日本工業規格
JIS
Z
4713
-1992
暗流 X 線遮へい用シャッタ
Shielding devices for stand-by radiation
1.
適用範囲 この規格は,診断に用いる JIS Z 4702 に適合するコンデンサ式 X 線高電圧装置,JIS Z 4704
に適合する格子制御形 X 線管装置及び JIS Z 4712 に適合する X 線可動絞りと組み合わせて使用する,暗
流 X 線遮へい用シャッタ(以下,シャッタという。
)について規定する。
なお,ここに規定する以外の事項については,JIS Z 4701 の規定を適用する。
備考1. この規定の引用規格を,次に示す。
JIS T 1005
医用電気機器取扱説明書の様式
JIS Z 4005
医用放射線用語
JIS Z 4701
医用 X 線装置通則
JIS Z 4702
医用 X 線高電圧装置通則
JIS Z 4704
医用 X 線管装置通則
JIS Z 4712
診断用 X 線可動絞り
2.
この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考として併記したものである。
2.
用語の定義 この規格に用いる主な用語の定義は,JIS Z 4005 及び JIS Z 4701 によるほか,次による。
暗流 X 線遮へい用シャッタ 照射時以外に X 線管から放射する暗流 X 線及びその他の X 線を有効に遮
へいするシャッタ。
備考 その他の X 線とは,管電圧調整及び残留電荷放電時に放射する X 線をいう。ただし,シャッタ
開閉途中に放射される暗流 X 線は含まない。
3.
性能 JIS Z 4701 に適合する X 線装置,JIS Z 4704 に適合する格子制御形 X 線管装置及び JIS Z 4712
に適合する X 線可動絞りと組み合わせたとき,次の規定を満足しなければならない。
(1)
漏れ線量は,次による。
(a)
暗流 X 線の漏れ線量は,5.3.1 によって試験したとき,利用ビーム範囲内の接触可能な表面から 5cm
の距離において,1h の積算量が 6×10
-7
C/kg {2.3mR}
以下であること。
(b)
利用ビーム以外の漏れ線量は,5.3.2 によって試験したとき,焦点から 100cm の距離において 1h の
積算量が 3×10
-5
C/kg {115mR}
以下であること。
(2)
耐電圧は,JIS Z 4701 の 5.7(耐電圧)(2)による。
(3)
電撃防止は,次による。
(a)
電撃に対する保護の方法は,JIS Z 4701 の 5.1(保護の方法による分類)に規定するクラス I とし,
5.3.4(1)
によって試験したとき,JIS Z 4701 の 5.6(保護接地)(1)の規定に適合すること。
2
Z 4713-1992
(b)
電撃に対する保護の程度は,JIS Z 4701 の 5.2(保護の程度による分類)に規定する B 形とし,5.3.4
(2)
によって試験したとき,JIS Z 4701 の 5.4(連続漏れ電流の許容値)の外装漏れ電流の規定に適
合すること。
4.
構造 シャッタの構造は,次の各項に適合しなければならない。
(1)
利用ビームを遮へいする部分の鉛当量は,3mmPb 以上とすること。
(2)
シャッタの開閉は,どのような方向で使用しても確実に作動すること。
(3)
シャッタは,1min 当たり 3 回の頻度で,150 000 回以上の開閉に耐えること。
(4) X
線管装置及び X 線可動絞りとの接合部及び外装の機械的強度は,JIS Z 4701 の 6.1.2(外装及び保護
カバー)によること。
(5)
組み合わせる X 線発生装置の最大 X 線照射野を妨げないこと。
(6)
人体を傷つけるおそれのあるせん鋭な部分が露出していないこと。
(7)
温度上昇による傷害防止は,JIS Z 4701 の 7.2.3(ガード)によること。
(8)
シャッタが全閉及び全開されている状態を表示できる機能を備えること。
5.
