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Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲及び目的 ············································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 受入試験の概要 ················································································································ 7 

4.1 試験手順で考慮しなければならない一般条件 ······································································· 7 

4.2 試験に関する文書及びデータ···························································································· 8 

4.3 機器,使用器具及び試験条件の識別 ··················································································· 8 

4.4 試験の範囲 ··················································································································· 8 

4.5 ファントム及び試験器具を含む試験機器 ············································································· 9 

5 CT装置の試験方法 ··········································································································· 9 

5.1 患者支持器(天板)の位置決め························································································· 9 

5.2 患者位置決め精度 ········································································································· 10 

5.3 スライス厚 ·················································································································· 11 

5.4 線量 ··························································································································· 12 

5.5 ノイズ,平均CT値及び均一性 ························································································ 13 

5.6 空間分解能 ·················································································································· 14 

附属書A(規定)用語−用語の索引 ························································································ 16 

附属書B(参考)試験結果の推奨基準······················································································ 18 

附属書C(参考)低コントラスト分解能の視覚的試験方法 ··························································· 19 

附属書D(参考)架台チルトの正確性 ····················································································· 20 

附属書E(参考)線量プロファイル························································································· 21 

附属書F(参考)空間分解能の代替試験方法 ············································································· 22 

附属書G(参考)ヘリカルスキャン時のスライス厚測定 ····························································· 24 

参考文献 ···························································································································· 25 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本画像医療システム工業会(JIRA)

及び財団法人日本規格協会(JSA)から工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日

本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,

このような特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認に

ついて,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 4752-3-5:2008 

(IEC 61223-3-5:2004) 

医用画像部門における 

品質維持の評価及び日常試験方法− 

第3-5部:受入試験−医用X線CT装置 

Evaluation and routine testing in medical imaging departments- 

Part 3-5: Acceptance tests-Imaging performance of computed tomography 

X-ray equipment 

序文 

この規格は,2004年に第1版として発行されたIEC 61223-3-5を基に,技術的内容及び対応国際規格の

構成を変更することなく作成した日本工業規格である。 

この規格は,診断用X線装置における受入試験及び不変性試験の方法について規定するJIS Z 4752(IEC 

61223)規格群を形成している。 

受入試験は,新しい機器を据え付けた後,又は大きな改造を機器に施した後に行い,画質,患者に対す

る線量,位置決めに影響する安全性,性能の基準,規格及び契約上の仕様を確認することを目的とする。 

CT装置に関係する二つのIEC一致規格であるJIS Z 4751-2-44及びJIS Z 4752-2-61)と,この規格との整

合を保つために測定方法及び用語は,これらから採用している。 

この規格の中にある幾つかの条項は,付加情報を要求している。付加情報は,附属書に示す。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

注1) 参考文献を参照。 

適用範囲及び目的 

この規格は,画質,患者に対する線量,及び位置決めに影響を与えるCT装置の構成品について適用す

る。 

この規格は,次による。 

− 画質,患者に対する線量及び位置決めに関係するCT装置の性能を表す基本性能のパラメータについ

て規定する。試験する項目のリストを,4.4に示す。 

− 基本性能のパラメータに対する試験方法について規定する。 

− 附属文書に指定したパラメータの許容範囲に対する適合性を評価する。 

これらの方法は,適切な試験機器を用いて据付中又は据付後に実施され,ほぼ非接続形(non-invasive)

で行うことができる測定である。据付手順のいろいろな段階で作成する確認文書は,受入試験報告書の一

部として用いてもよい。 

JIS Z 4752規格群のこの規格は,CT装置における受入試験の実施を円滑に進めることを意図する。その

目的は,画質,患者に対する線量,及び位置決めに影響する仕様に据付が適合しているかどうかを検証す

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ることである。 

次の事項については,この規格では考慮していない。 

− 機械的及び電気的な安全。 

− 受入試験を実施するために本質でなく,かつ,直接画質,患者に対する線量,位置決めに影響しない

機械的,電気的及びソフトウエア性能。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 61223-3-5:2004,Evaluation and routine testing in medical imaging departments−Part 3-5: 

Acceptance tests−Imaging performance of computed tomography X-ray equipment (IDT) 

なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していることを

示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。 

これらの引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追

補を含む。)には適用しない。 

JIS T 0601-1:1999 医用電気機器−第1部:安全に関する一般的要求事項 

注記 対応国際規格:IEC 60601-1:1988,Medical electrical equipment−Part 1: General requirements for 

safety,Amendment 1 (1991)及びAmendment 2 (1995) (IDT) 2) 

注2) IEC 60601-1の新しい版(2005年)は,Medical electrical equipment−Part 1: General 

requirements for basic safety and essential performance(医用電気機器−第1部−基礎安

全及び基本性能に関する一般的要求事項)という名称となる。 

JIS Z 4005:1991 医用放射線用語 

注記 対応国際規格:IEC 60788:1984,Medical radiology−Terminology (MOD) 

JIS Z 4751-2-44:2008 医用X線CT装置−安全 

注記 対応国際規格:IEC 60601-2-44:2001,Medical electrical equipment−Part 2-44: Particular 

requirements for the safety of X-ray equipment for computed tomography及びAmendment 1 (2002) 

(IDT) 3) 

注3) 第2版と追補1とを統合した第2.1版がある。 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS T 0601-1及びJIS Z 4005によるほか,次による。 

注記1 この規格で,一部の太字で書かれている用語は,通則(JIS T 0601-1),JIS Z 4005又はこの

規格で定義して用いている。 

注記2 その概念が,上に挙げた規格の中で与えられた定義にそれほど強く限定しない場合には,同

じ用語でも,太字にしていない。 

注記3 この規格で用いられている定義された用語の一覧を,附属書Aに示す。 

注記4 関連する慣用的な用語の定義を,次に示す。 

3.1 

受入試験(ACCEPTANCE TEST) 

契約仕様を満たしているかどうかを確認するために,新しい機器が設置されるか,又は既存の機器に大

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

幅な改造が行われた後に実施する試験。 

注記 改造は,製造業者が定めた手続を経た後でなければ行えない。 

[JIS Z 4752-1:2001,定義3.2.4] 

3.2 

不変性試験(CONSTANCY TEST) 

次のために実施する一連の試験。 

− 機器の性能が設定基準を満足することを確認する。 

− 機器の構成要素の性能変化を早期に発見する。 

[JIS Z 4752-1:2001,定義3.2.6] 

3.3 

CT作動条件(CT CONDITIONS OF OPERATION) 

公称スライス厚,ピッチ係数,ろ過,X線管電圧,X線管電流及び負荷時間,又は管電流時間積を一例

とするCT装置の操作を調整する選択可能なすべてのパラメータ。 

[JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.102] 

3.4 

CT装置(CT SCANNER) 

異なる角度で得られたX線透過データの再構成によって,体の断面画像を作る診断用X線装置。装置は

一般的に,信号分析,表示装置,患者支持器,支持部品及び附属品を含む。 

注記 二次的な画像処理は,この規格には含まない。 

[JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.101] 

3.5 

CT線量指数100(以下,CTDI100という。)(COMPUTED TOMOGRAPHY DOSE INDEX 100) 

スライス面に対して垂直な線(z)に沿った単一アキシャルスキャンの線量プロファイルを−50 mm〜+

50 mmの範囲で積分した値を,単一スキャンで生成されるスライスの数Nと公称スライス厚Tとの積で,

除したもの。 

dz

T

N

z

D

CTDI

)

