の充塡は,訓練を受け経験を積んだ人だけが実施することが望ましい旨の記載

−  液体冷媒の量を含む,磁石の保守及び点検についての情報

−  正常な作動に必要な冷媒の最低量についての情報

−  冷媒量を

責任部門が確認する頻度についての要求事項

−  液体冷媒の正しい取扱いに加えて,液体冷媒の使用による潜在的

ハザードについての明確な情報。

これには,次の情報が含まれていなければならない。

・  凍傷を防ぐための防護服の着用

・  ガス放出後に実施する手順

・  酸素欠乏に対する予防措置

・  冷媒を供給するための非磁性容器の使用

・  冷媒容器の近くに可燃性物質がある場合に,遵守しなければならない手順

注記 3  冷媒の周囲では,液体酸素がた(溜)まること又は酸素ガス濃度が上昇することがあ

る。

g)  操作モード

取扱説明書には,201.12.4.101 によって,

通常操作モード,第一次水準管理操作モード及び第二次水

準管理操作モードの各操作モードの意味及び背景についての情報を提供しなければならない。さらに,

取扱説明書には,

患者に対する静磁場,傾斜磁場出力及び SAR レベルは,安全についての現在の学

術文献に基づいていること”

“照射レベル(撮像条件)

通常操作モードを超えることの決定,及び患

者の生理学的モニタリングが必要になる可能性は,患者に対する潜在的なリスクと効用との関係から

医学的に判断しなければならないこと”の二つについても説明しなければならない。

取扱説明書では,次の各操作モードの要求事項を説明しなければならない。

通常操作モードの範囲内で作動する MR 装置については,指示又は方法を表記する必要はない。

第一次水準管理操作モードで作動可能な MR 装置については,201.12.4.101.4 で規定したように,こ

のモードに入る前に表示する事項及びこのモードに入ろうとするときの慎重な操作方法について

MR

装置の特性を説明しなければならない。さらに,201.7.9.2.101 b)で規定したように,患者の医

療管理についての勧告を示さなければならない。

第二次水準管理操作モードで作動可能な MR 装置については,201.12.4.101.5 で規定したように,特

定の安全手段によって

第二次水準管理操作モードでの認められていない操作を防止しなければなら

ない。

第二次水準管理操作モードでの操作は,201.7.9.2.101 b)で規定したように,国又は地域の規


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Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

制に従って承認された人体についての調査研究プロトコルのもとでしか許されない。

取扱説明書では,

第一次水準管理操作モードに入るために必要な慎重な操作及び医療管理について,

並びに

第二次水準管理操作モードに入るために必要な国又は地域の規制に従った安全手段及び人体に

ついての調査研究プロトコルの承認に対して,

患者の安全に注意を払うことを勧告しなければならな

い。

注記 3A  我が国の人体についての規制としては,“臨床研究に関する倫理指針(平成 20 年厚生労働

省告示第 415 号)

”がある。

h) 患者及び MR 作業従事者への静磁場による被ばく

静磁場に対して,

第一次水準管理操作モード又は第二次水準管理操作モードで作動可能な MR 装置

については,取扱説明書は次による。

−  主静磁場が

通常操作モードのレベルを超える場合に,患者及び MR 作業従事者に与える可能性のあ

る影響を説明する。めまい,ふらつき,口内の金属味など,MR

装置内又はその近くで患者又は

MR

作業従事者が頭部を急速に動かしたときに経験する可能性のある影響に対して特に留意する。

患者が高い静磁場領域内にいる間は静止しているよう勧告しなければならない。

−  MR

装置で使用可能な B

0

値(静磁場強度)についての情報を示さなければならない。

−  静磁場強度が 3 T を超え 4 T 以下の場合は,MR

システムは,常に第一次水準管理操作モードで運

転するために,

医療管理を全ての患者に対して行うことを説明する。

−  高い静磁場によって生じる人体に不利な影響を最小にするための適切な訓練を MR

作業従事者に行

われなければならないことを説明する。

静磁場が高くなることについての人体への影響を説明する。

−  MR

作業従事者が使用している工具及び附属品の MR 適合性が,静磁場強度によって変わる可能性

について説明する。

−  静磁場強度が 4 T を超える場合,MR

システムは,常に第二次水準管理操作モードで運転するため,

全ての

患者に対して医療管理を行うことを説明する。この状況では MR 作業従事者は,特別の許可

なしに MR

装置には近づくことが許されていないことを説明する。

i)

時間的に変動する磁場による患者への被ばく

傾斜磁場出力のレベルが通常操作モードを超えて動作可能な MR 装置においては,取扱説明書は,

次による。

−  MR

装置が備える各操作モードにおける傾斜磁場出力のレベルが患者に与え得る影響を説明しなけ

ればならない。末しょう(梢)神経系及び心臓に与える可能性のある影響に対して特に留意する。

−  各操作モードにおいて MR

装置で使用可能な傾斜磁場出力についての情報を記載する。

傾斜磁場出力が通常操作モードの上限値を超えたときに,MR 装置が適切な操作モードを表示する

ことを説明する。

−  傾斜磁場システムが

全身用傾斜磁場システム又は特殊目的の傾斜磁場システムのいずれかを示し,

傾斜磁場出力が適合する容積を記載する。

j)

患者に対する RF 磁場による被ばく

取扱説明書には,

患者への過度な局所 RF 加熱の可能性を高めるリスク因子に注意を喚起し,これ

らの

リスク因子を軽減する手段を操作者に示さなければならない。このような因子としては,次を含

む。

− RF 送信コイルの送信領域内に導電性の物質(金属など)又は体内植込物が存在する場合。全ての導


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Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

電性の物質,例えば,金属糸又は金属部品の付いた全ての衣服,時計及び硬貨は,

患者から取り外

さなければならない。

−  経皮的パッチを使用しており,パッチ下の皮膚に火傷を引き起こす可能性がある場合。

−  左右の大たい(腿)の内側,左右のふくらはぎ,両手,手及び体幹部,左右の足首など,皮膚どう

しの接触が人体の一部に導電性ループを形成する可能性のある場合。

−  湿った衣服。

−  人体又は四肢を RF 送信コイル表面に接触させて配置する場合。

患者と RF 受信コイルケーブルとを接触させること及び RF コイルケーブルを RF 送信コイルの近く

に通す場合。

− RF 受信コイル及び心電計(ECG)導線がループを形成する場合。

−  MR 条件付適合の ECG 電極及び導線を使用する場合。

操作者に取扱説明書を読み,注意深くそれに

従うことを通知する。さらに,

操作者には,常に使用期限を過ぎていない電極を使用するように通

知する。

−  鎮静剤を服用している

患者,意識のない患者,又は両腕若しくは両脚の麻痺など身体の一部の感覚

がない

患者,すなわち過度の加熱及びそれに伴う組織損傷について操作者に注意を喚起することが

できない

患者の撮像。

−  検査中の RF 送信コイル内に,接続されていない受信コイル又は電気ケーブルが残っている場合。

通常操作モードを超える SAR レベルで作動可能な MR 装置については,取扱説明書に次の事項を

記載しなければならない。

−  201.12.4.103 で規定する MR

装置の各種類の SAR の値が増加することによって生じる可能性のある

影響についての説明。

−  MR

装置が備える各操作モードにおける SAR が患者に与え得る影響を説明する。体温調節機能が低

下して体温上昇に対して敏感な

患者(例えば,熱病及び心不全の患者,発汗能力が低下している患

者,妊婦など。)の安全に対して特に留意すること並びに患者のために推奨する環境条件に沿って,

患者の体内深部温度上昇に対する環境管理の重要性及び環境温度の影響を記載した情報の提供。

−  MR

装置で使用可能な SAR の各種類の値についての情報の提供。

−  201.12.4.103 に規定する

全身 SAR に対する各操作モードの上限値は,環境温度が 25  ℃以下である

ことを前提として定義していることの説明。さらに,取扱説明書には,これらの環境仕様の範囲外

における SAR の管理方法について説明する。この説明は,

次のいずれかの内容でなければならない。

環境温度が 25  ℃を超えるときは,MR 装置を使用してはならないと記載する。

・  SAR についての

第一次水準管理操作モードの上限値は,201.12.4.103.2 の規定に従って低下させな

ければならないと記載する(

環境温度を測定可能な MR 装置の場合だけ)。

患者の体温を下げるために休憩が必要であること,患者の衣服は薄着にすること,及び患者空間の

換気を十分に行うことなど,SAR の高い撮像による

リスクを軽減する手段に注意を喚起する。

−  各シーケンスごとに

制御盤に表示される B

1+RMS

値は,RF 強度を表示していることの説明。この値

は,能動的又は受動的体内植込物(体内植込物)を装着している

患者撮像のときのリスクを決める

ために使用できる。

k) 職業的にさらされる電磁場被ばく

取扱説明書には,MR

作業従事者が,MR 装置から放射される電磁場(EMF)にさらされるという


15

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

事実に注意を喚起しなければならない。MR

作業従事者が,安全に作業を行うために,それらの被ば

くの

リスクに関連した十分な情報を提供しなければならない。患者についての 201.7.9.2.101 i)及び j)

は,MR

作業従事者にも適用しなければならない。その情報には,次の事項を含まなければならない。

−  該当する場合,MR

作業従事者が,近づくことを禁止する領域の仕様

−  MR

装 置 に よ っ て 発 生 す る 静 磁 場 [ 201.7.9.2.101 h) 及 び 201.12.4.104 参 照 ], 傾 斜 磁 場 出 力

201.7.9.2.101 i)及び 201.12.4.102 参照]及び RF 送信磁場[201.7.9.2.101 j)及び 201.12.4.103 参照]

について,MR

作業従事者が,接近可能な領域において適切な単位で表された最大レベルの情報

−  MR

作業従事者が,MR 装置から放射される電磁場(EMF)からの被ばくを最小にして MR 作業従

事者の全ての業務が安全に遂行できるように十分に伝達,及び訓練するための指示

第一次水準管理操作モードの傾斜磁場にさらされる患者及び MR 作業従事者に軽い末しょう(梢)

神経刺激(PNS)が起きる可能性が存在することについての記載

MR

作業従事者への予期できる被ばくレベルについてのリスク因子を説明しなければならない。MR

作業従事者がそれらのリスク因子を緩和するための方法について記載を行わなければならない。

注意を喚起する既知の因子は次による。

− RF の被ばくによって起こり得る生理学的影響は体温上昇である。RF 放射からの被ばくは,撮像中

に送信用 RF コイルから十分な距離を保つこと又は撮像中の被ばく時間を減らすことによって最小

にできる。

傾斜磁場出力からの被ばくによって起こり得る生理学的影響は,被ばくを受ける者の末しょう(梢)

神経刺激である。特に

インターベンショナル MR 検査を行っている MR 作業従事者には,たとえ末

しょう(梢)神経刺激が予想できないに場合でも,インターベンション検査中の末しょう(梢)神

経刺激による

患者の安全については妥協してはならないことを伝え,かつ,教育しなければならな

い。

傾斜磁場出力からの被ばくは,撮像中に傾斜磁場コイルから十分な距離を保つことによって最

小にできる。

−  静磁場からの被ばくによって起こり得る生理学的影響は,被ばくを受ける者のふらつき,めまい及

び口中の金属味である。静磁場からの被ばくは,磁石から離れる(撮像中だけでなくいつでも)及

び静磁場中で頭を急に動かすことを避けることによって最小にできる。

取扱説明書には,MR

装置から放射される電磁場(EMF)による蓄積及び/又は長期にわたる影響

を示す公表された証拠はないということが,一般に認められていることを記載してもよい。

取扱説明書には,現在のところ健康に悪影響を与えるという疫学的な証拠はないが,妊娠している

MR

作業従事者への特別な警告は適切であることを記載しなければならない。

注記 4  国又は地域の規制を適用する。ただし,我が国では職業的にさらされる電磁場被ばくにつ

いての国の規制はない。

取扱説明書には,MR

作業従事者が妊娠している場合には,MR 作業従事者への上限値は適切では

ない可能性があると記載しなければならない。一部の国では,公衆への上限値を胎児にも適用すると

要求される場合がある。それは妊娠した MR

作業従事者は,撮像中に検査室へ立ち入ることが許可さ

れないということを意味する。

取扱説明書には,この規格の MR

作業従事者への電磁場(EMF)上限値よりも低い職業的上限値に

ついての法律が,一部の国に存在することを記載しければならない。

注記 4A  我が国では職業的にさらされる電磁場被ばくについての国の規制はない。

l)  補助装置


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Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

責任部門は,患者への生理学的監視装置及び検知装置の適用を責任部門の責任の下で指示し,実施

することを認識しなければならない。

取扱説明書には,MR

装置の環境における使用について特定の試験を受けておらず,承認を受けて

いない補助装置(生理学的監視装置,ゲーティング装置,RF 送信コイルなど。

)を使用すると,

患者

に火傷その他の傷害を引き起こす可能性がある

責任部門及び操作者に警告しなければならない。さら

に,取扱説明書には,MR

装置又は MR システムとともに使用できることが表示された補助装置(MR

適合又は MR 条件付適合)であっても,特に導電性の導線の引き回しなど,

製造業者の指示に従わな

かった場合は,

傷害を引き起こす可能性があることを

責任部門及び操作者に警告しなければならない。

m)

緊急減磁装置

取扱説明書には,緊急時に,いつ,及びどのように

緊急減磁装置を操作するのかについての説明を

示さなければならない。また,緊急に減磁を必要とする状況の例を挙げなければならない。

注記 5  永久磁石は,緊急時であっても減磁することはできない。

n)

防火対策

取扱説明書には,次の三点を責任部門に勧告しなければならない。

−  地元の消防署及び防火対策について検討を行う。

−  緊急時の対応方法を確立する。

−  率先して必要な行動をとることは,

責任部門の責務である。

o)

アーチファクト

取扱説明書には,技術的要因及び生理学的要因(例えば,磁場の均一性,傾斜磁場の直線性,デー

タの打切り,折返し,動き,流れ,化学シフト,磁化率の変化など。

)によって,画像アーチファクト

を生じる可能性があることを

操作者に警告しなければならない。さらに,これらの要因の画像に対す

る影響(例えば,画像の不均一,幾何学的ひずみ,ゴースト,折返しなど。

)について記載しなければ

ならない。これらの影響の補正又は軽減の方法(例えば,帯域幅の変更,傾斜磁場による補償,プリ

サチュレーション。

)について説明しなければならない。

p)

訓練についての勧告

取扱説明書には,MR

装置を安全,かつ,効果的に操作するには,操作を行う MR 作業従事者への

訓練が必要であることを勧告しなければならない。この訓練は,次の項目に対する緊急手順を含まな

ければならない。

緊急医療処置[201.7.9.2.101 c)]

立入制限区域[201.7.9.2.101 e)]

緊急減磁装置[201.7.9.2.101 m)]

防火対策[201.7.9.2.101 n)]

クエンチが発生した場合の緊急対策[201.7.9.2.101 s)]

q)

品質保証

取扱説明書には,使用する全てのファントムについての説明を含め,かつ,

責任部門に推奨する品

質保証手順についての説明を示さなければならない。

r)

保守

取扱説明書には,MR

装置に推奨する保守計画を含めなければならない。また,技術者が実施しな

ければならない項目を特定しなければならない。

s)  クエンチが発生した場合の緊急対策


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Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

取扱説明書には,

クエンチを識別する方法及びクエンチが発生した場合,特に超電導磁石システム

の排気システムが故障した場合に,どのように行動するかの指示を含めなければならない。

t)  能動又は受動体内植込物を体内にもつ患者の撮像

取扱説明書には,導電性物質を含む能動又は受動体内植込物を体内にもつ

患者の撮像は,MR 装置

において著しい

リスクがあることを記載しなければならない。電磁場によって,金属体内植込物に強

い力が働く可能性があり,更に,能動体内植込物の本来の作動が妨げられる可能性がある。MR 画像

に著しいアーチファクトを発生させる可能性があり,体内を加熱することで,組織が破壊されたり,

生理機能が失われたり,又は重大な損傷が起きるような有害な健康被害を引き起こす可能性がある。

体内植込物に MR 適合,又は MR 条件付適合の表示がなされている場合は,体内植込物の取扱説明

書によって,体内植込物の安全性及び撮像中に考慮する条件を,

操作者に知らせなければならない。

詳細な情報は,体内植込物の

製造業者からの附属文書に記載されていることを,取扱説明書に記載し

なければならない。

u)

妊娠している患者の撮像

全身用 RF コイルによる妊娠している患者の撮像は,SAR レベルの点から通常操作モードでだけ許

されることを取扱説明書に記載しなければならない。

v)

体内深部温度が上昇している患者の撮像

取扱説明書には,MR

装置においては,患者に対して過度の熱ストレスを避けるため及び局所的な

組織の損傷を避けるために,

表 201.104 に示す体内深部温度上昇の上限があることを記載しなければ

ならない。この上限のため,実際には,

体内深部温度が 39.5  ℃を超えている患者は撮像できず,体内

深部温度が 39.0  ℃を超えている患者は,通常操作モードでだけ撮像を許容する。

w)

概略表示機能

取扱説明書には,装置の概略表示機能を操作画面上のどこで見ることができるかを記載しなければ

ならない。概略表示機能は,システムのハードウェア及びソフトウェア仕様を特定しなければならな

い。その表示内容に

附属文書のデータを組み合わせることで,静磁場,傾斜磁場及び RF 磁場の仕様

を求めるために使用することができる。より具体的には,次の情報を示さなければならない。

−  公称 B

0

−  静磁場の最大傾斜値(T/m)

−  核種ごとの公称周波数範囲

−  半径 0.2 m,0.4 m 及びボア径から 0.1 m を引いた値の円筒上での最大

傾斜磁場出力

注記 6  縦形磁石においては,円柱方向(すなわち患者体軸方向)は磁石の軸方向に直角である。

患者ボアという用語は,磁極間の磁石開口高さに置き換える。磁石長という用語は,磁極

の直径に置き換える。

201.7.9.3

技術解説

追加

201.7.9.3.101

MR

装置の技術文書

a)

立入制限区域

装置に恒常的に取り付けられたカバーの外側に 0.5 mT を超える漏えい磁場を生成する MR

装置及

び/又は電磁干渉レベルが IEC 60601-1-2:2007 に適合しない MR

装置については,技術文書に次の内

容を記載しなければならない。

−  MR

装置の周囲に立入制限区域を定め,これを恒常的に設けることの必要性。この区域の外側は,


18

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

次のものでなければならない。

1)

漏えい磁場強度が 0.5 mT を超えない。

2)

電磁干渉レベルが IEC 60601-1-2 に適合する。

−  この

立入制限区域への許可されていない人の立入りを,責任部門が適切に管理できるように,例え

ば,床への標示,柵及び/又はその他の方法による表示を明確に勧告しなければならない。

立入制限区域の全ての入口に,静磁場があること及び強磁性体への吸引力又は回転力が発生するこ

との表示を含む,適切な標識を設けなければならない(警告記号及び禁止記号の例については,

属書 を参照)。

MR

装置が聴覚及び視覚による患者との連絡に制限がある室内に設置する設計とする場合は,技術

文書の中で,室内設計及び MR

装置の設備によって,MR 検査中に聴覚及び視覚で患者と連絡ができ

ることを記載しなければならない。聴覚及び視覚による

患者との連絡方法は,患者の日常のモニタリ

ング及び医療管理を行うのに十分なものでなければならない。

*

b)

適合性を記載する技術仕様書

MR

装置の取扱説明書に加えて,適合性を記載する技術仕様書に責任部門が周辺装置の正しい作動

を試験するのに十分な情報を記載しなければならない。適合性を記載する技術仕様書(製品データシ

ート)には,MR

装置の特性を表す多数のパラメータを記載しなければならない。パラメータの一覧

表には,次の内容を含める。

−  磁石:種類,磁場強度,開口寸法,冷媒の種類及び蒸発率,並びに MR

装置の代表的な設置に関わ

る周囲磁場の空間分布のプロット図

・  プロット図には,等磁場線の最大の空間的ひろ(拡)がりを記載する,磁場中心を通る適切な直

交 3 面図がなければならない。

・  各プロット図には,距離目盛及び磁石の輪郭の表示に加えて,少なくとも 0.5 mT,1 mT,3 mT,

5 mT,10 mT,20 mT,40 mT 及び 200 mT の等磁場線を表示しなければならない。

・  主磁場の空間勾配が最大になる位置及びその位置における B

0

の値及び B

0

の空間勾配の値を記載

する。この位置において,主磁場の空間勾配に起因する飽和強磁性体に対する力が最大になる。

・  磁場強度と B

0

の空間勾配との積が最大になる位置,その位置における B

0

の値及び B

0

の空間勾配

の値を記載する。この位置において,反磁性体,常磁性体又は磁気飽和していない強磁性体に対

する力が最大になる。

・  MR

作業従事者が接近可能及び関連する位置について,磁場がこれらの値を超える場合だけ,

0.5 T,1 T,1.5 T,2 T,3 T 及び 4 T の磁場強度の等高線プロットを記載する。

−  傾斜磁場システム:種類,最大振幅,最も早い立上り時間,最大スルーレイト及び三つの

傾斜磁場

ユニットの生成する磁場成分のベクトル和の最大振幅値の空間分布

・  201.12.4.105.2.3 に規定しているように,撮像中に MR

作業従事者が接近可能な位置についての,

三つの

傾斜磁場ユニットが同時に生成する磁場成分のベクトル和の最大振幅値の空間分布。

患者が接近可能な最小のボア径以下で,直径が 0.1 m,0.2 m 及び 0.4 m の患者体軸方向の仮想円

筒での位置について,三つの

傾斜磁場ユニットの同時ベクトル和の最大振幅値の空間分布。仮想

的円筒は,傾斜磁場コイルと同じ長さとする。円筒軸方向にとる点は,0.02 m 以下の間隔としな

ければならない。詳細の計算は,201.12.4.105.2.3 で規定した方法と同等でなければならない。

注記 1  この要求事項は,患者の安全のためのものであり,201.12.4.105.2.3 に規定する MR 

業従事者に対する要求事項とは異なる。


19

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

− RF システム:RF 送信コイルの種類,増幅器のピーク出力,最大送信 RF の帯域幅及び各々のボリ

ューム送信コイルについての最大 B

1+RMS

値及び次の事項

・  201.12.4.105.3.3 に規定する,撮像中に MR

作業従事者が接近可能な位置での無負荷コイルについ

ての最大 RF 送信場の空間分布。

・  無負荷のコイルを

アイソセンタに設置するときに,システムのアイソセンタでの最大 RF 送信場

及びコイル軸上(通常は z 軸方向)で,

アイソセンタでの最大値が 3 dB 及び 10 dB 減衰する位置

アイソセンタからの距離。

注記 2  この要求事項は患者の安全のためのものであり,201.12.4.105.3.3 に規定する MR 作業

従事者に対する要求事項とは異なる。

−  適合性を試験するためのプロトコル

MR

装置の製造業者は,MR 装置に対して日常的に実施でき,周辺装置の製造業者が,MR 装置

が発生する電磁場中において,その装置の機能を試験することができるプロトコルを示さなければ

ならない。そのプロトコルは,周辺装置の

製造業者がその周辺装置に対する MR 装置の影響を調査

できるように,MR

装置が高い送信 RF 電磁場又は高い傾斜磁場スルーレイト及び振幅で作動する

ように設計する。試験は,MR

装置の画質に対して周辺装置が及ぼす可能性がある影響,及び周辺

装置が正しく機能するという保証を意図するためのものではない。

患者空間:大きさ,換気,連絡手段及び照明

患者支持器:寸法,位置決め,精度及び最大荷重

c)  クエンチ時の安全確保

超電導磁石を使用する MR

装置の附属文書には,次の内容を含めなければならない。

−  磁石容器と外気とをつなぎ,

クエンチするときにクエンチに耐え,近くにいる人を守る超電導磁石

の排気システムについての要求事項。

−  検査室の内側及び外側の超電導磁石用排気装置の設置指針

(寸法,

位置,

組立て及び材質について)

−  予防保守プログラムの実施の推奨。そこには,超電導磁石のための排気システムの能力についての

定期的な点検を行うことを記載する。

クエンチ時に排気システムが故障した場合に,検査室の内外にいる患者及び他の人々の安全性を高

めるために検査室の設計についての要求事項。これらの事項には,

クエンチ時の室内気圧の上昇,

室温の低下及び酸素欠乏を扱わなければならない。シミュレーション又は試験で証明された受入れ

可能な一連の解決策を記載しなければならない。それによって,超電導磁石の排気システムが十分

に機能しない場合にも,

クエンチ時の気圧の増加,気温の低下及び酸素欠乏による検査室の内外に

いる

患者及び他の人に対するリスクを低減させる。

責任部門に超電導磁石の排気装置が十分に機能しない状況も含んだ,クエンチのときの緊急安全対

策を定めることの必要性。

患者換気装置を介して余分なヘリウムガスが患者に当たらないようにするための,患者換気装置へ

の可能な追加措置の必要性。

患者換気装置は,吸気の開口部が安全なところにおく(例えば,検査

室の低い位置又は検査室の空調に直接接続されている。

)か,

クエンチが発生したときに患者換気シ

ステムが自動的に制御され,架台内の

患者にヘリウムを送らないようにクエンチ検出器に接続する。

注記 3  超電導磁石の排気システムは,低温用排気パイプ及びクエンチに安全に対応するための

付加的な部品からなる。

注記 4  受入れ可能なシミュレーション又は試験によって証明された検査室の構成には,次の事


20

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

項を含む。

− RF ドアが外側に開くか,スライドする構成

気圧が上昇することを防ぐ付加的な予防策を含む場合は,RF ドアが内側に開く構成。これは次によ

って実現することができる。

クエンチが起きたときに最大稼動するようにスイッチが入る(例えば,検査室の天井の酸素濃度

計によってヘリウムガスを検知して自動的に動作する。

)特別の検査室排気システム

・  屋外に向かって排気するための検査室の壁又は天井に設けた開口部

・  検査室の観察窓を外側に開けるか又はスライドできる構造

・  通常の排気システムが閉塞した場合に使用できる第二の超電導磁石用の独立した排気システム

・  シミュレーション又は試験によって証明された等価な方法

d)

磁場の減衰特性

超電導磁石又は常電導磁石で構成される MR

装置については,責任部門が適切な生命維持手順又は

安全手順を実施できるように,

クエンチ又は緊急減磁における磁石の減衰特性を技術解説書に記載し

なければならない。磁石の特性には,

緊急減磁装置が作動してから,磁石中心の磁場強度が 20 mT に

低下するまでの時間を記載しなければならない。

緊急減磁装置の作動スイッチを,どの場所に,どのように取り付けるかについては,技術解説書に

その説明を記載しなければならない。

e)

傾斜磁場システムの種類

技術解説書の中で,

製造業者は傾斜磁場システムが全身用傾斜磁場システム又は特殊目的の傾斜磁

場システムのいずれであるかを記載しなければならない。

f)

サイトの安全チェックリスト

据付時に安全についての項目を全てリストアップした“サイトの安全チェックリスト”の使用を推

奨する。それは,MR

システム稼動前の据付も含んで関係者に確認されていなければならない。

201.8

ME

機器の電撃のハザードに関する保護

次を除き,通則の箇条 を適用する。

201.8.7.3

許容値

置換

d)

接地漏れ電流の許容値は,正常状態で 5 mA とし,単一故障状態で 10 mA とする。永久設置形 MR 

置での接地漏れ電流は,正常状態及び単一故障状態とも 20 mA を超えてはならない。

注記  据付での保護接地電流の上限について,個別規格を定めることができる。IEC 60364-7-710(文

献 165)参照。

追加

e)

