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Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

201.1 適用範囲,目的及び関連規格························································································· 1 

201.2 引用規格 ··················································································································· 3 

201.3 用語及び定義 ············································································································· 3 

201.4 一般要求事項 ············································································································· 4 

201.5 ME機器の試験に対する一般要求事項 ············································································· 4 

201.6 ME機器及びMEシステムの分類 ··················································································· 4 

201.7 ME機器の標識,表示及び文書 ······················································································ 4 

201.8 ME機器の電気的ハザードに関する保護 ·········································································· 8 

201.9 ME機器及びMEシステムの機械的ハザードに関する保護 ·················································· 9 

201.10 不要又は過度の放射のハザードに関する保護 ································································· 10 

201.11 過度の温度及び他のハザードに関する保護 ···································································· 10 

201.12 制御及び計器の精度並びに危険な出力に対する保護 ························································ 11 

201.13 ME機器の危険状態及び故障状態················································································· 11 

201.14 プログラマブル電気医用システム(PEMS) ·································································· 11 

201.15 ME機器の構造 ········································································································ 11 

201.16 MEシステム ··········································································································· 12 

201.17 ME機器及びMEシステムの電磁両立性 ······································································· 12 

203 診断用X線装置における放射線防護 ················································································ 12 

203.4 一般要求事項 ············································································································ 12 

203.7 線質 ························································································································ 12 

203.12 漏れ放射線に対する防護 ···························································································· 13 

附属書 ······························································································································· 13 

附属書AA(参考)X線管装置の飛散物,及び/又は爆縮に関わるリスク評価試験 ··························· 14 

附属書JAA(参考)X線管装置の試験 ····················································································· 16 

参考文献 ···························································································································· 19 

この規格で使用する定義した用語の索引 ·················································································· 20 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本

画像医療システム工業会(JIRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日

本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業

大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS Z 4751-2-28:2013は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の

特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

日本工業規格          JIS 

Z 4751-2-28:2018 

(IEC 60601-2-28:2017) 

医用電気機器−第2-28部:診断用X線管装置の 

基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項 

Medical electrical equipment-Part 2-28: Particular requirements for  

the basic safety and essential performance  

of X-ray tube assemblies for medical diagnosis 

序文 

この規格は,2017年に第3版として発行されたIEC 60601-2-28を基に,技術的内容及び構成を変更す

ることなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所及び附属書JAAは,対応国際規格にはない事項である。 

この規格の用語の中で太字は,この規格並びにJIS T 0601-1,JIS T 0601-1-3,JIS T 60613及びJIS Z 

4005で定義した用語である。上記の規格で定義した用語が太字で表記されていない場合には,定義は適

用されず,意味は,文脈に沿って解釈する。 

注記 “置換”,“追加”及び“修正”の意味は,201.1.4を参照。 

201.1 

適用範囲,目的及び関連規格 

次を除き通則の箇条1を適用する。 

注記1 通則とは,JIS T 0601-1:2017をいう。 

注記2 2021年4月30日までJIS Z 4751-2-28:2013を適用することができる。 

201.1.1 

適用範囲 

置換 

この規格は,診断用及び医用画像用の次のX線管装置及びその構成部品の基礎安全及び基本性能に適

用する。 

− 以下,この規格でME機器(X線管装置)とするもの 

− 医用診断及び医用画像を意図するもの 

箇条又は細分箇条がME機器だけ,又はMEシステムだけに適用することを明確に意図する場合,そ

の箇条又は細分箇条の題名及び内容は,ME機器又はMEシステムだけに適用することを記載している。 

この断わりがない場合,その箇条又は細分箇条は,ME機器及びMEシステムの両方に適用する。 

注記1 この規格は,X線源装置及び一体形X線発生装置の部品としてのX線管装置にも適用でき

る。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

IEC 60601-2-28:2017,Medical electrical equipment−Part 2-28: Particular requirements for the 

basic safety and essential performance of X-ray tube assemblies for medical diagnosis(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致してい

