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Z 4514

:2010

(1)

目  次

ページ

序文 

1

1  適用範囲

1

2  引用規格

1

3  用語及び定義 

2

4  β 線標準場の生成

6

4.1  β 線標準場の要求事項 

6

4.2  標準場の生成に適する β 線放出核種 

7

4.3  線源の特徴及びその測定 

7

4.4  線源の校正 

11

5  β 線標準場の校正方法 

12

5.1  β 線標準場の校正に関するトレーサビリティ

12

5.2  β 線標準場校正の一般原理 

12

5.3  外挿電離箱を用いた校正方法

13

5.4  他の測定装置による校正方法

14

6  β 線測定器一般の校正方法 

14

6.1  一般

14

6.2  校正定数及び補正係数の決定

16

7  方向性線量当量(率)測定器の校正方法 

17

7.1  一般

17

7.2  測定量

17

8  個人線量当量(率)測定器の校正方法 

17

8.1  一般

17

8.2  測定量

17

8.3  実験条件 

17

9  組織吸収線量(率)測定器の校正方法 

19

9.1  一般

19

9.2  測定量

19

10  校正結果の記録

19

11  校正定数の不確かさの求め方 

20

附属書 A(参考)組織等価物質 

21

附属書 B(参考)推奨される線源の特徴−β 線源の構造の例 

22

附属書 C(規定)基準条件

23

附属書 D(参考)β 線標準場の換算係数 

25

附属書 JA(参考)校正の階層及びトレーサビリティ体系 

27

附属書 JB(参考)校正に用いる器具の性能 

28


Z 4514

:2010  目次

(2)

ページ

附属書 JC(参考)実用器の簡略化した校正方法

30

附属書 JD(参考)JIS と対応国際規格との対比表 

32


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(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本電気計測器工業会(JEMIMA)

及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があ

り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。


日本工業規格

JIS

 Z

4514

:2010

β線組織吸収線量測定器及び

線量当量測定器の校正方法

Calibration of absorbed dose to tissue meters and dose equivalent meters

and the determination of their response as a function of beta radiation

energy and angle of incidence

序文 

この規格は,

2006 年に第 1 版として発行された ISO 6980-1,2004 年に第 1 版として発行された ISO 6980-2

及び 2006 年に第 1 版として発行された ISO 6980-3 を基に,技術的内容を変更して作成した日本工業規格

である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一

覧表をその説明をつけて,

附属書 JD に示す。また,附属書 JA,附属書 JB 及び附属書 JC は対応国際規

格にはない事項である。

適用範囲 

この規格は,β 線エネルギー範囲 66 keV∼3.6 MeV,組織吸収線量率範囲 10 μGy・h

1

∼10 Gy・h

1

,線

量当量率範囲 10 μSv・h

1

∼10 Sv・h

1

を対象に,吸収線量(率)測定器,線量当量(率)測定器及び線量

計測素子の校正方法について規定する。また,放射線源によって生成する β 線標準場の要求事項について

も規定する。

注記 1  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 6980-1:2006,Nuclear energy−Reference beta-particle radiation−Part 1: Methods of production

ISO 6980-2:2004 , Nuclear energy − Reference beta-particle radiation − Part 2: Calibration

fundamentals related to basic quantities characterizing the radiation field

ISO 6980-3:2006,Nuclear energy−Reference beta-particle radiation−Part 3: Calibration of area and

personal dosemeters and the determination of their response as a function of beta radiation

energy and angle of incidence(全体評価:MOD)

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“修正している”

ことを示す。

注記 2  計量法に基づく登録事業者が行う当該校正は,この規格によっていかなる制限も受けない。

当該校正とこの規格との関係については,

附属書 JA に示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。


2

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JIS Z 4001  原子力用語

JIS Z 4331  個人線量計校正用ファントム

JIS Z 8103  計測用語

JIS Z 8202-10  量及び単位−第 10 部:核反応及び電離性放射線

JIS Z 8401  数値の丸め方

ISO/IEC Guide 98-3,Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the expression of uncertainty in

measurement (GUM:1995)

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 4001JIS Z 8103 及び JIS Z 8202-10 によるほか,次によ

る。

注記 1  単位時間当たりの線量当量を“線量当量率”といい,この規格においては,線量当量(又は

線量当量率)を“線量当量(率)

”という。

注記 2  単位時間当たりの吸収線量を“吸収線量率”といい,この規格においては,吸収線量(又は

吸収線量率)を“吸収線量(率)

”という。

3.1 

最大 β 線エネルギー,E

max

(maximum beta energy)

β 線放出核種から放出された β 線の最大エネルギー。

3.2 

残留最大 β 線エネルギー,E

res

(residual maximum beta energy) 

試験点における残留 β 線の最大エネルギー。

3.3 

残留最大 β 線飛程,R

res

(residual maximum beta particle range) 

吸収材中において,β 線エネルギーが E

res

である残留 β 線の飛程。

3.4 

平均 β 線エネルギー(mean beta energy) 

校正距離における β 線フルエンススペクトルの平均エネルギー。

3.5 

ICRU 組織(ICRU tissue)

質量百分率が,酸素 76.2 %,水素 10.1 %,炭素 11.1 %及び窒素 2.6 %の元素組成をもつ,密度が 1 g/cm

3

の材質。

注記 ICRU

Report

39[1]を参照。

3.6 

組織等価物質(tissue equivalent material) 

放射線の減衰及び散乱の性質が ICRU 組織に近い物質。

注記  附属書 及び ICRU Report 44[2]を参照。

3.7 

線量当量,H(dose equivalent)

組織中のある点における吸収線量 と線質係数 との積。

注記 1  線量当量の単位は,キログラム当たりジュール(J・kg

1

)である。線量当量の単位の特別の


3

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名称は,シーベルト(Sv)である。

注記 2  光子と β 線との線質係数 は,1 Sv・Gy

1

に非常に近い値をもつ。吸収線量−線量当量換算

係数は,線質係数 を含む。

3.8 

弱透過性放射線の方向性線量当量,H0.07;

)(directional dose equivalent for weakly penetrating radiation)

拡張放射線場内に ICRU 球を置いたとき,特定の方向に対して角度

をなす,半径上の深さ 0.07 mm の

点での線量当量。

3.9 

弱透過性放射線の個人線量当量,H

p

0.07)(personal dose equivalent for weakly penetrating radiation)

身体上の特定の点から,深さ 0.07 mm にある軟組織中での線量当量。

3.10 

参照吸収線量,D

R

(reference absorbed dose)

ICRU 組織で作られた,ファントムの表面が入射放射線の(平均)方向に一致するような向きの平板形

ファントム(スラブファントム)中の個人吸収線量[D

p

(0.07)]。

注記 1  個人吸収線量[D

p

(0.07)]の定義は,ICRU Report 51[3]による。この定義をスラブファントム

に拡張する。

注記 2  スラブファントムは,β 線場の測定に用いられる標準器(外挿電離箱)を囲む物質によって

十分な精度で近似できる。

注記 3 ICRU 球における方向性吸収線量[D' (0.07; 0°)]は,D

R

の十分よい近似である。

3.11 

方向性線量当量の取決め真値,H′

t

(conventional true value of directional dose equivalent)

標準器によって測定した方向性線量当量の最良推定値。深さ 0.07 mm において,方向

で測定した角度

α で定義する校正条件下の方向性線量当量の取決め真値 H'

t

(0.07;

)は,式(1)によって求める。

H'

t

 (0.07;

)=h'

D

 (0.07;source;α)D

R

 (1)

ここに,

source”: ある校正距離におけるある線源の標準放射線場であるこ

とを示す(線源の核種,距離及びフィルタの組合せ)

α: 校正条件における β 線の入射角。

3.12 

個人線量当量の取決め真値,H

p,t

(conventional true value of personal dose equivalent)   

標準器によって測定した個人線量当量の最良推定値。深さ 0.07 mm の個人線量当量については,式(2)

によって求める。

H

p,t

 (0.07)=h

p,D

 (0.07;source;α)D

R

 (2)

注記 1  吸収線量−線量当量換算係数には,方向性線量当量又は個人線量当量を記述し,どの線量当

量の換算係数であるかを示す。換算係数 h

D

は,エネルギースペクトルに依存し,H'(0.07;

及び H

p

(0.07)

の換算係数は,

入射放射線の角度分布にも依存する

(ICRU47 の

図 2.1 参照[4])。

校正条件の下で,方向

が入射方向に一致していると仮定すると,方向性線量当量及び個人

線量当量は,

(平均)入射方向とファントム表面の垂線とのなす角度 α に依存する。したがっ

て,換算係数 h'

D

(0.07;source;α)及び h

p,D

(0.07;source;α)を,線源の核種,距離,及びフィ

ルタの組合せ(“source”)で与えられる標準場のスペクトルと入射角 α との関数として考慮す

ることは有用である。


4

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注記 2  換算係数 h

p,D

(0.07;source;α)及び h'

D

(0.07;source;α)は,近似的に等しく,同値であるとみ

なす。

注記 3  一般に取決め真値は,与えられた目的に対しては真の値との差が無視できる程度に十分小さ

いものと考えられている。例えば,二次標準器によって求めた測定結果を取決め真値として

もよい。

3.13 

吸収線量−線量当量換算係数,h

D

(absorbed dose to dose equivalent conversion coefficient) 

線量当量 を参照吸収線量 D

R

で除した値。その式を式(3)に示す。

R

D

D

H

h

=

 (3)

3.14 

影響量(influence quantity)

測定を目的とする量以外で,測定結果に影響を与える量。

3.15 

基準条件(reference conditions) 

影響量の補正が不要な条件。

3.16 

標準試験条件(standard test conditions)

校正又は試験時における影響量の許容範囲。

注記  理想的には,校正又は試験は,基準条件で行うのが望ましい。基準条件は,必ずしも実現でき

ないために(例えば,気圧)

,又は簡単のために(例えば,気温)

,基準条件付近の範囲を標準

試験条件として用いる。影響量が基準条件と異なることに起因する校正定数の変化は,基本的

に補正しなければならない。しかし,実際には,目標とする不確かさによって補正するか,又

は不確かさに含めるのかを決定する。校正又は試験の間,試験の対象でないすべての影響量は,

標準試験条件の範囲内になければならない。標準試験条件及び基準条件は,

附属書 による。

3.17 

校正条件(calibration conditions)

実際に校正又は試験を行ったときの条件。

3.18 

試験点(point of test)

測定しなければならない取決め真値が既知である放射線場の点。

注記  校正又は試験を行うとき,線量計の基準点は,試験点に設置する。

3.19 

基準方向(reference direction)

線量計の方向であって,単一方向の放射線場における入射角に関係する方向。

注記  0°入射の場合,線量計の基準方向は,放射線の入射方向と一致するが,向きは反対である。

3.20 

基準点(reference point)