正常状態及び

単一故障状態での患者漏れ電流及び患者測定電流は,1 MHz を超える周波数については

適用しない。RF 電流による

ハザードについては,201.12.4.103.2 を参照。

201.9

ME

機器及び ME システムの機械的ハザードに関する保護

次を除き,通則の箇条 を適用する。

201.9.6

音響エネルギー(超低周波音及び超音波を含む)及び振動

置換

*201.9.6.2.1  可聴域音響エネルギー

接近可能なあらゆる領域において,MR

装置は 20  μPa を基準として 140 dB よりも高いピーク音圧レベ


21

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

ル(LP)の騒音を生じてはならない。

適合性の確認には,NEMA MS 4 を適用する。

201.9.7

圧力容器及び空気圧又は水圧(油圧)を受ける部分

追加

201.9.7.101

MR

装置のヘリウム容器

ヘリウム容器が圧力容器として設計する場合は,通則の 9.7 及び国家規制に従わなければならない。

201.9.8

支持機構に関わるハザード

置換

201.9.8.3.3

人の荷重による動的な力

追加

注記 1  試験体は 150 mm の高さから落とし,安全動作荷重の 2∼3 倍の力がかかるように 60 mm 厚

の発泡材を緩衝材として使用する。

機械的解析によると,通則で規定される動的負荷試験よりも次の静的負荷試験の方がより

厳しいので,

リスクマネジメントに基づいて動的負荷試験を省略することが可能である。

この試験を行うに先立ち,

患者支持・懸垂機構を,患者の乗り降りを行うときの正常な使

用における水平で最も不利な位置に配置する。

計算によって動的負荷よりも大きな力となる質量を,

患者支持器に置かなければならない。

質量の接触面積は,通則の

図 33 に規定されるものと等しくし,少なくとも 1 分間保持する。

許容できない

リスクをもたらす機能の損失及び構造の損傷は,故障とみなす。

注記 2  図 33 に記載する発泡材は,この試験では用いない。

201.10

不要又は過度の放射のハザードに関する保護

通則の箇条 10 を適用する。

201.11

過度の温度及び他のハザードに関する保護

通則の箇条 11 を適用する。

201.12

制御及び計器の精度並びに危険な出力に対する保護

次を除き,通則の箇条 12 を適用する。

201.12.4

危険な出力に対する保護

追加

201.12.4.101

操作モード

201.12.4.101.1

一般

MR

装置の操作中に,その一つ又は複数の出力が患者に過度の生理学的ストレスを引き起こす可能性の

あるレベルに達する場合は,この操作が

患者の利益になるかどうかを操作者が決定しなければならない。

ここでは,

操作者がこの決定をくだすときに役立つ MR 装置の設計についての要求事項を規定する。この

規定では,操作画面,

操作者に与える情報(201.12.4.101)及び許容する出力値(201.12.4.102201.12.4.104

について規定する MR

装置の三つの操作レベルを記載する。

この細分箇条の規定は,

傾斜磁場出力,比吸収率(SAR)及び静磁場について全ての操作モードに個別

に適用しなければならない。

この細分箇条の操作モードについての規定に適合していることの証明(すなわち,操作モードによる管

理の意味及び操作モードに入るときに必要な慎重な操作及び情報,並びに表示内容)は,検査によって確

認しなければならない。201.12.4.102 及び 201.12.4.103 に含む操作モードの上限値に適合していることを証


22

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

明するための測定方法は,201.12.4.105 に規定している。

201.12.4.101.2

全ての操作モード

MR

装置は,次の要求事項に適合しなければならない。

a)

(選択した)操作モードの上限値を超えられないようにする手段(制御)を必ず備えなければならな

い。この制御は,

患者の身長,体重又は検査位置について)操作者の入力と無関係でなければならな

いか,又は MR

装置が操作者の入力の誤りを検出することによって確認しなければならない。

b)

患者が変わったときには,SAR 及び dB/dについて通常操作モードへのリセットが自動的に行われな

ければならない。

c)

MR

装置は,要求があった場合に制御盤上に,SAR の予測値を表示しなければならない。MR 装置は,

要求があった場合に

制御盤上に,10 秒間で平均した B

1+RMS

の予測値を表示しなければならない。B

1+RMS

値は,ボリューム RF 送信コイルが使われるときに限って表示しなければならない。

注記  システムの最大傾斜磁場出力は,技術資料に記載されていることを想定している。

201.12.4.101.3

通常操作モード

201.12.4.102

及び 201.12.4.103 で規定した

通常操作モードのレベルを超えた作動が不可能な MR 装置につ

いては,操作モードを

制御盤に表示しなくてもよい。

201.12.4.101.4

第一次水準管理操作モード

201.12.4.102

及び 201.12.4.103 で規定した

第一次水準管理操作モードで作動可能な MR 装置は,次の規定

に適合しなければならない。

a)

撮像を開始する前に,撮像中に印加される

傾斜磁場出力及び SAR の予測値によって決まる操作モード

を,

制御盤に表示しなければならない。

b)

撮像を制御する

傾斜磁場出力又は SAR の値が第一次水準管理操作モードに入る場合は,このことを制

御盤上に明確に表示して,操作者の注意を喚起しなければならない。操作モードの記録又は同等のデ

ータは,画像データと切り離してはならない。

c)

第一次水準管理操作モードに入るためには,操作者による意図的な操作を求めなければならない。

201.12.4.101.5

第二次水準管理操作モード

201.12.4.102

及び 201.12.4.103 で規定した

傾斜磁場出力又は SAR 値が第二次水準管理操作モードので作

動となる MR

装置は,次の要求事項に適合しなければならない。

a)

第二次水準管理操作モードに入る前に特定の安全手段を解除しないと,第二次水準管理操作モードに

は入れないようになっていなければならない。特定の安全手段は,国家規制に従って承認された人体

に関わる調査研究プロトコルの医療責任者の許可がない場合は,

第二次水準管理操作モードには入れ

ないような設計でなければならない。特定の安全手段として,キーロック,組合せ錠,ソフトウェア

上のパスワード,又は他の保護装置を備えなければならない。

注記  我が国の人体についての調査研究に関する国家規制としては,“臨床研究に関する倫理指針

(平成 20 年厚生労働省告示第 415 号)

”がある。

b)

各撮像を開始する前に,撮像の最大

傾斜磁場出力値によって決まる操作モード及び撮像時に実際に使

用する SAR の予測値を,

制御盤に表示しなければならない。

c)

撮像を制御する

傾斜磁場出力又は SAR の記録及び同等のデータは,画像データと切り離してはならな

い。

d)

この操作モードの条件は,潜在的には危険であり,通常の臨床用途にはこの条件を使用してはならな

いことを,

操作者へ知らせなければならない。


23

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

e)

MR

装置には,許可されていない限り操作者が調整できない(第二次水準管理操作モードにおける)

傾斜磁場出力又は各種類の SAR の上限値を設定する手段を備えなければならない。

*201.12.4.102 傾斜磁場システムが生成する過度の低周波磁場変化に関する保護

201.12.4.102.1

一般

この規格において,傾斜磁場システムが生成する低周波磁場変化とは,心臓又は末しょう(梢)神経の

刺激(PNS)をもたらすものである(

実効刺激持続時間>20 μs 及び組織への加熱はない)。

201.12.4.102.2  PNS

出力の上限についての目標

MR

装置は,いずれの操作モードにおいても患者及び MR 作業従事者の心臓への刺激を防止するため傾

斜磁場波形を自動的に制御するように設計しなければならない。

MR

装置は,いずれの操作モードにおいても患者及び MR 作業従事者に対して耐えられない末しょう

(梢)神経の刺激(PNS)の発生を最小にするため,傾斜磁場波形を自動的に制御するように設計しなけ

ればならない。

注記  次の細分箇条の規定を満たす MR 装置は,その診断の有効性と比較するときに,これらの目標

を満たすとみなされる。

この規格においては,次のように理解する。

− PNS とは,傾斜磁場の切換えによって神経系が活性化する感覚である。

−  PNS

しきい(閾)値レベルとは,感覚が生じ始めるレベルである(201.3.227 参照)。

−  不快な PNS とは,

患者及び MR 作業従事者に正しく説明して耐えようという気を起こさせれば,耐え

られるレベルである。

−  耐えられない PNS とは,

(痛みなどのために)

患者が撮像を速やかに終了するよう求めるレベルであ

る。

−  心臓への刺激とは,期外収縮又は他の心臓不整脈を誘発することである。

MR

装置は,通常操作モードにおける不快な PNS の発生を最小にしなければならない。

201.12.4.102.3  PNS

出力の上限値

201.12.4.102.3.1

一般

患者及び MR 作業従事者への上限値は,PNS 出力の最大値又は次のいずれかの事項で表す。

−  傾斜磁場の変化が

患者又は MR 作業従事者に誘起する電場 E

−  傾斜磁場の

磁場時間変化率(dB/dt

上限値は,

実効刺激持続時間 t

s,eff

の関数である。

図 201.101 に,幾つかの波形について,実効刺激持続

時間を図示する。これらの上限値に適合していることを証明するために用いる試験条件を,201.12.4.105.2

に記載する。

注記  MR 作業従事者の被ばく上限値は,患者への最大許容上限値と同じである。患者に対する PNS

出力上限への適合は,自動的に MR 作業従事者への適合を意味する。

201.12.4.102.3.2

心臓への刺激の防止に関連する上限値

各操作モードにおける心臓への刺激を防止するために,全ての

傾斜磁場ユニットの傾斜磁場出力は,次

の式を満たさなければならない。

⎟⎟

⎜⎜

<

3

exp

1

2

eff

s,

t

E

ここに,

E: 傾斜磁場の切り換えによって誘導される電場(V/m)


24

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

t

s,eff

実効刺激持続時間(ms)

全身用傾斜磁場システムを備えた MR 装置については,この上限値を次の式で置換してもよい。

⎟⎟

⎜⎜

<

3

exp

1

20

d

/

d

eff

s,

t

t

B

ここに,

dB/dt

傾斜磁場を切り換える間の磁場の時間変化率(T/s)

t

s,eff

実効刺激持続時間(ms)

201.12.4.102.3.3

末しょう(梢)神経の刺激(PNS)に関連する上限値

PNS

出力の上限値は,次の a)に記載したヒトの実験的研究の結果に基づくものか,又は b)に記載した値

のいずれかでなければならない。

a)

直接決定した上限値

どの種類の傾斜磁場システムについても,PNS を最小にすることに関連する上限値は,ボランティ

アによる研究から直接決定した値に基づくもので差し支えない。これは,次のようなものである。

通常操作モードにおける操作では,傾斜磁場システムは直接決定した平均 PNS しきい値の 80 %を

超えないレベルで作動しなければならない。

第一次水準管理操作モードにおける操作では,傾斜磁場システムは直接決定した平均 PNS しきい値

の 100 %を超えないレベルで作動しなければならない。

さらに,この結果を,

傾斜磁場出力の制御(201.12.4.102.2 参照)に用いるのに適した,各傾斜磁場

ユニットの重み因子を導くために用いてもよい。

ボランティアによる調査から直接決定した PNS

しきい値及び重み因子を得る方法は,201.12.4.105.1

に規定した条件に適合しなければならない。

これらの上限値及び重み因子は,この種類の傾斜磁場システムと十分に似た設計であることを示さ

ない限り,他の種類の傾斜磁場システムに適用してはならない。

b)

デフォルト値

上限値を直接求めることができない場合は,

傾斜磁場出力限度の通常操作モードにおける値(L01)

及び

第一次水準管理操作モードにおける値(L12)が,201.7.9.3.101 e)に規定したように,次に記載す

る値を超えてはならない。

L12=1.0 rb(1+0.36/ t

s,eff

),

L01=0.8 rb(1+0.36/ t

s,eff

),

ここに,

rb: 表 201.102 に示した基電流値(T/s)

t

s,eff

実効刺激持続時間(ms)

L01 及び L12 は,rb と同じく誘導電場 E(V/m)又は磁場の時間変化率 dB/dt(T/s)で表さなければ

ならない。

表 201.102 に,上式の基電流値 rb の値を示す。

表 201.102−傾斜磁場システムの種類別の基電流値

傾斜磁場システムの種類

E(V/m)で表した rb

dB/dt

(T/s)で表した rb

全身用傾斜磁場システム 

2.2 20

特殊目的の傾斜磁場システム 

2.2

使用しない

図 201.102 に,心臓への刺激及び末しょう(梢)神経の刺激に関連する,dB/dで表した全身用傾斜

磁場システムの傾斜磁場出力の上限値を,実効刺激持続時間の関数として図示する。


25

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

全身用傾斜磁場において,末しょう(梢)神経の刺激に関わる傾斜磁場出力の上限値について,通
常操作モードにおける値(L01)及び第一次水準管理操作モードにおける値(L12)を,dB/dt(T/s)
対 t

s,eff

(ms)曲線で表した図。比較のために,201.12.4.102.3.2 の心臓への刺激の上限値を示している。

図 201.102−心臓への刺激及び末しょう(梢)神経の刺激の上限値

201.12.4.102.3.4  PNS

出力の制御

MR

装置は,末しょう(梢)神経の刺激の上限値を超えないように,傾斜磁場システムの PNS 出力 O

を制御しなければならない。は,各

傾斜磁場ユニット の最大傾斜磁場出力 O

i

の重みつき二次加算か,

又は妥当性が正しく確認されている他の加算法から求めなければならない。

重みつき二次加算を表す式は,次のものでなければならない。

(

)

2

=

i

i

O

w

O

ここに,

w

i

傾斜磁場ユニットの重み付け因子

電場 の重み因子は常に 1 に等しい。dB/dの重み因子は,

表 201.103 に示している。直接決定した重み

因子の値か,又は妥当性が正しく確認されている他の計算法で導いた値を用いてもよい。

表 201.103−各傾斜磁場ユニットの最大出力 O

i

の加算の重み付け因子

重み因子

傾斜磁場システムの種類

w

AP

a)

w

LR

a)

w

HF

a)

デフォルト値 1.0

1.0

1.0

円筒形磁石 1.0

0.8  0.7

全身用傾斜磁場システム 

経験値 1.0

b)

b)

デフォルト値 1.0

1.0

1.0

特殊目的の傾斜磁場システム 

経験値 1.0

b)

b)

注記  電場 の重み因子は常に 1 に等しい。 

a)

  w

AP

w

LR

w

HF

傾斜磁場ユニットごとに許容される重み因子。傾斜磁場ユニットの患者座標

系[AP(前後)軸,LR(左右)軸及び HF(頭足)軸]での向きに依存する。

b)

  直接決定で求めた重み因子の値又は他の適切な確認方法を用いてもよい。

*201.12.4.103  過度の RF エネルギーに関する保護


26

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

*201.12.4.103.1

温度の上限値

過度の熱的ストレスを避け,身体の局所組織の損傷を防ぐため,MR

装置は,患者の体温の上昇を,パ

ルスシーケンス・パラメータ及び RF 出力の制限によって,

表 201.104 に示した値以下に制限しなければな

らない。MR

装置に起因する MR 作業従事者の体温上昇として許容される値は,通常操作モード及び第一

次水準管理操作モードで表 201.104 に示される患者に対する値と同等である。

表 201.104−温度の上限値

操作モード 

体内深部温度上限

 

局所組織温度上限

 

体内深部温度上昇の上限

 

通常 

39 39  0.5

第一次水準管理 

40 40  1

第二次水準管理 

>40

>40

>1

201.12.4.103.2

で規定する

比吸収率(SAR)の上限値で,温度上昇の上限値に代えてもよい。これらの

SAR

上限値は,組織に損傷を与えない空間的な局所温度という点から定めた。

表 201.104 及び表 201.106 の値は,控えめである。より高い温度及び高い局所 SAR 値が,患者に許容し

えない

リスクが生じないなら,特定の組織に適用できる。

(試験)  適合性は,

リスクマネジメントファイルの点検によって確認する。

注記 1  研究中の組織の過熱モデル,例えば CEM43 は,この規格の将来の見直しのときに組み込ま

れるかもしれない。

注記 2 RF 送信コイルからの漏えい RF はコイルの外側で急速に減衰するので,幾何学的な考察から

MR

作業従事者の全身被ばくは,起こり得ない。したがって,システムが第一次水準管理操

作モードで動作しているときにも,MR 作業従事者への被ばくは,ほぼ通常操作モードのレ

ベルであると想定することができる。

注記 3 RF 出力に関する保護についての要求事項は,環境温度及びその他の環境条件の管理が製造業

者の推奨値に適合していることを前提とする。

注記 4  接触可能表面については,通則の温度上限値を適用する。推定値については,附属書 AA 

理論的根拠を参照。

201.12.4.103.2  SAR

上限値

これらの要求事項に適合していることを証明するための測定方法は,201.12.4.105.3 による。

表 201.105 に,通常操作モード及び第一次水準管理操作モードにおける,全身 SAR,身体部分 SAR 及び

頭部 SAR の許容範囲を記載する。第二次水準管理操作モードに関わる上限値はない。これらの上限値につ

いての責務は,その使用を認可した施設の倫理委員会にあるものとみなす。

全身 SAR の決定に用いる質量は,患者の体重とする。身体部分 SAR の決定に用いる質量は,照射を受

ける

患者部分体重と呼び,RF 送信コイルの実効容積内にある患者の身体部分の質量とする。RF 送信コイ

ルの実効容積は,次のものとする。すなわち,実効容積内では,通常の場合に

患者が占める領域を満たす

均一な物質の内部で,吸収される総 RF 電力の 95 %以下が消費される。


27

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

表 201.105SAR 上限値(ボリューム送信コイルの場合)

単位  W/kg

平均時間 6

min

全身 SAR 

身体部分 SAR 

頭部 SAR 

身体領域

全身

照射を受ける身体部分

頭部

第一次水準管理 

4 4∼10

a)

 3.2

通常操作 

2 2∼10

a)

 3.2

操作 
モード

第二次水準管理 

>4

>(4∼10)

a)

>3.2

長時間 MR

検査の比吸収エ

ネルギー

この規格の上限値を満たす場合,許容する比吸収エネルギーの最大値は,

MR

検査当たり 14.4 kJ/kg(=240 W・min/kg)

短期 SAR

任意の 10 秒間にわたる SAR 上限値が,既定値の 2 倍を超えてはならな

い。

a)

  上限値は“照射を受ける患者部分体重/患者の体重”に比例して動的に変動する。

通常操作モード

身体部分 SAR=10 W/kg−

(8 W/kg×照射を受ける

患者部分体重/患者の体重)

第一次水準管理操作モード

身体部分 SAR=10 W/kg−

(6 W/kg×照射を受ける

患者部分体重/患者の体重)

注記 1  MR 作業従事者の被ばく上限は,患者への最大許容上限値と同じである。したがって患者へ

の SAR 上限の適合は,MR

作業従事者への適合を意味する。

注記 2  全身 SAR と局所 SAR との比については,附属書 AA を参照

注記 3  患者の検査が非常に長いことが一般的であるため,長時間 MR 検査の比吸収エネルギーの上

限値を導入した。この上限値は,電力の吸収及び人体の体温調節能力を考慮した最初の簡単

なモデルで得た値である。これは,MR

検査時間又は MR 検査における個々の撮像における

SAR

値を制限し,全ての SAR 上限値及び全ての操作モードに適用できる。

患者に適切な休

息を与え,複数の独立した検査を行う場合は,各々の検査は,長時間 MR

検査の比吸収エネ

ルギーの観点からは独立したものとみなされる。

注記 4  ボリューム RF 送信コイルの定義から,例えば膝又は手首用に設計された送信コイルは,ボ

リューム RF 送信コイルとみなされる。これらのタイプのコイルでは,照射される

患者部分

体重は大幅に減るが,

身体部分 SAR の上限値を適用しなければならない。

表 201.106 に,通常操作モード及び第一次水準管理操作モードにおける,局所 SAR の許容値を示す。第

二次水準管理操作モードに関わる上限値はない。これらの上限値についての責務は,その使用を認可した

施設の倫理委員会にあるものとみなす。

表 201.106SAR 上限値(局所送信コイルの場合)

単位  W/kg

平均化時間 6

min

局所 SAR 

身体領域

頭部

体幹部

四肢

通常 

10

a)

 10  20

第一次水準管理 

20

a)

 20  40

操作

モード

第二次水準管理 

>20

a)

>20

>40

短期 SAR

任意の 10 秒間にわたる SAR 上限値が既定値の 2 倍を超えてはならない。

a)

  小さな局所 RF 送信コイルの領域内に眼か(窩)を配置する場合は,温度上昇が常に 1  ℃に制限

されるように注意しなければならない。


28

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

電圧は,時間変動する磁場によって,少なくともそれに垂直なループを形成する導体上に時間変動する

成分として誘起される。導体間の電場は,間隙に応じて任意の大きさとなるが,一般に局所的である。ラ

ジオ波では,これらの局所電場は,高い

局所 SAR レベルとなる可能性がある。この問題は,様々な方法で

避けることができる(電流をバランを使って低減する,又はスペーサを使って高い電場の領域に

患者が近

づかないようにする。

。送信線からの局所の SAR は,

表 201.106 に示す局所 SAR の上限値で規制される。

製造業者からの取扱説明書の指示に従うことは,責任部門の責任である。

該当する場合には,

製造業者は不要な RF 相互作用に関連するリスクをリスクマネジメントファイルに

記載しなければならない。

(試験)  適合することを,

リスクマネジメントファイルの点検によって確認する。

全身 SAR については,表 201.105 の値は周囲温度が 25  ℃以下の場合に有効である。これよりも高い温

度の場合は,これらの値を実際の

周囲温度に従って低減しなければならない。周囲温度に対する SAR 上限

値の低減は,25  ℃の温度から始める。

上記の開始温度を超える

周囲温度では,第一次水準管理操作モードについては SAR が 2 W/kg になるま

で,

周囲温度が 1  ℃上がるごとに,全身 SAR 上限値を 0.25 W/kg ずつ低減させなければならない。この細

分箇条の要求事項を

図 201.103 に示す。

第一次水準管理操作モードでの周囲温度に対する全身 SAR 上限値を示す。

図 201.103−高い温度における全身 SAR 上限値の低減

図 201.103 のグラフは,第一次水準管理操作モードでの周囲温度に対する全身 SAR 上限値を示す。

201.12.4.103.3  SAR

の制御

撮像に

ボリューム RF 送信コイルを使用する場合,MR 装置は,頭部 SAR,身体部分 SAR 及び全身 SAR

を制御しなければならない。撮像に

局所 RF 送信コイルを使用する場合には,MR 装置は,局所 SAR 及び

全身 SAR を制御しなければならない。

注記 1 RF 送信コイルの寸法,患者のサイズ及びコイルに対する患者の位置から決まる実際の撮像の

状況に応じて SAR の一つが制限因子となり,

このことから送信可能な最大 RF 出力が決まる。

注記 2  SAR の表示についての要求事項は,201.12.4.101 に規定する。


29

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

注記 3  マルチチャンネル送信コイルは,局所及びボリューム RF 送信コイルの両方の特性をもつ。

適切な SAR の制御は,コイルの用途に依存する。

*201.12.4.104  静磁場に関する保護

MR

装置の静磁場強度とは,作動時の磁場強度である。

静磁場については,201.12.4.101 で規定したように,次の操作モードを適用する。

a)

通常操作モードは,3 T 以下の静磁場の値である。

b)

第一次水準管理操作モードは,3 T を超えて 4 T 以下の静磁場の値である。

静磁場の値は永久的であるという特性から,

第一次水準管理操作モードに入るために操作者が意図的な

操作を行う必要はない。

c)

第二次水準管理操作モードは,4 T を超える静磁場の値である。

静磁場中での動きによって引き起こされる

患者及び MR 作業従事者へのめまい,吐き気などの生理学的

影響を最小にしなければならない。実際には,漏えい磁場中を人が動くことによる dB/dの値を制限する

ことを意味する。許容できる dB/dの最大値は,移動速度及び空間的な磁場の不均一性(漏えい静磁場の

空間的な傾き)で決まる。

患者を漏えい静磁場による傾斜部分から磁石内に搬送するときの許容される動きの速度は,患者への最

大 dB/d値が 3 T/s を超えないように制限しなければならない。この上限値は,

患者の状態によらず,また,

MR

装置の操作モードにも関係しない。

取扱説明書[201.7.9.2.101 k)参照]には,MR

作業従事者の動く速度の上限及び訓練の必要性を記載し

なければならない。

201.12.4.105

要求事項への適合性の証明方法

201.12.4.105.1  PNS

出力の上限値の直接測定

PNS

出力の上限値が直接決定した値に基づく場合,その測定の実施及びしきい値の導出は,この細分箇

条に適合しなければならない。

この測定は,ボランティアで行う。測定で得られた値を PNS

しきい値とする。

この測定には,測定対象者の訓練期間及び経験の再現性の試験を含む,明確に規定されたプロトコルを

備えなければならない。標本の大きさ(対象者の数)は,11 例以上でなければならない。男女両方の健常

な成人を含む代表的な対象者を採用しなければならない。

あらゆる

患者位置を含めるために,傾斜磁場システム内でボランティアを段階的に移動させることによ

って,一つの

実効刺激持続時間で一人のボランティアについて最悪の位置を決定しなければならない。

あらゆる波形を測定範囲に含めるためには,次の三つの選択肢がある。

a)

全ての代表的波形について,しきい値を記録する。

b)

正弦波形又は台形波形について,しきい値を記録し,他の波形については,妥当性が正しく実証され

ているモデルから,しきい値の波形に対する依存性を推定する。

c)

全ての波形について,そのしきい値は台形波形又は正弦波形について記録されたしきい値に等しいと

みなす。

傾斜磁場システムで実現可能な

実効刺激持続時間の全範囲を測定範囲に含めるために,臨床的に妥当な

最大範囲まで,一桁ごとに 3 点以上の値を測定しなければならない。測定点の間には補間法を使用しても

よい。全ての

傾斜磁場ユニットを個別に試験しなければならない。最大傾斜磁場出力において刺激を生じ


30

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

ない場合は,二つ又は三つの

傾斜磁場ユニットを組み合わせて,少なくとも一つの傾斜磁場ユニットを最

大出力に駆動して,試験しなければならない。

試験を行うそれぞれの傾斜磁場波形,

傾斜磁場ユニット及び実効刺激持続時間ごとに,最悪の位置にあ

るボランティアで観察されたしきい値から平均 PNS

しきい値を導かなければならない。

この研究で観察された,同じ波形のしきい値の

傾斜磁場ユニットごとの違いは,重み因子の根拠として

使用してよい。

人体についての研究の報告書は,この規格への適合性を検証する試験機関から要求があった場合には,

必ず閲覧できるようにしておかなければならない。また,報告書は MR

装置が市販されている国の審査機

関から要求があった場合にも,必ず閲覧できるようにしておかなければならない。

この報告書には,少なくとも次の内容を含めなければならない。

−  使用した波形及び

実効刺激持続時間

−  PNS

出力を表すのに使用したパラメータ

−  MR

装置内におけるボランティアの最悪の位置

−  ボランティアに関連のある人口統計学的特性

−  ボランティアの人数

−  研究プロトコル

−  観察された PNS

しきい値

−  直接測定による場合は,直接測定した PNS

しきい値

−  試験を行わなかった波形のしきい値を推論するのに使用したモデルの説明(モデルを使用した場合)

−  重み因子を使用する場合は,その重み因子

201.12.4.105.2

最大傾斜磁場出力の決定

201.12.4.105.2.1

最大傾斜磁場出力の決定のための一般的要求事項

傾斜磁場ユニットについて,MR 装置に備わっている臨床用途の波形か,台形波形又は正弦波形のい

ずれかの波形を用いて,適合性容積内の

傾斜磁場出力の空間最大値を最大傾斜磁場スルーレイトにおいて

決定しなければならない。

201.12.4.105.2.2

患者に対する最大傾斜磁場出力の決定

(試験)  この決定は,次に記載する計算 a)又は試験 b)のいずれかによる。

a)

計算による適合性の確認

傾斜磁場出力を dB/dで表す場合は,ビオ・サバールの法則を用いて,傾斜磁場コイルの巻線の形

状に基づいて求めてもよい。

傾斜磁場出力を電場 で表す場合は,ベクトルポテンシャル の静磁気的表式を用いて,傾斜磁場

コイルの巻線の形状に基づいて求めてもよい。誘導電場 は,負号を付けた の時間微分から,電流

の変化による静電位の勾配を引いたものである。

表 201.102 に示されている傾斜磁場に誘導される基

電流の値を用いて L12 及び L01 を求める。L12 及び L01 は,均一で(伝導度=0.2 S/m)単純な形状[例

えば,全身用円筒形ボアの場合は半径 0.2 m の円筒,頭部用コイルの場合はだ(楕)円体]の

患者モ

デルの内部又は表面上に認められる電場強度の最大値である。電場は次の式を用いて求める。

Φ

=

t

A

E

ここに,

A

傾斜磁場コイルの電流によるベクトルポテンシャル

Φ: 電荷による静電ポテンシャル[詳細は,附属書 AA 


31

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

201.12.4.102

の(15)参照。

他の適切なモデル(不均一モデルなど)を用いると異なる電場しきい値が得られることがあるが,

製造業者が正当化できる場合はそれを代替値として用いてもよい。

直線部分のベクトルポテンシャルを計算してから,これらを(ベクトル成分として)加算してもよ

い。

結果報告書:(結果報告書には,次の項目を記載する。)