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

る”ことを示す。 

201.1.2 

目的 

置換 

この規格の目的は,診断用X線管装置の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項を確立すること

である。 

201.1.3 

副通則 

追加 

この規格は,通則の箇条2及びこの規格の201.2に規定した副通則を引用する。 

JIS T 0601-1-3は,この規格の箇条203で変更して適用する。JIS T 0601-1-2,IEC 60601-1-6,IEC 

60601-1-8,IEC 60601-1-9,IEC 60601-1-10,IEC 60601-1-11及びIEC 60601-1-12は適用しない。 

上記以外のIEC 60601-1規格群の副通則のうち,この規格に関連する副通則が制定された時点で,それ

も適用する。 

注記1 システムに搭載されていないX線管装置のリスクは,電磁環境が相違するため,搭載した

システムのリスクを示唆するだけであるため,JIS T 0601-1-2は適用しない。 

注記2 IEC 60601-1-6及びIEC 60601-1-8は,X線管装置が単独の機器として使用されないため,

適用しない。 

注記3 X線管装置は,IEC 60601-1-10,IEC 60601-1-11及びIEC 60601-1-12の適用範囲には含まれ

ていない。 

201.1.4 

個別規格 

置換 

JIS T 0601-1規格群では,個別のME機器への適用を考慮した上で,通則及び副通則に含まれる要求事

項を個別規格で修正,置換又は削除してもよい。また,基礎安全及び基本性能への要求事項を追加して

もよい。 

個別規格の要求事項は,通則よりも優先する。 

この個別規格では,JIS T 0601-1を通則ともいう。副通則は,それらの規格番号によって参照する。 

この個別規格の箇条及び細分箇条の番号は,通則の番号に接頭語“201”を付与する(例えば,この個

別規格の201.1は,通則の箇条1の内容を扱う。)。また,副通則の場合は,接頭語“20x”を付与する。

ここでxは,副通則の規格番号の最後の数字である(例えば,この個別規格の202.4が副通則JIS T 0601-

1-2の箇条4を示し,203.4は副通則JIS T 0601-1-3の箇条4の規定内容を扱うなど。)。通則及び副通則の

条文の変更は,次の用語を用いて規定する。 

“置換”は,通則又は適用する副通則の箇条又は細分箇条を,この個別規格の規定に全て置き換えるこ

とを意味する。 

“追加”は,通則又は適用する副通則の要求事項に,この個別規格の規定を追加することを意味する。 

“修正”は,通則又は適用する副通則の箇条又は細分箇条を,この個別規格の規定に修正することを意

味する。 

通則に追加する細分箇条,図又は表には,201.101から始まる番号を付ける。ただし,通則では3.1〜

3.147の細分箇条番号で定義している。この個別規格では201.3.201から始まる細分箇条番号で定義する。

追加附属書には,附属書AA,附属書BBなどと記載し,追加項目にはaa),bb)などと記載する。 

各副通則に追加する細分箇条,図又は表には,“20x”から始まる番号を付ける。ここで“x”は副通則

の番号である。例えば,202はJIS T 0601-1-2,203はJIS T 0601-1-3を示す。 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

“この規格”という表現は,通則,適用する副通則及びこの個別規格を包含する。 

以下,この個別規格で箇条又は細分箇条がない場合は,該当する可能性は低いとしても,通則,又は適

用する副通則の箇条若しくは細分箇条を,置換,追加又は修正せずに適用する。関連する規定であっても,

通則又は適用する副通則の一部を適用しない場合は,この個別規格で,それを適用しないことを記載する。 

201.2 

引用規格 

次に掲げる規格は,この個別規格に引用されることによって,この個別規格の規定の一部を構成する。

これらの引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追

補を含む。)は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

次の規格を除き,通則の箇条2を適用する。 

置換 

JIS T 0601-1-3:2015 医用電気機器−第1-3部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項−副通

則:診断用X線装置における放射線防護 

注記 対応国際規格:IEC 60601-1-3:2008,Medical electrical equipment−Part 1-3: General 

requirements for basic safety and essential performance−Collateral Standard: Radiation protection in 

diagnostic X-ray equipment及びAmendment 1:2013 

追加 

JIS T 0601-1:2017 医用電気機器−第1部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項 

注記 対応国際規格:IEC 60601-1:2005,Medical electrical equipment−Part 1: General requirements 

for basic safety and essential performance及びAmendment 1:2012 

JIS T 60613:2013 診断用X線管装置の負荷特性 

注記 対応国際規格:IEC 60613:2010,Electrical and loading characteristics of X-ray tube assemblies 

for medical diagnosis 

JIS Z 4005:2012 医用放射線機器−定義した用語 

注記 対応国際規格:IEC/TR 60788:2004,Medical electrical equipment−Glossary of defined terms 

JIS Z 4120 診断用X線管装置−焦点特性 

注記 対応国際規格:IEC 60336,Medical electrical equipment−X-ray tube assemblies for medical 

diagnosis−Characteristics of focal spots 

JIS Z 4121 X線管装置の固有ろ過の測定 

注記 対応国際規格:IEC 60522,Determination of the permanent filtration of X-ray tube assemblies 

201.3 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,通則,適用する副通則,JIS T 60613,JIS Z 4121,JIS Z 4120

及びJIS Z 4005による。 

次を除き,通則の箇条3を適用する。 

201.3.71 

正常な使用 

追加 

注記 この規格での定義語である正常な使用は,X線装置に組み込まれているX線管装置について

だけ適用する。 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

201.4 

一般要求事項 

次を除き,通則の箇条4を適用する。 

201.4.3 

基本性能 

追加 

X線管装置単体では,基本性能をもたない。X線管装置の特性を基本性能とみなすかどうかは,X線管

装置を組み込んだX線装置及び高電圧装置の特性に依存する。 

201.4.4 

予測耐用期間 

追加 

予測耐用期間は,使用における計量可能な数値を基にしたものであってもよい。 

注記1 計量可能な数値の例:CTにおけるスキャン数,撮影数,検査数 

注記2 X線管装置は消耗品であるため,最終的には交換に至る。X線管装置は,交換に至るまでの

間,基礎安全を維持できる設計となっている。 

注記3 予測耐用期間は,あるX線管装置の集団が交換される期間として表すことができる。例え

ば95 %が使用を終え交換されるまでの期間とするような統計的な分析を基としている。 

201.4.11 電源入力 

通則の4.11は,適用しない。 

201.5 

ME機器の試験に対する一般要求事項 

次を除き,通則の箇条5を適用する。 

201.5.5 

供給電圧,電流の種類,電源の特性及び周波数 

201.5.5 f) 

