>サイトトップへ >このカテゴリの一覧へ

Z 4323 : 2002

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条において準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本保安

用品協会 (JSAA) 及び財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ

きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。こ

れによって,JIS Z 4323 : 1997 は改正され,この規格に置き換えられる。

JIS Z 4323

には,次に示す附属書がある。

附属書 1(規定)  性能の判定方法

附属書 2(規定)  線量当量の算出方法

附属書 3(規定) 

β

線に対するレスポンスの測定方法

附属書 4(参考)  JIS と対応する国際規格との対比表


日本工業規格

JIS

 Z

4323

 : 2002

広範囲用フィルムバッジ

Universal film badges

序文  この規格は,1980 年に第 1 版として発行された ISO 1757 (Personal photographic dosemeters)  を翻訳

し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧表

をその説明を付けて,

附属書 に示す。

1.

適用範囲  この規格は,実効エネルギーが,20keV〜3MeV の X 線,光子エネルギーが,20keV〜3MeV

γ

線及び熱中性子によって,個人が体外から受ける 1cm 線量当量及び 70

µm 線量当量と,残留最大エネル

ギーが 0.5〜3MeV の

β

線によって,個人が体外から受ける 70

µm 線量当量を測定する広範囲用フィルムバ

ッジ,並びにそのフィルムバッジを用いて,それらの線量当量を算出する方法について規定する。

備考  この規格の対応国際規格を次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC  Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

ISO 1757 : 1980

  Personal photographic dosemeters (MOD)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS K 7559

  広範囲用バッジフィルム

JIS Z 4001

  原子力用語

JIS Z 4005

  医用放射線用語

JIS Z 4331

  X・

γ

線及び

β

線個人線量計校正用ファントム

JIS Z 4332

  X 線及び

γ

線用個人線量計通則

JIS Z 4511

  照射線量測定器及び線量当量測定器の校正方法

JIS Z 8103

  計測用語

JIS Z 8401

  数値の丸め方

ISO 5-2

  Photography−Density measurements−Part 2 : Geometric conditions for transmission density

ISO 5-3

  Photography−Density measurements−Part 3 : Spectral conditions

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 4001JIS Z 4005JIS Z 4332JIS Z 4511 及び JIS 

Z 8130

によるほか,次による。

備考1.  この規格では,組織吸収線量又は組織吸収線量率を 組織吸収線量(率) と書き表す。

2.

この規格においては線量当量又は線量当量率を

線量当量(率) と書き表す。


2

Z 4323 : 2002

a)

残留最大エネルギー  校正の基準点における

β

線の最大の飛程に対応するエネルギー。

b)

測定値  フィルムバッジから算出した線量当量の丸める前の値。

c)

基準値  試験方法に規定した基準とする試験線量。

d)

誤差  (

ε

  測定値の平均値  ( )  と基準値  (H

0

)

との差の基準値に対する比。

0

0

H

H

X

=

ε

e)

変動係数  (C)    個の測定値  (X

1

)

の標準偏差  (S)  の,測定値の平均値  (X)  に対する比。

(

)

å

=

=

=

n

i

i

X

X

n

X

X

S

C

1

2

1

1

1

f)

レスポンス  (R)    測定値の平均値

  ( )

の,基準値

  (H

0

)

に対する比。

0

H

X

R

=

g)

基準

γ

線  線量特性を得るために特定した

γ

線。

h)

γ

線の相対レスポンス  (R

r, 

γ

  任意のエネルギーの

X

γ

線のレスポンス

  (

R

)

の,基準

γ

線のレスポンス

(

R

γ

)

に対する比。

γ

γ

R

R

R

=

,

r

i)

バッジフィルム  放射線に対して適切な感度をもち,かつ,感度が異なる写真乳剤を塗布した,高感

度,中感度及び低感度のフィルムを同一包装したもの,又はこれと同等の性能をもつもの。

j)

コントロールフィルム  フィルム固有の写真濃度及び自然放射線のかぶりに起因する誤差を除くため

に用いるバッジフィルム。

k)

フィルタ  線量当量算出のため,バッジフィルムに適切な写真濃度を与える材質,厚さ及び大きさを

もつろ過板。

l)

γ

線基準フィルタ  バッジケースにセットされている各種のフィルタのうちから,

γ

線の線量特性を求

めるために特定したフィルタ。

m)

熱中性子基準フィルタ  バッジケースのフィルタにおいて,適切な熱中性子フィルム感度が得られる

フィルタ。

n)

放射性同位体中性子源 

241

Am-Be

のように核反応によって中性子を発生する線源,又は

252

Cf

のよう

に自発核分裂によって中性子を発生する線源。

o)

フィルタ位置  フィルタの効果がみられるフィルム上の位置。

p)

見掛けの線量  フィルタ位置の写真濃度に対応する線量特性曲線上の線量。

q)

正味見掛けの線量  フィルタ位置の見掛けの線量から,コントロールフィルムの見掛けの線量を差し

引いた線量。

r)

線量当量算出式  バッジフィルムの各フィルタ位置の正味見掛けの線量から,線量当量を算出するた

めの計算式。

s)

比例性試験 

1cm

線量当量に対するレスポンスが,一定であることを確認するための試験。

t)

使用期間  個人線量を連続的に管理する場合において,フィルムバッジの性能及び管理上の配慮をも

って定めた,フィルムバッジの取替え日から次の取替え日の前日までの期間。この間の放射線作業の

有無は問わない。


3

Z 4323 : 2002

u)

線量特性  基準

γ

線の空気カーマと,

γ

線基準フィルタのフィルタ位置(以下,

γ

線基準フィルタ位置と

いう。

)の写真濃度との関係。

v)

γ

線相対感度 (R

s, 

γ

)

 

X

γ

線を照射したときの正味見掛けの線量と空気カーマとの比

  (

N

)

を基準

γ

を照射したときの正味見掛けの線量と空気カーマとの比

  (

N

γ

)

で割った値。

γ

γ

N

N

R

=

,

s

w)

フィルムエネルギー特性 

X

γ

線のエネルギーと,

γ

線相対感度との関係。

x)

潜像退行  フィルムの乳剤中に作られた潜像の経時変化によって,現像後に得られる写真濃度が,照

射直後の写真濃度より低下する現象。

y)

熱中性子感度  熱中性子基準フィルタのフィルタ位置(以下,熱中性子基準フィルタ位置という。)の

正味見掛けの線量と,

γ

線基準フィルタ位置の正味見掛けの線量との差の,照射した熱中性子の量に対

する比。

z)

熱中性子フィルム感度  熱中性子の照射によって生じた濃度に対応する正味見掛けの線量と,照射し

た熱中性子の量との比。

aa)

β

線の相対レスポンス  (R

r, 

β

  任意の

β

線のレスポンス

  (

R

)

の,残留最大エネルギーが

2.0MeV

(

90

Sr-

90

Y)

β

線のレスポンス

  (

R

β

)

に対する比。

β

β

R

R

R

=

,

r

ab)

β

線相対感度 (R

S, 

β

)

 

β

線を照射したときの正味見掛けの線量と照射した線量との比

  (

N

)

を,残留最

大エネルギーが

2.0MeV (

90

Sr

90

Y)

β

線を照射したときの正味見掛けの線量と照射した線量との比

(

N

β

)

で割った値。

β

β

N

N

R

=

,

S

ac)

組織吸収線量(率)基準  校正の基準点における

β

線の

70

µ

m

組織吸収線量(率)

ad)

β

線量当量基準  組織吸収線量(率)基準に線量当量換算係数などを乗じて得た,校正の基準点にお

ける

β

線の

70

µ

m

線量当量(率)

ae)

β

線フィルムバッジ校正 

β

線量当量基準と測定値との関係から,フィルムバッジのレスポンスを求め

ること。

af)

基準校正  組織吸収線量(率)基準を設定すること。

ag)

組織等価材  ポリエチレンテレフタレート,ポリメタクリル酸メチル,ポリスチレンなどの材料。

ah)

残留飛程測定用吸収板  校正距離に設定した薄い窓の

β

線測定器の直前に置き,

β

線減衰曲線を測定し

て残留飛程を決定するために用いる組織等価材の薄い板。

ai)

線質制御用フィルタ  校正の基準点における残留最大エネルギーを適切な値に設定するために用いる,

低原子番号材のフィルタ。

4.

性能

4.1

測定値の誤差及び変動係数

4.1.1

X

γ

線  7.2.2a)によって試験したとき,次による。

a)

高感度フィルムについて,

0.4mSv

の照射によって生じる誤差は,誤差に対応するレスポンスが,信頼

95%

1

±

0.3

の範囲内,変動係数は

0.07

以下であり,

4.0mSv

の照射によって生じる誤差は,誤差


4

Z 4323 : 2002

に対応するレスポンスが,信頼度

95%

1

±

0.1

の範囲内,変動係数は

0.05

以下とする。

b)

中感度フィルムについて,

30mSv

の照射によって生じる誤差は,誤差に対応するレスポンスが,信頼

95%

1

±

0.1

の範囲内,変動係数は

0.07

以下とする。

c)

低感度フィルムについて,

200mSv

の照射によって生じる誤差は,誤差に対応するレスポンスが,信

頼度

95%

1

±

0.1

の範囲内,変動係数は

0.07

以下とする。

4.1.2

β

線  7.2.2b)によって試験したとき,

β

4.0mSv

の照射によって生じる誤差は,誤差に対応するレ

スポンスが,信頼度

95%

1

±

0.15

の範囲内,変動係数は

0.07

以下とする。

4.1.3

熱中性子  7.2.2c)によって試験したとき,熱中性子

0.4mSv

の照射によって生じる誤差は,誤差に

対応するレスポンスが,信頼度

95%

1

±

0.3

の範囲内,変動係数は

0.1

以下とする。

4.2

測定値の経時変化特性  7.2.3 によって試験したとき,測定値の

30

日間の経時変化率が,信頼度

95%

20

±

5

℃で保管したものについては

0.15

以下,

5
0

40

+

℃で保管したものについては 0.25 以下とする。

4.3

測定値の比例性

4.3.1

X

γ

線  7.2.4a)によって試験したとき,次による。

a)

高感度フィルムについて各線量当量のレスポンスが,4.0mSv のレスポンスに対して,信頼度 95%で 1

±0.15 の範囲内とする。

b)

中感度フィルムについて各線量当量のレスポンスが,30mSv のレスポンスに対して,信頼度 95%で 1

±0.15 の範囲内とする。

c)

低感度フィルムについて各線量当量のレスポンスが,200mSv のレスポンスに対して,信頼度 95%で 1

±0.15 の範囲内とする。

4.3.2

β

線  7.2.4b)によって試験したとき,次による。

a)

高感度フィルムについて各線量当量のレスポンスが,4.0mSv のレスポンスに対して,信頼度 95%で 1

±0.25 の範囲内とする。

b)

中感度フィルムについて各線量当量のレスポンスが,30mSv のレスポンスに対して,信頼度 95%で 1

±0.25 の範囲内とする。

4.4

エネルギー特性

4.4.1

X

γ

線  7.2.5a)によって試験したとき,高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フィルムの,

X

γ

線の各エネルギーにおける相対レスポンスが,信頼度 95%で 1±0.3 の範囲内とする。

4.4.2

β

線  7.2.5b)によって試験したとき,高感度フィルム及び中感度フィルムの,

β

線の各残留最大エネ

ルギーにおける相対レスポンスが,信頼度 95%で 1±0.35 の範囲内とする。

4.5

X

γ

線方向特性  7.2.6 によって試験したとき,高感度フィルムについて各角度のレスポンスが,0°

方向のレスポンスに対して,信頼度 95%で 0.5〜1.3 とする。

4.6

湿度に対する安定性  7.2.7 によって試験したとき,高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フ

ィルムの相対湿度 90%以上のレスポンスが,相対湿度 50%以下のレスポンスに対して,信頼度 95%で 1±

0.15

の範囲内とする。

4.7

光に対する安定性  7.2.8 によって試験したとき,光を照射したフィルムと,光を照射しないフィル

ムの写真濃度の差が,信頼度 95%で 0.02 以下とする。

5.

構造

5.1

フィルムバッジ  フィルムバッジは,バッジフィルム及びバッジケースからなるものとする。

5.2

バッジケース  バッジケースは,バッジフィルム収納部分とフィルタからなるものとする。


5

Z 4323 : 2002

なお,バッジケースには,装着用の用具を付けてもよい。

5.3

フィルタ  フィルタは,X 線,

γ

線,熱中性子及び

β

線の線量当量を算出するのに適したものとする。

6.

バッジフィルム  バッジフィルムは,JIS K 7559 の規定に適合したもの,又はこれと同等の性能をも

つものとする。

7.