パラメータ

単位

適合性容積の大きさ及びその境界の座標 m

次のデータは個々の

傾斜磁場ユニットについて報告する。

最大傾斜磁場強度 G

,max

及び G

,max

 mT/m

最大傾斜磁場スルーレイトの値 mT/m/ms 
傾斜磁場ユニットを最大傾斜磁場スルーレイトにおいて最大傾斜磁場
強度の間で切り換えるときの立上がり時間

ms

傾斜磁場出力の値(dB/d又は E) T/s

最大

傾斜磁場出力になる位置の座標 M

不均一な伝導度の

患者モデルを用いる場合は,そのモデルの詳細

b)

試験による傾斜磁場出力の適合性の確認

試験装置

1)

サーチコイルの設計

サーチコイルは,傾斜磁場出力の直交する 3 方向の成分(直交座標又は円柱座標)を測定できる

ように組み立てなければならない。例えば,互いに直交する独立した 3 個の

サーチコイル素子を共

通の中心の周囲に組み立てる。この

サーチコイルを用いると,測定の過程で位置調整をやり直すこ

となく,

傾斜磁場出力の独立した各成分を測定することができる。

精度を確保するため,各

サーチコイル素子は,円形でなければならない。さらに,試験対象の傾

斜磁場装置よりも小さくなければならない。サーチコイル素子は,巻数

n

,半径

r

の導線で構成す

る。コイルの軸方向の長さは,直径の 20 %未満でなければならない。

サーチコイル素子の直径は,

50 mm 以下でなければならない。サーチコイル素子の応答性は,計算又は測定によって求めなけれ

ばならない。

サーチコイル素子と同軸方向の d

B

/d

t

成分の瞬間値は,時間変化する磁束によってコ

イルに誘発されるピーク電圧

V

coil

から求めなければならない。

2

π

d

d

r

n

V

t

B

coil

=

例えば,代表的な

サーチコイル素子は,直径

0.6 mm

15

ターンの銅線で構成する直径

50 mm

r

25 mm

,長さ約

9 mm

の円形コイルである。

サーチコイルと同軸方向に

6.79 T/s

dB/dt

が加わ

ると

200 mV

の誘導電圧が発生する。個々の

サーチコイル素子には,それぞれ減衰器を備えなけれ

ばならず,どの

サーチコイル素子も同じ感度になるように補正できなければならない。個々の素子

の感度は,

計算又は測定による既知のものでなければならない。個々の

サーチコイル素子の信号は,

装置に並列に入力されなければならない。その装置の出力は,各入力値の

2

乗和の平方根である。

この装置は,その出力を電圧,すなわち

サーチコイル電圧で表さなければならない。その代わりに,

個々の素子の

dB/dt

値を,測定電圧及び計算若しくは測定によって決められた感度を基に計算して

もよい。試験している

傾斜磁場ユニットの

dB/dt

値を得るために,個々の素子の

dB/dt

値を平方し,


32

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

足し合わせて,更に平方根をとる。感度係数

S

を用いた

サーチコイル電圧

V

out

dB/dt

T/s

)との

関係は,次の式で表す。

t

B

S

V

d

d

out

=

小さな

dB/dt

1 T/s

の範囲)の領域で信号強度を測定する場合は,

0.01 V/T/s

の最小感度を用いる

のが望ましい。

2

)

サーチコイルの補正

感度係数

S

を測定するためには,

サーチコイルの補正を行わなければならない。

3

)

電圧測定装置

サーチコイルに誘導される電圧の測定装置は,信号の減衰を防ぐために高入力インピーダンスで,

十分な帯域幅をもつものでなければならない(例えば,ストレージ・オシロスコープなど)

電圧測定装置(ストレージ・オシロスコープ)は,磁場の影響を受けないで正確に測定できる位

置に設置しなければならない。

サーチコイルの電圧は,例えば同軸ケーブルで生じるような波形のリンギングを避けるために,

ツイストペア線などの高インピーダンス・ケーブルを用いて電圧測定装置に接続しなければならな

い。スイッチング電源を使用する傾斜磁場増幅器の場合は,スイッチング周波数成分を最大限に減

衰させるために,

サーチコイルの出力端は,アナログ・フィルタ装置を用いてオシロスコープに接

続する。

4

)

位置調整装置

安定性があり,かつ,再現可能な方法で

サーチコイルを磁石内に設置し,位置を調整するための

調整手段を備えなければならない。この装置は,

適合性容積全体にわたってサーチコイルの位置を

調整できるものでなければならない。

測定

傾斜磁場ユニットについて,MR 装置が備えている臨床用途の波形,正弦波形又は台形波形のい

ずれかの波形を用いて,

適合性容積内で,次の手順によって測定を行う。

1

)

干渉を防ぐために,ラジオ波(

RF

)送信機のスイッチを切るか,又は最大限減衰させる。

2

)

測定対象とする

傾斜磁場ユニット以外の全ての傾斜磁場ユニットのスイッチを切る。

3

)

反復する波形を用いて

最大傾斜磁場スルーレイトで傾斜磁場ユニットを作動させる。

4

)

サーチコイルを適合性容積内で電圧が最大になる位置に移動する。

5

)

この位置で,

サーチコイル電圧のピーク値

V

out

を測定する。

6

)

傾斜磁場出力の強度を

dB/dt

V

out

/S

として求める。

結果報告書:(結果報告書には,次の項目を記載する。)

パラメータ,一般

単位

適合性容積の寸法及びその境界の座標 m

傾斜磁場ユニットに対する最大傾斜磁場スルーレイトの値 mT/m/ms

傾斜磁場ユニットについて報告するデータ

最大傾斜磁場強度 G

,max

,G

,max

 mT/m

傾斜磁場ユニットを最大傾斜磁場スルーレイトにおいて最大傾斜磁場
強度の間で切り換えるときの立上り時間の値

ms

最大

傾斜磁場出力になる位置の座標 m

傾斜磁場出力 dB/dの値 T/s


33

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

201.12.4.105.2.3

201.7.9.3.101 b

)

にて報告が要求される傾斜磁場出力の漏えい分布の決定

MR

作業従事者への各傾斜磁場ユニットからの被ばく量を推定することができるように,傾斜磁場出力

の空間的な最大値が

図 201.104 a

)

及び

図 201.104 b

)

で示す容積上で決められなければならない。特定の点の

パターンは,MR

作業従事者が接近の可能性があり,かつ,傾斜磁場ユニットによって最大の被ばくとな

る最悪の場合の点を代表しなければならない。

注記 1

縦形磁石の場合は,円筒の軸(患者体軸)は,磁場の方向に垂直である。患者ボアという用

語は,磁極間の磁石ギャップに置き換える。磁石長という用語は,磁極の直径に置き換える。

特定の点のパターンは,直径が最小の接近可能な

患者ボアに等しく,患者の軸を取り囲む仮想の円筒

上に配置しなければならない。

円筒は磁石の

アイソセンタから始まり,少なくとも

1 m

患者開口部(磁石長の半分)を超え,できれ

ば開口部から

患者寝台の全長に沿う。

円筒軸方向については,点の間隔は

0.05 m

を超えてはならない。

各々の円筒軸について,円筒の表面上に少なくとも

16

点が等距離に取られなければならない(すなわ

ち,円周上に)

。点は,

x

y

との傾斜磁場軸の中央の位置[すなわち角度にして

n

×

45

°の位置,

n

1

3

5

7

]を含まなければならない。

各々の

傾斜磁場ユニットの磁場ベクトルは,ビオ・サバールの法則を用いて円筒の各々の点で計算さ

れるか測定されなければならない。

各々の点について,三つのベクトルの和をとって,傾斜磁場の強さを決めなければならない。

最大値は,円筒軸位置に沿ってプロットされなければならない。

患者開口部の軸方向での位置に印を

つけなければならない。

注記 2

パターンはまた,MR

作業従事者に対する末しょう(梢)神経刺激(PNS)の可能性に関

連して考慮し,

患者が接触の可能性がある外部の空間について相対的な磁場分布を図示す

る。

結果報告書:(結果報告書には次の項目を記載する。)

円筒軸に沿った点の距離

方位方向の点の数

円筒軸に沿った最大値のグラフ


34

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

a)

  円筒形磁石 

b)

  縦形磁石 

a:  磁石 
b:  アイソセンタ 
c:  患者体軸と仮想円筒の軸 
d:  最小の接近可能な患者ボアを表す仮想円筒の直径 
e

n

: 三つの磁場ベクトルの強度を決めるための円筒表面の点。

アイソセンタ(点 b)から距離

z

i

の円筒表面での点 e

i

において見出される最大磁場強度は,表面 f

i

での最大値を表す。

図 201.104−傾斜磁場出力の空間的最大値を求める体積

201.12.4.105.3

吸収される高周波エネルギーの決定

201.12.4.105.3.1

温度

201.12.4.103.1

で規定される温度の上限値を,

MR

装置の操作パラメータの上限値として使用してもよい。

この決定には,実験データ又は数値計算法(例えば,有限要素法)を用いなければならない。

201.12.4.105.3.2

SAR

の決定

全身 SAR は,吸収される

RF

電力の測定及び

操作者の入力に基づく患者の体重から決定するか,又は他

の適切な手段によって決定しなければならない。MR

装置からの吸収

RF

電力は,次に記載する方法の一

つ又はそれと同等の方法を用いた測定によって試験しなければならない。


35

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

身体部分 SAR は,ボリューム RF 送信コイルの寸法,患者の体重,並びに身長及び患者の位置との関連

について妥当性が正しく実証されており確固とした理論的又は経験的モデルを用いて,

全身 SAR から決定

しなければならない。例えば,照射を受ける

患者部分体重を決定するのにふさわしいモデルには,各種の

均一な円筒で

患者の身体を模擬する方法がある。局所 SAR の分布は,理論的モデル又は実験によって決定

してもよい。

身体部分 SAR 及び局所 SAR の決定に用いるモデルは,そのモデルから導かれる値と直接測定可能な値

(例えば,ファントム内の温度分布。

)との比較によって,妥当性を実証しなければならない。

(試験)MR

装置で使用可能な出力レベルの全範囲にわたって SAR の決定を検証し,規定している SAR

上限値を用いると安全な操作が行えることを保証する測定方法を検査して,適合性を確認しなければなら

ない。

注記

吸収される

RF

電力の決定に利用可能な方法は,NEMA MS 8 による“パルスエネルギー法”及

び“熱量測定法”として知られているものである。

*

201.12.4.105.3.3

201.7.9.3.101 b

)

にて報告が要求される漏えい磁場 B

1

の決定

MR

作業従事者が,接近可能な位置,又は関連する位置についての

RF

送信コイルの最大

RF

送信出力を,

計測するか,又は計算して報告しなければならない。

B

1

(z)

値については,

アイソセンタから初めて患者体軸(通常は

z

方向)に沿った点に沿って計測するか

又は計算しなければならない。

注記 1

円筒形磁石では,

患者体軸は磁石軸に一致する。縦形磁石では,円筒軸(すなわち,患者体

軸)は磁場軸と直交する。

RF

送信コイルに直交する面の

B

1

値は十分に均一であると推定できるので,

患者体軸だけに沿って

B

1

を測定及び/又は計算することで十分である。

測定点間の距離は,

0.1 m

を超えてはならない。

各々の点について

B

1

値の大きさを計測又は計算しなければならない。

注記 2

円偏光

RF

送信タイプの磁石では,半径方向の成分だけの決定で十分である。

測定は,適切な検出コイル及びネットワークアナライザの組合せ,又は

RF

シグナルジェネレイタ及

びスペクトラムアナライザの組合せを用いて行うことができる。

  B

1

2

(z)

値と

B

1

2

(0)

値との比は,各点について計算しなければならない。

アイソセンタからの距離

z

の点での計算値は,底面での最悪の条件のものを示すため,仮想的な円す

い(錐)底面の全ての位置に適用しなければならない(

図 201.105 参照)。円すいの底面は,アイソセ

ンタからの距離

z

への直線に垂直な面である。円すいは,

アイソセンタから磁石の開口部へ投影する

開口角によって定義できる。円すいの高さは,距離

z

である[

図 201.105 a

)

参照]

縦形磁石の場合は,領域は円すいをアイソセンタで回転させ,底面を重ね合わせて規定する[図 201.105 

b

)

参照]

注記 3

詳細な説明は,

附属書 AA を参照。

結果報告書:(結果報告書には次の項目を記載する。)

  B

1

2

(z)

値の測定又は計算する点の軸方向の座標,すなわち MR

作業従事者が接近する又は関係する位

アイソセンタでの

B

1

2

(0)

に関連する測定点での

B

1

2

 (z)


36

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

a)

  円筒形磁石 

b)

  縦形磁石 

a:  磁石 
b:  アイソセンタ 
c:  患者体軸 
z

i

アイソセンタからの点 e

i

の距離

B

1

(z

i

)値は,測定又は計算によって決められなければならない。B

1

2

(z

i

)値と B

1

2

(0)値との比は,

点 e

i

ごとに計算しなければならない。点 e

i

にて計算した値は,対応する領域 f

i

に対応させなけ

ればならない。点 e

i

での値は,常に領域 f

i

内の最大の値を示す。

図 201.105B

1

漏えい磁場の決定を行う容積

201.13

危険状態及び故障状態

通則の箇条 13 を適用する。

201.14

プログラマブル電気医用システム(PEMS


37

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

通則の箇条 14 を適用する。

201.15

ME

機器の構造

次を除き,通則の箇条 15 を適用する。

追加

201.15.101

冷媒(液体及び気体)

超電導磁石を備えた MR

装置については,冷媒の量を監視する手段を備えなければならない。

冷媒(液体及び気体)についての情報を取扱説明書に記載する要求事項については,201.7.9.2.101 f

)

に規

定している。

201.16

ME

システム

次を除き,通則の箇条 16 を適用する。

201.16.8

ME

システムの部分への電源供給の中断

追加

201.16.8.101

緊急減磁装置

超電導磁石又は常電導磁石で構成される MR

装置には,緊急減磁装置を備えなければならない。

注記 1

このような緊急事態とは,例えば,強磁性体が磁場に吸引されることによって,人が危険に

さらされるなどの場合である。

注記 2

緊急減磁装置に関わる情報を取扱説明書に記載することについての要求事項は,201.7.9.2.101 

m

)

に規定している。

注記 3

緊 急 減 磁 時 の 磁 場 の 減 衰 特 性 に 関 わ る 情 報 を

附 属 文 書 に 記 載 す る こ と に つ い て は ,

201.7.9.3.101 d

)

に規定している。

201.16.8.102

撮像の中断

傾斜磁場システム及び

RF

送信コイルの電源を遮断して,

操作者が速やかに撮像を中止できる機能を備

えなければならない。

*

201.17

ME

機器及び ME システムの電磁両立性

通則の箇条 17 を適用する。

注記

この個別規格の箇条 202 には,電磁両立性についての追加要求事項を記載している。

*

202

電磁両立性−要求事項及び試験

次を除き,IEC 60601-1-2

:2007

を適用する。

202.6

電磁両立性

追加

202.6.101

MR

装置の電磁両立性

立入制限区域の外側では,漏えい磁場が

0.5 mT

未満で,電磁干渉レベルが IEC 60601-1-2 に適合しなけ

ればならない。

立入制限区域の内側では,IEC 60601-1-2 は適用せず,201.7.9.2.101 e

)

の規定を適用する。

注記 1

電磁両立性について,

立入制限区域が設けられている場合は,これを MR システムの一部と

みなす。

注記 2

立入制限区域の内側における特別なインタフェースの要求事項は,MR 装置の製造業者が指

定してもよい。


38

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

附属書

附属書については,次を除き,通則を適用する。


39

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

附属書 D 

参考)

警告及び禁止図記号例

附属書 については,次を除き,通則を適用する。

追加

表 201.D.101−警告及び禁止図記号例

警告図記号

警告,強磁場による

リスク

警告図記号 
警告,非電離放射線による

リスク

禁止図記号 
ペースメーカ装着者の立入禁止

禁止図記号 
金属製体内植込物保有者の立入禁止


40

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

表 201.D.101−警告及び禁止図記号例(続き)

禁止図記号 
金属製品・時計の持込禁止

医用機器へのマーキングの導入及び MR 環境下での安全に対する他の項目の追加例は,ASTM 規格

F2503-05

に記載されている。これは,MR 適合,MR 条件適合及び MR 非適合機器のマーキングの仕様に

関連している。

T/R

T

R

図 201.D.101−送信専用 RF コイル,送受信 RF コイル及び受信専用 RF コイルを表す記号


41

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

附属書 AA

参考)

理論的根拠

AA.1

特定の箇条及び細分箇条についての理論的根拠

この附属書は,この規格の特定の箇条及び細分箇条に対する理論的根拠を記載する。箇条及び細分箇条

の番号は本文のものである。

注記

この

附属書において,“規格第

2

版”又は“規格第

3

版”と記載しているときには,それぞれこ

の規格に対応する国際規格 IEC 60601-2-33 の第

2

版(IEC 60601-2-33

:2002

)又は第

3

版(IEC 

60601-2-33

:2010

)を表す。

序文について

規格第

3

版の作成前数年の間に,MR

装置の一般的な安全について一連の出版が行われている。一般的

な指針については,参考文献[

150

151

152

]及び[

153

]を参照。MR

装置内部及びその周辺の独

自の電磁場については,IEEE 及び ICNIRP が,管理環境での作業者に対する静的及び時間変化する電磁

場による被ばく限度を定めている。規格第

2

版発行後まもなく,ICNIRP は,MR

検査の患者に特定した

ステートメントを発行した(文献

132

参照)

注記

IEEE

: Institute of Electrical and Electronics Engineers

ICNRP

: International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection

(国際非電離放射線防護委員

会)

IEC 60601-2-33

規格第

2

版追補

2

IEC 60601-2-33 am2 Ed. 2.0。以下,追補

2

という。

)で導入された新

たな重要な点は,MR

作業従事者の使用者には,MR 作業従事者に対する規則を定め,要求項目を策定す

ることを推奨するということである。

なぜなら,MR

システムによって発生する

EMF

が作業者に被ばくを与え,そのことが法律で規制されて

いる又は規制される方向である。追補

2

において,

患者に許容されるものと同等の,MR 作業従事者の被

ばく上限が導入された。

患者及び MR 作業従事者に許容される全ての被ばくレベルにおいて,健康への悪

影響を防止できる。

患者の体位に比べて作業者の体の向きは異なるので,作業者への被ばくは物理的に違

ってくるが,

同じ被ばく上限を適用した。

この規格第

3

版において

患者への被ばく上限を変更しているが,

それはこの文言を無効にはしない。したがって規格第

3

版での MR

作業従事者への被ばく上限は患者に許

容されるものに等しい。追補

2

で制定されたこの選択の根拠は,今なお妥当で,規格第

3

版の 201.7.9.2.101 

h

)

及び 201.7.9.2.101 k

)

の理論的根拠にもみることができる。

201.3.201

B

1+RMS

RF

パワーについて,SAR 値を補足する量として

B

1+RMS

値を

制御盤上に表示する。

B

1+RMS

値は,例えば,

体内植込物

製造業者による標示において,体内植込物を装着している患者への許容される

RF

出力を管理

するために使用される。

制御盤上に表示される

B

1+RMS

値は,パルスシーケンスにおける任意の

10

秒間平均の最大値であり,

RF

送信コイルの中央での予測である。

B

1

値の計算値は,回転座標系での

2

成分を基に求める(文献

155

2

1

2

1

1

|

)

(

|

|

)

(

|

)

(

t

B

t

B

t

B

+

+

=

ここに,

+

1

B

回転座標系で磁化を傾けるのに有効な

RF

場の成分


42

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

1

B

磁化の回転と反対方向の成分

注記

純粋な円偏光では,

|

B

1

(

t)|

0

で,直線偏光では

|

B

1

(

t)|

|

B

1+

(

t)|

パルス幅

τ

の正方向への回転系で振幅

|

B

1+

|

の方形波パルスの場合,フリップ角

θ

は,次の式で求める。

τ

γ

θ

|

|

1+

B

=

ここに,

γ

磁気回転比

201.3.207

周囲温度

この規格では,

周囲温度は次のように計算する。撮影室の温度を

Tr

(℃)とし,架台の

患者ボアの壁温

度を

Tb

(℃)とし,磁石長を

L

とする。代表的な

患者の身長を

1.76 m

とし,対流係数

hc

9.5 W/(m

2

)

放射係数

hr

8.0 W/(m

2

)

とする。

周囲温度

Te

を,次によって求める。

患者の体表温度を

Ts

(℃)

,体表面積

A

とし,室温の大気に対流によって散逸する

患者の熱エネルギー

は,

(

)

Ts

Tr

hc

A

C

=

注記

負号は,

患者から熱エネルギーが散逸することを表している。より控えめな仮定は,患者の熱

エネルギーは,

患者の全体表面からボアの壁に向かって放射によって散逸するということであ

る。

(

)

Ts

Tb

hr

A

R

=

全熱損出は,均一な周囲温度

Te

への損失と等価である。

(

)(

)

(

)

(

)

Ts

Tb

hr

A

Ts

Tr

hc

A

C

R

Ts

Te

hr

hc

A

+

=

+

=

+

この式から

Te

は,次の式で求める。

(

)

hr

hc

Tb

hr

Tr

hc

Te

+

+

=

201.3.213

インターベンショナル MR 検査

細胞吸引,コアバイオプシ,ブレストバイオプシ,ワイヤ留置術,頭部淡そう(蒼)球への深部

EEG

電極配置,化学焼しゃく(灼)

,凍結療法,並びにレーザ,集束超音波及び高周波による加

熱焼しゃく(灼)

。開頭して頭部腫瘍を切除するときのガイドとして,手術室における使用。内視

鏡と組み合わせて外部及び内部からの位置決め及び可視化に使用。

装置の例  開放形形状の磁石,高速画像シーケンス(フロロスコピ)及び撮影室内

制御盤。

特別なシーケンスの例  温度計測及びキーホールイメージング。

非侵襲な可視化及び位置決めのために MR

装置を用いる。非線形傾斜磁場及び磁化率アーチファクトに

よる幾何学ひずみ(歪)が問題となる。

MR

作業従事者及び患者への安全との関連:開放形形状であるために全ての高い磁場へ接近が可能とな

る(静磁場,時間変動する磁場及び

RF

適合機器:実用的なインターベンショナル MRI への最初のステップは,臨床用 MR

装置の分野で,満

足ができ,かつ,安全に機能することができる機器の開発である。外科用機器及び監視用装置については,

磁場による吸引力に起因する事故の可能性がある。磁化率の違いによって画像アーチファクトが発生する

場合がある。アーチファクトは,パルスシーケンスにも依存する(グラディエントエコー法の場合は,発


43

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

生しやすい。

。磁場強度が高くなるとアーチファクトは増加する。補助装置には,麻酔モニタ,レーザ,

RF

発生器及びトラッキングシステムを含む。傾斜磁場は,電圧及び電流を誘起し,アーチファクトを引き

起こす可能性がある。したがって,MR

装置とインターベンション装置の回路系との干渉を避けるため,

ケーブルでループを作ることは避ける。

インターベンションの目的で開発された針,カテーテル及びその他の器具(高ニッケルのステンレス鋼

及び他の材質で構成されている。

)は,静磁場による回転力が少なく,磁化率アーチファクトも少ない。

MR

システムにおけるインターベンション手技が増加しているので,通常の

X

線システムの場合と同様

に,MR ユニットにおいて保護接地インピーダンス及び接触電圧の測定を行う(文献

146

撮影室内の強い磁場によって手順の幾つかの違いはあるが,一般的な原理は同じである。

接触電圧は,撮影室外に置いた汎用の自動レンジタイプのデジタルマルチメータ及び必要な長さのケー

ブルがついた計測端子を使用して計測する。端子の一方は,接地点につけ,他の一方は,先端がとが(尖)

った形状で,撮影室内にある接触可能な全ての点での接触電圧を計測する。端子には,大きな量の磁性材

料が使われていないことを,試験用磁石を用いて確認する。

測定は,接地点及び撮影室の全ての主要なソケットとの接地端子間についても行う。撮影室の外のソケ

ットを使い,撮影室内で使用される機器がある場合,それらは撮影室内のソケットと同じ位相でなければ

ならないため,それらのソケットの接地部の接触電圧も計測する。接触電圧は

10 mV AC

又は

10 mV DC

以下である。電圧が

10 mV

を超える場合は,

IEC

フィルタを使用して再測定を行う。それでも接触電圧が

10 mV

を超える場合は,電源を詳細に調べる。顕著な接触電圧がないことが確認できたら,保護接地イン

ピーダンスを測定する。磁場から十分安全な距離を保って測定するために,電池駆動の四線式ミリオーム

メータを使用する。計器は

10 mΩ

以上の分解能をもち,

100 mA

以上の電流で測定ができるものとする。

接地点と装置の全ての接触可能表面との抵抗は,

100 mΩ

以下である。接地点と全ての主要ソケットの

接地端子との抵抗も,

100 mΩ

以下である。

いかなる携帯装置も,都合のよい位置の室内のソケットに直接接続することが望ましい。撮影室では,

外部からの延長ケーブルは,使用しない方がよい。

201.3.217

MR

磁気共鳴)

磁気共鳴の現象は,放射する電磁波の周波数が原子核又は電子の磁気モーメントのラーモア歳差運動周

波数に等しいときに起こる。

201.3.221

MR

作業従事者

MR

作業従事者という概念は,MR システムから放射される

EMF

(電磁場)の照射レベルに関係してい

る。このレベルは,幾つかの国で法規制されている一般の労働者に許容されているものよりも高い場合が

あるが,この規格では MR

作業従事者に必要な特別な

EMF

照射レベルを設定する。この規格の

EMF

照射

レベルは,撮影中に MR

作業従事者が立入制限区域に立ち入ることを制限しない。MR 作業従事者への照

射レベル及びそれによる

リスクは,この附属書の他の部分で議論する。

MR

作業従事者という言葉は,MR システムが据え付け,稼動,若しくはサービスを受ける医学的な場


44

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

所,又はシステムを開発し製造される場所のいずれかの

立入制限区域又は同等の場所の MR 装置の近くで

働く全ての人を含む。そのような MR

作業従事者とは,MR システムを保守する人,操作者,及び医学ス

タッフ,並びに MR

製造業者,開発者,製造技術者,据付及びサービス技術者という技術関係者を含むが,

それに限定しない。MR

作業従事者の両グループとも,患者への医学的利益を維持するという点でともに

必須な存在である。

MR

作業従事者とは別に MR システムからの

EMF

被ばくを受ける更に二つのグループがある。それは

MR

ボランティア及び MR

患者の介護人である。

MR

ボランティアは,各国の規制に従う倫理委員会の承認を得た研究用 MR

検査に自由意志で同意した

個人であり,倫理委員会が承認した上限値を適用する対象者である。したがって,MR ボランティアは,

この規格で定義する MR

作業従事者とはみなさない。

MR

患者の介護人は,検査中に患者をサポートする個人で,患者と同じような被ばくレベルになる可能

性がある。MR

患者の介護人は,患者と同様に情報を与えられ,かつ,選別される。MR 患者の介護人は,

MR

作業従事者のように雇用されてはいない。したがって,この規格で定義する MR 作業従事者とはみな

さない。MR

作業従事者がたまたま MR 患者の介護人となる場合は,MR 作業従事者とみなす。

201.3.223

医療管理

医療管理では,検査担当医師が個々の検査についてリスク対効用がプラスであるという評価をするか,

又はその担当医師の代理者(

操作者)が,検査担当医師によってあらかじめ作られている検査パラメータ

及び

患者の健康状態に関わる客観的基準を,その患者が満たしているという判定をすることが求められる。

また,

医療管理では,患者の様々な生理的状態を測定又は評価するための装置を使用して,患者の生理的

モニタリングを行う必要性が生じる可能性がある[例えば,心拍数,心電図,血圧,及びパルス酸素測定,

201.7.9.2.101 b

)

の注意を参照]

201.3.233

比吸収率(SAR

SAR

は,周波数(ほぼ周波数の二乗で増大)