(

mm

50

mm

50

100∫+

×

=

ここに, D(z): スライス面に対して垂直な線に沿った線量プロファイル。 

線量は,空気に対する吸収線量として表す。 

N: X線源の1回転において生成されたスライスの数 

T: 公称スライス厚 

注記1 用語CTDI100は,FDAによって,21 CFR 1020.33 4)で定義された−7 Tから+7 Tまで積算し

た伝統的CTDIより,より適切な線量値として導入している。 

注4) U.S. code of Federal Regulations,Title 21,Chapter 1: Food and Drug Administration (FDA),

Part 1020−Performance standards for ionozing radiation emmitting products:Section 

1020.33: Computed tomography: 米国連邦規則,表題21,I章,第1020部−電離放射

線機器1020.33項:X線CT装置。 

注記2 線量は,空気中での空気カーマとする。これは,CT装置製造業者によって,空気に対する

吸収線量で表されたり,メタクリル樹脂(PMMA)に対する吸収線量で表されたりする混乱

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

を回避するためである。例えば,CTDI100が空気中の吸収線量とするとはいえ,実際はPMMA

製線量ファントム内の空気に対する吸収線量であり,それはファントム内のイオンチャンバ

による空気カーマの測定によって近似した値として表される。 

注記3 この定義では,線量プロファイルの中心はz=0としている。 

注記4 単一のアキシャルスキャンは,通常,X線源の360度回転としている。 

[JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.106] 

3.6 

重み付けCTDI100(WEIGHTED CTDI100) 

重み付けCTDI100(CTDIw)を,次に定義する。 

)

100(

)

100(

3

2

3

1

周辺

中心

w=

CTDI

CTDI

CTDI

+

ここに, 

CTDI100(中心): ファントムの中心で測定した値 

CTDI100(周辺): ファントムの周辺部で測定した値の平均値 

3.7 

CT値[COMPUTED TOMOGRAPHY NUMBER(CT NUMBER)] 

CT画像の各画素に関連する平均X線減弱を表すために用いる数。 

注記 CT値は,通常ハンスフィールド単位(Hounsfield Unit)で表される。減弱の測定値は,国際ハ

ンスフィールドスケールを用いた,次の式によってCT値に変換される。 

000

 1  

CT

×

物質−

値=

μ

μ

μ

ここに, 

μ: 線減弱係数 

CT値は,水の値を0,空気の値を−1 000として決める。 

[JIS Z 4752-2-6:2001,定義3.3.2] 

3.8 

線量プロファイル(DOSE PROFILE) 

線に沿った位置の関数としての線量表示。 

[JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.103] 

3.9 

半値幅[FULL WIDTH AT HALF-MAXIMUM(FWHM)] 

曲線の最大値の1/2になる曲線の2点間における横軸に平行な幅。 

[JIS Z 4752-2-6:2001,定義3.3.4] 

3.10 

画像表示装置(IMAGE DISPLAY DEVICE) 

画像システムからの入力信号を画像で表示する装置。 

3.11 

低コントラスト分解能(LOW CONTRAST RESOLUTION) 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

低コントラスト(ある物体とその周囲とのX線吸収差が小さい状態)において,均一な背景から指定の

(特定の)形状と物体とを識別できる能力。密度分解能は,低コントラスト分解能の別名である。 

3.12 

平均CT値(MEAN CT NUMBER) 

限定された関心領域内のすべての画素のCT値の平均の値。 

[JIS Z 4752-2-6:2001,定義3.3.6] 

3.13 

ノイズ(NOISE) 

均一な物質の限定された領域における平均CT値からの,各画素のCT値の変動。ノイズの大きさは,

関心領域における均一物質のCT値の標準偏差で示す。 

[JIS Z 4752-2-6:2001,定義3.3.7] 

3.14 

公称スライス厚(NOMINAL TOMOGRAPHIC SECTION THICKNESS) 

CT装置において,制御盤上に表示及び選択されるスライス厚。 

注記 ヘリカルスキャンにおいて再構成画像のスライス厚は,アルゴリズム及びピッチに依存する。

したがって,このスライス厚は公称スライス厚と一致しなくてもよい。その再構成画像のスラ

イス厚は,ヘリカルスキャンの前に選択及び表示してもよい。 

[JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.110] 

3.15 

関心領域[REGION OF INTEREST(ROI)] 

そのときにおいて,特別な関心のある画像上の位置決めされた部分。 

[JIS Z 4752-2-6:2001,定義3.3.9] 

3.16 

感度プロファイル(SENSITIVITY PROFILE) 

スライス面に垂直な線に沿った位置の関数としてのCT装置の相対的応答。 

[JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.104] 

3.17 

空間分解能(SPATIAL RESOLUTION) 高コントラスト分解能 

物体とその周辺との減弱の差がノイズに比して大きいとき,表示画像において異なる物体を解像する能

力。 

注記1 通常,数百ハンスフィールド単位のCT値の差を生じる物体と,その周辺との間の減弱係数

の差は,十分大きいとされている。 

注記2 高コントラスト分解能は,空間分解能の別名である。 

[JIS Z 4752-2-6:2001,定義3.3.12] 

3.18 

スライス面(TOMOGRAPHIC PLANE) 

回転軸(z軸)に直行する幾何学的面(図1参照)。 

background image

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図1−座標システム 

3.19 

スライス(TOMOGRAPHIC SECTION) 

1回のアキシャルスキャンで収集されるX線透過データの体積。 

注記 z軸に沿った多列検出器を装備したCT装置において,スライスとは一つの収集列(選択され

た検出素子の集団)の体積であり,照射されたすべての体積ではない。 

[JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.108] 

3.20 

スライス厚(TOMOGRAPHIC SECTION THICKNESS) 

スライス面の回転中心でとられた感度プロファイルの半値幅。 

[JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.109] 

3.21 

均一性(UNIFORMITY) 

スキャン領域内の均一な物質の,画像のCT値の均一性。 

[JIS Z 4752-2-6:2001,定義3.3.13] 

3.22 

CTピッチ係数(CT PITCH FACTOR) 

ヘリカルスキャンにおいて,X線源の一回転当たりのz軸に沿った患者支持器(天板)の移動量Δdを,

公称スライス厚Tとスライス数Nとの積で除した値。 

T

N

d

×

Δ

CTピッチ係数= 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, 

d

∆: X線源の一回転当たりのz軸に沿った患者支持器(天

板)の移動量 

T: 公称スライス厚 

N: X線源の単一アキシャルスキャンで生成されるスライ

スの数 

[JIS Z 4751-2-44:2008,定義2.107] 

3.23 

ボリュームCTDIw[VOLUME CTDIw(CTDIvol)] 