追加 

附属文書に指定していない高電圧装置であっても,試験に必要な基本性能が指定の高電圧装置と同等

である場合は試験に使用することができる。 

201.5.7 

湿度前処理 

追加 

附属文書で指定した管理環境下でだけ使用する場合,X線管装置には湿度前処理は要求しない。 

201.5.9 

装着部及び接触可能部分の決定 

201.5.9.2 

接触可能部分 

通則の5.9.2は,適用しない。 

注記 X線管装置への接触の可能性は,指定のX線装置に組み込んで評価する必要がある。 

201.6 

ME機器及びMEシステムの分類 

次を除き,通則の箇条6を適用する。 

201.6.2 

電撃に対する保護 

追加 

X線管装置は,クラスIのME機器として分類する。 

201.7 

ME機器の標識,表示及び文書 

次を除き,通則の箇条7を適用する。 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

201.7.1 

一般 

201.7.1.1 

識別,表示及び文書のユーザビリティ 

通則の7.1.1は,適用しない。 

注記 ユーザインタフェースは,X線装置の一部であるが,X線管装置の一部ではない。 

201.7.2 

ME機器又はME機器の部分の外側の表示 

201.7.2.2 

識別 

置換 

この細分箇条の第1段落を次に置き換える。 

X線管装置の表示は,次による。 

− 製造業者の名称又は商標及び住所 

− 形式名称 

− 製造番号又は個々の識別番号 

− 製造年月 

注記1 製造業者,製造番号,ロット又はバッチ,製造年月及び使用期限を示す記号はISO 15223-1

を参照。 

注記2 201.7.2.102も参照。 

201.7.2.5 

他の機器から電力を受けることを意図するME機器 

通則の7.2.5は,適用しない。 

注記 適用する要求事項は,201.7.9.3.101を参照。 

201.7.2.11 作動モード 

通則の7.2.11は,適用しない。 

注記 X線管装置は,単体では使用されない。 

201.7.2.14 高電圧端子盤 

置換 

工具を使わずにケーブル接続を取外し可能な場合は,正常な使用時に接触可能なX線管装置と高電圧

装置とを接続する高電圧ケーブルにIEC 60417-5036 (2002-10)(表D.1の図記号24)を表示する。 

201.7.2.15 冷却条件 

追加 

特定のX線管装置と組み合わせて使用するように設計された熱交換器には,冷却条件を表示しなくて

もよい。 

注記 熱交換器は,独立した機器又はX線管装置に組み込まれた部品であり,X線管装置の冷却性

能を向上させるものである。 

追加細分箇条 

201.7.2.101 

X線管の表示 

X線管の表示は,X線管が正常な使用を終えて(X線)管容器から外された場合でも,判読可能な状態

でなければならない。 

注記 X線管の表示は,実使用後の評価ができない場合は,製造業者の寿命試験後の評価によって代

替してもよい。 

表示は,個々の製品,シリーズ又は形名を附属文書で照合可能でなければならない。 

X線管の表示は,次による。 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

− 製造業者の名称又は商標 

− 形式名称 

− 製造番号又は個々の識別番号 

上記の表示は,附属文書に説明し,製造番号と組み合わせた形式名称でもよい。 

201.7.2.102 

X線管装置の外側の表示 

X線管装置には,次を表示する。 

− X線管装置の公称最高管電圧 

− 複数の高電圧ケーブルレセプタクルをもつ場合,高電圧ケーブルレセプタクルの極性 

− 焦点寸法 焦点寸法がJIS Z 4120の公称焦点値の範囲内の場合はJIS Z 4120による公称焦点値 

注記 201.7.2.2及び203.7.3も参照。 

201.7.3 

ME機器又はME機器の部分の内側の表示 

201.7.3.2 

高電圧部分 

通則の7.3.2は,適用しない。 

注記 ステータケーブルを接続するなどの内側の作業をする場合には,通常,X線管装置に通電しな

い。もしX線管装置に通電したとしても,訓練を受けたサービス要員だけが作業するため,

安全な作業が保証される。 

201.7.9 

附属文書 

201.7.9.1 

一般 

置換 

ME機器は,少なくとも取扱説明書及び技術解説を提供しなければならない。附属文書はME機器の一

部である。附属文書はX線管装置とともに提供されるか,又はX線管装置が搭載されているMEシステ

ムの附属文書に統合してもよい。もしX線管装置が他のMEシステムから電源供給されることを意図し

ているか,又はMEシステムに特別な要求がある場合は,この規格に適合するため,附属文書は他の機

器に対し十分な仕様を明示しなければならない。 

注記 附属文書は,予測耐用期間中のME機器を安全に使用するために提供されるものである。 

附属文書には,次を記載しなければならない。 

− 製造業者の名称又は商標,及び連絡先(責任部門が参照できる情報) 

− 形式名称 

注記 連絡先は,製造業者の電話番号,e-メールアドレス,ウェブサイトなどである。 

附属文書は電子メディアファイルなどの電子データによって提供してもよい。附属文書を電子データで

提供する場合は,ハードコピーとして提供する必要がある情報,又はME機器上の表示として必要があ

る情報についての考えをリスクマネジメントファイルに含めなければならない。 

例 緊急時対応のための情報 

注記1 電子データとして提供される附属文書は全ての規制当局で許容されるとは限らない。 

注記2 X線管装置は,ユーザビリティエンジニアリングプロセス(IEC 60601-1-6)の代わりに

“医療機器−リスクマネジメントの医療機器への適用”(JIS T 14971)の考えを適用する。

JIS T 14971の4.2(意図する使用)及びC.2.29(人員要因)はX線管装置のユーザビリティ

面を網羅している。 

附属文書は,操作者又は責任部門に必要とされる特別な技能,訓練,知識,及びME機器を使用する

環境,又は制限場所を明示しなければならない。 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

附属文書には,意図した作業者への教育,訓練,特別要求などを一貫したレベルで記載しなければなら

ない。 

(試験) 

適合性は,附属文書及び電子データで提供された場合はリスクマネジメントファイルの調査で確認す

る。 

201.7.9.2 

取扱説明書 

201.7.9.2.2 

警告及び安全上の注意 

置換 

この細分箇条の第2段落を次に置き換える。 

X線管装置の場合には,附属文書には,次のような意味の警告文を含めなければならない。 

“警告 電撃のリスクを回避するために,この機器は保護接地を備えた電源だけに接続しなければなら

ない。” 

注記 X線管装置は,通常,電源(商用)に接続しない。 

201.7.9.2.3 

別の電源への接続を指定したME機器 

通則の7.9.2.3は,適用しない。 

201.7.9.2.14 附属品,組合せ機器及び使用材料 

次を除き,通則の7.9.2.14を適用する。 

− 第2段落 

− 注記 

201.7.9.2.17 放射線を放射するME機器 

通則の7.9.2.17は,適用しない。 

注記 放射線強度及び分布はX線システムにて管理される。放射線の特性及び種類は201.7.9.3.101 

a)に規定されている。 

追加細分箇条 

201.7.9.2.101 

X線管装置の取扱説明書 

X線管装置の取扱説明書には,意図する使用に応じて次のデータを記載しなければならない。 

a) (最大)単発負荷定格 

b) 連続負荷定格 

c) JIS T 60613による公称撮影陽極入力 

d) JIS T 60613による公称CT陽極入力 

e) JIS T 60613による公称CTスキャン入力 

201.7.9.3 

技術解説 

追加細分箇条 

201.7.9.3.101 

X線管装置の技術解説 

X線管装置の技術解説には,次のデータを記載しなければならない。 

a) 放射線スペクトルを特徴付けるターゲットの材質 

b) 基準軸 

c) ターゲット角 

d) 焦点寸法 焦点寸法がJIS Z 4120の公称焦点値の範囲内の場合は,JIS Z 4120による公称焦点値 

e) JIS Z 4121による固有ろ過又は化学記号及び材料の厚み 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

f) 

