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(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 放射線測定器 ··················································································································· 2 

5 ファントム ······················································································································ 2 

6 漏えいX線量の測定箇所 ··································································································· 2 

7 漏えいX線量の測定方法 ··································································································· 2 

7.1 一般 ···························································································································· 2 

7.2 サーベイメータによる測定方法 ························································································ 3 

7.3 積算線量計による測定方法 ······························································································ 3 

8 漏えいX線量の測定結果の記録 ·························································································· 4 

8.1 サーベイメータによる測定結果の記録················································································ 4 

8.2 積算線量計による測定結果の記録······················································································ 4 

附属書A(参考)X線診療室などの漏えいX線量の測定箇所の例 ·················································· 5 

参考文献 ····························································································································· 9 

用語の索引 ························································································································· 10 

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(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本画像医療システム工業会

(JIRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべき

との申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

日本工業規格          JIS 

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X線診療室の漏えいX線量の測定方法 

Measurement methods of leakage X-ray from X-ray examination rooms 

序文 

医療行為に関して,X線診療室などの漏えいX線量の正確な測定は,公衆,医療従事者などの安全の担

保に重要な役割を果たすと考えられるため,この規格を制定した。 

この規格の本文中の太字は,この規格,JIS Z 4001,JIS Z 4005,JIS Z 4345及びJIS Z 8103で定義して

いる用語である。 

適用範囲 

この規格は,診断用X線装置(以下,X線装置という。)が据え置かれた,主にX線診療室からの漏え

いX線量の測定方法について規定する。X線装置が据え置かれた放射線治療計画を目的としたシミュレー

タ室,手術室などから漏えいするX線量を測定する場合にも,この規格を適用できる。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS Z 4001 原子力用語 

JIS Z 4005 医用放射線機器−定義した用語 

JIS Z 4333 X線,γ線及びβ線用線量当量(率)サーベイメータ 

JIS Z 4345 X・γ線及びβ線用受動形個人線量計測装置並びに環境線量計測装置 

JIS Z 4511 照射線量測定器,空気カーマ測定器,空気吸収線量測定器及び線量当量測定器の校正方

法 

JIS Z 4915 胸・腹部用X線水ファントム 

JIS Z 8103 計測用語  

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 4001,JIS Z 4005,JIS Z 4345及びJIS Z 8103によるほか,

次による。 

3.1 

召合せ 

両開き扉の双方の扉が合わさる部分。 

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3.2 

積算線量計 

環境線量計測に使用可能な蛍光ガラス線量計,熱ルミネセンス線量計,光刺激ルミネセンス線量計など

の線量計。 

放射線測定器 

漏えいX線量の測定には,次のいずれかの放射線測定器を用いる。 

a) サーベイメータ JIS Z 4333に規定するサーベイメータ又はそれと同等以上の信頼できる測定範囲を

もったもので,線量率モードによる測定で1.0 μSv/h,又は積算モードによる測定で0.3 μSvが測定可

能なものであって,JIS Z 4511に規定する校正方法によって校正されたもの。 

なお,校正は,1年間を超えない期間ごとに行うことが望ましい。 

b) 積算線量計 JIS Z 4345に規定する積算線量計又はそれと同等以上の信頼できる測定範囲をもったも

の。 

ファントム 

漏えいX線量の測定のときに用いるファントムは,当該X線診療室などでの撮影部位を考慮し,撮影部

位の大きさに近いものを用いる。例えば,胸部及び腹部を想定する場合は,JIS Z 4915に規定する胸・腹

部用X線水ファントムを用いてもよい。乳房を想定する場合は,精度管理用ファントム又は4 cm厚さの

メタクリル樹脂製の板を用いる。 

漏えいX線量の測定箇所 

漏えいX線量は,次のa)〜c)で規定された全ての個所を測定する。 

なお,測定箇所の例を附属書Aに示す。 

a) X線診療室などの側壁面(人が立ち入らない箇所は除く。) 側壁面の一面につき,複数箇所を測定す

る。測定箇所は,床又は地面から1 m程度の高さとし,かつ,側壁面からの距離は10 cm以内とする。 

b) X線診療室などの上階の床面及び下階の天井面(人が立ち入らない箇所は除く。) 上階の床面及び下

階の天井面につき,それぞれ複数箇所を測定する。上階の床面からの距離は10 cm以内とする。また,

下階の天井面については,下階の床面から測定できる範囲でよい。 

c) 漏えいX線量が高くなると考えられる箇所 次のような箇所は,床又は地面からの高さを問わず測定

箇所とすることが望ましい。 

1) 線束方向の側壁面 

2) X線源に近い箇所 

3) 扉又は観察窓の周囲 

4) 両開き扉の召合せ部分 

5) ケーブルピット(貫通部) 