線量計の入射窓面の中心など,校正又は試験を行うときに試験点に合わせて設置する線量計の点。


5

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注記  測定の距離は,仮にファントムを装着していたとしても,放射線源と線量計の基準点との距離

とする。

3.21 

基準の向き(reference orientation)

入射放射線の方向が線量計の基準方向と一致するような線量計の向き。

3.22 

指示値,M(indicated value)

線量計の指示値。

3.23 

校正定数,N(calibration factor)

基準条件下で,標準場の試験点における取決め真値 H

t

を指示値 M

r

で除した値。その式を式(4)に示す。

r

t

M

H

N

=

 (4)

注記 1  校正定数 は,指示値が測定量と同じ単位の物理量を示すとき,無次元である。取決め真値

を正確に示す線量計は,校正定数が 1 である。

注記 2  校正定数の逆数は,基準条件におけるレスポンスに等しい。校正定数は,基準条件に対する

値にあるのに対し,レスポンスは測定時の条件における値である。

注記 3  校正定数の値は,測定量の大きさによって変化することがある。このような場合には,線量

計は,非線形のレスポンスをもつという。

3.24 

基準校正定数,N

0

(reference calibration factor)

測定量の基準値 H

t,0

を指示値 M

r,0

で除した校正定数。その式を式(5)に示す。

r,0

t,0

0

M

H

N

=

 (5)

注記  この定義は,非線形のレスポンスをもつ線量計について特に重要な定義である。3.23 の注記 3

を参照。

3.25 

非線形レスポンスに対する補正係数,k

n

(correction factor for non-linear response) 

測定量が変化する範囲における校正定数 を基準校正定数 N

0

で除した値。その式を式(6)に示す。

0

n

N

N

k

=

 (6)

注記  線形レスポンスをもつ機器では,k

n

は 1 である。

3.26 

影響量に対する補正係数,k

q

(correction factor for an influence quantity)

目的とする影響量を変化させ,かつ,他の影響量が基準条件の値である場合に,取決め真値 H

t

を,試験

点の校正定数 と指示値 とで除した値。

線形レスポンスをもつ機器の影響量に対する補正係数は,式(7)によって求める。

M

N

H

k

×

=

t

q

 (7)


6

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注記 1  非線形のレスポンスをもつ機器について,指示値は,基準校正定数を求めたときに得られた

値と等しいと期待される。

注記 2  放射線エネルギー及び入射方向の補正を行うには補正係数が必要である。

3.27 

β 線エネルギー及び入射角に対する補正係数,k

E,α

(correction factor for beta-particle energy and angle of

incidence)

(平均)β 線エネルギーE 及び(平均)β 線入射角 α に対する補正係数。

注記  α は,線源からの入射角を表す。電子の散乱によって電子は様々な角度で入射するため,α 

電子の入射角の平均と考えることができる。α は,線量計の基準方向と線源からの放射線の入

射方向とのなす角度である。

3.28 

レスポンス,R(response) 

指示値 を取決め真値で除した値。

注記 1  レスポンスの種類は,明記するのが望ましい。例えば,ある条件下の試験点における線量当

量についての取決め真値 H

t

に関するレスポンスは,指示値 を H

t

で除した値である。また,

参照吸収線量 D

R

に関するレスポンスは,指示値 を D

R

で除した値である。

注記 2  基準条件のレスポンスは,校正定数の逆数である。

β 線標準場の生成   

4.1 

β 線標準場の要求事項 

4.1.1 

標準場の仕様 

標準場の仕様は,放射性核種,校正距離,残留最大エネルギー,ビームフラッタニングフィルタ又は線

質制御に用いる付加フィルタ(以下,付加フィルタという。

)の有無及びその種類,並びに参照吸収線量率

で表す。

4.1.2 

標準場のエネルギー   

標準場のエネルギーは,E

res

と等しいと定義する(3.2 及び 4.3.1.2 参照)

4.1.3 

β 線スペクトルの形状   

標準場の β 線スペクトルは,理想的には一つの核種からの一つの β 崩壊過程によるものが望ましい。複

数の崩壊過程をもつ核種の場合には,次のいずれかを満たさなければならない。

a)  すべての主要な崩壊過程について,β 線エネルギーのそれぞれの最大値は,それら最大値のうち最も

大きい値と最も小さい値の平均値の±20 %でなければならない。

b)  線源カプセル又は付加フィルタによって,β 線エネルギーの最大値が小さい崩壊過程に基づく β 線放

出率を主要過程の放出率の 10 %以下に減衰させなければならない。

4.1.4 

線量率の均一性 

標準場における線量率は,校正する検出器の面積全体にわたって,可能な限り均一であることが望まし

い。シリーズ A 標準場(4.3.2.2 参照)に用いる線源は,大きな半径の照射野にわたって満足する均一性を

もつ,高線量率の場を生成できない。そのため,この規格ではシリーズ B 標準場(4.3.2.3 参照)を規定す

る。β 線標準場の線量率は,その変動が次の条件を満たす円形の範囲内で均一であるとみなす。

a)

E

res

≧300 keV の場合は,±5 %

b)

E

res

<300 keV の場合は,±10 %


7

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4.1.5 

光子の影響 

標準場の γ 線,特性 X 線及び制動放射による X 線に起因する,H

p

(0.07)に寄与する光子由来の線量率

は,校正に用いた検出器で測定した β 線吸収線量率の 5 %以下であることが望ましい。

4.1.6 

β 線放出率の減少 

β 線放出率は,β 線源の減衰によって時間の経過とともに減少する。放射性核種の半減期は可能な限り長

いことが望ましく,できれば 1 年以上がよい。推奨する線源の半減期は,

表 による。

表 1β 線放出核種のデータ 

核種

半減期(日)

最大エネルギー

E

max

(MeV)

 a)

X 線及び γ 

14

C 2

0

000

0.156

なし

147

Pm 958.2

0.225

γ: 0.121 MeV (0.01 %) 
Sm X 線: 5.6 keV∼ 7.2 keV

39.5 keV∼46.6 keV

85

Kr 3915

0.687

γ: 0.514 MeV (0.4 %)

204

Tl 1

381

0.763

Hg X 線: 9.9 keV∼13.8 keV

68.9 keV∼82.5 keV

90

Sr+

90

Y

10 523

2.274

なし

106

Ru+

106

Rh

373.6 3.54

106

Rh γ: 0.512 MeV (20 %)

γ: 0.622 MeV  [11 %  ダブレット

b

)

γ: 1.05 MeV (1.5 %) 
γ: 1.13 MeV  [0.5 %  ダブレット

b

)

γ: 1.55 MeV (0.2 %)

a)

  最大エネルギーの値は,参考値である。

b)

  発生源の異なる近接したエネルギーをもつ 2 種類の γ 線。

4.2 

標準場の生成に適する β 線放出核種 

表 に β 線を放出し,適切なエネルギーをもつ放射性核種のデータを示す。β 線放出核種は,この表に

示すものから選ぶのが望ましい。これらの核種は,エネルギーが 0∼E

max

までの連続したスペクトルの β

線を放出する。

通常,実際に放射性核種を線源として使用する場合は,密封されているため,線源カプセルが制動放射

による X 線及び特性 X 線を生成することに注意しなければならない。

4.3 

線源の特徴及びその測定 

4.3.1 

標準線源の基本的な特徴 

4.3.1.1 

標準線源の構造 

標準線源の構造は,4.1 の要求事項に適合するようにするために,次の性質をもつことが望ましい。

a)  核種を含む単体又は化合物は,使用中及び保管中の温度及び湿度の範囲内で安定であることが望まし

い。

b)  線源を密封する構造及び密封する方法は,通常の使用に当たって線源へのダメージ及び放射能の漏え

い(洩)がないように,十分に強固で安定であることが望ましい。ただし,E

res

表 の最小値を超

えるようにしなければならない。


8

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表 2−校正距離における E

res

の最小値

核種

E

res

(MeV)

14

C 0.09

147

Pm 0.13

85

Kr 0.53

204

Tl 0.53

90

Sr+

90

Y 1.80

106

Ru+

106

Rh 2.80

4.3.1.2 

標準場の特徴の測定 

校正に使用する β 線源の残留最大 β 線エネルギーE

res

は,

表 に示す値以上でなければならない。E

res

最小値を設定する目的は,過度の自己吸収及び窓材による吸収のある線源の使用を避けるためである。

残留最大 β 線エネルギーE

res

は,式(8)によって求める。

(

)

[

]

4

.

22

/

1

1

1

009

.

0

2

res

res

+

×

=

R

E

 (8)

ここに,E

res

は MeV 単位で表す。R

res

は残留最大 β 線飛程で,mg・cm

2

で表す。

R

res

は,適切な検出器を使って測定しなければならない。検出器の例として,薄窓電離箱,ガイガー・

ミュラー計数管,β 線に感度をもつ蛍光物質などを用いることができる。検出器は試験点に,入射窓を線

源に対面するように設置しなければならない。R

res

の測定では,様々な厚さの吸収体を検出器のすぐ前に

設置しなければならない。吸収体は,ポリメチルメタクリレート(PMMA),ポリスチレン,ポリエチレ

ン,ポリエチレンテレフタレート(PET)又はこれらに等価な物質を使う。R

res

を決定するときには,測定

に用いる検出器の窓の厚さを考慮しなければならない。

ビームフラッタニングフィルタを使用する線源,すなわちシリーズ A 標準場(4.3.2.2 参照)の場合には,

R

res

の測定のとき,ビームフラッタニングフィルタは,規定する位置になければならない。

検出器からの信号は,吸収体の厚さ(mg・cm

2

)の関数として決定しなければならない。信号をプロッ

トした片対数グラフを描かなければならない。

R

res

は,測定した信号対厚さのグラフにおける,線形部分への外挿と残留光子に起因する低レベル信号

との交差として定義する。

E

res

は,β 線スペクトロメータ,例えば,Si(Li)半導体検出器を使うことによっても決定することがで

きる(ICRU56[5]参照)

表 の E

res

の条件を満たす標準場について測定した β 粒子スペクトルの例を

図 1

に示す。

90

Sr+

90

Y のスペクトルは,厚い線源窓によって

90

Y からの β 線だけで構成されている。ICRU56[5]

に,計算による多数の β 線スペクトルが示されている。


9

Z 4514

:2010

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

粒子

数(

相対値)

エネルギー(keV)

0

20

40

60

80

100

120

140

160

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

粒子数

(相

)

エネルギー (keV)

a)

b)

図 1 a)において,一点鎖線は

14

C(シリーズ B),実線は

147

Pm(シリーズ A),図 1 b)で実線は

204

Tl 及び

85

Kr(シリー

ズ A)

,破線は

90

Sr+

90

Y(シリーズ A),点線は

106

Ru+

106

Rh(シリーズ B)を示す。これらのスペクトルは,実効的に

ウィンドウレスの非冷却式 Si(Li)半導体検出器で測定する。縦軸は,それぞれフルエンスの最大値を 1 として正規化
しているが,装置の分解能及び検出器の後方散乱による損失の補正は行っていない。シリーズ A 標準場については,そ
れぞれ