付加フィルタ又は付加フィルタになり得る部分の線質等価ろ過,及び該当する場合は,その着脱方法 

注記1 上記e)及びf)のろ過の要求事項には,JIS T 0601-1-3の7.3で規定した事項を含んでい

る。 

g) 公称最高管電圧 

h) (X線)高電圧装置に必要な高電圧に関するデータ又は適切な電源機器の形名 

i) 

高電圧接続プラグの形名又は仕様 

j) 

リスクマネジメントファイルで規定したX線管装置の安全な運用のために,適切な高電圧装置,フ

ィラメント加熱,回転陽極(必要な場合)及び補助装置(冷却装置,ファンなど)に対する要求事項 

k) 陰極エミッション特性 

注記2 上記h)〜k)についてのデータは,高電圧装置とともにX線システムに組み込まれたX線

管装置では,通常,必要ではない。X線管装置をX線システムの製造業者へ販売する場

合には,通常は,詳細なインタフェース仕様を含んでいる。 

l) 

JIS T 60613による外囲器電圧(該当する場合) 

m) JIS T 60613による外囲器電流(該当する場合) 

n) 主要寸法及びインタフェースの図:この図には,基準軸,焦点位置及び焦点位置精度も示す。 

o) 取外し可能な部品を取り付けたとき及び取り付けないときの質量 

p) 任意の操作条件における公称最高管電圧の最大値でのJIS T 60613による連続陽極入力 

q) 通則の箇条6による分類 

r) 高電圧接続プラグの極性 

s) 

輸送,保管及び使用条件の範囲 

t) 

該当する場合,電力供給前のX線管装置に対する要求事項例えば検査室の環境保持期間,X線管装

置据付時の最初の負荷入力前に確認する事前注意事項(エージングなど)。 

u) JIS T 60613による公称連続入力 

注記3 電気的又は機械的にX線管装置へ取り付ける機器(例 照射野限定器)の仕様及びイン

タフェースは,X線管装置の適合性に影響を与える可能性があるため,X線管装置の技術

解説に記載することを規定している。X線管装置に取り付ける機器によってインタフェー

スについての追加要求事項が生じる可能性があるため,これは技術解説の全項目ではない。 

201.8 

ME機器の電気的ハザードに関する保護 

次を除き,通則の箇条8を適用する。 

201.8.2 

電源に対する要求事項 

201.8.2.1 

別の電源への接続 

通則の8.2.1は,適用しない。 

注記 この規格の本体で規定されていないX線管装置の試験については,附属書JAAに記載してあ

る。 

201.8.7 

漏れ電流及び患者測定電流 

追加 

注記 システムに組み込まれないX線管装置の測定は,電気的接続の違いのため,システム搭載時

の参考だけにする。 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

201.8.8 

絶縁 

201.8.8.3 

耐電圧 

通則の表6は,次のとおりとする。 

ピーク動作電圧Uが14 140 Vを超える場合,X線管装置が組み込まれた高電圧回路は,公称最高管電

圧の110 %で試験する。このとき,指定の電圧まで10秒間以内で昇圧し,3分間維持する。 

201.8.9 

沿面距離及び空間距離 

201.8.9.3 

絶縁コンパウンドを満たした空間 

追加 

通則の8.9.3は,X線管装置の高電圧側試験には適用しない。 

注記 201.8.8.3にX線管装置の高電圧試験条件を示している。 

201.9 

ME機器及びMEシステムの機械的ハザードに関する保護 

次を除き,通則の箇条9を適用する。 

201.9.5 

飛散物に関わるハザード 

追加 

リスクマネジメントファイルに記載のリスク分析には,受容できないリスクを生じかねない飛散物及

び液体のこぼれについての判断基準を明記しなければならない。 

陽極の回転機構に蓄えられる運動エネルギー及び作動中の回転機構の熱エネルギーは,故障した場合,

X線管を破壊する潜在的原因となり,結果として部品の飛散によるリスクがある。X線管装置の製造業者

は様々なリスクに対する試験を行ってもよい。しかし,MEシステムが保護手段を備える場合もあり,ま

た,X線管装置の使用はシステムに依存するため,これらの試験はシステムレベルでのリスク評価の参考

とする。リスクマネジメントの目的で試験する場合は,附属書AAを参照。 

201.9.5.2 

陰極線管(CRT) 