試験

7.1

試験条件

7.1.1

共通試験条件  共通試験条件は,7.2 の試験方法において特に規定がない場合には,表 による。

表 1  共通試験条件

項目

条件

周囲温度                  ℃ 20±5

相対湿度                  % 60±15
気圧                      hPa 1

013

±50

試験環境の 1cm 線量当量率 

µSv/h

≦0.2

7.1.2

校正装置及び熱中性子源  試験に使用する校正装置及び熱中性子源は,次による。

a)

X

線校正装置  X 線校正装置は,JIS Z 4511 に規定する照射線量標準と,トレーサビリティがある照

射線量(率)測定器によって,照射線量(率)を測定した X 線照射装置とする。

なお,実効エネルギーと管電圧に対応するエネルギーとの比(線質指標)は,0.6 以上に設定する。

b)

γ

線校正装置 

γ

線校正装置は,JIS Z 4511 に規定する照射線量標準と,トレーサビリティがある照射

線量(率)測定器によって,照射線量(率)を測定した

137

Cs

若しくは

60

Co

γ

線照射装置,又は

137

Cs

若しくは

60

Co

基準

γ

線源とする。

c)

β

線校正装置 

β

線校正装置は,70

µm 線量当量についてトレーサビリティがある基準

β

線源とする。

d)

熱中性子源  熱中性子源は,黒鉛パイル,若しくはこれに準じる減速材の中に放射性同位体中性子源,

又はその他の中性子源を置いたものであって,減速材中に生じた熱中性子とする。熱中性子のフルエ

ンス率についてトレーサビリティがある熱中性子源とする。

7.1.3

1cm

線量当量  1cm 線量当量は,空気カーマに付表 の X・

γ

線のエネルギーに対応する換算係数を

乗じて決定する。

なお,70

µm 線量当量を決定する場合は,付表 を使用する。また,熱中性子についての 1cm 線量当量

は,熱中性子フルエンスに

付表 の熱中性子に対応する換算係数を乗じて決定する。

7.2

試験方法

7.2.1

試験方法一般  試験方法一般は,次による。

a)

試験条件のうち,ある項目を変化させて試験する場合には,その他の条件は,

表 に示す範囲内とす

る。

b)

試験線量は,X・

γ

線及び熱中性子の場合は 1cm 線量当量,

β

線の場合は 70

µm 線量当量とし,各試験項

目に規定する線量当量の 80〜120%の範囲内に設定し,一組ずつ同一の量に設定する。

c)

X

線のエネルギーは実効エネルギー,また

β

線のエネルギーは残留最大エネルギーとし,照射時に設

定するエネルギーは,各項目に指定するエネルギーの 90〜110%の範囲内に設定し,一組ずつ同一の

エネルギーに設定する。

d)

  7.2.2

7.2.5 及び 7.2.6 の試験においては,JIS Z 4331 に規定するファントムの前面にフィルムバッジ


6

Z 4323 : 2002

を配置する。

e)

フィルムバッジをファントムの前面に配置する場合には,

図 に示す範囲内に設定する。

なお,フィルムバッジの校正点とファントムの表面との距離は,1〜3cm の範囲で任意の距離を選び

設定誤差は±2mm とし,各試験を通して同一とする。

図 1  ファントム上のフィルムバッジの設置範囲

f)

バッジフィルムのロットが変わった場合には,その都度 7.2.2 の試験を行う。ただし,

β

線及び熱中性

子による試験は除く。

g)

各試験方法では,測定値の平均値,測定値の標準偏差及び測定値の平均値に関する標準偏差を次によ

って求める。ただし,7.2.8 は除く。

1)

決定値の平均値は,次の式によって求める。

n

X

X

n

i

i

å

=

=

1

ここに,

X

測定値の平均値 (mSv)

X

i

i

番目の測定値 (mSv)

n

測定値の個数

2)

測定値の標準偏差は,次の式によって求める。

(

)

å

=

=

n

i

i

X

X

n

S

1

2

1

1

ここに,

S

測定値の標準偏差 (mSv)

X

i

i

番目の測定値 (mSv)

X

測定値の平均値 (mSv)

n

測定値の個数

3)

測定値の平均値に関する標準偏差は,次の式によって求める。

n

S

S

=

m

ここに,

S

m

:  測定値の平均値に関する標準偏差 (mSv)

S

:  測定値の標準偏差 (mSv)

n

:  測定値の個数

h)

  X

γ

線に対する線量当量算出式は,

附属書 の 2.a)3)によることとし,フィルムバッジの形式ごとに,


7

Z 4323 : 2002

測定値を求めることが必要なすべての試験を通して,同一とする。

i)

性能の判定方法は,

附属書 による。

j)

測定値の算出方法は,

附属書 による。

k)

β

線に対するレスポンスの測定方法は,

附属書 による。

7.2.2

測定値の誤差試験及び変動係数

a)

X

γ

線  同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを 50 個用意する。10 個を 1 グループと

し,五つのグループを作り,H

1

グループ,H

2

グループ,M グループ,L グループ及び C グループと

する。

表 のとおり各グループに

137

Cs

又は

60

Co

γ

線を照射する。ただし,C グループは,コントロ

ールフィルムとし,

γ

線は照射しない。

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに 3 日間放置後,現像する。H

1

ループ及び H

2

グループについては高感度フィルム,M グループついては中感度フィルム,L グループ

については低感度フィルムから測定値を算出し,次の式によって誤差に対応するレスポンスを求める。

R

e

ε

+1  (1)

ここに,

R

e

誤差に対応するレスポンス

ε: 誤差

表 2  誤差試験の線量当量

単位 mSv

グループ

H

1

H

2

 M  L

1cm

線量当量 0.4

4.0 30

200

b)

β

線  同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを 12 個用意する。6 個を 1 グループとし,

二つのグループを作り,

H

グループ及び C グループとする,

H

グループのフィルムバッジに

β

線の 70

µm

線量当量を 4.0mSv 照射する。ただし,C グループは,コントロールフィルムとし,

β

線は照射しない。

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに 3 日間放置後,現像する。H グ

ループについては高感度フィルムから,測定値を算出する。誤差に対応するレスポンスは,式(1)によ

うて求める。

c)

熱中性子  同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを 6 個用意する。3 個を 1 グループ

とし,二つのグループを作り,H グループ及び C グループとする。H グループのフィルムバッジに熱

中性子の 1cm 線量当量を 0.4mSv 照射する。ただし,C グループは,コントロールフィルムとし,熱

中性子は照射しない。

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに 3 日間放置後,現像する。H グ

ループについては高感度フィルムから,測定値を算出する。誤差に対応するレスポンスは,式(1)によ

って求める。

7.2.3

測定値経時変化特性試験  同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを 40 個用意する。

5

個を一組とし,八つの組を作り,二つの組ずつを取って H グループ,M グループ,L グループ及び C グ

ループとする。

表 のとおり H グループ,M グループ及び L グループのすべてのフィルムバッジに

137

Cs

又は

60

Co

γ

線を照射する。ただし,C グループのバッジフィルムは,保管日数ごとのコントロールフィ

ルムとし,

γ

線は照射しない。

照射後,フィルムバッジを周囲温度 20±5℃で

表 のとおり保管する。さらに,上記のロットと同じロ

ットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを 40 個用意し,同様の操作を行った後,フィルムバッジを

周囲温度

5
0

40

+

℃で

表 のとおり保管する。


8

Z 4323 : 2002

現像後,H グループについては高感度フィルム,M グループについては中感度フィルム,L グループに

ついては低感度フィルムから,測定値を算出する。

周囲温度 20±50℃で保管したもの及び

5
0

40

+

℃で保管したものそれぞれについて,保管日数 3 日に対応す

る組の測定値の平均値を

( )

0

X

,保管日数 33 日に対応する組の測定値の平均値を

( )

X

とし,次の式によって

経時変化率  (R

f

)

を求める。

0

0

f

X

X

X

R

=

表 3  経時変化特性試験の線量当量

単位 mSv

グループ H

M

L

1cm

線量当量 4.0  30 200

表 4  経時変化特性試験の保管日数

単位  日

組(各グループ共通)

第 1

第 2

照射後現像までの保管日数

3 33

備考  第 1 組及び第 2 組の決め方は,各グループを構成する

二つの組から,それぞれ任意に一組ずつ選択する。

7.2.4

測定値の比例性試験

a)

X

γ

線  同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを 100 個用意する。5 個を一組とし,20

の組を作り,六つの組を取って H グループ,七つの組を取って M グループ及び L グループとする。

表 のとおり各グループ各組に

137

Cs

又は

60

Co

γ

線を照射する。ただし,各グループの一組ずつはコン

トロールフィルムとし,

γ

線は照射しない。

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに 3 日間放置後,現像する。H グ

ループについては高感度フィルム,M グループについては中感度フィルム,L グループについては低

感度フィルムから,測定値を算出する。高感度フィルムは 4.0mSv,中感度フィルムは 30mSv,低感度

フィルムは 200mSv のレスポンスに対する各線量当量のレスポンスの比を求める。

表 5  比例性試験の線量当量

単位 mSv

グループ H

M

L

1cm

線量当量

 0.4

10

 60

2.0

20

150

4.0

30

200

6.0

40

350

 10.0

50

500

60

600

備考 1cm 線量当量の値は,一組ずつ同一とする。

b)

β

線  同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを 36 個用意する。3 個を一組とし,12 の

組を作り,六つの組ずつ取って H グループ及び M グループとする,

表 のとおり各グループの各組

β

線を照射する。ただし,各グループの一組ずつはコントロールフィルムとし,

β

線は照射しない。

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに 3 日間放置後,現像する。H グ

ループについては高感度フィルム,M グループについては中感度フィルムから,測定値を算出する。

高感度フィルムは 4.0mSv,中感度フィルムは 30mSv のレスポンスに対する各線量当量のレスポンス


9

Z 4323 : 2002

の比を求める。

表 6  比例性試験の線量当量

単位 mSv

グループ H

M

70

µm 線量当量 0.4

8

 2

15

 4

30

 6

40

 8

60

備考 70

µm 線量当量の値は,一組ずつ同

一とする。

7.2.5

エネルギー特性試験

a)

X

γ

線  同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを 120 個用意する。5 個を一組とし,24

の組を作り,八つの組ずつを取って H グループ,M グループ,L グループとする。各グループの各組

表 のとおり X・

γ

線を照射する。ただし,各グループの一組ずつは,コントロールフィルムとし,

X

γ

線は照射しない。照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに 3 日間放置

後,現像する。H グループについては高感度フィルム,M グループについて中感度フィルム,L グル

ープについては低感度フィルムから,測定値を算出後,各エネルギーにおける相対レスポンスを求め

る。

表 7  X

γ

線のエネルギー特性試験の線量当量 

1 cm

線量当量

mSv

X

γ

線の

エネルギー

keV

H

グループ

M

グループ

L

グループ

20 0.26 3.4

24

30 0.21 2.1

15

45 0.20 1.7

12

70 0.28 2.4

17

100 0.43 3.6

28

662* 4.0 30 200

1 250** 4.0 30 200

*

137

Cs

γ

線のエネルギーである。

**

60

Co

γ

線の等価換算係数に対応するエネルギーであ

る。

備考  X・

γ

線のエネルギー及び線量当量の値は,一組ずつ同一

とする。

b)

β

線  同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを 30 個用意する。3 個を一組とし,10 の

組を作り,五つの組ずつを取って H グループ及び M グループとする。各グループの各組に

表 のと

おり

β

線を照射する。ただし,各グループの一組は,コントロールフィルムとし,

β

組は照射しない。

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに 3 日間放置後,現像する。H グ

ループについては高感度フィルム,M グループについては中感度フィルムから,測定値を算出後,各

エネルギーにおける相対レスポンスを求める。


10

Z 4323 : 2002

表 8 

β

線のエネルギー特性試験の線量当量

70

µm 線量当量

mSv

β

線の残留最大

エネルギー

MeV

H

グループ

M

グループ

0.6 (

204

Tl) 12 110

1.3 (

90

Sr

90

Y)

  9

70

1.7 (

90

Sr

90

Y)

  7

45

2.0 (

90

Sr

90

Y)

  4

30

備考

β

線のエネルギー及び線量当量の値は,

一組ずつ同一とする。

7.2.6

X

γ

線方向特性試験  同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを 200 個用意する。5

個を 1 グループとし,40 のグループとする,そのうちの 1 グループをコントロールフィルムとし,X・

γ

は照射しない。フィルムバッジの前面の垂直方向を入射角度 0°とし,0°,上下,左右に 30°,上下,左

右に 45°及び上下,左右に 60°の合計 13 の方向から

表 に示す X・

γ

線を照射する。フィルムバッジは,

一つの方向ごとに 1 グループずつを用いて,各グループを順次照射する。

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに 3 日間放置後,現像する。高感度フ

ィルムから,測定値を算出後,0°方向のレスポンスに対する各方向から照射したときのレスポンスの比を

求める。

表 9  X

γ

線方向特性試験の線量当量 

X

γ

線のエネルギー

keV

線量当量

mSv

45 0.2

80 0.28

662*

又は 1 250** 4.0

*

137

Cs

γ

線のエネルギーである。

**

60

Co

γ

線の等価換算係数に対応す

るエネルギーである。

備考  線量当量の値は,一組ずつ同一とす

る。

7.2.7

湿度に対する安定性試験  同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを 60 個用意する。

5

個を一組とし,12 の組を作り,四つの組ずつを取って H グループ,M グループ及び L グループとする。

各グループから二つの組ずつを取って

表 10 のとおり

137

Cs

又は

60

Co

γ

線を照射する。ただし,各グルー

プのうち二組は,コントロールフィルムとし,

γ

線は照射しない。

照射後,

表 11 の環境で 3 日間放置後,現像する。H グループについては高感度フィルム,M グループ

については中感度フィルム,L グループについては低感度フィルムから,測定値を算出する。相対湿度 50%

以下のレスポンスに対する相対湿度 90%以上のレスポンスの比を求める。

表 10  湿度に対する安定性試験の線量当量

単位 mSv

グループ H

M

L

1cm

線量当量 4.0  30 200


11

Z 4323 : 2002

表 11  湿度に対する安定性試験の保管環境

組(各グループ共通)

第 1,2

第 3,4

周囲温度  ℃

30

±5

保管環境

相対湿度  % 90 以上 50 以下

備考  この表で第 1〜4 組の決め方は,各グループについ

γ

線を照射した二つの組のうち,任意に第 1 組及

び第 3 組とし,コントロールフィルムとした二つの
組のうち任意に第 2 組及び第 4 組とする。

7.2.8

光に対する安定性試験  同一ロットのバッジフィルムを 10 枚用意する。5 枚を 1 グループとし,

二つのグループとする,そのうちの 1 グループのバッジフィルムに 1 000Lx の光を前面及び背面から 1 時

間ずつ照射する。残りの 1 グループには光は照射しない,二つのグループのバッジフィルムを現像後,フ

ィルムの写真濃度を測定し,各グループごとの平均値及び標準偏差を求める。

なお,写真濃度の測定の幾何条件及び分光条件は,ISO 5-2 及び ISO 5-3 による。

8.