表 に規定した校正距離においてビームフラッタニングフィルタを用いている。シリーズ B 標準場については,

校正距離は 10 cm である。

図 1−標準 β 線場の β 粒子スペクトルの例 

4.3.1.3 

不純物による β 線の混在 

放射線源の核種は,十分な放射化学的純度のものであることが望ましい。β 線放出の不純物の存在を確

認することは困難であるが,高分解能のスペクトロメータ,例えば,Ge 検出器とスペクトロメータシステ

ムとを使い,付随する光子を検出することによって,その存在を推測することが可能である。β 線が次の

条件 a)及び条件 b)を満たす場合は,他のエネルギーの β 線の混入が少なく,標準放射線として用いるのに

十分な純度であるとみなす。

a)

R

res

測定に用いたグラフが線形部分をもつ(4.3.1.2 参照)

b)

E

res

が,

表 で規定された下限値以上,かつ,E

max

表 参照)以下である。

注記  E

res

が E

max

を超える場合には,その線源は,標準場を形成する核種より高いエネルギーの粒

子を放出する不純物を含むので,4.1.2 の要求事項に適合しない。

R

res

及び E

res

は,2 年ごとに測定しなければならない。

4.3.1.4 

光子の混在 

β 線標準場には,表 に示した放射性核種の崩壊による光子,線源カプセルの材料(典型的には,銀又

はステンレス鋼)からの制動放射及び特性 X 線による光子が混在する。光子の混在が測定に影響するかど

うかは,光子に対する感度,すなわち,β 線標準場に置いた検出器の形式に依存する。標準器への光子の

寄与は,校正を行う前に,それぞれの検出器の形式及び放射性核種ごとに,測定しなければならない。こ

の測定の内容は,次の a)  及び b)  に従わなければならない。

a)  4.3.1.2 に挙げた物質で作られた,β 線を吸収するのに十分厚い吸収体を用いる(表 A.1 参照)。 
b)  吸収体がある場合とない場合との信号の比較によって,光子の寄与を見積もる。

4.3.2 

β 線標準場の特徴 

4.3.2.1 

概要 

β 線標準場に適した線源の構造の詳細を,一例として附属書 に示す。


10

Z 4514

:2010

4.3.2.2 

シリーズ 標準場 

照射野の広い範囲にわたって均一な線量率が要求される場合は,

表 に規定する線源と,適切なビーム

フラッタニングフィルタとを一緒に使い,校正距離において最小でも直径 15 cm の線量率が均一な領域を

生成しなければならない。このフィルタは,線源面に直交する軸上に設置しなければならない。

それぞれの核種において,

試験点の線量率は,

異なる放射能の線源を使って変化させなければならない。

上記の領域における線量率の変化は,

90

Sr+

90

Y,

85

Kr,

204

Tl については±5 %,

147

Pm については±10 %で

なければならない。これは面積が約 1 cm

2

の,レスポンスが β 線エネルギーに依存しない検出器を用いて

確かめることができる。このような検出器の一例として薄窓平行平板電離箱がある。

照射野の線量率の均一性は,与えられたフィルタの構造に対して,決まった距離についてだけ最適化さ

れている(ICRU56 [5]参照)

表 にシリーズ A 標準場について,校正距離及びフィルタの構造の例の詳細を示す。表 に単位放射能

当たりのおおよその線量当量率を示す。

線源の最大直径は 16 mm を推奨する。

注記  シリーズ A 標準場は,ISO 6980-1:2006 で規定する Series 1 reference beta-particle radiation fields

と同等である。

表 3−シリーズ 標準場の校正距離及びビームフラッタニングフィルタ

核種

校正距離

cm

線源とフィルタ

との間の距離

cm

フィルタの素材及び構造

147

Pm 20

10

半径 5 cm,質量厚 14 mg・cm

2

の PET 製の円盤で,中央に半径

0.975 cm の穴があいているもの。

85

Kr 及び

204

Tl 30

10

半径 4 cm,質量厚 7 mg・cm

2

及び半径 2.75 cm,質量厚 25 mg・cm

2

の PET 製の円盤各 1 枚を,同心円状に重ねたもの。

90

Sr+

90

Y 30  10

半径 2 cm,半径 3 cm,半径 5 cm で,質量厚が 25 mg・cm

2

の PET 製

の円盤各 1 枚を,同心円状に重ねたもの。

表 4−シリーズ 標準場の校正距離における単位放射能当たりの 

おおよその方向性線量当量率 

核種

単位放射能当たりの

おおよその方向性線量当量率

μSv・h

1

・MBq

1

147

Pm 3

85

Kr 49

204

Tl 58

90

Sr+

90

Y 78

4.3.2.3 

シリーズ 標準場 

高い線量率が要求される場合は,

表 に規定する線源,ビームフラッタニングフィルタ及び校正距離の

組合せ以外の標準場を使うことができる。例えば,高い放射能の点線源及び薄いシート状の線源を利用す

ることができ,これらの線源はビームフラッタニングフィルタとともに使う必要はない。これらは線源表

面から

表 に規定した距離までで使うことが望ましい。薄いシート状の線源による測定例は,参考文献[6]

参照。


11

Z 4514

:2010

校正距離が

表 に示す距離よりも長い場合は,空気減衰のため,E

res

表 の値と同じかそれ以上であ

ることを確かめることが特に重要である。

シリーズ A 標準場について規定する校正距離より短い校正距離を使うと,高い線量率が得られるが,β

線場の均一性は低くなる。

照射野の不均一性は,校正に使用する距離で測定するのが望ましく,4.1.4 の値を超えている場合は,測

定器の校正において補正することが望ましい。

表 に示した距離は,規定した線源について通常用いられ

る最大の校正距離である。

シリーズ B 標準場は,

14

C 及び

106

Ru+

106

Rh が追加されている。これらは,シリーズ A 標準場のエネル

ギーの範囲外での校正が要求されるときに用いる。

参考として,シリーズ B 標準場において得られる,おおよその線量率の例を

表 に示す。

注記  シリーズ B 標準場は,ISO 6980-1: 2006 で規定する Series 2 reference beta-particle radiation fields

と等価である。

表 5−シリーズ 標準場の放射能と線量率との例

線源の特徴

線量当量率  Sv・h

1

校正距離における典型値

核種

公称放射能

MBq

公称線源面積

cm

2

線源表面におけ

る推定値

a)

典型値

校正距離

14

C 1

9

0.6

0.006

cm

147

Pm 10

2

 25

3

0.003

20

cm

85

Kr 10

2

 14  10

0.003

50

cm

90

Sr+

90

Y 10

3

 0.7

700

0.03

50

cm

106

Ru+

106

Rh 10

2

 1.5 6

0.001

100 cm

a)

  表面線量率は,線源の表面積より小さい検出器で測定するのが望ましい。

4.3.2.4 

シリーズ 標準場   

4.3.1 の要求事項を満たす線源の前に,PMMA などの組織等価物質で作られた付加フィルタを設置して

E

res

を低下させた標準場を利用することができる。付加フィルタはできるだけ線源に近い位置に設置する

のが望ましい。付加フィルタの厚さは,要求される E

res

と,線源及び線源から校正距離までの空気層を考

慮して決定する。

照射野の不均一性は,校正に使用する距離で測定するのが望ましく,4.1.4 の値を超えている場合は,測

定器の校正において補正することが望ましい。

注記  シリーズ A 標準場(4.3.2.2),シリーズ B 標準場(4.3.2.3)で規定する,ビームフラッタニング

フィルタの使用及び校正距離に関する要求事項は,シリーズ C 標準場には適用しない。

4.4 

線源の校正 

放射線防護用の線量計の校正において推奨する物理量は,3.8 及び 3.9 に規定する。校正で用いるファン

トム及び条件については,箇条 及び 8.3 に規定する。ビームフラッタニングフィルタによって生成する

シリーズ A 標準場では,

表 で規定した距離及びフィルタの構造に限り,照射野の線量率の均一性を最適

化できる。校正は,この距離で行わなければならない。

シリーズ B 標準場及びシリーズ C 標準場では,校正距離又は線源面積が大きくない限り,均一な線量率

の範囲が比較的小さいことに留意して,ある範囲の距離にわたって校正することができる。線量率の均一

性を検出器の範囲にわたって確認し,必要な場合は補正することが望ましい。


12

Z 4514

:2010

基準とする放射線源から組織吸収線量率を決定する場合,次のいずれかの方法によらなければならない

(ICRU56 [5]参照)