通則の9.5.2は,適用しない。 

注記 X線管は,陰極線管ではない。 

201.9.7 

圧力容器及び空気圧又は水圧(油圧)を受ける部分 

201.9.7.1 

一般 

追加 

X線管装置は圧力容器ではないが,圧力容器に関する通則の9.7.5を適用してもよい。 

リスクマネジメントファイル中のリスク分析には,絶縁油のような液体の飛散,又は他の受容できな

いリスクを引き起こす事象についての判断基準を含まなければならない。 

管内圧上昇は,X線管の過入力,故障,及びその結果として破壊が引き起こされる。陽極の回転機構に

蓄積される熱エネルギーが過度の圧力及びそれによる絶縁油の漏えい(洩)の原因になり得る。X線管装

置の製造業者は,圧力関連のリスクに対する試験をしてもよいが,MEシステムとして保護手段を用意し

てもよい。X線管装置はシステムに組み込まれるため,これらの試験結果はシステムとして考えたリスク

の参考になる。リスクマネジメントの観点で,試験に関する考えが附属書AAに記載されている。 

201.9.7.7 

除圧装置 

追加 

X線管装置は,通則の9.7.7 a)〜g)に適合するか,又は例えば,(X線)管容器内部の絶縁媒体の温度,

体積又は圧力のあらかじめ定めたレベルを検知する,一つ以上の熱エネルギー又は圧力の危険レベルを検

10 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

知する安全手段を備えなければならない。 

除圧装置以外の手段を用いる場合には,次による。 

− 危険レベルに達した場合に,X線管装置の組合せを意図したME機器への指定の信号を出力する。 

− この危険レベルに関連するリスクを明らかにし,附属文書へ記載する。 

置換 

項目h)及び適合性宣言を次に置き換える。 

h) 除圧装置を使用する場合には,繰返し試験回数は次による。 

1) 1回使用の除圧装置(例 破裂円板):除圧装置の仕様に従い1回の試験を受ける。 

2) リセットできるが,X線管の故障及び交換要求の信号(X線管か,又はシステムのソフトウェア若

しくはハードウェアによって更に照射ができない。)を出す除圧装置:繰返し試験回数は5回。 

3) リセットでき,X線管を使用し続けることができる除圧装置:繰返し試験回数は1 000回。 

注記 実際の使用では,除圧装置が数回作動しただけでX線管装置の交換に至るため,通則に

対する修正(100 000回の代わりに1 000回)は,適切である。 

(試験) 

適合性は検査及び必要な場合には,機能試験によって確認する。 

201.10 不要又は過度の放射のハザードに関する保護 

通則の箇条10を適用する。 

201.11 過度の温度及び他のハザードに関する保護 

次を除き,通則の箇条11を適用する。 

201.11.1 ME機器の過度の温度 

追加 

注記 通則の4.6によって,X線管装置はB形装着部の要求事項に従うことをリスクマネジメントプ

ロセスにおいて判断してもよい。 

201.11.1.1 正常な使用時の最高温度 

追加 

X線管装置の(X線)管容器の内部には,温度制限を適用しない。 

意図する使用中に意図しない接触の可能性があるX線管装置の塗装表面の温度は,通則の表23の値を

超えてもよいが,85 ℃を超えてはならない。 

注記 通則の表23には,塗装した金属表面を含んでいない。しかし,通則の参考文献[38]のEN 563

では,塗装した表面温度及び典型的な最大接触時間の1秒に対する最大温度を85 ℃としてい

る。EN 563は廃止され,ISO 13732-1によって置き換わったが,高温表面についての扱いは前

述と同じ考えが適用できる。 

正常な使用時に,ガードによって保護されたX線管装置には,通則の表23を適用しない。 

注記 サービス要員は,ガードを取り外す場合,付随するリスクを把握しているものとしている。 

201.11.1.2 装着部の温度 

201.11.1.2.2 患者に熱を与えることを意図しない装着部 

置換 

正常な使用において,201.11.1.1を適用する。単一故障状態では,201.13.1.2を適用する。 

11 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

201.11.8 ME機器への電源供給又は電源(商用)の中断 

通則の11.8は,適用しない。 

注記 X線管装置への電源からの入力が中断した場合,基礎安全及び基本性能の維持並びに危険状態

の防止は,X線管装置ではなく,MEシステムによって設計される。 

201.12 制御及び計器の精度並びに危険な出力に対する保護 

次を除き,通則の箇条12を適用する。 

201.12.2 医用機器のユーザビリティ 

通則の12.2は,適用しない。 

201.12.3 アラームシステム 

通則の12.3は,適用しない。 

201.12.4 危険な出力に対する保護 

201.12.4.5 診断用又は治療用の放射(線) 

201.12.4.5.2 診断用X線装置 

置換 

X線管装置は,JIS T 0601-1-3に適合しなければならない。 

(試験) 

適合性は,JIS T 0601-1-3によって確認する。 

201.13 ME機器の危険状態及び故障状態 

次を除き,通則の箇条13を適用する。 

201.13.1 特定の危険状態 

201.13.1.2 放出,外装の変形又は最高温度の超過 

追加 

第1段落の第4番目のダッシュ(−)の要求事項は,次の場合,十分に考慮されなければならない。意

図する使用中に意図しない接触の可能性があるX線管装置の塗装面の温度は,通則の表23の値を超えて

もよいが,105 ℃を超えてはならない。 

注記 105 ℃はJIS C 1010-1による。 

201.14 プログラマブル電気医用システム(PEMS) 

通則の箇条14を適用する。 

201.15 ME機器の構造 

次を除き,通則の箇条15を適用する。 

201.15.1 ME機器の制御器及び表示器の配置 

通則の15.1は,適用しない。 

12 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

201.15.4 ME機器の部品及び組立一般 

201.15.4.2 温度及び過負荷の制御器 

201.15.4.2.1 適用 

通則の15.4.2.1 d)は,適用しない。 

注記 通則のd)の機能を喪失した場合,基本性能の維持及び通則の13.1の危険状態の防止は,X線

管装置ではなく,MEシステムによって設計される。 

201.16 MEシステム 

通則の箇条16は,適用しない。 

注記 通則の16.3の要求事項は201.7.9.3.101に包含されている。 

201.17 ME機器及びMEシステムの電磁両立性 

通則の箇条17は,適用しない。 

置換 

X線管装置の製造業者は,リスクマネジメントプロセスの中で,次に関連するリスクを明らかにしなけ

ればならない。 

− 意図する使用中にX線管装置が受ける電磁現象 

− 電磁現象をもたらすX線管装置をシステム内に組み込むことによって,他の装置,電気機器及びシ

ステムの性能を低下させる可能性 

X線管装置の製造業者はX線管装置単体のJIS T 0601-1-2に基づく電磁両立性を評価する必要はない。 

注記 システム外のX線管装置単体のリスクは,電磁環境の違いのため,システム搭載時のリスク

の参考とする。 

(試験) 