検査  検査は,形式検査とし,同一形式のフィルムバッジについて,7.によって試験を行い,次の項

目について 4.の規定に適合したものを合格とする。

a)

測定値の誤差及び変動係数(X・

γ

線,

β

線)

b)

測定値の経時変化特性

c)

測定値の比例性(X・

γ

線,

β

線)

d)

エネルギー特性(X・

γ

線,

β

線)

e)

X

γ

線方向特性

f)

湿度に対する安定性

g)

光に対する安定性

9.

表示  バッジケースには,次の事項を表示しなければならない。

a)

名称又はその略称

b)

製造番号又は製造年月日若しくはその略号

c)

製造業者名又はその略号

10.

取扱説明書  フィルムバッジには,少なくとも次の注意事項を記載した取扱説明書を添付しなければ

ならない。

a)

フィルムバッジの取扱方法

b)

フィルムバッジの装着方法

c)

フィルムバッジの質量及び寸法

d)

使用上の注意事項

11.

使用上の注意事項  使用者の使用期間における注意事項は,次のとおりとする。

a)

フィルムバッジの装着面の表裏を間違えないように装着する。

b)

放射線が一定方向から入射するような作業場で作業する場合には,その照射方向に向くように装着し,

方向特性の影響を少なくする。

c)

フィルムバッジの使用期間は,通常,半月〜1 か月とし,使用期間中はバッジケースからバッジフィ


12

Z 4323 : 2002

ルムを取り出さない。

d)

汚染しやすい場所で作業する場合は,バッジケースを薄膜のポリエチレン袋などに入れてバッジケー

ス及びバッジフィルムを汚染させないようにする。

e)

コントロールフィルムと装着しないときのフィルムバッジは,同一の環境の場所に保管する。

f)

フィルムバッジは,高温及び高湿の場所,ホルマリン,アンモニア,トリチウムなどガス濃度の高い

場所で,保管しない。

g)

使用期間が終わったフィルムバッジは,速やかに測定依頼の手配をするとともに,必要な場合は,使

用している放射線の状況,使用環境条件などを個人線量測定機関に伝える。

付表 1  1cm 線量当量換算係数 

X

線及び

γ

線のエネルギー(

1

)

MeV

空気カーマから 1cm 線量当量への換算係数(

2

)

Sv/Gy

0.020 0.611

0.025 0.883

0.030 1.112

0.040 1.490

0.045 1.644(

3

)

0.050 1.766

0.060 1.892

0.080 1.903

0.10 1.811

0.125 1.696

0.15 1.607

0.20 1.492

0.30 1.369

0.40 1.300

0.50 1.256

0.60 1.226

0.66(

4

) 1.212(

3

)

0.80 1.190

1.0 1.167

1.25(

5

) 1.149(

3

)

1.5 1.139

3.0 1.117

(

1

)  X

線及び

γ

線のエネルギーは,単一エネルギーの場合には光子エネルギー,単

一エネルギーでない場合には実効エネルギーとする。該当するエネルギーが

ない場合は,補間法によって求める。

(

2

)

空気カーマから個人線量当量−ICRU 組織等価ファントム H

p

, slab (10, 0

°)  へ

の換算係数である。本体中では,H

p

, slab (10, 0

°)  を H

p

 (10)

として表す。

(

3

)

当該エネルギーに対して,ICRP Pub.74 の数値をもとに,内挿によって求めた
換算係数である。

(

4

)

137

Cs

γ

線のエネルギーである。

(

5

)

60

Co

の等価換算係数に対応するエネルギーである。

出典  ICRP Pub.74 
 


13

Z 4323 : 2002

付表 2  70

µ線量当量換算係数

X

線及び

γ

線のエネルギー(

6

)

MeV

空気カーマから 70

µm 線量当量への換算係数(

7

)

Sv/Gy

0.020 1.045

0.030 1.230

0.040 1.444

0.045 1.546(

8

)

0.050 1.632

0.060 1.716

0.080 1.732

0.10 1.669

0.15 1.518

0.20 1.432

0.30 1.336

0.40 1.280

0.50 1.244

0.60 1.220

0.66(

9

) 1.209(

8

)

0.80 1.189

1.0 1.173

(

6

)  X

線及び

γ

線のエネルギーは,単一エネルギーの場合には光子エネルギー,単

一エネルギーでない場合には実効エネルギーとする。該当するエネルギーが

ない場合は,補間法によって求める。

(

7

)

空気カーマから個人線量当量−ICRU 組織等価ファントム H

p

, slab (0.07, 0

°)

への換算係数である。本体中では,H

p

, slab (0.07, 0

°)  を H

p

 (0.07)

として表

す。

(

8

)

当該エネルギーに対して,ICRP Pub.74 の数値をもとに,内挿によって求めた
換算係数である。

(

9

)

137

Cs

γ

線のエネルギーである。

出典  ICRP Pub.74

付表 3  熱中性子線量当量換算係数

線量当量

フルエンスから 1cm 線量当量への換算係数(

10

)

pSv

・cm

2

換算係数 11.4

(

10

)

フルエンスから個人線量当量−ICRU 組織等価ファン

トム H

p

, slab (10, 0

°)  への換算係数である。本体中で

は,H

p

, slab (10, 0

°)  を H

p

 (10)

として表す。

出典  ICRP Pub. 74  エネルギーを 0.025 3 eV とした。


14

Z 4323 : 2002

附属書 1(規定)  性能の判定方法

1.

適用範囲  この附属書は,広範囲用フィルムバッジの性能の判定方法について規定する。

2.

性能の判定

2.1.1

測定値の誤差及び変動係数  本体 4.1 に規定する測定値の誤差及び変動係数の判定は,次による。

次の性能判定について,基準値と試験線量が異なる場合には,試験線量を基準値に読み替えるものとす

る。

a)

X

γ

線  X・

γ

線については,次のとおりとする。

1)

高感度フィルムの誤差及び変動係数の判定については,次による。

1.1)

基準値が 0.4mSv の場合には,次の式による。

0.7

+2.3S

r

R

e

≦1.3−2.3S

r

 (1)

0

m

H

S

S

r

=

C

≦0.07  (2)

ここに,

R

e

誤差に対応するレスポンス

S

r

レスポンスの標準偏差

H

0

基準値で,ここでは 0.4 (mSv)

S

m

測定値の平均値に関する標準偏差 (mSv)

C

変動係数

備考1.  式(1)は,測定値の誤差に対応するレスポンスが,信頼度95%で1±0.3の範囲内であるこ

とを示している。

2.

(2)は,変動係数が 0.07 以下であることを示している。

3.

判定式に示した係数 2.3 は,試験に使用する試料数(フィルムバッジの個数,ここでは

10

個)に対する自由度と信頼度から決まる

t

分布の

t

の値で,小数点以下 2 けた目を四

捨五入したものである。

1.2)

基準値が 4mSv の場合には,次の式による。

0.9

+2.3

S

r

R

e

≦1.1−2.3

S

r

 (3)

0

m

H

S

S

r

=

C

≦0.05  (4)

ここに,

R

e

誤差に対応するレスポンス

S

r

レスポンスの標準偏差

H

0

基準値で,ここでは 4 (mSv)

S

m

測定値の平均値に関する標準偏差 (mSv)

C

変動係数

備考1.  式(3)は,測定値の誤差に対応するレスポンスが,信頼度95%で1±0.1の範囲内であるこ

とを示している。

2.

(4)は,変動係数が 0.05 以下であることを示している。

2)

中感度フィルム及び低感度フィルムの誤差及び変動係数の判定については,次の式による。


15

Z 4323 : 2002

0.9

+2.3

S

r

R

e

≦1.1−2.3

S

r

 (5)

0

m

H

S

S

r

=

C

≦0.07  (6)

ここに,

R

e

誤差に対応するレスポンス

S

r

レスポンスの標準偏差

H

0

基準値

ただし,中感度フィルムは,30 (mSv)

低感度フィルムは,200 (mSv)

S

m

測定値の平均値に関する標準偏差 (mSv)

C

変動係数

備考1.  式(5)は,測定値の誤差に対応するレスポンスが,信頼度95%で1±0.1の範囲内であるこ

とを示している。

2.

(6)は,変動係数が 0.07 以下であることを示している。

b)

β

線 

β

線については,次の式による。

0.85

+2.6

S

r

R

e

≦1.15−2.6

S

r

 (7)

0

m

H

S

S

r

=

C

≦0.07  (8)

ここに,

R

e

誤差に対応するレスポンス

S

r

レスポンスの標準偏差

H

0

基準値で,ここでは 4.0 (mSv)

S

m

測定値の平均値に関する標準偏差 (mSv)

C

変動係数

備考1.  式(7)は,測定値の誤差に対応するレスポンスが,信頼度95%で1±0.15の範囲内であることを

示している。

2.

(8)は,変動係数が 0.07 以下であることを示している。

3.

判定式に示した係数 2.6 は,試験に使用する試料数(フィルムバッジの個数,ここでは 6 個)

に対する自由度と信頼度から決まる

t

分布の

t

の値で,小数点以下 2 けた目を四捨五入した

ものである。

c)

熱中性子  熱中性子については,次の式による。

0.7

+4.3

S

r

R

e

≦1.3−4.3

S

r

 (9)

0

m

H

S

S

r

=

C

≦0.1  (10)

ここに,

R

e

誤差に対応するレスポンス

S

r

レスポンスの標準偏差

H

0

基準値で,ここでは 0.4 (mSv)

S

m

測定値の平均値に関する標準偏差 (mSv)

C

変動係数

備考1.  式(9)は,測定値の誤差に対応するレスポンスが,信頼度95%で1±0.3の範囲内であることを

示している。

2.

(10)は,変動係数が 0.1 以下であることを示している。

3.

判定式に示した係数 4.3 は,試験に使用する試料数(フィルムバッジの個数,ここでは 3 個)


16

Z 4323 : 2002

に対する自由度と信頼度から決まる

t

分布の

t

の値で,小数点以下 2 けた目を四捨五入した

ものである。

2.2

測定値の経時変化特性  本体 4.2 に規定する測定値の経時変化特性の判定は,次による。

a)

周囲温度 20±5℃で保管したものについては,次の式による。

R

f

≦0.15−2.3

S

f

 (11)

2

m2

2

m1

0

f

1

S

S

X

S

+

=

ここに,

R

f

経時変化率

S

f

経時変化率の標準偏差

0

X

保管日数

3

日に対応する組の測定値の平均値

 (mSv)

S

m1

保管日数

3

日に対応する組の測定値の平均値に関する標

準偏差

 (mSv)

S

m2

保管日数

33

日に対応する組の測定値の平均値に関する

標準偏差

 (mSv)

備考

(11)は,経時変化率が,信頼度

95%

0.15

以下であることを示している。

b)

周囲温度

5
0

40

+

℃で保管したものについては,次の式による。

R

f

0.25

2.3S

f

 (12)

2

m2

2

m1

0

f

1

S

S

X

S

+

=

ここに,

R

f

経時変化率

S

f

経時変化率の標準偏差

0

X

保管日数

3

日に対応する組の測定値の平均値

 (mSv)

S

m1

保管日数

3

日に対応する組の測定値の平均値に関する標

準偏差

 (mSv)

S

m2

保管日数

33

日に対応する組の測定値の平均値に関する

標準偏差

 (mSv)

備考

(12)は,経時変化率が,信頼度

95%

0.25

以下であることを示している。

2.3

測定値の比例性  本体 4.3 に規定する測定値の比例性の判定は,次による。

a)

X

γ

線 

X

γ

線については,次の式による。

2

2

2

1

a

a

b

2

2

2

1

a

1

3

.

2

15

.

1

R

1

3

.

2

85

.