選択したCT作動条件で撮影した総体積の平均線量。 

CTDIvolを,次に定義する: 

a) アキシャルスキャンの場合 

 w

vol

Δ

CTDI

d

T

N

CTDI

×

ここに, 

N: X線源の単一アキシャルスキャンで生成されるスラ

イスの数。 

T: 公称スライス厚 

d

∆: 連続するスキャン間のz軸に沿った患者支持器(天

板)の移動量 

CTDIw: 重み付けCTDI 

b) ヘリカルスキャンの場合 

ピッチ係数

=CTCTDI

CTDI

w

vol

ここに, CTDIw: 重み付けCTDI 

3.24 

CTDI free air 

ファントム及び患者支持器(天板)なしで測定した回転中心におけるCTDI100 。 

受入試験の概要 

4.1 

試験手順で考慮しなければならない一般条件 

受入試験の目的は,機器の指定した特性が附属文書に記載した指定した値の許容差以内にあることを実

証することである。 

受入試験を実施する前に,試験される機器の一覧表及び附属文書を一緒にとじておく。各項目は,形名

(形式番号)及び製造番号によって識別し,すべての一覧表を注文契約書と比較する。 

画像表示装置の性能は,デジタル撮影装置の測定性能に影響する。これらの構成品の性能試験は,あら

ゆる受入試験の画像評価に先立って行う。画像表示装置は,附属文書の記載のとおりに,更に該当する場

合は,製造業者の電子的試験画像を用いて,その指定した性能を設定する。 

受入試験は,非接続形測定が望ましい。接続形試験が,試験項目の一部となっている場合は,必ず試験

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

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後に,機器が接続形試験の前の状態に戻っていることを確認する。 

4.2 

試験に関する文書及びデータ 

附属文書には,次の内容を含む。 

− 該当部分がJIS T 0601-1に適合する記載 

− 機器又は機器部品一覧表,及び納品明細書(JIS T 0601-1) 

− 受入試験に用いるCT作動条件を含み,製造業者が明記する又は附属文書に指定した性能仕様 

− 製造業者側によって,及び据付中において実施した品質重要項目を扱う試験の結果報告書 

− 機器の操作手引を含む取扱説明書 

− CT装置で用いるCT作動条件の詳細 

− 保守手順の範囲及び頻度についての手引書 

− 該当する場合は,前回の試験報告 

4.3 

機器,使用器具及び試験条件の識別 

試験するCT装置又は試験で用いるすべての機器は,明確に識別しなければならない。試験器具の配置

を含むすべての試験条件を記録する。 

次に示すCT装置の交換・取り外し可能な単位機器(コンポーネント) 

− 付加フィルタ 

− 患者支持器又は,その他放射線照射野に置かれるもの 

及び,次に示す付随する試験器具 

− 試験器具 

− 放射線測定器 

を記録する。その結果,以前に適用した試験条件で受入試験を繰り返すことができる。 

被試験CT装置の識別,使用試験機器の識別,被測定部の配置状況,操作特性,補正係数,関連機器の

試験結果などのすべての関連データは,試験結果とともに記録する。記録には,場所の識別,試験実施日

及び担当者名を含む。 

次の条件は,試験器具の使用と関連づけて規定して,記録する。 

− 試験で使用したすべてのCT作動条件; 

− 撮影された試験器具の範囲 

− X線照射中の試験器具の配置 

4.4 

試験の範囲 

次の試験は,受入試験の一部である。 

− 附属文書の確認 

− 取扱説明書に従ったCT装置の目視及び機能試験 

次は代表的な頭部及び体幹部のCT作動条件で用いる受入試験の一部である。 

− 患者支持器(天板)の位置決め(5.1参照) 

− 患者位置決め精度(5.2参照) 

− スライス厚(5.3参照) 

− 線量(5.4参照) 

− ノイズ,平均CT値及び均一性(5.5参照) 

− 空間分解能(5.6参照) 

他の試験を実施してもよい。しかし,受入試験の必要な項目とはしない。例えば,ヘリカルスキャンの

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スライス厚(附属書G参照),低コントラスト分解能(密度分解能)(附属書C参照),架台のチルト正確

性(附属書D参照),線量プロファイル(附属書E参照)。 

測定したノイズ及び平均CT値が,仕様に合致する場合,低コントラスト分解能は,仕様に合致してい

るとする。低コントラスト分解能の測定が必要な場合は,製造業者は,詳細な評価方法を提供しなければ

ならない。他の可能な低コントラスト分解能測定方法は,附属書Cを参照する。 

4.5 

ファントム及び試験器具を含む試験機器 

受入試験で用いる測定機器は,校正済みであることを保証する。測定機器による誤差は,測定(値)に

影響しない程度に小さくする。 

CT装置の試験方法 

5.1 

患者支持器(天板)の位置決め 

5.1.1 

概要 

患者支持器の位置精度には,長手方向の位置決め及びバックラッシュの両者を含む。長手方向の患者支

持器の位置精度は,患者支持器を一方向に定めた距離(defined distance)を移動させ,その移動距離を確

認することによって評価する。患者支持器を一方向に移動し,初期位置へ戻す精度を,バックラッシュと

いう。 

5.1.2 

試験機器 

患者支持器の可動部分に隣接する固定部分の位置に定規を取り付ける。 

注記 精度を確認してある場合は,代替となるフィルム又は画像に基づいた方法を用いてもよい。 

5.1.3 

試験手順 

患者支持器に135 kgを超えない人体相当の負荷をかけた状態で,試験を実施する。患者支持器の可動部

分に適切な印を付け,その近くの固定部分の定規にも印を付ける。患者支持器を印を付けた距離分引き出

し,そのときの移動距離Lforを測定する(二つの印の間の距離)。患者支持器を初期位置まで戻し,二つの

印の間の距離Cforを測定する。次に反対方向へ移動させ,Lfor及びCforと同様にLback及びCbackに相当する

印の間の距離を測定する。前述の手順は,撮影モードで患者支持器を,前方向及び後方向の両方向におよ

そ10 mm単位で,合計30 cmまで動かすCT作動条件で,繰り返す。 

5.1.4 

データの評価 

5.1.4.1 

患者支持器の長手方向の位置決め 

長手方向の移動距離Lfor及びLbackを,印を付けた距離と比較する。 

5.1.4.2 

患者支持器のバックラッシュ 

測定距離Cfor及びCbackは,バックラッシュ値である。 

5.1.4.3 

CT作動条件下での患者支持器のステップ送り 

長手方向の位置決め評価及びバックラッシュ評価を繰り返す。 

5.1.5 

適用する基準 

5.1.5.1 

患者支持器の長手方向の位置決め 

Lfor及びLbackの印を付けた距離との差は,±1 mmを超えてはならない。 

5.1.5.2 

患者支持器のバックラッシュ 

Cfor及びCbackは,±1 mmを超えてはならない。 

5.1.5.3 

CT作動条件下での患者支持器のステップ送り 

5.1.5.1及び5.1.5.2の基準を適用しなければならない。 

10 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.2 

患者位置決め精度 

5.2.1 

アキシャル面の患者位置決め精度 

5.2.1.1 

概要 

アキシャル面の患者位置決め基準(光照射野)とスキャン面との相関を,薄い吸収体を位置決めし,撮

影することによって試験する。 

5.2.1.2 

試験機器 

試験器具は,薄い吸収体を含む。例えば,およそ1 mm径の金属線。 

5.2.1.3 

試験手順 

5.2.1.3.1 

スキャン面を示す内側の患者位置決め基準(光照射野)の試験手順(可能な場合) 

スライス面と平行に内側の光照射野の中心に,試験器具を配置する。光照射野を中心とし,±3 mmの

範囲にわたって,連続した薄い断層像を撮影する。試験条件は,1 mm以下の天板送りで,最も薄いスラ

イス厚を用いる。 

注記1 代わりに,X線フィルムを回転中心に,かつ,患者位置決め基準が示した中心に配置しても

よい。CT装置は,自動的にフィルムをスキャン面に動かす。2 mm以下のスライス厚で撮影

する。 

注記2 CT装置が,更に別の方法で患者位置決め基準の精度を自動的に評価する手段を提示する場

合は,精度を確認した後にこの細分箇条で規定した方法に代用してもよい。 

5.2.1.3.2 

外側の患者位置決め基準の試験手順(可能な場合) 