適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。 

203 

診断用X線装置における放射線防護 

次を除き,JIS T 0601-1-3を適用する。 

203.4 

一般要求事項 

203.4.1 

適合宣言 

置換 

X線管装置が,この規格に適合することを表明する場合には,次の様式で記載しなければならない。 

− X線管装置....*) JIS Z 4751-2-28:2018 

注*) 形式名称 

− この規格に規定した方法以外の方法を使用して同等の安全を確保した場合は,この規格への適合を標

ぼう(榜)するときに附属文書に相違点を記載しなければならない。 

203.7 

線質 

203.7.1 

X線装置の半価層及び総ろ過 

追加 

13 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

注記 7.1での半価層に関する要求事項は,X線装置に対するものでX線管装置単体へのものではな

い。 

203.7.3 

フィルタ特性の表示 

置換 

第2段落の最初のダッシュ(−)の文言を次に置き換える。 

X線管装置には,JIS Z 4121に規定された固有ろ過,又は該当材料の厚さを化学記号とともに表示しな

ければならない。 

203.12 漏れ放射線に対する防護 

203.12.5 X線管負荷状態にないときの漏れ放射線 

追加 

12.5は,例えば,高電圧の極性が逆に印加されるようなX線の発生がない無負荷状態の場合,X線管

装置は非該当とする。 

附属書 

次を除き,通則の附属書を適用する。 

14 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

附属書AA 

(参考) 

X線管装置の飛散物,及び/又は爆縮に関わるリスク評価試験 

AA.1 

概要 

回転陽極がもつ運動エネルギー及び熱エネルギーは,不具合が発生した場合,X線管を破壊し,管容器

内の圧力を上昇させ,部品の飛散又は絶縁油の漏れの原因となる。両者が同時に発生するリスクの評価は,

この附属書の試験が必要かどうかを決定することになる。その結果,例え試験が必要となった場合でも,

この規格は飛散物,圧力,X線管の爆縮又は爆発に対しどのような場合にも有効となる試験方法を提示す

るものではない。なぜならば,様々なタイプのX線管,X線管装置,X線源装置又はX線装置に組み込

まれるX線管装置に構成の違いがあり,したがってそれらに合わせた異なる試験方法が必要となるから

である。そのため,この附属書で記載する試験は参考とする。しかし,ここで記載する試験は,これまで

の実績及び経験を基にしているため,代表的な試験方法を表すものである。 

製造業者は,リスクマネジメントファイルによって,この附属書で記載する試験が適切であることを

確認した上で,該当の試験方法を選択することができる。 

AA.2 

一般的考察 

試験が適切であるかどうかは,多くの条件に左右されることになる。これらの条件は,試験及び理論付

け(計算,経験など)とともに適切に決定される。既知となっている管容器の機械的ぜい(脆)弱な部分

の全ては,試験によって確認する。この要求を満たすためには,2回以上の試験が必要になる場合がある。 

これらの条件としては,少なくとも次がある。 

a) 陽極温度 

b) 陽極回転速度 

c) X線管周りの冷媒(絶縁油,水など) 

d) X線管周りの冷媒の温度 

e) X線管の電気的条件 

− 高電圧(オン,オフ,管電圧値など) 

− フィラメント電源(オン,オフ,電流値など) 

− ロータの回転オン又はオフ 

f) 

管容器の機械的ぜい(脆)弱部分[最もぜい(脆)弱になり得るところは,放射口,機械的締結部分

など] 

g) 内蔵する部品[裂目を入れた陽極構造部品(応力低減),X線管周りの冷媒など] 

h) X線装置の構成[照射野限定器,保護カバー,X線管装置の取付位置(アンダーテーブルX線管形,

オーバテーブルX線管形,CTガントリなど)] 

AA.3 

試験手順 

次に記載する開始手順で明らかなように,安全機構(例えば,温度リレー)は,ある試験条件,又は試

験条件の組合せにおいて,動作しないようにする。開始手順は,次による。 

a) X線管には,冷媒が許容最大温度になり,少なくともその温度を10分間維持するように負荷を加え

15 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

る。 

b) 回転陽極X線管の陽極は,指定の最大陽極回転速度で回転する。 

c) 高電圧を印加する。 

d) フィラメントに通電する。 

e) 陽極ロータ部への負荷入力を開始する。 

f) 

X線管には,指定の最大許容陽極入力によって,更に2分間負荷を加える。 

その後,X線管の外囲器破壊,例えば外囲器への機械的な衝撃によってX線管を破壊する。液状の冷

媒は,高温となった陽極に触れ,蒸発することで発生する圧力がハウジングを変形させ,絶縁油の漏れ,

又は(主に外囲器の)破損部品の飛散を引き起こす場合がある。また,陽極が破壊する場合がある。この

場合,陽極構成部品が飛散するかどうかを確認する試験となる。しかし,妥当な設計をされたX線管の

場合,陽極が破壊されることは非常にまれである。よって陽極の破壊を引き起こすには許容入力を超えて

入力するか,指定の陽極回転速度を超えて駆動するか,又は陽極の一部にわざとぜい(脆)弱な部分を

作ることになる。 

AA.4 

合否基準 

合否判定基準は,リスクマネジメントプロセスの結果による。X線管装置が組み込まれる装置の構成を

考慮して,飛散物の発生,破損又は絶縁油の漏れの有無で判断する。 

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16 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

附属書JAA 

(参考) 

X線管装置の試験 

JAA.1 一般 

X線管の特性値を定めるに当たり,製造業者は標準化された試験基準が必要となる。しかし,一部の試

験項目について,国際規格には規定されていないものがある。この附属書に記載した内容は,国際規格に

規定されていない試験項目について,最新の製品技術を採用して補足した。 

JAA.2 高電圧側耐電圧試験 

高電圧側耐電圧試験は,次による。 

a) 試験条件:X線管装置の陽極と陰極との間に公称最高管電圧の1.1倍の電圧を加え,少なくとも次の

用途区分による指定時間に耐えることが必要である。 

1) 撮影専用又はCT用途の場合は,3分間。 

2) 撮影,透視の場合は,15分間。 

b) 試験回路:高電圧側耐電圧試験は,図JAA.1,図JAA.2若しくは図JAA.3に示す回路,又はこれに

準じる試験回路によって行い,a)に規定した管電圧を加え,X線管内又は管容器内の放電などの異常

の有無を調べる。このときX線管装置への入力は,公称最高管電圧におけるX線管最大連続入力又

は最大単発負荷定格のそれぞれの1/2以下とする。また,グリッド制御形X線管装置では,その管電

流は遮断状態とする。 

 X :供試X線管装置 
 T :主変圧器 
 Tfx :X線管フィラメント変圧器 
 mA :電流計(mA計) 
 V :電圧計 
 A :電流計 

 mA計は,主変圧器の接地側に入れてもよい。 

図JAA.1−1ピーク形試験回路 

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17 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