6) 換気扇などの開口部 

漏えいX線量の測定方法 

7.1 

一般 

漏えいX線量の測定方法は,次の7.2.1,7.2.2又は7.3で規定されたいずれかの方法を選択して実施する。 

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7.2 

サーベイメータによる測定方法 

7.2.1 

線量率モードによる測定方法 

線量率モードによる漏えいX線量率の測定方法は,次による。 

a) X線装置の通常使用時の患者位置に箇条5に規定するファントムを設置する。 

b) X線装置の通常使用時に想定される照射方向,照射距離,照射条件及び照射野を設定する。 

c) 測定箇所は,箇条6に規定する箇所とする。 

d) サーベイメータの検出部は,仕様書などを確認し,漏えいX線に対して検出効率が最も高くなる向き

に配置する。 

e) 測定箇所にサーベイメータを配置後,X線を照射し,サーベイメータの時定数の3倍以上の時間経過

後から時定数の間隔で複数回(3回程度)サーベイメータの表示値を読み取る。 

f) 

e)で読み取ったそれぞれの表示値にサーベイメータの校正定数を乗じ,その平均値を測定箇所の測定

値とする。 

g) バックグラウンド放射線量率の測定は,X線が照射されていない状態で,箇条6に規定する箇所のう

ち,放射線量率が最も低いと考えられる箇所で行う。サーベイメータの時定数の3倍以上の時間経過

後から時定数の間隔で複数回(3回程度)サーベイメータの表示値を読み取る。 

h) g)で読み取ったそれぞれの表示値にサーベイメータの校正定数を乗じ,その平均値をバックグラウン

ド放射線量率の測定値とする。 

i) 

各測定箇所の漏えいX線量率は,f)の測定値からh)のバックグラウンド放射線量率の測定値を減じて

求める。 

7.2.2 

積算モードによる測定方法 

積算モードによる漏えいX線量測定方法は,7.2.1 a)〜d)によるほか,次による。 

a) 測定箇所にサーベイメータを配置後,X線を照射し,複数回(3回程度)照射した後の表示値を読み

取る。ただし,X線の照射が1回当たり5秒以上継続する場合には,1回の照射としてもよい。 

b) a)で読み取った表示値にサーベイメータの校正定数を乗じ,測定箇所の測定値とする。 

c) 測定箇所ごとにサーベイメータの積算時間を記録する。 

d) バックグラウンド放射線量率の測定は,7.2.1 g)による。 

e) d)で読み取ったそれぞれの表示値にサーベイメータの校正定数を乗じ,その平均値をバックグラウン

ド放射線量率の測定値とする。 

f) 

バックグラウンド放射線量は,e)のバックグラウンド放射線量率の測定値にc)の積算時間を乗じて求

める。 

g) 各測定箇所の漏えいX線量は,b)の測定値からf)のバックグラウンド放射線量を減じて求める。 

h) 1回の照射当たりの漏えいX線量は,g)の漏えいX線量をa)における照射回数で除して求める。 

7.3 

積算線量計による測定方法 

積算線量計による漏えいX線量測定方法は,次による。 

a) X線診療室などの通常使用環境下で測定を行う。 

b) 測定箇所は,箇条6に規定する箇所のうち,側壁面,上階の床面及び下階の天井面で漏えいX線量が

高くなると考えられる箇所とする。また,扉,観察窓,開口部などの周囲も測定箇所とすることが望

ましい。 

c) 積算線量計は,仕様書などを確認し,漏えいX線に対して,検出効率が最も高くなる向きに配置する。 

d) 測定箇所に積算線量計を1週間,1か月間などの一定期間配置して測定を行い,測定値及び測定期間

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を記録する。 

e) バックグラウンド放射線量の測定は,X線診療室などの周囲でX線照射による影響を最も受けないと

考えられる箇所で,d)と同じ期間行い,測定値を記録する。 

f) 

