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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 4919-1991 

医用フィルム自動現像機 

Automatic processors for sheet films 

1. 適用範囲 この規格は,JIS K 7521に規定する医療用X線写真フィルムの現像,定着,水洗及び乾燥

を自動的に行う医用フィルム自動現像機(以下,自動現像機という。)について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS G 4304 熱間圧延ステンレス鋼板 

JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板 

JIS K 6745 硬質塩化ビニル板 

JIS K 7521 X線写真フィルムの寸法 

JIS K 7651 写真−濃度測定−第1部 用語,記号及び表記方法 

JIS K 7652 写真−濃度測定−第2部 透過濃度の幾何条件 

JIS K 7653 写真−濃度測定−第3部 分光条件 

JIS T 1005 医用電気機器取扱説明書の様式 

JIS Z 4701 医用X線装置通則 

JIS Z 4703 医用X線機械装置通則 

JIS Z 8120 光学用語 

JIS Z 8704 温度の電気的測定方法 

2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考として併記したものである。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 7651及びJIS Z 8120によるほか次による。 

(1) 処理時間 1枚のフィルム(JIS K 7521に規定された公称寸法24×30)の短辺側の先端が自動現像機

の挿入口に挿入され,搬送を開始した時点からフィルムの終端が出口から出てくるまでの時間。 

(2) 処理液 現像液,定着液及び水洗水の総称。 

(3) 補充量 一定の活性度を維持するために,フィルムの大きさ又はフィルムの挿入回数に応じて補充す

る現像液及び定着液の量。 

(4) 実処理能力 自動現像機にフィルム(JIS K 7521に規定された公称寸法24×30)の短辺側を使用して,

1時間当たり実際にその自動現像機が処理できる最大枚数。 

3. 種類 自動現像機の種類は,自動処理項目によって区分するものとし,表1のとおりとする。 

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Z 4919-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1 種類 

種類 

形式 

自動処理項目 

全自動式自動現像機 

FA-1 
FA-2 

現像,定着,水洗,乾燥 

簡易式自動現像機 

SA-1 
SA-2 

少なくとも現像,定着 

備考 形式に用いた用語の意味は,次のとおりとする。 

F:全自動式自動現像機を表す。 
S:簡易式自動現像機を表す。 
A:実処理能力の公称値を3けたの数字で表す。 
1,2:処理液温度の安定性などの等級を表す。 
N:特別な環境又は測定条件範囲で試験したもの 
について,Nを記入する。 

例 実処理能力の公称値が50枚ある簡易式自動現像機で,特

別な環境又は測定条件範囲で試験して,処理液温度の安
定性などの値が表2の上段に該当する場合。 

形式 S050-1N 

4. 性能 自動現像機の性能は,6.1に規定したすべての範囲内[製造業者が特別な環境又は測定条件を指

定(1)している場合はそれによる。]において,6.2によって試験したとき,次のとおりでなければならない。 

注(1) 指定とは,製造業者が取扱説明書に記載している事項をいう。 

(1) 現像液槽温度の安定性 現像液槽温度の設定温度に対する許容差及び槽内の温度差は,表2に示す範

囲内になければならない。 

表2 性能 

形式 

現像液槽温度の安定性 

現像液及び定着液 
の補充量の安定性 

写真濃度の 

均一性 

(濃度差) 