 X :供試X線管装置 
 T :主変圧器 
 Tfx :X線管フィラメント変圧器 
 mA :電流計(mA計) 
 KC :整流回路 
 A :電流計 

 mA計は,整流回路の接地側に入れてもよい。 

図JAA.2−インバータ試験回路 

 X :供試X線管装置 
 T :主変圧器 
 Tfx :X線管フィラメント変圧器 

 mA :電流計(mA計) 
 KC :整流回路 
 A :電流計 

mA計は,整流回路の接地側に入れてもよい。 
グリッド制御回路を含む。 
 

図JAA.3−グリッド制御形インバータ試験回路 

JAA.3 フィラメント−グリッド間耐電圧試験 

グリッド制御形X線管装置では,フィラメントとグリッドとの間に最高フィラメント−グリッド間定

格電圧の1.2倍の試験電圧を加えたとき,絶縁破壊などの異常は認められていない。 

JAA.4 管電流遮断試験 

X線管装置のグリッド電圧を管電流遮断定格値よりも若干低くし,管電流が僅かに流れる程度にフィラ

メント電流を流しておき,かつ,管電圧を公称最高充電管電圧に設定する。次いで,グリッド電圧を徐々

に高くし管電流が流れ,JIS Z 4511に規定する方法で校正された線量率計を用いて有効X線が放射され

始めるときのグリッド電圧を測定する。このグリッド電圧は定格値よりも高いことが必要である。 

JAA.5 管電流特性試験 

図JAA.1若しくは図JAA.2に示す試験回路又はこれに準じる試験回路によって試験する。X線管装置

の公称最高管電圧以下の管電圧において公称陽極入力以下の管電流を流し,このときのフィラメント電

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18 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

流を測定し,その許容差が中心値の±10 %以下であることが必要である。 

この試験に使用する電圧計及び電流計は,JIS C 1102-2に規定する1級以上である。 

JAA.6 フィラメント特性試験 

図JAA.4に示す試験回路で陽極端を開放し,Sを開いてX線管フィラメントに電流を流し,安定した

後にSを閉じてフィラメント電圧を測定し,その許容差が中心値の±15 %以下であることが必要である。 

この試験に使用する電圧計及び電流計は,JIS C 1102-2に規定する1級以上である。 

 X :供試X線管装置 
 S :開閉器 
 A :電流計 
 V :電圧計 
 Tfx :X線管フィラメント変圧器 

図JAA.4−フィラメント試験回路 

電流計及び電圧計の周波数特性は,使用するフィラメント電源回路の周波数に適合する必要がある。 

JAA.7 X線管装置放射口の形状・寸法 

取付部の寸法は,図JAA.5に規定する値を基準とする。 

単位 mm 

図JAA.5−照射筒又は可動絞り取付部 

19 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

参考文献 

ISO 15223-1,Medical devices−Symbols to be used with medical device labels, labelling and information to be 

supplied−Part 1: General requirements 

IEC 60417,Graphical symbols for use on equipment 

EN 563,Safety of machinery. Temperatures of touchable surfaces. Ergonomics data to establish temperature 

limit values for hot surfaces 

ISO 13732-1,Ergonomics of the thermal environment−Methods for the assessment of human responses to 

contact with surfaces−Part 1: Hot surfaces 

JIS C 1010-1 測定用,制御用及び試験室用電気機器の安全性−第1部:一般要求事項 

JIS C 1102-2 直動式指示電気計器 第2部:電流計及び電圧計に対する要求事項 

JIS Z 4511 照射線量測定器,空気カーマ測定器,空気吸収線量測定器及び線量当量測定器の校正方法 

20 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

この規格で使用する定義した用語の索引 

注記 これらの定義された用語は,IECウェブサイトhttp://std.iec.ch/glossaryで検索できる。 

アラームシステム 

ALARM SYSTEM 

JIS T 0601-1:2017,3.143 

陰極 

CATHODE 

JIS Z 4005:2012,10148 

意図する使用 

INTENDED USE 

JIS T 0601-1:2017,3.44 

医用電気機器(ME

機器) 

MEDICAL ELECTRICAL EQUIPMENT (ME EQUIP-

MENT) 

JIS T 0601-1:2017,3.63 

医用電気システム 

MEDICAL ELECTRICAL SYSTEM 

JIS T 0601-1:2017,3.64 

MEシステム 

MEDICAL ELECTRICAL SYSTEM (ME SYSTEM) 