a)  国家計量標準機関によって参照吸収線量率が決定された放射線源を用いる。

b)  校正を行うのに適した仲介用の測定器を用い,国家計量標準機関又は他の一次若しくは二次校正機関

によって校正された同様の線源と比較する。

β 線標準場の校正方法 

5.1 

β 線標準場の校正に関するトレーサビリティ 

この規格に従った校正を行うために構築した標準場の吸収線量率は,国家計量標準にトレーサビリティ

がなければならない。

仲介標準を用いることで,トレーサビリティを確保できる。

放射線源又は承認された仲介用の測定器を仲介標準とすることができる。

標準場の校正は,厳密には,校正を行ったまさにその時だけ有効であり,その後は,例えば,放射線源

の半減期,同位体組成比に基づき,標準場における線量率について,時間経過に伴う減衰を評価しなけれ

ばならない。

β 線測定器の校正を行う校正機関で用いる校正手法は,国の規制に従った承認が必要な場合がある。

この場合,その校正機関は,国の承認部署又は機関によって承認された参照校正機関及びその校正機関

自身によって,その校正機関が日常的に業務として校正する測定器と同じ又は類似したタイプの測定器を

校正しておかなければならない。この校正はその校正機関自身及び参照校正機関においてそれぞれ独自の

承認された校正方法によらなければならない。トレーサビリティが確保されていることを示すには,その

校正機関は,

参照校正機関が取得した校正定数に,

許容範囲内で一致する校正定数を得ることが望ましい。

この範囲は,その校正機関,参照校正機関などの合意に基づいて決定する。ただし,国家計量標準機関が

校正した線源及び線源ホルダーを,当該校正機関がその組合せのまま使用する場合は,国家計量標準に対

してトレーサビリティがあることを十分保証できる。

標準場の校正の頻度は,次の校正までの期間中に,標準場の値が仕様から外れないように設定するのが

望ましい。仲介用の測定器の校正,及び校正機関が用いる測定技術の確認は少なくとも 5 年ごと,又は校

正施設の環境に大きく変化があったとき,若しくは国の規制が求める頻度で実施するのが望ましい。

β 線源を用いた β 線標準場で校正する場合には,トレーサビリティは,次のいずれかによらなければな

らない。

a)  その参照吸収線量率が参照校正機関によって決定されている線源を用いる。

b)  参照校正機関で校正された合意に基づく仲介用の測定器を用いて,測定器の試験点における参照吸収

線量率を決定する。

この規格に基づく校正を含むトレーサビリティの体系は,参考として

附属書 JA に示す。校正に用いる

器具の性能は,

附属書 JB に示す。

5.2 

β 線標準場校正の一般原理 

5.2.1 

概要 

β 線に起因する場及び個人にかかわる線量の測定は,皮膚上の不均一性及び線量の深さによる変化のた

め,一般に困難である。ある β 線場におけるファントム内の点における吸収線量率を正確に測定するため

には,ファントムを構成する物質と,吸収散乱の性質とが非常によく似た,とても小さな検出器が必要で


13

Z 4514

:2010

あるが,理想的な検出器は存在しない。そのため検出器の大きさと構成物質とについてはスケールファク

タ及び透過係数の概念を利用して補正する。

5.2.2 

透過性に関する標準場の特徴 

透過係数は,β 線標準場の重要なパラメータである。吸収線量率を測定するのに用いる検出器の厚さは

有限であるため,校正に先立って透過力の観点から標準場の特徴を知る必要がある。物質を透過するに従

って場の β 線のエネルギーフルエンスは変化するので,エネルギーフルエンスが変化しても感度が影響を

受けない検出器を使って,相対線量を物質の深さの関数として決定しなければならない。このために,相

対線量−深度関数は,薄膜空気電離箱(検出部の深さ 2 mm 以下)によって決定しなければならない。こ

の決定をするための外挿電離箱を用いた手法は参考文献[7]を参照。相対線量−深度関数は,線源と基準点

との間の空気の密度の変化に伴う参照 β 線吸収線量率からの変化の補正に用いることができる。

厚い検出器の場合には,検出器の有効体積全体で平均化された吸収線量率を測定していることに注意を

要する。

5.3 

外挿電離箱を用いた校正方法 

5.3.1 

一般 

外挿電離箱は,β 線場の線量率を測定するための標準器であり,平行平板形の電離箱で,一方の電極を

他方の電極側へ動かすことで電離体積を変化できるように作られている。典型的なものでは,入射窓が高

圧電極を兼ね,固定されており,集電極が動くように作られている。入射窓は,導電性をもったプラスチ

ックの薄膜でできている。入射窓は,β 線を過度に吸収するほど厚すぎてはならないが,電場をかけたと

きに接地した集電極に引かれる影響で変形しない強度を保持する必要がある。集電極は,アースレベルに

維持されており,電離体積の断面積を規定する。集電極は,導電性の物質又は導電性のコーティングをし

た物質で作る必要があり,周囲の保護電極と絶縁する。絶縁体の厚さは電場を乱さない程度に薄くする。

また,集電極と高圧電極との距離を正確に測定するための装置を組み込む必要がある。正負両極の直流電

圧を発生できる電源及び低ノイズ微小電流計が電流測定に必要である。

5.3.2 

外挿電離箱を用いた参照吸収線量率の決定 

外挿電離箱を用いて β 線組織吸収線量率を求めるには,一般に式(9)によって求める。

BG

a

a

t,

0

t

Δ

Δ

=

m

I

s

e

W

D&

 (9)

ここに,

I: 電離電流の増加量

m

a

Bragg-Gray 条件における電荷収集領域の空気の質量の増
加量

β 線の測定においては Bragg-Gray 条件は現実的でないので,参照吸収線量率は,式(10)によって求める。

{

}

0

a

t,

0

a

0

R

)

(

d

d

)

/

(

=

⎥⎦

⎢⎣

=

l

l

kk'I

l

a

s

e

W

D

ρ

&

 (10)

ここに,

W

0

/

e): 推奨値は 33.83±0.06 J・C

1

である。

ρ

a0

基準条件の空気の密度

a: 集電極の有効面積

{

}

0

)

(

d

d

=

⎥⎦

⎢⎣

l

l

kk'I

l

極板間隔 と補正電流値の傾きとの関数に対す
る l=0 における極限値

s

t,a

s

t

/

s

a

s

t

:  組織に対する電子の平均質量阻止能比

s

a

:  空気に対する電子の平均質量阻止能比

k': 極板間隔に依存しない各補正係数の積


14

Z 4514

:2010

k: 極板間隔に依存する各補正係数の積

5.4 

他の測定装置による校正方法 

極板間隔が数ミリメートル以下で電離体積が固定の平行平板電離箱を E

max

が 200 keV 以上の β 線標準場

の校正に用いてもよい。より厚い検出器は,E

max

が 1 MeV 以上だけに適している。標準場において校正さ

れている場合は,固定体積電離箱を基準測定器として用いることができる。電離箱の後方の壁が十分な後

方散乱を生成できない程度の厚さの場合(1 cm 以下の場合)は,ファントムを用いて測定するのが望まし

い。 

β 線測定器一般の校正方法 

6.1 

一般 

6.1.1 

線質 

線源の選択は,次による。

a)  箇条 において三つのシリーズの標準場を規定している。シリーズ A 標準場では,例えば,エリアモ

ニタの校正及び多数の個人線量計の同時校正のために,直径 15 cm の円の面積にわたって均一な線量

率を作り出すビームフラッタニングフィルタを用いる。校正距離,線源とフィルタとの間の距離,フ

ィルタの素材及び構造は,箇条 の規定による。この規定は,必ず守らなければならない。

b)  シリーズ B 標準場は,シリーズ A 標準場の線量率・エネルギーを拡大できる利点をもち,ビームフラ

ッタニングフィルタを使わずに作ることができる。校正及びレスポンスの決定は,用いた標準場と校

正距離とを指定しなければならない。

c)

β 線の校正業務のために各校正機関で用途に合わせ,独自の線源と幾何学配置との組合せによる標準

場が設定される可能性があるが,二次校正機関は少なくとも,シリーズ A 標準場の線源を利用できる

ことが望ましい。これらの標準線源は,試験所間比較試験(JIS Q 17025 [8]参照)ができるような,

首尾一貫した,再現性がある結果を与える。

d)  標準場の線量測定は,箇条 に従って行わなければならない。

e)

106

Ru+

106

Rh 以外のすべての線源から作られる β 線標準場は,線源自身及びその周囲の線源カプセル

からの制動放射を除く光子の影響を受けないことが経験的に知られている。

106

Ru+

106

Rh は,放出さ

れる β 線粒子の最大エネルギーが高いために用いる。小さい自己吸収で,薄い窓の β 線源だけが箇条

に規定した内容を満たすことができる。これは,校正距離における E

res

が規定した値よりも大きな

値になる必要があるからである。

6.1.2 

吸収線量−線量当量換算係数 

6.1.2.1 

一般 

3.11 及び 3.12 によると,式(1)又は式(2)に従って,吸収線量−線量当量換算係数を用いて,参照吸収線

量 D

R

から線量当量 H(0.07;source;  α)を計算する必要がある。ここに,は,β 線場において H′及び H

p

に等価である。標準器を用いて,試験点の距離における参照吸収線量 D

R

を測定する必要がある。空気と

ビームフラッタニングフィルタとによって β 線が散乱するために,実際の β 線場は,単一方向とはいえな

い。したがって,上記の α は,ある未知の分布の平均の角度にすぎない。h

D

(0.07; sourceα)は,任意の

放射線場(放射線源のタイプ,ホルダー及び周囲の構造物)及び任意の距離について,個々に求める必要

がある。

6.1.2.2 

換算係数の決定 

換算係数は,線質係数(β 線の場合は 1)と角度依存係数との積によって表す。入射角 0°における換算


15

Z 4514

:2010

係数は,この規格で推奨する線源については,1 Sv・Gy

1

とみなす。換算係数の角度依存性,すなわち角

度依存係数は,参照吸収線量 D

R

の測定に用いた装置と同じ装置を用いて測定することができる。通常は,

外挿電離箱を用いる。角度依存係数は,角度 α において測定した吸収線量の角度 0°における測定した吸

収線量に対する比によって求める。例として,市販の β 線照射装置によって標準場について求めた換算係

数を

附属書 に示す。

6.1.2.3 

換算係数のファントムによる違い 

8.3.1 に PW ファントム,ISO 水ピラーファントム及び ISO PMMA ロッドファントムの 3 種類のファン

トムを規定する。入射角度が 0°∼60°の範囲では,ファントム間での換算係数の違いを無視できる。し

たがって,60°までは,PW ファントムに関して測定した換算係数を,他のすべてのファントムに対して

用いることができる。より大きな角度(α>60°)においては,より高いエネルギー(ロッドファントム

に対して E>350 keV)では,測定点に直接到達する放射線に起因するファントムによって換算係数の違い

が生じる。

6.1.3 

標準試験条件 

校正及びレスポンスの決定は,標準試験条件下で遂行しなければならない。標準試験条件に含まれる影

響量の許容範囲は,

表 C.1 及び表 C.2 に示す。

6.1.4 

影響量の変化 

レスポンスへの一つの影響量の変化の効果を決定する測定について,他の影響量は,記載がない限り標

準試験条件の範囲内で固定するのが望ましい。

注記

本来は,線量又は線量率に対する応答が本質的には線形であるという条件の下で,機器の試験

を行うのが賢明であるが,試験中の機器の指示値 が一定であることを保ちながら,一つの影

響量を変化させることが重要な場合がある。例えば,ある程度の不感時間がある線量率の範囲

で,線量計のエネルギー依存性を調べたい場合は,

“指示値が一定になるように線量率を変化さ

せる。

”という条件で様々な放射線にかかわる量を測定することが望ましい。同じことが,ある

線量以上になると単位吸収線量当たりの発光量が増大する,熱ルミネセンス線量計についても

当てはまる。

6.1.5 

試験点及び基準点 

測定は,線量計の基準点を試験点に設置することによって行う。試験を行おうとしている線量計の基準

点又は基準方向についての情報が欠如している場合には,これらのパラメータは,使用者と試験所(JIS Q 

17025 [8]参照)との協議の上,試験所において決定する。これらは,試験証明書に記載しなければならな

い。

注記 1  試験点に線量計の基準点を設置することは,二つの現実的な利点がある。第一に,線源から

くる一次放射線に起因する線量が,ビーム拡散の範囲にかかわりなく,常に正確に測定でき

る。β 線の場合,一次放射線に起因する線量は常に,ファントムからの散乱を含んだ全体の

線量に対して大部分を占める。これは,線量計の校正定数が線源と試験点との間の距離にあ

まり依存しないということを暗に示している。第二の利点は,角度応答の測定において現れ

る。基準点と試験点とが一致していると,試験中の線量計の読取値を,線源と基準点との間

の距離の回転角に応じた変化に対して補正する必要がない。

注記 2  携帯形方向性線量当量(率)測定器が,線源から検出器までの距離が検出器の体積の大きさ

に比較して短い条件で使われる場合は,検出器内の放射線場は不均一である。このような条

件下での携帯形方向性線量当量(率)測定器の読取値は,検出器内のエネルギー付与率の平


16

Z 4514

:2010

均値である。この読取値は,入射窓の表面の実際の線量当量率よりも有意に小さい。

6.1.6 

回転軸 

放射線の入射方向の影響を調べる場合には,線量計又は線量計とファントムの統一体の回転が必要とな

る。放射線の入射方向に対するレスポンスの変化は,少なくとも互いに直交する 2 方向で測定しなければ

ならない。回転軸は,線量計の基準点を通らなければならない。

6.1.7 

校正する線量計の条件 

校正に先立って,線量計が正常に動作し,サービスを提供できる状態であり,放射性物質によって汚染

していないことを確認しなければならない。線量計のセットアップの手順及び動作モードは,装置の手順

書によらなければならない。

6.1.8 

光子の影響の測定 

多くの β 線用線量計は,光子に対しても応答するため,β 線標準場による校正に先立って,光子に対す

る感度を測定するのが望ましい。線量計の光子に対するレスポンスの補正は,H'

t

(0.07;