設定温度に対する許

容差℃ 

槽内の温度差 

℃ 

FA-1 

SA-1 

±0.5 

±0.5 

±5 

±0.05 

FA-2 

SA-2 

±1.0 

±1.0 

±15 

±0.10 

(2) 定着液槽温度の安定性 定着液槽温度は,設定温度に対する許容差を含めて,現像液との温度差が0

〜−5℃の温度になければならない。ただし,製造業者が温度範囲を指定(1)している場合は,その温度

範囲とする。 

(3) 現像液及び定着液の補充量の安定性 自動補充機構をもつ場合の現像液及び定着液の補充量の安定性

は,現像液及び定着液の補充量の設定量に対する誤差で表し,その誤差は,表2に示す範囲内になけ

ればならない。ただし,補充タンクから補充ポンプまでのパイプの長さが3mを超えて設置される場

合は,製造業者と使用者が協議の上,その許容差を確認すること。 

(4) 処理性能 処理性能は,次による。 

(a) 処理むら 処理されたフィルムに現像,定着,水洗及び乾燥によるしみ及びむらを生じないこと。 

(b) 乾燥 処理されたフィルムの乾燥が完全であり,べたつきや極端なカーリングを生じないこと。 

(5) 処理時間の安定性 処理時間の設定時間に対する誤差は,±5%でなければならない。 

(6) 走行の安定性 走行中のフィルムに蛇行及びスリップがなく,しみ,きず,むら及び折れじわを生じ

てはならない。 

Z 4919-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(7) 写真濃度の均一性 均一に露光したフィルムを処理したとき,自動現像機への挿入位置の変化による

フィルムの写真濃度差は,表2に示す範囲内になければならない。 

(8) 残留チオ硫酸塩 水洗処理を完了したフィルムの残留チオ硫酸塩許容量は,片面で5.0μgS2O32-/cm2以

下でなければならない。 

(9) 騒音 騒音は,JIS Z 4703の規定による。 

(10) 電撃防止 電撃防止は,JIS Z 4701の規定による。 

(11) 絶縁抵抗 絶縁抵抗は,JIS Z 4703の規定による。 

(12) 耐電圧 耐電圧は,JIS Z 4701の規定による。 

5. 構造 構造は,次の各項に適合しなければならない。 

(1) 現像液槽の液温が,指定温度の許容範囲内にあることを,外部に表示できる構造であること。 

(2) 現像液及び定着液槽には,各々の現像液,定着液が循環するよう循環機構を設けるとともに,自動又

は手動による補充機構を設けること。 

(3) 駆動機構は,電動機,歯車,ベルト,チェーン,ラックのローラなどで構成し,滑らかに回転駆動す

ること。 

また,フィルムを挿入することによって自動的に現像液槽,定着液槽,水洗水槽及び乾燥部を一定

の速度で搬送できる機能をもち,フィルムに損傷を与えない構造であること。 

(4) 処理したフィルムに,光漏れによる写真濃度かぶりを生じない構造であること。 

(5) 自動現像機は,容易に分解して点検及び清掃のできる構造であること。 

(6) 現像液及び定着液の廃液は,水洗水とそれぞれ分離し,回収できる構造であること。 

また,処理液槽,配管系統に液漏れ,あふれ及び逆流が生じないこと。 

(7) 水洗水槽に使用する水洗水が断水したとき,逆流しないように防止機構を設けること。 

(8) 処理液槽及び処理液に接触する部分は,耐食性をもち,処理液に化学変化を生じさせない材料とし,

処理液の熱による反り,ゆがみ,処理液の水圧による水漏れ,変形などを生じないこと。特に,処理

液槽は,堅ろうで硬質塩化ビニル,ステンレス鋼板,又はこれらと同等以上の性能をもつ材料を用い

ること。硬質塩化ビニルは,JIS K 6745に規定されたもの,ステンレス鋼板は,JIS G 4304のSUS304-HP

又はJIS G 4305のSUS304-CPを用いること。 

(9) 処理液からの蒸気が接触する部分は,耐食性をもつ材料とし,特に電気部品などを腐食させない構造

であること。 

(10) 外装は,(8)に規定した硬質塩化ビニル,ステンレス鋼板,又はこれらと同等以上の性能をもつ材料を

用いること。 

(11) 現像液及び乾燥の温度について過熱防止手段を設けること。 

(12) 電気部品に接触したとき,危険な場所の保護カバーは,工具を用いなければ取り外せない構造である

こと。 

6. 試験 

6.1 

環境及び測定条件 試験の環境及び測定条件は,次のとおりとし,確実に接地した状態で試験する。 

(1) 周囲の温度は,20±10℃とする。 

(2) 周囲の相対湿度は,(55±25) %とする。 

(3) 周囲の気圧は,7×104〜10.6×104Pa {700〜1 060mbar} とする。 

Z 4919-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(4) 供給する電源電圧の変動は,定格電圧の±10%とする。 