各測定箇所の測定期間当たりの漏えいX線量は,d)の測定値からe)のバックグラウンド放射線量の測

定値を減じて求める。 

漏えいX線量の測定結果の記録 

8.1 

サーベイメータによる測定結果の記録 

サーベイメータによる漏えいX線量(率)の測定結果には,次の事項を記録する。 

a) 測定した施設及び室の名称 

b) 測定責任者名 

c) X線装置の製造業者名,型式,及び製造年月又は製造番号 

d) 漏えいX線量の測定のときに用いたファントムの種類及び寸法 

e) サーベイメータの製造業者名,種類,型式及び校正年月 

f) 

測定日時,気温及び気圧 

g) 測定したときの管電圧,管電流,照射時間,照射方向及び照射距離 

h) 測定箇所を示した平面図及び立面図 

i) 

測定箇所ごとの放射線量(率)の測定値 

j) 

バックグラウンド放射線量率の測定値又はバックグラウンド放射線量 

k) 測定箇所ごとの漏えいX線量率又は1回の照射当たりの漏えいX線量 

l) 

この規格に基づき漏えいX線量(率)の測定を行った旨の記載 

8.2 

積算線量計による測定結果の記録 

積算線量計による漏えいX線量測定結果には,次の事項を記録する。 

a) 測定した施設及び室の名称 

b) 測定責任者名 

c) X線装置の製造業者名,型式,及び製造年月又は製造番号 

d) 積算線量計の読取り業者名 

e) 積算線量計の製造業者名,種類及び型式 

f) 

測定期間 

g) 測定箇所を示した平面図及び立面図 

h) 測定箇所ごとの放射線量の測定値 

i) 

バックグラウンド放射線量の測定値 

j) 

測定箇所及び測定期間当たりの漏えいX線量 

k) この規格に基づき漏えいX線量の測定を行った旨の記載 

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附属書A 

(参考) 

X線診療室などの漏えいX線量の測定箇所の例 

A.1 漏えいX線量の測定箇所の例を図A.1〜図A.5に示す。 

単位 mm 

a) 平面図 

b) 立面図 

〇:測定箇所 

図A.1−一般撮影室の漏えいX線量の測定箇所の例 

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単位 mm 

a) 平面図 

b) 立面図 

〇:測定箇所 

図A.2−血管撮影室の漏えいX線量の測定箇所の例 

 
 

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単位 mm 

a) 平面図 

b) 立面図 

〇:測定箇所 

図A.3−歯科X線撮影室の漏えいX線量の測定箇所の例 

 
 

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単位 mm 

図A.4−扉の漏えいX線量の測定箇所の例 

単位 mm 

図A.5−開口部,X線源に近い箇所及び線束方向壁面の漏えいX線量の測定箇所の例 

〇:測定箇所 

 立面図 

〇:測定箇所 

 立面図 

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参考文献 

[1] JESRA TR-0040*A-2016 X線診療室の管理区域漏洩線量測定マニュアル 

[2] JESRA TR-0038-2011 X線室防護のQ&A 2011年度版 

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10 

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用語の索引 

用語(日本語) 

用語(英語) 

箇所 

X線装置 

X-RAY EQUIPMENT 

JIS Z 4005,番号11285 

患者 

PATIENT 

JIS Z 4005,番号11774,11775 

[X線]管電圧 

X-RAY TUBE VOLTAGE 

JIS Z 4005,番号11303 

[X線]管電流 

X-RAY TUBE CURRENT 

JIS Z 4005,番号11299 

校正 

CALIBRATION 

JIS Z 8103,番号4342 

校正定数 

CALIBRATION FACTOR 

JIS Z 4005,番号10140 

サーベイメータ 

SURVEY METER 

JIS Z 4001,番号85208 

時定数 

TIME CONSTANT 

JIS Z 8103,番号4333 

照射 

IRRADIATION 

JIS Z 4005,番号10549 

製造業者 

MANUFACTURER 

JIS Z 4005,番号10627 

積算線量計 

INTEGRATING DOSEMETER 

3.2 

[放射]線源 

RADIATION SOURCE 

JIS Z 4005,番号10914 

線量計 

DOSEMETER 

JIS Z 4345,3.4 

測定値 

MEASURED VALUE 

JIS Z 8103,番号2603 

ファントム 

PHANTOM 

JIS Z 4005,番号10804 

放射線 

RADIATION 

JIS Z 4005,番号10893 

放射線測定器 

RADIATION METER 

JIS Z 4005,番号10905 

放射線[の]量 

RADIATION QUANTITY 

JIS Z 4005,番号10912 

召合せ 

DOOR MEETING 

3.1