)に対するレス

ポンスと比較して行うのが望ましい。検出器の 10 cm 程度前方の線源との間に,10 mm 厚の PMMA フィ

ルタを設置したとき及び設置しないときの線量計のレスポンスを測定することで,光子の影響を測定する

ことができる。フィルタによる光子吸収は,補正を要するが,高エネルギー(E>100 keV)では補正量は

小さい。10 mm 厚の PMMA フィルタは,2 MeV 以下の電子だけを除去する。別の PMMA フィルタを追加

して測定を行うことでさらなる情報が得られる。

6.2 

校正定数及び補正係数の決定 

6.2.1 

標準器による参照吸収線量率の決定 

β 線標準場の線量測定を箇条 に示す。一般に,参照吸収線量率・

D

R

は外挿電離箱で測定する。放射能減

衰補正を行わなければならない。

6.2.2 

基準校正定数の決定及び非線形レスポンスの補正 

基準校正定数 N

0

は,測定量の基準値,H

t,0

について求める。非線形レスポンスに対する補正係数は

k

n

N /N

0

で与えられる。

6.2.2.1 

個人線量当量(率)測定器の校正定数   

この規格で用いるファントムの表面に装着した入射角 0°の個人線量当量(率)測定器の校正定数 は,

式(11)によって求める。

r

t

p,

)

07

.

0

(

M

H

N

=

(11)

ここに,

M

r

被校正測定器の基準条件における正味の指示値

H

p,t

(0.07): h

p,D

(0.07;

source,0°)D

R

 

D

R

:参照吸収線量

h

p,D

(0.07;

source, 0°):用いた線源・条件に対する換算係

数(3.12 及び 6.1.2 参照)

。この規

格で扱う線源及びファントムに
ついては,1 Sv・Gy

1

とみなす。

6.2.2.2 

方向性線量当量(率)測定器の校正定数 

自由空気中の入射角 0°の方向性線量当量(率)測定器の校正定数 は,式(12)によって求める。

r

t

)

0

;

07

.

0

(

M

H

N

ο

=

 (12)

ここに,

M

r

被校正測定器の基準条件における正味の指示値

H′

t

(0.07;0°): h′

D

(0.07;

source, 0°) D

R


17

Z 4514

:2010

 

D

R

:参照吸収線量

h′

D

(0.07;

source,0°):用いた線源・条件に対する換算

係数(3.11 参照)

。この規格で扱

う線源については,1 Sv・Gy

1

とみなす。

6.2.2.3 

組織吸収線量(率)測定器についての校正定数 

自由空気中の入射角 0°の組織吸収線量(率)測定器の校正定数 は,式(13)によって求める。

r

R

r

t

)

07

.

0

(

M

D

M

D

N

=

=

 (13)

ここに,

M

r

被校正測定器の基準条件における正味の指示値

D

R

参照吸収線量

D

t

(0.07): 参照吸収線量 D

R

6.2.3 

補正係数 k

E,α

の決定 

(平均)β 線エネルギーEβ 線の(平均)入射角度 α についての補正係数,k

E,α

及び k'

E,α

は,個人線量

当量(率)測定器及び方向性線量当量(率)測定器について各々式(14)及び式(15)によって求める。

)

;

;

07

.

0

(

)

;

;

07

.

0

(

R

D

p,

,

E

α

α

α

E

M

N

D

source

h

k

×

=

 (14)

)

;

;

07

.

0

(

)

;

;

07

.

0

(

R

D

,

E

α

α

α

E

M

N

D

source

h

k

×

=

 (15)

ここに,

M(0.07;E;α): (平均)β 線エネルギーEβ 線の(平均)入射角度 α

の条件における被校正測定器の正味の指示値

基準条件からのずれは,適切な補正係数 k

q

で補正しなければならない。

注記  線量計の基準条件でのレスポンスに対する相対レスポンスは,補正係数 k

E,α

の逆数である。相

対レスポンスを縦軸に,β 線エネルギー又は入射角 α の関数として図示すると,レスポンス

の変化を視覚的にとらえるのに役立つ。

方向性線量当量(率)測定器の校正方法 

7.1 

一般 

この校正方法は,携帯形又は据付形の方向性線量当量(率)測定器の標準場における校正に適用する。

方向性線量当量(率)測定器は,能動形及び受動形の両方を含む。これは,据付形方向性線量当量(率)

測定器の据付状態における校正には適用しない。方向性線量当量(率)測定器は,自由空気中(ファント

ムなし)で照射される。

7.2 

測定量 

方向性線量当量(率)測定器について,測定量は,方向性線量当量 H'

t

(0.07;

)でなければならない。

個人線量当量(率)測定器の校正方法 

8.1 

一般 

この校正方法は,個人線量当量(率)測定器,すなわち,全身用線量計及び末端部用線量計の校正に適

用する。照射は,ファントムに装着して行う。

8.2 

測定量 

個人線量当量(率)測定器について,測定量は,個人線量当量 H

p

(0.07)でなければならない。

8.3 

実験条件 


18

Z 4514

:2010

8.3.1 

ファントムの使用 

個人線量当量(率)測定器の校正,補正係数 k

E,α

の測定,放射線エネルギーと入射角度との関数として

のレスポンスの測定は,適切なファントムを用いて行うのが望ましい。これらのファントムの仕様を次に

記載するとともに,

附属書 に規定する。

校正は,全身用線量計については JIS Z 4331 に規定するファントム,末端部用線量計については ISO

PMMA ロッドファントム又は ISO 水ピラーファントムを用いて行うのが望ましい。

β 線については 10 cm 以上×10 cm 以上×1 cm 以上の固体 PMMA ファントムを PW ファントムの代替品

にできる。ISO PMMA ロッドファントムは,指用線量計の校正のための,直径 19 mm の PMMA で作った

ものである。ISO 水ピラーファントムは,手首用線量計又は足首用線量計の校正のための,PMMA の直径

73 mm の円柱(側面 2.5 mm 厚,底面 10 mm 厚)を水で満たしたものである。環境モニタリングのための

線量計は,自由空気中で照射する。

これらのファントムを上記のように使うとき,試験中の線量計の指示値に対して ICRU 組織スラブと上

記のファントムとの間に存在し得る後方散乱の性質の違いに起因する補正をしてはならない。

適切なファントムに装着した線量計に照射して,個々の線量計を手順どおりに校正することは,確立し

た方法である。例えば,片側の長さが 300 mm 以上で,厚さが 150 mm 以上の固体 PMMA スラブを平面の

線量計に用いること,又は 300 mm 以上の長さ,73 mm の直径の円柱の PMMA を手首用線量計若しくは足

首用線量計の校正に用いることである。β 線に関しては,固体の PMMA ファントムは,PW ファントム又

は ISO ファントムと等価である。

日常的な校正を常にファントム上で行う必要はなく,

単純化した方法として,

より簡単に自由空気中で,

又は線量計で測定しようとしている放射線ではない,他の種類の放射線で校正することもできる。これら

の単純化を適用する場合には,前もって,規定どおりの方法によって結果と同一の結果が導かれることを

実証するか,結果の違いを信頼できる方法で補正することによって,単純化した手法の正当性を示さなけ

ればならない。これは,形式検査の結果,及び線量計の重要な要素の一貫性に関する製品の性能検査に基

づいて行うことができる。この校正方法については,

附属書 JC に示す。線量計の重要な要素とは,例え

ば,熱ルミネセンス線量計における蛍光体をカバーするフィルム及びその蛍光体の大きさである。

8.3.2 

拡散ビームに関する考慮 

測定面における照射野のサイズが,

ファントムの前面のすべてに照射されるよう十分大きくなるように,

試験点の線源からの距離を選ばなければならない。試験点における線量値は,標準器の基準点を試験点に

設置して決定するか,前もって線源を校正しておいた値を用いる。被校正器物である線量計の基準点は,

試験点に設置し,その基準方向は指示された入射方向の角度 α に向ける。末端部用線量計は,身体に取り

付けるのと同様にファントムに取り付ける。スラブファントムは,線量計の後側をファントムの前面に接

するように取り付け,ビーム軸に対して指示された角度 α に設置する。試験中の線量計への照射は,標準

器に照射した条件と,ファントム使用の有無を除き同一である。校正定数,エネルギーの値又は角度応答

は,6.2.2 及び 6.2.3 の式によって求めなければならない。

注記 1  箇条 において,個人線量当量(率)測定器及びファントムの統一体を,試験する線量計と

みなす。統一体の基準点は,線量計の基準点である。測定した値は,線量計を装着していな

い基準ファントムの内部深度 0.07 mm の線量当量の値となる。

注記 2  この概念は,H

p

の定義と一貫している。少なくとも原理的には,H

p

の定義は,体内の容易に

接近できない点での線量当量の決定を要求している。試験点に線量計の基準点を設置するこ

とは,二つの現実的な利点がある。第一に,線源からくる一次放射線に起因する線量を,ビ


19

Z 4514

:2010

ーム拡散の範囲にかかわりなく,常に正確に測定できる。β 線の場合,一次放射線の線量は

常に,ファントムからの散乱を含んだ全体の線量に対して大部分を占める。これは,線量計

の校正定数が線源と試験点との距離にあまり依存しないということを暗に示している。第二

の利点は,角度応答の測定において現れる。基準点と試験点とが一致していると,試験中の

線量計の読取値を,線源と基準点との間の距離の回転角に応じた変化に対して補正する必要

がない。

注記 3  スラブファントムに装着して照射する場合には,ファントムを一つの軸周りだけで回転させ,

線量計をファントム表面で互いに直交する二つの向きに置くことが現実的である。

8.3.3 

複数の線量計に対する同時照射 

複数の線量計を同時に照射する場合,次の二つの効果についても注意する。

a)