0

S

S

R

R

S

S

R

+

+

+

 (13)

0

m2

2

0

m1

1

,

H

S

S

H

S

S

=

=

ここに,

R

a

レスポンス

ただし, 高感度フィルムは,

4mSv

に対応する線量当量を照射

した組のレスポンス

中感度フィルムは,

30mSv

に対応する線量当量を照

射した組のレスポンス

低感度フィルムは,

200mSv

に対応する線量当量を照

射した組のレスポンス

R

b

レスポンス

ただし, 高感度フィルムは,

4mSv

以外の線量当量を照射した

組のレスポンス

中感度フィルムは,

30mSv

以外の線量当量を照射し

た組のレスポンス

低感度フィルムは,

200mSv

以外の線量当量を照射し


17

Z 4323 : 2002

た組のレスポンス

S

1

レスポンスの標準偏差

ただし, 高感度フィルムは,

4mSv

に対応する線量当量を照射

した組

中感度フィルムは,

30mSv

に対応する線量当量を照

射した組

低感度フィルムは,

200mSv

に対応する線量当量を照

射した組

S

2

レスポンスの標準偏差

ただし, 高感度フィルムは,

4mSv

以外の線量当量を照射した

中感度フィルムは,

30mSv

以外の線量当量を照射し

た組

低感度フィルムは,

200mSv

以外の線量当量を照射し

た組

S

m1

測定値の平均値に関する標準偏差

 (mSv)

ただし, 高感度フィルムは,

4mSv

に対応する線量当量を照射

した組

中感度フィルムは,

30mSv

に対応する線量当量を照

射した組

低感度フィルムは,

200mSv

に対応する線量当量を照

射した組

S

m2

測定値の平均値に関する標準偏差

 (mSv)

ただし, 高感度フィルムは,

4mSv

以外の線量当量を照射した

中感度フィルムは,

30mSv

以外の線量当量を照射し

た組

低感度フィルムは,

200mSv

以外の線量当量を照射し

た組

H

0

基準値

 (mSv)

備考

(13)は,測定値の比例性が信頼度

95%

1

±

0.15

の範囲内であることを示している。

b)

β

線 

β

線については,次の式による。

2

2

2

1

a

a

b

2

2

2

1

a

1

8

.

2

25

.

1

1

8

.

2

75

.

0

S

S

R

R

R

S

S

R

+

+

+

 (14)

0

m2

2

0

m1

1

,

H

S

S

H

S

S

=

=

ここに,

R

a

レスポンス

ただし, 高感度フィルムは,

4.0mSv

に対応する線量当量を照

射した組のレスポンス

中感度フィルムは,

30mSv

に対応する線量当量を照

射した組のレスポンス

R

b

レスポンス

ただし, 高感度フィルムは,

4.0mSv

以外の線量当量を照射し

た組のレスポンス

中感度フィルムは,

30mSv

以外の線量当量を照射し

た組のレスポンス

S

1

レスポンスの標準偏差

ただし, 高感度フィルムは,

4.0mSv

に対応する線量当量を照

射した組

中感度フィルムは,

30mSv

に対応する線量当量を照


18

Z 4323 : 2002

射した組

S

2

レスポンスの標準偏差

ただし, 高感度フィルムは,

4.0mSv

以外の線量当量を照射し

た組

中感度フィルムは,

30mSv

以外の線量当量を照射し

た組

S

m1

測定値の平均値に関する標準偏差

 (mSv)

ただし, 高感度フィルムは,

4.0mSv

に対応する線量当量を照

射した組

中感度フィルムは,

30mSv

に対応する線量当量を照

射した組

S

m2

測定値の平均値に関する標準偏差

 (mSv)

ただし, 高感度フィルムは,

4.0mSv

以外の線量当量を照射し

た組

中感度フィルムは,

30mSv

以外の線量当量を照射し

た組

H

0

基準値

 (mSv)

備考

(14)は,測定値の比例性が信頼度

95%

1

±

0.25

の範囲内であることを示している。

2.4

エネルギー特性  本体 4.4 に規定するエネルギー特性の判定は,次による。

a)

X

γ

線 

X

γ

線については,次の式による。

2

2

2

1

a

a

b

2

2

2

1

a

1

3

.

2

3

.

1

1

3

.

2

7

.

0

S

S

R

R

R

S

S

R

+

+

+

 (15)

0

m2

2

0

m1

1

,

H

S

S

H

S

S

=

=

ここに,

R

a

高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フィルムにつ
いていずれも

60

Co

γ

線を照射した組のレスポンス

R

b

高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フィルムにつ
いていずれも

60

Co

γ

線以外の放射線を照射した組のレス

ポンス

S

1

高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フィルムにつ
いていずれも

60

Co

γ

線を照射した組のレスポンスの標準

偏差

S

2

高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フィルムにつ
いていずれも

60

Co

γ

線以外の放射線を照射した組ごとの

レスポンス標準偏差

S

m1

高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フィルムにつ
いていずれも

60

Co

γ

線を照射した組の測定値の平均値に

関する標準偏差

 (mSv)

S

m2

高感度フィルム,中感度フィルム及び低感度フィルムにつ
いていずれも

60

Co

γ

線以外の放射線を照射した組ごとの

測定値の平均値に関する標準偏差

 (mSv)

H

0

基準値

 (mSv)

備考1.

137

Cs

γ

線を基準とした場合には,

60

Co

137

Cs

に読み替える。

2.

(15)は,相対レスポンスが,信頼度

95%

1

±

0.3

の範囲内であることを示している。

b)

β

線 

β

線については,次の式による。

2

2

2

1

a

a

b

2

2

2

1

a

1

8

.

2

35

.

1

1

8

.

2

65

.

0

S

S

R

R

R

S

S

R

+

+

+

 (16)


19

Z 4323 : 2002

0

m2

2

0

m1

1

,

H

S

S

H

S

S

=

=

ここに,

R

a

高感度フィルム及び中感度フィルムについて,いずれも残
留最大エネルギー

2.0MeV

β

線を照射した組のレスポンス

R

b

高感度フィルム及び中感度フィルムについて,いずれも残
留最大エネルギー

2.0MeV

β

線以外の

β

線を照射した組の

レスポンス

S

1

高感度フィルム及び中感度フィルムについて,いずれも残
留最大エネルギー

2.0MeV

β

線を照射した組のレスポンス

標準偏差

S

2

高感度フィルム及び中感度フィルムについて,いずれも残
留最大エネルギー

2.0MeV

β

線以外の

β

線を照射した組ご

とのレスポンスの標準偏差

S

m1

高感度フィルム及び中感度フィルムについて,いずれも残
留最大エネルギー

2.0MeV

β

線を照射した組の測定値の平

均値に関する標準偏差

 (mSv)

S

m2

高感度フィルム及び中感度フィルムについて,いずれも残
留最大エネルギー

2.0MeV

β

線以外の

β

線を照射した組の

測定値の平均値に関する標準偏差

 (mSv)

H

0

基準値

 (mSv)

備考

(16)は,相対レスポンスが,信頼度

95%

1

±

0.35

の範囲内であることを示している。

2.5

方向特性  本体 4.5 に規定する方向特性の判定は,次の式による。

2

2

2

1

a

a

b

2

2

2

1

a

1

3

.

2

3

.

1

1

3

.

2

5

.

0

S

S

R

R

R

S

S

R

+

+

+

 (17)

0

m2

2

0

m1

1

,

H

S

S

H

S

S

=

=

ここに,

R

a

0

°方向から照射した組のレスポンス

R

b

0

°以外の方向から照射した組ごとのレスポンス

S

1

0

°方向から照射した組のレスポンスの標準偏差

S

2

0

。以外の方向から照射した組ごとのレスポンスの標準偏差

S

m1

0

°方向から照射した組の測定値の平均値に関する標準偏差

(mSv)

S

m2

0

°以外の方向から照射した組ごとの測定値の平均値に関す

る標準偏差

 (mSv)

H

0

基準値

 (mSv)

備考

(17)は,各角度のレスポンスが

0

°方向のレスポンスに対して信頼度

95%

0.5

1.3

の範囲内

であることを示している。

2.6

湿度に対する安定性  本体 4.6 に規定する湿度に対する安定性の判定は,次の式による。

2

2

2

1

a

a

b

2

2

2

1

a

1

3

.

2

15

.

1

1

3

.

2

85

.

0

S

S

R

R

R

S

S

R

+

+

+

 (18)

0

m2

2

0

m1

1

,

H

S

S

H

S

S

=

=

ここに,

R

a

相対湿度

50%

以下で保管した組のレスポンス

R

b

相対湿度

90%

以上で保管した組のレスポンス

S

1

相対湿度

50%

以下で保管した組のレスポンスの標準偏差

S

2

相対湿度

90%

以上で保管した組のレスポンスの標準偏差

S

m1

相対湿度

50%

以下で保管した組の測定値の平均値に関する


20

Z 4323 : 2002

標準偏差

 (mSv)

S

m2

相対湿度

90%

以上で保管した組の測定値の平均値に関する

標準偏差

 (mSv)

備考

(18)は,相対湿度

90%

以上のレスポンスが,相対湿度

50%

以下のレスポンスに対して,信頼

95%

1

±

0.15

の範囲内であることを示している。

2.7

光に対する安定性  本体 4.7 に規定する光に対する安定性の判定は,次の式による。

2

b

2

a

b

a

3

.

2

02

.

0

S

S

D

D

+

+

 (19)

ここに,

a

D

光を照射したフィルムの写真濃度の平均値

b

D

光を照射しないフィルムの写真濃度の平均値

S

a

光を照射したフィルムの写真濃度の平均値に関する標
準偏差

S

b

光を照射しないフィルムの写真濃度の平均値に関する
標準偏差

備考

(19)は,光を照射した組と照射しない組の写真濃度差が,

0.02

以内であることを示している。


21

Z 4323 : 2002

附属書 2(規定)  線量当量の算出方法

1.

適用範囲  この附属書は,広範囲用フィルムバッジの線量当量を算出する方法について規定する。

2.

基礎資料  線量当量算出のため,次の基礎資料を準備する。

a)

X

γ

1)

基準

γ

線に対する線量特性

2)

X

γ

線に対するフィルムエネルギー特性

3)

X

γ

線に対する線量当量算出式

4)

潜像退行特性

5)

X

γ

線に対する方向特性

b)

β

1)

フィルタの差比(

1

)

β

線の残留最大エネルギーとの関係曲線

(

1

)

任意の二つのフィルタにおける

β

線相対感度の差の基準とする二つのフィルタにおける

β

線相対

感度の差に対する比をいう。

2)

フィルタの差(

2

)

β

線エネルギー補正係数との関係曲線

(

2

)

基準とする二つのフィルタにおける

β

線相対感度の差をいう。

備考

β

線による線量当量を算出しない場合には,準備しなくてもよい。

c)

熱中性子線量当量算出定数(熱中性子感度,熱中性子フィルム感度)

備考

熱中性子による線量当量を算出しない場合には,準備しなくてもよい。

3.

使用する機器一般

3.1

校正装置及び熱中性子源  基礎資料を求めるために使用する校正装置及び熱中性子源は,次による。

a)

X

線校正装置 

X

線校正装置は,JIS Z 4511 に規定する照射線量標準とのトレーサビリティがある照

射線量(率)測定器によって,照射線量(率)を測定した

X

線照射装置とする。

なお,実効エネルギーと管電圧に対応するエネルギーとの比(線質指標)は,

0.6

以上に設定する。

b)

γ

線校正装置 

γ

線校正装置は,JIS Z 4511 に規定する照射線量標準と,トレーサビリティがある照射

線量(率)測定器によって,照射線量(率)を測定した

137

Cs

若しくは

60

Co

γ

線照射装置,又は

137

Cs

若しくは

60

Co

基準

γ

線源とする。

c)

β

線校正装置 

β

線校正装置は,

70

µm

線量当量についてトレーサビリティがある基準

β

線源とする。

d)

熱中性子源  熱中性子源は,黒鉛パイル,又はこれに準じる減速材の中に放射性同位体中性子源若し

くはその他の中性子源を置いたものであって,減速材中に生じた熱中性子とする。熱中性子のフルエ

ンス率についてトレーサビリティがある熱中性子源とする。

3.2

ファントム  ファントムは,JIS Z 4331 に規定するファントムを使用することとし,フィルムバッ

ジをファントムの前面に配置する場合には,

附属書 図 に示す範囲内に設定する。

なお,フィルムバッジの校正点とファントムの表面との距離は,

本体 7.2.1 e)で設定した距離と同一と

する。


22

Z 4323 : 2002

附属書 図 1  フィルムバッジの設置範囲

3.3

濃度計  フィルムの写真濃度を測定する濃度計は,光学くさびで校正したものとする。

3.4

現像処理  現像処理は,次による。

a)

現像槽は,現像中現像液を

20.0

±

0.5

℃の温度に保つことができるものとする。

b)

現像液は,バッジフィルムの製造業者が指定した現像液を用い,完全に溶解したもので酸化による着

色の目立たないものを用いる。

e)

バッジフィルムの現像に当たっては,現像槽内の現像液温を

20.0

±

0.5

℃に保ち,場所による現像の差

をできるだけ少なくする。

d)

定着液は,バッジフィルムの製造業者が指定した定着液を用い,液温は

20

±

0.5

℃に保つ。

e)

水洗は,流水で

10

分以上

1

時間以下とする。ただし,水洗促進剤を用いた場合の水洗時間は,水洗促

進剤の製造業者が指定した時間による。

f)

乾燥は,温度

40

℃以下の空気で,むらのないようにする。

g)

安全光を使用する場合には,それによるかぶりが写真濃度で

0.02

以下になるようにする。

4.