,高周波パルスの種類及びその数,パルスの持続時間及び

繰返し回数並びに送信に使用するコイルの種類の関数である。

この重要な生物学的因子は,

組織の伝導度,

組織の比重,検査する解剖学的領域,組織の種類[例えば,かん(潅)流の程度]及び

患者の体重である。

201.7.9.2.101

MR

装置の取扱説明書

この規格に適合した MR

装置の取扱説明書は,使用者又は操作者に必要な情報を提供する上で重要な役

割を果たす。

患者の安全性に関して,これらの文書には,患者の事前チェック・プログラムの内容,管理操作モード

で MR

装置を使用するときの患者の医療管理,及び緊急の場合の手順について明確な情報を含めることが

望ましい。

職員の安全性に関して,これらの文書には,電子機器及び/又は金属物の

立入制限区域内における取扱

い方法及び超電導磁石を使用している場合の冷媒の使用方法についての詳細な情報を含めることが望まし

い。

201.7.9.2.101 a

)

患者及び MR 作業従事者への事前チェック

MR

検査を受診すること及び MR 装置近傍に近寄ることは,金属製体内植込物又は電気的,磁気的若し

くは機械的に作動する体内植込物(例えば,心臓ペースメーカ)を使用している

患者又は MR 作業従事者

に対しては,顕著な

リスクがあるため,患者又は MR 作業従事者への事前チェックは重要である[参考文

1

2

。その

リスクは,MR 装置が発生する磁場及び電磁場が金属製体内植込物を強く引きつけること

及び/又は回転力を与えること,並びにこれらの装置の作動を妨害することに関係する。


45

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

このことは,電気的,磁気的又は機械的に作動する外部の生命維持装置に依存している

患者及び MR 

業従事者についても当てはまる。

頭蓋内動脈りゅう(瘤)クリップを使用している

患者の検査は,そのクリップが磁気的に影響を受けな

いことを医師が確認できる場合を除いて,禁忌とする。

MR

装置での検査は,患者の事前チェックの面から見ると,次の場合には特別な注意が必要である。

外科クリップ(止血クリップ)又は(磁場の影響を受けやすい)他の強磁性体を植え込んでいる

患者

強磁性体を偶発的に取り込んでしまう職業又は活動に従事している

患者又は軍事活動によって金属断

片が植え込まれている可能性のある

患者

永久的な(入墨)アイライン又は顔に化粧をしている

患者[眼けん(瞼)への強度の刺激が報告され

ている。

体温調節機構が損なわれている

患者(例えば,新生児,未熟児及び特定のがん患者)

金属製体内植込物による磁場のひずみによって,診断画像にアーチファクトを生じる可能性がある

人工心臓弁を移植している

患者

妊婦。はい(胚)又は胎児に対する MR

検査の安全性はまだ完全には確立されていない。医療従事者

は(別の方法を考慮した後に)検査の臨床的価値が

リスクを上回るかどうかを決定することが望まし

い。

201.7.9.2.101 b

)

患者の医療管理

患者の医療管理が必要になる場合があるという面から見ると,次の場合には MR 検査を実施するために

特別な注意が必要である。

心停止の可能性が通常よりも高い

患者

発作又は閉所恐怖反応を起こしやすい

患者

心不全の

患者,発熱している患者,及び発汗能力が損なわれている患者

意識のない

患者,鎮静剤を大量に摂取している患者,錯乱している患者及び確実なコミュニケーショ

ンがとれない

患者

MR

装置に備わっている音声通信チャンネルが使用できないと予想できる乳児及び幼児

周囲温度が

25

℃を超える室温での検査の実施

201.7.9.2.101 c

)

緊急医療処置

特定の

患者の状態によって必要になる緊急処置について,安全性に注意を払うことが必要である。これ

責任部門が責任を負う問題であるが,この件について,製造業者の次の助言が有効となることがある。

緊急の場合に

患者を磁場の影響から速やかに解放するための手順(必要な場合には,緊急減磁を行う)

を確立することの勧告

緊急の補助を必要とする

患者を,磁石の影響下から外に出して治療する(電子機器又は他の金属製の

緊急装置を安全,かつ,有効に使用することは,磁石付近では不可能である。

)ための適切な計画を策

定することの勧告

予期しない体内植込物が見出された場合に,

患者を磁石の影響下から解放するための手順を策定する

ことの勧告。この場合は,静磁場が急激に減衰するという点から緊急減磁装置の使用は妥当でなく,

患者をゆっくり磁石から遠ざけるのが最も適切であろう。

患者とのコミュニケーション又は麻酔下の患者のモニタリングは,MR 検査中,確実に行うことが望ま

しい。


46

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

患者によっては閉所恐怖反応を起こす可能性があることを,MR 検査の実施前に検討すべきである。

201.7.9.2.101 d

)

患者及び MR 作業従事者への過度の騒音

聴力低下に関する保護の規格は,職業的に長期にわたって騒音にさらされることによって引き起こされ

る永久的な騒音性難聴の

リスクに基づいている。広く受け入れられている限界値は,

24

時間当たり

80

dB(A)

である。この限界値は被ばく時間が

1/2

になれば

3 dB

緩和される[すなわち,

12

時間では

83 dB(A)

6

時間では

86 dB(A)

など]

。さらに,一部の国では,毎日さらされる騒音レベルが

85 dB(A)

を超える場合は,

適切な処置をとるのが望ましいと規定している(文献

3

4

。これは,MR

作業従事者に適用する。

この規格は,MR

装置が,通則の 9.6.2.1 に規定する

80 dB(A)

の上限値に由来する

99 dB(A)

を超える騒音

を生じる場合は,

患者に対して聴力保護が必要であることを,取扱説明書に記載することを要求している。

騒音にさらされる時間が

1

時間だけなので,上限値を

14 dB

増加させ,更に毎日ではなく

1

度さらされる

だけであることから,クライター(文献

5

)に従って,

5 dB

追加している。クライターは,職業的にさら

される人の聴覚しきい値の永久的な変化は,その職業に従事している期間全体にわたる総騒音エネルギー

に比例するとみなすのが妥当であると述べている。合計で,次のレベルを超える場合には,

患者に聴力保

護が必要になる。

80 dB(A)

14 dB

5 dB

99 dB(A)

現在の MR

装置は,

99 dB(A)

よりもはるかに高い騒音を

患者に与え得るため,この要求事項は重要であ

る。マクジュリーら(文献

6

)は,最高

115 dB(A)

の騒音を報告している。MR

装置は,

1 kHz

を中心とし

て広帯域の騒音スペクトルを生成し得る(文献

7

。しかし,新しい MR

装置の強力な傾斜磁場ユニットの

設計では,中心周波数とともに騒音レベルも上昇することがある(文献

8

201.9.6.2.1 も参照)

。聴力保

護具(耳カフ又は耳栓)を正しく使用すると,通常,騒音は

2 kHz

において

25

30 dB(A)

減衰する。聴力

保護具を偶発的に正しく使用しなかった場合又は聴力保護具を使用しなかった場合でも,ほとんどの

患者

については短時間では安全性については問題とはならない(文献

9

患者が騒音にさらされる時間は,一

般に

1

時間よりはるかに短く,ほとんどのスキャンの一般的な騒音レベルは,MR

装置によって生じる可

能性のある最大値をはるかに(

5

10 dB

)下回る。しかし,これは非常に高い騒音レベルを生じる可能性

のある MR

装置には当てはまらないことがある。さらに,麻酔下の患者の場合は,特別な注意を払うこと

が望ましい。この場合は,中耳にあぶみ骨筋に対する筋し(弛)緩剤の作用によって,耳の反射が消失し

ているか又は意識のある

患者よりも弱いことがある(文献

10

。取扱説明書の中では,この場合は特に聴

力保護具を慎重に使用する必要があることを強調しなければならない。

201.7.9.2.101 e

)

立入制限区域

立入制限区域の設置並びに警告標識及び標示を適切に使用することは,医療用体内植込物を使用してい

る者が高磁場にさらされるのを規制し,強磁性体を

立入制限区域内に入れることを防ぐために,必要であ

る[201.7.9.2.101 h

)

及び 201.7.9.3.101 b

)

の理論的根拠も参照]

1

)

強磁性体に対する吸引力及び回転力

注記

この箇条は,

立入制限区域の内側についてのものである。

全ての磁石は,漏えい磁場によって取り囲まれている。安全性について主に配慮する点は,撮影

室内へ強磁性体を持ち込むことを防ぐために,管理上の区域及び物理的な障壁を設けることである。

さらに,

患者の体内又は磁石の内側に偶発的に入って付着した小さな磁性体によって生じる磁場

のひずみは,画像にアーチファクトを引き起こすことがある。そのため,撮影室内には安全のため

常に許可がなければ立ち入れないようにすることが望ましい。

次に,強磁性体と磁場との相互作用によって生じる可能性のある様々な

危険状態を記載する。


47

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

強磁性体の動脈りゅうクリップ又は強磁性体の断片が

患者の体内で移動し,周囲の組織を損傷す

る。

固定されていない強磁性体が磁石に引き付けられ,

患者に外部損傷を負わせる。

重量のある強磁性体が磁石表面に引き付けられ,人がその物体と磁石との間に挟まれる。

磁石が強磁性体に及ぼす吸引力及び/又は回転力は,磁場と物体に誘導された磁化との相互作用

によるものである。したがって,この力は,磁場空間内の磁場の強さ及び変化率,物体の材質固有

の磁気特性並びに物体の質量及び形状によって決まる。

同様に,磁石が物体に及ぼす回転力も,同じ要因によって決まる。さらに回転力は,磁場が完全

に均一で吸引力がない場合でも発生することがある。物体は完全に磁束に沿っていない限り,常に

回転力を受けるが,吸引力は,不均一な磁場の存在下でだけ発生する。

物体に働く力は,その磁気的性質及び磁場の空間的変化率に依存するが,静磁場の測定の方が簡

単に実施できるため,必要な予防措置については,磁場の上限値によって表す方が実用的である。

通常,吸引力は漏えい磁場が

3 mT

以上の高い場合に作用する。

強磁性体への吸引力を制御するための代替的な方法については,MR の安全についての

ACR

ガイ

ドラインに記載されている(文献

142

立入制限区域についての漏えい磁場の上限値を決める方法

に替えて,MR 施設を四つのゾーンに概念的に分割する。

ゾーン

I

は,一般の人が自由に立ち入れる全ての場所とする。

ゾーン

II

は,全く制限のないゾーン

I

と厳しい制限を課すゾーン

III

及びゾーン

IV

との中間領域

で,一般に

患者は,ゾーン

II

にて検査を待つ。

ゾーン

III

は,教育を受けていない人が,自由に出入りすると重大な事故を起こす可能性がある領

域である。ゾーン

III

は,MR 担当者によってきちんと管理し,例えば施錠などによって一般の人が

自由に立ち入れないような物理的な入場制限を行う。MR に関係していない人は,彼らが MR 担当

者になる適切な教育と訓練を受けるまでは,ゾーン

III

には単独で立ち入れない。ゾーン

III

及び漏

えい磁場が

0.5 mT

を超える最小の領域では,境界線を引き,潜在的な危険があることを明確に標示

する。

ゾーン

IV

は,MR

装置の磁石が置かれている部屋である。このゾーンは定義によって常にゾーン

III

の内側に位置する。ゾーン

IV

は強力な磁場の存在によって潜在的な危険があるため境界線を引

き,明確な標示を行う。

MR

施設の設計及び施行についてのそれ以外の指導書もある。例えば,米国退役軍人局発行の

MR

I

施設設計指針がある。

磁石は,一般に次のような種類に大別することができる。

超電導磁石

常電導磁石

永久磁石

自己遮蔽形磁石は,非自己遮蔽形磁石に比べて,漏えい磁場の分布が著しく異なる。空心ソレノ

イドを備える非自己遮蔽形の超電導磁石及び常電導磁石は,磁場強度が異なっている点を除き,同

じ漏えい磁場の分布を示す傾向がある。

様々な種類の磁石は,強磁性体への吸引力について,次のように分類することができる。

非自己遮蔽形磁石

この種類の磁石は,最も広範囲な漏えい磁場をもつため,危険領域も最も広くなる。しかし,


48

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

磁場の空間変化率が小さいため,生じる力はあまり強くない。また,常電導磁石は超電導磁石に

比べて磁場が弱いため,危険領域もそれに比例して小さくなる。

自己遮蔽形磁石

漏えい磁場が限られているため,危険領域も限定される。しかし,この種類の磁石は磁場の空

間的傾斜が大きいため,同じ磁場の強さで生じる最大吸引力は,非自己遮蔽形よりも強い。

永久磁石

漏えい磁場領域が最も小さいため,危険領域も最も小さくなる。しかし,磁場の空間的傾斜が

大きいため,漏えい磁場の強度が低くても,強磁性体が引き付けられる危険がある。さらに,緊

急の場合,他の種類の磁石は減磁することができるが,永久磁石は実質的に消磁することができ

ない。

2

)

他の装置に及ぼす静磁場の影響

警告標識の使用及び

立入制限区域の限定設定は,医療用体内植込物のある人が磁場にさらされる

のを管理するために必要である。一般に,

0.5 mT

未満の領域は,例えば心臓ペースメーカなどへの

妨害源にはならないことが示されている(文献

11

。ヨーロッパ規格 EN 45502-2-1(文献

12

)は,

1 mT

のしきい値を設定することによって,この事実を反映している。

立入制限区域は,患者の治療を制御するためのリードスイッチ又はホール素子スイッチを使用し

ている体内植込物に対する妥当な安全性についての余裕をみて,

0.5 mT

に設定されている。通常の

スイッチは,

1 mT

又はそれ以上で動作するが,スイッチの許容誤差,製造ばらつき及びその他の要

因(例えば,素子の劣化,及び磁束密度の変化)を考慮して余裕をとっている。

病院に存在する数多くの電子装置(例えば,X

線管,

CRT

,シンチレーションカメラ,及び X

イメージインテンシファイア)は,

0.1

5 mT

以上の磁場によって影響を受けることがある。漏え

い磁場がこのような装置に影響を与えるような場所に MR

装置を設置する場合は,遮蔽手段が必要

になることがある。このような遮蔽手段を講じることによって,安全上の面からも立入りを制限す

るという問題を簡略化できる。例えば,テレビ,及びビデオ端末機器がこの点において特に重要で

あることは,これらの機器が医療設備にとってますます一般的なものになってきている現在におい

て,特に留意しなければならない。コンピュータの電子部品は,最も低いレベルの磁場では一般に

影響を受けない。クレジットカードの磁気情報は,比較的低い静磁場で消去されてしまう。しきい

値は,

20 mT

であるという報告がある。

光電子増倍管の出力は磁場の大きさ及び方向による影響を受けるため,光電子増倍管のゲインに

極めて敏感に作動する装置(例えば,シンチレーションカメラ,及び X

線 CT 装置)は,最も低い

レベルの磁場によって影響を受ける範ちゅうに入れられる。装置全体又は個々の光電子増倍管を磁

気的に遮蔽することはできるが,口径の広いシンチレーションカメラは,多くの場合磁気遮蔽が困

難である。

脳波計及び心電計は,MR

装置の設置場所の付近で使用することがあるが,前者は時間変化する

磁場に対して極度に反応し,後者は比較的反応しない。しかし,脳波計又は心電計の

製造業者が定

量的なデータを準備することが望まれる。

201.7.9.2.101 f

)

冷媒(液体又は気体)

1

)

液体冷媒の取扱い:ヘリウム及び窒素


49

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

a

)

冷媒の特性

健康に有害[2

)

も参照]

無臭

不燃性

無毒

ヘリウムは空気よりも軽い。

気化した場合,周囲に広がる低温霧を生じる。

窒素の霧は,急速に床に降下する。

室温(

20

℃)では,

1 L

の液体ヘリウムからは約

750 L

のヘリウムガスが発生し,

1 L

の液体

窒素からは約

700 L

の窒素ガスが発生する。

b

)

冷媒に関連した危険

ヘリウム及び窒素を誤って取り扱うと,次の危険を生じることがある。

凍傷の危険

窒息の危険

酸素凝縮の危険

凍傷

液体窒素又は液体ヘリウムの取扱い時には,凍傷の危険があるため,いかなる場合も皮膚への

接触を防ぐことが望ましい。皮膚に飛まつ(沫)が付くと,火傷と同様の損傷を生じる。特に,

眼は傷つきやすい。

窒息の危険

ヘリウムガス又は窒素ガスが漏れることによって,酸素が置き換えられる。大気中の酸素濃度

17

18 %

未満になると,人の呼吸には十分といえなくなる。大気中の酸素濃度の限界値は,各

国の法律又は規制に適合することが望ましい。

注記

我が国では,労働安全衛生法・酸素欠乏症等防止規則によって

18 %

未満を酸素欠乏状態

と規定している。

ヘリウムガス又は窒素ガスが検査室内に漏れた場合は,速やかに退室し,酸素濃度が十分に高

くなったことを確認してから入ることが望ましい。

酸素の凝縮

窒素及びヘリウムの容器の表面温度は,非常に低くなることがあるため,酸素が凝縮し又は空

気中の酸素が濃縮されて,火災の

ハザードが増大する。

グリース,油脂又は他の可燃性物質が容器の周辺に存在する場合,漏れた冷媒ガスは,空気の

液化及び酸素の濃縮によって可燃性液体を形成することがある。

c

)

防護服

防護服の着用は,液体冷媒に関連する全ての作業時に不可欠である。

防護服としては,次のものからなる。

安全手袋

作業手袋

フェースシールド

実験用上着又はつなぎ(木綿又はリネン)

非磁性安全靴


50

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

2

)

クエンチ

クエンチは,液体ヘリウムに浸した磁石の線材が過度に熱せられることによって発生する(例え

ば,真空の損失,機械的な動揺,又は過度の外力によって引き起こされる。

超電導磁石は,通常の作動時に

1

時間当たり数百

L

の冷媒ガスを排出することがある。

クエンチ

時には,

大気圧下で約

10

4

10

6

 L

の気体が数分間の間で排出される場合がある。

通常,液体ヘリウムの量が超電導コイルの冷却に不十分となった場合に

クエンチが発生する。コ

イルの温度上昇によって,超電導線材が通常の伝導率となり,過度の蒸発(ボイルオフ)が起こる。

適切な換気手段を講じないと,

クエンチ時の急激なボイルオフによって次の三つの影響が出る。

過度に冷却されたガスが磁石近くの水分子を凍結させ,白い濃霧を発生する。

室内の酸素がヘリウムによって置換され,呼吸不能とはならなくとも呼吸困難になる。

クエンチ時に漏れた超低温のヘリウムガスが,接触したあらゆる物体を凍結させる。

3

)

冷媒の充塡

一部の種類の MR

装置では,クエンチを避けるための安全レベルよりも多い量のヘリウムを維持

するために,冷媒の定期的な再充塡が必要である。再充塡中は,冷媒ガスの過度なボイルオフが発

生して,上記と同様の状況が起こることがある。液体ヘリウムの約

10

30 %

は,通常の方法で再充

塡しても,気体に気化される。

201.7.9.2.101 g

)

操作モード

201.12.4.103

の理論的根拠を参照。

201.7.9.2.101 h

)

患者及び MR 作業従事者に対する静磁場による被ばく

市販されている MR

装置の静磁場の強度は,約

0.02 T

3.0 T

の範囲である。実験用装置については,現

在,最大

10 T

までの強度がある。一部の MR

装置は永久磁石又は常電導磁石を使用しているが,市販さ

れている多くの MR

装置は超電導磁石を使用している。

超電導磁石では,静磁場の方向は一般に体軸の長手方向に平行である。垂直磁場磁石を備えた一部の

MR

装置では,静磁場の方向は患者の体軸の長手方向に垂直である。

患者がさらされる磁場の強度は,一般に磁石の作動時の強度に限定される。201.7.9.3.101 b

)

に従って

造業者が提供する技術仕様書から,一部の磁石では磁石ボアの外側の漏えい磁場の方が磁石の作動時の磁

場強度よりも高くなることがある。

インターベンションでの特定の場合を除き,通常,MR

作業従事者は,MR 装置の静磁場だけ,特にそ

の漏えい磁場だけにさらされるとみなすことができる。

欧州指令

2004/40/EC

[文献

130

及び 201.7.9.2.101 k

)

の理論的根拠で言及している]は,現在は静磁場に

対する作業者への被ばく上限値を含んでいないことを理解する必要がある。被ばく上限値は,欧州指令の

表 に示されている。被ばく上限値の最も低い周波数範囲については“

1 Hz

まで”とあり,

0 Hz

の静磁場

を含んでいない。静磁場からの被ばく値は,現在審議中の次の欧州指令に導入される可能性がある(改正

欧州指令

2008/46/EC

参照,これは実施が少なくとも

2012

4

30

日まで遅れている)

。被ばく上限につ

いての新しいガイドラインは,

2009

年に ICNIRP201.7.9.2.101 理論的根拠参照)から発行された

201.7.9.2.101 k

)

の理論的根拠参照。また,

表 AA.1 参照](文献

162

この規格では,MR

作業従事者への静磁場について被ばくは

4 T

まで許容されている。

4 T

までの静磁場

被ばくによる既知の生理学的影響及び感覚的な影響は,ふらつき又はめまいのような主観的な所見に限定

されることからこの値が提案された。個人のこれらの所見は,静磁場中で頭を動かすことに依存し個人差

があること,及び撮像中の一般的な体の状態は別として,MR

作業従事者への健康に悪影響を与えないと


51

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

考えられる。しかし,目と手との協調に対する効果によって,細かな手順を実行するための作業者の最適

な能力を低減させる可能性があり,これによって安全が付随して低下する(例えば,外科医)

(文献

143

MR

作業従事者の特定の職種によっては,

3 T

を超える静磁場による被ばくの頻度が相対的に高い可能

性があるが,

感覚的な影響の結果としてこれらの MR

作業従事者への一般に認められた既知の危害はない。

患者への危害の確率に加えて,これらの効果(集中力の欠如又は不安定な手の操作)の結果としての MR

作業従事者への危害は,非常に小さいと推定できる。作業場所を分け,業務に応じて特定のガイドライン

及び規格を適用させる。結果として,これらのハザードから想定される

リスクは,

4 T

の静磁場まで許容

し得ると推定できる。

患者及び MR 作業従事者の両者に対して,

4 T

を超える被ばくについてはその施設

の倫理委員会の承認を必要とする。

考慮しなければならない重要な点は,多くの発表されている報告にあるように,静磁場による被ばくで

なく,MR

装置の磁石からの漏えい磁場を含む静磁場中での動きが,観測されている生理学的及び感覚的

な影響を引き起こすという事実である。静磁場に被ばくするだけでは(磁石の傍に立つ,又は磁場中で

者が寝台に静かに横たわる),いかなる感覚的な影響も引き起こさない。このことは,被ばく上限値を

T

よりも,

T/s

で表すということを示唆する。しかし,最近のグローバーの論文(文献

148

)は,磁場の被ば

くに起因する直接の感覚的な影響を示唆している。彼は,

7 T

磁石の近くに立つボランティアの姿勢が揺

れ,落下の感覚が発生すると報告している。

不均一な漏えい磁場内での動きは,人体内に電流を誘起し,それが被ばく上限値を決める。最近の出版

物(文献

145

)によると,誘起される電流密度は,漏えい磁場中での MR

作業従事者の動きに対応する数

Hz

の周波数範囲で,ICNIRP ガイドライン(文献

131

)又は IEEE ガイドライン(文献

154

)で規定され

る値を超えことができると説明されている。静磁場中での動きは,欧州指令の附属文書(文献

130

)に与

えられる時間変化する

EMF

による関連する被ばく上限を超えた電流を誘起し,病院でのほとんど全ての

高磁場 MR

システムでの現在の業務が抵触すると考えられる。この規格第

3

版の定義において欧州指令の

解釈についての討議が行われた。特に磁石のすぐ近くの不均一な漏えい磁場での動きを含めるか,及びそ

れが低周波の

EMF

による被ばくの上限に該当するか否かについては,現時点で答えられていない。

撮像装置に向かって移動するときの

患者の被ばく上限の推奨値は,グローバーの論文を基にしている。

それは,撮像装置に向かって移動するときの

患者が,それに伴う静磁場強度の変化にさらされながら,通

常の検査で観測される悪影響についてほとんど全く苦情を言わないという長年の経験を考慮すると,動き

による被ばくとして推奨値は,控えめな値であると信じられている。したがって,提案されている上限値

は,装置の操作モードとは関係しない。MR

作業従事者に対しては,実際に場をモニタすることは不可能

なので,このタイプの被ばくについて確固たる上限値はない。測定器は,最近開発されているが(文献

140

病院での通常の使用に適してはいない。

WHO

World Health Organization

)は,

2006

年に“環境保健クライテリア

232

,静磁場”という報告書を

発行した(文献

143

。この報告書は,静電場及び静磁場が健康に及ぼす影響についての全ての詳細な文献

についての広範な総説である。

500

以上の文献が引用され,検討されている。その報告は,体外の研究,

動物での研究,ヒトについての実験室での研究,疫学的研究,ヒトへの

リスクアセスメント及び将来の研

究への勧告を含む人体への考え得る相互メカニズムについて報告している。この報告書が,人体への静磁

場被ばくについての ICNIRP ガイドラインの次の改訂への主要な入力となった(文献

162

。この静磁場に

よる健康への影響について広範な報告は,

“にもかかわらず,情報の深刻な欠落によって,静磁場の被ばく

による

リスクは適切に特徴づけることができない。”と結論していることに注意する。

起こり得る生物学的影響の機序


52

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

吸引力,回転力,透磁率

最もありふれた,また,おそらく最も重要な,MR

装置による生物学的影響は,ミサイル効果である。

強磁性体は,並進力を受けて,磁石内の高磁場の領域に向かって引きつけられる(文献

15

。この力は,

静磁場強度と磁場強度の空間的傾斜変化率との積によって決まる。低磁場の自己遮蔽形磁石は,特定の空

間位置において,高磁場の非自己遮蔽形磁石よりも大きな磁場の傾斜を生成することがある(文献

16

ミサイル効果による物体が飛んでいく危険については,教育の必要がある。

反磁性体は,並進力を受けて,磁石から離れた低磁場強度領域に引きつけられる(文献

15

17

18

水は弱い反磁性である。上野及び岩坂は

8 T

の小形の磁石で,水は重力の

30 %

までの力を受けることがあ

ることを示した(文献

17

18

。この力によって,水は磁石の均一磁場領域内で分離する。第一次近似で

は,MR

装置に用いられている超電導ソレノイド磁石はヘルムホルツコイルとして近似することができる。

ここに,ヘルムホルツコイルの半径を R,コイル対の中心における静磁場を B

0

として,磁化率が χ,密度

が ρ の物体を考える。重力加速度を g,自由空間の透磁率を μ

0

,ヘルムホルツコイルの軸を とする。こ

の物体が半径 のヘルムホルツコイルの磁場を受けることによって生じる最大加速度 a(重力加速度で正

規化した)は,次のように表すことができる。

⎟⎟

⎜⎜

⎛ −

⎟⎟

⎜⎜

=

R

B

z

B

B

a

2

0

0

0

569

.