  複数の線量計をファントムの表面に設置すると,一次放射線が線量計を通過するために減衰によって

後方散乱が減少する可能性がある。

b)

  線源から基準点の距離が異なる可能性がある。

同時照射を採用するに先立って,一つの線量計を,ファントムの中央に設置し,単独で照射して得られ

た結果と±2 %で一致していることを確かめなければならない。シリーズ A 標準場の適切なフィルタを使

用すると,ファントムの表面にわたって,均一な照射野が得られる。

入射角の関数として複数の線量計のレスポンスを同時に決定する場合には,線量計の基準点は回転軸上

に設置しなければならない。

組織吸収線量(率)測定器の校正方法 

9.1 

一般 

この校正方法は,組織吸収線量(率)測定器の標準場における校正に適用する。組織吸収線量(率)測

定器は,自由空気中(ファントムなし)で照射される。

9.2 

測定量 

組織吸収線量(率)測定器について,測定量は組織吸収線量 D

t

(0.07)でなければならない。

10  校正結果の記録 

測定器の校正結果は,記録用紙に記入し,その内容は次による。記録又は校正証明書は,少なくとも次

の項目を含まなければならない。

なお,数値の丸め方は,JIS Z 8401 による。

a)

  校正年月日,校正場所

b)

  線量計の形式及び製造番号

c)

  線量計の所有者

d)

  校正に用いた線源の詳細(例えば,シリーズ名)及び標準器

e)

  基準条件並びに校正条件及び/又は標準試験条件

f)

  測定値を求める式及びすべての補正係数の数値

g)

  校正結果

h)

  校正を行った作業員の氏名

i)

その他の所見

j)

  不確かさの記述


20

Z 4514

:2010

11  校正定数の不確かさの求め方 

不確かさの記述は,不確かさのバジェット表を用いるなど,ISO/IEC Guide 98-3 による。次の不確かさ

の要因を考慮しなければならない。

a)

  校正証明書から得た取決め真値の不確かさ

b)

  標準器及び試験器の設定位置の不確かさ

c)

  ビームの拡散及びビームフラッタニングフィルタの効果に起因する,測定面におけるビームの断面積

の不均一性による不確かさ

d)

  複数の線量計に同時に照射することに起因する不確かさ

e)

  簡略化した校正手順に起因する不確かさ(適用する場合,8.3.1 参照)

f)

  線源減衰補正の不確かさ

g)

  標準器の応答の長時間の変動による不確かさ

h)

  気温,気圧,湿度の補正又は補正しないことに起因する不確かさ

i)

他の放射線に起因する不確かさ

j)

  非線形性,重力の装置への影響,装置の正確さなどに起因する,校正する装置に由来する不確かさ

k)

  時間の誤差に起因する線量の不確かさ


21

Z 4514

:2010

附属書 A

(参考)

組織等価物質

採用した軟組織の元素組成比は,ICRU39[1]及び ICRU44[2]を参照。軟組織及び通常組織等価物質として

使われる他の物質の密度及び元素組成比を,

表 A.1 に示す。

表 A.1−組織等価物質 

元素組成比(質量%)

物質

密度

g・cm

3

単位体積当た

りの電子数

H C N O その他

軟組織 1.00

331

10.1

11.1

2.6

76.2

ポリエチレン 0.92

316

14.4

85.6

グラファイト 1.70

511

− 100

ポ リ エ チ レ ン テ レ フ タ レ ー ト

(PET)

1.40 439

4.2

62.5

− 33.3  −

ポ リ メ チ ル メ タ ク リ レ ー ト

(PMMA)

1.19 380

8.0

60.0

− 32.0  −

ポリスチレン 1.05

340

7.7

92.3

1.7 (F)

A150  プラスチック 1.12

370

10.1

77.7

3.5

5.2

1.8 (Ca)


22

Z 4514

:2010

附属書 B

(参考)

推奨される線源の特徴−β 線源の構造の例

校正に適した特徴をもつ β 線標準場を構成する β 線源の構造の例を,

表 B.1 に示す。これらの線源につ

いて E

res

  の容認できる測定値を併せて示す。放射性物質の均一性は,オートラジオグラフィで調査するの

が望ましい。 

表 B.1β 線源の構造の例

核種

核種を含む化合物名又

は化学種の状態

窓材

窓厚

 

mg・cm

2

残留最大

エネルギー(E

res

)の

下限値

MeV

14

C PMMA-

14

C PMMA-

14

C

なし 0.09

147

Pm

炭酸プロメチウム

チタン 2

0.13

85

Kr

気体

チタン 22

0.53

204

Tl

クロム酸タリウム

銀 20

0.53

90

Sr+

90

Y

炭酸ストロンチウム

ステンレス 80

1.80

106

Ru+

106

Rh

金属ルテニウム

銀 50

2.80


23

Z 4514

:2010

附属書 C 
(規定) 
基準条件

C.1  基準条件及び標準試験条件の要求事項に関する記述 
C.1.1  
放射線に関する量 

放射線に関する量の基準条件及び標準試験条件は,

表 C.1 による。

表 C.1−放射線に関する量の基準条件及び標準試験条件

影響量

基準条件

標準試験条件

(特記がない場合)

β 線標準場

90

Sr+

90

Y

a)

90

Sr+

90

Y

a)

ICRU 組織のスラブ

30 cm×30 cm×15 cm

(全身用線量計)

a) PW ファントム

30 cm×30 cm×15 cm 
水ファントム 
前面 2.5 mm  厚 PMMA

他の面 10 mm 厚 PMMA

b) PMMA スラブファントム 10 cm

以上×10 cm  以上×1 cm  以上

ICRU 組織の直円柱

直径 73 mm,高さ 300 mm

(手首・足首用線量計)

a) ISO ピラーファントム

直径 73 mm,高さ 300 mm の水

で満たした直円柱

側面 2.5 mm 厚 PMMA 
底面 10 mm 厚 PMMA

b) PMMA ピ ラ ー フ ァ ン ト ム 直 径

73 mm  高さ 300 mm 以上

ファントム

c)

(個人線量計の場合)

ICRU 組織の直円柱

直径 19 mm,高さ 300 mm

(指用線量計)

ISO  ロッドファントム

PMMA の直円柱

直径 19 mm,高さ 300 mm

入射角

基準の向き

基準の向き±5°

放射能汚染

無視できる

b)

無視できる

b)

放射線のバックグラウン

周辺線量当量率

H*(10)≦0.1 μSv・h

1

方向性線量当量率

H′(0.07,

)≦0.1 μSv・h

1

周辺線量当量率

H*(10)≦0.25 μSv・h

1

方向性線量当量率

H′(0.07,

)≦0.25 μSv・h

1

a)

  より適している場合は,他の標準場を使うことができる。

b)

  放射性物質による汚染の許容限度は,国が定める。“無視できる”とは,汚染の程度が校正の

正確さに影響を与えず,校正作業員及び校正施設に危険を及ぼさないことをいう。

c)

  個人線量計の校正において,末端部個人線量計の校正にピラーファントム又はロッドファン

トムを用いることができる。


24

Z 4514

:2010

C.1.2  放射線に関連する量以外の量 

放射線に関連する量以外の量の基準条件及び標準試験条件は,

表 C.2 による。

表 C.2−放射線に関連する量以外の量の基準条件及び標準試験条件

影響量

基準条件

標準試験条件

(ほかに指示がない場合)

環境温度  ℃ 20

 22

b)

c)

相対湿度 %

65

30 – 75

b)

c)

気圧  kPa 101

106

b)

c)

安定時間  分

15

 15 以上

電源電圧

正規電源電圧

正規電源電圧±3 %

電源周波数

a)

正規電源周波数

正規電源周波数±1 %

電源波形

a)

正弦波

正弦波からのひずみ

5 %以下

外部電磁波

無視できるレベル

影響が認められる

レベル以下

外部磁気誘導

無視できるレベル

地球磁界の 2 倍以下

装置

通常動作の設定

通常動作の設定

a)

  コンセントからの電圧供給で動作する装置に適用する。

b)

  試験時のこれらの量の実際の値を記述する。

c)

  温暖気候での校正を想定した値である。他の気候においては,校正のときのこれらの量の実

際の値を記述する。同様に,高地において使用する装置の場合は,下減気圧 70 kPa としてよ
い。


25

Z 4514

:2010

附属書 D 
(参考)

β線標準場の換算係数

六つの標準場におけるスラブファントムの換算係数を,ある校正距離において 5 度ステップで測定した

測定値を

図 D.1 及び表 D.1 に示す。この測定値の標準不確かさは,2 %∼4 %である(参考文献[9]参照)。

0

0

20

30

40

50

60

70

80

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

換算係数

h

p,

D

(0

.0

7;

 s

our

ce

;

 α

) (

Sv

Gy

-1

)

入射角度(°)

□:ビームフラッタニングフィルタを用い,校正距離が 20 cm の

147

Pm 線源

☆:ビームフラッタニングフィルタを用い,校正距離が 30 cm の

85

Kr 線源

○:ビームフラッタニングフィルタを用いず,校正距離が 20 cm の

90

Sr+

90

Y 線源

△:ビームフラッタニングフィルタを用いず,校正距離が 30 cm の

90

Sr+

90

Y 線源

▽:ビームフラッタニングフィルタを用い,校正距離が 30 cm の

90

Sr+

90

Y 線源

◇:ビームフラッタニングフィルタを用いず,校正距離が 50 cm の

90

Sr+

90

Y 線源

図 D.1−市販の β 線源における入射角度に依存するスラブファントムの換算係数測定値 

(表 D.1 を参照) 

1.4

1.2

1.0

0.8

0.6

0.4

0.2

0.0

換算係

h

p,

D

(0.07;

sour

ce

;α

) (S

v・

Gy

1

)

  0              10

20

30

40

50

60

70

80

入射角度(°)


表 D.1−市販の β 線源における入射角度に依存するスラブファントムの換算係数測定値(図 D.1 を参照)[9]

線源

α 及び α に対応する換算係数 h

p,D

(0.07;source;α

(Sv・Gy

1

核種

フィルタ  距離

cm

10°

15°

20°

25°

30°

35°

40°

45°

50°

55°

60°

65°

70°

75°

90

Sr+

90

Y

あり 30

1.00

1.00

1.01

1.01

1.02

1.04

1.06 1.08 1.10

1.12

1.14

1.15

1.14

1.10

1.01

0.86

90

Sr+

90

Y

なし 20

1.00

1.00

1.01

1.02

1.03

1.04

1.06 1.09 1.11

1.14

1.17

1.20

1.21

1.19

1.12

90

Sr+

90

Y

なし 30

1.00

1.00

1.01

1.01

1.03

1.04

1.06 1.08 1.10

1.13

1.15

1.16

1.16

1.14

1.06

0.91

90

Sr+

90

Y

なし 50

1.00

1.00

1.00

1.01

1.02

1.03

1.05 1.07 1.08

1.10

1.11

1.11

1.10

1.06

0.98

0.84

85

Kr

あり 30

1.00

1.00

1.00

0.99

0.98

0.97

0.96 0.94 0.91

0.88

0.83

0.78

0.72

0.65

0.57

0.49

147

Pm

あり 20

1.00

1.00

0.98

0.96

0.94

0.91

0.87 0.82 0.77

0.72

0.66

0.59

0.53

26

Z 4514


2010


27

Z 4514

:2010

附属書 JA

(参考)