(5) 供給する水洗水の温度は,5〜30℃又は製造業者の指定(1)する温度範囲内とする。 

(6) 供給する水洗水量の変動は,指定(1)の必要水量の±5%とする。 

また,各項目で指定がなければ,自動現像機は正常に稼働している状態で測定するものとする。 

6.2 

試験方法 

6.2.1 

現像液及び定着液槽温度の安定性 正常使用状態で,JIS Z 8704に規定している抵抗式測温体を用

いたA級測定方式を用いるか,又はこれと同等以上の精度をもつ方式で,処理液の深さの中央部を,槽内

の循環ポンプの吹出し口側及び反対側の2点で,30分間連続して測定する。 

6.2.2 

現像液及び定着液の補充量の安定性 補充量は,現像液及び定着液が,自動現像機の各槽に設定量

入っており,かつ各補充液槽が21以上に満たされていることを確認した上で,補充液の注ぐ高さに合わせ

てメスシリンダーを用いて測定する。 

6.2.3 

処理性能 

(1) 処理むら 未露光フィルム及び写真濃度が1.0〜1.2になるよう均一にX線露光したフィルム,又はこ

れに準じる方法で露光したフィルムを処理して,フィルムに現像,定着,水洗及び乾燥によるしみ,

むらがないことを,目視によって調べる。 

(2) 乾燥 未露光フィルムを処理し,自動現像機から出てきた直後に,べたつきや極端なカーリングの有

無を調べる。 

6.2.4 

処理時間の安定性 ストップウオッチを用いて10回測定し,その平均値が指定(1)の規定値に適合

するかどうかを調べる。 

6.2.5 

走行の安定性 指定(1)の最大幅,最小長に該当する寸法のフィルムが使用可能かどうかを調べると

ともに,それに該当する寸法の未露光フィルムを挿入口の両端及び中央に挿入して蛇行の有無,及びフィ

ルム取出し口から出てくるときの平行性を目視によって調べる。 

また,しみ,きず,むら及び折れじわの有無を目視によって調べる。 

6.2.6 

写真濃度の均一性 JIS K 7652における透過濃度測定の幾何条件及びJIS K 7653における透過濃

度測定の分光条件に規定する条件を満足する拡散濃度計を用いて測定した写真濃度が1.0〜1.2になるよう

に,X線管焦点・フィルム間距離を2m以上にするか,又はこれに準じた方法で均一に露光したノンスク

リーンフィルムを,自動現像機の中央及び両端に挿入して処理した後,5点以上測定して調べる。 

6.2.7 

残留チオ硫酸塩 処理したフィルムの残留チオ硫酸塩は,メチレンブルー法,又は硫化銀法によっ

て測定して調べる。 

6.2.8 

騒音 自動現像機のふたを閉じ,フィルム処理中の音をJIS Z 4703の規定によって調べる。 

6.2.9 

電撃防止 JIS Z 4701の規定によって調べる。 

6.2.10 絶縁抵抗 JIS Z 4703の規定によって調べる。 

6.2.11 耐電圧 JIS Z 4701の規定によって調べる。 

7. 表示 自動現像機には,見やすいところに容易に消えない方法で,少なくとも次の事項を表示しなけ

ればならない。 

(1) 名称 

(2) 種類及び形式 

(3) 製造番号 

(4) 製造業者名及びその所在地 

Z 4919-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8. 取扱説明書 自動現像機には,JIS T 1005の規定によるほか,少なくとも自動現像機の設置に必要な