0

g

g

ρ

μ

χ

ρ

μ

χ

(AA.1)

ヘルムホルツコイルから受けるピークの力は,z

/

R

0.787

において生じる(コイル対の中心を z

0

であ

ると仮定)

。上野らは,この小口径システムにて生成された最大の力(

 B

/

 z)は,z

75 mm

において

400 T

2

/m

であると報告している(文献

17

18

。ヘルムホルツモデルが当てはまると仮定して,ヘルムホ

ルツコイルの半径は Rz

/0.787

0.075/0.787

0.095

であり,生成される最大の力は 

 B

/

 z

0.569

B

0

2

/

R

381 T

2

/m

(差は

4.7 %

未満)となる。

上野らの“モーゼ”効果は,小さな開口径(

0.05 m

)の

8 T

の磁石で観察された。式

(AA.1)

は,反磁性で

ある水(χ=−

9.05×10

6

,密度=

1 000 kg/m

3

)は,重力加速度の約

30 %

の加速度を受けることを示してい

る。磁石内に水を入れた皿を水平に置くと,水は分離して磁石中心部は水がなくなる。さらに,上野らは,

磁石によって生成される力に関連する,他の微妙な生物学的影響も発見した(文献

19

)。式

(AA.1)

から,

ヘルムホルツ磁石に類似する磁石(ソレノイド磁石など)から受ける力(及びおそらく生物学的影響)は,

磁場強度の二乗に比例し,実効ヘルムホルツコイルの半径に反比例すると予測される。

全身用磁石が

1 m

のヘルムホルツ等価半径をもつと仮定すると,

4 T

全身用磁石が生成する力は上野らの磁石の場合の

4 %

にすぎない。したがって,

4 T

全身用磁石内では,水は重力加速度の約

1 %

の加速度しか受けないはずで

ある。

非常に間接的だが深刻な,強磁性体に関連する生物学的影響の機序に,ペースメーカ,頭部刺激装置及

び他の能動的体内植込物がある。これらの装置には,強磁性体のリードリレースイッチを備えていること

があり,これは数ガウスの磁場で作動する(文献

16

。特定の人工器官,シャント,ねじ,及び他の体内

植込物は,静磁場中で力を受けることがある。常に

患者の安全性が損なわれないように,細心の注意をし

なければならない。

強磁性体の問題を終える前に,潜在するもう一つの間接的な

ハザードの機序を特定しておかなければな

らない。この潜在的な

ハザードは,変圧器の磁心及び一部の導体は,高い静磁場の存在下では飽和する傾

向があるということである。そのような磁心をもつ装置は,損傷を受けることがあり,その結果,機能が

停止することがある。そのような装置でモニタリング又は生命維持を行う場合は,磁心の飽和が

患者に深

刻な

リスクをもたらす危険性がある。


53

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

導電体(相対透磁率が

1

に近いものを含む)は,機械的制動力の影響を受けやすいことがある。機械的

制動力は,物体の動きが磁力線を横切る場合に生じる。導電体内に生じる電流は,レンツの法則によって

(文献

20

,静磁場に逆らう磁場を生成し,動きを抑制する。

神経伝導速度

静磁場に直角に移動する電荷は,静磁場に直交する方向及び速度ベクトルに直交する方向にローレンツ

力を受ける。この機序がホール効果で,神経伝導に影響を与える可能性がある(文献

21

。静磁場は,神

経線維を活動電位が伝わる時間に対して,伝導経路及び抵抗率を変化させることによって影響を与えるこ

とがある(文献

21

。変化は,静磁場に対する神経線維の相対的な方向及び磁場強度に左右される。磁場

がない状態での神経の特性から

10 %

変化するだけでも,

24 T

の静磁場強度を必要とする(文献

21

誘導電場

静磁場内を流れる血液などの電荷担体には,横方向の電圧が誘導される(文献

22

。その電圧 は,磁

気流体力学作用によって誘導され,

ローレンツ力 を考慮することによって導くことができる。

この力は,

電気素量 で除すと,横方向の電場となる。血管の直径が D,血流速度が μ,及び速度ベクトルと静磁場

とのなす角度が Θ のとき,ローレンツ力の法則から次の式

(AA.2)

が得られる(

図 AA.1 参照)。

)

sin(Θ

BD

q

FD

V

=

=

μ

(AA.2)

ファラデーの電磁誘導の法則は,誘導電圧を面積 の平面と交差する磁束の変化率に関連付けている。

磁束は,磁場強度 の内積を面積にわたって積分したものである。静磁場中では,平面の法線が時間 

共に変化して,電圧 が誘導される。

dt

A

d

B

d

V

=

(AA.3)

呼吸,心臓の動き及び血流が人体内に電圧を誘導し得る。これらの誘導電圧の現れ(

図 AA.1 参照)の

一つは,高い静磁場において,心電図上の T 波部分の高さが上昇することである(文献 23)

。心臓の収縮

期における心臓の動き及び血流は,T 波の振幅にほぼ等しく,心周期に近い電圧を人体に誘導する(文献

23)。静磁場中で呼吸するときの胸壁の動きは,人体に小さな電圧を誘導する。Schenck(文献 24)は,高

磁場の近くで作業を行う人が経験するめまいを,動きに誘導される電場によって内耳の三半規管に生じる

圧力に関連付けている。

送電線による生物学的影響及び MR

送電線近くの低レベル静磁場及び変動磁場が,がん(癌)を発生する役割を果たすかどうかということ

は,近年,世間の関心を大いに引いた。居住地で 50 Hz 及び 60 Hz の送電線にさらされることの,小児が

ん(癌)への影響についての複数の疫学的研究では,特定のがん(癌)の

リスクが高くなることが示され

た(文献 25,26,27,28,29,30,31)

。しかし,所見では統計学的有意性についての結果は様々であっ

た。居住地で送電線にさらされる成人の研究の約半数で,影響が認められた。しかし,統計学的有意性を

示した研究は一例しかなかった。他の研究では影響が認められなかった。さらに,50∼60 Hz の電磁場に

職業的にさらされることについての研究が,幾つか実施されている(文献 25,32,33,34,35,36)

。こ

こでも,結果は様々で統計学的有意性ははっきりしなかった。これらの研究は,自然に生じる磁場よりも

低い,ミリガウス(mG,0.1 μT)単位の磁場が,生物学的影響を引き起こすと仮定している。この直感に

反した仮説及び実験結果の多様性から,近年,Bernhardt(文献 37)は,この問題を明らかにするには,更

に研究が必要であるとの結論をくだした。

送電線にさらされることと,MR にさらされることとの間には,重要な違いがある。違いの一つは,60 Hz


54

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

の送電線の磁場とは異なり,MR の磁場は静磁場であるということである。もう一つの違いは,MR の静

磁場は電場成分を伴わないということである。あらゆる超低周波(ELF)の生物学的影響について提唱さ

れている機序は,カルシウムイオンのサイクロトロン共鳴が関与している(文献 38)

。そのような機序は,

磁場(変動し得る磁場)及び(ほぼ間違いなくカルシウムの)サイクロトロン共鳴周波数で変動する直交

電場の両方を必要とする。カルシウムイオンのサイクロトロン共鳴周波数は,384 Hz/mT である。地磁気

の強さは,約 0.02 mT から 0.05 mT である。60 Hz の電場がカルシウムイオンのサイクロトロン共鳴を引き

起こすには,0.156 mT の直交磁場強度を必要とする。そのような電場と磁場との組合せは,送電線の近く

に生じることがある。1.5 T の磁石内では,サイクロトロン共鳴には 576 kHz の直交電場が必要である。

MR

装置の共鳴周波数は,同じ磁石におけるカルシウムのサイクロトロン共鳴周波数よりも 2 桁以上高い。

MR

装置においては,電磁遮蔽を用いるため,サイクロトロン共鳴周波数の近くの電場はない。電磁遮蔽

は,周囲環境を MR 信号から保護し,周囲の信号による MR 画像の劣化を防ぐ。

その他に提唱されている静磁場の生物学的影響の機序

一部又は全部の反応物又は生成物が反応熱力学を大きく変える磁気モーメントをもつ場合は,化学反応

速度,平衡及び濃度が変化することがある(文献 16,17,24,39∼41)

。しかし,4 T までについては,こ

れらの影響はほとんど計測できないことが熱力学的に示されている(文献 24)

静磁場の生物学的影響の機序は,他にも提唱されている。例えば,静磁場によってポテンシャルの高さ

が変化することによる,DNA における陽子のトンネル現象がある(文献 40)

。他の機序について,優れた

報告がある(文献 16,24,37,40,42,43,44,45,46)

観察された静磁場の生物学的影響

実験的研究

T 波の増大という心電図上のアーチファクトは,広く受け入れられている唯一の非機械的な静磁場の生

物学的影響である。これは,0.3 T 以上の静磁場中に置かれた

患者について報告されている。この現象は,

生物学的影響というよりも,むしろ生物学的原因の範ちゅうに入る。血流は電圧を誘導し,これが T 波ア

ーチファクトにつながる。その結果,有害作用は生じない。

患者は,磁場から離れるとすぐに,再び正常

な心電図波形を示すようになる(文献 16,23)

。Jehenson らは,2 T の磁場に 10 分間さらされた後に,心

周期が 17 %延長することを発見した(文献 71)

。心周期の長さは,ばく(曝)露 10 分後に正常に戻り,

その後 22 時間にわたって正常な状態を維持した。

MR

検査で用いる静磁場は,これまで示されているように,体温の上昇は引き起こさない(文献 47,48)。

変異を誘発する影響はないと思われる(文献 16,42,49)

。しかし,Narra らは,マウスを 1.5 T の磁場に

30 分間さらしただけで,ばく露後第 16 日及び第 26 日に精巣内精子が 15 %減少することを発見した(文

献 70)

。神経伝導への影響はなく,潜伏期間もない(文献 50,51,52)

。神経興奮性は,影響を受けないか

(文献 50)

,又は高い静磁場によって大きく増大する(文献 51)

提唱されている機序の多くは,非常に高い磁場強度では当てはまることがあるが,3.0 T 未満の静磁場レ

ベルではあまり関係がないように見える。例えば Atkins は,正常体温において,酵素の構造に大きな変化

を生じるには,熱力学的に 10 T 以上の静磁場が必要であることを示した(文献 53)

。Wikwso 及び Barach

は,

24 T もの高さの磁場でも,神経伝導に僅かな影響しか与えないことを示した(文献 20)。近年,Kinouchi,

Yamaguchi,及び Tenforde は,大動脈に誘導される電圧から,10 T までの静磁場では問題がないことを示

した(文献 72)

静磁場の生物学的影響について,ほとんど実証されていない報告が幾つかある。0.7 T の磁場において,

マウス胎し(仔)の腎臓及び肝臓の細胞で,酸素消費がやや低下することが観察された(文献 54)

。しか


55

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

し,他の研究では,0.6 T において影響がないことが示された(文献 55)

。動物を数週間にわたって高い静

磁場にさらした場合の血液学的影響については,矛盾する複数の結果が報告されている(文献 56,57,58)

これらの分野を更に詳細に調査した報告が幾つかある(文献 16,24,37,40,42,43,44,45,46)

10 T を超える静磁場強度では,カエルの卵子の第 3 期分割における発育異常を Denegre が報告している

(文献 140)

2 T を超える静磁場における実験的研究は決定的なものではなかった。Prasad らは,ヒョウガエル卵を

0.15 T 又は 4.5 T にさらした場合,及び磁場にさらさなかった場合に,各卵群に違いがないことを発見し,

このことから,4.5 T 以下の磁場は早期発育に影響を与えないとの結論に達した(文献 66)

。Schenck らは,

ヒト・ボランティアが 4 T の磁場中で頭部を動かした場合に,1.5 T の場合と比べてめまいを生じる確率が

高くなることを発見し,更に,吐き気,金属味及び磁気せん(閃)光感覚が統計学的に有意に増加するこ

とも発見した(文献 67)

。Raylman,Clavo,及び Wahl は,ヒト腫瘍細胞を 7 T の磁場に 64 時間にわたっ

てさらし,

静磁場によって生存腫瘍細胞数が低下することを発見した

(文献 68)

これは,

黒色腫では 19 %,

卵巣がん(癌)では 22 %,リンパ腫では 41 %の低下であった。また,細胞成長周期又は DNA の断片化に

変化を生じるという根拠はなかった。別の研究において,Kroeker らは,0.08 T 及び 7 T の磁場にさらした

ラットについて,両群の間に松果体又は血清メラトニン濃度の違いはないことを発見した(文献 69)

理論的研究が,Keltner によって報告されている(文献 79)

。そこでは,10 T の超高磁場においても,主

要血管での磁気流体効果は血圧を顕著に変える効果がないことが示されている[式(AA.2)参照]

ヒトを高い静磁場にさらすことについて,複数の疫学的研究がなされている(文献 59,60,61,62,63)

作業中に 0.1 T 以下の静磁場及び低周波磁場の両方にさらされたロシアの工業労働者についてのデータは,

多くの主観的観察結果(例えば,頭痛,胸痛,及びふらつき)を含んでいる(文献 62,63)

。しかし,こ

れらの研究は,化学物質,作業場所などの,問題を複雑にする因子を適切に補正していない。

これとは全く対照的に,高磁場のもとで働く米国の労働者について 2 件の研究があり,一方では 0.5 T

までの磁場において危険な影響が認められず(文献 59)

,更に,もう一方では 2.0 T の磁場でも危険な影響

が認められなかった(文献 60)

。近年,多くの 3 T MR

システムが据え付けられ,患者に対して日常的に使

用されている。この規格第 2 版では,

通常操作モードは,2.0 T までと規定した。これは,主にデータが十

分でなかったことと,2.0 T 以上で撮像する場合に全ての

患者に対する医療管理を望んだためである。3 T

装置の設置台数が相当増加し,この磁場強度での検査について,多くの情報が得られている。実際に,医

療管理を必要とするような健康に対する悪影響を報告した論文は発表されていない。このような分野の研

究は,継続すべきだが,3.0 T 以下の静磁場にさらされることによって

患者のリスクがすると増加するとい

う根拠はない。この理由によって,規格のレベルを上げることが提案されたので,この規格では,

通常操

作モードの上限値を)3.0 T とした。

一つの重要な研究分野は,妊娠している労働者が磁場にさらされる場合に,静磁場が胎児にとって危険

かどうかという問題である。安全性を絶対的に実証するには無数の実験が必要だが,静磁場にさらされる

ことが危険であるという根拠は,今のところ文献にはない。近年の米国の MR 技術者についての疫学的調

査では(文献 61)

,高い静磁場にさらされることと,自然流産の発生率,不妊,低出生体重又は未熟分べ

ん(娩)との間に相関は認められなかった。上野は,6.34 T の磁場中におけるカエルの胚発生について研

究し,急速な卵割,細胞増殖及び細胞分化は影響を受けないことを発見した(文献 49)

。さらに,Kay も,

高い静磁場中におけるカエルの胚発生について研究し,有害作用がないことを発見した(文献 64)。

McRobbie は,妊娠したマウスを傾斜磁場中に置いて研究し,同腹し(仔)数及び成長速度への影響はない

ことを発見した(文献 65)


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静磁場:職業上の安全基準

表 AA.1 に,職業上でさらされる静磁場の基準の一覧を記載する。この一覧表には,英国 NRPB(National

Radiological Protection Board),米国 ACGIH(American Congress of Government Industrial Hygienists),米国

LLNL(Lawrence Livermore National Laboratory),及びオーストラリア ARL(Australian Radiation Laboratory)

の基準(文献 74,75,76,77)が含まれる。全ての基準が 200 mT 又は 60 mT の静磁場“用量被ばく”限

度を要求していることに注意が必要である。これらの限度が 8 時間労働の場合に当てはまるとして,0.5 T

では,60 mT のレベルを用いると 1 日に 1 時間しか磁場中にいることができない。

このような静磁場用量被ばく限度についての科学的根拠はない。誘導実効(RMS)電圧を 1 mV 未満に

維持することについて記載した文献がある(文献 78)

。高い静磁場中では血圧が大きく上昇する可能性が

あるという問題が,静磁場にさらされる時間を限定することにつながったように見受けられる。次の節で

示すように,この問題は根拠がないことが判明した(文献 79)

。しかし,用量被ばく限度に基づく職業安

全基準は残っている。今後,静磁場の基準は,MR の場合を念頭に置いて改正される可能性がある。

表 AA.1−職業上でさらされる静磁場の基準

出典

全身

時間平均(8 h)

全身

最大

四肢

時間平均(8 h)

四肢

最大

ICNIRP

a)

200 mT

2 T

5 T

NRPB

b)

200 mT

2 T

200 mT

5 T

ACGIH

c)

60 mT

2 T

600 mT

5 T

LLNL

d)

60 mT

2 T

600 mT

2 T

ARL

e)

60 mT

5 T

200 mT

10 T

ICNIRP

f)

 No

limit 2

T

g)

 No

limit  5

T

BGV_B11

h)

 212

mT

i)

 2

T

i)

 No

limit  5

T

j)

a)

  International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection; 1993,[78]

b)

  National Radiological Protection Board(英国)

c)

  American Congress of Government Industrial Hygienists

d)

  Lawrence Livermore National Laboratory

e)

  Australian Radiation Laboratory

f)

  International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection; 2009,[162]

g)

  制御された環境下では,制限値を 8 T まで引き上げる

h)

  BGV_B11: Accident Prevention Regulation Electromagnetic Fields June 2001

i)

  頭部及びく(躯)幹部の制限値を,一日最大 2 時間の条件で科学的研究の分野

(医学的治療などの)で 4 T まで引き上げる。

j)

  頭部及びく(躯)幹部の制限値を,一日最大 2 時間の条件で科学的研究の分野

(医学的治療などの)で 10 T まで引き上げる。

静磁場:職業上の問題についての機序

上述のように,強磁性体は,静磁場の存在下で,磁場強度が高くなる領域に向かって移動する吸引力を

受けることがある(文献 24)

。さらに強磁性体は,その磁気モーメントを静磁場の方向に合わせる回転力

を受けることがある(文献 24)

。動く導電体は,静磁場中でレンツの法則によって吸引力及び回転力を受

ける(文献 24)

静磁場中を移動する導電性の流体(血液など)には,フローポテンシャルが誘導されることがある(文

献 22)

。フローポテンシャルは,心電図記録上にアーチファクトを引き起こす(文献 23)

。急速に頭部を動

かすと,ふらつき感のしきい値を十分に超える電圧が内耳の三半規管に誘導されることがある(文献 24)

流れに誘発されて血圧が上昇するという理論的予測が,

表 AA.1 にある)職業安全基準に影響を与えたも


57

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:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

のと思われる。しかし,この影響の程度は非常に小さいことが判明している(文献 79)

フローポテンシャルに誘導される電場は,心電図上に T 波増大のアーチファクトを引き起こすことがあ

る。この電場 は,式(AA.4)から導くことができる(

図 AA.1 参照)。

)

sin(

θ

μ

BD

q

FD

V

=

=

(AA.4)

この電場は,流速ベクトルを含む平面及び静磁場に直交する。最大流速は,心電図上の T 波の発生時間

に一致して生じる。例えば,ピーク血流速度が 0.6 m/s(文献 40)

,血流と静磁場とのなす角度が 30°及び

動脈の直径が 0.02 m であると仮定すると,静磁場強度 1.5 T にて誘導電圧は 9 mV になる。この結果を一

般的な心電図上の R 波の振幅(約 10 mV)と比較する。結果として生じる“T 波増高”は,静磁場と共に

消滅する。T 波増高には生物学的な重要性はないと思われる。そのような電圧が慢性的に誘導されること

が問題になるかどうかは明らかではない。しかし,これまでに得られている根拠は,少なくとも 7 T まで

は,安全性について問題はないことを示している。

ほとんどの高磁場 MR

装置では,患者は静磁場に平行になっている。ピーク血流速度は大動脈内に生じ

る(文献 80)

。大動脈の方向が静磁場の方向とほぼ同じであると仮定すると,一般的な MR

装置では,誘

導される電場は小さいはずである。次に,対向形磁石の間(ギャップ)に立っている作業者を想定する。

この場合は,θ が 90°にほぼ等しく,誘導される電場が大きくなる。Reilly は,傾斜磁場立上がり時間が 3 ms

を超える場合に,刺激に最も敏感な人口パーセンタイル被験者群に心臓の刺激を引き起こすには,6.2 V/m

の電場が必要であると推定した。

(文献 81)

。傾斜磁場立上がり時間が 600  μs の場合は(この方が MR

置では一般的),刺激に最も敏感な人口パーセンタイル被験者群に心臓の刺激を引き起こす電場は,約

31 V/m に上昇する。刺激に最も敏感な人口パーセンタイル被験者群に心臓の刺激を引き起こすのに必要な

静磁場は,少なくとも 10 T だが(立上がり時間が 3 ms を超える場合)

,一般的には約 52 T(立上がり時間

が 600 μs の場合)である。非常に高い磁場の MR

装置用オープン形磁石を製造する場合は,その前に心臓

に対する安全性の実験的研究を実施するのが賢明である。

E=emf/D=vB

0

sin(

θ

)∼0.6 V/m

  この電場 によって T 波アーチファクトが生じる 
は患者の体軸が Z 軸方向に沿ったとき最小 
1 %心臓刺激=約 6.2 V/m 
制動力:

0

0

B

B

qv

F

×

×

  この制動力による BP 効果は小さい,Keltner ら(文献 79)

図 AA.1−静磁場:フローポテンシャル及び減速

静磁場中を流れる血液は,速度,静磁場及びそれらのなす角度に比例してフローポテンシャルを生成す

る。さらに,血流に逆らう制動力も生成されるが,その大きさは少なくとも 5 T までは生理学的に重要で

はない。

誘導電場は,電場に沿って荷電粒子の流れを生成する。この磁場に直角に移動する荷電粒子は,血流に


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:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

逆らう力を受ける(文献 22)

図 AA.1 参照)。この力が,血圧の上昇につながる可能性があったことから,

問題になると考えられたようである。しかし,Keltner らはこの影響は,重要ではないことを理論的及び実

験的に示した(文献 79)

結論

静磁場にさらされることによる有害な影響については,根拠がほとんどないか又は全くないと思われる

(この理論的根拠においては,実験的に 7 T までをいう。

。理論的に問題となり始めるのは 10 T 以上の場

合である。強い静磁場の影響について,一件の報告がなされている(文献 82)

。このデータ及び他のデー

タから,米国 FDA(Food and Drug Administration 食品医薬品局)は,4 T 未満の静磁場には重大な

リスクが

ないという考えに至った(文献 74)

201.7.9.2.101 k)

職業上の電磁場による被ばく

労働者を防護するための電磁場による被ばくの上限は,2004 年 4 月欧州議会にて承認され,欧州指令

2004/40/EC(文献 130)として制定された。その後,指令は修正され,少なくとも 2012 年まで実施が延期

された(2008 年 4 月 23 日付  欧州指令 2008/46/EC)

。制定された上限値は,一般の労働者に対する ICNIRP

ガイドライン(文献 3)をもとにしている。

MR

作業従事者への電磁場による被ばく上限については,この規格において次の理由によって,ICNIRP

ガイドライン(文献 3)が許容する値を超えたものを導入している。

−  装置が,意図する目的及び一定の条件の下で使用されるとき,

患者の臨床条件若しくは安全,又は使

用者,該当する場合にはその他の人の安全及び健康について妥協せず,高いレベルで健康及び安全を

両立するように設計され,製造されることが期待できる。装置は,その使用に伴うどのような

リスク

も,

患者への効用で重みを付けることで受容可能なリスクとすることができ,また,健康及び安全を

守ることを高いレベルで両立し得る。

−  ICNIRP の考え方は,一般の労働者を防護するために被ばく上限値を与えている。ICNIRP は関連す

る健康について,

リスクと社会的な利益との間でバランスをとることについては考慮していない(社

会的及び経済的考慮については,ICNIRP の付託事項ではない。

,したがって ICNIRP は,社会的な

議論を基にした特殊な分野の労働者に対して,ガイドラインを緩める可能性について考慮することが

できない。ICNIRP は,MR

作業従事者の特有で独特な状況,更にいうならば患者のリスク及び効用,

並びにこの(患者への)効用と MR

作業従事者のリスクのバランスをとることを認識していない。

−  ICNIRP は,最近 MR

患者についての安全な被ばくガイドライン(文献 132)を発行した。その上限

値は,規格第 2 版に一致したものになっている。

−  この

リスクマネジメントの手法は,特に MR 作業従事者への静磁場被ばくに適用される。201.7.9.2.101 

h)

の理論的根拠を参照。

−  MR

作業従事者への数 Hz から約 100 kHz までの範囲での被ばく上限は,末しょう(梢)神経,筋肉刺

激及び心筋刺激のしきい値を元にしており,全ての生理学的影響を避けるために十分低いものである。

傾斜磁場で誘起される磁気せん(閃)光についての詳細な報告は存在しない。

−  状況によっては MR

作業従事者に対する最小限の末しょう(梢)神経刺激は許容されるので,MR 

業従事者に,傾斜磁場出力による被ばくを避けるための追加の教育を行うことが要求される場合があ

る。このため

傾斜磁場出力の予測値が(要求された場合)制御盤上に表示され,それを用いて被ばく

を避けるために撮像中に装置から十分な距離をとる,又は

傾斜磁場出力を MR 作業従事者への被ばく

限度値内にするために下げるということに使うことができる。傾斜磁場コイルからの漏えい磁場は,

コイルの外側で急激に減衰すること及び幾何学的考察によって,MR

作業従事者への被ばくは,通常


59

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

操作モードのレベルに最も近いと推定でき,MR 作業従事者への末しょう(梢)神経刺激は,起きな

いと考える。

妊娠している MR

作業従事者については,追加の注意をすることが賢明である。妊娠している MR 作業

従事者が,不必要な傾斜磁場,高周波及び騒音を浴びることを避けるために,撮像中の撮影室にとどまら

ないようにするのは適切である。各国の規制を適用してもよい。

取扱説明書には,MR

作業従事者が妊娠している場合には,作業者への上限値は適用可能ではない可能

性があると記載しなければならない。

国によっては,

公衆への上限値が胎児にも適用しても差し支えない。

注記  我が国では,妊婦及び胎児についての特別の規制はない。

この

リスクマネジメントの手法を,電離放射線被ばくと MRI とのリスクの確率を比較するとき,MR 

置によって発生する傾斜磁場出力による電磁場(EMF)の被ばくについて適用する(文献 133)。電離放射

線による被ばくの累積効果については,広範囲に研究が進められてきている。

エネルギーが 12.4 eV(2×10

18

 J)以上の電離放射線による作業者の被ばくについては,NCRP 及び ICRP

によって上限が勧告されている。MR

システム(1 kHz∼1 GHz)の電磁場(EMF)の周波数レンジでの放

射のタイプの違いは,次のようである。MR スキャナでこのしきい値レベルに達するには,7.04×10

7

 T(水

素原子核の共鳴周波数では 3.0×10

15

 Hz)の静磁場を必要とする(現在の装置に対して 5 桁高い磁場とな

る)

。4 T での MR フォトンのエネルギー(システムが放射することができると仮定して)は,12.4 eV の

しきい値に対して,1.8×10

7

倍低い。実際 4 T フォトンのエネルギーは,水の水素−水素結合(最も弱い

結合)を壊すために必要なしきい値のエネルギーに対して 3.4×10

5

倍低い(文献 135)

。したがって,MR

の生物学的作用においては,単一フォトンによる電離放射線での損傷のような効果はない。このことは,

MR

からの電磁場(EMF)被ばくによって,分子レベルでの累積効果は存在しないと結論できることを示

唆する。

ワーキンググループの知識では,

現在までのところ累積効果を示す発表された詳細な研究はない。

米国では,職業人に対する年間の電離放射線(10 CFR 20 subpart C)の被ばくレベルは 0.05 Sv(5 rem)

であり(文献 137)

,一方,一般大衆の被ばくは 0.001 Sv(0.1 rem)を超えない。電離放射線での観測され

る影響のしきい値は,約 0.05 Sv である。頭部 CT スキャンを受ける

患者は,最大 0.03 Sv 被ばくすると推

定される。0.01 Sv(1 rem)の被ばくによって発生するがんによる死亡

リスクは,0.000 5 と推定されてい

る。一方,規格第 2 版の上限内で稼動する MR 被ばくによる既知の死亡

リスクはない。

結論としては,MR

システムから発生可能な EMF による MR 作業従事者の被ばくリスクは非常に小さ

い。電離放射線に被ばくする作業者には,より高い

リスクがあると思われるが,それでも許容されるリス

クレベルである。

理論的根拠 201.12.4.102 (4)にあるように,規格第 2 版の上限では心臓刺激が起きる確率はゼロに近い。

Reilly は,心細動のしきい値は対数正規分布に従い,その最も感受性の高いパーセンタイルのしきい値は

中央値からの半分の値になると決定した(文献 85)

。さらに Reilly は,動物にて心臓刺激しきい値の中央

値は,心細動レベルの約 40 %であることを推定した。Reilly は,母集団の中で最も感受性の高いパーセン

タイルの心臓刺激を起こす傾斜磁場の変化率(dB/dt)

1 %cardiac

は,傾斜磁場の立上がり(立下り)時間 と時

定数 τ に関連して,次の式で表されると推定した。

=

τ

d

dt

dB

exp

1

60

cardiac

%

1

Reilly は,τ として 3 ms の値を採用した。Bourland らは,犬の心臓刺激しきい値は,人と犬との相対的


60

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

刺激を調整したとき,Reilly の心臓刺激の平均値に外挿した推定値に一致することを見出した(文献 90)

規格第 2 版の理論的根拠では,Reilly の推定では末しょう(梢)神経刺激上限の平均値での心臓刺激確率

は 10

9

のオーダーであるということを示している。Schaefer は同様な推定結果を見出した(文献 136)