校正の階層及びトレーサビリティ体系

JA.1  一般 

この附属書は,β 線組織吸収線量(率)及び 70  μm 線量当量(率)を対象とした校正の階層及びトレー

サビリティ体系について記載するものであり,規定の一部ではない。

JA.2  校正の階層及びトレーサビリティ体系   

β 線組織吸収線量測定器及び線量当量測定器の校正の階層及び実用に供している測定器及び計測素子

(以下,実用器という。

)の国家計量標準へのトレーサビリティ体系の例を,

図 JA.1 に示す。

注記

計量法に基づく登録事業者が行う当該構成の階層の場合には,国家計量標準及び二次標準はそれぞれ特定標

準器及び特定二次標準器となる。

a) 

二次標準器に連鎖して校正した標準器を保有する校正機関もある。

b)

二次標準場及び参照標準場は,各機関の保有する標準器によって校正される場合と,上位機関の保有する仲介

標準器によって出張校正される場合とがある。

c)

実用標準とする標準器及び β 線源を用いた実用器の簡略化した校正方法は,

附属書 JC による。

図 JA.1−校正の階層及びトレーサビリティ体系 

校正機関

産業界

国家計量標準

外挿電離箱

一次標準場(シリーズ A)

二次標準

a

)

外挿電離箱又は電離箱式吸収線量測定器

二次標準場(シリーズ A,B 又は C  )

b

)

参照標準

電離箱式吸収線量測定器等

参照標準場

b

)

(シリーズ A,B 又は C)

実用標準

c

)

吸収線量測定器等

β 線源

c

)

実用器

吸収線量測定器,線量当量測定器,線量計測素子等


28

Z 4514

:2010

附属書 JB

(参考)

校正に用いる器具の性能

JB.1  一般 

この附属書は,β 線組織吸収線量(率)及び 70  μm 線量当量(率)を対象とした校正に用いる器具の性

能を記載するものであり,規定の一部ではない。

JB.2  標準器として用いる器具の構造及び性能(参考文献[10]参照) 
JB.2.1  
外挿電離箱  (本体の 5.3 参照) 

外挿電離箱は,次による。

a)

  外挿電離箱の構造は,次による。

1)

  集電極と高圧電極との間隔を,0.5 mm∼2.5 mm より広い範囲で変化でき,かつ,その間隔を測定で

きる。

2)

  外挿電離箱には,基準点を表示する。機器そのものにない場合でも,マニュアルなどで示されてい

ればよい。

3)

  組織等価物質で構成され,通気孔をもつ。

4)

  入射窓厚が 7±0.7 mg・cm

2

で,電離箱の深さが 1 cm 以下とする。入射窓厚が 7 mg・cm

2

に満た

ない場合は,専用の付加フィルタを用いて 7±0.7 mg・cm

2

とする。

b)

  指示部は,デジタル表示で 3.5 けた(桁)以上表示する。

c)

  アンプ出力を直接読み取ることができる構造である。

d)

  外挿電離箱の性能は,次による。

レスポンスの再現性(%) :

90

Sr+

90

Y 及び

85

Kr について<1.0,

147

Pm について<2.0

チルト特性

:  入射角が 0°のとき及び±5°のときの出力値の変動が 1.0 %以下

線量の直線性(%)

:  <1.0

線質による校正定数の差  :

90

Sr+

90

Y に対する校正定数と

85

Kr 及び

147

Pm に対する校正定数との

差が,いずれも 5 %以内

JB.2.2  電離箱式吸収線量計(本体の 5.4 参照)

電離箱式吸収線量計は,次による。

a)

  吸収線量又は吸収線量率だけ測定するものでもよい。

b)

  電離箱の構造は,次による。

1)

  基準点を表示する。

2)

  組織等価物質で構成され,通気孔をもつ。

3)

  入射窓厚が 7±0.7 mg・cm

2

で,電離箱の深さが 1 cm 以下とする。入射窓厚が 7 mg・cm

2

に満た

ない場合は,専用の付加フィルタを用いて 7±0.7 mg・cm

2

とする。

c)

  指示部は,デジタル表示で 3.5 けた(桁)以上表示する。

d)

  アンプ出力を直接読み取ることができる構造である。

e)

  電離箱式吸収線量計の性能は,次による。


29

Z 4514

:2010

レスポンスの再現性(%) :

90

Sr+

90

Y,

85

Kr について<1.0,

147

Pm について<2.0

チルト特性

:  入射角が 0°のとき及び±5°のときの出力値の変動が 1.0 %以下

線量の直線性(%)

:  <1.0

線質による校正定数の差  :

90

Sr+

90

Y に対する校正定数と

85

Kr 及び

147

Pm に対する校正定数との

差が,いずれも 25 %以内

JB.3  校正に必要な器具の性能 

校正に用いる温度計,湿度計,気圧計,計時装置及び長さ計の性能の例を,

表 JB.1 に示す。

表 JB.1−校正に必要な器具の性能の例 

装置

項目

許容値

温度計

器差  ℃

±1

湿度計

器差  %

a)

±5

気圧計

器差  kPa

±0.4

計時装置

器差  %

±0.1

長さ計

器差  %

±0.1

a)

  相対湿度の単位としての%を意味する。


30

Z 4514

:2010

附属書 JC

(参考)

実用器の簡略化した校正方法

JC.1  一般 

この附属書は,この規格に基づいて校正した標準器を実用標準として,  8.3.1 に基づき,この規格に規

定されていない β 線源を用いて簡略化した校正手順によって,実用器である方向性線量当量(率)測定器,

個人線量当量(率)測定器及び吸収線量(率)測定器を校正する方法について記載するものであって,規

定の一部ではない。

実用標準とする標準器(以下,標準器という。

)を用いた実用器の校正方法は,JC.2JC.5 に示す。校

正は,校正定数を与えるために行うものであり,許容範囲で合否判定をするものではない。しかし,実際

の実用器の校正では,多くの場合,相対基準誤差試験と同様の試験が行われており,その結果が規格を満

足することは,校正定数が一定の範囲内であることを暗に示している。

この附属書では,このような実用器の校正における校正方法及び留意点について記載する。

JC.2 

標準器 

標準器は,次による。

a)

  この規格に基づき校正した方向性線量当量(率)測定器,個人線量当量(率)測定器又は吸収線量(率)

測定器とする。

b)

  実用器と同一形式とする。

注記  被校正実用器と標準器とが同一形式であると判断するためには,8.3.1 に基づき,形式検査の

結果が同等であったり,測定器の重要部分の設計が同じであったりするなど,製品を確認し

た結果を用いる。

c)

  この規格に基づき校正した結果のレスポンスの再現性は,±5 %が望ましい。

注記  レスポンスの再現性の確認周期は,ISO 10012:2003[11]を参考に決定することが望ましい。

JC.3  β 線源

校正に用いる β 線源は,次による。

a)

  β 線放出核種とし,実用に供している線源とする。

b)

  実用器の測定で安定した指示値が得られる線量率が設定できる線源とする。

c)

  本体に規定する線源の要求仕様に適合しなくてもよい。

JC.4  校正 
JC.4.1  
校正の環境条件 

校正の環境条件は,

附属書 による。ただし,環境条件からの影響量が補正できる場合,又は環境条件

の補正を要しない場合の測定器はこの限りではない。

JC.4.2  校正方法 

実用器の校正は,標準器と実用器との比較によるものとし,その方法は,次による。


31

Z 4514

:2010

a)

  標準器に β 線を照射し,そのときの指示値(I

a

)を基準値とする。

b)

  被校正実用器を a)  の測定と同じ条件下で β 線を照射し,指示値(I

b

)を求める。

c)

  被校正実用器の校正定数(K

b

)は,次による。

b

a

a

b

I

I

K

K

×

=

ここに,

K

a

本体に規定された校正方法によって得られた標準器の
校正定数

JC.5  校正結果の記録 

実用器の校正結果は,記録用紙に記入するものとし,その内容は次による。記録は,少なくとも次の項

目を含むものとする。

なお,数値の丸め方は,JIS Z 8401 による。

a)

  校正年月日,校正場所

b)

  線量計の形式及び製造番号

c)

  校正に用いた線源及び実用標準器の詳細

d)

  基準条件,校正条件及び/又は標準試験条件

e)

  測定値を求める式及びすべての補正係数の数値

f)

  校正結果

g)

  校正を行った作業員の氏名

h)

  その他の所見

参考文献  [1]  ICRU39, Determination of Dose Equivalents Resulting from External Radiation Sources (1985) 

[2]  ICRU44, Tissue Substitutes in Radiation Dosimetry and Measurement (1989)

[3]  ICRU51, Quantities and Units in Radiation Protection Dosimetry (1993)

[4]  ICRU47, Measurement of Dose Equivalents from External Photon and Electron Radiations (1992)

[5]  ICRU56, Dosimetry of External Beta Rays for Radiation Protection (1997)

[6]  Chartier, J.L., Cutarella, D., and Itie, C. Radiat. Prot. Dosim., 39 No. 1/3,115 (1991)

[7] Helmstädter,

K.

et al

., Radiat. Prot. Dosim., 63, 293-298 (1996)

[8]  JIS Q 17025  試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項

[9] Ambrosi,

P.

et al

., J. Inst. 2, P11002 (2007), Ambrosi, P.

et al

.,PTB News 97.1 (1997)

[10] JCT21711  技術的要求事項適用指針(放射線・放射能・中性子(

β

線測定器(特定二次標

準器等)

[11]  ISO 10012:2003,Measurement management systems−Requirements for measurement processes

and measuring equipment


附属書 JD

(参考)

JIS

と対応国際規格との対比表

JIS Z 4514:2010  β 線組織吸収線量測定器及び線量当量測定器の校正方法

ISO 6980-1:2006   Nuclear energy − Reference beta-particle radiation − Part 1: 
Methods of production 
ISO 6980-2:2004   Nuclear energy − Reference beta-particle radiation − Part 2: 
Calibration fundamentals related to basic quantities characterizing the radiation field 
ISO 6980-3:2006   Nuclear energy − Reference beta-particle radiation − Part 3: 
Calibration of area and personal dosemeters and the determination of their response as a 
function of beta radiation energy and angle of incidence