基礎資料の求め方

4.1

一般

4.1.1

共通条件  基礎資料を求める場合の共通する条件は,各基礎資料の求め方において特に規定がない

場合には,

附属書 表 による。

附属書 表 1  共通条件

項目

条件

周囲温度                  ℃ 20±5 
相対湿度                  % 60±15

気圧                      hPa 1

013

±50

照射環境の 1cm 線量当量率 

µSv/h

≦0.2

4.1.2

写真濃度測定方法  写真濃度の測定の幾何条件及び分光条件は,ISO 5-2 及び ISO 5-3 による。

4.1.3

求め方一般  求め方一般は,次による。

a)

フィルムバッジに照射する線量は,各項目に指定する量の

80

120%

の範囲内に設定し,一組ずつ同

一の量に設定する。

b)

  X

線のエネルギーは,実効エネルギーとし,照射時に設定する実効エネルギーは,各項目に指定する


23

Z 4323 : 2002

実効エネルギーの

90

110%

の範囲内に設定し,一組ずつ同一の実効エネルギーに設定する。

c)

4.2.1

4.2.24.2.3 及び 4.2.5 において照射する場合は,3.2 に規定するファントムの前面にフィルムバ

ッジを配置する。

d)

バッジフィルムのロットが変わった場合には,その都度 2.a)1)の線量特性を求める。

4.2

X

γ

線に対する基礎資料

4.2.1

基準

γ

線に対する線量特性の求め方  同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを

90

個用意する。

5

個一組とし,

18

の組を作り,六つの組ずつを取って

A

グループ,

B

グループ及び

C

グルー

プとする。

附属書 表 によって基準

γ

線をフィルムバッジに照射する。ただし,各グループの一組ずつは

コントロールフィルムとし,基準

γ

線は照射しない。

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに

3

日間放置後,3.4 によって現像処理

する。

A

グループについては高感度フィルム,

B

グループについては中感度フィルム,

C

グループについ

ては低感度フィルムから,

γ

線基準フィルタ位置に相当する部分の写真濃度を測定する。各組ごとに写真濃

度の平均値を求める。空気カーマと写真濃度の平均値との関係を線量特性とし

附属書 図 の例のように

グラフとして表す。

附属書 表 2  線量特性の照射条件

グループ A B C

フィルムバッジに対する

γ

線の入射角°(度)

0

〜5°

空気カーマ 3.5×10

4

 1.0

×10

2

 7.0

×10

2

Gy 1.5

×10

3

 1.5

×10

2

 1.0

×10

1

 3.5

×10

3

 2.5

×10

2

 1.5

×10

1

 5.0

×10

3

 3.5

×10

2

 2.5

×10

1

 7.0

×10

3

 4.5

×10

2

 3.5

×10

1

 8.5

×10

3

 5.5

×10

2

 4.5

×10

1

 1.0

×10

2

 7.0

×10

2

 5.0

×10

1

備考  照射は,空気カーマの中から最低値及び最高値を含む任意の 5

点の空気カーマについて行い,空気カーマの値は,一組ずつ同

一とする。

附属書 図 2  線量特性のグラフ(例)


24

Z 4323 : 2002

4.2.2

X

γ

線に対するフィルムエネルギー特性の求め方  同一ロットのバッジフィルムからなるフィル

ムバッジを

240

個用意する,

5

個一組とし,

48

の組を作り,

16

組ずつを取って

A

グループ,

B

グループ及

C

グループとする。

附属書 表 によって

X

γ

線をフィルムバッジに照射する,ただし,各グループの

一組ずつはコントロールフィルムとし,

X

γ

線は照射しない。

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに

3

日間放置後,3.4 によって現像処理

する。

A

グループについては高感度フィルム,

B

グループについては中感度フィルム,

C

グループについ

ては低感度フィルムから,各フィルタ位置の写真濃度を測定する,正味見掛けの線量から

γ

線相対感度を求

め,

X

γ

線のフィルムエネルギー特性とする。

附属書 表 3  X

γ

線のフィルムエネルギー特性の空気カーマ

X

γ

線のエネルギー

keV

20 25 30 35 40

A

グループ 5.0×10

-4

 3.5

×10

-4

 2.5

×10

-4

 2.5

×10

-4

 1.5

×10

-4

B

クループ 5.0×10

-3

 3.5

×10

-3

 2.5

×10

-3

 2.0

×10

-3

 1.5

×10

-3

空気カーマ

Gy

C

グループ 5.0×10

-2

 2.5

×10

-2

 1.5

×10

-2

 1.5

×10

-2

 1.5

×10

-2

X

γ

線のエネルギー

keV

45 50 60 70 80

A

グループ 1.5×10

-4

 1.5

×10

-4

 2.0

×10

-3

 2.0

×10

-3

 2.5

×10

-4

B

クループ 1.5×10

-3

 1.5

×10

-3

 1.5

×10

-3

 2.0

×10

-3

 2.0

×10

-3

空気カーマ

Gy

C

グループ 1.5×10

-2

 1.5

×10

-2

 1.5

×10

-2

 1.5

×10

-2

 1.5

×10

-2

X

γ

線のエネルギー keV

90

100

120

662* 1

250**

A

グループ 3.0×10

-4

 3.5

×10

-4

 7.0

×10

-4

 5.0

×10

-3

 5.0

×10

-3

B

グループ 2.5×10

-3

 3.0

×10

-3

 5.0

×10

-3

 3.5

×10

-2

 3.5

×10

-2

空気カーマ

Gy

C

グループ 2.0×10

-2

 2.0

×10

-2

 3.5

×10

-2

 1.5

×10

-1

 1.5

×10

-1

*

137

Cs

γ

線のエネルギーである。

**

60

Co

γ

線の等価換算係数に対応するエネルギーである。

備考  線量及びエネルギーは,一組ずつ同一の値とする。

4.2.3

X

γ

線に対する線量当量算出式の求め方  2.a)2)

X

γ

線に対するフィルムエネルギー特性から,各

フィルタ位置の正味見掛けの線量に補正係数を乗じて得た

1cm

線量当量が,各エネルギーに対してできる

だけ誤差が小さくなるように線量算出式を求める。同様の方法で

70

µm

線量当量用の線量当量算出式を求

める。

なお線量当量を求めるにあたっては,

本体付表 及び本体付表 の線量当量換算係数を使用する。

4.2.4

潜像退行特性の求め方  同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを

80

個用意する。

5

個一組とし,

16

の組を作り,四つの組ずつを取って

A

グループ,

B

グループ,

C

グループ及び

D

グルー

プとする。

附属書 表 によって

γ

線をフィルムバッジに照射する。ただし,

D

グループのバッジフィルム

は,保管日数ごとのコントロールフィルムとし,

γ

線は照射しない。

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに周囲温度

20

±

5

℃で

附属書 表 

日数どおり保管する。保管が終わったバッジフィルムは,3.4 によって現像処理する。

A

グループについて

は高感度フィルム,

B

グループについては中感度フィルム,

C

グループについては低感度フィルムから,

γ

線基準フィルタ位置の写真濃度を測定する。各組ごとに正味見掛けの線量の平均値を求め,各グループご

とに各組の相対値

  (R

v

)

を次の式によって求める。

3

v

NAD

NAD

R

ij

=

ここに,

ij

NAD

i

グループ 組の正味見掛けの線量の平均値

i

A

B

C

j=第

1

4

組)


25

Z 4323 : 2002

3

NAD

3

日間保管した組の正味見掛けの線量の平均値

各グループごとに相対値と保管日数との関係を潜在退行特性のグラフとし,

附属書 図 の例のように

表す。

附属書 表 4  潜像退行特性の空気カーマ

グループ A

B

C

空気カーマ 3.5×10

-3

 2.5

×10

-2

 1.5

×10

-1

Gy

 

附属書 表 5  潜像退行特性の保管日数 

単位

組(各グループ共通)

第 1

第 2

第 3

第 4

照射後現像までの保管日数

3 13 23 33

備考  この表で第 1〜4 組の決め方は,各グループを構成する四

つの組のうち,任意に第 1〜4 組とする。

附属書 図 3  潜像退行特性のグラフ(例)

4.2.5

X

γ

線に対する方向特性の求め方  同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを

350

用意する。

5

個一組とし,

70

の組を作り,

14

組ずつを取って

A

1

A

5

グループとする。

附属書 表 によ

って

X

γ

線をフィルムバッジに照射する。ただし,各グループの一組ずつはコントロールフィルムとし,

X

γ

線は照射しない。

なお,フィルムバッジの前面に対する

X

γ

線の入射角は,

附属書 表 による。

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに

3

日間放置後,3.4 によって現像処理

する。各組については高感度フィルムから,各フィルタ位置の写真濃度を測定し,正味見掛けの線量を求

める。2.a)3)の線量当量算出式から

1cm

線量当量を求め,次の式によって方向特性

  (

A

v

)

を求める。

0

v

H

H

A

ij

=

ここに,

ij

H

i

グループ

j

組のフィルムバッジから算出した

1cm

線量

当量の平均値(

i

A

1

A

5

 

j

=第

1

5

組)

0

H

0

°方向のフィルムバッジから算出した

1cm

線量当量の

平均値


26

Z 4323 : 2002

附属書 表 6  方向特性の空気カーマ

グループ

A

1

A

2

A

3

A

4

A

5

X

γ

線の

エネルギー keV

25 45 80 120

基準

γ

空気カーマ 3.5×10

4

 1.5

×10

4

 2.5

×10

4

 7.0

×10

4

 5.0

×10

3

附属書 表 7  入射角

組(各グループ共通)

第 1

第 2

第 3

第 4

第 5

第 6

第 7

入射角°(度)

(左右方向)

0 30 45 60

−60

−45

−30

組(各グループ共通)

第 8

第 9

第 10

第 11

第 12

第 13

入射角°(度)

(上下方向)

30 45 60

−60

−45

−30

備考  この表で第 1〜13 組の決め方は,各グループを構成する 14 組のうち,コント

ロールフィルムにした一組を除く 13 の組を任意に第 1〜13 組とする。

4.3

β

線に対する基礎資料

4.3.1

フィルタの差比と

β

線の残留最大エネルギーとの関係曲線の求め方  同一ロットのバッジフィルム

からなるフィルムバッジを

30

個用意する。

3

個一組とし,

10

の組を作り,

5

組ずつを取って

A

グループ及

B

グループとする。

附属書 表 によって

β

線をフィルムバッジに照射する。ただし,各グループの一

組ずつはコントロールフィルムとし,

β

線は照射しない。

照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに

3

日間放置後,3.4 によって現像処理

する。

A

グループについては高感度フィルム,

B

グループについては中感度フィルムから,

β

線測定用の各

フィルタ位置の写真濃度を測定する。同一残留最大エネルギーに対する

β

線相対感度を各フィルタについ

て求め,次の式からフィルタの差比を求める。

S.P3

S.OW

S.P2

S.OW

S.P2

S.OW

S.P1

S.OW

R

R

R

R

R

R

R

R

又は

ここに,

R

S.OW

β

線測定用フィルタの中で一番薄いフィルタ(以下,

OW

という。

)の

β

線相対感度

R

S.P1

β

線測定用フィルタの中で二番目に薄いフィルタ(以下,

P1

という。

)の

β

線相対感度

R

S.P2

β

線測定用フィルタの中で三番目に薄いフィルタ(以下,

P2

という。

)の

β

線相対感度

R

S.P3

β

線測定用フィルタの中で四番目に薄いフィルタ(以下,

P3

という。

)の

β

線相対感度

フィルタの差比と残留最大エネルギーとの関係を,フィルタの差比と

β

線の残留最大エネルギーとの関

係曲線とし,

附属書 図 の例のように表す。

附属書 表 8  フィルタの差比と

β

線の残留最大エネルギーとの関係曲線の線量当量

残留最大エネルギー

MeV  0.6 1.3 1.7 2.0

A

グループ

 12

 9

 7

 4

70

µm 線量当量

mSv

B

グループ

110 70 45 30


27

Z 4323 : 2002

附属書 図 4  フィルタの差比と

β

線の残留最大エネルギーとの関係曲線のグラフ(例)

4.3.2

フィルタの差と

β

線エネルギー補正係数との関係曲線の求め方  4.3.1 で求めた

β

線相対感度と,照

射した

β

線の線量を用いて,各グループの残留最大エネルギーごとに,フィルタの差に対する,

β

線エネル

ギー補正係数

  (

f

B

)

を,次の式によって求める。

S.P1

S.OW

B1

R

R

f

=

照射したβ線の線量

又は,

S.P2

S.OW

B2

R

R

f

=

照射したβ線の線量

ここに,

f

B1

R

S.OW

R

S.P1

OW

P1

とのフィルタの差)に対する

β

エネルギー補正係数

f

B2

R

S.OW

R

S.P2

OW

P2

とのフィルタの差)に対する

β

エネルギー補正係数

R

S.OW

OW

β

線相対感度

R

S. P1

P1

β

線相対感度

フィルタの差と,

β

線エネルギー補正係数との関係を

附属書 図 の例のように表す。


28

Z 4323 : 2002

附属書 図 5  フィルタの差と

β

線エネルギー補正係数との関係曲線のグラフ(例)