。し

たがって,規格第 2 版の上限では,心臓刺激は非常に起こりにくい。

傾斜磁場出力による末しょう(梢)神経刺激及び磁気せん(閃)光

特に 1 kHz∼10 kHz の

傾斜磁場出力についての周波数範囲で,ICNIRP の上限値は,網膜に視覚刺激[眼

内せん(閃)光]を引き起こす可能性のある効果から外挿した結果をもとにしている。この視覚刺激が障

害を引き起こし,長期にわたる

危害を与えるという証拠はない。これらの効果は,MR に関連したものよ

り幾分低い周波数で観測される。網膜組織は頭部組織(中枢神経系)と比較することができるので,これ

らの効果が ICNIRP では,中枢神経系に対するモデルとして使われ,幾分高い周波数範囲まで外挿されて

いる。さらに,これらの ICNIRP ガイドラインは大きな安全係数を含んでおり,結果として被ばく上限値

を 10 mA/m

2

としている。最近の再調査は 2004 年に NRPB によって行われ,

(安全係数 10 を含んで)10

mA/m

2

が確認された。

幾分高い周波数では,

傾斜磁場出力によって患者に誘起される電流密度はより高く,

MR

に関連した周波数及び波形では末しょう(梢)神経刺激を引き起こすことが知られている。視覚刺激

は,MR での幾分高い周波数及び傾斜磁場波形では,生理学的影響を引き起こさないと思われる(MR

置の傾斜磁場出力に関連した報告はない)。MR の患者への上限値は,末しょう(梢)神経刺激に基づいて

いる。この見解を ICNIRP は,最近の出版物(文献 132)で,特に MR

患者の被ばく上限に言及して確認

している。現在の末しょう(梢)神経刺激の上限値が,医療行為の上で安全でない状況につながったとい

う報告はされていない。

kHz の周波数範囲では,ICNIRP は電場強度 610 V/m を行動値(勧告値)として定式化している。この

値は,

傾斜磁場出力によって人体に誘起される電場の値よりもかなり高い値である。電流密度で表した被

ばく上限値は,1 kHz で 10 mA/m

2

,1 MHz で 10 A/m

2

である。100 kHz∼1 MHz の範囲で,全身 SAR 上限

値 0.4 W/kg を満足しなければならない。規格値 610 V/m は,ほとんど空虚な空間で電場が誘起する低周波

及びラジオ波の電流値から導かれる。人体内では,導電率(σ≒1 S/m)の高さのために,電場はかなり低

い。長さ L,断面積 の大きなコンデンサ及び複素誘電率 ε

r

r

=ε’+iε”=ε’+iσ/ε

0

 ω)の十分薄いスライス LB(人

体)を想定すると,全体の静電容量は,次のようになる。

A

LB

A

LB

L

C

r

0

0

1

ε

ε

ε

+

=

r

|>>1(周波数帯域を考慮して)及び LB<<であるので,容量 には人体の物理的存在は影響を与えな

い。それ故に,コンデンサ を流れる電流値 は,次のようになる。

U

L

A

I

0

ωε

=

これから電流密度 は,次のようになる。

E

J

0

ωε

=

I,及び は振幅だけ,はボルトで表したポテンシャル及び は V/m で表した電場)

電流密度は,各々,1 kHz,E=610 V/m で 33 μA/m

2

,1 MHz で,33 mA/m

2

となる。これらの値は,被ば

く上限値より十分低い。

SAR

については,次の式で求める。

2

1

J

SAR

σρ

=


61

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

ここに,

ρ: 組織密度

σ≒1 S/m,ρ=10

3

 kg/m

3

では,被ばく上限値を各々1 kHz で 0.01 mA/m

2

,1 MHz で 10 A/m

2

とすると,SAR

値は 1 kHz で 10

7

 W/kg,1 MHz で 0.1 W/kg となる。

201.7.9.2.101 l)

補助装置

患者モニタの選択に当たっては,それらが特に MR

装置で使用するように意図されたものであることに

注意することが望ましい[例えば,高抵抗の心電計(ECG)導線など。

。導電性の物質は,

患者と電気的

な接触を行わなければならないもの(例えば,ECG 電極など)を除き,

患者から電気的に絶縁することが

望ましい。全ての導電性物質は,

患者から熱的に絶縁することが望ましい。監視用生体モニタ用ケーブル

リード線(例えば,閉ループを避けるために)及び

患者の近くにある他のケーブルの配置については,製

造業者の取扱説明書に従わなければならない。これらの全ての処置の目的は,RF 送信コイルとの結合によ

って電流が誘発されて,

患者に熱傷を負わせるリスクを最小にすることである。

201.7.9.2.101 s)

クエンチの場合の緊急処置

201.7.9.2.101 c)

緊急医療処置及び 201.7.9.2.101 f)  冷媒(液体又は気体)で与えられる情報に加えて,こ

の細分箇条では,

クエンチの場合に磁石からのヘリウムガスが検査室及び隣接する部屋に漏れ出した場合

の緊急事態に対応した情報を提供する。この状況は,

クエンチ時に超電導磁石の排気システムの一部又は

全部が故障した場合に起こる可能性がある。この場合,人を巻き添えにする

危険状態が発生する場合があ

る。ここで与えられる情報は,

責任部門が各国の規制に適合した緊急対応計画を立案する場合に有用であ

る。

クエンチは,まれな事象であり,それに加えて磁石の排気システムの故障はより起こりにくい。しかし,

数千台の MR

システムが稼動しており,現在までのところ,クエンチに関連する人身事故又はそれに近い

出来事についての報告が幾つかなされている。そこで,

製造業者は,上記に関連する出来事に対するハザ

ードを特定し,この種の危険性についての情報を提供することを要求している。その情報は,大変起こり

にくいが,超電導磁石の

クエンチ時の排気システム故障による重大な事故の可能性についての情報を包含

するよう注意する。

クエンチとは

クエンチの間に,磁石はその超電導性を失う。静磁場は,数秒(典型的には約 20 秒)で減衰し,磁石は

温まり始める。液体ヘリウムは,数分以内に 500∼1 500 L 蒸発し,速やかに膨張する。正確な蒸発率は,

磁石の静磁場強度及び液面レベルに依存する。3 T 磁石は,1.5 T 磁石よりも高い蒸発率である場合がある。

1 L の液体ヘリウムは,約 810 L のヘリウムガスになる。これは,最大条件では,約 1 000 m

3

のガスが発生

することを意味する。

クエンチは,磁石の緊急減磁装置のスイッチを押すことでも発生する。別のクエン

チの原因は,磁石が温度上昇を始める点まで,液体ヘリウムレベルが下がることである。まれな例では,

明らかな理由によって説明することのできない自発的な

クエンチが観測される。

冷たいヘリウムガスが素早く抜けることによるシーッという音又は口笛のような音が,

クエンチと共に

起こる。水蒸気及び空気が凝縮して羽状の白い霧となって,

クエンチ配管の近く及び磁石の上部から床に

落ちる。ヘリウムガスの流れは,数分足らずで減少する。磁石及び

クエンチ配管の熱絶縁されていない部

品近くの空気は,液体空気に凝縮して床に滴り落ちる。

排気システムが機能しないことに関連するリスク

超電導磁石の排気システムの目的は,ガスヘリウムを外部に安全に排気することである。このシステム

の主な部品は,抜けたヘリウムガスを安全な空き地に送るように設計された導管である。

クエンチの可能

性については,超電導磁石及びその排気システムの設計時に注意深く考慮する必要がある。その結果とし


62

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

て,

クエンチは全く人に害を与えない。また,磁石も MR 装置もそれ自体ではクエンチによって損傷を受

けない。

しかし,

クエンチの場合に排気システムが機能しない場合,緊急な状況となる。ヘリウムは空気よりも

軽く,毒性はなく,可燃性もない。しかし,それは酸素と置き換わるので窒息の

リスクがある。周囲の空

気中に抜けた低温のヘリウムは,凝縮によって白い雲となる。これらの白い雲は視界を遮る。

人は無意識に酸素の欠如した空気を呼吸器系に吸い込んでしまう可能性がある。空気中のヘリウムガス

濃度に依存するが,数回の呼吸で十分に意識不明となる。

さらに,ヘリウムガスは非常に冷たく,低体温症及び凍傷を引き起こす場合がある。後者は,皮膚が室

温にさらされた後で,火傷に似た傷となる(低温火傷)

。低温部分又は液体空気に触れた皮膚は,凍傷にな

る可能性がある。

超電導磁石の排気システムの様々な故障が考えられる。例えば,次の故障が起こる可能性がある。

−  少ない漏えい:少量のヘリウムガスは,暖房及び空調システムを経由して外に排気され,外気と交換

される。暖房及び空調システムが正常に機能している限りは,これは危険な状況ではない。

これらの漏えいは修正する必要のある建築上の誤りの結果である。

−  超電導磁石の排気システムの部分的な故障:ヘリウムガスの一部だけが,排気システムによって外部

に排気されるが,ほとんどのヘリウムガスは,検査室内に残る。暖房及び空調システムは,その量が

多いためヘリウムガスを取り除くことができず,眼に見える大きな雲がヘリウムガスによって形成さ

れる。さらに室内の気圧が上昇する。漏えいの程度に依存して,室内の人に対して危険な状況となる

可能性がある。

−  完全な故障:超電導磁石の排気システムが完全に故障した場合,例えば,ラインが詰まる場合,及び

壊れた場合。ガスの全量は検査室に排気される。上記の要求事項及び勧告に従っていない場合は,排

気装置の完全な故障の場合に人命が失われる可能性がある。

−  しばしば 100 m

3

以下の容積の室内に,1 000 m

3

以上のガスが吐き出される。

201.7.9.2.101 t)

能動的及び受動的体内植込物を装着している患者の検査

ASTM

規格 F2503-05(文献 144)には,体内植込物機器の MR 適合,MR 条件付適合及び MR 不適合の

定義が記載されており,これらの表示の解釈及び体内植込物

製造業者及び操作者が,特定のタイプの体内

植込物を装着している

患者の MR 検査を計画する場合の取扱いが記載されている。

201.7.9.2.101 u)

妊娠している患者の撮像

妊娠している女性は,熱を放散する能力が損なわれている可能性がある。ここでは,胎盤関門を介した

はい(胚)又は胎児からの熱の放散は,血液循環の良好な組織に比べて効率が低いことが指摘されている。

哺乳類,特に霊長類にとっては,体温の上昇は催奇性をもたらすことが知られており,特に妊娠 3 か月以

内に長く激しい温熱療法(39  ℃以上)を受けた母親の子供は,中枢神経系及び顔面の欠損を受けることが

ある(文献 109,110)

。このような場合は,体温の上昇を 0.5  ℃以下に制限することが望ましい(文献 106)

さらに,MR

検査を想定した妊娠女性モデルについての SAR と体温上昇との詳細な研究から,64 MHz 及

び 128 MHz での

第一次水準管理操作モードでは,体温が 38  ℃に近づくか又は超えることが示されている

(文献 141)

。この研究結果から,母親への全身 SAR が最小となる

通常操作モードを使用して,胎児への

局所的加温を最小にする。

201.7.9.3.101 b)

適合性を記載する技術仕様書

仕様の要約は,製品データシートと呼ばれる。このシートに記載された特定の情報は,

責任部門が特定

の MR

装置に対する周辺装置の適合性を評価する場合に役立つことがある。周辺装置の適合性は,MR 


63

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

置及び周辺装置の両方の製造業者に関連があり,両方の製造業者が適合性宣言を発行している場合は,責

任部門が更に注意する必要はない。その他の全ての場合においては,責任部門は常に MR 装置及び周辺装

置が互いにその正しい作動を妨げないことを確認しなければならない。

MR

装置のシステム構成が周辺装置の正しい作動に影響を与える可能性があること,及び逆に周辺装置

が MR

装置に影響を与える可能性があることを認識することは,非常に重要である。例えば,更に強力な

傾斜磁場システムを MR

装置に取り付けると,磁石ボアの近くで用いる生理学的監視装置及び検知装置な

どの周辺装置の機能に影響を与えることがある。したがって,MR

装置の拡張・更新(アップグレード)

を行う場合は,周辺装置の安全性及び性能を確保するために,

責任部門は,その拡張・更新について周辺

装置の

製造業者に知らせることが望ましい(文献 83)。

201.7.9.3.101 c)

クエンチの場合の安全対策

検査室の構成

一連の検査室についての特徴が,この規格で提言されている。検査室については,

クエンチ時に必要な

超電導磁石用ヘリウム排気システムと,

患者のために通常の空気の入れ替えに必要な患者換気システムと

を明確に区別する。検査室については,

クエンチ時の超電導磁石排気システムの故障に関連して,システ

ムから

患者を移動させるために許容できる時間を最大にするように試みる。これらによって,患者を移動

させるために許容される時間を平均で数分延ばすことの助けとなる。一般に,

患者換気装置の動作は注意

深くモニタするのがよい。幾つかの

患者換気装置では,検査室の上部から新鮮な空気を患者に供給する。

これは,

クエンチ時の超電導磁石用排気システムの故障したときには,患者にとって大変好ましくない。

患者換気システムの動作は,センサでクエンチを検出して自動的に止めることが望ましい。また,全ての

状況で

操作者への自動警報を考慮する。酸素濃度計を音及び光による警報機に接続して検査室の天井に設

置し,ヘリウムガスの漏えいを知らせることを推奨する。検査室の改装を行うときには,RF シールド特性

を再度試験しなければならない。

内側に開く検査室のドア−構造上の安全対策

検査室の最も好ましくない状況は,検査室のドアが内側に開く場合である。この状況では,ヘリウムガ

スの漏えいによる少しの過圧でドアを開けるのが非常に難しくなる。部屋の排気システムによるが,過圧

はかなりの時間続く場合がある。検査室の中に呼吸ができる設備を据え付けることは,クエンチが起きて

から,部屋の気圧が均等になるまでの間,検査室内に滞在できる時間を延ばす助けになる可能性がある。

この状況を解決するために次のような代替策が利用できる。

−  制御室側に外開きになるように,ドアを改造する。

−  ドアを RF シールド形のスライドドアに交換する。過圧となったときにドアを枠から引き抜けるよう

な方向にドアが閉じることを保証すること,すなわち,ドアが容易に開けられるようにする。

−  固定した観察窓を,操作室に向かって開けるような窓又は RF シールド形のスライド式の窓に交換す

る。

−  パネルを検査室の壁,ドア又は天井に取り付ける。そのパネルは鍵をかけないで,緊急時に外に開く

ことができるか,又はその隙間を通して常時気圧を均等化することができるものとする。それらのパ

ネルには,RF シールドが必要である。パネルを開いたときに,排気口のサイズは少なくとも 3 600

(60 cm×60 cm)cm

2

であることが好ましい。長方形のパネルを使う場合には,短い方の長さは少な

くとも 60 cm であることが好ましい。また,一人で容易にパネルを取り外せることを保証しなければ

ならない。さらに,向かいの壁まで少なくとも 1 m の距離が必要であることに注意する。パネルは,

軽いヘリウムガスを逃がすために,できる限り部屋の上部に取り付けなければならない。


64

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

−  検査室の

製造業者は,追加の RF シールドルームの開口部(金属製の格子)が外部に直接つながるよ

うにすることもできる。しかし,これらの開口部は,発生した騒音の検査室の外部への導管でもある。

この場合も,やはり,開口部は軽いヘリウムガスを逃がすために,できる限り部屋の上部に取り付け

なければならない。パイプを通る流れを遮らないようにするため,長い管の直径は適切なものでなけ

ればならない。

−  酸素濃度計及びその警報は,緊急排気システムに接続して,酸素濃度が過度に低くなる警告モードで

は,最大排気に自動的に切り替わる。

補助動力(例えば,電動又は空気圧)によって動くドアは,手動でも動くことを保証しなければならな

い。

据付時に,壊せるような観察窓を設置することもよいが,実施するのはむずかしい。通常,窓は壁と同

等の RF シールド機能をもつワイヤを含む。しかし,その結果としてのガラスの破片が,救助する人を傷

つける可能性がある。窓の構造及び厚さによっては,

操作者は窓を割るために適切な工具を使わなければ

ならない。

保守

予防的保守プログラムが,次の活動に含まれる。

排気システム及び部屋の換気のチェック。

部屋の換気システム及び超電導磁石の冷媒排気システムの据付は,要求事項を厳守し,訓練を受けたも

のによってチェックするのがよい。両方のシステムは,一定期間ごとに不適切な変更がないかどうか目視

によって検査されなければならない。特に,次に注意する。

−  シールドされた検査室内外の設計変更

−  不適切な変更

−  排気管の熱絶縁物の破損

−  排気管の破損

−  排気口の塞ぎ。例えば,鳥の巣による塞ぎ(保護用格子は無傷のままか。

−  保護用の雨よけの損傷(これは,垂直な

クエンチ配管には定期的に要求される。デザインによるが,

それらは水平な出口の配管にもしばしばある。

−  外部への排気口は,システムが顧客に引き渡した後に変更されていないか,排気されたガスが何かに

当たらないか。このことは,例えば,排気システムの性能に悪い影響を与える後から据え付けられた

窓,暖房及び空調のための排気口及び吸気口,新しい建物及び一時的に据え付けられたコンテナ,無

関係な廃棄物及び建設資材を含む。

−  暖房及び空調システム並びに部屋の換気システムは変わっていないか。例えば,近くの部屋への別途

の空調の吸気口及び排気口が追加されていないか。

−  追加して MR

装置が据え付けられていないか。

−  追加の MR

装置で同じクエンチ配管が使用されていないか。

これらのシステムは,装置寿命の間,建物の変更又は改装の対象となるので,

操作者はクエンチ配管及

び排気システムの重要性を熟知している必要がある。この理由によって,頻繁な目視による検査を推奨す

る(例えば,

クエンチ配管周囲の建築物の変更,厳しい天候に関連する氷,雪,砂など)。システムの機能

に疑わしい点がある場合には,排気システム据付の建設業者に連絡する。

緊急時の対応計画


65

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

次の勧告事項は,

それらの項目を含む緊急時の対応計画を

操作者が策定するための助けとして作成した。

−  人及び排気ガスを外に出すための窓及び避難経路についての MR 室のレイアウト,並びに寝台の上で

素早く

患者を移動させるための緊急手動スイッチ

−  緊急時のスタッフ(例えば,救急隊員,施設の火災対応チーム並びに施設及び外部の保安要員)

−  消防署及び警察署への説明及び情報提供(取扱説明書に記載されているように,実際の緊急時以前に

行われなければならない)

。磁場がまだあるか又は消磁しているかを確認する必要性も含む。

−  救出訓練は各人が行う。

−  操作を行うスタッフは,MR 室及びその周囲の部屋からの避難時の監督についての訓練を受ける。

−  スタッフは,状況が元に戻ったとき,すなわち音が止まり,視界が戻ったときに限り MR 室に戻る。

安全上の理由から,全ての部屋は,外につながる窓及びドアを開けて,完全に風を通す。通常,空調

は有効に換気を行う。

スタッフが磁石室にいる場合,次の項目について考慮する。

−  通常のシナリオ:

クエンチ配管は計画どおり機能する。患者は容易に移動させることができる。低温

の部分に接触することは禁止される。

−  少ない漏えい:小さな霧状の雲が明らかに頭上にとどまり,暖房及び空調システムによって明らかに

取り除かれる。白い霧状の雲は床まで降りてくる場合がある。これらの雲は冷たい空気からなり,酸

素欠乏を引き起こさない。この場合には,過圧は起きていない。

患者又はスタッフが窒息するリスク

はない。

患者は,すぐに,又は患者の状況への反応によっては数分後に,移動することができる。低

温の部分に接触することは禁止する。

クエンチ配管の部分的又は完全な故障:視界を遮る霧状の大きな雲が現れる。さらに検査室の気圧も

高くなる。部屋の中にいる全ての人又は救出のために部屋に入る全ての人が危険である。検査室内に

ある超電導磁石の換気システムの完全な故障の間,検査室には直ちに低温のヘリウムガスが充満する。

一般に,救助隊員は一人で行動するのでなく,2 人以上のグループで行動するのがよい。

通常,強いガスの噴出しは最初の数分だけで,それ以降は鎮まる。しかし,

クエンチ配管の異常が起き

たときのことは,一般に十分には分からないので,ガスの噴出する方向は完全には予知できない。

検査室へのドアを開ける前に十分な換気を行うために,全ての開閉可能なドア及び窓を開けなければな

らない。システム周辺にいる救援活動に従事しないスタッフは,検査室内の

患者救助の前に退去する。ド

アを開けたときに,部屋の中で起こり得る過圧は,次の項目の要因となる。

−  ドアを操作室に向けて開けたとき,ドアは過圧で勢いよく開く場合がある。

操作者は,ドアが勢いよ

く開くことによる怪我を避けることができるように,この可能性に注意する。

−  ドアが検査室に向かって開く場合,過圧のため開けられない場合がある。この場合には,窓又は緊急

フラップを開ける。過圧によって窓又はフラップが予想以上に勢いよく開く場合がある。緊急用の開

口部がない場合は,観察窓を壊す場合がある。しかし,ガラスの破片は,救急隊員を傷つける可能性

がある。構造及び窓厚によるが,

責任部門は窓を壊すのに適当な道具を用意しておく必要がある。

検査室へのドアを開けると,ヘリウムガスは,近接の部屋に流れ出すおそれがあり,救急隊員を危険に

さらす。酸素濃度計を使って空気中の酸素濃度を確認することが可能である。ガスマスクは,ヘリウムガ

スによる酸素の置換に対しては有効でない。ヘリウムからの回避に必要な設備としては,空気ボンベが必


66

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

要である。また,窒息の

リスクに加えて,低体温症のリスクがある。

ヘリウムガスは,速やかに昇温し,天井から下に向かって広がってくるので,立っている救急隊員の方

が,

患者支持器に横たわっている患者よりも危険な状況にさらされる。床側に空気が残っている可能性が

ある。救急隊員は四つんば(這)いになって空気を吸った方がより時間を稼げる可能性がある。

患者を検査室から移動させた後は,クエンチが停止し排気が確認できるまで MR システムの周辺にいか

なる人も居てはならない。

クエンチの後,附属文書に記載されているサービス手順が実施されなければならない。MR システムを

直ちに復旧させるため,保守要員に連絡する。

201.8.7.3

許容値

表面コイルの漏れ電流について通則からの要求事項の適用を明確にする。通則 JIS T 0601-1 の 8.7.3 e)

に規定される漏れ電流の許容値については,あらゆる状況で計測することができない。MR

装置において

は,正常状態及び単一故障状態での漏れ電流の

患者に対する上限及び患者漏れ電流は,1 MHz 以上の周波

数には適用されない。波形及び周波数に関係なく,漏れ電流についてのハザードは,この規格の細分箇条

201.12.4.103.2

に規定する局所 SAR への要求事項によって管理できる。

201.9.6.2.1

可聴域の音響エネルギー

静磁場内で傾斜磁場コイルに流れる電流の早い変化は,可聴周波数帯域の振動を生じる。これらは,し

ばし大きな“ノッキング音”として現れる。

このノッキング音のような,短いが非常に大きな騒音は,突発的な聴力低下を引き起こすことがある。

これに関連する安全性パラメータは,デシベル(dB)値(20 μPa を基準)で測定したピーク音圧レベルで

ある。

現在,国際的に容認されているピーク音圧レベルの上限値は 140 dB である。騒音の発生について,どの

ような状況において MR

装置が最悪の状態を生じるかを予測することは困難である。騒音について最悪の

状態は,MR

装置の周波数応答特性によって,ある臨床プロトコルを用いた場合に生じる可能性がある(偶

然に機械的共鳴周波数で MR

装置を振動させ,その結果,更に大きな騒音を生じる)。

理論的根拠 201.7.9.2.101 d)も参照。

201.12.4

危険な出力に対する保護

MR

装置によって発生する時間変化する(傾斜)磁場,高周波磁場及び静磁場は,ある程度の安全処置

が必要なほど,生理的機能に影響を与える可能性がある。次の勧告は,現在の科学技術の知識に基づいて

いる。これらの勧告を定める場合には,現在のガイドラインが考慮されているが,新しい科学的根拠が得

られた場合には,修正が必要になる。

診断のための MR

検査は,通常,約 1 時間以内に終えることができる。したがって,患者に与える影響

については,1 時間の照射中及び直後の(急性)副作用について重点が置かれている。

201.12.4.102

傾斜磁場システムが生成する過度の低周波磁場変化に関する保護

(1)  概要

時間変化する磁場は,ファラデーの法則に従って電場 を誘導する。MR

装置の傾斜磁場コイルを切り

換えると時間変化する磁場(dB/d又は)が生じ,

患者の身体はその誘導電場にさらされる。この電場は,

周波数に依存するしきい値をもつ刺激を受けやすい組織に影響を与えることがある。10 kHz を超える周波

数では,影響を引き起こすのに必要な電場は高くなる(文献 84)

。電場は電流を誘導し,これがオームの

法則に従って加熱を引き起こすが,実際には,

傾斜磁場出力による加熱作用は問題にはならない。

時間変化する均一な磁場があり,そして,均一な伝導度をもつ円筒形の人体を,その軸を磁場 B に平行


67

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

に配置しているような単純な場合には,電場 は磁場 に垂直な円形経路に沿って誘導される。したがっ

て,その大きさは,その経路の半径に比例する。その結果,問題のレベルは,傾斜磁場システムの大きさ

及び導電性媒体の大きさに左右される。組織への刺激は,大きな傾斜磁場システムで時間変化する磁場を

生成したときの方が起こりやすい。

(2)  安全性についての問題

傾斜磁場出力についての主要な問題は,心細動及び末しょう(梢)神経の刺激である。心細動は,すぐ

に生命を脅かす状態であるため,最も重要な問題である。神経の刺激は,耐えられない痛みとしての強い

刺激を感じることがあるため重要である。これらの重要な現象は,心臓神経の刺激(CS)及び末しょう(梢)

神経の刺激(PNS)のしきい値を超えると生じる。

第二に重要な問題は,

患者の加熱である。現在,誘導電流によって生じる熱は低いが,これに MR 装置

の高周波にさらされることによって生じる熱が追加されるので,この問題はこれら二つの熱源の組合せに

よる影響に関係する。

(3)  刺激モデル

Reilly による空間的に延長した非線形結節(SENN)による理論的神経モデルでは,神経の刺激しきい値

は,電場の方向に平行な神経の終点における局所電場強度 E,及び刺激の持続時間 t

s

によって表すことが

できると予測している(文献 85)

。刺激の持続時間が長くなると,電場強度のしきい値は漸近的に最低レ

ベル E

min

に達し,刺激の持続時間が短い場合には,しきい値は E

min

と 1/t

s

との積に比例する。

Reilly は,t

s

を変数とするしきい値関数は,指数関数を用いて次のように近似できると提唱した。

(

)

c

s

min

TH

exp

1

t

t

E

E

=

(AA.5)

このモデルから,単極方形波電気刺激によるヒトの心臓及び末しょう(梢)神経の刺激しきい値 E

min

最小値は,6.2 V/m であると推定される。時定数 t

c

の実験値は,末しょう(梢)神経の刺激については約

0.12∼0.8 ms であり,心臓神経の刺激については 1∼8 ms である。Reilly は,代表値として 3 ms を挙げて

いる。

式(AA.5)の指数関数的関係に代わって,実験データを更に正確に表すことのできる関係式が提唱されて

いる(文献 86,87)

。この関係式は,しきい値と刺激の持続時間との間に双曲線的依存性があることを示

している。

⎟⎟

⎜⎜

+

=

s

c

TH

1

t

t

rb

E

(AA.6)

ここに,

rb: 基電流

t

c

時値

t

s

刺激の持続時間

この式において,基電流はしきい値刺激に必要な低周波の限界値,時値は対象とする神経の特性反応時

間である。式(AA.5)と同様に,t

s

は刺激の持続時間である。この式は単極方形波刺激を想定している。次

に記載するように,最近の実験は,傾斜磁場による末しょう(梢)神経の刺激は,式(AA.6)に時値 360  μs

を用いることによって正確にその特性が表されることを証明している(文献 89,90,91)

Schaefer は,式(AA.5)の指数関数的関係と比べると,式(AA.6)の双曲線的表現も,Reilly の SENN モデル

から得られる理論値に当てはめるのに適していると指摘した(文献 88)

。したがって,ここでは式(AA.6)

を用いて末しょう(梢)神経の刺激しきい値について記載する。


68

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

(4)  心臓の刺激,末しょう(梢)神経の刺激及び加熱の生理学的限界値

Reilly は,動物における電気刺激についての各種の研究を比較し,心細動のしきい値は対数正規分布を

示し,刺激に最も敏感なパーセンタイルは中央値の約半分であることを確認した(文献 85)