スライス面と平行に外側の光照射野の中心にして,試験器具を配置する。CT装置は,自動的に試験器

具をスキャン面に動かす。光照射野を中心とし,±3 mmの範囲にわたって,連続した薄い断層像を撮影

する。試験条件は,1 mm以下の天板送りで,最も薄いスライス厚を用いる。 

注記1 代わりに,X線フィルムを回転中心に,かつ,患者位置決め基準が示した中心に配置しても

よい。2 mm以下のスライス厚で撮影する。 

注記2 CT装置が,更に別の方法で患者位置決め基準の精度を自動的に評価する手段を提示する場

合は,精度を確認した後にこの細分箇条で規定した方法に代用してもよい。 

5.2.1.3.3 

スキャン投影画像(プレビュー画像)を用いたスライス面の自動位置決め試験手順 

CT装置のX軸と平行に,試験器具を患者支持器(天板)上に配置する。AP方向(Antero-Posterior方向)

に撮影したプレビュー画像を撮影する。プレビュー画像中の試験器具の位置にスライスを正確に定める。

CT装置は,スライス面に試験器具を自動的に位置決めしてもよい。試験器具の位置を中心とし,±3 mm

の範囲にわたって,連続した薄い断層像を撮影する。試験条件は,1 mm以下の天板送りで,最も薄いス

ライス厚を用いる。 

注記 CT装置が,更に別の方法で,患者位置決め基準線の精度を自動的に評価する手段を提示する

場合は,精度を確認した後にこの箇条で規定した方法に代用してもよい。 

5.2.1.4 

データの評価 

各試験について,試験対象の最も高いCT値をもつ画像を選択する。 

5.2.1.5 

適用する基準 

各試験について,選択した画像は,光照射野の中心又はプレビュー画像中にある試験対象の位置に対し

て±2 mm以内としなければならない。 

5.2.2 

し(矢)状方向及び冠状方向の患者位置決め基準(光照射野)の精度(可能な場合) 

5.2.2.1 

概要 

11 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

画像の回転中心を含むし(矢)状方向(左・右)及び冠状方向(上・下)の患者位置決め基準とスキャ

ン面との相関を,薄い吸収体を回転中心に位置決めし,撮影することによって試験する。 

5.2.2.2 

試験機器 

試験器具は,薄い吸収体を含まなければならない。例えば,し(矢)状方向及び冠状方向の位置決め基

準を用いて回転中心に配置した鉛筆。 

5.2.2.3 

試験手順 

スライス面内で,し(矢)状方向及び冠状方向の位置決め基準の交差する線に位置決めすることで,試

験器具をCT装置の中央に配置する。約10 cmの画像再構成表示領域(field of view)及び適切な照射条件

で,画像を撮影する。 

5.2.2.4 

データの評価 

試験器具の画像を観察し,試験器具を画像中心に位置決めする。格子(グリッド)又はx,y原点を0,0

で表示した軸を用いて,画像の中心を決定する。 

5.2.2.5 

適用する基準 

附属文書で指定した値と許容範囲を適用しなければならない。 

5.3 

スライス厚 

5.3.1 

アキシャルスキャンのスライス厚 

5.3.1.1 

概要 

傾斜物とスキャン面との交点で,適切な材料でできた一つ以上の傾斜物の画像の幅を測定することによ

ってスライス厚を評価する。幅は半値幅で定義する。 

5.3.1.2 

アキシャルスキャンの試験機器 

アルミニウム以上の線形減衰係数をもった一つ(好ましくは二つの)傾斜物,更に二つの傾斜物の場合

は,スキャン面に対して相反する角度になる傾斜物を含み,すべてのスライス厚の測定に適切な試験器具

を用いる。 

注記1 傾斜物は,スキャン面と角度をつけて配置した薄片,又は金属線(ワイヤ)である。 

注記2 傾斜物の角度及び厚さは,測定に有意に影響を及ぼさないほうがよい。 

注記3 適宜スライス厚に対して別々な微小球体(ビーズ),円盤(ディスク),又は金属線をもつ傾

斜物を用いてもよい。 

5.3.1.3 

アキシャルスキャンの試験手順 

CT装置の回転軸と試験器具の中心軸とが一致するように試験器具を配置する。試験器具を位置決めし

た後,製造業者の指定に従って一連のCT作動条件を用いて撮影する。すべてのコリメータ設定について

測定する。マルチスライスCT装置の場合,各コリメータ設定について,スライス面の数が最大になるこ

とが望ましい。評価は,少なくとも外側2か所のスライス及び内側の代表1か所のスライスについて実施

する。 

5.3.1.4 

データの評価 

撮影した画像の評価は,次による。 

バックグラウンドのCT値は,ウインド幅を可能な最小設定値に調整し,また,ウインドレベルをバッ

クグラウンドのCT値がちょうど見えなくなるところの半値まで調整することによって決定する。 

バックグラウンドのCT値を記録する。 

各傾斜物について,次の方法を実施する。 

− 各傾斜物の最大CT値は,バックグラウンドのCT値を確立した方法で決定する。 

12 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 各傾斜物の最大CT値にバックグラウンドのCT値を加え,その値を2で除したものを,各傾斜物の

最大CT値の半値とする。これらの値を記録する。 

− 最小値に設定したウインド幅で,ウインドレベルを最大値の半分に調節し,半値幅(測定するスライ

ス厚とみなされる。)を決めるために,各傾斜物の幅を測定する。 

− 試験器具が二つ以上の傾斜物を含む場合,得られた値を平均して半値幅とする。 

− 測定された半値幅(FWHM)に傾斜物とスキャン面とがなす角の正接(傾き)を乗じる。この結果を,

アキシャルスキャンのスライス厚とする。 

注記1 CT装置に,前記方法に基づく自動スライス厚評価機能があるなら用いてもよい。 

注記2 画素サイズ及び再構成アルゴリズムは,測定に有意に影響を及ぼさないほうがよい。画像表

示領域(field of view)は,画像中の傾斜物検出の障害とならないように選択する。再構成ア

ルゴリズムは,平滑化効果が最小となるように選択する。これは,1 mm以下の公称スライ

ス厚では特に重要である。 

注記3 傾斜板を用いる場合は,傾斜板内の幾つかの線の測定値を平均することが望ましい。 

注記4 一つの線に沿って画素のCT値をグラフ化し,評価するツールとして使用者が操作するCT

装置のソフトウエアに組み込まれている場合,スライスプロファイルは,傾斜角度の補正後

にアキシャルスライス厚に相当する傾斜物画像の最大半値幅を決定するために用いてもよい。 

注記5 バックグラウンドのCT値とは,均一な基準となるCT値(バックグラウンド)のことであ

る。 

5.3.1.5 

適用する基準 

附属文書で指定した値と許容範囲とを適用しなければならない。附属文書に記載がない場合, B.1を参

照する。 

5.3.2 

ヘリカルスキャンのスライス厚 

ヘリカルスキャンのスライス厚試験は,必す(須)ではない。ヘリカルスキャンのスライス厚測定が求

められる場合,附属書Gを参照する。 

5.4 

線量 

5.4.1 

概要 

線量測定は,JIS Z 4751-2-44に規定する方法で実施する。 

5.4.2 

試験機器 

試験器具は,JIS Z 4751-2-44で規定するものを用いる。 

5.4.3 

試験手順 

受入試験の場合,次の線量測定を実施する。 

− 代表的な頭部及び体幹部のアキシャル作動条件でのCTDIw 

− すべての公称X線ビーム制限幅でのCTDIfree air(公称X線ビーム制限幅以外の独立したCT作動条件

は,代表的な体幹部の作動条件とする。表1参照。) 