(I)JIS の規定

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

箇 条 番 号
及び題名

内容

(II) 
国 際 規 格
番号

箇条
番号

内容

箇 条 ご と
の評価

技術的差異の内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

1  適 用 範

ISO 6980-1
ISO 6980-2

1

適用範囲

変更

説明に当たる部分を省略して

いる。

技術的差異はない。

2  引 用 規

ISO 6980-3

3  用 語 及
び定義

箇条 4 以降で使用す
る用語

3

国際規格内で使用してい
る用語

変更

箇条 4 以降で使用していない用
語及び JIS Z 4001 に記載され

ている用語を削除。

実質的な差異はない。

β 線標準
場の生成

4.1  β 線標準場の要求
事項 
4.1.1  標準場の仕様

ISO 6980-1
 


β 線標準場の要求事項

追加 

標準場の仕様の説明を追加し

た。

技術的差異はない。 

 4.1.2

標 準 場 の エ ネ

ルギー 
4.1.3  β 線スペクトル
の形状

4.1

標準場のエネルギー

 
4.2 β 線スペクトルの形状

一致

 4.1.4

線 量 率 の 均 一

4.3

線量率の均一性

変更

JIS では標準場のシリーズ名を
シリーズ A 及び B とした。

技術的差異はない。 

 4.1.5

光子の影響

  4.4

光子の影響

一致

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

32

Z 4514


2010


(I)JIS の規定

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

箇 条 番 号

及び題名

内容

(II) 
国 際 規 格
番号

箇条

番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

β 線標準
場の生成

4.1.6  β 線放出率の減

ISO 6980-1

4 4.5

β 線放出率の減少

変更

表 1 の

106

Ru+

106

Rh の核データ

を訂正した。

国際規格の修正を要求する。

(続き) 4.2

標 準 場 の 生 成 に

適する β 線放出核種


標準場の生成に適する核

一致

 4.3

線 源 の 特 徴 及 び

その測定 
4.3.1  標 準 線 源 の 基
本的な特徴 
4.3.1.1  標準線源の構

 6

線源の特徴及びその測定 
 
6.1  標準場線源の基本的
な特徴 
6.1.1  標準線源の構造

一致

 4.3.1.2

標準場の特徴

の測定

6.1.2

標準場の特徴の測定

変更

説明する言葉を追加した。ま
た,JIS では標準場のシリーズ

名をシリーズ A 及び B とした。

技術的差異はない。

 4.3.1.3

不純物による

β 線の混在

6.1.3

不純物による β 線の

混在

変更

“他のエネルギーの β 線の混入

が少なく”を追加した。

技術的差異はない。

 4.3.1.4

光子の混在

  6.1.4

光子の混在

一致

 4.3.2

β 線標準場の特

徴 
4.3.2.1  概要 
4.3.2.2  シリーズ A 標
準場 
4.3.2.3  シリーズ B 標
準場

6.2

β 線標準場の特徴

 
6.2.1  概要 
6.2.2  シリーズ 1 標準場 
 
6.2.3  シリーズ 2 標準場

変更

JIS では標準場のシリーズ名を
シリーズ A 及び B とした。

技術的差異はない。

 4.3.2.4

シリーズ C 標

準場

追加

JIS では E

res

を低下させた標準

場に関する規定を設けた。

国内の標準供給体制を反映した。

 4.4

線源の校正

7

線源の校正

変更 

JIS では標準場のシリーズ名を
シリーズ A 及び B とした。ま

たシリーズ C 標準場の規定を
加えた。

国内の標準供給体制を反映した。
JIS 特有のシリーズ C 標準場がか
かわらない箇所には技術的差異は
ない。

33

Z 4514


2010


(I)JIS の規定

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

箇 条 番 号

及び題名

内容

(II) 
国 際 規 格
番号

箇条

番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

β 線標準
場 の 校 正
方法

5.1  β 線標準場の校正
に関するトレーサビ
リティ

ISO 6980-2

4

β 線標準場の校正及びト
レーサビリティ 

変更 

附属書 JA 及び附属書 JB を参照

している。 

技術的差異はない。 

 5.2

β 線標準場校正の

一般原理 
5.2.1  概要 
5.2.2 透過性に関する
標準場の特徴 

 5

β 線標準場校正の一般原
理 
5.1 概要 
5.3 透過性に関する標準場
の特徴 

変更

JIS では透過係数に関して概要
だけを記載している。

測 定 器 の 校 正 に 直接 関 係 ない た

め,概要だけを記載した。

 5.3

外 挿 電 離 箱 を 用

いた校正方法 
5.3.1  一般 
5.3.2  外 挿 電 離 箱 を
用いた参照吸収線量
率の決定

 6

外挿電離箱を用いた校正
方法 
6.1  一般 
6.2  外挿電離箱を用いた
参照 β 線吸収線量率の決

変更

JIS では外挿電離箱による測定
の説明及び平均質量電子阻止
能比について概要だけを記載

している。参照吸収線量率を測
定評価する場合の詳細な測定
方法,補正係数の算出方法,不

確かさの算出などには触れて
いない。

測 定 器 の 校 正 に 直接 関 係 ない た
め,概要だけを記載した。

 5.4

他 の 測 定 装 置 に

よる校正方法

 7

他の測定装置による校正

方法

変更

JIS では TLD,熱刺激エキソ電
子放出検出器,シンチレータに
よる校正方法には触れていな
い。

測 定 器 の 校 正 に 直接 関 係 ない た

め,概要だけを記載した。

β 線測定
器 一 般 の

校正方法

6.1  一般 
6.1.1 線質

ISO 6980-3
 


 

4.1 一般 
4.1.1 線質

変更

JIS では“シリーズ A 標準場を
二次校正機関が利用できるこ

とが望ましい。”とした。JIS
では標準場のシリーズ名をシ
リーズ A 及び B とした。

国内の標準供給体制を反映した。

 6.1.2 吸収線量−線量

当量換算係数 
6.1.2.1 一般 

4.1.2 吸収線量−線量当量
換算係数 
4.1.2.1 一般 

一致

34

Z 4514


2010


(I)JIS の規定

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

箇 条 番 号

及び題名

内容

(II) 
国 際 規 格
番号

箇条

番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

β 線測定
器一般の

6.1.2.2  換算係数の決

ISO 6980-3

4 4.1.2.2

換算係数の決定

変更 

JIS では換算係数について説明
文を加えた。

技術的差異はない。

校正方法 
(続き)

6.1.2.3  換算係数のフ
ァントムによる違い

4.1.2.3

換算係数のファン

トムによる違い

変更 

JIS Z 4331 の用語を用いた。

技術的差異はない。

 6.1.3

標 準 試 験 条 件

6.1.4  影響量の変化 
6.1.5 試験点及び基準
点 
6.1.6  回転軸 
6.1.7  校 正 す る 線 量
計の条件 
6.1.8  光 子 の 影 響 の
測定 
 
6.2  校 正定数 及び補
正係数の決定 
6.2.1  標 準 器 に よ る
参照吸収線量率の決

定 
6.2.2  基 準 校 正 定 数
の決定及び非線形レ

スポンスの補正 
6.2.2.1  個人線量当量
(率)測定器の校正

定数 
6.2.2.2  方向性線量当
量(率)測定器の校

正定数

4.1.3

標準試験条件

4.1.4 影響量の変化 
4.1.5  試験点及び基準点 
 
4.1.6  回転軸 
4.1.7  校正される線量計の
条件 
4.1.8  光子の影響の測定 
 
 
4.2 校正定数及び補正係数
の決定 
4.2.1 標準器による参照線
量率の決定 
 
4.2.2 基準校正定数の決定
及び非線形レスポンスの

補正 
4.2.2.1 個人線量当量(率)
測定器の校正定数 
 
4.2.2.2 方 向 性 線 量 当 量
(率)測定器の校正定数

一致

 6.2.2.3

組織吸収線量

(率)測定器につい

ての校正定数

− 

追加 
 

国内の標準供給体制を反映した。

35

Z 4514


2010


(I)JIS の規定

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

箇 条 番 号

及び題名

内容

(II) 
国 際 規 格
番号

箇条

番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

β 線測定
器 一 般 の
校正方法 
(続き)

6.2.3  補正係数 k

E,α

決定

ISO 6980-3

4 4.2.3 補正係数 k

E,α

の決定

一致

7  方 向 性
線 量 当 量
(率)測定

器 の 校 正
方法

7.1  一般 
7.2  測定量 

5 5.1

一般

5.2  測定量

一致

8  個 人 線
量 当 量
(率)測定

器 の 校 正
方法

8.1  一般 
8.2  測定量 
8.3  実験条件

 6

6.1

一般

6.2  測定量 
6.3  実験条件

一致

 8.3.1

フ ァ ン ト ム の

使用

6.3.1

ファントムの使用

変更

JIS Z 4331 の用語を用いた。附
属書 JC を参照した。

技術的差異はない。

 8.3.2

拡 散 ビ ー ム に

関する考慮

6.3.2

拡散ビームに関する

考慮

一致

 8.3.3

複 数 の 線 量 計

に対する同時照射

6.3.3

複数の線量計に対す

る同時照射

変更

JIS では,標準場のシリーズ名
をシリーズ A とした。

技術的差異はない。

9  組 織 吸
収 線 量

(率)測定
器 の 校 正
方法

9.1  一般 
9.2  測定量

 

追加

国内の標準供給体制を反映した。

10  校正結
果の記録

7

7.1

結果の表し方

変更

JIS Z 8401 を参照した。d)で(例
えば,シリーズ名)を追加した。

技術的差異はない。

11  校正定
数 の 不 確
か さ の 求

め方

7.2

不確かさの記述

一致

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(I)JIS の規定

(III)国際規格の規定

(IV)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容

箇 条 番 号

及び題名

内容

(II) 
国 際 規 格
番号

箇条

番号

内容

箇 条 ご と

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS と国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策

附属書 A

(参考)

組織等価物質

ISO 6980-1

Anne
x A

組織等価物質

一致

附属書 B 
(参考)

推奨される線源の特
徴−β 線源の構造の

 Anne

x B

推奨される線源の特徴−β
線源の構造の例

一致 

附属書 C

(規定)

基準条件

ISO 6980-3
 

Anne
x B

基準条件 

追加

本体に記載されている内容を

説明のために追加した。

技術的差異はない。

附属書 D 
(参考)

β 線標準場の換算係

 Anne

x C

β 線標準場の換算係数

一致

附属書 JA
(参考)

校正の階層及びトレ
ーサビリティ体系

追加

附属書 JB
(参考)

校正に用いる器具の
性能

追加

附属書 JC
(参考)

実用器の簡略化した
校正方法

追加

JIS と国際規格との対応の程度の全体評価:(ISO 6980-1:2006,ISO 6980-2:2004 及び ISO 6980-3:2006,MOD)

注記 1  箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。

    −  一致……………… 技術的差異がない。

    −  追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
    −  変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。

注記 2  JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

    −  MOD……………  国際規格を修正している。

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