4.4

熱中性子線量当量算出定数(熱中性子感度,熱中性子フィルム感度)の求め方

4.4.1

熱中性子感度  熱中性子感度の求め方は,次による。

a)

同一ロットのバッジフィルムからなるフィルムバッジを

20

個用意する。

5

個を一組とし,四つの組を

作り,一組ずつを取って

A

1

グループ,

A

2

グループ,

A

3

グループ,及び

C

グループとする。

附属書 2

表 のとおり各グループに熱中性子を照射する,ただし,

C

グループはコントロールフィルムとし,

熱中性子は照射しない。照射が終わったバッジフィルムは,コントロールフィルムとともに

3

日間放

置後,3.4 によって現像処理する。

各グループについては高感度フィルムから,各フィルタ位置の写真濃度を測定し,正味見掛けの線

量を求める。

附属書 表 9  熱中性子のフルエンス

単位

 cm

-2

グループ

A

1

A

2

A

3

フルエンス 2.00×10

7

 4.00

×10

7

 6.00

×10

7

b)

a)

で求めた正味見掛けの線量を用い,次の式によって熱中性子基準フィルタ位置と

γ

線基準フィルタ位

置の正味見掛けの線量との差の平均値を求める。

[ ] [ ]

(

)

[ ] [ ]

(

)

å

=

=

5

1

G

n

G

n

5

1

j

ij

ij

i

F

F

F

F

ただし,

i

1

3

j

1

5

ここに,

 ([

F

n

]

  [

F

G

])

i

A

i

組の熱中性子基準フィルタ位置の正味見掛

けの線量と,

γ

線基準フィルタ位置の正味見掛

けの線量との差の平均値

[

F

n

]

ij

A

i

j

個目のフィルムバッジの熱中性子基準フ

ィルタ位置の正味見掛けの線量

[

F

G

]

ij

A

i

j

個目のフィルムバッジの

γ

線基準フィル

タ位置の正味見掛けの線量

c)

b)

で求めた平均値と,照射した熱中性子のフルエンスを,

附属書 図 の例のようにグラフに表し,


29

Z 4323 : 2002

原点を通る直線を引く。直線の傾きを熱中性子感度とする。

附属書 図 6  熱中性子のフルエンスに対する熱中性子基準フィル 

タ位置と

γ

線基準フィルタ位置の正味見掛けの線量 

の差の平均値との関係(例)

4.4.2

γ

線基準フィルタの熱中性子フィルム感度 

γ

線基準フィルタの熱中性子フィルム感度の求め方は,

次による。

a)

4.4.1 a)

で求めた正味見掛けの線量を用い,

次の式によって

γ

線基準フィルタ位置の正味見掛けの線量と

熱中性子場に混在する

γ

線の線量との差の平均値を求める。

[ ]

(

)

[ ]

(

)

å

=

=

5

1

G

G

5

1

j

ij

g

ij

i

g

H

F

H

F

ただし,

i

1

3

j

1

5

ここに,

[ ]

(

)

g

H

F

G

A

i

組の

γ

線基準フィルタ位置の正味見掛けの線量と,

熱中性子を照射したときに受けた

γ

線の線量との差の

平均値

[

F

G

]

ij

A

i

j

個目のフィルムバッジの

γ

線基準フィルタ位置

の正味見掛けの線量

H

gij

A

i

j

個目のフィルムバッジが熱中性子を照射したと

きに受けた

γ

線の線量

b)

a)

で求めた平均値と,照射した熱中性子のフルエンスを,

附属書 図 の例のようにグラフに表し,

原点を通る直線を引く。直線の傾きを

γ

線基準フィルタの熱中性子フィルム感度とする。


30

Z 4323 : 2002

附属書 図 7  熱中性子のフルエンスに対する

γ

線基準フィルタ位置 

の正味見掛けの線量と

γ

線量の差との関係(例)

5.

線量当量算出方法

5.1

現像処理方法及び写真濃度測定方法  バッジフィルムの現像処理及び写真濃度測定方法は,3.4 及び

4.1.2

による。

なお,コントロールフィルムも同時に現像処理する。

5.2

潜像退行補正係数の求め方  潜像退行補正係数は,

1

とする。ただし,補正を必要とする場合には,

フィルムバッジを使用した期間の中央の日から現像日までの期間を保管日数とし,保管日数に対する相対

値を 2.a)4)の潜像退行特性から求め,その逆数を潜像退行補正係数とする。

5.3

方向特性補正係数の求め方  方向特性補正係数は,

1

とする。ただし,入射角が明確な場合には,そ

の入射角に対する方向特性値を 2.a)5)の方向特性から求め,その逆数を方向特性補正係数とする。

5.4

線量当量の算出

5.4.1

正味見掛けの線量の算出  正味見掛けの線量の算出は,次の各項による。

a)

各フィルタ位置の写真濃度とコントロールフィルムの写真濃度を測定する。

b)

フィルタ位置の写真濃度とコントロールフィルムの写真濃度に対する見掛けの線量を,2.a)1)の線量特

性から求める。

c)

フィルタ位置の見掛けの線量からコントロールフィルムの見掛けの線量を差し引き,正味見掛けの線

量を求める。

5.4.2

β

線の線量当量 

β

線の線量当量は,次の式から

70

µm

線量当量

  (

H

β7

)

を算出する。

a)

フィルタの正味見掛けの線量から,次の式を用いてフィルタの差比を求める。

[ ] [ ]

[ ] [ ]

[ ] [ ]

[ ] [ ]

3

2

2

1

P

OW

P

OW

P

OW

P

OW

又は

ここに,

[

OW]

OW

フィルタの正味見掛けの線量

[

P1]

P1

フィルタの正味見掛けの線量

[

P2]

P2

フィルタの正味見掛けの線量

[

P3]

P3

フィルタの正味見掛けの線量

この値を,2.b)1)

β

線の残留最大エネルギーを横軸にとり,フィルタの差比を縦軸にとった関係曲線


31

Z 4323 : 2002

の縦軸にとり,対応する残留最大エネルギー

  (

E

β

)

を求める。

b)

a)

で求めた

E

β

に対応する

β

線エネノレギー補正係数(

f

E

β

)を,2.b)2)フィルタの差と

β

線エネルギー補

正係数との関係曲線から求める。

c)

次の式から

β

線の

70

µm

線量当量

  (

H

β7

)

を求める。

H

β7

([

OW]

[

P1])

×

f

E

β

5.4.3

熱中性子の線量当量  熱中性子の線量当量は,次の式から

1cm

線量当量及び

70

µm

線量当量を算出

する。ただし,熱中性子線量当量換算係数は,

本体付表 による。

[ ] [ ]

(

)

F

E

G

n

n

1

f

f

T

F

F

H

Z

=

ここに,

H

n

熱中性子の線量当量

[

F

n

]

熱中性子基準フィルタ位置の正味見掛けの線量

[

F

G

]

γ

線基準フィルタ位置の正味見掛けの線量

T

z

熱中性子感度

f

E

熱中性子線量当量換算係数

f

F

潜像退行補正係数

5.4.4

寄与分の差し引き

a)

β

線寄与分の差し引き 

β

の寄与は次の式によって差し引く。ただし,

β

線による線量当量を算出しな

い場合は,この寄与分を差し引く必要はない。

[

OW]'

[

OW]

H

β7

e

µE

β

tow

ここに,

[

OW]'

β

線寄与分を差し引いた

OW

フィルタの正味見掛けの

線量

[

OW]

β

線寄与分を差し引く前の

OW

フィルタの正味見掛け

の線量

tow

OW

フィルタの質量厚さ

 (mg/cm

2

)

備考

各フィルタについて

β

線の寄与分を差し引く。

b)

熱中性子寄与分の差し引き  熱中性子寄与分は,次の式によって差し引く。ただし,熱中性子による

線量当量を算出しない場合は,この寄与分を差し引く必要はない。

[ ] [ ] [ ] [ ]

G

G

n

G

G

1

W

T

F

F

F

F

Z

÷ø

ö

çè

æ

=

ここに,

[

F

G

]''

熱中性子寄与分を差し引いた後の

γ

線基準フィルタ位置

の正味見掛けの線量

[

F

G

]'

γ

線基準フィルタの

β

線寄与分を差し引いた後の正味見

掛けの線量

[

F

n

]'

熱中性子基準フィルタ

β

線寄与分を差し引いた後の正味

見掛けの線量

T

z

熱中性子感度

W

G

γ

線基準フィルタの熱中性子フィルム感度

備考

各フィルタについて熱中性子の寄与分を差し引く。その場合,各フィルタに対する熱中性子フ

ィルム感度は,4.4.2 と同様の方法で求める。

5.4.5

X

γ

線の線量当量 

X

γ

線の線量当量の算出は,次の各項による。

a)

寄与分を差し引いた各フィルタ位置の正味見掛けの線量を,2.a)3)

X

γ

線に対する線量当量算出式に

代入して,

1cm

線量当量及び

70

µm

線量当量を求める。

b)

a)

で求めた線量当量に潜像退行補正係数を乗じる。

c)

b)

で求めた線量当量に方向特性補正係数を乗じる。


32

Z 4323 : 2002

6.

線量当量の表し方  線量当量は,ミリシーベルト

 (mSv)

で表し,小数点以下

2

けた目の数値を JIS Z 

8401

によって丸める。


33

Z 4323 : 2002

附属書 3(規定) 

β

線に対するレスポンスの測定方法

1.

適用範囲  この附属書は,広範囲用フィルムバッジの

β

線に対するレスポンスの測定方法について規

定する。

2.

トレーサビリティの体系  国家標準から

β

線フィルムバッジ校正へと移行するトレーサビリティの体

系は,

附属書 図 及び次による。

a)

組織吸収線量(率)基準は,国家標準とトレーサビリテイがある

β

線基準測定器による基準校正によ

って移行されるものとする。

b)

β

線フィルムバッジ校正に用いる

β

線量当量基準は,組織吸収線量(率)基準に線量当量換算係数等を

乗じて求めるものとする。

附属書 図 1  トレーサビリティの体系

3.

校正の精度

a)

β

線照射装置を基準校正し,組織吸収線量(率)基準を設定する場合の校正の精度は,±

8%

とする。

b)

β

線量当量基準の場でフィルムバッジをファントム校正する場合の精度は,±

10%

とする。

4.

校正精度の求め方  JIS Z 4511 の 5.に規定する校正精度の求め方による。

5.

β

線基準測定器及び

β

線照射装置

a)

基準校正に用いる

β

線基準測定器は,組織等価材で構成された通気孔をもつ電離箱式とし,

β

線入射窓

厚は

7

±

0.7mg/cm

2

,電離箱の深さは

1cm

以下とする。この測定器には,残留飛程測定用吸収板を装備

するものとする。

b)

β

線フィルムバッジ校正に用いる

β

線照射装置の性能は,

附属書 表 による。

β

線照射装置は,

204

T1

及び

90

Sr

90

Y

線源を使用するものとし,

0.6g/cm

2

以下の厚さの線質制御用フィルタを装備するものと


34

Z 4323 : 2002

する。

附属書 表 1 

β

線照射装置 

項目

許容値

    照射野均一性 (%) (

1

)

±5

    シャッタ開閉時間 (%) (

2

) 3

    再現性(

3

) 0.02

    X 線の割合 (%) (

4

) 5

(

1

)

照射野均一性は,フィルムバッジを設定する範囲の組
織吸収線量率分布の均一性を意味する。

(

2

)

シャッタ開閉速度は,シャッタ開閉時間の照射時間に

対する百分率を示す。

(

3

)

再現性は,線源を格納状態から照射状態に変え,

β

基準測定器を 10 回照射したときの指示値の変動係数

である。

(

4

)  X

線の割合は,制動放射 X 線等の校正距離における

70

µm 組織吸収線量率への寄与の百分率で示す。

6.

基準校正及び

β

線フィルムバッジ校正

a)

校正方法  校正方法は,次による。

1)

基準校正は,組織吸収線量(率)国家標準で校正された

β

線基準測定器を用いて

β

線照射装置の

β

場の組織吸収線量(率)基準を設定することによって行う。

2)

β

線フィルムバッジ校正は,

β

線照射装置により

β

線量当量基準を設定した校正の基準点に,ファン

トムを後方に配置したフィルムバッジの校正点を設置し,

β

線を照射して行う。

b)

基準の設定  基準の設定は,次による。

1)

基準校正によって行う組織吸収線量(率)基準は,

β

線照射装置の残留最大エネルギーが確定され

た校正の基準点に,

β

線基準測定器を設置して電離電流を測定し,

70

µm

組織吸収線量率

D

T. O

を次の

式によって求め設定する。

D

T.O

(

i

i

x

)

K

E

f

ここに,

i

電離電流

i

x

制動

X

線などによる雑音電流

K

E

残留最大エネルギー

E

における

β

線基準測定器の校正定数

f

空気密度補正などの補正係数の積

2)

β

線フィルムバッジ校正を行う

β

線量当量基準

H

 (0.07)

は,次の式によって求め設定する。

H

 (0.07)

D

T.O

t

F

D

H

f

HL

ここに,

D

T.O

組織吸収線量率基準

t

照射時間

F

D

H

70

µm

線量当量への換算係数

ただし,値は

1 [Sv/Gy]

とする。

f

HL

基準校正後,

β

線フィルムバッジ校正をするまでの期間に

対する半減期補正係数

c)

校正範囲  基準校正及び

β

線フィルムバッジ校正を行う残留最大エネルギーの範囲は,

204

T1

線源はの

場合は

0.5

0.7MeV

90

Sr

90

Y

線源の場合は

1

2.2MeV

とする。

d)

環境条件  基準校正及び

β

線フィルムバッジ校正を行う環境条件は,

附属書 表 による。


35

Z 4323 : 2002

附属書 表 2  環境条件

項目

条件

周囲温度  ℃ 20±5

相対湿度 %

60

±15

気圧     kPa

1 013

±50

7.