− すべての設定管電圧でのCTDIfree air(設定管電圧以外の独立したCT作動条件は,代表的な体幹部の

作動条件とする。表1参照。) 

− 代表的な頭部の作動条件でのCTDIfree air 

注記1 CTDIfree airは,試験器具(CTDIw測定用ファントム)を用いた測定と比べて,より感度の高

い測定であり,今後の不変性試験に用いてもよい。この測定を回転中心以外で用いた場合は,

X線ビーム形状フィルタのオフセンタ(Off-centre)効果によって感度は低下する。 

background image

13 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記2 公称X線ビーム制限幅は,N×Tと等価である。ここでNは,単一アキシャルスキャンで生

成されるスライス数であり,Tは公称スライス厚である。 

注記3 (N×T)の積が同じである公称X線ビーム制限幅に対して,CTDIfree airの測定は一度だけで

よい。 

注記4 CTDIvolの定義を用いてアキシャルスキャンをしたときの線量測定(CTDIw)からヘリカルス

キャン時の線量値が得られる。ヘリカルスキャンをしたときの線量の算出に用いられる

CTDIw値は,アキシャルスキャンのCT作動条件に対して,同じX線ビーム制限幅を用いて

求める。 

表1−線量の試験パターン 

管電圧の設定 

公称X線ビーム制限幅の設定(N×Tの積) 

制限幅1 

制限幅2 

制限幅3 

制限幅4 

(代表値) 

制限幅5 

kV 1 

測定 

kV 2(代表値) 

測定 

測定 

測定 

測定 

測定 

kV 3 

測定 

5.4.4 

データの評価 

線量は,5.4.1〜5.4.3に規定したCTDIw値及びCTDIfree air値を算出することによって決める。さらに,得

られたCTDIw値及びCTDIfree air値を,附属文書の記載内容と比較する。 

前記のCTDIw値を使って,代表的な頭部及び体幹部の作動条件に対するCTDIvolを算出する。得られた

CTDIvolの値を,操作卓に表示されたCTDIvol値と比較する。 

5.4.5 

適用する基準 

附属文書で指定した値と許容範囲を適用しなければならない。附属文書に記載がない場合, B.2を参照

する。 

5.5 

ノイズ,平均CT値及び均一性 

5.5.1 

概要 

ノイズ及び平均CT値は,均一な材質の試験器具(ファントム)の表示画像内の,中心での関心領域に

おけるCT値の平均及び標準偏差を算出することによって評価する。 

均一性は,均一な材質の試験器具(ファントム)の画像内,数箇所の関心領域における平均CT値によ

って評価する。 

5.5.2 

試験機器 

均一な物質を満たした,指定の大きさの円筒形をした試験器具を用いる。 

試験器具内の,他の試験目的で使う部分にX線を直接照射しないように,及び直接照射しない場合でも

その部分からの散乱線が影響しないように,この測定での試験器具は十分に長くなければならない。 

頭部撮影に対して,患者頭部を模擬するために,φ16 cm〜φ20 cmの外径をもち,少なくとも16 cmの

水の減弱当量をもつ試験器具を用いる。 

体幹部撮影に対して,患者体幹部を模擬するために,φ30 cm〜φ35 cmの外径をもち,少なくとも30 cm

の水の減弱当量をもつ試験器具を用いる。 

附属文書に指定がない限り,前記の試験器具の仕様を適用する。 

14 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 ノイズの測定結果は,試験器具の実際の容積及び材質で変化する。 

5.5.3 

試験手順 

測定のときは,試験器具を適切に配置するための支持具を使って,試験器具を回転中心に位置決めする。 

今後の不変性試験で試験を再現できるよう,試験器具の位置に印を付け,記載し,記録する。 

試験器具を,取扱説明書(4.2参照)に従ったCT作動条件で撮影する。すべての関連撮影パラメータ[管

電圧(kV),管電流(mA),X線ビーム制限幅,再構成関数など]を記録する。一つは代表的なアキシャ

ル頭部撮影,もう一つは代表的なアキシャル体幹部撮影の2種類のCT作動条件について試験する。 

5.5.4 

データの評価 

マルチスライスCT装置において,ノイズ,平均CT値及び均一性は,X線管の1回転で同時に得られ

るそれぞれの画像について評価する。 

試験器具画像の中央部に関心領域を設定し,関心領域中の画素の平均値及び標準偏差を算出し,記録す

る。 

試験器具の(容器の)内壁と関心領域の外側の端を指定した距離だけ離して,関心領域を回転方向に4

か所設定し,平均CT値を算出し,記録する。推奨距離は,1 cmである。例えば内壁のない均一物質の場

合は,外周からの距離となる。今後の試験で容易に再現できるように,これらの位置を設定する(例えば,

時計の3時,6時,9時及び12時の位置に対応させる。)。 

関心領域の設定は,次の基準に従うことが望ましい。 

− CT値測定について,関心領域の直径は,試験器具画像の直径のおよそ10 %とする。 

− ノイズ測定について,関心領域の直径は,試験器具画像の直径のおよそ40 %とする。 

− 中央部の関心領域は,試験器具周辺部の関心領域と重複してはならない。 

中央部の関心領域にあるCT値の標準偏差によって測定したノイズは,附属文書に記載された仕様と比

較する。 

中央部の関心領域の平均CT値は,附属文書に記載された仕様と比較する。 

均一性は,中央部の関心領域の平均CT値と周辺部の各関心領域の平均CT値との差の絶対値を算出す

ることによって評価する。これら四つの値は,附属文書に記載された仕様と比較する。 

5.5.5 

適用する基準 

附属文書で指定した値と許容範囲を適用しなければならない。附属文書に記載がない場合, B.3を参照

する。 

5.6 

空間分解能 

5.6.1 

概要 

空間分解能は,点広がり関数(PSF)のフーリエ変換から得られたMTF(変調伝達関数)曲線によって,

最適に表現される。代替の評価方法を,附属書Fに記載する。 

5.6.2 

試験機器 

使用される試験器具は,SN比が高くなるように,できるだけ減弱が小さい物質からできた保護目的の

容器の中に適切な大きさの高コントラスト金属線で構成する。 

注記1 金属線の直径はMTFに影響してはならず,CT装置のCT値がオーバーレンジ又はアンダー

レンジになる原因になってはならない。代表的な金属線の直径は,φ0.2 mm以下である。 

注記2 ほかの試験器具を金属線と対比して確認した後,用いてもよい。 

5.6.3 

試験手順 

CT装置の空間分解能を試験する場合,附属文書に記載されたCT作動条件を用いて撮影する。代表的

15 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

な頭部撮影及び体幹部撮影,並びに最大の空間分解能が得られるCT作動条件で撮影する。 

金属線が,CT装置システムのz軸と平行に,かつ,中心から30 mm±10 mm離れた位置になるように,

試験器具を架台内に配置する。 

今後の不変性試験の再現ができるように,試験器具の位置に印を付け,記載し,記録する。 

試験器具を配置した後で,撮影する。 

画素サイズによって測定が制限されないように,画像再構成表示領域(field of view)は十分に小さいこ

とが望ましい。 

5.6.4 

データの評価 

2次元フーリエ変換は,MTF特性曲線上の空間情報を与える。評価方法を提供することが,製造業者に

望まれる。代替のMTF評価方法を,附属書Fに提示する。 

5.6.5 

適用する基準 

附属文書で指定した値と許容範囲を適用しなければならない。附属文書に記載がない場合, B.4を参照

する。 

16 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(規定) 

用語−用語の索引 

序文 

この附属書は,規格の用語及び定義された用語の索引について規定する。 

JIS Z 4005:1991(IEC 60788) 

rm-...-... 