JIS T 0601-1:2017,3.64 

X線装置 

X-RAY EQUIPMENT 

JIS T 0601-1-3:2015,3.78 

X線源装置 

X-RAY SOURCE ASSEMBLY 

JIS T 0601-1-3:2015,3.62 

X線管 

X-RAY TUBE 

JIS T 0601-1-3:2015,3.83 

X線管装置 

X-RAY TUBE ASSEMBLY 

JIS T 0601-1-3:2015,3.84 

(X線)管容器 

X-RAY TUBE HOUSING 

JIS Z 4005:2012,11301 

(X線管)負荷状態 

LOADING STATE 

JIS T 0601-1-3:2015,3.36 

沿面距離 

CREEPAGE DISTANCE 

JIS T 0601-1:2017,3.19 

管電流特性 

CATHODE EMISSION CHARACTERISTIC 

JIS T 60613:2013,3.4 

形式名称 

MODEL OR TYPE REFERENCE 

JIS T 0601-1:2017,3.66 

患者測定電流 

PATIENT AUXILIARY CURRENT 

JIS T 0601-1:2017,3.77 

外囲器 

ENVELOPE 

JIS T 60613:2013,3.5 

外囲器電流 

ENVELOPE CURRENT 

JIS T 60613:2013,3.6 

外囲器電圧 

ENVELOPE VOLTAGE 

JIS T 60613:2013,3.7 

外装 

ENCLOSURE 

JIS T 0601-1:2017,3.26 

患者 

PATIENT 

JIS T 0601-1:2017,3.76 

機械的ハザード 

MECHANICAL HAZARD 

JIS T 0601-1:2017,3.61 

基礎安全 

BASIC SAFETY 

JIS T 0601-1:2017,3.10 

基本性能 

ESSENTIAL PERFORMANCE 

JIS T 0601-1:2017,3.27 

危険状態 

HAZARDOUS SITUATION 

JIS T 0601-1:2017,3.40 

基準軸 

REFERENCE AXIS 

JIS Z 4005:2012,10972 

空間距離 

AIR CLEARANCE 

JIS T 0601-1:2017,3.5 

指定の 

SPECIFIED 

JIS Z 4005:2012,11096 

クラスI 

CLASS I 

JIS T 0601-1:2017,3.13 

高電圧 

HIGH VOLTAGE 

JIS T 0601-1:2017,3.41 

(X線)高電圧装置 

HIGH-VOLTAGE GENERATOR 

JIS Z 4005:2012,10472-1 

公称撮影陽極入力 

NOMINAL RADIOGRAPHIC ANODE INPUT POWER 

JIS T 60613:2013,3.15 

公称連続入力 

NOMINAL CONTINUOUS INPUT POWER 

JIS T 60613:2013,3.18 

公称CT陽極入力 

NOMINAL CT ANODE INPUT POWER 

JIS T 60613:2013,3.16 

21 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

公称CTスキャン入

力(公称CTSPI) 

NOMINAL CT SCAN POWER INDEX (NOMINAL 

CTSPI) 

JIS T 60613:2013,3.21 

公称焦点値 

NOMINAL FOCAL SPOT VALUE 

JIS Z 4005:2012,10709 

公称最高管電圧 

NOMINAL X-RAY TUBE VOLTAGE 

JIS T 0601-1-3:2015,3.42 

固有ろ過 

PERMANENT FILTRATION 

JIS T 0601-1-3:2015,3.45 

照射野限定器 

BEAM LIMITING DEVICE 

JIS Z 4005:2012,10115 

焦点 

FOCAL SPOT 

JIS Z 4005:2012,10411 

製造業者 

MANUFACTURER 

JIS T 0601-1:2017,3.55 

正常状態 

NORMAL CONDITION 

JIS T 0601-1:2017,3.70 

正常な使用 

NORMAL USE 

JIS T 0601-1:2017,3.71 

接触可能部分 

ACCESSIBLE PART 

JIS T 0601-1:2017,3.2 

線質等価ろ過 

QUALITY EQUIVALENT FILTRATION 

JIS Z 4005:2012,10887 

(最大)単発負荷定

格 

SINGLE LOAD RATING 

JIS T 60613:2013,3.23 

総ろ過 

TOTAL FILTRATION 

JIS T 0601-1-3:2015,3.77 

ターゲット 

TARGET 

JIS Z 4005:2012,11144 

ターゲット角 

TARGET ANGLE 

JIS Z 4005:2012,11145 

単一故障状態 

SINGLE FAULT CONDITION 

JIS T 0601-1:2017,3.116 

端子盤 

TERMINAL DEVICE 

JIS T 0601-1:2017,3.123 

電源(商用) 

SUPPLY MAINS 

JIS T 0601-1:2017,3.120 

ハザード 

HAZARD 

JIS T 0601-1:2017,3.39 

半価層 

HALF-VALUE LAYER 

JIS T 0601-1-3:2015,3.27 

B形装着部 

TYPE B APPLIED PART 

JIS T 0601-1:2017,3.132 

フィルタ 

FILTER 

JIS T 0601-1-3:2017,3.23 

プログラマブル電気

医用システム 

PROGRAMMABLE ELECTRICAL MEDICAL SYSTEM 

JIS T 0601-1:2017,3.90 

附属品 

ACCESSORIES 

JIS T 0601-1:2017,3.3 

附属文書 

ACCOMPANYING DOCUMENT 

JIS T 0601-1:2017,3.4 

負荷 

LOADING 

JIS T 0601-1-3:2015,3.34 

放射線 

RADIATION 

JIS T 0601-1-3:2015,3.53 

放射線スペクトル 

RADIATION SPECTRUM 

JIS Z 4005:2012,10917 

放射線の線質 

RADIATION QUALITY 

JIS T 0601-1-3:2015,3.60 

漏れ電流 

LEAKAGE CURRENT 

JIS T 0601-1:2017,3.47 

漏れ放射線 

LEAKAGE RADIATION 

JIS T 0601-1-3:2015,3.33 

リスク 

RISK 

JIS T 0601-1:2017,3.102 

リスク分析 

RISK ANALYSIS 

JIS T 0601-1:2017,3.103 

リスクマネジメント

ファイル 

RISK MANAGEMENT FILE 

JIS T 0601-1:2017,3.108 

連続陽極入力 

CONTINUOUS ANODE INPUT POWER 

JIS T 60613:2013,3.19 

連続負荷定格 

SERIAL LOAD RATING 

JIS T 60613:2013,3.24 

22 

Z 4751-2-28:2018 (IEC 60601-2-28:2017) 

ろ過 

FILTRATION 

JIS T 0601-1-3:2015,3.24 

ユーザビリティ 

USABILITY 

JIS T 0601-1:2017,3.136 

陽極 

ANODE 

JIS Z 4005:2012,10049 

陽極入力(電力) 

ANODE INPUT POWER 

JIS T 60613:2013,3.13 

陽極回転速度 

ANODE SPEED 

JIS Z 4005:2012,10055 

予測耐用期間 

EXPECTED SERVICE LIFE 

JIS T 0601-1:2017,3.28