β

線の線質

a)

残留最大エネルギーの求め方 

β

線照射装置に

0.6g/cm

2

以下の厚さの線質制御用フィルタを設定し,

校正距離に薄窓形の

β

線測定器を設置して残留飛程測定用吸収板の厚さと測定信号との関係を求める。

吸収板の質量厚さに対し測定信号の対数をプロットし,信号の直線部を外挿し,光子によるバックグ

ラウンドレベルとの交点の質量厚を求め,残留飛程

R

RES

 [g/cm

2

]

とする。残留最大エネルギー

E

RES

[Mev]

は,次の式によって求める。

E

RES

[(9.1

R

RES

1)

2

1]/22.4]

1/2

b)

線質の表示 

β

線の線質は,残留最大エネルギー

 (MeV)

で表す。

8.

レスポンスの求め方 

β

線フィルムバッジ校正による,フィルムバッジのレスポンス

  (

R)

は,次の式

によって求める。

R

X/H

(0.07)

ここに,

X

フィルムバッジの測定値

9.

校正結果の記録  フィルムバッジの校正結果は,記録用紙に記録し,その内容は,次による。

a)

β

線量当量基準

b)

レスポンス

c)

残留最大エネルギー

d)

フィルムバッジの名称,形式及び製造番号

e)

校正者氏名及び校正年月日


36

Z 4323 : 2002

附属書 4(参考)  JIS と対応する国際規格との対比表

JIS Z 4323 : 2002

  広範囲用フィルムバッジ

ISO 1757 : 1996

  写真フィルム個人線量計(フィルムバッジ)

(I)JIS

の規定 (III)国際規格の規定 (IV)JIS と国際規格との技術

的差異の項目ごとの評価及び
その内容

  表示箇所:本体,附属書 
  表示方法:点線の下線

項目番号  内容

(II)

国際 
規格

番号

項目

番号

内容

項 目 ご と

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS

と国際規格と

の技術的差異の 理由
及び今後の対策

0.

  序文

ISO 1757

への適応

ISO 

1757 

0.

JIS

に同じ IDT −

1.

  適用範

測定線質,測定可能エ

ネルギー及び,線量当
量の算出方法

 1.

適用範囲 MOD

/

変更

JIS

とは測定エネ

ル ギ ー 範 囲 の 設
定が異なる。 
国 際 規 格 は 中 性

子 の 測 定 を 含 ま
ない。 
この規格は,国際

規格クラス 3,及
びクラス 4 に相当
する。

国際規格は測定 線質

と測定エネルギ ー範
囲によって五つ の分
類を設けている が,

JIS

は測定対象の異な

った三つの個別 JIS 
使用フィルムに 関す

る二つの個別 JIS に分
かれている。

2.

  引用規

JIS K 7559

JIS Z 4001

JIS Z 4331

JIS Z 4332

JIS Z 4511

JIS Z 8103

JIS Z 8401

ISO 5-2

ISO 5-3

MOD

/

変更

一 部 は 国 際 規 格
を 直 接 引 用 し て
いるが,個別の引

用 規 格 が 国 際 規
格 に 適 合 し て い
ない。

個別の引用規格 の改
正時に国際規格 との
整合性を図る。

3.

  定義

この規格の性 能及び
試験を定義す るため

に必要な用語 を定め
ている。

 3.

定義 MOD

/

変更

規 格 の 対 象 と す
る 線 種 及 び 試 験

項 目 が 国 際 規 格
と異なるため,定
義 さ れ て い る 用

語が一部異なる。

中性子の測定に 関し
ては ISO で別の独立

した規格が存在する。

 7.

特性上の性能

4.

  性能 4.1

測 定 値 の 誤 差 及
び変動係数

4.1.1 X

γ

4.1.2

β

4.1.3

熱中性子

MOD

/

追加

JIS

ではフィルム

の 感 度 に 応 じ た
線量を照射し,線

量 の 誤 差 及 び 測
定 値 の 信 頼 度 を
規定している。

JIS

では線量当量の算

出する方法を規 定し
ているが,国際規格は

フイルム線量計 の特
性試験を対象として,
個人線量の導出 を求

めていない。


37

Z 4323 : 2002

JIS Z 4323 : 2002

  広範囲用フィルムバッジ

ISO 1757 : 1996

  写真フィルム個人線量計(フィルムバッジ)

(I)JIS

の規定 (III)国際規格の規定 (IV)JIS と国際規格との技術

的差異の項目ごとの評価及び
その内容

  表示箇所:本体,附属書 
  表示方法:点線の下線

項目番号  内容

(II)

国際 
規格

番号

項目

番号

内容

項 目 ご と

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS

と国際規格と

の技術的差異の 理由
及び今後の対策

4.2

測 定 値 の 経 時 変

化特性

 c)

エ ー ジ ン グ へ の

安定性

MOD

/

変更

JIS

では室温で線

量 の 変 化 率 が

15%

,40℃におい

て 20% と 定 め て

おり,国際規格で
は 50℃において,

20%

以内と定めて

いる。

日本国内ではフ ィル

ムバッジの使用 温度
が 50℃を超えること
はまれであるため,試

験温度を 40℃に変更
した。

4.3

測定値の比例性

e)

測定仕様範囲 MOD

/

変更

JIS

では感度の異

な る 乳 剤 に つ い
て 各 基 準 線 量 に
対 す る 相 対 感 度

が信頼度 95%で 1
±15%以内になる
よ う 定 め て い る

が,国際規格では
使 用 フ ィ ル ム の
測 定 下 限 と 測 定

上 限 の 求 め 方 の
みを定めている。

JIS

では各乳剤におい

て測定対象線量 範囲
内における直線 性の
確認を求めているが,

国際規格は使用 フィ
ルムの最小検出 線量
と最大測定線量 の求

め方を定めてい るの
みであり,線量測定性
能を十分に確認 でき

ないので,より客観的
に性能判断がで きる
ように変更した。

4.4

エネルギー特性

4.4.1 X

γ

4.4.2

β

 k)

エネルギー特性 MOD

/

変更

JIS

では X・

γ

線に

お い て 信 頼 度

95%

で 1±30%,

β

線 に お い て 信 頼
度 95%で 1±35%
と定めているが,

国際規格では X・

γ

線 に お い て ク ラ
ス 3 において 1±

35%

以内,クラス

4

β

線において 1

±35%以内と定め

ている。

本規格は国際規 格に
定めるクラス別 けに
おいてクラス 3 及びク

ラス 4 に相当する。


38

Z 4323 : 2002

JIS Z 4323 : 2002

  広範囲用フィルムバッジ

ISO 1757 : 1996

  写真フィルム個人線量計(フィルムバッジ)

(I)JIS

の規定 (III)国際規格の規定 (IV)JIS と国際規格との技術

的差異の項目ごとの評価及び
その内容

  表示箇所:本体,附属書 
  表示方法:点線の下線

項目番号  内容

(II)

国際 
規格

番号

項目

番号

内容

項 目 ご と

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS

と国際規格と

の技術的差異の 理由
及び今後の対策

4.5 X

γ

線方向特性

i)

方向特性 MOD

/

削除

JIS

では X・

γ

線に

つ い て 信 頼 度

95%

で 0.5〜1.3 の

範 囲 と 定 め て い

るが,国際規格で
は X・

γ

線について

±20%,クラス 3

において±30%,

β

線についてクラ

ス 4 について±

50%

と 定 め て い

る。

本規格は国際規 格に

定めるクラス別 けに
おいてクラス 3 及びク
ラス 4 に相当する。

平成 13 年の法令改正
で導入される角 度依
存係数に対応さ せる

ため,基準を緩 和し
た。

4.6

湿 度 に 対 す る 安
定性

 g)

包装の耐湿性 MOD

/

変更

JIS

では相対湿度

90%

以上における

感 度 が 相 対 湿 度

50%

以上における

感 度 に 対 し 信 頼
度 95%で 1±15%

以 内 と 定 め て い
るが,国際規格で
は 10% 以 内 と 定

めている。

国際規格は湿度 90%
について規格を 設け
ているが,JIS では日

本の気候風土を 考慮
して 90%以上におけ
る湿度に対する 安定

性を規定している。

4.7

光 に 対 す る 安 定

 f)

光の透過漏えい MOD

/

変更

JIS

では光の照射

の 有 無 に 対 し て

写 真 濃 度 の 変 化
が 0.02 以下と定
めているが,国際

規 格 で は 通 常 現
像 さ れ た も の の
標準偏差の 3 倍以

内と定めている。

国際規格の規定 条件
では,フィルムのロッ

トの違いなどに よっ
てべース濃度が 変化
すると性能条件 が変

動してしまうため,よ
り物理的に判断 しや
すい基準に変更した。

5.

  構造

フィルムバッジ

バッジケース 
フィルタ

 4.

b)

線量計の構成 MOD

/

削除

使 用 フ ィ ル ム の

規 定 の 項 目 を 分
けた。

使用フィルムが 別規

格になっているため。

6.

  バッジ

フィルム

JIS K 7559

に適合し

たもの。

 4.

a)

・フィルムパケッ

MOD

/

削除

フ ィ ル ム バ ッ ジ

構 成 物 の 内 の フ
ィ ル ム の み の 項
目を設けた。

使用フィルムが 別規

格になっているため。


39

Z 4323 : 2002

JIS Z 4323 : 2002

  広範囲用フィルムバッジ

ISO 1757 : 1996

  写真フィルム個人線量計(フィルムバッジ)

(I)JIS

の規定 (III)国際規格の規定 (IV)JIS と国際規格との技術

的差異の項目ごとの評価及び
その内容

  表示箇所:本体,附属書 
  表示方法:点線の下線

項目番号  内容

(II)

国際 
規格

番号

項目

番号

内容

項 目 ご と

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS

と国際規格と

の技術的差異の 理由
及び今後の対策

7.1

試験条件

8.

試験方法

7.1.1

共通試験条件

8.1.3

定常試験条件 MOD

/

変更

自 然 放 射 線 量 を

0.25

µGy/h か ら

0.2

µSv に変更し

た。

日本国内の標準 線源
の照射条件等を 考慮

した。

7.1.2

校 正 装 置 及 び

熱中性子源

a) X

線校正装置

b)

γ

線校正装置

c)

β

線校正装置

d)

熱中性子源

 8.1.4

試験放射線 MOD

/

変更

ISO

JIS 共に使

用 放 射 線 の 品 質
に 関 し 引 用 規 格
を 参 照 し て い る

が,これらの規格
の内容が異なる。
国 際 規 格 に は 中

性 子 に 関 す る 規
格は含まれない。

国際規格の中に は校

正装置の性能及 び日
本国内で利用す るこ
とが困難な放射 性同

位元素を利用し た試
験が含まれる。

7.2

試験方法

8.2

試験方法

7.