JIS T 0601-1:1999(IEC 60601-1)通則の箇条2 

NG 2.... 

JIS Z 4752-3-5:2008(IEC 61223-3-5)の箇条3 

3...... 

受入試験 

ACCEPTANCE TEST 

3.1 

重み付けCTDI100 

WEIGHTED CTDI100 

3.6 

画像表示装置 

IMAGE DISPLAY DEVICE 

3.10 

患者 

PATIENT 

NG 2.12.4 

患者支持器 

PATIENT SUPPORT 

rm-30-02 

関心領域 

REGION OF INTEREST (ROI) 

3.15 

感度プロファイル 

SENSITIVITY PROFILE 

3.16 

管電流時間積 

CURRENT TIME PRODUCT 

rm-36-13 

関連機器 

ASSOCIATED EQUIPMENT 

rm-30-01 

機器 

EQUIPMENT 

NG 2.15 

規定の,規定した 

SPECIFIC 

rm-74-01 

均一性 

UNIFORMITY 

3.21 

空間分解能 

SPATIAL RESOLUTION 

3.17 

形名(形式番号) 

MODEL OR TYPE REFERENCE 

NG 2.12.2 

減弱 

ATTENUATION 

rm-12-08 

公称スライス厚 

NOMINAL TOMOGRAPHIC SECTION THICKNESS 

3.14 

コンピュータ断層撮影[法] 

COMPUTED TOMOGRAPHY (CT) 

rm-41-20 

試験器具 

TEST DEVICE 

rm-71-04 

指定の,指定した 

SPECIFIED 

rm-74-02 

照射 

IRRADIATION 

rm-12-09 

スライス 

TOMOGRAPHIC SECTION 

3.19 

スライス厚 

TOMOGRAPHIC SECTION THICKNESS 

3.20 

スライス面 

TOMOGRAPHIC PLANE 

3.18 

制御盤 

CONTROL PANEL 

rm-83-02 

製造業者 

MANUFACTURER 

rm-85-03 

製造番号 

SERIAL NUMBER 

NG 2.12.9 

線量プロファイル 

DOSE PROFILE 

3.8 

測定値 

MEASURED VALUE 

rm-73-08 

17 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

低コントラスト分解能 

LOW CONTRAST RESOLUTION 

3.11 

取扱説明書 

INSTRUCTIONS FOR USE 

rm-82-02 

ノイズ 

NOISE 

3.13 

半値幅,(FWHM) 

FULL WIDTH AT HALF-MAXIMUM 

3.9 

光照射野 

LIGHT FIELD 

rm-37-09 

ファントム 

PHANTOM 

rm-54-01 

不変性試験 

CONSTANCY TEST 

3.2 

負荷 

LOADING 

rm-36-09 

負荷時間 

LOADING TIME 

rm-36-10 

付加フィルタ 

ADDED FILTER 

rm-35-02 

附属文書 

ACCOMPANYING DOCUMENTS 

rm-82-01 

平均CT値 

MEAN CT NUMBER 

3.12 

変調伝達関数,(MTF) 

MODULATION TRANSFER FUNCTION (MTF) 

rm-73-05 

放射線測定器 

RADIATION METER 

rm-50-01 

放射線ビーム 

RADIATION BEAM 

rm-37-05 

CT作動条件 

CT CONDITIONS OF OPERATION 

3.3 

CT線量指数100(CTDI100) 

COMPUTED TOMOGRAPHY DOSE INDEX 100 (CTDI100) 

3.5 

CT装置 

CT SCANNER 

3.4 

CT値 

COMPUTED TOMOGRAPHY NUMBER (CT NUMBER) 