。さらに,一

定の動物では刺激しきい値(異所性拍動の発生開始)が心細動レベルの 40 %になると推定した。外挿によ

って,自身の SENN モデルから得られるヒトの刺激しきい値は,ヒトの平均的な細動レベルの 20 %になる

とした。Reilly は,刺激に最も敏感な 1 パーセンタイルの刺激に必要な基電流(V/m)であると自ら推定し

ている 6.2 V/m の電場を心臓に生じるには,傾斜磁場(x,y,z)を(71.3,72.1,50.8)T/s の dB/dで切

り換える必要があると推定した。

Bourland らは,立上がり時間 530 μs で 2.700 T/s を超える傾斜磁場の切換えを行った場合の,イヌの心臓

の刺激しきい値の中央値を報告している(文献 90)

。これは,心臓の神経の時定数が 3 ms であるとき,440

T/s の漸近的刺激しきい値に相当する。イヌ及びヒトの生理学的機能を考慮して計算すると,測定対象の

体長方向に沿った単位 dB/dが心臓に誘導する電場は,

ヒトの場合はイヌの場合よりも 2.81 倍大きくなる。

したがって,ヒトについては,漸近的刺激しきい値は 156 T/s と推定され,その結果,1 パーセンタイル値

は,78 T/s と予想される。これらは,Reilly の推定値とよく一致している。

この規格で用いている心臓神経の刺激を避けるための限界値は,1 パーセンタイルしきい値に対して 1/3

の安全係数を採用している。これは,SENN モデル及び実験的に求めた心臓の刺激しきい値に基づいてい

る。この限界値は,上述の仮定を用いると,心臓の刺激のゆう(尤)度が 2×10

9

未満であることに相当

する。さらに,この規格が与えている末しょう(梢)神経の刺激の限界値は,実用的に関心のある全ての

刺激持続時間について,心臓の刺激しきい値よりも低いことになる。

パデュー大学の Bourland らによる 84 例を対象とした研究では,不快な刺激の最小パーセンタイルに必

要な dB/dは,前後(AP)方向及び頭足(HF)方向の両方の傾斜磁場を切り換えたときの,末しょう(梢)

神経の刺激しきい値の中央値にほぼ等しい(文献 90)

。耐えられない刺激の最小パーセンタイルは,末し

ょう(梢)神経の刺激しきい値の中央値よりも約 20 %高い dB/dにあった。大きな不快感の原因になるの

は有痛刺激だけではなく,筋肉の不随意れん(攣)縮も不快感を伴う。そのため,このようなレベルでは,

患者の協力及び検査の有効度が大きく損なわれる。明らかに,その点における限界(エンドポイント)は,

耐えられない刺激の発生である。そのような状況における

患者の反応は,更なる安全上のリスクをもたら

す。したがって,この規格では,

第一次水準管理操作モードについては平均刺激しきい値を限界値として

選択し,

通常操作モードについてはその 80 %を限界値として選択している。

傾斜磁場出力に対して MR 作業従事者に許容される被ばくレベルは,耐えられない PNS の発生を最小に

するという意味で,

患者のレベルに設定する。MR 作業従事者は,患者が近づかない装置の位置に近づく

場合があるので,

患者に対する PNS の平均しきい値レベルと関連させるのは困難である。

インターベンション MR の実施の前に,MR

作業従事者に患者の安全を損なうような予期せぬ PNS を避

けるように注意を喚起するのがよい。

(5)  MR 装置における電場 と dB/dとの関係

電場 の上限値を dB/dの上限値に変換するには,

一般的な

患者及び傾斜磁場システムの形状における,

これらのパラメータの関係を知る必要がある。

傾斜磁場システムによって人体に誘導される電場 は,dB/dの空間分布及び人体の形状に関連してい

る。表面 に外接する任意の閉じた軌跡 について,次の基礎物理学的方程式が与えられる。

dS

dt

dB

=

dl

E

          

(AA.7)


69

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

この式は,境界条件を指定すると解くことができる。説明を簡単にするために,

患者は長半径 a,短半

径 をもつ均一な伝導度の回転だ(楕)円体として表し,

患者の外側の空間は絶縁物であるとする。空間

的に均一な時間変化する磁場を,このだ円体の長半径に垂直に加えると,の最大値はだ円体の中心を通

る面の外周に沿って生じる。この外周が,末しょう(梢)神経の刺激が最初に生じると予測される位置に

なる。Reilly は,その位置で次の式が成り立つと指摘している(文献 85)

(

)

t

B/

b

a

b

a

|E|

d

d

2

2

2

+

=

(AA.8)

患者の身体断面を表すだ円体の長半径 が 0.4 m,短半径 が 0.2 m,及び磁場の方向が AP 方向である

とき,次の関係が成り立つ。

t

B/

.

|E|

d

d

16

0

=

(AA.9)

ここに,

E

V/m

単位

dB/dt

T/s

単位

時間変化する磁場がだ円体の長半径に平行であるとき,すなわち磁場の方向が

HF

方向であるとき,誘

導される電場はその半径

b

0.2 m

の円形断面に平行になる。このとき,次の関係が成り立つ。

t

B/

E

d

d

10

.

0

=

(AA.10)

ここに,

E

V/m

単位

dB/dt

T/s

単位

現実には,MR

装置の傾斜磁場システムによる磁場は不均一である。傾斜磁場システム内では,患者の

周辺における dB/dの空間的最大値は,

患者の身体全体にわたる dB/dの平均値よりも高い。形態が実際

の人体に近いモデルを用いた最近の計算では,半径

0.2 m

における最大値とみなされる dB/dについて,

(AA.9)

の係数が

0.11

及び

(AA.10)

の係数が

0.08

であると報告されている。

Botwell

及び

Bowley

も,撮像

装置内にある半径

0.195 m

の導電性の円筒に誘導される電流を計算しており,同様の値を報告している(文

92

。その結果から,

E/(

dB/dt

)

の値(dB/d

r

0.195 m

で最大値)を求めることができる。この比は,

横手方向の傾斜磁場の切り換えについては

0.121

になり,長手方向の傾斜磁場の切り換えについては

0.087

になる。このモデルで伝導度が不均一な場合(骨を含む場合など)を想定するとき,局所最大電場はおそ

らく

2

倍大きくなるということに注意する必要がある。

式(

AA.6

)は,その値を特定の代表的な位置に関連付けるとき,dB/dのしきい値を表す式に変換する

ことができる。MR

装置の傾斜磁場波形は,バイポーラ(双極)波形が繰り返されるという特性をもつ。

台形傾斜磁場波形の場合(この規格の箇条 201.3 

図 201.101 参照),誘導される電場

E

は,極性が交替し

ながら連続する方形波刺激列になる。最大強度

G

max

をもつ双極台形傾斜磁場波形の刺激の持続時間

t

s

は,

次の式で与えられる。

G

G

t

&

max

s

2

=

(AA.11)

(

6

)

間接的に求めた心臓の刺激しきい値

この規格では,式

(AA.6)

を用いて,

(4)

に記載した心臓の刺激の生理学的限界値を換算する。心臓神経の

時定数

t

c

3 ms

とみなす。心臓の刺激を生じる基電流

rbc

としては,

Reilly

1

パーセンタイルしきい値

電場の値を用いる。電場で表した基電流を dB/dで表した基電流に変換するには,式

(AA.10)

及び

(4)

に記載

した安全係数

1/3

を用いる。心細動を避けるための限界値は,次のようになる。

(

)

c

s

exp

1

1

3

t

t

rbc

L

=

(AA.12)

ここに,

  rbc

6.2 V/m

又は

62 T/s


70

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

(

7

)

全身用 MR 装置における末しょう(梢)神経の刺激(PNS)に対する傾斜磁場出力の限界値の直接証

この規格では,MR

装置に固有の

PNS

しきい値を得るための,多数の方法を記載している。この

(

7

)

及び

次の

(

8

)

で,これらについて記載する。この規格は,

PNS

の限界値を確立する場合に,しきい値の実験的評

価を限界値の決定の根拠として用いてよいとしている(直接決定)

。直接決定には,

傾斜磁場ユニットの代

表的モデルを用いたボランティアによる実験が必要である。しきい値と立上がり時間との間に双曲線的関

係があるという仮定が正しいということに基づいて,使用できる直接証明の方法には,限定された数の立

上がり時間を用いた実験に基づいて基電流及び時値を確立し,用いた各立上がり時間について帰納式を生

成する方法がある。さらに別のモデルを用いて,実際に実験に用いる波形の数を限定してもよい。そのよ

うなモデルの一例を

(

16

)

に記載する。

ボランティアによる実験から導かれる上限値は,

(

4

)

に記載した生理学的要求に従わなければならない。

このような直接証明は過度の負担を与えることがあるので,この規格では,一部の重要な波形について,

代替値として計算による上限値を与えている。これについては,次の

(

8

)

(

14

)

で記載する。

傾斜磁場は,均一な球内に dB/dt,傾斜磁場の立上がり時間及び球の半径に依存した電場を誘起する。

電場による刺激のしきい値は,大人と子供とで類似しているが,やや子供の方が高い可能性がある(文献

160

。したがって大人に対して刺激のしきい値を設定する方が低めの値となり,このため子供はボランテ

ィア試験から除外する。

(

8

)

計算による PNS の上限値

PNS

上限値の直接証明は,常に実施できるとは限らない。この規格では,このような場合の代替法とし

て,計算によって求める上限値を dB/d及び

E

について与えている。これらの上限値は,MR

装置を用い

PNS

を求めた

3

件のボランティア研究に基づいている。これらの研究の結果は,

Ham

ら(文献

89

Bourland

ら(文献

90

)及び

Hebrank

ら(文献

91

)が報告している。いずれの報告においても,円筒形

全身

用磁石の中の全身用傾斜磁場システムによる傾斜磁場にボランティアをさらしており,その

PNS

しきい値

は dB/d及びパルス持続時間の関数として観察されている。これらの報告で

PNS

しきい値を表すために用

いられている dB/d値は直接比較できず,また傾斜磁場波形の細部も異なるが,これらの報告の結果を比

較することはできる。この比較には,この規格で用いる

PNS

上限値の根拠を確立する目的で収集された未

発表の詳細データを幾つか用いる。比較の根拠を

(

9

)

にまとめる。

全身用 MR 装置の全身用傾斜磁場出力の

上限値は,上記に基づき

(

10

)

において導かれる。

(

9

)

傾斜磁場出力の比較の根拠

実験(文献

89

90

91

)の比較には,次の根拠を用いた。全ての dB/d値は,磁石と同軸に置かれた半

0.2 m

の円筒の壁面に生じる dB/dの絶対値の空間的・時間的最大値 dB/dで再計算した。この円筒の容

積は,通常の場合に

患者が占める領域を表すものとして選択した。用いた全ての傾斜磁場波形は,台形の

エコープラナ(

EPI

)波形であった。切り換えた傾斜磁場の方向は,

3

件の報告のうち

2

件が前後(

AP

方向であった。そして,第

3

の報告(文献

89

)には,全ての傾斜磁場装置を同時に作動させた結果が示さ

れており,この報告から,

AP

方向に切り換える傾斜磁場のしきい値を回帰によって得た。波形の平たん

(坦)部の報告値は,

Bourland

(文献

90

)が

0.3 ms

Ham

(文献

89

)が

0.4 ms

及び

Hebrank

(文献

91

)が

0.5 ms

であった。これらの平たん部の長さの違いは,二次の影響とみなされて無視された。個々のしきい

値の個人差の分布の幅は,

3

件の報告のうち

2

件(文献

90

91

)で評価することができたが,それは,こ

れらの研究に参加したボランティアの人数が多かったためである。平均との比で表される標準偏差は,こ

2

件の研究では類似の値が観察され,平均しきい値の信頼区間の決定には

0.24

の値が用いられた。


71

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

ある立上がり時間について,傾斜磁場システムの技術的な制限によって,全ての被験者においてしきい

値に達することができなかった場合は,平均の推定量として限定された範囲での平均(刈込み平均)が用

いられた。

N

例のボランティアで

c

個の最大しきい値が観察できなかった場合,限定された範囲での平均

は,大きさの順に並べたしきい値の中央の

N

c

個の平均として定義する。

(

10

)

全身用 MR 装置によるヒト・ボランティアの PNS しきい値についての実験データ

図 AA.2 に,実験値を上記

(

9

)

に記載した比較の根拠に従って変換した結果を記載する。研究には,傾斜

磁場装置の設計の違いが出るように複数の

製造業者の MR 装置が用いられたが,図のデータは一致してい

ることが分かる。

dB/dt

1.0 rb (1

0.36/t

s, eff

)

全てのデータ点を,各点に上述の各報告のボランティア数を考慮した統計的重みをつけて当てはめるこ

とによって,

上式に従った単一双曲線しきい値刺激関数が得られる。

得られた基電流の値は次の式で表す。

rb

19.7

±

1 T/s

上述の値は,この規格では

19.7

20 T/s

に丸める。時値

t

c

0.36 ms

である。

台形 EPI 波形での末しょう(梢)神経の刺激の実験的しきい値と,立上がり時間 t

s

の両対数グラフ[◇は

Ham(文献 89),+は Bourland(文献 90),×は Hebrank(文献 91)]。全ての実験において,データは傾
斜磁場の切換え方向が AP 方向のものである。しきい値は,磁石と同軸に置かれた半径 0.2 m の円筒の表
面に生じる dB/dの絶対値の空間的・時間的最大値 dB/dとして表されている。実線は,全てのデータ点
を,各点に各報告のボランティア数を考慮した統計的重みをつけて当てはめた双曲線である。双曲線の特

性パラメータは,基電流 rb=19.7 T/s,及び時値 t

c

=0.36 ms である[式参照:dB/dt=1.0 rb (1+0.36/t

s,eff

)]。

図 AA.2−全身用 MR 装置によるヒト・ボランティアの PNS しきい値についての実験データ

(

11

)

台形波形以外の波形による PNS しきい値についての実験データ

dB/dt

で表したしきい値は,刺激の持続時間

t

s

に依存すると考えられている。台形波形ではない傾斜磁

場波形について,刺激の持続時間に固有の定義はない。

Harvey

ら(文献

93

)及び

Mansfield

(文献

94

)は,

正弦波形による刺激の実効刺激持続時間を,振幅と最大変化率との比として定義するとき,正弦波形のし

きい値は台形波形のしきい値にほぼ等しくなることを示した。

T/π

B

B

t

=

=

)

0

(

2

max

eff

s,

&

(AA.13)

フレーゼらは,同じ MR

装置において

AP

方向の台形波形と正弦波形とを比較した(文献

95

図 AA.3


72

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

は,

t

s,eff

の関数として表したデータを当てはめて得られた曲線である。この例は,その使用の妥当性を証

明している。この規格では,

t

s,eff

を用いて刺激の実効刺激持続時間を表す。

波形は,台形 EPI 波形(+)及び正弦 EPI 波形(◇)である。フレーゼ(文献 95)の実効刺激持続時間
t

s,eff

に対するしきい値データを表す。データは,傾斜磁場の切り換え方向が AP 方向のものである。しき

い値は,磁石と同軸に置かれた半径 0.2 m の円筒の表面に生じる dB/dの絶対値の空間的・時間的最大値

dB/dt

として表されている。実線は,全てのデータ点を

図 AA.2 と同様に当てはめた双曲線である。

図 AA.3−末しょう(梢)神経刺激の実験的しきい値の両対数グラフ

(

12

)

傾斜磁場の切換え方向に対する患者の身体の方向に依存する PNS しきい値についての実験データ

傾斜磁場を切り換える方向の関数としての基電流の値が,

全身用 MR 装置において実験的に得られてい

る。

HF

方向の傾斜磁場コイルについて,パデュー大学によるボランティア

84

例を対象とした研究は,基

電流が

29.5 T/s

,及び時値が

0.36 ms

であると報告している。これらの実験では,

HF

方向の傾斜磁場を切

り換えることによる刺激の影響を模擬するために,実際の

HF

方向の傾斜磁場の両端における磁場パター

ンを再現する一巻のコイルを用いたことに注意が必要である。被験者は,最小

PNS

しきい値が得られるよ

うに,長手方向に配置した。この実験は,そのような MR

装置において,

HF

方向の傾斜磁場による

PNS

しきい値は

AP

方向のしきい値よりも高くなり,

AP

方向と

HF

方向との比は

0.66

であることを示している。

LR

方向の傾斜磁場と

AP

方向の傾斜磁場との間にも同様のしきい値の差がある。

Budinger

は,ボランティ

10

例について,

ボランティアを基準として傾斜磁場コイルを回転することによってこれらのしきい値を

調査し,

AP

方向と

LR

方向との比が

0.8

であることを示している(文献

96

。これらの結果から,この規

格では,

HF

方向の

傾斜磁場出力を計算する場合の重み因子として

w

HF

0.7

,及び

LR

方向の重み因子とし

w

LR

0.8

を用いている。

(

13

)

複数の傾斜磁場ユニットによる波形を組合せた場合の神経刺激

MR

撮像シーケンスは,常に全

3

方向の

傾斜磁場ユニットによる傾斜磁場波形の組合せを用いている。

最も強い刺激は,全てのコイルを同時に,同一の波形を用いて,最大

傾斜磁場出力で作動させたときに

生じる。各時点において,磁石中心近くの空間での総変化率

(

dB/dt

)

total

は,各

傾斜磁場ユニット

i

の寄与

(

dB/dt

)

i

のベクトル和になる。刺激の機序と考えられる誘導電場もまた,切り換える各傾斜磁場によって生

じる電場

E

i

のベクトル和になるということに注意する。

(

dB/dt

)

total

の値は空間の関数となり,傾斜磁場座


73

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

標系によって定められる八分割空間(オクタント)に強く依存する。最大値は,

(

dB/dt

)

total

の方向と各

(

dB/dt

)

i

の方向とのなす角度が

90

°未満になるオクタントに生じる。常に

2

個のオクタントがこの状態にあり,傾

斜磁場の極性が変化する複雑な波形を組み合わせているとき,この最悪の状態が他のオクタントに移って

いく。最悪の状態のオクタント内では,

(

dB/dt

)

total

の空間最大値は,

(

dB/dt

)

i

の空間最大値の和よりも小さ

くなる。これは,後者の各最大値が同じ点には生じないためである。さらに,そのようなオクタント内で

は,最大

(

dB/dt

)

total

の位置における各

(

dB/dt

)

i

ベクトルの方向は完全に平行ではない。

したがって,検討しているケースでは(全てのコイルを同時に,同一の波形を用いて,最大 dB/dで作

動させた場合)

,コイルの併用による刺激への影響は,個々のコイルの影響の線形和よりも小さい。

この規格では,傾斜磁場の同時切換えによる影響は,各

傾斜磁場ユニットの

(

dB/dt

)

i

の重みつきの平方和

によって表されるとみなしている。重み因子については,

(

12

)

に記載する。

最大出力で作動している

3

方向の傾斜磁場の,刺激の持続時間

t

s

が異なる場合には,平方和にもまだ意

味があり得るが,共通の上限値を各持続時間

t

s

の個々の上限値に置き換えなければならない。

MR

検査において,シーケンスに複数の波形が各傾斜磁場の最大振幅で同時に加えられることはまれで

あるので,その発生は控えめに想定される。複数のコイルから部分的に同時に加えられる波形による,更

に現実的なしきい値の推定値は,

各波形の形状を考慮して精度を高めたモデルによって得ることができる。

そのようなモデルの例については

(

16

)

で記載する。

(

14

)

全身用傾斜磁場システムにおける PNS の上限値

(

4

)

で記載したように,

第一次水準管理操作モードの上限値は,

PNS

しきい値を与える

傾斜磁場出力であ

る。この生理学的定義は,定量的に言い換えることができる。

全身用傾斜磁場システムについては,この

上限値は

(

10

)

に記載した

AP

方向の傾斜磁場の切換えで認められるしきい値に基づいている。

この上限値は,一定の波形で傾斜磁場システムの最大

傾斜磁場出力を用いたときのものである。

MR

装置の最大傾斜磁場出力は,全ての傾斜磁場ユニットをそれぞれの最大スルーレイト及び最大傾

斜磁場強度で同時に作動させたときに生じると想定する。この出力は,適合性容積内に生じる

傾斜磁

場出力の絶対値で表した空間的な最大値として測定できる。

適合性容積は,この規格で定義している。その寸法は,体の大きな

患者が通常は存在しない領域を除

外している。そのため,実際に

患者が接触できる空間よりも小さい場合がある。

  (

11

)

に記載した,正弦波形のしきい値と台形波形のしきい値との間の刺激の持続時間の補正を含む。

同時出力は,個々の

傾斜磁場ユニットの傾斜磁場出力について,

(

12

)

に記載した方向に依存するしき

い値の比

w

i

及び

(

13

)

に記載した平方和を用いて求める。

これは,次の結果となる。

(

)

(

)

s

2

36

.

0

1

20

)

(

t

dB/dt

w

i

i

+

×

<

(AA.14)

dB/dt

値は計算又は実験によって得ることができる。計算は,ビオ・サバールの法則を用いてコイルの

形状及び電流分布から行うことができる。

×

=

3

'

4

)

'

(

'

)

'

(

)

(

r

r

r

r

l

d

r

I

r

B

ϖ

ϖ

ϖ

ϖ

ϖ

ϖ

&

&

ϖ

π

μ

(AA.15)

ここに,

dl'

位置

r'

におけるコイル巻線の成分

(

15

)

電場 の計算に基づく PNS の上限値

全身用傾斜磁場システムと大きさが異なる傾斜磁場システムについては,全身用傾斜磁場システムにつ

いての

傾斜磁場出力を

PNS

しきい値に関連付けた実験の情報を直接適用することはできない。これは,こ


74

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

の関係がコイルの形状及び

患者に依存するためである。例えば,半径

0.1 m

の頭部だけがさらされる傾斜

磁場システムの場合,

(

8

)

で記載した

傾斜磁場出力の上限値は約

2

倍厳しくなる。この規格は,特殊目的の

MR

装置(例えば,乳房,四肢又は頭部専用 MR 装置)に用いられる様々な傾斜磁場システムのために,

及び

全身用 MR 装置に用いられる特殊な傾斜磁場システム設計のために(MR 顕微鏡,心臓及び頭部のた

めの傾斜磁場システムなど)

傾斜磁場の切換えによって誘導される電場

E

の上限値の使用を認めている。

その根拠は,

E

(

3

)

に記載した生理学的モデルに直接関係する量であるからである。

一定の形状のコイル及び

患者に誘導される

E

の値は,簡単に測定することはできないが,

患者に誘導さ

れる電流の影響を無視するとき,コイルの形状及び電流分布から算出できる。傾斜磁場の切り換えによっ

患者に誘導される電場は,次の式で表すことができる。

Φ

−∂

=

t

A

E

/

(AA.16)

ここに,

A

は傾斜磁場コイルを流れる電流によるベクトルポテンシャルである。時間微分∂

A/

∂t は,次の

式で算出できる。

=

=

r

r

l

d

r

I

r

A

r

E

π

μ

4

)

(

)

(

)

(

&

&

(AA.17)

ここに,

I&: コイルの電流の変化率

dl': 位置 r'における,コイル巻線の長さにわたる成分

静電ポテンシャル Φ は,電気伝導度の不連続境界(空気と

患者の身体との境界など)における電荷によ

るものであり,電荷の保存の結果としてあらわれる。

静電ポテンシャルは,

一般にコンピュータを用いて計算する必要がある。Φ がゼロになる特殊な場合は,

導電性円筒の軸に沿って,円筒に対して対称な Z-傾斜磁場を加える場合である。この場合,E=‐∂A/∂

なる。式(AA.17)は,複雑な

患者モデルに対して有効である。モデルを簡単にする有用な方法には,人体の

関心部分を均一な伝導度の円筒又は回転だ円体として近似する方法がある。

この規格では,のしきい値は,(10)に記載した 0.36 ms の時値並びに方向別の dB/d値及びパデュー大

学による と dB/dとの比の計算結果[(4)参照]に基づく基電流をもつ,式(AA.6)に示した双曲線形のし

きい値関数で表されると仮定した。さらに,電場は電気伝導度が

患者の全身にわたって均一であると仮定

して求める。

そのようにして求めた基電流による電場は,

AP 方向の傾斜磁場切り換えについては 2.16 V/m,

HF 方向の傾斜磁場切り換えについては 2.4 V/m である。これら二つの値の違いは,有意なものではないと

みなせるので,全ての方向の傾斜磁場について,台形波パルス列による PNS の基電流を 2.2 V/m と推定す

ることは妥当であるとみなした。dB/dの上限値についての議論と同様に,

第一次水準管理操作モードに

おける の上限値は のしきい値に等しい。

通常操作モードについては,上限値は,0.8 倍に引き下げら

れる。の上限値は,あらゆる種類の MR

装置に当てはまる。の値は,一定の傾斜磁場出力について適

合性容積内に生じる最大値である。これについての説明は,(14)の説明と同じであるが,傾斜磁場ユニッ

トの同時出力は,前記(13)に記載した二次の加算を用いて導くことができるが,方向に依存する重み因子

を用いることはできない。例えば,刺激の持続時間が t

s,eff

の EPI 波形については,次の結果となる。

(

)

eff

s,

2

t

36

.

0

1

2

.