  試験

7.2.1

試験方法一般

8.1.4

8.1.4.1

クラス 1 か

ら 3 線量計

8.1.4.2

クラス 4 か

ら 5 線量計

MOD

/

変更

国 際 規 格 は 線 量
計 の ク ラ ス ご と

に 試 験 条 件 及 び
試 験 内 容 を 定 め
ているが,JIS 

は 線 量 計 の ク ラ
ス 分 け を 行 っ て
いない。

JIS

では試験によ

っては JIS Z 4331
に 規 定 す る フ ァ

ントムを使用し,
フ ァ ン ト ム 表 面
から 1〜3cm の任

意 の 距 離 に 線 量
計 を 設 置 し て 良
い こ と に な っ て

いるが,国際規格
で は ISO 4037-1
に 定 め る 条 件 に

線 量 計 を 設 置 し
照 射 す る こ と に
なっている。

本規格は国際規 格に
定めるクラス別 けに

おいてクラス 3 及びク
ラス 4 に相当する。


40

Z 4323 : 2002

JIS Z 4323 : 2002

  広範囲用フィルムバッジ

ISO 1757 : 1996

  写真フィルム個人線量計(フィルムバッジ)

(I)JIS

の規定 (III)国際規格の規定 (IV)JIS と国際規格との技術

的差異の項目ごとの評価及び
その内容

  表示箇所:本体,附属書 
  表示方法:点線の下線

項目番号  内容

(II)

国際 
規格

番号

項目

番号

内容

項 目 ご と

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS

と国際規格と

の技術的差異の 理由
及び今後の対策

7.2.2

測 定 値 の 誤 差

試 験 及 び 変 動 係

a) X

γ

b)

β

c)

熱中性子

MOD

/

追加

JIS

ではフィルム

の 感 度 に 応 じ た
線量を照射し,線
量 の 誤 差 及 び 測

定 値 の 信 頼 度 を
規定している。

JIS

では線量当量の算

出する方法を規 定し
ているが,国際規格は
フィルム線量計 の特

性試験を対象として,
個人線量の導出 を求
めていない。

7.2.3

測 定 値 経 時 変

化特性試験

 8.2.3

フ ィ ル ム エ ー ジ
ン グ へ の 抵 抗 性

試験

MOD

/

変更

高 温 で の 試 験 条
件が JIS は 40℃で

あ る が 国 際 規 格
は 50℃である。 
最 大 保 管 日 数 は

JIS

が 33 日で国際

規格が 30 日にな
っている。

日本国内ではフ ィル
ムバッジの使用 温度

が 50℃を超えること
はまれであるため,試
験温度を 40℃と定め

ている。

7.2.4

測 定 時 の 比 例

性試験

a) X

γ

b)

β

 8.2.5

測定範囲の試験

8.2.5.1

測定下限試

8.2.5.2

測定上限試

MOD

/

変更

JIS

では感度の異

な る 乳 剤 に つ い
て,基準線量との

レ ス ポ ン ス の 比
を求めているが,
国 際 規 格 は 測 定

の 下 限 と 上 限 の
濃 度 の 求 め 方 の
み規定している。

JIS

では各乳剤におい

て測定対象線量 範囲
内における直線 性の

確認を求めているが,
国際規格は使用 フィ
ルムの最小検出 線量

と最大測定線量 の求
め方を定めてい るの
みであり,線量測定性

能を十分に確認 でき
ないので,より客観的
に性能判断がで きる

ように変更した。

7.2.5

エ ネ ル ギ ー 特

性試験

 8.2.11

エ ネ ル ギ ー 特 性

試験

MOD

/

変更

JIS

では照射エネ

ル ギ ー と 線 量 を
そ れ ぞ れ 定 め て
いるが,国際規格

は ク ラ ス ご と に
試 験 エ ネ ル ギ ー
は 定 め て い る が

線 量 は 定 め て い
ない。

137

Cs

60

Co

は両規格

で採用されているが,

X

線においては試験

点数は同じであるが,

試験エネルギー は異
なる。


41

Z 4323 : 2002

JIS Z 4323 : 2002

  広範囲用フィルムバッジ

ISO 1757 : 1996

  写真フィルム個人線量計(フィルムバッジ)

(I)JIS

の規定 (III)国際規格の規定 (IV)JIS と国際規格との技術

的差異の項目ごとの評価及び
その内容

  表示箇所:本体,附属書 
  表示方法:点線の下線

項目番号  内容

(II)

国際 
規格

番号

項目

番号

内容

項 目 ご と

の評価

技術的差異の内容

(V)JIS

と国際規格と

の技術的差異の 理由
及び今後の対策

7.2.6 X

γ

線方向特性

試験

 8.2.9

X

γ

線方向特性試

MOD

/

変更

JIS

では角度,エ

ネ ル ギ ー 及 び 線
量 を 定 め て い る
が,国際規格では

ク ラ ス ご と に エ
ネ ル ギ ー 角 度 を
定 め て い る が 線

量 は 定 め て い な
い。

試験に使用する

γ

線の

線源は等しいが,X 線
のエネルギーが 異な
っている。

7.2.7

湿 度 に 対 す る

安定性試験

 8.2.7

湿 度 に 対 す る 安
定性試験

MOD

/

変更

湿 度 は ほ ぼ 等 し
いが,試験温度保
存 期 間 が 異 な る

JIS

では照射線量

を 定 め て い る が
国 際 規 格 は 乳 剤

感 度 の 中 央 値 で
試 験 を 行 う よ う
定めている。

日本の気候条件 を考
慮すると 38℃以上の
日が 7 日間続くとは考

えられないため,試験
温度,日数を変 更し
た。

また,試験条件を明確
にするため,照射線量
を定めた。

7.2.8

光 に 対 す る 安

定性試験

 8.2.6

光 に 対 す る 安 定
性試験

IDT

8.

  検査 7. 試 験 に よ っ て 行

わ れ た 結 果 が 4. 
性 能 を 満 足 し て

い る 場 合 を 合 格
とする。

 7.

IDT

9.

  表示

名称又はその略称

製造番号又は 製造年
月日若しくは その略

製造業者名又 はその
略号

 9.

10.1.2

JIS

に同じ IDT −

10.

  取 扱

説明書

フィルムバッ ジの取
扱方法,装着方法など

 10.2

JIS

に同じ IDT −

11.

  使 用

上の注意事

装着方向,使用期間,

保管場所など

 10.2

JIS

に同じ IDT −

JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価:

MOD


42

Z 4323 : 2002

備考1.  項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    −  IDT  技術的差異がない。

    −  MOD/削除 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。 
    −  MOD/追加 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
    −  MOD/変更 国際規格の規定内容を変更している。

2.  JIS

と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。

    −  MOD 国際規格を修正している。 

JIS Z 4323

改正原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

丸  山  隆  司

財団法人放射線影響協会

(委員)

西  川  泰  蔵

工業技術院標準部標準業務課

袴  着      実

科学技術庁原子力安全局放射線安全課

青  山  勝  信

資源エネルギー庁原子力保安院・原子力保安管理課

西  沢  元  仁

厚生省大臣官房厚生科学課

鶴  田  憲  一

労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課

加  藤      朗

国立公衆衛生院

河  村  正  一

神奈川大学総合理学研究所

高  田  信  久

工業技術院電子総合研究所量子放射部

村  上  博  幸

日本原子力研究所東海研究所保健物理部線量計測課

辻  村  憲  雄

核燃料サイクル開発機構東海事業所安全管理部

川  瀬  弘  二

東京電力株式会社原子力管理部

村  松  邦  博

日本原子力発電株式会社発電本部発電技術部

渡  邉  道  彦

株式会社シー・イー・シー

福  本  善  巳

株式会社千代田テクノル

小  林  育  夫

長瀬ランダウア株式会社技術部

吉  田  賢  一

産業科学株式会社技術部

釜  田  敏  光

ポニー工業株式会社技術本部技術開発部

山  村  修  蔵

財団法人日本規格協会

(事務局)

福  田  光  道

社団法人日本保安用品協会

備考  ◎は,小委員会委員長を表す。

      ○は,小委員会委員を表す。


Z 4323 : 2002

(1) 

まえがき

この追補は,工業標準化法第

14

条において準用する第

12

条第

1

項の規定に基づき,社団法人日本保安

用品協会

 (JSAA)

から工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調

査会の審議を経て,経済産業大臣が JIS Z 4323 

: 1997

を平成

13

4

20

日付けで改正したことに伴って

発行されたものである。

なお,この追補の適用期限は平成

15

3

月末までとする。


日本工業規格

JIS

 Z

4323

 : 2001

広範囲用フィルムバッジ

(追補 1)

Universal film badges

(Amendment 1)

JIS Z 4323 

: 1997

を,次のように改正する。

12

ページ

付表 を次の付表 に置き換える。

付表 1  1cm 線量当量換算係数

(個人にかかわる 1cm 線量当量)

X

線及び

γ

線のエネルギー(

1

)

MeV

空気カーマから 1cm 線量当量への換算係数(

2

)

(Sv/Gy)

0.020 0.611

0.025 0.883

0.030 1.112

0.035 1.314

0.040 1.490

0.045 1.644

0.050 1.766

0.06 1.892

0.07 1.927

0.08 1.903

0.09 1.864

0.10 1.811

0.12 1.718

0.125 1.696

0.15 1.607

0.20 1.492

0.30 1.369

0.40 1.300

0.50 1.256

0.60 1.226

0.66(

3

) 1.212

0.80 1.190

1.0 1.167

1.25(

4

) 1.149

1.5 1.139

2.0 1.123

3.0 1.117


2

Z 4323 : 2002

(

1

)  X

線及び

γ

線のエネルギーは,単一エネルギーの場合には光子エネルギ

ー,単一エネルギーでない場合には実効エネルギーとする。該当するエ

ネルギーがない場合は,補間法によって求める。

(

2

)

空気カーマから個人線量当量-ICRU 組織等価ファントム Hp, slab (10,

0

°)  への換算係数である。本体中では Hp, slab (10, 0°)  を Hp (10)  と

して表す。

(

3

)

137

Cs

γ

線のエネルギーである。

(

4

)

60

Co

γ

線の等価換算係数に対応するエネルギーである。

13

ページ

付表 を削除する。

14

ページ

付表 を,次の付表 に置き換える。

付表 2  70

µ

m

線量当量換算係数

(個人にかかわる 70

µ

m

線量当量)

X

線及び

γ

線のエネルギー(

5

)

MeV

空気カーマから 70

µm 線量当量への換算係数(

6

)

(Sv/Gy)

0.020 1.045

0.025 1.130

0.030 1.230

0.035 1.337

0.040 1.444

0.045 1.546

0.050 1.632

0.060 1.716

0.070 1.743

0.080 1.732

0.090 1.707

0.10 1.669

0.12 1.605

0.15 1.518

0.20 1.432

0.30 1.336

0.40 1.280

0.50 1.244

0.60 1.220

0.66(

7

) 1.209

0.80 1.189

1.0 1.173

(

5

)  X

線及び

γ

線のエネルギーは,単一エネルギーの場合には光子エネルギ

ー,単一エネルギーでない場合には実効エネルギーとする。該当するエ
ネルギーがない場合は,補間法によって求める。

(

6

)

空気カーマから個人線量当量−ICRU 組織等価ファントム Hp, slab

(0.07, 0

°)  への換算係数である。本体中では Hp, slab (0.07, 0°)  を Hp

(0.07)

として表す。

(

7

)

137

Cs

γ

線のエネルギーである。

15

ページ

付表 を,次の付表 に置き換える。


3

Z 4323 : 2002

付表 3  熱中性子線量当量換算係数

(個人にかかわる 1 cm 線量当量)

線量当量  フルエンスから 1cm 線量当量への換算係数(

8

)

mSv

・cm

2

換算係数 11.4

出典  ICRP 74 エネルギーを 0.025 3 eV とした。 
(

8

)

フルエンスから個人線量当量−ICRU 組織等価ファ

ントム Hp, slab (10, 0°)  への換算係数である。本体
中では,Hp, slab (10, 0°)  を Hp (10)  として表す。

次の表を

付表 として付加する。照射線量から空気カーマへの換算は付表 による。

付表 4  照射線量−空気カーマ換算係数

X

線及び

γ

線のエネルギー(

9

)

MeV

照射線量から空気カーマへの換算係数(

10

)

(mGy/R)

1-g(

11

)

0.010 8.76

1.000

(0.010MeV から 1.0MeV までは 0.010MeV の換算係数に同一)

1.0 8.76

1.000

1.5 8.76

0.996

2.0 8.83

0.995

3.0 8.85

0.991

4.0

0.988

5.0

0.984

6.0

0.980

8.0

0.972

10

0.964

(

9

)  X

線及び

γ

線のエネルギーは,単一エネルギーの場合には光子エネルギー,

単一エネルギーでない場合には実効エネルギーとする。該当するエネルギ

ーがない場合は,補間法によって求める。

(

10

)

照射線量から自由空間中の空気カーマへの換算係数である。エネルギーが

3MeV

以上では電子平衡の条件を外れることによって,照射線量を正確に

決定することができない。

(

11

)  (1-g)

は制動放射損失による補正係数である。

出典  ICRU 47 (1992)


4

Z 4323 : 2002

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

浜  田  達  二

財団法人原子力安全研究協会

八  田      勲

工業技術院標準部標準業務課

下  村  和  生

科学技術庁原子力放射線安全課

平  岡  英  治

資源エネルギー庁公益事業部

西  沢  元  仁

厚生省大臣官房厚生科学課

鶴  田  法  一

労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課

鈴  木      功

電子技術総合研究所量子放射部

高  田  信  久

電子技術総合研究所量子放射部

松  本      健

財団法人日本品質保証機構

丸  山  隆  司

財団法人放射線影響協会企画部

(小委員会委員長)

加  藤      朗

国立公衆衛生院客員研究員

河  内  清  光

放射線医学総合研究所

村  上  博  幸

日本原子力研究所東海研究所

辻  村  憲  雄

核燃料サイクル開発機構東海事業所

川  瀬  弘  二

東京電力株式会社原子力管理部

村  松  邦  博

日本原子力発電株式会社発電本部

征  矢  郁  郎

三菱重工業株式会社原子力事業本部

佐々木  幸  男

財団法人放射線計測協会

中  村  吉  秀

社団法人日本アイソトープ協会アイソトープ部

菊  地      透

医療放射線防護連絡協議会

中  岡      弘

社団法人日本画像医療システム工業会

寿  藤  紀  道

株式会社千代田テクノル研究開発部

小  林  育  夫

長瀬ランダウア株式会社技術部

吉  田  賢  一

産業科学株式会社営業技術部

釜  田  敏  光

ポニー工業株式会社技術本部

空  増      昇

松下産業機器株式会社電子機器事業部

池  上      徹

旭テクノグラス株式会社サイテック事業部

田  代      尚

富士電機株式会社放射線システム部

松  原  昌  平

アロカ株式会社

渡  辺  道  彦

個人線量測定機関協議会

(事務局)

鈴  木  俊  次

社団法人日本電気計測器工業会

福  田  光  道

社団法人日本保安用品協会