3.7 

CTDIfree air 

CTDIfree air 

3.24 

[X線]管電圧 

X-RAY TUBE VOLTAGE 

rm-36-02 

[X線]管電流 

X-RAY TUBE CURRENT 

rm-36-07 

X線[管負荷]条件 

LOADING FACTOR 

rm-36-01 

X線装置 

X-RAY EQUIPMENT 

rm-20-20 

[ ]は誤解のおそれがない場合,その語を省略してもよいことを示す。 

18 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

試験結果の推奨基準 

序文 

この附属書は,試験結果の推奨基準について記載するものであって,規定の一部ではない。 

B.1 

スライス厚 

スライス厚の測定値は,附属文書に指定した公称スライス厚に対し,次に示す範囲から逸脱しないのが

よい。 

− 2 mm超のスライス厚:±1.0 mm 

− 1 mm〜2 mmのスライス厚:±50 % 

− 1 mm未満のスライス厚:±0.5 mm 

B.2 

線量 

線量値はすべて,附属文書に記載した値に対して±20 %以内でなければならない。頭部及び体幹部の

CTDIvolの算出値は,操作卓上に表示した値に対して±20 %以内でなければならない。 

B.3 

ノイズ,平均CT値,均一性 

ノイズの測定値は,附属文書に指定した値に対して±15 %以内でなければならない。 

中心部関心領域の平均CT値は,CT装置の製造業者が指定した物質(ファントム)に対する公称値に

対して±4ハンスフィールド単位(Hounsfield Unit)以内でなければならない。 

注記 水ファントムのCT値は,通常0である。 

均一性は,4ハンスフィールド単位(Hounsfield Unit)以下でなければならない。 

B.4 

空間分解能 

MTF曲線の50 %及び10 %の測定値は,0.5 lp/cm又は指定する公称値の±10 %のいずれか大きいほう

の値以内でなければならない。 

19 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

低コントラスト分解能の視覚的試験方法 

序文 

この附属書は,低コントラスト分解能の視覚的試験方法について記載するものであって,規定の一部で

はない。 

歴史的に視覚的な評価法は,CT装置の低コントラスト分解能(密度分解能)を確認するための好まし

い方法として採用されてきた。この方法では,バックグラウンドのCT値と比較して低いコントラスト(お

よそ2〜10ハンスフィールド単位)となる平均CT 値をもつ典型的には円盤のような小さな物体(およそ

2 mm〜10 mm)を,数人の観察者が視覚的に評価する。検出能力を決めるためには,バックグラウンドの

CT値から物体を視覚的に識別しなければならない。低コントラスト分解能を決めるためには,等間隔に

配置された複数の物体をそれぞれ識別しなければならない。その識別作業(バックグラウンドのCT値に

対する識別又は隣接する物体との識別)は,本質的に主観的なものであり,その結果として,評価者の視

力,周囲の光環境,評価者自身の見えるか見えないかの基準による。 

CT装置の規定の性能パラメータに関して,製造業者は通常,指定した線量又はそれ以下で得られるフ

ァントム内に見えるものとして求められたコントラストをもつ最小の穴の大きさとして低コントラスト分

解能を指定する。例えば,仕様書には表面線量30 mGyで,直径20 cmの水等価ファントムでは0.5 %に

おいて4 mmと記載している。個々のシステム(CT装置)が,製造業者の仕様書に適合していることを試

験するために,同一のファントム,撮影条件(特に照射線量),観察条件,見えるか見えないかの判定基準

が必要である。 

バックグラウンドのCT値に対して,コントラストが正確に分かっている試験器具を製造することは困

難であり,実際の画像内で測定したコントラストの値は,その画像を得るために使用したCT装置の性能

といえる。この視覚的評価方法のもう一つの懸念は,画像評価のときに,各々の観察者が見えているかの

異なる判定基準をもつというように,観察者の意見が著しく異なる可能性があるので,多数の観察者によ

る結果を総合して判断しなければならない。 

ファントムと観察者の基準のばらつき,そしてある程度の信頼できる統計的な客観性のあるデータを取

得することの難しさは,視覚的な方法で低コントラストの検出能力を客観的に測定することを困難にして

いるので,この方法は受入試験には向かない。低コントラスト分解能の客観的な試験に対して,既に統計

的手法が参考文献の[4],[5]で提案されている。 

注記 バックグラウンドのCT値とは,均一な基準となるCT値(バックグラウンド)のことである。 

20 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書D 
(参考) 

架台チルトの正確性 

序文 

この附属書は,架台チルトの正確性について記載するものであって,規定の一部ではない。 

D.1 概要 

架台又は患者支持器の物理的チルト(傾斜角)が,コンピュータの基準位置と一致していることを確認

しなければならない。 

D.2 試験機器 

必要な試験機器は,次に示す。 

− 密閉された袋入りのフィルム(治療位置決め用又は確認用フィルム) 

− 定規 

− 分度器 

− 患者支持器(天板)上で密閉された袋入りのフィルムを,直立に支持できるだけの十分な大きさのメ

タクリル樹脂製試験器具 

− 密閉された袋入りのフィルムをメタクリル樹脂製試験器具と患者支持器とに固定するためのテープ 

D.3 試験方法 

テープを使ってメタクリル樹脂製試験器具に密閉された袋入りのフィルムを固定する。次にフィルムと

メタクリル樹脂製試験器具とを,し(矢)状方向の位置決め基準に対して平行に,患者支持器上に垂直に

配置する。フィルムを最小のスキャン幅(コリメータの開口幅)にて適切なX線条件で3回照射する。前

方及び後方の最大架台チルト角並びにチルト角0°で3回アキシャルスキャンを行う。 

D.4 データの評価 

前方の最大架台チルト角とチルト角0°との像で挟まれた角度,及び後方の最大架台チルト角とチルト

角0°との像で挟まれた角度を測定する。 

D.5 適用する基準 

附属文書で指定した値と許容範囲とが適用されなければならない。附属文書に記載がない場合,CT装

置に表示されている角度とフィルムで測定した角度とは一致しなければならない。この測定では,±2°の

許容範囲が見込まれる。 

注記 代わりに,附属文書に指定した定量的な(許容範囲の)基準でチルト角を測定することができ

る。 

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附属書E 

(参考) 

線量プロファイル 

序文 

この附属書は,線量プロファイルについて記載するものであって,規定の一部ではない。 

E.1 

概要 

z軸方向の線量分布の幅(半値幅)の測定によって,線量プロファイルの幅を決める。 

E.2 

試験機器 

試験機器は,X線フィルム,フィルム現像機及び現像したフィルムをデジタル化する方法(ソフトウエ

アなどのツールを含む。)で構成する。 

注記 熱蛍光線量計(TLD)などの他の方法を用いてもよい。 

E.3 

試験方法 

線量プロファイル測定に用いる撮影パラメータは,附属文書の記載による。フィルムを過剰照射しない

ように適切な照射条件で,CT装置の利用可能な各々のコリメータ開口幅にてフィルムを照射する。フィ

ルムは,適切に現像する。 

E.4 

データの評価 

フィルム特性曲線を補正した後に,現像したフィルムをデジタル化して線量プロファイルを得る。線量

プロファイルの幅として線量プロファイルの半値幅とする。 

注記 適切なデジタイザがない場合は,半影領域の二つの中心間距離を視覚的に推定してもよい。 

E.5 

適用する基準 

附属文書で指定した値と許容範囲とが適用されなければならない。 

background image

22 

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附属書F 

(参考) 

空間分解能の代替試験方法 

序文 

この附属書は,空間分解能の代替試験方法について記載するものであって,規定の一部ではない。 

F.1 

概要 

空間分解能は,高コントラスト分解能としても知られ,点広がり関数(PSF)のフーリエ変換から得ら

れたMTF(変調伝達関数)曲線によって,最適に表現される。次の二つの空間分解能の測定方法を考慮し

てもよい。 

− 適切な試験器具の画像に識別可能なそれぞれの繰返しパターン(例えば,穴,バー,線など)の最小

間隔の視覚的評価 

− 周期的パターンの変調の定量的測定 

表F.1は,これらの試験方法の長所及び短所の比較一覧である。 

表F.1−空間分解能の試験方法の比較 

試験 

長所 

短所 

視覚的評価 

簡単,かつ,迅速 
一つの数値で分解能を表す(これ
はまた短所と考えてもよい。)。 

主観的 
評価者と観察条件に依存する。 
再現性は普通 

周期的パターンの変調の
測定 

簡単 
客観的 
観察条件に左右されない。 
高い再現性 

一つの数値で分解能を表す(これ
はまた長所と考えてもよい。)。 

MTF(変調伝達関数) 

全空間周波数で詳細な情報が得
られる。 

専用ソフトウエアが必要 
極めて正確な位置決めが必要 

F.2 

代替の試験器具 

“バーパターン(bar pattern)”をもつ試験器具を,それぞれの識別可能な最小間隔の視覚的評価又はMTF

(変調伝達関数)の定量的な測定に用いる。 

試験器具は,それぞれの周期的パターンを含まなければならない。それぞれのパターンは,CT装置で

容易に識別できる周期から識別不能な周期までの空間周波数をもった5本程度のバーとスペースとで構成

する。パターンは,少なくとも3 lp/cm〜10 lp/cmをカバーすることが望ましい。 

バー及びスペースの長さは,少なくともパターン周期の5倍であることが望ましい。バー及びスペース

を構成する材料の平均CT値の差は,少なくとも100ハンスフィールド単位(Hounsfield Unit)なければな

らない。 

試験器具は,約1 cm以上の大きさのバーとスペースのパターンが同じ材質で作られ,かつ,バーパター

ンの近くに位置する二つの基準領域をもたなければならない。 

23 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

F.3 

バーパターンを含む代替の試験器具による試験方法 

試験器具を,架台内の撮影領域の中心に配置する。 

周期的パターンをもつ試験器具は,x軸に対して45°の角度をつけ,z軸に対して垂直に配置しなけれ

ばならない。 

試験器具を配置後,撮影しなければならない。 

関心領域をそれぞれの試験パターンのすべてに設定しなければならない。関心領域の大きさは,その中

に試験パターンだけが含まれるように調整することが望ましい。周期パターンの近くにアーチファクトが

かからないように,関心領域の位置及び大きさを決める。 

それぞれの試験パターンの平均と標準偏差とを求めて記録しなければならない。基準領域の平均値を測

定して記録しなければならない。 

視覚的評価を用いる場合は,最適なウインドウ設定によって識別可能なバーの最大周波数を求める。 

F.4 

バーパターンを含む代替の試験器具によるデータ評価方法 

MTF(変調伝達関数)は,ドロージェ(Droege)・モーリン(Morin)法を利用して測定することができ

る。この方法は,既知の周期をもった入力く形波の出力振幅の測定に基づいている。MTF(変調伝達関数)