技術的データ,指定の処理液の名称などを記載した取扱説明書及びパーツリストを添付しなければならな

い。 

また,取扱説明書には一般的な注意事項のほか,少なくとも次の設置場所の環境条件及び使用上の注意

を記載しなければならない。ただし,特別な環境条件及び使用上の注意を必要とする場合には,それらの

事項を記載する。 

(1) 設置場所の環境条件 設置場所の環境条件は,次のとおりとする。 

(a) 周囲の温度が10℃未満又は30℃を超えないこと。 

(b) 周囲の湿度が30%未満又は80%を超えないこと。 

(c) 電源電圧の変動は,定格電圧の±10%とする。 

(d) 保護接地端子,漏電遮断器などによって電気的安全対策がなされていること。 

(e) 水洗水槽に使用する水の温度は,5〜30℃又は製造業者の指定する温度範囲内とする。 

(f) 水洗水槽に使用する水量の増減を,指定(1)の必要水量の±5%に制限できる場所。 

(2) 使用上の注意 使用上の注意事項は,次のとおりとする。 

(a) 操作者は,製造業者の指示する運転開始及び終了の手順に従って操作すること。 

(b) 操作者は,最良の状態で使用するために,定期的に各部品の点検,清掃,調整をすること。 

(3) 定期保守点検 製造業者は,自動現像機の据付け完了後,1年間はその性能を保証しなければならな

い。ただし,消耗する部品については製造業者が定める個別の保証によるものとする。使用者は,1

年を超えない一定期間ごとに,自動現像機の定期点検を行い,必要があれば部品を更新しなければな

らない。 

なお,定期的に点検する項目及び作業は,少なくとも次の項目とする。 

(a) 機械的摩耗部品と部品交換 

(b) 液循環系の経時的劣化部分の部品交換 

(c) 処理ラックローラの点検と交換 

(d) 制御関係の機能点検 

(e) 注油箇所の点検と注油 

Z 4919-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS Z 4919 改正原案作成本委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

大 出 良 平 

財団法人医療用テレビジョン研究所 

(委員) 

野辺地 篤 郎 

聖路加国際病院 

竹 中 栄 一 

防衛医科大学校 

山 村 修 蔵 

工業技術院標準部 

杉 山 政 敏 

通商産業省機械情報産業局 

小 泉 和 夫 

厚生省薬務局 

関   義 孝 

社団法人日本放射線機器工業会 

山 根   巌 

株式会社日立メディコ 

秋 山 槙 夫 

小西六写真工業株式会社 

畠 山 敏 一 

富士メディカルシステム株式会社 

矢 野   太 

株式会社田中レントゲン製作所 

橋 本   宏 

社団法人日本放射線技術学会(埼玉県立小児医療センター) 

深 栖   一 

財団法人早期胃がん検診協会 

鶴 田 重 彦 

財団法人癌研究会附属病院 

田 中   守 

鶴見大学歯学部附属病院 

蕗   利 彦 

恩賜財団法人済生会横浜市南部病院 

寺 澤   操 

財団法人癌研究会附属病院 

坂ノ上 信 美 

社団法人日本放射線技術学会(三井生命保険相互会社) 

JIS Z 4919 改正原案作成小委員会 構成表 

氏名 

所属 

(主査) 

○ 鶴 田 重 彦 

財団法人癌研究会附属病院 

関   義 孝 

社団法人日本放射線機器工業会 

○ 秋 山 槙 夫 

小西六写真工業株式会社 

○ 畠 山 敏 一 

富士メディカルシステム株式会社 

○ 矢 野   太 

株式会社田中レントゲン製作所 

○ 岡 村 慎 一 

長瀬産業株式会社 

○ 上 條 幸 男 

デュポンジャパンリミテッド 

谷 車 龍 司 

株式会社島津製作所 

小 林 一 男 

株式会社日立メディコ 

林     寛 

株式会社東芝 

小 山 悌次郎 

日本アグファゲバルト株式会社 

恒 川 寿 一 

株式会社寿産業 

橋 本   宏 

社団法人日本放射線技術学会(埼玉県立小児医療センター) 

○ 深 栖   一 

財団法人早期胃がん検診協会 

○ 長 岡 新 六 

財団法人結核予防会保生園病院 

田 中   守 

鶴見大学歯学部附属病院 

○ 蕗   利 彦 

恩賜財団法人済生会横浜市南部病院 

○ 菅 野 由紀雄 

国家公務員等共済組合連合会虎の門病院 

寺 澤   操 

財団法人癌研究会附属病院 

○ 坂ノ上 信 美 

社団法人日本放射線技術学会(三井生命保険相互会社) 

備考 ○印は分科会委員 

文責 

JIS Z 4919(医用フィルム自動現像機)改正原案作成委員会分科会