試験
5.1
試験条件 試験は,JIS Z 4701 の 10.1(一般)(3)に規定する環境において,定格電圧の 110%及び
90
%とし,定格周波数の電源に接続して行う。
5.2
試験項目 試験項目は,次による。
(1)
漏れ線量試験
(a)
暗流 X 線の漏れ線量試験
(b)
利用ビーム以外の漏れ線量試験
(2)
耐電圧試験
(3)
電撃防止試験
5.3
試験方法
5.3.1
暗流 X 線の漏れ線量試験 暗流 X 線の漏れ線量試験は,シャッタを閉じ,可動絞りと組み合わせ
た場合は可動絞りを全開にし,組み合わせるコンデンサ式 X 線発生装置を最高使用管電圧まで充電し,JIS
Z 4701
の 10.8.2(漏れ線量又は漏れ線量率)(4)によって試験を行い,3.(1)(a)の規定を満足するかどうかを
調べる。
5.3.2
利用ビーム以外の漏れ線量試験 利用ビーム以外の漏れ線量試験は,可動絞りと組み合わせて,JIS
Z 4701
の 10.8.2(漏れ線量又は漏れ線量率)によって試験を行い,3.(1)(b)の規定を満足するかどうかを調
べる。
5.3.3
耐量圧試験 JIS Z 4701 の 10.5(耐電圧試験)による。
5.3.4
電撃防止試験
(1)
保護接地抵抗試験は,シャッタを JIS Z 4702 の規定に適合するコンデンサ式 X 線発生装置として組み
立てた状態で,無負荷時の電圧が 6V を超えない 50Hz 又は 60Hz の交流電源から,10A 以上 25A 以下
の電流を,シャッタの接触可能金属部と X 線発生装置の保護接地端子との間に,5s 以上流したときの
これらの部分間の電圧を測定し,その電圧を電流で除した商として電気抵抗を求め,3.(3)(a)の規定を
満足しているかどうかを調べる。
(2)
外装漏れ電流試験は,シャッタを JIS Z 4702 の規定に適合するコンデンサ式 X 線発生装置として組み
3
Z 4713-1992
立てた状態で,JIS Z 4701 の 10.4(連続漏れ電流の測定)によって試験し,3.(3)(b)の規定を満足して
いるかどうかを調べる。
6.
検査 検査は形式検査とし,次の項目について 5.によって試験し,3.の規定に適合したものを合格と
する。
(1)
漏れ線量
(2)
耐電圧
(3)
電撃防止
7.
表示 シャッタには,見やすい場所に,次の事項を表示しなければならない。
(1)
形式名称
(2)
製造番号又はその略号
(3)
最高使用管電圧
(4)
製造業者名又はその略号
8.
取扱説明書 シャッタには,JIS T 1005 によるほか,次の事項を記載した取扱説明書を添付しなけれ
ばならない。
(1)
シャッタは,指定された X 線管装置及び可動絞り又は照射筒と組み合わせて使用すること。
(2)
シャッタに表示されている最高使用管電圧以内で使用すること。
(3)
電源電圧変動の許容値
(4)
設置又は保管する場所の環境条件
9.
定期点検 定期的に点検する項目は,少なくとも次の項目とする。
(1)
シャッタの開閉
(2)
シャッタの取付状態
(3)
外装漏れ電流
(4)
漏れ線量
4
Z 4713-1992
JIS
原案作成本委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
野辺地 篤 郎
聖路加国際病院
(幹事)
矢 野 太
株式会社田中レントゲン製作所
幾 瀬 純 一
株式会社東芝
及 川 四 郎
株式会社島津製作所
岡 崎 玄 右
株式会社大林製作所
四 宮 恵 次
化成オプトニクス株式会社
東 常 義
社団法人日本放射線機器工業会
橋 本 健二郎
東芝メディカルエンジニアリング株式会社
桃 井 司
株式会社日立メディコ
山 根 巌
株式会社日立メディコ
石 川 徹
聖マリアンナ医科大学
斎 藤 一 彦
日本鋼管病院
竹 中 栄 一
防衛医科大学
多 田 信 平
東京慈恵医科大学
浜 田 政 彦
東京都老人医療センター
橋 本 宏
社団法人日本放射線技術学会
平 松 慶 博
東邦大学
深 栖 一
財団法人早期胃癌検診協会
大 出 良 平
財団法人医療用テレビジョン研究所
尾 内 能 夫
癌研究会癌研究所
橋 詰 雅
麻布大学
吹 訳 正 憲
通商産業省機械情報産業局
稲 葉 裕 俊
工業技術院標準部
山 本 昭
鶴見大学
澤 宏 紀
厚生省薬務局
(事務局)
山 口 隆 弘
社団法人日本放射線機器工業会
JIS Z 4713
改正原案作成分科会 構成表
氏名
所属
(主査)
桃 井 司
株式会社日立メディコ
酒 井 光 明
株式会社ミクロメディカル
島 田 武
東芝メディカル製造株式会社
高 橋 勝 名
コリマックス株式会社
千 葉 修
株式会社大林製作所
中 村 昌 典
株式会社島津製作所
仲尾次 政 剛
結核予防会結核研究所
沼 田 鶴 松
東京都福生保健所
宮 崎 茂
東邦大学
(事務局)
山 口 隆 弘
社団法人日本放射線機器工業会