は入力変調に対する出力変調の比率で定義され,周期パターンのMTFは,次の計算式で求める。この式

は,バックグラウンドとして水及びバーパターン材料を用いている。 

|

|

2

π

water

material

2

background

2

pattern

CT

CT

N

M

Mo

Mi

MTF

×

=

=

ここに, 

Mpattern: 繰返しパターンの画像中における各ピクセルのCT

値を標準偏差として求めた周期パターンの変調。 

Nbackground: バックグラウンドの平均ノイズ(水とバーパターン

材料の場合における,バックグラウンドとしての水
及びバーパターン材料)。平均ノイズの算出例とし
て,次の式で求める方法がある。 

(

)2

water

2

material

2

background

2

÷

+

=

N

N

N

CTmaterial及びCTwaterは,少なくとも100ピクセルを含む前記のノイズ計算と同じ

関心領域を用いて測定したバーパターンの材料と水の平均CT値とする。 

MTF曲線は,周期パターンの空間周波数に対する分解可能な周期パターンのMTF測定点を座標化(プ

ロット)することによって得られる。 

限界空間分解能は,バーパターンのバーとスペースとの境界が不明りょうになり始める最大周波数(す

なわち,バーとスペースが分解できない周波数)に一致する。この周波数は,MTF曲線の5 %ポイント

とほぼ一致する。 

MTFの参考文献を [6]〜[9] に示す。 

24 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書G 
(参考) 

ヘリカルスキャン時のスライス厚測定 

序文 

この附属書は,ヘリカルスキャン時のスライス厚測定について記載するものであって,規定の一部では

ない。 

G.1 

概要 

スライス厚は,円盤(ディスク)又は微小球体(ビーズ)ファントムを撮影することで評価する。その

幅は,z軸の位置に対する関数である感度プロファイルの半値幅で定義する。 

G.2 

試験機器 

試験器具は,S/N比が高い物質の中に組み込んだアルミニウム以上の比例減弱係数をもつ円盤又は微小

球体を含む。 

注記 円盤又は微小球体は,z軸方向に沿って0.05 mm〜0.1 mm(最大)程度に薄いことが望ましい。 

G.3 

試験方法 

試験器具は,円盤又は微小球体の中心点がCT装置の回転中心に合致するように配置する。 

試験器具を配置した後,4.2のCT作動条件で撮影する。 

G.4 

データの評価 

撮影画像は,次のように評価する。 

− z軸方向に少しずつずらして(スライス厚の10 %以下)画像再構成をする。 

− ずらして得た画像すべてにわたり,適切な関心領域を用いて円盤又は微小球体の平均CT値を測定す

る。 

− z軸の位置に対する関数(感度プロファイル)として平均CT値を記録する。 

− スライス厚として感度プロファイルの半値幅を求める。 

25 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

引用した文献・規格 

[1] 

JIS Z 4752-1:2001 医用画像部門における品質維持の評価及び日常試験方法−第1部:総則 

注記 対応国際規格:IEC 61223-1:1993,Evaluation and routine testing in medical imaging 

departments−Part 1: General aspects (IDT) 

[2] 

IEC 61223-2-4:1994,Evaluation and routine testing in medical imaging departments−Part 2-4: Constancy 

tests−Hard copy cameras 

[3] 

JIS Z 4752-2-6:2001 医用画像部門における品質維持の評価及び日常試験方法−第2-6部:不変性

試験−医用X線CT装置 

注記 対応国際規格:IEC 61223-2-6:1994,Evaluation and routine testing in medical imaging 

departments−Part 2-6: Constancy tests−X-ray equipment for computed tomography (IDT) 

[4] 

ICRU Report 54:1995,Medical Imaging−The Assessment of Image Quality (7910 Woodmont Ave., 

Bethesda, Maryland USA 20814) 

[5] 

ASTM E 1695-95:1995,American Society for Testing and Materials ASTM International (100 Barr Harbor 

Drive, PO Box C700, West Conshohocken, Pennsylvania, USA 19428-2959) 

[6] 

DROEGE, R. T. and MORIN R. L. A practical method to measure the MTF of CT scanners. Med Phys 9, 

1982, p.758-760 

[7] 

JOSEPH, P. M. and STOCKHAM C. D. The influence of modulation transfer function shape on computed 

tomographic image quality. Radiology 145, 1982, p.179-185 

[8] 

JUDY, P. F. The line spread function and modulation transfer function of a computed tomographic scanner. 

Medical Physics, July, 1976, Volume 3, Issue 4, p. 233-236 

[9] 

NICKOLOFF, E. L. and RILEY R. A simplified approach for modulation transfer function determinations 

in computed tomography. Med Phys 12, 1985, p.437-442 

[10] POLACIN, A., KALENDER W. A. et al. Evaluation of section sensitivity profiles and image noise in spiral 

CT. Radiology 185, 1992, p.29-35 

[11] POLACIN, A. and KALENDER W. A. Measurement of slice sensitivity profiles in spiral CT. Med. Phys. 

21(1), 1994, p.133-140 

[12] DAVROS, W. J., HERTS B. R. et al. Determination of spiral CT slice sensitivity profiles using a point 

response phantom. J Comput Assist Tomogr 19(5), 1995, p.838-843 

関連する文献・資料 

[13] IEC 60336:1993,X-ray tube assemblies for medical diagnosis−Characteristics of focal spots 

[14] IEC 60522:1999,Determination of the permanent filtration of X-ray tube assemblies 

[15] IEC 60601-2-28:1993,Medical electrical equipment−Part 2-28: Particular requirements for the safety of 

X-ray source assemblies and X-ray tube assemblies for medical diagnosis 

[16] IEC 60601-2-32:1994,Medical electrical equipment−Part 2-32: Particular requirements for the safety of 

associated equipment of X-ray equipment 

26 

Z 4752-3-5:2008 (IEC 61223-3-5:2004) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

[17] IEC 60878,Graphical symbols for electrical equipment in medical practice 

[18] IEC 61267:1994,Medical diagnostic X-ray equipment−Radiation conditions for use in the determination 

of characteristics 

[19] ISO 2092:1981,Light metals and their alloys−Code of designation based on chemical symbols 

[20] ISO 5725-1:1994,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 1: General 

principles and definitions 

[21] ISO 5725-2:1994,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 2: Basic 

method for the determination of repeatability and reproducibility of a standard measurement method 

[22] ISO 5725-3:1994,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 3: 

Intermediate measures of the precision of a standard measurement method 

[23] ISO 5725-4:1994,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 4: Basic 

methods for the determination of the trueness of a standard measurement method 

[24] ISO 5725-6:1994,Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 6: Use in 

practice of accuracy values 

[25] Evaluation Report MDA (UK) 01050 Four Slice CT Scanner, Comparison report V.3.04 

[26] Evaluation Report MDA (UK) /00/11 CT scanners, Comparison of imaging performance. Issue 12 (2000) 

[27] ImPACT Information leaflet No. 1: CT scanner acceptance testing. Version 1.02. ImPACT. 2001. 

www.impactscan.org 

[28] MCCOLLOUGH, C.H. & ZINK, F.E. Performance evaluation of CT systems. In Categorical course in 

diagnostic radiology physics: CT and US cross-sectional imaging. Radiological Society of North America, 

Oak Brook, IL. 2000