2

)

(

t

E

+

×

<

(AA.18)

(16) 複雑な波形の PNS しきい値モデル

式(AA.6)に類似し,(10)で定義した基電流及び時値をもつ双曲線しきい値関数は,反復する双極方形波

刺激にも当てはまる[式(AA.14)で定義しているように,実効刺激持続時間を用いると,正弦波形について

も当てはまる。

MR 撮像によく用いられる複雑な傾斜磁場波形について論じるには,モデルを拡張した


75

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

方がよいことがある。そのような波形については,しきい値が高くなることがあるためである。一般性を

高めたしきい値関数は,この波形による刺激を,神経応答を積み上げて最終的にしきい値に到達させる一

連のディラック(のデルタ)関数とみなすことによって得ることができる(文献 97)

。式(AA.6)から,持

続時間 t

s

の単発方形波刺激に対するしきい値下の反応 R

rect

は,次の式で表すことができる。

(

)

s

c

s

rect

t

t

rb

t

B

B

B

R

TH

+

=

=

&

&

&

(AA.19)

R

rect

は t

s

の関数であるとみなすことができる。その t

s

についての導関数は,次の式となる。

(

)

2

s

c

c

s

s

rect

)

(

)

(

t

t

t

rb

B

t

d

t

R

d

+

=

&

&

(AA.20)

式(AA.20)は,tt

s

における反応値に対する,t=0 における刺激

B&

へのディラック形加算の寄与を表して

いる。一般性を高めた場合については,時間

t

における反応値 Δ

R

(

t

)の,時間

θ

における強度

)

(

θ

B&

のディラ

ック形刺激からの増分は,次の式で表される。

(

)

2

c

c

)

(

)

(

θ

θ

θ

+

=

t

t

t

rb

d

B

t

dR

&

(AA.21)

0<

θ<T の任意の時間における,任意の刺激

)

(

θ

B&

に対する神経応答の合計値

R

(

t

)は,次のたたみこみに

よって得られる。

(

)

+

=

t

d

t

t

t

B

rb

t

R

0

2

c

c

)

(

1

)

(

θ

θ

θ

&

(AA.22)

図 AA.4 は,単発方形波刺激の

R(t)

を示している。刺激は,刺激を引き起こす dB/dt

max

の強度によって,

R(t)

の時間的最大値が

1

以上になるときに生じる。例えば,

EPI

波形の複雑な刺激は,極性が反転しながら

連続する方形波刺激列で,その刺激列の最初の刺激は,持続時間が他の刺激の半分である。傾斜磁場波形

の平たん(坦)部は,刺激の間の時間間隔に相当する。

図 AA.5 に,この場合の,

PNS

についての式

(AA.21)

の積分結果を図示する。

R(t)

の最大値は,持続時間が半分でない最初の刺激が終わる時点で生じる。この

図は,単純な波形のしきい値が与えられた場合は,このモデルを用いて任意の波形のしきい値条件が得ら

れることを示している。

図 AA.6 及び図 AA.7 は,モデルの予測値と実験値との比較を示したものである。図 AA.6 は,パデュー

大学による研究の台形波形のしきい値を記載する[詳細は

(

10

)

参照]

。式

(AA.22)

)

(

θ

B&

に実験の台形波形

を代入してしきい値関数を求めた。さらに,最もよい当てはめ結果が得られるように基電流

rb

及び時値

t

c

[式

(AA.22)

]を調整した。得られた値は,

(

10

)

で同じデータセットについて示した基電流及び時値とは異

なることが分かる。これは,両者の定義の違いによる。式

(AA.22)

において,

rb

及び

t

c

は単極方形波刺激に

ついて定義されている。さらに,

図 AA.6 は,これと同じ基電流及び時値について式

(AA.22)

から得られる

しきい値関数を記載するが,正弦波形についてのもので,式

(AA.14)

で定義されているように,

実効刺激持

続時間に対して表している。このモデルは,この定義を用いることの,かなりよい裏付けとなっている。

このモデルは,

実効刺激持続時間の広い範囲にわたって,両方の波形のしきい値の差が

10 %

以内になると

予測している。このモデルでは,一つの半周期と連続正弦波との間で実験的しきい値が大きく低下するこ

とを予測できるが,

1

10

周期にわたって持続する正弦波について実験的に認められた更に微細な変化は,

予測できない。さらに広範囲にわたるモデルが必要である(文献

91

SAFE

Stimulation Approximation by

Filtering and Evaluation

)モデルは,三つの時間フィルタを傾斜磁場波形に加えて,その出力を合計するも

のである。三つのフィルタは,神経細胞内の活動電位の発生及びシナプスを介した信号伝ぱ(播)を模擬


76

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

している。このモデルは,生理学的挙動を表すものと主張していないが,刺激の持続時間,正弦波対台形

波及び傾斜磁場周期の数の全てに対する刺激しきい値の依存性を確かに予測している。

図 AA.7 は,しきい値を正弦波刺激の半周期の数の関数として表している

Budinger

(文献

96

)の実験デ

ータに合うようにしきい値の大きさが調整されている。

⊗:たたみこみ n(t)=t

c

/

rb(t

c

t)

2

を表す記号

図 AA.4−方形波刺激 dB/d及び神経インパルス応答関数 n

(

t-

θ)

のたたみこみによる反応値 R

(

t

)

縦軸は相対値を表す。は,式(AA.19)から t

c

=0.36 ms として求めた。縦座標値の等しい二点に

引かれた 2 本の細い平行線は,最初の立下がりの後に最大神経応答に達することを記載する。

図 AA.5tから開始する台形 EPI 波形の傾斜磁場波形 G,刺激波形 dB/d及び反応値 R


77

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

下側の曲線は,台形波形のもので,Bourland(文献 90)の実験データ(+)を式(AA.19)に当て
はめて得られたものである。この結果,基電流 17.3 T/s 及び時値 0.3 ms の値を得た。

上側の曲線は,正弦波形のもので,上記と同じ基電流値及び時値を用いて得られたものである。

図 AA.6−実効刺激持続時間に対して表した 種類の傾斜磁場波形のしきい値 dB/dt

注記 Budinger(文献 96)の実験データを含む。実線は,式(AA.22)から N=64 に合わせて得た

ものである。

図 AA.7−波形の半周期の数の関数として表した正弦傾斜磁場波形のしきい値 dB/dt

201.12.4.103

過度の高周波エネルギーに関する保護

加熱は,

磁気共鳴で用いる高周波(通常は

1 MHz

を超える高周波)にさらされることが主な原因になり

生じる結果である。高周波に急激にさらされることによる生物学的影響の多くは,組織温度又は体温の約

1

℃以上の上昇によって生じる加熱に対する反応,又は総熱負荷を最小にしようとする反応として現れる

(文献

98

高周波によって誘導される熱負荷は,SAR と直接関連する可能性がある。あるレベルの熱負荷に対する

患者の反応に影響する他の重要な因子には,気温,相対湿度,気流及び患者の熱絶縁度が含まれる。問題

になるレベルを決定する場合には,

局所 SAR 上限値及び全身 SAR 上限値が有用なこともあるが,主な基


78

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

準は温度上昇である。この理由から,この規格では,温度上昇基準を含む。

局所的な加熱領域,すなわち“ホットスポット”は局所的な温度上昇を引き起こすことがある。局所加

熱を増すことになる可能性がある,禁忌となる体内植込物,入墨などについて,

患者の事前チェックを行

うことが重要である(文献

2

。電力吸収は,人体中心からの半径方向の距離の二乗に比例して増加し(文

99

,人体の電気的な不均一性によって,電流及び局所エネルギー吸収が変化する。球体モデルを用い

た研究では,最悪の“ホットスポット”は,電気伝導度の高い球(筋肉など)の外縁に置かれた電気伝導

度の低い球(骨,脂肪など)によって生じると予測されている。

“ホットスポット”では,SAR が局所平

均値の

2.5

倍にもなることがある(文献

100

。人体の不均一な数学的モデルに基づく計算では(文献

101

102

,小容積にわたる体内局所組織の SAR は,全身の平均値(文献

103

)と比べて

5

倍から

8

倍にまで上

昇することがあることを示している。しかし,これらの相対的な上昇は,個々の器官単体にわたって平均

化すると,

1/2

から

1/4

に低下する(文献

103

104

。高い局所組織 SAR の発生率は,高周波の直交励起

によって減少し,その影響は熱拡散及び血流によって弱められる。

ほとんどの生物学的過程は温度感受性があるため,熱の影響が生じる。高周波の照射について最も重要

なことは,著しい体温の上昇に対する過度な生理学的反応を避けること,及び組織の温度が何らかの

危害

を引き起こす可能性のあるレベルまで上昇するのを避けることである(文献

1

高周波による全身の急激な加熱に対する人体の最も重要な反応は,おそらく体温調節についてであり,

心拍出量の増加及び動脈圧の僅かな低下を伴う皮膚血流の増加が含まれる(文献

105

。これらの反応は,

患者が周囲温度の中に静かに横たわっている場合でも生じ,最大で約

2

℃を超える温度上昇になる。体温

調節機能が損なわれていない人及び心血管機能が損なわれていない人については,体温上昇が

1

℃以下の

場合は健康に有害な作用は生じないと予測できるが(文献

106

,次の場合は例外である。

MR

検査を受けたときの人体の全身体温調節反応は,数学的にモデル化されている。

Adair

及び

Berglund

は,体温調節能力が正常な

患者が薄着で検査を受けたとき,患者の体温は,周囲条件にもよるが,最高

4

W/kg

全身 SAR で照射した場合,最高

0.6

℃まで上昇すると計算した(文献

111

。この計算結果は,ボ

ランティアに

20

30

4 W/kg

の高周波を印加した結果と一致する(文献

112

113

114

115

。さらに,

最高で約

1.5 W/kg

全身 SAR で照射を受けた患者の局所又は全身が過度に加熱されることによる,健康

に有害な作用は報告されていない(文献

116

全身 SAR の上限値は,201.12.4.103 に記載した。通常操作モードについては,全ての人がその健康状態

にかかわらず耐えられる最大

全身 SAR として,

2.0 W/kg

の上限値を用いるのが望ましい。体温調節機構又

は心血管系が損なわれていない人は,高い

全身 SAR に耐えられるはずであり,第一次水準管理操作モード

については上限値を

4 W/kg

にしてもよい。しかし,体温上昇に対する個人の許容度は,健康な人において

も非常に変わりやすいため,

医療管理が必要である(文献

117

上記の上限値は,MR

検査室の温度が

25

℃未満及び最小の気流を仮定して求めたものであり,更に,

患者は薄着であると仮定している。熱損失が制限される環境に対する補正因子を導くために,

Adair

及び

Berglund

による計算を用いることができる(文献

118

119

全身 SAR の制限値は,周囲温度が

24

℃を

超えて

1

℃上昇するごとに,

0.25 W/kg

低下させることが望ましい。同様に,相対湿度については,

60 %

を超えて

10 %

上昇するごとに,制限値を

0.1 W/kg

低下させることが望ましい。この規格では,高い温度

においては SAR の上限値を低下させなければならないという要求事項によって,

この影響を考慮に入れて

いる。湿度による影響は小さく,かつ,湿度を維持するのが難しいので,湿度に対する SAR の依存性につ


79

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

いては,この規格では含めないこととした。しかし,個人の反応は変わりやすいためこれらの補正因子を

用いる場合は,適切な管理下で十分注意を払うことが望ましい。

頭部など一部の身体領域は,温度上昇の影響を特に受けやすい。発達過程のはい(胚)又は胎児は,温

度上昇に対して特に反応しやすいとみなさなければならないが(文献

147

,体幹部及び四肢の組織は感度

が低いと考えられている。

Czerski

及び

Athey

は,頭部で約

38

℃,体幹部で約

39

℃,四肢で約

40

℃の局

所温度は,有害作用を引き起こさないことを示している(文献

120

。頭部における眼の局所加熱と SAR

との関係を表す単純な計算は,頭部で

3 W/kg

になる照射を行った場合に,眼の温度上昇は

1.6

℃を超えな

いことを示しており,この条件下では,脳の温度上昇は

1

℃を超えないことを示している(文献

121

。毛

を刈り取っていないヒツジについての実験的測定では,複数の被験動物に

60

90

分間にわたって

4 W/kg

の頭部スキャンを行って,角膜,硝子体液,頭皮,舌,けい(頸)静脈及び直腸を含む,末しょう(梢)

組織及び深部組織の温度を測定した(文献

122

。別の実験では,動物

6

例を

1.5

2

,及び

4 W/kg

全身

SAR

にさらして同様の温度測定を行った。頭部スキャンの実験では,皮膚及び眼の温度が約

1.5

℃上昇し

た。けい(頸)静脈の温度(脳の温度)は,

60

90

分間のスキャン後に

0.46

±

0.05

℃上昇した。全身スキ

ャンでは,直腸及びけい(頸)静脈の温度がスキャン前よりも約

1

℃上昇したが,その一方で腹部の皮膚

の温度は

7

℃も上昇した。モデル及び動物のデータに基づいて,

頭部 SAR の上限値(頭部全体にわたる

平均値)は,

3.2 W/kg

以下であれば問題にならないと考えられる。

3.2 W/kg

頭部 SAR 上限値は,眼の温

度上昇を

1

℃に制限するのに必要な値であり,米国では,

10

年以上にわたって用いられているが,有害作

用の報告はない。さらに,他の

局所 SAR 上限値も,ICNIRP のものに一致している。

パルス性の高周波源などからの高周波エネルギーの断続的な吸収に反応して生じるあらゆる物体の温度

上昇は,

50 %

熱平衡時間にわたって平均した SAR 値に等しいと考えられる。

50 %

熱平衡時間とは,加熱

領域の中心の温度が,熱源にさらした後に,最大値の

50 %

まで上昇する時間をいう。身体の熱平衡時間は,

正確には知られていないが,約

15

30

分と推定されており,眼のような質量の小さい組織では約

5

分であ

る(文献

123

。この規格では,全ての組織及び人体の SAR を決定する場合に,慎重に見積もって

6

分を

平均化時間として用いている。

RF

送信コイルは,

ボリューム RF 送信コイル及び局所 RF 送信コイルの

2

種類に分けることができる。

ボリューム RF 送信コイルとして一般的なものには,ボディレゾネータ(全身用 RF 送信コイル)及び頭

部用コイルがある。

局所 RF 送信コイルは,一般にスペクトロスコピーに用いられる。

この

2

種類の分類は,SAR の制御に対して,簡単だが安全性の点は十分な規格を設けるために導入され

た。

ボリューム RF 送信コイルについては,全身 SAR 及び身体部分 SAR(頭部 SAR を含む)の制御で十分

であり,

局所 RF 送信コイルについては,全身 SAR 及び局所 SAR の制御で十分である。

コイルの大きさ,

患者の大きさ,及びコイルと患者との相対的な位置関係が様々であることによる,様々

な照射の状況に適合するには,

全身 SAR 及び身体部分 SAR,又は全身 SAR 及び局所 SAR を同時に制御

する必要がある。この要求事項によって,SAR の制御は,最も厳しい SAR の状況に自動的に適合する。

このことを,次の

4

例について記載する。

例 1

頭部用 RF 送信コイルを用いた成人の検査は,明らかに身体の一部(一般には頭部)に照射す


80

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:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

る検査である。この場合は,

頭部 SAR 

RF

出力の送信を制限する因子になる。しかし,成人

の場合と同じ

頭部用 RF 送信コイルを用いた乳幼児の検査は,全身に照射する検査であると判

断しなければならない(このコイルの内側に乳幼児が完全に入ってしまう場合)

。この場合は,

全身 SAR が制限因子になる。

例 2

その身体に比べて大きな全身用

RF

送信コイルの中に置かれた乳幼児の頭部の検査では,

身体

部分 SAR(頭部 SAR)値よりも厳しい全身 SAR 値になる場合がある。

例 3

その身体に比べて短い

全身用 RF 送信コイルを用いた,大きな身体の成人の検査は,全身とい

うよりは身体部分に照射する検査である。この場合は,照射を受ける身体部分の SAR を安全な

レベルに制限しなければならない。

例 4

局所 RF 送信コイルを用いた成人の検査は,明らかに局所 SAR を制御する必要がある。しかし,

比較的大きな

局所 RF 送信コイルを用いた乳幼児の検査の場合は,全身 SAR が最も厳しい値に

なる可能性がある。

頭部 SAR,全身 SAR 及び局所 SAR の上限値は,これまでに複数の実験データ及び理論的モデルによっ

て妥当性が実証されている。しかし,

RF

送信コイルの容積の種類に応じて SAR 制御を簡素化するには,

照射を受ける身体部分について

身体部分 SAR を導入する必要がある(例えば,例 を参照。)。この制限値

は,次の比に応じて選択する。

照射を受ける身体部分の質量

患者の全体重

次の点に配慮して決めている。

RF

送信コイルの内側に

患者が完全に入ってしまう場合,照射を受ける質

量は

患者の全体重に等しく,したがって,身体部分 SAR の制限値は,全身 SAR の制限値に等しくなけれ

ばならない。しかし,その一方で,コイルの長さが短くなるほど,制限値は上昇する。非常に短い

RF

信コイルの場合,

身体部分 SAR の制限値は,局所 SAR の制限値に等しい。上述の質量比の線形依存性は,

比を

0.3

以上にとることで正当化される。SAR の上限値が線形を超えて増加する低い比に対しては,

局所

SAR

は組織

10 g

に対して平均を取っているという事実が理論的な根拠となる。この理由によって,

201.106

に示される局所送信コイルに対する

局所 SAR の上限値は,大きな質量についての身体部分 SAR

へは適用されない。

表 201.105 では,

10 W/kg

身体部分 SAR の上限として決めている。図 AA.8 はこれ

を図示している。


81

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:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

注記  吸収される RF 出力の分布及び照射を受ける身体部分の質量を求めるには,患者登録データに基づ

いて

患者の形状をモデル化しなければならない(例えば,頭部,体幹部及び四肢に擬した単純な円

筒)

。このモデル化には,成長期の健康診断で測定する人体測定学的データの統計集を用いてもよ

い。例えば,米国 NCHS(US National Center for Health Statistics)が発行しているものがある。

図 AA.8−患者の照射を受ける身体部分の SAR 上限値

201.12.4.103.1

温度の上限値

MR

装置の

RF

照射を受けたボランティアの体温調節反応については,幾つかの研究がある(文献

119

161

。一般に,

全身 SAR 

4 W/kg

以下で

30

分までの照射では,

体内深部温度の上昇は

1

℃以下である

ことが報告されている。最大体温上昇

1

℃は

患者に受け入れられる。ICNIRP ガイドライン(文献

131

によれば,

患者と作業者との間には,職業的な

RF

被ばくに対して十分な防護をするために安全係数

10

取られている。それによる

0.4 W/kg

の上限値は,

0.1

℃の体温上昇と推定される。通常の体温変動は,激

しい運動の間などで

0.1

℃を超える。したがって,ICNIRP の職業人に対する被ばく上限は,慎重すぎる

と思われる。実際には,MR

作業従事者は,その作業上,体の他の部分よりも頭又は腕を,アイソセンタ

に近づけると考えられる。したがって,MR

作業従事者の全身 SAR は,患者のそれよりもかなり低いと推

定できる。

システムが,ボリューム送信コイル内に

患者をおいて第一次水準管理操作モードで稼動している場合,

MR

作業従事者の全身 SAR は,通常操作モードで規定される範囲内にほぼ入ると推定することができる。

第一次水準管理操作モードの高周波磁場

B

1

の値の

70 %

が通常操作モードの値となるためである。

RF

送信

コイルの作る

B

1

の強度は,コイル中心からコイルの物理的端部まで移動すると十分

70 %

以下に減衰する

ことは確実に推定できる。そのため,MR

作業従事者の全身 SAR は,システムが第一次水準管理操作モー

ドで稼動していても,MR 作業従事者が

RF

送信コイルの有効容積を横切らない限り(言い換えると“

RF

コイルにを取り囲まれるむ容積”

)に入り込まない限り,MR

作業従事者の全身 SAR は,常に通常操作モ

ードで規定される範囲内にある。MR 作業従事者に対する操作モードが患者に対する操作モードに等しい

という想定は,明らかに慎重な仮定である。


82

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JIS T 0601-1

は,人体に接触する可能性のある物質の表面温度の上限値(

T

limit

43

℃)を規定している。

この上限値は,また接触時間及び材質に依存し,短時間並びに金属及び液体以外の材質では,より高い表

面温度を許容している。

この規格第

2

版では,空間的な局所温度の上限値が導入された。それらは頭部,腹部及び四肢によって

異なるが,

通常操作モードと第一次水準管理操作モードとで異なる温度とはなっていない。唯一,第二次

水準管理操作モードでは高い温度(上限値が規定されない)が許されている。この規格第

3

版では,使用

される温度上限値を現在実際に行われ全体に許容されている体部温度によって合致するように変更した。

結果として,

第一次水準管理操作モードの最大許容体内深部温度を

40

℃に上げ,最大局所組織温度を導

入した。しかし局所組織温度について,温度上限を守っていることを示すには,明確な方法がなく,その

費用も不確実であることを認める。SAR 上限値によって,温度及び温度上限に適合できる。

しかし,電子回路(例えば,

RF

受信コイルなど。

)の表面加熱の上限値を特定することは有用であろう。

通常の(スキャンを行っていない)条件下の皮膚温度は約

33

℃であるが,高い

全身 SAR による MR 検査

中は,皮膚血管が拡張して皮膚温度は深部体温(約

37

℃)に近づく。

次の値をパラメータとして仮定する。

周囲温度

T

a

21

℃(

294 K

皮膚温度

T

s

T

a

ΔT

SAR

全身 SAR

 MET

  基礎代謝(=

1.2 W/kg

  m

患者の体重(=

75 kg

  σ

  ステファン−ボルツマン定数[=

5.67

×

10

8

 W/(m

2

 K

4

)

面積

A

患者の体表面積(=

1.9 m

2

測定対象の電子回路を適切な(熱的に絶縁された)ファントム上に置いて,MR

装置で臨床に用いる最

大の

全身 SAR にて

20

分のスキャンを行う。

そのとき,電子回路の表面温度上昇を,次のいずれかに制限してもよい。

( )

(

)

W/kg

W/kg

C

6.9

C

12.9

SAR

⎟⎟

⎜⎜

°

°

  又は 4  ℃(いずれか大きい方)

201.12.4.103.2  SAR

の上限値

この規格第 2 版では,全ての SAR の上限値は,一つの表に記載されている。SAR の制御の箇条では,

ボリューム RF 送信コイルによって,全身 SAR,身体部分 SAR 又は頭部 SAR が制御されるのに対し,局

所 RF 送信コイルによって局所 SAR が制御されると記載されている。この規格第 3 版では,これを明確に

するために,

表 201.105 及び表 201.106 に分けた。制御の条件は,変わっていない。

加えて,

第一次水準管理操作モードでの局所 SAR 値について,規格第 3 版では規格第 2 版に比べて高い

上限値を導入した。高い上限値の根拠は,模擬計算によって,

ボリューム RF 送信コイルと関連させて局

所 SAR 値を計算している文献によっている。数値計算の結果からは(文献 157,158,159,163,164),

局所 SAR の値は,全身 SAR に対して 10∼15 大きくできることが示されている。既に 1.5 T での全身に対

する電磁場(EM)の模擬計算では,顕著な

B

1

の不均一と,

全身 SAR 値が上限値以下の場合でもガイドラ

インを超える

局所 SAR によるホットスポットが指摘されている。これらの文献の結果から,明らかに更な

る研究が必要なため,慎重な手法をとって,

表 201.106 では,局所 SAR の上限値を 2 倍とした。


83

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:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

201.12.4.104

静磁場に関する保護

通常操作モードの上限値を 3 T,第一次水準管理操作モードの上限値を 4 T に選択したことの根拠は,こ

の附属書の 201.7.9.2.101 h)に記載している。

201.12.4.105.3.3

細分箇条 201.7.9.3.101 b)にて要求する B

1

漏えい分布の決定

RF 送信コイルによって決まる患者への SAR は,システムによって制御される。患者への SAR 及びその

ときの RF 送信コイル中心での RF 磁場

B

1

は,ともに既知である。RF 送信コイル中心以外の位置での MR

作業従事者に対して予想される SAR は,中心での

B

1

2

B

1

2

(0)]とその位置での

B

1

2

B

1

2

(z)]の比から推定

する。

比は,その位置での MR

作業従事者の最も高い SAR を与える。

sar

worker

sar

patient

* [

B

1

2

(

z

)/

B

1

2

(0)]

RF 出力は,

B

1

 (

z

)が 3 dB(すなわち約 70 %)下がると,50 %に低減する。典型的なバードケイジコイル

では,これは,ほぼコイルの物理的な端部での値に近い。

MR

作業従事者の場合,頭及び腕が,他の体の部分よりも中心に近い位置で作業すると想定できる。腕

及び特に頭部の SAR が,

全身 SAR よりも更に重要となる。MR 作業従事者の全身 SAR は患者のそれより

も低いと推定できる。

201.17

及び 202

MR

装置及び MR システムの電磁両立性  及び  副通則 12  電磁両立性−要求事項

及び試験

立入制限区域内では,MR システムは,一般に現在のラジオ波放射についての要求事項に適合しない。

これらの要求事項は,主にラジオ通信を妨げないことを意図しており,CISPR 11 のような国際規格に対応

している。ラジオ波の放射レベルについての許容値は,30∼50 dBμV/m である。次の規格改正では,MR

装置,CT 及び複合 線装置の放射レベルは,部屋又は建物と周囲との境界上で計測するという提案がな

されている。

EMC について IEC 規格は出版準備中で,そこではラジオ波領域での医用機器装置のイミュニティが扱

われている。要求されるイミュニティは,一般の場合は 1 V/m 又は 3 V/m までで,生命維持装置及び

患者

モニタ装置によっては,特殊な場合として,10 V/m 又は 100 V/m までとなる予定である。

実際に MR

装置の立入制限区域内では,ラジオ波強度は容易にこれらの上限値を超え,100 V/m を超え

る値となる。

立入制限区域内の周辺機器がこれらによって妨害を受けることは明らかである。


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附属書 CC

参考)

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2004

[161]  Shellock, F. G., Crues, J. V., Temperature, heart rate and blood pressure changes associated with clinical

imaging at 1./5T, Radiology, 163, 1987, p 259−262.

[162]  International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection (ICNIRP), Guidelines on limits of exposure

to static magnetic fields, Health Physics, 2009, Vol 96, Nr 4, p 504

[163]  Hand, JF., Li, Y., Thomas, EL., Rutherford, MA. and Hajnal, JV. Prediction of Specific Absorption Rate in

mother and fetus associated with MRI examinations during pregnancy, Magnetic resonance in Medicine 2006,

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[164]  Wang, Z., Lin, JC., Mao, W., Liu, W., Smith, MB. and Collins CM. SA and temperature: Simulations and

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[165]  IEC 60364-7-710, Electrical installations of buildings−Part 7-710: Requirements for special installations or

locations –Medical locations

[166]  ISO 7010:2003, Graphical symbols−Safety colours and safety signs−Safety signs used in workplaces and

public areas, Amendment 3 (2007)


93

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

附属書 DD

規定)

用語−定義した用語の索引

この規格で定義した用語を五十音順に,次に示す。

注記 1  JIS T 0601-1 及びその副通則又はこの個別規格の 201.3 に定義された用語だけをこの個別規格

で用いている。

注記 2  対応国際規格においては,定義された用語はアルファベット順に記載されているが,ここで

は対応する日本語の用語を追加し,その五十音順に並び替えて記載した。

定義した用語(日本語)

対応する用語(英語)

細分箇条

アイソセンタ isocentre

201.3.214

意図する使用 intended use

JIS T 0601-1

,3.44

医用電気機器(ME 機器)

medical electrical equipment (me equipment)

JIS T 0601-1

,3.63

医用電気システム(ME システム)  medical electrical system (me system)

JIS T 0601-1

,3.64

医療管理 medical

supervision

201.3.223

インターベンショナル MR 検査 interventional

mr

examination

201.3.213

MR 検査

magnetic resonance examination (mr examination)

201.3.219

MR 作業従事者

magnetic resonance worker (mr worker)

201.3.221

環境温度 environmental

temperature

201.3.207

患者 patient

JIS T 0601-1

,3.76

患者測定電流

patient auxiliary current

JIS T 0601-1

,3.77

患者漏れ電流

patient leakage current

JIS T 0601-1

,3.80

危害 harm

JIS T 0601-1

,3.38

危険状態 hazardous

situation

JIS T 0601-1

,3.40

基礎安全 basic

safety

JIS T 0601-1

,3.10

基本性能 essential

performance  JIS T 0601-1,3.27

局所 RF 送信コイル

local RF transmit coil

201.3.215

局所 SAR local sar

201.3.216

緊急減磁装置

emergency field shut down unit

201.3.206

クエンチ quench

201.3.228

傾斜磁場出力 gradient

output

201.3.209

傾斜磁場ユニット gradient

unit

201.3.210

公称(値) nominal

(value)

JIS T 0601-1

,3.69

サーチコイル search coil

201.3.230

最大傾斜磁場スルーレイト

maximum gradient slew rate

201.3.222

磁気共鳴(MR)

magnetic resonance (mr)

201.3.217

磁気共鳴画像診断システム(MR シ

ステム)

magnetic resonance system (mr system)

201.3.220


94

Z 4951

:2012 (IEC 60601-2-33:2010)

   

磁気共鳴画像診断装置(MR 装置)  magnetic resonance equipment (mr equipment)

201.3.218

実効刺激持続時間

t

s,eff

effective stimulus duration

t

s,eff

 201.3.205

磁場の時間変化率(d

B

/d

t

time rate of change of the magnetic field (d

B

/d

t

) 201.3.234

身体部分 SAR

partial body sar

201.3.225

垂直磁場磁石

transverse field magnet

201.3.235

制御盤 control panel

JIS Z 4005

,rm-83-02

製造業者 manufacturer

JIS T 0601-1

,3.55

責任部門 responsible

organization JIS T 0601-1,3.101

全身 SAR

whole body sar

201.3.241

全身用 RF 送信コイル

whole body RF transmit coil

201.3.240

全身用 MR 装置

whole body magnetic resonance equipment (whole

body mr equipment)

201.3.239

全身用傾斜磁場システム

whole body gradient system

201.3.237

全身用磁石 whole

body

magnet

201.3.238

操作者 operator

JIS T 0601-1

,3.73

第一次水準管理操作モード

first level controlled operating mode

201.3.208

体内深部温度 core

temperature

201.3.204

第二次水準管理操作モード

second level controlled operating mode

201.3.231

立入制限区域

controlled access area

201.3.203

通常操作モード normal

operating

mode

201.3.224

日常のモニタリング routine

monitoring

201.3.229

適合性容積 compliance

volume

201.3.202

電源(商用) supply

mains

JIS T 0601-1

,3.120

頭部 SAR h

sar

201.3.212

頭部用 RF 送信コイル

head RF transmit coil

201.3.211

特殊目的の傾斜磁場システム

special purpose gradient system

201.3.232

ハザード hazard

JIS T 0601-1

,3.39

PNS しきい値レベル

pns threshold level

201.3.227

PNS 出力 pns

output

201.3.226

B

1+RMS

B

1+RMS

 201.3.201

比吸収率(SAR)

specific absorption rate (sar)

201.3.233

附属文書 accompanying

document  JIS T 0601-1,3.4

ボリューム RF 送信コイル

volume RF transmit coil

201.3.236

リスク risk

JIS T 0601-1

,3.102